1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 10 | 0 | 0 |
ORIX | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | 2 | 0 |
勝利投手:マクガフ(1勝2敗2S) 敗戦投手:吉田 凌(0勝2敗0S) |
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◆ヤクルトが20年ぶりの日本一に輝いた。ヤクルトは5回表、塩見の適時打が飛び出し、試合の均衡を破る。その後同点とされて迎えた延長12回に、2死二塁から代打・川端が適時打を放ち、勝ち越しに成功した。敗れたオリックスは、1996年以来となる頂点の座にあと一歩届かなかった。
◆オリックス2勝3敗で迎える日本シリーズ第6戦は神戸に場所を移して行われる。 ほっともっと神戸の近くには、かつて「青濤館」と呼ばれる選手寮があり、イチロー(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)も輩出した。 施設の老朽化などから、17年に大阪・舞洲へ移転。かつての青濤館があった場所には、現在はマンションが建設中だ。 27日のほっともっと神戸は冷え込んでいる。住所になる神戸市須磨区の27日の最高気温は13度で、最低気温は8度とダウンジャケットが必須の気温になっている。
◆第6戦が行われるほっともっとフィールド神戸では冷え込みが強まっている。 開門時間の午後3時前には一時、雨も降った。球場入り口付近で屋外に展開している弁当売り場も、急な雨に慌てて雨対策をしている様子もあった。 ウオーミングアップをする選手は長袖で、ネックウオーマーを着用する選手もいるほど。球場のある神戸市須磨区の27日の最高気温は13度で、最低気温は8度とダウンジャケットが必須だ。
◆日本一に王手をかけているヤクルトが、日本シリーズが第8戦以降にもつれることを想定して、石川雅規投手(41)と小川泰弘投手(31)の2人がブルペン入りした。 試合前練習で、キャッチボールを終えるとユニホーム姿の2人が動いた。同じタイミングでブルペンに入り、投球練習を行った。 ブルペンのマウンド後方には寒さ対策として火鉢が置かれ、伊藤投手コーチが暖を取っていた。 NPBは、第7戦までで優勝が決まらなかった場合は、翌日に第8戦を京セラドーム大阪で、さらに第9戦が必要になった場合は翌日に同球場で行うと発表している。
◆ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、試合前練習にTシャツ姿で現れた。 グラウンドに出てきたサンタナは、肌寒く風もある中で半袖姿。オスナと談笑しながら体を動かした。 しかし寒かったのか、いざ全体練習のウオーミングアップが始まるタイミングで、パーカを渡されるとすぐに着ていた。 ヤクルトの試合前練習の時点で、球場の気温は9度。冷たい風がセンター方向に向かって吹き付けており、ネックウオーマーを着けている選手も多かった。
◆日本一に王手をかけているヤクルトの第6戦のスタメンが発表された。 先発は高梨裕稔投手(30)。CSファイナルステージは登板機会はなく、セ・リーグ優勝を決めた10月26日DeNA戦(横浜)で先発して以来となる。ほっともっと神戸は日本ハム時代を含めて3戦3勝と抜群の相性を誇る。 野手は、第1戦で途中交代した宮本丈内野手(26)が復帰し、右翼手に入った。
◆ヤクルト3勝、オリックス2勝で迎えた第6戦のスタメンが発表され、オリックスは中嶋聡監督(52)の事前予告通り、沢村賞右腕の山本由伸(23)を先発マウンドに送った。負ければ敗退の状況は変わらないが、絶対的エースを休養十分の中6日で立てて、3勝3敗に持ち込む構えだ。 DHにはスティーブン・モヤ外野手(30)を入れた。太田椋内野手(20)が2試合連続で二塁で出場。初先発した第5戦で一時勝ち越し三塁打を放つなど勢いのある若手だ。 ヤクルトの先発は高梨裕稔投手(28)。レギュラーシーズンは12度の先発で4勝1敗。先発試合のチーム成績は10勝1敗1分け。さらに、ほっともっと神戸では通算3戦全勝と好データが残る。登板はリーグ優勝を決めた10月26日のDeNA戦(横浜)以来。1カ月ぶりの出番がまたも重圧のかかるマウンドになる。日本シリーズでは日本ハム時代の16年に先発経験がある。
◆第6戦に臨むヤクルトのベンチ入りメンバー26人が発表された。 第1戦で途中交代した宮本丈内野手(26)が、5戦ぶりにベンチ入りメンバーに入り、いきなりスタメン復帰となった。 坂口智隆外野手(37)がベンチ入り。 内川聖一内野手(39)、吉田大成内野手(26)がベンチから外れた。
◆ヤクルトの球団マスコットつば九郎が、自腹出張のサプライズで登場し、球場を沸かせた。 スタメン発表直後に紹介されると、大きな拍手が起きた。ホームゲームで恒例となっている「今日のひと言」コーナーのように、スケッチブックをめくった。 「やくるとすわろーずの どんふぁん つばくろうです」と自己紹介。「じばらしゅっちょうです。つめあとのこしてかえります!」と気合十分だった。
◆ヤクルトの人気球団マスコット、つば九郎がほっともっと神戸に登場。試合開始前、バックネットの前でオリックスの人気マスコット、バファローベルをつかまえ、ヘルメットと帽子を仲良く交換してみせた。得意芸のくるりんぱを教えるなど、仲良しなところ見せていたが、オリックスのもう1人の人気マスコット、バファローブルが握手で右手を差し出しても、なぜかスルー。 三井住友銀行のキャラクラーのミドすけ、三井住友カードVポイントキャラクターのビバすけとはからんでも、しばらくブルは"無視"し、ブルもがっくり。それでも最後は仲良くポーズを決め、極寒の中で午後6時のプレーボールを待つファンをなごませていた。
◆冷え込むほっともっとフィールド神戸で応援団のハプニング? のせいか、音が通常より小さく、手拍子で応援する一幕があった。 1回裏の攻撃で1番福田周平内野手(29)が打席に入ると、応援団の音が小さく手拍子で応援となった。
◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(28)が、両チームを通じてただ1人、半袖のユニホームで1回裏の守備に就いた。 気温7度の寒さの中で、三塁側ベンチから元気よく背番号13が飛び出した。試合前のシートノックでも半袖姿でプレーしていた。その後のセカンドアップではパーカーを着て、フードをしっかりかぶって体を動かしていたが、試合ではいつもの半袖姿だった。 オリックスのナインは全員、ヤクルトも他の選手は長袖だった。 オスナは、3回先頭で迎えた第1打席にも半袖で入り、オリックス先発山本の2球目、高めの136キロカーブをとらえて左翼ライン際へチーム初安打となる二塁打を放った。
◆ヤクルトが先制のチャンスも痛恨のバント空振りで好機を逸した。 3回、先頭のホセ・オスナ内野手(28)がチーム初安打となる左翼線二塁打を放った。5試合ぶりに復帰した宮本丈内野手(26)が無死二塁の初球、犠打の構えを見せるも、オリックス山本のフォークに空振り。これに二塁走者のオスナが飛び出してしまい、挟殺プレーの末タッチアウトとなった。 その後、宮本が右前打、塩見が死球で2死一、二塁のチャンスをつくるも青木が遊ゴロに倒れ、この回無得点に終わった。
◆ヤクルトが、塩見泰隆外野手(28)の適時打でオリックス山本から先制点を奪った。 5回、先頭の半袖のオスナがこの日2本目の安打。続く宮本が、第1打席では失敗した犠打を初球で決め、しっかりチャンスを広げた。 2死二塁となり、塩見が山本の初球141キロフォークにうまく合わせて、左前打を放った。二塁走者のオスナが激走して生還。ヤクルトが先制点を挙げた。 塩見は「山本投手がすごく良い投手なので、追い込まれる前に積極的に打ちにいきました。何とかチャンスをつくっていたのですがなかなか得点できていなかったので先に点を取ることができて良かったです」とコメントした。
◆崖っぷちのオリックスが5回に同点に追いついた。 0-1の5回2死二塁から福田周平内野手(29)がヤクルト先発高梨の135キロフォークに食らいついた。打球は左前に落ち、二塁走者の若月が生還し、同点に追いついた。 福田は「変化球が低めのいいところに決まっていましたし、その低めのボールを我慢して、詰まってでもいいので、なんとか後ろにつないでいこうという気持ちで打席に入っていました。その意識がいい結果につながってくれたんだと思います」と振り返った。 福田は1回の第1打席で四球、3回の第2打席は中前打と3打席続けての出塁となった。
◆ヤクルト先発の高梨裕稔投手(30)がリードを守り切れなかった。 粘投を続けていたが、5回に同点打を許し、4回2/3を4安打1失点7奪三振で降板。「大事な試合を任せていただいてとにかく長いイニングよりも、1イニング1イニングを全力で抑えることを意識してマウンドにあがりました。5回に点をとってもらった直後、何としても0点でしのぎたかった。悔しいです」と振り返った。 1点を先制した直後の5回。1死からオリックス若月の二塁手山田の平凡なゴロがイレギュラー。体勢を崩しながら一塁送球も、一塁手オスナがボールをこぼした。リクエストの末、判定はセーフ。記録は内野安打となる不運な1本からつながれた。犠打で2死二塁とされ、福田に左前へポトリと落ちる同点適時打を浴びた。そのまま2番手スアレスにマウンドを託した。 勝てば日本一が決まる大一番で、10月2日広島戦以来の白星とはならなかったが、オリックスのエース山本との投手戦を演出した。
◆ヤクルト2番手のアルバート・スアレス投手(32)が2回1/3を1安打無失点の好リリーフを見せた。 先発高梨が1点リードの5回2死二塁、オリックス福田に同点適時打を浴びた直後に登板。2死二塁のピンチも宗から空振り三振を奪って切り抜けた。 6回、7回も危なげなく無失点。オリックスのエース山本が1人で奮闘する中、高梨、スアレス2人でつなぎ、球界のエースとの投手戦を演出。8回からは3番手清水に託した。
◆オリックスのエース山本由伸投手(23)が続投志願した模様だ。8回、3者連続奪三振でベンチに戻ると高山郁夫投手コーチ(59)から、ねぎらいの握手を求められた。だが、手を離さないまま、山本が高山コーチと話し込み、何やら意見交換。その直後、壁に両腕を突いてストレッチするしぐさを見せた。8回まで1失点の好投を見せていた。9回もマウンドへ。3人で抑えて、プロ入り後、自己最多の141球で締めくくった。ベンチに戻ると今度は中嶋聡監督(52)が直々にねぎらいに向かい、高山コーチも頭をポンとたたいた。この日は9回6安打11奪三振1失点の快投だった。沢村賞右腕が心意気たっぷりの熱血を見せた。
◆今シリーズ初の延長戦に突入した。 ヤクルト清水昇投手(25)が回またぎで粘投した。同点の8回から登板。1死からオリックスの2番宗、3番吉田正に連打を許して一、二塁としたが、4番杉本を外角フォークで空振り三振。続くT-岡田には3球連続フォークを落として一ゴロに仕留めた。9回は先頭モヤに四球、2死二塁から代打ジョーンズを申告敬遠。一、二塁で福田をフォークと直球の緩急で中飛に打ち取った。 対するオリックスはエース山本由伸投手(23)がプロ入り後最多の141球を投げて9回を1失点に抑え、締まった投手戦となった。
◆ヤクルト 半袖一塁手のホセ・オスナ(28)がリクエストに泣いた。 5回1死、イレギュラーしたゴロをなんとか捕球した山田から、送球を受けるも完全捕球できず。一時はアウト判定もリクエストの結果、地面にこぼしたとしてセーフと判定された(記録は内野安打)。9回無死一塁では、清水の素早いけん制球を受け、セーフの判定にベンチにリクエストを要求したが、判定は覆らなかった。
◆ヤクルト田口麗斗投手(26)が、役割を果たした。同点の延長10回、オリックス宗、吉田正と左打者が続く場面に4番手で登板した。 先頭の宗に対しては初球スライダーで左飛に打ち取った。続く吉田正は3球連続ボールも、スライダーを3球続け最後は空振り三振。2死を奪い、右打者の杉本を迎えたところで、守護神マクガフにマウンドを託した。後を受けたマクガフも、見逃し三振で3者凡退リレーを完成させた。 1点取られればサヨナラ負けのしびれる場面で、巨人時代から3年連続日本シリーズ出場中の左腕が任務を全うした。
◆オリックスの能見篤史投手兼任コーチ(42)が阪神時代の14年以来、7年ぶりの日本シリーズに登板し「村上封じ」を決めた。 1-1で迎えた延長11回に登板。2ボールから速球を際どいコースに投げ込んで平行カウントに戻すと、低めのフォークで左飛に仕留め、ワンポイントリリーフに成功した。42歳の現役最年長左腕が、土壇場で存在感を示した。
