阪神(★2対4☆)巨人 =クライマックスシリーズ2回戦(2021.11.07)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:高木 京介(1勝0敗0S)
(セーブ:ビエイラ(0勝0敗1S))
敗戦投手:青柳 晃洋(0勝1敗0S)
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◆巨人が連勝でファイナルステージ進出を決めた。巨人は2点を追う3回表、松原と丸の適時打で3点を挙げて、逆転に成功する。そのまま迎えた8回には、ウィーラーの犠飛が飛び出し、1点を加えた。投げては、3番手・戸郷が3回無失点の好救援。その後は5人の継投でリードを守りきった。敗れた阪神は、攻守に精彩を欠いた。

◆勝てば巨人のファーストステージ突破が決まる一戦のスタメンが発表された。今季限りで現役引退を表明している亀井善行外野手(39)が、「5番左翼」で先発する。主砲・岡本和は2日連続で出場選手登録から外れた。 阪神先発は変則右腕の青柳のため、6日の初戦から3人を入れ替えた。「2番三塁」は広岡に代わって若林。捕手も小林ではなく大城が務める。野手8人中6人で左打者を並べ、最多勝右腕を攻略する。

◆巨人岡本和真内野手(25)が、CSファーストステージ第2戦も欠場することが決まった。初戦の6日に続いてチームに同行はしているものの、出場選手登録はされなかった。 上半身のコンディション不良と思われ、10月31日の練習でフリー打撃を回避して以降は別メニュー調整を続けている。先勝したCSファースト初戦後、原監督は「明日になってみないと分からないしね。しかし、少しずつ良くなっているのは事実じゃないでしょうか」と語っていた。主砲の復帰まで、巨人が「1 Team」で下克上への戦いを続けていく。

◆前日6日の第1戦を敗れ、あとがない阪神は前日ベンチスタートだった大山悠輔内野手(26)を先発メンバーに起用した。 第1戦では9回に代打で登場し、痛烈な左前打を放っていた。また梅野隆太郎捕手(30)を10月10日ヤクルト戦以来、スタメンに組み込んだ。巨人先発の高橋と相性が良く、今季は8打数3安打、打率3割7分5厘だった。さらに前日スタメンを外れた佐藤輝明内野手(22)がプロ初となる「8番右翼」で先発出場する。 阪神先発は最多勝(13勝)と最高勝率(6割8分4厘)の2つのタイトルを獲得した青柳晃洋投手(27)。今季巨人戦は3試合に登板し、2勝1敗で防御率は2・15。 一方、巨人の先発投手は高橋優貴投手(24)。今季阪神戦は5戦4勝、防御率1・45。 試合は14時開始予定。

◆巨人が6日に行われた阪神とのファーストステージ初戦に勝利を収めた。先発菅野が7回無失点と好投し、完封リレー。一方で、安打1本や1つ1つのプレーでも虎党の盛り上がりは、巨人が点を取ったときと比べても桁違いだった。完全アウェーの甲子園をどう捉えているのか。勝てば同ステージ突破が決まる第2戦を現地で応援する巨人ファンに聞いた。 大阪在住の大学生マナさんは、中学2年から親の影響で巨人ファンになった。今季は甲子園開催の巨人戦は全試合観戦。「最初は周りの阪神ファンの目線が気になって怖かったです。でももう慣れました(笑い)。なんとも思わないです」ともはや日常になった。 横浜から夜行バスで訪れた40代の坂本ファンの男性は「甲子園でプロ野球を観るのは初めて。マツダスタジアムや横浜はあるんですけど。ちょっと怖さはありますね...」と苦笑い。周りの阪神ファンの目を気にしながらも、心の中で応援する。人数は関係ない。 「推し活」を貫くファンもいる。2戦続けて欠場が決まった岡本和を推す大学生のモコさんは「ギャップがたまらなく好きです。結婚したかったくらい(笑い)。(出場は)無理しないで欲しい気持ちはありますけど、本当は観たいです」と目を輝かせた。東京から応援に訪れた諸橋泰成さん(26)は中島の西武時代からのファン。中島の4万4000円のプロコレクションユニホームを着用して応援する。「昨日は良いところで打ったので、今日も頑張って欲しいですね」。完全アウェーでも、甲子園がタテジマ一色に見えても、気持ちは変わらない。巨人を応援するファンが確かにそこに居た。【小早川宗一郎】

◆阪神で16年間プレーし、今季限りでの引退を発表したロッテ鳥谷敬内野手(40)が、関西ローカルの読売テレビでスペシャルゲストとして出演した。 日本ハム新庄監督が背番号1をつけて指揮を執ることになったことにかけ、実況アナから「将来的に(阪神時代の)1番を背負ってタイガースの監督というのは」と振られると「それは完全に自分が決められることじゃないので。そういうお言葉をいただけるように、ここからの人生を歩んでいきたい」と少し笑みをたたえながら返した。 終盤、実況からロッテのファイナルステージ進出が伝えられた。「よかったですね。選手全員知っていますし、負けられない試合が続く。引き分けですがいい形で上に上がっていける。シーズン終盤、順位が決まってからなかなか機能しなかったんですけど、この期間でしっかり調整して入れたので、オリックスとの試合が楽しみです」。 後半戦、成績が急降下した佐藤輝についてもその存在感の大きさを表現した。「スタメンで出たときから、球場の雰囲気が変わる。球場の雰囲気は選手に伝わる。長打力というのは誰もが持っているものではない。魅力的です。試合をひっくり返したり、勢いをつけることができる。(厳しいマークは)佐藤を止めれば阪神の勢いを止められると相手がやってきた」と敵の目線で語った。 同時期に同じ遊撃でしのぎを削った巨人坂本については「何より守備が年々進化しているのですごいと思う。全然、あっという間に追い越されました。まだまだ何年もできると思うのでヒットで言えば3000本目指してほしい」とエールを送った。 8回に巨人が追加点を挙げ、阪神が劣勢になると「チャンスで打つのは難しいがウィーラー選手のように最低限の仕事がある。アウトのなり方ですよね。いろいろなバリエーションがあると1本出なくても点が入る。打線という意味では、もう少し工夫があってもいいかなと思いました」と追加点の取れなかった阪神打線について言及した。

◆今季阪神戦5戦4勝の虎キラーの巨人高橋優貴投手(24)が2回途中2失点KOされた。 1回は2本の安打で1死一、二塁のピンチを招くも阪神マルテ、大山を連続三振で無失点で切り抜けた。 2回も阪神打線が牙をむいた。0-0の2回、1死二塁から佐藤輝に左中間へ先制適時二塁打を浴びた。続く青柳を空振り三振で2死とするも、近本に右前打を打たれ、2死一、三塁とピンチを広げたところで降板を告げられた。2回持たず、1回2/3を5安打2失点で2番手高木と交代。小走りで三塁側ベンチに下がっていった。

◆前日5安打で0封負けした阪神打線が、二塁打攻勢で「天敵」高橋優貴投手(24)から先制点を挙げた。 両チーム無得点の2回1死。10月10日ヤクルト戦(神宮)以来、28日ぶりにスタメンマスクの梅野隆太郎捕手(30)が、中堅左への二塁打で出塁。1死二塁とすると、こちらも前日スタメン落ちからこの日、プロ初の「8番右翼」で起用された佐藤輝明内野手(22)が、CS初安打となる左中間への適時二塁打を放ち、1点を先制した。 その後1番近本光司外野手(26)が右前打で2死一、三塁としたところで、巨人は高橋から2番手高木京介(32)にスイッチ。高橋は今季、阪神戦に5度先発し4勝無敗、防御率1・45の虎キラーだったが、早々にマウンドから引きずり降ろした。 さらに2番中野拓夢内野手(25)が左前適時打で2点目。ただ、直後の3回表に逆転を許し、佐藤輝は「梅野さんがチャンスを作ってくれたので、絶対に打ちたいと思っていました。良い結果になりましたが、追いかける展開になったので、次も打てるように頑張ります」と球団を通じてコメントした。

◆阪神青柳晃洋投手(27)が逆転を許し、3回途中5安打3失点(自責0)で降板となった。 初回、先頭の松原に左前打を浴びるも、1死一塁から坂本をツーシームで二ゴロ併殺に仕留めた。2回は4番丸から3者凡退。 しかし2点の援護を受けた直後の3回、先頭の吉川尚を遊撃手中野の失策で出塁させると、3連打を浴び1点差に。若林を投ゴロ、坂本を空振り三振に仕留めたが、2死満塁から丸にスライダーを捉えられ、右前2点適時打で逆転を許した。 ここで左腕の伊藤将にスイッチ。今季は最多勝と最多勝率のタイトルを獲得した右腕も、悔しいCSのマウンドとなった。

◆巨人にはカメムシ...ではなく亀さんがいる。試合前の円陣の声出し役を務めた小林誠司捕手(32)が、爆笑円陣でナインを盛り上げた。「昨日は本当にナイスゲームです。ロッカーにカメムシがいたんですけど、それを(岡本)和真に渡してしまった。それが悪かったなと...」と唐突に反省した。 カメムシは渡してしまっても、巨人には今季限りで現役引退を表明している亀井がいる。この日はスタメンで起用された。「僕たちは亀さんがいる。しっかり盛り上げて、今日勝って! 東京帰って! 1つになってやっていきましょう! さあいこう!」と叫んだ。亀井は「誰がカメムシや!」と切れ味鋭いツッコミで爆笑を誘った。

