ヤクルト(★0対6☆)阪神 =リーグ戦4回戦(2022.04.22)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:青柳 晃洋(2勝0敗0S)
敗戦投手:高梨 裕稔(2勝2敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(3号・1回表2ラン),ロハス・ジュニア(3号・7回表3ラン)

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◆阪神は初回、大山の2ランで幸先良く先制する。そのまま迎えた7回表には、佐藤輝の適時二塁打とロハス・ジュニアの3ランで4点を奪い、追加点を挙げた。投げては、先発・青柳が9回3安打無失点の快投。今季初完封で2勝目を挙げた。敗れたヤクルトは、投打ともに振るわなかった。

◆阪神青柳晃洋投手(28)はヤクルト村上を抑えられるか。両者の通算対戦成績は34打数15安打、被打率4割4分1厘。青柳が30打席以上対戦した打者の中では被打率が最も高く、通算被本塁打33本のうち村上から最多の6被弾。

◆DeNAに横浜で3タテを食らい、4連敗中の阪神は、敵地神宮で昨季セ王者のヤクルトと3連戦。初戦はエース右腕の青柳が先発する。阪神は今季3勝1分けはすべて甲子園で、敵地では12戦全敗だ。52年のフランチャイズ制後、開幕からビジター12連敗以上は54年洋松15連敗、56年広島12連敗、58年広島12連敗、73年近鉄13連敗に次いで5度目。開幕からという条件を外した球団のビジター連敗も、98年7~8月にかけて喫した14連敗が最長。神宮での3連戦で連敗すると球団ワーストに並び、3連敗なら洋松と並び開幕からのビジター連敗のプロ野球記録に並んでしまう。15日の今季初登板で8回1失点の安定した投球で勝ち星を挙げた青柳に、ストッパーの期待がかかる。不振の打線が援護して、今季ビジター初白星をゲットしたい。

◆阪神4番の大山悠輔内野手(27)が先制の3号2ランを放った。初回2死から佐藤輝明内野手(23)が右翼線二塁打を放って出塁。大山は高梨の甘く入ったフォークを捉えて左中間スタンドへ運んだ。 「打ったのはフォーク。とにかく先制点を取りたいと思っていたので、ホームランになって良かったです」前カードのDeNA3連戦で4番に座ったがノーヒット。4試合ぶりの安打が貴重な2ランとなり、3月27日の今季初対戦で6回を0封された高梨の出ばなをくじいた。

◆ヤクルトOBの宮本慎也氏(51=日刊スポーツ評論家)が、始球式を務めた。 「侍ジャパンデー」の企画の一環としてマウンドへ。背番号10の紺色の代表ユニホームを着て、見事にストライクを投げ込んだ。ヤクルトのここまでの戦いについては「ケガ人が出ているわりには、よく頑張っているんじゃないかと思います」と評価。遊撃のレギュラーをつかんだ長岡秀樹内野手(20)については「まだ若いんで。たくさん失敗して、覚えていってくれればいいなと思います」と期待を込めた。

◆阪神は投打の主力が活躍し、今季ビジターで初勝利を挙げた。開幕からのビジター連敗を「12」で食い止め、チームの連敗も4でストップ。泥沼のチーム状態だったが、瀬戸際で踏ん張った。4番大山悠輔内野手(27)が値千金の一撃を放った。1回2死二塁。ヤクルト先発高梨の浮いたフォークをとらえ、左中間に3号2ランを放った。その後、膠着(こうちゃく)状態だったが、7回には佐藤輝明内野手(23)が1死二塁で右中間フェンス直撃の適時二塁打。メル・ロハス・ジュニア外野手(31)も左翼ポール直撃の3号3ランで突き放した。貴重なリードを必死に守ったのが先発の青柳晃洋投手(28)だ。9回3安打無失点で、19年4月29日中日戦以来、3年ぶりでプロ2度目の完封勝利。ヒーローインタビューで「チーム的には厳しい状況ですけれど、これだけファンの方がきてくれているので、絶対に勝とうと思って投げました」と振り返った。青柳は1回、2死満塁のピンチを招いたが、長岡を空振り三振。圧巻のマウンドさばきを見せたのは6回だ。無死二塁で中軸を迎えた。山田をツーシーム系で空振り三振。村上も内角高め速球で空を切らせた。最後は宮本を投ゴロに仕留め、踏みとどまった。インタビューで6回のピンチで、主軸を連続三振にきったシーンはしびれたとふられると「僕もしびれましたね」と答えた。青柳は今季初登板だった15日巨人戦に続いて2戦2勝。節目のプロ通算40勝に積み上げた。チームは窮地だった。負けていれば、球団では91年の27試合目を抜いて最速となる24試合目での20敗目到達だった。開幕から歴史的な不振が続くなか、今季のヤクルト戦連敗も3で止めて、意地を見せた。▼阪神がヤクルトに大勝し、連敗を4で止めた。今季これが敵地での初勝利。これまでビジターでは12戦全敗だった。52年のフランチャイズ制後、開幕からビジター12連敗以上は54年洋松15連敗、56年広島12連敗、58年広島12連敗、73年近鉄13連敗に次いで5度目で、ようやく不名誉記録をストップした。

◆阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(31)が3号3ランを放ち、ヤクルトを突き放した。 7回、先頭近本光司外野手(27)が四球で出塁。佐藤輝明内野手(23)の右中間への適時二塁打で1点を追加し、続いた2死一、三塁の好機。ロハスは2番手コールの144キロの直球を捉え、打球は左翼ポールに直撃した。阪神青柳晃洋投手(28)の好投が続く中、貴重な得点を積み重ねた。

◆ヤクルト先発の高梨裕稔が、6回まで103球、6安打2失点。中盤まで試合をつくったが「全体的に流れを良く投げることが出来なかった。結果としては6回2失点ですが、初回のホームランがすべて。悔いの残る一球です」と悔やんだ。 前回登板の13日広島戦(神宮)は5回6安打4失点で負け投手となったが、前回阪神戦(3月27日、京セラドーム大阪)は6回5安打無失点で勝利投手に。今季2度目の対戦へ「中軸の前にランナーをためないのが一番」と警戒し本拠地のマウンドへ上がった。1回2死から3番佐藤輝に二塁打を許すと、続く4番大山に中堅左へ2ランを浴び先制を許した。不安定な立ち上がりとなったが、2回からは修正。変化球を低めに集める丁寧な投球で、毎回走者を許しながらも追加点を許さなかった。打線の援護にこそ恵まれなかったが、開幕からローテを守り続ける右腕が、この日も安定感を示した。

