オリックス(★0対2☆)ヤクルト =日本シリーズ2回戦(2021.11.21)・京セラドーム大阪=
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ヤクルト
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ORIX
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勝利投手:高橋 奎二(1勝0敗0S)
敗戦投手:宮城 大弥(0勝1敗0S)
  DAZN
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DAZN

◆ヤクルトが投手戦を制し、対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。ヤクルトは両軍無得点で迎えた8回表、青木が適時打を放ち先制に成功する。続く9回には、オスナの安打に相手失策が絡み、追加点を挙げた。投げては、先発・高橋が9回5安打無失点の快投で完封勝利。敗れたオリックスは、打線が高橋の前に沈黙した。

◆第1戦でオリックスが劇的にサヨナラ勝ちした余韻が、京セラドーム大阪に残っていた。モヤらがフリー打撃を行う中、午後3時に各ゲートが開き、ファンがスタンドに入ってきた。 三塁側に置かれた打撃ケージの裏でチームメートの練習を見守る吉田正に近づいたのは、ヤクルト村上。ともに東京五輪で金メダルを獲得した侍ジャパンのチームメートだ。前日20日の第1戦では、8回に村上が勝ち越しの2ラン。セ・リーグ本塁打王のアーチが決勝弾になりかけたが、吉田正がそうはさせなかった。2点を追った9回、宗の同点打に続いてサヨナラ打を放った。ぼうぜんとした表情で三塁側ベンチに引き揚げるスワローズの主砲の表情を、場内のテレビカメラが追っていた。 激闘を終え、2人は静かに言葉をかわした。プレーボールは午後6時。第2戦で笑うのは、吉田正か、村上か。

◆日本シリーズ第2戦の前には、"プチ熊本県人会"が開催された。 ヤクルト村上宗隆内野手(21)は、オリックスの打撃練習が終わった一瞬の間を使って、小走りでグラウンドへ。ベンチに向かって引きあげている途中のオリックス小田裕也外野手(32)の元を訪れて、言葉をかわしていた。 2人はともに熊本県出身で、年齢は離れているが同じ九州学院卒。村上は、大先輩へのあいさつを欠かさなかった。

◆ヤクルトの外野陣が、あえてフェンスにぶつかりながらフライを捕球する練習を行った。 全体練習の守備練習で、福地寿樹外野守備走塁コーチ(45)がノックを右翼方向に打った。山崎晃大朗外野手(28)や渡辺大樹外野手(24)は、背中をフェンスに当てた際の衝撃を確かめるように捕球していた。 ヤクルトは20日の第1戦に右翼手でスタメン出場した宮本丈内野手(26)が、2回に右翼への打球をジャンプして捕球した際に後頭部をフェンスに強打。グラウンドに突っ伏して、立ち上がれなくなった。自力で歩いてベンチに戻ったが、4回の打席で途中交代していた。前日のアクシデントをふまえ、フェンス際の打球処理の距離感や衝撃を確認した模様だ。

◆日本シリーズ第2戦のスタメンが発表された。 第1戦でサヨナラ負けを喫したヤクルトの先発は、高橋奎二投手(24)。CSファイナルステージの巨人戦第2戦でも先発し、6回8奪三振無失点の好投をみせた。自身の投球でチームに流れを引き寄せたい。 指名打者には、2試合続けてサンタナ。右翼手には、元近鉄でオリックスの坂口智隆外野手(37)が入った。

◆日本シリーズ第1戦で途中交代したヤクルト宮本丈内野手(26)が、第2戦のベンチ入りメンバーを外れた。試合前の全体練習には参加せず、グラウンドにも姿を見せなかった。 宮本は、20日の第1戦に「8番右翼」でスタメン出場。0-0で迎えた2回2死一、二塁のピンチで、オリックス若月の右翼への痛烈な当たりをジャンプして捕球。勢いで後頭部をフェンスに強打し、うつぶせでグラウンドに倒れ込んだ。時間をかけて立ち上がり、トレーナーとコーチに付き添われながらベンチに戻った。3回の守備には就いたが、4回の打席から山崎に交代して退いていた。 試合後、高津臣吾監督(52)は「(宮本)丈のプレーもそうだし、いろんなところでいいプレーがあって、失点を防ぐシーンがあった。丈(の状態)に関しては何とも言えないです」と話していた。

◆劇的なサヨナラ勝利で第1戦を勝利したオリックスは第2戦の先発マウンドに今季13勝の宮城大弥投手(20)を送る。宮城はポストシーズン初登板となる。 第1戦に代打でソロを放ったスティーブン・モヤ外野手(30)が「6番一塁」でポストシーズン初スタメンで出場する。 ヤクルト先発は高橋奎二投手(24)。11日のクライマックスシリーズ・ファイナルステージ巨人戦(神宮)で先発し、6回2安打無失点と好投した左腕がオリックス打線と対戦する。

◆第2戦に臨むヤクルトのベンチ入りメンバー26人が発表された。 第1戦で途中交代した宮本丈内野手(26)はベンチ入りを外れた。吉田大成内野手(26)もベンチ外となった。 第1戦でベンチ外だった内川聖一内野手(39)と坂口智隆外野手(37)が名を連ね、坂口は「9番・右翼手」でスタメン出場。 投手陣では、2戦続けて金久保優斗投手(22)がブルペン待機となった。

◆オリックスの球団公式ダンス&ボーカルユニット「BsGirls」のリーダー・CHALが最後の京セラドーム大阪で試合前にダンスを披露した。CHALは8年目の今季をもって卒業するとすでに発表している。 21日午前には自身のTwitterを更新し「京セラドーム大阪での試合は今日が最後です 私自身、500試合以上皆様と共に戦ってきた場所。そしてこれからもずっと戦っていく場所! 現役最後の京セラドーム大阪。今日も全力120%でいきます!!! 全員で勝ちましょう!!!」(原文まま)と思いをつづった。 日本シリーズが第6戦以降までもつれれば、ほっともっとフィールド神戸で再びパフォーマンスする予定となっている。

