オリックス(☆1対0★)ロッテ =クライマックスシリーズ1回戦(2021.11.10)・京セラドーム大阪=
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ロッテ
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ORIX
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勝利投手:山本 由伸(1勝0敗0S)
敗戦投手:石川 歩(0勝1敗0S)
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◆オリックスがファイナルステージ初戦を制した。オリックスは1回裏、2死一二塁の好機からT-岡田が適時打を放ち、幸先良く先制する。投げては、先発・山本が9回無失点の完封。敗れたロッテは、打線が沈黙し、7回1失点と好投した先発・石川を援護できなかった。

◆パ・リーグのファイナルステージ第1戦の先発メンバーが発表された。オリックスは右尺骨骨折で離脱していた主砲の吉田正尚外野手(28)が「3番・DH」で先発メンバーに名を連ね、「福宗正杉」が復活した。

◆オリックス吉田正尚外野手(28)が右尺骨骨折からの復帰を果たし、第2打席で安打を放った。 「3番DH」で先発出場。四球を受けた10月2日ソフトバンク戦以来の公式戦となった。1回1死一塁で打席が回り、「吉田正尚」とコールされると観客からは大きな拍手が送られた。ロッテ石川の初球の148キロをはじき返すも、中飛に終わった。それでも久々の打席にベンチに戻る際に再び観客から拍手が送られた。 第2打席では復帰後初安打が生まれた。3回2死走者なし。1ストライクからの2球目を中前打として「H」ランプをともした。

◆チーム野手最年長のT-岡田外野手(33)が先制点をもたらした。 1回2死一、二塁で打席を迎えると、3ボール1ストライクからロッテ石川の148キロを引っ張り一、二塁間を破った。二塁走者の宗が生還すると一塁上でガッツポーズを作った。「まずは先制出来てよかったです! 試合はまだまだこれからですし、もっと援護出来るように、このあとも頑張ります!」とコメントした。

◆ロッテのアデイニー・エチェバリア内野手(32)が超絶美技で救った。 6回裏1死二塁。オリックス安達の打球は三遊間へ。遊撃手のエチェバリアは、球際にスライディングキャッチ。そのまま起き上がる反動だけで、一塁へ座ったまま遠投した。止めだけでも十分だったが、見事にアウトまでもぎとった。 続く紅林は左飛で、この回を無失点でしのいだ。1点を追う展開で、相手投手はパ・リーグ投手4冠の山本。もう1点も許せなかっただけに、価値あるプレーだった。

◆2位からの下克上を目指すロッテは、大事な初戦を落とした。 山本由伸投手(23)に4安打で完封負けを喫した。4回までは毎回安打でチャンスを作ったが、ホームは踏ませてもらえず。5回以降は5イニング連続3者凡退。パ4冠のエースに完璧に封じられた。 初回の1点が最後まで重くのしかかった。先発石川歩投手(33)が四球2つで、2死一、二塁のピンチを招き、T-岡田外野手(33)に右前適時打を許した。その後は再三のファインプレーもあり、オリックスに点を許さなかったが、スミ1に泣いた。 これでロッテは相手1勝のアドバンテージを含め、痛い"2敗目"となった。

◆オリックスがCSファイナルステージ第1戦に勝利し、アドバンテージの1勝を含めて2勝とした。 先発の山本由伸投手(23)がロッテ打線の前に仁王立ちした。投手4冠の力を見せつけるようにピンチでも冷静に切り抜けてスコアボードに0を並べた。後半は危なげない投球で9回完封勝ちを収めた。 打線は1回にチーム野手最年長のT-岡田外野手(33)が先制打を放った。2死一、二塁から右前打で2塁ランナーの宗が生還し、先制に成功した。 初回の1点を守り抜き、「スミ1」での白星を飾った。 ▼山本が10三振を奪って無四死球完封勝ち。プレーオフ、CSの完封勝ちは18年1S<2>戦でノーヒットノーランを達成した菅野(巨人)以来だが、2桁奪三振の無四死球完封は初めて。日本シリーズでも00年<5>戦高橋尚(巨人)が記録しているだけで、ポストシーズン史上2人目の快挙だ。プレーオフ、CSの1-0試合は8度目で、1-0完封勝利は06年1S<1>戦松坂(西武)同年2S<2>八木(日本ハム)に次いで3人目。ポストシーズンで初回の1点を守り切った「スミ1完封」は日本シリーズの94年<2>戦槙原(巨人)以来2人目になる。また、山本は15連勝でシーズンを終了。2桁連勝継続中の投手がプレーオフ、CSで登板は10人目となり、連勝を伸ばしたのは13年田中(楽天)以来6人目。