◆ピンチでリリーフ登板した阪神伊藤将司投手(25)が、1回1/3を1安打無失点と仕事を果たした。 「ピンチの場面でしたが、とにかく無失点で抑えるという気持ちで投げました。無失点で次につなぐことが出来て良かったです」 3回、先発の青柳が丸に逆転適時打を浴び、なおも2死一、三塁の場面でマウンドへ。迎えた亀井に四球を与えたが、ウィーラーを直球で中飛に打ち取った。 4回は先頭の吉川尚をカットボールで空振り三振。大城に中前打を浴びたが、戸郷の犠打失敗を誘い、最後は松原を遊ゴロに仕留めた。 今季は開幕から先発ローテーションを守り、23試合の登板で10勝7敗。球団新人左腕では、67年江夏豊以来3人目の2ケタ勝利を挙げた。リーグ戦でも10月13日巨人戦(東京ドーム)で中継ぎを経験。4回から登板し3回1安打無失点と好投していた。 ルーキーながらCSの大舞台でも適応力の高さを見せた。

◆巨人の「わっしょい大逆転ベースボール」が点火した。 2点を追う3回だ。先頭吉川が相手の遊撃失策で出塁。続く、大城、代打八百板、松原の3連打で1点差に迫る。猛虎の隙を見逃さない。 なお、2死満塁で代役4番の丸佳浩外野手(32)が阪神青柳から右前2点適時打で試合を一気にひっくり返した。この一打で虎のサブマリンをマウンドから引きずり下ろした。 優勢に転じた3回は、シーズンは先発で9勝を挙げた戸郷が3番手で登板した。

◆矢野監督のリクエストも実らず、同点のチャンスが潰れた。 1点ビハインドの2死二塁で梅野隆太郎捕手(30)の打席。カウント2-2から巨人戸郷翔征投手(21)の変化球が梅野の胸元に抜けた。 梅野は避けようと試みたが、グリップエンドに投球が当たり、一塁線に転がった。大城がゴロを拾い、一塁へ転送。第3アウトが成立した。 直後に矢野燿大監督(52)が死球を疑い、リクエスト。数分の協議ののち、有隅責任審判から「ただいまリプレー検証を行いました。ヒットバイピッチ(死球)かどうかというリクエストでしたが、(投球が当たったのは)バットということで判定通りインプレーといたします」と説明された。

◆漫画の世界の魔球がさく裂した。 巨人戸郷翔征投手(21)が、漫画「巨人の星」の「大リーグボール1号」でピンチを切り抜けた。 1点リードの5回2死二塁、阪神梅野を追い込んだ。6球目、外角を狙った球が梅野の胸元へ抜けた。これが死球にはならず、振りにいったバットのグリップエンドに直撃した。フェアゾーンに転がり、捕ゴロ。ラッキーなプレーで無失点に切り抜けた。 5回裏を終え、阪神園芸がグラウンド整備に入ってきたあとで、阪神矢野監督がリクエストを要求。死球だったかどうかが検証されたが、判定は変わらず。漫画「巨人の星」の主人公・星飛雄馬の魔球が大一番で現実になった。

◆阪神がセットアッパーと守護神を前倒しして投入するも、痛恨の追加点を許した。 岩崎優投手(30)は通常より1イニング早い2-3の7回にマウンドへ。先頭の大城を3球三振に仕留めると、代打中田を三ゴロ。松原に四球を与えたが、最後は危なげなく若林を遊飛に打ち取った。 しかし8回、先頭の坂本を三塁手大山の失策で出塁させると、丸が意表を突くセーフティーバントを決めて無死一、二塁。亀井の犠打で1死二、三塁となったところで、守護神ロベルト・スアレス投手(30)を投入。捕手も坂本に代わったが、ウィーラーに初球の内高めツーシームを中堅へ運ばれ、4点目の犠飛となった。 今季は42セーブを挙げ2年連続のセーブ王を獲得したが、この日は守り切ることができなかった。

◆阪神が2連敗で敗退した。2年ぶりのCSファイナルステージ進出はならなかった。 2回にCS初先発の佐藤輝と中野の適時打で2点を先制したが、直後に逆転を許した。その後は巨人の継投の前に沈黙した。 失点したイニングはともに先頭打者を失策で出塁させた。4年連続で12球団ワースト失策という大きな課題が、勝負どころで露呈した。 阪神が2位で出場したCSファーストステージで2戦2敗を喫するのは10年の対巨人、13年の対広島に続いて3度目。同ステージで初戦に負けたチームが逆転進出を決めたのはセ・リーグでは過去13度で2例しかない。圧倒的不利なデータを覆すことはできなかった。 レギュラーシーズンでは優勝したヤクルトと0ゲーム差という歴史的接戦を演じたが、36年ぶり日本一を目指したポストシーズンで早々と姿を消した。

◆4番に座る巨人丸佳浩外野手(32)が、意表を突く絶妙セーフティーバントを決め、追加点につなげた。 8回、先頭の坂本が阪神三塁手の大山の失策で出塁する。続くのは4回に2点適時打を放っている丸。初球、右足を上げてスイングすると思わせて、バットを横にして三塁線へ転がした。大山は一塁に投げることすら出来なかった。 続く亀井が3球目できっちり犠打を決めて1死二、三塁。阪神は岩崎に代えて守護神スアレスを投入したが、ウィーラーが中犠飛で1点を追加。クリーンヒットはなく、相手のミスとバント2つ、犠飛で点差を広げた。

◆巨人が逆転勝ちの連勝でファーストステージ突破を決めた。2回に先発高橋が崩れ、先制を許した。 1死二塁から佐藤輝に左中間へ先制適時二塁打を浴びた。2回持たず、1回2/3を5安打2失点で2番手高木と交代。小走りで三塁側ベンチに下がっていった。 すぐにひっくり返した。直後の3回、先頭の吉川が敵失で出塁すると3連打で1点を返す。2死満塁からは欠場した岡本和に代わって4番を務める丸が逆転の2点適時打を放った。 8回にも敵失で先頭の坂本が出塁すると、丸のセーフティーバント、亀井の犠打で1死二、三塁としてウィーラーが中犠飛。リードを2点に広げた。 投げては2番手高木から、戸郷、高梨、鍵谷、デラロサ、中川、ビエイラとベンチ入りの投手の中で畠以外全投手を使う継投でつないだ。巨人打線が放った7安打を上回る11被安打も、粘り強く踏ん張った。 2位阪神を相手に連勝を収め、ファーストステージを突破。10日からセ・リーグ王者のヤクルトと神宮で行われるCSファイナルステージ進出を決めた。

◆巨人が逆転勝ちの連勝でファーストステージ突破を決めた。2回に先発高橋が崩れ、先制を許した。 1死二塁から佐藤輝に左中間へ先制適時二塁打を浴びた。2回持たず、1回2/3を5安打2失点で2番手高木と交代。小走りで三塁側ベンチに下がっていった。 すぐにひっくり返した。直後の3回、先頭の吉川が敵失で出塁すると3連打で1点を返す。2死満塁からは欠場した岡本和に代わって4番を務める丸が逆転の2点適時打を放った。8回にも敵失で先頭の坂本が出塁すると、丸のセーフティーバント、亀井の犠打で1死二、三塁としてウィーラーが中犠飛。リードを2点に広げた。 投げては2番手高木から、戸郷、高梨、鍵谷、デラロサ、中川、ビエイラとベンチ入りの投手の中で畠以外全投手を使う継投でつないだ。巨人打線が放った7安打を上回る11被安打も、粘り強く踏ん張った。 2位阪神を相手に連勝を収め、ファーストステージを突破。10日からセ・リーグ王者のヤクルトと神宮で行われるCSファイナルステージ進出を決めた。 ▽巨人元木ヘッドコーチ(3回の八百板の強攻策について) 監督指示。監督も『練習いいよな』って言っていたんでチャンスもあるんだろうなと思っていたんだけど、あそこで。おれもバントかなと思ったんだけど打たせたから。いや、すげーって思った。 ▽巨人鍵谷(6回2死満塁のピンチで登板し、阪神マルテを三ゴロに)「なんとしてでも0点で抑えるだけを考えて、思いきって投げました。ほっとしています」 ▽巨人松原(3回の左前適時打を含む2安打の活躍) 積極的にいこうとは思っていた。でもやみくもではなく、狙い球を絞っていこうと。

◆<セ・CSファーストステージ:阪神2-4巨人>第2戦7日甲子園 阪神がクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで敗退し、怪物ルーキー佐藤輝明内野手(22)が、プロ1年目のシーズンを終えた。前日のベンチスタートから、この日はプロ初の「8番右翼」でスタメン出場。2回1死二塁の第1打席では、CS初安打となる左中間への先制適時二塁打を放った。3打数1安打1四球1打点で、今季ラストゲームを終えた。 「負けてしまったので、本当にただただ悔しいという気持ちです。ファンの方々の熱も感じましたし、力になりましたが、みなさんの目の前で勝つことができなかったことが悔しいです」と振り返った。 ジェットコースターのように、調子の上下動が激しいプロ1年目だった。開幕2戦目の3月27日ヤクルト戦(神宮)で、プロ初安打となる1号2ラン。5月28日西武戦(メットライフドーム)では、新人では58年長嶋茂雄(巨人)以来の1試合3本塁打を放ち敵、味方、ファンの度肝を抜いた。前半戦だけで20本塁打をマーク。優勝争いを繰り広げるチームの快進撃の中心となった。 後半戦に入り、8月19日DeNA戦(東京ドーム)では23号ソロで、69年田淵幸一の球団新人最多本塁打記録を更新。ただ、長いトンネルにもぶち当たった。8月21日の中日戦(バンテリンドーム)を最後に、NPB野手最長の59打席連続無安打。178三振はプロ野球歴代ワースト5位の記録で、新人では歴代最多。豪快な1発もあれば、相手バッテリーの術中にハマり、バットは何度も空を切ってきた。 「良い時も悪い時もあって、本当にいろいろなことを経験させていただきましたし、その全てのことを今後に生かさないといけないと思います。明日から来年に向けて自分として何が足りなかったかをしっかり考えてやっていきたいです」。さらなる進化へ向けて、収穫と課題を数多く手にしたシーズンだった。

