広島(☆3対2★)阪神 =リーグ戦3回戦(2022.03.31)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:塹江 敦哉(1勝0敗0S)
(セーブ:栗林 良吏(0勝0敗2S))
敗戦投手:秋山 拓巳(0勝1敗0S)
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◆広島は0-2で迎えた5回裏、上本の適時打などで2点を挙げ、同点とする。続く6回には、2死二塁からマクブルームが適時二塁打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・塹江が今季初勝利。敗れた阪神は打線が相手を上回る10安打を放つも、つながりを欠いた。

◆阪神2年目のラウル・アルカンタラ投手(29)が、31日広島戦から1軍に昇格することが分かった。代わって新外国人のカイル・ケラー投手(28)が出場選手登録を抹消される見込み。2月春季キャンプで左足関節を捻挫していたアルカンタラは、23日にウエスタン・リーグのオリックス戦で実戦復帰。30日にも同リーグのソフトバンク戦で1回3人斬りと好投した。当初は2軍戦で連投を予定されていたが、開幕5連敗のチーム状況から昇格が前倒しとなった模様だ。開幕守護神を務めたケラーは、25日ヤクルト戦で1点差を守れず敗戦。巻き返しを喫した29日広島戦でも1点リードの9回に登板し、1死満塁のピンチを招いたところで降板。後を託された湯浅が西川にサヨナラ適時打を浴び、チームの連敗を阻止できなかった。

◆広島西川龍馬外野手(27)が絶好調だ。 開幕から5試合で23打数10安打、8打点、打率4割3分5厘。10安打は両リーグ最多で、27日DeNA戦から3試合連続でマルチ安打を継続中。今日も打ってチームの開幕連勝に貢献できるか。

◆阪神ラウル・アルカンタラ投手(29)が1軍に合流し、出場選手登録された。2年目の助っ人右腕は球団広報を通じ「ようやくここに戻ってくることができてうれしいし、しっかり準備はしてきたから、少しでもチームに勢いをもたらすことができるように頑張るよ」とコメントした。 2月春季キャンプで左足関節を捻挫していたアルカンタラは、23日にウエスタン・リーグのオリックス戦で実戦復帰。30日にも同リーグのソフトバンク戦で1回3人斬りと好投した。当初は2軍戦で連投を予定されていたが、開幕5連敗のチーム状況から昇格が前倒しとなった模様だ。来日1年目の昨季は主に中継ぎとして24試合に登板し、3勝3敗、6ホールド、防御率3・49の成績を残していた。代わって新外国人のカイル・ケラー投手(28)が出場選手登録を抹消された。課題のリリーフ陣の立て直しへ、背番号44に白羽の矢が立った。

◆開幕5連敗中の阪神がリクエスト成功で先制点を奪った。 2回1死満塁で9番秋山拓巳投手(30)は詰まった遊ゴロ。前進しながら後方の二塁ベースへ遊撃小園はジャンピングスロー。受けた二塁菊池涼も体勢を崩しながらも一塁へストライク送球。一塁の判定はアウトで併殺、無得点となりかけたが、矢野監督は即座にリプレー検証を要求。全力疾走した秋山の足が一瞬速かったようで、判定は覆りセーフ。待望の先制点を挙げた。

◆阪神が広島に敗れ球団初の開幕6連敗となった。 ▼阪神の開幕6連敗は球団初。過去3度あった5連敗を塗り替えた。球界では、21年DeNAが2引き分けを挟み6連敗して以来。開幕6戦6敗となると、09年横浜(現DeNA)の6戦6敗以来、13年ぶり。▼開幕連敗のプロ野球最長は12連敗で、いずれもパ・リーグの55年トンボ(消滅)と79年西武(2引き分け挟む)の2度。セ・リーグでは、79年ヤクルト8連敗(1引き分け挟む)。▼優勝球団の開幕連敗プロ野球最長は、60年大洋(現DeNA)の6連敗。今季の阪神が優勝すれば、このときと並び球界最大の逆転Vとなる。▼阪神の最大逆転Vは、64年の6・5ゲーム差。前半戦82試合を消化した7月18日に首位の大洋(現DeNA)から引き離されたが、球宴明けに挽回した。阪神は1日の結果次第で、開幕7戦目にして早くもこのデッドラインを越える恐れが出てきた。

◆阪神が球団初の開幕6連敗を喫した。5回まで2点を先行していたが、逆転負け。打線は開幕戦以来となる2桁安打を放ったが、つながらなかった。 2回1死満塁から9番秋山拓巳投手(30)の遊ゴロの間に1点を先制。5回には4番佐藤輝明内野手(23)の2戦連続適時打となる右越え適時二塁打で2点目を奪い、有利に試合を進めていた。先発秋山は昨季10勝のうち5勝を稼いだ得意の広島相手に4回まで無安打投球。だが5回に2点を奪われ同点とされると、6回には2死二塁からマクブルームに左翼フェンス直撃の勝ち越し左越え適時二塁打を許し降板した。「今季初登板の中で少し慎重になりすぎた部分がありました。先発としてもう少し長いイニングを投げたかったのですが、途中でマウンドを降りることになり悔しいです」とコメントし、悔しがった。過去に開幕6連敗で優勝したのは60年大洋(現DeNA)のみ。阪神は早くも開幕6連勝の首位広島とは6ゲーム差に広がった。阪神がこれまで優勝した年の最大ゲーム差は64年の6・5差。早くもデッドラインに王手となってしまった。

