阪神(3対3)広島 =リーグ戦4回戦(2022.04.08)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【阪神】大山 悠輔(2号・4回裏ソロ)

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◆広島は2点リードの4回表、西川の2打席連続となる適時打が飛び出し、1点を加える。一方の阪神は、2-3で迎えた6回に代打のロハス・ジュニアが適時打を放ち、試合を振り出しに戻した。その後は延長戦に突入するも、両軍の救援陣が踏ん張り、試合は規定により引き分けに終わった。

◆株式会社オーダースーツSADAの協賛で行われる試合のファーストピッチセレモニーに阪神OB会長の川藤幸三氏(72)が登場。スーツ姿で打者役を務めた。一塁ベンチの脇を通って引き揚げる際、選手たちから川藤氏に対して拍手があった。すると熱血OB会長は「拍手なんかいらんから、代わりに今日勝て!」と声を張り上げた。川藤流のエールだった。開幕から1勝10敗とまさかの超低空飛行。苦しみ抜くチームの戦いぶりについて聞かれると「そんなもの、どうってことあらへんやんけ。そんなん、どう思うかやないかい」と、意に介さなかった。

◆今季甲子園で初先発した阪神藤浪晋太郎投手(27)が、4回5安打4四球3失点で降板した。初回に2四球を与え、2死一、三塁から坂倉にカットボールを右前に運ばれ先制点を許すと、2回には2死三塁から西川に右前適時打を浴び2点目を献上。3回は無失点で切り抜けるも、4回に2死二塁から西川に153キロの速球を捉えられ、右中間への適時三塁打を浴びて、3点目を失った。今季3試合目の登板も、勝ち星を挙げることができなかった。藤浪は球団広報を通じ「立ち上がりから終始、自分の中でタイミングが合わないままの投球が続いてしまい、投げていく中で早い段階で修正したかったのですが、それができずに降板となってしまいました。同点に追いついてくれた打線に感謝したいです」とコメントした。

◆阪神大山悠輔内野手(27)が反撃ののろしを上げた。 3点を追う4回1死走者なし。広島先発大瀬良の甘いスライダーを見逃さずに強振すると、豪快に左翼に放り込んだ。1日巨人戦(東京ドーム)以来の今季2号ソロ本塁打で、劣勢を引き戻そうとした。「浮いてきたスライダーを一発でしとめることができてよかったです。1点ずつ返していけるように頑張ります」とコメントした。

◆阪神が代打メル・ロハス・ジュニア外野手(31)の一撃で同点に追いついた。1点を追う6回2死二塁で登場。大瀬良の内角速球をとらえると右翼の頭上を越える適時打になった。二塁を蹴って三塁に向かう際、足がもつれて三塁で憤死したが、試合を振り出しに戻して拍手を浴びた。「どんな形でもランナーをホームまでかえしたいと思っていたよ。チームが1点ずつ取って、絶対に追いつくぞというムードだったし、アグレッシブに攻めていった結果がタイムリーになって良かったね」。今季は開幕からスタメンが2試合だけ。代打での起用が続くなか、助っ人が意地を見せた。

◆阪神ラウル・アルカンタラ投手が2回をパーフェクトに抑えた。 7回から5番手で登板し、3番小園を捕邪飛、4番松山を左飛、5番坂倉を151キロの速球で空振り三振。今季初の回またぎ投球になった8回も長野、会沢、上本を斬った。「与えられた場面をゼロに抑えたい気持ちだった。チームとして勝って勢いをつけたい日々が続いているし、その中で自分の仕事ができてよかったよ」と振り返った。

