ロッテ(4対4)楽天 =クライマックスシリーズ2回戦(2021.11.07)・ZOZOマリンスタジアム=
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楽天
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ロッテ
010101104902
勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【楽天】炭谷 銀仁朗(1号・7回表ソロ)
【ロッテ】山口 航輝(1号・6回裏ソロ),マーティン(1号・7回裏ソロ)

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◆ロッテがファイナルステージ進出を決めた。ロッテは3-4で迎えた7回裏、2死からマーティンのソロが飛び出し、試合を振り出しに戻す。投げては、8回を佐々木千、9回を守護神・益田がそれぞれ無失点に抑えた。敗退となった楽天は、3番手・酒居が痛恨の一発を浴びた。

◆楽天鈴木大地内野手(32)が、気迫のこもったヘッドスライディングで先制のホームを踏んだ。 2回2死二塁から炭谷が右前打を放ち、二塁から一気に本塁へヘッドスライディング。アウトと判定されたが、リプレー検証の末に判定がセーフに覆った。 石井GM兼監督はアウトと判定された瞬間、ベンチの柵をまたいでグラウンドに飛び出し、審判にリプレー検証を要求した。 先制打を放った炭谷は「先制できて良かったです。大地、ありがとう」と鈴木大の走塁に感謝した。

◆楽天岡島豪郎外野手(32)が、フェンスに激突しながら好捕し、ロッテに傾きそうな流れを断った。 2回、1点差に迫られ、なおも2死一塁。ロッテ加藤が放った右翼ポール際への飛球を追いかけ、ファウルゾーンのフェンスに激突しながら、ボールをキャッチした。 帽子は飛び、フェンスに激突した勢いでグラウンドに倒れ込んだが、ボールは離さず、スタンドからは大きな拍手が起こった。

◆ロッテが山口航輝外野手(21)のCS初打点で同点に追いついた。 第1戦に続いて6番右翼で先発出場。1-2で迎えた4回1死一塁、楽天岸のチェンジアップを拾って左翼への適時二塁打に。「何とか捉えることができてよかったです。CS初打点うれしいです!こういう試合、こういう同点の場面で打つことができてよかったです」とコメントした。 前日にCS初安打を放ち、この日も2回の第1打席で中前打をマーク。2打席連続安打での同点二塁打となった。

◆ロッテ山口航輝外野手(21)がパ・リーグCS最年少本塁打を放った。 同点の6回1死、楽天安楽の直球を捉え、右翼ポール直撃の一時勝ち越しソロとした。21歳2カ月でのCS本塁打は、昨年安田が記録した21歳6カ月を上回ってリーグ最年少記録となった。 「最高に気持ちよかったです。とにかくみんなで大阪に行きたい!」と、地元でもある大阪開催のCSファイナルステージ進出(対オリックス)を願った。 第1打席で中前打、第2打席でも左二塁打を放っており、3打席連続安打でこの日2打点目。7回の守備からベンチに下がった。

◆楽天炭谷銀仁朗捕手(34)が、値千金の同点ソロを放った。 1点ビハインドの7回無死、ロッテ小島の初球の高め141キロを左中間席に運んだ。 広報を通じ「打ったのは真っすぐかシュート。負けてたまるか!」とコメントにも気迫がこもった。 打った瞬間、小島はマウンドで座り込み、顔をグラブで覆った。 2回の先制打に続き、炭谷がバットで投手陣を援護した。

◆リーグ打点王が、勝負強さを発揮した。楽天島内宏明外野手(31)が、勝ち越しの適時打を放った。 1点ビハインドで迎えた7回、先頭の炭谷のソロで同点。なおも1死一、三塁から、左前へ適時打を放った。 6日の第1戦でも一時逆転となる走者一掃の適時二塁打をマーク。2戦連続で4番が打線をけん引する。

◆シーズン2位のロッテが、10日からのCSファイナルステージ・オリックス戦(京セラドーム大阪)への進出を決めた。この日、3位楽天に引き分けて1勝1分けとなった。ファーストステージは3試合制で、勝利同数の場合はシーズン上位チームが勝ち上がるため、3戦目は行われない。 この日は3-4と1点を追う7回、2番レオネス・マーティン外野手(33)が右翼へ特大の同点ソロを放ち、4-4の振り出しに戻した。勢いに乗り、日本シリーズ進出を懸けてパ覇者のオリックスに挑む。

