オリックス(★2対3☆)阪神 =オープン戦1回戦(2022.03.18)・京セラドーム大阪=
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阪神
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ORIX
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勝利投手:岩田 将貴(1勝0敗0S)
(セーブ:齋藤 友貴哉(0勝0敗2S))
敗戦投手:比嘉 幹貴(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆阪神は、先発・藤浪が5回2失点の投球。開幕投手候補の右腕が、まずまずの結果を残した。対するオリックスは、先発・山本が6回途中1失点の投球を披露。開幕に向け、順調な仕上がりを見せた。

◆激震の虎を静める-。阪神藤浪晋太郎投手(27)が18日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で開幕前ラストのマウンドに上がる。開幕投手に内定していた青柳晃洋投手(28)が前日16日、新型コロナウイルスの濃厚接触者疑いで、開幕戦となる25日ヤクルト戦の登板断念が決定。矢野阪神が開幕直前に陥ったまさかの緊急事態。代役最有力の背番号19が快投すればチームは落ち着く。 チームに漂う不安をかき消すのは藤浪の快投しかない。鳴尾浜でキャッチボール、ブルペン投球を行った右腕は静かに闘志を燃やした。「感覚的に自分が納得できるというか、良かったと思えるような登板にできたら。言われたところで投げるしかないので。しっかり自分のいい状態をつくっていければと思います」。チームが直面している状況は百も承知。急きょ、1日前倒しとなった開幕前ラスト試合でも自身の投球に集中する。緊急事態が公になったのは前夜だった。球団は青柳が新型コロナウイルスの陽性者と濃厚接触の疑いがあるため、自主隔離すると決定。さらにこの日、青柳自身の陽性判定も発表された。開幕投手の離脱を受けて、開幕2戦目となるヤクルト戦で先発が見込まれていた藤浪が「代役」を務めることが確実だ。当初は19日にオープン戦最終登板を迎える予定だったが、18日に変更。3・25の開幕へと向かっていることは明らかだ。本番に向けて期待も高まる。キャンプでも安定した投球を続け、前回の12日中日戦(甲子園)では、5回無安打無失点、6奪三振の快投を披露。徐々にエンジンをふかす右腕は「開幕に向けて、もちろん気持ちも入ってきます。ですけど、あまり力まないようにというところと、変化球の精度を高めていければと思います」。ハートは熱く頭は冷静だ。ヤクルトは小川が開幕投手に決まった。開幕投手藤浪となれば、2年連続のマッチアップとなる。前回は両投手に勝ち負けはつかなかったが、試合は阪神が勝利。矢野監督は「開幕で何とかいいスタートを切りたいというのはどっちも思いとしてはある。小川に決まったからどうっていうのはないけど、誰でも倒すという気持ちでいくだけ」と開幕星に力を込める。オープン戦ラスト登板から開幕へ。矢野虎の窮地を救うのは、藤浪の右腕だ。【桝井聡】

◆両チームのスタメンが発表された。阪神では、この日1軍合流し、開幕で先発出場を狙う中野拓夢内野手(25)が「9番遊撃」でスタメン入り。大山悠輔内野手(27)はオープン戦で初めてスタメンから外れた。阪神先発は藤浪晋太郎投手(27)。オリックスは山本由伸投手(23)が先発する。

◆進化した虎の主砲VS沢村賞右腕-。この日注目の対決は、阪神佐藤輝明内野手(23)がオリックス山本由伸投手(23)に対し、3打数1安打1打点で昨季からの成長を証明した。佐藤輝は「4番三塁」で先発。見せ場は第2打席だった。1点ビハインドの4回2死一塁、山本から同点の適時三塁打。2ボール1ストライクから128キロカーブを捉え、中堅右奥へ運んだ。俊足のオリックス中堅手、渡部が追いついたものの打球はグラブを弾き、佐藤輝は一気に三塁まで到達。昨季投手部門4冠で25年ぶりリーグ優勝に貢献し沢村賞を受賞した右腕から、貴重な一打を放った。直前には無死一塁で島田が送りバントに失敗。さらに1死一塁で、空振り三振に終わったマルテのフォロースルーが捕手に接触し、守備妨害の判定を受けていた。二盗を狙った一塁走者近本は、捕手の送球ミスもあり三塁まで到達していたが、この守備妨害により一塁に戻っていた。味方のミスをも帳消しにする4番の仕事で、試合を振り出しに戻した。二直に終わった第3打席もオリックス二塁手宜保の好捕に阻まれたもので、当たりは決して悪くなかった。一方で、第1打席は142キロのフォークに空振り三振。両者1歩も引かない対決となった。佐藤輝は昨季オープン戦以来の山本との対戦だった。昨年3月20日に同じく京セラドーム大阪で2打席対決。右飛と空振り三振に軽くひねられていたが、1年後にリベンジに成功した。

◆2年連続2度目の開幕投手が決定的となっている阪神藤浪晋太郎投手(27)が、5回を6奪三振4安打2四球で2失点(自責1)と粘投した。立ち上がりにいきなり160キロをマークした。初回、1番福田への6球目、内角低めに外れた直球が160キロを計測した。1回は直球に変化球を織り交ぜ、3番吉田正を右飛に打ち取るなど3者凡退に仕留めた。2回は四球と安打、暴投から内野ゴロの間に1失点。5回には味方失策から1失点したが、ピンチを背負った場面でも大崩れしなかった。配球面でも110キロ台のカーブで見逃し三振を奪うなど、多彩な変化球を効果的にまぶした。開幕戦の3月25日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)へ、納得の調整を終えた。藤浪は当初、開幕2戦目となる3月26日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)での先発が予定されていた。ただ、開幕投手に決定していた青柳晃洋投手(28)が新型コロナウイルス陽性者と濃厚接触の疑いがあることが16日に判明。翌17日には青柳の新型コロナ感染が判明したことで、藤浪の「代役」開幕投手が確実となっている。当初19日の予定だったオープン戦最終登板を急きょ1日前倒しした一戦。落ち着いたマウンドさばきで首脳陣を安心させた。

◆下肢のコンディション不良で出遅れていた阪神中野拓夢内野手(25)が、1軍合流し、いきなり適時三塁打を放ち、開幕へ向けて万全を証明した。2打席凡退で迎えた7回の第3打席。梅野の適時三塁打で同点に追いついた直後だった。1死三塁で、サイド右腕比嘉の内角130キロ変化球を捉え、一塁線を破った。中野は一気に三塁へ。スライディングも決め、ベース上では思わず笑顔を見せた。今季オープン戦初安打が貴重な勝ち越しの一打となった。昨季新人で遊撃のレギュラーをつかんだ中野は、キャンプから2軍スタート。3月に入り実戦復帰すると6試合で19打数4安打。走攻守で回復を示し、矢野監督は「状態を自分の目で見て判断しようと思っています」と、この日から1軍に合流させた。開幕遊撃の本命が、指揮官の前で猛アピールに成功した。

