DeNA(★1対5☆)ヤクルト =リーグ戦25回戦(2021.10.26)・横浜スタジアム=
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ヤクルト
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DeNA
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勝利投手:高橋 奎二(4勝1敗0S)
敗戦投手:今永 昇太(5勝5敗0S)
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◆ヤクルトは1-1で迎えた3回表、サンタナの適時打で勝ち越しに成功する。なおも続く好機で中村に2点適時二塁打が飛び出し、リードを広げた。投げては、4番手・高橋が2回1安打無失点で今季4勝目。敗れたDeNAは今永が乱調で、打線もつながりを欠いた。

◆いよいよ決戦の時が来た。優勝マジック2のヤクルトは10月26日に敵地でDeNAと対戦。2位阪神が敗れ、ヤクルトが勝利すると6年ぶり8度目のリーグ優勝が決まる。大一番に臨むナインの背中を、高津臣吾監督(52)の一言が力強く押す。神宮の選手ロッカールームに無言のゲキがある。「腹くくっていったれぃ!!」。白い紙に、黒文字でしたためられた高津監督直筆のエール。1字1字の止め、はね、はらいには、指揮官の気持ちが乗り移っているかのような力強さがある。 一言で悪い流れを断ち切った。19日から23日まで1分けを挟んで3連敗。阪神に0差まで迫られた。首位を走りながら、焦燥感が漂った24日巨人戦の前、突然張り紙が出現した。予告もなく、貼られるところを誰かが見たわけでもない。ただ、指揮官の筆跡ということは明らか。その"謎の"ゲキの前で選手はみな足を止めた。声に出す者、じっと見つめる者...。1人1人が、それぞれの形で心に留めた。気を引き締め直してこの一戦に勝利し、連敗をストップ。マジックを1つ減らして、2とした。試合後、高津監督は「また切り替えて全力で戦うだけ。そういう気持ちが勝つ近道というか、原動力だと思う」と言った。 勝利を目指すのみ。CS進出が決まった6日。「どんな手を使っても、と言ったらあれですけど、出し惜しみすることなく、悔い残すことなく全力で戦いたい」と覚悟を示した。前半戦先発を務めていた田口やスアレスをリリーフに配置転換。昨年まで守護神だった石山を、3回や5回など早めに投入することもあった。26日の予告先発の高梨も、中10日のマウンドとなるが、24日はベンチ入りし、ブルペンで肩を作る場面もあった。指揮官の覚悟は、ペナントレース終盤で何度も垣間見えた。目の前の試合をいかに勝つか-。それだけを見据え、最終盤の決戦に挑む。【湯本勝大】

◆ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)は、10月に入って65打数24安打の打率3割6分9厘。 7本塁打、16打点はセ・リーグ月間トップで、現在14試合連続安打と絶好調。横浜でも打率3割5分と好相性の助っ人が今日も打つか。

◆DeNA牧秀悟内野手(23)が、二塁打のセ・リーグ新人記録にリーチをかけた。1回2死二塁で右翼フェンス直撃の先制二塁打。これで二塁打は33本目とし、セ・リーグ新人最多の58年長嶋茂雄(巨人)に1本差と迫った。 牧は「打ったのはスライダーです。何としても勝つためにチャンスだったので、初球から思いっきりいきました。いい結果になり良かったです」と話した。 プロ野球新人最多二塁打記録は48年笠原(南海)の40。 安打数は149本目とし、プロ野球の新人で京田陽太(中日)と並ぶ6位タイに浮上した。

◆DeNA牧秀悟内野手(23)が34本目の二塁打を放ち、セ・リーグ新人最多の58年長嶋茂雄(巨人)に並んだ。 まず1回2死二塁で右翼フェンス直撃の先制の適時二塁打で33本目。4回に内角シュートを左翼線へ運び、ミスターに並んだ。 1回の第1打席の後、牧は「打ったのはスライダーです。何としても勝つためにチャンスだったので、初球から思いっきりいきました。いい結果になり良かったです」とコメントした。 プロ野球新人最多二塁打記録は48年笠原(南海)の40。 安打数は150本目とし、プロ野球の新人では京田陽太(中日)を抜き単独6位に浮上した。マルチ(複数)安打は36度目で、58年近藤和彦の球団新人記録を抜いた。