◆阪神青柳晃洋投手(28)が、19年4月29日中日戦以来となる3年ぶり2度目の完封勝利で、再び連敗ストッパーを演じた。1回2死満塁のピンチを招くが、長岡を低めスライダーで空振り三振。9回を投げて3安打7奪三振。奪った27個のアウトのうち、実に17個をゴロアウトにするなど、ゴロを打たせる、真骨頂の投球術が光った。 圧巻は1点リードの6回。無死二塁で中軸を迎えたが、山田をツーシームで空振り三振。村上も内角速球で空を切らせた。球界を代表するスラッガーを封じ込め、流れを手渡さなかった。「(6回は)僕もしびれました。丁寧に投げることです。梅野さんの配球のおかげで最後までいけた。梅野さんに感謝です」今季初登板だった15日巨人戦をチームが6連敗で迎えたが快投。この日、再び4連敗で巡ってきたマウンドだったが、昨季の最多勝右腕らしく、悪循環を断った。「僕のときに勝っている。連敗が回ってこないのが一番」。昨年はヤクルト戦7試合に登板して4勝1敗、防御率2・68だった。ツバメキラー健在を示す快投を演じ、通算40勝に達した。

◆ヤクルトが今季2度目の完封負けを喫した。阪神青柳に対し、右打ちの塩見とオスナを外し、左打者6人を先発に並べたが、散発3安打に封じられた。来日初登板のA・J・コール投手(30)も1回を3安打4失点と打ち込まれた。 試合後の高津臣吾監督(53)の主な一問一答は以下の通り。-先発高梨は初回2失点も、その後は試合をつくった「立ち上がり2アウトを取ってから、ミーティング通り、投げてはいけないところに投げてしまった。ミーティングはしているんですけどね。失投でしょうね」-打線は左打者を並べたが、初回の満塁も含め得点を奪えなかった「そうですね。なかなかランナーにもならなかったですし。3者凡退が6回でしたっけ? スコアリングポジションにいったのが2回か...。チャンスらしいチャンスも出来なかったですね」-2点差の6回は先頭の青木が二塁打で出て中軸に。あそこの攻撃が大きかった「そうですね。あそこで抑えるのはさすがだなと思いました。なかなか3番、4番をああやってバシッと抑えるのは難しいところで。逆に言えば、あそこで1点取っておけば、また違った展開になっていたのかなと」-初登板のコールが失点「初めての登板だったので、すごく難しかったかもしれないですけど。また次、期待したいと思います」-今日は塩見、オスナが外れたが作戦面での休養「まあ、左の方が打ちやすいんじゃないかというところですね」-2軍で中村が実戦復帰したのは朗報「そうですね。今日は1打席だけだったですけども。万全の状態にね、早く戻して欲しいなと思います」

◆阪神が今季ビジターで初勝利を挙げた。開幕からのビジター連敗を「12」で食い止め、チームの連敗も4でストップした。先発青柳晃洋投手(28)が9回3安打無失点で、19年4月29日中日戦以来、3年ぶりでプロ2度目の完封勝利。打っては4番大山悠輔内野手(27)が1回に先制3号2ランで流れを引き寄せた。試合後の矢野燿大監督(53)の一問一答は以下の通り。-青柳が完封勝利「振り返ってみれば初回が大きいなと。先制した中でピンチを迎えて粘ってくれたことが、その後にもつながった。その後はヤギらしくテンポ良く、特に後半になればなるほどゴロを打たせた。もちろん大事なところで三振というのもあったけど。初回が大きかったんじゃないかな」?-6回の無死二塁を切り抜けたのも追加点につながったのでは「そうやね。やっぱり流れはあるし。それは関係していると思う」?-7、8、9回の3者凡退も簡単ではない「まあね、ちょっとジュニア(ロハス)の本塁打で流れがまたこっちに来たところで、簡単ではないんだけど、流れのまま、疲れも出る中で、より丁寧にというような感じでいけた。また、ちょっと緩い球も使ったりとか、そういうところの青柳の幅というものは身についてきているからかなと思っています」?-この2試合はエースと呼べるような投球では「まあ2試合でね、エースとは言われないんで。やっぱりシーズンが終わった時に『昨年最多勝を取って、今年もヤギやったな』となれば。もちろんシーズン終わった時にエースと言ってもらえる、2試合ではエースになれないんで。でもそれに値するようなね。まあアイツも開幕に出遅れたっていうのは悔しい思いでやってくれてるし。投げていない時、ベンチでもめちゃくちゃ声出して打者陣に声掛けてるんで。そういう姿もみんな感じ取ってるっていうのもあるし。そういうのもあいつのの良さっていうか、いいところだと思います」?-初回に大山が先制弾「あそこから結局、点が入らないっていうのが嫌な流れではあったけど。もちろん先制する中で、ツーアウトからテル(佐藤輝)が出てのホームランっていうのは大きかったし。結果的に本塁打っていうのはジュニア(ロハス)の本塁打もそうやし。もちろんテルのタイムリーも効果的だったんだけど、一気に流れを持ってくるというところでは2本の本塁打っていうのは大きかった。テルも内容がいい感じで、きょうの打撃練習から良かったんでね」?-きのうの試合後に主軸に奮起を促していた「まあまあやっぱりね、チカ(近本)も状態が上がってきていないし。もちろんその(主軸の)前にチカが出て中軸でかえしていくっていうのがウチの野球だと思う。まあ、でも一番かえしてほしいところでかえしてくれるというところは輝とか悠輔の状態を上げるとか、成長とかうちのチームに絶対に必要なことなんで。まあ、プロなんで、結果でしか示せないところがあるんで。そういうところも追い求めてやっていってくれていると思うので、引き続きもっともっと貪欲にいってくれたらいいなと思います」?-ビジターで苦しい試合が続いたが、きっかけになる勝利「まあね、カードの頭でしっかりいい流れをヤギが作って、打者陣もちょっとのっていけそうな部分も出つつあるような試合を作ってくれたし、今もね、神宮だけかな、こう球場の中を通ってね。もちろん負けたときはやじられることもあるけど、この1勝だけでもこんだけ喜んでくれるんやなと俺もそこは感じたし、またそういうところから、もちろん、俺らも諦めてるわけないし、ファンの人も諦めていないっていうのを俺も感じられたので。あそこを通るのはもちろん、負けたときは嫌なときもあるんだけど、こうやって勝つことですごく喜んでくれるというのを俺自身、改めて実感できたので。そういうところで元気もらえたんで。プロである以上というところでは、結果でしか示せないところがあるので。全員で勝つっていう、そういうところを見せていきたいなって改めて感じています」?-青柳は登板前に村上をいかに抑えるかと話していたが、バッテリーでうまく抑えたのでは「そうやね。去年はだいぶやられているし、そういうところでこう、インコースも緩いボールも、そしてアウトコースも使いながら。いい打者なので。もちろん1つのボールや1つのコースで抑える打席もあるのかもしれないけど、最後のショートゴロもインコースでその前に三振させているとか、そういうのがあってこそだと思うので。本当にやろうとしてることが結果として結びついたことは自信にして欲しいし、きょうみたいに左をズラッと並べられることも青柳の時には、これからもあることなので。村上を抑えられたってところはヤギ自身、手応えを感じるようなアウトやったんちゃうかな」

