ヤクルト(★7対9☆)広島 =リーグ戦25回戦(2021.11.01)・明治神宮野球場=
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広島
41003100091412
ヤクルト
00240000171101
勝利投手:塹江 敦哉(5勝4敗0S)
(セーブ:栗林 良吏(0勝1敗37S))
敗戦投手:吉田 大喜(1勝1敗0S)

本塁打
【広島】石原 慶幸(4号・1回表3ラン),西川 龍馬(12号・5回表3ラン)
【ヤクルト】宮本 丈(1号・9回裏ソロ)

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◆広島は初回、坂倉の適時打と石原の3ランで4点を先制する。その後は逆転を許すも、5回表に西川が3ランを放ち、再びリードを奪った。投げては、2番手・塹江以降の6投手が相手を1失点に抑えた。一方のヤクルトは、引退試合を迎えた雄平が6回の守備から登場。7回の打席で安打を放つなど、最後の雄姿を見せた。

◆ヤクルト山田哲人内野手(29)が、2回途中で交代した。 今季最終戦で、3番二塁で先発。1回の第1打席は空振り三振に倒れた。2回の守備で1死を取ったところで、交代。3番に渡辺が入り右翼、右翼の山崎が左翼、左翼の宮本が二塁に入った。

◆広島2年目の石原貴規捕手(23)が、驚異の粘りをみせた。1点リードの初回、2球で追い込まれてからファウルだけで計12球粘り、フルカウントからの17球目、高橋の内角低めチェンジアップを引っ張り、左翼スタンドへ放り込んだ。値千金の4号3ランに「小林が初登板なので良い援護点になってよかったです」と喜んだ。 公式戦の1打席で最も相手投手に投げさせたのは19球で、47年松井(太陽)12年明石(ソフトバンク)13年鶴岡(DeNA)が記録している。記録に迫る粘りで、プロ初登板初先発の小林に大きな援護点を届けた。

◆プロ初登板初先発した広島の高卒ルーキー小林樹斗投手(18)が、4回途中6失点で降板した。 最速152キロの直球とカットボール、ツーシーム、スプリットなど多彩な変化球を操り、2回までパーフェクト投球。しかし3回に2点を失い、4回は長短打3本に加え、連続四球や味方守備の失策も重なり、逆転を許したところで降板となった。 小林は智弁和歌山から昨年にドラフト4位で入団。プロ初勝利は来季以降に持ち越しとなったが、山田から1三振、村上からは2三振を奪うなど、大器の片りんをみせた。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(21)が、自身初の本塁打王を確定した。試合前時点で39本塁打。巨人岡本和真とともにリーグトップタイだった。 38本塁打で広島鈴木誠也が追っていたが、5回の守備から野間に交代。試合途中だが、この時点で本塁打王を確実のものにした。

◆今季で現役引退するヤクルト雄平外野手(37)が、最後の試合に出場した。 5回裏終了時に、球場スクリーンで現役生活を振り返るVTRが放映された。その後、花束を送られ、拍手に礼で応えた。すぐに花束からグラブに持ち替えると、6回から右翼の守備についた。 7回先頭で打席に立つと、カウント2-1から、広島森浦の外角146キロ直球をスイング。左前打を放ち、一塁上でガッツポーズ。ヤクルトベンチと神宮が沸き、広島ベンチからも拍手が送られた。

◆ヤクルト石川雅規投手(41)が、13年ぶりに中継ぎ登板した。2点ビハインドの6回から3番手でマウンドへ。2イニングを投げ、2安打1失点だった。 リリーフは08年10月12日横浜戦(神宮)以来。翌09年4月3日阪神戦(京セラ)から先発登板を続け、今年6月25日巨人戦でDeNA三浦大輔(現監督)の294試合を抜き、リーグ記録の295試合連続先発を達成していた。連続先発記録は、306試合で止まった。

◆広島鈴木誠也外野手(27)が、2年ぶり2度目の首位打者と最高出塁率(4割3分3厘)の2冠が決定した。3試合ぶりにスタメン出場し、3打数無安打に終わったが、打率3割1分7厘で1位をキープ。坂倉が3打数2安打を記録し、打率2位の3割1分5厘としたところで8回の5打席目で代打安部が送られ、交代となった。 セ・リーグの打率部門で1位鈴木誠、2位坂倉で、球団では04年の嶋、ラロッカ以来となるワンツーフィニッシュも決定した。