◆阪神の新守護神候補のカイル・ケラー投手(28=パイレーツ)が8回に登板し、1イニングを無失点に抑えた。15球を投げ、1安打1奪三振。先頭の吉田正を122キロのカーブで遊ゴロに抑えると、代打中川圭を126キロのカーブで空振り三振に。伏見に左前打を許したが、落ち着いて紅林を遊飛に仕留めた。スアレスに代わる新守護神として期待される最速157キロ右腕。開幕に向けて調子を上げてきた。

◆阪神藤浪晋太郎投手(27)が2年連続2度目の開幕投手に決定した。オリックス戦とのオープン戦で最後の調整登板に臨み、5回を2失点(自責1)。試合後、矢野燿大監督(53)が「青柳がこんなことになったから晋太郎で」と明言した。当初は開幕2戦目に先発予定だったが、開幕投手に決まっていた青柳晃洋投手(28)の新型コロナウイルス感染で急きょ「繰り上げ先発」が決定。25日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)に先発する。藤浪はほぼ無表情のまま、最後の調整マウンドを投げ終えた。5回を6奪三振4安打2四球で2失点(自責1)。決して快投ではなかったが、突然の調整変更にも動じなかった姿は、指揮官の目にも頼もしく映ったはずだ。「ヤギ(青柳)がこんなことになったから、晋太郎で。去年も上の伸びしろを期待して晋太郎を開幕投手に送り出した。そういうところでは去年よりも自信を持っていくんじゃないかな」試合後、矢野監督は2年連続で大器に開幕マウンドを任せる事実を認めた。完全復活へのスタート地点は、3月25日のヤクルト戦に決まった。激動の3日間を過ごした。当初は開幕2戦目となる26日ヤクルト戦の先発が予定されていた。このプランが白紙に戻ったのは、たった2日前のことだ。16日、開幕投手に決まっていた青柳が新型コロナウイルス陽性者と濃厚接触の疑いがあるため、自主隔離に入ることが決定。一躍、藤浪の代役が最有力となっていた。前日17日には青柳のコロナ感染も判明。藤浪は19日だったオープン戦最終登板を急きょ18日に変更し、落ち着いたマウンドさばきで首脳陣を安心させた。最速160キロを計測した一方で計97球のうち45球が変化球。110キロ台のカーブで見逃し三振を奪うなど、多彩な変化球で的を絞らせなかった。2回は四球と安打、暴投から内野ゴロの間に1失点。5回には味方失策から1失点。それでも大崩れする気配は見せなかった。5回には吉田正の打球を右足に当てる場面もあったが、大事には至らず。登板後、指揮官から「足、大丈夫か? 開幕行けるやろ? じゃあ行くぞ」と大役を伝えられた。1月に巨人菅野と自主トレを共にして、軸足の使い方を改善。2月の沖縄キャンプから結果を積み重ねた。オープン戦4戦登板で防御率は2・81。確かな手応えを胸に、開幕戦に再び挑む。【佐井陽介】

◆沢村賞右腕、オリックス山本由伸投手(23)が2年連続で開幕投手を務めることが決定した。阪神とのオープン戦(京セラドーム大阪)に先発し、6回途中5安打1失点。中嶋監督は開幕投手について「任せた通りですし、本人がOKと言うならOK。いけるなら、いってもらいます」と若きエース右腕にオープニングゲームを託せば、山本も「次の試合は、もう開幕戦。しっかり整えて、練習して挑みたい」と目をギラつかせた。最終調整は、さすがの内容だった。球数は94球で、この日の最速は156キロを計測。140キロ後半のフォークに、緩急を生かしたカーブもさえた。オープン戦3試合に登板し、この日が初めてのナイター。「ずっと12月から早起きしていたので、朝起きちゃいますよね(笑い)。ナイターの日は(午前)10時半に朝ごはんを食べるのが、スケジュールの最初なんですけど...。10時半がなかなか来なかったですね」。"体内時計"に苦戦しつつ? しっかりと結果を残した。チームは10年以降、開幕戦白星がなく、11年からは10連敗中。山本自身、昨年は敗戦投手となった。リーグ連覇&日本一への第1歩を刻むべく、背番号18が再び開幕のマウンドに立つ。【真柴健】

◆阪神佐藤輝明内野手(23)が、沢村賞右腕を打ち砕いた。9試合ぶりに「4番三塁」で先発し、オリックス山本と3度の対戦で1安打1打点。一時同点に追いつく適時三塁打を放ち、昨季オープン戦で空振り三振を含む2打数無安打と、軽くひねられた同学年にリベンジを果たした。「最高峰のピッチャーなんで、いい当たりができて内容はよかった。今日はよかったと思います」見せ場は第2打席、1点ビハインドの4回2死一塁。2ボール1ストライクから「反応で打った」と、128キロカーブを中堅右奥へ運んだ。俊足のオリックス渡部でも捕球できず、佐藤輝は三塁へ到達。「ランナーがいる場面で打てたのでよかったんじゃないですか。いい構えができてます」。直前には無死一塁で島田が送りバント失敗、さらにマルテの守備妨害などミス連発も、4番の仕事で帳消しにした。二直に終わった第3打席も宜保の好捕に阻まれたもので、当たりは悪くない。一方で、第1打席は142キロのフォークに空振り三振。両者1歩も引かない見応え抜群の対決だった。ただ、佐藤輝が悔やんだのは三ゴロに倒れた8回の第4打席。近大の1学年先輩、村西にオール直球勝負で凡退し「今日一番悔しい」と珍しく顔をゆがめた。公式戦前に、昨季パ・リーグ王者を相手に逆転勝ち。矢野監督は「やっぱりいいピッチャーだよね」と山本を認めた上で「その中でもみんなが捉えた打球っていうのは結構あった。状態としてみんな上がりつつあるような感じで臨めている」と佐藤輝を含め、打線全体が上昇気配にあると評価。チームも9戦連続負けなしで、引き分けを挟み6連勝と波に乗ってきた。開幕カードと同じ京セラドーム大阪で残り2戦。総仕上げに入る。【中野椋】

