ヤクルト(☆5対4★)オリックス =日本シリーズ3回戦(2021.11.23)・東京ドーム=
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ORIX
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ヤクルト
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勝利投手:石山 泰稚(1勝0敗0S)
(セーブ:マクガフ(0勝1敗1S))
敗戦投手:吉田 凌(0勝1敗0S)

本塁打
【オリックス】杉本 裕太郎(1号・6回表2ラン)
【ヤクルト】サンタナ(1号・7回裏2ラン)

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◆シーソーゲームを制したヤクルトが連勝。ヤクルトは1点を追う5回裏、中村の適時打に相手失策が絡んで3点を挙げ、逆転に成功する。その後リードを許すも、7回にサンタナの2ランが飛び出し、再び試合をひっくり返した。敗れたオリックスは、4番手・吉田凌が痛恨の一発を浴びた。

◆日本シリーズ第3戦目のヤクルトの全体練習ウオーミングアップには、宮本丈内野手(26)の姿はなかった。 宮本は、20日の第1戦に「8番・右翼手」でスタメン出場。0-0で迎えた2回2死一、二塁のピンチで、オリックス若月の右翼への痛烈な当たりをジャンプして捕球。勢いで後頭部をフェンスに強打し、うつぶせでグラウンドに倒れ込んだ。時間をかけて立ち上がり、トレーナーとコーチに付き添われながらベンチに戻った。3回の守備には就いたが、4回の打席から山崎に交代して退いていた。第2戦の試合前練習にも参加せず、ベンチ入りメンバーを外れていた。

◆ヤクルトは、第3戦からプロ2年目の長岡秀樹内野手(20)が合流した。 試合前練習では、走塁練習などで調整した。 今シーズンは、10月23日巨人戦、同29日広島戦に遊撃手でスタメン出場。CSファイナルステージもメンバー入りし、日本シリーズでも40人枠に入っていた。

◆日本シリーズ第3戦の試合前に、"プチ明大OB会"が行われた。 ヤクルトの打撃練習中に、ティー打撃を行っていた吉田大成内野手(26)が急にバットを置き、ベンチ前に出てきたオリックス選手の元へ駆け寄った。 目線の先には、オリックス山崎福也投手(29)。2人は、しばらく談笑していた。 2学年差の2人は、ともに明大野球部の出身。山崎福は日大三から明大を経て、14年ドラフト1位でオリックスに入団。吉田成は、佼成学園から明大、明治安田生命を経て18年ドラフト8位でヤクルト入りしている。

◆1勝1敗で、舞台を東京ドームに移した日本シリーズ第3戦のスタメンが発表された。 2連勝を狙うヤクルトは、今季チームトップタイの9勝を挙げている小川泰弘投手(31)が先発。シーズン中の10月29日広島戦に2番手で登板して以来、約3週間ぶりの実戦となる。

◆完封負けで第2戦を落としたオリックスは対戦成績を1勝1敗とし、舞台を東京ドームに移した。第3戦は半年前、交流戦で投げ合った2人が再び相対する。 オリックス先発は今季自己最多8勝を挙げた田嶋大樹投手(25)。ヤクルト先発は小川泰弘投手(31)。 2人は今季、5月29日の交流戦(京セラドーム大阪)で対戦した。田嶋は5回9安打6失点と打ち込まれ、負け投手。小川は7回3失点で勝ち投手になった。 また第1戦でサヨナラ打を放った吉田正尚外野手(28)は「3番左翼」で出場する。9月3日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)以来の守備に就く。

◆第3戦に臨むヤクルトのベンチ入りメンバー26人が発表された。 第1戦で途中交代した宮本丈内野手(26)は、2試合続けてベンチ入りを外れた。 内川聖一内野手(39)と坂口智隆外野手(37)が、2戦続けてベンチ入りした。 投手陣では、金久保優斗投手(22)がブルペン待機となった。

◆元ヤクルト監督の真中満氏(50)が始球式を行った。 背番号「2015」のユニホーム姿で登場。左腕から山なりの球を高めに投げ込み、オリックス福田から空振りを奪うと笑顔でガッツポーズを見せた。 球団を通じて「プロ野球での始球式は初めてで、とても緊張感がありました。スタンドにいるファンの方々から拍手をいただいて、久しぶりに球場の雰囲気を生で味わうことができてうれしかった。カーブでストライクを取ろうとしたんですが、中村が思わず立ってしまったので、座っていたらストライクだったはずです。今年の日本シリーズは本当に、競ったいい試合が続いていて目が離せません。いち野球ファンとして見ていてとても楽しい。これからも熱い戦いを見せてほしいです」とコメント。 真中氏は15年から17年まで監督を務めた。就任1年目の15年には、前年まで2年連続最下位だったヤクルトを14年ぶりのリーグ優勝に導き、日本シリーズに進出した。

◆オリックスが1点先制した。 0-0の3回、先頭の紅林弘太郎内野手(19)が中前打で出塁。続く伏見寅威捕手(31)の4球目にバスターエンドランを敢行した。遊撃へのゴロをヤクルト西浦が失策し、無死一、三塁とチャンスを広げた。 犠打と四球で1死満塁とし、宗佑磨外野手(25)が打席に入った。カウント1-1から低めのチェンジアップを右前に運び、1点先制に成功した。オリックス宗 「(福田)周平さんが四球でつないでくれていたチャンスだったので、必死にくらいついていこうと思っていました。タジ(田嶋)も頑張って投げていましたし、しっかりとバントも決めていたので、なんとか先制点になってくれて良かったです」

◆ヤクルトのチーム初安打は、ホセ・オスナ内野手(28)が放った。 1点を追う4回2死、カウント1-2からオリックスの先発田嶋の5球目、114キロカーブにうまくバットを合わせ、鋭いスイングから打球は右翼フェンス上部を直撃。もう少しで本塁打になる当たりだったが、惜しくも二塁打となった。 続く西浦は申告敬遠となり、2死一、二塁のチャンスで小川は中飛に終わり、得点にはつながらなかった。

◆東京ドームのスタンドは、一塁側からきれいにヤクルトカラーに染まった。 本拠地の神宮球場で明治神宮大会が行われているため、主催の第3~5戦は東京ドームで開催される。ヤクルトファンの普段の定位置は三塁側スタンドだが、今シリーズ限定で"ホーム"に。球場外の看板やビジョンもヤクルト仕様になった。 村上のユニホーム姿で、友人と埼玉県から駆けつけた20代の男性ファンは「違和感はあるけど、五輪の影響でシーズン中も(東京ドームで)試合があったので大丈夫」と話した。ファン歴25年。ソフトバンクに敗れた15年の日本シリーズも記憶に残っており、「前回よりも、今年の方がチーム力、地力がある。日本一に期待します」と笑顔だった。 コンコースを、緑色の飲み物を持って歩くヤクルトファンの姿が目立った。今シリーズ限定で、応援グルメを発売。緑色の飲み物は、ヤクルトの「応緑(おうえん)カラー」として定着している緑色をイメージして作られたキウイのサワー。20代の女性ファンは「ホーム感はないけど、緑色のコラボグルメが売られていたりして、楽しいです」と歓迎していた。 グッズ売り場には、長蛇の列ができた。特に人気なのは、ヤクルトとオリックスのコラボ商品。両チームのロゴがデザインされたタオルとキーホルダー。さらにヤクルト「絶対大丈夫」、オリックス「全員で勝つ!」の両チームスローガンが入った巾着は、日本シリーズならではの記念品で、全てすぐに完売。東京ドームでの日本シリーズも、盛り上がっていた。【保坂恭子】

