阪神(2対2)広島 =オープン戦2回戦(2022.03.09)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:-
敗戦投手:-
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◆阪神は、近本が2安打を放つ活躍。シーズン開幕に向けて、コンディションの良さを示した。一方の広島は、先発・玉村が安定した投球で4回無失点。開幕ローテーション候補の3年目左腕が、アピールに成功した。

◆阪神の2人の助っ人が逆転に導いた。6回裏1死一塁、まずはジェフリー・マルテ内野手(30)が、右腕小林の146キロ直球を捉え、右翼への適時二塁打。スタートを切っていた一塁走者小幡が一気に本塁に生還し、同点に追いついた。 その後1死満塁となり、6番メル・ロハス・ジュニア外野手(31)が左打席でライトへの犠飛を放ち、勝ち越しに成功した。ロハスは、5回には右打席で中前打を放ち出塁。次打者小野寺の打席で、広島黒原の暴投の間に、一塁から一気に三塁を陥れていた。バットだけでなく隙のない走塁でもアピールし、開幕左翼スタメンへ存在感を示した。

◆開幕2カード目31日広島戦での先発が濃厚な阪神先発の秋山拓巳投手(30)が4回2安打1失点(自責0)で前哨戦を終えた。「もうひとつ、もうふたつという感じ」と本人も納得の内容とはいかなかったようだが、チェンジアップなど持ち球を全部試した。 初回、1番大盛にいきなり左翼へ二塁打を許し、続く菊池涼は投手前へバント。処理した秋山は送球を打者走者の菊池涼に当ててしまい、白球がファウルグラウンドを転々としている間に二塁走者大盛が生還。自らのミスで先制点を許してしまった。3年連続2桁勝利を狙う右腕は、気持ちを切り替え、以降はアウトを重ね、2回、3回も3者凡退。4回は2死三塁のピンチも最後はこの日最速137キロ直球で堂林を三ゴロに仕留め追加点は許さなかった。降板後はブルペンでさらに投げ込んだ。「一番軸にしている真っすぐの感覚がよくなかったので、きっかけをつかみにいきました」と話した。昨季の10勝のうち半分の5勝を広島から白星をつかんだ。今季も広島キラーぶりを発揮してくれそうだ。

◆ソフトバンクから移籍した阪神育成渡辺雄大投手(30)が5回から2番手で登板し1安打無失点と好投した。 先頭の右打者、中村健人外野手(24=トヨタ自動車)は内角へスライダーを食い込ませ三ゴロ。そこから左打者が続き、変則サイド左腕の力が試された。育成持丸は内角低め136キロ直球で空振り三振。羽月には左中間二塁打を許したが、大盛を遊ゴロに打ち取った。「前回は少し難しく考えてしまい、狙い過ぎて四球を出してしまったので、今日はシンプルに考えて投球をすることを意識しました。全体的にはやりたいことはできたのかなと思います」とコメントした。前回4日楽天戦では移籍後初の甲子園に緊張したのか制球が定まらず1回1安打2四球2失点で敗戦投手となっていた。次のチャンスで結果を残し、目標の支配下登録、開幕1軍へつなげた。

◆開幕ローテーション入りを決めた! 広島玉村昇悟投手(20)が阪神とのオープン戦(甲子園)に先発。阪神打線を散発2安打で、4回無失点に封じた。佐々岡真司監督(54)は左腕の快投に、開幕ローテーション入りを示唆。開幕2カード目の同戦(マツダスタジアム)3戦目に先発することが濃厚だ。3年目の玉村は自身初の開幕ローテーション入りへ懸命に腕を振った。覚悟は厳しい内角攻めに表れた。初回1死三塁で昨季22発のマルテを迎えた。カウント1-2から内角低めに144キロ直球。惜しくもボールだったがきわどいコースだった。2-2とし、同じコースにスライダーをもう1球続けた。「(内角を)見せておかないと、踏み込んで来られる」。最後は外角に131キロチェンジアップで二飛に料理。「コーナー、コースに投げ切るというのを(登板)前から決めていたのでそこはできてよかったかなと思う」。ベース板を左右に広く使い、好打者たちを仕留めた。開幕ローテーションの空きは、残り2枠だった。開幕投手内定の大瀬良のほか、九里、森下、床田はすでに当確。この日の4回無失点の好投で、佐々岡監督は「(先発)5、6番目がいなかった中で前進はした。6番手を2人(小林、遠藤)で争わせる」と玉村の開幕ローテ入りを示唆した。母校の後輩たちを勇気づける投球でもあった。丹生(にゅう)は18日開幕のセンバツに21世紀枠で甲子園に初出場する。「今度ここ(甲子園)で試合をするのでいい投球、いい試合をしてほしいですね」。左腕は聖地初出場を記念し、選手に約1万円のジャージーを30着ほど贈った。「部員の方たちに気に入ってもらえたらいいと思う」。1人のOBとして、太っ腹なプレゼント。聖地での躍動を願った。玉村は3年目で自身初の開幕ローテーション入りをつかんだ。順調にいけば、左腕は開幕2カード目の阪神戦(マツダスタジアム)3戦目の登板が濃厚。「やっと今日アピールできた。これからまたやるべきことをしっかりやりたい」。シーズンでも再び猛虎打線を手玉に取る。【前山慎治】