◆阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(31)の一撃が勝利を決定づけた。7回にリードを3点に広げて、なおも2死一、三塁。コールの高め速球を振り抜くと、左翼ポールを直撃する豪快アーチになった。5試合ぶりの3号3ランで好投の先発青柳を援護し、リードを6点に拡大。9回裏の守りは大山と佐藤輝をベンチに下げる、余裕のある勝ち方になった。「全打席、アグレッシブにいっている。前の打席にカウント3-1からうまくとらえられず、悔しい思いをした。走者もいたし、青柳も好投していた。1点でも多く、と心掛けていたよ」。直前の6回はミスショットで一ゴロに倒れていた。的確なミートに徹して、ヤクルトに引導を渡した。「自分の数字より、勝っている方がうれしい。いつも規律を持ってやるのを忘れないよう、心掛けてやりたい」。前回2号本塁打を放った15日の巨人戦(甲子園)でも先発青柳を協力援護。あの時も連敗を6で止め、一緒にお立ち台に上がった。打者の連敗ストッパーも虎の反攻に欠かせない存在だ。

◆阪神は投打の主力が活躍し、今季ビジターで初勝利を挙げた。開幕からのビジター連敗を「12」で食い止め、チームの連敗も4でストップ。泥沼のチーム状態だったが、瀬戸際で踏ん張った。

◆これぞ4番だ。阪神大山悠輔内野手(27)がチームの連敗を4で止める先制決勝の3号2ランを放った。初回にヤクルト先発高梨のフォークを左中間席へ。4番今季8試合目の1発が沈むベンチを盛り上げ、10安打6得点の快勝を呼び込んだ。3番佐藤輝も初回に二塁打でお膳立てするなど中押し適時打を含むマルチ安打。新3、4番の活躍で今季12戦全敗だったビジター初勝利。さあ4月反攻だ。 神宮の空はまだ明るかった。午後6時を過ぎたばかり。ホームでは明るい笑顔で佐藤輝が待っていた。大山は後輩と喜びを分かち合うと、仲間の待つベンチ前へと駆けた。大山 いやもう、しっかり打つだけ、それしかない。結果的にホームランで2点。先制点を取れてよかったし、結果が出てよかった。3番佐藤輝、4番大山の新オーダー2試合目。左右の主砲が初回に仕事をした。2死から佐藤輝が二塁打でお膳立て。大山は高梨の高めフォークを一振りで左中間に運んだ。今季8試合目で4番初アーチとなる3号2ラン。「出て、返して、粘って。そういった攻撃がどんどん線になってくる」。背番号3はつながりを取り戻しつつある打線に何度もうなずいた。「刺激というか、うれしいです」。1月に沖縄で自主トレをともにした小野寺が、前夜に代打満塁弾。私生活から熱い視線を送られてきた後輩の活躍もエネルギーとなったはず。「暖のがむしゃらさ、泥臭さは自分も忘れてはいけない」と胸に留めている。第2打席に中前打。9回は左翼への当たりで果敢に二塁を狙った(記録は二塁タッチアウトの単打)。「自分自身、ああいうところで1本が大きい。6点差ありましたけど、次の1点を取るって意味でも大事」。手綱を緩めず今季初猛打賞。思いをプレーで体現した。今季ビジター13試合目で初勝利。スタンドのファンに見送られながらグラウンドを後にする、神宮特有の帰路ではファンの温かい声が飛んだ。矢野監督 今もね、神宮だけかな、球場の中を通ってね。この1勝だけでもこんだけ喜んでくれるんやなと感じた。俺らも諦めてるわけないし、ファンの人も諦めていない。プロである以上、結果でしか示せないところがあるので、全員で勝つところを見せていきたい。指揮官が、ナインが、神宮の夜空に反攻を誓った。【中野椋】▽新3番佐藤輝が中押しのタイムリー二塁打を放った。2点リードの7回1死二塁。初対戦のコールのスライダーをとらえ、中堅フェンス直撃する二塁打を決めた。「絶対に点がほしいところで、いいイメージで打席に入れた。スコアラーさんと話して、いろいろ考えながらいった」。12打点は糸井と並ぶチームトップで、大山の2ランを呼んだ初回の二塁打も含め、今季8度目のマルチ安打。打率2割9分3厘、5本塁打のチーム3冠で打線を引っ張っている。大山とそろって打点をマークしたのは3月30日の広島戦以来。浮沈の鍵を握る両スラッガーが躍動すれば道は開ける。