◆オリックス先発の田嶋大樹投手(25)が5回途中1失点で降板した。 1回はモヤ、福田に好プレーが生まれて3者凡退で立ち上がる。2回は四死球と失策から2死満塁のピンチを背負うも、小川を見逃し三振に抑えた。3、4回も走者を置きながら切り抜け、5回は1死から青木に中前打を許したところで交代。残した走者をかえされた。 4回1/3を投げて2安打ながら4四死球。92球と球数がかさんだ。降板後は「四死球も多かったですし、球数が多くなってしまいました。悪いなりになんとか粘って抑えられたところはよかったですが、もっと早く修正したかったですし、先発として長いイニングを投げることが仕事だと思うので、悔しさが残るピッチングになってしまいました」と振り返った。 5月29日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)では5回9安打6失点で黒星。リベンジを狙ったマウンドで試合をつくった。

◆オリックスが主砲「ラオウ」こと杉本裕太郎外野手(30)の2ランで同点に追いついた。 2点のリードを奪われた直後の6回無死二塁、カウント2-2からヤクルト先発小川泰弘投手(31)の甘く入った147キロ真っすぐを右方向へはじき返した。高い弾道でスタンドへ着弾。ゆっくりとダイヤモンドを1周し、ベンチ前ではお決まりの「昇天ポーズ」で東京ドームを沸かせた。 「打ったのは真っすぐ。少し詰まっていましたし、まさか入るとは思っていなかったのでなんとかスタンドまで届いてくれて良かったです!」 今季32本塁打でタイトルに輝いた男がまたしてもチームを救うアーチをかけた。

◆恋してムーチョ!ヤクルトが、中村悠平捕手(31)の適時打で一気に勝ち越した。 0-1で迎えた5回2死一、二塁、カウント1-1からオリックス3番手バルガスの3球目、149キロを中前へはじき返した。 2人が生還したところで、オリックスの三塁手宗が二塁への送球をミスし、ボールが外野を転々とする間に、三塁で止まっていたサンタナも生還し、一挙3点を奪った。 中村は、この打席の登場曲を15年も使用していたTUBEの「恋してムーチョ」に変更。自身のあだ名であるムーチョにちなんだ曲でも、スタンドを沸かせていた。 2回の第1打席は2ストライクまで走者を送れず、最後は空振り三振に倒れており「1打席目にバントを失敗していたので、そこで僕が流れを切ってしまったので、この打席は何としてでもという気持ちで打席に入りました。いい場面で取り返すことができて良かったです」とコメントした。

◆ヤクルト小川泰弘投手が、6回5安打3失点で降板した。 実戦は10月29日広島戦(マツダスタジアム)以来。間隔があいたが、2回までは無安打に打ち取った。0-0で迎えた3回、先頭紅林に中前打を許すと、8番伏見のゴロを遊撃手西浦が失策。犠打と四球で1死満塁のピンチを迎え、宗に126キロチェンジアップを右前に運ばれた。カバーに入った本塁後方で、先制点が入ったのを確認すると、苦笑いをして額をかいた。それでも3番吉田正を空振り三振に、4番杉本を一邪飛。主軸を打ち取り、最少失点で乗り切った。 5回に味方打線が3得点で逆転。6回のマウンドに上がったが、先頭の吉田正から左中間へ二塁打を浴びると、続く杉本には右越え2ラン。同点に追いつかれた。後続を断ち切り、マウンドを降りると、その裏の1死、小川の代打で坂口が打席に入り、交代となった。

◆オリックスが吉田正尚外野手(28)の適時二塁打で勝ち越した。3-3の7回2死一、二塁。ヤクルト3番手田口麗斗投手(26)と吉田正が対決した。 カウント1ボールから外角低めのスライダーにコンタクトした。バットの先に当たり、フラフラと上がった飛球が左翼手の前にポトリと落ちた。適時二塁打で1点勝ち越しに成功した。

◆ヤクルトが、ドミンゴ・サンタナ外野手(29)の2ランで再び逆転した。 3-4で迎えた7回2死一塁、カウント2-0からオリックス4番手吉田凌の131キロスライダーを捉え、ヤクルトファンの待つ右翼スタンドへ。最前列に飛び込む勝ち越しの2ランとなり、一塁走者の青木はダイヤモンドを走りながらガッツポーズ。 日本シリーズ第1号を放ったサンタナは、ベンチでチームメートと笑顔で喜びあった。「逆転されてしまったが、ベンチが一体となってすぐに逆転するぞという雰囲気だった。自分自身も1本出ていなかったので最高の場面で打つことができた」とコメントした。

◆逆転に次ぐ逆転の末、ヤクルトが"本拠地"東京ドームで勝利した。「SMBC日本シリーズ2021」第3戦は1点を追う7回2死一塁、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、右翼スタンドへ逆転2ランをたき込んだ。 先発の小川泰弘投手(31)が6回3失点(自責2)。オリックス主砲の杉本に2ランを浴びるなど悔しいマウンドとなったが、打線が奮起。これで対戦成績を2勝1敗とした。

◆オリックスがシーソーゲームを落とし、日本シリーズの対戦成績が1勝2敗となった。 3回1死満塁から宗佑磨外野手(25)が右前打を放って先制に成功する。3点を奪われて逆転を許した直後の6回に無死一塁から杉本裕太郎外野手(30)が右翼スタンドに同点2ラン。さらに、7回には2死一、三塁から吉田正尚外野手(28)が左翼線へ適時二塁打を放ち、1点のリードを奪う。 ただ、7回裏に4番手の吉田凌投手(24)が2死一塁からサンタナに逆転2ランを打たれた。先発の田嶋大樹投手(25)が5回途中1失点。その後、細かな継投策に出たが、接戦をものにすることはできなかった。

◆ヤクルト小川泰弘投手(31)が同点2ラン被弾を悔やんだ。 5回まで1失点の自責ゼロ投球を続けていたが、味方が逆転してくれた直後の6回だ。先頭吉田正に二塁打、続く杉本に右越え2ランと、オリックスの中軸2人に痛恨の連打を許し、この回限りで降板した。10月29日の広島戦以来の実戦に「すごく緊張しました。先制されて最少失点で何とかしのぎ、粘って投げていたのですが、最後のホームランはすごく悔しいです」と言った。

◆先発はヤクルト小川とオリックス田嶋。オリックスが3回1死満塁、宗の右前適時打で1点先取した。ヤクルトは3回まで無安打。 ヤクルトは5回2死満塁から中村の2点適時打と敵失で3点を奪い逆転。オリックスは6回に杉本の右越え2ランで追いついた。 ヤクルトが2連勝(1敗)とした。1点を追う7回にサンタナが逆転2ラン。オリックスは吉田凌がリードを守れなかった。

◆逆転に次ぐ逆転の末、ヤクルトが"本拠地"東京ドームで勝利した。「SMBC日本シリーズ2021」第3戦は1点を追う7回2死一塁、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、右翼スタンドへ逆転2ランをたき込んだ。 先発の小川泰弘投手(31)が6回3失点(自責2)。オリックス主砲の杉本に2ランを浴びるなど悔しいマウンドとなったが、打線が奮起。これで対戦成績を2勝1敗とした。