◆阪神は2回、佐藤輝と中野の適時打で2点を先制。巨人は3回に松原の左前打と丸の2点右前打で3点奪い、逆転に成功した。 阪神は2番手伊藤、3番手アルカンタラが巨人の勢いを止める好投。同じく序盤から継投に入った巨人も粘り強く失点を防いだ。 8回にも1点を追加した巨人が継投で逃げ切り、敵地2連勝でステージ突破を決めた。阪神は失策が失点につながり敗退した。

◆巨人の守護神チアゴ・ビエイラ投手(28)がド派手なガッツポーズと雄たけびで試合を締めくくった。2点リードの9回に8番手で登板。2死から阪神マルテに内野安打、大山に四球を与え、一、二塁とピンチを招くも、最後はロハスからスライダーで空振り三振を奪った。 自らの1球でファイナルステージ進出を決定させると、雄たけびを上げながらアッパーパンチを3回、左胸を2回たたいて感情を爆発させた。 SNS上では「ビエイラ」がトレンドワード入りし、「ビエイラたまらん」「昇龍拳連発に笑った」などのツイートがみられた。 巨人は2位阪神を相手に連勝を収め、ファーストステージを突破。10日からセ・リーグ王者のヤクルトと神宮で行われるCSファイナルステージに進出する。

◆巨人の4番丸佳浩外野手(32)が光った。2点を追う3回2死満塁から逆転の2点適時打を決めた。1点差に迫って、なお無死満塁の絶好機で若林、坂本が凡退。消えかけた反撃ムードを一振りでよみがえらせた。「2死満塁だったし、シンプルに打ちにいくことしか考えていなかった。しっかり準備していた分、1球で仕留めることができた」と納得顔。 8回無死一塁では絶妙なセーフティーバントを決めて、貴重な追加点につなげた。 ▼丸が3回に逆転の2点適時安打。CSで丸のV打は19年ファイナルS<4>戦以来で、広島時代の3度と合わせて通算6度目。プレーオフ、CSで通算6V打以上はソフトバンク時代に7度の内川に次いで2人目となり、セ・リーグで6度は丸しかいない。

◆阪神が2連敗しファーストステージで敗退した。阪神が2位で出場したCSファーストステージで2戦2敗を喫するのは10年の対巨人、13年の対広島に続いて3度目。試合後の阪神矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。 (テレビ) -今日の試合を振り返って そうですね。前半にチャンスも作れたし、先制もできたんですけど、結果的にはミスというか、そういうところで流れを変えてしまったかなというのと、やっぱり一本出ないなと、感じました。 -シーズンでは勝ち越した巨人と戦ったが それは関係ないんでね。短期決戦の中で一戦一戦全力で戦っていくという戦いなんで。みんな全力で取り組んでくれた結果なんで。この結果を受け止めて成長、今シーズンできたところもありますし、まだまだもっと上にいかないと、ペナントもクライマックスも勝ちきれなかったというのはしっかり受け止めてやっていきます。 -最後にファンへ一言 本当に前半いいスタートを切って、みなさんに大きな期待をしてもらった中で、それを実現できなかったというのは本当に悔しいですし、最後も勝ちきれなかったというのはチーム全体としての成長も必要ですし、もちろん僕自身の成長も必要ですし。でも、みなさんと選手が一緒になって、戦ってもらえたのは感謝の気持ちしかないですし、その分、悔しさは大きいですけど、前向いてやっていく、その姿をこれからも皆さんに見せていきます。1年間、どうもありがとうございました。 (囲み) -1年戦ってきて、できた部分と足りなかった部分は 全体のチーム力は上がってきている部分があると思う。そこに今年は特にルーキーというね、そういう力もまた新たに加わって、そこの競争に入ってきてくれたからこそ全体として上がったところはプラスの面だし。走塁の面でも、みんなの走り切ろうとか、そういう結果からどこにも負けないような走りをした自信はあるし、数で言うと盗塁というところでも、一応(シーズンで)3年(セ・リーグ)トップになるのかな。そういう部分もできた部分もあるし。ちょっとまだ、整理できないけど、勝ちきれなかったというところで言うと、まあ、投手はすごく頑張ってくれているんだけど、まだ競ったところで投手がもうちょっと頑張れる、レベルを上げていくというのは必要だし。みんなが底を上げればもちろんいいんだけど、まだまだ上がれる選手たちが投手もたくさんいるし。あとは、今日の試合でもそうだったけど、結果的に、ミス、エラーが点になっているんでね。これも、チーム全体で取り組んでいることが、数が減ったからどうこうじゃなくて、もっともっとうまくならないと、もっとうまくなれることでもちろん、もう1つ上にいける可能性は上がると思うし、さっきも言ったけど、あとはまあオレ自身の成長というか、それももちろん、これがこんだけの差だったんでね、それはしていかないとダメかなと、必要かなと思ってます。 -監督が言ってきた挑戦は浸透してきてるか。 それはもちろんあるし。その都度その都度の精いっぱいというか、オレもやってきたから。結果出なかったらやっぱりあの時こうしておけば良かったなとか、もっとこうでけへんかったんかなっていうのはもちろんあるけど、それは受け止めながらね、前に進んでいって、成長していかないとダメなんで。その都度の目いっぱいっていうのは選手もやってくれたと思っているし、そういう気持ちっていうか、そういうのはどこにも負けてないっていうのは、ずっとそういうことばかり言ってきているんで、みんなホントによくやってくれているし、でも、勝ちきれなかった、優勝できなかったっていうところで言うと、これでいいよということでは、オレらの成長は止まるのでね。やっぱりそういうのは、よかった部分と、でも、まだ上積みできるんじゃないかというのは、出た結果からも反省して、ステップアップというか、レベルアップしていかないと、ダメかなと思う。その基礎の部分というのは、みんなすごく最後まであきらめずに戦ってくれているというのは、オレの中ではすごく手応えを感じているところです。 -監督自身の来年は それも含めて今ちょっとしゃべれるアレじゃないよ。終わったばっかりなんで。申し訳ないけど。 -最後の試合となったが、大山、梅野ら前半戦頑張った選手を起用した それは総合で考えているんで。もちろん今、言ってくれたように、ここまでもね。本当はジェリー(サンズ)も前半すごく引っ張っていってくれたし、悠輔(大山)や輝(佐藤)やリュウ(梅野)もみんな、いてくれたからこそっていうのはもちろんあるんでね。その思いはもちろん俺の中にもあったし、でも今日勝つっていうところをもちろん目指してやっていったところで決めたんでね。

◆阪神佐藤輝明内野手(22)が、プロ1年目のラストゲームで来季につながる1本を放った。2回1死二塁の第1打席。「強い打球を打とうと、自分のスイングを信じて振りました」と巨人高橋の内角145キロ直球を強振した。左中間へCS初安打となる先制適時二塁打。前日のベンチスタートから、この日はプロ初「8番右翼」でスタメン。"ライパチ"の佐藤輝が、3打数1安打1四球1打点で今季最多2万1492人の観客を沸かせた。 「負けてしまったので、本当にただただ悔しいという気持ちです。ファンの方々の熱も感じましたし、力になりましたが、みなさんの目の前で勝つことができなかったことが悔しいです」 天国と地獄、両方味わったルーキーイヤーだ。5月28日西武戦で、新人では58年長嶋(巨人)以来の1試合3本塁打を放つなど、前半戦だけで20本塁打。チームの快進撃の中心となった。24本塁打は球団新人歴代最多の一方、NPB野手最長の59打席連続無安打を経験するなど壁にもぶつかった。厳しい内角攻めに苦しみ、プロ野球歴代ワースト6位タイの173三振。課題は浮き彫りとなった。 「いい時も悪い時もあって、本当にいろいろなことを経験させていただきましたし、すべてのことを今後に生かさないといけない」 打っても騒がれ、打たなくても騒がれる。この日もオーダー発表時、一番大きな拍手とどよめきが起きたのは「8番ライト 佐藤輝明」とコールされた瞬間だった。鳴り物入りで入団した宿命を背負い、視線を早くも来季へ向けた。「明日から来年に向けて、自分として何が足りなかったかをしっかり考えてやっていきたい。まだまだすべての面で足りないので、もっと上のレベルを目指してしっかり練習していきます」。天国も地獄も、両方糧にする。【中野椋】

◆阪神「5番三塁」でスタメン復帰した大山悠輔内野手は、3打数無安打2四球2三振と快音は響かなかった。 初回2死一、三塁の先制機で空振り三振。8回表の守備では、先頭坂本のゴロを失策。直後、丸に三塁前へのセーフティーバントを許し、4点目につながった。前日は代打で二塁打も、この日は攻守に精彩を欠き、悔しいシーズン最終戦となった。

◆阪神3番手のラウル・アルカンタラ投手は2回を完全投球で巨人打線を手玉に取った。 2-3の5回から登板。対戦した打者6人すべてで初球にストライクを投じ、自らのペースに持ち込んだ。「とにかく0点で抑えることが自分の役割だったから、2イニングを抑えることができて良かったよ」。今季途中から中継ぎ転向。CSでも安定した投球を見せた。