◆大リーガーも認める"天才"。広島西川龍馬外野手(27)が3安打猛打賞で2打点をマークした。同学年対決となった阪神藤浪に2安打2打点で4回KO。その後も絶妙なバント安打などで塁上をにぎわせた。入団時から同学年のカブス鈴木が"天才"と評した高い打撃技術で広島打線をけん引も、延長12回の末、今季初の引き分けに終わった。 阪神バッテリーが3球スプリットを続けた後の4球目、153キロに西川は反応した。捉えた打球は右中間を破った。2点リードの4回2死二塁からの適時三塁打で、同学年対決となった阪神藤浪をKOに追い込んだ。「(上本)崇司さんが出て(大瀬良)大地さんがしっかり(進塁打で)送ってくれたので、かえすことができてよかったです」。下位打線からつくった好機に、1番がバットで応えた。序盤から塁上をにぎわせた。1回は四球を選び、その後坂倉の右前打で先制のホームを踏んだ。2回は2死三塁から内角に食い込むカットボールを引っ張り、右前適時打として加点。「何とかバットに当てられて、良いところに落ちてくれました」。巧みなバットコントロールで藤浪にダメージを与えた。ボール球をも安打にする打撃技術は、カブス鈴木も"天才"と認めた。16年に敦賀気比から社会人・王子を経て広島入り。新人合同自主トレの打撃練習で鈴木は「天才と思った。しっかりしないと、やばいなと感じた」と驚きを感じたという。ともに3連覇に貢献し、昨年まで中軸として広島打線をけん引した。カブス移籍決定時には「あいつはあいつなりにあっちで頑張ると思うので、僕はこっちでぼちぼち頑張ろうかなと思います」といつものクールな西川節も「あいつが打てば刺激になる」と本音をのぞかせた。その言葉通り、デビュー戦初安打の戦友に負けない打撃を披露した。9回には一塁線へ絶妙なセーフティーバントを決めて、8試合ぶり今季2度目の猛打賞を決めた。昨季は主に4番鈴木の前、3番を任されていたが、今年はここまで全試合で1番出場。打率を再び3割台に戻した。「打順は関係ない」とだけ口にし、黙ってバットでチームに貢献していく。【前原淳】

◆延長12回、3-3で引き分けた。阪神が8人、広島が7人の継投でしのいだ。阪神は延長11回1死一、二塁で小幡、坂本が凡退。広島は11回に無死の走者をバントで送れず、12回は2死一、二塁を生かせなかった。

◆阪神は延長12回の激闘の末、今季両リーグ初の引き分けになった。11回には1死一、二塁のサヨナラ機を築いたが小幡が空振り三振、代打坂本が右飛に倒れた。12回も守護神栗林に抑えられた。 土壇場でリリーフが力投した。同点の10回からは湯浅が登板して、まずは3者凡退。11回は無死一塁でバントを好フィールディングで二塁に送球し、併殺を完成。西川を150キロ外角速球で見逃し三振に抑え、2回無失点で切り抜けた。この日は先発藤浪が4回3失点で降板すると、5回以降は継投へ。桐敷、浜地、小川、アルカンタラと抑え続けた。9回は岩崎が1死一、二塁のピンチで後続を断った。救援7投手の無失点リレーが光った。打線も粘る。3点劣勢の4回、大山の左越え2号本塁打で反撃。5回に糸井の左犠飛で1点差に迫った。さらに6回は代打ロハスが右越えの同点適時打。必死に流れを引き戻した。今年は開幕から9連敗を喫し、6日DeNA戦(甲子園)でセ・リーグ史上最速となるシーズン11試合目での10敗目に達していた。

◆阪神藤浪晋太郎投手(27)の三度目の正直はならなかった。 制球が定まらず4回5安打4四球3失点で降板。「立ち上がりから終始、自分の中でタイミングが合わないままの投球が続いて」と悔しさが募った。1回に2四球からピンチを招き、坂倉に先制打を献上。自身3試合連続初回失点から小刻みに点を失い、3戦目も初勝利はお預けになった。矢野監督は「流れが変わりそうな感じになかった。(次戦?)ちょっと今、はっきり分からん」と厳しい表情。次回先発が不透明な状況になった。

◆阪神が今季両リーグ最長の4時間53分の激闘を演じ、3-3の執念ドローに持ち込んだ。リリーフ7投手で0のバトンをつなぎ中でも健闘が光ったのは、新守護神の湯浅京己(あつき)投手(22)だ。10回からの2イニングを無安打0封。初の回またぎも難なくこなし、登板5試合連続無失点と抜群の安定感だ。1勝止まりで最下位に沈むが希望はある。今は我慢の時。きょうこそ湯浅のプロ初セーブでスカっと快勝したい。 新守護神の湯浅がまたも大仕事だ。3-3の同点の延長10回に7番手で登板。難なく3人で封じ、圧巻は2イニング目の11回だ。先頭上本にファウルで粘られ、15球を要して四球を選ばれた。バントを試みた堂林の打球は投手の前に転がった。「バントの構えをしている時から、セカンドで殺すつもりでずっと投げていた。『いける』と思って、迷わずいきました」。すかさず二塁へ送球。1-6-4の併殺を完成させ、傾いた流れを断ち切った。見事にリベンジを決めた。最後の打者は西川。1点リードの1死満塁のピンチから登板した3月29日の広島戦で、サヨナラ打を許した相手だった。「自分の中でやり返すという思いがありましたし、結果的に三振取れてよかったです」。外角にあらん限りの150キロ直球をバシッと決め、見逃し三振にねじ伏せた。2回を投げ無安打無失点と圧倒。初の回またぎにも全く動じなかった。「ブルペンの時からあるかなと思っていた。不安はなかった。しっかり自分のやるべきことをやるだけだなと思って」。冷静に心の準備をし、結果につなげた。課題の中継ぎ陣が踏ん張った。5回から登板した桐敷、浜地、小川、アルカンタラ、岩崎、湯浅、馬場と7人で「0」リレーを続けた。矢野監督は「どの状況もみんな苦しい場面やったけど、精いっぱい攻めていってくれた」と評価。「1人1人がまだポジションが確立されていないピッチャーが多い中で、こういうゲームをしていけばね、勝てると思う」とたたえた。湯浅は4月6日のDeNA戦で無死三塁の大ピンチから無失点に切り抜けるなど、2試合連続の抜群投球。矢野監督は「素晴らしい投球と気持ちだった」と絶賛した。5試合すべて無失点。虎の若き守護神が堂々とマウンドを守っている。【古財稜明】