◆女優の吉高由里子(33)が第2戦で始球式を務め、ストライク投球ならず「あー!」と高い声を響かせた。 投手板からあまり足を上げないクイック投法? で左腕を振り、ボールはマウンドのすぐそばでバウンドし右打席よりもさらに三塁側にそれた。 17年の日本シリーズ第2戦でも始球式を務めたが、その際も捕手までコロコロとゴロで届いた。4年ぶりの登板でリベンジは果たせなかった。 始球式を終えて「今回、SMBC日本シリーズ2021での始球式の機会をいただき、光栄に思います。緊張しましたが、大勢の観客の皆さんの前で投げられ、楽しませていただきました。SMBC日本シリーズ2021の熱戦、私も応援します!」とコメントした。 吉高は日本シリーズを特別協賛している三井住友銀行(SMBC)のCMに出演している。

◆ヤクルト西浦直亨内野手(30)がオリックス宮城のパーフェクトを阻止した。 高卒2年目左腕の快投の前に、6回1死まで1人の走者も出せない苦境が続いた。だが西浦がカウント2-2から甘く入ったスライダーを中前へ。2回には好守も見せた遊撃手がHランプをともし、出塁を果たした。

◆オリックス宮城大弥投手(20)の人柄が、ネット上で話題となっている。 0-0のまま迎えた6回2死一、二塁のピンチ。ヤクルト青木宣親外野手(39)を三塁ゴロに打ち取り、ベンチへと歩みを進める途中で、落ちていた青木のバットを拾い、ボールボーイに手渡した。 緊迫した投手戦の最中に見せた同投手の心温まる行動に、ファンは「ピンチだったのにベンチ戻る時にバット拾ってあげる宮城くんの優しさがたまらん」「こんなドキドキさせといて、投げ終わったあとバット拾いに行く宮城くんが尊すぎる」「宮城くんはいつも拾ってますね...人柄」とたたえる声が続いた。

◆「NPB最後の近鉄戦士」ヤクルト坂口智隆外野手(37)がプロ19年目の日本シリーズ初出場で安打をマークした。 6回1死一塁で宮城に対し、フルカウントから外角低め139キロ直球を逆らわずに左前へ運ぶ技ありの一打。シーズンは打率1割6分と苦しんだが、通算1514安打のバットコントロールを証明した。 試合前は「9番右翼」でのスタメン発表に、11年間在籍したオリックスのファンからも拍手を送られていた。

◆#ノリはすげぇ。ヤクルト青木宣親外野手(39)が8回にオリックス宮城から先制打を奪った。2死一、二塁で内角寄りの直球を詰まりながらセンター前へ運んだ。 6回1死までパーフェクト、7回までゼロ行進させられた気鋭の左腕をベテランが攻略。「今日はチャンスが本当に少なくてみんなが後ろにつなぐ気持ちでつないでくれたチャンスだったので、とにかくヒットを打つだけという気持ちでした。奎二(高橋)も頑張っていたので1点取れてよかった」とコメントした。後輩の田口が流行らせたヤクルトファンのトレンドワードがSNS上でも沸騰した。

◆ラオウにも出た! オリックス杉本裕太郎外野手(30)が日本シリーズ初安打を放った。 2回先頭で迎えた第1打席、ヤクルト高橋の低めチェンジアップをはじき返した。打球が左翼で弾むのを見届けると、一塁ベース上で右膝と右肘をつけてピースサイン。後ろを打つ助っ人の決めポーズ「ラベロハンドシェイク」拝借し、喜びを表した。 前日20日の第1戦。チームは逆転サヨナラ勝ちを収めたが、杉本は4打数無安打3三振に終わっていた。「甘い球が来なかったですね。みんなすごいので自分も負けないようにしたい。正尚は今日とらえていたので(9回は)打つやろなと思って見ていました」。前夜は青学大の後輩で3、4番コンビを組む吉田正が、劇的勝利の立役者。刺激を受けないはずがない。 この日の試合前練習は、室内練習場で一心に振り込んだ。状態を上げたい時に行う調整法。室内はネットがあるため狭く、打球が遠くまで飛んだかが分からない。だからこそ、大振りせずにコンタクトを意識することができる。浮足立たず、しっかり自分と向き合った。 日本一を目指す戦いで初めて「H」ランプをともすと、4回の第2打席では外低めのチェンジアップに食らいついた。バットの先に当てた打球は二遊間へ転がったが、全力疾走で内野安打とした。「昇天ポーズ」で沸かせ、リーグVの立役者となった本塁打王。大舞台を盛り上げるためにも、本塁打王の活躍は欠かせない。【磯綾乃】

◆オリックス宮城大弥投手(20)が8回にヤクルト打線につかまり、先制を許した。7回2/3を投げ、5安打7奪三振1四球1失点で降板した。「少し荒れてしまっていた部分もありましたが、全体的には投げている感覚も良かったですし、バランスの取れたピッチングができていたと思います」。 球数が100球に到達した8回。1死からこの試合初めての四球で走者を出した。2死一塁から塩見泰隆外野手(28)に左前打を浴び、2死一、二塁とピンチが広がった。青木宣親外野手(39)に1ボールから内角の直球で詰まらせたが、中前に落とされ、二塁走者に先制のホームを踏まれた。宮城はここで降板となった。「最後(8回)、粘りきれずに打たれてしまったところが悔しいですし、その前の四球が響いてしまったんだと思います」。 6回1死までパーフェクト投球だった。6回1死から西浦直亨内野手(30)に外角低めの変化球を中前にはじき返しされ、この試合初めて走者を背負った。坂口智隆外野手(37)にもフルカウントから左前打を許し、1死一、二塁のピンチを招いたが後続を打ち取り、好投を続けていた。 宮城はクライマックスシリーズ・ファイナルステージで登板機会がなく、この日がポストシーズン初登板だった。

◆ヤクルトがセ・リーグに14戦ぶりの日本シリーズ勝利をもたらした。 先発高橋奎二投手(24)がオリックス宮城大弥投手(20)との投げ合いを展開。打線が好投に応え、8回にベテラン青木宣親外野手(39)の先制打、9回にもホセ・オスナ内野手(28)の適時打で2点を挙げた。 高橋は9回も続投し、133球の熱投で完封を達成した。 セの出場チームは18年広島が初戦白星からソフトバンクに4連敗、19、20年は巨人がソフトバンクにともに4連敗。今年もさらにヤクルトが初戦で痛恨のサヨナラ負けを喫し、13連敗となっていた。 オリックスは高橋の前に打線が沈黙。宮城が5回までパーフェクト投球をしていたものの、援護できず敗れた。