◆阪神矢野燿大監督が連敗でのファーストステージ敗退を猛省した。 「本当に悔しい。これだけの差だったので、オレ自身の成長もしていかないとダメ。必要かなと思う」と険しい表情を見せた。この日も失策からの敗戦となった。3回には中野、8回には大山の失策で、先頭打者を出塁させ、失点に結びついた。「もっともっとうまくならないと」。シーズン4年連続12球団最多失策86個の守りに苦しんだ。 シーズン前半の快進撃を支えた大山、佐藤輝、梅野を10月10日以来、3人同時でスタメンで起用。2回に先制点を奪ったが、逃げ切れなかった。シーズンで11ゲーム差をつけ、14年ぶりに勝ち越した宿敵巨人に連敗。「ペナントもクライマックスも勝ちきれなかった」。2位でのCSファースト連敗での敗退は13年以来球団3度目。シーズンでは勝率5厘差、0ゲーム差で優勝を奪われたヤクルトとの再戦もかなわなかった。

◆ピンチの場面でバトンを受けた阪神伊藤将司投手(25)はきっちりと火を消した。 3回に逆転を許し、1点ビハインドの2死一、三塁で登板。亀井を四球で2死満塁としたが、ウィーラーを中飛に打ち取り、切り抜けた。「とにかく無失点で抑えるという気持ちで投げました。無失点で次につなぐことができて良かったです」。4回もゼロで抑え、1回1/3を無失点。今季10勝左腕は中継ぎ登板でも結果を残した。

◆阪神先発の青柳晃洋投手(27)は2回2/3を投げ3失点(自責0)で虎の窮地を救えなかった。 味方が2点先制した直後の3回につかまった。失策と連打で無死満塁とすると松原に左前適時打を浴び、1点差に迫られた。2死満塁では、丸に右前2点適時打を許し、逆転された。試合前には「とにかく勝つしかないのでベストな投球をできるように」と意気込んでいたが、勝利へ導けなかった。

◆阪神中野拓夢内野手(25)は2安打したが、失点につながった失策を悔いた。 2点リードの3回。先頭吉川の遊ゴロをはじいて、出塁させた。そこから3点を失い、逆転された。「短期決戦で1点が重い試合になる。ミスから逆転を許してしまって、その怖さを改めて感じた。ショートは守れないと、(試合に)出られない。それは今後の課題」。今季はリーグ最多17失策を記録。守備を磨き、来季の準備を整える。

◆巨人が2連勝でヤクルトとのファイナルステージ進出を決めた。この日は2回に2点を先制されたが、直後の3回に打者9人の攻撃で逆転に成功。8回には相手の失策につけ込み、無死一塁から丸が絶妙なセーフティーバント、なお一、二塁から亀井が犠打を決めて、ウィーラーの犠飛で貴重な追加点を奪った。 投手陣は綱渡りのリレーでつないだ。先発高橋を1回2/3、2失点。原辰徳監督(63)はちゅうちょなく継投策に入った。高木、戸郷、高梨、鍵谷、デラロサ、中川、ビエイラと8投手を惜しみなくつぎこんだ。2点リードの9回は、守護神ビエイラが2死一、二塁と1発が出れば逆転のピンチを、最後はロハスを空振り三振に仕留めた。 原監督は「先制され、非常に苦しい展開だったが、前半の早い回でうまい具合に逆転できたというのは大きかったのかなと。ただ、本当にギリギリの場面が多くてね。投手もよく頑張ったと言えば、頑張ったんですけども、守備も含めてね。守ることがしっかりできたということだと思いますね」と振り返った。

◆「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」の第2戦が7日、甲子園で行われ、阪神が巨人に2連敗を喫し、ファーストステージで敗退した。来季に向けたオフに突入するが、去就が注目される阪神梅野隆太郎捕手(30)が、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権行使の可能性も含めて今後熟考していくことが7日、分かった。他球団への流出となれば、チームにとって大打撃だ。矢野阪神が早すぎる終戦の時を迎えた。シーズン前半戦の快進撃から、失速。そしてV逸。CSファーストステージも巨人に2連敗を喫しての敗退となった。17年ぶりのリーグ制覇へ、チームの再構築が求められるオフで、最大の懸案事項がある。今季国内FA権を取得した虎の正捕手・梅野が権利行使の可能性も含めて熟考していくことが判明。流出の事態となれば、大きな戦力ダウンは避けられない。 梅野は13年ドラフト4位で入団し、プロ8年目シーズンが終了。今年5月13日にはFA権を取得していた。プロ野球人生の節目で、今後の進路を慎重に検討する。第一には自分を育ててくれた球団への恩義と、熱く応援してくれるファンへの強い思いがある。14年のプロ1年目から1軍で経験を積み、17年から正捕手に定着した。今年も開幕スタメンマスクをかぶり130試合に出場。夏には侍ジャパンの一員として東京五輪で金メダルを獲得した。球界を代表する捕手になるまでに育て上げてくれた。 プロ野球随一の熱いファンの思いも感じている。いい時も悪い時も、変わらず熱烈な声援を送ってくれる。梅野自身もやりがいを感じ、阪神愛も感じている。 その一方で、脂の乗った30歳。他球団の現状や自身の評価を聞いてみたいという思いもある。シーズンが終了し、さまざまなことを頭に浮かべながら、今後について熟考していく。 この日は10月10日ヤクルト戦以来のスタメン出場。2回1死から中越え二塁打を放ち、先制機を演出。守っても懸命に投手陣をリードしたが、白星にはつながらなかった。「シーズントータルで考えたらリーグ優勝できなかったことはキャッチャーとしての責任を感じます。まだまだこの若いチームは発展途上だと思うので、課題を持ってまた来年に向けてスタートしていきたい」。悲願のリーグ優勝をあと1歩で逃した責任を感じながら、来季へ懸命に前を向いた。 梅野は「自分の成長の中で五輪、優勝争いと本当にいい経験ができた1年だったかなと思います。この経験を生かして来年はやるしかないという思いが強い」と今季を振り返った。じっくり考えて、後悔のない道を選択する。

◆巨人が2連勝でヤクルトとのファイナルステージ進出を決めた。▼公式戦3位の巨人が2連勝で1Sを突破。セ・リーグのCSで3位球団のファイナルS進出は8度目で、中止の20年を挟んで16年からは5年続けて3位球団が勝ち上がった。パ・リーグの9度と合わせ、3位からファイナルSに出場した過去16度のうち日本シリーズ進出は10年ロッテと17年DeNAしかない。また、シーズン負け越しでプレーオフ、CS出場は今年の巨人が7度目で、1S突破は4度目。過去3度はファイナルSで敗れており、負け越し球団の日本シリーズ出場は過去にないが、今年の巨人はどうか。 ▼巨人は8投手が登板。プレーオフ、CSで8人登板は12年ファイナルS<5>戦中日、19年1S<1>戦阪神に次いで3度目の最多タイ。日本シリーズも97年<4>戦西武の8人が最多で、中日と西武は敗戦。8人継投で勝利は19年阪神に次いでポストシーズン史上2度目。

◆巨人が下克上日本一への第1関門をクリアした。「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージ第2戦の阪神戦に逆転勝ち。2連勝で10日からのCSファイナルステージ進出を決めた。 打撃2冠王の4番岡本和が欠場の中、原辰徳監督(63)の経験則による采配で選手が適材適所で躍動した。短期決戦を勝ち抜く「原イズム」に潜入した。原監督の眉間のしわが柔らかな曲線に戻った。2点リードの9回2死一、二塁。ビエイラがロハスを空振り三振に仕留めて雄たけびを上げると、巨人ナインが歓喜の列を作った。原監督はハイタッチを終えると、足を止めた。スタンドに一礼した矢野監督に声を掛けた。激しい伝統の一戦を戦った敵将と握手し、健闘をたたえ合った。「苦しい展開だったが早い回で逆転できたのは大きかった。本当にギリギリの場面が多くてね」と熱戦を振り返った。 短期決戦の酸いも甘いも知る。監督として巨人でリーグ優勝9回、日本一3回。09年には日本代表監督としてWBCを制した。勝ち進むために必要なものは何かは、身をもって知る。 原監督 一番大事なのは短期決戦の中での勢い、リズムに乗ること。勝利が勢い、結束、次へのエネルギーを生む。大事にいく気持ちはとても重要だけど、どこか大胆に自分を信じ、チームを信じ、というところは必要になってくるね。 エース菅野の好投と野手が一丸となって難敵高橋を攻略した初戦の余韻には浸らなかった。加速度をつけるべく先発野手を3人入れ替え、最多勝右腕の青柳攻略に左打ち野手を6人そろえた。選手起用や交代に、不変のスタンスがある。 原監督 思い切ってやるということ。捨て駒はいないということですよ。1人1人、役割を持っている。 3回には無死一、二塁で代打に八百板を指名。練習から好調を感じ取っていただけに「賭けた」と強攻を指示し、右前打で逆転劇を呼び込んだ。8回無死一塁では4番丸にセーフティーバントのサインでダメ押し点をお膳立てした。 継投策でも救援陣を信じて妥協なく送り込んだ。先発高橋を2回途中で代え、CS最多タイの8人継投で逃げ切った。「守ることがしっかりできたということ」。シーズン終盤の大失速で失いつつあった「1Team」からくる自信と勢いを、呼び戻した。 3日後には、リーグ王者ヤクルトとのCSファイナルに挑む。「まだ終わったばかりなのでね、少し選手たちも私自身もリラックスして」と前置きし、続けた。「挑戦権を得たという部分に関しては、しっかり戦っていきたい」。巨人史上初の3位からの日本シリーズ進出へ-。最終決戦でも選手を、自分を信じ、タクトを振る。【浜本卓也】 ▽巨人元木ヘッドコーチ(3回の八百板の強攻策について) 監督指示。監督も『練習いいよな』って言っていたんでチャンスもあるんだろうなと思っていたんだけど、あそこで。おれもバントかなと思ったんだけど打たせたから。いや、すげーって思った。 ▽巨人松原(3回の左前適時打を含む2安打の活躍) 積極的にいこうとは思っていた。でもやみくもではなく、狙い球を絞っていこうと。 ▽巨人鍵谷(6回2死満塁のピンチで登板し、阪神マルテを三ゴロに) なんとしてでも0点で抑えるだけを考えて、思いきって投げました。ほっとしています。 ◆CSファーストステージ シーズン2位と3位が3試合制で対戦し、勝利数の多い球団がファイナルステージに進出。引き分けを除いた勝利数が同じ場合は2位球団が勝者。延長戦は行わず、同点の場合は9回打ち切りで引き分け。9回表終了時や9回裏の攻撃中に後攻のステージ勝ち上がりが確定した場合、その時点で終了する。