◆優勝のかかった大事な一戦で、ヤクルト先発の高梨裕稔投手(30)が役割を果たした。4回5安打1失点4奪三振で、4点のリードを保ったまま、2番手の石山にマウンドを託した。 1回2死二塁、DeNA牧に適時二塁打を浴び、先制を許すも、立ち直った。2回は9球で3者凡退に抑え、直後3回の打者一巡、一挙4点の攻撃につなげた。「すごく緊張しましたが『絶対大丈夫』と自分に言い聞かせながら『腹をくくって』投げました。先制はされてしまいましたが、最低限の仕事はできたかなと思います」と振り返った。 これで高梨は、5月1日のDeNA戦(横浜)から、7試合負けなしとなった。

◆ミスターを超えてミスターに並んだ。DeNA牧秀悟内野手(23)が、58年長嶋茂雄(巨人)が持っていた二塁打のセ・リーグ新人記録を抜き、14度目の猛打賞は同じく長嶋に並ぶプロ野球記録となった。 1回2死二塁でスライダーを右越えへフェンス直撃の先制二塁打。33本目の二塁打を放つと、4回には内角シュートを左翼線へ。34本目の二塁打で長嶋の記録に並ぶと、6回の第3打席では左越え二塁打を放って35本目をマークした。 第1打席の後、牧は「打ったのはスライダーです。何としても勝つためにチャンスだったので、初球から思いっきりいきました。いい結果になり良かったです」と話した。 プロ野球新人最多二塁打記録は48年笠原(南海)の40。 安打数は150本目とし、プロ野球の新人で京田陽太(中日)を抜いて単独6位に浮上した。 マルチ(複数)安打は36度目とし、58年近藤和彦の球団新人記録を抜いた。

◆ヤクルト高橋奎二投手(24)が、「高津マジック」で今季初のリリーフのマウンドに上がった。 先発した高梨、石山、田口の後を受け、4点リードの6回から4番手で登板。今季は12試合に先発し、3勝1敗、防御率2・49と安定感抜群の左腕が、試合が中盤から終盤へと入る大事な局面を託された。 2回を無失点で指揮官の起用に応えた高橋は「すごく緊張しました。1イニング目は力んでしまいました。2イニング目はいつも投手コーチに言われている8割の力で10割のボールを投げる意識で投げることができました。何とか後ろにいい形でつなぐことができて、良かったと思います」とコメントした。

◆勝てば優勝の可能性のある一戦で、ヤクルトのホセ・オスナ内野手(28)が、平凡な飛球を落球した。4点リードの7回2死、4番手高橋がDeNA桑原を151キロ直球で押し込んだ。打球は一塁の定位置付近に打ち上がったが、オスナのミットをはじき、地面にポトリと落ちた。 続くDeNA森の打席で高橋が暴投で、2死二塁のピンチを招いたが、フルカウントから150キロ直球で空振り三振を奪い、事なきを得た。 08年の北京五輪で痛恨の落球をした元西武のG・G・佐藤氏は自身の公式ツイッターで「わかるよ #オスナ」と同情する投稿を寄せた。