◆これぞ4番だ。阪神大山悠輔内野手(27)がチームの連敗を4で止める先制決勝の3号2ランを放った。初回にヤクルト先発高梨のフォークを左中間席へ。4番今季8試合目の1発が沈むベンチを盛り上げ、10安打6得点の快勝を呼び込んだ。3番佐藤輝も初回に二塁打でお膳立てするなど中押し適時打を含むマルチ安打。新3、4番の活躍で今季12戦全敗だったビジター初勝利。さあ4月反攻だ。神宮の空はまだ明るかった。午後6時を過ぎたばかり。ホームベースの先では笑顔の佐藤輝が待っていた。大山は背番号8と喜びを分かち合うと、ナインが歓喜するベンチ前に駆けた。 大山 いやもう、しっかり打つだけ、それしかない。結果的にホームランで2点。先制点を取れてよかったと思いますし、結果が出てよかったです。3番佐藤輝、4番大山。昨年この並びはなく、初めて組んだ前日はともに無安打だった新中軸の2試合目。左右の主砲が初回に奮起した。井上ヘッドに「チャッカマン」を期待される佐藤輝が2死から二塁打でお膳立て。大山は高梨の高めフォークを左中間に運んだ。今季8試合目で4番初アーチとなる3号2ラン。「出て、かえして、粘って。そういった攻撃がどんどん線になってくる」。つながりを取り戻しつつある打線に、何度もうなずいた。「刺激というか、うれしいです」。1月に沖縄で自主トレをともにした小野寺が前夜に代打で一時逆転の満塁弾。ひたむきな後輩の活躍はエネルギーになった。「暖のがむしゃらさ、泥臭さは自分も忘れてはいけない」。決意を新たにしての第1打席だった。2打席目に中前打を放つと、9回は左翼への安打で二塁を狙った。「自分自身、ああいうところで1本が大きい。6点差ありましたけど、次の1点を取るって意味でも大事」。惜しくもタッチアウトになったが、手綱を緩めず今季初猛打賞。思いをプレーで体現する背中は、後輩にも頼もしく映っているに違いない。開幕から12戦全敗だったビジターで、やっとやっと初勝利。スタンドのファンに見送られグラウンドを後にする、神宮特有の帰路では温かい声が飛んできた。矢野監督 神宮だけかな、球場の中を通ってね。負けた時はやじられることもあるけど、この1勝だけでもこんだけ喜んでくれるんやなと。俺らも諦めてるわけないし、ファンの人も諦めていない。プロである以上、結果でしか示せないところがある。全員で勝つところを見せていきたい。指揮官がナインが、東都のファンにネバーギブアップを誓った夜。さあ4月反攻といきたい。【中野椋】○...阪神井上ヘッドコーチ(3番佐藤輝、4番大山について)「チームの勢いがなかなか生まれない中で(大山を)4番に置いているという意味で、初回にホームランを打った悠輔、追加点をたたき出した輝明の働きというのは、『ほらほらみてごらん、あんたらがやれば勝てるでしょ』と、いつも言っているメッセージとして、明日もやってやろうぜとなってくれれば」▼阪神がヤクルトに大勝し、連敗を4で止めた。今季これが敵地での初勝利。これまでビジターは12戦全敗だった。1952年(昭27)のフランチャイズ制後、開幕からビジター12連敗以上は54年洋松15連敗、56年広島12連敗、58年広島12連敗、73年近鉄13連敗に次いで5度目で、ようやく不名誉記録をストップした。なお、開幕カードは京セラドーム大阪でヤクルトに3連敗しており、甲子園以外では15戦全敗だった。

◆阪神梅野隆太郎捕手が会心の配球で、苦手ヤクルト村上を封じた。1打席目は四球を与えたが、その後は2三振を奪い3打数無安打。「ヤギも応えてくれて、配球の中でもすごくハマった」と充実の表情だ。昨季は打ち込まれたが、しっかり対策を研究。渾身(こんしん)のガッツポーズに意地がつまっていた。

◆阪神・青柳晃洋投手(28)がチームの連敗ストップをかけ、今季2度目の先発マウンドに上がる。前回登板した15日の巨人戦(甲子園)は8回1失点の好投で引き分けを挟んで連敗を「6」で止めた。最多勝の昨季は同戦で7試合に登板し、4勝1敗、防御率2・68の安定感を発揮し、4連敗中の流れを変えたい。佐藤輝は2試合連続で3番起用。

◆4番のひと振りで阪神が先制した。一回、大山悠輔内野手(27)が左中間スタンドへ3号2ランを放った。「打ったのはフォーク。とにかく先制点を取りたいと思っていたので、ホームランになってよかったです」一回2死から佐藤輝が一塁線を破る二塁打を放ってチャンスメーク。4番・大山が打席に向かった。カウント2-1から、高梨のフォークを一閃。打球は左中間スタンドで弾んだ。大山は8日の広島戦(甲子園)以来の一発。14日の中日戦(バンテリンドーム)から4番を任されているが、この日の試合前の時点で4番での打率・130と苦しんでいた。チームは4連敗中と悪い流れの中、最高の形で先制した。

◆神宮で行われたこの日の一戦は球界が侍ジャパンを一丸となって応援していくための施策として「侍ジャパンDAY」として開催され、ヤクルトOBの宮本慎也氏(51)が始球式を務めた。背番号10のユニホームを着用し、セットポジションからど真ん中に投球。自身と同じ遊撃を守るプロ3年目の長岡について「いっぱい経験を積んで、若いのでたくさん失敗をして覚えてくれればいい」とエールを送った。

◆額に汗を浮かべながら、粘りの投球を見せた。ヤクルト・高梨が6回6安打2失点。打線の援護がなく、今季3勝目とはならなかったが、先発の役目を果たした。前回13日の広島戦(松山)では5回4失点で敗戦投手に。「インコースへ狙ったところが甘く入って長打にされたりしたので、コントロールとフォームのバランスが少し崩れていたかなと思ったので、そこは修正した」と中8日で微調整してきた。トータルで見れば、決して悪い内容ではない。ただ、立ち上がりの1球に泣いた。一回、2死から佐藤輝に右翼線への二塁打とされると、4番・大山に真ん中寄りへ甘く入ったフォークボールを左中間席へ運ばれ、先制を許す。その後は毎回走者を背負っても流れを渡さない粘投だったが、味方の援護もなく、この2点が響いた。「初回のホームランが全てだと思います。悔いの残る一球です」それでも、今季の高梨は安定感のある投球を続けている。この日を含めて登板した4試合全てで5回以上投げ、3度のクオリティースタート(先発で6回以上、自責点3以下)を達成。奥川を上半身のコンディション不良で欠く中、先発ローテーションを守る貴重な存在として奮闘している。今年1月。同学年の一般女性と結婚。年末年始に千葉県内の実家に帰ると、自身の両親からも「より一層頑張らないといけないね」と声をかけられた。もう一人ではない。愛妻の存在を支えにさらなる活躍を目指す。(赤尾裕希)

