阪神(★0対4☆)巨人 =クライマックスシリーズ1回戦(2021.11.06)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:菅野 智之(1勝0敗0S)
(セーブ:畠 世周(0勝0敗1S))
敗戦投手:髙橋 遥人(0勝1敗0S)
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◆巨人がファーストステージ初戦を制した。巨人は5回表、吉川の適時打で先制に成功する。その後は、6回にウィーラーの適時打で2点を加えると、8回には再びウィーラーが適時打を放ち、リードを広げた。投げては、先発・菅野が7回2安打無失点の好投。敗れた阪神は、打線が無得点と沈黙した。

◆クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦を迎える6日、出場選手登録が公示され、阪神はジェリー・サンズ外野手(34)、藤浪晋太郎投手(27)らが外れた。 サンズはシーズン終盤の不振により、みやざきフェニックス・リーグで調整。4日の練習試合大和高田クラブ戦では左翼へ特大のソロ本塁打でアピールしたが、CSでもシーズン同様、外国人選手の登録枠は「5」、ベンチ入り枠は「4」で滑り込みとはならなかった。 藤浪もフェニックス・リーグで調整。3日の練習試合三菱自動車倉敷オーシャンズ戦では中継ぎ登板し、1イニングを無失点に抑えていた。 シーズンでは先発を務めた伊藤将司投手(25)は、中継ぎ要員としてブルペン待機の予定。

◆今季初めて主砲の欠場が確定した。別メニュー調整中だった巨人岡本和真内野手(25)が、CS初戦の登録メンバー27人から外れた。この日はグラウンドには姿を見せたが、別メニュー調整。ランニングや三塁でのノックなどを行った。一塁への送球は軽めで、送球しない場面も見られた。フリー打撃は行わなかった。 今季はリーグ戦全てに「4番三塁」でスタメン出場し、39本塁打、113打点でリーグ2冠に輝いた。チームをけん引してきたが、10月31日の東京ドームでの1軍練習で打撃練習を回避。その後も、別メニュー調整が続いていた。 原辰徳監督(63)は5日の前日練習で「(岡本)和真は登録できないでしょうな、多分」と初戦の登録メンバーから外すことを示唆していた。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神は大山悠輔内野手(26)、佐藤輝明内野手(22)がスタメンから外れた。両者ともに前日5日の練習試合NTT西日本戦で無安打に終わっていた。 上位打線はシーズン終盤でも起用された1番島田海吏外野手(25)、2番中野拓夢内野手(25)、3番近本光司外野手(26)。近本は3日の練習試合・三菱自動車倉敷オーシャンズ戦で、右太もも裏の負傷から13日ぶりに実戦復帰し2打数1安打。翌4日の大和高田クラブ戦でも4打数2安打と状態を上げてきた。1、2、3番の俊足トリオで巨人バッテリーをかき乱せるか。 阪神先発は高橋遥人投手(25)。今季は7試合で4勝2敗、防御率1・65。とりわけ巨人戦は2度の対戦で、16イニング無失点と圧倒した。好相性の左腕で先勝し、勢いをつける。 対する巨人先発は菅野智之投手(32)。今季阪神戦は3試合先発し1勝1敗、防御率2・53。CSのメンバー登録から外れた岡本和真内野手(25)に代わり、「2番三塁」には広岡大志内野手(24)が入った。

◆3位からの下克上を狙う巨人のスタメンが発表された。リーグ戦で全試合に「4番三塁」で出場した主砲・岡本和がコンディション不良で登録メンバーから外れた。代役として第90代4番の丸佳浩外野手(32)が昨年9月17日阪神戦(東京ドーム)以来、415日ぶりに4番に座る。 三塁手は智弁学園で岡本和の1学年下の後輩だった広岡大志内野手(24)が「2番三塁」でスタメン出場する。エース菅野智之投手(32)が初戦の先発マウンドに上がる。

◆巨人小林誠司捕手(32)が、大一番で"うっかり勘違い"をした。0-0の3回1死、阪神坂本を相手にエース菅野がカウント2-2と追い込んだ。5球目、152キロの直球が低めにズバッと決まり見逃し三振に斬って取った。2死としたところだったが、捕手の小林がアウトカウントを勘違い。三塁側ベンチへ引き揚げていった。菅野は指を2本立て、「ツーアウト!ツーアウト!」と叫び、小林を呼び止めた。

◆阪神高橋遥人投手(25)と巨人菅野智之投手(32)の好投で、3回まで両軍が無安打に抑え込まれた。 高橋は初回、少しボールのばらつきがありながらも、先頭の松原を三ゴロに仕留め、広岡、松原を連続三振。2回も4番丸から3者凡退に仕留めると、3回も安打を許さなかった。 一方の菅野も初回に島田、中野から連続空振り三振を奪ってスタートすると、2、3回も阪神打線を3者凡退に抑えた。 高橋は、今季のリーグ戦で巨人と2度対戦し、16イニング無失点。負けられないCS初戦の試合序盤は、好左腕とエースによる投手戦となった。

◆巨人ゼラス・ウィーラー内野手(34)が来日7年目で初めて犠打を決めた。 0-0の5回無死一塁、阪神高橋の142キロカットボールを投前に転がした。三塁側ベンチでナインからハイタッチで迎えられると、笑顔で喜びをあらわにした。 1死二塁とチャンスを演出し、その後の吉川の先制打につなげた。

◆巨人が難敵から今季「21イニング目」で初得点をもぎ取った。リーグ戦2試合で16イニング無得点に封じられていた阪神高橋遥人を5回につかまえた。 コンディション不良の岡本和に代わって4番を務める丸佳浩外野手(32)が二塁内野安打で出塁。ヘッドスライディングで気持ちを見せた。続くウィーラーが来日7年目で初犠打を決め、1死二塁とチャンスを広げた。6番の中島が右前打でつなぎ、一、三塁。吉川が追い込まれながらも外角低め141キロカットボールを中前に落とし、先制に成功した。吉川は一塁ベースを回ると手を何度もたたいて喜びをあらわにした。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(30)が、チーム初安打を放つも、直後に盗塁死となりチャンス拡大にはいたらなかった。 1点ビハインドで迎えた5回先頭の第2打席で、巨人先発菅野から左前打。4回まで無安打投球を許していた右腕から、今試合打者13人目でようやく初安打&初出塁を果たした直後だった。 次打者糸原の2球目で、今季盗塁0の一塁走者マルテが、二盗を狙ってスタート。巨人バッテリーは外角高めにウエストし、マルテは捕手小林の送球で余裕を持ってアウトになった。 この日の菅野は直球、変化球ともに精度が高く、ワンチャンスをものにしたいところだが、この回は攻撃がかみ合わなかった。

◆甲子園に今季最多の観客2万1478人が詰めかけた。今季レギュラーシーズン最多は7月10日巨人戦の1万8202人だった。9月末に緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が全面解除されたが、10月は大規模イベントは1カ月の経過措置として入場制限されていたが、緩和された。 阪神もこれまでは1席ずつに間隔を空けていたが、このCSからは最大4人の1グループごとに1席空ける形となった。公式戦では空席になることがほとんどだった両サイドのアルプス席も埋まった。 まだ、大声を出しての応援はできず、客席でもマスクを着用するが、メガホンを打ち鳴らす音は、今季最大の音量となった。ファーストステージの当日券発売はない。