◆オリックスがCSファイナルステージ第1戦に勝利し、アドバンテージの1勝を含めて2勝とした。 先発の山本由伸投手(23)がロッテ打線の前に仁王立ちした。投手4冠の力を見せつけるようにピンチでも冷静に切り抜けてスコアボードに0を並べた。後半は危なげない投球で9回完封勝ちを収めた。

◆オリックスは初回、2死一、二塁からT-岡田の右前打で1点を先制した。先発山本は要所を締める投球で上々の滑り出し。 山本とロッテ石川の投げ合いが続いた。オリックスは5回2死満塁、6回の1死二塁の好機を生かせなかった。 山本は9回まで投げ抜いた。初回の1点を守る完封でオリックスが先勝した。石川は7回1失点と踏ん張ったが援護がなかった。

◆ロッテがオリックス山本由伸投手(23)に無四球完封された。4回まで毎回安打も、連打や決定打が出ず。「足を絡めて得点圏まではいきましたけど。あそこで1本出せるようにしないといけないですね」と井口資仁監督(46)。5回以降は1人も出塁できずに0-1で敗れた。 「ランナーを置いての見逃し三振とかは、やっぱりちょっともったいなかったなと思います」 初回は2死二塁でレアードが、4回は2死三塁で山口が、いずれも見逃し三振で好機を逸した。ともにカーブを見逃した。直球と約30キロの球速差とはいえ、井口監督は「ストライクはやっぱり手出ししていかなくちゃいけないんで」。投球全体の18・25パーセントにすぎないカーブに要所で崩された。 ローテーションの巡り合わせで、山本とは5月19日以来約半年ぶりの対戦だった。とはいえ前回は6回で6得点。指揮官も「そんなに嫌というイメージは持っていないと思う」と期待していた。今季過去2戦は捕手が伏見だったが、この日は若月。やや増えたカーブに対応しきれなかった。 アドバンテージも含め、0勝2敗になった。シーズンは2・5ゲーム差、この日は1点差。数字に大差はないが「接戦でも打ち合いでもものにできるチーム」(井口監督)というオリックスに対し、今季は劣勢にある。この先も田嶋、宮城らが立ちはだかる。強敵とはいえ、打つことでしか戦いは続けられない。【金子真仁】

◆ロッテ石川歩投手(33)は7回1失点と踏ん張った。 初回に与えた2四球が唯一の失点。5回2死満塁のピンチでは、今季ロッテ戦の得点圏打率5割7分1厘の天敵杉本をシンカーで三ゴロに仕留めた。「調子はあまりよくはなかった。最初ちょっと力み過ぎましたね。その後は何とか粘れたかなと思います」と話し、走者を背負っても追加点を許さなかった。 バックの度重なる好守にも助けられた。5回先頭では、右翼ファウルゾーンへの飛球を山口が倒れながらスライディングキャッチ。6回1死二塁では三遊間の深い当たりを遊撃・エチェバリアが止め、座ったまま一塁送球する美技で観客をどよめかせた。荻野、藤岡も好守備でもり立て、井口監督は「しっかりと守りの方もやってくれた。明日また切り替えてやっていきたい」と話した。

◆負傷離脱中のオリックス山岡と大城から、心づくしの差し入れが届いた。大城は自ら運転して京セラドーム大阪へ。「みんなの勇気になればうれしいです」とベンチ入りメンバー全員分のタコスを運び込んだ。 山岡からも、同じく全員にどら焼きがロッカールームに到着。山岡は右肘、大城は右膝の負傷でCSのベンチから外れたが、メンバーと心を1つに戦っている。