◆広島ドラフト6位末包昇大(すえかね・しょうた)外野手(25=大阪ガス)が17打席ぶりに安打を放った。##head##4回1死で、阪神秋山の高め直球を右翼線に落とし二塁打。「ようやく(ヒットが)出た。(試合に)出る以上は結果を出さないといけない。今やっていることは間違っていない」。佐々岡監督は「もう少し我慢して使ってみる」と今後もスタメン起用を継続する方針を示した。

◆広島ドラフト1位の黒原拓未投手(22=関学大)が「凱旋(がいせん)登板」で1回無失点と好投した。 関学大4年春以来となる甲子園のマウンドに5回から上がった。先頭ロハスに中前打を許し、暴投で無死三塁となったが、後続を打ち取り、無失点。「なんとか失点しないように丁寧に投げられた」。前回登板の3日DeNA戦(横浜)では左手に打球を受け、大事を取って途中交代していたが「全く問題ない」と結果で示した。

◆広島中崎翔太が回またぎの登板で復調をアピールした。2-2の8回から登板。2イニングとも先頭を安打で出塁させたが後続を断ち、無失点に抑えた。 「(先頭を出したのは)本当にダメなことだと思う。2イニングともボールから入ってしまった。そこは変えないといけない」。3年連続胴上げ投手はセットアッパー候補の1人。オープン戦は2試合で3回無失点と安定している。▽広島小林(6回から登板し1回3安打1四球2失点)「技術的に足りないところが多い。(先発)ローテーションに近づいたとは思えない」

◆虎の助っ人コンビが状態を上げてきた。1点を追う6回1死一塁。まずは3番マルテが右腕小林の146キロ直球を捉え、右翼への適時二塁打を決めた。 スタートを切っていた一塁走者小幡が一気に生還。マルテにとってオープン戦7試合目での初打点となった。その後1死満塁となり、6番ロハスが左打席で右翼への犠飛を放ち、一時は勝ち越しに成功。打線の軸を期待される2人が全2得点をたたき出し、開幕に向けてエンジンがかかってきた。ロハスは、5回には右打席で中前打を放ち出塁。次打者小野寺の打席で、広島黒原の暴投の間に、一塁から一気に三塁を陥れた。バットだけでなく、走塁でもアピールした。キャンプから低空飛行を続けてきたが、前日8日からの広島2連戦で3安打4打点。糸井らと左翼を争う2年目は「積極的に打ちにいく中で、捉えられる確率を上げていけるようにやっていきたい」とさらなる上昇を期した。

◆阪神近本光司外野手が順調な調整を証明するマルチ安打を決めた。 いずれも左腕玉村からで、初回は2球目をたたいて左前打、3回には初球打ちで二塁強襲の安打とした。初回の守備では、大阪ガスの後輩でドラフト6位新人の4番末包昇大外野手(25)の右中間の飛球を球際でキャッチ。攻守で存在感を出し「全てにおいて、個人としてもチームとしても最善の準備をするだけです」と冷静に話した。

