ヤクルト(★5対6☆)オリックス =日本シリーズ5回戦(2021.11.25)・東京ドーム=
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ORIX
00010121161401
ヤクルト
0101000305712
勝利投手:山岡 泰輔(1勝0敗0S)
(セーブ:平野 佳寿(0勝0敗1S))
敗戦投手:マクガフ(0勝2敗2S)

本塁打
【オリックス】ジョーンズ(1号・9回表ソロ)
【ヤクルト】村上 宗隆(2号・4回裏ソロ),山田 大樹(1号・8回裏3ラン)

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◆オリックスが接戦を制し、対戦成績を2勝3敗とした。オリックスは2-2で迎えた7回表、太田と代打・モヤの連続適時打で2点を挙げ、勝ち越しに成功する。その後同点を許すも、9回に代打・ジョーンズのソロが飛び出し、再びリードを奪った。敗れたヤクルトは、救援陣が精彩を欠いた。

◆オリックス 負けられない第5戦の先発は、今季自己最多の8勝をマークした14年ドラフト1位左腕、山崎福也投手(29)が予想される。 投げるたびにロジンをつけるしぐさが話題で「自分自身、結構、汗をかくので、それが1つのリズムになっている」とこだわりの投球ルーティンになっている。この日は東京ドームで調整。目標にしてきた初の大舞台で、チームを救いたい。

◆ヤクルトの全体練習で、宮本丈内野手(26)が2日連続で守備練習をこなした。三塁のポジションに入り、内川、荒木らとノックを受けた。 宮本は20日の第1戦に「8番・右翼手」でスタメン出場。0-0で迎えた2回2死一、二塁、右翼への痛烈な当たりをジャンプして捕球。勢いで後頭部をフェンスに強打し、うつぶせでグラウンドに倒れ込んだ。3回の守備には就いたが、4回の打席から退いていた。 第2、3戦の試合前練習には参加せず、ベンチ入りメンバーを外れていた。 第4戦の試合前練習では右翼のポジションに入り、フェンスにぶつかって衝撃を確かめるなど守備練習を行ったが、ベンチメンバーからは外れていた。

◆3勝1敗で日本一に王手をかけて第5戦に臨むヤクルトのスタメンが発表された。 先発は、プロ6年目右腕の原樹理投手(28)。12日のCSファイナルステージ第3戦で、打球を右手に受けて途中降板するアクシデントがあったが、問題はなかったようだ。今季は9試合に登板し、3勝1敗。防御率は2・30と安定している。 野手は、2-1と接戦を制した第4戦と同じスタメンとなった。

◆日本一に王手をかけて第5戦に臨むヤクルトのベンチが入りメンバー26人が発表された。 坂口智隆外野手(37)と内川聖一内野手(39)のベテランがベンチ入りした。 投手陣では、金久保優斗投手(22)がブルペン待機。 第1戦で途中交代した宮本丈内野手(26)は、試合前練習に参加したが、4試合続けてベンチ入りは外れた。吉田大成内野手(26)もベンチを外れた。

◆負ければヤクルトに日本一を許す崖っぷちのオリックスは山崎福也投手(29)を先発マウンドに送る。今季自己最多の8勝を挙げた14年ドラフト1位が腕を振る。前日24日の第4戦終了後には中嶋聡監督(52)が、先発について「ヤマ!」とだけ言及していたが、大方の予想どおり山崎福が起用された。 また太田椋内野手(20)が「8番二塁」で出場する。ここまでポストシーズンは7試合すべてで安達了一内野手(33)が二塁でスタメン出場していたが、入団3年目の太田が抜てきされた。 【関連記事】ヤクルト王手なるか オリックス星戻すか/日本S第5戦ライブ速報> 対するヤクルトの先発は原樹理投手(28)。12日のクライマックスシリーズ・ファイナルステージ巨人戦(神宮)で2回途中に右手に打球を受けて降板したが、大舞台に間に合わせた。ヤクルト高津臣吾監督(53)の誕生日に胴上げをプレゼントできるか。

◆ヤクルトが3勝1敗で王手をかけた日本シリーズ第5戦。先発はヤクルトが原樹理、オリックスは山崎福也が予想される。セ・リーグ本拠地試合のためDH制はなし。

◆ヤクルトの球団マスコットつば九郎が、試合前恒例「今日のひと言」で、ヤクルト本社の売り上げに貢献?した。 まずは「きょうは たかつかんとくの たんじょうびです おめでとうございます!!」と祝福した。 続いてオリックスファンの間で流行した宮城の「お茶かココアゲーム」に言及。「お茶」と言われたら「ココア」と、「ココア」と言われたら「お茶」と返すゲームをつば九郎風にアレンジ。つば九郎が「ヤクルト」と出したら「1000」、「1000」と出したら「ヤクルト」と答えるゲームを始めた。「かんせんしょうたいさくのため ますくをして こごえ もしくは こころのなかでこたえてください」と前置きした上で、フリップで「ヤクルト」と「1000」を何度も掲げた。 最後に「では~ 『たふまん』と10かい いってください」と指令。少し間を空け「おつかれさまです。ありがとうございました。いいCMになりました きょう かえり こんびにで かいたくなるでしょう!!」としてやったりだった。 最後は宮城の似顔絵とともに「ありがとう。こんど しゃしん とりましょう」と締めた。

◆ヤクルトが、2試合続けて先制した。 つなぐ野球を、この日も見せた。2回、先頭のサンタナが四球。続く中村が左前打を放つと、相手守備の隙を突いてサンタナは好走塁で三塁まで進み、チャンスを広げた。 無死一、三塁、オスナがオリックス先発山崎福の初球高め直球を三ゴロ併殺打とし、その間に1点を先制した。

◆ヤクルトの若き4番村上宗隆内野手(21)が、勝ち越しの1発を放った。 1-1の同点に追いつかれた直後の4回、先頭でカウント2-2から甘く入った山崎福の143キロ直球を左中間スタンドへ運んだ。「同点に追いつかれた直後だったので、チャンスメークしようという気持ちで打席に入りました。大振りせずコンパクトに打つことができました。すぐに流れを持ってこれたので良かったと思います」。右手の人さし指を立て、ガッツポーズをしながらダイヤモンドを回った。 日本シリーズでは第1戦での2ラン以来の第2号となる勝ち越しソロ。ベンチでは笑顔で高津監督とグータッチをかわした。

◆<SMBC日本シリーズ2021:ヤクルト-オリックス>第5戦25日東京ドーム 先制を許したオリックスが4番杉本裕太郎外野手(30)の執念の適時打で同点に追いついた。 0-1の4回2死。吉田正尚外野手(28)がヤクルト先発原樹理投手(28)から右翼線へ二塁打を放ち、2死二塁と好機をつくった。 続く杉本はフルカウントから外角低めの際どいコースのスライダーにくらいついた。体勢を崩されながらも中前にはじき返し、二塁走者吉田正が本塁へスライディング。クロスプレーになったが、審判の両手は広がった。 杉本は「なんとか(二塁走者の吉田)正尚をかえすことだけ考えて打席に入っていました。振りすぎないように意識していましたし、いいところに飛んでくれました」とコメントした。

◆取られたら取り返す! オリックスがヤクルトに2度追い付いた。 1-2の6回2死から敵失と杉本の安打で2死一、二塁。T-岡田外野手(33)は代わったばかりの左腕・田口麗斗投手(26)のカウント1-1から真ん中低めの速球を引っ張り、痛烈なゴロで一、二塁間を破った。二塁走者が生還し、再び同点に。 2試合連続で5番に入ったT-岡田は「(吉田)正尚がよく本塁に走ってくれましたし、気持ちで打ちました。何が何でも勝って神戸に帰れるように頑張ります」とコメント。負ければ終戦となる大一番で価値ある一打を放った。

◆オリックス太田椋内野手(20)がポストシーズン初スタメンの起用に、勝ち越し適時三塁打で応えた。 2-2の7回1死二塁で石山泰稚投手(33)の2球目、真ん中に入ったスライダーを振り切った。右中間をライナーで真っ二つに割る適時三塁打で勝ち越しに成功。三塁ベース上で右拳を突き上げた。 「この(日本)シリーズ初めての出場でしたし、しっかりとランナーをかえすこと、うしろにつなぐとこを考えて打席に入っていました。打った感触も良かったですし、打球が抜けてくれてうれしかったです」 ここまでポストシーズンは全試合、安達了一内野手(33)が二塁でスタメンだったが、この試合は太田が「8番二塁」に抜てきされた。

◆ヤクルト今野龍太投手(26)が、ポストシーズン初登板した。 2-4で迎えた7回1死一塁から4番手としてマウンドへ上がった。福田を2球で追い込むと、三ゴロ。続く宗に中前打を許し、2死一、二塁としたが、続く吉田正をカウント2-2から8球目の内角137キロカットボールで捕邪飛に打ち取った。 宮城県の北部に位置する大崎市の出身。“岩出山の星”が、大舞台でも全力で腕を振り、追加点を許さなかった。

◆ヤクルト山田哲人内野手(29)が、試合を振り出しに戻す3ランを放った。 2-5で迎えた8回無死一、二塁、カウント3-1からオリックス・ヒギンズの5球目低めチェンジアップを完璧にとらえ、左翼スタンド上段まで運んだ。打った瞬間にベンチから選手たちが飛び出し、山田はガッツポーズでダイヤモンドを一周。高津監督も両手を突き上げた。 スタンドでは、涙ぐむヤクルトファンもいた。 日本シリーズでは第1戦で1安打を放ったが2、3戦目は無安打。打率は一時0割8分3厘まで落ちていたが、15年の日本シリーズソフトバンク戦で3打席連発している主将が、ここぞの場面で勝負強さを発揮した。「3点差ありましたが、チーム誰1人あきらめず何とかしようという気持ちがありましたし、そのみんなの気持ちが後押ししてくれました。最高の結果になりましたが、まだ、同点なので最後まで攻める気持ちでいきます」とコメントした。

