オリックス(3対3)ロッテ =クライマックスシリーズ3回戦(2021.11.12)・京セラドーム大阪=
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ロッテ
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ORIX
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勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【ロッテ】中村 奨吾(1号・8回表ソロ)
【オリックス】宗 佑磨(1号・6回裏2ラン)

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◆オリックスが25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。オリックスは1点を追う6回裏、宗の2ランが飛び出し、試合をひっくり返す。その後は逆転を許すも、9回に無死一二塁から小田が適時二塁打を放ち、同点とした。一方のロッテは2度のリードを守れず、ファイナルステージで敗退となった。

◆パ・リーグのファイナルステージ第3戦の先発メンバーが発表された。オリックスの4番杉本裕太郎外野手(30)は11日の第2戦で決勝2ランを放った。今季ロッテとの公式戦ではカード別最多の13本塁打と相性が良く、2戦連発に期待がかかる。

◆ロッテの1年が壮絶に終わった。最後は、9回のマウンドで腕を振り続けた益田直也投手(32)がまさかの3連打を浴びた。1点のリードを守りきれず、日本シリーズ進出の可能性が消滅。井口資仁監督(46)は「うちの守護神なんで、しょうがないです」。責めることはなかった。 2戦連続で無得点に終わった。荻野、和田の盗塁王コンビを1、2番に据えて先制点にも絡んだが、試合中盤の沈黙が響き、最後は1点を守りきれなかった。「優勝と2位の違いなのではないかなと思います」。 得点数こそリーグ1位も、打率は2割3分9厘にとどまった。春季キャンプから安田、藤原、山口が強化指定され、松中臨時コーチらが下半身主導の打撃を指導し続けた。それぞれ輝く時期はあったものの、レギュラー獲得には至らず。3人とも最後の試合はスタメンにいなかった。「そんなに簡単に結果が出るものじゃないので、辛抱強くやるしかないと思います」。レアード、マーティン頼みから脱却できなかった。 2年連続2位ながら昨季はソフトバンク、今季はオリックスにCSで戦力差を見せつけられ、1つも勝てなかった。「2年連続でファイナルで負けて、ここも自分たちの力で勝ち上がっていかないといけないと思います」。日本一は決して近くない。それが現実だ。井口監督が就任し、来季で5年目になる。もう2位はいらない。休日は帰京のための1日のみ。14日から、チーム内の厳しい戦いが始まる。【金子真仁】

◆シーズン2位のロッテが1分け3敗(アドバンテージ含む)の白星なしで"終戦"した。 主将の中村奨吾内野手(29)はシリーズを振り返り「完敗だなと思います。シーズンのような戦い方ができなかった。結果だけ見ると(3試合とも接戦で)そこまで差がある結果ではないですけど、ここ一番で優勝できたチームとできなかったチームの差かなと思います」と話した。 2-2で迎えた8回1死では、ヒギンスの初球を捉えて一時勝ち越しのソロを放った。逃げ切れば勝ちだった。「同点だったので、同点でもダメ(敗退)な状況で、何とかつないでという気持ちで打席に入りました」。3回の犠飛も含めて2打点。プレーで引っ張った。 2年連続のCSファイナルステージでの敗退に「もう少し、という思いはきりがない。また前を向いて、来季へ向けて明日からやっていきたい」と話した。

◆鬼采配がCS史上初のドラマを生んだ。オリックスが1点を追う9回無死一、二塁。途中出場の小田がバントの構えを見せた。そこから一転、初球バスターの強攻に打って出た。打球は一塁線を抜けた。ヒーローは両拳を突き上げると、歓喜のウオーターシャワーを浴びた。"サヨナラドロー"で日本シリーズ進出が決定。中嶋聡監督(52)の奇策が的中した。 「もちろん、バントの頭もあった。ただ、向こうの守備(陣形)も考えて...。選手を信じて、つなぐことを頭に入れた。最高の結果。しんどかったです! 全員で勝つことができてよかった!」 2軍監督に就任した19年から、選手に伝え続けた言葉がある。「責任は取る。サインを実行して失敗したら、こっちの責任。だから、何も考えなくていい。真っすぐに挑戦してほしい」。勝ちに対する執念、マインドを植え付けて3年目。2年連続最下位のチームは変わった。「今日みたいに、最後まで絶対に諦めない気持ちがある」。1勝するたびに、覚える快感。その連続が、新生オリックスを支えている。 交流戦優勝は無観客試合。リーグ優勝決定時も、スタンドにファンは入場できなかった。この日、初の歓喜セレモニーに立った指揮官は「優勝しました! 日本シリーズも決めました! あとは、その先まで行きたいです!」と日本一を約束。最後はファンの前で3度、宙に舞った。 対戦相手は中嶋監督が現役時代の95年に日本シリーズで敗れたヤクルトに決まり「(前回は)負けてますので、なんとかやり返したい」と気持ちを込めた。 20日に本拠地・京セラドーム大阪で開幕する日本シリーズは、第6、7戦をほっともっと神戸で開催予定。「帰ってこないようにしたいですけど、神戸で決めたい気持ちもある。全員で戦っていきます!」。25年前に描いた青写真に、トライする。【真柴健】 ▽オリックス山本(第1戦で完封)「初戦ということでCSの勝利を左右する1試合。思い切って投げました。若手の選手が思い切ってできる環境をつくってくれている。監督のおかげだと思っています。本当に監督のおかげ」 ▽オリックス吉田正(1カ月前の右手首骨折からCSで復帰したばかり)「ゲームの中で今までの経験などで対応していくしかない。日本シリーズという舞台を勝ち取った。最後、優勝して日本一で終えたい」 ▽オリックス海田(7回に救援して先頭マーティンに中前打を浴びて降板)「今日の結果は受け止めて次に生かすだけ。任されたイニングを抑えるだけ」