◆阪神主軸の大山悠輔内野手がオープン戦13試合目で初めてスタメンから外れた。この日の打線は3番マルテ、8番梅野を除いて左打者が並ぶ先発メンバー。矢野監督は「コロナもあるし、チームの調子やケガ、もちろんあってほしくないけど、いろんなことが考えられるから。今やれるんやったら今のうちにやっておいてもいいんかな」と説明した。さらに「いつも出ている選手が出ていない悔しさもあると思う」と競争心をあおる意味合いもあったようだ。大山は3月6日楽天戦から6試合連続ヒットをマークしたが、その後は2試合無安打が続き、この日は9回に代打出場して四球を選んだ。

◆阪神ドラフト4位前川右京外野手(18=智弁学園)が、沢村賞右腕から技ありの一打を放った。「7番左翼」で先発出場。同点の5回無死一塁で迎えた第2打席。3球ファウルで粘った後の6球目だった。山本の外角低めの122キロカーブに食らいつき、左前に運んだ。マルチ安打を放ったデビュー戦の13日巨人戦以来、1軍戦3試合、10打席ぶりのヒットに「少しホッとしたというか、打ててよかった」と表情を緩めた。積極打法を貫いた。3回の第1打席は初球から2球ファウルで1ボールを挟み、外角154キロの直球で空振り三振と完敗。「ワクワクというか、楽しみもあった。振っていって学んでいく姿勢は変えずに、向かっていけたのはよかった」。試合前は吉田正のフリー打撃にくぎ付けに。「すごく下半身の粘りで持っていっていた。とても勉強になった。頭が全くブレてない。自分も頭をブラさず、強く振れたらいいな」と必死に技術を吸収しようとした。矢野監督は「この前4三振だったけど、俺としては今、日本で一番いいピッチャーやん? それを経験させてあげたかった。1軍に残るのか、2軍に行くのか分からんけど、肌で感じてこれから野球をやっていくのと違うと思う。1本出ただけでも大したもの」と目を細めた。開幕1軍入りへ、高卒新人のアピールは続く。【古財稜明】

◆遊撃は俺だ! 阪神中野拓夢内野手が復帰戦でいきなり結果を残した。オリックス戦に「9番遊撃」で先発出場。下肢のコンディション不良で春季キャンプから2軍調整が続き、昨年11月のCSファーストステージ・巨人戦以来の1軍戦となった。同点で迎えた7回1死三塁。比嘉のスライダーを捉え、右翼線に適時三塁打。これが決勝打になった。「今日なんとか1本出したいなという気持ちはありました。アピールしないといけない立場っていうのは変わらないので、なんとか1本出てよかったです」とホッとした表情を見せた。木浪、小幡が1軍で遊撃争いを繰り広げる中、本命の中野はリハビリで我慢の日々。アピールの場が今回のオリックス3連戦だけとなったが、この日は7度の守備機会を無難にこなした。「(体は)全く問題ないです。もちろん自分としても開幕ショートで、去年出られなかったので。今年は開幕ショートで出たい気持ちが強い。なんとか残り2試合アピールしてしっかりと開幕スタメン取れるように頑張りたい」。矢野監督は「まあ1試合だけで言うのもなんやけど、やっぱりいいポイントで打ってるし、守備の足もいい形で取れてるから拓夢らしさっていうのは出してくれたかなと思う」と評価した。昨年ルーキーながらつかんだ遊撃レギュラーの座。残り2試合で開幕スタメンを確実にする。【三宅ひとみ】

◆阪神糸井嘉男外野手が沢村賞右腕からの1本を含むマルチ安打をマークした。「6番DH」で先発。5回先頭で山本の142キロフォークを左前へはじき返し「山本由伸に興奮しました」と糸井節さく裂。再び先頭の7回は変則サイドの比嘉の直球を仕留め、こちらも左前へ運んだ。オープン戦打率は3割6分と好調で「毎日同じ。変わらず、もう開幕している気持ちでやっている」。40歳が開幕スタメンへ全力アピールを続けている。

◆オリックスT-岡田外野手(34)が18日、阪神とのオープン戦(京セラドーム大阪)で負傷交代し、大阪市内の病院で「右ふくらはぎの筋損傷」と診断された。「4番一塁」で先発し、3回1死走者なしで三塁からの送球を捕った後、そのままベンチに下がった。25日の開幕戦の出場は絶望的となった。キャンプ中にも同じ右ふくらはぎを痛めて調整が遅れ、3月13日にオープン戦に初出場。この日が3試合目で、わずか5打席で離脱することになった。昨年は115試合出場で打率2割4分1厘、17本塁打、63打点で25年ぶりのリーグ優勝に貢献。17年目の今季に向けて「1年間を通してチームの勝利に貢献したい」と語っていた。

◆阪神藤浪晋太郎投手(27)が2年連続2度目の開幕投手に決定した。オリックスとのオープン戦で最後の調整登板に臨み、5回を2失点(自責1)。試合後、矢野燿大監督(53)が「晋太郎で」と明言した。当初は開幕2戦目に先発予定だったが、開幕投手に決まっていた青柳晃洋投手(28)の新型コロナウイルス感染で急きょ「繰り上げ先発」が決定。25日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)に先発する。藤浪はほぼ無表情のまま、最後の調整マウンドを投げ終えた。5回を6奪三振4安打2四球で2失点(自責1)。突然の調整変更にも動じなかった姿は、指揮官の目にも頼もしく映ったはずだ。「ヤギ(青柳)がこんなことになったから晋太郎で。去年も上の伸びしろを期待して晋太郎を開幕投手に送り出した。そういうところでは去年よりも自信を持っていくんじゃないかな」試合後、矢野監督は2年連続で大器に開幕マウンドを任せる事実を認めた。当初は開幕2戦目となる26日ヤクルト戦の先発が予定されていた。このプランが白紙に戻ったのは2日前だ。開幕投手に決まっていた青柳が16日、新型コロナウイルスの濃厚接触疑いで自主隔離に。一躍、代役の最有力候補となった。前日17日には青柳のコロナ感染も判明。藤浪は19日だったオープン戦最終登板を急きょ1日前倒しし、粘投でチーム全体を安心させた。最速160キロを計測した一方で計97球のうち45球が変化球。110キロ台のカーブで見逃し三振を奪うなど、多彩な変化球で的を絞らせないスタイルも定着しつつある。5回には吉田正の打球を右足に当てたが、本人は「大丈夫です」とケロリ。登板後、指揮官から「足、大丈夫か? 開幕行けるやろ? じゃあ行くぞ」と大役を伝えられた。青柳からはLINEで「ごめんね。頑張ってね」と連絡が届いたという。藤浪は「こればかりは誰しもがなること。青柳さんが悪いわけではない」と強調。「青柳さんが一番悔しいと思う。2週目以降、戻ってきてくれると思うので、それまでいい流れでつなげたい」。3月25日ヤクルト戦。先輩への熱い心意気も力に変えるつもりだ。1月に巨人菅野と自主トレを共にして、軸足の使い方を改善。オープン戦4戦登板で防御率2・81と安定感は増している。「当日になったら吐くぐらい緊張しているかも分からないですけど...」と冗談めかした上で「開幕"代行"なので、あまり気負わず力みすぎず、落ち着いて入れれば」と自信ベースの自然体。確かな手応えを胸に、開幕戦に再び挑む。【佐井陽介】▼藤浪が2年連続で開幕投手となれば、阪神ではメッセンジャーが15~19年に5年連続で行って以来。日本人に限ると、能見が11~12年に務めた2年連続以来。なお阪神の連続シーズン開幕投手の最長は5年で、前述のメッセンジャーと02~06年井川慶の2人。▼藤浪が京セラドーム大阪で登板した試合で、阪神は16年8月17日広島戦から6連敗を継続中。藤浪自身も11試合すべてに先発登板し3勝6敗、防御率4・80と苦戦している。60イニングを投げ35四球で、与四球率は5・25。他球場での4・18に比べ、ややコントロールに苦しんでいる。◆昨季の藤浪の開幕投手(3月26日ヤクルト戦) 初回は3者凡退の滑り出し。2回に内野ゴロの間に1失点し、5回にはフォームを崩し、1死満塁から痛恨の暴投でさらに1点を失った。自身初の大役は、5イニングを投げ2失点で勝敗つかず。5四球2暴投とコントロールに苦しんだが「もっと緊張したり、入りにくさがあるかと思ったけど、意外とすんなり入れた」と淡々としていた。試合は3-3と同点の8回、サンズが決勝本塁打を放ち、阪神は白星発進した。