◆虎の22年版勝利の方程式に光が見えた。阪神4年目右腕の湯浅京己(あつき)投手(22)が2回パーフェクトで、新セットアッパーに名乗りを上げた。広島戦に6回から3番手で登板。先頭菊池涼を137キロフォークで空振り三振に仕留めると、その後もこの日最速150キロの直球とのコンビネーションで24球で料理。今季初の複数イニングもこなし「ストライク先行で良い感覚だった」と胸を張った。オープン戦は3試合4イニング無失点、防御率0・00の安定感だ。 前日8日は、小野が1イニングを7球で3者凡退に抑えるなど、こちらもオープン戦は3回自責0と安定。キャンプ中はアピール不足だった中継ぎ右腕たちが一転、日替わりで好投を見せている。矢野監督は「小野も、湯浅も今日ぐらい投げる力がある。勝ちパターンも、もちろんいけると思っている」と両右腕を高評価。「スアレスが抜けた後の中継ぎの穴が課題の中で、若いやつが出てきてほしい中で、小野と湯浅が出てきてくれるのは頼もしく思う」。指揮官がキャンプから期待をかけてきた2人が、1歩抜け出す形となった。新守護神候補は6日に来日した新助っ人のケラーと岩崎で、万全なら2人で8、9回を任せられる。開幕まで約2週間。オープン戦2試合連続無失点中の石井、中継ぎに再転向した及川らを含め「7回の男」を巡る争いはますます熱くなっていく。指揮官は「JFKみたいな圧倒的なパターンがあればいいけど、そこまでは到達していない。全員が勝ちパターンに入る、そういう投手陣を作りたい」と力を込めた。今季は延長12回制が復活し、救援陣の優劣も勝敗に直結する。誰が勝ち抜けるのか、熱い中継ぎバトルからも目が離せない。【中野椋】

◆開幕4番が有力な阪神佐藤輝明外野手が、2試合ぶりの無安打に終わった。 5試合連続で4番に座り、右翼で出場。第1打席は左腕玉村の外角低めのスライダーで空振り三振。2打席目は外角高めの速球に手が出ず、見逃し三振を取られた。第3打席は四球を選んだが、最終打席は中飛。それでもオープン戦打率3割3分3厘はチームトップで、そろそろ1号本塁打が待たれる。

◆両軍のスターティングメンバーが発表された。阪神の先発は秋山拓巳投手(30)。昨季は5勝(3敗)をあげ、防御率1・97と〝お得意様〟の広島打線を相手に快投する。

◆「1番・中堅」で出場した阪神・近本光司外野手(27)が三回、この試合早くも2安打目となる内野安打を放った。広島の先発・玉村の107キロ変化球をとらえると、鋭い打球が二塁手・羽月を襲った。二塁強襲の内野安打で出塁。一回の第1打席は左前打と快音を響かせていた。近本はこの日の試合前の時点でオープン戦の打率・250(12打数3安打)。3月25日の開幕戦に向け、虎のリードオフマンが状態を上げてきている。

◆今年も鯉キラーは健在だ。先発した阪神・秋山拓巳投手(30)は4回を投げて2安打1失点(自責0)にまとめた。公式戦初登板が予想される開幕2カード目となる30日の同戦(マツダ)に向けて順調な仕上がりをアピールした。これまでの実戦で封印していた勝負球のフォークを駆使。本番を想定し、真骨頂の緩急を使い分けて相手打者に的を絞らせなかった。一回、先頭の大盛に二塁打を許し、続く菊池涼の送りバントを処理した秋山が一塁へ悪送球。先取点を奪われたが二回、三回と三者凡退。四回2死三塁のピンチも堂林を外角低めの直球で三ゴロに仕留めた。秋山は昨季10勝(7敗)を挙げたが、広島から5勝3敗、防御率1・97と相性抜群で「去年、抑えてきたチームなので、向こうは『今年は...』という思いもあると思う」と話していた。

◆阪神のメル・ロハス・ジュニア外野手(31)が五回に3試合連続安打となる中前打を放った。0-1の五回先頭で打席に向かうと、広島のD1位・黒原(関学大)の129キロ変化球をとらえた。続く小野寺の打席では、暴投の間に一気に三塁へ進む激走もみせた。オープン戦序盤は結果の出ていなかったロハスだが、6日の楽天戦(甲子園)で中越え二塁打を放つと、8日の広島戦(甲子園)では2安打3打点の活躍。これで3試合連続安打と、左翼の定位置奪取へ必死のアピールが続いている。