◆大リーガーも認める天才-。広島西川龍馬外野手(27)が3安打猛打賞で2打点をマークした。同学年対決となった阪神藤浪から2安打2打点を挙げ、4回KO。その後も絶妙なバント安打などで塁上をにぎわせた。入団時から同学年のカブス鈴木が"天才"と評した高い打撃技術で、広島打線をけん引する。チームは延長12回の末、今季初の引き分けに終わった。阪神バッテリーが3球スプリットを続けた後の4球目、153キロ直球に西川は反応した。捉えた打球は右中間を破った。2点リードの4回2死二塁からの適時三塁打。同学年対決となった藤浪をKOに追い込んだ。「(上本)崇司さんが出て(大瀬良)大地さんがしっかり(進塁打で)送ってくれたので、かえすことができてよかったです」。下位打線からつくった好機に、1番がバットで応えた。序盤から塁上をにぎわせた。1回は四球を選び、坂倉の右前打で先制のホームを踏んだ。2回は2死三塁から内角に食い込むカットボールを引っ張り、右前適時打。「何とかバットに当てられて、良いところに落ちてくれました」。巧みなバットコントロールで藤浪にダメージを与えた。ボール球をも安打にする打撃技術は、カブス鈴木も"天才"と認めた。15年に敦賀気比から社会人・王子を経て広島入り。新人合同自主トレの打撃練習で鈴木は「天才と思った。しっかりしないとヤバいなと感じた」と驚きを感じたという。ともにチームの3連覇に貢献し、昨年まで中軸として広島打線をけん引した。カブス移籍決定時には「あいつはあいつなりにあっちで頑張ると思うので、僕はこっちで、ぼちぼち頑張ろうかなと思います」。いつものクールな西川節も「あいつが打てば刺激になる」と本音ものぞかせた。その言葉通り、メジャーデビュー戦で初安打を決めた戦友に負けない姿を披露した。9回には一塁線へ絶妙なセーフティーバントを決め、8試合ぶり今季2度目の猛打賞とした。昨季は主に4番鈴木の前、3番を任されていたが、今年はここまで全試合で1番出場。試合は引き分けたが、打率は再び3割台に乗せた。「打順は関係ない」とだけ口にし、黙ってバットでチームに貢献していく。【前原淳】

◆阪神・藤浪晋太郎投手(27)が今季初勝利を目指して先発登板する。広島戦で白星を挙げれば、2018年9月22日(マツダ)以来4年ぶり。甲子園に限れば15年9月3日以来7年ぶりとなる。

◆阪神OB会長の川藤幸三氏(72)が試合前のファーストピッチセレモニーで打席に立った。阪神の公式スーツを手がける株式会社SADAの佐田展隆(のぶたか)代表取締役社長が投じた頭上の球を空振りすると、スタンドは笑いの渦となった。川藤会長がグラウンドを引き揚げようとしたときに阪神ベンチ内から拍手。「頑張れよ」と笑顔で応えた川藤会長は「みんなが拍手をするからな。その代わりに勝たんかいと。(開幕したばかりで)どうってことあらへんやんけ!」と、1勝10敗(試合前の時点)と開幕から調子の出ない阪神ナインにハッパをかけた。