◆両軍のスタメンが発表された。阪神は開幕投手候補の藤浪晋太郎投手(27)が先発。下肢のコンディション不良で出遅れていた中野拓夢内野手(25)が「9番・遊撃」で出場。昨季の盗塁王が今季初のオープン戦出場となる。

◆阪神・佐藤輝明内野手(23)が同点の適時三塁打を放った。「良い投手ですし、甘い球はほとんど来ないので、しっかり一発で仕留めることができてよかったです」。0―1の四回に近本がチーム初安打となる中前打。その後、2者連続三振で2死となったが、ここで佐藤輝が打席に立った。カウント2―1から昨季、最多勝など投手5冠に輝いた山本の128キロカーブを捉えると、同点に追いつく、中越えの適時三塁打となった。15、16日のソフトバンク戦(ペイペイ)では2戦連発。開幕を前に3試合連続打点と状態を上げている。

◆先発したオリックス・山本由伸投手(23)は5回?を投げ、5安打6奪三振1失点だった。一回から三回までは三者凡退と完璧な立ち上がりを披露。0─1の四回2死一塁から佐藤輝に中堅右へフェンス直撃の適時三塁打を浴びたが、最少失点で切り抜けた。中嶋監督は今季の開幕投手を明言していないが、順調にいけば、中6日で25日の西武戦(ベルーナ)での先発が濃厚な右腕。2年連続開幕投手へ準備は整った。

◆先発した阪神・藤浪晋太郎投手(27)は5回4安打2失点(自責1)、6奪三振だった。一回、先頭の福田に対しての6球目でボールにはなったが、この日最速の160キロを計測。その後、福田と後藤を二ゴロに打ち取ると、吉田正を右飛で立ち上がりは上々だった。二回は四球と安打などで1死二、三塁とされると、若月の遊ゴロの間に1点を失った。それでも、宜保は二ゴロで最少失点で切り抜けると三、四回といずれも得点圏に走者を進められながらもゼロに抑えた。1―1の五回には二塁・糸原の失策と内野安打で無死二、三塁。ここで後藤には左翼への勝ち越し犠飛を許したが、吉田正を投ゴロ、大里を空振り三振に斬り、追加点は与えなかった。開幕投手に決定していた青柳が17日に新型コロナウイルス陽性と判定。開幕投手の代役最有力である右腕が粘り強い投球を披露した。

◆下肢のコンディション不良から復帰し、1軍に合流した阪神・中野拓夢内野手(25)が適時三塁打を放った。1―2の七回。糸井の左前打とボークもあり、1死二塁とすると梅野が左中間へ同点の適時三塁打を放った。なおも好機の場面で、中野が打席へ。比嘉の130キロスライダーを引っ張った。一塁線を抜けると俊足を飛ばして一気に三塁へ。1軍復帰戦で快音を響かせた。

◆阪神はオリックスに3―2で勝利した。先発した藤浪は二回には四球と安打で1死二、三塁とされ、内野ゴロの間に先制を許した。五回は失策も絡んで1点を奪われたが、大きく崩れることはなく、5回を4安打2失点(自責1)。開幕投手に決まっていた青柳が17日に新型コロナウイルス陽性と判定されたため、代役最有力となった右腕が上々の投球をみせた。打線では0―1の四回2死一塁。佐藤輝が中越えの適時三塁打を放ち、3戦連続で打点を挙げた。1―2となって迎えた七回は1死二塁で梅野が左中間へ同点の適時三塁打。さらに、下肢のコンディション不良から復帰し、この日から1軍に合流した中野が右翼線へ勝ち越し三塁打を放ち、開幕スタメンに向けてアピールした。

◆「6番・DH」で出場した阪神・糸井嘉男外野手(40)がオリックス・山本から左前打を放つなど2安打。手ごたえを聞かれて「山本由伸に興奮しました」。開幕スタメンに向けて日々前進する状態で「もう開幕している気持ちでやっているので。『優勝して矢野さんを胴上げする』。それだけを求めてずっとやっているので。優勝して、みんなで喜びをわかち合えたらと思ってやっています」と語っていた。