◆ヤクルト宮本丈内野手(26)が、"打ち直し弾"を放った。 3点を追う9回先頭で打席に入ると、カウント2-1から広島栗林の内角147キロ直球をフルスイング。右翼ポール際へ運んだが、ファウルの判定。高津監督がリクエストを要求したが、覆らなかった。間が開いたが、再開直後の内角149キロ直球を右翼席へ運び直した。 今季最終戦で、1号ソロ。広島栗林は今季被弾がなかったが、初本塁打を浴びせた。

◆広島が3連勝で今季を締めた。5-6の5回に西川の12号3ランで逆転し、6回に坂倉の適時二塁打で加点。2番手の塹江が5勝目、栗林はプロで初めて本塁打を許したが、37セーブ目を挙げた。ヤクルトは高橋が4回5失点と崩れた。

◆広島栗林良吏投手が今季37セーブ目を挙げ全日程終了。37セーブは15年山崎康晃(DeNA)に並ぶ新人最多記録。 7月14日中日戦からの20試合連続セーブは98年佐々木主浩(横浜)の22試合に次ぎ、09年岩瀬仁紀(中日)に並ぶプロ野球2位となった。

◆チームのためにバットを振り続けてきた男が、初の打撃タイトルを手にした。ヤクルト村上宗隆内野手(21)が39本塁打で巨人岡本和とともに、本塁打王に輝いた。 シーズン最終戦の広島戦は4三振を含む5打数無安打に終わり、打点はトップから1打点差の112打点で2位。セ最年少での2冠こそ逃したが、4番として最後まで戦い抜いた主砲はタイトルを手に、日本一を目指す戦いに向かう。村上が、絶対的な燕の主砲に成長した。シーズン最終戦も「4番三塁」で先発し、2年連続で全試合4番での出場を達成。チームを6年ぶりのリーグ優勝へ導き、MVPの最有力候補にも挙がる。開幕前には「プロに入って4年目。一昨年から試合に出て最下位を2回連続で経験している。最下位のチームの4番なので、そこを優勝できるチームの4番になれるように頑張りたい」と決意を示していた。その覚悟をバットに乗せ、有言実行を果たした。 打率、本塁打、打点の「全部を狙いながら」と意気込んで臨んだ今季。もう1つの有言実行=打撃タイトル獲得を果たすべく、2冠をかけて、この試合に臨んだ。しかし、第1打席から3打席連続三振。3点を追う7回1死二、三塁での第4打席は、内角高めの直球に詰まり、思わず天を仰ぐ遊飛に倒れた。そして9回1死走者なしの最終打席は空振り三振。5打数無安打4三振で終わった。本塁打は10月13日中日戦を最後に出ないまま、シーズンを終えた。 それでもリーグトップの106四球。2位とは19個差だった。打ちたい気持ちを抑えて、冷静に選球。チーム打撃に徹した結果は、リーグ4位の82得点の数字にも表れた。優勝達成時、村上は「クライマックス・シリーズを勝ち抜いて、日本一になれるように頑張ります」と力強く宣言。有言実行の男が、新たな目標を掲げた。再び歓喜を味わうため、勝負の1カ月間、日本一を目指して全力でバットを振る。【湯本勝大】

◆広島の守護神栗林良吏投手(25)が、15年山崎(DeNA)が持つ新人最多セーブタイ記録となる37セーブに到達した。 3点リードの9回に登板し、1回1失点で締めくくった。「セーブ数というよりは、セーブ機会で1回も失敗しなかった。与えられた仕事を100%できたのかな」と胸を張った。同時に、09年岩瀬(中日)に並ぶプロ野球歴代2位タイの20試合連続セーブの快挙も達成した。 最後にまさかの結末が待っていた。大学日本代表のチームメートだった先頭宮本に、プロ初被弾となる右越えの1発を食らった。試合前日には報道陣の「今季被弾がないですね」の問いに「ホームランの話題が出たので、次打たれちゃうかも」と笑っていたが、現実となった。「最後に課題が出た。来年こそは良い流れで終われるようにしたい」と気持ちを切り替えた。 新人の開幕からの連続無失点記録や、球団新人の最多セーブを大きく上回るなど、数々の記録を塗り替えた。栗林は「監督にクローザーと言われてから、「(自分で)いいのかな」という気持ちもあった。でも監督から『責任は俺が取る』って言ってもらえて。本当に良い意味で期待を裏切れたのかなと思う」と記録ずくめの1年を振り返った。 新人ながら開幕から守護神として1年間を投げ抜いた。53試合に登板し、防御率は0・86。佐々岡監督は「本当に素晴らしいの一言。あれだけ投げて本塁打1本」と絶賛。新人王争いについては「(DeNA)牧が追い上げているけど、投手出身から見ると、新人王は間違いないと信じている」とうなずいた。 鉄壁を誇る絶対的守護神が、森下に続く2年連続の新人王獲得へ、最後に大きなインパクトを残した。【古財稜明】