◆阪神佐藤輝明内野手(23)が、2試合連続タイムリーと奮起した。「4番右翼」で先発出場。1点リードの5回2死二塁。1ボールから広島玉村の内角143キロ直球を引っ張り、右翼線へ痛烈にはじき返した。「先頭の近本さんが塁に出て、チャンスの場面で回してもらったので、絶対にホームまでかえしたいという思いで打ちました」。苦しいチーム状況の中、若き主砲がバットで打線をもり立てた。開幕5連敗を喫した前夜の広島戦では、劣勢の中で最後に意地をみせた。7点ビハインドの9回1死一、二塁で右前適時打をマークした。開幕戦のヤクルト戦では3安打1打点と大暴れ。そこから快音は鳴りをひそめていたが、自身4試合19打席ぶりのタイムリーはチーム41イニングぶりの適時打となった。きっかけをつかんだのか、この日は3回2死から詰まりながらも中前打を記録。4試合連続安打に加え、5試合ぶりのマルチ安打を記録するなど、状態は上向きだ。オープン戦では打率3割2分7厘、2本塁打、11打点と暴れ回り、2年目ながら「開幕4番」の座を勝ち取った。佐藤輝は「キャンプ、オープン戦と調子が良くて、ずっと調子がいいのは無理だと思う。悪いなりにちょっとずつ上げていければ」と割り切り、2年目のシーズンに臨んでいる。ルーキーイヤーの昨季は開幕2戦目でプロ1号が飛び出した。本塁打の量産態勢にはまだ入っていないが、怪物スラッガーがチームの苦しい流れを変える。【古財稜明】

◆阪神が球団初の開幕6連敗を喫した。2点リードを守れず逆転負け。日本ハムがこの日連敗を5でストップさせ、12球団で阪神だけが未勝利となった。過去に開幕6連敗で優勝したのは60年大洋(現DeNA)のみ。阪神は早くも開幕6連勝の首位広島とは6ゲーム差に広がった。阪神がこれまで優勝した年の最大ゲーム差は64年の6・5差。早くもデッドラインに王手となってしまった。 試合後の矢野燿大監督(53)の一問一答は以下の通り-秋山は少し慎重になり過ぎたと言っていたなり過ぎたって、初登板でね、慎重になるのもあるし。前回ファームの結果もあんまり良くなかったから。それはある意味、普通なんじゃないかなと思うけど。-打つ方でも、ロハスの守備とかでも、個人レベルでいいプレーが出ているあと1歩というね、勝負のところで。投手だって別に悪いわけではないけど、何とか粘って欲しいなというのはあるし。打者だってチャンスのところでもう一本出ないというのもこういう結果につながっていると思うので。みんな何とかしようという気持ちでやってくれているのは俺も分かるし。でも、プロである以上結果がこれでは良かったということにはならないので。自分で流れを変える努力を明日以降も何とかしていかないとなと思います。-アルカンタラは合流していい投球アルカンタラも斎藤もね、ひとりでもふたりでも今ちょっと出てきてくれるに越したことはないし。まあ、内容のしっかりした投球をふたりともしてくれているんで、そういうところは今後につながると思うんで、よかったと思います。-打つ方では5回2死から佐藤輝が適時二塁打もちろんね。1点より2点というところでもちろん大きかったと思うし。あそこで一気にまたね、2点、3点っていければ、もっともっと勢いもいいんだろうけど。-3試合ぶりスタメンマスクの梅野も猛打賞もちろんリュウ(梅野)も必死にやっているだろうし、そういう気持ちがつながっているところもあるのかなとは思います。

◆広島は今季初めて勝ちパターンがフル稼働し、1点のリードを守り抜いた。 7回は島内颯太郎。1死一、二塁のピンチを背負ったが無失点で抑えた。8回の中崎翔太、9回の栗林はともに2奪三振を含む3者凡退だった。島内、中崎に初ホールドがつき、栗林は2セーブ目。22年型の方程式が機能し、佐々岡監督は「そこが課題だった。島内、中崎を確立できたこと、1点差をものにできたことは大きい」と充実したブルペンに笑みを見せた。▽広島栗林(1点差の9回を3人で抑え、今季2セーブ目)「1点差だったし、6連勝もかかってた。いろんな意味で緊張した。ホッとした気持ちが強い」

◆阪神ラウル・アルカンタラ投手(29)が今季初登板で1回を無失点に抑えた。この日2軍戦で登板予定だったが、急きょ1軍に合流。7回に3番手で登板し、広島の先頭堂林に内野安打を許したが、続く末包を併殺に打ちとるなど中継ぎの役割を果たした。「ストレートも変化球もしっかり投げて0点で抑えることができてよかったね」と振り返った。2月春季キャンプで左足関節を捻挫し、出遅れていた。代わって開幕守護神を務めるも、2試合連続で敗戦投手となった新外国人のケラーが2軍降格となった。

◆阪神佐藤輝明内野手が、2試合連続タイムリーと気を吐いた。「4番右翼」で先発。1点リードの5回2死二塁。1ボールから広島玉村の内角143キロ直球を右翼線へ痛烈にはじき返す適時二塁打。「先頭の近本さんが塁に出て、チャンスの場面で回してもらったので、絶対にホームまでかえしたいという思いで打ちました」。勝利への渇望を込めた一振りだった。 状態は上向きだ。3回2死からの第2打席では、詰まりながらも中前打を放ち、4試合連続安打を記録。5回の適時打を含め、猛打賞を記録した開幕戦以来5試合ぶりのマルチ安打をマークした。得点圏打率も4割2分9厘に上昇。苦しいチーム状況で、主砲として打線を引っ張っている。試合後は球団を通じ「目の前の試合を勝てるように全力でやるだけなので、明日の試合しっかり勝てるように頑張ります」と前だけを見据えた。ルーキーイヤーの昨季は開幕2戦目でプロ1号が飛び出したものの、今季は開幕6試合でいまだ0発。4月1日から昨季3本塁打を放った東京ドームに場所を移す。今季初勝利、そしてG倒へチームを軌道に乗せる豪快な1発をかます。【古財稜明】

