ヤクルト(☆2対1★)オリックス =日本シリーズ4回戦(2021.11.24)・東京ドーム=
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ORIX
0000010001600
ヤクルト
01000100X2611
勝利投手:石川 雅規(1勝0敗0S)
(セーブ:マクガフ(0勝1敗2S))
敗戦投手:増井 浩俊(0勝1敗0S)

本塁打
【ヤクルト】サンタナ(2号・2回裏ソロ)

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◆ヤクルトが接戦を制し、20年ぶりの日本一へ王手をかけた。ヤクルトは2回裏、サンタナのソロで先制する。その後、同点となった直後の6回には、オスナの適時打で勝ち越しに成功した。投げては、先発・石川が6回3安打1失点の好投。敗れたオリックスは打線が振るわず、後がなくなった。

◆ヤクルトの2勝1敗で迎える日本シリーズ第4戦。先発はヤクルトが41歳の石川雅規、オリックスは23歳の山崎颯一郎が予想される。セ・リーグ本拠地試合のためDH制はなし

◆ヤクルトの全体練習で、3戦ぶりに宮本丈内野手(26)がグラウンドに姿を現した。 ウオーミングアップなどは全体とは別調整だったが、グラブをはめてグラウンドへ。右翼のポジションに入り、フェンスにぶつかって衝撃を確かめるなど守備練習をこなし、笑顔でベンチへ下がった。 宮本は20日の第1戦に「8番・右翼手」でスタメン出場。0-0で迎えた2回2死一、二塁、右翼への痛烈な当たりをジャンプして捕球。勢いで後頭部をフェンスに強打し、うつぶせでグラウンドに倒れ込んだ。3回の守備には就いたが、4回の打席から退いていた。 第2、3戦の試合前練習には参加せず、ベンチ入りメンバーを外れていた。

◆2勝1敗とリードして第4戦を迎えたヤクルトのスタメンが発表された。 先発は、ベテラン左腕石川雅規投手(41)。今シーズンは4勝5敗。実戦は、シーズン中の11月1日広島戦(神宮)で中継ぎ登板して以来となる。 野手は、5-4でシーソーゲームを制した第3戦と同じスタメンとなった。

◆オリックスは前日23日、シーソーゲームの第3戦を落とした。対戦成績は1勝2敗。 先発マウンドには山崎颯一郎投手(23)が上がる。12日CSファイナルステージ、ロッテ戦(京セラドーム大阪)では先発したが2回2/3を4安打1失点で降板した。日本シリーズの舞台でリベンジを期す。 打線は上向きだ。第3戦では空砲に終わったが4番杉本裕太郎外野手(30)が日本シリーズ初本塁打で気を吐いた。3番吉田正尚外野手(28)も2本の二塁打を放つなど好調を維持している。 ヤクルト先発投手は石川雅規投手(41)。2015年に日本シリーズに進出した際は2試合に先発したがいずれも敗戦投手になった。6年ぶりの大舞台で快投を狙う。

◆第4戦に臨むヤクルトのベンチ入りメンバー26人が発表された。 坂口智隆外野手(37)が、3戦続けてベンチ入り。吉田大成内野手(26)もベンチ入りとなった。 投手陣では、金久保優斗投手(22)がブルペン待機。 第1戦で途中交代した宮本丈内野手(26)は、試合前練習に部分的に参加したが、3試合続けてベンチ入りは外れた。内川聖一内野手(39)もベンチを外れた。

◆オリックスの山岡泰輔投手(26)が日本シリーズ第4戦で救援要員としてベンチ入りした。 山岡は9月中旬に右肘クリーニング手術を受け、今月16日の紅白戦で実戦復帰。日本シリーズでの登板を目指して状態アップを図っていた。1軍公式戦での登板となれば、6月22日日本ハム戦以来の登板となる。

◆パラバドミントン男子ダブルス(車いす)銅メダリストの村山浩(47)が始球式を行った。 背番号「2021」のユニホーム姿で登場。打席にはオリックスの1番福田。車いすに座ったまま、上半身の筋力で外角低めへ力強い速球を投げ込んだ。ノーバウンドのスピードボールに観客がどよめき、大きな拍手が贈られると笑顔でスタンドに両手を振った。 村山は東京パラリンピックのバドミントン日本代表最年長で「パラバド界の父」と慕われる。34歳で慢性炎症性脱髄性多発神経炎を発症し、車いす生活になる前は、野球を趣味としていた。

◆ヤクルトの球団マスコットつば九郎の、試合前恒例「今日のひと言」が東京ドームでも行われ、いつも通り大暴れした。 まずは「わたしが とうきょうやくるとすわろーずの T-ばくろう こと つばくろうです よろしくどうぞ」とごあいさつ。 ヤクルトの第4戦の先発は、青山学院大出身のベテラン左腕石川。今日は、両チームの青山学院大出身の選手がえじきとなった。オリックスの吉田正、杉本の名前を出し「よしだくん らおうといえば おしゃれでめいもん あおやまがくいんだいがく りゃくして あおがくしゅっしん!」「がっこうはしぶや もよりえきはおもてさんどう しゃれおつです」と紹介したところで、「あおがくやきゅうぶは ちょっとちがうぞ べすと5」の発表へ。 「がっこうはしぶや おもてさんどうですが やきゅうぶのりょうは さがみはら もよりえきは ふちのべ」と続け、スタンドからは笑い声が漏れた。「しぶやきゃんぱすがよいとおもいきや たいはんは さがみはらきゃんぱすだ!」「あおやま はらじゅく しぶやなどで あそんでるかとおもったら ほとんど ふちのべだ!」「たまにしぶやにいくと まいごになる」と次々に真実(?)を発表し、オリックスベンチの2人も拍手。 最後に「にっぽんしりーずで ここまで こあばれしてますが おおあばれは ごえんりょください」と2人に無理なお願い。 さらに「あすは みやぎくんです。おたのしみに!」とつば九郎が予告先発を発表。ブログで宣言していたオリックス宮城いじりを決行した。【保坂恭子】

◆先輩の威厳を見せた。ヤクルト石川雅規投手(41)は、1回に青学大の後輩であるオリックス吉田正尚、杉本裕太郎と対戦し、第1打席をともに無安打に封じた。1死一塁で3番吉田正を迎えると、カウント1-2から内角121キロシンカーで空振り三振。4番杉本はカウント2-2から外角の123キロシンカーで中飛に打ち取った。 石川にとって、吉田正は13学年、杉本は11学年下。両コーナーを丁寧に突く、熟練した投球を後輩に見せつけた。

◆ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が2試合連続となる先制のソロを放った。 0-0で迎えた2回、先頭でカウント2-1からオリックス先発山崎颯の高め直球151キロを右翼スタンドへ運んだ。 ベンチのチームメートと、トレードマークの「ヒゲ」ポーズを笑顔で決めた。 前日の第3戦では、7回の第4打席に逆転2ランを放っており、試合をまたいで2打席連続のアーチを放った。「昨日の勢いのまま試合に入ることができました。しっかりと自分のスイングが出来るところを待っていて、一発でしっかりと仕留めることができました 先制できて良かった」とコメントした。 ヤクルトでは、日本シリーズ2戦連発は01年の真中満以来20年ぶり。

◆オリックス福田周平内野手(29)が相手の隙をつく激走で同点のホームを踏んだ。 1点ビハインドの6回2死から福田が中前打で出塁。続く宗佑磨外野手(25)がフルカウントから右前に単打を放った。 あらかじめスタートを切っていた福田は一気に三塁へ向かった。福田が三塁へ向かう背後でヤクルトの右翼サンタナがゴロをファンブル。三塁ベースコーチの風岡内野守備走塁コーチは迷うことなく腕をぐるぐると回した。 福田は足からホームへ突っ込み、両手をあげて喜びをあらわにした。オリックスナインもベンチから身を乗り出して待望の1点にガッツポーズを連発した。

◆オリックス先発の山崎颯一郎投手(23)は5回4安打1失点で降板した。 2回にサンタナにソロ本塁打を浴びて先制点を献上する。それでも、4回以外は走者を出しながらテンポ良く投げ込み、追加点は許さない。6回表に打席が回ったところで代打を告げられて交代となった。5回4安打5奪三振1失点で84球を投げた。 山崎颯は「緊張もありましたが、とにかくすべてを出し切って、バッター1人1人を抑えていこうとマウンドに上がっていました。若月さんが盗塁を刺してくれたり、野手の方たちの好守に助けられたおかげで、結果的には5回を1失点でしたが、3者凡退で抑えるイニングも少なかったですし、流れを持ってくるようなピッチングが出来ていなかったと思います。このあとはとにかくチームが勝ってくれること、それだけを信じて応援します」と日本シリーズ初登板を振り返った。 前回登板はCSファイナル第3戦で先発し、3回途中1失点で降板。さわやか系イケメン右腕は、大舞台で先発としての役割を果たした。