◆楽天が2回2死二塁から、炭谷の右前適時打と山崎剛の左前適時打で2点先取。ロッテはその裏、岡の併殺打の間に1点を返した。 ロッテが4回1死一塁、山口の適時二塁打で同点。さらに6回1死、山口のパ・リーグCS最年少弾となるソロで1点勝ち越した。 ロッテが1勝1分けでファイナルステージ進出を決めた。楽天が7回にリードを奪うも、その裏にマーティンが同点ソロを放った。

◆楽天が9回表に無得点に終わって、勝利の可能性が消滅し、試合が終了した。第1戦に敗れ、楽天がクライマックス・シリーズ(CS)のファーストステージ突破には第2戦から連勝が絶対条件だったが、勝ち越し点を奪えず。ロッテのファイナルステージ進出が決定し、9回裏は行わず、試合が終わった。 第2戦も激闘のシーソーゲームだった。2回に炭谷の適時打、山崎剛の適時打で2点を先取。2回に1点を返され、4回に山口の適時二塁打で同点に追いつかれた。6回に山口のソロで勝ち越されたが、直後の7回に炭谷のソロで追いつき、島内の適時打で勝ち越し。逃げ切りを狙ったが、その裏に酒居がマーティンに同点ソロを浴びた。 8回、9回はロッテの「勝利の方程式」の前に打線が得点を奪えず、第3戦の先発予定だった田中将大を投入できず、敗退が決まった。 石井一久GM兼監督は「1勝もできなくて、とても残念ですけど、結果はね、残念な結果になりましたけど、内容的にはね、みんな立ち向かってくれたし、しっかりと勝負してくれたところは感謝しています」と話した。来季に向け「この悔しさとこういう緊張感の中、しっかり自分のプレーができた人もできなかった人も、いろんなものを課題でもらえたと思うので、毎年、強いチームになっていくために肥やしにしてほしいなと思います」と話した。 ▽楽天岸(5回2失点と粘りの投球もCS敗退に)「悔しいし、1年間応援してくださったファンの皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです」 ▽楽天島内(2戦連続マルチ安打も、CS敗退に)「悔しいです。来年に向けて、今から断食したいと思います」 ▽楽天酒居(1点リードの7回にマーティンに同点ソロを浴び)「悔しいです」

◆シーズン2位のロッテが、1勝1分けで2年連続のCSファイナルステージ進出を決めた。 2試合とも互いに譲らない展開が続いた。サヨナラ勝ちした第1戦は佐々木朗希投手(20)や佐藤都志也捕手(23)が、第2戦は山口航輝外野手(21)と若手が活躍。エチェバリア、マーティンと助っ人の1発にも助けられた。 井口資仁監督は場内インタビューで「2試合、本当にタフなゲームで、シーズン中もそういうゲームが多かったんですけど、選手たちが最後までしっかり戦ってくれました」と総括。 10日からはオリックスとのファイナルステージ(京セラドーム大阪)が始まる。「141試合目で優勝を逃して、選手も悔しい思いでCSに向けて調整してきました。ファイナルはアウェーですけど、またここに(日本シリーズで)帰ってこられるように、一丸となって頑張っていきたい」と決意を新たにした。 ▽ロッテ小島(6回1/3を10安打4失点。味方が勝ち越した直後の7回にリードを許して降板)「野手の方がたくさん援護してくれて、感謝しかありません。今日の投球内容を反省します」

◆同点の9回表2死一塁、楽天島内の飛球をロッテの右翼手・岡がキャッチした瞬間、試合が終了し、ロッテのクライマックス・シリーズ(CS)ファイナルステージ進出が決定した。 CSファーストステージは3試合制で、勝利同数の場合はシーズン上位チームが勝ち上がるルール。初戦に勝った2位のロッテはこの日は引き分け以上で突破が決定するため、引き分け以上が確定した9回表終了時点で試合が終了した。 2戦とも、シーソーゲームの緊迫した展開だったが、ロッテが1勝1分けで制し、オリックスとのファイナルステージに進んだ。