◆ロッテがCSファイナル3戦目、21イニング目にして初得点を取った。 3回、この日1、2番を組んだ荻野貴司外野手(35)和田康士朗外野手(22)の今季盗塁王コンビが連打で1死二、三塁に。3番中村奨吾内野手(29)が中堅へ犠飛を放った。 アドバンテージも含め、試合前の時点でオリックスに0勝3敗。日本シリーズ進出へもう後がない状況で、貴重な先制点になった。

◆日本シリーズ進出へ王手をかけているオリックスが3戦目で初めて失点した。 3回に先発の山崎颯一郎投手(23)が長短打で1死二、三塁とされ、中村奨に先制犠飛を許した。続くレアードに四球を与えたところで、中島聡監督(52)は球審に左腕富山へのスイッチを告げた。早めの継投策に入った。 今季1軍デビューしてCSでも先発に抜てきされた5年目右腕は「少し力みもあったかもしれませんが、何とか期待に応える投球がしたかったですし、毎回走者を許してしまったりと流れを作れなかったことが悔しいです」と残念がった。

◆オリックスが宗佑磨内野手(25)の2ランで逆転した。 0-1の6回1死一塁。ロッテ岩下の浮いたフォークを完璧にとらえ、右翼席に運んだ。ベンチに戻るとナインと飛び跳ねながらハイタッチを交わした。 「後ろにはマサさん(吉田正)がいましたし、何とか走者を進めて、塁に置いた状態で回そうと思っていた。最高の結果になってめちゃくちゃうれしいです」と興奮気味だった。 岩下はこの直前にベンチに下がって簡単な治療を受けてマウンドに戻った。宗はその初球を狙いすましたように強振した。オリックスは前日11日も、ロッテ先発美馬が負傷交代した直後の初球に、杉本が決勝2ランを打ち込んでいた。 宗は10月12日、同じ京セラドーム大阪でのロッテ戦でもAクラスを確定させる劇的な同点2ランを放っていたが、それを思い起こさせるシーンだった。

◆オリックスのセサル・バルガス投手(29)が球団最速の159キロを計測した。 5回から3番手で登板し、2イニングをパーフェクト。5回の和田への4球目はボール球になったが159キロを記録した。 快速右腕は今年8月にBCリーグ茨城から加入。故障もありレギュラーシーズンでは5試合登板にとどまっていたが、CS初登板で大きなインパクトを残した。 球団の過去最速は158キロで、山口和男、今年のK-鈴木がマーク。山本由伸も侍ジャパンで出場した19年のプレミア12で記録している。

◆約1カ月ぶりの先発登板だったロッテ岩下大輝投手(25)は、悔しい1発を浴びての降板となった。 5回まで1安打無失点と好投。6回1死、オリックス福田に右前打を打たれたところで右手を気にするそぶりを見せ、治療のためベンチに下がった。 まもなくマウンドに戻ったが、初球フォークを宗に一時逆転の2ランとされた。「試合の入りと、先制点を取った後の守りはうまく集中できていてよかったのですが、最後の詰めが甘くなってしまいました。そこはよくないこと。爪が割れた後、ちょっと簡単に入ってしまった。もっと慎重にいくべきでした。絶対に負けられない戦いでの失投、失点はチームに申し訳なく思います」と話した。 シーズン終盤からリリーフ待機していたため、先発は10月15日のソフトバンク戦以来だった。

◆オリックスが25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。 0-1の6回に宗の2ランで逆転。その後再逆転を許したが、1点を追う土壇場9回に追いつき、シリーズ突破を決めた。 「同点」で攻撃中にもかかわらず、サヨナラと同じように試合が打ち切られる異例の幕切れとなった。 対戦成績を3勝1分け(アドバンテージ1勝含む)とした。6試合制の今シリーズは残り3試合。全敗しても負け越しがなくなったため、レギュラーシーズンで優勝しているオリックスの勝ち上がりが決まった。

◆ロッテが先制した。3回1死二、三塁から中村奨が左犠飛を放ち、CSファイナルステージ3戦目で初の得点を挙げた。 オリックスが逆転に成功した。1点ビハインドの6回1死一塁、宗が右翼へ逆転2ラン。投手陣も継投で追加点を許していない。 オリックスが25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。1点を追う土壇場9回、小田の適時打で追いつき、シリーズ突破を決めた。

◆オリックスが、日本シリーズ進出を決めた。パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦(京セラドーム大阪)。終盤に中継ぎ陣が粘れずに一時は逆転を許したが、土壇場の9回に追いつき、引き分けに持ち込んだ。20日から始まる日本シリーズでは、セ・リーグの覇者ヤクルトと対戦する。

◆オリックスがクライマックスシリーズ・ファイナルステージを突破し、96年以来、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。 1点を追う9回無死一、二塁。決めたのは、伏兵の代打小田裕也外野手(32)だ。バントの構えにロッテは一塁、三塁が猛チャージするバントシフトを敷いた。この瞬間、一転して強攻。一塁線を破る適時打で同点に追いつき、引き分けに持ち込んだ。土壇場で中嶋聡監督(52)の采配が光った。指揮官はお立ち台で開口一番「えー、しんどかった。最高の結果になってよかった。最後の最後まで絶対にあきらめない戦いを多くできている。優勝しました!」と振り返った。

