ロッテ(☆5対4★)楽天 =クライマックスシリーズ1回戦(2021.11.06)・ZOZOマリンスタジアム=
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楽天
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ロッテ
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勝利投手:益田 直也(1勝0敗0S)
敗戦投手:宋 家豪(0勝1敗0S)

本塁打
【ロッテ】エチェバリア(1号・8回裏ソロ)

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◆ロッテが劇的なサヨナラ勝利でファイナルステージ進出に王手をかけた。ロッテは1点を追う8回裏、エチェバリアのソロで同点とする。続く9回に1死二塁の好機をつくると、代打・佐藤都が適時打を放ち、試合を決めた。敗れた楽天は、7回に島内の適時打で逆転するもリードを守りきれず、痛い敗戦を喫した。

◆下克上への秘策は...先制"口"撃!? 楽天石井一久GM兼監督(48)が5日、6日から始まるロッテとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(ZOZOマリン)の前日会見に臨んだ。指揮官として初の短期決戦を前に、リーグ戦で9勝15敗1分けと苦戦したロッテ井口資仁監督(46)へ言葉で揺さぶりをかけた。また、相手先発の163キロ右腕・佐々木朗希投手(20)攻略に、積極策を掲げた。 いきなり、かました。CSファーストステージの前日会見。あいさつを振られた石井GM兼監督がマスクを外し、マイクを持った。「ロッテさんは本当に手ごわい」。真剣な表情のまま、張り詰めた空気を変えた。「ただ、自分自身、千葉県出身。3連戦の頭に少しではございますが、ロッテのお菓子の詰め合わせもいただけるので、思い入れのあるチームだと思っています」。笑いを起こし、主導権を握ると「井口監督はいつもりりしい。明日も何とかその表情を崩せるように頑張ります」とたたみかける。敵将に苦笑いを浮かべさせ"先手"を奪った。 グラウンド内でも「先制攻撃」がカギを握る。相手先発は剛腕の佐々木朗。今季は3戦0勝1敗、打率1割3分2厘と苦戦したが、舞台はCSに変わる。"秘策"もある。右腕の今季4球目以降の被打率は1割6分4厘(122打数20安打)に対し、3球以内では2割7分2厘(114打数31安打)と跳ね上がる。指揮官も「受け身にならず、襲いかかることがすごく大事」と好球必打、積極的な打撃の重要性を説く。 短期決戦は現役時代に何度も経験したが、指揮は初めて執る。「1点の重みは確実に違う。選手が勢いを持って試合に出られるような形を作ってあげたい」と心に熱さを持ちつつ、「背中を押しすぎると転んじゃう。いい程度に押せたら」と頭は冷静だ。会見後の前日練習では自らの足でグラウンドを回り、所々で選手へ言葉をかけた。143試合をかけて積み上げた選手への信頼を再確認した。 泣いても笑っても、残り試合数はわずかだ。「失敗しちゃいけないとあまり考えないでほしい。成功するものも成功しない。ぐずぐず引きずることも、深く反省する時間もない。恐れることなく、攻撃的にいかないといけない」。3位からの下克上へ、失うものは1つもない。まずは"令和の怪物"撃破へ、攻めて、攻めて、攻めまくる。【桑原幹久】

◆楽天松井裕樹投手(25)と茂木栄五郎内野手(27)がCSファーストステージの初戦を控えた6日、出場選手登録された。 松井は8月下旬に右太もも痛で離脱し、10月末にフェニックス・リーグで実戦復帰。今月2日に1軍合流し、3日にシート打撃に登板していた。この日もキャッチボールなどで調整した。 主将を務める茂木は今季120試合に出場し、打率2割5分9厘、14本塁打、53打点をマーク。10月27日に登録を抹消され、フェニックス・リーグでの実戦を経て、3日に1軍合流。この日は三塁でのノック、フリー打撃を消化した。石井GM兼監督は茂木の状態に「大丈夫です」と答えた。

◆楽天島内宏明外野手(31)が、ロッテ先発の佐々木朗希からチーム初安打を放った。 0-0で迎えた2回無死、カウント1-1からの154キロの速球を右中間にはじき返した。 初回から159キロを3度計測した佐々木朗を相手に、リーグ打点王が突破口を開いた。 2死後、7番渡辺佳の投ゴロを佐々木朗が一塁に悪送球し、先制のホームを踏んだ。

◆楽天が、思わぬ形でロッテの先発佐々木朗希から先制点を奪った。 0-0の2回、先頭の島内がチーム初安打となる二塁打で出塁。2死後、渡辺佳の投ゴロを佐々木朗が一塁に悪送球した。 楽天ファンが陣取る左翼スタンドは一瞬ため息が漏れたが、予期せぬ形での先制点に一気に歓喜に変わった。

◆ロッテ佐々木朗希投手(20)が、プロ入り後の実戦では自己最速となる159キロをマークした。 初回、楽天2番岡島への3球目が「159」と表示された。さらに浅村にも2球、159キロをマークし、見逃し三振も奪った。 ロッテでは伊良部秀輝投手が94年のオールスターで、沢村拓一投手が昨秋のCSで159キロをマークしており、そこに並んだ。ファイナルステージ進出への大一番で、プロ入り後の最速を更新した。 岩手・大船渡高時代の19年4月、国内高校生では歴代最速となる163キロを投げた佐々木朗は、プロ1年目の昨季は公式戦登板なし。2年目の今季は5月にデビュー後、徐々に球速が高まり、9月以降には3登板連続で158キロをマークしたこともあった。 159キロを投げたのは、高3夏の岩手大会4回戦・盛岡四戦以来、約2年3カ月ぶりとなった。8回にその日117球目が公式戦高校最速タイの160キロをマークし、9回無死二、三塁のピンチで投じた133球目が159キロを記録。ところがその快速球が相手6番の横山慶人捕手(当時3年)にセンター前にはじき返され、完封勝利目前で同点に追いつかれた。試合は延長12回、佐々木の勝ち越し2ランで勝利した。【金子真仁】