◆オリックス山岡泰輔投手(26)が6月22日の日本ハム戦(京セラドーム大阪)以来5カ月ぶりに1軍のマウンドに戻った。 5-5とされた8回1死から登板。サンタナを二直。中村には四球を与えたが、2死一塁からオスナを左飛に抑えた。最速はサンタナへの初球の148キロだった。 山岡は6月22日の日本ハム戦(京セラドーム大阪)の初回、打者5人に投げたところで右肘の違和感を訴えて降板。翌23日に出場選手登録を抹消され、右肘関節炎と診断された。9月17日には右肘のクリーニング手術を受けた。今月16日の紅白戦で実戦復帰し、日本シリーズでの登板を目指して、コンディションを整えていた。 24日の第4戦から救援要員としてベンチ入りしている。

◆オリックスの代打の切り札アダム・ジョーンズ外野手(36)が、値千金の1発を放った。 5-5の同点で迎えた9回。先頭打者として代打で登場。2ボールからヤクルトのクローザー、スコット・マクガフ投手(32)の高めに浮いた直球を振り抜いた。 打った瞬間、確信の当たり。高い弾道でオリックスファンの待つ左翼席に突き刺した。▼ジョーンズが9回に代打で決勝アーチ。日本シリーズで代打でVアーチを打ったのは、01年<4>戦の副島(ヤクルト)以来20年ぶり。最終回に打った選手は92年<1>戦杉浦(ヤクルト=延長12回)00年<1>戦ニエベス(ダイエー)に次いで3人目となった。なお、代打本塁打は今年の<1>戦モヤ以来30人、32度目で、シリーズで2本の代打本塁打が出たチームは70年ロッテ以来51年ぶり2度目。70年ロッテは井石が1人で2本記録しており、2人が代打本塁打を打ったのは今回のオリックスが初めて。

◆20年ぶりの日本一に王手をかけていたヤクルトが、接戦を落とした。同点の9回、守護神のスコット・マクガフ投手(32)が、オリックス・ジョーンズに決勝弾を浴びた。対戦成績は3勝2敗となった。高津臣吾監督は、この日が53歳の誕生日。特別な日に、宙に舞うことはできなかった。 序盤の主導権はヤクルト。2回無死一、三塁で、オスナの三塁併殺打の間に1点を先制。4回にいったんは追いつかれたが、その裏、村上宗隆内野手(21)が、左中間席へ今シリーズ2本目となる1発をたたき込んだ。「同点に追いつかれた直後だったので、チャンスメークしようという気持ちで打席に入りました。大振りせずコンパクトに打つことができました。すぐに流れを持ってこれたので良かったと思います」。右手の人さし指を立て、ガッツポーズをしながらダイヤモンドを回った。 再び同点とされ迎えた7回には、3番手の石山泰稚投手(33)が、1死二塁で太田に適時三塁打を浴び、続くモヤにも右前適時打で突き放された。8回には大西広樹投手(24)も失点したが、3点を追う8回、山田哲人内野手(29)が無死一、二塁で左翼席へ起死回生の同点3ラン。「3点差ありましたが、チーム誰1人あきらめず何とかしようという気持ちがありましたし、そのみんなの気持ちが後押ししてくれました」。打った瞬間にベンチから選手たちが飛び出し、山田はガッツポーズでダイヤモンドを一周。高津監督も両手を突き上げた。スタンドにはこの時点で、涙ぐむヤクルトファンの姿もあった。 村上、山田のアベックアーチで最後の最後まで粘ったが、白星には届かなかった。 第6戦は舞台をほっともっと神戸に移し、27日に行われる。

◆崖っぷちのオリックスが接戦を制して、日本シリーズの対戦成績を2勝3敗とした。 3点リードの8回にヒギンスが山田に同点3ランを浴びた。しかし同点の9回にアダム・ジョーンズ外野手(36)がヤクルト抑えのマクガフを捉えて、左翼スタンドにソロ本塁打を放り込んだ。 第6戦は96年日本一の舞台となったほっともっとフィールド神戸で開催。25年ぶりのシリーズ制覇に望みをつないだ。

◆崖っぷちのオリックスが接戦を制して、日本シリーズの対戦成績を2勝3敗とした。 オリックスは同点の9回にアダム・ジョーンズ外野手(36)がヤクルト抑えのマクガフを捉えて、左翼スタンドにソロ本塁打を放り込んだ。第6戦は96年日本一の舞台となったほっともっとフィールド神戸で開催。

◆先発はヤクルト原とオリックス山崎福。ヤクルトが2回無死一、三塁からオスナの三ゴロ併殺打の間に1点を先取した。 オリックスは4回に杉本が同点打。直後、ヤクルトが村上のソロで1点リード。6回、オリックスがT-岡田の右前打で再び同点。 オリックスが点の取り合いを制して2勝3敗とした。同点の9回にジョーンズが決勝ソロ。ヤクルトは8回の山田3ランも空砲に。

◆オリックスが逆転で2勝目。<1>戦は9回に吉田正がサヨナラ安打で、この日は9回にジョーンズが勝ち越し本塁打。延長イニングを含め最終回に決勝点を挙げて2勝は16年日本ハム(<3>戦、<5>戦)以来で、オリックスは初めてだ。 この日は6点のうち5点を6回以降に記録。今シリーズのオリックスは前半5回まで2点に対し、6回以降に13点をマークしている。シリーズで1勝3敗から2勝目は17年DeNA以来18度目。過去17度のうち優勝は4度しかなく、V確率は24%。オリックスは阪急時代に4度あってすべてV逸だったが、今年はどうか。

◆オリックス代打モヤが7回に適時安打を放った。 ▼今シリーズのモヤは代打で<1>戦右本→<4>戦一安→<5>戦右安。1シリーズに代打で3安打は57年十時(巨人)70年井石(ロッテ)に次いで3人目のタイ記録。十時は<1>戦左安→<4>戦右安→<5>戦右本、井石は<2>戦左本→<3>戦左安→<4>戦右本と、3人とも最初の代打から3打席連続安打。

◆日本シリーズ第6戦は、27日にほっともっと神戸で行われる。第1、2戦が開催された京セラドーム大阪で、27、28日ともに歌手「AAA(トリプルエー)」のライブが予定されているため。東京五輪もあった今季はコロナ禍も重なり、日程が繰り下げになったことが両チームに影響。ヤクルトが主催した第3~5戦も、明治神宮大会で本拠地・神宮が使用できず、東京ドームで行われた。神戸での日本シリーズは、オリックス・ブルーウェーブが日本一に輝いた96年10月24日の巨人戦以来25年ぶり。当時の球場名は、グリーンスタジアム神戸だった。

◆ヤクルト先発の原樹理投手が、意地を見せた。初回の決め球は、すべて140キロ台後半の直球で3者凡退。2回1死一塁では、オリックス紅林を徹底して内角攻め。カウント1-2から143キロシュートで詰まらせ、投併殺に仕留めた。5回2/3を6安打2失点。「自分の中で状態が良いとは言えないが、とにかく丁寧に投げる事と守備からのリズムを意識して投げました」。しっかりと試合をつくった。 日本シリーズのマウンドを、諦めなかった。12日のCSファイナルステージ第3戦(対巨人)で、大城の強烈な打球が右手を直撃。負傷降板となった。試合後には、右手親指から手首にかけてテーピングが施された。状態を不安視されていたが、頂上決戦に間に合った。高津監督は「(登板が)2週間空いたが、よく投げてくれた。最初はシリーズで投げるのは諦めかけていたが、すごく回復が早くて今日登板することができた」とねぎらった。

◆日本一に王手をかけて臨んだヤクルトは、接戦を落とした。高津臣吾監督の53歳の誕生日を、勝利で祝うことはできなかった。 東京で日本一を決めようと、食らいついた。3点を追う7回に山田哲人内野手(29)が日本シリーズ第1号となる3ランを放ち追いついた。しかし、9回に守護神マクガフがオリックスの代打ジョーンズにソロを許し、土壇場で勝ち越された。高津監督の一問一答は以下の通り。-敗れたが、つないでいい攻撃だった高津 うーん、そうですね、打つ方はしっかりつなげたのかなと思います。(山田)哲人の1発がやっぱり、効いたんですけども、ピッチャーの方でね、ちょっと踏ん張りがきかなかったというか。こういうこともあるでしょうけども、あの1点この1点、どこかで1つのアウトが、っていうところは、もうちょっと大事にいかなきゃいけなかったのかなと思いますね。-当たりが止まっていた山田が大事なところで1本出て、第6戦につながる高津 そうですね、これで吹っ切れてくれたらいいなと思います。-山田をどう見ていた高津 練習では全然悪くなかったので、そのうちとは思ってたんですけど、なかなか、いい当たりが正面突いたりね、結果が出なかったので、本人もちょっとモヤモヤしたものはあったかもしれないですけども。これで、また気分も変わるんじゃないですか。-村上にも1本出て3、4番の当たりが戻ってきた高津 そうですね。やっぱり長打が打てる選手、期待している選手の前にランナーを置いてね、どうやって得点していくか、で彼らがどうやって打点を取っていくか。そういうところだと思います。-向こうはまたいい投手が出てくる高津 そうですね。ロースコアのゲームに持っていかなきゃいけないと思います。やっぱりピッチャーがしっかり踏ん張らなきゃいけないと思ってます。その中でこう、何とか勝ち越せるように。リードを守りきれるように、やっていくしかないと思ってます。-原はアクシデントがあったが素晴らしい投球だった高津 そうですね。2週間空いたんですけどね、よく投げてくれたと思います。最初はちょっとシリーズで投げるのも諦めかけていたんですけども、すごく回復早くて、今日登板することができました。-先発投手を5枚使って、6戦目以降は総力戦になっていく高津 そうですね。もちろん、向こうも負けられない、こちらはあと1つというところの、ギリギリのところの戦いにはなると思います。-投手もつぎ込む高津 もちろんですね。