◆久々の甲子園だった。独特な黒土のマウンド。感触を思い出すかのようにじっくり、粘り強く、広島・大瀬良が投げた。「むちゃくちゃ久しぶりです。照明も(LEDに)変わっているみたいなので。雰囲気がどんな感じかなとは思うんですけど。何度も投げているのでイメージはあるので、しっかり投げていきたい」今季4年連続4度目の開幕投手を務めた右腕は登板前にワクワクしていた。甲子園での登板は2019年7月5日(6回6安打3失点で黒星)以来、1008日ぶり。コロナ禍であるとはいえ、観客の入場制限が撤廃され、景色も変わった。一回は2死一塁で佐藤輝に三遊間を破られ、一、三塁とピンチを招いたが、大山を変化球で左飛に仕留めた。「(阪神打線は)マルテがいないとはいえ、いろんな小技ができるような選手もそろっていますし。気が抜けない打線なので。一人一人としっかり勝負していけるようにしたい」と話していた通り、持ち前の丁寧な投球で相手の的を外した。藤浪と対戦した打線はこの日も好調だった。一回は2四球で2死一、三塁と好機を作ると、坂倉が一、二塁間を破って、先制点。さらに二回1死後に上本が左中間二塁打で得点圏にいくと、2死三塁から西川が右前適時打。いとも簡単に追加点を奪った。 チーム本塁打は3本とリーグ最少だが、チーム打率・266はリーグトップ(いずれも7日までの数字)とつなぐ野球を体現している。鈴木がポスティングシステムで米大リーグ、カブスに移籍。シーズン開幕前の下馬評は低かったが、若手、中堅、ベテランが混ざり、バランスよく戦いを進めている。前カードで首位巨人にカード勝ち越しを決め、甲子園に乗り込んだ。鯉が試合の序盤から理想的な展開に持ち込んだ。

◆阪神・大山悠輔内野手(27)が「5番・一塁」で出場。四回に左翼へ2号ソロを放った。「浮いてきたスライダーを一発で仕留めることができてよかったです」。3点を追う四回走者なしで巡った第2打席だった。広島・大瀬良が投じた真ん中付近へのスライダーを見逃さず一閃。白球は高々と舞い上がり、左翼ポールに近い左翼席に着弾した。「1点ずつ返していけるように頑張ります」。第1打席は1点を追う2死一、三塁のチャンスで巡ってきたが、結果は左飛。次の打席でしっかりと悔しさをぶつけ、反撃ムードを作った。

◆阪神・藤浪晋太郎投手(27)が先発し、4回5安打3失点で降板した。一回に2四球で2死一、三塁のピンチを招くと、5番・坂倉には甘く入ったカットボールをとらえて一、二塁間を破られ、いきなり1点を先制された。続く二回に2死三塁で西川に右前適時打を浴びると、四回も四球をきっかけにした2死二塁で西川に右中間を破る適時三塁打を打たれ、3点目。四回終了後に矢野監督は投手交代を告げた。3月25日のヤクルトとの開幕戦(京セラ)で大役を任された右腕だが、甲子園での登板は今回が今季初。「本当のホームですし、ちょっと雰囲気も違うかなと思うので、そこで一つ勝って、いい勢いに乗れれば」と話していたが、悔しい結果となってしまった。

◆阪神・藤浪晋太郎投手(27)が先発し、4回5安打3失点で降板した。「立ち上がりから終始、自分の中でタイミングが合わないままの投球が続いてしまい、投げていく中で早い段階で修正したかったのですが、それができずに降板となってしまいました。同点に追いついてくれた打線に感謝したいです」一回に2四球で2死一、三塁のピンチを招くと、5番・坂倉には甘く入ったカットボールをとらえて一、二塁間を破られ、いきなり1点を先制された。続く二回には西川に右前適時打、四回にも西川に右中間を破る適時三塁打を打たれた。3失点で、四回終了後に矢野監督は投手交代を告げた。3月25日のヤクルトとの開幕戦(京セラ)で大役を任された右腕だが、甲子園での登板は今回が今季初。「本当のホームですし、ちょっと雰囲気も違うかなと思うので、そこで一つ勝って、いい勢いに乗れれば」と話していたが、悔しい結果となってしまった。

◆阪神のメル・ロハス・ジュニア外野手(31)が、六回に代打で同点打を放った。「どんな形でもランナーをホームまでかえしたいと思っていたよ。チームが1点ずつ取って『絶対に追いつくぞ』というムードだったし、アグレッシブに攻めていった結果がタイムリーになってよかったね」2―3の六回2死二塁でコールされ、左打席へ。相手先発の大瀬良が真ん中高めに投じた143キロの直球を振り抜き、前進していた右翼の頭を軽々と越える一打で二塁走者・糸原をホームへと迎え入れた。自身は二塁を回ったところで足がもつれてしまい、三塁ベース上でタッチアウトとなったものの、試合を振り出しに戻し、スタンドから大きな拍手を浴びた(記録は右越え二塁打)。3月30日の広島戦(マツダ)で放った左中間への1号ソロ以来、今季2本目の安打をマーク。最近は代打での出場が続いているが、持ち前の長打力と勝負強さを発揮。「この試合、チームのみんなでなんとしても勝ちに行くよ」とチームを勢いづけた。