◆楽天則本昂大投手(30)が、4回6安打3失点でマウンドを降りた。1点リードの3回にレアードの逆転2点適時打、安田の左犠飛で3失点。 4回1死三塁のピンチは抑えたが、走者を背負いながらの苦しい投球で、5回から継投に入った。2番手には安楽智大投手(25)が上がった。

◆ロッテの4番ブランドン・レアード内野手(34)が逆転2点適時打を放った。 1点を追う3回1死満塁、楽天則本昂のカットボールを左翼後方へ。三走荻野と二走マーティンを本塁に迎え入れ「則本投手相手なので、早い回から点を取っていきたいと思っていた。とにかくランナーをかえすことだけを考えて打席に立ったよ!打つことができてよかった」とコメントした。 5番安田も左犠飛で続き、この回3点を奪った。

◆ロッテ山口航輝外野手(21)がCS初安打をマークした。 6番右翼で先発出場。1点ビハインドを逆転した3回、なおも2死一、三塁で、楽天則本昂の149キロ直球を中前に落とした。続く岡が右飛に倒れて一塁に残塁し「初めてのCSで緊張感のある中、1本打つことができてよかったです。次は得点につながる1本を打ちたいです」と話した。 昨季もチームはCSファイナルステージに進んだが、今季1軍デビューした山口にとってはこれがポストシーズン初出場、初スタメンだった。

◆ロッテ国吉佑樹投手(30)が1人で併殺を完成させた。 2点リードの7回に2番手で登板。四球と自身の悪送球で無死一、二塁のピンチを招いた。迎えた楽天の1番山崎剛がバントで打ち上げた小フライを、前方にスライディングしながらキャッチ。二走辰己は飛び出しており、国吉は自ら二塁を踏みに行って2死となった。 しかしその後、2連続四球を与えて満塁とし、唐川に交代。その唐川が、島内に逆転打を浴びた。

◆楽天島内宏明外野手(31)が、走者一掃の逆転適時二塁打を放った。 2点ビハインドの7回2死満塁、ロッテ唐川の初球を左中間にはじき返し、3点を奪った。 無死一、二塁から山崎剛がバントを失敗。二塁走者の辰己も戻れず、2死一塁とチャンスの芽がしぼんだかに見えたが、リーグ打点王の一打で一気に試合をひっくり返した。

◆ロッテ佐々木朗希投手(20)が6回4安打1失点、毎回の10奪三振と好投した。 初回にプロ入り後実戦最速となる159キロを連発。2回2死二塁から自身の一塁悪送球で先取点を献上したが、3回2死満塁のピンチでは楽天鈴木大をフォークで空振り三振に切るなど、要所を締めた。 直球の平均球速はプロ入り後最速の155・2キロを計測。「自分のミスで点を取られてしまいましたが、3点援護をもらって割り切って投げることができました」と振り返った。 2点リードでベンチへ下がり、降板後の7回に逆転された。ZOZOマリンでの自身初勝利が、手からこぼれ落ちた。

◆楽天松井裕樹投手(26)が、痛恨の1発を浴びた。1点リードの8回に登板。2死からエチェバリアに同点ソロを浴びた。 1軍では8月20日の日本ハム戦以来の登板。中村奨を捕飛、レアードを150キロの速球で空振り三振に抑えたが、2死後に悪夢が起こった。 打たれたのは146キロの真ん中高めの直球で、スタンドに入った瞬間、約10秒ほど両手を膝につき、スタンドを見つめた。 試合後、松井は「どうもこうもないです。結果が出ていないので、関係ないです」とコメントした。 8月下旬に右太もも裏痛で離脱。10月末のフェニックスリーグで実戦復帰し、クライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージに間に合った。

◆楽天が2回2死二塁から敵失の間に1点。ロッテは3回1死満塁、レアードの2点適時打で逆転。安田も左犠飛で、この回3点。 中盤は両軍ともに追加点なし。楽天は先発則本昂が4回3失点で降板し、継投へ。ロッテ佐々木朗は6回1失点で10三振を奪った。 ロッテが代打佐藤都の右二塁打でサヨナラ勝ち。7回に楽天が3得点し、ロッテは8回にエチェバリアのソロで同点としていた。

◆クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが開幕。 ロッテがシーソーゲームを制した。先発佐々木朗が自身の悪送球で先制を許すも6回1失点の好投。楽天は7回に島内の適時二塁打で逆転に成功する。 ロッテは8回にエチェバリアの同点弾、9回に佐藤都が劇的打を放ち初戦を取った。

◆楽天石井一久GM兼監督(48)が、松井裕樹投手(26)を8回に起用した理由について「(打線が)強いところにちょっと持っていきたかったんで」と説明した。 今後も勝ちパターンでの起用になるかについては「もちろん、いかない理由なくないですか」と話した。 松井は1点リードの8回に登板。中村奨を捕飛、レアードを150キロの速球で空振り三振に抑えたが、2死からエチェバリアに痛恨の同点ソロを浴びた。 8月下旬に右太もも裏痛で離脱したが、10月末のフェニックスリーグで実戦復帰。1軍では8月20日の日本ハム戦以来の登板だったが、手痛い1発を浴びた。

◆ロッテのアデイニー・エチェバリア内野手(32)が値千金の同点ソロでサヨナラ勝ちにつなげた。 逆転してはされてのシーソーゲーム。6回表の守備から途中出場した。7回に勝ち越しを許し、1点を追う8回2死で立ったCS初打席だった。楽天松井の高め真っすぐを左へ打ち上げると、柵越えを確信してバットを放り投げた。 「しっかりスイングすることだけを心掛けて打ちました。しっかりボールをたたけたし、何よりチームの勝利に貢献できたことをうれしく思います」と話し、大きな拍手を送ったファンに感謝を述べた。