◆ヤクルトが、ホセ・オスナ内野手(28)の適時打で再び勝ち越した。 1-1で迎えた6回2死一、二塁、カウント2-2からオリックス3番手比嘉の129キロ低めスライダーをとらえて、中前打を放った。二塁走者のサンタナが生還し、1点を追加して勝ち越した。 オスナは、一塁上で何度もガッツポーズ。ベンチからは高津監督や村上も飛び出して喜んだ。 オスナは「追い込まれて、大振りせずコンパクトに長打よりもヒット狙いを意識して打つことができました。サンタナが良く走ってくれた」とコメントした。

◆ヤクルト石川雅規投手(41)が、6回3安打1失点で降板した。2度目の日本シリーズで3試合目の登板。1回から丁寧にコーナーを突く投球。さらに緩急を交え、オリックス打線を翻弄(ほんろう)した。 1点リードの6回は2死一塁で、右前打と右翼手サンタナの失策で1点を献上。再び2死一塁とし、吉田正を迎えたが、内角130キロシュートで詰まらせ、二飛に打ち取り、不穏な流れを断ち切った。6回3安打1失点の好投。23歳の相手先発山崎颯より長くマウンドに立った。「1人1人丁寧に投げる事を心掛けてマウンドにあがりました。信頼できる中継ぎがたくさんいるので行けるところまで全力で飛ばしていきました。先制してくれて良いカタチで後ろにつなぐことができました」とコメントした。 ヤクルトは7回から2番手で石山がマウンドに上がった。

◆ヤクルト青木宣親外野手(39)がおとこ気のフェアプレーを見せた。 2-1で迎えた7回2死の第4打席、カウント1-2からオリックス富山の内角直球に、打席で背中から倒れた。死球かと思われたが、白井球審にグリップに当たったと自己申告。ファウルとなり、そのまま打席に立った。続く6球目フォークを打って、遊ゴロに倒れた。 申告しなければ出塁のチャンスだったが、百戦錬磨のベテランらしいおとこ気を見せた。

◆オリックスは接戦を落とし、日本シリーズの対戦成績を1勝3敗として、ヤクルトに王手をかけられた。 2回にサンタナにソロ本塁打を浴びて先制を許した。6回表2死一塁から宗佑磨外野手(25)の右前打と失策の間に一走の福田周平内野手(29)が一気に生還して同点に追いついた。 先発の山崎颯一郎投手(23)が5回1失点で降板。継投に入った6回裏にオスナに適時打を打たれ、勝ち越しを許した。これで第2戦から3連敗となり、後がない状況となった。

◆大ベテランがいぶし銀の投球で日本シリーズ初勝利を挙げ、ヤクルトが日本一に王手をかけた。 ヤクルト先発、41歳10カ月の石川雅規投手は、これが日本シリーズ3度目の登板。6回3安打1失点(自責0)の力投で、チームにも自身にも大きな1勝を挙げた。40代でのシリーズ登板は16年の広島黒田博樹(41)以来、史上7人目(11回目)。勝利は50年の毎日若林忠志(42歳8カ月)以来、実に71年ぶり2人目の快挙となった。オリックス吉田正は青学大の14学年後輩、杉本は同じく12学年後輩。相手主軸を熟練の投球で抑え込んだ。 打っては5番ドミンゴ・サンタナ外野手(29)が0-0で迎えた2回、2試合連続となる先制ソロを右翼スタンドへ。同点とされた6回には、2死一、二塁からホセ・オスナ内野手(28)が値千金の勝ち越し打を中前へ運んだ。 対戦成績を3勝1敗としたヤクルトは、20年ぶりの日本一まであと1勝。第5戦が行われる25日は高津監督の53歳の誕生日。バースデー胴上げの期待がかかる。 ヤクルト・サンタナ「昨日の勢いのまま試合に入ることができました。しっかりと自分のスイングが出来るところを待っていて、一発でしっかりと仕留めることができました。先制できて良かった」

◆先発はヤクルト石川雅規とオリックス山崎颯。ヤクルトが2回先頭、サンタナの2試合連発となる右越えソロで1点を先取した。 オリックスが6回、敵失の間に1点かえして同点。ヤクルトはその裏、オスナの中前打で1点勝ち越し。石川は6回1失点で降板。 ヤクルトが逃げ切り、3連勝(1敗)で日本一に王手をかけた。石川は歴代年長2位の41歳10カ月で日本シリーズ勝利投手に。マクガフは2セーブ目。オリックス増井は1敗。

◆「SMBC日本シリーズ2021」が開幕し、第1戦はオリックスが逆転サヨナラで勝利。第2戦、第3戦はヤクルトが勝利。第4戦もヤクルトが勝利し日本一に王手をかけた。 先発はヤクルトが石川、オリックスが山﨑颯。

◆41歳10カ月の石川雅規投手が6回1失点でシリーズ初勝利。 シリーズで40代投手の登板は16年<3>戦黒田(広島)以来7人目。白星を挙げたのは第1回シリーズの50年<1>戦で延長12回を完投した若林(毎日=42歳8カ月)以来、71年ぶり2人目。セ・リーグの40代投手では初めて。石川は5三振を奪い、06年<2>戦山本昌(中日)の3個を上回る40代投手の最多奪三振だ。 また、この日のオリックス先発は23歳5カ月の山崎颯。18歳5カ月差の先発対決は、10年<4>戦の山本昌-唐川(ロッテ)の23歳11カ月に次いで2番目の年齢差だった。

◆ヤクルトが3連勝で日本一に王手をかけた。 ヤクルト勝利投手の今季公式戦勝利数は<2>戦高橋が4勝、<3>戦石山が0勝、<4>戦石川が4勝。公式戦5勝未満の投手で3連勝はシリーズ史上初めてだ。シリーズで2勝1敗から王手をかけたのは18年ソフトバンク以来25度目。過去24度のうち55年南海を除いた23度優勝しており、V確率96%。ヤクルトが2勝1敗から王手は93、97、01年と過去3度すべて日本一になっている。なお、シリーズでセ・リーグチームが3勝は13年巨人以来で、3連勝以上は07年<2>~<5>戦で4連勝した中日以来。

◆ヤクルトが破竹の3連勝(1敗)で、20年ぶり6度目の日本一に王手をかけた。 先発の41歳10カ月の石川雅規投手は6回3安打1失点(自責0)で、71年ぶり2人目の日本シリーズ40代白星を飾った。 打線は5番ドミンゴ・サンタナ外野手(29)が2回に2試合連続となる先制ソロ。同点の6回は、2死一、二塁からホセ・オスナ内野手(28)が勝ち越しの中前適時打を放った。 高津臣吾監督(52)の一問一答は以下の通り。 ? 【場内インタビュー】 -今日も接戦 高津監督 そうですね。毎日接戦でちょっと疲れるんですけど、本当に競ったところでね、相手に1点を与えない、何とか1点を奪うというゲームが続けてできてるのかなという感じがします。 -同点に追いつかれた裏の攻撃で勝ち越した 高津監督 2死になってしまって、ライナーのゲッツーで。サンタナ四球、中村がつないで、2死走者なしから決勝点、しっかりオスナが狙い球を絞って、集中して打席に入った結果がいいヒットになったんじゃないかなと思います。 -オスナ決勝打、サンタナ本塁打と助っ人が頼もしい 高津監督 2人で励まし合いながら、仲良くね、一生懸命取り組んでいる姿は、非常に我々も参考にする部分がたくさんありますし、いい結果を残してくれるとね、努力が報われたんだと思うと、すごくうれしく思ってます。 -ベテラン石川の投球 高津監督 初戦、2戦目と若い投手がいって、昨日は小川、そして今日はベテラン石川と、まあ年は関係ないですけどね、ゲームをつくってくれて。勝利に導く、本当に責任のあるイニングをしっかり投げてくれたんじゃないかなと思います。 -20年ぶりの日本一へ王手 高津監督 1つ全力で戦うのみだと思います。1つ全力で勝ちたいと思います。 -第5戦へ向けて 高津監督 いつも通り、昨日も同じこと言いましたけども、これまで通り、我々らしく、しっかり全力で勝ちに向かって頑張りたいと思います。また明日も応援よろしくお願いします。

◆オスナが6回に決勝の適時打。ヤクルトは<3>戦でサンタナが決勝弾を打っており、チームの外国人コンビがそろってV打をマークしたのは、95年ヤクルトの<2>戦オマリー、<5>戦ミューレン以来26年ぶり7度目。2試合連続でマークしたのは89年近鉄の<2>戦リベラ、<3>戦ブライアント以来2度目だった。 ▼サンタナが2回に2試合連続アーチ。シリーズでの2戦連発は19年グラシアル(ソフトバンク)以来で、ヤクルトでは78年マニエル、92年池山、ハウエル、01年真中に次ぎ5人目。