◆オリックスがロッテに3-3で規定により引き分け、リーグ優勝のアドバンテージ1勝を加えて3勝1分けとし、96年以来、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。 1点を追う9回、代打小田裕也外野手(32)が奇襲のバスターで一塁線を破る"サヨナラ同点決勝打"を放った。中嶋聡監督(52)の場内インタビューは以下の通り。 ? -いまの気持ち え~、しんどかったです。 -強攻で幕切れ 選手を信じて、つながることを頭に入れなから、最高の結果になりまして良よかったです。 -小田のバスター もちろんバントの頭もありました。守備もありますし、いろいろ考えながらいきました。 -いろんな選手が活躍 皆さんが持っている、全員で勝つというタオルのごとく、ありがとうございます。それができてよかったです。 -投手陣は今日の3失点だけ 短期決戦で、あまり後に響かないようにいこうと思いました。つなぎでいこうと思いました。 -今年のチームの強さ 本当に最後の、今日の最後みたいに、絶対にあきらめない形が、すごくできていると思います。 -ファンに声を届けられる いや、あまり、得意じゃないんで(笑い)。でも、そうですね。優勝しました! そして、日本シリーズも決めました! あとはもう、その先まで行きたいです。 -監督が現役時の25年前に日本一を決めて以来の日本シリーズ。ヤクルトが対戦相手 負けていますので、何とかやり返したい。 -日本シリーズへの思い 頑張ってきます。スタートがここですので、まずここで勝って、帰って来れないようにしたいですけど、神戸で決めたい気持ちもありますので。なんとか、全員でやっていきます。

◆オリックス杉本裕太郎外野手(30)がクライマックスシリーズの最優秀選手賞に輝いた。第2戦の11日、6回に左翼へ決勝2ランを放ち、チームに勢いをもたらした。 この日は1点を追う8回2死一、二塁の同点機で佐々木千の外角低めスライダーに空振り三振だった。3打数3三振だったが、今季32本塁打でリーグ本塁打王のパワーを見せつけ、主砲らしく日本シリーズ進出に導いた。

◆オリックス宗佑磨外野手(25)の放物線を見届けたオリックスファンは、歓喜の再現を確信したはずだ。背番号6がまたやってのけた。 0-1の6回1死一塁だ。ロッテ岩下の浮いたフォークを完璧にとらえる。打球はぐんぐん伸びて右翼へ。右手を突き上げ、ベンチに戻るとナインと跳びはねながら何度もハイタッチを交わした。 「一発でしとめられてよかった。後ろにはマサさん(吉田正)がいましたし、何とか走者を進めて、塁に置いた状態で回そうと思っていました。いい打者が多いので僕はこまごましたことをせずと思っていました。最高の結果になって、めちゃくちゃうれしいです」 ベンチに座ると少し目をうるませた。これも「あの時」と同じだ。 10月12日、同じ京セラドーム大阪でのロッテ戦。8回にAクラス入りを確定させる劇的な同点2ランを放っていた。悔しさ、感激。宗は試合中にもかかわらず、ベンチで涙をこぼした。オリックス躍進のシーズンを象徴するシーンになった。 勝負勘がさえた。岩下はこの直前にベンチに下がって簡単な治療を受けてマウンドに戻った。その初球を狙いすまして強振した。実は前日11日も、ロッテ先発美馬が負傷交代した直後の初球に、杉本が決勝2ランを打ち込んでいた。 小田の一打が一塁線を抜けると、先輩、後輩構わず抱き合い、喜びを体で表現した。 「全員で最後まであきらめずに食らいついていった結果です。興奮しすぎて、ちょっと信じられないですね。ここまで来たら何が何でも日本一になってやるという気持ちです。向こうもそうだと思うので、いい戦いをしたいです」 オリックスが日本一になった96年に生まれた25歳。最高の勢いをつけて、初の大舞台へ、若武者が飛び込む。【柏原誠】

◆シーズン2位のロッテが1分け3敗(アドバンテージ含む)の白星なしで"終戦"した。 勝利が目前ですり抜けた。8回に主将・中村奨の勝ち越しソロで1点リードを奪い、9回裏、守護神益田が今ステージ初のマウンドへ。まさかの先頭から3連打と打ち込まれ、同点の走者が生還した時点で規定によるコールドゲームとなった。1つもアウトを取れず、ぼうぜんと空(くう)を見つめるしかなかった。 2試合連続0封負けから、打線を組み替えて臨んだ。井口資仁監督は「なかなか調子が上がってこない選手が多い中で、何とか点を取って逆転しましたが、最後守りきれないのは、優勝と2位の違いなのではないかなと思います」。昨季に続いて、2年連続のCSファイナルステージ敗退となった。「ここも自分たちの力で勝ち上がっていかないといけない。あさってから練習。また来季に向けてしっかりスタートしたい」と話し、強化したい部分を「すべて」と言った。

◆オリックスがクライマックスシリーズファイナルステージを突破し、96年以来、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。1点を追う9回、代打小田裕也外野手(32)が奇襲のバスターで一塁線を破って同点打を放った。小田の会見での一問一答は以下の通り。 -日本シリーズ進出を決めた一打 小田 よかったなということしか...。日本シリーズが決まってよかったなと。 -歓喜の輪の中心 最高でした。久しぶりの感覚でした。 -あの打席は 小田 いろんなケースがあるなと頭の中で整理する時間があった。冷静に入ることができました。間があったおかげで整理する時間があった。ランナーを送れればという気持ちしかなかった。飛んだところがよかったな。一安心です。シーズン通して与えられたところできっちり仕事しようと思っていた。CSも変わりません。日本シリーズも準備して、結果はわからないですけど。 -日本シリーズは 小田 与えられたところで仕事こなせるように準備します。