◆ヤクルト打線はオリックス先発宮城の前に3回まで無安打無得点。オリックスもヤクルト高橋の前に3回まで無得点。 ヤクルトは6回2死一、二塁と先制の好機をつくるも2番青木が三ゴロに倒れて無得点。オリックスも6回まで無得点で終盤戦へ。 ヤクルトは8回に青木の適時打で1点先制。9回には相手の適時失策で加点した。高橋は完封勝利。対戦成績は1勝1敗となった。

◆ヤクルトがセ・リーグに14戦ぶりの日本シリーズ勝利をもたらした。 先発高橋奎二投手(24)がオリックス宮城大弥投手(20)との投げ合いを展開。打線が好投に応え、8回にベテラン青木宣親外野手(39)の先制打、9回にもホセ・オスナ内野手(28)の適時打で2点を挙げた。高橋は9回も続投し、133球の熱投で完封を達成した。 セの出場チームは18年広島が初戦白星からソフトバンクに4連敗、19、20年は巨人がソフトバンクにともに4連敗。今年もさらにヤクルトが初戦で痛恨のサヨナラ負けを喫し、13連敗となっていた。

◆シリーズ初登板の宮城が6回1死から西浦に安打を許すまでパーフェクト。 シリーズで先発投手が5回以上を完全に抑えたのは19年<2>戦高橋礼(ソフトバンク=5回)以来で8人目。シリーズ初登板では14年<2>戦武田(ソフトバンク=5回2/3)以来3人目になる。宮城は8回に1点を失って敗戦投手。前半5回を完全に抑えながら敗戦投手になったのは、79年<2>戦山根(広島=5回)に次いで2人目の不運。

◆結果は黒星だったが、充実のマウンドだった。オリックス宮城大弥投手(20)は、ヤクルト打線を相手に8回途中5安打1失点と奮闘した。 6回1死までは完全投球で「全体的にはバランスよく、良い感覚で投げられた」と手応えを示した。 この日の112球は「2段モーション」を封印。CSファイナルでは登板機会がなくシーズン最終登板した10月21日西武戦以来、1カ月ぶりのマウンドでニュースタイルを披露した。初体験の頂上決戦には「テレビで見るよりもずっと緊張。いろんな声がすごく力になった」と収穫もあった。 6回2死一、二塁のピンチで青木を三ゴロに仕留めると、バットを拾ってボールボーイに手渡した。シーズン中でも数回、見られた光景で「目の前に落ちていると、拾うのが普通だと思っています」とマウンド上でも冷静で礼儀正しい20歳左腕だ。 ただ、バットを拾った青木から8回2死一、二塁で決勝中前打を浴びた。2球目の内角直球で詰まらせたが、打球はセンターの前にポトリ。宮城は「青木さんというより、その前の打者。四球と連続安打で走者を出してしまった」と反省した。 この敗戦で18年から続いていたパ・リーグの連勝は13で止まった。これで1勝1敗。日本シリーズはまだ続く。試合後、宮城は「今後に絶対生きてくる内容だった」と巡ってくる次回登板に、気持ちを備えた。【真柴健】

◆ヤクルトが2-0で勝ち、1勝1敗のタイに戻した。 18年<3>戦から続いていたセ・リーグチームの連敗を13で止め、DH制のセ・リーグチーム連敗も22でストップした。1勝1敗のシリーズは34度目。過去33度は●○スタート(△●○含む)の優勝が17度、○●スタートの優勝も16度でほぼ互角だが、今回のように●○で本拠地に戻ったケースは過去15度のうち10度優勝しており、V確率は67%になる(全試合後楽園の81年は除く)。ヤクルトの●○スタートは78年に次いで2度目。78年はオリックスの前身阪急と対戦して●○から日本一になったが、今年は?

◆オリックス杉本裕太郎外野手が日本シリーズ初安打を含む2安打と気を吐くも、最終回に痛恨の失策を喫した。 2回先頭の第1打席で、ヤクルト高橋のチェンジアップをはじき返し左前打。大舞台での初安打に、後ろを打つ助っ人の決めポーズ「ラベロハンドシェイク」で喜びを表した。4回の第2打席では外低めのチェンジアップに食らいつき、バットの先に当て全力疾走で内野安打とした。 4打数無安打3三振に終わり「みんなすごいので自分も負けないようにしたい」と話していた前夜とは一変、チームで唯一のマルチ安打をマークした。しかし1点を追う9回の守備で、2死二塁からバルガスの右翼に弾んだ打球をファンブル。二塁走者元山の生還を許す痛い失策となった。 リーグVの立役者となった本塁打王。この日の悔しさは敵地で晴らし、次こそ「昇天ポーズ」で沸かせてみせる。

◆オリックス中嶋聡監督(52)は5安打完封負けを素直に受け入れた。序盤に連打が欲しかったかと問われ、「もう、その通りでしょう。もっと荒れ球だと思っていたが、そこまで荒れていなかった。ボールも強いし、非常にいい投手ですよね」とヤクルト高橋を評した。 5回まで毎回安打しながら散発に終わった。二塁に進んだのは2度だけ。6回以降は無安打で出塁は安達が選んだ1四球だけと、球威の落ちない高橋を捉えられなかった。 初戦で5番だったT-岡田をポストシーズンで初めて外すなど打線に手を加えたが、結果的に機能しなかった。 同じ左腕の20歳宮城が、高橋と投手戦を演じた。「先に点を取れていたら、全然違う展開で宮城も楽に投げられていたと思う。それでもこの舞台であれだけの投球ができるというのはね。(登板が)まるまる1カ月空いたので心配していたけど、本当に十分な投球をしてくれたと思う」 次はホームを離れ、23日から舞台を東京ドームに移す。ここまで2試合とも先発を予告してきた中嶋監督だが「(試合の間が1日)空いた時だけはやめた方がいいと思うで」と第3戦の先発投手の公言は控えた。 黒星は10月20日の楽天戦以来、約1カ月ぶり。前日20日の初戦は2点ビハインドから9回に3点を奪う劇的サヨナラ勝ち。今度は対照的に打線が沈黙し、1勝1敗となった。 「そんなに簡単に終わるわけがない。それが日本シリーズだと思う」。終始、淡々と話す中嶋監督は敗戦のショックを感じさせなかった。【柏原誠】