◆スティーブン・モヤ外野手(30)が"天井直撃ヒット"で怪力を見せつけた。 1-2の8回1死で代打で登場。ヤクルト清水が真ん中に投じた真っすぐを強振した。打球は右翼方向へ高く上がった。右飛かと思われたが天井に当たり、打球方向が変わった。白球は一塁手の後ろにポトリと落ち、モヤは出塁した。 東京ドームの特別ルールにより、落下地点がフェア地域だったためインプレー。ダイレクトで捕球もされなかったため、安打が記録された。選手も観客もドームの天井を見上げる一打に沸いた。 ◆東京ドームのルール 打球がフェア地域とファウル地域の区別なく、天井に当たった場合はボールインプレーで、落下した地点または野手が触れた地点でフェアボールかファウルボールかの判定をする。この打球を野手が地上に落ちる前に捕球すれば打者アウト。打球が外野のフェア地域内にある懸垂物に当たるか、挟まった場合は本塁打。内野のフェア地域内の懸垂物に当たった場合は、天井に当たったケース同様にボールインプレーとなる。

◆オリックス2番手の増井浩俊投手が敗戦投手。 増井は日本ハム時代の16年<2>戦でも黒星を喫しており、シリーズで2球団で敗れたのは92年ヤクルト、08年西武で敗れた石井一以来9人目。

◆ヤクルト先発の石川雅規投手が、41歳10カ月で日本シリーズ初勝利を飾った。6回3安打1失点(自責0)に抑え、71年ぶり2人目の40代白星を挙げた。 試合後の球場インタビューの一問一答は以下の通り。 -日本シリーズ初勝利を挙げた気持ちは めちゃくちゃうれしいです。 -日本シリーズは2015年以来のマウンド 本当に前回悔しい日本シリーズを経験して、今回も第4戦という大事な試合を任されて、何とか監督の気持ちに応えようという思いが強かったので、「絶対大丈夫」と思ってマウンドに上がりました。 -好投を振り返って 本当に先頭バッターから全力で、いつつぶれてもいい気持ちで。そしていい形で後ろの、信頼のあるブルペン陣につなげようと思って投げたので。打線も先制点を取ってくれて、守備もすごくいい守備をしてくれて、楽しみながらマウンドに上がれました。 -この1勝の思いは いろいろな1勝は重いですけど、日本シリーズに来るまでも長かったですし、ここでまた勝つことができたのは、自分自身に良かったねって言ってあげたいというか...(笑い)、うれしいです。 -日本シリーズで史上2番目の最年長記録。セ・リーグでは最年長 先ほど監督もおっしゃいましたけど、年齢は関係ないと思っているので。マウンドに上がったらまだまだルーキーの気持ちで投げているので。まだまだ一生懸命腕を振りたいと思います。 -日本一へ王手。ファンにメッセージを 今日もたくさん声援ありがとうございます。1戦1戦戦った結果が3勝になりましたけど、明日もチームスワローズ、ファンの皆さんと一丸になって一生懸命勝ちたい。いい試合できるように、東京ドームで決められるように頑張りたいと思いますので、熱い声援よろしくお願いします!

◆まさかのエース投入もあるか? オリックス中嶋聡監督(52)は試合後、25日の第5戦の先発を聞かれ「なんで言わなあかんの」と言いつつ、即座に「ヤマ!」とだけ言って、報道陣の笑いを誘った。 順当なら今季8勝左腕の山崎福也(29)の先発が最有力だ。ただ、あえて「ヤマ」とだけ言った背景には深いものがある。 オリックスで「山」から始まる投手には絶対的エースの山本由伸投手(23)がいる。山本は第1戦で6回1失点と好投しているが、指揮官は「あと1個負けたら終わりなんで。もう全力でやるだけなんで」と、ヤマ発言の直前にコメントしており、中4日でのエース投入を完全排除できる状況ではない。 さらに、9月に右肘のクリーニング手術を受けた山岡泰輔投手(26)がこの日からベンチ入りし、登板スタンバイできている。かつての右のエースの存在までもチラつかせた格好だ。 この日先発した山崎颯一郎投手(23)は除くとして、中継ぎでは山田修義投手(30)もいる。ドラフト1位ルーキーの山下舜平大投手(19)は日本シリーズの出場資格者に登録されていない。

◆オリックスの宗佑磨外野手(25)がチーム唯一の得点を導いた。 0-1の6回2死一塁から打席を迎えると、フルカウントからの6球目に食らいついた。121キロシンカーを引っ張ると右前打となり、右翼手のサンタナが失策。その間に一塁走者の福田周平内野手(29)が一気に生還して同点に追いついた。「フルカウントまでいっていたので、何とか塁に出られるように、それだけでした」と振り返った。 宗はこの日本シリーズでは17打数6安打3打点で打率3割5分3厘と好調。初戦では9回に同点に追いつく2点適時打を放ち、サヨナラ勝ちに貢献。23日の第3戦では3回に先制の右前適時打を放つなど勝負強さを発揮している。「良い集中力で打席をおくれている」と手応えも実感している。 チームは1勝3敗と後がない状況。それでも宗は、「もう行くしかない。あと3試合3連勝できるように全員でまたやっていきたいなと思います」と巻き返しを誓った。

◆ヤクルトが破竹の3連勝(1敗)で、20年ぶり6度目の日本一に王手をかけた。高津臣吾監督(52)の一問一答は以下の通り。 ? 【試合後囲み取材】 -石川が好投 高津監督 あの年になっても、やはり緊張もあるだろうし、いろんなものを感じてマウンドに上がってくれたんじゃないかなと思います。本当に彼らしく、大きな舞台だったですけども、本当に彼らしい投球をやってくれたのかなという感じがします。 -遅い球で力自慢の打者を抑えていった 高津監督 相手打者中心というより自分中心の投球を心掛けたのかなあという感じはします。本当に持ち味を出して、しっかり腕を振れて、低く集めてというところ。よくできたと思います。 -6年前に悔しい思いをしている 高津監督 その時の悔しさもあるでしょうし、今年前半であったりね、100点のシーズンではなかったと思うので、そういう気持ちを込めてマウンドに上がったのかなと。彼はそんなに表情に出したりとかね、体に出したりはしないですけども、強い気持ちの部分を持ってマウンドに上がってくれたのかなと思います。 -4戦目を任せると前から決めていた 高津監督 前から決めてました。 -理由は 高津監督 今はまだ言えないです。すみません。 -実戦間隔が空いたことによる不安はなかったか 高津監督 できれば本当はしっかりね、その感覚というところも、間の間隔というところも含めて、しっかり調整させてあげたかったんですけども。神宮でシート打撃やったりとか、その程度になってしまったんですけども、それを感じさせない、いい投球をしてくれたのかなと思います。 -打線は両外国人が活躍 高津監督 去年なかった戦力、2人なんですけども本当にここに来て、いい打撃というか、いい得点というか、いい打点というか、してくれますね。みんながつないでね。四球とか、いろんなことでつないで走者をかえすのが目立ちますけれども、その他の出塁だったりもすごく大きかったのかなと思います。 -2人が打つとベンチも盛り上がる 高津監督 そうですね。彼らも盛り上がりますし、当然すごくいい雰囲気で今は進んでるのかなっていう感じはします。 -日本人も外国人もカバーし合うチームワーク 高津監督 本当に我々は年齢、先輩後輩、国籍って言っていいのかあれですけど日本人、外国人、全く関係なく、ただ一生懸命点を取りにいく。ただ一生懸命1点を防ぎにいくっていうのをみんなでやってるところが、ベンチの雰囲気を見てもらったら分かると思うんですけど、そういう気持ちでみんな戦ってると思います。 -日本一へあと1勝 高津監督 うーん。いや、一気にとは、そんな簡単にいくとは思っていないので、はい。まあ全力で戦うのみだと思います。 -中村が好リード 高津監督 このシリーズに入る前に非常によく勉強して、予習して、うちの投手と照らし合わせてサインを出してっていう作業。すごくよく予習、復習した結果が、こういういい投球、いいロースコアのゲームができてる証拠かなと思います。バッテリーコーチにもいろいろ言われながら、わがままな投手をリードしてるわけですから、十分褒めてやっていいと思いますね。まあまだ終わってないんでね、最後にいい形で終わったら、思いきり褒めてあげたいなと思います。 -明日は53歳の誕生日 高津監督 まあ、あの、勝ちたいですね。勝つのみだと思います。全力で戦いたいと思います。

◆オリックスが<2>戦から3連敗で1勝3敗となり、後がなくなった。日本シリーズで1勝2敗から王手をかけられたのは、18年広島以来25度目。過去24度のうち55年巨人以外すべて敗退しており、V確率は4%しかない。なお日本シリーズでパ・リーグ球団が3敗は13年楽天3敗以来で、3連敗は07年日本ハムが<2>~<5>戦で4連敗して以来。 ▼オリックスが日本シリーズで第<4>戦を終え1勝3敗となったケースは、前身の阪急時代含め6度目で、過去5度はすべてそのまま敗退している。前回の84年広島戦は<5>戦から連勝したが、<7>戦で力尽きた。