◆広島・玉村昇悟投手(20)が4回55球を2安打無失点、2三振無四球の好投。プロ3年目で初の開幕ローテ入りへ大きく前進した。最速145キロの直球にスライダー、カーブ、シュートの緩急を使い、阪神打線に的を絞らせなかった。近本に唯一の2安打を許したが、主軸のマルテ、佐藤輝、大山を無安打に封じるなど二回以降は1安打と危なげなかった。前回2日のDeNA戦(横浜)は3回5安打5失点だったが、わずか1週間で見違えるほどの投球を披露。残り2枠を争うD2位・森(三菱重工West)が8日の阪神戦(同)で1回もたず?を5安打7失点と精彩を欠く中、昨季4勝を挙げた福井の丹生(にゅう)高出身のニューヒーロー候補が存在感を発揮した。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(30)が六回に同点の適時二塁打を放った。0-1の六回、広島は高卒2年目の小林がマウンドへ。1死から糸原が左前打を放つと、代走・小幡が送られた。マルテはカウント1-2から4球目、144キロを右翼線へ。スタートを切っていた小幡が生還し、同点に追いついた。マルテはソロを放った2月24日の紅白戦(宜野座)以来の打点。今季初タイムリーだった。さらに佐藤輝が四球、大山が左前打でつないでなおも1死満塁の好機。最後はロハスが右犠飛を放って逆転した。虎の助っ人コンビがそろって結果を残した。

◆4番手でマウンドに上がった阪神・馬場皐輔投手(26)がノーヒットで1点を献上した。2-1の八回のマウンドへ上がると、1死から羽月に四球。大盛は遊ゴロに打ち取り、2死二塁とした。続く菊池の初球が暴投となり、2死三塁。さらに、ボークをとられ、羽月が同点のホームを踏んだ。馬場はこれで登板したオープン戦3試合すべてで失点。また課題の残る内容となった。

◆広島のドラフト1位・黒原拓未投手(22)=関学大=がプロ入り後初の甲子園凱旋登板を1回1安打無失点で飾った。1─0の五回に2番手でマウンドへ。先頭・ロハスに中前打、さらに暴投と相手の好走塁で三塁まで走者を進めてしまうが小野寺、坂本、熊谷を打ち取って無失点に抑えた。甲子園は関西学生リーグの舞台で、智弁和歌山高時代の3年夏にも登板経験がある。前回3日のDeNA戦(横浜)は打球が左手に当たり不本意な降板となったが、思い出の球場で開幕1軍を力強くアピールした。

◆阪神は2-1の八回、馬場のボークで同点に追いつかれ、開幕2カード目(3月29日~31日)で戦う広島相手にオープン戦連勝はならず。1勝1分けに終わった。0-1の六回、助っ人コンビのバットで試合をひっくり返した。まずは1死一塁からマルテが今季の実戦初タイムリーとなる右翼線への同点二塁打。なおも1死満塁とし、前日2安打3打点と活躍したロハスが勝ち越しとなる右犠飛を放った。先発した秋山は4回2安打1失点(自責0)にまとめると、五回は変則左腕の育成枠・渡辺が1回無失点。六回から登板した湯浅が2回、打者6人をピシャリ。九回は及川が無失点に抑えるなど、ここにきてリリーフ陣の開幕1軍争いが熾烈になってきた。

◆阪神の秋山は丁寧な投球で打たせて取り、4回1失点と好投した。近本は2安打に、外野守備でも快足を飛ばして好捕と状態を上げてきた。広島の玉村は走者を背負っても落ち着いて後続を断ち、4回無失点だった。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(30)が六回に適時二塁打を放ち、オープン戦初打点をマークした。「いつもいい状態で打席には立てている。これを続けてシーズンに向けてやっていくだけ」1死一塁から広島の高卒2年目・小林の144キロを右翼線へ運んだ。本塁打を放った2月24日の紅白戦(宜野座)以来の打点。今季初タイムリーだった。虎在籍4年目を迎えた助っ人は、練習中からロハスと会話をする姿も目立つ。「いい同僚。そういう意味では試合の状況であったりとか、それを日々シェアできたらなと思っています」。助っ人野手コンビも一丸となって開幕へ向け準備を整えていく。