◆日本シリーズの第6戦は今季初の延長に突入した。日本シリーズ開催要項は以下の通り。 (1)サスペンデッド・ゲームは行わない。 (2)第7戦までは延長12回で打ち切り。第8戦以降は延長回の制限なし。 (3)雨天などで中止の場合はその球場で順延とする。 (4)引き分けがあり、第7戦で優勝が決定しない場合は、翌日に京セラドーム大阪で第8戦を行う。第9戦が必要な場合は、翌日に同球場でヤクルトのホームとして行う。 (5)12月1日以降には試合は開催しない。30日までに一方のチームが4勝に達しない場合でも優勝決定する場合がある。 (6)パ本拠地ではDH制を採用。 (7)新型コロナウイルスの感染対策でシリーズ続行が不可能な場合、シリーズは終了しその時点で勝利数の多いチームが優勝。タイの場合はTQB(得失点率差)で決定する。
◆ヤクルトの代打の切り札川端慎吾内野手(34)が、値千金の勝ち越し適時打を放った。 同点の延長12回2死二塁、オリックス吉田凌から、詰まりながらも左前に落とす適時打を放った。20年ぶりの日本一に近づく一打にヤクルトベンチは総立ちとなった。
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一となった。1-1の同点で迎えた延長12回、2死二塁から代打川端がしぶとく左前に落とした。 ここまでの5戦中4戦が1点差。試合開始の午後6時の気温が7度という寒さの中で始まった試合だったが、この日も熱戦が繰り広げられた。 序盤は我慢比べの展開。ヤクルトは3、4回と得点圏に走者を進めたが、オリックス山本の前に決定打を欠いた。一方、ヤクルト先発高梨も走者を背負いながらも、切れ味鋭いフォークを駆使して、得点を許さなかった。 5回に試合が動いた。ヤクルト先頭のオスナが目の覚めるようなライナーで中前へ。犠打で走者を二塁に進めると、2死から塩見が左前へ。待望の先制点を奪った。しかし、その裏。オリックスも1点を奪取。試合を振り出しに戻した。 先発の高梨は1点リードで迎えた5回に同点打を許し、4回2/3を4安打1失点7奪三振で降板。後を受けたリリーフ陣がオリックス打線に得点を許さず、今シリーズ初の延長戦を制し、頂点に立った。
◆オリックスが延長12回に力尽き、26年ぶりの日本一とはならなかった。。 先発の山本由伸投手(23)が9回を自己最多の141球を投げて6安打11奪三振1失点。5回表に先制を許したが、直後の5回裏に福田周平内野手(29)の同点打で追いついた。 9回では決着がつかず、今シリーズ初めての延長戦となった。平野佳、能見、比嘉、富山と継投。12回2死走者なしから吉田凌投手(24)にスイッチしたが、2死二塁から代打・川端に左前打を浴びて失点。打線も得点を奪えず、力尽きた。
◆ヤクルトが20年ぶり日本一に輝いた。5回に塩見の適時打で先制。直後に追いつかれたが継投で反撃をしのぐと、延長12回2死二塁から代打川端が値千金の適時打を放った。 オリックスは先発山本が9回1失点の好投を見せたが、最後は吉田凌が力尽きた。
◆「超人節」は控えた!? 阪神糸井嘉男外野手(40)が、日本一を決める一打を放ったヤクルト川端慎吾内野手(34)に敬服した。 糸井は「SMBC日本シリーズ2021」第6戦のオリックス対ヤクルト(ほっともっと神戸)でプレーヤーズゲストとして放送席に登場。1-1で同点の延長12回表2死二塁、代打で登場した川端が勝ち越しの左前適時打を放つと「さすが、川端選手のバッティングだと思います」とたたえた。 川端は今季、プロ野球歴代2位となる代打で30安打を放った。同じく代打を主戦場とする糸井は「(川端を)注目して見てますし、勉強になることも多い」と真剣に話した。 ツイッターでは試合開始早々「糸井さん」がトレンド入りし、グラウンド外でも注目度は抜群だった。糸井は緊張気味だったのか、終始、静かな口調でコメントを発し続けた。目の前で見た日本一の光景を、プロ19年目を迎える来季への原動力にする。
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。試合が終了すると、マウンド付近に歓喜の輪ができた。ベテラン青木宣親外野手、山田哲人内野手、4番を守り抜いた村上宗隆内野手の目から涙がこぼれ落ちた。高津臣吾監督(53)は10回宙を舞った。1-1の同点で迎えた延長12回、2死二塁から「代打の神様」川端慎吾内野手がしぶとく左前に落とし、決勝点を挙げた。先発の高梨は1点リードで迎えた5回に同点打を許し、4回2/3を4安打1失点7奪三振で降板。後を受けたリリーフ陣がオリックス打線に得点を許さず、今シリーズ初の延長戦を制し、頂点に立った。
◆高津臣吾監督(53)はヤクルト現役時代、93、95、97、01年のシリーズで胴上げ投手。 日本シリーズで胴上げ投手と監督優勝を経験したのは、金田正一(67年巨人投手、74年ロッテ監督)工藤公康(86、87、91年西武投手、15、17~20年ソフトバンク監督)に次いで3人目。ともに同じ球団は高津監督が初めてだ。
◆ヤクルトの"代打の神様"川端慎吾内野手(34)が、見事な勝負強さを発揮した。 1-1で迎えた延長12回2死二塁、フルカウントからオリックス吉田凌の7球目、スライダーをとらえて詰まりながらも左前へポトリと落とした。二塁走者の塩見がヘッドスライディングで生還し、ついに勝ち越しの1点を奪った。 ベンチからは選手たちが飛び出し、川端もガッツポーズ。試合開始から4時間40分以上が経過した球場で、ヤクルトファンが沸いた。
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。▼この試合の両軍の三振はオリックス17個、ヤクルト14個。両チーム合計31三振は18年広島-ソフトバンク<1>戦の27三振(広13、ソ14)を抜くシリーズ最多記録となった。また、今年の<1>戦でヤクルトが9回で15三振を喫したが、延長を含めても17三振したチームはオリックスが初めて。
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。▼<6>戦は延長12回で5時間0分。日本シリーズの最長時間試合は10年中日-ロッテ<6>戦の5時間43分で、それに次ぐシリーズ2位の長時間ゲームとなった。試合終了は午後11時5分。終了時刻の遅かった試合は前記の10年<6>戦の午後11時54分があるが、日本一が決まった試合では10年<7>戦の午後11時7分に次いで2番目に遅かった。
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一となった。個性を解き放った扇の要が、ヤクルトを支えた。中村悠平捕手(31)はシリーズ全試合でマスクをかぶり、打率3割1分8厘、チーム防御率2・09と攻守に貢献した。その輝かしい結果の裏に、遊び心があった。後半戦から、ユニホームのズボンの裾を絞ったスタイルで試合に臨んだ。「メジャーの選手がよく絞っているのを見て、かっこいいじゃないが、いいアクセントになったらみたいな感じ」と笑う。 昨季までは、どちらかと言えば淡々と自分の感情を出さない方だった。変化のきっかけは春季キャンプ。古田敦也臨時コーチから「捕手で勝て」とたたきこまれた。「その言葉があって、勝ったときとか殊勲打を打ったときは自分がなんとかしたという気持ちを例年に増して感じるようになった」。自然とガッツポーズが出てきた。 日本シリーズ第3戦、"本拠地"東京ドームで迎えた第3打席は、登場曲をTUBEの「恋してムーチョ」に変更した。15年にも使用した、自身の愛称である「ムーチョ」にちなんだ曲でファンを沸かせた。 真剣勝負は当たり前。一方で、イレ込みすぎるのも良くない。自然体で挑む。「自分のリードにちょっとした遊び心が必要じゃないかと。あとは自分の個性。自分がどうしたいかというのがあった」。新たな"らしさ"を見つけた先に、日本一があった。【ヤクルト担当=湯本勝大】
◆ヤクルト塩見泰隆外野手が先制適時打と決勝のホームインで日本一に貢献した。5回2死二塁、オリックス山本の初球141キロフォークにうまく合わせて左前打。 「山本投手はすごく良い投手なので、追い込まれる前に積極的に打ちにいきました。何とかチャンスをつくっていたのですが、なかなか得点できていなかった。先に点を取ることができて良かったです」と喜んだ。延長12回には川端の左前打で二塁から生還。ナインに歓喜で迎えられた。
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。▼ヤクルトが01年以来6度目の日本一。オリックス(阪急時代含む)との対戦は78、95、21年とすべて日本一になった。ヤクルトのシリーズ出場は8度目で、優勝率が7割5分。楽天が出場1度で優勝1度だが、複数回出場の球団ではヤクルトの優勝率が最も高い。前年最下位から日本一は60年大洋に次いで61年ぶり2度目。大洋を指揮した三原監督は、大洋監督就任前に西鉄監督でシリーズに4度出場し日本一3度。シリーズ初出場で前年最下位チームを日本一に導いたのは高津監督が初めてだ。▼セ・リーグ球団の日本一は12年巨人以来で、パ・リーグ球団の連続Vを8年で止めた。パ・リーグ球団が3年以上連続日本一は6度あるが、連続Vを止めたのは60年大洋、78年ヤクルト、89年巨人、93年ヤクルト、07年中日、21年ヤクルト。ヤクルトが6度のうち3度止めた。これで日本一回数はセ・リーグ36度、パ・リーグ36度となり、セ・リーグが五分に戻した。▼今シリーズは1点差5試合、2点差1試合。3点差以上がないのは57年西鉄-巨人戦(1点差4試合、引き分け1試合)60年大洋-大毎戦(1点差4試合)に次いで3度目。<1>戦から6試合連続2点差以下、1点差が5試合は初。また、今季のプロ野球は2軍では延長を採用したが、1軍はCSを含めて9回打ち切り。<6>戦は今季1軍で初の延長戦だった。
◆ヤクルト日本一の立役者となったのは仲良し助っ人コンビだ。ドミニカ共和国出身のドミンゴ・サンタナ外野手(29)とベネズエラ出身のホセ・オスナ内野手(28)。シーズン中から嶋とともに試合前の声出しに参加するなど、チームにしっかり溶け込み、一枚岩となって戦った。いまさら聞けないサンタナとオスナの"見分け方"を紹介したい。 (1)でかいのがサンタナ、でかいけど少し小さいのがオスナ=サンタナは195センチ、オスナは188センチ (2)ヒゲがあるのがサンタナ、ないのがオスナ=オスナは常にヒゲを爽やかにそり上げている (3)少しだけ威厳があるのがサンタナ、相手をたてているのがオスナ=オスナはサンタナの弟子。メジャー通算77発のサンタナに敬意を示す (4)決めポーズでヒゲをさわるのがサンタナ、ハートを胸の前でつくるのがオスナ=みんなで一斉にやるので、見分けがつかなくなることも (5)真面目なのがサンタナ、陽気なのがオスナ=オスナは落ち込まないのが取りえ (6)卵かけご飯が好きなのがサンタナ、ラーメンが大好きなのがオスナ=和牛はどちらも大好物 (7)日本シリーズで2試合連続本塁打を打ったのがサンタナ、第4戦で決勝適時打を打ったのがオスナ=どちらもしっかり活躍 (8)気温8度でも半袖なのがオスナ、上着を忘れてウオーミングアップだけ半袖だったのがサンタナ=第6戦、サンタナは長袖にネックウオーマーをつけてプレー
◆ヤクルトが試合時間5時間、延長12回の熱戦を制し、20年ぶりの日本一に輝いた。 10度宙を舞った高津臣吾監督(53)の優勝インタビュー一問一答は以下の通り。(帽子をとってあいさつ) -夜空を舞った気持ちは 本当に苦しいシーズンを過ごしてきました。昨年、一昨年と最下位に沈んで、非常に難しいシーズンだったので、喜びも何倍も大きいと思います。すごくうれしいです -相手はオリックス山本。どんな気持ちで もちろん勝つ気でグラウンドに立ってくれたと思います。チャンスも得点もなかなか難しい投手ですけど、打つ方も投げる方も、みんなでなんとかつないで、延長にはなりましたけど、なんとか勝つことが出来ました -僅差だった 高梨から始まり最後マクガフまで、みんな持ち味を発揮して素晴らしい投球をしてくれたと思います -代打川端が見事なタイムリー はっはっは。シーズンから彼の一振りに頼りっぱなしで、アウトになることが許されない場面でも、決して当たりは良くなかったですけど、良いバッティングだったと思います -しびれる試合ばかり セリーグの意地もありますし、やっぱりオリックスバファローズ、非常に強かったです。簡単には点を取らせてくれませんし、なかなか抑えるのも難しかった。非常に良いチームだと思いました。 -神戸では96年に最後胴上げ投手に そうですね(笑い)。寒かったですね(笑い)。でもみんな熱く燃えてグラウンドに立ってくれた結果が今日の結果だと思います。 -最下位からの日本一 応援してくれたファンのみなさん、選手諸君、球団スタッフのみなさんに心から感謝、感謝、感謝です。 -全国のファンへ スワローズファンのみなさま、プロ野球ファンのみなさん、1年間応援ありがとうございました。なんとか日本一になることが出来ました。終わったばかりですけど、また熱い戦いを見せていけるように努力してきます。1年間本当に応援ありがとうございました。 -ファンにも浸透したあの言葉。来年は 我々は絶対に崩れません。絶対大丈夫です。1年間応援ありがとうございました。