◆ヤクルトがDeNAに勝利し、マジックを1とし、中日と対戦中の阪神戦の結果を待った。 燕は強かった。1点を先制された直後の2回、村上とサンタナの連打でチャンスを作り、1死二、三塁からオスナの三ゴロの間に同点に追いついた。 燕はたたみかけた。1-1の3回1死満塁では、サンタナがDeNA今永から勝ち越しの2点二塁打。さらに1死二、三塁から、中村が左翼フェンス直撃の二塁打で続き、2点を追加した。 中村は「1打席目抑えられたので、絶対にやり返す気持ちで打席に入りました。気持ちで打ちました」と全員の思いを体現。高津監督も両手を大きくたたき、選手をたたえた。 気持ちを1つにグラウンドに立った。この日も試合前の声だしでは野手陣が肩を組み円陣を作った。前回優勝した15年シーズンの9月27日巨人戦で、当時現役の松元打撃コーチが発案。6年の時を経て24日の巨人戦(神宮)で採用すると、6-4で勝利し連敗を止め、この日も験を担いだ。 守っては、「高津マジック」でDeNA打線を封じた。先発の高梨が4回1失点と好投。5回からは継投策に入って、石山、田口を小刻みに起用し、6回からは高橋を今季初のリリーフで投入した。8回からは清水、マクガフの勝利の方程式で勝利を飾った。

◆DeNAは1試合を残し、中畑監督が率いていた15年以来6年ぶりの最下位が決まった。 本拠地最終戦を飾れなかった。1回にルーキー牧秀悟が右越え適時二塁打で先制。しかし、先発の今永昇太が3回8安打5失点と乱調で、逆転された。救援陣が4回以降は1安打に抑えたが、打線も2回以降は無得点に封じられた。 同率で並んでいた中日が阪神に勝利し、DeNAは単独の最下位が確定した。

◆本拠地最終戦のDeNAが、粋な計らいを見せた。 1-5で試合終了後、勝利してマジック1となったヤクルトと、スタジアムに残ったファンのために、大型ビジョンに甲子園で開催されている中日-阪神戦の生中継を音声付きで放送。 阪神の負けでヤクルトの6年ぶり優勝が決まるため、いきなり生中継が始まると、スタンドのファンからはどよめきが上がった。 ヤクルトの選手たちはベンチ裏に下がったが、本拠地最終戦のセレモニー準備が着々と進められる中で両チームのファンが阪神戦の行方を見守った。

◆ヤクルトが、6年ぶり8回目のリーグ優勝を達成した。午後9時4分にDeNAに勝利し、マジックを1へ。午後6時1分開始だった阪神-中日戦(甲子園)の試合経過を待ち、2位阪神が敗れ、歓喜の瞬間が訪れた。 ベンチ前での勝利のハイタッチ後、首脳陣、選手は1度はベンチ裏に引き揚げたが、約10分後には再びベンチに現れた。試合終了後、横浜スタジアムの電光掲示板には阪神-中日戦の映像が流れ、スタンドのファンも見守る中、最高の時間を共有した。 この日の燕も強かった。1点先制された直後の2回、村上とサンタナの連打でチャンスを作り、1死二、三塁からオスナの三ゴロの間に同点に追いついた。 燕はたたみかけた。1-1の3回1死満塁では、サンタナがDeNA今永から勝ち越しの2点二塁打。さらに1死二、三塁から、中村が左翼フェンス直撃の二塁打で続き、2点を追加した。 中村は「1打席目抑えられたので、絶対にやり返す気持ちで打席に入りました。気持ちで打ちました」と全員の思いを体現。高津監督も両手を大きくたたき、選手をたたえた。 気持ちを1つにグラウンドに立った。この日も試合前の声だしでは野手陣が肩を組み円陣を作った。前回優勝した15年の9月27日巨人戦で、当時現役の松元打撃コーチが発案。6年の時を経て、24日の巨人戦(神宮)で採用すると、6-4で勝利し連敗を止め、この日も験を担いだ。 守っては、「高津マジック」でDeNA打線を封じた。先発の高梨が4回1失点と好投。5回からは継投策に入って、石山、田口を小刻みに起用し、6回からは高橋を今季初のリリーフで投入した。8回からは清水、マクガフの勝利の方程式で勝利を飾った。 ◆東京ヤクルトスワローズ 2リーグ制が始まった1950年(昭25)、国鉄スワローズとしてセ・リーグに加盟。65年に経営権がサンケイ新聞社(現産経新聞社)に移りサンケイスワローズに。サンケイ・アトムズ、ヤクルト・アトムズと変遷し、74年からスワローズの呼称が復活。06年から球団名に「東京」を冠した。広岡監督の78年にリーグ初優勝(日本一)。野村監督の90年代に4度優勝(日本一3度)するなどリーグ優勝は今回で8度目。日本一5度。オーナーは根岸孝成氏。 状態を見極め、万全の状態でグラウンドに送り出す。高津監督の気配りが、悲願の優勝を呼び寄せた。 ◆高津臣吾(たかつ・しんご)1968年(昭43)11月25日、広島県生まれ。広島工-亜大を経て90年ドラフト3位でヤクルト入団。最優秀救援投手4度。03年オフにFAでホワイトソックス移籍。メッツ、ヤクルト、韓国ウリ、台湾興農、BC新潟を経て12年引退。日本通算286セーブは歴代2位。14年に1軍投手コーチでヤクルトに復帰し、20年から監督。180センチ、75キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸8000万円。