◆ロッテ山口航輝外野手(21)が歓喜の句を詠んだ。 ? 「秋の夢 心はひとつ 日本一」 ? この日はCS初打点、パ・リーグCS最年少アーチなど3安打2打点の活躍で、ファーストステージ突破に貢献した。連日のスタメン起用に応え「シーズンの後半あたりから自分の思うような打撃ができてきて、それを継続してこの2試合を戦えた。自分の力も試せましたし、結果も出て、いい2日間になったと思います」と振り返った。 山口は13歳の時に伊藤園主催「お~いお茶 新俳句大賞」で佳作特別賞を受賞。これまでも節目に俳句を披露している。 ▼21歳2カ月の山口がCS初本塁打を含む3安打。プレーオフ、CSの最年少本塁打は08年2S<2>戦平田(中日)の20歳7カ月で、山口は平田に次ぐ年少2位。パ・リーグでは20年<1>戦安田(ロッテ)の21歳6カ月を上回る最年少となった。また、猛打賞の年少記録も、20年<2>戦藤原(ロッテ)の20歳6カ月に次ぎ、05年2S<3>戦西岡(ロッテ)の21歳2カ月に並ぶ2位タイ。

◆楽天島内宏明外野手(31)が、CSファーストステージ敗退の悔しさを胸に、来季に向けた断食開始を宣言した。 第1戦での走者一掃の適時二塁打に続き、この日の第2戦でも一時勝ち越しの適時打を含む2安打1打点。リーグ打点王の勝負強さを発揮したが、チームは1敗1分けでCS敗退が決まった。 試合後、島内は「悔しいです」と敗戦の悔しさをにじませながら「来年に向けて、今から断食したいと思います」と来季の雪辱に向け、断食を宣言した。

◆楽天は、2戦連続で終盤に手痛い1発を浴びた。1点リードで迎えた7回、3番手の酒居知史投手(28)が2死からマーティンに同点のソロを被弾。フルカウントからの内角145キロ直球を捉えられ、酒居は「悔しいです」と声を絞り出したが、1発だけは避けたい場面で、助っ人砲のパワーに屈した。 石井一久GM兼監督は「うちのリリーフが打たれたら、しょうがないです。12球団で一番のリリーフでやってるんで、1つ1つ、つべこべは言いたくないです。彼らも力を振り絞ってやった結果が今日の部分だと思うし、そこは反省するところは反省して、しっかり頑張れたところは自信にして、いろんな側面で成長してほしいなと思います」と話した。

◆ロッテの剛腕国吉佑樹投手(30)が意地を見せた。7回途中で先発小島が4失点目を喫し、走者2人を残したところに2番手で登板。力で後続を断ち、食い止めた。 前日6日は3四球の大乱調でアウトを2つしか取れずにKO。「翌日に早めに借りを返せて、ホッとしているというのが一番」とひと息つき「また大阪で投げられるチャンスができたので、もうああいう形にならないように」と引き締めていた。

◆楽天石井一久GM兼監督(48)が、本拠地楽天生命パークで誓ったファンとの約束を果たせず、悔しさをにじませた。 3位でクライマックス・シリーズ(CS)のファーストステージに進出。日本シリーズに進出し、楽天生命パークで試合することを目標に挙げたが、1敗1分けで敗退が決まった。 石井GM兼監督は「1年間、こういう難しい状況下で、球場に来ていただいたり、テレビの前でも応援していただいんですけど、なかなか思うような結果にならず、最後、東北に帰るという約束をして、出てきたんですけど、それができずに本当に申し訳ないと思いますし、悔しい気持ちでいっぱいです」と頭を下げた。

◆シーズン2位のロッテが、10日からのCSファイナルステージ・オリックス戦(京セラドーム大阪)への進出を決めた。 この日、3位楽天に引き分けて1勝1分けとなった。ファーストステージは3試合制で、勝利同数の場合はシーズン上位チームが勝ち上がるため、3戦目は行われない。 この日は3-4と1点を追う7回、2番レオネス・マーティン外野手(33)が右翼へ特大の同点ソロを放ち、4-4の振り出しに戻した。勢いに乗り、日本シリーズ進出を懸けてパ覇者のオリックスに挑む。