◆オリックス代打モヤが一時リードを2点に広げる適時打を放った。 太田の適時打で1点を勝ち越した7回、なお1死三塁の場面。石山の内角直球に差し込まれたが、スライディングキャッチを試みた右翼サンタナの前ではずませた。第1戦では代打で同点弾。第4戦では代打で天井直撃ヒット。そしてこの日の適時打。日本シリーズは代打で3打数3安打、打率10割と絶好調だ。▼今シリーズのモヤは代打で<1>戦右本→<4>戦一安→<5>戦右安。1シリーズに代打で3安打は57年十時(巨人)70年井石(ロッテ)に次いで3人目のタイ記録。十時は<1>戦左安→<4>戦右安→<5>戦右本、井石は<2>戦左本→<3>戦左安→<4>戦右本と、3人とも最初の代打から3打席連続安打。

◆必殺のスライダーが、一番ほしいところで帰ってきた。右肘クリーニング手術を受けたオリックス山岡泰輔投手(26)が5カ月ぶりの復帰戦で大仕事を果たした。8回、山田に同点3ランを浴びたヒギンスを救援。残り2アウトを奪い、最悪のムードを吹き飛ばした。負けたら終わりの一戦で勝ち投手にもなった。「いい場面で投げさせてもらったので、めちゃくちゃ感謝しています。球場の雰囲気を変えたいなと思っていた。(前日に)メンバーに入った時から、どんな場面でも少しでもチームに力を貸したいと準備していた。不安はなかったです。肘さえ治っていれば、調整とか気持ちの準備だけだったので」と笑顔だった。登板は6月22日以来。当初、手術はオフに予定していたが、日本シリーズに万全の状態で参戦するため9月に早めた。サンタナ、オスナに対してスライダーを軸にして打ち取った。独特の縦のスライダーは「初見では打てない」と言われ、侍ジャパンにも選ばれたのは特に外国人に効果的だからだ。乗っている外国人2人がいる今シリーズ、まさに秘密兵器になった。19年、20年に開幕投手を務めた元エース。ブルペンに頼もしすぎる1枚が加わった。【柏原誠】

◆オリックスの代打の切り札アダム・ジョーンズ外野手(36)が、値千金の1発を放った。5-5の同点で迎えた9回。先頭打者として代打で登場。2ボールからヤクルトのクローザー、スコット・マクガフ投手(32)の高めに浮いた直球を振り抜いた。アダム・ジョーンズは1985年8月1日、米カリフォルニア州生まれ。03年ドラフト1巡目でマリナーズ入団。06年メジャーデビュー。08~18年はオリオールズ、19年はダイヤモンドバックスに在籍。11~17年に7年連続25本塁打以上。メジャー通算1823試合、1939安打、282本塁打、945打点、打率2割7分7厘。球宴選出5度、ゴールドグラブ賞4度、13年シルバースラッガー賞。13、17年WBC米国代表。オリックスでは昨年からプレーし、公式戦通算16本塁打。188センチ、98キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸4億4000万円。

◆オリックス吉田正尚外野手が「足」でも貢献した。 4回2死から二塁打で出塁。杉本の中前打で間一髪の同点ホームイン。6回も2死から一塁へのゴロで全力疾走し出塁(失策)。さらにT-岡田の右前打で二塁からまた同点の生還を果たした。9月に左ハムストリング筋挫傷で離脱。10月に骨折した右尺骨とともに万全ではないが、影響を感じさせない全力疾走が光った。

◆ヤクルト山田哲人内野手が8回に同点3ラン。山田のシリーズでの1発は、3本打った15年<3>戦以来4本目。ヤクルトで通算4本塁打は大杉、池山に並ぶ球団3人目の最多記録。山田は15年の3本がすべて肩書付きの殊勲弾で、殊勲弾を通算4本打ったのは、球団史上初めてだ。 ▼この日は村上も1発。チームの3、4番がそろって本塁打は15年<3>戦ヤクルト(3番山田、4番畠山)以来だが、その試合で敗れたのは79年<6>戦広島(3番三村、4番山本浩)以来42年ぶり6度目で、ヤクルトでは初のケースとなった。

◆オリックス伏見寅威捕手(31)の日本シリーズ初安打は、点差を一時3点に広げる一打になった。 2点をリードした8回、なお2死一塁。5番手大西の真ん中の直球を強振した。左中間への適時二塁打で5点目を呼び込んだ。二塁上で万歳し、あふれんばかりの笑みで三塁側ベンチの歓声に応えた。日本シリーズは2試合打席に立ったが4打数無安打。うれしい初安打で勝利に一役買った。

◆ただ負けたわけではない。オリックスとの打ち合いに敗れたヤクルトだが、敗戦の中にも手応えをつかんだ。1-1で迎えた4回先頭、村上宗隆内野手(21)が左中間にソロ。3点を追う8回には、山田哲人内野手(29)が左翼席上段に一時同点の3ラン。日本シリーズで満足いく結果が出ていなかった2人の主軸がアベック弾を放った。負けられない戦いが続く中、頼もしい打者たちが奮起した。山田と村上の東京五輪金メダリストコンビが本領を発揮した。山田は敗戦ムード漂う中、重い空気を振り払った。3点ビハインドで迎えた8回無死一、二塁。カウント3-1から、低めのチェンジアップを振り抜いた。「誰1人あきらめず何とかしようという気持ちがあったし、みんなの気持ちが後押ししてくれた」。これまで仲間が打ってチームが勝ってきた。今度は自分の番だと言わんばかりに、3ランで恩返しした。高津監督も両手を突き上げてガッツポーズするほどベンチは大盛り上がり。勢いを再び呼び込んだ。 CSファイナルは打率9分1厘。日本シリーズも打率1割台と低迷していたが「スイング自体はすごく振れていた。真っすぐを待ったら変化球が来るし、変化球を待てば真っすぐが来る。そういう運がないのかなと思っていた」と前向きに集中力を切らさなかった。同点の9回、守護神マクガフがジョーンズに被弾し敗れはしたが、まだ3勝2敗と1歩前にいる。あと1つ勝てば20年ぶりの日本一。キャプテンは「また新たな気持ちで神戸で戦うしかない。しっかり守って、なんとか相手より1点でも多く取って、粘り強い野球をしたい」と切り替えた。 若き4番も状態を上げてきた。村上は第1戦で2ランを放ったが、東京ドームでは2試合で無安打。だからこそ「大振りせずにコンパクト」と意識した。それでも、今季史上最年少で通算100号に到達し、本塁打王を獲得したパワーがあれば柵越えできる。得意の逆方向スタンドに突き刺し、右腕を挙げた。6回の第3打席は右翼へ三塁打。8回の第4打席はフェンスギリギリの中飛。強い打球が戻ってきた。 チームは移動日を挟み、舞台を神戸に移してのシーズン最終章を迎える。打つべき選手が打って、次こそは勝つ。【湯本勝大】

◆さあ神戸で逆転日本一だ! 崖っぷちのオリックスが執念の1勝を挙げた。「SMBC日本シリーズ2021」の第5戦で、9回に代打アダム・ジョーンズ外野手(36)が決勝ソロを放った。対戦成績を2勝3敗とし、27日の第6戦はほっともっと神戸で開催。96年日本一の舞台で、ミラクルを起こす。窮地を救ったのは、大物助っ人だった。ジョーンズが高らかに雄たけびを上げた。同点に追いつかれた直後の9回。代打で左翼席に決勝アーチを描いた。「今日の試合は本当にギリギリのところだった。あの場面で打つことができてホント良かった。いい当たりだったので、手にまったく感触はなかった」ベンチ前ハイタッチを繰り返し、喜びを爆発させた。負ければ終戦となる崖っぷちの一戦。逆転日本一に望みをつなぐ大きな1発だった。試合を決めた一振りは準備が生きた。ジョーンズは試合中、外野手のキャッチボール相手を務める。基本的には6回からグラウンドに登場するが、この日は4回から始動。理由は「ずっとベンチにいるのも退屈だからね」とジョークをさく裂。ガムをかみながら「いい歳だから、体を動かさないと」と表情を崩す。MLB通算1939安打&282発の実績を誇る大物スラッガーは「目を照明に慣らしているんだ。試合前の打撃練習でもライトはついているけど、全部のライトが光っているわけじゃない。試合では、全部の照明がついている」とキャッチボールの意図を明かす。独自のルーティンが必然のアーチを生んだ。シーズン終盤には親族の不幸があり、緊急帰国したが、ジェット機をチャーターするなど超速で再来日。隔離期間を経て戻ってきた。「野球は失敗の連続。誰かがアウトにならないと、試合は終わらない」と凡打した若手を慰めるが、この日は一撃で試合を決めた。来日2年目。劇的な一振りで大好きな神戸牛が、また待っている。「コウベモトマチ!」。モチベーションは最高級の和牛だ。甲高い声で求める。「このチームは最後の最後まで諦めない。相手チームがみんなでハイタッチをするまで諦めない」。対戦成績は2勝3敗。決戦の場をほっともっと神戸に移す。96年に「がんばろうKOBE」で日本一になった栄光の舞台だ。第6戦の先発は、エース山本。逆転日本一へ、潮目が変わった。【真柴健】▼ジョーンズが9回に代打で決勝アーチ。日本シリーズで代打でVアーチを打ったのは、01年<4>戦の副島(ヤクルト)以来20年ぶり。最終回に打った選手は92年<1>戦杉浦(ヤクルト=延長12回)00年<1>戦ニエベス(ダイエー)に次いで3人目となった。なお、代打本塁打は今年の<1>戦モヤ以来30人、32度目で、シリーズで2本の代打本塁打が出たチームは70年ロッテ以来51年ぶり2度目。70年ロッテは井石が1人で2本記録しており、2人が代打本塁打を打ったのは今回のオリックスが初めて。◆ジョーンズのポストシーズン本塁打 大リーグでは、オリオールズ時代の14年ア・リーグ優勝決定戦<2>戦(オリオールパーク)で1本放っている。オ軍の3番センターで出場し、3回に3-3の同点に追いつく2ランを放った。この試合で相手のロイヤルズの2番を打っていたのが青木(現ヤクルト)。試合は6-4でロイヤルズが勝った。