◆オリックスが悲願の有観客での優勝セレモニーを行った。マウンド周辺に選手、スタッフが集結して記念撮影。 その後、整列し、吉田正選手会長が音頭を取って、日本シリーズに向けてファンと気勢を上げた。シャンパン形のボードを持ち「皆さん、お疲れさまです。ナイスゲームでした! 3試合しかなく、チケットを買った方はアレですけど、日本シリーズ、絶対に勝ちます! 全員で勝つ!」と声を張り上げた。場内一周後、安達が逃げる中嶋監督をダッシュでつかまえ、サプライズの胴上げを行った。指揮官は3回、宙を舞った。リーグ優勝を決めた10月27日は試合がなく、無観客のなか、喜びを分かち合っていた。

◆オリックス杉本裕太郎外野手(30)がクライマックスシリーズの最優秀選手賞(MVP)に輝いた。「(山本)由伸かと思った。びっくりです」と照れ笑いした。 第2戦で決勝2ラン。リーグ最多32本塁打のパワーを見せつけた。自身初の日本シリーズに向けて「2戦目だけ打てたけど1、3戦目は何もしてないので全試合貢献できるようにしたい」と、さらなる活躍を誓った。 賞金の使いみちについては「みんなに何か買ってこいと言われているので、何か差し入れしたい」と豪快に笑った。

◆セ・リーグはヤクルトが、パ・リーグはオリックスがともに3勝1分け(アドバンテージの1勝含む)で日本シリーズ進出を決めた。 ? 日本シリーズは20日に京セラドーム大阪で開幕する。ヤクルトは本拠地の神宮球場で明治神宮大会が開催されるため、ホームゲームの第3~5戦を東京ドームで行う。オリックスは第1、2戦が京セラドーム大阪。第6、7戦は音楽ライブと重なったため、ほっともっと神戸で開催する。

◆オリックス2番手の富山凌雅投手(24)が火消しに成功した。 3回に1点を先制され、2死一、二塁で登板。角中を遊ゴロに仕留め、追加点を与えなかった。4回は2者連続空振り三振を奪うなど無失点。ロッテ打線を勢いづかせず救援の役目を果たした。中嶋監督は「投手が頑張って、点が入らない状況を耐えてくれた」とたたえた。今季は51試合に登板して成長した左腕が、大一番でも力を発揮した。

◆チーム野手最年長のオリックスT-岡田外野手(33)が決勝点への足がかりを作った。9回先頭で打席に立つとロッテ益田の128キロを右前へ運んだ。バトンタッチした代走の山足が決勝のホームを踏んだ。4回には同点機で空振り三振に倒れたが、2安打でCS突破に貢献した。

◆オリックス吉田正尚外野手が、不屈の闘志で日本シリーズ進出に貢献した。右尺骨骨折から1カ月少々での戦列復帰。この日は3打数無安打だったが、1戦目に1本、2戦目に2本の安打を刻み、不動の3番として役目を果たした。 シーズン終盤の10月2日ソフトバンク戦で右手首付近に死球が直撃した。悪夢の骨折から回復に努めてきたが万全ではない。毎朝、起きたとき、患部の状態を気にしてきた。「朝が一番分かりやすい。そのなかでプレーできる。悪くならない判断での出場」と明かした。試合時は痛み止めも処方されながら、傷が癒えてなくても全力を尽くした。 試合前の打撃練習ではセンターから逆方向にライナーを連発。最短のスイング軌道で白球をとらえ、感覚を確かめる。「自分が思い描くようなスイング、打球とはほど遠い。やれる範囲で出し切っている」。球界随一のバットさばきでロッテ投手陣の脅威になった。 気迫の強行出場だ。「11月10日ファイナル。自分の中で逆算、イメージしながら準備を心がけてきた」と振り返った。「日本一、ここまで来たらとりたい」。守備に就く準備も整え、自身初の頂点に挑む。【酒井俊作】

◆オリックスのエース山本由伸投手は、日本シリーズでもヤクルト打線の脅威になりそうだ。第1戦の10日、自身の連勝を16に伸ばす10奪三振完封で勢いをつけた。 この日は仲間の奮闘を見届け「今日、決めてくれることを願って待っていました。初戦でCSの勝利を左右する1試合。思い切って投げた」と振り返った。自身の連勝が始まったヤクルトとの頂上決戦。「日本一になれるよう、精いっぱい腕を振っていきます」と話した。

◆オリックス安達了一内野手も9回のサヨナラ劇に貢献した。9回にT-岡田が安打で出て無死一塁となって、初球に試みたバントをファウル。 しかし2球目でヒッティングに切り替えて、バントシフトで空いた三遊間をあざ笑うように破って好機をつくった。T-岡田らとともに日本人野手最年長の33歳は「脇役なので、そこをしっかりやっていきたい」と臨んだCSで仕事人ぶりを示した。