◆ロッテ山口航輝外野手(21)が本塁打を含む3安打2打点の活躍で、ファイナルステージ進出に貢献した。 特に、4回1死一塁での適時二塁打は技ありだった。楽天岸に直球、スライダーの2球であっさりと追い込まれた。 そこからスライダー、チェンジアップを見送り、緩いカーブを何とかカット。直球も見送り、フルカウントにした。 「いつもだったら簡単に終わっていた部分もあると思いますし、外のスライダーに手を出して三振してたのを(ボール球として)見逃せたのは大きかったと思います」 それでも勝負球は分からない。「けっこう頭の中で迷ってましたけど、まっすぐかチェンジアップかで。カーブがきたらごめんなさい、という感じで」。そのチェンジアップが7球目に来た。しっかり拾って左翼線へ飛ばした。 球種も迷ったが「クイックでくるのか、足を上げてくるのか」でもかなり迷った。「タイミングを崩しにきているのも分かっていたので」。多角的に意識したから、クイックのチェンジアップにもしっかり対応できた。鍛え抜いた下半身で、しっかりと我慢して。 「なんとか打てて、良かったです」 春のキャンプで振りまくり、初夏に2軍に落ちてから振りまくり、レギュラーシーズン終了直後も振りまくった。「なんとか打つ」ために、血のにじむような努力をしてきた。【金子真仁】

◆試合終了とともに、楽天石井一久GM兼監督(48)がわずかに千葉の夜空を見上げた。 首を戻して腕を組みながら、歓喜にわくロッテナインから目線を外さなかった。シーソーゲームの末にCS第2戦を引き分け、1敗1分けで3位楽天が規定により敗退。指揮官は「とても残念」と悔やみながら「みんなが1点を取りに、防ぎに一生懸命やってくれたことに感謝していますし、よくやってくれた」と選手を誇った。 粘り負けた。勝利が絶対の一戦でロッテ小島から2回に2点を先制。だが6回に安楽が勝ち越しソロを被弾。7回に逆転も、再び直後に酒居がマーティンに同点弾を許した。指揮官は「うちのリリーフで打たれたらしょうがない」と12球団トップの救援防御率を誇る救援陣をかばった。 光も見えた。2回に右翼岡島がフェンスに激突しながら好捕。9回には浅村が二ゴロに倒れるも一塁にヘッドスライディング。併殺での試合終了を免れた。主力の気迫に指揮官は「そこは本当に満足。死力を見せてくれた」とたたえた。GM兼監督1年目はリーグ3位、CSファーストステージで終戦。「高みのまだ途中。いろんな経験ができるので、来年はそういう景色を見せてあげたい」。この悔しさは必ず、明るい空を描いてくれる。【桑原幹久】

◆楽天はロッテを2本上回る11安打を放ちながら、打線が寸断され、勝ち越し点を奪えず、クライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージで敗退した。 1回は先頭の山崎剛が二塁打で出塁し、岡島の進塁打で1死三塁の好機をつくったが、浅村が遊ゴロ、島内が四球の後、銀次が右飛に凡退し、最初のチャンスを逃した。 2回に炭谷、山崎剛の適時打で2点を先取。1点ビハインドの7回にも炭谷の同点ソロ、島内の適時打で1点を勝ち越したが、その裏に酒居がマーティンに同点ソロを浴びた。 4番の島内が2戦連続マルチ安打をマークし、1番山崎剛が3安打猛打賞、9番炭谷もソロを含む2安打2打点と気を吐いたが、3番浅村が2戦で8打数1安打、打点なしに終わった。 ◆CSファーストステージ シーズン2位と3位が3試合制で対戦し、勝利数の多い球団がファイナルステージに進出。引き分けを除いた勝利数が同じ場合は2位球団が勝者。延長戦は行わず、同点の場合は9回打ち切りで引き分け。9回表終了時や9回裏の攻撃中に後攻のステージ勝ち上がりが確定した場合、その時点で終了する。