◆初戦の先発マウンドを託された阪神高橋遥人投手(25)が、6回6安打3失点で降板となった。 初回先頭の松原を三ゴロに仕留めると、広岡、坂本を連続三振。2、3回と3イニング連続3者凡退と、完璧な立ち上がりを見せた。 しかし5回、先頭丸の当たりが二塁への内野安打となり、1死二塁から連打を浴びて先制を許した。今季のリーグ戦では巨人と2度対戦し16イニング無失点。21イニング目にして、今季の巨人戦で初めての失点を喫した。 6回には2死まですんなり奪った後、坂本に左前打を浴び丸に四球を与え、2死一、二塁からウィーラーに中堅フェンス直撃の適時二塁打を許し2失点。直後6回の打席で代打糸井を送られ降板となった。 今季は上肢のコンディション不良から9月上旬に復帰すると、7試合で4勝2敗、防御率1・65。シーズン終盤にリーグ優勝を争ったチームの救世主的存在となった。10月21日中日戦で左肘の違和感により途中降板していたが、前日5日にはコンディションについて「問題ないです。思い切って投げたいと思います」と話していた。 相手先発はエース菅野。味方の援護がない中で粘りの投球を続けたが、悔しいマウンドになった。

◆巨人ゼラス・ウィーラー内野手(34)が大暴れ!2安打3打点に加え、流れを引き寄せる犠打でチームに貢献した。 6回2死、坂本が左前打、丸が四球でつなぎ2死一、二塁と追加点のチャンス。阪神先発の高橋の初球外角138キロツーシームを捉えた。中堅フェンス直撃の2点適時二塁打。あと数メートルで柵越えという当たりだった。二塁ベース上で、右拳を力強く握って派手に喜びをあらわにした。「打ったのはスライダーだね!もうちょっとでクルリンパできたんだけどね!!もっとご飯食べて力をつけておけば良かったよ!いい追加点になったね!!ありがとう!」と興奮気味にコメント。本塁打となれば定番の"くるりんぱ"パフォーマンスがみられるところだった。 5回には無死一塁から来日7年目で初犠打を成功。吉川の先制打につなげた。8回2死一、三塁からは、左前へ適時打を放ち、リードを4点に広げた。代走立岡が送られ、全4得点に絡む活躍をみせたウィーラーはお役御免となった。

◆阪神佐藤輝明内野手(22)が、クライマックスシリーズ(CS)初打席で空振り三振に倒れた。 4点ビハインドの8回1死一塁、投手小林の代打で登場。追い込まれてから、巨人2番手デラロサの152キロ直球にバットが空を切った。甲子園に訪れた2万1478人の観客の期待が、大きなため息に変わった。 状態は決して良いとはいえない。レギュラーシーズン終了後はみやざきフェニックス・リーグに合流。実戦を積んでも、前半戦だけで20本塁打の打棒は完全復活とはならなかった。CS直前のアマチュアとの練習試合3連戦では8打数無安打。矢野監督も「結果もあるけど内容もしっかりしてこないと」と辛口評価で、この日はスタメンから外れていた。

◆レギュラーシーズン2位の阪神は難敵菅野を打ち崩せず、同3位の巨人に完封負けを喫して後がなくなった。 先発投手は今季巨人戦2試合先発で16回無失点の「Gキラー」高橋遥人投手(25)。菅野と同様に3回まで完全投球と抜群の立ち上がりを見せたが、中盤、巨人打線の粘りに陥落した。 両チーム無得点の5回は内野安打を含む2安打で1死一、三塁とされ、7番吉川に先制の中前適時打を許す。6回は2死無走者から1安打1四球で一、二塁とされ、5番ウィーラーに中堅フェンス直撃の2点二塁打を献上した。 打線は1点を追う5回、先頭の4番ジェフリー・マルテ内野手(30)がチーム初安打となる左前打。ただ、直後に無死一塁からランエンドヒットの可能性が高かった1球を巨人バッテリーに大きく外され、二盗失敗で反撃ムードを高められなかった。3点を追う6回は2死二、三塁で3番近本光司外野手(26)が遊飛に倒れた。 高橋は今年の巨人戦21イニング目での初失点から粘りきれず6回3失点で黒星。救援陣も8回に高卒2年目の及川雅貴投手(20)が1失点し、突き放された。打線は菅野に7回2安打無失点の快投を許し、白星を献上。4点を追う9回には2死満塁の好機をつくって守護神ビエイラを降板させたが、代打の原口文仁捕手(29)が三直に倒れた。 第2戦は7日。先発に今季13勝で最多勝タイトルを獲得した青柳晃洋投手(27)を立て、敗れれば終戦となる一戦に総力を結集する。

◆巨人が初戦を白星で飾り、ファーストステージ突破に王手をかけた。 菅野が7回2安打無失点と危なげない投球を披露し、エースの役割を果たした。デラロサ、ビエイラ、畠とつなぎ、完封リレーを完成させた。 打っては、5回に丸の執念のヘッドスライディングでの内野安打から、ウィーラーの来日7年目での初犠打、吉川の適時打で先制に成功。今季リーグ戦では2試合で16イニング無得点に封じられていた阪神高橋から21イニング目にして価値ある1点をもぎ取った。6回2死一、二塁ではウィーラーの中越え2点適時二塁打、8回2死一、三塁でまたもウィーラーが左前適時打を放ち、9安打4得点。投打がかみ合い、2勝先取の短期決戦で大きなアドバンテージを握った。 7日の2戦目の予告先発は巨人高橋と阪神青柳。巨人が勝てば、ヤクルトとのファイナルステージにコマを進める。

◆阪神高橋、巨人菅野の両先発がともに3回を無安打無失点に抑えた。ともに打者9人で3奪三振とまったく互角の投げ合い。 巨人が5回、吉川の適時打で先制した。6回にはウィーラーの適時二塁打で2点追加。阪神は6回2死二、三塁を生かせなかった。 巨人は8回にウィーラーの適時打でダメ押し。巨人が4投手の完封リレーで阪神に完勝し、ファイナルS進出へ王手をかけた。

◆巨人が初戦を白星で飾り、ファーストステージ突破に王手をかけた。 菅野が7回2安打無失点と危なげない投球を披露し、エースの役割を果たした。デラロサ、ビエイラ、畠とつなぎ、完封リレーを完成させた。 阪神は完封負けで後がなくなった。

◆阪神が代打大山悠輔内野手(26)の一打から巨人守護神ビエイラを攻め立てるも、大逆転勝利とはならず、CS初戦を落とした。 大山は4点ビハインドの9回2死一塁で木浪に代わり登場すると、巨人守護神ビエイラの初球を捉え、左翼への安打を放った。その後ロハスが四球を選び2死満塁。ここで巨人は畠に継投。阪神は8番坂本に代わり代打原口が打席へ入った。原口は2球目をたたき、強烈なライナーを三塁へ飛ばしたが、打球は三塁手広岡のグラブに収まり、ゲームセットとなった。 大山は前日5日の練習試合NTT西日本戦で2打数無安打1四球に終わり、この日はベンチスタート。チームはゼロ封負けも、最後の最後に主将の意地を示した。

◆ファーストステージ突破が懸かる2戦目に先発する巨人高橋優貴投手が必勝を期した。CS登板は2年ぶり2試合目。 阪神戦は今季5戦4勝の虎キラーは「CSというなかなか経験できない場面で投げられるのは本当に光栄。絶対に先に点を与えない、主導権を握らせないよう心がけたい。チーム全員で1つの勝利をもぎとりたい。初回から全力で腕を振ります」と誓った。