◆ベテランの快投で、ヤクルトが日本一へ王手をかけた。「SMBC日本シリーズ2021」第4戦は、石川雅規投手(41)が6回3安打1失点(自責0)の好投。 プロ20年目での日本シリーズ初勝利は、50年の毎日若林以来、実に71年ぶりの40代投手勝利となった。3勝1敗とした高津監督は25日が53歳の誕生日。特別な日に、ホームで日本一を決める。勝利の瞬間、ベンチから身を乗り出して見ていた石川は何度も拳を握りしめた。20年ぶりの日本一へ王手をかけたのは、現役最多177勝の左腕。「日本シリーズにくるまで長かったですし、勝つことができたのも、自分自身に『よかったね』と言ってあげたいというか、うれしいです」。6年前は2戦2敗。やっと自分で自分を褒められる、日本シリーズ初白星だ。 初回をしのいで波に乗った。1死一塁で、吉田正を内角低め121キロチェンジアップで空振り三振。続く杉本も外角低め変化球で中飛。青学大の後輩2人に対し、丁寧に低めを突いた。2~5回は無安打に抑え「日本シリーズの雰囲気や、相手打者との対戦を思い切り楽しめたのかなと思う」。第1戦の奥川から高橋、小川と全4戦で先発投手がクオリティースタート(6回以上、自責3以内)を達成。接戦を制した。 変化球でかわすのではなく、直球勝負にこだわった。伊藤投手コーチの指導もあり、130キロ台の直球を見せることでより多彩な変化球がいきるようになった。「130キロですけど、打者がどう感じるかが大事だと思って20年やってきたので、持ち味を十二分に出せたのかなと思う。勝ったので100点です」。 日本シリーズでのセ・リーグ最年長勝利投手という輝かしい肩書が加わった。「まだまだルーキーの気持ち」と笑う反面、覚悟がある。マウンドに上がれば、大ケガをするリスクは付きもの。「毎回、これが最後と思って投げている」。腹をくくって腕を振るからこそ、白星がついてくる。 プロ初勝利を挙げた後輩には、試合の日付と名前を文字盤の裏に刻んだ時計を贈るなど、心配りを欠かさないベテラン。チームスワローズの雰囲気は、最年長の石川による部分も大きい。「チームとして9回27個のアウトをいかに取って、いかに相手より点を多く取るかという野球がスワローズ。そういう戦いをして、東京で決めたい」。日本一は、もう目の前だ。【保坂恭子】 ▼41歳10カ月の石川雅規投手が6回1失点でシリーズ初勝利。 シリーズで40代投手の登板は16年<3>戦黒田(広島)以来7人目。白星を挙げたのは第1回シリーズの50年<1>戦で延長12回を完投した若林(毎日=42歳8カ月)以来、71年ぶり2人目。セ・リーグの40代投手では初めて。石川は5三振を奪い、06年<2>戦山本昌(中日)の3個を上回る40代投手の最多奪三振だ。 また、この日のオリックス先発は23歳5カ月の山崎颯。18歳5カ月差の先発対決は、10年<4>戦の山本昌-唐川(ロッテ)の23歳11カ月に次いで2番目の年齢差だった。 ▽ヤクルト高津監督(石川について)「大きな舞台で本当に彼らしい投球をやってくれた。相手打者というより自分中心の投球を心掛けたのかなと感じる。彼はそんなに表情や体に出したりはしないが、しっかり強い気持ちの部分というのを持ってマウンドに上がってくれた」 ▽ヤクルト中村(石川を好リードし)「今季、石川さんが悔しい思いをしたと思いますし、CSファイナルも投げずに期するものがあったと思う。自分もなんとかしたいと思ってリードした。シーズンと変わらず、オリックス打線を意識せず、打者打者になりすぎず、1年間やってきたこと、投手の一番いいところを引き出そうと研究している」

◆ヤクルト石川雅規投手はいつまでも戦力にこだわる。チームや球界で確固たる地位を築き上げたが、危機感を持ち続ける。「まだやれるという気持ちはまだまだあるが、やりたいからやれるような世界ではない」と表情を引き締める。今季はオープン戦で打ち込まれ、開幕2軍スタート。序盤はファーム生活が長かった。現実を受け止め、投球技術を磨き、若手との競争に加わった。 チームは序盤から好調。1軍での後輩たちの好投を毎日見てきた。「うまい選手が1軍に上がる。そういう意味ではまだまだ負けてられない」。何歳になっても、向上心やハングリーさで練習に励んできた。交流戦から先発ローテーションの定位置に復帰。17試合で4勝を挙げ、防御率は3・07。試合を作ってきた。160キロを投げなくても抑えられる。熟練した投球の裏には、若々しい野心がある。【湯本勝大】

◆バースデー胴上げが現実味を帯びた。ヤクルトが破竹の3連勝で、20年ぶり6度目の日本一に王手をかけた。指揮官が勝利の瞬間にこぶしを突き上げる"高津ガッツポーズ"も、もはや恒例に。高津監督は「毎日接戦でちょっと疲れるんですけど、本当に競ったところでね、相手に1点を与えない、何とか1点を奪うというゲームが続けてできてるのかなと感じます」と充実感をにじませた。 4試合すべてが2点差以内。うち3試合は1点差という、まれに見る大接戦をリードしている。奥川、高橋といった若手からベテラン石川まで、幅広い年齢の投手陣がいずれもきっちりゲームメーク。助っ人外国人も大車輪の活躍で「年齢、先輩後輩、国籍、全く関係なく、一生懸命点を取りにいく。一生懸命1点を防ぎにいく、をみんなでやっている。ベンチの雰囲気を見てもらったら分かると思う」とチームワークの良さが目に見えて現れる。 第5戦が行われる25日は53歳の誕生日。勝てば60年大洋以来、61年ぶりとなる前年最下位からの日本一が決まる。「勝ちたいですね。勝つのみだと思います。全力で戦いたい」。3連勝を決めた直後のスタンドは「This Is Me」の音楽にのせて揺れるビニール傘が乱反射して輝いた。誕生日に日本一。できすぎた物語の完結まで、あと1勝だ。【鎌田良美】

◆ヤクルトの「SDGs」が、2日連続の大活躍を見せた。ドミンゴ・サンタナ外野手(29)は、2回先頭で右翼へ2戦連発となる先制ソロ。ホセ・オスナ内野手(28)も、同点の6回2死一、二塁で中前へ決勝適時打を放った。9回は守護神スコット・マクガフ投手(32)が締めた。日本シリーズでは、アルバート・スアレス投手(32)もベンチで控える。今季のヤクルトはなぜ助っ人外国人選手がそろって活躍できるのか。その理由を探った。スアレスの「S」、ドミンゴ・サンタナの「D」、ホセ・グレゴリオ・オスナの「G」、スコット・マクガフの「S」で「SDGs」。4選手が助っ人としてチームを支える。 スアレスとマクガフはともに来日3年目。ある程度日本には慣れてはいるが、サンタナとオスナは今年初めて海を渡ってきた。しかも新型コロナウイルス感染拡大の影響で、チームのキャンプに参加できなかった。初出場はともに4月23日。ビザの関係で家族が同行できず、単身での戦いを強いられた。慣れない環境で孤立をする可能性もある。ただ、ヤクルトの伝統的な風土である"ファミリー球団"の精神が、助っ人を救った。 合流初日から日本人選手があいさつを交えて積極的に声がけ。来日2試合目でサヨナラ打を放ったオスナは「全員にとても温かく迎えられた。本当に素晴らしい対応というか、チームに入れたと思う」と語った。この日の2回、外角高め直球を右翼席へ2戦連発でたたき込んだ際にも飛び出したサンタナの「ヒゲ」ポーズや、オスナの「ハートマーク」も浸透。みんなでやって盛り上げる。一塁手のオスナはピンチ時も他の野手と一緒にマウンドに集まる。「山田が通訳してくれるよ」とニヤリ。試合前の声出しでも、嶋がオスナやサンタナにネタを仕込む。一言で爆笑を生み、一体感を強めている。 みんなが親切に接してくれるからこそ、チームのために頑張れる。同点の6回2死一、二塁で中前へ決勝打を放ったオスナは「主軸の山田選手、村上選手、青木選手が打てないときに僕たちがカバーしている。僕やサンタナが打てないときはみんながカバーしてくれている。それこそがチーム」とうなずく。国籍は関係ない。チーム全員での一枚岩が、"持続可能な"強さを生み出す。【湯本勝大】

◆ヤクルトの「SDGs」が、2日連続の大活躍を見せた。ドミンゴ・サンタナ外野手(29)は、2回先頭で右翼へ2戦連発となる先制ソロ。ホセ・オスナ内野手(28)も、同点の6回2死一、二塁で中前へ決勝適時打を放った。9回は守護神スコット・マクガフ投手(32)が締めた。日本シリーズでは、アルバート・スアレス投手(32)もベンチで控える。 スアレスの「S」、ドミンゴ・サンタナの「D」、ホセ・グレゴリオ・オスナの「G」、スコット・マクガフの「S」で「SDGs」。4選手が助っ人としてチームを支える。