◆広島は4戦連続の逆転勝利で、1993年に並ぶ球団タイの開幕6連勝を飾った。 佐々岡真司監督(54)は「逆転を後押ししてくれたのはマツダスタジアムのファンの方の存在だと思う。本当に良い勝ち方ができている」と感謝。マツダスタジアムは今季、3年ぶりに入場制限を撤廃している。この日は2万1534人が来場し、球団記録に並ぶ開幕連勝記録を見届けた。佐々岡監督の一問一答は以下の通り。-球団記録の開幕6連勝流れ的にはビハインドから逆転、それを後押ししてくれたのは、マツダスタジアムのファンの方の存在だと思う。本当にいい勝ち方ができているんじゃないかな。大量点から最少得点差でも投手陣を中心とした守り勝つ野球もできているので、大きかったと思います。-マクブルームが得点の起点にひと周り目は低めに集められて、なかなか攻略できなかったところで、マクブルームが先頭から出てくれて、そこからね。ちょっと制球が高くなってきたところをみんながつないでくれた。先頭出たのが大きかったんじゃないかなと思います。-そして決勝打も普通なら入っているけどね。完璧だと思ったけど、風で戻された。ああいう打撃もできるし、逆方向にも打てる。相手からすると、嫌なバッターじゃないかなと思います。-6回塹江、7回からは勝ちパターンで逃げ切りチームとしても、そこが課題としてやってきた。7、8回というところ。そして塹江の6回も大きかったと思う。島内、中崎を確立できたということ、1点差をものにできたことは大きいですね。

◆広島上本崇司内野手が5回に同点適時打を放ち、存在感を日ごとに増している。1点差となり、なお2死二塁の5回。阪神秋山の低めカーブを左翼線に落とし、二塁走者をかえした。 「なんとか次につなごうと(思って)。同点に追いつけて良かった」。開幕から6戦すべて8番で出場。7安打中3本が適時打と勝負強さを発揮している。

◆矢野阪神が早くも「V率0%」の危機に立たされた。5回に4番佐藤輝明内野手(23)が適時二塁打を放つなど2点を先制したが、リードを守れず。打線は10安打を放ちながらも2得点だけとつながりを欠いた。首位広島とは6ゲーム差。阪神がこれまで優勝した年の最大ゲーム差は64年の6・5差。開幕6連敗から優勝したチームは球界で過去に1度だけ。早くもデッドラインに王手となった。 虎党の涙雨がマツダスタジアムにこぼれ落ちた。阪神が3試合連続の逆転負けで悪夢の開幕6連敗を喫した。試合終了後、ベンチ裏から出てきた矢野監督は言葉を絞り出した。「みんな何とかしようという気持ちでやってくれているのは俺も分かる。でも、プロである以上結果がこれでは良かったということにはならない」。同じく開幕から連敗中だった新庄BIGBOSS率いる日本ハムが今季初勝利。12球団で唯一、阪神だけが今シーズンの1勝目にまだ届かない。V率0%のデッドラインに足をかけてしまった。過去に開幕6連敗で優勝したのは60年大洋(現DeNA)の1度しかない。阪神はこれで首位広島とあっという間に6ゲーム差まで開いた。猛虎の長い歴史の中でも、これまで優勝した年の最大ゲーム差は64年の6・5差。開幕6戦目で早くも限界ラインに立たされた。攻めきれない。フラストレーションがたまる。2回1死満塁から9番秋山の遊ゴロの間に1点を先制。5回には4番佐藤輝の2戦連続適時打となる右越え適時二塁打で2点目を奪った。ただ、その後がつながらない。大山の四球で2死一、二塁としたが、続くロハスが外角球を捉えきれず三ゴロ。その裏に2-2の同点と追いつかれただけに、矢野監督も「あそこで一気にまたね、2点、3点っていければ、もっともっと勢いもいいんだろうけど...」と思案顔だ。広島3戦目の夜も開幕戦以来の2桁となる10安打を放ちながら、スコアボードには2得点しか刻めなかった。開幕6試合を終えてチーム総得点がリーグワーストの15得点。3番マルテ、6番ロハスの打率はともに1割台に沈むなど波状攻撃が出来ない。1日からは東京ドームに乗り込み、宿敵と対戦する。虎ナインは1リーグ初年度の1936年、大阪タイガースの復刻ユニホームを着用して戦う。矢野監督は「自分で流れを変える努力を明日以降も何とかしていかないと」と悲壮感たっぷり。虎の意地を見せろ! とにかく勝ってくれ。【桝井聡】◆60年大洋奇跡の逆転優勝 前年まで6年連続最下位の大洋は、知将・三原脩監督を迎え巻き返しを図った。開幕6連敗を喫し、同時期に6連勝した中日から6ゲーム差をつけられた。4月中旬にエース秋山が故障から復帰すると、6連勝し波に乗る。6月下旬に8連勝で首位浮上。巨人、阪神と競り合いながらも、9月に5連勝と6連勝で混戦を抜け出しVを決めた。

◆3試合ぶりスタメンマスクの梅野隆太郎捕手が猛打賞とバットで気を吐いた。 2回には1死一、二塁から右前へ放ち、満塁にチャンスを拡大。秋山の遊ゴロでの先制につなげた。最後までマスクをかぶり課題の救援陣を無失点に導いた。「個人的うんぬんというよりもチームが勝てるような努力を、みんな前を向いてやるしかない。対戦チームも変わるし、ミーティングでも言ったけど、月も変わるし」と、4月からの巻き返しを誓った。