◆オリックスがクライマックスシリーズファイナルステージを突破し、96年以来、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。1点を追う9回、途中出場の小田裕也外野手(32)が奇襲のバスターで一塁線を破って決勝点を奪った。中嶋聡監督(52)の記者会見での一問一答は以下の通り。 -劇的な幕切れ。強攻策は 一番聞かれたくない質問です。まったく答えません。 -選手を信じてのタクトは 監督 いつも、信じています。 -ストレートの勝ち上がりだった 投手が頑張って点が入らない状況を耐えてくれた。最後の最後に野手が点を取ってくれた。 -初戦は山本が1人で投げきった 後ろを楽にしてくれた。山本様です。 -投手陣は失点がほぼなかった いい調整できてそのままのなか、いい調整をしてシリーズを迎えたい。 -勝負強さも見せた打線は まだまだ本調子に、ほど遠い。しっかり調整し直して、自分が何をできるのかを考えてやってほしい。 -守備は よく守りました。いいプレーも出た。まだまだやれることはある。 -吉田正が故障から帰ってきた 本当にいけるかどうか、チーム全体が思っていました。そこにしっかり帰ってきて、存在感を見せて、安心感を与えてくれた。 -いよいよ日本シリーズ これから考えます。 -相手はヤクルト それも、これから考えます。 -ファンに 1つ1つ勝って最後にみんなで喜び合いたい。応援してください。 -短期決戦の課題は もちろんあるのですが、人様に言えるほどのことじゃないので。 -選手の活躍は 自分のプレーをしてくれたらいいと思ったので、そういう環境をつくればいいと思っていた。これからもっともっと成長していくチームです。

◆オリックスがクライマックスシリーズファイナルステージを突破し、96年以来、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。1点を追う9回、途中出場していた小田裕也外野手(32)が奇襲のバスターで一塁線を破って同点打を放った。スペシャリストに生きる。オリックス小田は今季自身最多の101試合に出場したが、先発は2試合。何度も聞いた「スタメンと変わらない準備だよ」。ギラつく胸中を抑え、心を整える。今季の安打は6月1日阪神戦(甲子園)での1本だけ。代走、守備固めとして1年間、ベンチ最前列で戦況を見守る「必要戦力」だった。 代走直前には狭いベンチ裏通路でジャンプを繰り返す。「準備できてなくて、迷惑かけるといけないから」。この日、決めたバスターは、フリー打撃の初球で必ず練習する。「誰でも、攻めたミスはある。ただ、僕らの立場は...。信頼を積み上げるのは大変だけど、失うのは一瞬だから」。日本シリーズ進出を決める一振りは「積み重ねた準備」によるものだ。 32歳。渋みが増した顔で笑う。「やっと、チームの輪に入れた」。ラストピースがはまった。【オリックス担当=真柴健】

◆鬼采配がCS史上初のドラマを生んだ。1点を追う9回無死一、二塁。途中出場の小田がバントの構えを見せた。そこから一転、初球バスターで強攻。強気に打って出ると、打球は一塁線を抜けた。ヒーローは両拳を突き上げ、歓喜のウオーターシャワーを浴びた。"サヨナラドロー"で日本シリーズ進出が決定。中嶋監督の奇策が的中した。 「バントの頭もあった。ただ、向こうの守備(陣形)も考えて...。選手を信じて、つなぐことを頭に入れた。最高の結果。全員で勝つことができてよかった! しんどかったです!」 中嶋イズムが浸透している。2軍監督に就任した19年から、選手に伝え続けた言葉がある。「責任は取る。サインを実行して失敗したら、こっちの責任。だから、何も考えなくていい。真っすぐに挑戦を」。勝ちに対する執念、マインドを植え付けて3年目。「臆することない環境をつくってあげたい」と選手を思い、2年連続最下位のチームは変わった。「絶対に最後まで諦めない気持ちがある」。1勝するたびに、覚える快感。その連続が、新生オリックスの快進撃を生んだ。 交流戦優勝は無観客試合。リーグ優勝決定時も、スタンドにファンは入場できなかった。この日、初の歓喜セレモニーに立った指揮官は「優勝しました! 日本シリーズも決めました! あとは...その先まで行きたいです!」と日本一を約束。最後はファンの前で3度、宙に舞った。 対戦相手は中嶋監督が現役時代の95年に日本シリーズで敗れたヤクルトに決まり「なんとかやり返したい」。20日に本拠地・京セラドーム大阪で開幕する日本シリーズは、第6、7戦をほっともっと神戸で開催予定。「帰ってこないようにしたいですけど...神戸で決めたい気持ちもある」。悲願へ愚直に突き進む。「まだ集大成じゃない。全員で戦っていきます!」。26年前に描いた青写真に、トライする。【真柴健】 ▼オリックスがCSファイナルSを制し、96年以来25年ぶり13度目の日本シリーズ出場を決めた。日本シリーズの出場ブランクで25年ぶりは4位タイ(最長は98年横浜の38年ぶり)。 ▼オリックス中嶋監督は就任1年目。新人監督のシリーズ出場は15年の工藤監督(ソフトバンク)真中監督(ヤクルト)以来18人目。無傷でプレーオフ、CSを突破した新人監督は12年栗山監督(日本ハム)15年工藤監督(ソフトバンク)に次いで3人目。 ▽オリックス山本(第1戦で完封)「初戦ということでCSの勝利を左右する1試合。思い切って投げました。若手の選手が思い切ってできる環境をつくってくれている。監督のおかげだと思っています。本当に監督のおかげ」 ▽オリックス吉田正(1カ月前の右手首骨折からCSで復帰したばかり)「ゲームの中で今までの経験などで対応していくしかない。日本シリーズという舞台を勝ち取った。最後、優勝して日本一で終えたい」 ▽オリックス海田(7回に救援して先頭マーティンに中前打を浴びて降板)「今日の結果は受け止めて次に生かすだけ。任されたイニングを抑えるだけ」