◆ロッテ佐藤都志也捕手(23)が殊勲のサヨナラ二塁打を放った。 同点の9回1死二塁に代打で登場。楽天宋家豪の直球を右方向へかっ飛ばし、打球が抜けると、マリンを白く染めたファンの大歓声に包まれた。 借りを返した。ヒーローインタビューで「素直にうれしいのと、あとは宮城で試合した時に最後の打者になってしまったので。そういう気持ちもあったので、うれしさ爆発です」と喜んだ。2位が確定し、優勝を逃した10月27日の楽天戦。1点を追う9回2死で代打に立ち、この日と同じ宋家豪の前に空振り三振に倒れていた。 負けられない短期決戦で大きな大きな先勝。第2戦は引き分け以上でファイナルステージ進出が決まる。「今日いい形で勝てたので、明日もしっかり勝ちにこだわってやっていきたいと思います」と頼もしかった。

◆楽天石井一久GM兼監督(48)が、先発の則本昂大投手(30)の4回3失点での交代について語った。 「ちょっとキャッチャーがサイン出しづらい状況には球の精度があったのかなとは思います。あの辺で次の投手に代えて、味方の攻撃を、反撃を待つ方がいいのかなというところでスイッチはしました」 2回を除き、毎回走者を背負いながらの投球で、1点リードの3回にレアードの2点適時打、安田の犠飛で3点を失った。4回は粘ったが、投手交代で攻撃に転じる決断を下した。 ▽楽天則本昂(先発し、4回3失点で降板)「(直球の状態は)悪くはなかったと思います。(3失点した3回の反省点は1死一塁からの)マーティンのフォアボールですね」

◆楽天が、ロッテにサヨナラ負けを喫した。 2回に佐々木朗希の悪送球で先制したが、則本昂が3回に3点を奪われるなど、4回3失点で降板。7回に島内の走者一掃の適時二塁打で試合をひっくり返したが、8回に松井裕樹がエチェバリアに同点のソロを被弾し、9回に宋が佐藤都にサヨナラ打を浴びた。 宋は「悔しいですが、切り替えて次頑張ります」とコメントし、石井一久GM兼監督は「最後、8、9回、踏ん張り切れなかったところはあるんですけど、もうしょうがないんで、切り替えてやるしかないと思います」と話した。 敗れた楽天はCSファーストステージ突破には、7日の第2戦は勝利が必須。2連勝がファイナルステージ進出の唯一の条件で、崖っぷちに立たされた。石井GM兼監督は「あと2つ勝つというところが、当初からの目標なので、明日から2つ勝てるように」と力を込めた。

◆楽天岸孝之投手が大得意の千葉で、窮地のチームを救う。CSファーストステージ第2戦の7日ロッテ戦に先発予定。ZOZOマリンでは通算15勝5敗、防御率2・13と好相性で今季も完封勝利を挙げた。 チームは初戦をサヨナラ負けで落とし、勝ち抜けには連勝しかない。「勝てばなんでもいい。後悔のないように、初回からしっかりと入っていけるように準備したい」と力を込めた。

◆ロッテのアデイニー・エチェバリア内野手(32)が値千金の同点ソロでサヨナラ勝ちにつなげた。 1点を追う8回2死、楽天松井の高め真っすぐを左へ打ち上げると、柵越えを確信してバットを放り投げ、胸のあたりを何度もたたいた。 「しっかりスイングすることだけを心掛けて打ちました。しっかりボールをたたけたし、何よりチームの勝利に貢献できたことをうれしく思います」と話し、大きな拍手を送ったファンに感謝を述べた。 高さ3メートルほどまで放り投げられた華麗なバット投げも注目された。以下は球界の主なバット投げ。 ? ◆巨人中畑清 89年10月29日の日本シリーズ第7戦で6回、近鉄吉井からソロを放つと、勢いで三塁側ベンチ方向へ水平にバットが飛んだ。3連敗からの4連勝に導く一打。 ◆巨人原辰徳 92年7月5日のヤクルト戦で9回1死一塁、伊東から同点2ランを放ち、バットを放り投げた。直前にフォークのすっぽ抜けにのけぞらされ、尻もちをついており「怒りの一打」とも表現された。 ◆メッツ新庄剛志 01年4月9日のブレーブス戦で初ホーマー。バットをぶん投げたが、相手から「侮辱行為だ」との声。 ◆近鉄中村紀洋 01年7月25日、オールスター第3戦で3試合連続本塁打。中日野口からの1発。豪快なフルスイングからのバット投げは定番化。 ? ▼途中出場のエチェバリアが同点本塁打。プレーオフ、CSの初打席本塁打は13年1S<1>戦の加藤翔平(ロッテ)17年ファイナルS<1>戦のアマダー(楽天)20年<1>戦の安田尚憲(ロッテ)に次いで4人目。初打席で殊勲本塁打は先制本塁打の安田に次いで2人目。

◆ロッテ佐藤都志也捕手がサヨナラ二塁打。プレーオフ、CSのサヨナラ試合は12度目。佐藤都の23歳9カ月は、05年プレーオフ2S<3>戦の川崎(ソフトバンク=24歳4カ月)を上回る最年少のサヨナラ安打となった。 代打でサヨナラ打点は19年CSの乙坂(DeNA)以来4人目。ロッテのサヨナラ勝ちはプレーオフ、CSを通じて初。ポストシーズンでは毎日時代の50年日本シリーズ<6>戦で、松竹の失策により8-7でサヨナラ勝ちして以来、球団71年ぶり2度目。

◆ロッテ中村奨吾内野手が3安打でけん引した。 井口監督も「シーズン通してずっと頑張ってくれましたので、シーズン通りじゃないですか」とたたえた。3回には安田の浅めの左飛で、三塁から生還。「(左翼手の)捕る体勢とかも含めて。あそこは(送球と)走者が重なるところなので」と走塁技術の高さも評価した。