◆広島小園海斗内野手(21)が、球団の高卒3年目では92年前田智徳以来の打率3割到達を惜しくも逃した。 「2番遊撃」でスタメン出場。初回に中前打を放ち、2回は左犠飛、5回に右前打、6回に右中間への二塁打で3安打を記録。あと1本で大台に到達するところで迎えた8回1死二塁。高めのボール球を振らされ、空振り三振。天を仰ぎ、悔しさをにじませた。 結果的にはセ・リーグ8位の打率2割9分8厘で今季を終えた。小園は「全部打たないといけなかったので、積極的に打つと決めていた。いいスイングもできたし、いいところまで粘れた。来年につながるんじゃないかなと思います」と前を向いた。

◆広島坂倉将吾が、球団では04年の嶋、ラロッカ以来となる鈴木誠とのセ・リーグ打率ワンツーフィニッシュを達成した。 「3番一塁」でスタメン出場。初回無死一、三塁で右前への先制打。6回には1死二塁から左中間への適時二塁打を放ち、3打数2安打2打点。打率を3割1分5厘に上げ、2位に浮上したところで8回の打席で代打が送られた。坂倉は「上には上がいる。最後は誠也さんに勝てなかったですし、そこを目指して頑張りたい」と力を込めた。

◆広島鈴木誠也外野手(27)が首位打者と最高出塁率を獲得した。10月24日阪神戦以来、3試合ぶりにスタメン復帰では3打数無安打で途中交代。それでも、2年ぶり2冠を死守。試合後は3年連続Bクラスに終わったチーム事情もあり「どうでもいいです。今日もダメでしたし、また課題が見つかりました」と首をひねった。 今年はオフから打撃フォームの大改造に取り組み、開幕後も試行錯誤は続いた。5月には新型コロナウイルスに感染。隔離期間による影響がなくなり始めた6月下旬には、ワクチン接種による副反応によって再びコンディションが悪化した。それでも日本代表として戦った東京五輪をへて、コンディションが上向き、打撃フォームも固まった。シーズン終盤は月間MVPを連続受賞するなどチームの追い上げをけん引した。最終盤には再びコンディションが整わない中でシーズンを走り抜き「いろいろ考えさせられるシーズンでもあった。こういう結果になったので、あまりいい気分はしないですけど、最後まで乗り切れたので良かったです」と振り返った。2年ぶり2冠も、本人にしかわらかない苦しさがあった。 ポスティングシステムを利用した米大リーグ挑戦の可能性が注目される去就については「本当まだ分からない。まだ話していない状況。これからいろいろ話していくんじゃないかな」と話すにとどめた。 苦しんだシーズンが終わったばかりでも、鈴木誠は立ち止まろうとしない。2日にも広島に戻り、近日中に練習を再開する予定。「やることいっぱいです。休んでいる暇ないですから。今日でまた思い知らされました、自分が"クソバッター"だということを」。周囲が鈴木誠の未来を見る中、鈴木誠は足元を見つめることも忘れない。【前原淳】

◆広島の高卒ルーキー小林樹斗投手(18)が、デビュー戦で大器の片りんをみせた。 智弁和歌山から昨年にドラフト4位で入団した右腕が、今季最終戦のヤクルト戦にプロ初登板初先発。自己最速タイの最速152キロの直球を軸に多彩な変化球を操り、2回まで完全投球。3、4回でヤクルト打線につかまり、結果は4回途中6失点。プロ初勝利はお預けとなった。だが、山田から1三振、村上からは2三振を奪うなど、毎回の6奪三振と存在感を示した。 小林は「結果的に6失点してしまったので、いいとは言えない。いい部分と悪い部分が出たので、来年にしっかり生かしたい」と前を向いた。佐々岡監督は「1、2回と立ち上がりはいい球を投げていた。楽しみなのは本当に間違いない。来年への次の1歩になればと思う」と期待を寄せた。