◆2位ロッテがCSファーストステージを1勝1分けとし、オリックスとのファイナルステージ(京セラドーム大阪)進出を決めた。1点を追う対楽天第2戦の7回、足を痛める主砲レオネス・マーティン外野手(33)が特大弾で追いつき、ファイナル前に勢いに乗った。山口航輝外野手(21)もリーグ最年少のポストシーズン本塁打を含む3安打2打点。若き大砲候補は、去年のCSは寮でテレビ観戦していた。苦悩と血のにじむ努力に「潜入」する。左の手のひらはどんな感じに?-。試合後の山口に頼むと「今めっちゃ手汗かいてます」とふいてから差し出してくれた。「ちょっと治ってきました!」。皮がめくれた跡に、新たな皮膚が固まりつつある。 シーズン終了直後の11月1日、安田らとのミニキャンプが始まった。1日1000スイング。「まじできつかったっす。1日目でむけました、べろんと。めっちゃ痛いっす」。強烈にしみるから、入浴時はビニール手袋を装着。テーピングはぐるぐると5周ほど。バットを持つのは「まだ素手じゃ痛いです」。その中で2戦で4安打した。 「情けない成績だったので、本当に、自分のためにと思って」 藤原恭大外野手(21)と同期のプロ3年目。開幕戦で5番スタメンに抜てきされながら、シーズン最終戦で3安打し何とか打率2割台に乗せた。本塁打は9本で「(今日のを)足して10本です」。春先に得意の俳句キャラで売り出した。低調に加え、お立ち台のタイミングが合わず、この日の「秋の夢 心はひとつ 日本一」も久しぶりの披露。お蔵入りとなった作品も3つか、4つか。 去年のCSは寮の食堂のテレビで見た。「恭大や安田さんが、若くして1軍の舞台で活躍していて...」。負けじと奮起し、同じようにもがく立場には並んだ。「こういうしびれるCSの場面で出していただいて、本当に感謝しています」。 期待に応えて初球をセンター前、粘ってレフト線二塁打、豪快にライトへ本塁打。大一番でやってのけ、短期決戦のラッキーボーイになりつつある。「若い選手が勢いづけるのって、必要だと思うんで。自分もそういう1人になれればいいなって思います」。痛くても、笑うためには振るしかない。【金子真仁】

◆2位ロッテがCSファーストステージを1勝1分けとし、オリックスとのファイナルステージ(京セラドーム大阪)進出を決めた。1点を追う楽天第2戦の7回、足を痛める主砲レオネス・マーティン外野手(33)が特大弾で追いついた。勝ち抜いた要因の1つには助っ人の強い「リーダーシップ」があった。選手会長は益田、主将は中村奨だが、チームリーダーと言って差し支えない。ファイナルステージ進出を決め、ファンの集う右翼席へ一礼に向かう選手たちの先頭にはマーティンがいた。シーズン最終戦のあいさつはホームもビジターも先導した。「大事なことはチームのために何ができるか」。波及効果はグラウンド内にとどまらなかった。 励ました。同じキューバ出身で、米国の自宅も近所のエチェバリアが加入すれば先輩として歓迎した。田村ら出場機会が減ったメンバーのことも常に気にかけ、声をかけた。 盛り上げた。シーズン終盤、ゲームセット時の「勝利の舞」を内外野に提案。「みんなで何かやろう」と勝ち試合の喜びを共有した。ケガで戦線離脱してもネット裏で応援し、仲間が打てば笑顔で手をたたく姿が中継カメラに抜かれた。マーティン不在は「彼が戻るまで後退できない」とチームの士気を高めた。 耐えた。9月半ばに自打球を右足甲に当て、骨折が判明した。完治を待たず、折れたまま試合に出ることを選んだ。この日もそうだ。「闘ってます。痛みと闘ってますけど、大丈夫です。チームのために頑張ります」。空振りしても走っても痛い。それでも初回の安打で気迫の走塁を見せ、回り込んで右手から二塁に滑り込んだ。 何より、特大弾でチームを先のステージへ導いた。7回2死、東京湾の分厚い雲の下から真っ赤な夕日がのぞいた。「1点差負けなんで、ホームランを狙うしかないですよね」。3ボールから狙うは1発。5球連続フォークの後の直球を完璧に捉え「家族」と呼ぶチームを、ファンを救った。 「優勝の瞬間にライトを守っていたい」と言った願いはかなわなかった。「次のシリーズではオリックスの優勝(突破)を阻止して、僕たちが勝つつもりでやっていきたいと思っています」。同じ相手に2度は負けない。【鎌田良美】