◆ヤクルト中村悠平捕手(31)が、日本シリーズMVPに輝いた。6番打者として、シリーズ打率はチームトップの3割1分8厘。守備でも、史上初の全試合2点差以内の接戦を好リードで支えた。この日の第6戦も、オリックス打線を1失点で防いだ。「タイムリーなんてどうでも良かった。勝てばどうでもいい。日本一になれて本当に幸せです」と喜んだ。 正捕手を再びつかみ取った1年だった。昨季はケガの影響もあり、出場は29試合にとどまった。「正直言うと、個人の方が最優先だった」と打ち明ける。チームの勝利のために全力を尽くすことは当然。だが、自身の立ち位置を確固たるものにしなければ、勝負の舞台に立つこともできない。定位置奪取へ、歯をくいしばって練習に励んだ。 古田敦也氏からの指導も受け、リードの考え方を大幅に改善。投手の持ち球の特徴に対する固定観念を取り払った。勝負球に決め球ではない変化球を使ったり、外角低めのセオリーにも固執しないように。新たな発想で、投手陣を引っ張った。 こみ上げる思いに、お立ち台の最後は男泣き。「チームメートの支えがあってこそ。周りの人に感謝したい。来年も日本一になれるように頑張ります!」と声を張った。【湯本勝大】
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一となった。1-1の同点で迎えた延長12回、2死二塁から代打川端がしぶとく左前に落とした。つないでつないで、日本一にたどり着いた。オリックス山本に対し、ヤクルト投手陣は束になって戦った。高津監督は「高梨から始まり、マクガフまでみんなが持ち味を発揮して、すばらしい投球をしてくれたと思います」と頼もしい選手たちをたたえた。早めに継投策に踏み切った。シーズン中の10月末以来、約1カ月ぶりに先発した高梨は、1点リードした直後の5回2死から1失点。同点となった直後に、ベンチからパーカ姿の指揮官が出てきた。2番手には、シーズン終盤からリリーフに転向したスアレス。5回2死一塁で、2番宗を三振に仕留めて流れを渡さなかった。選手も、監督の熱い思いに腕を振って応えた。スアレスは、イニングまたぎで2回1/3を被安打1の無失点。7回を終えて1-1だったが、指揮官は勝利の方程式へ切り替えた。8回のマウンドは、清水に託した。2連打でピンチを作りながらしのぐと、そのまま9回も清水。5月21日DeNA戦以来のイニングまたぎとなり、2死一、二塁のピンチから福田を中飛に抑えると大きくガッツポーズ。9回を1人で投げきった山本に対し、ヤクルトは3投手で計1失点に抑えた。10回は、この日のブルペンで唯一の左腕田口が左打者2人を抑え、そこから守護神マクガフを投入。2回1/3を無失点とし、勝利投手に輝いた。結果的に3投手を回またぎで起用。高津監督が予告していた通り、出し惜しみしない継投だった。無失点の継投で、日本一の投手陣になった。【保坂恭子】
◆復活した"神様"が決めた。ヤクルト川端慎吾内野手(34)が、延長12回2死一塁で代打で登場。捕逸で2死二塁となると、フルカウントから7球目の内角高め130キロを詰まらせながらも、左前に運ぶ決勝打。今季代打の切り札としてチームを支え続けたバットマンが、20年ぶりの歓喜へ導いた。塩見の生還を見届けると、川端は右手を神戸の夜空に突き上げた。サヨナラ勝ちのように、選手全員がベンチを飛び出して喜びを爆発。跳びはねる仲間の姿を見ながら、ニッコリと優しくほほ笑んだ。日本一が決まると、目を真っ赤に。「本当にめちゃくちゃうれしかったですし、こんなに涙出るとも思わなかった」とうれしさがあふれ出た。 忘れ物を取り返しに来た。前回日本シリーズに進出した15年は、シーズンで首位打者と最多安打を獲得。主力として出場したが、念願の日本一に届かなかった。1勝4敗。自身も打率1割6分7厘と低迷。「何もできなかった。本当に悔しい思いをした」と振り返る。 以降は慢性的な腰痛にも悩まされ、満足のいく結果も残せず。1軍の舞台から遠ざかった。昨季に腰の手術を受け快方。不安なくスイングができるようになった。今季は開幕から切り札を担った。代打として、目の前の1打席に懸けてきた。安打を1本ずつ積み重ね、史上歴代2位のシーズン代打30安打。頼れるバッターとして控えた。いつしかファンの間で"代打の神様"と言われるようになった。「そうやって呼ばれることはうれしい」と照れくさそうに言った。 出番は1日1打席がほとんど。目を慣らすため、打席で、高速に設定したマシンの球を見送り続ける練習も行う。仕事人に徹し、34歳でつかんだ日本一。「去年、一昨年と本当に苦しい、悔しい思いをしていたので、諦めずに練習してよかった」。必死にもがいてきた日本で一番長いシーズンとなった今年、最後の最後に勝利の女神が、川端にほほ笑んだ。【湯本勝大】
◆20年ぶりの日本一を決めたヤクルトナインに涙があふれた。 ベテランの青木宣親外野手は日本一決定の12回裏途中で既にベンチで目を赤らめ"フライング"。主将の山田哲人内野手や4番村上宗隆内野手も豪快に男泣き。41歳の石川雅規投手や、代打で決勝適時打を放った川端慎吾内野手の目にも光るものがあった。MVPに輝いた中村悠平捕手もお立ち台で涙ぐみ、言葉に詰まった。 ツイッターでは「もらい泣き」がトレンド入り。「みんなの涙をみてもらい泣きしちゃいました」などのツイートが相次いだ。
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。燕の半袖の守護神マクガフが、胴上げ投手となった。チームメートと笑顔でハイタッチ。ベンチ前に戻ると、つば九郎にも思わず抱きついた。気温6度の寒さの中、10回2死からマウンドへ。オリックスの4番杉本を151キロ直球で見逃し三振。11回も3者凡退に抑え、攻撃へリズムをつないだ。12回は1死から死球で走者を出すも、落ち着いていた。来日して3年目のシーズン。フレンドリーな性格で、日本人選手とも食事へ。すしなど日本食も大好きで、練習して箸もしっかり使いこなせるようになった。使用するグラブも日本のメーカーに変え、チームにすっかり溶け込んだ。当初は中継ぎとして、今シーズン途中からは守護神としてプレッシャーのかかるマウンドを任されるようになった。日本シリーズ第1戦では、悔しいサヨナラ負けを喫した。第5戦では、9回に決勝本塁打も許した。それでも、守護神交代はなかった。「全く僕は気にしてないよ。あなたに任せている」と声をかけた高津監督の期待に応え、最後には最高の瞬間が待っていた。【保坂恭子】
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。◆ヤクルト高津監督の今季後半戦の主な語録9月7日(試合前に選手を集め)「チームスワローズという一枚岩でいったら絶対に大丈夫。これはしっかり自信を持っててください。何かあったら僕が出て行く。何かがあったら僕に相談してください」9月11日(絶対大丈夫の舞台裏を尋ねられ)「それは話すことは考えてますよ。絶対大丈夫とずっと思いながらやってきた。それを選手に伝えたかった」10月24日(ロッカールームに高津監督が書いたとみられる謎の張り紙)「腹くくっていったれぃ!!」11月10日(CSファイナルステージ初戦で選手を前に)「僕たちはセ・リーグでチャンピオンになったけれども、けして横綱ではない。横綱というのはどっしり構えて、相手の力をしっかり受け止めて、そこから前にいく。かかと体重でも前にいくのが横綱。絶対にやらないといけないのは前のめり、積極的に全力でバットを振る。しっかり腕を振る」11月19日(日本シリーズへの意気込みを聞かれ)「最初、2021年の新しい物語をみんなで作ろうと、そういう話をさせてもらった。いい1ページがもしかしたら飾れるかもしれない、すごいいい終わり方ができる最後の1ページが書けるかもしれないところまできたので、みんなでいい1ページをつくっていきたい」11月26日(日本シリーズ第6戦を前に)「多分第三者としてスタンドで見たりとか、テレビで見ていたら本当にいいシリーズだと思います。やっている我々は大変です」
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一になった。 日本シリーズMVPは全試合フル出場で投手陣を好リードし、打撃でも活躍した"ムーチョ"中村悠平捕手(31)が輝いた。 優秀選手賞は第2戦で完封した高橋奎二投手(24)、2本塁打を放ったドミンゴ・サンタナ外野手(29)が獲得した。 敗れたオリックスからは杉本裕太郎外野手(30)が優秀選手賞、山本由伸投手(23)が敢闘賞を受賞した。
◆ヤクルト内川聖一内野手(39)が日本シリーズ"1人5連覇"を達成した。 昨オフ、ソフトバンクを退団し、ヤクルトに加入。昨年の同シリーズこそ出場はなかったが、4連覇中だったソフトバンクに在籍。そしてヤクルト加入初年度でも、日本一をつかんだ。この日はベンチからは外れたが、日本一決定の瞬間にはマウンドに駆け寄り、喜びを爆発させていた。 内川は今季、リーグ戦38試合に出場し、打率2割8厘、0本塁打、2打点。日本シリーズでは第3戦と第5戦に代打で出場も、見逃し三振と遊ゴロ併殺打に倒れていた。
◆オリックス山本由伸が登板した試合でのオリックスの連勝は14で止まった。 チームは7月2日の西武戦から、公式戦、CSファイナルステージ、そして日本シリーズと14連勝(1分け挟む)していた。この間の山本は、118イニングを投げ自責点11、防御率0・84という圧倒的な好投を続けていた。
◆21歳のヤクルト村上宗隆内野手が名実ともに日本一の4番になった。 勝利の瞬間は目に涙を浮かべ「うれし涙ってしたことないんですけど、こういう感じなんだなって。プレッシャーがすごくて、それが終わった瞬間にほどけた」と安堵(あんど)。五輪金メダルと日本一を両方達成した1年を「できすぎ」と喜んだ。今シリーズは2本塁打で打線を鼓舞したが、打った日はともに敗戦。「僕が打たない方が勝ってる。日ごろの行い悪いんかな、みたいな感じです」と笑い飛ばした。
◆第1戦に先発したヤクルト奥川恭伸投手(20)は「相手の山本投手と投げ合うことができてすごく勉強になりましたし、いい経験になりました」と話した。 先発が決まった際、高津監督から「相手を抑えるのも仕事だが、エースになるためには相手のエースに投げ勝つことが仕事」と言われ、勝利にはつながらなかったが、7回1失点と好投。「日本一を勝ち取れたことは僕にとっていい経験になりましたし、来年以降絶対生かしていきたいと思います」と話した。
◆オリックス福田周平内野手(29)がド根性を見せた。先制された直後の5回2死二塁、高梨の内角に食い込むフォークを振り抜き、バットの根元で左前までもっていった。一時同点とする左前適時打。相手右腕を降板させ、寒さをこらえて応援する神戸のファンをようやく沸かせた。 「(それまで高梨は)変化球が低めのいいところに決まっていた。その低めの球を我慢して、詰まってでもいいので、なんとか後ろにつなごうという気持ちで打席に入っていた。その意識が、いい結果につながってくれたのだと思う」。 手のしびれも恐れない。どん詰まりはフォア・ザ・チームの証しだった。 打線は序盤から高梨に苦しめられていた。だが、身長167センチの1番打者は「らしさ」を出した。初回先頭で7球粘って四球。3回は1死から、詰まりながら中前へ運びゲームメークした。 「便利屋」から脱した飛躍のシーズン。5月に1番中堅に定着し、中嶋監督の期待に応えた。初の日本シリーズで6試合中、5試合で安打をマークし、この日で4試合連続安打。奮闘したが、日本一には届かなかった。
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。つないでつないで、日本一にたどり着いた。神戸の寒空に10回舞った高津臣吾監督は「寒かったですね。でもみんな熱く燃えてグラウンドに立ってくれた結果が、こういう結果だと思います」。グラウンド上で、1人1人に声をかけた。野手も投手も、全員が指揮官の掲げる「つなぐ野球」を体現した。 オリックス山本に、継投策で対抗した。約1カ月ぶりに先発した高梨は1点リードした直後の5回2死から1失点。同点となった直後に、ベンチからパーカー姿の高津監督が出てきた。早めに継投策に踏み切り、2番手にはシーズン終盤からリリーフに転向したスアレス。5回2死一塁で、宗を三振に仕留めて流れを渡さなかった。 スアレスは、イニングまたぎで2回1/3を被安打1の無失点。7回を終えて1-1だったが、指揮官は勝利の方程式へ切り替えた。3番手清水は5月21日DeNA戦以来のイニングまたぎを託し、9回2死一、二塁で福田を中飛に抑えると大きくガッツポーズ。9回を1人で投げきった山本に対し、ヤクルトは3投手で計1失点。負けられない試合にエースをぶつけてきた相手に、指揮官は「もちろん勝つ気で。なかなか難しい投手ですけど、みんなでつないでなんとか勝つことが出来ました」と言った。 10回は、この日のリリーフで唯一の左腕田口が左打者2人を抑え、そこから守護神マクガフを投入。2回1/3を無失点とし、勝利投手に輝いた。高津監督は「高梨から始まり、マクガフまでみんなが持ち味を発揮して、すばらしい投球をしてくれたと思います」とたたえた。結果的に3投手を回またぎで起用し、大一番でブルペン陣は無失点。日本一の投手陣になった。【保坂恭子】