◆逆転に次ぐ逆転の末、ヤクルトが"本拠地"東京ドームで勝利した。「SMBC日本シリーズ2021」第3戦は1点を追う7回2死一塁、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、右翼スタンドへ逆転2ランをたき込んだ。 先発の小川泰弘投手(31)が6回6回3失点(自責2)。オリックス主砲の杉本に2ランを浴びるなど悔しいマウンドとなったが、打線が奮起した。 9回は第1戦の9回に3失点して敗れた守護神マクガフが2死一、三塁のピンチを招きながら逃げ切った。 高津臣吾監督(52)は、試合終了の瞬間、一塁側ベンチでガッツポーズを繰り返した。 苦しい試合を制した直後のインタビューでは「初戦からロースコアの競ったゲームが続いたたんですけど、今日も抜きつ抜かれつ、一進一退のゲームの中で、最後にサンタナが良く打ってくれたと思います」と喜んだ。 勝因については「ミスもありましたが、それをカバーしてくれる選手であったり、何とか次へ次へと、ピッチャー、野手も含めて、みんながつなぐ意識が今日の結果につながったと思います」。 投手陣は5投手の継投で逃げ切った。「初戦の奥川、2戦目の高橋とピッチャーがよく頑張って、今日の小川も最後2点は取られましたが、よくゲームをつくったと思います。あとを受けたリリーフも、フォアボールで失点はあったんですけど、最後のマクガフがしっかり締めてくれたので、いい継投だったと思います」。 サンタナの決勝弾には、ベンチを飛び出してガッツポーズ。「期待してました。期待通りのバッティングをしてくれたと思います」。 これで対戦成績を2勝1敗とした。球場には大きな拍手が沸き起こった。 「スワローズのファンの方がたくさん球場に来てくれて励みになります。後押しがあって今日は勝てたと思います。1戦1戦丁寧にしっかりと戦っていきたい。今まで通り僕たちの野球をするだけ」と誓った。

◆逆転に次ぐ逆転の末、ヤクルトが"本拠地"東京ドームで勝利した。「SMBC日本シリーズ2021」第3戦は1点を追う7回2死一塁、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、右翼スタンドへ逆転2ランをたき込んだ。 先発の小川泰弘投手(31)が6回3失点(自責2)。オリックス主砲の杉本に2ランを浴びるなど悔しいマウンドとなったが、打線が奮起。これで対戦成績を2勝1敗とした。<3>戦は3回にオリックスが先制し、その後はヤクルト→オリックス→ヤクルトと逆転3度の4転試合。シリーズで逆転3度以上のシーソーゲームを制したのは18年<5>戦ソフトバンク(逆転3度)以来で、ヤクルトは西武と対戦した92年<6>戦(逆転5度)に次いで2度目だ。1勝1敗で迎えたシリーズは今回で34度目だが、過去33度は先に2勝したチームが26度優勝し、V確率は79%。84年以降に限れば18度のうち08年巨人を除いた17度優勝しており、ヤクルトが有利になった。

◆今季限りで引退した「平成の怪物」西武松坂大輔投手(41)が、テレビ朝日系で第3戦のゲスト解説を務め、中継するテレビ局が変わる中で3試合連続"出演"した。 1点を争う展開を見届けると「本当に最後まで何が起こるか分からないというのを改めて見させてもらってますし、日本一を決めるにふさわしい試合になっていると思います」と語った。 ヤクルトは9回に第1戦で負け投手となった守護神マクガフを投入。前回は3失点でサヨナラ負けしたが、1点差のまま逃げ切った。松坂は投手陣について「みんなの試合の入り方を見ていると、あらためて登板の間隔が空くと難しいなというのを見て思いましたね」と感じ取っていた。

◆逆転に次ぐ逆転の末、ヤクルトが"本拠地"東京ドームで勝利した。「SMBC日本シリーズ2021」第3戦は1点を追う7回2死一塁、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、右翼スタンドへ逆転2ランをたき込んだ。 先発の小川泰弘投手(31)が6回3失点(自責2)。オリックス主砲の杉本に2ランを浴びるなど悔しいマウンドとなったが、打線が奮起。これで対戦成績を2勝1敗とした。アルバート・スアレスがシリーズ初登板。弟のロベルト・スアレスもソフトバンク時代の19年<4>戦で投げており、兄弟でシリーズ登板は金田正一(巨人)・留広(ロッテ)松沼博久・雅之(ともに西武)に次いで3組目。外国人兄弟では初めて。

◆"日本シリーズの鬼"の采配が、2連勝を引き寄せた。 ヤクルト高津臣吾監督(52)は、「SMBC日本シリーズ2021」第3戦の同点の7回から、継投策へ。2死満塁から4番手石山をイニングまたぎで起用し、1点差の9回は、第1戦でサヨナラ負けを喫した守護神スコット・マクガフ投手(32)がリベンジ。日本シリーズ記録の8セーブ、4度の胴上げ投手となった指揮官のタクトで、対戦成績を2勝1敗とした。笑顔の高津監督は、がっちりマクガフと抱き合った。第1戦でサヨナラ負けを喫した守護神を、9回1点差の場面でマウンドへ送り出した。2死一、三塁のピンチを切り抜けて勝利。現役時代に守護神を務め、しんどさは誰より知る。「初戦にやられたことはおそらく、頭の中から離れることは絶対ないと思う。ただ、こうやってまた勝ちに導く投球を9回にしてくれたのは、我々の明日の元気になる」。チームにとって、監督にとって、大きな1勝となった。 サヨナラ負けした翌日、第2戦の試合前練習中に指揮官はマクガフに歩み寄り、声をかけた。「僕は全く気にしてないよ」。マクガフは「ありがとう」とサムズアップポーズ。悔しさを一緒に乗り越えた指揮官と選手の絆は、さらに深まっていた。 現役時代には、日本シリーズを4度経験。計11試合に登板し無失点を誇る"日本シリーズの鬼"の出し惜しみをしない継投策が、光った。同点の7回から今シリーズ初登板となる2番手スアレス、3番手田口へ。1点は失ったが、さらに2死満塁で代打ジョーンズがコールされると、すかさず石山へスイッチした。 低めフォークで空振り三振。ピンチを脱すると、「打ち取り方がすごくよかったので、8回もいかせようと思った」と勝利の方程式・清水ではなく、石山を続投させて逃げ切った。高津監督は「ゲームをつくった小川もよく粘った。その後リリーフしたスコット(マクガフ)まで、みんなよく頑張ったと思います」と起用に応えた選手をねぎらった。短期決戦をよく知る指揮官の采配が、日本一への道筋をつくる。【保坂恭子】

◆逆転に次ぐ逆転の末、ヤクルトが"本拠地"東京ドームで勝利した。「SMBC日本シリーズ2021」第3戦は1点を追う7回2死一塁、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、右翼スタンドへ逆転2ランをたき込んだ。 先発の小川泰弘投手(31)が6回3失点(自責2)。オリックス主砲の杉本に2ランを浴びるなど悔しいマウンドとなったが、打線が奮起。これで対戦成績を2勝1敗とした。石山がシリーズ初勝利。石山は公式戦で通算23勝しているが今季は0勝。シーズン0勝の投手が日本シリーズで白星は、20年<4>戦松本(ソフトバンク)以来7人目。 ? ▽ヤクルト石山(中継ぎでイニングまたぎし、1回1/3を無安打に抑え勝利投手) (7回は)満塁だったので、とりあえず打者をどう三振にとるか、打ち取るかということだけを考えていた。みんなでつないでやっているというのが出た今日の試合。みんなに力を借りたというか、今まで助けられていた分、なんとか助けられてたかなと思います。

◆ヤクルト石山泰稚投手(33)が、日本シリーズ初勝利を挙げた。7回途中から登板し、1回1/3を無安打無失点に抑えた。チームはシーソーゲームを制し、2勝目を手にした。 スアレス、田口と継投し7回2死満塁のピンチで、石山は4番手としてマウンドへ上がった。ボールを低めに集めて、ジョーンズをフォークで空振り三振に仕留めた。「満塁だったので、とりあえずあの打者をどう三振にとるか、打ち取るかということだけを考えていきました。本当にみんなでやっている、つないでやっているというのが出た今日の試合だったと思う。みんなに力を借りたというか、今まで助けられていた分、なんとか助けられてたかなと思います」と振り返った。 ベンチに戻ると、高津監督からイニングまたぎで8回も続投することを告げられた。7回裏に打線の援護を受け、逆転。勝ち越して迎えた8回は安達を二ゴロ、紅林を右飛、T-岡田を二ゴロと3者凡退にし、シーソーゲームを落ち着かせた。「本当に粋に感じて、あそこで使ってもらえたことは、そういう気持ちもあると思うので、なんとか応えられたのはうれしい。あの場面で投げて、スアちゃん(スアレス)だったり田口をなんとか助けられたというのもよかったかなと思います。シーズン中、本当に助けられてばかりだったので、よかったです」とほっとした表情だった。 18年から守護神を任されていたが、今季序盤は苦しんだ。6、7月には1軍の選手登録を抹消され、再調整。8月14日に登録されて以降は、中継ぎとして腕を振ってきた。「今日投げた田口だったりスアちゃんだったり、先発の方にも助けられた。声をかけてもらったというのもありますし、野手の方にも今日はすごく打ってもらって、いい場面で投げさせてもらったというのもあるので、回りに感謝したいですね」と話した。