◆1人と1羽。その間には、特別な空気が流れていた。 試合開始直前、安室奈美恵の登場曲がかかる中でヤクルト石川雅規投手(41)がベンチを出る。マウンドに歩いていく途中で、球団マスコットのつば九郎とグータッチをかわした。言葉がなくても、伝わる気持ち。つば九郎は大きくうなずいて、石川をマウンドに送り出した。 日本シリーズの舞台で、ベテラン左腕は真骨頂の投球を見せた。球速ではなく、制球力で勝負。丁寧に低めに投げ、6回を被安打3の5奪三振、1失点(自責0)。自身にとって初めての日本シリーズ勝利。チームにとっても、日本一に王手をかける大きな1勝を挙げた。 チーム最年長になる石川とは20年来の付き合いになり、大親友だ。つば九郎は、以前のブログで「わかりあえる、おとことおす」と関係性を表現していた。 この日の試合後アップされたブログには「かつおくんの、ふだんをしるおす。かつおくんの、ひといちばいがんばるすがた。だれにもみせぬ、きどあいらくを、ながくちかくでみているおすには、たまらない。もう、たまらん」とつづられていた。石川が決して口には出さないつらさや、苦しさが、大親友にはよく分かっているようだ。 試合後、ヒーローインタビューに向かう石川を出迎えたのも、つば九郎だった。ヒーローインタビュー後には、2人で外野スタンドのヤクルトファンの元へ向かう。今まで、何度もこうしてきた。そのすべてが思い出だ。つば九郎の表情は変わらないけど、なんだか笑顔に見えてくる。 石川は、02年にヤクルト加入。01年のヤクルト日本一の翌年だ。まだ知らない日本一の喜びを、一緒に味わってほしい。【保坂恭子】

◆オリックスが「SMBC日本シリーズ」第4戦も競り負けて3連敗、ヤクルトに王手をかけられた。1点を追う6回に敵失で追いついたがその裏、比嘉がオスナに勝ち越し打を浴びた。後がない中嶋聡監督(52)は第5戦の先発について「何で言わなあかんの? ヤマ!」とユーモアを交えて回答。中4日で山本由伸投手(23)も考えられたが予定通り、今季8勝の山崎福也投手(29)でまずは胴上げ阻止に全力を尽くす。3連敗で崖っぷちに追い詰められた。だが、オリックス中嶋監督はファイティングポーズを崩さなかった。「あと1個負けたら終わりなので...。もう全力でやるだけです」。ヤクルトに王手をかけられたが、パ・リーグ王者の意地がある。 この日は、41歳石川の緩急自在の投球に翻弄(ほんろう)された。奪った得点は敵失の1点だけで6回まで3安打。「本当に投球術ですよね。打ち取る術というか、さすがだと思います。もう少し(狙いを)絞っていけたのかなと。考えがまとまらないうちに手を出してしまった。ミーティングしているはずですけど、うまくできてないのかな」。通算177勝のベテラン左腕に脱帽だった。 初戦は吉田正のサヨナラ打で勝ち星を奪ったが、その後3連敗。全て2点差以内の競り負けだった。だが、指揮官は「接戦ですけど、しっかりやれてない部分がある。そういう風(接戦)には感じてない」と点差以上の開きを感じていた。 第5戦は煙幕作戦に出る。取材の最後に「明日の先発投手は?」と問われた指揮官は「何で言わなあかんの? ヤマ!」と笑わせ、立ち去った。チームの「ヤマ」は、今季8勝の山崎福、沢村賞の山本、この日救援要員でベンチ入りした山岡、リリーフ左腕の山田、そして山崎颯がいる。負ければ終戦だけに、初戦で快投した山本は十分な候補になる。だが、プロでは中4日を経験しておらず、次戦は中6日で27日の第6戦に回すとみられる。第5戦は当初の予定通り、山崎福の先発が濃厚だ。 阪急時代を含めて、シリーズ1勝3敗は5度あるが、日本一は球団史にない。ただ、幾多の逆境を乗り越え、25年ぶりのVを勝ち取ったチームだけに、もちろんネバーギブアップ。3つ勝てば、ほっともっと神戸で歓喜の胴上げができる。まずは第5戦でヤクルトの胴上げを阻止し、夢をつなぐ。【真柴健】

◆ヤクルトが前回リーグ優勝した2015年(平27)、石川に優勝手記を依頼した。手のしびれと闘いながらのシーズンだったことや家族への感謝をしたためてくれたのだが、謝礼の原稿料を受け取ろうとはしなかった。 「お金はいらないので、写真を何枚かいただけませんか?」と言った。A4サイズにして50枚ほど、シーズン中のいいシーンを集めて渡し、気に入った写真を2枚選んでもらって巨大なパネルにした。 今年でプロ20年。お金に固執することもなく、人一倍の負けず嫌いな性格で野球と向き合ってきた。だから、41歳になっても勝てる。見たまんま、野球少年のような投手が石川雅規だ。【03年、04年ヤクルト担当=竹内智信】

◆ベテランの快投で、ヤクルトが日本一へ王手をかけた。「SMBC日本シリーズ2021」第4戦は、石川雅規投手(41)が6回3安打1失点(自責0)の好投。プロ20年目での日本シリーズ初勝利は、50年の毎日若林以来、実に71年ぶりの40代投手勝利となった。3勝1敗とした高津監督は25日が53歳の誕生日。特別な日に、ホームで日本一を決める。 ▼ヤクルトが3連勝で王手をかけた。ヤクルト勝利投手の今季公式戦勝利数は<2>戦高橋が4勝、<3>戦石山が0勝、<4>戦石川が4勝。公式戦5勝未満の投手で3連勝はシリーズ史上初めてだ。 シリーズで2勝1敗から王手をかけたのは18年ソフトバンク以来25度目。過去24度のうち55年南海を除いた23度優勝しており、V確率96%。ヤクルトが2勝1敗から王手は93、97、01年と過去3度すべて日本一になっている。なお、シリーズでセ・リーグチームが3勝は13年巨人以来で、3連勝以上は07年<2>~<5>戦で4連勝した中日以来。

◆<日本シリーズ・ニッカンMVP査定> ヤクルトはここまでV打が青木、サンタナ、オスナの3人。先発勝利は高橋と石川の2人で、MVP争いは混沌(こんとん)の様相。

◆オリックスの先発を託された山崎颯一郎投手(23)が、ベテラン石川との投げ合いで互角に渡り合った。今季プロ初勝利を挙げた通算2勝右腕VS現役最多177勝の41歳左腕。サンタナに浴びたソロ1点にとどめ、遊撃・紅林らの好守にも支えられ、5回を4安打1失点にまとめた。 だが「高めに行ってしまっての1発。もうちょっとローに投げなければいけなかった」と悔しさいっぱい。プロ初登板の東京ドームは、マウンドからの景色が違った。「感覚的には(まっすぐが)行っていない感じがずっとあった」。女房役の若月に「大丈夫」と励まされ、気持ちを切り替えた。 クライマックスシリーズのファイナルステージロッテ戦は、勝ち抜けを決める2連勝後の12日第3戦先発を任されながら、3回途中1失点で降板。同じ轍(てつ)は踏むまいと5回まで持ちこたえた。だがヤクルトの王手を止められず。「(流れを)引き込むような投球ができなかったのが悔しい」。中嶋監督から好投をねぎらわれたが、表情は沈んだままだった。

◆ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が二回先頭で2号ソロを放ち、先制に成功した。 「昨日の勢いのまま試合に入ることができました。しっかりと自分のスイングができるところを待っていて、一発でしっかりと仕留めることができました。先制できて良かった」 カウント1―2からの4球目、オリックス・山崎が投じた151キロの直球をフルスイング。相手右翼手が追うのを諦めた当たりは、右翼席中段へ突き刺さった。 前日23日には七回に逆転の1号2ランを放って勝利の立役者となっていた助っ人。この日もダイヤモンドを一周するとベンチでナインとお決まりの〝ひげポーズ〟で喜びを分かち合った。

◆1点を追うオリックスは六回2死から福田が中前打。続く宗も右前打を放った。その打球をヤクルト右翼手・サンタナがはじき(記録は失策)、福田が一塁から一気に生還した。 6回、オリックス・宗佑磨の打球をエラーするヤクルト・サンタナ=東京ドーム(撮影・水島啓輔) ヤクルト先発・石川を打ちあぐんで五回まで1安打だったオリックス打線が、ワンチャンスを生かして同点とした。