◆日本シリーズでオリックスを4勝2敗で破り、20年ぶり6度目の日本一を決めたヤクルトが史上最遅? の会見と祝勝会を行った。 今シリーズ初の延長戦で12回、5時間に及ぶ熱戦を制した高津臣吾監督(53)山田哲人主将(29)中村悠平捕手(31)川端慎吾内野手(34)高橋奎二投手(24)が神戸市内のホテルに戻ったのは、深夜0時半を回っていた。部屋に荷物を入れ、会見がスタートしたのは午前1時18分だった。 高津監督は「毎試合すごく拮抗(きっこう)した、競ったゲームだったので、本当に疲れましたし、充実感でいっぱい。真剣勝負でみんなが心打たれる、感動するゲームができたのかなと思います」と、疲労感と多幸感をにじませた。胴上げ前には円陣で「僕たちはチャンピオンだ」と声掛け。10度、宙を舞った。「僕は勝って泣かないと決めていた。みんな涙を浮かべたり流したりしていたので、できるだけみんなを見ないようにしました。うるっときてしまうので」と明かして笑みを浮かべた。 第5戦で3ランを放った山田は、最後の二ゴロを処理して日本一を決めた。「キャプテンとして何ができたか自分ではちょっと分からないですけど、このメンバーと野球ができてよかったと心から思いました」。2年連続最下位からの大・下克上に「本当に達成感がある」と喜んだ。 25分間の会見を終えた約15分後、午前1時50分に今度は祝勝会が開始。リーグ優勝でもクライマックス・シリーズ(CS)突破でも行わなかったビールかけを、非公開で身内のみで行った。歓声がしずまったのは午前2時20分。その後もテレビ出演などを続けて行い、長い夜が更けていった。
◆シリーズ史に残る激戦を制した。ヤクルトが「SMBC日本シリーズ2021」第6戦に勝利し、20年ぶりの日本一に輝いた。ナインの手で神戸の夜空に10度舞った高津臣吾監督(53)が、日刊スポーツに手記を寄せた。「絶対大丈夫」と言葉で選手の背中を押し続けた今季。鼓舞する一方で、意識したのは程よい距離感だった。ヤクルトファンのみなさま、優勝おめでとうございます。今年のメンバーで戦い、チャンピオンになれたことがうれしいです。20年前の日本一は僕は現役で、若松さんが監督だった。今と似たような雰囲気があって、チームワークがほんとに良かった。それからもう20年か、というのがいま一番に思うことかな。投げているときは、バッターを抑えることしか考えていなかった。監督となってからは祈るばかり。なんとか頑張ってくれ、なんとか抑えてくれってね。 僕は野村監督のもとでのプレーがほとんどで、プロ野球生活の中では大半を占めていた。野村監督は、僕に対してああだこうだ言ってこなかったけど、唯一言ったのは、毎回セーブしたら「ありがとう。サンキュー」。その言葉だけで頑張れた。僕も監督になって、絶対ネガティブなことは言わないようにはしている。こうしましょうああしましょう、こうすれば大丈夫、というような見方なので、これやったからダメじゃんというようなことは、全体的には絶対言わない。個人的にはこうしなきゃいけないとか、反省点だねというのはもちろん言うけど、みんなの前では絶対前向きに「よしやってやろう」となるようなことをイメージする。そういう気持ちになれる言葉というのは探して言うようにはしている。 練習のときに話す言葉のほとんどは野球に関係ないことが多い。「昨日なに食べた」とか「家族元気か」とか。日本シリーズ中も奥川に「また背が伸びただろ」と言ったら「変わりません」と。「ああそうか」と。グラウンド上ではほぼ雑談。監督と選手はすごく難しい微妙な距離感があると思う。監督なんてペラペラ話しても萎縮するだろうし。だからといって、偉そうに威張ったりするのも大嫌い。向こうから話し出すのもすごく難しいと思うから、できるだけこちらからコミュニケーションを取るようにはしている。でも、ロッカールームにはほとんど行かない。通るときにチラッと中は見ることはするけど、あまりズカズカ行かない。絶対みんな身構えちゃう。監督が行っちゃうとリラックスできないので、極力行かないようにはしている。 これまでたくさんの国でたくさんの監督さんに仕えてきた。どの監督も共通するのは、勝つことが一番の目標であり、それぞれ方法は違えど、そのためにどうするか。そこに向かっていく姿勢は、態度であり、言葉であり、示していかないと。勝ちに貪欲に向かっていく姿勢を見せないと、選手はついてこない。僕も含めてチーム一丸となって、熱くなっているところを出していかないとと思った。一枚岩でつかんだ20年ぶりの日本一。本当に強くなった。体力もついたし、少々じゃ音を上げなくなったし。気持ちの強さ、体の強さ、頭の中の野球力。いろんな強さが身についたと思う。 今回は勝つことの難しさを経験しながら達成した。次はそれを続けていく難しさという、我々がまだ知らないところに突入していく。今のままでは絶対ダメだとは思う。今の強さではダメ、今の考え方ではダメ。180度変えなさいというわけではないけども、いろんな知識をどんどん勉強して、いろんな強さを身につける。強いチームを維持することはすごく難しいと思う。ファンには変わる姿を期待していてほしい。いい意味で、前進、進化、進歩していきたいなと思う。(ヤクルト監督)
◆エースの意地を見た。オリックス山本由伸投手(23)は、8回終了時でプロ入り最多タイの126球に達していた。ベンチに戻ると、高山投手コーチに手を差し伸べられた。お疲れさまの意味が込められた握手...。ただ、背番号18は数秒間ぎゅうっと握ったまま、離さなかった。 「『交代しよう』となった。8回も調子が結構上がっていたので『もう1回行ける』と。本当は8回に上がる前に高山さんとトイレで会って、『あと2回行きますよ』と冗談で言ったら、あと1回と言われていた」 8回裏の攻撃中も、ブルペン陣は誰1人、キャッチボールもしなかった。エースの志願に、中嶋監督も続投を決断した。2勝3敗と後がない状況で任された第6戦の先発マウンド。山本も「もう、ここまで来たら日本一を取るしかない」と気合十分だった。その9回ラストイニングを3人で斬り、プロの最多141球。「今季の中で、一番気持ちのこもった投球ができた」。気温7度、白い吐息がこぼれる極寒の神戸で、これぞエースの熱投を見せ、ファンの心を熱くした。 野望は日本一のピッチャーだ。「自分が投げる日は全部勝ちたい。目標は全勝ですね。(13年に)楽天の田中さんが24勝。あんな偉大な方が現実にいらっしゃるなら僕もそうなりたい」。完全無欠のエースを目指し、鍛錬を重ねている。 山本の力投で、今季のプロ野球で初の延長戦に突入。「絶対に勝ちたかった」とベンチ最前列で声を張った。「真剣勝負を楽しめた。ただ楽しいというだけじゃない。集中したマウンド、本当に楽しかった。ここから強いチームになっていけたらと思います」。日本一は逃したが「山本の141球」は、野球ファンの記憶に刻まれた。22年シーズン、無双の沢村賞右腕が新たな高みを目指す。【真柴健】
◆オリックスは「アラフォー」救援トリオの意地が光った。延長11回、先頭で日本シリーズ2本塁打の大砲村上を迎えると、中嶋監督は左腕の能見兼任コーチを投入した。平行カウントから低めフォークで左飛。プロ17年目の技は健在だ。 「自分のできることを頭に入れていた。1発だけは避ける。後ろにいい投手もいます。状況判断というか、四球と本塁打はダメ」 阪神時代の14年以来、7年ぶりの日本シリーズ登板で、鮮やかなワンポイントリリーフ成功。全盛期と変わらずマウンドで表情を変えず、厳しい勝負の世界で生きる男の真骨頂だった。 42歳でホールドをマークした能見はこうも言う。「終盤は特に助け合いになるので」。阪神で長く先発として活躍し、救援に転向して4年目。重みのある言葉はベテラン左腕の心意気だ。1死後、気持ちを継いだ38歳の比嘉もサンタナを外角低め速球で見逃し三振。つけいるスキを与えない。 10回は37歳の守護神平野佳が無失点だった。経験豊富な3人でリレーし、土壇場の10、11回を無失点で耐えた。能見は来季も留任する方向。「若い子はいろんな経験をして。確実に、みんな成長していってくれている。何とかまた手助けできたら」。22年の進化へ、頼もしいベテラン勢の力は欠かせない。【酒井俊作】
◆ヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、2001年以来、20年ぶり6度目の日本一となった。 ▽ヤクルト山田哲人(主将としてチームをけん引。最後の二ゴロを処理して日本一決定) キャプテンとして何ができたのか自分では分からないんですけど、達成感があって、このメンバーと野球ができてよかったなと心から思いました。
◆頂には届かなかった。オリックス吉田正尚外野手(28)は日刊スポーツに独占コラム「頂に駆ける」を寄稿してきた。タイトルは今季開幕前に思いを込めたもの。 シーズン終盤には度重なるけがに泣されたが、2年連続の首位打者、初の最高出塁率に輝く活躍でリーグ優勝に大きく貢献。日本シリーズ敗退後、常勝軍団になっていくと誓った。【取材・構成=真柴健】描いた青写真まで、あと1歩だった。意地で戻ってきた神戸の舞台。寒空の下、吉田正は悔しさをかみ殺した。延長12回2死二塁。左翼から懸命にバックホームを試みたが、決勝点を阻止できなかった。 「リーグ優勝したときはグラウンドに立てなかった。絶対にね、日本一の胴上げで今年を終えたかった」 険しい道の連続だった。9月上旬に走塁で左太ももを痛めて全治6週間だったが「ポジションに穴をあけたくない」と3週間で戦列に戻った。10月上旬には死球を受けて右手首を骨折。優勝争いの真っただ中で、全治2カ月と診断された。失意の中、栄養管理や8時間睡眠を徹底し1カ月後のCSファイナル初戦で再び帰ってきた。「ここまで来たら日本一しかない」。その一心でグラウンドに戻ったが届かなかった。 28歳の選手会長を支えるのは紅林に宮城、太田、山本、山崎颯、田嶋、宗ら25歳以下の選手が目立つ。 「若い選手が多いチーム。ここを起点にして...ね。優勝がゴールじゃない。これで満足している選手はいない。もっと成長できる。生まれ変わるじゃないですけど、良い方向に。自分自身も、みんなに負けることなく成長していきたい」 28日からは「22年シーズン」がスタートする。この1年の経験を糧にしてつかみ損ねた栄光へ再び挑む。 「また胴上げをしたい。今年の勝ち癖を、絶対に忘れてはいけない。常勝軍団という意味では、来年も再来年も...ずっと勝ち続けて、強い印象を与えたい」 日本シリーズは敗れたが、25年ぶりのリーグ制覇には手応えを感じている。「今まで低迷していたので、ファンの皆さんには、本当にお待たせしました」と帽子を取って頭を下げ、決意も新たにした。 「パ・リーグではソフトバンクみたいにね。今年は(8年ぶりに)Bクラスになって、あれだけ騒がれた。4位でもダメなんだと。10年後には、僕たちもそう思われるチームでありたい。今までは正直...。Aクラスに入りたいと思って戦ってきた。でも、それじゃダメなんだと。最低でも、毎年首位争いをするチームに。毎年10月、11月にしびれるゲームをしていきたい」 骨折した右手首は完治しないままで、日本シリーズ第3戦からは志願して左翼守備にも就いた。全力で戦い抜いた。 「無理しているわけではないですよ。自分のベストを尽くすだけ。出られる試合は、毎試合チームの勝ちに貢献したい。家族のため、ファンのため、仲間のため、自分のため...」 涙はグッとこらえた。「頂」を目指す物語は、まだ続く。