◆第1戦に続き、楽天が先制に成功した。二回2死二塁から、9番・炭谷が右前打を放った。二走・鈴木大が一気に本塁へ突入。右翼・山口のスローイングとの競争となり、鈴木大は決死のヘッドスライディングで生還を試みた。球審の判定はアウトだったが、石井監督からのリクエストもあり、リプレー検証で覆りセーフになり、先制点をもぎとった。 この送球間に炭谷は二塁へ進むと、続く山崎剛も左前適時打を放ち、第1戦でサヨナラ負けを喫して崖っぷちの楽天が2-0とした。

◆ロッテ・山口航輝外野手(21)がクライマックスシリーズ(CS)初打点を挙げた。1-2の四回1死一塁で楽天先発・岸から同点に追い付く左越え適時二塁打。CS初タイムリーも記録した。高卒3年目の今季に1軍デビューした山口は、前日6日にCSファーストステージ第1戦でCS初出場。三回に右前打を放ち、CS初安打をマークしていた。 この日は2試合続けて「6番・右翼」でスタメン出場。二回の1打席目には中前打を放ち、四回終了時で2打数2安打と好調だ。

◆ロッテ・山口航輝外野手(21)がCS初本塁打を放った。2-2の六回1死で楽天2番手・安楽から勝ち越しの右越えソロ。山口は前日6日にCS初出場初安打を記録していた。 この日は2試合続けて「6番・右翼」でスタメン。二回の1打席目に中前打、四回の2打席目は同点に追い着く左越え適時二塁打を放ってCS初のタイムリー初打点をマークし「CS初打点うれしいです! こういう試合、こういう場面で打つことができてよかったです」とコメントした。3打席目の本塁打で3打数3安打とした。

◆楽天・炭谷銀仁朗捕手(34)が1点を勝ち越されて2-3とされた直後の七回、先頭打者で打席に立つと、小島の初球、143キロ直球を左中間スタンドへと運び、同点に追いついた。 「負けてたまるか!」と熱いコメント。炭谷は今季、小島に対し3打数無安打、2三振に押さえられていたが、この日は二回に先制打をはなつなど、大一番でベテランが存在感を発揮した。

◆ロッテのレオネス・マーティン外野手(33)がCS初本塁打。1点を追う七回2死、楽天3番手・酒居から4-4の同点に追い着く右越えソロを放った。

◆レギュラーシーズン2位のロッテは3位の楽天と引き分け、通算成績1勝1分けで、10日に始まるオリックスとのファイナルステージ(京セラ)進出を決めた。 シーソーゲームとなった日曜のZOZOマリン。ロッテは2点を先行された直後の二回に1点を返すと、四回には山口の左越え適時二塁打で同点に追いついた。山口は六回には右翼ポール直撃のソロ本塁打を放ち、1点を勝ち越した。七回に楽天に2点を奪われ逆転されたが、その裏にマーティン外野手(33)がCS初本塁打となるソロアーチを右翼スタンドに突き刺した。先発の小島は6回?を4失点。その後は国吉、佐々木千、益田とつないだ。