◆2位阪神が3位巨人に0封負けし、王手をかけられた。巨人先発の菅野には7回2安打で無得点に抑え込まれた。試合後、阪神矢野燿大監督(52)も「点を取らないと勝てない」と悔しさをにじませた。一問一答は以下の通り。 ? (テレビ) -初戦を終えて、今の心境は やっぱり点を取らないとね、勝てないので。まあそこは一番、負けた原因かなと思います。 -最終回は2死満塁と意地を見せた うん、まあ...ね、結果は結果なんで。受け止めています。 -先発の高橋の投球は 立ち上がりも、状態良く投げていましたし。いつもよりはちょっと制球が、遥人(高橋)にしてはよくないかなという感じにも見えましたけど。いい立ち上がりをしてくれたのでね。(6回の)2点取られたところだけはツーアウトまで行ったのでね、あそこをちょっと踏ん張ってくれたらというふうには思いましたけど。 -相手先発の菅野は 全力で初回から来ている感じがありましたし、いつもより直球にも力があったので。そういうところで打者陣もちょっと苦しんだかなというのはありました。 -チャンスであと1本が まあ、それは受け止めてます。 -代打で出た佐藤輝、大山の状態は もちろん代打で出ていくような打者じゃなく、4打席立ってこその打者だと思うんですけどね。チーム全体のことを考えてやっていきます。 -明日からは先発の可能性も それはもちろん、あります。 -明日に向けて いや、もう負ければ終わりですしね。勝って次にどう持ち込むか。それだけ考えてやっていきたいと思います。 (囲み) -高橋はこらえていた まあ、もちろんね全体を振り返れば2死から点を取られたこと以外は、遥人はしっかりいってくれたところはあるんで。まあやっぱり、さっき言ったようにそれは反省として、2アウトまでいった後のもう1人っていうのを取らないと、こういうゲームになってしまうんで。そこは反省としてあると思うけど。でもやっぱり(打線が)点を取れないってところかな。 -菅野の印象。カーブが多かった? カーブはそんな多かったかな。まあ追い込んで真っすぐ、フォークのところで逆にカット系のボールを投げてきているのかなっていう感じには見えたけど。今年は真っすぐ、フォークが多いんで。そんな大きく特徴が変わったっていうところはないけれど、まあ前半から飛ばしてる、球の力はあるなっていう感じはいつもとちょっと違ったところかな。 -5回、糸原の打席で一塁走者のマルテが盗塁死 うん。でもあれは(相手バッテリーが)外すっていうことは、何か根拠が...かなり高い確率でなければ外せないと思うんでね。こっちとしても対策していきます。

◆巨人岡本和真内野手(25)が6日、阪神とのCSファーストステージ初戦の登録メンバーから外れた。 上半身のコンディション不良と思われ、10月31日の練習でフリー打撃を回避して以降は別メニュー調整。この日の試合前練習でもフリー打撃は行わなかった。 試合後、原監督は「明日になってみないと分からないしね。しかし、少しずつ良くなっているのは事実じゃないでしょうか」と語り、引き続き慎重に状態を見極めていく方針だ。

◆巨人原辰徳監督が勝ってかぶとの緒を締めた。6回には2死から新クリーンアップで追加点を奪い、高橋攻略に成功。 9回2死満塁では制球に苦しむ守護神ビエイラから畠に代えて無失点リレーを決めるなど、タクトがさえた。丸の4番起用は「非常にバットが振れているということと勇人(坂本)と丸というリズムを崩したくなかった」と説明。狙い通りの快勝にも「1戦1戦という中で、また明日は新たなスタートで戦っていきます」と引き締めた。

◆走った!転がした!打った!主砲不在の巨人が"1Team打線"で難敵を打ち砕いた。リーグ戦2試合で16回無得点に封じられていた阪神高橋を5回にようやく捕まえた。 口火を切ったのは、415日ぶりに4番に座った丸だった。一、二塁間にゴロを転がすと、一塁にヘッドスライディングで飛び込んで内野安打を奪いとった。「体が勝手に反応した。あまり(やった)記憶がないですね」。勝利への執念が体を突き動かした。 続くウィーラーは来日7年目にして初犠打を敢行。不慣れながらも絶妙なバントに盛り上がりムードはどんどん加速すると、中島が右前打で一、三塁。阪神ベンチがタイムをかけた間に、次打者吉川は阿部1軍作戦コーチから「思い切っていけ」と耳打ちされた。言葉通りに1球目、2球目と強振してファウル。1球見極めて、4球目の外角低めカットボールをうまく拾って中前に運んだ。一塁で吉川が、生還した丸が、そして三塁側ベンチが一斉に拳を掲げて感情を爆発させた。高橋から今季21イニング目にしてスコアボードに「1」を刻んだ。原監督も「先手を取れたというところが非常に大きかった」とポイントに挙げた。 岡本和の欠場は直近2年でわずか3試合目。4番を託された丸は重圧を背負いながら結果を残してきたリーグ2冠王を「本人が一番悔しいと思う。みんなが感じ取りながら、背負いながらやれたら」と思いやった。ともに、強く。「1Team」で下克上へと好発進した。【小早川宗一郎】 ▽巨人吉川(5回の先制適時打を含む2安打の活躍)「皆さんがつないだチャンスだったので、何とかという気持ちだった。(岡本)和真の穴を埋めるのは難しいけど、全員で一丸となって臨んでいきたい」

◆シーズン3位の巨人が、ファーストステージ突破に王手をかけた。 先発の菅野が7回2安打無失点好投。救援陣もデラロサ、ビエイラ、畠が無失点でつないだ。 打線は打点と本塁打で2年連続2冠王の岡本和が欠場する中、5回には先頭丸が一塁へのヘッドスライディングで内野安打を奪うと、続くウィーラーが来日7年目での初犠打に成功。中島がつないで吉川が先制適時打と、今季リーグ戦では2試合で16イニング無得点だった阪神高橋から執念で1点をもぎとった。6回2死一、二塁ではウィーラーの中越え2点適時二塁打、8回にはウィーラーの左前適時打で加点し、2位阪神の猛追をかわした。 試合後、原辰徳監督(63)の主な一問一答は以下の通り。 -5回に先制点 「先手を取れたというところが非常に大きかったと思います。非常に、いい攻撃ができたと思いますね」 -4番起用の丸が気迫のヘッドスライディング 「慣れない打順だったかもしれませんけど、非常にバットが振れているということと、(坂本)勇人と丸というリズムを崩したくなかったという意味で、その2点ですね。ヘッドスライディングで一塁へというのは褒められたプレーではないとは思うけれども、気持ちというか本能というかね、そういったものがああいうプレーに出るのかなと思います。気迫ある打撃と気迫ある走塁だと思いましたね」 -ウィーラーに犠打のサイン 「次が中島という勝負強い打撃、打者というのもあるしね。まあ、なかなか(高橋から)点を取れていないというところもあるしね。総合的にというところですね」 -ウィーラーは犠打だけでなく3打点 「非常に献身的なプレーヤーですし、大きな仕事をしてくれたなと思いますね」 -菅野が7回無失点 「見ていてもね、非常にこう切れ味鋭いというかね、いい投球をしてくれたと思います」 -ファーストステージ突破まであと1勝 「いやいやもう、1戦1戦という中でね、先勝できたということはありますけれど、また明日は新たなスタートで戦っていきます」

◆巨人が大エースの快投で王手をかけた。「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージの阪神戦で、菅野智之投手(32)が7回2安打無失点で猛虎打線を封じた。立ち上がりから全開で投げ込み、4回まで無安打投球。6回2死二、三塁のピンチも強気を貫き、痛打を許さなかった。2戦先勝の同ステージ初戦を制した。自信満々で大きくうなずいた。3点リードの6回2死二、三塁。菅野が天敵をにらみつけた。阪神近本に直球4球で押し込み、カウント2-2からはフォークで揺さぶった。「誠司が『逃げたらダメだよ』『強気で行くぞ』と、すごく力強い目で勇気を与えてくれた。最後まで集中力を切らさずに勝負できた」。勝負球は内角膝元へのスライダーで遊飛に仕留めた。今季対戦成績が打率5割の相手キーマンをねじ伏せた。 苦難の連続だった。今季は、けがと不振で4度の離脱。19試合に先発し、自己ワーストの6勝にとどまった。プロ後、初めて登板試合が20試合を下回った。東京五輪は出場辞退を強いられ、セミが鳴くジャイアンツ球場でネットスローを繰り返すことしかできなかった。実戦復帰のメドも立たない。勝負の舞台から少し距離が開いた。こわばった表情が心なしか穏やかになった。苦難からの復活劇に美談は何ひとつない。 「そこは奇麗ごとにしてはいけないので。やっぱりずっと続けることが何よりも良いことだと思う。もちろんプラスにしなきゃいけないっていうこともありますけど、シーズン戦えなかった悔しさっていうのは常に持っている。そういうのが今日はプラスに働いたのではないのかなと思います」 一進一退のしびれる勝負の舞台に大エースが舞い戻った。レギュラーシーズンで11ゲーム差をつけられた阪神を土俵際まで追い込んだ。下克上を目指し、先の戦いへと勝ち進む、意義がある。「本人が一番つらい思いをしていると思いますし、ここまで来られたのは間違いなく(岡本)和真のおかげなので、何とか勝ち進んで、彼が打席に入る姿を見たいなと僕は思っています」と欠場した主砲への思いを吐露した。仲間を信頼し、思いやる強さがある。頼もしい大エースが下克上の先陣を切った。【為田聡史】 ▽巨人原監督(菅野について)「切れ味鋭いというかね、いい投球をしてくれた。主導権を渡さずにね、うまく(無失点で抑えた)というのは大きいですね」