◆千両役者が帰ってきた。オリックス吉田正尚外野手(28)が右尺骨骨折から39日ぶりに復帰した。 「1打席目で勢いをつけたかった。甘い球をいこうと思った」。初回は初球の148キロをいきなり強振して痛烈な中飛。場内のボルテージはMAXだ。狙い通り、その後に先制点が生まれた。3回の第2打席は、シンカーをジャストミートして中前打。2年連続の首位打者はわずか3球で完全復活を印象づけた。 10月2日の試合で骨折した右手首の状態は「天気によっても違う。詰まったりバットの先に当たると痛い」という。仲間が優勝してくれて、CSの初戦が4日延びた。たった1カ月。間に合わせてくれた周囲のサポートに「本当に感謝しています」と頭を下げた。 試合前、中嶋監督から「今日行くぞ」と声をかけられた。「(事前に)特に問題ないですと話していた。ビックリはしなかった」。自宅を出る時から心は決まっていた。2つのツノのついたジバンシーのキャップを私服コーデに選んだ。「今日、勝負だから、この日のためにね。これやと思って」と笑わせた。 オリックスにとっては数字以上に大きな1点、そして大きな勝利になった。主砲は「日本シリーズ、最後まで戦いたいと強く思いました」と完全な戦闘モードに入った。【柏原誠】

◆オリックスT-岡田外野手の7年ぶりのCS打点が、オリックスを先勝に導いた。 初回に宗と杉本の四球でつくった2死一、二塁の先制機。ロッテ石川の148キロ直球を捉えて右前に運び、両チーム通じて唯一の得点をたたき出した。お立ち台では「久しぶりの試合だったので由伸君も彼なりに緊張があったと思うので、先制できてよかった」と隣の山本を笑わせた。 チームは7年ぶりのCS。T-岡田にとって14年のファーストステージ第2戦で日本ハム谷元から逆転3ランを放って以来のCSでの打点だ。スタンドの全角度から沸き起こる拍手に「こういう感じやったなと思い出しました。お客さんの手拍子に勇気づけられました」と感謝した。「今日は由伸におんぶに抱っこで勝たせてもらった。明日は野手全員で点を取って勝ちたい」と、CS突破への残り2勝を全力で取る。

◆ロッテがオリックス山本由伸投手(23)に完封され、0-1でCSファイナルステージ初戦を落とした。11日の第2戦に敗れると、オリックスに日本シリーズ進出への王手をかけられる。 11日はオリックス田嶋大樹投手(25)に立ち向かう。対田嶋の今季のチーム打率は1割9分4厘で、パ5球団でワーストになる。ただロッテは今季すでに田嶋と7度対戦し、多くの打者が慣れ始めているのは好材料だ。 この日も2安打した1番荻野貴司外野手(36)は、10月12日の最も直近の対戦ではサイクル安打にリーチをかける3安打。同試合ではレアードも本塁打を放ち、山口やエチェバリアなど、それまで苦戦気味だった打者にも安打が生まれている。 10日は約半年ぶりの対戦となった山本に、カーブも交えながら的を外された。シーズン最後に、何度もやられた田嶋を攻略したい。

◆オリックスがCSファイナルステージ第1戦に勝利し、アドバンテージの1勝を含めて2勝とした。先発の山本由伸投手(23)がロッテ打線の前に仁王立ちした。投手4冠の力を見せつけるようにピンチでも冷静に切り抜けてスコアボードに0を並べた。後半は危なげない投球で9回完封勝ちを収めた。釣り好きなオリックス山本は、水辺でも向上心を隠しきれない。釣りざおを初めて持ったのは、幼稚園年長の6歳。祖父に誘われた「ハゼ釣り」がきっかけだった。当時を思い返し「すぐにハゼが食い付く。初心者でも誰でも簡単に釣れるからそれで楽しさを知った」と表情を崩す。ただ、ハゼが針にかかるだけが醍醐味(だいごみ)ではなく「釣れるポイントをおじいちゃんと一緒に探す。釣れるのを待つ時間、いろんな話をするのが楽しくて」。祖父と時間を共有するツールが「ハゼ釣り」だった。 その後「ハゼ釣りは9月、10月が主流。他の時期も釣りがしたいな」と獲物のサイズを格上げ。池や湖に場所を移した。プロ入り後は「琵琶湖で60センチのブラックバスを。60センチって快挙なんですよ!」と熱を帯びる。将来的には「船に乗って海で、もっと大きい魚を...」。高々と帆を揚げ、大海原に船を出す。【オリックス担当=真柴健】