◆阪神・湯浅京己投手(22)が3番手として六回から登板し、2回3三振を奪って、無失点に抑えた。矢野耀大監督(53)は小野泰己投手(27)と並んで高く評価した。試合後の一問一答は以下の通り。ーー秋山は初回の失点(先発で4回1失点)こそあったが「キャンプから自覚もある。しっかりやってくれているのを結果で出している。俺がすごいなと思ったのはサードのバックアップとか深くまで行っている」ーー湯浅も2回を投げて中身があった「これぐらいの投球ができると思っている。能力高い。今日のボールであれば、バッターが誰に変わろうが、結果が変わるようなボールじゃなかった。若いヤツが出てきてほしい中で、小野と湯浅が出てきてくれるのは頼もしく思う」ーー七回の起用は「七回が誰とか八回が誰とか相手のこともある。誰が行ってもいい。去年から言っているように、勝ちパターンだけじゃない勝ち方がウチは必要。全員が勝ちパターンに入る投手陣を作りたいなと思います」ーーロハスは内容も良くなってきた「結果が出ると余裕も出る。打ってるポイントとかスイングがよくなりつつある感じ。今まではポイント自体がずれているアウトが多かったけど、久しぶりの左打席やったけど、いい感じで打っていた」ーー藤井康1、2軍巡回打撃コーチが2軍へ行ったが、前川や高山らも見てもらえる「前川に関しては今、何かやるというよりは見守って。あいつの力でまず勝負することが大事な。逆に何年かやってきた選手が考えるというか。俊とか陽川とか迷っている選手たちに、声をかけてもらえればヒントになることは十分あると思う」ーーガンケルについて金村投手コーチが「開幕に間に合わないと思う」と「俺も今の状態から開幕に間に合うかなっていうのはどうかなと思っている。俺も慌ててという気持ちはない。状態が上がったらと思っているぐらいで」

◆阪神の近本が攻守で活躍した。一回にサウスポー玉村の直球を左前へ打ち返すと、三回は浮いたカーブをたたいて二塁強襲の安打。「初球を大切にしている。捉えることができて良かった」と満足げだった。中堅の守備でも一回に右中間へ抜けそうな打球に追い付き、好捕。自慢の快足でピンチの芽を摘み「球際をうまく捕球できた。シーズンでもああいったプレーができるように準備していきたい」と力強く言った。

◆広島のドラフト6位ルーキーの末包(大阪ガス)が17打席ぶりに快音を響かせた。四回に秋山の外角速球を逆らわずに右翼線に二塁打。「ようやく出たという感じ」と胸をなで下ろした。一回の第1打席は近本の好守に阻まれたものの、右中間に鋭い打球を放った。不振でも4番で起用され続けた期待のスラッガーは「1年目だろうが、何歳だろうが結果を出さないといけない世界」と頼もしかった。

◆広島のドラフト1位新人の黒原(関学大)は五回から2番手で登板し、粘って1回無失点。「決め球の精度をこれから磨いていかないと」と反省が口をついて出た。ロハスに中前打、暴投で三塁まで進まれたが、小野寺を速球で押して二飛。続く坂本を三ゴロ、熊谷を遊ゴロに打ち取った。前回3日の登板で打球を左手に受け、負傷交代したが問題はないという。智弁和歌山高時代は甲子園大会に出場。「思い出のある球場」と感慨深げだった。

◆切り込み隊長の〝早業〟はさすがだった。1番で出場した近本がマルチ安打で貫禄を見せた。「初回の打席、特に初球は大切にしているので、そういう意味では捉えることができて良かった」一回先頭で先発・玉村の2球目を左前へはじき返し、その後相手の暴投とゴロで三進。三回は初球に反応して二塁強襲の内野安打で好機を演出した。昨季の初球打率は.448(96打数43安打)という数字が示すように、この日も追い込まれる前に仕留める積極性が光った。オープン戦ではここまで同.313(16打数5安打)と開幕に向けても調整は順調の様子。「全てにおいて、個人としてもチームとしても最善の準備をするだけ」。打線に欠かせない男が今年も先頭で引っ張る。(織原祥平)

◆ソフトバンクから加入した30歳の育成左腕、渡辺が0-1の五回に登板し、1回を1安打無失点に抑えた。「前回は少し難しく考えてしまい、狙い過ぎて四球を出してしまった。きょうはシンプルに考えて投球することを意識した」。前回4日の楽天戦(甲子園)では1回2安打2失点と結果を残せなかったが、矢野監督は「きょうの投球はしっかりした内容だった。これを続けてほしい」と評価した。支配下登録、そして開幕1軍へのアピールは続く。