◆バースデー胴上げには、わずかに届かなかった。ヤクルト高津監督は「あの1点この1点、どこかで1つのアウトが、もうちょっと大事にいかなきゃいけなかったのかなと思いますね」と、9回に決した1点差の惜敗を悔やんだ。 53歳の誕生日、勝てば日本一。試合前には応援団からバースデーソングが流され、ファンに拍手で祝福された。「(選手が)打席に、マウンドに上がるまでは、すごく緊張も興奮もするでしょうし。できるだけ気持ちよく送り出したい」。特別な日の特別な戦いも、いつも通りに信頼するナインを送り出した。 現役時代は日本シリーズに4度出場して11試合、計16回2/3を無失点。修羅場を何度もくぐり抜けてきた。「2021年の新しい物語をみんなでつくろう」と声をかけてスタートした今季。日本で一番長いシーズンを過ごしている。「もしかしたら、すごくいい終わり方ができる最後の1ページがかけるかもしれない。みんなでいい1ページを作っていきたい」と言った。王手には変わりない。 舞台を神戸に移しての第6戦、相手先発は山本由伸と敵将が明言した。「向こうも負けられない、こちらはあと1つという、ギリギリの戦いにはなると思います」。山田に3ラン、村上にソロと中軸が開眼したのは吉兆。最高峰の投手を打ち崩して、真の日本一を手に入れる。【鎌田良美】

◆オリックスの「ラオウ」こと4番杉本裕太郎外野手(30)が3安打と調子を上げてきた。 4回に同点の中前打。「何とか(吉田正)をかえすことだけ考えていた。振りすぎないように意識していたし、いいところに飛んでくれた」。6回も左前打を放ち、T-岡田の同点打につなげた。ともに2死からと集中力を発揮。状況に応じた軽打がいい結果を生んでいる。

◆オリックス中嶋監督が第6戦の先発にエース山本を起用することを明言した。試合後の勝利監督インタビューで「追い込まれている状況は変わらない。最後まで本当に諦めないで頑張ります。(1日空くが)熱が上がらなかったら、山本由伸でタイに持っていきたい」と興奮気味に話した。山本はシリーズ第1戦に先発し、6回1失点で勝敗つかず。エース投入で、3勝3敗に持ち込む。

◆オリックス吉田凌投手(24)が完璧な火消しを見せた。2-2の6回に先発山崎福が2死一、三塁としたところで登板。中村に対してフルカウントから伏見のサインに1度首を振った後、外角低めスライダーでバットの芯を外し右飛でピンチを脱した。第3戦ではサンタナに決勝2ランを浴びて負け投手になり、雪辱の思いを6球に込めた。

◆会心の一撃だった。3年目20歳のオリックス太田椋内野手が、一振りで崖っぷちのチームを救った。2-2で迎えた7回1死二塁。ヤクルト3番手石山の137キロスライダーに食らいつき、前進守備の右中間を破った。二塁走者の紅林弘太郎が生還し、太田は一気に三塁へ到達。ベンチへ向かって、ひときわ激しく右拳を突き上げた。 太田 次につなぐ(思い)。今日初めてのスタメンだったので、緊張もありながらワクワクもしながら、良い打席が送れたと思います。シーズン中の方が緊張した。ワクワクしてやれました。 日本シリーズ第4戦までの全試合に先発した安達がベンチ外。8番二塁で太田に出番が回ってきた。CSファイナルステージのロッテ戦は、1試合に代走で出場したのみ。もちろんポストシーズンは初スタメンだ。「与えられた立場で、ベストを尽くせるように準備していこうと思っていました」。温め続けたベンチで研究してきた成果を、負けられない戦いで発揮した。 高卒3年目の今年は開幕スタメンでエラー。「夢の中でもエラーする自分を見ました…」。チャンスをつかめず、5月に2軍落ちした。だがファームでやり直し、9月中旬に再昇格。「大きくきれいな弾道を意識したスイングで、振り幅を短く、インパクトを強く」。背番号31を継承した小谷野野手総合コーチと二人三脚で練習に取り組み、1軍に帰ってきた。 7回の一時勝ち越しは19歳の先頭紅林が安打で出て、20歳の太田がかえした。中嶋監督は「若い2人で1点取って、チームに勢いを作ってくれましたし、勇気を与えてくれた」と絶賛。太田も後輩紅林の活躍に「本当に成長していますし、しっかりチームに貢献しているので、僕も貢献できるように」と切磋琢磨(せっさたくま)で進化中だ。 第6戦は神戸に舞台を移す。「3連敗していましたが、しっかりと良い雰囲気でできている。まずは明後日(27日)につなげられてよかった」。若武者が神戸での日本一に備えて、牙を研ぐ。【林亮佑】

◆シーソーゲームを締めたのは、メジャー帰りの守護神だった。オリックス平野佳寿投手が、技と気迫でヤクルト打線をねじ伏せた。1点を勝ち越した直後の9回に、待望のシリーズ初登板。先頭の西浦を歩かせたが、本塁生還は許さなかった。代打・川端に右翼へ大飛球を打たれたが、フェンスぎりぎりで打球は杉本のグラブへ。塩見は絶妙のコースで見逃し三振。最後は青木を二ゴロに打ち取り、右の拳を握りしめた。 プロ16年目で日本シリーズデビュー。同点でも9回は投げる予定だった平野佳は「勝っていたし、本当にジョーンズがいいところで打ってくれたから、ちょっと気は楽に投げることはできました」と初登板初セーブを喜んだ。もう1敗もできない状況で、ほっともっと神戸に舞台を移す。「由伸をしっかりみんなが援護できるように。由伸を日本シリーズで勝たせるのは大事なことなんで」。熱さと冷静さを併せ持つベテランの言葉だった。

◆崖っぷちのオリックスが接戦を制して、日本シリーズの対戦成績を2勝3敗とした。 3点リードの8回にヒギンスが山田に同点3ランを浴びた。しかし同点の9回にアダム・ジョーンズ外野手(36)がヤクルト抑えのマクガフを捉えて、左翼スタンドにソロ本塁打を放り込んだ。 第6戦は96年日本一の舞台となったほっともっとフィールド神戸で開催。25年ぶりのシリーズ制覇に望みをつないだ。中嶋聡監督(52)は第6戦の先発を「山本由伸でいく」と“予告”した。中嶋監督の一問一答は以下の通り。  ◇  ◇  ◇-すごい試合になった素直にいきたかったんだけどな。-諦めない姿勢を見た最後ホントに同点止まりだったんですけどね、そこですぐ点取ったのが非常にに大きかったと思いますし、平野も初登板なんですけども。投げられて良かったです。-山崎福がよく試合をつくった先発陣がずっとつくってくれている中、やっぱりそのあとからいくピッチャーですよね。そこの厳しさはなかなかとれないですけど、それでもああやってゲームつくってくれるというのはありがたいです。-今日起用の太田が良いところで打ったもうあの1球1球、ひるまずいってくれたらなんとかなると思うので、苦しんだシーズンだったかもしれないですけど、ほんとにやってきたことは間違ってないというのは、できたのかなとは思います。-紅林のチャンスメークもあり、太田と2人の若い力が見えたまさか2人で(点を)取ってくるとは思わなかったけど。ホントにああやって2人で(点を)取ってきてくれたらチームの雰囲気もかわりますし、いい点の取り方だったと思います。-ヒギンスがシーズンの疲れももちろんあると思いますけど、なんとかしてほしいですね。1日空いてどれだけ気がもう1回入るのか、もう駄目なのかを判断したいなとは思います。-山岡を送ったのも勇気がいる投げられる状態ではあるので、球数的に制限をかけなきゃいけないのかなと思いますし、連投っていうのもまずちょっと難しいとは思うんですけど。なのでこの東京ドームのうちに投げさせたかったのは投げさせたかったので、常に難しいでしょうけど、バックアップのかたちで。何回も何回も(肩を)つくらせるわけにはいかないのでね、よく投げてくれたと思いますし、あの場面山岡しかいないな、と思っていました。-ジョーンズがよく打った良かったです。良かったです。それしかないなあ。ジョーンズの場合はね。AJ(ジョーンズ)の場合は、チャンスで出ていって点を取ってきてくれるのかフォアボールか、どっちかだと思ったんですけど、ホームラン打ってくれてほんとに良かったです。-神戸に帰る追い込まれた状態というのはかわらないんですけど、「神戸に帰る」というのは今回の、みんなの言葉(合言葉)だったので、それはできたのかな思います。熱が上がらなかったら1日空きますけど、(27日の先発は)山本由伸でいきますので、何事もないことを願っています。▼ヤクルト山田哲人内野手が8回に同点3ラン。山田のシリーズでの1発は、3本打った15年<3>戦以来4本目。ヤクルトで通算4本塁打は大杉、池山に並ぶ球団3人目の最多記録。山田は15年の3本がすべて肩書付きの殊勲弾で、殊勲弾を通算4本打ったのは、球団史上初めてだ。▼この日は村上宗隆も1発。チームの3、4番がそろって本塁打は15年<3>戦ヤクルト(3番山田、4番畠山)以来だが、その試合で敗れたのは79年<6>戦広島(3番三村、4番山本浩)以来42年ぶり6度目で、ヤクルトでは初のケースとなった。