◆ヤクルトは今季最終戦を終えた。試合後にはセレモニーが行われ、高津臣吾監督(52)と、今季現役を引退する雄平外野手(37)があいさつをした。セレモニーのあいさつは以下の通り。   【高津監督】 本日の試合をもちまして2021年の公式戦をすべて終了しました。今年も入場者制限、そしてたくさんの規制、ルールがある中、たくさん神宮球場に足を運んでいただき、そして全国からの応援、本当にありがとうございました。昨年一昨年と、なかなかいいゲームができずに悔しい思いをしたんですけど、今年はここ神宮球場でも素晴らしい戦いができ、傘の花が開き、東京音頭で盛り上がっていただけたんじゃないかなと思っています。 そして、少し遅くなりましたが、スワローズファンのみなさん優勝おめでとうございます。まだまだCS、そしてその先には日本シリーズがありますが、チーム、選手、スタッフはもちろん、ファンのみなさんと、絶対に崩れない一枚岩となって、ここを勝ち抜いていきたいと思います。選手は頑張ってくれるはずです。絶対大丈夫です。そして、今日この試合で引退を決意した大事な仲間がいます。雄平。一言。 【雄平】 まず始めにこのような場を開いてくださいましたヤクルト球団関係者のみなさま、ならびに広島カープのみなさま、そして今日球場に足を運んでくださったファンのみなさま、本当にありがとうございました。今日をもちまして私は現役を引退しますが、これまでたくさんの方々に支えていただきました。歴代の監督さんをはじめ、たくさんのコーチの方々にはこれまで多くのご指導をいただき、ここまで成長することができました。そして、チームスタッフのみなさん、いつも全力で一生懸命サポートしてくださいました。本当にみなさんのサポートのおかげで、こうして最後まで思いっきりプレーをすることができました。 そして、尊敬する優しい先輩たち、仲良くしてくれた同級生、かわいいかわいい後輩たち、最高のチームメートと野球ができて本当に楽しかったです。最高の思い出をありがとう。そしてファンのみなさん、いいときばかりではなく、なかなか勝てないとき、全然打てないとき、どんなときも優しく愛のある応援をしてくださいました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。このような素晴らしい方々に囲まれて、幸せな現役生活を送ることができました。みなさま本当にありがとうございました。 そして、両親、これまで子どもの頃から何不自由なく野球をやらせてくれました。こんなにも丈夫に育ててくれて、本当にありがとう。娘たち、いつも元気に明るく笑顔でいてくれて、それだけでパワーをもらっています。妻、これまでたくさんサポートしてくれました。本当にこの場では伝えきれないぐらい感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう。 最後になりますが、チームはこれからクライマックス・シリーズ、日本シリーズと大事な試合が待っています。これからもチーム一丸となり、必ず日本一になってくれることを願っています。絶対大丈夫です。そしてファンのみなさん、これからもスワローズに引き続き、熱い熱いご声援をどうぞよろしくお願い致します。またみなさんとお会いできる日を楽しみにしています。19年間ありがとうございました。 【高津監督】 2015年のあの優勝を決めたシーン一生忘れることはないと思います。もう1度雄平に大きな拍手を送ってあげてください。そして、遅くまで残っていたカープファンのみなさん、昨年も同じ対戦になりましたけど、今年はちょっと我々が分が良かったですけど、たくさん球場に足を運んでいただいて、本当にありがとうございます。また来年、お互いに真っ赤に燃えて、バリいい戦いをやっていきましょう。1年間ありがとうございました。 最後になりますけれど、これから、あと10日後CSが始まります。少しみなさんも充電していただき、我々もしっかり調整し頑張っていこうと思います。これからもスワローズをよろしくお願いします。1年間本当にありがとうございました。

◆村上宗隆内野手(21)が、絶対的な燕の主砲に成長した。打率、本塁打、打点の「全部を狙いながら」と意気込んで臨んだ今季。念願の本塁打王を獲得し「なにか1つ、3部門で取りたいと思っていた。ホッとしています」と胸をなで下ろした。シーズン最終戦も不動の「4番三塁」で先発し、2年連続で全試合4番での出場を達成。チームを6年ぶりのリーグ優勝へ導き、MVPの最有力候補にも挙がる。 開幕前には「最下位のチームの4番なので、そこを優勝できるチームの4番になれるように頑張りたい」と決意を示していた。その覚悟をバットに乗せ、個人でも、チームでも有言実行を果たした。 喜びの一方で、悔しさを残す最終戦となった。打点王との2冠も目前だったが、第1打席から3打席連続三振。3点を追う7回1死二、三塁での第4打席は、内角高めの直球に詰まり、思わず天を仰ぐ遊飛に倒れた。そして9回1死走者なしの最終打席は空振り三振。無安打で1打点足らず2冠を逃し、史上最年少でのシーズン40発もお預けとなった。「欲を言えば打点も取りたかったのが本音。そんなにうまくいかないのかなと思った」と素直に悔しさを口にした。 優勝というチームでの目標を達成し、一息ついてしまったことが反省点だった。「(個人記録の)意識はしていた。(優勝後)僕自身やり切ったという感じがあった。気持ち的に難しかった」と打ち明けた。10日からは、日本一を目指す戦いが再び始まる。20年ぶりの頂点に向けて、ポストシーズンも引っ張っていく覚悟。「勝ちにこだわって。今までやってきたことを信じて初戦から一致団結して頑張りたい」と、闘志を燃やしていた。【湯本勝大】