◆矢野虎がいきなりがけっぷちに立たされた。「2021 JERAクライマックスシリーズ セ」のファーストステージ初戦が6日、甲子園で行われ、阪神は巨人のエース菅野を相手に7回無得点と打線が沈黙。5回にはチーム初安打のマルテが痛恨の盗塁死で好機を逸した。もう1敗もできない状況で、矢野燿大監督(52)は第2戦に向けて総力戦による必勝を誓った。虎が崖っぷちに追い込まれた。0-4で迎えた9回2死満塁。代打原口が放ったライナーが三塁手広岡のグラブに収まった。今季最多2万1478人が詰めかけた甲子園に、ため息が充満した。粘りを見せたが、最後まで遠かった1点。矢野監督は「やっぱり点を取らないとね、勝てない。そこは一番、負けた原因かなと思います。結果は結果なんで。受け止めています」と悔しさを押し殺すように話した。 序盤から息詰まる投手戦だった。マウンドに仁王立ちするエース菅野の前にアウトが積み重なる。指揮官も「いつもよりストレートにも力があったので、そういうところで打者陣もちょっと苦しんだ」と振り返るように4回までパーフェクト投球を許す展開。攻撃の糸口がつかめずに、7回2安打無得点とねじ伏せられた。 菅野攻略へ必死のタクトも不発に終わった。5回。チーム初安打を放った4番マルテを一塁において、続く5番糸原の打席、1ボールから2球目に、マルテがスタートを切った。エンドランと思われる作戦だったが、巨人バッテリーに完全に読まれていた。捕手小林が大きく外してウエスト。糸原はバットを振ることなくマルテは二塁でアウトとなった。 「あれを外すっていうことは何か根拠が...、かなり高い確率でなければ外せないと思うんでね。対策していきます」。結局、糸原は四球で歩いたが、後続が倒れて無得点。中盤のワンプレーが、重たい空気をつくってしまった。 徳俵に足を掛けた。負ければその時点でシーズンが終わる。この日のオーダーに大山、佐藤輝の名前はなかったが、第2戦のスタメンの可能性について矢野監督は「それはもちろん、あります」と即答した。そして「勝って次にどう持ち込むか。それだけ考えてやっていきたいと思います」と続けた。セ・リーグ過去13度のCSファーストで初戦を落としてファイナルに勝ち上がったのは中日、DeNAの2例しかない。15%の壁を総力戦で打ち破る。【桝井聡】 ▼阪神は初戦黒星で一気に窮地に立った。07年に始まったセCSファーストステージ13度(昨年は開催なし)のうち、初戦●から逆転でファイナルステージに勝ち上がったのは09年中日と17年DeNAの2度のみ。確率は15%に過ぎない。阪神は黒星スタートの07、08、10、13、15年と5度とも敗退しており、ここから巻き返してファイナルステージに進めば初となる。

◆阪神高橋遥人投手(25)が、大一番でついに捉えられた。粘りは見せたが6回6安打3失点で黒星。「大事な1戦目を任せていただきましたが、早い段階でマウンドを降りる形になり申し訳ないです」。今季リーグ戦では巨人相手に16イニング連続無失点と圧倒したが、無双は続かなかった。 初回から3イニング連続3者凡退と、立ち上がりは快投の予感を漂わせた。しかし相手先発の菅野も4回まで完全投球。味方の援護がないまま、5回1死二塁から中島、吉川尚に連打を浴びて先制点を献上。21イニング目にして、今季の巨人戦で初失点を喫した。 6回は2死を奪った後、坂本の左前打と丸への四球でピンチを広げ、ウィーラーに中堅フェンス直撃の2点適時二塁打を献上。矢野監督は「2アウトから点を取られたこと以外は、遥人はしっかり行ってくれたというところはある」と振り返った。最後の失点を反省点に挙げながらも、マウンドで踏ん張った左腕を認めた。 リーグ最終登板だった10月21日中日戦(甲子園)を左肘の違和感で途中降板し、中15日でのぶっつけ本番。9月上旬に1軍復帰してから快投でチームを救ってきたが、この日は巨人打線につかまった。【磯綾乃】 ▼阪神は初戦黒星で一気に窮地に立った。07年に始まったセCSファーストステージ13度(昨年は開催なし)のうち、初戦●から逆転でファイナルステージに勝ち上がったのは09年中日と17年DeNAの2度のみ。確率は15%に過ぎない。阪神は黒星スタートの07、08、10、13、15年と5度とも敗退しており、ここから巻き返してファイナルステージに進めば初となる。

◆甲子園に今季最多の観客2万1478人が詰めかけた。今季レギュラーシーズン最多は7月10日巨人戦の1万8202人だった。9月末に緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が全面解除された。大規模イベントは1カ月の経過措置として10月も入場制限されていたが、政府により収容人数の50%まで緩和された。 公式戦では空席となることがほとんどだった両サイドのアルプス席も埋まった。まだ大声を出しての応援はできず、最大4人の1グループごとに1席空け、マスク着用は義務づけられている。ファーストステージは当日券の販売はなく、第2戦も2万人以上のファンで埋まりそうだ。

◆阪神中野拓夢内野手(25)は初のCS出場で攻守ともに躍動した。 遊撃守備では3回2死、9番菅野の中前に抜けようかというゴロを間一髪で好捕し、アウトをもぎ取る。2番打者としても3点を追う6回2死一塁。菅野の内角低めスライダーをすくい上げ、右翼フェンス直撃の二塁打で好機を広げた。ドラフト6位入団でプロ1年目。CSでも存在感を放っている。

◆阪神のリリーフ陣は3イニングを1失点でリレーした。 7回は2番手馬場が2奪三振で3者凡退。8回は3番手及川が5番ウィーラーに左前適時打を浴びたが、2死二、三塁で4番手小林が6番中島を三ゴロに仕留めた。 9回は5番手斎藤が先頭7番吉川に中前打を浴びながら無失点。馬場は「しっかり自分のやるべき仕事ができた」。斎藤は「チームに勢いを持ってくることが役割。明日は絶対に勝てるようにしっかり準備したい」と力を込めた。