◆4番に座って8試合目で、待望の一発が飛び出した。大山が一回にどん底状態のチームを鼓舞する先制2ランを放った。このままズルズルとセ・リーグ最下位を独走するわけにはいかない。主砲の意地で、開幕ビジター12連敗中だった虎が試合序盤から勢いづいた。「とにかく先制点を取りたいと思っていたので、ホームランになってよかったです」神宮の夜空にかけたアーチに胸を張った。一回2死走者なしから3番・佐藤輝が一塁線を破る二塁打をマークすると、続く背番号3がヤクルト先発・高梨の134キロフォークを強振し、8日の広島戦(甲子園)以来、12試合ぶりの今季3号2ランを左中間席へかっ飛ばした。前日21日はDeNA戦(横浜)で降雨コールド負けを喫し、4連敗となった。借金は16に膨れ上がり、今季3度目のセ・リーグの借金を丸抱え。大山自身も苦境のチーム状況のなか、「負けているときの雰囲気はいいものではない。朝が来たらしんどいと思うことも多いですけど、そんなこと言っていても試合はある。切り替えるところは切り替えて、反省もして、いい意味での開き直りも大事」と話していた。不屈の4番が仕事を果たすと、先発の青柳も力投を続けた。いきなり一回2死一塁から2者連続四球で塁を埋めたが、長岡を124キロ変化球で空振り三振に仕留めて踏ん張り、二、三回は三者凡退と持ち直した。背番号50は「チーム状況はチーム状況ですけど、やっぱ楽しく野球をやりたい。そこだけは貫いてやっていきたい。僕も仕事をしっかりして後ろにつなげられたら」と力を込めて、今季2度目の先発マウンドに上がった。前回登板した15日の巨人戦(甲子園)は8回1失点で今季初勝利をあげ、チームの連敗も引き分けを挟んで「6」で止めた。頼もしい〝幻の開幕投手〟が、この日も4連敗中のチームを救うために右腕を振った。2-0の六回先頭で青木に二塁打を許したが、無死二塁から山田、村上を2者連続三振に斬り、最後は宮本を投ゴロに片付け、リードを守り切った。ピンチをしのぐと、七回には佐藤輝が適時二塁打を放ち、ロハスに2ランが飛び出した。(新里公章)

◆阪神・佐藤輝明内野手(23)が七回に右中間フェンス直撃の二塁打を放ち、貴重な追加点をあげた。「(青柳)ヤギさんが頑張ってくれていましたし、何としても追加点が欲しい場面だったので、ランナーをかえすことができてよかったです」) 2-0の七回1死二塁で打席へ。ヤクルトの新外国人・コールの132㌔スライダーをすくいあげた。打球はフェンスに直撃する適時二塁打。3試合ぶりの打点で貴重な3点目をもぎ取り、大きく右手を突き上げた。阪神打線はなおも2死一、三塁の好機を作り、6番・ロハスが左翼ポール直撃の3号3ランを放って6-0と大きくリードを広げた。

◆阪神は投打がかみ合い、ヤクルトを圧倒。連敗を「4」で止め、ビジターゲームは今季13試合目にして初勝利となった。一回に大山が左中間への3号2ランを放って先制。その後は互いに得点できずにいたが、七回に佐藤輝が中堅への適時二塁打を、左打席に入ったロハスは左翼ポール直撃の3号3ランを放って4点を追加し、突き放した。投げては青柳が一回2死満塁のピンチを乗り切ると、その後は強力打線を寄せつけずにゼロを並べ、3安打7奪三振で完封勝利。124球で投げ抜き、仲間とハイタッチを交わした。

◆阪神は一回2死二塁、大山悠輔内野手(27)の12試合ぶりの3号2ランで先制すると、七回には佐藤輝明内野手(23)の適時二塁打とメル・ロハス・ジュニア外野手(31)の3号3ランで加点して、快勝した。青柳晃洋投手(28)は自身2度目の完封勝利を飾った。連敗を「4」で止めたチームの開幕からのビジター連敗も「12」でストップした。矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績4勝19敗1分、観衆2万207人)。ーー青柳が快投「振り返ってみれば初回が大きい。先制した中でピンチを迎えて粘ってくれたのが、その後にもつながったし。その後はヤギらしくテンポ良く、後半になるほど、ゴロを打たすというね。もちろん大事なところで三振もあったけど。初回が大きかったんじゃないかな」ーーこの2試合はエースと呼べるような投球「まあ2試合でエースとは言われないんで。やっぱりシーズンが終わった時に『去年最多勝をとって、今年もヤギやったな』となれば。2試合ではエースになれないんで。アイツも開幕に出遅れたのは悔しい思いでやってくれてる。投げていない時、ベンチでもめちゃくちゃ声出してバッター陣に声掛けてるんで。そういう姿もみんな感じ取ってる」 一回、先制2ランを放った阪神・大山=神宮球場(安部光翁撮影) ーー大山の先制弾「あそこから結局、点が入らないのが嫌な流れではあったけど。もちろん先制する中で、ツーアウトからテルが出てのホームランは大きかった。結果的にジュニアのホームランもそう。もちろんテルのタイムリーも効果的だったんだけど、一気に流れを持ってくるというところでは、2本のホームランは大きかった。テルも内容がいい感じで、今日のバッティング練習から良かったんでね」 ーー21日の試合後に主軸に奮起を促していた「チカも状態が上がってきていない。もちろんその前に、チカが出て中軸でかえすのがウチの野球だと思う。でも一番かえしてほしいところでかえしてくれるというところは、輝とか悠輔の状態を上げるとか、成長とか、うちのチームに絶対に必要なこと。プロなんで、結果でしか示せないところがある。そういうところも追い求めてやっていってくれていると思うので、引き続き、もっともっと貪欲にいってくれたらいいなと思います」ーービジターで苦しい試合が続いた「カードの頭で、いい流れをヤギが作って、バッター陣も乗っていけそうな部分も出つつあるような試合を作ってくれた。神宮だけかな、こう球場の中を通ってね。もちろん負けた時はヤジられることもあるけど、この1勝だけでも、こんだけ喜んでくれるんやなと俺もそこは感じた。俺らも諦めてるわけないし、ファンの人も諦めていないのを俺も感じられた。あそこを通るのはもちろん、負けた時は嫌な時はもあるんだけど、こうやって勝つことですごく喜んでくれるのを俺自身、改めて実感できた。そういうところで元気もらえた。さっきのプロである以上というところでは、結果でしか示せないところがあるので。全員で勝つところを見せていきたいなって改めて感じています」ーー青柳は登板前に村上をいかに抑えるかと話していた「そうやね。去年はだいぶやられているし、そういうところでインコースも緩いボールも、そしてアウトコースも使いながら。いい打者なので。もちろん1つのボールや1つのコースで抑える打席もあるのかもしれないけど、最後のショートゴロもインコースでその前に三振させているとか、そういうのがあってこそだと思う。本当にやろうとしてることが結果として結びついたことは自信にして欲しい。今日みたいに左を並べられることも青柳の時には、これからもあることなので。村上を抑えられたのは、ヤギ自身、手応えを感じるようなアウトやったんちゃうかな」