◆広島が破竹の快進撃だ。6回に2戦連続で4番に座った新外国人ライアン・マクブルーム内野手(29=ロイヤルズ)が決勝の適時二塁打を放ち、阪神に逆転勝ち。93年に並ぶ球団記録の開幕6連勝を飾った。主砲鈴木誠也がメジャーに移籍し、前評判は低かったが、好調な打線に新助っ人も実力を発揮。勢いは止まりそうにない。高々と舞い上がった飛球は強風に揺れながら、左翼フェンスに直撃した。2戦連続4番出場のマクブルームが放った長打に、二塁走者菊池涼はゆっくりと勝ち越しのホームを踏んだ。逆風で来日初弾を逃したが「しっかりウエート(トレーニング)をやりたい」と値千金の決勝打に笑顔を見せた。「いい状態に上がってきている。自分は同じ球でやられることをしないというのが信条。試合の中でしっかりと調整していくのが課題。今日の結果はいい結果なので正しい方向に進んでいっていると思います」広島打線は、阪神秋山に20年以降16試合で3勝9敗、防御率1・77に抑えられていた。ただ、新助っ人に苦手意識などない。初対戦の1打席目は1球も振らずに三振。球筋を頭に入れて臨んだ2打席目にアジャストした。チーム初安打となる二塁打で4回まで無安打だった右腕のリズムを崩し、6回にKOした。得点を呼ぶ助っ人だ。初出場の29日は9回の来日初安打がサヨナラ勝利の呼び水となった。30日も6回に左前打で逆転劇をお膳立てし、続く7回は来日初打点となる中前適時打で中押し点を奪った。全5安打すべて得点に絡んでいる。首脳陣は「真面目すぎるくらい真面目」とその姿勢に感心する。試合前ミーティングではコーチからの指示をしっかりノートにメモ。一塁で先発出場した30日の試合前練習では自ら左翼で打球を追うなど、日本になじもうとする姿勢が感じられる。来日が遅れたものの、ウエスタン・リーグの実戦3試合を経て1軍合流となった。コンディションが整ったことに加え、「つなぎの広島」に合うタイプだったことも早期合流を可能にした。新天地で早くもチーム方針のつなぎの野球を実践。すでに好調だった打線の勢いをバットで加速させた。助っ人野手の打棒に引っ張られるように、4戦連続逆転勝利で93年の球団記録に並ぶ開幕6連勝となった。佐々岡監督は「大量点から、最少得点差でも投手陣を中心とした守り勝つ野球もできているので、大きかったと思います」とうなずく。助っ人の存在がチームの可能性を広げている。【前原淳】

◆鯉キラーの阪神先発秋山拓巳投手をもってしても、連敗は止まらなかった。4回までは無安打も、2点目をもらった直後の5回に長短4安打で2失点。6回は2死二塁からマクブルームに勝ち越し二塁打を浴びて降板した。 6回途中6安打3失点の粘投も、1敗目。昨季5勝を稼いだお得意さまだったが、「今季初登板の中で少し慎重になりすぎた部分があった。もう少し長いイニングを投げたかった。途中でマウンドを降りることになり悔しい」と肩を落とした。

◆阪神のラウル・アルカンタラ投手(29)が1軍に合流した。中継ぎとしての起用が見込まれる。虎2年目の助っ人は昨季、先発とリリーフ合わせて24試合に登板し、3勝3敗、6ホールド、防御率3・49。今年2月の春季キャンプでは左足関節を捻挫していたが、3月23日のウエスタン・オリックス戦(杉本商事BS)で実戦復帰し、1回零封。30日の同ソフトバンク戦(鳴尾浜)では1回をパーフェクトに抑えていた。1軍のブルペン陣は、開幕から不安定な状況が続く。守護神として期待されていた新外国人のケラーが25日の開幕ヤクルト戦(京セラ)で初登板し、1点を守り切れず敗戦。29日の広島戦(マツダ)でも1イニングを持たずに2安打1四球で降板し、チームはサヨナラ負けを喫していた。チームは開幕5連敗。矢野監督は「(抑えの代役は)現状、湯浅でいこうかな」と話していたが、アルカンタラのクローザー起用もありそうだ。変わってケラーが登録抹消される見込みだ。

◆両軍のスターティングメンバーが発表された。負ければ、球団ワースト記録を更新する開幕6連敗となる阪神は、秋山拓巳投手(30)が今季初登板。広島から昨季5勝を挙げた〝鯉キラー〟がチームの今季初勝利をかけてマウンドへ。梅野隆太郎捕手(30)が3試合ぶりに「8番・捕手」でスタメンマスクをかぶる。

◆開幕5連敗中の阪神が二回、1点を先制した。秋山拓巳投手(30)が1死満塁から遊ゴロを放って6-4-3と転送され、一塁塁審の判定はアウトだったが、矢野監督がリクエストを要求。判定が覆ってセーフになり、三走・大山の生還が認められた。) 阪神は一回に糸原が右越えの二塁打。二回は先頭の大山の6試合連続となる中前打で出塁。1死後、中野、梅野が連打でチャンスを広げた。

◆阪神・佐藤輝明内野手(23)が1-0の五回2死二塁で、貴重な追加点となる右越えの適時二塁打を放った。先頭の近本が三塁線にセーフティーバントを決めて出塁。糸原の投ゴロで二進。マルテは二飛に倒れたが、佐藤輝は1ボールからの2球目だ。左腕・玉村の143キロの内角直球を振りぬくと、打球は目の覚めるようなライナーで右翼手の頭上を越えた。「打ったのはストレート。先頭の近本さんが塁に出て、チャンスの場面で回してもらったので、絶対にホームまでかえしたいという思いで打ちました」。佐藤輝は三回に中前打。この時点までに待望の一発は出ていないが、今季2度目の複数安打&2試合連続の打点と、調子は決して悪くはない。