◆巨人戸郷が粘投で敵地甲子園の運を味方につけた。 3回から昨年の日本シリーズ以来のリリーフ登板。毎回走者を背負うも、踏ん張った。3回3安打2四球無失点。「ピンチがいっぱいあったけど、粘れて良かった」と安堵(あんど)した。 漫画「巨人の星」の「大リーグボール1号」を現実にやった。5回2死二塁、阪神梅野へ抜けた球がグリップエンドに直撃して捕ゴロ。「初めて見ました。今日はラッキーでした」。3回は1死一、二塁のピンチを三塁手若林の併殺で切り抜け、4回は丸が好プレー。小さな吉が重なった。 9月、戸郷は悩んでいた。自己ワーストとなる7戦勝ちなしのトンネルに迷い込んだ。勝てない。同月上旬、原監督の「今まで勝ってる神様にもう1回拝んできたらどうだ」という言葉を思い出した。普段は大好きな睡眠休息に費やす休日に、愛車ジャガーを走らせた。スポーツ振興の神と呼ばれる「亀戸香取神社」でお参り。おみくじもひいた。「小吉でした。でもそれからあまり負けなくなった。良かったかな」。潮目を変えるために、やれることをやってきた。約2カ月後の大一番。勝利の女神は戸郷にほほ笑んだ。【小早川宗一郎】

◆阪神が巨人に連敗し、CSファーストステージで敗退した。シーズンでは11ゲーム差をつけ、14年ぶりに勝ち越した宿敵に、本拠地甲子園でたたきのめされた。試合後、スタンドのファンに深々と頭を下げた矢野監督は「本当に悔しい。これだけの差だったので、オレ自身の成長もしていかないとダメ。必要かなと思う」と、自身へも厳しい言葉を向けた。 この日もミスからの敗戦となった。2回に2点を先制したが、直後の3回に遊撃中野の失策からシーズン最多勝右腕青柳が4安打を浴び、3失点で逆転を許した。8回にも三塁大山の失策から、重い1点を失った。矢野監督は「もっともっとうまくならないと」と嘆く。シーズン4年連続12球団最多失策86個の拙守に最後まで苦しんだ。 2位ながらCSファーストSに連敗し、敗退するのは13年以来球団3度目。シーズンでは勝率5厘差、0ゲーム差で優勝を奪われたヤクルトとの再戦もかなわなかった。この日、今季初めて8番に入り、CS初スタメンの佐藤輝が左中間へ適時二塁打を放った。「ただただ悔しい。明日(8日)から来年に向け、しっかり考えてやっていきたい」と前を向いた。後半戦苦しんだ怪物ルーキーの進化で、来季こそ、17年ぶりのリーグ優勝を狙う。【石橋隆雄】

◆負けられない阪神は主将の大山悠輔内野手(26)が「5番・三塁」でスタメンに名を連ねた。また、梅野隆太郎捕手(30)が「7番・捕手」でレギュラーシーズンの10月10日、ヤクルト戦(神宮)以来のスタメン起用。さらに、佐藤輝明内野手(22)が「8番・右翼」で先発する。近本光司外野手(26)は、本来の1番に戻った。

◆読売テレビの生中継に今季限りで現役引退した鳥谷敬氏(40)がスペシャルゲストとして登場した。 2004年から16年間プレーした古巣の阪神は第1戦を落とし、負ければ終戦となる。 番組で鳥谷氏は「きのう(6日)、バントで送ったチーム(巨人)とエンドランを仕掛けたチーム(阪神)。両チームの作戦が違ったので、そこがきょうどうなっていくか見ものですね」と展望を語った。 試合は一回、阪神の先発・青柳が先頭の松原に左前打を浴びるも、若林を遊飛。坂本を二ゴロ併殺に仕留めた。 一方の阪神も一回先頭の近本が左前打。中野が三邪飛も糸原が右前打でつなぎ、相手の暴投で近本が三進。1死一、三塁から4番のマルテが見逃し三振に倒れ、スタメンに帰ってきた大山は空振り三振に終わった。 鳥谷氏は大山について「昨シーズン、本当に素晴らしい成績のなか、今年から新たに主将の重圧もあっただろうし、今年1年間やってくれるだろうという期待もあったので、そのプレッシャーにやられたのかなと思いましたね」と話した。

◆今季限りで現役引退した鳥谷敬氏(40)が読売テレビの生中継にスペシャルゲストとして登場し、阪神の佐藤輝明内野手(22)の印象を語った。 「エキシビション(マッチ)でも対戦しまして、そのときも2本、ホームランを打っていましたし、長打力というのは誰もが持っているものではないので、本当に魅力的な選手ですね。試合をひっくり返すこともできますし、勢いをつけることもできる」 その、佐藤輝は二回1死二塁から左中間を破る先制の二塁打を放った。沸き返る場内に鳥谷氏は「スタメンで名前が出たときから場内の空気を変えていた。これで一層、球場の雰囲気が力になると思います」と語った。

◆阪神・佐藤輝明内野手(22)が「8番・右翼」でCS初のスタメン出場を果たし、先制の適時打を放った。 二回1死から、10月10日のヤクルト戦(神宮)以来のスタメンとなった梅野が中越えの二塁打で好機を演出すると、黄金ルーキーが打席へ。先発・高橋の6球目、145キロの直球を左中間へはじき返し、先制点をもたらした。さらに中野の適時打で、この回2点を奪った。 二回、二塁打を放つ阪神・梅野=甲子園球場(撮影・松永渉平) 佐藤輝はレギュラーシーズンでは巨人・高橋に対し、打率・182(11打数2安打)、3三振と苦手にしていたが、この日は勝負強さを発揮。球場には大きなメガホンの音が鳴り響き、ボルテージは最高潮。佐藤輝は広報を通じて「打ったのはストレート。梅野さんがチャンスを作ってくれたので、絶対に打ちたいと思っていました。良い結果になりましたが、追いかける展開になったので、次も打てるように頑張ります」とコメント。その後、逆転されたとあって、巻き返しを誓った。

◆第2戦のマウンドを託された巨人・高橋優貴投手(24)が二回途中5安打2失点でKOされた。一回から近本、糸原の安打で1死一、三塁のピンチを招くも、4番・マルテ、大山を連続三振に仕留めた。だが二回は1死二塁から佐藤輝に左中間を破られる適時二塁打を浴び、先制点を献上。その後2死二塁から近本に右前打を許し、原監督は交代を決断。2番手・高木にマウンドを譲った。 6日には「絶対に先に点を与えない、主導権を握らせないように心がけたい」と気合十分だった左腕。今シーズンの阪神戦は無傷の4勝と相性はよかったが、短期決戦の大事な試合で無念の降板となった。

◆阪神・中野拓夢内野手(25)が貴重な追加点を挙げた。 佐藤輝の適時二塁打で先制し、なおもチャンスで迎えた二回2死一、三塁。代わったばかりの2番手・高木の初球だった。120キロの変化球にうまくバットを合わせると、打球は左前へ。大きな一打で、三走・佐藤輝が生還した。 今季の阪神を牽引(けんいん)してきたルーキーコンビが、負ければ終わりの土壇場で躍動した。

◆巨人・丸佳浩外野手(32)が逆転2点打を放った。2点を追う三回。相手の失策と連打で無死満塁の好機を作り、1番・松原が左前適時打で1点。続く若林、坂本の後続が倒れ2死満塁となったが、4番に座る丸が青柳の変化球を捉え、右前に運び試合をひっくり返した。 6日の第1戦でも一塁への執念のヘッドスライディングを見せ、チームに先制点をもたらした。この日は大事な場面での値千金打で、出場選手登録を外れている主砲・岡本和を欠く打線を引っ張った。

◆阪神・青柳晃洋投手(27)は2回?を投げ、5安打3失点(自責0)で無念の降板となった。 二回に佐藤輝と中野の適時打で2点の援護をもらったが、直後の三回にG打線につかまった。先頭の吉川の中野がファンブル。この失策から大城、代打・八百板の連打で無死満塁。続く松原に左前へはじき返されて1点を返された。2死後、なおも満塁で4番・丸に逆転となる2点打を食らい、ベンチからタオルが投げられて投手交代となった。 三回、巨人・吉川の打球をエラーする阪神・中野=甲子園球場(撮影・宮沢宗士郎) 2番手で登板した伊藤将はいきなり亀井を四球で歩かせたが、ウィーラーを中飛に仕留めて火消しした。