◆阪神・小川一平投手(24)が六回に4番手として登板し、1回無安打無失点だった。「与えられた場面で頑張ることが、自分がいま求められていることだと思っています。その中で、ピンチを背負ってしまいましたが、どんな形でも、ゼロに抑えて攻撃につなげることができてよかったです」1死から上本に死球を与えると、自らの暴投で二塁に進まれた。2死後に、すでにこの試合では適時打2本で2打点を挙げている西川を申告敬遠で歩かせて一、二塁。菊池涼との対戦を迎えたが、ここはカウント1―2から143キロのツーシームを低めに決め、見逃し三振でピンチを断った。マウンドを降りる際はグラブを力強くたたき、安どする感情を表に出した。今季は開幕ローテーションに入ったが、ここまで2試合に投げて0勝2敗。配置転換で今季初救援となったマウンドを無失点で乗り切ると、直後の攻撃でロハスが右越え同点二塁打を放ち、試合は振り出しに戻った。

◆阪神は4時間53分に及ぶ延長十二回の死闘で引き分けた。先発・藤浪が4回3失点で降板したものの、打線が奮起。四回に大山が左越えソロを放って反撃を開始すると、五回に糸井が左犠飛を、六回は代打・ロハスが右越え二塁打を放ち、同点に追いついた。救援陣も今季初救援の小川が六回を、アルカンタラは七、八回を、岩崎は九回をゼロに抑えるなど、好リリーフを見せた。試合は延長戦へ突入。7番手・湯浅は十回を三者凡退でしのぐと、プロ初の回またぎとなった十一回も無死一塁で堂林のバントを軽快に処理して投ゴロ併殺にするなどし、この回も無失点で切り抜けた。しかし、直後の攻撃は相手の失策をきっかけに2死一、二塁のサヨナラ機を作ったが、代打・坂本が右飛に倒れて決められず。十二回は馬場が広島打線を抑えて負けがなくなったが、守護神・栗林に対して1番からの好打順も三者凡退で攻撃を終えた。

◆阪神は0ー3の試合展開から追いついたものの、その後は延長十一回1死一、二塁の好機を逃すなど、決め手を欠き、ドローとなった。4時間53分の戦いを終えた矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績1勝10敗1分、観衆3万4502人)。ーーリリーフが踏ん張った「そうやね。どの状況も苦しい場面やったけど、精いっぱい攻めていってくれたし、ゼロでいけたのも、チーム全体としても大きい。ポジションが確立されていないピッチャーが多いんで。こういうゲームをしていけば勝てると思う。いい粘りをしてくれました」ーー湯浅は回をまたいで先頭を出して苦しいところを粘り強く「延長まで考えるとね、ピッチャーがどうしても、2イニング、アルカンタラも含めて、いってもらった方がいいなというところで。湯浅(延長十回から2回を無失点)も、あのフィールディングもすごいうまかったし(延長十一回無死一塁で堂林のバントを処理し、二塁に転送。結果は併殺)、素晴らしい投球と気持ちだったかなと思います」ーー打線もビハインドから粘って追いついた「だから、決められるチャンスもあったからね。決めたいなって。ピッチャーが頑張っていたからこそ、バッターが決めてほしかったなというのはあるけど、3点先制された中で追いつけた部分もある。よくない部分もあるけど、プラスにとらえてやっていきたいなと思います」ーー藤浪は試合の中で修正をできなかった(4回3失点)「どうしてもカウント不利になって、フォアボールで出たランナーでかえされるというパターン。流れが変わりそうな感じになかったので。桐敷でいって、1点入ったところだったし。流れをあそこで止めようかなと思って。そこまでの晋太郎の投球を見ていると、流れを変えられそうな感じにも見えなかったので、代えた」ーー藤浪の次の登板は「いやいやちょっと今、はっきり分からんけど。ここで話せることは何もないけど」ーー青柳も2軍で5回を投げた「メドはついたんで。次はこっち(1軍)で投げる形になるかなと思ってるけど」ーーこの試合を9日以降につなげたい「開幕から苦しいことは苦しいんで。でも全員でやっていく中から、もぎ取っていくのが俺たちの野球。目の前のことを全力でいくことしかできない。今日みたいに全力の中から、みんなの気持ちをつないでやっていきたいなと思います」