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(56)は2度目の完封勝利を飾った青柳晃洋投手(28)と梅野隆太郎捕手(30)のバッテリーを絶賛した。青柳の見事な投球に尽きる。特に見応えのあった六回の攻防。1死二塁からの村上の空振り三振にはシビれた。逃げずに攻めた投球に拍手を送りたい。2-0で迎えた六回の阪神の攻撃は、糸井の打球を二塁・山田の好守に阻まれた。2死二塁からは梅野が申告敬遠。青柳が三振して、追加点を奪えなかった。直後に先頭の青木に二塁打。流れがヤクルトに行きかけたところで3、4番を迎えた。この試合、最大のポイントだった。3番の山田は明らかに青柳を嫌っている(昨季対戦打率・083)。スライダーに対して、どうしても腰が引ける相手へ、スライダーとツーシームを中心に、しっかり空振り三振に斬った。迎えた4番の村上は、山田とは対照的に非常に相性が悪い(同・533)。どう攻めるか。本塁打は避けたい場面で、カウント2-1から外角のツーシームで空振りを奪い、追い込んだ。そして5球目。無難にいくなら外へシンカーかツーシームだが、インハイの真っすぐで空振り三振。これは村上も、頭になかったのではないか。捕手の梅野が、村上をしっかりと観察していたのだろうが、もし打たれたら何を言われるかわからない配球だ。そこで思い切って、インハイに投げ切ったバッテリーが、見事だった。昨年までの経験から、逃げていたらやられるという意識があったのだろう。攻めた結果だ。外、外と厳しいところに投げて、歩かせてもいい-というような雰囲気は感じなかった。四回の第2打席もカウント2―2から高めの真っすぐを2球続けて、空振り三振を奪っている。4番とエースらしい、好勝負だった。27アウトのうち、ゴロアウトは17。苦手といわれている左打者を並べられたが、外に逃げて落ちるシンカーを、非常に有効に使っていた。相手が意識して踏み込んできたら、今度は内を突く。投球の幅が大きく広がっており、もう左打者への苦手意識などないだろう。まさにチームを救う快投だ。借金の数どうこうじゃなく、今は目の前の1試合1試合に勝つことだけ。エースがこれだけの投球をしたのだから、チームは乗っていけるし、乗っていかないといけない。

◆ほろ苦いデビューとなった。ヤクルトの新外国人右腕コール(前ブルージェイズ)が七回に2番手で来日初登板。先頭の近本にいきなり四球を許すと、1死二塁から佐藤輝に右中間適時二塁打、2死一、三塁からはロハスに左越え3ランを浴びた。1回4失点の右腕について高津監督は「初めての登板だったので、すごく難しかったかもしれない。また次に期待したい」と気遣った。

◆まだ日の落ちきらない神宮の左中間へ、目の覚めるような弾道が伸びる。これぞ4番のひと振り。阪神・大山がスタンドに突き刺した一発は先制&決勝の一打となり、グレーの新しいビジター戦闘服を身にまとった戦いを、今季13試合目で初めて制した。「しっかり打つだけ。それしかないので。結果的にホームランで2点。先に先制点を取れたところは良かったと思いますし、結果が出てよかったなと思います」一回2死から3番・佐藤輝が一塁線を破る二塁打で出塁し、チャンスで最初の打席が巡ってきた。カウント1―2から高梨の内寄り高めに浮いたフォークを一閃。悠然とダイヤモンドを一周し、仲間から受ける祝福に白い歯を見せた。「4番どうこう言われるじゃないですか。『どっちでもええやん、試合に勝てばええやん』。コレ、(新聞に)絶対に書いてください」佐藤輝か、大山か―。今季の4番争いに注目が集まった春季キャンプの最終日に背番号3はこう思いを吐露した。任された場所で力を発揮するだけ。フタを開ければ4番には佐藤輝が収まり、その後ろで結果を求め続けた。しかし、チームは歴史的な開幕ダッシュ失敗。戦えば戦うほどに黒星を重ねた。打線の軌道修正を図るなかで大山が任されたのは、優勝争いを演じた昨季の〝定位置〟。14日の中日戦(バンテリンドーム)から座る4番で8試合目&28打席目にして飛び出した待望のアーチだった。この日は3、4番の長打で点をもぎ取り、矢野監督も「一番かえしてほしいところでかえしてくれるというところは、(佐藤)輝とか(大山)悠輔の状態を上げるとか成長とか、うちのチームに絶対に必要なことなんで」と〝新コンビ〟をたたえた。「またゼロから始まりますけど、しっかりと全員で戦っていけたらと思います」と大山。三回の中前打に加え、九回は二塁ベース上でタッチアウトになったが左翼への快音を残し、今季初の猛打賞。この勢いを逆襲の日々につなげる。(須藤佳裕)

◆「7番・遊撃」で出場した中野が六回に右中間へ二塁打、七回は右前打を放ち、今季5度目の複数安打と気を吐いた。21日のDeNA戦(横浜)に続いて、下位打線となったがしっかりと仕事を果たした。七回は4盗塁目をマークし、足でも躍動。安定感が光る守備では8度の守備機会を無難にこなして、ゴロを量産した青柳をサポートした。