◆ヤクルト高津監督が、チームを鼓舞し続けた。第1戦で2点リードを守れず、サヨナラ負けを喫したマクガフの元を試合前練習中に訪れ、声をかけた。 クローザー経験豊富な指揮官の言葉に、守護神マクガフは親指を立てるサムズアップポーズ。精神面のケアを怠らなかった。練習中も笑顔を見せるなど、前日のショックを感じさせない。切り替え、いつも通り明るく振る舞った。 選手も呼応した。2回無死一塁で、遊撃手西浦はセンターに抜けそうなラベロの当たりに手を伸ばし、山田へバックトス。併殺でしのいだ。5回1死一塁では、伏見の飛球を塩見が猛然と前にダッシュしてスライディングキャッチ。球際の強さを見せ、連続ロースコアの戦いになっても、集中力を切らさなかった。 指揮官は「昨日の負け方がちょっと気になったものですから、今日は切り替えて、また新しいゲームを選手みんながしっかりいい形で入ってくれた」と満足そうにうなずいた。シリーズの流れをオリックスに渡さなかった。

◆パパで勝った! ヤクルト青木宣親外野手(39)が、19歳年下のオリックス宮城大弥投手(20)から決勝打を放ち、チームを勝利に導いた。 家族に支えられてグラウンドで戦う毎日。家族の心に刻むプレーを目指し、大一番で勝負強さを発揮した。チームを日本一に導き、最高のプレゼントで恩返しする覚悟だ。均衡を破った瞬間、青木は、右腕を思いっきり振った。0-0で迎えた8回2死一、二塁、1ボールから内角の直球を詰まりながらも中前に運んだ。「どう考えてもあの場面は何とかしたい場面だったので、勝つにはあそこで打つことだと思った」。全神経をバットに集中させ、先制となる決勝打。高ぶる感情を爆発させた。 19歳年下をとらえたヒーローは、かっこいいパパであり続ける。「子どもに関しては、年齢的にも記憶に残るようになってきた。今までは分かっていないような感じだったが、今はしっかり記憶として残っているような気がする。いいところを見せたい」と意気込んだ。39歳とベテランの域に達した。長く活躍しているところを見せようと、貪欲に練習に励む日々。手を抜かず、妥協せず、結果を追い求めてきた。 今年は壁にぶつかることもあった。コロナ禍の1年。家族には心配をかけた。「子どもが風邪ひいたりしたら、生きた心地がしなかった。奥さんもヒヤヒヤしていた。PCR検査を受けた方がいいとか、濃厚接触者になってしまったらとか。ヒヤヒヤさせて、いつも以上に神経をとがらせるような、そういう年だった」と振り返る。3月30日には、新型コロナウイルスの濃厚接触者に認定され、自宅隔離を経験した。子どもたちに抱きつくことも、触れることもできない。話すことさえも自粛した。それでも家族からは「頑張って」「体大丈夫」とエールを受ける毎日。佐知夫人に対しても「いつも変わらず毎日を迎え入れてくれるので、そこはもう本当に感謝しかない」と打ち明けた。 だからこそ、恩返しとして、20年ぶりの日本一を届けたい。第2戦の勝利に導き、チームは1勝1敗のタイ。移動日を挟んで、23日から東京ドームでの戦いが続く。「このプレッシャーを意気に感じてプレーしたい」。すべてを力に変えたパパの姿を、今季の集大成で発揮させる。【湯本勝大】 ▼39歳10カ月のヤクルト青木宣親外野手が8回に決勝の適時打。39歳以上でV打を記録したのは、12年<3>戦の稲葉篤紀(日本ハム=40歳2カ月)以来6人、8度目。ヤクルトでは92年<1>戦で代打満塁サヨナラ弾を打った杉浦(40歳4カ月)に次ぐ年長2位の決勝打となった。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(28)のバットが高橋奎二投手(24)の完封を援護する2点目を生んだ。 9回2死二塁でバルガスの外角高め直球を捉え、一、二塁間を破った。右翼杉本がファンブルする間に走者が生還し、記録は失策で打点はつかなかったが、初戦に続く2戦連続安打が貴重な場面で出た。「相手ももちろん素晴らしい投手だが、僕たちも素晴らしい打線。プラン通りに狙いを絞って、いい球が来たら強く振る」と胸を張った。

◆オリックス吉田凌投手(24)が見事な火消し役を務めた。 8回に宮城が先制を許しなおも2死一、三塁のピンチで救援。迎えた山田を4球目、外低めのスライダーで空振り三振に仕留めた。「もう1点もあげられない場面。一、三塁だったので、1つ塁は空いているなと思いましたが、なんとか山田さんで止めたいと」。2番手で1回無失点だった第1戦に続く好リリーフだった。

◆その瞬間、確かに球場の雰囲気は変わった。試合前のスタメン発表。 「9番ライトフィールダー、坂口智隆」のアナウンスが響くと、両チームのファンから拍手が起こった。 第1戦ではベンチ外だった坂口が、シーズン中の9月25日、中日戦(神宮)以来のスタメン出場を果たした。打順は9番。試合前の練習では、シーズン中にほとんどしないバント練習を行う姿もあった。 近鉄、オリックスでプレーし、坂口にとっても、ファンにとっても思い出の多い球場だ。それは、いい思い出ばかりではない。19年シーズンの開幕カード阪神戦が行われたのも、ここ。3月31日の3戦目、第4打席で右手親指に死球を受け、骨折した。打撃グローブが脱げないほどの痛み。やっとの思いで外すと、手は真っ赤に染まっていたという。5月以降、一時は復帰したものの完治はしておらず、6月上旬に再び登録抹消。2軍生活が続いた。実はこの日、右翼手のポジションにつく際にも、右手親指から手首にかけてテーピングでぐるぐる巻きにされていた。 その場所で行われた日本シリーズで、安打を放った。6回1死、西浦が外角変化球をとらえてチーム初安打となる中前打を放った。続く坂口はファウルで粘り、フルカウントからの8球目、見逃せばボールになりそうな外角低めの139キロにバットをうまく合わせ、左前に流し打ち。ベテランの一打で、オリックス宮城から初めてのチャンスをつくった。得点にはつながらなかったが、確実に存在感を見せた。 今シーズンの打率は1割6分と苦しんだが、左投手に対しては18打数4安打の打率2割2分2厘と好相性。ベテランの技が、日本シリーズという大舞台で必要になる。【保坂恭子】