◆巨人がエースの快投で王手をかけた。「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージの阪神戦で、菅野智之投手(32)が7回2安打無失点で猛虎打線を封じた。立ち上がりから全開で投げ込み、4回まで無安打投球。6回2死二、三塁のピンチも強気を貫き、痛打を許さなかった。2戦先勝の同ステージ初戦を制した。自信満々で大きくうなずいた。3点リードの6回2死二、三塁。菅野が天敵をにらみつけた。阪神近本に直球4球で押し込み、カウント2-2からはフォークで揺さぶった。「誠司が『逃げたらダメだよ』『強気で行くぞ』と、すごく力強い目で勇気を与えてくれた。最後まで集中力を切らさずに勝負できた」。勝負球は内角膝元へのスライダーで遊飛に仕留めた。今季対戦成績が打率5割の相手キーマンをねじ伏せた。 苦難の連続だった。今季は、けがと不振で4度の離脱。19試合に先発し、自己ワーストの6勝にとどまった。プロ後、初めて登板試合が20試合を下回った。東京オリンピックは出場辞退を強いられ、セミが鳴くジャイアンツ球場でネットスローを繰り返すことしかできなかった。実戦復帰のメドも立たない。勝負の舞台から少し距離が開いた。こわばった表情が心なしか穏やかになった。復活劇に美談は何ひとつない。 「そこは奇麗ごとにしてはいけないので。やっぱりずっと続けることが何よりも良いことだと思う。もちろんプラスにしなきゃいけないっていうこともありますけど、シーズン戦えなかった悔しさっていうのは常に持っている。そういうのが今日はプラスに働いたのではないのかなと思います」 一進一退のしびれる勝負の舞台に大エースが舞い戻った。レギュラーシーズンで11ゲーム差をつけられた阪神を土俵際まで追い込んだ。下克上を目指し、先の戦いへと勝ち進む、意義がある。「本人が一番つらい思いをしていると思いますし、ここまで来られたのは間違いなく(岡本)和真のおかげなので、何とか勝ち進んで、彼が打席に入る姿を見たいなと僕は思っています」と欠場した主砲への思いを吐露した。仲間を信頼し、思いやる強さがある。頼もしい大エースが下克上の先陣を切った。【為田聡史】 ▼巨人原監督(菅野に)「切れ味鋭いというかね、いい投球をしてくれた。主導権を渡さずにね、うまく(無失点で抑えた)というのは大きいですね」 ◆CSファーストステージの主なルール シーズン2位と3位が3試合制で対戦し、勝利数の多い球団がファイナルステージに進出。引き分けを除いた勝利数が同じ場合は2位球団が勝者。延長戦は行わず、同点の場合は9回打ち切りで引き分け。9回表終了時や9回裏の攻撃中に後攻のステージ勝ち上がりが確定した場合、その時点で終了。

◆右太もも裏の負傷から回復した阪神近本が「3番中堅」で先発し3打数無安打1四球に終わった。 レギュラーシーズンで10打数5安打、打率5割と好相性の菅野に3打席凡退。9回先頭ではビエイラから四球を選ぶも得点には至らなかった。10月21日の中日戦で痛めた患部は順調に癒え、6回にはウィーラーの中越え二塁打に対し、フェンスにぶつかりながらジャンピングキャッチを試みるなどハッスル。「チーム全員で明日やり返せるように頑張ります」とナインの思いを代弁した。

◆スタメンが発表され、巨人はコンディション不良で欠場する岡本和真内野手(25)に代わり、丸佳浩外野手(32)が4番に入った。2番には岡本和の代役で三塁を守る広岡が抜擢された。

◆クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦(7日、甲子園)の予告先発が6日、発表された。阪神が青柳、巨人は高橋が投げ合う。 巨人は5日に甲子園で行われた前日練習で宮本投手チーフコーチが一計を案じ、高橋と山口が同時にブルペンへ向かった。通常なら登板日2日前に投球練習を行うが、山口は第2戦に先発する投手を隠すための〝ダミー〟だった。山口は第3戦での先発が予想されている。 高橋は今季の阪神との対戦成績が4勝0敗、防御率1・45と虎キラーぶりを発揮している。

◆阪神・近本光司外野手(26)はシーズン終盤に右太もも裏を負傷していたが、4日の練習試合で中堅でスタメン出場するなど順調に回復し、「3番・中堅」で起用された。また、大山悠輔内野手(26)、佐藤輝明内野手(22)はベンチスタートとなった。

◆第1戦の先発を託された阪神・高橋遥人投手(25)が巨人打線につかまった。三回まで一人の走者も許さない完璧な投球。四回1死から広岡に初安打を浴びたが、続く坂本を二ゴロ併殺に仕留めた。しかし、五回、先頭の丸に二塁内野安打。ウィーラーは犠打、中島が右前打でつなぎ1死一、三塁とピンチを背負った。 ここで吉川尚に中前打を浴び、先制点を献上。今季レギュラーシーズンでは巨人戦で失点を喫していなかった左腕だが、21イニング目に初めてホームを踏まれた。 打線は四回まで巨人の先発・菅野の前にノーヒット。阪神にとって痛い1点となった。

◆巨人が五回に吉川尚輝内野手(26)の中前適時打で先制した。 巨人・菅野は四回までパーフェクト投球、阪神・高橋も四回まで1安打無失点の投手戦。巨人は五回、先頭の4番・丸が一塁へ気迫のヘッドスライディングを見せ、内野安打で出塁。ウィーラーがNPBのレギュラーシーズンでは一度もない犠打を成功させると、6番・中島が右前打でつないで1死一、三塁。続く吉川がカウント1―2から外角低めに来たカットボールを中前へ運び、均衡を破った。

◆巨人のゼラス・ウィーラー内野手(34)が1-0の六回に中堅フェンス直撃の2点二塁打を放った。 2死から坂本が左前打、丸が四球でつないで一、二塁。高橋の初球、ツーシームを中越えへはじき返した。五回には来日初の犠打を決めて吉川の先制打を呼び込んだ。チームはレギュラーシーズンで16イニング無得点に封じられていた阪神・高橋からこれで3点をもぎ取った。

◆先発した阪神・高橋遥人投手(25)は6回6安打3失点だった。 三回まで一人の走者も許さない完璧な投球。しかし、五回1死一、三塁から吉川に先制の中前打を許した。六回は2死から安打と四球で一、二塁を背負うと、ウィーラーに中堅フェンス直撃の2点二塁打。六回の打席で代打を送られ、悔しい降板となった。

◆巨人・菅野智之投手(32)が先発し、7回2安打無失点の好投で試合の流れを作った。一回は2者連続空振り三振の好スタート。その後も阪神打線に的を絞らせず、四回までパーフェクト投球を披露した。この日の最大の山場となった3-0の六回2死二、三塁では最多安打のタイトルを獲得した近本を遊飛に仕留め、ピンチを切り抜けた。 前日5日に「先発が長いイニングを投げるに越したことはない。いつも通り。最低6回以上は投げたい。そうすれば、おのずと結果は付いてくる」と語ってきたエースが圧巻の投球を見せた。

◆3位・巨人が敵地で先勝した。先発のエース・菅野智之投手(32)が先発し、7回2安打無失点の好投で試合の流れを作った。打線は五回に吉川が、阪神・高橋から中前適時打を放ち先制。ウィーラーが六回に中堅フェンス直撃の2点二塁打、八回にも左前適時打を放ち、計3打点をマークした。 今季は61勝62敗20分けでチームとしては3年ぶり、原政権では2006年以来15年ぶりのシーズン負け越しを経験した。この日は主砲・岡本和が登録され厳しい状況だったが、エース・菅野が圧巻の投球を披露。2連覇中の巨人が初戦で底力を見せた。下克上へ大きな1勝となった。

◆阪神は巨人に完敗し、大事な初戦を落とした。 打線は巨人先発・菅野の前に四回まで無安打。五回先頭のマルテが左前打でようやく初ヒットをマークしたが、続く糸原の打席でまさかの盗塁死と流れをつかめない。六回は2死二、三塁と初めて得点圏に走者を進めたが、近本が遊飛に倒れた。九回は2死満塁とするも、最後は代打・原口が三直。打線は結局、散発の5安打で得点を奪うことができなかった。 先発・高橋は6回6安打3失点と粘るも、打線の援護に恵まれず。クライマックスシリーズ・ファーストステージ突破をかけた大事な初戦で、痛恨の敗戦を喫した。