◆つまりオリックスはこれからのチームということなのだろう。ヤクルトとの頂上決戦は文字通り、1点を争う死闘が続いた。そんな中で目立ったのが守備のミスだった。この試合、延長12回の決勝点もバッテリーミスから失ったものだ。 それが若さであり、指揮官・中嶋聡が恐れずに若い選手を起用した1つの結果でもある。シリーズで敗退したとはいえ、長いシーズン、そしてクライマックスシリーズを勝ち抜いた実績は否定されるものではない。中嶋率いるオリックスはよく戦ったし、面白いシリーズだった。 「よく似てるんよね。本当に...」。シリーズ前、オリックスのヘッドコーチ・水本勝己が言った。今季から同職に就いた水本は異色の経歴で知られる。昨季まで広島ひと筋だが1軍経験はない。 そんな水本が"脚光"を浴びたのは2軍監督として広島の3連覇を支えたからだ。3連覇監督・緒方孝市(現日刊スポーツ評論家)とは同学年で親交が深い。なんでも話し、裏方として踏ん張った。その水本に自身もオリックスの2軍監督として接し、ともに戦おうと招いたのが中嶋だ。 「似ている」というのは中嶋と緒方、そして3連覇を果たした広島と現在のオリックスの姿である。武骨でぶっきらぼう、メディアの取材も好きではない。そんな共通項を持つ2人だが、チームを変えようという姿勢も同じだった。 「開幕戦の二遊間ですよ。あんなの誰ができますか? あれが監督の思い切りです」。若い太田椋、紅林弘太郎の2人をスタメンで起用したことが象徴だったと水本は言う。その2人は日本一を争うこのシリーズでも戦力になった。 脂の乗りきった吉田正尚、遅咲きの杉本裕太郎もいる。ベテランの域にきたT-岡田、すっかり中堅の安達了一も支えるだろう。若手、中堅、ベテランがひとつになり、盛り上げていける。日本一こそ逃したが、また来季がある。素直にそう思わせる6試合だった。 「今日の日を想定して、7月に通常より多くの肥料を与えることから準備は始まりました。美しい芝生をどうぞご堪能ください」 25年前も現在もオリックスで広報業務などに携わる花木聡は試合前にツイッターでつぶやいた。神戸のスタジアムはやはり美しかった。その芝生同様、チームもしっかり成長しつつある。(敬称略)【高原寿夫編集委員】
◆日本シリーズでオリックスを4勝2敗で破り、20年ぶり6度目の日本一を決めたヤクルトが史上最遅? の会見と祝勝会を行った。 今シリーズ初の延長戦で12回、5時間に及ぶ熱戦を制した高津臣吾監督(53)らが神戸市内のホテルに戻ったのは、深夜0時半を回っていた。部屋に荷物を入れ、会見がスタートしたのは午前1時18分。25分間の会見を終えた約15分後、午前1時50分に今度は祝勝会が開始。リーグ優勝でもクライマックス・シリーズ(CS)突破でも行わなかったビールかけを、非公開で身内のみで行った。歓声がしずまったのは午前2時20分。その後もテレビ出演などを続けて行い、長い夜が更けていった。
◆ヤクルト高橋奎二投手(24)が、日本シリーズで優秀選手賞を受賞した。試合後に行われた会見で「本当にうれしいだけです」と喜びを語った。 日本シリーズでプロ初の完封を飾ったことが評価され「今年は前半戦、本当に自分の中で苦しい思いをしていたので、なんとか後半から巻き上げるぞという気持ちを持ちながらやっていたので、最後日本シリーズでああいう投球ができたのは、本当にうれしいです」と話した。 サヨナラ負けを喫した第1戦の翌21日、第2戦に先発した。オリックス宮城との投げ合いとなったが、緩急をうまく使い、9回をプロ入り後最多の133球、被安打5の5奪三振で完封。「宮城くんも本当にいい投球をしていたので、絶対に先にマウンドを降りるかとずっと思っていたので、そこは思い切って投げようと思いました」と振り返った。 飛躍のシーズンとなったプロ6年目。投手陣の柱として迎える来季に向けて「毎年毎年うまくいくわけではないので、ちょっと休んでから、もう1回、体のケアをしながらしっかり鍛えて、また来年いい状態でマウンドに上がれるように頑張りたいと思います」と引き締めた。
◆ヤクルトが「SMBC日本シリーズ2021」第6戦に勝利し、20年ぶりの日本一に輝いた。 ▼ヤクルトが01年以来6度目の日本一。オリックス(阪急時代含む)との対戦は78、95、21年とすべて日本一。ヤクルトのシリーズは8度目で優勝率が7割5分。楽天が出場1度で優勝1度だが、複数回出場ではヤクルトの優勝率が最も高い。前年最下位から日本一は60年大洋に次いで61年ぶり2度目。大洋を指揮した三原監督は、大洋監督就任前に西鉄監督でシリーズに4度出場し日本一3度。シリーズ初出場で前年最下位を日本一に導いたのは高津監督が初。 ▼セ・リーグ球団の日本一は12年巨人以来で、パの連続Vを8年で止めた。パ・リーグ球団が3年以上連続日本一は6度あるが、連続Vを止めたのは60年大洋、78年ヤクルト、89年巨人、93年ヤクルト、07年中日、21年ヤクルト。ヤクルトが6度のうち3度止めた。日本一はセ・リーグ36度、パ・リーグ36度となり、セ・リーグが五分に。 ▼今シリーズは1点差5試合、2点差1試合。3点差以上がないのは57年西鉄-巨人戦(1点差4試合、引き分け1試合)60年大洋-大毎戦(1点差4試合)に次いで3度目。<1>戦から6試合連続2点差以下、1点差が5試合は初。また、今季のプロ野球は2軍では延長を採用したが、1軍はCSを含めて9回打ち切り。<6>戦は今季1軍で初の延長戦だった。 ▼高津監督はヤクルト現役時代、93、95、97、01年のシリーズで胴上げ投手。日本シリーズで胴上げ投手と監督優勝を経験したのは、金田正一(67年巨人投手、74年ロッテ監督)工藤公康(86、87、91年西武投手、15、17~20年ソフトバンク監督)に次いで3人目。ともに同じ球団は高津監督が初めてだ。
◆ヤクルトが「SMBC日本シリーズ2021」第6戦に勝利し、20年ぶりの日本一に輝いた。前回の優勝は2001年。20年前、ヤクルトV選手は何してた? ▽高津臣吾監督 32歳の守護神。シーズンの37セーブはリーグトップ。日本シリーズ第5戦でセーブを挙げ、日本一の胴上げ投手に ▽塩見泰隆 相模原市立星が丘小学校2年生。バレーボール選手だった父と陸上選手だった母譲りの身体能力で、軟式野球にのめり込む ▽青木宣親 早大人間科学部2年。同期から鳥谷、比嘉、由田が後にプロ入り。俊足の外野手として東京6大学野球で活躍。鳥谷を見に来たヤクルトスカウト陣の目に留まる ▽山田哲人 プロになれるなどと夢にも思っていなかった小学3年生。1年前、兵庫県警に勤めていた父の転勤で宝塚に転居し、リトルリーグで野球を始めたばかり ▽村上宗隆 たぐいまれなパワーを持つスラッガーも1歳9カ月のかわいい赤ちゃん。野球と出会うのは4年ばかり後のこと ▽ドミンゴ・サンタナ ドミニカ共和国生まれの9歳のキリスト教徒。父は投手と外野手をこなす二刀流選手でアストロズ傘下マイナーでもプレー ▽中村悠平 福井・大野市立下庄小学校5年。野球を始めたばかりで、外野手、内野手を経験し、夏ごろに捕手にコンバートされた ▽ホセ・オスナ ベネズエラ出身の8歳の少年。西部の湾に面したトルヒージョ州が故郷 ▽高橋奎二 京都・亀岡出身の4歳。将来、アイドルと結婚することなど予想もしていない純真無垢(むく)な少年 ▽奥川恭伸 4月16日、石川・かほく市で生まれる。生後7カ月ではリーグ優勝時に生まれた若松監督の名言「ヤクルトファンのみなさん、おめでとうございます」も理解できず ▽西浦直亨 奈良・大淀町桜ケ丘小学校の4年生。1年前から始めた野球のポジションは投手 ▽小川泰弘 5人兄弟の末っ子の11歳。愛知・渥美郡赤羽根町で野球を始めて2年目 ▽石川雅規 00年シドニー五輪予選でバッテリーを組んだ古田に憧れる青学大4年。日本シリーズの約1カ月後、ドラフト会議で自由獲得枠によるヤクルト入りが決定 ▽原樹理 兵庫・加古川市の野口南小学校に通う2年生。声楽家の父のもと、3兄弟の末っ子として育つ。小学1年生から始めた軟式野球に夢中 ▽高梨裕稔 千葉・茂原市出身の10歳。小学校2年から始めた野球は、中学まで内野手でプレー ▽石山泰稚 秋田・山王中の1年生。強肩の三塁手兼ブルペン捕手だった。本格的に投手となるのは、この3年後、金足農に進学してから ▽清水昇 東京・足立区出身の5歳児。野球を始めるのはこの翌年、江北小に入学してから ▽スコット・マクガフ 米国ペンシルベニア州出身の12歳。父トムはインディアンスのロースターに入ったことのある右投げ右打ちの投手 ▽つば九郎 プロ8年目の現役。夜のパトロールは絶好鳥。まだそこまでクセはつよくなかった
◆4番で奮闘してきたオリックス杉本裕太郎にとっても、悔しい幕切れとなった。 1安打は放ったが、8回の勝ち越し機で清水の前に空振り三振。延長10回2死ではマクガフに見逃し三振。第6戦を前に「勝ちに貢献できるように頑張ります」と意気込んでいたが、日本一には届かず。来年につなげる。
◆エースの意地を見た。オリックス山本由伸投手(23)は、8回終了時でプロ入り最多タイの126球に達していた。ベンチに戻ると、高山投手コーチに手を差し伸べられた。お疲れさまの意味が込められた握手...。ただ、背番号18は数秒間ぎゅうっと握ったまま、離さなかった。 「『交代しよう』となった。8回も調子が結構上がっていたので『もう1回行ける』と。本当は8回に上がる前に高山さんとトイレで会って、『あと2回行きますよ』と冗談で言ったら、あと1回と言われていた」 8回裏の攻撃中も、ブルペン陣は誰一人、キャッチボールもしなかった。エースの志願に、中嶋監督も続投を決断した。2勝3敗と後がない状況で任された第6戦の先発マウンド。山本も「もう、ここまで来たら日本一を取るしかない」と気合十分だった。その9回ラストイニングを3人で斬り、プロの最多141球。「今季の中で、一番気持ちのこもった投球ができた」。気温7度、白い吐息がこぼれる極寒の神戸で、これぞエースの熱投を見せ、ファンの心を熱くした。 野望は日本一のピッチャーだ。「自分が投げる日は全部勝ちたい。目標は全勝ですね。(13年に)楽天の田中さんが24勝。あんな偉大な方が現実にいらっしゃるなら僕もそうなりたい」。完全無欠のエースを目指し、鍛錬を重ねている。 山本の力投で、今季のプロ野球で初の延長戦に突入。「絶対に勝ちたかった」とベンチ最前列で声を張った。「真剣勝負を楽しめた。ただ楽しいというだけじゃない。集中したマウンド、本当に楽しかった。ここから強いチームになっていけたらと思います」。日本一は逃したが「山本の141球」は、野球ファンの記憶に刻まれた。22年シーズン、無双の沢村賞右腕が新たな高みを目指す。【真柴健】 ▼山本が登板した試合でのオリックスの連勝は13で止まった。チームは7月2日の西武戦から、公式戦、CSファイナルステージ、そして日本シリーズと13連勝(1分け挟む)していた。この間の山本は、118イニングを投げ自責点11、防御率0・84という圧倒的な好投を続けていた。
◆25歳のオリックス宗佑磨が最後の打者になった。 「しっかり、いい戦いをチームでやっていきたい」と臨んだ大舞台。ポストシーズンでも勝負強さを発揮したが、8年目の来季へ宿題を残した。
◆最後はオリックス吉田凌が踏ん張れなかった。延長12回、2死から救援。だが塩見に左前打を打たれ、捕逸で二進を許したあと、代打川端に決勝打を浴びた。 シーズン終盤から大事な場面を任され、日本シリーズでもこれが5度目の登板。第1戦、第2戦は好救援を見せたが、第3戦に続く2敗目に。中嶋監督は「どのピッチャーも抑えようと思って投げてるわけですし。引きずらないように」と、奮闘してきた救援陣をねぎらった。
◆オリックスとヤクルトによる日本シリーズ第6、7戦は、ほっともっとフィールド神戸で行われる。第1、2戦が開催された京セラドーム大阪で27、28日ともに男女混合グループ「AAA(トリプルエー)」のライブが開催されるため。今季は東京五輪による中断期間などがあり、日程が繰り下げになったことが影響した。ヤクルトも第3-5戦をアマチュア野球の明治神宮大会で使用できなかった本拠地・神宮球場に代えて、東京ドームで行った。
◆両軍のスターティングメンバーが発表された。先発投手はオリックスが予告通り山本、一方のヤクルトは高梨。オリックスは9番に太田、ヤクルトは8番に宮本を起用した。
◆日本一に王手をかけているヤクルトは四回、先頭の山田が山本由伸から右翼線二塁打を放って出塁すると、続く村上の中飛で三進した。しかし、5番・サンタナはフォークに合わず、空振り三振。中村も空振り三振に倒れた。
◆日本一に王手をかけているヤクルトが均衡を破った。2死二塁で、1番・塩見がオリックス先発の山本由伸から左前適時打を放ち、1点をリードした。塩見は「打ったのはフォークです。山本投手が凄く良い投手なので追い込まれる前に積極的に打ちにいきました。何とかチャンスをつくっていたのですがなかなか得点できていなかったので、先に点を取ることができて良かったです」とコメントした。 先発の高梨は五回に福田に左前適時打を許し、同点に追いつかれた。
◆フッと吐く息が白く映えるほっともっとフィールド神戸。気温7度と急激に冷え込んだ中、ヤクルト・高梨は起用に応える力投を見せた。五回途中まで4安打1失点。5回を投げ切ることこそできなかったが、リードを許さず救援陣にバトンを渡した。 「大事な試合を任せていただいてとにかく長いイニングよりも1イニング1イニングを全力で抑えることを意識してマウンドにあがりました。5回に点をとってもらった直後、何としても0点でしのぎたかったです。悔しいです」 降板後、こう語ったが、オリックス打線に立ち向かった。一回は先頭の福田に四球を与えたものの、宗を二ゴロ。1死二塁のピンチを背負ったが、吉田正と杉本と連続で空振り三振に斬った。 二回以降も140キロ台後半の直球とフォークボール、カーブがさえ7奪三振。1―0の五回は1死から若月に二塁への内野安打を許すと、2死二塁から福田に左前へ同点打を浴び、マウンドを降りた。なお2死二塁で2番手・スアレスが宗を空振り三振に斬り、追加点は許さなかった。 前日の先発投手練習は、報道陣が球場に入場する前にほとんどが終了。第1戦で7回1失点だった奥川、第2戦で6安打完封勝利を挙げた高橋らも調整したが、最終的に指名されたのは日本シリーズ開幕前から先発調整を続けていた高梨だった。試合前時点で今季、登板した試合はチームは10勝1敗1分けと驚異の勝ち運男が、試合をつくった。