◆野手最年長の青木宣親は、毎日の守備練習を欠かさない。フリー打撃後に左翼のポジションでノックを受けてから、投手陣に交じってストレッチや体幹をする。ずっとこのルーティンだ。青木の経歴を語る上ではシーズン200安打や日米通算2500安打など打撃にまつわる数字が多い。そんなベテランから以前「守備が試合を支配するんだよ」と聞いたことがある。 試合のヒーローと言えば、好投した投手か決勝打を打った選手が定石。野手は適時打を打つ場面がクローズアップされる。守備なら、好プレーは注目されるが...。NPB、メジャーと数々の世界大会で戦ってきた経験から「(1試合で)4回の打席よりも、27アウトの方が、チームへの貢献は多い」という極意にたどり着いたという。 打撃には好不調の波がつきものだが、守備に波はない。平凡なフライも、フェンス際の大飛球も、捕球すれば1アウト。それは、確実に試合に貢献している。普段から、後輩にたくさんのアドバイスを送る青木。打撃だけでなく、守備についても折に触れて話してきた。「その意識付けをする。それくらい大事ということ」。チームは2試合連続無失策。打撃だけではない、青木のもう1つの顔がある。【保坂恭子】

◆ヤクルトが、若き左腕の快投で大きな1勝をつかんだ。 「SMBC日本シリーズ2021」第2戦は、レギュラーシーズンで完投もないプロ6年目の高橋奎二投手(24)が、日本シリーズ初登板初完封。大舞台で13年ぶり13人目の快挙を成し遂げた。大胆かつ繊細に133球を投げ、5安打5奪三振。6回以降は1安打も許さず、セ・リーグの日本シリーズ連敗を13試合でストップした。第1戦サヨナラ負けの悪夢を払拭(ふっしょく)する力投で1勝1敗のタイとし、東京に戻る。息をのむような投手戦は、高橋に軍配が上がった。ベンチ前で待ち受けた高津監督からぎゅっとハグされ、笑顔を見せた。第1戦をサヨナラ負けで落とし、どうしても勝ちたかった。プロ最多の133球を投じ、最高の舞台で初完封。「昨日負けてしまったので、今日は絶対に取り返すぞという気持ちでマウンドに立ちました」。 1人ずつ、真正面からぶつかった。持ち味のキレのある直球は、この日最速151キロ。力強い投球の一方で、マウンドのプレートを踏む位置を繊細に移動していた。6回は左打者の宗、吉田正には三塁寄りに立って投球。宗は内角高めの直球、吉田はカーブで連続空振り三振。右打者の杉本を迎えるとほぼ中央付近に立ち、カーブで三ゴロに仕留めた。オリックス打線の核となる3人に対し、初の3者凡退に切った。6回以降は無安打に抑え「気合で投げました。1人1人と思って打者に向かって投げたので、それが良かったのかなと思う」。硬軟織り交ぜた大人の投球に、高津監督も「立ち上がりはバタバタしたところもあったが、よく投げた。よくここまで投げられるようになった。ずっと鍛えてきた成果が出た」と評価した。 5回まで無安打投球を続けたオリックス宮城の好投も刺激になった。高橋は「宮城くんもすごい投球をしていたので、自分も先に降りるかという気持ちだった」と意地を見せた。CSファイナルステージ第1戦でプロ初完封を挙げた20歳の奥川は、日本シリーズ第1戦でも7回1失点と好投。次世代の左右エースとして期待がかかるチームメートだが「後輩には負けたくない」という気持ちは強い。 応援が、なによりの力になる。CSファイナルの期間には、大学野球の視察で神宮を訪れた龍谷大平安(京都)原田監督と再会。スーツ姿の恩師から、激励を受けた。試合中は、ピンチの場面でヤクルトファンからの拍手がグラウンドに届いた。日本一まで、あと3勝。「ここからまだきつい戦いがあると思います。ファンのみなさんの声援が選手に勇気をくれます。これからも熱いご声援お願いします」とチームを代表してあいさつ。その背中は、頼もしかった。【保坂恭子】 ◆高橋奎二(たかはし・けいじ)1997年(平9)5月14日、京都府生まれ。龍谷大平安では2年のセンバツで優勝するなど甲子園に3度出場。15年ドラフト3位でヤクルト入団。今季公式戦は14試合で4勝1敗、防御率2・87。11日のCSファイナルステージでは巨人相手に6回無失点で勝利投手。178センチ、73キロ。左投げ左打ち。今年1月に元AKB板野友美と結婚。今季推定年俸1450万円。 ▽オリックス吉田正尚(高橋奎二について)「投手有利なカウントでどんどん攻められた。真っすぐに勢いがあって、良い投手でした」 ▽龍谷大平安・原田英彦監督(教え子のヤクルト高橋の勇姿を現地観戦)「昨日の負けがあったので、大変なプレッシャーがあったと思います。試合前に僕の姿を見つけてあいさつしてくれたから余裕はあるなと思っていましたが、これほどの投球をするとは。本当にメンタルが強くなったなと感じました。プロ野球選手にとって最高峰の舞台に立って、涙が出ました」

◆ヤクルトが2-0で勝ち、1勝1敗のタイに戻した。18年<3>戦から続いていたセ・リーグチームの連敗を13で止め、DH制のセ・リーグチーム連敗も22でストップした。 1勝1敗のシリーズは34度目。過去33度は●○スタート(△●○含む)の優勝が17度、○●スタートの優勝も16度でほぼ互角だが、今回のように●○で本拠地に戻ったケースは過去15度のうち10度優勝しており、V確率は67%になる(全試合後楽園の81年は除く)。ヤクルトの●○スタートは78年に次いで2度目。78年はオリックスの前身阪急と対戦して●○から日本一になったが、今年は?