◆MRアベック打点! 阪神のジェフリー・マルテ内野手(30)がオープン戦初打点となる適時二塁打を放ち、メル・ロハス・ジュニア外野手(31)も3試合連続安打に右犠飛で2試合連続打点とアピールした。助っ人コンビが打点をマークすれば昨季は2戦負けなし。虎を支えるMR砲が開幕に向けて状態を上げてきた。) 助っ人野手コンビが目覚めの気配を漂わせた。今年も虎が〝負けない〟条件はマルテとロハスのアベック打点? 口火を切ったM砲は胸を張った。「ボールを強くたたくことだけを意識していた。いい状態で打席には立てているので、これを続けてシーズンに向けてやっていくだけだよ」0-1の六回1死一塁。広島の高卒2年目右腕・小林の146キロを逆方向へたたいた。右翼線に弾む同点の適時二塁打は今季オープン戦初打点&初タイムリー。ベンチから送られた声援に右手をあげて応えた。M砲に続いたのがもう一人の助っ人・ロハスだ。なおも1死満塁から飛距離十分の右犠飛で三走・マルテに一時勝ち越しのホームを踏ませた。R砲は五回先頭で広島のD1位・黒原(関学大)から中前打も放っており、これで3試合連続安打&2試合連続打点。「沖縄からいろいろ取り組んできたなかで、すぐに結果は出なかったけれど、いまはいい感覚になってきている」と浮上のきっかけをつかんでいる。阪神打線は5試合連続で佐藤輝を4番に据えた。主砲になるべき技量と器を兼ね備えた男だが、足りないのは4番としての経験値。勝敗の責任を一手に背負わせるのも酷だ。そこで頼りになるのは脇を固める助っ人の力。MR砲の状態が上がれば上がるほど「4番・輝」は伸び伸びとバットを振ることができる。やはり、マルテとロハスの支えは必要不可欠だ。助っ人コンビは練習中から頻繁に会話を交わす姿も目立つ。マルテは「(ロハスは)いい同僚。試合の中でいろいろ状況が変わるので、それを日々シェアできたらなと思っているよ」とうなずいた。昨季、アベック打点をマークした試合は1勝1分け。思いは一つ。俺たちは虎を優勝させるためにやってきた! 頼もしいMR砲が、2022年も〝不敗神話〟を積み重ねていく。(原田遼太郎)