◆阪神のメル・ロハス・ジュニア外野手(31)が2-2の同点に追いつかれた直後の五回、本塁への好返球で逆転を阻止した。四回まで無安打投球だった秋山がマクブルーム、坂倉に連打を浴び、末包の内野ゴロの間に1点を許した。続く上本の左前適時打で同点とされて、なおも2死一塁だった。代打・宇草の左翼線の打球で、一走・上本が一気に本塁へ。打球を処理したロハスが本塁にワンバウンド送球でアウトに。虎党からは大きな拍手が送られた。

◆負ければ、球団ワーストの開幕6連敗となる阪神。今季初登板だった秋山拓巳投手(30)は序盤の2点のリードを守り切れず、六回途中6安打3失点で降板した。四回まで無安打投球だったが、2-0の五回に末包の内野ゴロと上本の適時打で同点に。六回2死二塁からマクブルームに左翼フェンス直撃の勝ち越しの二塁打を許して試合をひっくり返されて降板となった。「今シーズン初登板の中で少し慎重になりすぎた部分がありました。先発としてもう少し長いイニングを投げたかったのですが、途中でマウンドを降りることになり悔しいです」。秋山は、広島から昨季5勝を挙げて〝鯉キラー〟の異名をもつが、今季初勝利はお預け。これまで先発した小川、桐敷、伊藤将に続き、ベテランの秋山も〝魔の六回〟となった。

◆阪神・ラウル・アルカンタラ投手(29)が登録即登板。2-3の七回、マウンドに上がり、先頭の堂林に遊撃内野安打を許すも、末包を遊ゴロ併殺に仕留め、続く上本は一ゴロと無失点に切り抜けた。「今シーズンの初登板を迎えることができて嬉しく思うよ。ストレートも変化球もしっかり投げることができたし、0点で抑えることができてよかったね」来日2年目の右腕は沖縄・宜野座での1軍春季キャンプ中に左足関節の捻挫で離脱。ウエスタンで3試合に登板を経て、1軍昇格となった。守護神として期待されながら2試合連続で結果を残せなかったカイル・ケラー投手(28)が2軍降格に。手薄となった中継ぎとして期待されている。

◆広島が1993年に並ぶ球団記録となる開幕6連勝を飾った。阪神・秋山の前に四回まで無安打投球を許す。試合序盤に迎打撃コーチがハッパをかけた。「少しカウント球から空振りでもいいぐらいの気持ちで、強く振れるように積極的にいってもらいたい」対秋山は2020年7月21日の甲子園から21年8月15日の京セラまで8連敗を喫しており、昨季は10試合で3勝5敗、対戦防御率1・97と分が悪い。朝山打撃コーチが「不思議なストレート」と評するスピンの効いた130キロ台の〝魔球〟に序盤は快音が出なかったが...。0─2の五回先頭で、新助っ人のマクブルーム(前ロイヤルズ)がチーム初安打となる左翼線二塁打を放つ。坂倉が右前打でつなぎ、1死一、三塁でD6位・末包(大阪ガス)の遊ゴロの間に1得点。なお2死二塁で上本が左前適時打を放って振り出しに戻した。1993年以来、球団タイ記録の開幕6連勝がかかった試合。29年前は山本浩二監督5年目のシーズンで北別府、佐々岡、川口の先発3本柱に野村、正田、前田、江藤らレジェンドが打ちまくった。佐々岡監督は「記録は関係なく一試合一試合勝つためにやるだけ」と表情を引き締めていた。六回には1死から菊池涼が左前打、続く小園が送りバントを決め2死二塁。マクブルームが左翼フェンス直撃の適時二塁打を放って勝ち越し。難敵秋山をマウンドから引きずり下ろし、最後は栗林が三者凡退に抑えて、鮮やかな逆転勝ちを飾った。

◆阪神は序盤の2点リードを守り切れず、逆転負け。開幕から2カード連続の3連敗。球団ワーストとなる開幕から白星なしの6連敗と不名誉な記録を作ってしまった。先発した秋山は2-0の五回、内野ゴロの間と上本の適時打で追いつかれると、六回にマクブルームに勝ち越しの二塁打を浴びたところで降板。昨季10勝のうち、広島から5勝と相性のよかった右腕も、チームの悪い流れを断ち切ることができなかった。打線は広島(7本)を上回る10安打を放ちながら好機であと1本が出なかった。得点シーンは二回1死満塁から秋山の併殺崩れによる1点と五回2死二塁で、佐藤輝の適時二塁打のみ。開幕から投打の歯車がかみあわず、前途多難の船出となった。

◆広島が開幕6連勝で1993年の球団記録に並んだ。0―2の五回にマクブルームの二塁打を足場に、上本の適時打などで2得点して同点。六回はマクブルームが勝ち越し二塁打を放った。阪神は秋山が粘れず、球団ワースト開幕6連敗。