◆DeNAは初回、牧の二塁打で1点先制。ヤクルトは2回に追いつくと、3回にサンタナの2点二塁打などで4点を勝ち越し。 両先発は、DeNA今永が3回5失点、ヤクルト高梨が4回1失点で降板。ヤクルトは6回から高橋が今季初の中継ぎで登板。 ヤクルトが継投で逃げ切り2連勝。阪神が敗れ6年ぶりの優勝を決めた。4番手高橋が4勝目、マクガフが31セーブ目を挙げた。DeNAは2回以降追加点がなく本拠地最終戦は黒星。今永が5敗目を喫した。

◆ヤクルトが首位へ駆け上がった夏の終わり、9月14日から13戦負けなしの快進撃の日々に声出しをしたのがベテラン嶋基宏捕手(36)だった。試合前の声出しは勝つと翌日も担当するのが習わしで、嶋は連日チームを鼓舞した。ある日は、試合に向けて真剣な話をしたあと「そろそろ秋が来る」と切り出した。「秋と言えば、読書の秋、芸術の秋...」。そこまで話したところでオスナとサンタナを見て「おい、そこの2人、どうだ?」と聞いた。すると2人がそろって「サンマー」とこたえた。いつの間に仕込んだのか、助っ人コンビのあまりのそろいっぷりに試合前のベンチは和やかな笑いに包まれた。 さらに、連勝が伸びたある日は「毎日、こういうのをやるのは大変なんだ。でも、日本には毎日続けたことでギネスにも載っている偉大な人がいるの知ってるか?」とやった。オスナとサンタナは「タモさーん」と声をそろえてまたまた笑いを誘った。嶋は「毎日コツコツやることが大事。積み重ねていきましょう」と両手を打ってナインを送り出した。 ネタはどんどん磨き上げられていく。別の日「外国人2人がタクシーで家に帰るんだけど、そのときに日本語を勉強しているそうだ」。そう言ってポケットから紙を取り出した。「これはなんですか?」と見せたのは「文」のマーク。地図記号でいう学校だ。ナインがそうこたえる。「じゃあこれは?」と次の紙はホームベースの中に十字があるマーク。「病院」との声が上がる。「1つだけ、わからないものがあるんだけど、これは分かるか?」と次の紙。オスナとサンタナに「卍」のマークを見せると2人は同時に「シキタ」とこたえた。見逃し三振のコールで卍ポーズを決める敷田球審を知っていたのだろうか? 13試合の中でも一番の爆笑が生まれた。嶋がチームのムードを盛り上げるために披露したネタの数々は、助っ人の2人をチームの和に溶け込ませる効果もあった。一枚岩で臨めば絶対大丈夫という高津監督の目指したチームづくり。その一翼を担った。声出し中の9月22日には今季初の首位に立った。まさに伝説の声出しだった。