◆オリックス中嶋聡監督(52)はたかぶる気持ちを落ち着かせるように、取材に応じた。25年前、日本一に輝いたかつての本拠地、ほっともっとフィールド神戸での第6戦。シリーズ前から「神戸で決めたい気持ちもある」と言っていた。神戸時代からのファンの期待も高まっていた。土俵際での神戸行き実現に「言った手前、帰れてよかったです」とホッと息をついた。場内での勝利監督インタビューで自ら「山本由伸でタイにもっていきたいです」と沢村賞右腕の第6戦先発を予告した。その後、「1日空きますけど(移動日に)熱が上がらなければ山本でいきます。何ごともないことを願っています」とあらためて明言した。今シリーズは先発陣が奮闘している。第4戦までは全員が1失点。この日先発した山崎福も36日ぶりの試合ながら6回途中2失点と期待に応えた。2勝3敗。「追い込まれた状態というのは変わらない」は事実だが、18勝5敗、防御率1・39の絶対的エースに再びマウンドを託せる意味は数字以上に大きい。

◆さあ神戸で逆転日本一だ! 崖っぷちのオリックスが執念の1勝を挙げた。「SMBC日本シリーズ2021」の第5戦で、9回に代打アダム・ジョーンズ外野手(36)が決勝ソロを放った。オリックスがヤクルトを相手に日本一を逃した95年、10歳のジョーンズ少年はMLBブレーブスに熱を上げた。球場で熱視線を送ったのは、背番号10の姿だ。「チッパー・ジョーンズが大好きになった。一緒に写真を撮ってもらったり、名前が一緒だったり…」。野球をするなら「10番」と決めた瞬間だった。 MLBで14年プレーし、来日2年目の36歳。数々の勲章や記念トロフィーを獲得してきた。「思い描いていたより、いい人生を歩んでいる。正直、野球選手としてここまで来ると思ってなかった」と振り返る。 未来の野球少年に伝えたいことがある。「誰に何を言われようと、最後まで戦いなさい。好きなことを諦めるな。貪欲であれ。情熱を持てば、ここまでなれる。才能は、その後についてくる」。若手が躍動する新生オリックスナインの胸にも、深く刻まれている。【オリックス担当=真柴健】

◆ヤクルト西浦直亨内野手(30)の小さな拳に、魂を見た気がした。 勝ち越しを許した直後の9回裏。先頭で西浦が打席に立った。ネクストには“代打の神様”川端慎吾内野手(34)。 高津監督の誕生日に、東京ドームで日本一を決めるには、どうしてもまずは1点がほしい。出塁して、川端につなぐことが必須だ。フルカウントから、オリックス守護神平野の6球目、直球は外角低めに外れた。四球を選んだ西浦は一塁に向かいながら、ぐっと拳を小さく握りしめた。 代打川端は右飛、塩見は見逃し三振、続く青木も二ゴロに倒れ、得点にはつながらなかった。それでも選手の「つなぐ」意識は垣間見えた。 あまり表情を変えず、淡々とプレーする印象が強い西浦。日本シリーズ第2戦では、5回までパーフェクトだったオリックス先発宮城からチーム初安打を放ち、守備でも好プレーを見せた。シーズン終盤には新しく軽いバットも取り入れるなど、試行錯誤をしながら調整している。 下位打線から、渋い存在感を発揮する西浦。上位打線に「つなぐ」役割を担っている。【保坂恭子】

◆さあ神戸で逆転日本一だ! 崖っぷちのオリックスが執念の1勝を挙げた。「SMBC日本シリーズ2021」の第5戦で、9回に代打アダム・ジョーンズ外野手(36)が決勝ソロを放った。対戦成績を2勝3敗とし、27日の第6戦はほっともっと神戸で開催。96年日本一の舞台で、ミラクルを起こす。窮地を救ったのは大物助っ人だった。ジョーンズが、高らかに雄たけびを上げた。同点で迎えた9回に代打で守護神マクガフから決勝アーチをかけた。負ければ今季終戦の崖っぷち。神戸での逆転日本一へ望みをつなぐ1発だ。 「今日の試合は本当にギリギリだった。このチームは最後まで諦めない」 ベンチ前で歓喜ハイタッチを繰り返し、感情を爆発させた。突き上げた左拳の先には、三塁側スタンド最前列に座る、家族3人の姿があった。 「絶対に終わらせたくないという気持ちがあった。自分のようなベテラン選手は…。ひょっとすれば、これが最後の野球生活になるかもしれないという状況。勝って、もう1試合…」 帽子の裏には愛すべき「AAA」を刻む。オーディー(妻)、オーガスト(長男)、アクセル(次男)…。日本シリーズ期間も家族4人で過ごす。来日2年目、コロナ禍もポジティブに生きる。文化の違いがあり「右も左も分からない、新しい挑戦。自動車も全部反対を走っている(笑い)。高速道路は出口のサインしかわからない」。全てを受け入れて、オリックスで輝いた。「妻とも子どもの学校や生活環境の相談を何度もした。それの決断で、今ここにいる。信じられないぐらい素晴らしい経験を日本でしている」。新たな日本語も頻繁に覚える。適応力が、活躍の源だ。 神戸に帰る-。チームの合言葉をかなえた。第6戦、決戦の場をほっともっと神戸に移す。96年に「がんばろうKOBE」で日本一になった栄光の舞台だ。中嶋監督は言う。「追い込まれた状態というのは変わらないんですけど、『神戸に帰る』というのは今回の、みんなの言葉だったので、それはできたのかなと思います」。対戦成績は2勝3敗で、劣勢のままだ。それでも第6戦の先発は、エース山本。逆転日本一へ、潮目が変わった。神戸で奇跡を起こす。【真柴健】 ▼ジョーンズが9回に代打で決勝アーチ。日本シリーズで代打でVアーチを打ったのは、01年<4>戦の副島(ヤクルト)以来20年ぶり。最終回に打った選手は92年<1>戦杉浦(ヤクルト=延長12回)00年<1>戦ニエベス(ダイエー)に次いで3人目となった。なお、代打本塁打は今年の<1>戦モヤ以来30人、32度目で、シリーズで2本の代打本塁打が出たチームは70年ロッテ以来51年ぶり2度目。70年ロッテは井石が1人で2本記録しており、2人が代打本塁打を打ったのは今回のオリックスが初めて。 ◆ジョーンズのポストシーズン本塁打 大リーグでは、オリオールズ時代の14年ア・リーグ優勝決定戦<2>戦(オリオールパーク)で1本放っている。オ軍の3番センターで出場し、3回に3-3の同点に追いつく2ランを放った。この試合で相手のロイヤルズの2番を打っていたのが青木(現ヤクルト)。試合は6-4でロイヤルズが勝った。

◆大げさで恐縮だけれど、まずは“謎解き”から始めたい。正念場の5戦目を激闘の末、取ったオリックス。指揮官・中嶋聡は冷静さを装っていたものの相当、舞い上がっていたようだ。勝利監督インタビューで不思議なコメントを残した。 「(6戦目は)熱が上がらなければ山本由伸でタイに持っていきたいと思います」-。エースで勝負をかける意味で後半の部分は分かるが「熱が上がらなければ」とはどういうことか。 普段から応援している熱心なファンなら分かるかもしれないが、好ゲームの続く日本シリーズと言うこともあって注目し始めた野球好きにはなんのことか分からないかもしれない。 「中嶋監督はすごく慎重なんです。投手起用など何かを決めた後で必ず『熱が出なければ』などと“保険”をかけます。シーズン中からずっと同じです」。オリックス担当記者・真柴健はそう解説した。 もちろん、このセリフ、昨年から世の中を一変させたコロナ禍の影響でもある。指揮官として普段からそれだけ注意しているということだ。最初から「発熱しなければ」と言っていれば、すぐにそうと分かるのだが、少々、妙な言い回し。舞い上がっていた…と見る所以(ゆえん)だ。 無愛想でメディアを遠ざけがちな中嶋だが素顔は面白い。今でも覚えているのは現役時代の契約更改だ。神戸市にあった当時の合宿所「青濤館」で更改後に記者会見を行うのが恒例。そこに若かった中嶋はフラッと入ってきた。 「年俸、ナンボになったん」。こちらの問いかけに「これですわ」と言って紙切れをポンと投げ出す。そこには小さな数字で「5000万円」とあった。もちろん本物の契約書類などではない。金額提示のためだけの紙片か。あるいは中嶋のメモか。それともシャレで書いてきたのか。 それが何だったのか、いまだに判明していないし、今更聞けない。それでも金額をメモで見せるとは。あっけらかんとして、なんとも面白いと思ったものだ。 そんな男が複数球団で長い現役を続け、日本ハム時代は大リーグにコーチ留学もして成長。昨季、最下位だったチームを優勝させ、頂上決戦でも土俵際で粘り、思い出の神戸に戻ることを決めた。ここから3連勝で96年に巨人を倒し、宙に舞ったマジシャン仰木彬のように神戸の夜空を見上げられるか。楽しみは続く。(敬称略)