◆負けたら終戦と後がないロッテの井口資仁監督(46)は2戦連続で零封負けを喫しているとあって、第3戦で大幅にスタメンを変更した。 ファーストステージも含め、全4試合で中堅手で先発出場していた岡に代わり、パ・リーグ盗塁王となった和田を起用。右翼手は山口に代わり好打者の角中が入り、捕手は柿沼が先発マスクをかぶる。3選手はいずれも今季のCS初スタメンとなる。

◆オリックス・山崎颯一郎投手(23)が先発登板したが、2回?を投げ1失点で降板した。 一回は荻野、和田と打ち取る。2死から中村奨に左前打を浴びたが、レアードを137キロの変化球で空振り三振に斬った。二回も先頭の角中に左前打を浴びたが無失点。投手戦に持ち込みたいところだったが、三回に崩れた。 1死から荻野に内野安打。続く和田に左翼線二塁打を浴びて二、三塁とされると中村奨に左犠飛。今シリーズ、チーム初失点で先制を許した。なお2死二塁でレアードに四球を与えたところで、ベンチが動いた。左腕・富山にスイッチ。角中を遊ゴロに抑えて、最少失点でしのいだ。

◆負けると終戦となるロッテが、三回に先制点を奪った。 1死から内野安打の荻野を一塁に置き、CS初スタメンの和田が左翼線への二塁打で二、三塁とすると、中村奨が左犠飛を放った。CSファイナルステージでは2戦連続で零封負けを喫していたロッテにとっては、楽天のファーストステージ第2戦の七回にマーティンが放った本塁打以来、22イニングぶりの得点となった。

◆オリックス・宗佑磨外野手(25)が逆転2ランを放った。0-1の六回1死、福田が右前打で出塁。するとロッテ先発・岩下は治療のため、一度ベンチに戻った。ロッテベンチの選択は続投。試合再開の1球目、132キロフォークを右翼席に運び去った。一塁を回ったところで右腕を突き上げてガッツポーズ。ベンチ前に戻ってくるとハイタッチの嵐だ。 宗は今季、レギュラーシーズンで139試合に出場してキャリアハイの9本塁打。7年目の2021年、ようやく花開いた才能だった。勝てば25年ぶりの日本シリーズ進出が決まる一戦で、大きすぎる一撃で球場のムードを一変させた。

◆ロッテが1-2の七回2死二塁から代打・佐藤都志也捕手(23)の中前適時打で同点に追いつき、「絶対に負けられない試合なのでくらいついてヒットにすることができて良かったです」と気合をみなぎらせた。 生還した二走・マーティンは先頭打者として中前打で出塁後、続くエチェバリアの左中間への飛球(左飛)でタッチアップし二進していた。2死から佐藤都の一打で一気に生還した。マーティンは9月19日の日本ハム戦での自打球で右足甲を骨折。10月上旬に戦列復帰したが、万全ではない状態でのプレーが続いている。

◆オリックスは九回に同点に追いつき、リーグ優勝のアドバンテージも含めて対戦成績は3勝1分けとなった。1996年以来、25年ぶりの日本シリーズ(20日開幕、相手はヤクルト)進出を決めた。 先発は高卒5年目右腕の山崎颯。二回1死二、三塁で中村奨に左犠飛を許し、先制された。2回?を投げて1失点で降板。その後は富山、バルガスとつなぎ、五回を終えて0-1と何とか試合を作っていった。 ひっくり返したのは六回だ。1死から福田が右前打で出塁し、打席には宗。するとロッテ先発・岩下は治療のため、一度ベンチに戻った。ベンチの選択は続投。試合再開の1球目、132キロフォークを右翼席に運び去った。一塁を回ったところで右腕を突き上げてガッツポーズ。ベンチ前に戻ってくるとハイタッチの嵐だ。 しかし、七回2死二塁から吉田凌が代打・佐藤に中前適時打を浴びて2-2の同点に。八回1死からはヒギンスが中村奨に左翼席へ勝ち越し弾を浴びた。 2-3のまま、試合は九回へ。ロッテは守護神・益田を送り込んだ。先頭のT-岡田が右前打。続く安達はバントの構えからバスターで左前打だ。無死一、二塁で打席には小田。その1球目、小田もバスターで一塁線を破った。二走・山足がホームインで同点。25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。

◆ロッテは3-2の九回に守護神の益田がT-岡田、安達の連続安打で無死一、二塁のピンチを招くと、途中出場の小田に一塁線を破る同点打を許した。これにより、ロッテはファイナルステージでの通算成績でオリックスを上回ることができずにCS敗退が決まった。 楽天とのCSファーストSでは第1戦で5-4のサヨナラ勝ち、第2戦は4-4のドローで突破。オリックスに1勝分のアドバンテージがあったファイナルSは第1戦に0-1、第2戦で0-2、そしてこの日のドロー。終戦を迎えたものの、すべて2点差以内の接戦で、ファンを夢中にさせるシリーズとなった。