◆阪神は秋山拓巳投手(30)が2点のリードを守り切れず、5回?を投げ、3失点で降板した。登録即登板となったラウル・アルカンタラ投手(29)は1回無失点。チームは球団ワーストの開幕6連敗を喫し、12球団唯一の未勝利となった。矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(観衆2万1534人)。ーー秋山は「少し慎重になり過ぎた」と「いや、まあ、初登板でね、慎重になるのもあるし。前回ファームの結果もあんまり良くなかったから。それはある意味、普通なんじゃないかなと思うけどね」ーー個人レベルで、いいプレーは出ていた「ん~、あと一歩というね、勝負のところで。ピッチャーだって別に悪いわけではないけど、何とか粘ってほしいなというのはある。バッターだってチャンスのところで、もう一本出ないというのも、こういう結果につながっていると思う。みんな何とかしようという気持ちでやってくれているのは俺も分かる。でも、プロである以上結果がこれでは良かったということにはならない。自分で流れを変える努力を明日以降も何とかしていかないとなと思います」ーーアルカンタラは「アルカンタラも斎藤もね、1人でも2人でも今、出てきてくれるに越したことはない。内容のしっかりした投球を2人ともしてくれているんで、今後につながると思うんで、よかったと思います」ーー打つ方では五回2死二塁で佐藤輝が適時二塁打「1点より2点というところで、もちろん大きかったと思うし。あそこで一気にまたね、2点、3点っていければ、もっと勢いもいいんだろうけど」ーー梅野も猛打賞「リュウも必死にやっているだろうし、そういう気持ちがつながっているところもあるのかなとは思います」

◆広島は4試合連続の逆転勝利を飾り、1993年に並ぶ球団記録の開幕6連勝を決めた。六回の決勝二塁打を含む2安打1打点の活躍をみせたライアン・マクブルーム内野手(29)=前ロイヤルズ=が来日初のお立ち台でカープ愛&アメリカンジョークをさく裂させた。主な一問一答は以下の通り。ーー来日初めてのヒーローインタビュー「非常にいい雰囲気で、自分にとっての初めてのホームのシリーズで、皆さんの前で良い野球ができたので本当にうれしい。皆さんに本当に感謝したい」ーー六回の(左越えへの)決勝タイムリーはあと少しで本塁打だった。ものすごい打球でした「どうしたかわからないですけど、明日すぐにウエートルームに行って、パワーがないことがわかったので、しっかりウエートを上げたいと思います」) ーーこれでカープは29年ぶりの開幕6連勝。球団記録に並んだ「アンビリーバブル。非常に素晴らしいスタートをチームとして切れたと思います。自分がチームに貢献できたことを本当にうれしく思っています。先ほどいいましたけども、皆さんの前でプレーできることを幸運に思いますし、非常にうれしいですし、また球場の方に足を運んでいただいて応援してください。皆さんのことが大好きです」ーーカープはどのようなチームですか「本当に自分が今まで野球をやってきた中で一番良い雰囲気の中で野球をやらせてもらっています。チームメイトも非常によくしてくれて、すぐにチームに溶け込めました。本当にありがとうございます」ーー今後さらなる連勝と活躍を期待しています。ファンへメッセージをお願いします「本当に球場に来ていてだいてチームを応援してください。今日の勝ちで皆さん、ビールを待っていると思いますので早く帰ってビールを飲んでください。(日本語で)アリガトウゴザイマス」

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務め、現在はサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(56)は微妙な〝針〟がことごとく悪い方に振れる試合内容に、言葉をなくした...。う~ん...。この試合の評論は本当に難しいね。これが悪い、これが失敗だ、という明確なものがないから余計、タチが悪い。抑えのケラーで2つ、勝てた試合を落とし、流れを失ってしまったまま、流れ負けしている。流れに飲み込まれているといったら、いいのだろうか。相手先発(玉村)には5回で81球を投げさせ、8安打を放った。打線は悪くない。ただ一歩ずつ足らない。先制した二回は1死一塁からエンドランをかけて、中野がうまく左前打を放ったが、打球的に一走・大山は二塁止まり。続く梅野が右前打も、二塁・菊池涼に捕られそうなライナーで、大山は三塁止まり。結果的に併殺崩れで1点は奪えたものの、もどかしい攻撃になってしまった。勝ち越された直後の七回も、そうだ。無死二塁からマルテは右方向を意識し、いい打球を飛ばしたが、これが右直で、二走・糸原は三塁へタッチアップできず。結局、ここでの無得点が、試合を決めてしまった。どれも行けたか、行けなかったか、微妙なプレーで、行けなかったことを責めることは出来ない。各自がやるべきことをしようとしているが、微妙な〝針〟はことごとく、阪神にとって悪い方に振れる。これが流れ。リードしていても、やられるんじゃないか、やられるんじゃないか、という雰囲気が出てしまっている。精神論にはなるが、これはもう、気持ちを切らさず、我慢強く、やれることをやり続けるしかない。そうしないと、決して流れは変わらない。下を向いてしまったら、もっと悪い方へ、落ちていってしまうだけだ。先発投手陣は大きなプレッシャーの中でも、がんばっている。不安な中継ぎ陣も、戻ってきたアルカンタラに使えるメドが立った。明るい材料はある。ここを踏ん張れば、変わる。そう信じて戦って欲しい。

◆3試合ぶりに「8番」でスタメン出場した阪神・梅野隆太郎捕手(30)が二回に右前打、四回に二塁打、六回にも右前打を放ち、猛打賞をマークした。それでも勝利は遠く「チームがこういう状況で、勝つ時はこれだけ苦しいんだという経験をしているだけに、こういう接戦をモノにするというところでは、勝つ喜びをやるためには、まだ試練があると思って」とコメント。「始まったばかりとはいえ、早くチームも開幕したいという気持ちは(ある)。みんな前を向いてやるしかないですね。それだけ」と話した。最後は「とにかく目の前の1試合、なんとか」と自分に言い聞かせるように語った。

◆先発した秋山は5回2/3を投げて6安打3失点。序盤の2点リードを守り切れず、敗戦投手となった。「今季初登板で少し慎重になりすぎた。もう少し長いイニングを投げたかったが、途中でマウンドを降りることになって悔しい」。四回まで無安打投球も五回に同点に追いつかれ、六回にはマクブルームに左翼フェンス直撃の勝ち越し二塁打を浴びた。昨季5勝を挙げた〝鯉キラー〟も、勢いを止めれなかった。