◆オリックス・福田周平外野手(29)が五回2死二塁から左前適時打。表の攻撃で1点を先制された直後にすぐ同点に追いついた。 1死から若月の二塁へのゴロが一度はアウトの判定も、リクエストで判定が覆り内野安打。太田の送りバントで2死二塁。福田の左前打では、左翼からの返球が二走・若月の腕に当たって逸れる幸運もあった。 福田は「打ったのはフォーク。何とか後ろにつなごうという気持ち打席に入りました。その意識がいい結果になったと思います」と振り返った。
◆ヤクルトが勝てば20年ぶりの日本一が決まる第6戦は九回まで1―1の同点で今季初の延長戦へ突入した。 ヤクルトが五回に塩見泰隆(28)の左前適時打で先制。その直後にオリックスは福田周平外野手(29)の左前適時打で同点に追いついた。投げてはオリックス先発・山本由伸投手(23)が9回、141球を投げ11三振を奪うなど6安打1失点と好投した。 今季のレギュラーシーズンとクライマックスシリーズ(CS)では新型コロナウイルスの時短要請が全国的に出されていたことから九回打ち切り引き分けを採用したが、日本シリーズでは感染状況が改善し、時短要請が解除されたこともあり、延長十二回までの実施を採用した。
◆オリックスの先発・山本由伸投手(23)は9回1失点。141球投げて6安打を許したが、11奪三振、1与四球の内容だった。オリックス打線も九回まで1点しか奪えず、同点のまま延長に。山本は勝敗に関係なし。 9回を投げ終えたオリックス・山本=ほっともっとフィールド神戸(撮影・中井誠) 五回に1死二塁から塩見に左前適時打を浴びたが、それ以外はピンチを招きながら要所を抑えた。特に八回はクリーンアップを迎えながら三者三振の圧巻の投球を披露した。
◆試合は1-1のまま今シリーズ初の延長戦に突入。ヤクルトは十回、2死二塁の好機を作ったが、山田はオリックス・平野に遊飛に打ち取られた。その裏、ベンチは4番手で田口を投入。先頭の宗を左飛、吉田を空振り三振に仕留めると、5番手・マクガフが登板。4番・杉本を見逃し三振に仕留めた。マクガフは回またぎで、十一回も登板。2三振を奪うなど三者凡退。試合は十二回に突入した。ヤクルトは2死二塁から代打・川端が左前適時打を放ち、二走の塩見が生還。2-1と勝ち越した。 今季のレギュラーシーズンとクライマックスシリーズ(CS)では新型コロナウイルスの時短要請が全国的に出されていたことから九回打ち切り引き分けを採用したが、日本シリーズでは感染状況が改善し、時短要請が解除されたこともあり、延長十二回までの実施を採用した。
◆オリックスの平野佳が山本の後を受け、1―1の延長十回に登板。2死から青木に二塁打を許したが、山田を決め球のフォークボールで遊飛に仕留めた。 シリーズ初登板だった第5戦に続き、マウンドに上がった。米大リーグも経験したベテランはしびれる場面にも「(心境は)常に変わらず。やることは一緒なので」と淡々とアウトを重ねた。
◆オリックスの能見が延長十一回に今シリーズ初登板を果たした。42歳のサウスポーは、ヤクルトの4番村上と対戦し、丁寧な投球で左飛に打ち取った。「自分のできることを頭に入れていた。一発は避ける」と冷静さが光った。 阪神で実績を築いた人気選手が、今季から新加入。投手コーチ兼任で、山本や宮城らに投球フォームや精神面でアドバイスを送ってきた。チームには若手も多く「まだまだ伸びる選手ばかり。非常に楽しみ」と来季に向け、手応えを口にした。
◆オリックスは23歳の山本が降板した後の延長十、十一回を37歳の平野佳、42歳の能見、38歳の比嘉とベテラン3投手が無失点でつないだ。 平野佳は大舞台にも「やることは一緒」と力むことなく臨む。2死から青木に二塁打を許すも、続く山田を遊飛に仕留めて1回無失点。十一回は「基本的にはトーナメントのような感じ」と左腕の能見が村上を左飛に抑え、ワンポイントの役目をこなす。代わった比嘉も1安打を許しながらも、緩急自在に2/3回を無得点に抑えた。
◆6年ぶりにセ・リーグを制したヤクルトがパ王者のオリックスとの延長戦を制し、対戦成績を4勝2敗として2001年以来、20年ぶりに日本一に輝いた。セ・リーグ球団が日本シリーズを制すのは12年の巨人以来、実に9年ぶり。2連続最下位だった燕を日本一に導いた高津臣吾監督(53)は、うれし泣きするナインの手で10度宙に舞った。 まれにみる激戦が続いたオリックスとの日本シリーズ。気温7度の冷え込む神戸でこの日は今季初の延長戦に突入した。試合は1-1の十二回、2死二塁で代打・川端がオリックス6番手の吉田凌から左前適時打を放ち、二走・塩見が生還。2-1と勝ち越した。十回途中から救援したマクガフがその裏、無失点で締めた。 先制したのはヤクルトだった。五回、先頭のオスナが中前打で出塁すると、続く宮本が投前犠打を決めて1死二塁。西浦が三直に倒れて2死二塁となったが、塩見が球、外角141キロを迷わずスイング。白球が三遊間を抜けて左前へ転がる間に二走・オスナが生還した。その裏、同点に追いつかれ、オリックス・山本由伸の前に9回1失点と苦戦したが、チームは粘り強く戦い続けた。先発の高梨が五回途中1失点の後、スアレス、清水、田口、マクガフがオリックス打線に点を与えず、試合時間5時間の激闘を制した。
◆20年ぶりの日本一へ王手をかけているヤクルトが延長十二回に勝ち越し、激闘を制した。ヤクルト・川端慎吾内野手(34)が2死一塁で代打で出場し、左前に勝ち越し適時打を放った。 五回終了時の1―1から両軍1点も入らないまま迎えた延長十二回のヤクルト最後の攻撃。2死から塩見が左前打を放って出塁すると、2死一塁で代打・川端のコール。フルカウントから高め130キロを振り抜くと、打球は詰まりながらも左翼手の前へポトリと落ちた。塩見がヘッドスライディングで本塁に生還し、勝ち越し点をたたき出した。 シーズンでは日本記録歴代2位となる代打30安打を放って勝利に貢献してきた〝代打の神様〟。頂上決戦でも勝負強さを発揮した。
◆20年ぶり6度目の日本一に立ったヤクルトを率いた高津臣吾監督(52)が10度、宙を舞った。 マウンド付近に選手全員が集まると、高津監督の背番号「22」になぞらえ「22回!」の声が飛んだが、涙する選手らの手で10度舞った。 試合は息詰まる投手戦。1―1の延長十二回に代打・川端が左前へ勝ち越し適時打を放ち、試合を決めた。
◆プロ野球・ヤクルトが20年ぶりに日本一に輝いた27日、山田哲人内野手(29)が登場で使用する楽曲「Pride」と村上宗隆内野手(21)の登場の際の楽曲「声」を歌う歌手、遥海(25)が祝福コメントを寄せた。 死闘を制したヤクルトナインに向け、「日本一、本当におめでとうございます!自分のことのようにうれしいです!」と歓喜の雄たけび。 11日に東京・神宮球場で行われたファイナルステージ第2戦の巨人戦を生観戦。5対0で勝利した瞬間を目の当たりにし、「先日もクライマックスシリーズの試合を観に行かせていただきましたが、皆さんのご活躍を見て、本当にたくさんのパワーをいただきました」と振り返り、「これからも応援させてください!」と誓った。
◆プロ野球・ヤクルトのファンで、キュートなルックスと哀愁漂うハスキーボイスで人気の歌手、藤井香愛(33)が27日、20年ぶりの日本一を祝福してサンケイスポーツにコメントを寄せた。 昨年は若手や中堅歌手を対象に活躍が期待される日本作曲家協会奨励賞を受賞した実力派。デビュー前の2008年、球団公認パフォーマンスユニット・DDSのメンバーとして活動してからの燕党で、「2年連続リーグ最下位から20年ぶりの日本一。なんだか夢のようです。『絶対大丈夫』。この言葉を信じて応援してきてよかったです。勇気と希望をもらいました。本当におめでとうございます」と感激していた。
◆SMBC日本シリーズ2021、オリックス1-2ヤクルト=延長12回、27日、ほっと神戸)20年ぶり6度目の日本一に立ったヤクルトを率いた高津臣吾監督(52)が10度、宙を舞った。試合は息詰まる投手戦。1―1の延長十二回に代打・川端が左前へ勝ち越し適時打を放ち、試合を決めた。以下、試合後に行われた高津監督の一問一答。 --20年ぶりの日本一に輝きました神戸の夜空を舞ったお気持ちは 「本当に苦しいシーズンを過ごしてきました。昨年、一昨年と最下位に沈んで、非常に難しいシーズンだったので、喜びも何倍も大きいと思います。すごく嬉しいです」 --今日の試合は、相手がエースの山本由伸投手 「もちろん勝つ気でみんなグラウンドに立ってくれたと思います。なかなかこう、チャンスも得点も難しいピッチャーですけど、なんとか打つほうも投げるほうも皆でつないで。延長にはなりましたけど、なんとか勝つことができました」 --スワローズの先発の高梨投手も、負けじと良いピッチングをして僅差の動かないゲームになった 「そうですね、高梨から始まり最後のマクガフまで。みんながそれぞれ持ち味をしっかり発揮して、すばらしい投球をしてくれたと思います」 --延長12回表、代打・川端選手の見事なタイムリー 「シーズンからずっと彼の一振りに頼りっぱなしでね。本当にもうアウトになることが許されない。勝つことがなくなってしまうという場面で、決して当たりは良くなかったですけど。本当に、当たりは良くなかったですけど、良いバッティングだったと思います」 --しびれるゲーム展開ばかり 「そうですね。やはりセ・リーグの意地もありますし。やはりオリックス・バファローズ、非常に強かったです。なかなか簡単には点を取らせてくれませんし、なかなか抑えるのも難しかった。非常に良いチームだと思いました」 --監督はここ神戸では95年の最後、抑え投手として胴上げ投手になりました。それ以来のここでの胴上げというのはどうでした 「そうですね、寒かったです(笑)。まあでも、みんな熱く燃えてグラウンドに立ってくれた結果が今日の結果だと思います」 --最下位からの日本一、改めてどんな思い 「本当に応援してくれたファンの皆さん、そして選手諸君、球団スタッフの皆さんに心から感謝、感謝、感謝です」 --5時間というゲーム。最後までスタンドに残ってくれたファンの皆さま、そして放送を通じて全国から声援を送ってくださったファンの皆さまに一言 「スワローズファンの皆さん、そして日本プロ野球ファンの皆さん、一年間本当にありがとうございました。なんとか日本一になることができました。また、まだ終わったばっかりですけど、これからプロ野球として見せていけるように我々もしっかり努力していきます。一年間本当に応援ありがとうございました」 --ファンの皆さんにも浸透したあの言葉がありました。来年はどうでしょうか 「我々は絶対に崩れません。"絶対に大丈夫"です。一年間応援ありがとうございました」
◆ヤクルト・中村悠平捕手(31)がシリーズMVPを獲得した。攻守にチームをけん引した女房役。喜びの一問一答は以下の通り。 ーー今の気持ち 「本当に毎試合しんどくて。本当にオリックスもいいチームで。今はもう精魂尽き果てました」 ーーMVP 「まさか僕がとれるとは思っていなかったんですけど、本当に1年間、頑張ってきた成果で、最後のごほうびなのかなと思います。本当にありがとうございます」 涙ぐむヤクルト・中村悠平=ほっともっとフィールド神戸(撮影・河田一成) ーー印象に残るタイムリー。リードも 「タイムリーなんてどうでもよかった。とにかくチームが勝てばそれだけでいいと思っていた。本当にこの日本シリーズで優勝できて、日本一になれて本当に幸せです。応援ありがとうございました」 ーーオリックス打線は 「オリックスのバッターが本当に粘り強くて、最後の最後まで本当にあきらめずに、苦しかったんですけど。とにかくバッターにならずに、うちの投手を信用して。なんとか投手のいいところを引き出そうと、それだけを頭に置いてリードした結果。投手陣に感謝です。ありがとう!」 ーー頼もしい投手陣 「ピッチャー陣もありがと~う!」 ーー去年は悔しい思い。今年は日本一。気持ち 「今は本当に、幸せな気持ちでいっぱい。我々はやはり去年も最下位からの出発で、とにかくチャレンジャーとして一戦一戦たたかっていこうと思っていたので、その積み重ねの結果が今日につながったと思います」 ーー監督からの言葉 「毎日絶対大丈夫と自分に言い聞かせてやってきた。打席に立つたび、自分がリードに悩んだ時は、おまじないのように自分に言い聞かせながら、やっていました。監督ありがとうございます」 ーーチームメートに声をかけるなら 「こうして僕がMVPを取っていますけど、僕一人では取れた賞ではない。チームメートみんなの支えがあっての受賞。周りの人に感謝したい」 ーー信じて応援してくれたファンへ 「今日もこの寒い中、また、長時間のゲームの中、最後まで応援ありがとうございました。最後本当に最高の結果で締めくくれてよかったです。また来年も一から日本一になれるように頑張ります」