◆<日本シリーズ・ニッカンMVP査定> シリーズ初登板初完封の高橋奎二が文句なしの5ポイントでリードした。8回に0-0の均衡を破ったV打の青木には4ポイント。

◆日本シリーズ第2戦のスタメンが発表された。先発は予想通り、オリックスが宮城。ヤクルトは高橋。オリックスはT-岡田を外して、第1戦で代打本塁打を放ったモヤを6番に入れた。

◆オリックスの先発、20歳左腕の宮城は三回まで打者9人を抑えるパーフェクトピッチング。対するヤクルトの先発、24歳左腕の高橋も要所を締め、オリックス打線を無失点に抑えた。第2戦の序盤は、第1戦と同様に白熱した投手戦となった。

◆オリックスの先発・宮城大弥投手(20)が五回までパーフェクト投球。打者15人の対して54球、4奪三振、内野ゴロ9、外野フライ2。ヤクルト打線に付け入る隙を与えない内容を披露している。

◆女優の吉高由里子(33)が始球式に登場。緑色のジャージーを着飾り、野球ファンからも大きな拍手で送り出されてマウンドに立った。 注目の投球。左腕から繰り出された球は、引っかけるようにバウンドしながら、右打者・の塩見の背中側をコロコロ...。吉高も「あーー!」と絶叫する暴投となってしまい、座り込みグラブで顔を隠していた。それでも大女優の登場に、駆け付けたファンからはあたたかい拍手が送られ、「今回、SMBC 日本シリーズ 2021での始球式の機会をいただき、光栄に思います。緊張しましたが、大勢の観客の皆さんの前で投げられ、楽しませていただきました。SMBC 日本シリーズ 2021の熱戦、私も応援します!」とコメントを寄せた。

◆完全投球を続けていたオリックスの左腕・宮城から六回1死、ヤクルト・西浦が中前打。待望の初安打が生まれた。続く坂口の安打で一、二塁としたが、塩見、青木が凡退し、無得点に終わった。

◆ヤクルトの坂口が先発で日本シリーズ初出場した。2015年までオリックスに所属し、11年には最多安打に輝いた実績を持つ。一回に守備に就くとオリックスのファンから拍手を送られ、帽子を取って応じた。0―0の六回1死一塁で迎えた第2打席では8球目を引きつけて左前に安打をはじき返した。 19年目の今季は開幕直後に自打球で負傷したことが響き、25試合で打率1割6分と低迷。第1戦の守備で外野フェンスに強く体を打ち付けた宮本の代わりで出番が回ってきた。短期決戦を前に2軍から呼び寄せた高津監督は「ベテランにはプレーだけではない役割もある」と期待している。

◆オリックスの4番杉本が二回にシリーズ初安打をマークした。高橋の低めのチェンジアップを左前へ。チームが逆転サヨナラ勝ちした第1戦は4打数無安打、3三振と元気がなく「自分も負けないように」と修正に励んだ成果を出した。 プロ6年目で才能を開花させ、本塁打王に輝いた30歳。四回は外角低めに沈む球に腕を伸ばして内野安打とし、レギュラーシーズン3割もクリアした粘り腰を発揮した。 MVPに輝いたクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでも、初戦無安打から2戦目で決勝2ランを含む3安打を放った。頂上決戦は「最後の戦いなので打ってやりたい」と熱意をぶつけている。

◆先制点を奪ったのはセ・リーグ王者のヤクルトだった。八回、好投を続けるオリックス・宮城を打線が攻め立て、2死一、二塁の好機を作ると、ベテランの青木が中前打。二塁走者が生還し、ヤクルトが先制した。これで宮城は降板となった。 ◆先制打を放った青木 「打ったのはストレート。今日はチャンスが本当に少なくてみんなが後ろにつなぐ気持ちで繋いでくれたチャンスだったので、とにかくヒットを打つだけという気持ちでした。(高橋)奎二も頑張っていたので1点取れて良かった」

◆オリックス・宮城大弥投手(20)は八回2死一、二塁から青木に中前適時打を許して降板した。打者29人に対し、112球を投げ、被安打5、奪三振7、与四球1。五回までパーフェクト、七回まで無失点の好投を続けていたが、八回に力尽きた。2番手・吉田凌がなお続いた一、三塁のピンチは山田を三振に奪ってしのいだ。

◆セ・リーグ王者のヤクルトが投手戦を制し、対戦成績を1勝1敗とした。先発の左腕・高橋奎二投手(24)がオリックス打線を5安打に抑え、プロ初完封の圧巻投球。打線は相手先発の宮城に苦戦したが、八回に青木宣親外野手(39)が中前適時打を放ち先制。九回にはオスナが右前打を放ち、右翼手・杉本のファンブルの間に二走・元山が生還し、追加点を奪った。日本シリーズでセ球団はパ球団の前に2018年第3戦から13連敗してきたが、高橋奎二が止めた。 大きく、頼もしく育った左腕が大舞台で力投した。高橋が日本シリーズ第2戦に先発。オリックス打線相手に凡打の山を築き、スコアボードに「0」を並べた。 巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ初戦の10日。高津監督がナインに向けて「前のめりに」と訴えた言葉を胸に刻んだ。「僕も受け身にならずに後ろにいい中継ぎ陣、先輩方がいるので力まず、シーズン通り投げたい」。CSでも第2戦を任され、6回無失点。この日も、パの王者に逃げずに立ち向かった。 五回まで毎回走者を背負う展開。それでも「持ち味」の直球を軸に組み立てた。六回には宗を内角高めの直球で、吉田正をスライダーでともに空振り三振。大事なマウンドを託してくれた指揮官に成長した姿を見せた。 今季で高卒6年目。前夜は2年目・奥川が7回1失点と好投しながら、まさかのサヨナラ負け。20年ぶりの日本一へ、連敗は避けたい一戦で後半さらにギアを上げ、球数は133、5三振を奪い、最後までマウンドを守った。 ■高橋 奎二(たかはし・けいじ) 1997(平成9)年5月14日生まれ、24歳。京都府出身。龍谷大平安高では選抜優勝を果たした2年春から3季連続で甲子園に出場。2016年ドラフト3位でヤクルト入団。19年に初めて先発ローテに定着。今季は14試合に登板し、4勝1敗、防御率2・87。通算成績は47試合に登板し、10勝11敗、防御率4・26。178センチ、73キロ。左投げ左打ち。既婚。年俸1450万円。背番号47。 ◆先制打を放ったヤクルト・青木 「打ったのはストレート。今日はチャンスが本当に少なくてみんなが後ろにつなぐ気持ちで繋いでくれたチャンスだったので、とにかくヒットを打つだけという気持ちでした。奎二も頑張っていたので1点取れて良かった」

◆オリックスが敗れ、シリーズ通算1勝1敗とした。先発した宮城大弥投手(20)は五回までパーフェクト投球をしていたが、八回2死一、二塁で青木に詰まりながらも中前に運ばれ、先制点を献上。吉田凌にマウンドを譲った。 さらに九回から3番手で登板したバルガスが2死二塁でオスナに右前打を許し、二走が生還。リードを2点に広げられた。 打線は左腕・高橋の前に5安打に抑えられ、完封負けを喫した。