◆オリックスの宗が0―1の六回、得点につながる安打を放った。2死一塁で右前打。右翼手のサンタナが処理ミスした隙を突き、一塁走者の福田が一気に本塁を陥れた。 一回に左前打を放ち、日本シリーズで4試合連続安打をマーク。球を引き付け、思い切り良くスイングする持ち味を存分に発揮した。 今季、外野から三塁に転向して大ブレークした7年目の25歳。23日は送球で失策したが、この日は三回にサンタナの三塁へのゴロを軽快に処理。「可能性を広げるためにチャレンジした」と話していた守備で、中嶋監督がほれ込んだ非凡なグラブさばきを披露した。

◆連夜の活躍で復調を印象付けた。5番・サンタナが二回に右翼席中段で2号先制ソロ。前夜、23日の決勝弾に続く2戦連続発で、東京ドームに再び大輪の傘が花開いた。 「昨日(23日)の勢いのまま試合に入ることができました。しっかりと自分のスイングができるところを待っていて、一発でしっかりと仕留めることができました。先制できて良かったです」 ダイヤモンドをゆっくりと一周し、自慢の口ひげをさすった。オリックス先発・山崎颯が投じた高めの直球を一閃。第1、2戦はレギュラー野手でただ一人、無安打と苦しんだが10月以降のレギュラーシーズンで打率・377、7本塁打、18打点と好調だった打棒が戻ってきた。 六回には同点とされたが〝相棒〟の一振りで再び勝ち越した。六回は2死からサンタナが四球、中村が右前打で一、二塁のチャンス。同じく来日1年目のオスナが中前へ適時打を放った。 頼もしい助っ人2人が打線を支えている。

◆熟練の技をいかんなく発揮した。41歳のヤクルト・石川が日本シリーズ第4戦に先発。オリックス打線に的を絞らせず、6回3安打1失点(自責点0)と好投した。 「一人一人丁寧に投げる事を心掛けてマウンドにあがりました。信頼できる中継ぎがたくさんいるので行けるところまで全力で飛ばしていきました。先制してくれて良い形で後ろにつなぐことができました」 ベテラン左腕は降板後、こうコメントを残した。2015年のシリーズでは2度先発したが、いずれも敗戦投手。雪辱を期したマウンドだった。 石川らしく低く、広く。丁寧に高低、両コーナーを投げ分けた。パ・リーグには珍しい技巧派左腕は相手を翻弄し、四回は宗、吉田正、杉本の中軸を三者凡退。「強打者の前に走者をためないように」と警戒していた青学大の後輩の3、4番に仕事をさせず。六回に右翼手・サンタナの失策も絡んで1点を失ったが、試合をつくった。 クライマックスシリーズでは登板機会を若手に譲った。日本シリーズでも第1、2戦で奥川と高橋が躍動。「ものすごく頼もしい。彼らに負けないような投球をしていきたい」と闘争心は増すばかりだ。大舞台で輝きを放った背番号19に、大きな拍手が送られた。

◆オリックスの山崎颯は四回を除いて毎回の走者を出しながら粘り強く投げ、5回1失点で救援陣に後を託した。「緊張もあったが、とにかく全てを出し切って、打者一人一人を抑えていこうとマウンドに上がった」と息をついた。 立ち上がりから球のばらつきも目立った。ただ「僕はもともと、そこまでの制球はない。今はストライクゾーンに強い球を投げていければいいかなと思っている」と自己分析する。150キロを超える速球を軸に、踏ん張って試合をつくった。

◆オリックスのスティーブン・モヤ外野手(30)がドームの天井を直撃する珍しいヒットで出塁した。 1-2の八回1死、富山の代打で登場。右腕・清水と相対した。1球目から手を出すと、打球はあっという間に舞い上がりドームの天井を直撃。一、二塁間に落ちる内野安打となった。モヤ自身も驚いた表情で、ファンも騒然としていた。 モヤは20日の1戦目で代打で一時同点となる本塁打を放った。再び、代打で結果を残した。

◆瀬戸際に立たされた。1点を追う九回2死二塁。オリックス・T-岡田はマクガフの前に一ゴロに倒れて、届かなかった。対戦成績で1勝3敗となり、ヤクルトに王手をかけられた。 毎試合接戦が続く、日本シリーズ。粘りは見せた。一瞬の綻(ほころ)びも見逃さなかった。0―1の六回、オリックス・宗が同点打。熟練の投球を許していたヤクルトの先発・石川から、1点をもぎとった。 五回を終えてわずか1安打。その1本も、一回1死から宗が左前に運んだものだけだった。レギュラーシーズンに限れば対戦は2017年5月31日(京セラ)以来。剛速球こそないものの、緩急を生かした投球の前に凡フライを打たされ、チャンスらしいチャンスが作れなかった。 そして迎えた六回2死。2打席連続二ゴロに抑えられていた福田が、低めの直球をうまく拾って中前打。続く宗は1球も振らずにフルカウントとなった。一走・福田は自動的にスタート。ここで甘く入ったシンカーを見逃さなかった。鮮やかにとらえると打球は右前へ。ボールを処理した右翼・サンタナがファンブルすると、福田は迷うことなく本塁打を突いた。 これで宗は日本シリーズ4試合中、3試合で打点を記録。第3戦では自身の失策から追加点を献上しただけに、一夜明けて悔しさを晴らした。 第1戦は吉田正のサヨナラ打で劇勝。第2戦は完封負けを喫したが、舞台を東京ドームに移した第3戦は杉本に1号2ランが生まれるなど、4得点を奪った。打線が低調なわけではない。試合前の声出しでは選手会長の吉田正が「きょうはみんなで、全員で、明るく戦っていきましょう!」とゲキを飛ばして、臨んだ一戦だった。 しかし、リリーフ陣が踏ん張れない。同点に追いついた直後の六回、2番手の増井が2死一、二塁のピンチを招いて降板すると、3番手・比嘉がオスナに勝ち越し打を浴びた。 ロッテとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージを制して日本シリーズ進出を決めた12日、中嶋監督をマイクを握って言った。「まずここ(京セラ)で勝って、帰ってこられないようにしたいですけど、(6戦目以降の)神戸で決めたい気持ちもありますので、何とか全員でやっていきます」。6戦目以降を戦うためにも、敵地での勝ち越しを目指したが、先勝の後、3連敗。がけっぷちに追い込まれた。(竹村岳)

◆セ・リーグ王者のヤクルトが競り勝ち、対戦成績を3勝1敗とし、日本一へ王手をかけた。二回にサンタナが2戦連発となるソロ本塁打を放ち、先制。同点に追いつかれた直後の六回にはオスナが中前適時打を放ち、勝ち越した。先発の石川は6回3安打1失点(自責点0)の快投で日本シリーズ初勝利。七回は石山、八回は清水、九回はマクガフが無失点でつないだ。 41歳10カ月のベテラン左腕が大一番で、オリックス打線を幻惑した。石川は降板後、充実感を漂わせる。 「一人一人丁寧に投げることを心掛けてマウンドに上がりました。信頼できる中継ぎがたくさんいるので行けるところまで全力で飛ばしていきました。先制してくれてよい形で後ろにつなぐことができました」 五回までわずか1安打に抑え、二塁も踏ませない快投。六回に2死から福田に中前打、宗に右前打を浴び、右翼手・サンタナの適時失策で1点を失ったが、最少失点で切り抜けた。ストライク先行でリズムよく投げ抜き、6回を77球。オリックス打線を寄せ付けなかった。 前回2015年のソフトバンクとの日本シリーズでは2度先発投手を務め、第1戦で4回3失点、第5戦で5回途中4失点でいずれも負け投手となった。6年ぶりの頂上決戦で、会心の投球でリベンジした。

◆小走りでマウンドに上がると、帽子を取って一礼した。初体験の日本シリーズ。第4戦の先発を託されたオリックス・山崎颯は、トントンと小さくジャンプし、気持ちを整えてから、ヤクルト打線相手に目いっぱい右腕を振った。 一回先頭の塩見を空振り三振。「僕の場合は先頭打者をアウトにできるかが大事」と話していた先頭を仕留めると、続く青木は140キロフォークで二ゴロ。山田には中前打を許したが、村上を右飛に打ち取り、無失点で立ち上がった。二回には先頭のサンタナに高め151キロ直球を右翼中段席まで運ばれて先取点を奪われたものの、ここで崩れず、最少失点でしのいだ。 高卒5年目の今季はシーズン中盤から先発ローテーションに定着。一昨年夏に受けた右肘手術からの復活を遂げ、9試合で2勝2敗、防御率3・69。25年ぶりのリーグ優勝に貢献した。 ロッテとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦(12日、京セラ)では2回?、1失点で降板。「やってやろうという気持ちはありますし、冷静にいきたい」の意気込みとは裏腹に先発の役割を果たすことができなかった。その悔しい思いを、日本シリーズにぶつけた。 ヤクルトとの頂上決戦前、中嶋監督は「いまから変わったことはできない。普段通りの野球を選手にはしてほしい。(シーズンの)チャンピオンの気持ちはない。こっちは完全なチャレンジャー」とナインに言葉をかけた。山崎颯もレギュラーシーズン同様の投球を心がけ、5回を1失点と踏ん張ったが、勝利に導くことはできなかった。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(28)が1―1の六回2死一、二塁で勝ち越しの中前適時打を放った。 「追い込まれて大振りせずコンパクトに長打よりもヒット狙いを意識して打つことができました」 カウント2―2からの5球目、変則右腕の比嘉の129キロのスライダーを捉えて中前へ転がした。二走・サンタナが全力疾走でホームイン。普段から行動をともにする〝相棒〟の激走に「サンタナが良く走ってくれた」と笑顔を見せた。