◆レギュラーシーズン2位のロッテは3位の楽天と引き分け、通算成績1勝1分けで、10日に始まるオリックスとのファイナルステージ(京セラ)進出を決めた。以下、ロッテ・井口資仁監督(46)の一問一答。 「(登壇後、スタンドから拍手を受け)ありがとうございます」 --率直な気持ち 「2試合とも本当にタフなゲームで。シーズン中もこういう試合は多かったですけど、選手たちは最後までしっかりと戦ってくれたと思います」 --今季はV争いをしながら2位。CSに臨んだ気持ちは 「本当に悔しさしかないですね。141試合目に優勝を逃して、本当に選手は悔しい思いでこのクライマックス(シリーズ)ファーストステージに向けて調整してきましたんで。この思いは、ファンの皆さんも一緒だと思いますので、またここに帰って来られるように、ファイナルはまた一丸となってがんばっていきたいと思います」 --試合終盤にリードされながらもあきらめない、マリーンズらしい野球だった 「昨日もそういう試合でしたし、今日も引き分けではありましたけど、最後までしっかりと全員で戦えたと思います」 --昨日はエチェバリア、今日はマーティンが同点弾。頼りになる 「はい(大きくうなずき笑顔)」 --佐々木郎、佐藤都、山口といった若手も活躍 「今年も開幕からかなり期待しながらずっとやってきましたし、彼ら、11月が始まってから1日1000スイング、ずっとやり続けていますんで、そういう意味では、そこで結果が出たということは、非常に彼らの肥やしにもなるんじゃないかと思っています」 --前日打たれた国吉を今日も起用 「まあ、僕の反省点ですね。(勝ち越された直後の七回一死一、二塁からではなく)七回の頭から、今日も行けばよかったなと、今は後悔しています」 --ファンの存在は 「今年も非常に制限のある中、こうやって多くのファンの皆さんに集まっていただいて、選手たちを後押ししていただいて、本当に選手たちの力になったと思います。ファイナルはアウェーですけど、ここにしっかりまた、シリーズで戻って帰って来られるようにがんばっていきたいと思います」 --ファイナルステージはオリックスと対戦 「(オリックスに1勝の)アドバンテージもありますし、この2試合以上のタフなゲームになると思いますので、われわれは失うものはないですから、しっかりと戦っていきたいなと思います」 --ファンに向けて 「また、このファンの皆さんの前でプレーできるように、大阪で頑張って来たいと思います。応援ありがとうございました」

◆レギュラーシーズン3位の楽天は対戦成績を1勝1分けとなり勝ち越しの可能性がなくなり敗退が決まった。 今季初タイトルとなる打点王(96点)に輝いた島内は4番として存在感を発揮した。この日は同点の七回に一時は勝ち越しとなる左前適時打など4打数2安打。第1戦でも2点ビハインドの七回に3点適時打を放つなどCS通算8打数4安打、4打点と勝負強さが光った。 それでも「打席(内容)よりも勝ち負けなので特にありません」と言葉少なく、チームの敗退には「悔しいです。来年に向けて今から断食したいと思います」とショックを隠せなかった。

◆レギュラーシーズン3位の楽天は、規定による九回表終了コールドゲームで引き分けで、対戦成績が1勝1分けとなり、勝ち越しの可能性がなくなったため敗退が決まった。 先発のベテラン岸は5回6安打、2失点でマウンドをおりた。試合後は「全体的に悪くなかったです。いい感じで(試合に)入っていけました」と振り返った。 今年は東日本大震災から10年という節目でもあり、チームは日本一を目指して一丸となって戦ったがCSファーストステージで敗退。宮城県出身の岸は「悔しいし、こうして一年間応援してくださったファンの皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです」と肩を落とした。

◆初戦で乱調だったロッテの国吉が名誉挽回の好救援を見せた。先発の小島が七回に3―4と逆転を許し、なお1死一、二塁のピンチで登板。ともに力のある速球で銀次を右飛に、茂木を空振り三振に仕留めた。相手に傾いた流れを食い止め、その裏のマーティンの同点ソロにつなげた。 6日の初戦では3―1の七回に佐々木朗を救援し、3四球に悪送球で3失点と散々だった。今季途中にDeNAから移籍してセットアッパーとして貢献してきただけに「ふがいないというか、自分の投球ができなかった。早めに取り返せてほっとしている」と安堵した。