◆「投手4冠王」が貫禄の完封スタートを決めた。パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが京セラドーム大阪で開幕。オリックス山本由伸投手(23)がロッテ打線を4安打完封し、今季の連勝を「16」に伸ばした。初回の1点を守り切る「スミ1完封」で無四球の10奪三振。チームはリーグ優勝による1勝のアドバンテージを加えて2勝。日本シリーズ進出の確率は96%だ。最速157キロの剛腕山本が、スウッとカーブを抜いた。150キロ超の直球に織り交ぜるブレーキングボールは効果的だった。「序盤、毎回ランナー許す苦しい投球になっていたので、カーブに助けられたかなと思います」。初回2死二塁、5番レアードにフルカウントから真ん中128キロカーブで見逃し三振を奪った。4回2死三塁では6番山口を外角131キロカーブで金縛りにさせて見逃し三振。単打4本でロッテを完封。126球のうち22球と、要所でこのカーブを有効活用した。 カットボールにスライダー、フォーク、ツーシーム...。多様な球種を操るが「初めて習得した変化球がカーブ。みんな投げますよね? 小学生の頃は肩、肘に影響が出るからと、投げるのが禁止だったんです」。小学1年で野球を始めた当初は捕手や二塁手で、投手は兼任。「変化球に憧れを」と練習で禁止だった「禁断のカーブ」は、庭や公園で行う「ゴムボール野球」で覚えた。「握りも投げ方も、何も変えてない」と"由伸カーブ"は16年目。「遊び心ですよ。今でもみんな、キャッチボールでは楽しく変化球の練習をしたりする。そのイメージです」。好奇心が生んだ武器だ。 スミ1完封に「途中からもう少し点が欲しいなと」と笑いを誘いながら「ドキドキしたけど勝ち切れてホッとした」と胸をなで下ろした。5回以降は「修正して低めに」と1人の走者も許さなかった。最終戦で球団新の15連勝を飾ってから中15日と休養十分のマウンドだったが「1イニングずつ。最後まで投げきって、中継ぎを助けようなんてことは全く思ってない」と赤裸々トークもさく裂した。 最多勝、最優秀防御率、勝率第1位、最多奪三振の4冠エースにふさわしい圧倒的な勝ちっぷりで、チームはアドバンテージを含む"1勝1由伸"で2勝。中嶋監督は「もう山本、山本、山本ですね。フォークがイマイチだった中、別のボールで試合をつくるというのは彼の素晴らしさ」と絶賛。山本はお立ち台で「声援、拍手が力になった。とにかく日本一を」と今季最多の1万7915人に約束した。【真柴健】 ▼山本が10三振を奪って無四死球完封勝ち。プレーオフ、CSの完封勝ちは18年1S<2>戦でノーヒットノーランを達成した菅野(巨人)以来だが、2桁奪三振の無四死球完封は初めて。日本シリーズでも00年<5>戦高橋尚(巨人)が記録しているだけで、ポストシーズン史上2人目の快挙だ。プレーオフ、CSの1-0試合は8度目で、1-0完封勝利は06年1S<1>戦松坂(西武)同年2S<2>八木(日本ハム)に次いで3人目。ポストシーズンで初回の1点を守り切った「スミ1完封」は日本シリーズの94年<2>戦槙原(巨人)以来2人目になる。また、山本は15連勝でシーズンを終了。2桁連勝継続中の投手がプレーオフ、CSで登板は10人目となり、連勝を伸ばしたのは13年田中(楽天)以来6人目。

◆試合前に「パシフィック・リーグ2021年度連盟選手権試合 優勝セレモニー」が行われた。トロフィー、チャンピオンフラッグ、優勝旗がオリックスに手渡された。 日本野球機構(NPB)の斉藤惇コミッショナー(82)がプレゼンターとして、ホームベース前へ。中嶋聡監督(52)が金色のトロフィーを受け取った。さらにチャンピオンフラッグが選手会長の吉田正尚外野手(28)に手渡された。優勝旗はベテランの安達了一内野手(33)が受け取り、記念撮影へ。オリ戦士がそろう姿を写真におさめようと、スタンドにはスマートフォンやカメラを掲げるファンが目立った。 吉田正は10月2日のソフトバンク戦(京セラ)で死球を受けて右手首を骨折。この日は「3番・指名打者」でスタメン復帰し、スタンドから大きな拍手が起きていた。