◆ヤクルト中村悠平捕手(31)の変化が、高津再生工場を支えた。今季返り咲いた正捕手のリードが、投手陣の好投を引き出した。中村はこれまでの自分を「遠く低く。大元のセオリーは必ずある。でもそこに固執し過ぎた」と振り返る。 2月のキャンプで、古田敦也臨時コーチの指導で新たな境地に達した。たとえば直球とフォークが軸となる投手の配球は、偏る傾向があった。「他にカーブもスライダーもある。それを組み合わせることで、投手がもっと生きたり、幅が広がった」。10月10日の阪神戦。2点リードの9回2死一、三塁、打者はマルテとピンチを迎えた。長打を許さないためには、外角低めが基本。守護神マクガフはこれまで直球とスプリットを中心に組み立ててきた。カウント2-2で、勝負球として、内角スライダーを要求。見逃し三振で仕留めた。「今までだったら発想もつかなかった」と象徴的な一例を挙げた。 すべての根源は古田氏の「捕手で勝つ」の教え。臨時コーチ最終日のミーティング後、帰りがけの古田氏からただ1人呼び出された。部屋からエレベーターまでの短い時間。「失敗を恐れず、いろんなことを試して、お前がこのチームを勝たせたと言えるように頑張れよ」と声をかけられ、火が付いた。元々感情を表に出さないタイプ。今季はより一層結果にこだわり、ガッツポーズも自然と出るようになった。ズボンの裾を絞り、個性を出すように。「遊び心も自分のリードにも必要なんじゃないかと。あとは自分がどうしたいか。そういうところから始まった」と笑った。 自分がなんとかする。その言葉が奮い立たせてくれた。「自分にとっては魔法の合言葉」と目尻を下げる。沖縄でID野球の申し子から注入された"覚悟"を、東京で実践し、守備を固めた。【湯本勝大】

◆ヤクルトにとって山田哲人主将の存在は大きかった。 「若い選手たちには『チームのために頑張りなさい』とあまり言わないようにしている。みんな生活がかかっているし、まずは個人でしっかり結果を残してほしい。そのための取り組み方は言うようにしてきている」と言う。個々が自分のできることを積み上げることで最高のチームにする。それが山田の考えだった。 そんな山田のキャプテンシーを周囲は好意的に見ていた。ベテラン青木は「ガシャガシャやるようなタイプじゃないから。どちらかというとスマートにやってるタイプだからというのはあるけど、本人は自分らしくやればいい。哲人は頑張ってる。すごい頑張ってる」と認めた。 後半戦、抜群の内容で勝ち続けた奥川もキャプテンに助けられた1人だ。「勝負しながら、カウントが悪くなったところでは無理せずに。(打者)『2人で1人』というふうに山田さんからも声かけもらったり、自分でもそういう意識を持って投球できる」。マウンドでの声かけは精神論にならず、具体的な状況の確認。勝負に徹する内容だった。しかも、外国人を置き去りにしない。オスナは「山田が通訳をしてくれるので大丈夫」と証言した。 高津監督は山田の他の選手との接し方を細かく観察していた。「村上は(山田に対して)友達みたいな感じで接しているんですけど、哲人は(村上に対して)きちんと一線を引きながら面倒を見ている」と分析した。時には厳しいことを言わなければならないのが主将の立場。ただ楽しくやればいいというだけではない、一線を引く行動に山田の意図が感じられた。