◆崖っぷちのオリックスが執念の1勝を挙げた。「SMBC日本シリーズ2021」の第5戦で、9回に代打アダム・ジョーンズ外野手(36)が決勝ソロを放った。対戦成績を2勝3敗とし、27日の第6戦はほっともっと神戸で開催。96年日本一の舞台で、ミラクルを起こす。 ▼オリックスが逆転で2勝目。<1>戦は9回に吉田正がサヨナラ安打で、この日は9回にジョーンズが勝ち越し本塁打。延長イニングを含め最終回に決勝点を挙げて2勝は16年日本ハム(<3>戦、<5>戦)以来で、オリックスは初めてだ。この日は6点のうち5点を6回以降に記録。今シリーズのオリックスは前半5回まで2点に対し、6回以降に13点をマークしている。シリーズで1勝3敗から2勝目は17年DeNA以来18度目。過去17度のうち優勝は4度しかなく、V確率は24%。オリックスは阪急時代に4度あってすべてV逸だったが、今年はどうか。

◆崖っぷちのオリックスが執念の1勝を挙げた。「SMBC日本シリーズ2021」の第5戦で、9回に代打アダム・ジョーンズ外野手(36)が決勝ソロを放った。 ◆ジョーンズのポストシーズン本塁打 大リーグでは、オリオールズ時代の14年ア・リーグ優勝決定戦<2>戦(オリオールパーク)で1本放っている。オリオールズの3番センターで出場し、3回に3-3の同点に追いつく2ランを放った。この試合で相手のロイヤルズの2番を打っていたのが青木(現ヤクルト)。試合は6-4でロイヤルズが勝った。

◆近年まれに見るほど接戦が続く今年の日本シリーズ。崖っぷちだったオリックスが勝利し、対戦成績を2勝3敗とした25日のシリーズ第5戦「ヤクルト-オリックス」はフジテレビ系で生放送され、関西地区の世帯平均視聴率は、今シリーズトップタイの12・5%を記録した。26日、ビデオリサーチの調べで分かった。 カンテレが放送した関西地区の世帯平均は、連日熱戦の今シリーズで、比較的在宅率の高い祝日だった第3戦(23日)に並ぶ高視聴率となった。フジテレビ放送の関東地区世帯平均は8・1%。個人平均視聴率は関西が7・5%、同関東は4・7%だった。 また、世帯の瞬間最高は、関西地区で、試合終了直前の午後9時19分に19・6%をマーク。試合終盤関東地区も同時間帯に12・8%だった。 今年の日本シリーズの視聴率は以下の通り。 ◆第1戦(20日、フジ系) ▼関西世帯平均 12・2%▼関東世帯平均 8・6%▼関西個人平均 7・0%▼関東個人平均 5・1% ◆第2戦(21日、テレビ東京系) ▼西世帯 8・4%▼東世帯 7・3%▼西個人 4・8%▼東個人 4・4% ◆第3戦(23日、テレビ朝日系) ▼西世帯 12・5%▼東世帯 9・3%▼西個人7・7%▼東個人 5・6% ◆第4戦(24日、フジ系) ▼西世帯 11・2%▼東世帯 7・2%▼西個人 6・4%▼東個人 4・1% (数字はいずれもビデオリサーチ調べ)

◆<日本シリーズ・ニッカンMVP査定> 代打Vアーチのジョーンズに4ポイント。7回に一時勝ち越しとなった太田の三塁打も効いた。

◆プロ野球の日本一を決める「SMBC日本シリーズ2021」は24日、東京ドームで第4戦が行われ、6年ぶりにセ・リーグを制したヤクルトが2―1でパ王者のオリックスに勝利し、3勝1敗で20年ぶりの日本一に王手をかけた。41歳10カ月の石川雅規投手が6回3安打1失点(自責点0)と好投。セ・リーグ投手ではシリーズ最年長の勝利投手となった。高津臣吾監督は25日が53歳の誕生日。バースデー白星で日本一を飾る。 大きく、温かな拍手を全身で感じた。プロ20年目、41歳の石川が日本シリーズ初勝利。満面の笑みで喜びをかみしめた。 「いろいろな(節目の)一勝は重いけど、ここで勝つことができて自分自身に『良かったね』と言ってあげたい」 石川らしく低く、広く。高低、両コーナーを使った熟練の投球術を披露した。直球の最速は136キロだったが、多彩な変化球と高い制球力が武器。パ・リーグには珍しいタイプの左腕が、オリックス打線を幻惑した。 鍵となったのは立ち上がり。一回1死一塁で3、4番を迎えた。吉田正を外角スライダーで空振り三振、杉本もスライダーで中飛に。「乗っていける要因になった」。青学大の後輩を打ち取り、リズムに乗った。 40代(石川は41歳10カ月)の白星は、日本シリーズが初めて開催された1950年に42歳8カ月で記録した毎日・若林忠志以来2人目。2002年の巨人・工藤公康の39歳5カ月を抜いてセ・リーグ最年長記録に。「年齢は関係ない。マウンドに上がったらルーキーのつもりで投げている」という現役最多、通算177勝(通算176敗も現役最多)のベテランが新たな1勝を手にした。 先輩、指導者、指揮官としてお世話になってきた高津監督へ、最高のプレゼントとなった。25日に53歳の誕生日を迎える高津監督。現役時代から苦楽を共にし、多くを学んできた石川が〝前祝い〟となる好投を見せた。 「高津監督を優勝監督にしたい」 就任時から、石川はずっと思っていた。昨年3月。開幕投手に決まった際、無料通話アプリ、LINEで送られてきた「監督になったときから開幕は石川で行くと決めていた」というメッセージは今でも忘れない。 試合に勝ち観客に挨拶するヤクルト・石川=東京ドーム (撮影・中井誠) 節目で熱い言葉をかけてくれる。今季は不調で開幕2軍スタート。今季初登板となった4月16日の阪神戦は5回2失点で敗戦投手に。再び2軍降格が告げられた際に「絶対に必要だから。力になってもらうから。頑張ってきてくれ」という言葉を胸に刻んだ。 「その言葉だけでうれしかった。文句を言われないような成績を残して上に呼んでもらえるように頑張ろうと思えた」 2軍調整中も励ましのメッセージは届いた。もう一度心を奮い立たせた石川は「『絶対大丈夫』という気持ちでマウンドに上がった」と高津監督が発したおなじみのフレーズを用いて、2015年には2戦2敗した大舞台で奮闘した。 指揮官は「大きな舞台で本当に彼らしい投球をしてくれた」と目を細め、誕生日に日本一を決めるチャンスを得て「勝つのみ。全力で戦いたい」と決意表明。石川にとっても初めてとなる20年ぶりの日本一へ、大きな1勝をつかんだ。(赤尾裕希)

◆20年ぶりの日本一へ王手をかけているヤクルトが、2戦連続で先制に成功した。 二回、先頭のサンタナが四球を選んで出塁。続く中村の左中間への安打でサンタナが好走塁。一気に三塁まで進塁すると、無死一、三塁からオスナが三ゴロを放ち、「5―4―3」の併殺の間に1点を先取した。 この日は高津臣吾監督の53歳の誕生日。試合前のメンバー発表では、監督の紹介時にバースデーソングが流れるなど、大きな拍手が送られていた。

◆オリックス・杉本裕太郎外野手(30)が四回2死二塁から中前適時打。1-1とした。2死から吉田正が右翼線二塁打。杉本はフルカウントからの外角スライダーを中前へはじき返した。

◆日本一に王手をかけるヤクルトは同点に追いつかれた直後の四回、4番・村上宗隆内野手(21)がオリックス・山崎福から左中間に日本シリーズ2号となるソロ本塁打を放ち、1点を勝ち越した。 第5戦。ヤクルトは二回に先制した。先頭のサンタナが山崎福から四球を選び出塁。中村は左前打で無死一、三塁。続くオスの三ゴロ併殺の間にサンタナが生還した。先発の原樹理は四回、オリックス・杉本に2死二塁から中前適時打を許した。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(21)が1―1の四回、先頭で左中間へ勝ち越しの2号ソロを放った。 「同点に追いつかれた直後だったのでチャンスメークしようという気持ちで打席に入りました。大振りせずコンパクトに打つことができました。すぐに流れを持ってこれたので良かったと思います」 同点に追いつかれた直後の攻撃だった。四回先頭で打席に入ると、カウント2―2からの5球目、143キロをフルスイング。弾丸ライナーで左中間席へ放り込み、一塁を回ったところで人さし指を突き上げ喜びを爆発させた。 村上は第1戦(京セラドーム)でも八回にヒギンスから2ラン。4試合ぶりのアーチで試合の流れを再び燕へ引き寄せた。

◆オリックス・杉本裕太郎外野手(30)が四回2死二塁から中前適時打を放ち1ー1とした。杉本は「(吉田)正尚をかえすことだけを考えて打席に入りました」と振り返った。2死から吉田正が右翼線二塁打。杉本はフルカウントからの外角スライダーを中前へはじき返した。 しかし、直後の四回裏に村上に勝ち越しソロを許して1―2。

◆オリックスのT-岡田内野手(33)が1点を追う六回2死一、二塁から右前タイムリーを放って再び同点にした。2死から吉田正が一ゴロ失、杉本が左前打で一、二塁と好機を広げ、T-岡田がヤクルト2番手・田口の142キロツーシームを右前へ運んだ。