◆セ・リーグ王者のヤクルトが投手戦を制し、対戦成績を1勝1敗とした。先発の左腕・高橋奎二投手(24)がオリックス打線を5安打に抑え、プロ初完封の圧巻投球。打線は相手先発の宮城に苦戦したが、八回に青木宣親外野手(39)が中前適時打を放ち先制。九回にはオスナの右前打で追加点を奪った。以下、高橋の一問一答。 --ここ一番で完封勝利 「気合で投げました、はい」 --オリックス先発の宮城も好投 「向こうの宮城くんもすごいピッチングをしていたので、自分が先に降りる(もの)かと思いながら、マウンドに立っていました」 --好投が報われた 「自分も粘り強く投げられましたし、その結果、(八回に)青木さんがタイムリーを打ってくださったんで、そこからまたギアを上げて投げることができました」 --六、七回と三者凡退 「3人で抑えた記憶がないですね。もう、ひとりひとり(アウトにする)と思ってバッターに向かって投げていたので、それが九回まで投げられたので、良かったのかなと思います」 --大きな価値のある勝利 「昨日は最後サヨナラで負けてしまったので、今日は絶対やり返すぞという気持ちがあって、初回からマウンドに立ったので、その結果9回を抑えられたので、本当に良かったです」 --待っている東京のファンへ 「ここからもまだまだきつい戦いがあると思います。ファンの皆さんの声援が選手に勇気をくれます。これからも熱いご声援、よろしくお願いします!」

◆オリックス側から見れば、八回の宮城の交代のタイミングを論じたくなるかもしれないが、私に言わせれば「続投やむなし」だ。 確かに完全試合ペースだった五回までと比較すると、毎回走者を許す内容の末の八回のピンチだから、継投を考えたくなる。ただ、ヒギンスをベンチ入りメンバーから外しており、他の救援陣と比較すれば、宮城の続投は間違いとは言えない。 短期決戦の投手交代はシーズンと比較にならないほど難しい。これは経験者にしか分からない。 特に今シリーズは、両監督ともに初戦で継投に失敗している。守護神が打ち込まれた高津監督。最終的に逆転勝ちしたとはいえ、セットアッパーで一時は勝ち越された中嶋監督。失敗の翌日の2戦目で両監督が選択したのは続投だった。気持ちはよく分かる。高橋に九回を託した高津監督も勇気が必要だったと思う。 オリックスは3戦目以降、先に点を取ってリードする状況をつくりたい。それが流れを引き込む条件。①好調な田嶋が残っている。②山本、宮城の2枚エースがシリーズでも好調を維持している。2つの要素を考えると、オリックスがまだ有利だ。(本紙専属評論家)

◆詰まらせた。でも、青木に落とされた。初めて立つ日本シリーズというマウンドでオリックス・宮城は躍動。六回1死まで完全投球で、偉業まで予感させたが...。高橋との投げ合いに結果的に敗れた。7回?を5安打1失点で降板となった。 「全体的にバランス良くいい感覚で投げられました。(八回は)頑張って投げたんですけど、しっかり打たれたのでそこは修正して、キッチリとアウトを取るだったり、ファウルを取るだったり、練習していきたい」 高卒2年目で今季13勝を挙げた20歳は最速149キロの直球に100キロ台のスローカーブ、スライダー、チェンジアップを投げ分け、Hランプを灯させなかった。だが、六回に西浦に初安打を許すと、八回1死から再び西浦に四球を与えた。2死後、一、二塁のピンチを招き、青木に中前へ運ばれて、先制点を献上。「青木さんよりその前の打者。四球と安打で走者を出したのが、点が入ったキッカケ。そこで走者を出さないように工夫したい」と反省した。 ロッテとのクライマックスシリーズファイナルステージ(京セラ)では登板機会がなく、対外試合の登板は10月21日の西武戦(京セラ)以来、1カ月ぶり。それでも試合を作った。2020年に沖縄・興南高からドラフト1位で入団。同期のロッテ・佐々木朗、ヤクルト・奥川、阪神・西純、及川の〝ビッグ4〟が騒がれたが、ルーキーイヤーからウエスタンで最多勝(6勝)を獲得。チーム内でもいじられキャラとして愛され、着実にステップアップしてきた。 中嶋監督は「先に取れていたら、また全然違う展開で宮城も楽に投げられた」と打線の援護がなかったことを敗因に挙げた。それと同時に「そんなに簡単に終わるわけじゃない。それが日本シリーズ」と「がんばろうKOBE」を合い言葉に日本一に輝いた現役時代をふまえ「この1敗は1敗としてしっかり受け止めて、なんとかやり返してほしい」と檄を飛ばす。 「次(出番が)あるとしたら、いまのできる部分をもっと増やしていい投球をしたい。今後に絶対、生きてくる内容。生かせるようにしたい」と宮城。日本シリーズのデビュー戦は悔しい結果に終わったが、やり返すチャンスはある。出番に備え、牙を研ぎなおす。(西垣戸理大)

◆ヤクルトは日本シリーズ第2戦でオリックスに2―0で勝利し、1勝1敗とした。オリックス・宮城大弥投手(20)に六回1死まで完全投球を許したが、0―0の八回2死一、二塁から青木宣親外野手(39)が中前へ落ちる決勝適時打を放った。初のシリーズを戦うミスタースワローズが、20年ぶりの日本一へ導く。 経験の〝差〟で外野まで押し込んだ。八回2死一、二塁。39歳の青木が20歳のオリックス先発・宮城の直球を捉え、中前へ落とした。二走が生還するのを確認すると、一塁で2度大きくガッツポーズした。 「とにかく甘いところをずっと待っていた。(宮城は)本当にいい投手。『やっと来た』という感じでした。少ないチャンスをものにできて良かったです」 内角を狙った直球がやや甘く入ったのを見逃さなかった。打線は六回1死まで完全投球を許す大苦戦。六回は2死一、二塁と攻めたが、青木が三ゴロに倒れ得点できなかった。緩急自在の投球に翻弄されたが、100球を超え、球が浮き始めた八回に百戦錬磨の集中力を発揮。シリーズで39歳10カ月以上での勝利打点は史上5人目の快挙だった。 家族の支えを感じている。子供たちの成長を見守る時間は格別だ。「遠征で10日間くらい(自宅を)空けて帰ってくると、ちょっと顔つきが変わっていたり、自分がやりたいことに関して一生懸命だったり。成長を感じますし、うれしいですね」。レギュラーシーズン最終戦の今月1日。セレモニーなどもあり帰宅は深夜となったが、翌朝8時にはクラブハウスを訪れ、長男とキャッチボールして親子の時間を満喫した。 長女は10歳、長男は8歳。「今はしっかり記憶として残っているような気がする。いいところを見せたい」。値千金の一打は子供たちの記憶に刻まれたに違いない。 14年にはロイヤルズでワールドシリーズも経験したが、日本シリーズは初出場。この日の試合前の円陣では「この重圧を意気に感じながらプレーしていこう」とナインに呼び掛けた。「一戦一戦だと思う。何とか1個取れて、また明後日(23日)の試合に集中していきたいと思います」と青木。若手に「自分らしくプレーすればいい」と語りかけた通り、青木らしいプレーでチームを勝利に導いた。(横山尚杜)