◆助っ人コンビで決めた! ヤクルトが「SMBC日本シリーズ2021」第3戦で逆転勝ちを決めた。1点を追う7回2死一塁、ドミンゴ・サンタナ外野手(29)が右翼スタンドへ逆転2ランをたき込んだ。ホセ・オスナ内野手(28)は4回にチーム初安打となるフェンス最上部直撃の二塁打を放つなど、2人の助っ人がバットで貢献した。これで対戦成績を2勝1敗とし、"本拠地"東京ドームで1歩前に出た。サンタナが思いっきり振り抜いた。1点を追う7回2死一塁、2ボールから迎えた3球目。外角の131キロスライダーを捉えた。右中間最前列に運ぶ2ラン。再逆転となる1発に「逆転されてしまったが、ベンチが一体となってすぐに逆転するぞという雰囲気だった。自分自身も1本出ていなかったので、最高の場面で打つことができた」。サンタナの定番となったヒゲを触るポーズで喜びを表現した。 今季来日した助っ人。真面目でどちらかと言えば言葉数は少なめ。その寡黙さはプレーにも表れる。右翼の守備ではどんなに簡単な飛球も、両手でキャッチ。打撃では、投手のデータ分析に時間を惜しまない。研究熱心さで、日本人投手の特長を把握。試合に生かしている。日ごろの成果が出て、日本シリーズの大舞台で勝利。お立ち台では「最高な気持ち。とにかく、勝ったので最高です」と笑顔をはじけさせた。 ともに来日したオスナとは大の仲良し。陽気な性格のオスナとは、常に行動をともにし、本拠地神宮には、一緒に徒歩で"出勤"。お互いの打撃についてアドバイスし合ったり、対戦した投手の情報共有もしている。「オスナの活躍は1年を通して大きかった」と認める。戦友から刺激を受けて、力に変えてきた。 5回2死一塁の場面では、中前打で果敢に三塁を狙い、失策を誘ってホームイン。控えめな性格でも、貪欲に次の塁を狙い姿勢は欠かさない。「自分は常に全力でプレーするというのが持ち味」と満足そうにうなずいた。 これでオリックスに2勝1敗。連勝で1歩前に出た。20年ぶりの日本一へ向けて浮かれずに前へ突き進む。「マダ、オワッテナイ。アリガトウ」。お立ち台で決意を新たに、まだ次戦に備えた。【湯本勝大】

◆ヤクルトが舞台を東京ドームに移した初戦を終盤の逆転勝ちで飾り、2連勝(1敗)とした。 高津臣吾監督(52)の一問一答は以下の通り。 【試合後囲み取材】 -ロースコアで進んで終盤にサンタナの1発 高津監督 序盤にミスがいくつかあって、あまりいい展開ではなかったんですけども、そういう競ったゲームを1発でサンタナが仕留めてくれた。ゲームをつくった小川もよく粘ったと思います。その後リリーフしたスコットまでね、みんなよく頑張ったと思います。 -小川はシーズン終盤戦なかなか調子が上がらなかった 高津監督 ここまでくると、もちろん状態がいいに越したことはないんですけども、そんなこと言ってられる状況ではないので。気持ちの高ぶりもあったでしょうし、調子うんぬんよりもチームをどう勝ちに導くかが大切だと思います。そういうふうに考えるとあの3失点は、よく頑張ったんじゃないかなと思います。 -8回を清水ではなく石山に託した意図 高津監督 打ち取り方がすごくよかったので、8回もいかせようと。追いついても逆転しても、そのままでももう1イニング石山にいかせようと思いました。 -投球を見て判断した 高津監督 そうです。 -マクガフは第1戦で悔しい思いをした 高津監督 初戦にやられたことはおそらく、頭の中から離れることは絶対ないと思います。ただこうやって、また勝ちに導く投球を9回にしてくれたのは、我々にとっても明日の元気になるし、チームメートにとっても明日も頼むぞって感じになれたので。忘れることはないですけども、すっきりとまた第4戦を迎えられるのかなと思います。 -第2戦の練習前にはマクガフの肩をたたいて激励していた 高津監督 全く僕は気にしてないと。あなたに任せてるだけですっていうことは伝えました。 -本人の反応は 高津監督 ありがとうと。いつもそんな会話です。 -サンタナは5回の走塁もよく走った 高津監督 彼は非常におとなしそうに見えて、プレーはすごくアグレッシブにするタイプ。次へ次へという気持ちがすごく出る選手だと思います。最後ヘッドスライディングでかえってくるとかね。積極的に打ちにいく、守りにいく。決してうまいとは言えないけれども、お手本になるというか、そういう姿勢は崩さない選手だと思います。 -オスナと2人で頑張っている 高津監督 すごく仲がいいですし、お互いにいろんな情報であったり、指摘しあいながら練習からこなしてる姿は、すごくいい関係だなと思ってます。 -サンタナに1本出た意味 高津監督 ここまでヒットが1本もなかったので、あの場面は長打を狙っていい場面だと思いますし、しっかり狙い球を絞って一振りで、変化球を1発で仕留められたのは素晴らしい集中力だと思います。 -2勝1敗で明日へ 高津監督 いつも通りですけど勝ちたいですね。それしかないと思います。これだけ厳しいゲームをとったりとられたりしている中なので、そう簡単には勝てないですけども、やはり競って厳しいゲームを何とかものにしたいという気持ちは強いです。 -東京ドームでもファンの声援は心強い 高津監督 そうですね。オープン戦から今年20試合近くドームでできてたっていうのは、この時期に日本シリーズを東京ドームでやるのもそんなに違和感なくプレーできましたし、よかったのかなと。 -坂口と内川に期待するところ 高津監督 もちろんいいプレーをね、彼らはやっぱりバットマンなんで。ヒットを打つことを期待してますけども、ベンチで出す声であったりとか、その存在であったりというところが、他の選手にね、背中を押してくれるような存在であることは間違いない。もちろんプレーでも期待してますけど、いろんな意味でそこに置いてます。 -川端が出なかった 高津監督 川端もちょっと打席に立たせてないので立たせたいんですけどね。まあしっかり今のうちに充電してもらって、ランナーがたまったとこで、いい場面で必ず彼はどんな状況でも出していくので、明日そういう場面がくるのを願ってます。

◆オリックスが「SMBC日本シリーズ2021」第3戦で痛恨の逆転負けで、ヤクルトに2連敗した。 2点を追う6回に本塁打王・杉本裕太郎外野手(30)がシリーズ初アーチとなる一時同点の2ラン。7回には吉田正尚外野手(28)が一時勝ち越し打を放つなど、3、4番コンビの奮起で勝利への夢を見させた。この敗戦で、オリックスが日本一の場合は神戸での胴上げとなった。まずは第4戦に勝って、土俵中央に押し戻したい。オリックス吉田正は、日本シリーズ初マルチとなる2本の二塁打に手応えを口にした。「最初、チャンスで三振して『ノー感じ』かなと思ったんですけど、何とか修正できた。1打席1打席切り替えて」。 1-3と勝ち越され、円陣を組んだ6回の先頭で左中間二塁打。直後、杉本の同点2ランが出た。7回は2死一、二塁で左腕田口のスライダーに手を伸ばし「泥臭く、何でもいいので点が入れば」と左翼線に落とす一時勝ち越し打。シーズン通算打率が3割6分7厘と好相性の東京ドームで、バットさばきが光った。 右尺骨の骨折から復帰してまだ2週間。打席では苦心を重ねる。最初の2打席は小川のフォークに体勢を大きく崩され、連続の空振り三振。今季わずか26三振の首位打者らしくないシーンに「同じ球でやられるというのはあまりよろしくない」。本調子でなくてもここぞで結果を出している。 この日、9月3日以来となる左翼守備にも就いた。打球は飛んで来なかったが5回、三塁の宗が二塁送球を途中でやめて引っかけた球が左翼へ転々。素早く拾いに走った。「びっくり。何が起こるか分からないから球から目を離したらいけない。野球の鉄則です」。穏やかな表情で、次戦に切り替えた。【柏原誠】