◆今季限りで現役引退した鳥谷敬氏(40)が読売テレビの生中継にスペシャルゲストとして登場し、阪神の遊撃手を守る〝後輩〟の中野拓夢内野手(25)へ、アドバイスを送った。 解説を務めた赤星憲広氏から「今後、中野選手が鳥谷選手のようにずっと活躍するためには、ショートとして何が必要か」と問われると、鳥谷氏は「本当に野球をする上での体力も必要だと思うのですけど、1試合1試合グラウンド状況であったりだとか、気候であったりとかいろいろな変化があるので。自分の場合だったら、グラウンドを常に、阪神園芸さんと話をして、同じ状態にしてもらうということを常にやっていたので。そういうのも必要かなと思います」とアドバイスを送った。甲子園独特の黒土で長年活躍した先輩からの金言だった。

◆2番手としてマウンドに上がった阪神・伊藤将司投手(25)が1回?を無失点で切り抜けた。 「ピンチの場面でしたが、とにかく無失点で抑えるという気持ちで投げました。無失点で次につなぐことができてよかった」 先発の青柳が三回に2-3と逆転を許し、なおも2死一、三塁でマウンドへ。亀井に四球を与え、満塁となったがウィーラーを中飛に仕留めた。四回も無失点で切り抜けた。 先発として新人ながら10勝をマークした左腕はファーストステージは中継ぎ待機。慣れないマウンドでもしっかりと仕事を果たした。

◆阪神・矢野燿大監督(52)は2―3の五回にリプレー検証を要求したが判定は覆らなかった。指揮官がビデオ判定を求めたのは五回2死二塁での梅野の打席だった。巨人・戸郷の6球目が内角高めのコースにいき、梅野は球を避けようと腕を引いたが、バットのグリップに当たり、そのまま捕ゴロでアウトとなった。 しかし、五回終了のグラウンド整備が入ったところでベンチの矢野監督が「(梅野は)ヒット・バイ・ピッチ(死球)ではないか」と審判団にリクエストを要求したが、バットに当たりインプレーだったという判定は変わらなかった。

◆「2番・三塁」で先発した巨人・若林晃弘内野手(28)が〝岡本和グラブ〟でファインプレーを決めた。 3-2と逆転に成功した直後、三回の守備。1死一、二塁で、梅野の強烈な三塁線への打球を倒れ込みながら好捕し、三塁を踏んで素早く一塁へ送球。併殺を完成させ、ピンチを脱した。 若林がこの日使用したグラブは、指部分に「OKAMOTO 25」の文字が刻まれており、左脇腹痛で2戦連続欠場となった岡本和のものとみられる。年下の主砲の代役で三塁に入った若林が、その思いも受け継いでグラウンドで躍動した。

◆今季限りで現役引退した鳥谷敬氏(40)が読売テレビの生中継にスペシャルゲストとして登場した。 実況のアナウンサーから「将来的に背番号1で阪神の監督は」と問われると、「それはもう完全に自分が決められることではないので。そういうお言葉をいただけるように、しっかりここからの人生を歩んでいきたいと思います」と話した。阪神在籍16年で数々の伝説を残した虎のレジェンドが、再びタテジマのユニホームに袖を通す日が来るのかもしれない。

◆レギュラーシーズン3位の巨人が2位の阪神を下し、2連勝で10日に始まるヤクルトとのファイナルステージ(神宮)進出を決めた。 先発マウンドを託された高橋は二回途中5安打2失点と試合を作れなかったが高木、戸郷、高梨、鍵谷、デラロサ、中川、ビエイラと次々に起用する〝炎の8人継投〟で追加点を許さなかった。主砲・岡本和を欠く打線は2点を追う三回に相手の失策と連打で無死満塁の好機を作り、1番・松原が左前適時打で1点。2死満塁となった後、4番・丸が青柳の変化球を捉え、右前に運び試合をひっくり返した。八回にはウィーラーの中犠飛で、リードを広げた。

◆阪神が巨人に連敗し、ファーストステージ敗退が決まった。二回に佐藤輝が適時二塁打、中野が左前適時打を放って2点を先制した。 しかし直後の三回、先頭の吉川の打球を遊撃手・中野がファンブル。青柳が連打で無死満塁とピンチを広げると、松原に左前適時打、丸に逆転の2点打を浴びた。 阪神打線はここから再三の好機を作るもあと一本が出ない。2-3のまま迎えた八回は、先頭・坂本の打球を三塁手の大山が失策。丸が三塁線へセーフティーバント(記録は三塁内野安打)、亀井が犠打で1死二、三塁とされるとウィーラーに中犠飛を放たれ、痛恨の4点目を奪われた。 いずれの失点もエラーからと、今季レギュラーシーズンで両リーグ最多の86失策を喫した守備力のもろさが露呈。来季へ向けた大きな課題を残し、阪神の2021年シーズンは幕を閉じた。

◆レギュラーシーズン3位の巨人は対戦成績を2勝とし、ファイナルステージ進出を決めた。2試合で4番に座った巨人・丸佳浩外野手(32)が1-2とした三回2死満塁で逆転2点打を放ち、勝利に導いた。丸の一問一答は以下の通り。 【写真】阪神・近本光司の打球を好捕する丸佳浩 -―逆転打の場面はどんなことを考えて 「2アウト満塁だったので、ここは打つことだけだと思って、打てる球をひと振りで仕留められたなという打席です」 -―セーフティーも決めた 「もう1点ほしい場面だったので、何とか自分の仕事ができてよかったと思います」 -―4番に入っての2試合 「本来は4番は(岡本)和真がいる打順だと思うんですけど、和真も悔しい思いをしながら僕たちのことを応援してくれていると思うので、その思いを受け止めながらなんとか自分のできることを精いっぱいやろうというところです」 4回、阪神・近本光司の打球を好捕する丸佳浩=甲子園球場(撮影・宮沢宗士郎) -―投手陣も頑張った 「ほんとに非常に投手陣も頑張ってくれましたし、欲を言えば僕たちが楽に投げさせてあげれれば最高だったんですけど、ほんとに今日は投手と野手がうまくかみ合ったゲームだと思う」 -―レギュラーシーズンで負け越した阪神にリベンジ 「そうですね。シーズン中、悔しい思いをしたので、なんとかここクライマックスでやり返せたらなという思いだったので、それをまず達成できたのはよかったです」 8回、セーフティバントを決める巨人・丸佳浩=甲子園球場(撮影・中井誠) -―ヤクルト戦に向け 「また3日後ですか、気持ちを新しく、挑戦者の気持ちを持って立ち向かっていきたい」

◆阪神は4点を失ったものの、投手陣の自責は0。三回には中野拓夢内野手(25)、八回には大山悠輔内野手(26)の失策から、失点した。打線も11安打を放ちながらも13残塁。終盤の失速の要因となった「守乱」と「拙攻」でCS敗退となった。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 (テレビ) ーーゲームを振り返って 「そうですね。前半にチャンスも作れたし、先制もできたんですけど、結果的にはミスというか、そういうところで流れを変えてしまったかなというのと、やっぱり一本出ないなと、そういうふうに感じました」 ーーシーズンで勝ち越した巨人と戦った 「それは関係ないんでね。短期決戦の中で一戦一戦全力で戦っていくという戦いなんで。みんな全力で取り組んでくれた結果なんで、この結果を受け止めて成長、今シーズンできたところもありますし、まだまだもっと上にいかないと、ペナントもクライマックスも勝ちきれなかったのはしっかり受け止めてやっていきます」 ーー最後にファンに 「本当に前半いいスタートを切って、皆さんに大きな期待をしてもらった中で実現できなかったのは本当に悔しいですし、最後も勝ちきれなかったのはチーム全体としての成長も必要ですし、もちろん僕自身の成長も必要ですし。でも皆さんと選手が一緒になって、戦ってもらえたのは感謝の気持ちしかないですし、その分、悔しさは大きいですけど、前向いてやっていく姿をこれからも皆さんに見せていきます。1年間、どうもありがとうございました」 三回の中野の失策=甲子園球場(撮影・宮沢宗士郎) (囲み) ーー1年で、できた部分と足りなかった部分は 「チーム力は上がってきている部分があると思うし、今年は特にルーキーの力も新たに加わって競争に入ってきてくれたからこそ、全体として上がったところはプラスの面。走塁の面でも走り切ろうとか、そういう結果からどこにも負けないような走りをした自信はあるし、数で言うと盗塁というところでも、一応3年トップになるのかな。そういう部分もできた部分もある。まだ整理できないけど、勝ちきれなかったところで言うと、投手は頑張ってくれているんだけど、まだ競ったところで、もうちょっと頑張れるレベルを上げていくのは必要だし。みんなが底を上げればもちろんいいんだけど、まだまだ上がれる投手もたくさんいる」「あとは、今日の試合でもそうだったけど、結果的にミス、エラーが点になっているんでね。チーム全体で取り組んでいることが、数が減ったからどうこうじゃなくて、もっとうまくならないと、もっとうまくなれることで、1つ上にいける可能性は上がると思うし、さっきも言ったけど、あとはまあ俺自身の成長というか、これがこんだけの差だったんでね、それはしていかないとダメかなと、必要かなと思ってます」ーー佐藤輝は手ごたえと悔しさがあったと思うが、監督から見て「まあ、それは佐藤輝に聞いて。俺は今はちょっと」八回、投ゴロに倒れる佐藤輝。今季最後の打席となった=甲子園球場(撮影・松永渉平)ーー監督が言ってきた挑戦は浸透している「もちろんあるし。その都度その都度の精一杯というか、俺もやってきたから。結果出なかったらやっぱりあの時こうしておけば良かったなとか、もっとこうでけへんかったんかなっていうのはあるけど、それは受け止めながらね、前に進んでいって、成長していかないとダメなんで。その都度の目いっぱいっていうのは選手もやってくれたと思っている。そういう気持ちは、どこにも負けてないのは、ずっとそういうことばかり言ってきているんで、みんなホントによくやってくれている」(さらに続けて)「でも優勝できなかったところで言うと、これでいいよということでは、俺らの成長は止まるのでね。やっぱりそういうのは、よかった部分と、まだ上積みできるんじゃないかというのは、出た結果からも反省して、ステップアップというか、レベルアップしていかないと、ダメかなと思う。その基礎の部分は、みんなすごく最後まであきらめずに戦ってくれているというのは、俺の中ではすごく手応えを感じているところです」ーー監督自身の来年は「それも含めて今ちょっとしゃべれるアレじゃないよ。終わったばっかりなんで。申し訳ないけど」ーー最後の試合となったが大山、梅野ら前半戦頑張った選手を起用した「それは総合で考えてるんで。もちろん今言ってくれたように、ここまでもね。本当はジェリーも前半すごく引っ張っていってくれたし、悠輔や輝やリュウもみんな、いてくれたからこそっていうのはもちろんあるんでね。その思いはもちろん俺の中にもあったし、でも今日勝つっていうところ目指して、決めたんでね」