◆日本シリーズ初登板で、プロ初の完封勝利を飾ったヤクルト・高橋奎二投手(24)。スタンドから見守った父・幸治さんは愛息の雄姿を目に焼きつけ、目を潤ませた。(取材構成・横山尚杜) まさか、最後までいくとは。本当に感動させてもらいました。これ以上ない投球で、チームも勝利。うれしい限りです。 試合前、奎二から連絡がありました。今日の試合とは関係ない話がほとんどだったのですが、息子の声を聞けて少し安心しました。私からは「一回は、いつも力むところがあるから力まんようにな」と一言。こんな舞台で力まない方が難しいはずですが、過度に力を入れることなく、成長した姿を見られて感無量です。26日で56歳になるのですが、最高の誕生日プレゼントになりました。 幼少期には「肘を下げるな」「脚を開くな」。この2つを口酸っぱく言い続けました。左投手にとって左肘を下げて、右脚を開いて投げるのは楽な投げ方。身体がまだ未熟な時期だからこそ、縦回転のきれいな直球を投げられる必要があると思ったからです。 本人は、プロに入ってからも「直球が自分の武器」と言っている。小さい頃に厳しく接してきたこともありましたが、日本最高峰のマウンドで結果を残してくれたことには尊敬しかありません。 奎二にもらったプレゼントで大事にしているものがあります。2018年10月2日のDeNA戦(神宮)でプロ初勝利を挙げたときのウイニングボールです。故障もあり、初勝利まで3年かかりましたが、そのボールは一生の宝物です。 たまに顔を見せても、小さい頃と何も変わらない。やんちゃで、かわいい息子です。この舞台を踏めた経験を生かし頑張ってほしい。けがなく、健康に。これからも、そっと見守っていきます。

◆プロ野球の日本一を決める「SMBC日本シリーズ2021」は21日、京セラドーム大阪で第2戦が行われ、6年ぶりにセ・リーグを制したヤクルトが2-0でオリックスを下し、1勝1敗とした。先発した高橋奎二投手(24)が133球の熱投で5安打に封じ、自身初完投を完封勝利で飾った。公式戦で完封経験のない投手が日本シリーズで初完封するのは1966年の益田昭雄(巨人)以来、55年ぶり2人目の快挙。2018年から続いていたセ・リーグ球団の連敗を「13」で止めた。 感情を爆発させた。高橋は九回2死で代打・ジョーンズを空振り三振に斬ると雄たけびをあげ、左手で大きく弧を描いてガッツポーズ。ナインと喜びを分かち合い、自然と笑みがこぼれた。 「気合で投げました。昨日はサヨナラで負けてしまったので、絶対やり返すぞという気持ちでマウンドに立った。その結果、9回を抑えられたので良かったです」 お立ち台での表情は達成感に満ちていた。序盤から走者を背負う展開が続いたが、粘りの投球。宮城との息詰まる投手戦に「先に降りてたまるか」と心の中で叫びながら立ち向かった。 楽な試合ではなかった。六、七回は三者凡退に抑えたが「3人で抑えた記憶はない」と必死に腕を振った。前夜にサヨナラ打を放った吉田正を無安打に抑えるなど、要所を締めて133球の熱投。今季のレギュラーシーズンでは最長7回だった左腕が、5安打2四球で快挙を達成した。 日本シリーズ初登板完封勝利は球団史上初。公式戦で完封経験のない投手がシリーズで完封勝利を挙げたのは、1966年第6戦の益田昭雄(巨人)以来、55年ぶり2人目となった。2018年から続いていたセ・リーグ球団の連敗を13、敵地での連敗を20でストップした。高卒6年目。高津監督には、2軍監督時代から〝秘蔵っ子〟として期待されてきた。入団からは故障の連続。2軍戦のマウンドに立つこともできない中、病院探しに奔走してくれた指揮官に恩返しがしたかった。昨年3月。キャンプ、オープン戦と不調で結果が出ず、その後体調を崩し数日間練習を休んだ。「鬱みたいになっていた」と精神的にも追い込まれていた際、高津監督に無料通話アプリ、LINEで現状を報告。すると、電話が鳴った。指揮官からだった。『期待しているからな。頑張れよ』言葉が深く胸に響いた。「気持ちが前を向くことができた。そこから少しずつ良くなっていった」。昨季は1勝に終わったが、期待に応えたい思いは増した。休養日に埼玉・戸田寮近くの土手で缶蹴りをし、目撃した指揮官を驚かせた子供っぽさはもうない。CS第2戦では6回無失点と好投し、頂上決戦でも大きな1勝をもたらす存在に成長した。八回を投げ終えてベンチに戻ると、グータッチで迎えようとした指揮官は「あと1回」と人差し指を上げた。信頼に応えた孝行息子に高津監督は「ここまでよく投げた。投げられるようになった。ずっと鍛えてきた成果が出たのかな」と目を細めた。22日は移動日で試合がなく、23日からは東京ドームでの3連戦。頼もしくなった背番号47が、20年ぶりの日本一への扉を開けた。(赤尾裕希)★同世代から刺激 8月、高橋はテレビ越しに世界の舞台で戦う同学年の姿に目を奪われていた。東京五輪で森下(広島)、伊藤(日本ハム)が日本代表の一員として金メダルを獲得。「感動して鳥肌が立った。同世代が投げていてすごいな、と」と振り返る。自身は京都・龍谷大平安高2年時に選抜大会で優勝した。輝かしい実績だが「過去の栄光だから」と今を見つめる。「いつかは自分も」。同世代に負けじと、日の丸を背負える存在になる日を思い描く。

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