◆楽天が、崖っぷちに立たされた。同点の9回、宋家豪投手(29)がロッテ佐藤都にサヨナラ打を許し、CS初戦を落とした。勝ち抜けには、残り2戦を連勝するしかなくなった。 守護神が痛恨の1発を浴びた。1点リードの8回。右太もも痛から復帰した松井裕樹投手(26)が8月20日以来の1軍登板。2死を簡単に奪うも、エチェバリアに146キロ直球を左翼席へ運ばれた。同点弾に口を大きく開け、あぜん。両膝に手をついた。石井一久GM兼監督(48)は「(打線が)強いところに松井を持っていきたかった」と左腕の8回起用の意図を説明。「踏ん張りきれなかったけれど、それはもうしょうがない」と責めなかった。 打線は"令和の怪物"を捉えきれなかった。佐々木朗から4安打も、2回2死二塁で渡辺佳の投ゴロを一塁へ悪送球間の1点のみ。7回には2番手国吉の乱調に乗じ、無死一、二塁と好機をつくるも山崎剛が送りバントを打ち上げ、二走辰己も飛び出し併殺。なおも2死一塁から連続四球で満塁とし、島内が一時逆転の走者一掃打。明日へつながる粘りは見せた。 指揮官は「2つ勝つことがどっちみち当初からの目標。明日から2つ勝てるように頑張ればいい」と淡々とした口調で前を向く。3位からの大逆転日本一をかなえるには、何が何でも勝つしかない。【桑原幹久】 ▽楽天宋家豪(9回から登板し佐藤にサヨナラ打を打たれ)「悔しいですが、切り替えて次頑張ります」 ▽楽天松井(8回から登板し、エチェバリアに同点被弾。右太もも痛から復帰し8月20日以来の1軍登板も)「どうもこうもないです。結果が出ていないので関係ないです」

◆借りを返した。ロッテ佐藤都志也捕手(23)が殊勲のサヨナラ二塁打で、チームに大きな先勝をもたらした。同点の9回1死二塁から代打で決めた。10月27日の楽天戦(楽天生命パーク)では、同じく代打で最後の打者となり、敗れて優勝が消滅していた。リーグ制覇は逃したが、日本一への切符は譲らない。10日前に空を切ったバットが、今度はジャストミートした。同点で迎えた9回1死二塁、佐藤都は代打でコールされた。148キロの真っすぐを右へ。強くたたいた打球が右翼手横を抜けてフェンスまで転がった。右拳を突き上げて勢いよく一塁を踏み込む。「うれしさ爆発です!」。観客までも大興奮に巻き込んだ。 同じ9回、代打、宋家豪-。フラッシュバックしたのは10月27日の楽天戦。1点ビハインドで、2死から空振り三振した瞬間、2位が決まった。「ほんと悔しかった。負けられない戦いで最後の打者になって、チームに迷惑掛けました」。 代打で酸いも甘いも知った。昨年6月のプロ初安打は代打サヨナラ打。人生初のサヨナラ打だった。約5カ月後、CSファイナルステージでは最後の打者になり敗退した。「去年の自分と比べると、駆け引きできたりとか、考えて打てる。ちょっと成長したのかな」。直前までは裏方さん相手に「自分がサヨナラ打ったらどうします?」と冗談交じりでリラックス。重圧をかけず、打席に入ったら楽しんだ。 試合後、佐々木朗とハイタッチした。同期入団のドラ1は「ナイスバッティング」とたたえてくれた。降板後、逆転されても明るく振る舞っていた4歳下の右腕を見て、準備にも熱が入った。「同期としては今、天と地ぐらいの差の活躍ぶりですけど。自分も何とか、頑張っていければいいかなと思います」。出番はいつも、ミラクルが起こりがちな終盤だ。ドラ2が描くドラマは、日本一を決めるまで終わらない。【鎌田良美】▼ロッテ佐藤都志也捕手がサヨナラ二塁打。プレーオフ、CSのサヨナラ試合は12度目。佐藤都の23歳9カ月は、05年プレーオフ2S<3>戦の川崎(ソフトバンク=24歳4カ月)を上回る最年少のサヨナラ安打となった。 代打でサヨナラ打点は19年CSの乙坂(DeNA)以来4人目。ロッテのサヨナラ勝ちはプレーオフ、CSを通じて初。ポストシーズンでは毎日時代の50年日本シリーズ<6>戦で、松竹の失策により8-7でサヨナラ勝ちして以来、球団71年ぶり2度目。▽ロッテ益田(9回を3人で抑え、その裏にサヨナラ勝利)「何より先手を取れたのが良かったです。明日も勝って(ファイナル進出を)決めたいです」

◆3日に20歳の誕生日を迎えたばかりの佐々木朗希投手が、10奪三振。 ポストシーズン(プレーオフ、CS、日本シリーズ)では06年プレーオフ2S<1>戦のダルビッシュ(日本ハム=20歳1カ月)を上回り、史上最年少の2桁奪三振となった。 ポストシーズンでロッテの投手が2桁奪三振をマークしたのは、74年日本シリーズ<6>戦で中日から延長10回、11個(9回まで10個)を奪った村田兆治に次いで2人目。

◆ロッテ的場戦略コーチが勝利を呼んだ!? 普段はベンチ外ながら、試合前円陣に登場するとナインは大盛り上がり。 何やら手に持って叫んで活気づけた。開幕連敗を5で止めた4月1日の楽天戦でも声出しを担当。「行くぞ~? 行くぞ行くぞ行くぞ行くぞ!!」とコール。シーズン初勝利を呼び込み「今季一です」と振り返る選手もいるほどだが、大一番での大役も見事に成功した。

◆ロッテ佐々木朗希投手(20)がCS開幕投手の重圧をものともせず、楽天打線を6回10奪三振1失点。堂々と投げ抜いた。 「いつもと一緒か、それよりちょっとくらい緊張したんですけど」 そう言いながらも、初回の1番山崎剛から156キロ、157キロ、158キロを次々と放り込む。2番岡島にプロ実戦で自己最速の159キロを投じると、3番浅村には159キロを2球続けて見逃し三振にした。 球が速いのは今やもう、野球ファンなら誰でも知っている。20歳初登板とは思えない落ち着きで、試合を支配した。 「シーズン後半、最後の2試合とかは特に大事な試合で投げさせてもらってたので、そこで大分、そういったところに対しての対応は良くなったのかなと思います」 投げるたびに何かを身につけ、どんどん強くなる。2回、自身の一塁悪送球で先制された。「抜けちゃったんで。練習します」。しかし3回以降、敵に付けいられることなく、6回を投げ抜いた。「(悪送球を)引きずってました、ずっと」という内面を、外には見せないほどの投球だった。 初回の剛速球連発も「いつもと同じ感覚で」とさらっと振り返る。球威は落ちず、中盤も153キロ前後でしっかり振り遅れのファウルを打たせていく。63球を投じた直球の平均球速は、過去最高値の約155・2キロ。「今日はけっこうコントロール悪かったので」と言いながらも、ストライク率は69・8%。20歳の末恐ろしさを示した。 救援陣が1度逆転を許して勝利投手にはなれなかったものの、同期入団の佐藤都志也捕手(23)のサヨナラ勝利でチームは勝った。「良かったです。初戦が大事だと思うので、そこでしっかりチームが勝ったので。うれしかったです」。次の登板を信じ、あとは先輩たちに託す。【金子真仁】