◆「9番・遊撃」で出場した阪神・中野拓夢内野手(25)が七回に勝ち越し三塁打を放つなど、下肢のコンデション不良から、1軍合流即、結果を残した。中野の主な一問一答は以下の通り。ーー昨年のCS以来の1軍戦「2軍の雰囲気と全然違うなと思いましたし、お客さんに見られている中でやるのは大変というか、あらためて楽しいというのもあったんですけど、やっぱりしんどいなっていうのも感じました」ーーしんどいというのは「プレッシャーがある中で守っているのもありますし、ファームと違って常に誰かに見られているというのもあるので、久々の1軍ですし、自分の中で気持ち的にも入っているものがあったので、疲れたなっていうのはありました」ーー1本出た「なんとか1本出したいなって気持ちはありましたし、アピールしないといけない立場っていうのは変わらないので、なんとか1本出てよかったです」ーー変化球に対応「特に変化球狙っていたわけではないですけど、浮いてきたボールは外野まで運ぶくらいの気持ちで強く振ろうと思っていたので、その結果、打球は上がらなかったですけど、いいところに飛んでくれたと思います」ーー守備も問題なし「全く問題ないです」ーーここまで焦りは「正直、同じポジションの人の結果は常に気になっていましたし、キャンプがずっとできていなかのもあって、焦りもあったんですけど。まずは再発しないことを第一に考えて、トレーナーさん含めいろんな人にサポートしてもらってきていたので、なんとかしてやろうという気持ちが今日あったので、それをしっかり出すことができてよかった」ーー開幕ショートは自分「もちろん、この時期に呼んでいただきましたし、自分としても開幕ショートで去年出れなかったので、なんとかはい、今年は開幕ショートで出たい気持ちが強いので、残り2試合、アピールして開幕スタメン取れるように頑張りたい」ーーまだ盗塁なし「盗塁を早く決めたいって気持ちもあるんですけど、塁に出ないとできないので、塁に出ることを前提に、(練習試合で)大学生にも刺されたのもあるので、去年の盗塁をしっかり思い出せるように、塁に出れたらどんどん走って行きたい」

◆開幕まで1週間。収穫もあったし、解消できていない課題も出た試合だった。最大の収穫は藤浪。開幕に向けて、不安材料はなくなった。セットポジションになった時に、やや制球が乱れる傾向はあったが、それでも以前のようなすっぽ抜けた、とんでもない球は1球もなし。前回の中日戦(5回無安打)に続いて結果を残せたことで、本人も相当手応えを感じているのではないか。技術的には、テークバックの際に非常に力抜けていて、リリースの際に力が入る投球フォームになっている。見た目の力感はないのだが、それでも155キロ超の真っすぐが投げられているので、これでOKだと思う。配球面ではカーブをうまく使えていた。剛球タイプの藤浪と対戦する打者は、打席でカーブを待つわけにはいかない。カーブでカウントを稼げるようになっているので、緩急もできているし、投球の幅も広がってきた。私もカーブを投げていたので分かるのだが、投げる際に非常にバランスが必要な球種。力み過ぎるとワンバウンドになるし、曲がりを気にしすぎるとすっぽ抜ける。いいバランスで投げられている証拠だろう。ようやく「新しい藤浪」を作り出せたのではないか。1週間後が楽しみだ。佐藤輝が4番として十分に任せられそうな打撃を続けていることも明るい材料。三塁打は山本のカーブをうまく打った。もう少し泳ぎ気味に打った方が飛距離は出るのだろうが、三塁打以外の打席内容も悪くないから、頼もしい存在だ。故障から中野が戻ってきたことも大きい。走攻守すべてで普通にプレーできていた。競争を掲げてきた矢野監督だから、この試合だけで判断はしないだろうが、昨年レギュラーとして結果を残した実績が中野にはある。この事実は重い。開幕の遊撃スタメンは十分にあるのではないか。一方で反省点も。五回の糸原の守備は、正面の打球だけに苦言を呈したくなる。結果的に失点に直結してしまい、藤浪の足を引っ張る形になった。守備が課題のチームが、なかなかプラス方向に向いていない。さらには送りバントの失敗。島田、梅野と2度もあった。エース級と対戦する際には、絶対に出るサイン。できることをキッチリやれるようにしておかないと、接戦を勝ち切ることができない。開幕までの大きな課題だ。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆先発して5回2失点(自責1)に抑えた阪神・藤浪晋太郎投手(27)の2年連続の開幕投手が決定した。試合後、明言した矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り。ーー藤浪は?「いろんな球種を使いながら投げている感じはあった。これぐらいはいけるだろうと思っている」ーー順番でいえば来週は...「うん、ヤギ(青柳)がこんなことになったから晋太郎で行くよ」ーー急きょだが「去年も開幕やってるし。本人もある意味、去年よりも手応えとか自信を持ちながら臨めるシーズンになってるんちゃうかなと思う。ヤギがこんなことになって自分になったことをマイナスにとらえている感じはない。去年も晋太郎にしたのは伸びしろを期待して送り出したところがあるんで。去年よりも自信を持っていくんじゃないかな」ーー本人にはどんな言葉を?「足にボールが当たったから。〝足、大丈夫か? 開幕行けるやろ? じゃあ行くぞ〟って」―今日伝えた「そりゃ、分かってるやろ! 今日投げるんやから」 ーーケラーの球速(八回に登板し1回無失点。最速152キロ)「だんだん上がってくるよね。球種も縦のカーブ以外のスライダーを使いながらとか。投げるたびに良くなって来ている。ひと安心というかね、そういう形で入れるんじゃないかなと思う」ーー中野も1本出た「1試合だけで言うのもなんやけど、いいポイントで打ってる。守備の足もいい形で取れてるから拓夢らしさは出してくれたかなと思うし。体の状態も...。人工芝で明日張ると思うんやけど、そういうところさえ問題なければ」ーー佐藤輝が山本から適時打「そうやね。真っすぐの質、コントロール、スピード、カーブ、フォーク、カット...それはやっぱいいピッチャーだよね。その中でもみんなが捉えた打球は結構あったと思う。状態としてみんな上がりつつあるような感じで臨めているんでね。まあ、いい感じかな」ーー前川もしぶとかった(山本から左前打)「いやーこの前、4三振やったっけ? あったけど俺としては今、日本で一番いいピッチャーやん? それを経験させてあげたかったっていう。それが基準になるやん。これが一番いいピッチャーかって。そういうのが経験できて、1軍に残るのか、2軍に行くのか分からんけど、肌で感じて野球やっていくのと違うと思う。将来タイガースの中心バッターになっていく素材は俺も短い時間やけどやけど見ても思うので、そこを感じてもらいたかった。1本出ただけでもたいしたもの」ーー大山はベンチスタート。左を並べるオプションを考えて「こんな状況だからいろんなことをね。コロナもあるし、チームの調子やけが。あってほしくないけど、今やれるんやったら、やっておいてもいいんかな。競争とか大事にしているところがあるから、いつも出ている選手が出ていない悔しさもあると思うし、総合的な部分でやれる時にやっておく必要があるんかなっていうところ」

◆オリックスのT―岡田が三回途中に負傷交代した。球団は大阪市内の病院で「右ふくらはぎの筋損傷」と診断されたと発表した。一塁手としてこの回、三塁手からの送球を捕った直後にベンチに退いた。昨季17本塁打を放ったベテランは、春季キャンプでも右ふくらはぎの違和感で別メニュー調整を強いられていた。開幕を間近に控えて痛い離脱となりそうだ。