◆ゴロの山で連敗ストップ!! 阪神はヤクルトに6-0で快勝し、開幕からのビジターでの連敗を12で止めた。先発した青柳晃洋投手(28)が自身3年ぶりの完封勝利で開幕2連勝。17個の内野ゴロアウトで持ち味を発揮し、前回登板に続いてチームを連敗ストップに導いた。〝幻の開幕投手〟が反撃の起爆剤や!!17個目のゴロアウトでゲームセットの瞬間を迎えると、右こぶしを突き上げて顔をほころばせた。青柳が3年ぶり2度目の完封勝利。連敗中の負の流れを再びせき止め、ビジターでのチーム初勝利ももたらした。頼りになりすぎる男の快投で、虎が息を吹き返した。「完封ももちろんうれしいですけど、連敗中だったのでチームが勝てたのが一番うれしい。初回に点が入ったのでスムーズに投げることができた。やっと投打がかみ合った」昨季最多勝(13勝)と最高勝率(・684)の2冠に輝いた右腕は責任感をにじませ、チーム全体の好循環に大きくうなずいた。大山の先制2ランで援護点をもらった直後の一回は2死一塁から2者連続四球で塁を埋めながら、長岡を124キロ変化球でバットに空を切らせて踏ん張った。そして、ここからが真骨頂。二、三回はすべてゴロアウトで三者凡退に片付け、その後も燕打線を封じ込めた。全27個のアウトのうち、17個が内野ゴロ。「本当にいい内野手がいっぱいいたので。(大山)悠輔だったり、中野だったり、助けられました」とバックに感謝した。9回3安打7奪三振、124球の熱投で自身開幕2連勝だ。 前回登板の15日の巨人戦(甲子園)も8回1失点の好投で引き分けを挟んでチームの連敗を「6」、今回は「4」でストップさせた。まさに虎投の大黒柱。一人で投げ切りたい-。その思いも「分業制なんですが、やっぱり一人で投げたい気持ちはあります。中6日もらっていますし。僕はイニングも大事にしています」と強く持ってきた。対左打者の課題克服が右腕を成長させた。「ローテで回り始めて1年目のときは、ピンチで左打者がくると、すぐに交代だった」。特に、ヤクルト・村上に対しては昨季まで通算34打数15安打(打率・441)、6本塁打。そんな中で日々研究を重ねてきた。この日は村上を2-0の六回1死二塁から内角高め直球で空振り三振に仕留めるなど、3打数無安打2三振と仕事をさせなかった。「外に意識があって。去年も外勝負が多かったので、その中でインコースの真っすぐってところでいいところに投げられたのでよかった」と声を弾ませた。矢野監督も変則右腕の好投に「振り返ってみれば初回が大きい。その後はヤギらしくテンポ良く、特に後半になればなるほどゴロを打たすというね」と目を細めた。「(中継ぎへの)恩返しじゃないですけどいつも助けてもらっているので、いける時はしっかりいきたいなと思いました」と胸を張った青柳。逆襲への機運は高まった。完封星から、再加速へつなげる。(新里公章)

◆脱帽だ。ヤクルトは散発3安打で今季2度目の零封負け。阪神先発の青柳対策として右の塩見とオスナをスタメンから外し、6人の左打者を並べたが、高津臣吾監督(53)は「なかなかランナーにもならなかったですし、チャンスらしいチャンスもなかった」と肩を落とした。勝負を分けたのは、2点を追う六回だ。先頭の青木が右翼線への二塁打で好機を演出。クリーンアップで同点、一気に逆転と機運は高まったが...。3番・山田、4番・村上が連続三振。宮本も投ゴロに倒れ、最大の好機がしぼんだ。「あそこで抑えるのはさすがだなと。なかなか3番、4番をああやってピシャっと抑えるのは難しい。逆に言えば、あそこで1点を取っておけばまた違った展開になっていたと思う」高津監督は青柳をほめつつ、打線に奮起を促した。昨季も7試合で1勝4敗と苦しめられた相手だけに、次回こそ攻略したい。(赤尾裕希)

◆先制弾を呼び込み、喉から手が出るほど欲しかった追加点ももぎ取った。陰のヒーローはこの男。阪神・佐藤輝は2度、二塁ベース上で右手を突き上げた。「打つべき人が打てば、勝てる試合は多くなると思う。きょうみたいに、みんなで打ってピッチャーを楽にさせてあげられるような攻撃をしたいと思います」まずは一回2死。高梨のスライダーをとらえ、右翼線を破る二塁打でチャンスメークだ。打線の勢いを〝着火〟する一打で大山の先制2ランをお膳立てすると、2-0のまま迎えた七回1死二塁の好機は自らのバットが火を噴く。「絶対点が欲しいところだったので、いいイメージで打席に入れた」。ヤクルトの新外国人・コールの132キロスライダーをはじき返し、中堅フェンス直撃の適時二塁打を放った。二塁打は今季リーグダントツの「10」。巨人・坂本ら2位に4本差をつける。低調な打線の中で一人、好調を維持する大砲は打率・293に上げ、3割も目前だ。コールとの初対戦の前には、スコアラーと入念に話し込むなど準備に余念がない。さらに、七回の三塁守備では代打・浜田の痛烈な打球を横っ飛びから一塁へストライク送球。「しっかり体も動いているし、いい状態かな」とうなずいた。ノリノリの佐藤輝は七回、3ランを放ったロハスをホームで待ち構えると、ベンチで2人そろって、決めポーズも披露した。「キャンプを見てもらえれば(ポーズの)正解は出てくると思います。ファンタスティック? ゴージャスみたいな。多分それだと思います。おそらく!」。やはり、この男が輝けばチームは盛り上がる。打って、守って、パフォーマンスも。佐藤輝が虎に最高の勢いをもたらしていく。(原田遼太郎)