◆現役時代は中日、阪神、西武で活躍し、2005年には楽天の初代監督を務めたサンケイスポーツ専属評論家・田尾安志氏(68)は延長十回に7番手で登板し、2回を無失点に抑えた湯浅京己投手(22)を絶賛した。継投を含めて、矢野監督のさい配に間違いはなかった。現状ではよくドローにしたと思う。ホメたいのは湯浅のバント処理。延長十一回の堂林のバントを機敏な反応で併殺に仕留めた。久々にバント守備で驚かされた。センスがなければできないし、同時に思い切りの良さも兼ね備えている。前田(ツインズ)を彷彿させるマウンドさばきで、このプレーができる時点で、相当なレベルの活躍ができると想像する。投げている球も、現時点では文句はない。十分にストッパーとして働けるだろう。対照的に拙い守備として指摘したいのは九回、西川がセーフティーバントをした際のライト・佐藤輝の動き。大山が悪送球をしてしまったのだが、その時点で全く前に出てきていなかった。ライトから打者のバントの構えはよく見える。構えをした瞬間に前へ出てカバーの姿勢を見せなければいけない。阪神に守備のミスが多い要因の1つとして、次に起こることを予測できていないことが挙げられる。選手には反省を求めたいし、首脳陣も厳しく指摘していかないと、改善は難しい。

◆広島は五回以降、得点できずに引き分けた。五回の好機に長野が併殺打。九回のチャンスも小園、松山が凡退。延長十二回もあと一本が出なかった。先発の大瀬良は6回8安打3失点で降板し、リードを守れなかった。それでも七回以降は救援陣が無失点でつなぎ、延長十二回は栗林を投入して敗戦を逃れた。佐々岡監督は「(投手陣が)よく踏ん張ってくれた。価値ある引き分け。勝ちに等しい気持ち」と前向きに捉えた。

◆2-3の六回2死二塁から代打で登場したロハスが、右越えの同点二塁打を放った。「どんな形でもランナーをホームにかえしたいと思っていた。アグレッシブに攻めていった結果がタイムリーになってよかった」。二塁ベースを回ったところでよろけ、三塁タッチアウトも、3月30日の広島戦(マツダ)で一発を放って以来今季2本目の安打が千金打に。ベンチスタートが続く来日2年目の助っ人が、球団最速での2桁借金到達のピンチを救った。

◆アルカンタラは3-3の七回から登板。「劣勢からチーム全員で粘って追いついた状況だったから、何とか与えられた場面をゼロに抑えたい気持ちだった」と今季初の回またぎで、2回を無安打無失点と好投した。1回4失点と打ち込まれた3日の巨人戦(東京ドーム)以来の登板で結果を残し「チームとして勝って勢いをつけていきたい日々が続いているし、その中で自分の仕事ができて良かったね」と前を向いた。

◆先発した藤浪は制球に苦しみ、4回5安打3失点。4四球の内容に「立ち上がりから終始、タイミングが合わないままの投球が続いてしまい、早い段階で修正したかったのですが、それができずに降板となってしまいました」と反省した。3試合連続で一回に失点。矢野監督は「流れが変わりそうな感じになかった」と交代理由を明かし、次回登板について「今、はっきり分からん。ここで話せることは何もない」と明言しなかった。

◆ドローの中に光! 阪神は広島に3―3で引き分けた。延長十回から登板した湯浅京己投手(22)が2回を無安打無得点に抑える好救援。負ければ12球団最速で2桁借金転落の危機だったが、魂の34球で阻止した。今季2度目の延長戦は、最長となる4時間53分の熱闘。この粘り、踏ん張りは、今後の大逆襲へと絶対につながるはずだ。1球ごとに新守護神の貫禄が漂い始めた。粘られても揺さぶられても、湯浅は右拳を握って自身を鼓舞し、駆けるようにマウンドを降りた。気持ちのいい熱投に、延長十二回ドローを見届けた虎党から拍手が起こった。「今年初めて回またぎして2イニング目は先頭に粘られましたけど、走者を出してから自分の間合いで投げられた。0点に抑えることができて、本当によかったです」この日の引き分けでも1勝10敗1分け。苦しむチームに一筋の光が差し込んだのは延長十回だ。坂倉、長野、会沢を10球で三者凡退に。ベンチで「ブルペンのときから『あるかな』と思っていた」と予期していた十一回の続投を告げられた。ここで試練が待っていた。先頭の上本にファウルで粘られ、15球目に四球。無死一塁から堂林はバント。だが、これも準備していた。「構えをしているときから、二塁で殺すつもりで投げていた」。打球をつかむと身を翻して二塁へ。攻めの守備で投ゴロ併殺を完成させ、ガッツポーズだ。 最後は西川を外角への150キロ直球で見逃し三振に。3月29日の同戦(マツダ)でサヨナラ打を浴びた相手に雪辱し「やり返すという思いがありました」と胸を張った。マウンドからは走ってベンチに戻る。「歩いて帰るのがまだ気持ち悪いので、走っちゃいます」と初々しい22歳が今季両リーグ最長となる4時間53分の熱闘の中、魂の34球、2回無安打無失点で存在感を示した。あの日の涙を乗り越えてきたから、どんな苦境にも立ち向かえる。2019年D6位でBCリーグ富山から入団。同年6月、腰椎を疲労骨折し、その後、再発を繰り返した。20年6月、3度目の負傷には「悔しくて涙が出てきました。折れてないと思い込んで病院に行ったので。泣きました、思いっきり」と正直に胸中を吐露していた。自己啓発本を読みあさり、折れそうな心を立て直した。朝の散歩では肯定的な言葉を口にして、自らを奮い立たせた。治療器具を自腹で買いそろえ「次の日に疲れを残さないよう、寝る前とか試合に来る朝とかにやっています」。心身ともにタフさを増し、虎を背負えるまでに成長した。矢野監督は「延長までと考えると、2回いってもらった方がいいところでいってくれた」とたたえ「フィールディングもすごくうまかったし、素晴らしい投球と気持ちやった」と絶賛した。味方の攻撃時にベンチ内で頭をぶつけるおちゃめな一面も。湯浅は「気を引き締めて、また次回、抑えることができるように準備したい」。セ・リーグは阪神以外、勝率5割。借金をひとりで抱え込む状況だが、こんな光明がある限り、希望はある。(新里公章)