◆ヤクルトが26日、6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たした。岩出山の星が、「高津再生工場」の象徴的存在となった。今野龍太投手(26)は、今季63試合に登板。一年を通じてブルペンを支えた。東京で好投を続ける裏で、地元・宮城から送られる温かいエールがあった。 一仕事を終えると、スマートフォンの通知がなる。メッセージが送られるのは親族のLINEグループ。親、兄弟、いとこ、おじ、おば...。約20人が参加している。試合で投げた後は「登板したよ」「しっかり抑えたよ」と報告。打たれたときは「次は頑張れ」と激励を受ける。離れていてもみんなが応援してくれている。「やっぱり力になる」と少し照れくさそうに話した。 大崎市内の旧岩出山町出身。現在の岩出山地区の人口は9900人ほど。小さな田舎町から、部員11人で臨んだ岩出山高3年時では、夏の県大会初戦でノーヒットノーランを達成し、"岩出山の星"と呼ばれた。13年ドラフト9位で楽天に入団し、小さな田舎町から羽ばたいた。当時18歳ながら、一方で現実的な考えも持っていた。「自分の高校のレベルも高くなかったので、3年ぐらいできればというのはあった」と打ち明ける。19年オフに戦力外通告を受けるも、フォークとカットボールを磨いて躍進。「8年もやれてるというのは自分でもびっくりしている」と笑った。 日ごろの応援のお返しとして、故郷にリーグ優勝を届けた。「ここまで来たからには長い間野球をやりたい」。日本シリーズ出場に、日本一、そして来年以降。まだまだチームに貢献できることはある。「ヒットを打たれても0点で戻りたい」。その気持ちだけを胸に、躍動する姿を応援してくれるみんなに見せ続ける。【湯本勝大】

◆6年ぶりの歓喜を、投手陣がフル稼働で支えた。 優勝がかかった重要な一戦は、7人の継投で逃げ切った。高津臣吾監督は、優勝会見で「一昨日(24日巨人戦・神宮)高梨をブルペンに入れて、いろんな想定をしていて、機会があれば登板させて、今日(高橋)奎二(を先発で)と思っていた。それがなかったので、最初から今日は継投で、みんなでつないで最後スコット(・マクガフ)と思っていた。早い段階から準備していたし(高梨は)あそこまでよく投げてくれた。いろんなことを想定して、今日はこの結果になりました」と明かした。 中10日で先発した高梨は、4回を被安打5の1失点。4回1死一、三塁のピンチを併殺で抑えるとガッツポーズ。「すごく緊張しましたが『絶対大丈夫』と自分に言い聞かせながら腹をくくって投げました」と話した。 "高津マジック"が発動した。5回を石山、田口とつなぐと、6回からは先発で3勝の高橋を今季初めて中継ぎで起用。7回2死で一飛をオスナが落球したが、冷静に続く森を150キロ直球で空振り三振。2回を無失点に抑えて勝利投手となり「すごく緊張しました。なんとか後ろに良い形でつなぐことができて良かった」。 8回からは4点差ながら勝利の方程式を投入。清水は24日の巨人戦で今月11ホールド目を挙げ、球団記録を更新しセ・リーグ記録タイに並んだ。9回は守護神マクガフが締めて、グラウンドもベンチも全員がガッツポーズ。この日の練習の際には、野手が試合前にするように投手陣だけで肩を組み、円陣をつくって気持ちを1つに。みんなでつないだ先には、優勝が待っていた。

◆ヤクルト青木宣親外野手(39)が"フライング飛び出し"した。DeNAに勝利後、ヤクルトナインはベンチで大型スクリーンに流れる阪神-中日戦を見守った。 9回2死から阪神大山がゴロを放った途端、39歳のベテランが一目散にマウンドへ"フライング"で駆けだした。一塁に送球され、試合終了を確認すると、ナインが青木に数秒遅れて一斉にマウンドへ。輪を作って、優勝の喜びをかみしめた。