◆オリックスが一回に1点を先制した。 一回1死から2番の宗が四球。「3番・指名打者」でスタメン復帰した吉田正は1球目から手を出して鋭い中飛に倒れたが、力強い打球にスタンドからは歓声がわいた。続く杉本も四球を選び、2死一、二塁でT-岡田だ。148キロをバットの先でとらえると、打球は一、二塁間を突破。二走・宗が生還し、オリックスが先制した。 T-岡田は「まずは先制できてよかったです! 試合はまだまだこれからですし、もっと援護できるように、これからも頑張ります!」とコメントした。 オリックスの先発は山本。最多勝(18勝)、最優秀防御率(1・39)、最多奪三振(206)、最高勝率(・783)と先発投手のタイトルを独占した右腕にとって、大きすぎる先制点となった。

◆リーグ優勝したオリックスが投手戦を制した。エース・山本由伸投手(23)が126球を投げ10三振を奪うなど4安打完封で1-0の勝利に導いた。 パ・リーグ王者として、本拠地京セラドームでロッテを迎え撃った中嶋オリックス。CSファイナルステージの初戦のマウンドに、エースの山本を送り込んだ。〝開幕投手〟を託された右腕。レギュラーシーズン同様の剛球で、ロッテ打線の前に仁王立ちした。 高卒5年目でポストシーズンは初経験。今季は最多勝(18勝)、最優秀防御率(1・39)、最多奪三振(206)、最高勝率(・783)と先発投手のタイトルを独占した右腕は、この試合に向けて話していた「(CSの)経験がないので、とにかく全力で。いつも通りの気持ちを忘れず、思い切っていきたい」という言葉通り、直球を軸に全力で立ち向かった。 打の柱も帰ってきた。右手首骨折でシーズン終盤に戦線離脱していた吉田正が「3番・DH」でスタメン出場。その名が場内にコールされると、オリックスファンは大きな拍手。0─0の一回1死一塁で回ってきた第1打席では、ロッテ先発・石川の初球を振り抜き、中堅への強烈なライナー。三回の第2打席では中前へ〝復帰後初安打〟を放ち、スタンドを沸かせた。 25年ぶりのリーグ優勝を果たし、次なる目標は日本一。CSファイナルステージ突破へ、チームは1勝のアドバンテージがあるが、指揮官は「まったく考えていない」。有利な立場とは思わず、「いまから特別なことはできない。(選手には)持っているものをすべて出してほしい。次のステージに向かって、全力で戦っていく」と力を込めていた。 その思いを受け、2014年にCS出場経験のあるT─岡田が、存在感を発揮。一回2死一、二塁から右前へ先制打を放った。

◆オリックスが投手戦を制し、アドバンテージの1勝を含めて対戦成績を2勝0敗とした。先発した山本由伸投手(23)が9回無失点の無四球完封と、圧巻の投球を見せた。 打線は一回、2四球を選んで2死一、二塁。打席にはT-岡田だ。148キロをバットの先でとらえると一、二塁間を突破。二走・宗が生還し、貴重な先制点となった。 先発の山本は四回まで毎回の被安打。3度先頭打者に出塁されたが、連打は許さなかった。四回2死三塁では山口を131キロカーブで見逃し三振に仕留めた。五回から八回まで3者凡退と、着実に波に乗っていった。 八回を終えて球数は109球。ベンチ前にキャッチボールに出てくると、球場からは拍手が起きた。九回のマウンドに立つと、先頭の荻野は二ゴロ。マーティンも一ゴロで2死として、最後は中村奨を中飛で完封だ。マウンドで両手を小さくたたいて、勝利を喜んだ。初のポストシーズンで任された〝開幕投手〟。期待以上の投球で、白星をもぎ取った。 リーグ優勝したオリックスには1勝のアドバンテージがあるため、これで2勝0敗。これぞエースという投球で、チームに勢いをもたらした。