◆巨人の高橋は制球に苦しみ、1回?を投げて5安打2失点で降板した。2戦目の先発を任され「やるしかない。目の前の打者を抑えるだけ」と意気込んでいたものの、首脳陣の期待に応えることはできなかった。 佐藤輝に適時二塁打を浴び、0―1の2死一、三塁で交代を告げられた。3年目の今季はチーム最多の11勝を挙げたが、後半戦以降は振るわない。救援陣に救われる形となり、原監督は「先発が2回を持たないと、こういう状況になる」と苦言を呈した。

◆巨人は2連勝でファイナルステージ進出を決めた。打線では1-2とした三回2死満塁に2試合連続で4番に座った丸佳浩外野手(32)が逆転2点打を放つなど、打線を引っ張った。投手陣では先発の高橋が二回途中5安打2失点と試合を作れなかったが計8投手の継投で競り勝った。試合後、原監督が試合を振り返った。 -―2連勝でファーストステージ突破 「先制された非常に苦しい展開だったんですけど、前半のうちにうまい具合に逆転できたというのは大きかった。ただ、本当にギリギリの場面が多くてね。投手もよく頑張ったといえば、頑張ったんですけども、守備も含めてね、守ることがしっかりできたということだと思いますね」 -―8人の継投。総力戦だった 「そうですね。やっぱり先発ピッチャーがああいう状態でね、二回をもっていないということになると、こういう状況になりますね」 ―-三回の逆転の場面は下位打線がつながった 「そうですね。まあ、やっぱりひとつの、われわれにとっては非常に良かったところからですね」 -―八回は丸、亀井、ウィーラーがいい役割を 「非常に貴重な1点になりましたね」 -―次の神宮でのヤクルト戦に向けて 「まだ終わったばかりなのでね、少し選手たちも、私自身もリラックスして、ちょっと時間がありますので、挑戦権を得たという部分に関しましてはね、しっかり戦っていきたいと思います」

◆阪神の佐藤輝がクライマックスシリーズ(CS)初先発。二回に「自分のスイングを信じてバットを振った」と先制二塁打を放ったものの、勝利にはつながらなかった。激動のルーキーイヤーを終え「本当にいろいろなことを経験させてもらった。その全てを生かさないといけない」と引き締まった顔で言った。 前半戦だけで20本塁打と強烈な打撃で快進撃を支えたが、後半戦はセ・リーグのワースト記録を更新する59打席連続無安打もあり、4本塁打。チームも悔しい終戦となり「まだまだ全ての面で足りない」とさらなる鍛錬を誓った。

◆巨人は投打がかみ合い2連勝を飾り、ファイナルステージ進出を決めた。元木大介ヘッドコーチ(49)が短期決戦で見せた勝負師、原監督の攻めの采配に舌を巻いた。 2点を追う三回無死一、二塁の場面だ。打席には投手、高木の代打・八百板。送りバントで走者を進めて好機を広げるのが、手堅い攻撃パターンではあるが、原監督はヒッティングを選択。強攻策も八百板がきっちり右前打を放ち、その後の逆転劇につなげた。 同ヘッドコーチは「八百板も練習から良かった。監督も練習いいよなって言っていたんで。チャンスもあるんだろうなと思っていたけど、あそこで。俺もバントかと思ったんだけど打たせたから。いや、すげーって思った」と驚愕(きょうがく)。指揮官の期待に応えた八百板には「初球から振れたというのがよかった」と評価した。

◆巨人の戸郷が三回から3番手で登板し、3回を無失点でしのいだ。今季は26試合全てが先発登板で、昨季の日本シリーズ以来となる救援だった。「調整の仕方などが難しかったが、何とかゼロに抑えられて良かった」と安堵感を口にした。 ファーストステージが2戦で終わったことで山口を温存でき、ファイナルステージでも救援待機のケースがありそうだ。「中継ぎはコースを間違えられない難しさを改めて痛感した」と制球力の重要性に気持ちを引き締めた。

◆巨人は2連勝でファイナルステージ進出を決めた。元木大介ヘッドコーチ(49)が第1戦で勝負の分かれ目となった捕手・小林のウエストについて言及。「いやいや、あれは(小林)誠司よ。誠司が何かおかしいと思ったから外しましたって言って、あいつのファインプレー」と真相を明かした。 6日の第1戦、1点を追う阪神の五回の攻撃。先頭のマルテが菅野からチーム初安打を放ち、出塁。続く糸原の打席で1ボールからエンドランを仕掛けたが、小林が大きく外して、マルテの二盗を阻止した。菅野、高橋の両者譲らぬ緊迫した投手戦だっただけに、試合の流れを大きく変えるプレーとなった。

◆巨人・丸佳浩外野手(32)が、三回に決勝打を放つなど2戦連続で4番に座り、ステージ突破の立役者となった。 1点を追う三回2死満塁で、逆転の2点右前打を放ち、「2死満塁だったので『ここはもう打つだけだ』と思って、しっかりと打てる球をひと振りで仕留められた」と胸を張った。 左脇腹痛で2戦連続欠場した岡本和に代わって4番に座り、2試合で6打数3安打2打点。第1戦では一塁へのヘッドスライディングで闘志を見せた。この日は八回に三塁前へ絶妙なセーフティーバントを決め、三回には近本の打球をダイビングキャッチするなど、打撃だけに止まらない大車輪の活躍を見せた。 四回、阪神・近本の打球を好捕する巨人・丸=甲子園球場(撮影・宮沢宗士郎) 「シーズン中は悔しい思いをしたので、何とかCSでやり返せたらなという思いだった。まず一つ達成できてよかった」と喜んだ丸は、10日からヤクルトと激突するファイナルステージへ「気持ちを一心に、挑戦者の気持ちを持って立ち向かっていきたい」と意気込んだ。

◆巨人・戸郷翔征投手(21)が3回無失点の好リリーフを見せた。1点リードの三回に3番手として登板。四球と安打で1死一、二塁のピンチを招いたが、梅野を併殺打に打ち取り、無失点。四、五回も得点圏に走者を背負った中での投球だったが、追加点を与えず4番手・高梨につないだ。 1点のリードを守り抜いた戸郷は「久しぶりの中継ぎで、いろんな調整の仕方が難しかったですけど、何とかゼロに抑えられてよかった」と胸をなでおろした。

◆阪神の敗退で、25年ぶりにパ・リーグ優勝を果たしたオリックスとの日本シリーズ関西対決はなくなった。最後の関西対決は、前回の東京五輪が開催された1964年、阪神と南海(現ソフトバンク)が対戦して南海が4勝3敗で日本一に輝いた。

◆巨人・丸佳浩外野手(32)が三回に逆転の2点タイムリーを放ち、2連勝でのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ突破に貢献。左脇腹痛のため2戦連続で欠場した岡本和真内野手(25)に代わる4番打者として、責務を果たした。 代役4番は何でもできる! 丸が三回に逆転の2点右前打を放ち、これが決勝点となった。 「2死満塁だったので『ここはもう打つだけだ』と思って、しっかりと打てる球をひと振りで仕留められた」 八回無死一塁では「もう1点ほしいという場面。自分はあくまで4番目(の打者の意識)」と三塁前への絶妙なセーフティーバントで追加点を呼び込んだ。守っては四回に近本の中飛をダイビングキャッチ。原監督は「守備でも非常によかったし、けん引してくれた」と絶賛した。 4回、阪神・近本の打球を好捕する巨人・丸=甲子園球場(撮影・宮沢宗士郎) 左脇腹痛で2戦連続欠場した岡本和に代わって4番に座り、2試合で6打数3安打2打点。第1戦では一塁へのヘッドスライディングで闘志を見せた。「本来4番は(岡本)和真がいる打順。和真も悔しい思いをしながら応援してくれている。1試合でも多くやれれば(復帰の)可能性も広がる」と、普段は「岡本さん」と呼んでイジる後輩への思いを、真剣に語った。 八回には、今季限りで現役引退する5番・亀井が追加点につながる犠打を決めた。阪神の11安打を下回る7安打でもぎ取った4得点。12球団最多の169本塁打を放った打線は、つなぐ4番、丸に象徴される「フォア・ザ・チーム」の精神で機能している。(谷川直之)