◆先発の藤浪が四回までに3失点。劣勢だったベンチの暗いムードを払拭したのは大山だった。0-3の四回、広島のエース大瀬良のスライダーを左翼席に運ぶと、ベンチは一気に明るくなった。「浮いてきたスライダーを一発で仕留めることができてよかったです」カウント0―1で、甘く入った123キロを捉えた。4月1日の巨人戦(東京ドーム)以来5試合ぶりとなる2号ソロ。ダイヤモンドを一周して〝虎メダル〟をかけられると、顔をくしゃくしゃにして喜びを表現した。さあ、反撃だ! 一気に同点、いや逆転するぞ-。続く五回、代打・木浪、近本が連打で出塁。中野の犠打で二、三塁とすると糸井の犠飛で1点差。さらに佐藤輝の二ゴロを名手・菊池涼がファンブル。2死一、三塁の好機で、大山に打席が回ってきた。だが、ここは内角144キロ直球に三邪飛。一回2死一、三塁でも左飛に倒れ、本塁打以外ではここぞの一本を打てなかった。中継ぎが奮投しながら打線が援護できない状況を、矢野監督も「決められるチャンスはあった。ピッチャーが頑張っていたからこそ、バッターが決めてほしかったというのはもちろんある」と前置きしつつ「3点先制されて、なんとか追いつけたという部分もある。課題もあるけど、プラスにとらえてやっていきたい」と前を向いた。5日のDeNA戦(甲子園)で止まったが、開幕から9試合連続安打と苦境にあるチームの中でただ一人、快音を響かせてきた。チームはセ・リーグワーストを更新する開幕9連敗を記録するなど、どん底。それはまだ抜け出せていない。「ここで気持ちが落ちてしまったら、もっともっと悪い方向に行ってしまう。食い止められる力は絶対に必要。1人1人が頑張っていかないと」と語っていた大山。九回の守備では、西川のセーフティーバントの処理で悪送球も。収穫と課題はあったが、今はただ前を向いて戦うことでしか、状況は打破できない。背番号「3」が折れない心でチームをけん引する。(三木建次)