◆ロッテのアデイニー・エチェバリア内野手(32)がスーパープレーで敵地をどよめかせた。 六回1死二塁で、安達の三遊間を抜けようかという当たりを、遊撃のエチェバリアがスライディングしながら逆シングルでキャッチ。素早く座った体勢から体をひねるように、一塁へ低くて速いワンバウンドスローで遊ゴロとした。 「守備だけでお金がとれる」とも称される超人的な守備力を誇るエチェバリアのプレーにはオリックスのファンも拍手。SNS上でも「守備がやばい」「やばすぎる」「やっば」といった絶賛のワードが続出していた。 試合はオリックスが勝ち、レギュラーシーズンの1位のアドバンテージを含め、2勝とした。

◆ロッテ打線はオリックスの先発、山本を攻略できず、黒星スタートとなった。 ロッテ先発の石川は一回に宗、杉本に四球を与え、2死一、二塁とされるとT-岡田に先制の右前適時打を許した。7回5安打、1失点と好投したが、一回の1点が両軍通じて唯一の得点となった。 石川は球団を通じて「調子はあまり良くはなかったんですけど、最初ちょっと力み過ぎましたね。そのあとはなんとか粘れたかなと思います」とコメントした。オリックスはレギュラーシーズン1位のアドバンテージを含め2勝とした。先に4勝した方が日本シリーズに進出する。

◆リーグ優勝したオリックスが投手戦を制した。エース・山本由伸投手(23)が126球を投げ10三振を奪うなど4安打完封で1-0の勝利に導いた。一回に先制打を放ったT-岡田外野手(33)のインタビューでの一問一答は以下の通り。 1回 先制の適時打を放つオリックス・T-岡田=京セラドーム大阪(撮影・榎本雅弘) --本拠地の歓声はどのように聞こえている 「なかなかコロナで大変な中、今日は本当にたくさん応援に来てくれて、ありがとうございます」 --先制打の場面では、どんなことを考えて打席に入った 「宗とラオウがなんとかフォアボールでつないでくれたので、僕もなんとか後ろにつなごうと思って打席に入りました」 --先制打にベンチも盛り上がっていた。試合中の雰囲気は 「本当にベンチの雰囲気もよかったですし、宗もよく走ってくれましたし、よかったです」 --山本が先発した中での先制点。先制できたことの意味はどのように捉えていた 「久しぶりの試合だったので、由伸も彼なりに緊張とかがあったと思うので、本当に先制できたのはよかったです」 --自身7年ぶりのCS。きょう戦ってみて、どうだった 「独特な雰囲気なのでね。本当に久しぶりに『あ、こういう感じやったな』っていうのはちょっと思い出しました」 --ファンにひと言 「今日は本当に由伸におんぶにだっこっていう形で勝たせてもらったので、明日はなんとか野手全員で点を取って、明日もしっかり勝ちたいと思います。また応援よろしくお願いします」

◆オリックスが勝利し、リーグ優勝のアドバンテージを含めて対戦成績を2勝0敗とした。ヒーローインタビューにはT-岡田外野手(33)と山本由伸投手(23)が上がった。主な一問一答は以下の通り。 (以下、T-岡田) --この歓声をどう聞いている 「なかなかコロナで大変な中、きょうは本当にたくさん応援にきてくれて本当にありがとうございます」 --一回の好機はどんな気持ちで打席に 「宗とラオウ(杉本)が何とか四球でつないでくれたので。僕も何とか後ろにつなごうと思って打席に入りました」 --ベンチも盛り上がったのでは 「本当にベンチの雰囲気もよかったですし、宗もよく走ってくれたので。よかったです」 --山本が先発。先制できたのも大きかった 「久しぶりの試合だったので。由伸も彼なりに緊張とかあったと思うので。本当に先制できてよかったです」 --自身、7年ぶりのCS 「独特な雰囲気なので。久しぶりに『こういう感じやったな』と思い出しました」 --この1勝をどうつなげたい 「きょうは本当に由伸におんぶに抱っこという形で勝たせてもらった。あしたは野手全員で点を取って勝ちたいと思います。応援よろしくお願いします」 (以下、山本) --今の心境 「本当に勝ててうれしいです」 --きのうは楽しみ、わくわく、どきどきと言っていた。マウンドではどんな感覚 「本当にどきどきでしたが、何とか勝ち切れてほっとしています」 --五回以降は走者も出さなかった。内容については 「初回に先制点を取ってもらえたので。とにかくそれを守ろうと投げていたんですけど。途中から『もうちょっと点ほしいな...』と思いながら。何とか勝ち切れて本当によかったです!」 --要所でのカーブが目立った 「序盤は毎回ランナーを出したり苦しい投球になっていた。カーブに何とか助けられたかなと思います」 --シーズン、東京五輪でも開幕投手だった 「ひとつ、アドバンテージがあるんですけど、この1勝が大事になると思っていたので。絶対に勝ってやろうと思っていました」 --圧倒的な成績を残した今季。今後に向けて 「とにかく日本一で終われるように全力で投げたいと思います。応援よろしくお願いします」