◆今シーズン限りで現役を引退するヤクルト雄平外野手が、今季初出場となったラストゲームで安打を決めた。 この日に出場選手登録され、ベンチスタート。5回裏終了時に、球場スクリーンで現役生活を振り返るVTRが放映された。花束を贈られ、スタンドからの拍手に一礼。すぐに花束からグラブに持ち替え、6回から右翼の守備に就いた。7回には先頭でカウント2-1から広島森浦の外角146キロ直球を左前へ。一塁ベース上でガッツポーズをみせ「いいプレーをするために一生懸命やってきた。最後にご褒美をいただけたのかな」と表情を崩した。8回2死一塁で迎えた最終打席は二ゴロ。最後はナインに胴上げされ5度宙を舞った。 投手として通算18勝を挙げたが制球難もあり、10年に野手転向。ヤクルト一筋で19年プレーした。終始、笑顔だった引退試合。試合後のあいさつでは「またみなさんとお会いできる日を楽しみにしています。19年間ありがとうございました」と、前を向いて締めくくった。

◆ヤクルト高津臣吾監督(52)は、10日からのCSファイナルステージを見据えた采配をみせた。 乱打戦を落としたが、投手陣ではベテラン石川を13年ぶりに中継ぎで起用。2点を追う6回からマウンドに送り「10日に向けて、いい状態を保つためにリリーフ」と説明した。野手では山田を2回1死の守備で交代。「10日からの方が大事。そこに向けて調整しました」とアクシデントではないことを強調した。試合後には、選手たちに体と心の疲れをとるように呼び掛け。リフレッシュした状態で、日本一に向けて再スタートする。

◆ヤクルト・青木宣親外野手(39)が1日、シーズン最終戦となる広島戦(神宮)前に取材に応じ、今季限りでの現役引退を発表したロッテ・鳥谷敬内野手(40)への思いを明かした。 「同級生、そういう世代の人が引退するというのはすごく寂しく思うんですけど、特に鳥谷は大学生からやってきて、本当なら野球をやっている姿をもっと見ていたかったんですけどね。やっぱり寂しいですね」 2人は早大時代の同期生で、東京六大学リーグ戦では3年春から4年秋まで4連覇を達成。2004年に青木はヤクルトにドラフト4巡目で、鳥谷は阪神に自由枠でそれぞれ入団した。ともに名球会入りを果たしており、長年に渡って球界をリードしてきた。 青木は鳥谷のすごさについて「やっぱり試合にああやって長く出続けたこと」と歴代2位の1939試合連続出場を果たしたことを挙げた。さらにその存在は「刺激になった」といい、「大学生の頃から本当に人一倍練習するタイプだったの。実際に僕も大学行って鳥谷と出会って、プロに行く選手というのはこういう選手なのかなと思いながら、やっぱり自分ももっとやらなきゃなと思いました。ストイックさというか徹底しているところは、大学時代からあった。鳥谷を見て練習しなきゃなと思ったし、そう思わせてくれた一人ですよね」と振り返った。

◆広島の石原が一回に4号3ランを放った。坂倉の適時打で1点を先制し、なお2死一、三塁で、高橋に追い込まれながらもファウルの連続でしのぎ、17球目の変化球を左翼席へと運んだ。粘り勝ちし「小林が初登板なので、いい援護点になって良かった」とコメントした。 岡山・創志学園高から天理大を経てドラフト5位で入団して2年目。今季、プロ初出場すると堅守と強気のリードで首脳陣の信頼を勝ち取って1軍に定着し、60試合に出場した。捕手はチームのリーダー格の会沢、強打の坂倉と層が厚い。来季に向け、最終戦で課題の打撃でもアピールした。

◆ヤクルトの雄平が引退試合で安打を放った。六回の守備から登場し、七回に先頭打者で森浦の外角速球を左前へはじき返した。今季初打席で持ち味の力強い打撃を見せ、大きな拍手を浴びて無邪気に笑った。 投手として通算18勝を挙げたが、制球難もあって2010年に野手に転向した。引退記者会見で「ここ2年チームの力になれなくて引退を決断した。うまくいかないときも見守ってくれたファンに感謝している」と語った。