◆楽天島内宏明外野手が、一時逆転となる走者一掃の適時二塁打で気を吐いた。2点を追う7回2死満塁。「適当な感じで狙ってました」とロッテ唐川の初球のカットボールを左中間にはじき返し、打点王の貫禄を示した。 崖っぷちの第2戦に向け「今日は新しいリストバンドを着けて打てたので、明日はまた違う新しいリストバンドを着けたいと思います。勝つしかないので、とにかく勝てるように」と"島内節"で決意を込めた。

◆堂々たる開幕だ! ロッテ佐々木朗希投手(20)がCSファーストステージの楽天第1戦に先発。初回からプロ入り後実戦最速の159キロを3球マークするなど押し込み、6回10奪三振1失点。抜てきした井口資仁監督(46)も「エースに近い投球」と手放しでほめた。 チームもサヨナラ勝利しファイナル進出に王手。引き分け以上で突破が決まる。目標の日本一へ、ライバルチームに「佐々木朗希」の名を強烈に植え付けた。佐々木朗希ただ1人に、光が差した。午後3時50分、6回表のマウンド。右翼外壁の隙間からの天然スポットライトを浴び、無失点で終えた。「球場の雰囲気自体はものすごく緊張感がありました」。赤とんぼも舞うZOZOマリン。クライマックスを感じながら、大仕事を済ませた。 浅村も手が出なかった。初回2死、外角低めへの159キロを2球続け見逃し三振に。「いいコースに行ってましたし、指にかかって三振も取れて」。159キロはプロ入り後の実戦最速。160キロの大台については「裏では出てましたし」としつつ「そこは求めるところじゃないので。特にこういう大事な試合では」と意識になし。それでも直球平均球速は約155・2キロと過去最高値。大船渡高の元チームメートも応援に駆けつける中、20歳の末恐ろしさを見せつけた。 「抜けちゃったんで。練習します」 2回に一塁悪送球で先制を許し「引きずってました、ずっと」と言いながら、3回以降も崩れない。「正味ルーキーみたいな」と佐々木朗の今を表現する井口監督も、堂々たる投球に「エースに近い投球だったと思います」と絶賛する。 「初戦でこういう投球をできる。いくつになってもできない人はできないと思いますし。本当に素晴らしい。そういう星の下に生まれたんじゃないかな」 井口監督が自ら引き当てた。4球団競合のドラフト1位入札。「絶対に(当たりを)引くと思っていた」と自信満々で、狙っていた下から2番目のクジを迷わずつかみ、こぶしを突き上げた。あれから2年。「順調というか順調以上です」。前途洋々な未来を確信させる投球でもあった。 7回からはひたすらに願った。1度は救援陣が逆転を許したが、最後はサヨナラ勝ち。「9回、すごくいいものを毎回見てます」。同期入団の佐藤都がサヨナラ打を放つとベンチ前で3度、両足ジャンプ。「自分、何したらいいんだろうって」とサヨナラの作法に困ったのも今は昔。慣れた様子で、おなじみ水の祭典へと駆けた。【金子真仁】

◆借りを返した。ロッテ佐藤都志也捕手(23)が殊勲のサヨナラ二塁打で、チームに大きな先勝をもたらした。同点の9回1死二塁から代打で決めた。10月27日の楽天戦(楽天生命パーク)では、同じく代打で最後の打者となり、敗れて優勝が消滅していた。リーグ制覇は逃したが、日本一への切符は譲らない。10日前に空を切ったバットが、今度はジャストミートした。同点で迎えた9回1死二塁、佐藤都は代打でコールされた。148キロの真っすぐを右へ。強くたたいた打球が右翼手横を抜けてフェンスまで転がった。右拳を突き上げて勢いよく一塁を踏み込む。「うれしさ爆発です!」。観客までも大興奮に巻き込んだ。 同じ9回、代打、宋家豪-。フラッシュバックしたのは10月27日の楽天戦。1点ビハインドで、2死から空振り三振した瞬間、2位が決まった。「ほんと悔しかった。負けられない戦いで最後の打者になって、チームに迷惑掛けました」。 代打で酸いも甘いも知った。昨年6月のプロ初安打は代打サヨナラ打。人生初のサヨナラ打だった。約5カ月後、CSファイナルステージでは最後の打者になり敗退した。「去年の自分と比べると、駆け引きできたりとか、考えて打てる。ちょっと成長したのかな」。直前までは裏方さん相手に「自分がサヨナラ打ったらどうします?」と冗談交じりでリラックス。重圧を掛けず、打席に入ったら楽しんだ。 試合後、佐々木朗とハイタッチした。同期入団のドラ1は「ナイスバッティング」とたたえてくれた。降板後、逆転されても明るく振る舞っていた3歳下の右腕を見て、準備にも熱が入った。「同期としては今、天と地ぐらいの差の活躍ぶりですけど。自分も何とか、頑張っていければいいかなと思います」。出番はいつも、ミラクルが起こりがちな終盤だ。ドラ2が描くドラマは、日本一を決めるまで終わらない。【鎌田良美】 ▼ロッテ佐藤都がサヨナラ二塁打。プレーオフ、CSのサヨナラ試合は12度目。佐藤都の23歳9カ月は、05年プレーオフ2S<3>戦の川崎(ソフトバンク=24歳4カ月)を上回る最年少のサヨナラ安打となった。代打でサヨナラ打点は19年CSの乙坂(DeNA)以来4人目。ロッテのサヨナラ勝ちはプレーオフ、CSを通じて初。ポストシーズンでは毎日時代の50年日本シリーズ<6>戦で、松竹の失策により8-7でサヨナラ勝ちして以来、球団71年ぶり2度目。