◆巨人・菅野智之投手(32)が7回2安打無失点の快投でCSファーストステージ突破に王手をかけた。ヒーローインタビューは以下の通り。 -―7回無失点 「立ち上がりをすごく気をつけていて、うまく立ち上がれたので、それなりに抑えることができるんじゃないかと思っていた」 -―どこがよかった 「ストレートが走っていたので、序盤はストレートを多めに投げることができて、相手打線に意識付けができた。その辺がよかったと思う」 -―エースとしてCSでいい流れ 「相手投手の高橋君は巨人戦で1点も取られていないということで、ある程度投手戦になることを覚悟していた。その中で0点に抑えて、いい流れを作れたのでよかったです」 -―六回のピンチ 「マウンドに集まったときに捕手の小林が強気でいくぞと力強い目で勇気を与えてくれたので、最後まで集中力を切らさず勝負できた」 -―小林とのバッテリー 「序盤は真っすぐとカーブとフォークという、あんまりやらない攻めだったんですけど、そういうのがあって、うまく中盤、終盤でカットボールがいきたと思う」 -―岡本和がいない中で、ベンチの雰囲気は 「みんなよく声がでていましたし、和真も本人が一番つらい思いをしてますし、ここまでこれたのは間違いなく和真のおかげ。何とか勝ち進んで、彼が打席に入る姿をみたいなと僕は思っています」 -―ウィーラーが3打点 「彼が打つとチームも盛り上がりますし、こういう試合展開、投手戦ではありましたけど、彼が口火を切ってくれたので盛り上がったと思います」 -―明日に向け 「まだまだ戦いは始まったばかりなので、今日はきょうで終わりなので、しっかり気持ちを締め直して次を迎えたいなと思う」

◆阪神の先発・高橋遥人投手(25)は三回9人斬りの好スタートを見せたが五回に先制点を許し、六回には2死から追加点を奪われるなど、6回3失点で降板した。攻撃面では九回に2死満塁のチャンスを迎えたが代打の原口文仁捕手(29)が三直に倒れ、完封負けを喫した。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 (テレビ) ーー初戦を終えた心境は 「うん、やっぱり点を取らないとね、勝てないので。まあそこは一番、負けた原因かなと思います」 ーー最終回は意地を見せた 「うんまあ...ね、結果は結果なんで。受け止めています」 ーー高橋の投球は 「立ち上がりもね、状態良く投げていましたし。いつもよりはちょっとコントロールが、遥人にしてはよくないかなぁという感じにも見えましたけど。いい立ち上がりというか、してくれたのでね。2点取られたところだけはツーアウトまで行ったのでね、あそこをちょっと踏ん張ってくれたらとは思いましたけど」 ーー序盤は投手戦となったが菅野は 「全力で初回から来ている感じがありましたし、いつもよりストレートにも力があったので、打者陣もちょっと苦しんだかなというのはありました」 ーーチャンスであと1本が 「まあ、それは受け止めてます」 ーー代打で出た佐藤(八回に空振り三振)、大山(九回に左前打)の状態は 「うーん、まあ、もちろん代打で出ていくような打者じゃなく、4打席?立ってこその打者だと思うんですけどね。チーム全体のことを考えてやっていきます」 ーー7日からは先発の可能性も 「それはもちろん、あります」 試合後、ファンに挨拶する阪神・矢野監督と選手を迎える巨人・原監督=甲子園球場(撮影・宮沢宗士郎) ーー7日に向けて 「いやもう負ければ終わりですしね。勝って次にどう持ち込むか。それだけ考えてやっていきたいと思います」 (囲み) ーー高橋はこらえていた 「全体を振り返れば2アウトから点を取られたこと以外は、えー、うーん、しっかりいってくれたというところはあるんで。まあやっぱり、さっき言ったようにそれは反省として、2アウトまでいった後の、もう一人を取らないと、こういうゲームになってしまうんで。そこは反省としてあると思うけど。でもやっぱり点を取れないってところかな」 ーー菅野の印象。カーブが多かった? 「カーブはそんな多かったかな。まあ追い込んで真っすぐ、フォークのところで逆にカット系のボールを投げてきているのかなっていう感じには見えたけど。今年は真っすぐ、フォークが多いんで。そんな大きく特徴が変わったところはないけれど、前半から飛ばしてる、球の力はあるなっていう感じはいつもとちょっと違ったところかな」 ーー五回の糸原の打席(五回無死一塁で、一走・マルテがスタート。巨人バッテリーはウエストし、マルテは二塁憤死) 「うん。でもあれは外すっていうことは何か根拠が...かなり高い確率でなければ外せないと思うんでね。こっちとして対策していきます」

◆レギュラーシーズン3位の巨人が2位の阪神を封じ、ファーストステージ突破に王手をかけた。先発の菅野が7回無失点と好投。左脇腹痛で主砲・岡本和が欠場する中、吉川が先制打、ウィーラーが3打点と活躍した。原監督が試合を振り返った。 --先手を取った 「先手を取れたというところが非常に大きかったと思います。1点目、そして(2、3点目は)2死から3、4、5番で、非常にいい攻撃ができたと思いますね」 --五回の先制点は4番・丸のヘッドスライディングから 「今日は慣れない打順だったかもしれませんけど、非常にバットが振れているということと、(坂本)勇人と丸という(打線の)リズムを崩したくなかったという意味で(4番起用の理由は)その2点ですね。気迫ある打撃と気迫ある走塁だと思いましたね」 --ウィーラーが3打点 「非常に献身的なプレーヤーですし、今日は大きな仕事をしてくれたなと思いますね」 --菅野が7回無失点 「今日は非常にいい投球、切れ味鋭いというかね、いい投球をしてくれたと思います」 --先手を取り、ファーストステージ突破へあと1勝 「一戦一戦という中でね、先勝できたということはありますけれど、また明日は新たなスタートで戦っていきます」 --五回にウィーラーにバントを指示 「次は中島という勝負強い打撃、打者というのもあるしね。相手投手(高橋)からなかなか点を取れていないというところもあるしね。総合的にというところですね」 --吉川も食らいついた 「ええ、見事な打撃でしたね」--丸のヘッドスライディングが打線を盛り上げた「ヘッドスライディングで一塁へというのは褒められたプレーではないとは思うけれども、気持ちというか、本能というか、そういったものがプレーに出るのかなと思います。しかし一塁へのヘッドスライディングは気をつけてくれと、そこは反省の中でね、ミーティングで選手には伝えようと思います」--久しぶりに観客が2万人を超えた「われわれはファンあってのプロ野球、これが一番。やっぱりプレーボールがかかるとね、一球、一打、(一挙手)一投足という形で、そこに集中しているんで、お客さんを見る余裕はそうそうないけれど、非常にいい方向にね、世の中は移りつつあるというふうに思います」--欠場した岡本和について、今後は「明日になってみないと分からないしね。しかし、少しずつ良くなっているのは事実じゃないでしょうか」

◆巨人の吉川が天敵の高橋から貴重な先制点を挙げた。五回に外角低めのボールを中前へ。追い込まれた中で「何でもいいから1点取ろう」と必死に食らいつき、シーズンで、16イニング無得点だった左投手を打ち崩した。 九回にも中前打を放ち、きっちりと2安打をマーク。10月は不振で、先発を外れることも少なくなかった。「気持ちを出してやっていこう」と前を向き、短期決戦で存在感を示した。

◆左脇腹を痛めたとみられる岡本和に代わって、巨人は丸が4番を務めた。1安打2四球で快勝に一役買った。五回は一塁にヘッドスライディングをして、二塁内野安打。「体が勝手に反応した感じ。悔いが残る方が嫌」と執念を見せ、その後の吉川の適時打で先制のホームを踏んだ。 岡本和は本番直前にコンディションを悪くした。丸は「出たいのに出られないという苦しさは分かっている。その気持ちを皆が感じ取りながら、背負いながらやれたらなと思う」と気概を示した。 原監督「先勝できたということはあるが、また明日は新たなスタートで戦っていく」