◆セ・リーグ王者のヤクルトが競り勝ち、対戦成績を3勝1敗とし、日本一へ王手をかけた。二回にサンタナが2戦連発となるソロ本塁打を放ち、先制。同点に追いつかれた直後の六回にはオスナが中前適時打を放ち、勝ち越した。先発の石川は6回3安打1失点(自責点0)の快投で日本シリーズ初勝利。七回は石山、八回は清水、九回はマクガフが無失点でつないだ。試合後の高津監督のインタビューは以下の通り。 -―接戦だった。今の気持ちは 「毎日接戦でちょっと疲れるんですけど、でも本当に競ったところで相手に1点を与えない、何とか1点を奪うというゲームが続けてできているのかなという感じはします」 -―六回に同点に追いつかれた裏の攻撃 「(ライナーのダブルプレーで)2死になってしまって。2死ランナーなしから、サンタナのフォアボール、中村がつないで、2死ランナーなしからしっかりと決勝点。しっかりとオスナが狙い球を絞って集中して打席に入った結果が、いいヒットになったんじゃないかなと思います」 -―オスナ、サンタナが頼もしい助っ人 「2人で励まし合いながら、仲良く一生懸命取り組んでいる姿はわれわれも参考にする部分がたくさんあります。ああやっていい結果を残してくれると、努力が報われたと思うとすごくうれしく思っています」 -―第4戦を託した石川の投球は 「初戦、2戦目と若い投手がいって、昨日は小川、今日はベテランの石川がしっかりと。年は関係ないですけどね。ゲームをつくってくれて、勝利に導く、本当に責任のあるイニングをしっかり投げてくれたんじゃないかと思います」 -―20年ぶり日本一へ王手 「一つ、全力で戦うのみだと思います。一つ、全力で勝ちたいと思います」 -―ファンへ 「いつも通り、昨日も同じことを言いましたけど、これまで通り、われわれらしくしっかり全力で勝ちに向かって頑張りたいと思います。また明日も応援よろしくお願いします」

◆セ・リーグ王者のヤクルトが競り勝ち、対戦成績を3勝1敗とし、日本一へ王手をかけた。二回にサンタナが2戦連発となるソロ本塁打を放ち、先制。同点に追いつかれた直後の六回にはオスナが中前適時打を放ち、勝ち越した。先発の石川は6回3安打1失点(自責点0)の快投で日本シリーズ初勝利。七回は石山、八回は清水、九回はマクガフが無失点でつないだ。試合後の石川のインタビューは以下の通り。 ――日本シリーズ初勝利。今のお気持ちは 「めちゃくちゃ嬉しいです」 ――2015年以来の、日本シリーズのマウンド。第4戦を任されて、どんな思い出マウンドにあがったか 「前回、悔しい日本シリーズを経験して、今日もこういう第4戦という大事な試合を任されて。なんとか監督の気持ちに応えようという気持ちが強かったので。"絶対大丈夫"と思ってマウンドに上がりました」 ――6回77球、3安打1失点、自責点0という好投 「本当に先頭バッターから全力で、いつつぶれてもいい気持ちで。そして、いい形で、信頼のあるブルペン陣につなげようという思いで投げていたので。打線も先制点を取ってくれて、守備もすごくいい守備をしてくれて。自分は本当に、楽しんでという言い方はあれですけど、楽しみながらマウンドにあがることができました」 ――現役最多の勝利数。この日本シリーズでは初勝利、この1勝というのはどんな思いか 「いろんな一勝というのは重いですけれども、この日本シリーズに来るまでが長かったですし、ここで勝つことが出来たのが、本当に。自分自身によかったねと言ってあげたいというか。嬉しいです」 ――41歳10カ月。日本シリーズでは史上2番目の最年長記録、セ・リーグでは最年長記録の勝利投手(両リーグでは1950年若林忠志=毎日=の42歳8カ月) 「先ほど監督もおっしゃいましたけど、年齢は関係ないと思っているので。マウンドにあがったら、まだまだルーキーの気持ちで投げているので。これからも腕を振りたいと思います」 ――好投もあり、日本一へ王手 「今日もたくさんの皆さんのご声援ありがとうございます。1戦1戦、戦った結果が3勝となりましたけども。明日もチームスワローズ、ファンの皆さんと一丸となって一生懸命勝ちたいと思います。そして、いい試合ができるように。この東京ドームで決められるように。頑張りたいと思いますので。また熱いご声援お願いします」

◆オリックスは救援のベテラン2投手が踏ん張れず勝ち越し点を許した。1―1と追い付いた六回に登板した増井が2四球を与え、2死一、二塁のピンチを招いて降板。代わった比嘉はオスナに中前へ適時打された。 つかみかけた流れを手放し、中嶋監督は「難しい場面だと思うけど、こういう試合での四球は気になる。どうしても大きくなっている」と悔やんだ。

◆ヤクルトに王手をかけられ、オリックスは絶体絶命の窮地に。本紙専属評論家で通算465本塁打を放った土井正博氏(77)は「粘って1球でも多く投げさせる。エンドランなどで動く。シーズン中に披露してきた野球を思い出せ!」と激励。西武打撃コーチ時代に3連敗後、4連勝した〝実績〟を持つ名伯楽の、説得力あふれる金言だ。 ■ヒットは出るが点に結びつかない状況 力で攻めてくる投手が多いパ・リーグにはいないタイプの石川に幻惑され、投球術で抑え込まれた。そんな試合だった。 このシリーズのオリックス打線は、各打者ともにヒットは出ているが、点に結びつかない状況が続いている。ヤクルトの先発陣は確かに頑張っているが、オリックス打線にも原因はある。淡泊なのだ。 ヤクルトの打者と比較してファウルで粘ることができていないし、早打ちで凡退してしまい、次打者につなげていない。さらに言えば、シーズン中は見せていたエンドラン、ランエンドヒットなどの動きが鳴りを潜めている。劣勢になった時の阪神の試合を見ている気分になった。 ■「普段着野球」ができる相手先発 その結果が、相手に王手をかけられた現状だ。終わったことは仕方がない。開き直るしかない。と同時に、前述したような「自分たちが継続してきた野球」を取り戻すことが一番だ。 幸いにして、5戦目のヤクルト予想先発は原。真っすぐに力があり、スライダー、シュートを交える好投手ではあるが、このタイプはパに山ほどいる。普段着の戦いを取り戻すには、格好の相手だと思えばいい。 ■1つ勝てば一気に流れは変わる!! 私は1986年の日本シリーズ(対広島)で、初戦引き分けの後3連敗を喫し、究極の断崖絶壁に追い込まれた。打撃コーチとして難しいことは言わなかった。「みんなで一日でも長くユニホームを着よう」。清原、秋山らに対してワンパターンのように言い続けた。そして4連勝した。 短期決戦の恐ろしさであり魅力は、たった1つのプレー、たった1つの勝利で流れが劇的に変わってしまうこと。パに多いタイプ相手に自分たちの戦い方を思い出して1つ勝てば、一気に流れは変わる。ことしのオリックスなら難しいことではない。(本紙専属評論家)

◆第5戦の先発投手を聞かれたオリックス・中嶋監督は「ヤマ」とだけ答えた。ロッテとのクライマックスシリーズファイナルステージ(京セラ)を含め、ここまでポストシーズンの登板がない山崎福が有力だが、王手をかけられ、後がなくなったことで、20日の第1戦(同)に先発した沢村賞投手、山本を中4日で投入する可能性もある。この日ベンチ入りした山岡も、リリーフ左腕の山田も「ヤマ」。ショートスターターで奇襲をかけるのか、果たして...。

◆盤石のリレーで1点のリードを守り抜いた。先発・石川の後を受けた石山、清水、マクガフが1イニングずつを封じ、スコアボードにゼロを並べた。 「年齢、先輩後輩、日本人外国人、全く関係なく、ただ一生懸命1点を取りにいく、防ぎにいくのをみんなでやっている。そういう気持ちで戦っている」。連日の接戦をものにし、高津監督はナインの気持ちを代弁した。六回に同点に追い付かれたが、すぐさまその裏に勝ち越した。リードはわずか1点。一丸で守り抜いた。 9回表を抑えたヤクルト・マクガフ=東京ドーム(撮影・今野顕) まずは前日23日にイニングをまたいで1回?を無安打無失点に抑えた石山。この日も七回を1安打無失点で切り抜けると、八回は今季50ホールドを記録し最優秀中継ぎ投手に輝いた清水が10球で相手の攻撃を終わらせた。最後は守護神・マクガフ。2死二塁とされたが、T―岡田を一ゴロに仕留め、連夜のセーブを挙げた。 「信頼あるブルペン陣につなげようと思って投げていた」という先発の石川。ベテランの思いに応え、〝勝利の方程式〟で接戦をものにした。