◆八回2死三塁、阪神・馬場皐輔投手(26)がボークをとられ、同点に追いつかれた。球団OBの八木裕氏(56)=本紙専属評論家=は「一回は悪送球。八回は暴投とボーク。すべてミスから生まれた失点。開幕までにもう一度、チェックし直す必要がある」と無駄な失点に苦言。守備の乱れで昨年の優勝を逃した虎に、改めて備えの必要性を説いた。) オープン戦で浮き彫りになった課題は、必ず開幕までに修正していかなければならない。この日の試合でいえば、失点した場面だ。先制された一回の1点は、秋山の一塁への悪送球。追いつかれた八回の1点は二塁走者を暴投で三塁へ進まれ、さらにボークで生還させてしまった。防げるミスだったと思う。この日の失点はすべてミスが絡んだ。キャンプから何度も練習はしてきたであろうが、もう一度、チェックし直す必要がある。最近の傾向で、シーズンに入るとシートノックの回数が減ってしまう。どうしても投内連係の確認をする機会も減りがち。だから、開幕までの試合のない日に、もう一度入念に練習、確認することが大事だ。オープン戦とはいえこの2失点を防いでいれば、勝っていた試合。無駄な失点をなくすことが、昨年わずかの差で逃した優勝への近道になる。もう一つ、この日の広島先発・玉村対策もしっかりしておくべきだろう。昨年も2勝を献上してしまった。苦手になりかけている投手。独特のフォームで、腕が遅れて出てくる。どうアジャストしていくか、映像、データを徹底分析して開幕までに対策は練る必要がある。開幕2カード目で対戦するが、間違いなく先発してくる。投内連係。苦手投手克服。いずれも大事なのは準備。はっきりした課題は開幕前に解消してほしい。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆矢野チルドレンが救う!! 阪神は9日、広島戦(甲子園)に2-2で引き分けた。開幕へ向け投手陣に誤算が相次ぐ中、矢野燿大監督(53)は3番手で2回無失点の好投を見せた4年目の湯浅京己(あつき)投手(22)を絶賛。矢野チルドレンたちの力で、苦しい台所事情が一転。「全員勝ちパターン」のブルペンができ上がる。サバイバルではない。何人もが生きて、苦しむチームを生かしてくれると信じる。矢野虎最終年を支えるのは、チルドレンだ。代表格の湯浅が2回0封、3三振を奪う完全投球を披露すると、将は褒めたたえずにはいられなかった。「これぐらいの投球ができるとずっと思っている。能力が高い。きょうのボールであれば、バッターが誰に代わろうが、結果が変わるようなボールじゃなかった」0-1の六回、3番手でマウンドに上がり、菊池涼を三球三振に斬った。高め146キロに、低めフォーク2球がさえた。西川は二ゴロ、売り出し中のD6位・末包(大阪ガス)も外角変化球で空振り三振。味方が2-1と逆転し、今春初のイニングまたぎに挑むとさらにギアを上げた。最速150キロで押し、七回1死からは堂林も落差のあるフォークで空振り三振。圧巻の6人斬りでオープン戦3戦連続無失点に「ストライク先行で投げることができた。自分的にも投げていていい感覚だった」と振り返った。首脳陣にとって心穏やかな一日ではなかった。ガンケルは腰の張りが癒え切らずに開幕アウト。ブルペンを支えることを期待された岩貞も、左太もも裏の不調で鳴尾浜へ。開幕1軍は微妙となった。投手陣に暗雲が垂れ込めそうなところを、フレッシュな右腕が爽快に振り払った。この日は登板がなかった小野もオープン戦3戦無失点。矢野監督は「小野と湯浅が出てきてくれるのは頼もしい。勝ちパターンももちろんいける。もっと高いレベルの悩みを持たせてくれたら」と賛辞を止めなかった。 方程式は、浮かび上がりつつある。新外国人で守護神候補のケラーは10日にも練習に合流し、岩崎は8日の2軍シート打撃で今春初の実戦形式の登板を無事終えた。あとは七回に湯浅、小野らが入っていけば、というところだが、将の〝欲〟は止まらない。何人もが躍動する、若く強いブルペンを目指すからだ。昨年、シーズン終了直後のオーナー報告後の会見で「ヤクルトの高津監督を見ていると、1年間どう戦うかというところを、やり切った結果なのかな」と、投手陣のやり繰りの必要性を痛感したことを明かしていた。開幕時に誰が七回を投げるかということより、七回を投げさせたい男が何人もいることが、シーズン終盤のチームを生かす。「全員が勝ちパターンに入る、そういう投手陣を作りたい」まずは2人。さらに石井も及川も、まだ2軍にいる斎藤も...そこに加わってほしい。昨季は解けなかったVへの難問。思いを伝え続けてきたチルドレン全員で方程式を組み、必ず解く。(長友孝輔)