◆CS初登板初先発のロッテ・佐々木朗希投手(20)が、一回に自身プロ最速を更新する159キロを3球、投じた。 1死で2番・岡島にカウント1-1から投じた3球目の直球が159キロを計測した。判定はボールだった。3番・浅村にもカウント1-1から2球続けて159キロを投げ、いずれもストライクで見逃し三振を奪った。 佐々木朗は高卒2年目の今季、1軍デビューを果たしてレギュラーシーズンでは最速158キロをマーク。大船渡高(岩手)時代に自己最速163キロを計測している。

◆楽天(3位)が二回に1点を先制した。2死二塁で7番・渡辺の投ゴロをロッテ・佐々木朗が一塁へ悪送球。二走・島内が生還した。

◆楽天が思いがけない1点を先制した。二回に先頭打者の島内が右中間を破る二塁打で出塁。だが鈴木大は三邪飛、茂木は空振り三振であっさり2死まで奪われた。続く渡辺佳も外角のフォークボールにバットに当てただけのゴロに。 これを捕球した佐々木朗は、余裕をもってアウトにするかと思われたが、一塁へ高くそれるまさかの悪送球。2死でスタートを切っていた島内が先制のホームを踏んだ。楽天は思いもよらぬ形で1点を先行した。

◆ロッテのブランドン・レアード内野手(34)が逆転の左前適時打を放った。0-1の四回1死満塁、カウント2-0から楽天・則本昂のカットボールを捉えた。 「則本投手相手なので、早い回から点を取っていきたいと思っていた。とにかく、ランナーをかえすことだけを考えて打席に立ったよ」 打点王となった楽天・島内には1打点届かなかったものの、今季95打点を挙げた4番がポストシーズンでも貫録をみせた。

◆3年目のロッテ・山口航輝外野手(21)が「6番・右翼」で先発出場。三回の第2打席で楽天・則本昂から中前打を放ち、CS初出場初安打を記録した。「初めてのクライマックスシリーズで緊張感のある中で1本打つことができて良かった。次は得点につながる1本を打ちたいです」と初々しいコメントを残した。

◆ロッテ・佐々木朗希投手(20)が、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初登板初先発で2桁三振をマークした。一回に2三振、二回に2三振、三回に3三振、四回に1三振、五回に1三振を奪い、3-1の六回無死で島内から10個目の三振を奪った。 佐々木朗はプロ2年目の今季、5月に1軍デビュー。10月23日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で6回を投げて11三振を奪い、レギュラーシーズン自身初の2桁奪三振を記録した。 この日は一回に自身プロ最速を更新する159キロ直球を3球投じた。レギュラーシーズン最速は158キロ。岩手・大船渡高(岩手)時代に自己最速163キロを計測している。

◆初戦の先発を任された楽天・則本昂大投手(30)だったが、4回6安打3失点と試合を作れず、早々とマウンドを降りた。 二回に相手失策から先制点をもらったが、三回1死から荻野に許した右前打をきっかけに、1四球を挟んだ3連打と犠飛で3点を奪われた。五回から安楽にマウンドを譲った右腕は、交代直後は厳しい表情でグラウンドを見つめ、広報を通じて「分かりません」とだけ短くコメントした。

◆ロッテ・佐々木朗希投手(20)が、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初登板初先発で6回を4安打1失点に抑えて降板した。打者24人に96球を投げ、勝利投手の権利を得てマウンドを降りた。 三振は毎回の10個。一回に自身プロ最速を1キロ更新する159キロ直球を3球投じた。

◆プロ10年目で初タイトルとなる打点王(96点)をマークした楽天・島内宏明外野手(31)がさすがの勝負強さを発揮した。 1-3で迎えた七回に3四球などで二死満塁で打席に立つと、交代したばかりの唐川の初球を左中間へ運び、走者一掃の逆転二塁打とした。

◆右太ももを痛めて離脱していた楽天・松井裕樹(26)が1点リードの八回から登板。1軍の試合は8月20日の日本ハム戦以来となったなか、中村奨を捕飛、4番のレアードからは150キロの直球で空振り三振を奪ったが、5番・エチェバリアへの初球、156キロの高めの直球を左翼席中段へ運ばれた。 打った瞬間に本塁打と分かる当たりで、松井は口をあんぐりと開けたまま、打球の行方を見届けていた。

◆ロッテ・佐藤都志也捕手(23)が4-4で迎えた九回1死二塁から代打で登場。右中間へサヨナラ二塁打を放ち、チームは2015年ファイナルステージから続いていたCSの連敗を7で止めた。 「言葉に表せないぐらいうれしい。自分の打てる球を振り抜きました」 V逸が決まった10月27日の楽天戦(楽天生命パーク)では代打で空振り三振に倒れ、最後の打者となった佐藤は喜びを爆発させた。 これでロッテは7日の第2戦で引き分け以上で、オリックスと対戦するCSファイナルステージ(10日開幕、京セラ)に進出する。

◆楽天は1点リードの八回に松井がエチェバリアに同点弾を、九回には宋家豪が佐藤都にサヨナラ打を浴び、大事な初戦をサヨナラ負けで落とした。 石井監督は「最後八、九回というところが踏ん張りきれなかったところがあるんですけど、それはもうしようがないんで、切り替えてやるしかないと思います」と振り返った。松井、宋家豪の投げる順番に関しては「強いところ(3番から始まる八回)に松井をちょっと持っていきたかった」と説明した。 松井は右太もも痛から復帰したばかりとあって、7日以降の試合での終盤での起用について問われた指揮官は「もちろん。いかない理由なくないですか」と語った。