◆仲間のミスをバットで取り返した。ヤクルトは二回、ドミンゴ・サンタナ外野手(29)の2戦連発となるソロで先制。サンタナが六回の右翼守備で失策して追い付かれたものの、直後の六回にホセ・オスナ内野手(28)が決勝の中前適時打を放った。高津臣吾監督(53)が球団に直訴して獲得に至った助っ人コンビの活躍で、日本一に王手をかけた。 勝利の立役者が27個目のアウトをファインプレーでつかんだ。九回2死二塁。オスナは、T―岡田が放った一、二塁間の当たりを好捕。ダッシュで一塁ベースを踏み、シリーズ3連勝だ。 六回、サンタナは打球をはじき、同点となる走者の生還を許した  (撮影・水島啓輔) 「チームの勝利に大きく貢献できたと思いますし、石川さんが素晴らしく、勝利にふさわしい投球でした」 来日1年目の助っ人コンビが東京ドームで輝きを放った。二回、サンタナが2試合連続となる一発をヤクルトファンが待つ右翼席にぶち込み、先制点をゲット。だが六回の右翼守備で宗の打球をはじき、追い付かれた。嫌なムードが漂う中、オスナが直後の六回、中前に勝ち越し打。仲間とチームを救った。 この2人は、高津監督が球団に直訴して獲得した。「ムネ(村上)が長打を打てるけど、他でも相手バッテリーが嫌がるような打線が組めたらと思っている」。5番以降に強打者がいなければ山田、村上の3、4番コンビは勝負を避けられてしまう。サンタナが19発、オスナが13発を放ったことで強力打線を形成。12球団トップのチーム得点625をたたき出した。 六回に決勝打を放ったオスナは一塁側のヤクルトベンチに向け、ポーズを決めた 両助っ人は新型コロナウイルス禍の難しい状況で来日。日本球界に適応するべく、早出練習を日課にしていた。本拠地・神宮での開催時は全体練習前に室内練習場に足を運び、バットを振った。レギュラーシーズンの後半戦開幕前には打席数を確保するため、東京・江戸川区球場まで出向いてイースタン・リーグにも出場した。 そういった姿勢を知っているから、高津監督の信頼も揺るがない。不調時でも、ともに代打を出されたことはない。指揮官は「打ってくれれば一番うれしいですけど、それ以外のところで心配することがない。手を抜いたり、練習をおろそかにすることは絶対ない」と人間性を評価している。 「主軸の山田、村上、青木が打てていないときは自分たちがカバーできている。自分やサンタナが打てていないときは周りのみんながカバーしてくれている」とオスナ。チーム一丸で最後の白星をつかむ。(横山尚杜)

◆オリックス打線には、落胆した。こういう姿は見たくなかった。 ヤクルト・石川の緩いボールを、ぶりぶり振り回すだけ。それも若いカウントから、ぽこぽこ打って出た。振り遅れるような直球はないのに、剛速球投手に対するのと同じスイング。自分たちで術中にはまりにいってしまった。 そもそも石川は、緩いボールをだてに投げてきたわけではない。こういう打線をカモにして、20年間、プロで飯を食ってきたんだよ。 それぞれが、最も打てそうな球を、じっくり待てばいい。公式戦でも100球以内に交代する投手だよ。球数を費やさせて、早めに疲れさせればいいじゃないか。 そうしたデータは集めていないのかね。対応力は、持ち合わせていないのかね。「これがパ・リーグにありがちな野球」と言われても、仕方ないよ。 逆にオリックスの先発・山崎颯は、どうみても、何年か先を期待されるような存在。球界の最高峰を争う舞台の第4戦を託すのは、酷だね。 エモトは以前から、公式戦の順位予想で「潜在能力はある」と、オリックスを上位に推すたびに、決まってBクラスだった。今回こそはと、4勝2敗で日本一と予想したら、もう崖っぷち。また裏切られるのか? せめて意地をみせろと、ハッパをかけるしかないね。(本紙専属評論家)

◆オリックスが2-2で迎えた七回、太田の三塁打、モヤの右前打の2本の適時打で勝ち越した。 この回から登板のヤクルト3番手・石山に対して、紅林が左前打で出塁し、伏見が三前バントで1死二塁。ここで太田が右中間を破る三塁打。さらに代打・モヤが右前にポトリと落ちる幸運な安打が生まれ、4-2とした。 このシリーズ、オリックスが2点リードしたのは初めて。

◆「33-4」と「26-4」。この数字にピンとくる野球ファンは多いだろう。前者は2005年のロッテ-阪神、後者は昨年のソフトバンク-巨人の日本シリーズでの総得点だ。「面白い」と評される今シリーズは第4戦を終えて「12-9」。数字が証明している。 この日も僅差となった背景の一つに、オリックス・福田の足があった。0―1の六回2死から中前打で出塁。続く宗の右前打で一気に本塁に生還した。 この場面、宗はフルカウント。投手が投球動作を始めると同時に、オートマチックスタートを切っていた福田はトップスピードで三塁へ向かう。宗の打球を右翼手・サンタナがファンブル。さらに、中継プレーに入っていた二塁手・山田ではなく、二塁ベース上にいた遊撃手・西浦へ緩い返球をするのを見た風岡三塁コーチが迷うことなく腕を回した。背後のサンタナのプレーが見えない中でも、三塁ベース前で減速することなく〝一つでも先の塁へ〟という福田の意識と姿勢は素晴らしかった。 日本シリーズの「神走塁」といえば、1987年第6戦の西武・辻(現監督)が思い出される。1点リードの八回2死一塁から秋山が中前打。中堅手・クロマティが緩慢な動きで捕球し、山なりの返球をした間隙を突いて単打で生還した。失策が絡んだ今回とは状況が異なるが、「走塁とは?」の問いに対する辻監督の答えは「得点する手段。走塁への意識、技術を持っていればチームの得点能力は上がるし、相手に与えるダメージも大きい」。福田はまさに、その言葉を体現し、この走塁の直後には、Yahoo!のリアルタイム検索で「クロマティ」がトレンド入りした。(編集委員) ■東山 貴実(ひがしやま・たかみ)1967(昭和42)年生まれ、54歳。京都市出身。早大卒。巨人、阪神、MLBなど野球記者歴20年以上。本紙運動部編集委員。

◆「シリーズ男」はヤクルト・石山泰稚投手! ヤクルトが王手をかけた日本シリーズ第4戦で、元ヤクルト投手の五十嵐亮太氏(42)は七回を無失点に抑えた石山の投球に着目。ソフトバンク時代の2014年、阪神との日本シリーズでシリーズタイの4連投(計5回無失点)を記録した同氏は「日本シリーズの大舞台が石山を覚醒させた」と評した。 2-1の七回。マウンドに上がる石山の表情を見て、「シリーズ男」になると感じた。レギュラーシーズンでは結果を残せず、クローザーから中継ぎに配置転換された。2軍落ちも経験したが、第3戦は七回2死満塁のピンチを切り抜けると、回をまたいで八回も無失点。第4戦も好投し、日本シリーズという大舞台が石山を覚醒させた。 私の経験上、年齢と経験を重ねるほど、アドレナリンをコントロールできなくなるものだ。感覚は鈍くなり、次第にまひする。特にクローザーをやっていた投手は、緊迫した場面で投げることに慣れている。本人はそんなつもりがないのだが、リードされている場面ではアドレナリンが出なかった。 だが、第3戦で大事な場面を任され、結果を残した。抑えをやっているときのモチベーションが蘇り、力に変えられたのだろう。自分が投げるポジションはここだと確信を持った投球に見えて、鳥肌が立った。 先頭の杉本は、カウント2-2からインハイへの直球で空振り三振。杉本に対しては内角を強く意識させたリードを続けている伏線があったが、それ以上に石山の真っすぐの強さが際立った。チャンスを与えた首脳陣と、結果で応えた石山。ここに来て、経験豊富な石山の覚醒は大きい。 その点でいえば、私と同学年の石川も素晴らしかった。落ち着いて彼らしい投球だったし、技術以外のプライドを見せつけられた。気持ちの強さを投球に再現できる投手と、空回りしてしまう投手がいるが、石川は重圧がかかる場面でここぞの投球ができる。気持ちの高ぶりも客観視しながら試合に臨んでいた。 バックのミスが出て唯一失点した場面も、内野の間を抜けた打球。1点でしのいだことに、粘り強さを感じた。魔法を使ったかのように、何となく抑えてしまったと思わせるのが石川の投球。まさに真骨頂だった。(元東京ヤクルトスワローズ投手)

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