◆ロッテの21歳の山口が3安打2打点とチームのファイナルステージ進出に貢献した。1―2の四回に岸から適時二塁打を放つと続く六回の打席では安楽の148キロの直球を逆方向に飛ばして右翼ポール直撃のソロ。2戦連続での先発起用に応え「自分の力を試せたし、結果も出ていい2日間になった」と喜んだ。 今季1軍デビューを果たして9本塁打を記録したパワーに加え、打席での読みも光る。岸からの一打は7球目。試合中盤から決め球に使う割合が増えていたチェンジアップを狙い打った。短期決戦で重宝されるラッキーボーイのような活躍ぶりに「自分たち若い選手が勢いづけるのは必要なこと。その一人になれれば」と胸を張った。

◆ロッテがクライマックスシリーズ(CS)の最初のステージを6年ぶりに突破した。第1ステージと呼ばれていた2007年、ファーストステージに名称が変わった10年、13年、15年は勝ち上がり、短期決戦での強さを発揮した。 だが、16年と新型コロナウイルス感染拡大の影響で1、2位のみの対戦となった昨季はともにソフトバンクに全敗。今回のCSで持ち味の〝下克上〟が復活するか。

◆レギュラーシーズン2位のロッテは3位・楽天に4―4で規定により九回表終了コールドゲームで引き分け。対戦成績を1勝1分けとして、オリックスとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(10日開幕、京セラ)に進出した。井口資仁監督(46)は「われわれに失うものはない」と下克上への意欲を示した。 CSファイナルステージ進出決定の喜びから、大きくて鋭い井口監督の瞳が、さらに見開いた。 「141試合目に優勝を逃して、選手は本当に悔しい思いでCSファーストステージに向けて調整してきました」 お立ち台で胸を張った。10月27日に楽天に敗れ、オリックスの優勝が決定。同30日にレギュラーシーズンを終えた後は、期待の若手に今月1日からCS開幕までの5日間で一日1000スイングを課した。 バットを振り続けた21歳の山口が本塁打を含む3安打と活躍。6日の第1戦では、23歳9カ月の佐藤都がCS最年少でサヨナラ打を放った。短期間で特訓の成果を出してくれた選手たちに、井口監督は「彼らの肥やしになる」と確かな手応えをつかんだ。 国吉には汚名返上の機会を与えた。3-4と逆転された直後の七回1死一、二塁で国吉を送り出し、銀次を右飛、茂木を空振り三振に。6日は2点リードの七回に登板し、自身の失策に3四球を与え、この回に3点を失った。あえて連投させた指揮官は「走者を置いている場面で、ああやって(いい)投球ができた」と目を細めた。 チームはCSの最初のステージを6年ぶりに突破した。第1ステージと呼ばれていた2007年、ファーストステージに名称が変わった10、13、15年は勝ち上がり、短期決戦での強さを発揮。10年は日本一に輝いた。 「勢いがついてきている。ここ(ZOZOマリン)に、(日本)シリーズで戻って帰ってこられるように」。オリックスとのファイナルステージは10日開幕。持ち味の〝下克上〟を復活させる。(山口泰弘)

◆ロッテの打者は本当に勝負強い。七回2死無走者からマーティンが放った同点ソロは第1戦のエチェバリアに続き、連打は難しく、本塁打がほしいという場面で出た。 楽天は前日の松井も、この日の酒居も調子は良さそうで、力勝負ができた。これがパ・リーグの野球。その真っすぐをバットの芯で捉えるのだから、たいしたものだ。 ベンチの思い切った継投も、ファーストステージ突破を引き寄せた。七回に小島が逆転を許し、なお1死一、二塁のピンチで、2番手に国吉。立ち直ってもらわなければいけない投手とはいえ、第1戦の投球を見ていたら勇気がいる。 井口監督と吉井投手コーチのコミュニケーションがしっかりと、取れているのだろう。結果、国吉は追加点を許さず、同点の八回に登板した佐々木千も本来の安定感のある投球だった。 ファイナルステージを勝ち上がるためには、打線がオリックスの強力な先発陣を攻略しなければならない。オリックスは試合の間隔が空き、2戦目くらいまで打線に不安を残す。何とか先発投手が踏ん張って接戦に持ち込み、自信を取り戻した中継ぎ陣につなぐことができれば、勝機が出てくる。(本紙専属評論家)

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