◆オリックスが執念ドローで1996年以来、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。リーグ優勝のアドバンテージも含めて対戦成績を3勝1分けとした。試合後、グラウンドで中嶋聡監督(52)が優勝インタビューに応じた。 --劇的な幕切れ。今の心境は 「しんどかったです」 --九回は強攻策で結果につなげた 「選手を信じて、つながることを頭に入れながら、最高の結果になりまして。よかったです!」 --バントの選択も 「もちろんバントもありましたけど、向こうの守備もありますし。いろいろ考えながらいきました」 --最後は小田が決めた。今年はいろんな選手が活躍する 「みなさんが持っている『全員で勝つ』というタオルのごとく。ありがとうございます。それができてよかったです」 --投手陣も3試合で3失点 「短期決戦ということですので、あまり後に響かないようにいこうと思っていました。つないでいこうと思っていました」 --改めて今年のチームの強さ 「本当にきょうの最後みたいに、絶対に諦めないという形がすごくできていたと思います」 --リーグ優勝のときはファンの前で決められなかった。ファンに声を届けられるのは 「あまり、得意じゃないので(苦笑い)。でも、そうですね。優勝しました!(球場内が拍手) そして、日本シリーズを決めました! あとはその先までいきたいです」 --25年ぶりの日本シリーズ。対戦相手はヤクルト 「負けていますので、何とかやり返したいと思います」 --ファンに向けてメッセージ 「頑張ってきます! スタートはここですので、まずここで勝って帰ってこれないようにしたいですけど。(6戦目以降の)神戸で決めたい気持ちもありますので、何とか全員でやっていきます!」

◆ロッテは2年連続でCSファイナルSで敗退となり、井口資仁監督(46)は「自分たちの力でもう一回勝ち上がっていかなきゃいけないと思います」と胸中を述べた。 1点を追う七回に代打・佐藤都の中前適時打で同点。引き分けでも敗退となるなか八回に中村奨の左越えソロで1点を勝ち越したが、九回に守護神の益田がつかまり、同点とされ、終戦となった。 指揮官は「調子が上がってこない選手もいるなかで、なんとか点を取って逆転したんですけどね。最後守り切れないというところで、優勝と2位の違いなんじゃないかなと思います」と振り返った。

◆第2戦で2点本塁打を放ったオリックスの杉本がMVPに輝いた。「率直に僕じゃないと思った」と驚いていた。 この日は無安打。九回の攻撃については「つないで追い付いてくれたので助かった。みんな、すごいな」と感嘆していた。 パ・リーグの本塁打王。25年ぶりの日本シリーズに向けて「全試合、勝ちに貢献できるように頑張る」と活躍を誓った。

◆右手首骨折から復帰したばかりのオリックスの吉田正は、3試合を戦い抜いた。この日は3打数無安打に終わったが「思い描くスイング、打球には程遠いけど、出る以上はベストを尽くすことだけを考えていた」と充実感を口にした。 杉本とともに打線の中軸を担い、相手に与える脅威は絶大。初めて挑む日本シリーズに向け、選手会長は「個人よりもチーム。日本一で締めたい」と意欲的に語った。

◆オリックス・杉本裕太郎外野手(30)がクライマックスシリーズ・ファイナルステージのMVPに輝いた。 「率直に僕じゃないと思いました。びっくりしました。(山本)由伸だと思いました」 11日の第2戦に決勝2ランを含む3安打。3試合で計9打数3安打1本塁打と、日本シリーズ進出に貢献した。賞金100万円を獲得し「みんなに『何か買ってこい』といわれたので、何か差し入れしたいと思います」とニッコリ笑った。 日本シリーズは20日に開幕する。プロ6年目で初の頂上決戦に「(CSでは)2戦目だけ打てて1戦目と3戦目は何もしていないので。全試合、勝ちに貢献できるように頑張ります」と闘志を燃やした。

◆オリックスが1996年以来、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。試合後の共同記者会見には中嶋聡監督(52)、山本由伸投手(23)、吉田正尚外野手(28)、小田裕也外野手(32)が出席した。 山本は第1戦となった10日に無四球完封。ロッテ打線を完璧に抑え、勢いを封じた。「とにかくきょう決めてくれることを願って待っていました。(1戦目を振り返って)初戦ということで、クライマックスを左右する1試合になると思っていたので。思い切って投げました」。投手陣は3試合を終えて3失点。最高のスタートを山本が切り、守備力が光っての日本シリーズ進出だ。 20日に開幕する日本シリーズではヤクルトとの対戦する。山本は5月28日の交流戦(京セラ)で先発し、7回2失点で白星を挙げた。シーズン15連勝という道は、このヤクルト戦から始まった。きたる決戦に向けて「コンディションだったりを整えられるように、気を引き締めてやっていきたい」と力を込めた。

◆オリックスがクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを制し、1996年以来25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。最優秀選手(MVP)には第2戦で勝利を決める2ランを放った杉本裕太郎外野手(30)が選ばれた。全員が一つとなって、日本一への挑戦権を手に入れた。CSのMVPは杉本だ。本人は驚きの表情だったが、しっかり足跡を残した初の大舞台だった。 「率直に僕じゃないと思いました。びっくりしました。(山本)由伸だと思いました」 10日の第1戦で完封勝利を果たしたエース山本の名を挙げ、少し遠慮気味。それでも主砲の存在感は際立っていた。11日の第2戦で決勝2ラン含む3安打。3試合で計9打数3安打1本塁打2打点だ。この日は2-3の八回2死一、二塁で空振り三振に倒れたが「最後みんながつないでくれたので。すごくうれしかった。みんなすごいなと思いました」。全員で勝った代表として、勲章を受け取ったのが杉本だ。 賞金100万円を獲得。使い道について問われても〝みんなのため〟だ。 「みんなに『何か買ってこい』と言われたので、何か差し入れしたいと思います」 6年目の今季はシーズン134試合に出場。32本塁打で初の本塁打王に輝いた30歳の遅咲きだ。頂上決戦の対戦相手はヤクルトに決定。5月の交流戦では3試合で12打数4安打1本塁打と好結果を残した。「いい感じで打てたので、いいイメージで入っていきたいと思う」と闘志を燃やす。待ちきれない日本シリーズは20日に開幕する。 「2戦目だけ打てて1戦目と3戦目は何もしていないので。全試合、勝ちに貢献できるように頑張ります」 心から笑うためにも、自分が打ってチームを勝たせる。一片の悔いも残さない。(竹村岳)