◆優勝チームの4番を1年間担った。ヤクルト・村上宗隆内野手(21)が今季最終戦に「4番・三塁」で先発。2年連続で全試合4番出場を果たした。 昨季も全120試合で4番を務めたが、チームは最下位。今年2月の沖縄・浦添キャンプで1つの誓いを立てた。 「(昨年は)最下位のチームの4番。そこを優勝できるチームの4番になれるように頑張りたい。そこだけです」 2月2日の21歳の誕生日に決意を示し、「とにかく成長したい。もっともっと4番として成長することが一番だと思いますし、年齢的にも、もっともっと成長して、この球団を代表できるような選手になりたいと思います」と話した。 言葉通りの活躍だった。「周りに頼りになる先輩方がいて、その中で4番を打たせてもらっている。多少の重圧は感じていましたが、自分なりに考えて打てるように頑張りました」と振り返った2021年。 試合前時点で打率・281、セ・リーグトップタイの39本塁打、同2位で1差の112打点。今季最終戦は5打数無安打4三振で本塁打、打点とも上積みできなかった。本塁打王は巨人・岡本和と分け合い、打点王は岡本和に届かず。しかし、チームを6年ぶり8度目となるリーグ優勝に導いたことが何よりも大きい。 クライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージ、そして日本シリーズでの活躍にも期待がかかる。「CSをしっかり勝ち抜いて日本一になれるように」と村上。飛躍の1年は、まだまだ終わらない。(横山尚杜)

◆6年ぶり8度目のセ・リーグ優勝を果たしたヤクルトは、レギュラーシーズン最終戦を白星で飾れなかった。先発の高橋は4回5安打5失点で降板。一回に坂倉の適時打で先制点を許し、なお2死一、三塁で、石原に17球目の変化球を左翼席へ4号3ランを運ばれた。 打線が奮起し6-5と一時は逆転したが、五回に吉田大が西川に12号3ランを浴び、勝ち越された。引退試合となった雄平は七回に左前打を放ち有終の美を飾った。

◆広島が3連勝で今季を締めた。5―6の五回に西川の12号3ランで逆転し、六回に坂倉の適時二塁打で加点。2番手の塹江が5勝目、栗林はプロで初めて本塁打を許したが、37セーブ目を挙げた。ヤクルトは高橋が4回5失点と崩れた。

◆6年ぶり8度目のセ・リーグ優勝を果たしたヤクルトは、レギュラーシーズン最終戦を白星で飾れなかった。優勝セレモニーでの高津監督のコメントは以下の通り。 ◆高津監督 「昨年、一昨年といいゲームができず悔しい思いをした。少し遅くなりましたが、スワローズファンの皆さん、優勝おめでとうございます。まだまだCS、その先には日本シリーズがあるが絶対に崩れない一枚岩となって、ここを勝ち抜いていく。選手たちはがんばってくれる、絶対に大丈夫です」

◆ヤクルトの雄平が引退試合で安打を放った。六回の守備から登場し、七回に先頭打者で森浦の外角速球を左前へはじき返した。今季初打席で持ち味の力強い打撃を見せ、大きな拍手を浴びて無邪気に笑った。優勝セレモニーでのコメントは以下の通り。 ◆雄平 「最後まで思いきりプレーすることができた。最高のチームメートと野球ができて本当に楽しかった。最高の思い出をありがとう。どんなときも優しく愛のある応援をしてもらった。感謝の気持ちでいっぱい。幸せな現役生活を送ることができた。チームはこれから大事な試合が待っている。これからもチーム一丸となり、必ず日本一になってくれることを願っている。絶対に大丈夫。また皆さんとお会いできる日を楽しみにしている」

◆ヤクルトの石川が六回に救援登板し、2009年から続けた連続試合先発登板のセ・リーグ記録が306で途切れた。山内新一が南海(現ソフトバンク)と阪神でマークしたプロ野球記録の311試合が目前だったが、高津監督は「全く気にしていなかった。本人もクライマックスシリーズ(CS)で勝つことの方が大事だと思ってくれている」と調整を優先した。 六回1死から小園と坂倉に連続二塁打を浴び、七回は三者凡退に抑えて2回2安打1失点だった。