◆2年連続開幕投手を務めることになった阪神・藤浪晋太郎投手(27)の一問一答は以下の通り。(テレビインタビュー)ーー矢野監督が開幕は晋太郎でいくと...。直接話は「聞いてないですね...(笑)。今知りました」ーー聞いて気持ちは「青柳さんに決まってたわけですし、あんまり気負わずに開幕代行なので、力み過ぎず、かからないように落ち着いて入れればと思います」ーー青柳とは連絡は「今日、ラインで『ごめんね、頑張ってね。申し訳ない』と頂いたんですけど。こればっかりは誰しもなることなので。青柳さんが悪いわけではないので。2週目以降、戻ってきてくれると思うので、それまで良い流れつなげたいなと思います。そういう話をしましたね」ーー昨年の開幕の経験も生きる「すごく緊張して頭真っ白になりましたという感じでもないので。経験してるぐらいの緊張だったので、今年も普通に入れればなと。あくまで本命の開幕投手ではないので。あくまで代行という形なので気楽にいければなと思います」ーー10年間の経験が開幕戦に生きてくる「当日になってみないとわからないですし、こういう時でも多少の緊張はするでしょうし。当日になったら吐くぐらい緊張しているかもわからないですけど。落ち着いて入れるのかなと思えているのは、ある程度、いろんな経験させてもらっていい経験しているおかげかなと思います」ーー吉田正の打球が足に当たった(五回)「痛いのは痛いですけどね。あの場面はタイム取って1回下がったり、間をつくってしまうと余計に痛くなると思って、来てもらわないようにしたんですけど。痛いのは痛いですけど、大丈夫じゃないかなと思います」 ーーファンに向けて意気込みを「自分のできることを精一杯して、チームに流れを呼び込めるように、苦しい場面も多いと思いますけど、しっかり粘っていけるようなゲームにできればと思います」(囲み)ーー1週間後と同じマウンドに投げられたのは良かった「そうですね。開幕と全く同じ舞台なので。そういう意味ではマウンドの感触を確かめるという意味でも良かったと思います」ーーあと1週間で修正できる自信は「悪かった部分も、めちゃくちゃ悪いということはないので。本当に微調整というか、微妙なタイミングだと思うので。何とか修正、もちろんしないといけないですし、できると思います」ーー監督が打球が当たった時に、大丈夫か? 開幕行けるやろと伝えたと「ああー。〝開幕行けるか〟か〝開幕カード行けるか〟かのどっちの意味か自分の中でも(笑い)。何て言うんですか、あまりに突然来たんで。あまりそう重くはとらえてなかったというか」ーー言葉はかけられた?「その言葉はかけられましたけど。開幕に間に合うかという意味で、開幕戦の1試合というよりは開幕に間に合うのかという意味での〝開幕大丈夫か?〟という意味なのか、どっちなんでしょうねとトレーナーさんと話していたんで」ーー青柳がこういう形になったことで、多少は思いも感じて投げる「そうですね、あまり気負いたくはないですけど。青柳さんが一番悔しいでしょうし。開幕、開幕とずっと口にされて、こだわってきた中でだったんで。青柳さんに取って代わる投球とは言わないですけど、青柳さんに次の週にいい形で入ってもらえるように流れをつくれたらいいなと」

◆「8番・左翼」で出場したD4位・前川右京外野手(18)=智弁学園=が五回、オリックス・山本から左前打を放った。「ワクワクというか楽しみもあったので振って学んでいく姿勢は変わらずに、振っていけたので良かったかなと思います」。試合前は吉田正の打撃を食い入るように見ていた場面を問われ「すごく下半身の粘りで(球を)持っていけていたので、とても勉強になりました。頭が全くブレていなかったので、自分もあまり頭をブラさずに強く振れたらいいなと思います」と語り、最後は「一日一日収穫があって勉強させてもらっています」と話していた。

◆下肢のコンディション不良で出遅れ、この日に1軍合流した阪神・中野拓夢内野手(25)が「9番・遊撃」でスタメン出場し、決勝打を放った。打球が一塁線を抜けると、中野は必死でグラウンドを駆け抜けた。球場に響くメガホンの音が背番号「51」を加速させる。自ら1軍復帰を祝う決勝の三塁打を放ち、塁上ではにかんだ。「なんとか1本出したい気持ちはあった。アピールしないといけない立場は変わらないので、1本出てよかったです」梅野の適時打で同点とした直後の七回1死三塁で打席に立つと、比嘉の内角の変化球を引っ張り、右翼線へ。「外野まで運ぶくらいの気持ちで強く振ろうと思っていた。打球は上がらなかったけど、いいところに飛んでくれた」。快足へ飛ばして決勝の適時三塁打とし、自分のバットで復帰戦に花を添えた。2年目の今年は下肢のコンディション不良で、春季キャンプは2軍スタート。「正直、同じポジションの人の結果は常に気になっていたし、焦りもあった」。1軍では木浪や小幡が、昨年自分が守っていた遊撃でアピールを繰り広げていた。焦る気持ちを必死になだめながらリハビリに取り組み、今月11日の春季教育リーグ・中日戦(鳴尾浜)で実戦復帰。ファームでは計6試合に出場し、この日、満を持して1軍に合流して、いきなり快音を響かせた。矢野監督も「いいポイントで打っているし、守備の足もいい形で取れている。拓夢らしさは出してくれた」と喜んだ。遊撃の守備も鮮やかにこなし、開幕への準備はOKだ。「今年は開幕ショートで出たい気持ちが強い。残り2試合でアピールして、開幕スタメン取れるように頑張りたい」昨季135試合に出場した遊撃のレギュラー筆頭が、1軍の舞台に帰ってきたことは間違いなくプラス材料。中野がこれから走攻守で虎に勢いをもたらす。(織原祥平)