◆ヤクルトが舞台を東京ドームに移した初戦を終盤の逆転勝ちで飾り、2連勝(1敗)とした。 高津臣吾監督(52)の一問一答は以下の通り。 ? 【場内インタビュー】 -しびれる試合 高津監督 初戦から競ったゲームで、今日も同じようなとは言わないけど、一進一退のゲームの中で、最後にサンタナがよく打ってくれたと思います。 -勝因は 高津監督 いろんなミスもありながら、それをカバーしてくれる選手であったり、何とか次へ次へという投手も野手も含めて、みんなでつないでいこうという意識が今日の結果につながったと思います。 -5投手の継投 高津監督 初戦の奥川、2戦目の高橋と先発投手も頑張って、今日も同点にはなったけど小川がよくゲームをつくったと思います。その後を受けたリリーフも、四球で失点もあったんですけど、最後のマクガフがしっかり締めてくれたのでよかったと思います。 -サンタナの本塁打に監督もベンチ飛び出した 高津監督 期待していました。期待通りの打撃をしてくれたと思います。 -東京ドームの雰囲気 高津監督 スワローズファンの方がたくさん球場にいらしてくれているので、すごく励みになりますし、その後押しがあって勝てたと思います。 -2勝1敗でオリックスをリードした 高津監督 1戦1戦丁寧に、しっかりと戦っていきたい。今まで通り、僕たちの野球をするだけだと思っています。

◆オリックスが「SMBC日本シリーズ2021」第3戦で痛恨の逆転負けを食らい、ヤクルトに2連敗した。 だが、2点を追う6回には本塁打王の杉本裕太郎外野手(30)がシリーズ初アーチとなる一時同点の2ラン。7回には首位打者の吉田正尚外野手(28)が一時勝ち越しの2打席連続二塁打を放つなど、3、4番の奮起で勝利への夢を見させた。この敗戦で、オリックスが日本一の場合は神戸での胴上げとなった。まずは第4戦に勝って、土俵中央に押し戻したい。ラオウ杉本が日本中のオリックスファンと、右拳を突き上げた。2点を追う6回無死二塁。獲物は甘く入った小川の147キロ真っすぐ。日本シリーズ初アーチとなる一時同点2ランを右翼席にたたき込んだ。 「少し詰まっていたので、まさか入るとは思わなかった」 今季32発を放ち、自身初の本塁打王を獲得。おなじみのベンチ前で右拳を突き上げる「昇天ポーズ」を日本シリーズでも初披露した。球宴やクライマックスシリーズでも一撃を放ち、"ラオウ"の知名度は急上昇中。「最近ようやく認知されてきた。球場のファン、テレビ画面越しのファンに届くように、大事な場面で打てたら」と臨んだ日本シリーズでも、東京ドームを熱狂させた。 打席で構えるとき、ふと両肩の力を抜いた。「力を抜くことだけを考えて打席に。東京ドームは打球が上がれば勝手に(スタンドに)入る可能性があるので」。言葉通りコンパクトに振り抜き、着弾させた狙いは確かだった。試合前のフリー打撃でも右方向を意識。右翼ポール直撃弾を放つなど、予行演習もばっちりだった。 だが、あと1歩届かなかった。1点を追う9回2死一、三塁で5打席目が巡ってきた。一打同点、1発が出れば一気に逆転の期待が膨らんだ。だがマクガフの前に一塁ゴロでゲームセット。全力疾走し、悔しさを押し殺した。「勝てなかったので、また明日切り替えて。勝ってタイになるように頑張ります」。歓喜のヤクルトナインを横目に、三塁側ベンチに引き揚げた。 第1戦はノーヒットだったが、第2戦でマルチ安打を放ち、第3戦でホームランとノッてきた。第4戦、王手はかけさせない。プラスに考えれば、この日の敗戦で、オリックス日本一の胴上げは神戸になった。スタジアムの雰囲気を一変させるラオウの一撃で、まずはタイに戻す。【真柴健】

◆助っ人コンビで決めた! 1点を追う7回2死一塁、今シリーズ無安打だったヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、右翼スタンドへ逆転2ランをたき込んだ。 ホセ・オスナ内野手(28)も4回にチーム初安打となるフェンス最上部直撃の二塁打。救援のスアレス、守護神マクガフもマウンドに上がり、"本拠地"東京ドームでヤクルトが1歩前に出た。ヤっと出た! 1点を追う7回2死一塁、今シリーズ11打席無安打のサンタナに打席が回った。1発がほしい場面。2ボールから迎えた3球目、外角131キロスライダーを、思いっきり振り抜いた。打球は右中間席に突き刺さり、再逆転となる2ラン。「自分自身も1本出ていなかったので、最高の場面で打つことができた」。定番パフォーマンスとなったヒゲを触るポーズで喜びを表現した。 "デジャブ"の決勝弾となった。日本シリーズは、神宮ではなく東京ドームが"本拠地"。マリナーズ時代の19年3月20日のメジャー開幕戦、イチローの引退試合でもあった一戦で、逆転の満塁本塁打を放った。着弾点はこの日と同じ右翼席。逆方向へ力で持っていった。 今季来日した助っ人。どちらかと言えば、静かで寡黙なタイプ。その真面目さはプレーに生きている。右翼の守備ではどんなに簡単な飛球も、両手でキャッチ。打撃では、投手のデータを熱心に研究する。常に日本人投手の特徴を頭に入れて打席に向かう。日ごろの成果が大舞台での活躍につなげた。 研究結果は大の仲良しであるオスナにも共有する。常に行動をともにし、神宮には一緒に徒歩で"出勤"。お互いの打撃についてアドバイスし合ったり、対戦した投手の情報を語り合う。「オスナの活躍は1年を通して大きかった。彼も不調なときはすごく努力して技術を向上しようとする姿は素晴らしい」と認める存在。戦友から刺激を受けて、力に変えてきた。 国籍、年齢に関係なく、一枚岩でヤクルトの勝利に突き進む。要所で高津監督からかけられる激励も、真摯(しんし)に受け止める。サンタナは「自分たちの今まで通りやってきたプレーをすれば何とかなる、『絶対大丈夫』だっていうのは、本当に印象に残った」。チームスワローズの精神は胸に刻み込んでいる。日本一まであと2勝。全員で歓喜をつかみ取る。【湯本勝大】 ◆サンタナが7回にシリーズ初安打となる逆転2ラン。日本シリーズでの逆転本塁打は20年第4戦の柳田(ソフトバンク)以来で、7回以降に記録したのは84年第1戦で8回に逆転2ランを打った長嶋(広島)以来37年ぶり。ヤクルトでは78年第4戦で9回に逆転2ランのヒルトンに次いで2人目だ。また、シリーズ初本塁打が逆転弾は17年第5戦の筒香(DeNA)以来だが、初安打が逆転弾だったのはシリーズ史上初めて。