◆オリックスの吉田凌が1―1の延長十二回に代打川端に勝ち越し打を許した。シーズン終盤から勝ちパターンを担う24歳の若手は、今シリーズで悔しい2敗目となった。 6番手で延長十二回2死から登板。ただ、自慢のスライダーの制球が甘く、塩見に左前打を許し、捕逸で二塁に進まれる。川端にもその決め球を左前に運ばれ、がっくりとうなだれた。
◆ヤクルトの抑えマクガフが2回1/3を無安打無失点と力投を見せて日本一を呼び込んだ。延長十回2死から登板して杉本を三振に仕留め、十一回は三者凡退。勝ち越した後の十二回は死球こそ与えたが、最後は宗を二ゴロに打ち取り、仲間と抱き合って喜びを爆発させた。第1戦は九回に1死も奪えず3失点して逆転サヨナラ負け。第3、4戦はセーブを挙げたが、第5戦は代打ジョーンズに勝ち越し本塁打を浴びて今シリーズ2敗目を喫していた。それでも大事な場面を託し続けた高津監督の期待に応えた。
◆SMBC日本シリーズ2021は27日、ほっともっとフィールド神戸に舞台を移して第6戦が行われ、ヤクルト(セ・リーグ優勝)が延長十二回の末に2―1でオリックス(パ・リーグ優勝)に競り勝ち、対戦成績を4勝2敗として20年ぶり6度目の日本一に輝いた。 最高殊勲選手(MVP)には中村が選ばれた。最高殊勲選手(MVP)には打率3割1分8厘と攻守でチームを引っ張った中村が初めて選ばれた。 セ・リーグ球団の日本一は2012年の巨人以来、9年ぶり。リーグ別の日本一回数はセとパが36度ずつで並んだ。史上初めて前年のリーグ最下位同士の対戦となり、最下位からの日本一は1960年の大洋(現DeNA)以来、史上2チーム目となった。 1―1で今シリーズ初の延長戦に入り、ヤクルトが十二回に代打川端の適時打で勝ち越した。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で日程が1週間遅れたため、京セラドーム大阪は別のイベントが入って使用できず、25年ぶりに神戸での開催となった。 ■オリックス・中嶋監督 「負けたから悔しい。(先発の山本は)本当にあれだけのピッチングをしてくれたのに、援護点が取れなかった。何とかしてあげたかった。毎回、打てるわけではないけど、結果として受け止めるしかない」 ■福田(0―1の五回に適時打) 「何とか後ろにつないでいこう、という気持ちで打席に入っていた」
◆ヤクルトが20年ぶり6度目の日本一に立った。試合時間は5時間ジャストで、ほっともっとフィールド神戸で行われ、気温は8度を下回る〝極寒ゲーム〟となった。第1、2戦が開催された京セラドーム大阪で27、28日ともに男女混合グループ「AAA(トリプルエー)」のライブが開催されるため、今季は東京五輪による中断期間などがあり、日程が繰り下げになったことが影響した。高津臣吾監督(53)は優勝インタビューで「寒かったですね(笑)。でもみんな熱く燃えてグラウンドに立ってくれた結果が今日の結果だと思います」と語った。最後は「我々は絶対崩れません。絶対大丈夫です。1年間応援ありがとうございました」といつものフレーズで締めくくっていた。
◆6年ぶりにセ・リーグを制したヤクルトがパ王者のオリックスとの延長戦を制し、対戦成績を4勝2敗として2001年以来、20年ぶりに日本一に輝いた。セ・リーグ球団が日本シリーズを制すのは12年の巨人以来、実に9年ぶり。 プロ野球界からも祝福の声があがった。米大リーグや巨人で活躍した上原浩治氏(46)はツイッターで「いや~、凄い試合でしたね ヤクルト優勝おめでとうございます 久しぶりにセ・リーグが勝った」と祝福。「長い1年だったと思います。選手の皆さん、スタッフの皆さん、ゆっくり休んでください! 本当におめでとうございました」とねぎらった。 元西武、ロッテの外野手で野球評論家のG・G・佐藤氏(43)も「優勝おめでとう!」とツイート。「ヤクルト強かったしオリックスも素晴らしかった! 両校優勝して欲しかったくらい最高の日本シリーズでした。あっぱれ~」 (原文ママ)と激闘を繰り広げた両チームをたたえた。 元巨人監督の堀内恒夫氏(73)は「ヤクルト日本一おめでとう!」と題してブログを更新。「5時間という熱い戦いの末 ヤクルトスワローズが日本一に輝きました。おめでとうございます」とつづり「球場で最後まで応援してくださったファンのみなさん あったかくして気をつけて帰ってくださいよ」とファンを気遣った。
◆SMBC日本シリーズ2021は27日、ほっともっとフィールド神戸に舞台を移して第6戦が行われ、ヤクルト(セ・リーグ優勝)が延長十二回の末に2―1でオリックス(パ・リーグ優勝)に競り勝ち、対戦成績を4勝2敗として20年ぶり6度目の日本一に輝いた。 最高殊勲選手(MVP)には中村が選ばれた。最高殊勲選手(MVP)には打率3割1分8厘と攻守でチームを引っ張った中村が初めて選ばれた。■ヤクルト・村上 「超うれしい。プレッシャーは半端じゃなかった。終わった瞬間に解放された。うれし涙は人生でしたことがなかった。思うような打撃は少なかったが、経験を生かして来年、再来年と僕が引っ張れるように頑張りたい」■ヤクルト・奥川 (第1戦で好投)「山本投手と投げ合うことができて、勉強になった。日本シリーズで投げた経験は来年にも生きると思う」
◆セ王者のヤクルトが、パ王者のオリックスとの延長戦を制し、対戦成績を4勝2敗として2001年以来、20年ぶりに日本一に輝いた。セ・リーグ球団が日本シリーズを制すのは12年の巨人以来、9年ぶり。2年連続最下位だった燕を日本一に導いた高津臣吾監督(53)は、うれし泣きするナインの手で10度宙に舞った。まれに見る激戦が続いたオリックスとのシリーズを写真で振り返る。
◆日本シリーズ第1戦に先発したヤクルト・奥川恭伸投手(20)は相手エース・山本との投げ合いに刺激を受けた。 「初戦を任せてもらって、山本投手と投げ合うことができてすごく勉強になりましたし、いい経験になりました」 大事な初戦を託された20歳。登板日が決まった際に高津監督から「相手を抑えるのも仕事だけど、エースになるためには相手のエースに投げ勝つことが仕事だ」と〝金言〟をおくられ、奮い立った。「絶対勝ちたいなという思いが強くなりました」。7回6安打1失点と堂々の投球で試合をつくった。 悲願の日本一に貢献した将来のエース候補は「まだ、その道は長いと思いますけど、来年じゃなくてももっと先でも、そういう投手になれるようにやっていきたい」とうなずき「こうやって日本一をとれたことはすごくいい経験になりましたし、これを来年以降絶対に生かしていきたいと思います」とさらなる高みを見据えた。
◆「SMBC日本シリーズ2021」は27日、ほっともっとフィールド神戸で第6戦が行われ、ヤクルト(セ・リーグ優勝)が延長十二回の末に2―1でオリックス(パ優勝)に競り勝ち、対戦成績を4勝2敗として20年ぶり6度目の日本一に輝いた。 日本一、おめでとう。私が監督だった2001年以来だから20年ぶり。本当に長かった。 高津監督は今季、投手陣をよく立て直した。それが一番だ。ヤクルト以外でもメジャー、韓国、台湾、日本の独立リーグで22年も現役を続けた経験が、指揮官として生かされていると思う。現役時代からよく知る伊藤、石井両投手コーチと会話しながら投手を育てた。 今季はレギュラーシーズンで2桁勝利を挙げた投手こそいなかったが、先発が頑張っている間に打線が得点し、継投で逃げ切るパターン。日本シリーズでも、この戦い方がしっかりとできた。 第1戦でセットアッパーの清水の調子がいまひとつだと、第3戦は七回途中でリリーフした石山に八回も任せた。マクガフは第1戦で抑えに失敗したが、第3、4戦に連投させて連続セーブ。第6戦のイニングまたぎは信頼の証し。投手起用の思い切りの良さが、日本一につながったと思う。 来季は当然、連覇を期待する。今年のオフは例年より短いので、選手の疲れをしっかり取ってあげてほしい。(本紙専属評論家) ◆前回2015年のリーグ優勝時の監督だった真中満氏(本紙専属評論家) 「接戦をしぶとくものにしての日本一。選手に力がついたと感じる勝ち方だった。15年のヤクルトを含めて、セの球団が8年間、日本一に届かなかった悔しさも晴らしてくれてうれしい。奥川、高橋ら若い投手陣が大舞台で力を出し切れたのが大きかった。自信になると思う。野手は村上がリーダー。いずれも将来のヤクルトを背負って立つ選手たちだから、黄金時代を築いてくれることを期待している」
◆42歳のコーチ兼任・能見がシリーズ初登板。延長十一回、先頭の村上をフォークで左飛に打ち取った。日本シリーズ登板は阪神時代の2014年以来だが「もちろん(7年前とは)違いました。7年前は先発をしていましたから」。リーグ優勝したチームについて、コーチの立場から「確実にみんなが成長してくれている。まだまだ伸びる選手ばかりなので」と期待を込めた。
◆日本最高の投手は、最後の最後まで、その〝称号〟に相応しいマウンドを見せつけた。山本が9回1失点。プロ5年目で最多の141球、そして11奪三振。チームは敗れたが、山本が負けることはなかった。 「本当に悔しいです。ただ、僕自身は出せる力は出し切ったし、今シーズンの中でも気持ちのこもったピッチングはできたと思います」 正直に、偽らざるを気持ちを口にした。悔しくないと言ったらウソ。でも、本気になったら点なんて与えない。そんな内容だった。 味方が連続失策で招いた無死一、二塁の六回。平然と後続を断つのがエースだ。沢村賞投手の役割だ。そんな気概すら伝わってきた。極寒なんて気にならなかった。 七回終了後。トイレで高山投手コーチとバッタリ。「あと2イニングいきます」。宣言していた。相手は慌てていた。八回終了後。女房役の若月と「もう1イニング」と決めていた。この一番の重要性が分かっているから、自らリミッターを外す勇気が身に付いていた。 「真剣勝負を楽しめた1年でした。でも、ただ楽しむだけでは...」 敢闘選手に選ばれたが、もちろん喜べるわけもない。楽しんで勝つ。その宿題は、来季に持ち越しだ。
◆半袖のユニホームから出た右腕を、振り続けた。気温7度。ネックウォーマーをつけてグラウンドに立つ選手たちをよそに、ヤクルトのスコット・マクガフ投手(32)は身も心も燃え盛っていた。 「高梨から始まり、最後マクガフまで、みんながしっかり持ち味を発揮して素晴らしい投球をしてくれた」。目に涙をためて振り返った指揮官。その〝禁じ手〟に、2回?を無安打4奪三振で応えた。 スアレス、清水、田口からバトンを受けて延長十回2死から5番手で登板。4番杉本を見逃し三振に斬ると、今季初のイニングまたぎで、十一回のマウンドにも上がった。 点を取られればサヨナラ負けの延長戦。慣れない2イニング目もものともせず、気迫で向かった。十一回は2者連続で見逃し三振を奪うなど三者凡退。ブルペンでは石山が肩をつくり始め、ここでお役御免かと思われたが―。勝ち越し直後の延長十二回も当たり前のように登板し、当たり前のように抑えた。 3―1からまさかのセーブ失敗で痛恨のサヨナラ負けを喫した第1戦から始まった日本シリーズ。2戦目の試合前には指揮官から声を掛けられた。「まったく僕は気にしていない。あなたに任せるだけです」。信頼して、託してくれた指揮官の思いに応えた執念の33球。立ち続けたグラウンドのど真ん中で、悔し涙はうれし涙に変わった。
◆25年前に歓喜をつかんだ神戸で、日本一を逃した。日本シリーズ第6戦で、オリックスは打線が7安打を放ちながら1点止まり。接戦、熱戦の連続のシリーズで競り負け、中嶋聡監督(52)は「負けたから悔しい」と唇をかんだ。第1戦から中6日で先発した山本由伸投手(23)は9回1失点。寒さの中、141球を投げてエースの意地をみせた。夢は叶わなかった。悲願の日本一には、手が届かなかった。歓喜に沸くヤクルトナインをじっと見つめ、猛牛戦士たちはしばらく動けなかった。最低気温7度と冷え込んだ神戸の地で、中嶋オリックスの長い戦いは終わった。 「負けたんですから、悔しいですよね...。あれだけの投球してくれたのに援護点を取れなくて。本来ならゆっくりと勝ちの余韻にひたっているんでしょうけど、それができなかったのは、悔しいですよね」 敗戦後、中嶋監督は率直な気持ちを口にした。エースの山本が9回を6安打11奪三振で1失点、プロ入り後最多141球の魂の投球。それに打線が応えることができなかった。 ナインは最後の最後まで食らいつく姿勢を見せたが、及ばなかった。25年ぶりに挑んだ日本シリーズは2勝4敗。この頂上決戦を生え抜きで経験した選手はおらず、「普段、自分らがやっている野球とは違う感じがした。気負いなのか緊張なのか。思ったように(体が)動けなかったのかな。それも込みで、やらないといけない。そこをケアできなかったのはこっちの責任」と悔やんだ。 それでも25年ぶりのリーグ優勝を果たし、ナインは大きく成長した。 「これをただの経験じゃなく、これからの選手の野球人生にいい方向に向かっている経験にしなきゃいけない。長いシーズンだったけど、2月1日からキャンプインというのは変わらない。もう来年の開幕も決まっている。そこから逆算したときにどういうオフを過ごすのか、どういうことを考えているのかが大事になる。一年間、ここまでやってきたけど、最後に負けてしまった。勝ち切って終わりたかった。そこに関してはまだまだ足りていない」 激動の2021年シーズンは終わった。それと同時に来季への戦いは始まっている。必ず、日本一になる。この悔しさが、中嶋オリックスをさらに強くしてくれるはずだ。(西垣戸理大)