◆阪神は菅野との相性を重視して先発から大山を外し、木浪を入れるなど策を講じたが、実らなかった。得点力不足が響き、計5安打で零敗。矢野監督は「(菅野は)初回から全力で来ている感じがあった。球に力があるというのはいつもと違う。点を取らないと勝てない」と嘆いた。 五回無死一塁では1ボールからエンドランを仕掛けたものの、相手バッテリーに大きく外され、一塁走者のマルテが二塁でタッチアウト。監督はサインを読まれている可能性を踏まえ「高い確率で根拠がないと、外せない。こちらも対策をしていく」と話した。 阪神・矢野監督「点を取らないと勝てない。そこが負けた一番の原因。(菅野は)一回から全力できていた。いつもより直球に力があり、打者陣が苦しんだ。結果は受け止めている」 近本(3打数無安打)「僕らは明日、勝つしかない。チーム全員でやり返せるように頑張る」 馬場(1回無失点)「ビハインドの展開でしたが、しっかり自分のやるべき仕事ができた」 斎藤(1回無失点)「チームに勢いを持ってくることが役割」

◆先手必勝のCSだが、菅野の前に沈黙してしまった阪神打線。通算465本塁打を放った大打者で、数々の選手を育てあげた名伯楽でもある土井正博氏(77)=本紙専属評論家=は「短期決戦は相手に怖さを感じさせる打線が必要。1番・近本、4番・大山で出直せ」と崖っぷちの猛虎にエールを送った。 ■球数を投げさせたかったが‥菅野が一枚上手だった 菅野の投球は今季最高だったのではないか。絶好調の打者が並んでいても、攻略は難しかっただろう。とはいえ、あっさり7回ゼロ封は寂しい。 今季の菅野という投手の特性を考えなければいけない。難攻不落ではあるが、100球でほぼ交代する投手でもある。ならば、球数を投げさせれば、少しでも早い回でマウンドを降りる。 阪神ベンチも、そこに狙いを定め、この打線を組んだのだろう。ファウルで粘って、1球でも多く投げさせたかったはず。が、意図は完全に失敗だった。ボール気味の球を振ったり、簡単に打ち取られたり。菅野が一枚上手だった。 結果論は好きではないが、短期決戦は相手に怖さを与える打線を組むべきだと思っている。しぶとく粘る攻撃ができないのなら、なおさらだ。そう考えた時、やはり1番は近本ではなかったか。シーズン最多安打であり、菅野との相性も抜群。一回の先頭打者で、一番嫌がる打者が出てくれば、菅野もあれこれ考えただろうし、スムーズに試合に入りにくかった。島田には申し訳ないが、相手に与えるプレッシャーは全く違った。 対菅野に対して、大山を外すという前提で打線を組むから、近本を3番にはめ込むしかなかったのだろう。結果、怖さのない打線になってしまった。 ■状態は悪くなさそう 輝も入れたい 打線を組む時に一番大事なのは1番打者と4番打者。出塁率の高い切り込み隊長と、長打の怖さを秘めた4番をまず固定して、そこに他の打者を組み込んでいく。今の阪神は、状態の良し悪しはあるのだろうが、やはり1番・近本、4番・大山で臨むべき。 他の打者がしぶとく粘れないのなら、佐藤輝も打線に入れたい。状態はそう悪くなさそうだし、4打席立たせてみたいスイングをしていた。 崖っぷちに立った以上は、開き直れるはず。思い切った方針変更を期待したい。 一つ、気になったのは五回裏の攻撃。無死一塁、カウント1-0からピッチドアウトで一塁走者が二塁で刺された。常識的に、絶対に外さないカウント。サインが見破られている可能性は高い。もう一度、見直す必要はあるだろう。(本紙専属評論家)

◆反撃ムードはしぼみ、疑心暗鬼ばかりがふくらんだ。勝負に出た矢野虎は、エンドランをしかけたとみられた。だが、巨人バッテリーは、その1球をたやすくピッチドアウトした。大一番の勝負どころで繰り出した作戦がバレてしまっていたことを、矢野監督は暗に認めるしかなかった。 ■ベンチが凍りついた 「でも、あれは外すっていうことは何か根拠が...かなり高い確率でなければ外せないと思うんでね。こっちとして対策していきます」 1点を先制された直後の五回だった。先頭の4番・マルテが菅野からチーム初安打を放って無死一塁となり、どんな作戦でもできる糸原を迎えた。一塁側ベンチの矢野監督、井上ヘッドコーチが、しきりに手を動かしサインを送る。それを受けた藤本三塁ベースコーチがさらに糸原、マルテへと伝える。そして1ボールからの2球目が、勝負を分けた。 一走のマルテがスタートを切る。捕手の小林が外角へ踏み出しながら立ち上がる。三塁側にあまりにも大きく外され、糸原は飛びついてスイングすることもできなかった。二塁は楽々タッチアウト-。虎ベンチが凍りついた。 来日からの3年で、昨季に記録した1盗塁のみのマルテの単独スチールは考えにくく、エンドランだったとみられる。本来であれば一走がマルテだからこそ、警戒も薄くなると思われたが〝待っていました〟とばかりに飲み込まれた。同点どころか、逆転を狙いにいったような作戦だったが、散った。いくら高橋が先制点を与え、相手が菅野だとは言っても、まだいくらでもやり返せる五回だったが、この落胆によってさらに甲子園は重たいムードで支配された。 ■「もう負ければ終わり」 なぜ見破られたのか-。真相は小林、巨人ベンチしか知らない。いずれにせよ、もう後がない。打線はシーズン終盤の苦しみがそのまま続いているように「0」を並べ、挙げ句の果てに作戦までもが封じられてしまいそうだが、矢野監督は必死で前を向く。 「いやもう負ければ終わりですしね。勝って次にどう持ち込むか。それだけ考えてやっていきたいと思います」 苦しい。それでも攻めなくては、点を奪わなくては、道は開けない。(長友孝輔)

◆このままでは終われない-。「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージが開幕し、レギュラーシーズン2位の阪神は3位の巨人に0-4で敗戦。7日の第2戦も落とすと、今季終戦となる崖っぷちに立たされた。「3番・中堅」で出場した近本光司外野手(26)は3打数無安打。負けられない大事な一戦へ「チーム全員でやり返せるように」と誓った。 ■CS初の屈辱 甲子園で零封負け 力のない打球が甲子園にため息を運ぶ。今季最多2万1478人の観衆を笑顔にすることはできなかった。この悔しさは必ず明日の糧へと変えてみせる-。チームの先頭に立つ選手会長として、近本は胸にこみあげた言葉を絞りだした。 「僕らはあした勝つしかないので、チーム全員であしたやり返せるように頑張ります」 0-3の六回2死二、三塁。四回まで無安打に抑えられていた菅野から、この日初めて得点圏まで走者を進めた好機だった。打席にはレギュラーシーズン最多178安打の近本。いま最も頼れる男だ。 チャンステーマが鳴り響き、場内のボルテージも最高潮に上がる。しかし、135キロに詰まらされた白球は、ふらふらと舞い上がり、遊撃手・坂本のグラブへと吸い込まれた。 つながりと決め手を欠いた打線は5安打と封じ込められ、甲子園でのクライマックスシリーズ(CS)では初の零封負けの屈辱で第1戦は幕を閉じた。セ・リーグのCS過去13年の歴史を振り返っても、ファーストステージ(CS)初戦が黒星のチームは、ファイナルSへ進出する確率が約15%しかない。もし、これから逆転で突破できれば阪神では初。形勢は圧倒的不利...。しかし、絶対にあきらめたりしない。まだ、やり残したことがあるからだ。 ■フェンス激突 みなぎる闘志 ヤクルトとの熾烈な優勝争いを繰り広げたレギュラーシーズンは、終わってみれば勝率5厘差という形で2位。近本は右太もも裏の張りでラスト3試合を欠場し、「今年は最後まで優勝争いをして、最後負けてしまい悔しい思いでいます」と話していた。大事な最終盤戦をベンチから見つめることしかできなかった悔しさ。チームに迷惑をかけてしまった責任感でいっぱいだった。 だからこそ、この日はどれだけ劣勢となっても、ファイティングポーズを崩さなかった。回復したばかりの右足を気にも留めず、六回の守備ではキャッチできなかったが、フェンスに激突するまでウィーラーの打球を追いかけた。九回先頭の打席では、ビエイラの150キロ後半の直球に食らいつき、粘って四球をもぎとった。全身からみなぎる闘志。燕に借りを返すチャンスはまだ残っている。そのために、いまは宿敵を撃つことしか考えていない。 グラウンドに帰ってきた選手会長の決意がつながっていくように、打線は最後の最後で一発が出れば同点の場面を作った。リベンジに燃えているのはひとりじゃない。チーム全員でやり返す-。この言葉こそすべて。圧倒的不利な状況だって、チーム一丸ではね返してみせる。虎が甲子園で奇跡を巻き起こす。(原田遼太郎)