◆勝利のバトンは、つながらなかった。吉田正の適時打で1点を勝ち越した直後の7回2死一塁。吉田凌が、ヤクルト・サンタナの1発に沈んだ。必殺球のスライダーを右翼スタンドに運ばれた右腕は、グラウンドに膝をついた。ヤクルトファンの歓声が届く東京ドーム通路。第4戦必勝への思いを問われた中嶋監督は「それしかないですからね」と言葉に力を込めた。 攻めの継投で勝負に出たが、うまくいかなかった。2安打1失点の先発田嶋を5回1死一塁で降ろし、比嘉にスイッチ。ベテラン右腕は山田を遊ゴロに仕留めた。続く村上にはバルガスをぶつけたが、連続与四球で満塁にし、中村に逆転打を献上。さらに中堅からの送球を受けた三塁の宗が二塁に投げようとしたが、悪送球になって3点目を失った。「(バルガスは)動くボールがしっかり投げられる投手なのでね。四球、四球はちょっとさすがに...」。まさかの背信に、ベンチの中嶋監督は顔を覆った。 あらゆる誤算を救ったのが6回の杉本の同点2ラン、7回の吉田正の勝ち越し打だった。4-3と再び主導権を握り、勝ち継投へ。「7回の男」に、中嶋監督は今シリーズ2試合好投していた吉田凌を選択。だが、この日はサンタナが上回った。 状況判断次第で、もっと点も取れていた。指揮官は「次にしっかり、何が起こっているのかはみんなで状況判断をして、やれるようにしたいですね」と前を向いた。第4戦は山崎颯でタイに持ち込みたい。【堀まどか】

◆<日本シリーズ・ニッカンMVP査定> 先制、逆転など肩書付き安打が5本も飛び出す二転三転の展開で、サンタナの逆転アーチが試合を決めた。5回に逆転打の中村も勝負強かった。

◆セ・リーグ王者のヤクルトは二回2死満塁の好機を作ったが、小川はフルカウントから見逃し三振。先制点を奪えなかった。オリックスの先発は左腕・田嶋。

◆ヤクルトの前回のリーグ優勝時(2015年)に監督を務めていた真中満氏が、日本シリーズ第3戦の試合前に始球式に登場した。 「カーブでストライクを取ろうとしたんですが(捕手の)中村が思わず立ってしまったので、座っていたらストライクだったはずです」 真中氏は胸に監督時代の背番号である「77」、背中に「2015」の特別ユニホームに身を包み、拍手を浴びながらマウンドへ。投球前にスタンドに向かってお辞儀をすると、左腕から山なりでノーバウンド投球を披露した。 「プロ野球での始球式は初めてで、とても緊張感がありました。スタンドにいるファンの方々から拍手をいただいて、久しぶりに球場の雰囲気を生で味わうことができてうれしかった」と振り返った。 2015年の日本シリーズでは1勝4敗でソフトバンクに敗れ、日本一とはならず。今季の頂上決戦については「本当に競ったいい試合が続いていて目が離せません。いち野球ファンとして見ていてとても楽しい。これからも熱い戦いを見せてほしいです」とエールをおくった。

◆オリックスが今シリーズで初めて先手を取った。三回1死満塁から宗佑磨内野手(25)がヤクルト先発・小川の126キロチェンジアップを右前適時打。1-0とした。 ただ、なおも続いた好機は吉田正が空振り三振、杉本が一邪飛で1点止まりだった。

◆オリックスが今シリーズで初めて先手を取った。三回1死満塁から宗佑磨内野手(25)がヤクルト先発・小川が投じた126キロのチェンジアップを右前適時打。1-0とした。宗は「チャンスだったので必死で食らいついていきました。タジ(田嶋)もバントを決めてくれていたし、先制につながって良かったです」と振り返った。

◆ヤクルトは1点ビハインドの五回に反撃。2死満塁で6番・中村がオリックス3番手のバルガスから中前に2点打を放った。オリックス・宗の悪送球もあり、一走・サンタナも本塁にヘッドスライディングし生還。3-1とした。

◆オリックス・杉本裕太郎外野手(30)が1―3の六回無死二塁の好機に、ヤクルト・小川の147キロ直球を右翼席へ運んだ。1号同点2ランは、五回に3点を奪われて逆転された直後の貴重な一発だった。 パ・リーグ本塁打王がシリーズ3戦目、11打席目で待望のアーチを架けた。

◆ヤクルト・中村悠平捕手(31)が五回に逆転の中前2点打を放った。 「1打席目にバントを失敗していたので、そこで僕が流れを切ってしまったので、この打席は何としてでもという気持ちで打席に入りました。良い場面で取り返すことができてよかったです」 5回、適時打を放つヤクルト・中村=東京ドーム(撮影・松永渉平) 五回2死満塁で打席へ。カウント1-1からの3球目、3番手・バルガズが投じた149キロのカットボールを捉えて中前へはじき返した。走者が2人かえって逆転に成功。さらに相手失策の間に一走・サンタナも激走し、ヘッドスライディングでホームイン。一挙3得点で点差を2点に広げた。 第1打席での雪辱を果たした。中村は0―0の二回無死一、二塁の先制機で犠打のサインも、1ボールから2球続けてファウルで追い込まれ、走者を送ることができず。最後は空振り三振に倒れ、悔しさをにじませていた。日本シリーズ第1戦でも先制打を放った女房役。この日も、ここぞの場面で勝負強さを発揮した。

◆オリックス・杉本裕太郎外野手(30)が1―3の六回無死二塁の好機に、ヤクルト・小川の147キロ直球を右翼席へ1号同点2ラン。杉本は「少し詰まっていましたし、まさか入るとは思っていなかった。スタンドまで届いてくれて良かった」と振り返った。

◆先発したヤクルト・小川泰弘投手(31)は6回5安打3失点(自責点2)で降板した。五回まで1失点でしのぎ、味方が3点を奪って逆転に成功。しかし直後の六回に先頭の吉田正に左中間二塁打を許すと、続く杉本に右越えの1号2ランを浴び、同点に追いつかれた。 先発のヤクルト・小川=東京ドーム(撮影・今野顕) それでも走者を背負いながらも粘り強く投げ、先発としての役割を果たした。「すごく緊張しましたが、先制されて最少失点で何とかしのぎ、粘って投げていたのですが最後のホームランはすごく悔しいです」と振り返った。

◆オリックス・吉田正尚外野手(28)が七回2死一、二塁の好機で、ヤクルト3番手・田口から左翼線へ1点を勝ち越すタイムリー二塁打を放った。 三振の少ない吉田正が1、2打席に連続三振だったが、六回の3打席目は杉本の同点2ランを呼ぶ左中間二塁打。そして、七回の勝ち越し打。ここ一番に勝負強さを見せつけた。

◆ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が七回2死一塁で逆転の1号2ランを放った。 「逆転されてしまったが、ベンチが一体となってすぐに逆転するぞという雰囲気だった。自分自身も1本出ていなかったので最高の場面で打つことができた」 1点を勝ち越された直後の七回だった。2死一塁で打席に入り、吉田凌の2ボールからの3球目131キロのスライダーを豪快に振り抜いた。右中間席へ放り込み、5―4と逆転に成功した。

◆セ・リーグ王者のヤクルトがシーソーゲームを制し、対戦成績を2勝1敗とした。1点を勝ち越された直後の七回、2死一塁で5番のドミンゴ・サンタナ外野手(29)が右中間に逆転2ランを放ち、これが決勝点となった。先発の小川は6回を投げ5安打3失点(自責点2)。七回からスアレス、田口、石山とつなぎ、九回は第1戦で乱調だったマクガフが無失点で締めた。 これぞ、助っ人だ。サンタナが七回、オリックス4番手・吉田から放った打球は高々と舞い上がり、右中間席に吸い込まれた。 「打ったのはスライダー。(七回表に)逆転されてしまったが、ベンチが一体となってすぐに逆転するぞという雰囲気だった。自分自身も1本出ていなかったので最高の場面で打つことができた」 三塁を回る際に自慢のヒゲを強調するポーズで喜びを爆発。サンタナは五回に中村が逆転二塁打を放った際、一塁から激走し、相手の失策を突き、本塁へヘッドスライディングで生還するなど執念を見せた。 5回、ヘッドスライディングで生還するヤクルト・サンタナ=東京ドーム(撮影・斎藤浩一) 今回の日本シリーズでチームは本拠地・神宮球場でアマ野球の明治神宮大会が行われているため、第3―5戦では東京ドームをホームとして戦っている。九回は2死一、三塁のピンチを迎えたが、マクガフが杉本を一ゴロに打ち取った。