◆ロッテは3-4の八回にエチェバリアのソロで追い付き、九回1死二塁から代打・佐藤都の適時二塁打でサヨナラ勝ちした。先発の佐々木朗は6回1失点、10三振の力投。救援陣の乱調で逆転されたものの、終盤に粘りを発揮した。佐藤都のヒーローインタビューは以下の通り。 --今シーズンはZOZOマリンで初めてのお立ち台。どんな気分か 「言葉に表せないくらいすごいうれしいです」 --(球場内の)マリーンズファンの拍手はどう聞こえているか 「優勝を逃してからこのクライマックス(シリーズ)に入って、一丸となって1勝に対する気持ちがチームからひしひしと伝わってきたので、なんとか自分も貢献しようと思って打席には立ってました」 --ランナー二塁。どんな狙いを持っていたか 「狙いというよりも、自分の打てる球をしっかり打とうと思って振り抜きました」 --打球が外野を転々と転がっている間、どんな思いだったか 「素直にうれしいということと、宮城で試合をした時に最後のバッターになってしまったという気持ちもあったので、本当にすごくうれしさ爆発です」 --一時逆転されたが、チームの雰囲気はどうだったか 「逆転を許しても、何とかリリーフの人が踏ん張ってくれて、ベンチとしてもまだ勝ちをあきらめていないというところがひしひしと伝わってきたので、そういった意味ではいい雰囲気だったと思います」 --あす(7日)は引き分け以上でファイナルステージ進出が決まる 「今日いい形で勝てたので、この勢いそのまま、明日しっかり勝ちにこだわってやっていきたいと思います」

◆右太ももを痛めて離脱していた松井裕樹投手(26)が、8月20日の日本ハム戦以来の1軍復帰戦で、痛恨の同点弾を浴びた。4-3の八回から登板。3番・中村奨を捕飛、4番のレアードから150キロの直球で空振り三振を奪うなど、故障の影響を感じさせなかったが、5番・エチェバリアへの初球、146キロの高めの直球を左翼席中段へ運ばれた。 打った瞬間に本塁打と分かる当たりで、松井は口を開けたまま呆然(ぼうぜん)と打球の行方を見届けていた。試合後は球団広報を通じて「(実戦復帰は)どうもこうもないです。結果が出ていないので関係ないです」とコメントした。

◆ロッテは3-4の八回にエチェバリアのソロ本塁打で追い付き、九回1死二塁から代打・佐藤都の適時二塁打でサヨナラ勝ちした。先発の佐々木朗は6回1失点、10三振の力投。救援陣の乱調で逆転されたものの、終盤に粘りを発揮した。試合後の井口監督の一問一答は以下の通り。 --佐藤都が決めてくれました 「その前に(先発の佐々木)朗希がしっかりゲームを作ってくれた。中継ぎが点取られたが、エチェ(バリア)も含めて最後は佐藤都。こういう勝ち方は非常に良かったし、最後まであきらめずに戦うというのがマリーンズの野球なので、そういう野球がファーストステージ初戦でできたと思います」 --初戦を託された佐々木朗希が試合を支配した 「堂々とマウンドで投げている姿は今年の彼の成長というか、エースに近いピッチングだったと思います」 --先を見据えての登板 「シーズンも朗希が長いイニング投げてくれたからチームが締まったし、今後のチームのつながりになってくると思う。そういう意味では大変な大役だったが、しっかり投げてくれた」 --中村奨、レアードが打った 「短期決戦なのでミーティングで積極的に行こうと話したし、その中でしっかりつないでくれた」 --あえて安田、山口を起用した 「まだまだ成長してほしいし、11月からバットを振り込んでいたので、そういう姿勢を試合で見せてほしいという思いだった」 --エチェバリアの一発が流れを変えた 「益田が九回を抑えたことでサヨナラにつながった」 --興奮しているように見える 「必ず勝つということでやっていたので、勝てたことは非常に大きい」 --明日に向けて 「今日ミスも出たので、しっかり締めてやっていきたい」

◆楽天の島内が1―3の七回2死満塁から3点二塁打を放った。唐川の代わりばなの初球を捉えて左中間を真っ二つに破った。打点王に輝いた勝負強さは短期決戦でも健在。「いつも通り試合に入れた」と冷静に振り返った。 チームは終盤に失点して逆転負け。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージを勝ち抜くには2連勝するしか道はなく「とにかく勝てるように頑張る」と言葉に力を込めた。 宋家豪(佐藤都にサヨナラ二塁打を浴び)「悔しいが、切り替えて次頑張る」

◆今季セーブ王のロッテの益田がクライマックスシリーズ(CS)通算8試合目の登板で初勝利を挙げた。4―4に追い付いた直後の九回に登板。テンポよく8球で三者凡退に片付け、味方のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。 チームとしても2015年のファイナルステージ第1戦から続いていたCSでの連敗を7で止めた。「先頭打者だけ抑えれば何とかなると思った。あとは一発、長打だけ警戒して、投げた結果」と安堵していた。

◆ロッテのエチェバリアが値千金の一発を放った。3―4の八回2死、松井の速球を完璧に捉えて左翼席へ同点ソロ。六回から守備固めで起用されたように遊撃の守備が売りで、レギュラーシーズンはわずか4本塁打。最後のアーチは8月20日までさかのぼるが、意外性の男らしく「特に何も考えずに打席に向かった」と振り返って観客席の笑いを誘った。 目前でレアードが空振り三振に倒れた際に松井がほえた姿に闘志を燃やした。米大リーグではご法度とされる敬意を欠いた態度に映ったそうで「日米の文化の違いだと思うが、少し変に感じて。僕が仕返ししてやろうという気持ちだった」と明かした。 レアード(好投手の則本昂から三回に2点適時打を放ち)「早い回から点を取りたいと思っていた」 山口(CS初出場で安打)「初めてのCSで緊張感のある中、一本打つことができて良かった」