◆2番手の阪神・馬場が0-3の七回からマウンドに上がり、2奪三振を含む1回無安打無失点の好投を披露。「ビハインドの展開でしたが、しっかり自分のやるべき仕事ができた」と胸を張った。先頭の吉川はカットボールで三ゴロ、小林と菅野はいずれも直球で見逃し三振に斬った。

◆重要な第1戦の先発マウンドを任された阪神・高橋だったが、6回6安打3失点で降板となった。「早い段階でマウンドを降りる形になり申し訳ないです」。五回に吉川の適時打で今季巨人戦21イニング目で初失点を喫すると、六回には2死からピンチを招いてウィーラーにフェンス直撃の2点二塁打を浴びた。矢野監督は「(六回は)2死までいったので、あそこを踏ん張ってくれたら(よかった)」と険しい表情だった。

◆阪神・斎藤が九回に5番手でCS初登板し、試合の流れを引き戻そうと力投した。0-4の無死一塁からバントを試みた小林を初球155キロで投飛に打ち取ると、素早い送球で一走・吉川も戻れず2死とし、最後は代打・大城を一ゴロに片付けた。「自分の力を出すだけですし、チームに勢いを持ってくることが役割。明日(7日)は絶対勝てるようにしっかり準備したい」と力を込めた。

◆プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)は6日、セ、パ両リーグのファーストステージが開幕。「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」はレギュラーシーズン3位の巨人が2位・阪神に4―0で先勝した。岡本和真内野手(25)がベンチ外となった中、代役4番の丸佳浩外野手(32)が気迫のヘッドスライディングを見せ、ゼラス・ウィーラー内野手(34)が来日初の犠打を決めるなど執念の攻撃で先制。ヤクルトとのファイナルステージ(神宮)進出に王手をかけた。 けがを恐れず、一心不乱に滑り込んだ。0-0の五回、先頭の丸が二塁への内野安打をマークした。一塁に頭から飛び込み、黒土まみれになった〝代役4番〟は「(ヘッドスライディングは)あんまり記憶にないですね。何とか塁に出ようと、体が勝手に反応した」とし、秘めた思いを口にした。 勝利してファンに応える巨人・原監督=甲子園球場(撮影・村本聡) 「すごく大事な試合だった。本人(岡本和)が一番悔しいと思う。出たいのに出られない苦しさを、僕らは十分に分かっている」 今季のレギュラーシーズン全143試合で4番を務めた岡本和が、左脇腹痛で欠場する非常事態。主砲不在で戦う中、入場制限が緩和され、今季最多2万1478人の観衆が集まった甲子園球場に丸の闘志がほとばしり、それを合図にチームは一丸となった。 阪神の先発は今季レギュラーシーズン2試合、計16イニングで1点も奪えなかった高橋。両リーグ最多の169本塁打を誇る打線は主砲の穴を埋めるべく、徹底的につなぎにつないだ。 内野安打で出塁した丸をバントで送ったのは5番・ウィーラー。これが来日7年目で初めての犠打だ。中島が右前打で続き、迎えた1死一、三塁の好機で吉川が中前適時打。今季21イニング目で高橋から初得点を挙げ、突破口を開いた。 5回、適時打を放つ巨人・吉川尚=甲子園球場(撮影・松永渉平) 試合前日のCS出場3球団による合同記者会見。原監督は「道のりは険しいかもしれないが、少々開き直りながら戦いを挑んでいきたい」と語気を強めた。10月には球団で過去に3度しかなかった10連敗を喫する〝大失速〟も演じ、一時はCS進出さえ危ぶまれた巨人。腹をくくった指揮官の言葉を、選手たちが執念の攻撃で体現した。 六回の攻撃にも、それは表れた。坂本が左前打、丸が四球でつなぎ、ウィーラーが中堅フェンス直撃の2点二塁打を放った。八回には安打、犠打、四球による好機に再びウィーラーが左前適時打で駄目押し。2安打3打点、そして犠打で攻撃をもり立てた助っ人は「(岡本和の)穴は大きいが、いないものはいないで仕方ない。みんなで自分の役割を粛々とやるだけだ」と胸を張った。 今季限りで亀井が現役を引退する。長くチームを支えてきたベテランへの揺るがぬ思いも、ナインを一丸にする。「良き相談相手であり、兄貴、お父さん、僕たちを守護してくれる神様みたいな存在。一試合でも長く亀さんとやりたい。みんな、そう思っている」と丸。CSでもベンチ入りする39歳に花道を-。だからこそ負けられない。 「先手を取れたのが非常に大きかった。また明日は新たなスタートで戦います」。原監督は気合を入れ直した。一枚岩となった原巨人がポストシーズンで底力を見せた。(谷川直之)

◆何しとんねーん!! 本拠地の甲子園でわずか5安打の零封負けはねーだろー!! 1点ビハインドの五回先頭で出塁したマルテの盗塁死はなに? 六回は丸が四球で歩いて2死一、二塁でウィーラーに初球を打たれての2点二塁打...。四球後の初球を狙うのは打者の鉄則なのだ。確かに際どい球だったけど、石橋をたたいてボール球で入れよー!! 面白くな~い!! 敗れただけでなく、野球がつまらない。よし!! 来季は阪神も新庄監督で行ったれー。えっ、日本ハムの監督だって? いや、会見で新しい監督像をつくると言っていたから、日本ハムと阪神のダブル監督だって可能なのだ!! ともかく、第2戦で負ければ虎は終わる。ならば、スタメンを外された大山と佐藤輝に悔しさをぶつけてもらいたい。矢野さん、新庄監督案は引っ込めるので2人をスタメンで起用したってーな!!

◆久々に原監督らしい采配を見た。勝敗を分けたのは五回の攻防だよ。 巨人は無死一塁で、5番・ウィーラーにバントで送らせ、先制点につなげた。公式戦では犠打ゼロ。初球の見送り方からしても、バントが下手なことは明白な助っ人に対して、頑固なまでに送らせた。こうと決めたら、意志を貫く。原監督の信念だ。 その裏の阪神は、無死から一走・マルテ、打者・糸原の間でヒットエンドランを画策。これを完全に読まれ、ピッチドアウトされて、マルテが二塁で憤死。試合を優位に進めているならまだしも、1点を争う展開。しかも超短期決戦の初戦。手堅く走者を送り、まず同点に追いつくことを考えるべきだった。 その後の巨人は、ウィーラーがタイムリー2本で3打点。意気に感じるタイプで、陽気なムードメーカーだけに、バントが得点につながったことで、ますます気をよくするという、大きな効果も生んだね。 六回2死無走者からの2得点は、公式戦終盤には、さっぱり見られなかった攻撃だった。先発・菅野も出し惜しみせず、力で押すピッチングを取り戻した。巨人本来の、オーソドックスな勝ち方。この野球を手放さないことだよ。(本紙専属評論家)

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