◆初の三塁打! 阪神は18日、オリックスとのオープン戦(京セラ)に3―2で勝利。「4番・三塁」でスタメン出場した佐藤輝明内野手(23)が0―1の四回、反撃ののろしとなる適時三塁打を放った。意外なことに、これがプロ初の三塁打。ヤクルトとの開幕戦(25日、京セラ)まで、あと1週間。同じ球場で、堂々と打線の中心としての役割を果たした。グングン伸びた打球はジャンプした中堅のD4位・渡部(慶大)のグラブに当たって、グラウンドに落ちた。佐藤輝が同級生で、昨季のパ・リーグ投手部門のタイトルを総なめにした山本から同点に追いつく〝プロ初三塁打〟を放った。「もう(日本)最高峰のピッチャーなので。甘い球はほとんど来ない。しっかり一発で仕留めることができてよかった」三回までパーフェクトに抑えられていた。0-1の四回2死一塁。カウント2-1からの4球目、128キロカーブを振り抜いた。二回先頭では外角へのフォークで空振り三振に倒れていたが、山本から通算4打席目で初めて快音を響かせた。「(体が)反応してカーブを打ちました。ランナーがいる場面でしたので、よかった」昨年の開幕直前の3月19日のオープン戦(京セラ)。大卒新人だった佐藤輝は、高卒5年目にして最多奪三振などタイトルも獲得し、チームを代表する投手となっていた山本の前に2打数無安打、1三振。フォークにバットは止まらなかった。それから1年。直球との球速差が30キロもあるカーブに対応した。同級生に成長した姿をみせて、胸を張った。春季キャンプからアピールを続けて開幕4番が決定的。日本を代表するエースからの一打は、さらに大きな自信となったはずだ。2年目の飛躍へ。確実性を高めるべくオフから遠くへ飛ばすことより、バットの芯に当てることを意識して打撃練習に取り組んできた。その影響もあってスタンドインする打球が激減したが、ここにきて打球も高く、そして遠くへ飛ぶようになった。15日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)で右翼席にオープン戦43打席目で初アーチを放つと、翌16日には中堅左のテラス席へ。「結果としてホームランになると、乗っていけると思う」と声を弾ませた。この日の試合前練習でもパワフルな打撃を披露。26スイングで6本の柵越え。うち1本は右翼6階席にほうり込む特大弾だった。打球が上がり始めると、山本からはプロ初の三塁打だ。「しっかりと、いい構えができているからじゃないですかね」佐藤輝が口火を切って今年初の関西ダービーを白星で飾り、オープン戦は3引き分けを挟んで6連勝。矢野監督は「(山本は)やっぱりいいピッチャーだよね。その中でも捉えた打球は結構あったと思う。みんな状態は上がりつつあるような感じで臨めている」と上機嫌だった。オープン戦も残り2試合。1週間後の25日、京セラドームで昨年のセ・リーグ覇者・ヤクルトを迎え撃つ。「自分のやることをやって、いい準備をしていきたい」。虎の新4番は、山本撃ちで気分よく、2年目のシーズンに向かう。(三木建次)★阪神・佐藤輝vsオリックス・山本由伸VTR 同じ1998年世代(佐藤輝は99年3月生まれ)の2人の初対決は、昨年3月19日のオープン戦(京セラ)。6番が定位置だった佐藤輝は初めて「5番・右翼」でスタメン出場も、先発した山本の前に一回の1打席目は150キロカットボールを打つも、フェンス手前で失速して右飛。三回の2打席目は空振り三振に倒れた。ただ、思い切りのいいフルスイングに山本は「ルーキーとは思えない素晴らしい打者」と賛辞を贈った。

◆阪神・藤浪晋太郎投手(27)がオリックス戦(京セラ)に先発し、5回4安打2失点(自責1)。試合後、矢野燿大監督(53)は、新型コロナウイルスの陽性判定を受けた青柳晃洋投手(28)に代わる開幕投手に指名した。指名の受け方も、状況も去年とは全く異なる。1週間前に突如、2年連続の開幕投手を託されても藤浪は自然体だった。意識せずとも160キロを投じ、昨季のパ・リーグ覇者を相手に耐えた。「もともと青柳さんって決まっていた。それがこういうアクシデント、こういうご時世で仕方がないことですし。あまり気負わずに、〝開幕代行〟なので力みすぎず、かからないように落ち着いて入れればと思います」開幕投手に決まっていた青柳に、新型コロナウイルスの濃厚接触者の疑いが浮上したのが16日。球団独自の判断で自主隔離となり、17日に受けたPCR検査で「陽性」と判定された。当初、開幕2戦目となる26日のヤクルト戦へ向け調整を進めていた藤浪は、中5日でマウンドへ向かった。一回からボールに気合を込めた。先頭の福田への6球目は160キロをマーク。スタンドのファンを驚かせると、直後にスプリットで二ゴロに打ち取った。続く後藤も二ゴロ、吉田正は右飛。二回に四球と安打で走者をためても、最少失点で切り抜けた。直球を軸にカット、スプリットで詰まらせ、スライダーとカーブで緩急をつけた。再三のピンチを耐えて5回4安打2失点(自責1)だ。五回1死から吉田正の打球が足に当たり、ヒヤッとする場面もあったが、ベンチへ戻ると矢野監督が「足、大丈夫か? 開幕、行けるやろ? じゃあ行くぞ」と告げられた。藤浪は試合後「〝開幕カード行けるか〟か、どっちの意味か自分でも(笑)。あまりに突然来たんで。重くはとらえてなかった」と笑顔で振り返った。昨季の開幕投手はLINEのアツいメッセージで伝えられたが、チームが不測の事態に見舞われた今季は直接〝あうんの呼吸〟で受け止めた。指揮官は「ある意味、去年よりも手応えとか自信というのを持ちながら臨めるシーズンになってるんとちゃうかな」と成長を実感した。藤浪は青柳からも『ごめんね、頑張ってね。申し訳ない』とLINEでメッセージを受け取ったと明かし「2週目以降、戻ってきてくれると思うので、それまでいい流れでつなげたい」。平常心。だが、静かに燃える「3・25」になる。(長友孝輔)

◆球界屈指の好投手に食らいついた。阪神のD4位・前川右京外野手(智弁学園高)が放った打球は左前へ。オリックス・山本からHランプをともした。「ワクワクというか、楽しみもあったので、振って学んでいくという姿勢は変わらずに、振っていけたので良かった」五回無死一塁。カウント1―2から山本の122キロのカーブにバットを合わせた。打球は左前にポトリ。高卒ルーキーが昨季の沢村賞投手に、一矢を報いた。オープン戦初出場となった13日の巨人戦(甲子園)で2安打も、そこから2試合無安打。10打席ぶりのヒットに「少しホッとした」と笑み。高卒新人にとって、全てが勉強だ。試合前練習ではオリックス・吉田正の打撃に目をこらし「頭が全くブレていなかった」と目を丸くした。矢野監督も「(山本は)今、日本で一番いいピッチャー。それを経験させてあげたかった。1本出ただけでもたいしたもの」とヒットをたたえた。「1軍でずっと活躍されている選手のプレーを生で見られて、勉強になります。一日一日収穫があって、勉強させてもらっています」と前川。先輩から吸収して、どんどん成長していく。(菊地峻太朗)

◆来日後2試合目の登板となった新外国人のケラーは八回の1回を無失点に抑えた。1死で代打・中川圭をフルカウントからカーブで空振り三振に斬り「ストライクを投げないといけない場面で三振が取れるのはいいこと。シーズンに向けていい準備ができている」と充実の表情。矢野監督も「投げるたびによくなっている。ひと安心」とうなずいた。次は22日からのウエスタン・オリックス3連戦(杉本商事BS)で登板予定だ。