◆思いをぶつけた。2試合ぶりに先発出場したロハスが、ダメ押しの3号3ランをかっ飛ばした。「何とか、青柳がいいピッチングをしていたので、1点でも多くというのは心がけていた」佐藤輝の適時二塁打でリードがようやく3点に広がった七回。糸井が四球で歩いた直後の2死一、三塁で、助っ人砲も続いた。コールが投じた初球144キロを振り抜いて、左越え値千金弾だ。打点を挙げるのも、15日の巨人戦(甲子園)での2号2ラン以来、1週間ぶりだった。この打席まで2打数無安打1四球で、打率2割を切るところだったが、爽快にアーチを架けよみがえった。帰り際、乗り込むバスの左前方には巨大サイドミラーが付いていた。ロハスはそこに頭をぶつけ「アーオゥ!」と悶絶。試合と同じように、前を歩いていた糸井はギリギリで避けて歩いたが、ロハスはまさに〝大当たり〟の一日だった。白球は左翼ポールにぶつかった瞬間、虎党は総立ちだった。「いつも応援してくださっている。負けているときも関係なくね。応援してくれていることはすごく伝わっていたので、喜んでもらえたことはすごくうれしい」。これからファンを興奮させていく。(長友孝輔)

◆ヤクルトは最大のチャンス、六回無死二塁で、山田と村上が連続で空振り三振。山田はアウトローのツーシーム。村上はインハイのストレート。どちらもコーナーぎりぎりの球。あれだけしっかり投げられたら、そうは打てない。スピードガン表示はそれほどでもないが、コントロールが良かった。中でも、左打者の外角から入ってくるスライダーと、沈むボールが効いていた。それだけに2人とも、直球系のマーク度は低かったのではないか。裏をかかれた形だ。スタメンには左打者6人が並んだ。確かに出塁したのは全て左打者だった。ただし、青柳にとっては逆に、投げやすそうにも映った。ストレートとツーシームをぶつける心配が減る分、思い切って投げ込める側面もあったと思う。結局、右の塩見とオスナを使う機会がなかったことも、もったいなさを感じる。次回対戦では、どういうオーダーを組むのだろう。(本紙専属評論家)

◆阪神は一回2死二塁、大山悠輔内野手(27)の3号2ランで先制すると、七回には佐藤輝明内野手(23)の適時二塁打とメル・ロハス・ジュニア外野手(31)の3号3ランで加点して、快勝した。青柳晃洋投手(28)は自身2度目の完封勝利を飾った。井上一樹ヘッドコーチ(50)の一問一答は以下の通り。ーーきっかけになる試合に「きっかけになるというのは、もちろん勝ちというのが一番の薬やし、これだけ負けが続いて、もがき苦しんでいる選手たちも、勝つ難しさを肌身で感じながら、と思っている。その分、勝った時の嬉しさも、ある意味倍増になっていると思えば、どっかのきっかけで、跳ね上がったよね、という試合にどこかでしたい。勝つというのは、これだけのエネルギーが生まれるんだというのは、また少し横浜で負けが込んでいて、俺的にも個人的にも再認識したかなという試合でしたね」ーー18日に打線のチャッカマンが出てほしいと発言したが、佐藤輝がその役割をした「そうだね、悠輔にしても輝明にしても、ドカンとやってくれた。ホームランというのは、なかなか出るものではないけど、チームの勢いとして、なかなか生まれないという中で4番に置いているという意味で、初回にホームランを打った悠輔、追加点を叩き出した輝明の働きというのは、ほらほらみてごらん、あんたら、あんたらがやれば勝てるでしょ、といういつも言っていることのメッセージとして、アイツらも明日もやってやろうぜとなってくれれば、それはそれで良かったと思います」ーーシンプルに長打の力は大きい「球場がコロコロ変わるから、長打の力、長打を打てる選手ばかり並べているわけでもないので、その中でも魅力というのがありますねというホームランでしたね」ーー大山は4番になって調子を落としているように見えた「それは、だから一喜一憂したがるけど、常に打って欲しいとは思っているけど、常に打てるとは思っていないし、その中でも、ちょっとアカンなという波を少なくするのが3番、4番、5番を任されている者の仕事。そこはアイツだって今年初めて4番を打ったわけじゃないんだから、その辺の自覚が出てくれば、また変わってくると思いますけどね」

◆クッソー!! 阪神・青柳の完封勝利に、俺と同じように悔しがっている虎党は多いんだろうな~!!野球に「たら」「れば」がご法度なのは重々、分かっているけど、3月25日の開幕マウンドに決まっていた青柳が立っていたら、今季の地獄はなかったはずなのに、と思って...。にしても、青柳さんてスゲ~! 完封の内容が27アウトのうち、奪三振が7つ、残り20アウトのうち、ゴロアウトが17ってんだから、『ミスター・ゴロアウト』改め『ゴロ神様』とさせていただきます。前回、チームの連敗を止めてくださったと思ったら、今回も虎の連敗ストッパーに。それどころか、ビジターの連敗も12でSTOP!! 阪神ファンの「止まない雨はない...」という願いを、雨ヤギさん(登板日に雨が多い青柳の愛称)が止めたというのもおもしろけり!!てか、球団の白星の半分だァ!! 雨といえば新人で35勝して流行語にもなった「権藤、権藤、雨、権藤」の権藤博さんですが...。令和版の『青柳、青柳、雨、青柳』でいってもいいよー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
1770 0.708
(↑0.012)
-
(-)
119103
(+7)
83
(+2)
27
(+1)
8
(+2)
0.257
(↑0.004)
2.940
(↑0.05)
2
(1↑)
広島
1391 0.591
(↑0.02)
3
(-)
120100
(+6)
71
(+1)
6
(-)
7
(+1)
0.261
(↑0.004)
2.880
(↑0.08)
3
(1↓)
中日
1190 0.550
(↓0.029)
4
(↓1)
12376
(+2)
73
(+7)
16
(+1)
8
(-)
0.259
(↑0.001)
3.480
(↓0.18)
4
(-)
ヤクルト
11110 0.500
(↓0.024)
5
(↓1)
12178
(-)
87
(+6)
22
(-)
9
(-)
0.230
(↓0.005)
3.380
(↓0.13)
5
(-)
DeNA
9100 0.474
(↓0.026)
5.5
(↓1)
12473
(+1)
80
(+6)
14
(-)
9
(-)
0.256
(↓0.001)
3.960
(↓0.08)
6
(-)
阪神
4191 0.174
(↑0.038)
12.5
(-)
11962
(+6)
98
(-)
17
(+2)
10
(+1)
0.223
(↑0.003
3.990
(↑0.18)