◆全快ピッチで試合をつくった。20年ぶりの日本一へ、王手をかけて迎えた大一番。負傷から復帰したヤクルト・原樹理が先発を託され、5回?を6安打2失点(自責点1)と力投した。 「とにかく丁寧に投げることと、守備からのリズムを意識して投げました」 先発した12日のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦(対巨人、神宮)で二回に打球を右手に受けて途中降板。心配されたが、CS前に「どんな状況であれ、自分の投球をすることが一番。他のことは何も考えず投げたい」と熱い思いを口にしていた右腕が、元気な姿で頂上決戦のマウンドに戻ってきた。 最少失点で踏ん張った。1―0の四回に2死から吉田正の右翼線二塁打、杉本の中前適時打で1点を失ったが、後続を断って勝ち越しは許さず。「うちの打線は試合をしっかりつくれば、勝ちの確率が高くなると思う。相手より1点でも少なく投げること」と話していた通り、打線を信じて腕を振った。 味方の失策も絡んで六回2死一、二塁のピンチで降板し「何とか粘っていたのですが、後ろにいい形でバトンを渡せず申し訳ないです」と反省した右腕。それでも〝1点でも少なく〟の思いを体現し、役目を果たした。

◆日本一に王手をかけるヤクルトが粘りを見せた。主将の山田哲人内野手(28)が3点ビハインドの八回無死一、二塁の好機で、オリックス4番手のヒギンスからシリーズ1号となる左越え3ランを放った。ベンチでナインと喜びを分かち合った山田は「打ったのはチェンジアップ。3点差ありましたが、チーム誰一人あきらめず何とかしようという気持ちがありましたし、そのみんなの気持ちが後押ししてくれました。最高の結果になりましたが、まだ、同点なので最後まで攻める気持ちでいきます」とコメントを残した。

◆ヤクルト・山田哲人内野手(29)が2―5の八回に同点3ランを放った。3点を追う八回。塩見、青木が連続四球で一、二塁の好機をつくり、山田が打席へ入った。カウント3―1からの5球目、134キロチェンジアップをフルスイング。左中間席上段へ放り込む特大の一発に、ゆったりと一塁へ歩み出し、ベンチに向かって右拳を握った。 勝てば20年ぶりの日本一が決まる一戦。この打席前まででシリーズ2安打、打点0と抑え込まれていた主将が一振りで流れを変え、ベンチは総立ちで飛び出して出迎えた。スタンドには感激のあまり涙するファンの姿も。値千金のアーチで試合を振り出しに戻した。

◆5-5の九回から登板した守護神、スコット・マクガフ投手(32)が、先頭打者の代打・ジョーンズに痛恨の勝ち越し左越えソロ弾を浴びた。 マクガフは京セラドームで行われた第1戦でも2点リードを守れずに3失点し、サヨナラ負けを喫していた。 第3、4戦ではセーブを記録。ここまでのシリーズで2セーブ2救援失敗で、成績が安定していない。

◆日本一に王手をかけるヤクルトは競り負け、対戦成績は3勝2敗となった。同点の九回に登板した守護神のスコット・マクガフ投手(32)が、オリックス先頭の代打・ジョーンズに痛恨の左越えソロ弾を浴び、勝ち越された。高津臣吾監督は53歳の誕生日を日本一で飾れなかったが、27日の第6戦(ほっと神戸)に向け、必勝態勢を整える。 ヤクルトは四回に村上がシリーズ2号となるソロ本塁打、山田が八回に左越え特大3ランを放つなど打線が上向いている。負傷から復帰したヤクルト・原樹理が先発を託され、5回?を6安打2失点(自責点1)と力投した。

◆9月半ばに右肘を手術したオリックスの山岡が日本シリーズで復帰登板を果たした。5―2の八回に3失点して降板したヒギンスをリリーフ。1死無走者からサンタナを二直、中村には四球を与えたもののオスナを左飛に打ち取った。 2019、20年と2年連続で開幕投手を務めた元エース。「焦らずやらせてくれた周りの人に感謝」と、大舞台での復帰を信じて懸命に励んだリハビリが実を結んだ。

◆オリックスは同点に追いつかれた直後の九回、代打のアダム・ジョーンズ外野手(36)が左翼に決勝の1号ソロを放ち、連敗を「3」で止め、対戦成績を2勝3敗とした。試合後の中嶋聡監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー今の気持ちは? 「よかったです」(場内爆笑) ーー選手にはどんな言葉をかけて送り出したのか 「何も言っていません」(さらに爆笑) ーーシリーズ初スタメンの太田が活躍(七回に適時打) 「え~、そうですね。(紅林と)若い2人で点を取ってくれましたし、チームに勢いをつけてくれましたし、勇気を与えてくれた気がします」 ーーアダム・ジョーンズが代打で勝ち越しホームラン 「同点に追いつかれて、ベンチが沈んでいる中、一発で変えてくれる選手ですし、本当に頼もしい選手です」 ーーあきらめない気持ちを見せてくれた 「よく見せてもらっています」 ーー監督がCS後に言っていた神戸の胴上げが見えてきている 「言った手前、帰られてよかったです」 ーー第6戦に向けて 「追い込まれている状況に変わりませんが、最後まであきらめずに、頑張りますので、熱が上がらなかったら山本由伸でタイに持っていきたいと思います」

◆オリックスはアダム・ジョーンズ外野手(36)が5―5の九回、先頭で代打で登場すると、ヤクルトの守護神マクガフの2ボールからの3球目を左翼席中段まで運んだ。決勝ソロで崖っぷちから生き返った。 1勝3敗で後がないオリックス。この第5戦を勝たないと神戸に帰れない。とにかく粘って粘って粘りまくった。 0-1の四回、先頭の福田が右前打で出塁。宗への初球、オリックスベンチはエンドランを仕掛ける。しかし外角高めを宗は空振り、福田も盗塁死。その後、宗も左飛で2死となり、好機を逸したかに思われたが…。 続く吉田正は右翼線二塁打。再びチャンスを作り杉本だ。フルカウントから低めのスライダーにバットを伸ばして中前に弾き返した。右手骨折から復帰したばかりの吉田正は本塁へ激走。中村と激突しながら、わずかな隙間に足を入れた。 「何とか(吉田)正尚を返すことだけを考えて打席に入っていました。振りすぎないように意識していましたし、いいところに飛んでくれました」と杉本。何度もチームを救ってきた3、4番コンビが、ここでも機能した。 2―2の七回には中嶋監督のマジックがさく裂した。「8番・二塁」で起用した太田が1死二塁から、日本シリーズ自身初安打となる三塁打でついに1点を勝ち越した。さらにモヤの右前へのポテンヒットで2点を勝ち越す。 八回に1点を加えて5―2に。この裏、ヤクルト・山田に悪夢の同点3ランを被弾したが、劇的ドラマは九回に待っていた。このシリーズは代打の切り札として待機するジョーンズは、第1戦に四球で出塁したあと、第2戦、第3戦、第4戦とも三振に倒れ、ここまで3打数無安打だった。まさに起死回生だった。 第6、7戦目が行われる神戸(ほっと神戸)への切符を勝ち取るためにも勝つしかなかった。試合前、中嶋監督は何度も手をたたきながら「(神戸に)帰るぞ!」とナインにゲキを飛ばしていた。ドラマは神戸で続いていく。(竹村岳)

◆オリックスは同点に追いつかれた直後の九回、代打のアダム・ジョーンズ外野手(36)が左翼に決勝の1号ソロを放ち、連敗を「3」で止め、対戦成績を2勝3敗とした。試合後のヒーローインタビューは以下の通り。 ーーナイスホームランでした 「今日の試合は本当に後がないギリギリのところでしたので、あの場面で打ててよかったです。これから神戸に戻って、試合は続きますが、たくさんの方が球場に来られて、応援していただきたいと思っています」 ーー同点に追いつかれた後の先頭バッターだった 「代打の準備はしっかりしながら、外国人投手(マクガフ)ということで、真っすぐが来たら、しっかりととらえようという中で、打つことができました」 ーー感触は? 「いい当たりだったので、手の方には全く感触がなかったです」 ーー今のチームの逆境での強さは? 「最後の最後まで、最後のアウトまであきらめない。相手チームがハイタッチをするまで絶対にあきらめない中で、戦っています」 ーー神戸での最終決戦です 「応援に来てください。山本投手が投げることになるので、チャンスがある、いい試合をやっていけると思いますので、よろしくお願いします」 (最後は自らマイクを持って) 「サイコ~ッ!」

◆仕事を離れて楽しみたくなる名勝負の連続だ。ありがとうと言いたい。 いろいろな捉え方があるが、勝ってホームに戻るオリックスにとって、一番のプラス材料は、この試合で使える中継ぎ、使えない中継ぎがはっきりしたこと。六回のピンチをしのいだ吉田凌、七回をつないだ富山は素晴らしかった。守護神・平野佳が1試合経験できたのも大きい。 そして山岡。故障明けだが、十分に投げられていたし、回の頭から投げれば、残り試合で十分にセットアッパー的な働きはできる。 山本、宮城、奥川、高橋ら両チーム先発に目が行きがちだが、これだけ接戦が続くと、勝敗を分けるポイントは救援陣のデキ。やや不安定さを感じさせていたオリックスだが、ようやく見通しは立った。逆に救援勝負なら有利だったヤクルトは、この試合で完全に継投ミスをした。 オリックス投手陣に注文するなら、先頭打者への四球厳禁。特に救援陣の先頭打者への四球は致命傷になりかねない。逆転日本一への最低条件といっていい。(本紙専属評論家)