◆阪神・佐藤輝は2安打1打点と4番の仕事を果たしたが、勝利に導くことはできなかった。1―0の五回2死二塁で玉村から右越えの適時二塁打を放ち「チャンスの場面で回してもらったので、絶対にホームまでかえしたいという思いで打ちました」。2試合連続適時打&4試合連続安打と好調を維持しているが、連敗は止められず。「目の前の試合を勝てるように、全力でやるだけ。明日の試合しっかり勝てるように頑張ります」と前を向いた。

◆阪神は元気なく開幕6連敗。1日の巨人戦(東京ドーム)に先発する藤浪晋太郎投手(27)は、流れを引き寄せる投球を誓った。甲子園からほとばしる熱気が鳴尾浜まで届いてくる。後輩たちの圧巻の戦いっぷり。これで燃えないわけがない。負の連鎖を必ず断ち切る。藤浪は言葉に力を込めた。「ピンチで粘ったりとか、そういうことで流れってくると思う。ちょっとでもいい流れをつかむような投球ができたらと思います」1日の巨人戦(東京ドーム)に向け、ショートダッシュなどで調整した。2年連続の大役となった3月25日のヤクルトとの開幕戦(京セラ)は7回3失点。試合を作ったが、チームは最大7点差をひっくり返されて悪夢の逆転負けを喫した。そこから6連敗。これ以上、傷口を広げるわけにはいかない。この日、母校・大阪桐蔭高が選抜大会の決勝で16安打18得点の猛攻で圧勝し、4年ぶり4度目の春の王者に輝いた。同校のエースとして、2012年に春夏連覇に導いた藤浪は「自分が卒業してから何度も優勝してますけど、OBとして誇らしく思いますし、何度見てもうれしいものですね」と刺激を受けた。1日はオフに自ら志願し、合同自主トレをさせてもらった菅野と投げ合う。「いいものを見せたいですし、いい投げ合いができるようにしたい」。連敗脱出へ、立ちはだかる壁は高い。ただ、師匠を超えることができれば、目をそむけたくなる〝流れ〟は必ず変わるはずだ。「野球は流れのスポーツだと思う。そういうところをつかめる投手が、勝てる投手。流れを意識しつつ、ゲームを作ることに集中できたらなと思います」次は藤浪が輝く番。剛腕で虎に流れをグイッと引き寄せる。(原田遼太郎)

◆また勝てんかった...。阪神は広島に2―3で敗れ、球団史上初の開幕6連敗となった。1936年に活動を始めて以来、86年間で初の屈辱。最終年に汚点を残してしまった矢野燿大監督(53)は「流れを変える努力を、明日以降も何とかしていかないと」と絞り出すしかなかった。どれだけ気持ちを入れて、どれだけ打っても、何も変えられない。もう1週間、2カード丸ごと負け続けて、球団史上初の開幕6連敗だ。今季限りでの退任を表明して挑んだシーズンでまさかの汚点を残しては、矢野監督は険しい表情で口を開くしかなかった。「みんな何とかしようという気持ちでやってくれているのは、俺も分かる。でも、プロである以上、結果がこれでは良かったということにはならない」戦っていく形は少しずつ見えつつある。だが、頑張りや奮闘に価値がある世界ではない。反対側のベンチでは広島が開幕6連勝に沸き、6ゲーム差がついた。虎史上、誰にも経験がないつまずきとなり、ついにBIGBOSS率いる日本ハムも初勝利を飾ったことで、ラストイヤーの矢野虎だけが取り残された。誰にも止められない流れだった。8-10で敗れた3月25日のヤクルトとの開幕戦(京セラ)以来の2桁となる10安打をマーク。先発・玉村は昨季3度の対戦で2勝を献上し、防御率2・33と苦しめられた相手だったが、この日は五回までに8安打を浴びせた。にもかかわらず先発の秋山が無安打投球から一転、中盤につかまった。打っているのに、先発もある程度は踏ん張るのに勝てない。西勇、伊藤将、秋山と鯉キラー3人衆を並べたはずが、そろって飲み込まれた。負の流れは誰にも止められないものになりつつある。指揮官も「あと一歩というね、勝負のところで。ピッチャーだって別に悪いわけではないけど、何とか粘ってほしいなというのはあるし。バッターだってチャンスのところでもう一本出ないというのも、こういう結果につながっていると思う」と頭を痛める。胸を躍らせていた1週間前が、遠い昔のように感じられる。シーズン初めの「伝統の一戦」を、まさかこんな危機的な形で迎えることになるとは。1日からは5勝1敗の巨人と、敵地東京ドームで戦う。矢野監督は「自分で流れを変える努力を、明日以降も何とかしていかないと」と自らにも言い聞かせるように語った。厳しい現実を、まず一つ勝って変えていくしかない。(長友孝輔)

◆3試合ぶりにスタメン出場した梅野が今季初の猛打賞で気を吐いたが、報われなかった。「勝つ喜びを得るためには、まだ試練がある。始まったばかりとはいえ、早くチームも開幕したいという気持ち」。二回に右前へはじき返して先制点を呼び込むと、四回には左翼線へ二塁打、六回にも右前打で好機を演出した。6連敗という現実に「個人的にというよりも、チームが勝てるような努力(が必要)。みんなが前を向いてやるしかない」と気持ちを切り替えた。

◆♪明日がある~明日がある~明日があ~る~さ~トホホホ...。わが阪神開幕から勝ち星なしの6連敗。うぇ~ん。もはや涙も枯れ果てたわ...。それでも♪明日があ~るさ~。「そやねん。ダンカン虎の新4番佐藤輝のキラリと光る打点があったさかい」。違ーう!! 「あ、じゃあ、守護神失格のケラーと交代で1軍に上がったアルカンタラが使えそうってことやろー?」それも違ーう!! 「えっ? じゃ猛虎にある明日って...なんですねん?」それはー! 「それは?」それは! 「それはー?」選抜高校野球大会で圧倒的な強さを見せつけた大阪桐蔭を地元の利で今年のドラフトでチームごと全部指名してしまおう、ってこっちゃー!!阪神タイガースの『T』は桐蔭『T』になるかもしれんけど、虎の勝利のためならそれも仕方なし...。藤浪く~ん! 次の登板に向けて調整もいいけど...桐蔭OBとして勧誘に走って~や、と、おどけるしかない連敗...。も~イヤ!!