◆クライマックスシリーズ(CS)初登板のロッテ・佐々木朗希投手(20)は6回4安打1失点と好投した。自身プロ最速となる159キロを3球マークし、10奪三振。20代初勝利こそ逃したが、チームにサヨナラ勝ちを呼び込んだ。 「ものすごく緊張感があった。ただシーズン後半に大事な試合で投げさせてもらって、そういったところでの対応は良くなった」 一回2死から浅村に2球連続で159キロを計測して見逃し三振と、立ち上がりから圧巻だった。二回2死二塁で渡辺佳の投手へのゴロを一塁に悪送球して先制を許したが、動揺を見せずに毎回の10奪三振。プレーオフ、CSで20歳0カ月での2桁奪三振は、2006年の日本ハム・ダルビッシュ有(20歳1カ月)を抜く最年少記録となった。 2点リードで降板後に救援陣が逆転を許したが、劇的な勝利をベンチで喜んだ。チームはレギュラーシーズンで4度サヨナラ勝ちし、佐々木朗はそのうち2試合で先発と投げた試合は劇的な展開が多い。〝開幕投手〟を託した井口監督は「大変な大役だったが、堂々と投げてくれた。エースに近いような投球。そういう星の下に生まれてきたと思う」と絶賛した。 3日に20歳となり、20代最初の登板だった。「しっかりチームに貢献できてよかった」と佐々木朗。大人の投球で短期決戦を駆け上がる。(山口泰弘)

◆ロッテ、王手! パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)は6日、ファーストステージが開幕し、レギュラーシーズン2位のロッテが3位・楽天に5-4でサヨナラ勝ち。九回1死二塁で代打・佐藤都志也捕手(23)が右中間に適時二塁打を放ち、試合を決めた。ロッテは2015年から続くCSの連敗を7でストップ。7日の第2戦で勝つか引き分ければ、10日に始まるオリックスとのファイナルステージ(京セラ)進出が決まる。 二塁ベース手前で右手を高々と突き上げた。約1年前、そして10日前に自分への怒りで目を真っ赤に充血させていた男が笑っていた。 「言葉に表せないぐらいうれしい。(2020年ドラフト)同期の(佐々木)朗希とは天と地ぐらいの活躍の差ですが、逆転されたときは、チームのためにいいピッチングをした朗希のためにも『負け試合にさせちゃいけないな』と思って準備をしていた」 佐藤都は興奮で声を上ずらせた。同点の九回1死二塁、宋家豪の148キロの直球を右中間に運んだ。チェンジアップが2球続いた後の〝読み勝ち〟。歓喜の輪が解けると、佐々木朗とハイタッチを交わした。 昨年11月15日のソフトバンクとのCSでは中飛で、敗れて16年ぶりのリーグ優勝の可能性が断たれた今年10月27日の楽天戦でも空振り三振で最後の打者になった。その悔しさを胸にチームがオフの今月1日には安田、藤原らと一日限定の〝ミニキャンプ〟に参加。5時間近くバットを振り続けた。 「一発勝負で、変にあれこれ考えることもないので、代打は向いているかもしれない。打席に入ったら〝楽しむ〟という気持ちでやっています」 昨年6月27日のオリックス戦(ZOZOマリン)。延長十回2死一、二塁から代打で放った記念すべきプロ初安打がサヨナラ打となった佐藤都は、そう言い切った。 この日も中盤以降のベンチ裏で「自分がサヨナラ、打ったら、どうします?」とチームスタッフに軽口をたたきながら素振りする姿があった。先発マスクは6月9日を最後にないが、代打稼業はプロで生きる道の一つ。23歳9カ月でのサヨナラ打はCS、プレーオフの最年少記録にもなった。 私生活では煮込みハンバーグが得意な〝料理男子〟。福島県出身で故郷の地酒「飛露喜(ひろき)」をこよなく愛する。名前の由来は〝喜びの露がほとばしる〟という願いから。今宵は、うまい酒が飲めそうだ。(東山貴実)

◆1勝1分けでもファーストステージを突破できるレギュラーシーズン2位のロッテは、負けないことが大事。サヨナラ勝ちはおまけのようなもので、エチェバリアが八回2死から放った同点ソロは、駅伝にたとえると最終区で10人抜きしてトップでゴールしたくらい、大きな価値がある。 佐々木朗が降板した途端に暗転したのは、代え時を誤ったベンチのミスでもある。素晴らしい投球をしていた佐々木朗は6回で96球。レギュラーシーズンなら交代でもいいが、短期決戦は七-九回が勝敗の行方を80%くらい左右する。好調な投手は1イニングでも引っ張り、調子が悪い投手は早く見切るのが鉄則だ。 2番手の国吉は、ストライクを取るのに苦しんでいた。七回無死一、二塁で送りバントを投飛にして三重殺も可能だったのに、一塁へ投げずに併殺しか取れない。ここで代えても良かった。遅くとも、2死一塁から岡島を歩かせた時点。次の浅村にも四球を与えてピンチを広げ、3番手の唐川が1球で逆転を許した。 八回に登板した佐々木千も制球に不安を残し、そのまま負けていれば第2戦でステージ敗退が決まるのではないかと思えるくらい、ダメージが大きかった。逆に楽天を土俵際へ追い込んだのだから、エチェバリアの一発はベンチを含めたチーム全員を救ったと言っていい。(本紙専属評論家)

◆ロッテ・エチェバリアが値千金の同点弾。その舞台裏には、MLB流の不文律があった。 「日米の野球文化の違いなのかもしれないが、彼の行為は少し変に感じた。だから、僕が仕返しをしてやろうという気持ちだった」 3―4の八回2死から松井の速球を完璧に捉え、左翼席中段へと運んだ来日1年目の助っ人は、そう口調を強めた。目前でレアードが空振り三振に倒れた際、マウンド上の松井が大声でほえた。その姿が、メジャーではご法度とされる対戦相手に敬意を欠いた不遜な態度に映ったという。まさに、怒りの一撃。今季のワールドシリーズ王者となったブレーブスで昨季プレーしていたヒーローは「僕もうれしい。われわれもまだ日本一になるチャンスがある」と力強かった。(東山貴実)

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