◆SMBC日本シリーズ、ヤクルト5-4オリックス、ヤクルト2勝1敗、23日、東京D)セ・リーグ王者のヤクルトがシーソーゲームを制し、対戦成績を2勝1敗とした。1点を勝ち越された直後の七回、2死一塁で5番のドミンゴ・サンタナ外野手(29)が右中間に逆転2ランを放ち、これが決勝点となった。先発の小川は6回を投げ5安打3失点(自責点2)。七回からスアレス、田口、石山とつなぎ、九回は第1戦で乱調だったマクガフが無失点で締めた。試合後の高津監督のインタビューは以下の通り。 --勝利おめでとうございます 「ありがとうございます」 --3戦目もしびれるゲームだった 「そうですね。初戦からロースコアの競ったゲームが続いたんですけど、今日も抜きつ抜かれつ、一進一退のゲームの中で、最後にサンタナがよく打ってくれたと思います」 --勝因は 「いろんなミスもありながら、それをカバーしてくれる選手であったり、何とか次へ次へとピッチャーも野手も含めて、つないでいこうという意識が今日のような結果につながったのかなと思います」 --5人の投手につないで今日の勝利につながった 「初戦の奥川、2戦目の高橋と先発ピッチャーが頑張って、今日の小川も最後同点にはなったが、よくゲームを作ったと思います。その後受けたリリーフもフォアボールなんかで失点もあったんですけど、最後のマクガフがしっかり締めてくれたので、いい継投だったと思います」 --サンタナの逆転ホームラン。監督もベンチを飛び出して打球を見送った 「そうですね。期待してました。期待通りのバッティングをしてくれたと思います」 --東京ドームの雰囲気、スワローズファンの声援はどうだったか 「やはりスワローズのファンの方がたくさん球場にいらしてくれているので、すごく励みになりますし、その後押しがあって今日勝てたんじゃないかなと思ってます」 --今日で2勝1敗。明日以降に向けて 「一戦一戦丁寧にしっかりと戦って行きたいと。今まで通り僕たちの野球をするだけだと思ってます」

◆セ・リーグ王者のヤクルトがシーソーゲームを制し、対戦成績を2勝1敗とした。1点を勝ち越された直後の七回、2死一塁で5番のドミンゴ・サンタナ外野手(29)が右中間に逆転2ランを放ち、これが決勝点となった。以下、サンタナの一問一答。 --東京ドームのスワローズファンの大歓声を浴びて 「最高な気持ちですね。とにかく勝ったので最高です」 --勝負を決めた七回の場面、どんな気持ちで打席に向かった 「とにかく強く振れる球を待ってました。1球で仕留めたことがとてもよかったので、結果的に最高でした」 写真を拡大する 試合に勝利し、タッチを交わすヤクルトナイン 手前右はオリックス・杉本=東京ドーム(撮影・長尾みなみ) --(本塁打を打ったときの)手応え、感触はいかがでした 「打った瞬間(本塁打と)分かりましたね」 --チームメイトの祝福はいかがでした 「気持ち良かったですね。チームメートが僕のために盛り上がってた姿を見て、自分は本当にすごい経験をしてるな、と思いました」 --いつもどんな思いで全力プレーをしているか 「常に全力でプレーすることが自分の持ち味。(五回の)ムーチョ(中村悠平)の打球は挟殺プレーに入ることになったんですけど、結果的に良かったと思います」 --スワローズが2勝1敗。明日以降に向けてファンへメッセージを 「(日本語で)まだ終わってない」

◆ヤクルトのマクガフが九回を締めた。第1戦は1死も取れず2点リードから逆転されたが雪辱に成功。高津監督は「やられたことが彼の頭から離れることは絶対にない。ただ、こうやってまた勝ちに導く投球をしてくれた」とうなずいた。 先頭打者の若月に中前打を許すもストライクを一つ取るたびに巻き起こるファンの拍手に後押しされた。前回の対戦で2点適時打を浴びた宗を1死二塁で一ゴロに仕留め、吉田正を敬遠して勝負した杉本も内角直球で一ゴロに打ち取り、?を紅潮させて喜んだ。

◆先制打を放ったのは宗。三回1死満塁で、小川のチェンジアップを右前に運んだ。「タジ(田嶋)も頑張って投げていましたし、先制点になってくれてよかった」。しかし五回2死満塁の守備が痛恨。中村の2点中前打で中堅・福田は三塁に送球。宗がすぐさま二塁に転送しようとしたが、左翼方向に転がる悪送球になってしまい、一走の生還まで許してしまった。

◆先発した田嶋は4回?を投げ無失点。五回1死から青木に中前打を許したところで2番手・比嘉にバトンを託した。被安打2だったが4四死球、92球を要する内容で「なんとか粘って抑えられたのはよかったですが、もっと早く修正したかった。悔しさが残るピッチングになってしまいました」。反省が口をつく日本シリーズ初登板となった。

◆プロ野球の日本一を決める「SMBC日本シリーズ2021」は23日、東京ドームで第3戦が行われ、セ・リーグ覇者のヤクルトが5-4でパ・リーグ優勝のオリックスを下し、2勝1敗とした。ドミンゴ・サンタナ外野手(29)が3―4の七回に右中間席へ決勝の逆転2ランを放った。オリックスは連敗を喫したものの、3番・吉田正尚外野手(27)が適時打、4番・杉本裕太郎外野手(29)が2ランを放つなど、主軸に快音が戻った。

◆渾身の一撃で、チームに勇気を与えた。大砲・杉本が一時同点となる1号2ラン。逆転負けで空砲になってしまったことが悔しかった。 「出たことはうれしいですけど、勝てなかったので。またあした切り替えて頑張ります」 1-3の六回無死二塁。小川の147キロ直球を右翼席に運んだ。青学大時代にも3、4番を組んだ吉田正が先頭で二塁打を放った直後だ。吉田正は右手首骨折から復帰したばかり。DHが使えない東京ドームで左翼を守る姿に刺激を受けないはずがなかった。ベンチ前では拳を突き上げ「昇天ポーズ」を決めた。 第1戦ではシーズン39本塁打でセ・リーグのキングに輝いた村上が2ラン。32本塁打でパ・リーグのキングが意地を見せた。両リーグの本塁打王が日本シリーズでアーチを放ったのは1992年のハウエル(ヤクルト)、デストラーデ(西武)以来だった。 1点を追う九回2死一、三塁では一ゴロで最後の打者となった。「(大事なのは)あしたでしょう。タイになるように頑張ります」。一戦必勝の短期決戦、前を向くしかない。(竹村岳) 七回は吉田正が適時二塁打。主軸の2人に当たりが出てきた ★吉田正2H 吉田正のバットに快音が戻った。六回の先頭では左中間へ二塁打。続く杉本の2ランで生還し、七回には一時勝ち越しの二塁打を放った。第2戦までは9打数1安打と、第1戦のサヨナラ打以外は結果が出ていなかっただけに、主砲の復調は明るい材料だ。右手首骨折などの影響でDHでの出場が続いていたが、9月3日以来に左翼守備にも就き「後悔しないように心がけています」と前を向いた。