◆ロッテは相手のエース、山本を攻略できず零封を喫して初戦を落とした。オリックスにレギュラーシーズン1位のアドバンテージ(1勝)があるため、ファイナルステージは2敗となった。 ロッテ打線は一回に1死二塁としたが中村奨、レアードが連続三振。二回には先頭打者のエチェバリアが出塁したが、次打者の山口が三振を喫した投球で二盗を刺されるダブルプレーとされた。 四回は中村奨が左前打で出塁後、二盗から捕手の送球ミスを誘い1死三塁の好機を作ったが、エチェバリア、山口は連続三振。この中村奨の出塁後は一人も走者を出すことができなかった。 井口監督は「足を絡めて、三塁まで行きましたけど、そこから一本は、なかなかこういうピッチャーは難しい」と振り返った。どの球種も一級品ゆえに、各選手に狙い球を絞らせるなど策を講じたが「なかなか打ち崩せる投手でないので、得点圏でなかなか(一本を)出せなかった」と完敗を認めた。

◆手も足も出なかったわけではない。四回までは毎回安打で、うち3度が先頭打者。ロッテ・井口資仁監督(46)は「(一、四回は)得点圏まではいきましたけど、そこから一本というのがなかなかね。ランナーを置いての見逃し三振はもったいなかった。1球でどうやって仕留めるか、来年以降の課題」と振り返った。 オリックス・山本にはレギュラーシーズンで対戦打率・269。5月19日に最後の黒星を付けたのもロッテで、指揮官が前日に「嫌なイメージは持っていない」と話した通りの序盤の攻撃だった。ただ、一回2死二塁でレアードが、四回2死三塁で山口がカーブに全く反応できず、見逃し三振に倒れたのが響いた。 下克上で日本一まで上り詰めた2005、10年。ファイナルステージ第1戦(05年はプレーオフ第2ステージ)は、ともにソフトバンクのエースで05年は18勝、10年は16勝を挙げていた杉内俊哉(現巨人2軍投手コーチ)を攻略して勝利している。 とはいえ、アドバンテージ1勝と第1戦先発が山本なら、ある意味〝連敗〟スタートも想定内。「また明日、切り替えて」という井口監督の表情には、残り5試合で1敗しかできないという悲壮感より、まだ1敗できるという前向きな雰囲気が漂っていた。(東山貴実)

◆オリックスは初戦にエースの山本が先発し、3番に吉田正が座る王道の野球。投打の〝心臓〟が存在感を示し、今季を象徴するゲームだった。オリックスにとっては当たり前のことでも、相手は当たり前のことをやられるときつい。 山本はこれまでもカーブを効果的に使った試合があり、まさに山本らしいピッチング。レギュラーシーズンを15連勝で終えた投手にこれまで通りの投球をされたら、相手は何か間違いが起きない限り、打てないということだ。 打線はスタメンに吉田正の名前があるだけで、安心感が漂う。ファイナルステージから登場するチームには試合勘を懸念する声もあるが、シーズン中なので2打席も立てば元に戻る。しかも勝てたので、何も問題ない。 ロッテからみるとスコアは0-1でも、山本を打てなかった時点で0-10と同じような完敗。とにかく引きずらないことだ。第2戦を取って1勝2敗にできれば形勢は変わり、精神的には1勝差ではなく、0・5勝差くらいの感覚になる。ただし、落とすと敗退はほぼ確定。大事な2戦目になる。(本紙専属評論家)

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