◆クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは第3戦が行われ、パ・リーグ覇者のオリックスはロッテと3-3で規定により引き分け、リーグ優勝のアドバンテージ1勝を含めて3勝1分けとし、25年ぶり13度目(前身の阪急時代を含む)の日本シリーズ進出を決めた。采配が光った中嶋聡監督(52)率いる猛牛軍団は、20日開幕の日本シリーズでセ・リーグ覇者ヤクルトと対戦し、1996年以来の日本一を目指す。2─3の九回無死一、二塁。打席の小田はバットを寝かせて構えた。バントだ─。ロッテ一塁手の三木は、投球と同時に猛チャージ。すると、小田はヒッティングに切り替えた。打球は三木のミットをすりぬけ、右翼線へ。一塁ベンチを飛び出した中嶋監督は打球の行方を見届け、右こぶしを突き上げた。二走・山足が同点のホームを踏む。史上初の〝サヨナラドロー〟で、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。 「しんどかったです」 試合後、グラウンドでの監督インタビューでは率直な気持ちを口にした指揮官。短期決戦の難しさを痛感した。それでも、選手を信じて、策を講じた。2-3で迎えた九回。CS突破は翌日に持ち越しか...と思われたが、〝中嶋マジック〟が炸裂した。 先頭のT─岡田が右前打。続く安達は初球に送りバントを試みるが、ファウル。続く2球目はヒッティングに切り替え、バント警戒で大きく空いた三遊間を破る左前打で好機を拡大した。 無死一、二塁で打席に立った小田は主に守備固めと代走要員。それでも指揮官は信じていた。「思い切って行け」と背中を押し、バントの構えから初球を打たせた。2者連続での強行策が見事にはまり、指揮官は「もちろんバントもありましたけど、向こうの守備もありますし、いろいろ考えながらいきました」とうなずいた。 今季最多の1万8006人のファンの前で、自らが見極め、育て上げたチルドレンが躍動。無敗でCSを突破し、ファンに「優勝しました! そして、日本シリーズを決めました! あとはその先まで行きたいです」と宣言した。 インタビュー後は安達と伏見に促され、「怖いよ」と嫌がりながらも3度、宙を舞った。無観客だったリーグ優勝決定時とは違い、今度は大勢のファンの前で。 「誰もいないところより、ファンの皆さんの前でやれたというのはよかったですよ」 感慨深げに笑った。もちろん日本シリーズも全員で勝ちに行く。相手はヤクルト。現役時の26年前はイチローを擁しながらも1勝4敗で涙をのんだだけに、雪辱を期す。「負けていますので、なんとかやり返したいと思います」と力強く誓った。第1、2戦は本拠地・京セラドーム。神宮が使えないため東京ドームで戦った後、第6戦からは1996年に日本一を決めた、かつての本拠地・ほっともっと神戸という日程だ。「頑張ってきます! スタートはここ(京セラドーム)ですので、まずここで勝って、帰ってこれないようにしたいですけど...。(第6戦以降の)神戸で決めたい気持ちもありますので、なんとか全員でやっていきます!」日本シリーズはパ・リーグが8連覇中。今季のパ王者として負けるわけにはいかない。中嶋オリックスが25年ぶりの日本一へ、チャレンジする。(西垣戸理大)★伏兵・小田が決勝打 ◆...小田が見事に期待に応えた。2─3の九回無死一、二塁。バントの構えからバスターに切り替え、右翼線へ日本シリーズ進出決定となる同点打を放った。「バントの準備していたんですけど、打席に入る前に(中嶋)監督から『いろんなケースがあるから、気にするな、思い切っていけ』と言われていたので」。レギュラーシーズンでは主に守備や代走で存在感を見せてきた男が、大舞台で打撃でも貢献した。

◆オリックス・中嶋監督の戦況の見極め、選手を信頼した起用法は、さすがにパ・リーグを制したチームだと感心させられた。 第1戦の山本は勝ちが計算できるにしても、第2戦は初めてCSの大舞台で投げる田嶋が6回無失点。この日、山崎颯を三回途中で代えたのは早すぎかと思ったが、その後の救援陣が2失点で粘り、九回の同点劇につなげた。 攻撃でも指揮官の勝負勘がさえていた。九回は1点取ればいいので、無死一塁は犠打で確実に走者を進めるところ。一、二塁になれば、なおさらだ。ロッテの守護神・益田から5-7番が3連打なんて、普通は考えもしない。「ここは強攻策でいける」という勝負師の勘だ。信頼した選手たちが見事に期待に応え、監督冥利に尽きるだろう。 ロッテの投手陣が良かったこともあるが、打線は絶好調とはいえない。それはヤクルトも同じ。日本シリーズは投手力の勝負になると思う。 ただ、第4戦があれば宮城と佐々木朗の投げ合いだったはず。勝敗抜きで楽しみにしていた同級生対決がCSで実現せずに残念だったと、付け加えておきたい。(本紙専属評論家)

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