◆「白星いらっしゃ~い?」で「オヨヨ」と大あわてしたかったのに...。「きょうは阪神が勝つ。そういう日や」紙面総括の局次長生頼秀基は、試合前は阪神の連敗ストップを信じていました。理由は本日の紙面がごらんの通り、盛りだくさんの話題で埋め尽くされているからです。まずは高校野球選抜大会。大阪桐蔭が記録的な猛打で4年ぶり4度目の優勝を果たしました。「2回戦は不戦勝(広島商がコロナ感染で辞退)だったから4試合しかしていない。それで大会新記録の11本塁打なんやからすごすぎる」そして最終面と12、13面の見開きで展開している吉本興業の大御所、桂文枝と西川きよし両師匠のスペシャル対談。創業110周年の節目を迎えた吉本興業とサンスポのコラボ企画です。「対談には自分も立ち会わせてもらった。『パンチDEデート』とかに熱中していた世代やから、2人に会うだけでも感激したわ」さらに、僚紙「競馬エイト」に4月3日から人気お笑いコンビ「霜降り明星」の粗品の予想コラムが登場することが決まり、そのお知らせも目立たせたい。生頼は、紙面打ち合わせの段階からまさに「オヨヨ」状態。「阪神は昔からこういうときには勝つ。絶対に忙しくなる」と覚悟を決めていたのです。「阪神にも楽しいコラボ企画がありますよ」報告してきたのは、トラ番キャップ長友孝輔です。こちらは阪急阪神東宝グループのコラボで、ゴジラと阪神の選手が戦う映画「ゴジラvsタイガース」(詳細2面)です。〝実は〟というオチがついていますが、ゴジラが甲子園球場に襲来する予告編の映像までつくられていて、阪神とゴジラのコラボグッズも販売されます。しかし、いい流れだったのに今年のカープはしぶとい。なんでこんなに強いんだ? 広島担当の柏村翔に尋ねると、佐々岡監督が地元のテレビ局に発注してつくった約3分間のビデオがひとつのきっかけになったと言います。「最下位が多かった評論家の順位予想と、選手たちの好プレーのシーンをまとめた映像を、3月25日の開幕戦(対DeNA)の試合前のミーティングで流して『この予想を覆してやろう。やっちゃろうやあ』と呼びかけたんです」始まりは2015年にメジャーから復帰した黒田博樹。「士気を高めるために、メジャーでは大事な試合の前に好プレーを編集した映像を流していたそうです。黒田さんがテレビ局に発注してつくったこの『モチベーションビデオ』がカープの伝統になって、16年からの3連覇にもつながっているんです」佐々岡監督が流したのはその改訂版。以降「やっちゃろうやあ」は今季のチームの合言葉になり、阪神3連戦の初戦でお立ち台に呼ばれた上本も「下馬評では多くの人に最下位と言われているみたいですけど、そんなん関係ねえ。やっちゃろうや?」と叫んでいました。「広島のチーム得点はリーグトップの42(2位は巨人の30)。でも、本塁打は1本だけ。阪神(2本)より少ない。セ最少です。だけど『やっちゃろうや』でまとまって、みんながつないでいるんです」「モチベーションビデオ」が阪神にもほしい。だけど、好プレーを編集した映像、今年の阪神は、いつつくれるんだろう...。

◆阪神は1968、91、95年に記録した開幕5連敗を更新する球団史上最長の開幕6連敗。プロ野球最長は1979年の西武が記録した「12」で、セ・リーグでは同年のヤクルトの「8」が最長過去、開幕6連敗以上は球界で14度あるが、うち12度がBクラスでシーズンを終えた。盛り返して優勝したのは60年の大洋のみ。三原監督のもと6月に入ってから巻き返してリーグ優勝し、日本一に輝いた

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
600 1.000
(-)
-
(-)
13742
(+3)
21
(+2)
1
(-)
4
(-)
0.327
(↓0.008)
0.000
(-)
2
(-)
巨人
510 0.833
(↑0.033)
1
(-)
13730
(+6)
21
(+3)
6
(-)
1
(-)
0.260
(↓0.001)
0.000
(-)
3
(-)
ヤクルト
330 0.500
(↓0.1)
3
(↓1)
13727
(+3)
22
(+6)
8
(+1)
3
(-)
0.251
(↓0.005)
0.000
(-)
3
(1↑)
DeNA
330 0.500
(↑0.1)
3
(-)
13726
(+1)
34
(-)
4
(-)
4
(+1)
0.236
(↓0.005)
0.000
(-)
5
(-)
中日
150 0.167
(↓0.033)
5
(↓1)
13720
(-)
28
(+1)
4
(-)
1
(-)
0.214
(↓0.005)
0.000
(-)
6
(-)
阪神
060 0.000
(-)
6
(↓1)
13715
(+2)
34
(+3)
2
(-)
2
(-)
0.228
(↑0.01
0.000
(-)