◆本紙専属評論家・八木裕氏が「ザ・オープン戦だねぇ」と苦笑いしておられた。開幕へ向けて、ベストメンバーで勝ちに行くわけでもない。伸びてきてほしい期待の若手を使うんだけれど、結果が出ない。春先だから(?)ミスも出る。開幕へ向けて、勝負を度外視して試すことだって多い。そういう条件が重なると、ピリッとしない、ドヨ~ンとした空気を醸し出す、不思議な試合展開になってしまう。甲子園の記者席にいる若きトラ番・原田遼太郎に電話して「これが太古の昔より、年に何度か出現してしまう、ザ・オープン戦だ」と説明したら、妙に納得していた。とはいえ、スタメンに開幕メンバーに近い選手が並んだ阪神に対して、広島は若手がズラズラと出ていた。両チームでここまでアンバランスも珍しいので、カープ番・柏村翔に聞いてみた。「4番候補の助っ人がまだ来日していません。もう一人の4番候補・坂倉はようやく週末のカードから登場予定です。佐々岡監督は、きょう(9日)までが若手のアピールのチャンスと言っていましたから」余裕を感じる、といえば感じるのだが、間に合うんだろうかと心配にもなった。ひょっとして、究極の最終兵器、あの男の復帰をひそかにたくらんでいるのではないか? 恐る恐る柏村に尋ねた。まさか、鈴木誠也は戻ってこないよな? 労使協定の交渉がもつれ、開幕延期になっているMLB。日本が誇る主砲の行き先も決まっていない。再びカープでプレーするのでは? という噂が駆け巡っているのだが、ウソだよな。 「確率は限りなく低いと思いますよ。最終的には本人の気持ちが一番なんですが...」柏村の取材を信じるとしても、あの男が戻ったら、カープは間違いなく優勝候補だ。虎にとって最も厄介な敵となる。あまり迫力を感じなかったカープ打線を眺めながら、「誠也さえ戻らなければトラが優勢か」と自分勝手な妄想を描いていたが、阪神だってピリッとしない。オープン戦7試合を終わって、3勝3敗1分。強いのだか、弱いのだが、イマイチ分からない。9日現在、オープン戦首位は2年目に勝負をかける番長・三浦監督率いるDeNA。2位はビッグボス新庄監督のよく分からない采配がさえわたる日本ハム。どちらも景気が良さそうだ。去年のオープン戦を覚えていますか? 阪神はメチャクチャ強かった。9勝2敗2分。オープン戦優勝で盛り上がったもんだ。シーズンに突入しても最初は好調だった。が、最後はヤクルトにまくられた。そのヤクルト、昨年のオープン戦は3勝9敗1分で最下位。関係ないのだ、オープン戦は。ふと、現在の順位を見たら...。ヤクルトはまた最下位じゃないか。嫌な予感がしないでもない。虎よ、締まっていこう! と叫んだ矢先にガンケル開幕絶望の知らせ。「これは痛いです。ゴロを打たせるガンケル。そのゴロを処理して、不安定な内野陣はリズムに乗るんです。彼がいないということは...」原田記者が言葉を飲み込んだ。待っているのは守乱なのか? そういえば「ザ・オープン戦」の2失点も守備の乱れだった-。

DAZN

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
DeNA
611 0.857
(↑0.024)
-
(-)
33
(+2)
19
(+1)
6
(-)
9
(+1)
0.307
(↓0.007)
2.380
(↑0.19)
2
(-)
日本ハム
512 0.833
(↑0.033)
0.5
(-)
24
(+6)
15
(+1)
8
(+2)
2
(-)
0.202
(-)
1.500
(↑0.21)
3
(-)
ソフトバンク
521 0.714
(↑0.047)
1
(-)
28
(+6)
19
(+1)
5
(+1)
4
(+1)
0.241
(↑0.014)
2.130
(↑0.16)
3
(-)
ORIX
520 0.714
(↑0.047)
1
(-)
29
(+2)
14
(-)
1
(+1)
8
(+2)
0.271
(↓0.004)
1.600
(↑0.27)
3
(-)
楽天
520 0.714
(↑0.047)
1
(-)
28
(+3)
19
(+1)
1
(-)
4
(+1)
0.233
(↑0.015)
2.800
(↑0.32)
6
(1↑)
阪神
331 0.500
(-)
2.5
(↓0.5)
28
(+2)
22
(+2)
3
(-)
7
(-)
0.240
(↑0.004
2.760
(↑0.3)
6
(-)
中日
440 0.500
(↓0.071)
2.5
(↓1)
23
(-)
23
(+2)
5
(-)
1
(-)
0.246
(↓0.006)
2.280
(↑0.04)
8
(-)
巨人
251 0.286
(↓0.047)
4
(↓1)
14
(+1)
25
(+6)
8
(+1)
1
(-)
0.171
(↓0.008)
2.910
(↓0.36)
8
(1↑)
広島
251 0.286
(-)
4
(↓0.5)
17
(+2)
37
(+2)
3
(-)
1
(-)
0.208
(↓0.011)
4.630
(↑0.4)
10
(-)
ロッテ
142 0.200
(↓0.05)
4
(↓1)
12
(+1)
20
(+6)
0
(-)
6
(-)
0.203
(↓0.006)
2.590
(↓0.47)
11
(-)
西武
150 0.167
(↓0.033)
4.5
(↓1)
9
(+1)
18
(+2)
3
(+1)
3
(-)
0.203
(↑0.013)
2.940
(↑0.13)
12
(-)
ヤクルト
161 0.143
(↓0.024)
5
(↓1)
12
(+1)
26
(+3)
1
(+1)
8
(-)
0.199
(↓0.005)
3.220
(↓0.02)