◆今季限りで現役を引退するヤクルト・雄平外野手(37)が1日、引退試合となった広島最終戦(神宮)の六回守備から途中出場し、七回先頭で左前打を放った。19年間のプロ野球生活を終えた〝野球小僧〟は本紙に独占手記を寄せ、感謝の思いを吐露。優勝セレモニー後に行われた胴上げでは5度宙に舞い、ナインに日本一の夢を託した。 19年間のプロ野球人生が終わりました。苦しいこともありましたし、今年は結果が出ずにとても悔しかった。でも、本当に野球が好きでした。 現役生活を振り返ると多くの人にお世話になり、感謝の思いが尽きません。まずは、スワローズの皆さん。尊敬できる歴代の監督さんたちや、たくさんのコーチとの出会い、ご指導があってここまで成長できました。いろいろな言葉、出来事が僕の財産になっています。優しい先輩方、仲良くしてくれた同学年、野球では頼もしく私生活ではかわいい後輩たち。最高のチームメートに恵まれて、楽しかったです。 次にファンの皆さん。新型コロナウイルスの影響で無観客試合を経験して、改めて存在の大きさを感じました。応援歌もとても気に入っていて、もっと聴きたかったというのが本音です。2010年シーズンから外野手に転向して、主に守ったのはライト。神宮だと後ろにファンの皆さんがいて、一緒になって守っている感覚でした。歓声も一番近くで聞くことができましたが、厳しい言葉を聞いたことは一度もありません。スワローズファンは常に温かかった。神宮のライトは、僕が一番好きな場所。最高のポジションでした。 そして、最後に家族。妻には言葉では伝えきれないほど感謝しています。全てを支えてくれたので、いつしか戦友みたいになっていました。僕がつらいときはつらく、苦しいときは苦しかったと思うのですが、そういうところを一切見せない。常に前向きでいてくれていたので、本当にありがたかった。その姿を見て頑張ろうと思えました。 15年に優勝する直前。ハンバーグを食べたら試合に勝つので、ゲン担ぎで1週間ぐらいずっと食べていました。僕は妻の作るハンバーグが大好き。毎回味を変えてくれて、一緒に食べていたのはいい思い出です。 登場曲の「終わりなき旅」は、妻が歌詞を見て選んでくれました。野手転向の際も、引退を決断した際も「終わりは始まり。新たなスタートだよ」と言ってくれました。今後も野球に携わっていきたい。僕にとって野球は終わりなき旅だと思います。僕に携わってくれた皆さんには感謝しかありません。本当にありがとうございました。(東京ヤクルトスワローズ外野手)

◆1打点差で2冠はならなかったが、ヤクルト・村上宗隆内野手(21)はセ・リーグトップタイの39本塁打で本塁打王に輝き、初の打撃主要3部門のタイトルを獲得した。1955年の国鉄・町田行彦に並び、セ最年少で本塁打王となった大砲は充実感と悔しさをにじませた。 「40本まであと1本という壁はまだ大きいのかなと。欲を言えば打点王も取りたかったけど、そんなにうまくいかないものかなと思った」 岡本和(巨人)に1打点差として迎えたシーズン最終戦。二、四、五回は三振。七回1死二、三塁の絶好機は遊飛に倒れ、本塁打を狙った九回1死は空振り三振だった。本塁打と打点の2冠となれば1958年の長嶋茂雄(巨人)、62年の王貞治(同)がマークした22歳シーズンを抜いてセ最年少だったが、及ばなかった。 史上最年少での40号到達もならなかったが、2年連続で全試合に4番で出場して打率・278、39本塁打、112打点。史上最年少で通算100号に到達し、シーズン100打点をマーク。リーグトップの625得点を挙げた打線を牽引(けんいん)した。 「緊張する厳しい試合が続く。初戦から一致団結して頑張りたい」と村上。20年ぶりとなる日本一へ照準を定め、再び爪を研ぐ。(横山尚杜)