◆指揮官の誕生日を、日本一で飾ることはできなかった。ヤクルトは5―5の九回にスコット・マクガフ投手(32)が、代打のオリックス・ジョーンズに決勝弾を浴びて、シリーズ2敗目。高津臣吾監督(53)は悔しさを押し殺した。 「哲人(山田)の一発が効いたんですけど、投手の方で踏ん張りが利かなかった。あの1点、この1点、どこかで1つのアウトというところは、もう少し大事にいかないといけないと思う」 頂上決戦にふさわしいシーソーゲーム。3点を追う八回に山田が同点3ランを放ったが、最後は守護神が一発に泣いた。 先発の原が六回途中2失点と粘投し、その後は小刻みに継投。七回には、3連投の石山が2点を失い、八回にも大西が1失点。レギュラーシーズン、CSファイナルステージで奮闘してきた救援陣がオリックス打線につかまった。 日本シリーズ史上初のバースデー優勝とはならなかったが、指揮官は第6戦で日本一を決める覚悟だ。「投手がしっかり踏ん張らないといけない」と奮起を促した。 第6戦以降は第1戦で好投した奥川、第2戦で完封した高橋に加え、高梨も先発として準備している。投手陣も総動員のスクランブル態勢で最後の1勝をつかむ。(赤尾裕希)

◆原は六回途中6安打2失点。2-1の六回2死から味方の失策を機に一、二塁とされて降板すると、後続が同点打を浴びた。右腕は「丁寧に投げることと、守備からのリズムを意識して投げた。後ろに良い形でバトンを渡せず申し訳ない」と反省。それでも、12日のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦で打球を右手に受けて降板した影響は感じさせず、首脳陣の信頼に応えた。

◆取って取られてのシーソーゲーム。主砲の村上は同点とされた直後の四回先頭に勝ち越し弾を放った。敗戦の中でも存在感を示した。 「追いつかれた直後だったのでチャンスメークしようと打席に入りました。すぐに流れを持ってこられたので良かった」 カウント2―2からの5球目、山崎福の143キロの直球をガツン。白球は弾丸ライナーで左中間席へ突き刺さった。一塁を踏んだところで右人さし指を突き上げ、拳を握った。「大振りせずコンパクトに打つことができました」。シリーズ第1戦(京セラ)に続く2号ソロ。一撃で流れを引き戻した。 24日の第4戦は4打席で無安打に終わったが、この日は六回2死の第3打席で右翼線へ三塁打。八回に同点3ランをたたき込んだ山田とのアベック弾を達成した。 高津監督は「長打が打てる選手、期待している選手の前に走者を置いてどうやって得点していくか。彼ら(山田、村上)がどうやって打点を挙げていくかだと思います」とうなずいた。頂点だけを見据え、その一振りで流れを変える。(箭内桃子)

◆ついに出た!! ヤクルトは3点ビハインドの八回に、山田哲人内野手(29)が今シリーズ1号となる同点3ラン。主将は2015年の日本シリーズで3本塁打を記録しており、通算4本は大杉勝男、池山隆寛と並んで球団最多となった。四回には村上宗隆内野手(21)が2号ソロを放ち、〝金メダルコンビ〟が初のアベック弾をマーク。チームは5-6で競り負けたが、第6戦以降も爆発の予感だ。 東京ドームのボルテージは最高潮に達した。2―5の八回無死一、二塁。敗色ムードが漂いはじめた場面で、山田のバットが火を吹いた。カウント3―1からヒギンスのチェンジアップを左翼席中段に突き刺した。 「自分的にはすごく振れていた。しっかりタイミングを取れましたし、イメージ通り、強い打球を打てたので良かったと思います」 冷静沈着の29歳には珍しく、ホームインすると飛び跳ねて喜んだ。チームの敗戦には悔しさ満点だったが、雰囲気を一掃した一発には納得の表情だった。 救援陣が崩れて、八回は3点のビハインドを背負った。しかし、1番から始まった攻撃で塩見、青木が連続四球でチャンスを演出。研ぎ澄まされた集中力を発揮した。 今シリーズ1号が飛び出すまでは17打数2安打(打率・118)で長打と打点がゼロ。「ちょっと読みが違うな、と。直球を待っていたら変化球が来るし、変化球を待てば直球がくる。ちょっと運がないのかなと思っていた」という。 飛び跳ねる山田(背番号1)を村上も興奮気味に出迎えた。3、4番コンビがシリーズ初のアベック弾を記録した(撮影・長尾みなみ) ライナー性の打球が相手の正面を突くなど不運もあった。だが、歯車がかみ合えば、もう心配はない。キャプテンの一発にナイン全員がベンチから飛び出して喜びを爆発させた。日本シリーズでの通算4本塁打は大杉、池山と並んで球団最多となった。 四回には第2―4戦で1安打だった村上にも一発が飛び出した。東京五輪で金メダルを獲得したコンビが復調。スワローズが誇る主軸が息を吹き返し、第6戦が開催されるほっともっとフィールド神戸に乗り込む。 「また新たな気持ちで、神戸で戦うしかない。何とか勝てるように頑張ります。2試合しっかり守って、何とか相手より1点でも多く取って、粘り強い野球をしたい」と、山田は誓った。主将1年目。背番号「1」がチームを引っ張り、20年ぶりの日本一を達成する。(横山尚杜) ■ヤクルト・山田の日本シリーズ3打席連続本塁打VTR 2015年の日本シリーズでソフトバンクと対戦し、敵地で連敗。神宮に戻った第3戦に「3番・二塁」で先発した山田は一回、中田から先制の中越え2ランを放つと、三回に再び中田から一時勝ち越しの中越えソロ、五回には千賀から左翼席へ逆転2ランを運んだ。日本シリーズ史上初の1試合3本塁打を3打席連続で達成し、4打数3安打5打点。チームを8-4の勝利に導いた。しかし、第4、5戦で計8打数無安打に終わり、チームは1勝4敗で敗退した。

◆今回の対決を「ぬかシリーズ」と命名しよう。ぬか漬けのぬか、だ。両チームとも、1点取っては「ぬか喜び」。勝ち越し、逆転でまた、ぬか喜び。結果が出ていない試合途中だよ。球界最高峰の日本シリーズで、軽すぎる反応は控えてもらいたい。 リリーフ陣は相変わらず四球を振る舞って、失点を招く。中でもオリックスのヒギンス。四球、四球、3ランとはね。 ヒギンスに限らず、もっといえば公式戦から各チームに再三、苦言を呈してきた。せいぜい1イニングで「大変なポジションですね」とねぎらわれるのであれば、無四球でピシャリと抑えてくれないかね。 歩かせるにしても、一球の妙とか、配球、駆け引きの妙などがあればまだしも…。ストライクが取れずに自滅では、レベルが低すぎる。効き目のない継投は、まさに「ぬかにクギ」と表現するしかないよ。 まあ、そんな中、オリックスのジョーンズが決勝弾。この1本のために高給を払って、チームに置いていたようなもの。「古漬け」の趣といえるかな。 第6戦の見どころは、オリックス・吉田正、杉本、ヤクルト・山田、村上の主力打者を、両軍投手がどう封じるか。「一夜漬け」では得られない、味わい深い対決を望むよ。(本紙専属評論家)

◆終盤の激しい点の取り合い。試合を動かしたのは、2-2の七回1死二塁で右中間三塁打を放ったオリックス・太田だった。 その初球。第4戦まで〝シリーズ男〟になっていたヤクルト・石山は、外角低めへの直球で見逃しストライクを奪った。コース、高さともにギリギリ。素晴らしい球だった。太田は五回の打席で原の内角へのツーシームを左前へ運んでいただけに、外角への配球も当然だった。 しかし、この1球が結果として自身の首を絞めることになる。甘いゾーンから徐々に遠く、そして厳しく攻めていくのが打ち取り方の基本と言われる。1球目より2球目、2球目より3球目を際どく、ということ。今シリーズでもオリックス・山本、宮城、ヤクルト・石川らが初球にど真ん中でストライクを取る場面が多くあった。 石山は初球にあまりにも厳しいコースでストライクを取ったことで、皮肉にも2球目以降は全球〝勝負球〟に近い精度を求められるというジレンマに陥ることになった。太田に投じた2球目のスライダーはボール1個分、中に入り、コースも高い。決して失投とはいえない球だったが、初球を見ている太田には「甘く」映り、楽にコンタクトできたはずだ。 これで今シリーズは5試合中4試合が1点差ゲーム。ただ、オリックス・中嶋監督が第4戦後に「接戦とは思わない」と話したように、5試合計45回でオリックスがリードを奪ったのは、逆転サヨナラ勝ちした第1戦の九回を入れてもわずか5イニング。なかなか主導権を奪えていない。 それでも、オリックスは第6戦以降の舞台となる、ほっともっと神戸に決着を持ち越すことができた。1995年にも日本シリーズで顔を合わせた両軍だが、同年はヤクルトが3勝1敗で迎えた神宮での第5戦に勝って日本一となった。 当時、ヤクルトの主力だった土橋勝征(現2軍育成チーフコーチ)は、「1、2戦のナイターの神戸がめちゃくちゃ寒くて、『もう神戸には行きたくない。神宮で終わらせようぜ』というのがチームのモチベーションになっていた記憶がある」と後に語っている。 第6戦ではもう一度、オリックス・山本とヤクルト・奥川の投げ合いが見たいが、レギュラーシーズンで登板間隔を中9日以上空けてきた奥川の起用は流動的か。今シリーズ、まだ先は見えない。(編集委員)

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