◆ようやくメジャーリーグも開幕した。日本時間の午前11時過ぎ。大谷翔平(エンゼルス)の初球が160・5キロだった。五回途中1失点で降板したが、すげえヤツだ。その約7時間後。甲子園で投じた藤浪晋太郎の初球も158キロ。ほぼ変わらない。この男も負けないぐらいにスゴイ球を投げる。なのに、制球に苦しみ、ピンチの連続。4回3失点で降板してしまった。今やMLBを代表するスーパースターと、今もタテジマでもがき苦しむ背番号19。高校時代からテレビで見ていた2人。何が違ってしまったのか。いつまでたっても解消しない悩みにまたまた突き当たる〝同日登板〟になってしまった。甲子園の広島戦も気になるが、マツダスタジアムの広島戦も、この先の阪神を考えると心配だった。2軍戦で青柳が登板。大量借金の現状では、青柳がいてくれたらなぁという思いが募る。「僕が知っている、万全の青柳と比べると、まだまだですね」上から目線で報告してきたのは柏村翔。カープ番だが、今回は甲子園に帯同せず、地元に残っての取材。ついで(?)に青柳も取材してくれた。柏村記者の目を信じていいのか。疑問を抱く読者にお知らせしよう。この男、広島方面ではちょっとした有名人だ。カープを熱狂的に応援する広島ホームテレビ「カープ道」というローカル番組。柏村はここ数年、開幕前、オールスター休み、シーズン終了後に必ず出演している。堂々の準レギュラー。スポーツ紙では、なぜか柏村だけ出演。最近では調子に乗って「宇草選手のお母さんがサザンのファン」という情報の途中に「僕の母親もサザンが好きです」と視聴者が全く興味のない話題をぶっこんで、存在感を増しているらしい。柏村は開幕前、世間のカープ低評価を笑っていた。「投手陣はいいし、打線はつながります。鈴木誠也(カブス)の穴は新助っ人マクブルームが埋めます」と豪語。その通りになっている。終始、厳しい表情で戦況を眺めていたのは当番デスク・野下俊晴。「負けが込むデータを調べると、すべて『暗黒時代以来』になるんですよ。本当はこんな準備、したくないのに」いよいよ、恐怖の4文字熟語「暗黒時代」が忍び寄ってきているのか。DeNAがハマスタ3連戦の中止を発表した。「気の毒だな、仕方がないな」これが正常な発想。「中止になった相手の中日は、阪神の次の相手。ということは柳、大野雄の表ローテが阪神戦で投げてくるのか」これが暗黒の発想。マイナス思考が染みついて離れない寂しさよ...。MLBでは昨年まで虎に在籍したスアレス(パドレス)がいきなり大乱調だった。「今からでも戻ってきてくれたらいいのに」これは、清き心の持ち主・トラ番キャップ長友孝輔の叫び。みなさん、賛同ですよね。「結局、阪神に残留していてもアカンかったんやろうな」これは、ドップリと暗黒時代に記者生活の大半を過ごした、どこかの誰かの最低な思考です。必死の継投で強いカープに食い下がって延長十二回ドロー。今のタイガースには精いっぱいなのか。毎日、苦しい。

◆♪セブン セブン セブン~(ウルトラセブンのメロディです)中継ぎ陣がフル回転だ!開幕投手を務めた永遠の未完の大器?の藤浪が本日も4回3失点、4四球で今日も今日とて...。は~あ。ところが、そこから...。♪セブン セブン セブン~2番手の桐敷、浜地、小川、アルカンタラ、岩崎、湯浅、馬場のウル虎セブンが地球の平和...いや、虎党の平和(負けなかった)を守ってくれたのだ!!打線は相変わらず、火がつかないなら『攻撃は最大の防御なり』ではなく、『防御は最大の防御なり』の野球をしたろーや!!西勇輝、秋山、伊藤将、ガンケル、青柳、小川(桐敷)の先発陣、浜地、馬場、湯浅のリリーフ陣が自分の仕事をしたら、決して負けない投手陣なのだ!!(ちなみに藤浪はシーズン終盤の優勝争いの秘密兵器としてじっくり2軍で調整をしてくれたらええやん)ということで、今季は30勝10敗103分けで優勝してやろやないか!!

◆9日に先発する阪神の秋山はブルペンでの投球などで調整した。DeNAの選手らに新型コロナウイルス感染者が相次ぎ、登板予定だった7日の試合は中止に。変則的な準備期間にも「間隔がバラバラなのはよくある。しっかり自分のパフォーマンスを出す準備をするだけ。それで結果を出せなければ終わっていくだけ」と潔かった。前回対戦で2安打されたマクブルームについて「前回やられているし、しっかり対策を練ってやり返したい」とリベンジを誓った。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
940 0.692
(↓0.058)
-
(-)
13057
(+2)
55
(+7)
16
(+1)
4
(+1)
0.255
(↓0.001)
0.000
(-)
2
(-)
広島
841 0.667
(-)
0.5
(↓0.5)
13063
(+3)
37
(+3)
3
(-)
6
(-)
0.264
(↓0.002)
0.000
(-)
3
(2↑)
ヤクルト
660 0.500
(↑0.045)
2.5
(↑1)
13149
(+7)
51
(+2)
15
(-)
6
(-)
0.241
(↑0.002)
0.000
(-)
3
(-)
中日
660 0.500
(-)
2.5
(↑0.5)
13147
(-)
44
(-)
12
(-)
6
(-)
0.239
(-)
0.000
(-)
5
(1↓)
DeNA
550 0.500
(-)
2.5
(↑0.5)
13340
(-)
43
(-)
6
(-)
8
(-)
0.228
(-)
0.000
(-)
6
(-)
阪神
1101 0.091
(-)
7
(↑0.5)
13137
(+3)
63
(+3)
8
(+1)
3
(-)
0.234
(-)
0.000
(-)