◆勝利のバトンがつながった!! 1点を勝ち越された直後の七回2死満塁。4番手で登板したヤクルト・石山泰稚投手(33)が、代打のアダム・ジョーンズ(36)を空振り三振に斬り、その裏の攻撃での逆転を呼び込んだ。八回も無失点に抑え、九回はスコット・マクガフ投手(32)が締めて逃げ切った。石山は日本シリーズ初白星、マクガフは同初セーブをマーク。〝新旧守護神リレー〟で、チームは大きな2勝目をつかんだ。 燕党は両手を合わせ、祈った。3-4と勝ち越され、なお2死満塁の大ピンチ。スアレス、田口からバトンを託され、4番手でマウンドに上がった石山は、代打・ジョーンズをフォークボールで空振り三振に斬り、雄たけびを東京ドームに響かせた。 「意気に感じて、それに応えられてうれしい。スアちゃん(スアレス)や田口を助られて良かった。シーズン中は助けられてばかりだったので」 いつも通りのポーカーフェースでも、内に秘めた闘志は人一倍だった。一発が致命傷となる状況で、迎えたのは米大リーグ通算282本塁打の大物助っ人。この日最速の153キロを計測した3球目で2ストライク目を稼ぐと、ファウルを経た5球目、伝家の宝刀でバットに空を切らせた。 〝炎の救援〟に応えるように、チームはその裏に勝ち越し。直後の八回、再びマウンドに向かった石山は「この流れに乗ろう」と自らに言い聞かせ、ここも三者凡退に仕留めた。本来なら勝ちパターンの清水に継投するところ。高津監督は「(七回の)打ち取り方がすごく良かったので、八回もいかせた」と采配の真意を明かした。 9回表に登板したスコット・マクガフ =東京ドーム(撮影・今野顕) 昨オフに国内フリーエージェント(FA)権を行使せず残留した石山。4年契約を結び、決意新たに守護神として臨んだ9年目のシーズンだったが、体重の変化など体のバランスを崩して開幕から不調に陥った。 5月下旬にはマクガフに抑えの座を譲り、6月20日に2軍落ちも経験。「投げるたびに打たれるので、何をしていいか分からなかった。同じでは駄目だし、何か変えないと、という思いがあった」と当時を振り返る。 日米通算313セーブを挙げた高津監督からは2軍降格時に「苦しい期間、自分と向き合ってやることをやれば、時間が解決してくれる」と声を掛けられた。2軍戦を映像で見てくれていた指揮官からは、昇格時にも「あのボールをしっかりと投げ込めば大丈夫だ」と支えになる言葉をもらった。投球フォームを微調整し、トレーニング方法も変えて徐々に状態を上げ、この大舞台で最高の輝きを放った。 九回はマクガフが締め〝新旧守護神リレー〟でつかんだ価値ある勝利。復活を遂げた背番号12が、日本一への大きな力となる。(赤尾裕希)

◆ヤクルト・中村悠平捕手(31)が、0―1の五回2死満塁で逆転の中前2点打を放った。第1打席では好機で犠打失敗も、すぐさま名誉挽回。20日の第1戦でも先制打を放った扇の要が、今シリーズ2本目の適時打を放ち、勝利に貢献した。 右拳をグッと握り、喜びを爆発させた。取られたら取り返す。1点を追う五回、中村が執念の逆転2点打を放った。 「1打席目にバントを失敗して流れを切ってしまったので、この打席は何としてでもという気持ちで打席に入りました。いい場面で取り返すことができて良かったです」 2死満塁の絶好機で打席へ。内角低め149キロにうまくバットを合わせると、白球は中前で弾んだ。相手の失策も絡んで一挙3得点。試合の流れを手繰り寄せた。 雪辱の一打だった。0―0の二回無死一、二塁で回ってきた第1打席は犠打を決めることができず、空振り三振に倒れた。先制機を逃し、直後の三回に先制を許す苦しい展開。悔しさをばねにミスを帳消しにした。9月8日の阪神戦以来となった同学年・小川とのバッテリーでも、好リードで試合をつくった。 6年ぶりに挑む日本シリーズ。正捕手としての立場は同じでも、メンタルは180度変わった。試合の朝、トイレに駆け込んで吐くほどの緊張に苛まれた2015年。昨季は故障で29試合の出場に終わったが、今季は2月のキャンプで臨時コーチを務めた古田元監督から「ホームランバッターじゃないんだからゴロを打つ意識を持て」と助言され、復調につなげた。 「今が一番楽しい」。手に汗握る頂上決戦―。頼もしさを増した女房役が、日本一まで牽引(けんいん)する。(箭内桃子)

◆プロ野球の日本一を決める「SMBC日本シリーズ2021」は23日、東京ドームで第3戦が行われ、6年ぶりにセ・リーグを制したヤクルトが5-4でパ王者のオリックスを下し、2勝1敗と勝ち越した。「5番・右翼」で先発したドミンゴ・サンタナ外野手(29)が3―4の七回2死一塁から右中間席へ逆転2ランを放つなど大活躍。〝イチローイズム〟を受け継ぐ大砲が、思い出の球場で値千金のシリーズ初安打を放ち、チームを勝利に導いた。 眠っていた大砲が、目覚めた。3―4の七回2死一塁。サンタナは、外角へのスライダーに手を伸ばし、思い切り引っぱたいた。逆方向となる右中間席への逆転V弾。高津監督とナインは、ベンチを一斉に飛び出し、ドームの屋根に向かって拳を突き上げた。 「最高です。強く振れる球を待って1球で仕留められた。チームメートが盛り上がっている姿を見て、すごい経験をしているなと思いました」 シリーズ12打席目での初安打。会心の一打にヒーローは声を弾ませた。 明治神宮大会を開催中の神宮球場に代わり、東京ドームに〝本拠〟を移して行われた第3戦。2万4565人の観衆が集まったスタンドで、燕党が傘の大輪を咲かせた。 米大リーグでは通算77本塁打をマークした長距離砲が、ついに持ち前のパワーを発揮した。レギュラーシーズンでは徐々に日本の野球に適応し、10月以降は打率・377、7本塁打、18打点をマーク。好調ぶりが買われ7番から5番に昇格したが、今シリーズでは先発メンバーでただ一人、安打が出ていなかった。 7回、2点本塁打を放つヤクルトのドミンゴ・サンタナ=東京ドーム(撮影・松永渉平) 〝イチローイズム〟の継承者だ。2019年のマリナーズ時代に、イチロー(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)とともにプレー。この東京ドームで行われた同年3月20日の開幕戦では、三回に逆転満塁本塁打を同じ右翼席にほうり込んだ。イチローが現役引退を表明したのは、その翌日。ラストプレーを目に焼き付けた。 海を渡った01年にMVPに輝いたイチローに、サンタナは「1年目の話をしてもらったことがある」という。「常に全力でプレーするのが自分の持ち味」とし、不調でも全力疾走し手を抜かないところは〝イチ流〟の教えそのもの。異国に順応し、結果を残す術を学んだ男は、思い出の地で行われた日本最高峰の舞台で、それを結実させた。 五回にも2死一、二塁で四球を選びチャンスメーク。続く中村が放った中前への2点打で一塁から一気に三塁を陥れると、三塁手・宗が中堅方向へ悪送球した隙をつき、ヘッドスライディングでホームに生還。貴重な追加点をもたらした。 中軸の山田、村上が不発に終わる中、打線も相手先発・田嶋に五回1死までに92球を投げさせて降板に追い込むなど粘りを発揮。さらに東京ドーム初登板のバルガス、吉田凌を攻略し、逆転勝ちにつなげた。 高津監督が「いつも通りですけど、勝ちたい。それしかない」と第4戦以降に目を向けると、ファンと関東一本締め(一丁締め)の〝日本流〟で喜びを分かち合った大砲は「マダ、オワッテイナイ」と日本語で呼応した。これで2勝1敗。20年ぶりの日本一へ、一気に王手をかける。(横山尚杜)

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