◆紅白戦から常にスタメン出場していた大山が、今春初めてベンチスタートとなった。九回に代打で出場して四球を選び、代走・江越を送られた。矢野監督は「こんな状況だから、いろいろなことを考えてね。コロナもあるし」とオプションの一部であることを示唆。さらに「いつも出ている選手が、出ていない悔しさ(を感じること)もあると思う」と語った。大山はオープン戦は12試合に出場して打率・190、0本塁打、4打点と調子が上がっていなかった。

◆育成枠左腕の岩田が2番手で六回に登板。宗を右飛に打ち取ると、紅林を見逃し三振、ラベロを一飛に抑えた。16日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)に続いて1回を無失点に抑え「前回は制球を重視して投げてよかったので、今日もそこを意識して投げた。継続していけるように頑張っていきたい」と語った。矢野監督も「岩田、渡辺、2人とも頑張っている。1軍で通用する選手」と高く評価した。

◆朝から高校野球を3試合見て、夜は阪神のオープン戦かぁ。さあ、大好き(?)な野球を満喫しよう...とノーテンキな計画を立てて迎えた3月18日。ところが、早朝からすごい雨が降っていた。午前7時過ぎ。「高校野球中止の速報を出しました」担当の須藤佳裕が社内の連絡メールに一報を入れていた。こんな時間から働いているんだ、エライなぁと驚きつつ、わがノーテンキ計画が水泡に帰したことにガッカリ。開幕するはずだったウエスタン・リーグも、1試合が雨で中止。水を差された球春、といったところか。でも、1軍の試合はすべてドーム球場。ということで、6試合がすべて〝屋根〟のおかげで雨の影響も受けることなく開催された。開幕戦先発が有力視されるエース級の投手たちの調整も、スムーズだったようだ。昔は大変だった。ドーム球場なんて日本にはなかった時代。最終調整となる1週間前の登板が雨で流れると、監督が投手コーチと長~い時間を掛けて話し合い。翌日の先発はAをスライドさせて、先発予定のBは投球回数を短くして。Cは2軍戦に投げさせて...。懸命なローテの組み替え作業。囲み取材のため集まった報道陣は延々待たされたことも。雨が続けば、担当記者が懸命に取材して割り出した開幕ローテが、根底から覆ることさえあった。まだ、予告先発が導入されていない時代。呆然としたこともある。今から34年前の3月18日。日本で最初のドーム球場、東京ドームがこけら落としを迎えた。ビッグエッグの愛称を持つこの屋根付きスタジアムで最初に行われたのは巨人-阪神戦。始球式は、前年に引退した巨人のエース江川卓。投げ込んだ相手はタテジマの主砲・掛布雅之...。話が逸れたが、ドーム誕生で、開幕直前の調整が一気に分かりやすくなった。東京ドームに続いて、福岡に、名古屋に、大阪に...という具合に、今では12球団のうち6球団の本拠地が、雨天中止のないドーム。つまり、開幕1週間前は全チームが安心して調整できる環境が整っている。「確かにそうなんですが、まさか開幕投手の取材を2回もするとは思いませんでした」そうボヤいていたのはトラ番キャップ・長友孝輔だった。キャンプ以来、本命・青柳に絞って、その投球内容を眺めながら、関係者の発言で裏どりを固めて...。やがて、矢野監督が「青柳」と公表。よし、これで別の取材に力を注げると安心していたら、コロナ禍が青柳を直撃する「まさか」-。再び「開幕投手は誰?」の取材に右往左往するハメに。「こんな事態になるのなら、矢野監督の開幕投手公表も、もう少し後ろにズラしてくれていたら、な~んて愚痴も言いたくなりますね」矢野監督だって、まさかこんな想定外が起こるとは思わなかったことだろう。グラウンド上では佐藤輝が〝日本のエース〟山本由伸からタイムリー三塁打。ピッチピチの高卒ルーキー前川も由伸撃ちの左前打。でも、指揮官も、トラ番キャップの視線も藤浪にくぎ付けだったはず。互いの立場は違うが、一番気になるのは「開幕投手」だから。

DAZN

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
楽天
922 0.818
(-)
-
(-)
59
(+1)
28
(+1)
2
(-)
7
(-)
0.268
(↓0.005)
0.000
(-)
2
(-)
DeNA
932 0.750
(↑0.023)
0.5
(↓0.5)
56
(+6)
35
(+1)
9
(+1)
11
(+1)
0.283
(↑0.006)
0.000
(-)
3
(-)
阪神
733 0.700
(↑0.033)
1.5
(↑0.5)
54
(+3)
36
(+2)
7
(-)
11
(-)
0.252
(↓0.002)
0.000
(-)
4
(1↑)
ソフトバンク
752 0.583
(↑0.038)
2.5
(↑0.5)
57
(+5)
52
(+1)
12
(+1)
9
(-)
0.251
(↑0.006)
0.000
(-)
5
(1↓)
ORIX
760 0.538
(↓0.045)
3
(↓0.5)
51
(+2)
41
(+3)
2
(-)
13
(+2)
0.253
(↓0.008)
0.000
(-)
6
(1↓)
日本ハム
662 0.500
(↓0.045)
3.5
(↓0.5)
40
(+1)
42
(+6)
13
(-)
4
(-)
0.212
(↓0.001)
0.000
(-)
7
(-)
中日
671 0.462
(-)
4
(-)
35
(+1)
40
(+1)
7
(-)
4
(-)
0.221
(↓0.004)
0.000
(-)
8
(-)
西武
561 0.455
(-)
4
(-)
32
(+1)
33
(+1)
8
(-)
10
(+2)
0.229
(↑0.001)
0.000
(-)
9
(-)
広島
581 0.385
(↓0.032)
5
(↓0.5)
36
(+1)
62
(+5)
5
(-)
2
(-)
0.233
(↓0.002)
0.000
(-)
10
(1↑)
巨人
482 0.333
(↑0.06)
5.5
(↑0.5)
32
(+7)
54
(+5)
14
(+2)
3
(+1)
0.211
(↑0.006)
0.000
(-)
11
(1↓)
ロッテ
382 0.273
(↓0.027)
6
(↓0.5)
36
(+5)
46
(+7)
9
(+3)
9
(-)
0.219
(↑0.004)
0.000
(-)
12
(-)
ヤクルト
392 0.250
(-)
6.5
(-)
35
(+1)
54
(+1)
2
(-)
12
(+1)
0.226
(-)
0.000
(-)