◆スワローズは「絶対大丈夫」-。ヤクルトは1日、広島最終戦(神宮)に7―9で敗れ、今季のレギュラーシーズン全日程を終えた。10月26日に6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たしてから初となる本拠地での一戦を終え、高津臣吾監督(52)が試合後の優勝セレモニーで「絶対大丈夫」と日本一を誓った。11月10日から始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを勝ち抜き、2001年以来20年ぶりの日本一へと導く。 時計の針は、午後10時半を回っていた。だが、神宮球場には笑顔があふれ、拍手が起こった。10月26日に6年ぶり8度目のリーグ優勝を決めてから初の本拠地帰還。待ちに待った燕党の前で、高津監督は力強く、胸を張って言い切った。 「まだまだCS、そしてその先には日本シリーズがありますが、チーム、選手、スタッフはもちろん、ファンの皆さまと絶対崩れない一枚岩となって勝ち抜いていきたいと思います。選手は頑張ってくれるはずです。絶対大丈夫です」 まさに〝魔法の言葉〟だ。優勝争いが白熱した9月7日の阪神戦(甲子園)の試合前。ナインを集め、「絶対に大丈夫だから。チームスワローズが一枚岩でいったら、絶対に崩れることはない」と伝えると、チームは一気に波に乗った。同14日の阪神戦(神宮)から同28日のDeNA戦(神宮)まで13試合連続負けなしの球団記録を樹立。勝利への合言葉となった。 ファンの前で堂々と宣言した指揮官は「しっかり自信を持って、胸を張って、勝っても負けても堂々と勝負していきたい」と真意を説明した。ここからの短期決戦でも一枚岩となって戦う覚悟を改めて示した。〝高津流〟の言葉に加え、歴代監督の言葉で球場を盛り上げた。 「少し遅くなりましたが、優勝おめでとうございます」 いまやお馴染みとなったこのフレーズ。2001年、若松監督がリーグ優勝を果たして言ったことで有名となり、その後日本一を達成した。15年、真中監督もリーグ制覇を果たした際にこの言葉を使用した。 まずは、10日に始まるCSファイナルステージを突破することが目標。指揮官は試合後に「体の疲れと心の疲れをとることを第一に」と選手たちに伝えた。今後の厳しい戦いに備え、体調を整えることは必要不可欠。「短期決戦になっていくので、やはり波に乗り遅れてほしくない。体調を整えて、気持ちを盛り上げて、最高の状態で全員が11月10日を迎えたい」と力強く口にした。 優勝セレモニーの最後には、授与されたペナントを持ち、全員で場内を一周した。スタンドから届いた多くの拍手と手を振っての応援が、背中を強く押してくれる。日本一へ、「絶対大丈夫」だと。(赤尾裕希)

◆広島・鈴木誠也外野手(27)は1日、ヤクルトとの今季最終戦(神宮)を終え、首位打者&最高出塁率の2冠を確定させた。 以前から希望を語っていた米大リーグ挑戦に向け、今オフにポスティングシステムの申請を行うか注目される中、試合後に「今後は本当にまだわからない。まだ話をしていない。何とも言えない。これからいろいろ話していくんじゃないかな」とコメント。慎重に言葉を選びながら、今後、球団と話し合うことを示唆した。 鈴木誠は昨年12月の契約更改交渉の席で将来的な米大リーグ挑戦について球団に思いを伝え、「話はしましたが、深くはしていない。タイミングが合えば」と語っていた。今季で高卒9年目。海外フリーエージェント(FA)権の取得は順調なら23年シーズン中となる。 この日は3試合ぶりにスタメン出場し、3打数無安打、五回の守備で交代した。打率・317、38本塁打、88打点。本塁打王には1本届かなかったが、自身2年ぶりの首位打者と最高出塁率(・433)を獲得。2016年から6年連続打率3割&25本塁打以上は、王貞治(巨人、1963~70年)、落合博満(ロッテ、中日、81~87年)に次ぐプロ野球史上3人目の快挙となった。 「出塁率はうれしいです。率に関しては、きょうもだめでしたし、また課題が見つかった。きょうで思い知らされた。自分がクソバッターだと。休んでいる暇はない」と、さらなる高みを目指す。

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
735218 0.584
(↓0.005)
優勝
(-)
0625
(+7)
531
(+9)
142
(+1)
70
(-)
0.254
(-)
3.480
(↓0.04)
2
(-)
阪神
775610 0.579
(-)
0
(↓0.5)
0541
(-)
508
(-)
121
(-)
114
(-)
0.247
(-)
3.300
(-)
3
(-)
巨人
616220 0.496
(-)
11
(↑0.5)
0552
(-)
541
(-)
169
(-)
65
(-)
0.242
(-)
3.630
(-)
4
(-)
広島
636812 0.481
(↑0.004)
13
(↑1)
0557
(+9)
589
(+7)
123
(+2)
68
(+1)
0.264
(↑0.001
3.810
(↓0.01)
5
(-)
中日
557117 0.437
(-)
18.5
(↑0.5)
0405
(-)
478
(-)
69
(-)
60
(-)
0.237
(-)
3.220
(-)
6
(-)
DeNA
547316 0.425
(-)
20
(↑0.5)
0559
(-)
624
(-)
136
(-)
31
(-)
0.258
(-)
4.150
(-)