◆V逸の悔しさがぬぐえないまま、11ゲーム差をつけていた3位巨人に本拠地で連敗。CSファーストステージ最大の下克上を許し、屈辱が積み重なっての終戦だ。勝負をかけた就任3年目があまりにあっけなく終わり、矢野監督も自責の念を抑えきれなかった。 「前半いいスタートを切って、皆さんに大きな期待をしてもらった中で、それを実現できなかったというのは本当に悔しいです。最後も勝ちきれなかったというのは、チーム全体としての成長も必要ですし、もちろん僕自身の成長も必要です」 声援が禁止されているはずのスタンドから厳しい声が飛んだ。レギュラーシーズンは77勝56敗10分けで、ゲーム差なしの2位。ヤクルトに勝率5厘差でVをさらわれたように、足りなかったのはこの日のような試合を〝とにかく負けない〟ための、選手と指揮官の力だった。 スタメンに戻った大山だが、一回の好機に三振。快音は聴かれなかった 佐藤輝、中野の適時打で二回に2点を先制しながら、直後の三回に遊撃・中野の失策から流れを手放した。先発の青柳が踏ん張れず、2死満塁で丸に逆転の2点打を浴びる。将はようやく動いて伊藤将にスイッチしたが、時すでに遅し。先発の高橋を1点先制された直後の1回?で早々と降板させた巨人・原監督とは対照的な対応だった。百戦錬磨の敵将に短期決戦の戦いぶりを見せつけられた。 この日は大山、梅野、佐藤輝をスタメンへ戻して打開を図ったが、13残塁の拙攻。2-3の八回先頭でも大山の失策をきっかけに4点目へつなげられ、万事休す。4失点だが投手の自責はゼロ。4年連続12球団ワーストとなる失策「86」がCSでも出てしまった。 球団からは9月中に来季の続投要請を受けた。「今ちょっとしゃべれるアレじゃない。終わったばかりなんで」と明言は避けたが、心はすでに決まっている。複数の球団関係者の話を総合すると、契約は1年とみられる。必勝を期す2022年へ、自身が成長することを固く誓った。 「もっとうまくなれることで、もうひとつ上にいける可能性は上がると思う。これだけの差だったんでね、あとは俺自身の成長もしていかないとダメかなと、必要かなと思っています」 頂点は遠かった。全員と、誰より矢野監督が、足りないところを突きつけられた。(長友孝輔)

◆2021年阪神タイガースの幕が下りた...。これほどまでに『もったいないシーズン』があっただろうか? 6月13日には、苦戦が予想された交流戦を11勝7敗と勝ち越して貯金「20」と優勝へ独走状態だったのに、終わってみれば77勝56敗10分け...。3カ月半で貯金を1つしか増やせなかった詰めの甘さがV逸の最大の原因なのだ!! それは、本日の試合に象徴されていた。逆転を許した三回には吉川の打球を中野がポロリ。試合を決定付ける4失点目も、八回に坂本の打球を大山がエラーしたところから。打っては11安打を放ちながら2点しか奪えない、これまた詰めの甘さに「もったいない~もったいない~」の嘆き節...。 誤算を並べれば西勇の不振、大山のスランプ、サンズとロハスの助っ人がブレーキ、佐藤輝の急降下、開幕投手・藤浪の低調など...。来季は頼むでェ!! 一方、伊藤将や中野、佐藤輝のルーキーが力を見せたのはうれしい誤算でありがとう!! 開幕前の公約通りV逸なので、俺は頭を丸めます!! ハ~ァ、五輪の年に頭五厘とは...。いや。髪も阪神もゼロからのスタートや!! 猛虎ナイン、虎党の皆さん、1年間お疲れ様でしたァ!!

◆江本 「明らかに巨人の〝監督勝ち〟。第1戦も含めて、原監督の采配が久々にピシャリピシャリと当たりました」 黒江 「残塁の山の阪神にくらべて、巨人は確実に点を取った。三回も八回も、先頭打者のエラー出塁をモノにした。感覚的には、エラーしてくれた...ではなく、エラーをさせた俺たちの気迫勝ち-と思ってもいい」 江本 「阪神は1点を追う四回、先頭の佐藤輝が四球で出ながら、送りバントではなく、糸井に強行させて内野フライ。実質的にはあれで勝負アリ。第1戦、ウィーラーの送りバントのシーンでも評論したように、超短期決戦ではまず手堅く、同点に近づく策を選ぶべきでしょう」 黒江 「その点、八回の巨人の攻撃は、エラーの後に丸がセーフティーバント、亀井が送りバント、そしてウィーラーが犠牲フライ。まるでV9巨人のようだった。当時も『得点はドサクサまぎれで入るようなものではない。やるべきことをしっかりやることだ』と教えられていたよ」 江本 「まさしく、巨人の勝ちパターンが蘇ったということです。ペナントレース終盤のふがいなさを考えたら、これくらいの野球をしないとバチが当たります(笑)。リリーフ陣には不安を残すにせよ、この勢いでヤクルト戦も一気にいこうぜ、と盛り上がりますね」 黒江 「確かにピッチャーは、ね(笑)。ただ、粘って、しのいで勝った分、勢いは増す。当たり前のことを当たり前にやれば、俺たちに分がある-。自信を持って、戦えるんじゃないかな」

◆惜しまれるのは青柳の交代機だ。総動員継投を予定していたのであれば、三回2死満塁で丸を迎えた場面でスイッチだった。ワンテンポ遅れた印象だ。原監督の短期決戦の継投を見て、その思いを強くした。 シーズンを通して課題だった部分を、そのまま露呈しての敗戦。そんな感じの終戦だった。 まずは守備。三、八回はともに失策で先頭打者の出塁を許しての失点だった。ことしも12球団最多失策。首脳陣の中には平田(2軍監督)、久慈(内野守備コーチ)ら名手と呼ばれた人材がいる。にもかかわらず、何年も守備が課題といわれ、解消の気配が見えない。もう一度、腰を据えて立て直す必要がある。 攻撃面ではクリーンアップ。13残塁の拙攻は寂しかったが、中軸に一本出ていれば、戦況は全く違うものになっていた。4番でスタートしながら後半はスタメンすら外れた大山。外国人もシーズンを通しての活躍ができなかった。この試合でも、シーズン中も、近本&中野の1、2番は機能した。だからこそ、クリーンアップの充実は大きな課題として残った。 首位とのゲーム差がゼロであろうが、負けは負け。プロは勝たなければいけない。この悔しさを肝に銘じて来季に向かってもらいたい。(本紙専属評論家)

◆負け惜しみなら、あふれんばかりに浮かんでくる。 優勝したヤクルトとゲーム差がなかったんや! 両リーグ最多の77勝やで。一番勝ったチームは阪神なんや! 巨人はシーズン借金1で勝ち進んで、恥ずかしくないんか! う~ん、これ以上はやめます。むなしいだけだから。 試合前の雰囲気は決して悪くなかった。スタメンに大山が、梅野が、佐藤輝が復帰。場内アナウンスで、彼らの名前がコールされるたびに甲子園は大歓声に包まれた。 引退するロッテ・鳥谷がゲスト解説のために姿を見せると、発見したスタンドのファンは殺到。またまた盛り上がった。 二回には梅ちゃん、サトテルが打って、スタンドも、テレビの前も笑顔、また笑顔...。 だが、そこまでだった。天国から地獄へ。敗因はシーズン中、何度も見せていただいた失策。まるでタイガースの一年をギュギュッと凝縮したような〝終戦記念日〟になってしまった。 こういう辛い日に、責任を持って話すのが阪神キャップの昔からの任務だ。虎取材陣の指揮を執りながら、東京五輪も担当したキャップ長友孝輔。サンスポ史上最も激務の1年を過ごした男も、意外過ぎる結末に元気はない。 「ことしは年頭に、タイガースの日本一原稿と、侍ジャパンの五輪金メダル原稿のダブル栄冠獲得を目標に掲げました。6月の中旬には、五輪は分からないけれど、阪神だけはいけそうだな、と思ったんです。さすがにこの展開は予測できませんよ」 巨人やヤクルトの猛追を受けても、「なんとか逃げ切れるのでは」と楽観していた長友が「ヤバい」と感じたのは、9月末に甲子園で広島に3連敗したときだという。 「その直前の東京ドームでの巨人戦で中野の美技や、高橋遥の好投などで2勝1分け。普通、あんな試合をしたら勢いに乗るのに、それがなかったから...」 なるほど。でも、もっと舞台裏の敗因があるのではないか? どこかに潜んでいなかったか、不幸をもたらしたヤツが? 「実は...」 そうだろう。必ず、いるんだ。インケツと呼ばれる存在が。 「ことしは、コロナの影響で、監督取材も人数制限があって各社持ち回りになっていました。各社キャップが交代で担当したんですが、キャップも休日がありますよね。そんな日はサブキャップの出番になります。すると、わが社のサブキャップ(新里公章)が監督取材担当の日に限って、なぜか首位から転落したり、なぜかヤクルトにマジックが点灯したり。とにかく監督の嫌がりそうな質問をするのは、いつも新里になってしまったんです」 長友キャップなりに配慮して、取材がややこしくなりそうな日は進んで出勤したらしいが、そんな配慮を乗り越えて(?)、新里が不幸を指揮官の元に運び続けたらしい。アナタのそばにもいませんか、こういう損な役回りの人が。 まあ、新里が原因かどうかは別にして、トラの2021年は終わってしまった。きょうから何をして過ごそうか。オリックスの応援? それもいいね。でも、トラ番たちの新しいシーズンはもう始まっています。

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