◆阪神・糸井嘉男外野手(40)が27日、「SMBC日本シリーズ2021」第6戦(ほっと神戸)のTBS系地上波中継で初めてゲスト解説を務めた。来季で19年目を迎えるベテランは出演前に取材に応じ、日本シリーズで活躍する同級生のヤクルト・青木宣親外野手(39)について「すごく刺激になる」と語った。日本一を目指し、グラウンドで奮闘する同級生の姿に超人の心は突き動かされている。日本シリーズのテレビ中継でゲスト解説を務めた糸井は同い年のヤクルト・青木に対する熱い思いを口にした。 2018年のオールスターで青木(右)と談笑する糸井 「青木は同級生ですし、やっぱり同じ年齢でああいう活躍をしているのはすごく刺激になりますし、すごいリスペクトもあります」 2004年に青木はヤクルト、糸井は日本ハムに大卒で入団。それぞれ歩んできた道のりは違えど、プロの世界で18年間戦い続けている〝戦友〟には違いない。 糸井は今季、主に代打として77試合に出場し、打率・208、3本塁打、18打点。虎移籍後ワーストの成績に終わったが、豊富な経験を持つベテランに球団は来季も契約を更新する方針で、本人も期する思いは強い。一方の青木は主力として122試合に出場し、同・258、9本塁打、56打点と勝負強い打撃でチームのリーグ優勝に貢献。日本シリーズでも2番打者として活躍を見せる、衰え知らずのヒットメーカーに虎の背番号7も「シーズン中から注目して見ていました」となによりの発奮材料になっている。 テレビ中継には新井貴浩氏(右)、槙原寛己氏(左から2人目)らと出演 この日の出演前には「(解説は)初めてやから、無理です!」と笑ったが、試合が始まると冷静かつ的確なコメントで視聴者に臨場感を伝えた。その超人の目に映る、日本一をかけた戦いの舞台に立つことが来季の目標だ。 「こうして実際に球場に来させてもらって、日本一をかけて戦えるというのはいいなあと思いますね。やっぱりそこが一番の目標なんで。現役中にもう一回そういう戦いができるように頑張ります」 プロ19年目を迎える来年こそ虎で栄光をつかむ。その中心として働くため、不惑の糸井は挑戦し続ける。(織原祥平) ★オリ時代の14年V逸「忘れていない」 糸井は解説で、ソフトバンクと優勝争いしてゲーム差なしの2位に終わったオリックス時代の2014年を振り返り「(V逸して)僕はあぜんとした。悔しい思いをしたし、忘れていない」と話した。今季25年ぶりにリーグVを果たした古巣について「メンバーは(自分がいた当時と)違うけど、力をつけてチームも変わって優勝できたという印象ですね」と語った。
◆ヤクルト・中村悠平捕手(31)が、日本シリーズの最優秀選手(MVP)に選ばれた。捕手として投手陣を好リードし、全6試合が2点差以内の接戦で踏ん張った。選手会長は「毎試合しんどくて、精根尽き果てた。まさか僕が取れるとは思っていなかった。1年間、頑張ってきたご褒美なのかな」と目を潤ませた。 バットでも延長十一回に中前打を放ち、6番打者として通算打率・318、3打点をマークした。第1戦では山本から適時打を放ったが「タイムリーなんてどうでもよかった。投手を信用し、何とかいいところを引き出そうとリードした」と振り返る。6年前の日本シリーズでは正捕手としてソフトバンクに1勝4敗と力負け。悔しさを晴らし「毎日、絶対大丈夫と自分に言い聞かせていた」と充実感をにじませた。 2月の春季キャンプで臨時コーチを務めた古田敦也元監督から「捕手で勝つぞ。捕手からまずその気になれ」と諭されて考え方が変わった。仲間を信じて内角を強気に攻め、投手陣は大きく成長した。「僕一人で取れた賞ではない。チームメートの支えがあっての受賞。周りの人に感謝したい」。心から出た言葉だった。
◆代打の神様が最後に決めた。ヤクルト・川端慎吾内野手(34)が1―1の延長十二回、2死二塁から左前へ決勝の適時打を放った。今季、代打で打率・366をマークした天才打者は大舞台でも抜群のバットコントロールを見せ、日本一に貢献した。 代打の神様、ここにあり―。1―1の延長十二回2死二塁。あと1アウトで勝利がなくなる場面で、最高の仕事を成し遂げた。オリックス・吉田凌が投じた内角のスライダーに詰まりながら、前進守備を敷く左翼手・吉田正の前へしぶとく落とす。川端らしい抜群のバットコントロールで試合を決めた。 「何とか後ろにつなごうという気持ちでした。いいところに落ちてくれて、最高の結果になってくれました。諦めずに練習してきてよかった」 延長12回、適時打を放つヤクルト・川端慎吾=ほっともっとフィールド神戸(撮影・松永渉平) 二走・塩見の生還を確認すると、右拳を突き上げた。ただ、喜びは爆発させず。代走を送られ、ベンチへ戻ると「まだ終わっていない。まだ終わってないよ」とナインに呼び掛けた。 日本一が決まった瞬間は涙を堪えきれなかった。2017年、20年と2度、椎間板ヘルニアの手術を受けた。長期のリハビリを終えても感覚はなかなか戻らない。代打の一打席で勝負する世界に身を置いた。 「リハビリもそうだし昨年、一昨年と代打でいって...。代打で打てないと相当、悔しいんです。スタメンの1打席とは全然違う。だから打てない日々が続いたときのことを絶対に忘れないでおこうと思って、やっています。練習もそう思ってやってきました」 究極の場面で送り出される毎日。家族が支えだ。長男は6歳。川端のプレーを少しずつ認識する年齢になった。「家に帰ったら『今日はよく粘ったね』とか。『めっちゃ、ファウルを打っていたね』とか言ってくれます。『僕も野球をやりたい』と言ってくれていることは、すごくうれしいです」。家族の大黒柱として父として、大舞台でも大きな背中を見せた。 最高の仕事を果たし、歓喜の輪の中で大粒の涙を流した。「めちゃくちゃうれしかったですし、こんなに涙が出るとは思わなかった」。20年ぶりとなる日本一の立役者。代打の神様、川端ここにあり―。神戸の夜空の下に光り輝いた。(横山尚杜)
◆球史に残る激闘を制した!! 「SMBC日本シリーズ2021」は27日、ほっともっとフィールド神戸で第6戦が行われ、ヤクルト(セ・リーグ優勝)が延長十二回の末に2―1でオリックス(パ優勝)に競り勝ち、対戦成績を4勝2敗として20年ぶり6度目の日本一に輝いた。高津臣吾監督(53)は随所で光る采配を披露。1960年の大洋(現DeNA)以来、史上2チーム目となる前年リーグ最下位からの頂点に導き、歓喜の涙を流すナインの手で10度、宙に舞った。 石川が、青木が、山田が、村上が泣いていた。歓喜の涙を流す選手たちの手で、満面の笑みを浮かべた高津監督は神戸の夜空に10度、舞った。 「非常に難しいシーズンだったので、喜びは何倍も大きい。すごくうれしいです。応援してくれたファンの皆さん、選手諸君、球団スタッフの皆さんに心から感謝、感謝、感謝です」 6試合中5試合が1点差以内。今シリーズを象徴するように、この日も今季公式戦最長の5時間に及ぶ激闘となった。コロナ下で2年間行われてこなかった延長戦を制し、1960年の大洋以来となる前年最下位からの日本一を達成。指揮官は、亡き恩師・野村克也監督がヤクルトを指揮して初めて日本一になった93年と同じように、お立ち台で「感謝」の言葉を繰り返した。 かつての〝シリーズ男〟は、監督になっても勝負強さを見せた。現役時代には野村、若松勉両監督の下で4度、日本シリーズに出場し11試合で2勝0敗8セーブ、防御率0・00。いずれも胴上げ投手となった。その元守護神が、20年ぶりの美酒に酔った。 最高の親孝行にもなった。10月26日にリーグ優勝を決めると、その2日後に故郷・広島へ。同29日の広島戦を控え、胸を張って凱旋した。 東京五輪の名場面を再現? 高津監督(中央)は山田(右)、村上に〝ダブルお姫さま抱っこ〟され満面の笑み 待っていたのは84歳の母・光恵さんと、広島市内の実家近くに住む姉・早織さん夫婦。なじみの飲食店でうなぎ、すし、天ぷらを昼食に持ち帰り、久しぶりの家族だんらんの時を過ごした。 光恵さんからは「電話が鳴りやまなくて困ったわよ」と、うれしそうに伝えられた。幼少期はよく「勉強をしろ」と怒られた母の笑顔を見て、改めて53歳になった今、親孝行とは何かを考える。 「あの年になって喜んでくれたり、『悔しい』って言ってくれるのって勝負の世界で生きている(人間の)親にしかできないのかなと。親孝行と言っていいのか分からないけど、自分の野球、ヤクルトの野球を楽しみにしてくれて、元気になってくれていると思う」 母が優しい顔で「80年間で一番うれしかった」と目を細めると、姉が「あなた84よ」と突っ込む。2013年に天国へ旅立った父には、墓前で手を合わせリーグ優勝を報告した。幸せで穏やかな日常を経て英気を養い、日本一を懸けた厳しい戦いに臨んだ。 親思いの監督の期待に応え、最高の瞬間を贈ってくれたのはスワローズの〝子供たち〟だった。第1戦先発の20歳右腕・奥川は7回1失点。試合には敗れたが、沢村賞に輝いた相手エース・山本と互角に投げ合い「このシリーズ、いける」と周囲を勇気づけた。 第2戦は、2軍監督時代から目をかけてきた〝秘蔵っ子〟高橋がプロ初の完封勝利を挙げた。「ここまでよく投げられるようになった」。わが子の成長を喜ぶように、高津監督はほほ笑んだ。 「チルドレン」がつくった波に、チームが乗った。小川、石川、原、高梨が好投し、救援陣も連日の奮闘。打ってはベテラン・青木を中心に主将・山田、主砲・村上、塩見、中村、外国人選手も本領を発揮した。 20日の第1戦前にはナインを集めた。節目で恒例となった高津流のミーティング。「肩組もうや」と呼び掛け、勝利の〝燕陣〟で「絶対勝つよ」と叫んだ。セ球団では2012年の巨人以来、9年ぶりの頂点。中心に背番号22がいた。 「絶対、大丈夫」を合言葉に、2年連続最下位からはい上がり、たどり着いた真の頂。そこには〝家族〟の笑顔という絶景が広がっていた。(赤尾裕希)
◆接戦続きのすばらしいシリーズだった。両軍の投手が好投を繰り広げ、少ない点を取り合う、見応えのある6試合だった。 ただ、「自分で決めてやる」という気持ちが、ヤクルトが上回り、オリックスが劣っていたような気がしてならない。 象徴的なのは四回の攻撃で無死一塁から見逃し三振して三振ゲッツーになってしまったT-岡田。延長十回でもカウント2ボールからド真ん中を見逃してしまった。 オリックスで、積極性を貫いていたのは宗ぐらい。後の打者はもっと「俺が決めてやる」ぐらいの気持ちで臨んで欲しかった。吉田正が故障の影響か、シーズン中のような打撃ができなかったことも響いた。 とはいえ、個々にはホメてあげたい選手がいっぱいいた。この日の山本の投球も見事だった。改めて、山本という投手の偉大さを見せつけられた内容。負けられない状況で、この寒さの中、シーズン中と全く変わらない投球ができる。恐れ入りました、というしかない。 特に凄みを感じたのは六回だ。失策の走者が2人で無死一、二塁。並の投手ならガックリくる。味方のミスでグラブを叩きつけるような投手がいたりするが、これが真のエースの姿。八回のクリーンアップを迎えた場面での三者三振。見事だった。 オリックスのメンバーは若い。日本一は来年への宿題だ。(本紙専属評論家)
◆4番として2本塁打を放つなど日本一に貢献したヤクルト・村上宗隆内野手(21)が激闘を終え、うれし涙で歓喜に浸った。 「プレッシャーがハンパなかったので、本当に早く終わってくれないかなという気持ちもありましたし...。終わった瞬間にそのプレッシャーから解放されたというか、なんか本当にほっとしました。うれし涙って、僕人生でしたことないんですけど。ああ、こういう感じなんだなって」 シーズンでは本塁打王のタイトルを獲得。日本シリーズでも奮闘した主砲はこの1年を振り返り「出来すぎでしたけど、本当にいい時よりも苦しい時の方が多かった。毎年毎年楽なシーズンではないので、でもこうして最後優勝して終われたのはすごくうれしいです」と笑顔だった。
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