◆ヤクルト高津臣吾監督(52)が、リーグ優勝インタビューでファンに熱いメッセージを送った。 今季を象徴するような戦いでDeNAに勝利し、2位阪神が敗れ、6年ぶりのリーグ優勝が決定。5度宙を舞った後、インタビューに答えた。 インタビュアーから「選手に伝えた絶対、大丈夫という言葉。ファンのみなさんも信じていたと思います。待っていたファンに向けても、ひと言いただけますか」と聞かれ、高津監督は「絶対、大丈夫です!我々はどんなことがあっても崩れません!ありがとうございました!」と力強く答え、スタンドから拍手が送られた。

◆DeNA三浦大輔監督(47)の就任1年目は、1試合を残し、中畑監督が率いていた15年以来6年ぶりの最下位が決まった。試合後、三浦監督が本拠地最終戦のため、セレモニーに登場。反省の弁を述べた。 三浦監督 まずはヤクルトスワローズファンの皆様、優勝おめでとうございます。横浜DeNAベイスターズファンの皆さま、コロナ禍で制限がある中、今年も熱い熱いご声援まことにありがとうございました。 皆様の期待にこたえられず、誠に申し訳ございませんでした。今年味わった悔しさ、選手、スタッフみんなが持っています。この悔しさを忘れず、来シーズンこそは、大きく、光輝けるチームになれるように頑張っていきますので、来シーズンもまた、熱いご声援よろしくお願いします。 胴上げを見て、悔しい気持ちでいっぱいです。今年、新しい光も出てきました。小さな光もいっぱいあります。その光を集めて、来シーズン大きく輝かせるようにやっていきますので、また1年間、来シーズンもよろしくお願いします。本当に今シーズンもご声援ありがとうございました。 ? 1回にルーキー牧秀悟が右越え適時二塁打で先制。しかし、先発の今永昇太が3回8安打5失点と乱調で、逆転された。救援陣が4回以降は1安打に抑えたが、打線も2回以降は無得点に封じられた。 同率で並んでいた中日が阪神に勝利し、DeNAは単独の最下位が確定した。

◆ヤクルトの6年ぶり8度目の優勝を、オーナー、社長らが祝福した。根岸孝成代表取締役オーナーは「コロナ禍で沈んだ気分を一掃させるとともに、チームスローガンである『真価・進化・心火』を体現するような優勝だと思います。引き続きCSを勝ち抜き、日本シリーズでも躍動する野球で日本中を感動させてくれると確信しています」とコメントした。 衣笠剛代表取締役社長オーナー代行は「2年連続最下位からの立て直しは決して容易ではなかったと思いますが、高津監督指揮の下、コーチ、選手の努力の成果が十二分に発揮された結果だと思います。まさにチームスローガン『真価・進化・心火』を実現してくれました」とした。 ヤクルト本社の成田裕代表取締役社長は「6年ぶりの優勝、心からうれしく思います。東京ヤクルトスワローズファンの皆さまのご声燕(えん)のもと、高津監督をはじめ、コーチ、選手、フロントの全員が一枚岩となって勝ち取った優勝だと思います」と喜んだ。

◆ヤクルトが26日、6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たした。この1年間の戦いを写真で振り返る。

◆ヤクルト山田哲人内野手(29)が、キャプテンで迎えたシーズンでの優勝にホッと胸をなで下ろした。 「一番はホッとしています。今年は主将をさせていただいて、周りを見ながら15年より視野を広く、プレーできたのかなとは思いますし、そういうところは違うのかなと。違ううれしさがあります」 チーム野手最年長の青木宣親からは「頼もしくて、引っ張ってくれた。後輩に声をかけて、チームをいい方向にという行動を取ってくれていた」とキャプテンシーを絶賛された。 「青木さんから『やりたいようにやっていいよ』とシーズン前から言われていた。困ったときは青木さんに頼らせてもらいますと言っていたし、何回も助けられた。尊敬しています」 今季は3番打者として、打率2割7分2厘、34本塁打、101打点で主砲の村上とともに打線をけん引した。「ちょっと周りが期待する数字ではないと思いますけど、ちょっと自分にプレッシャーをかけながら、何とか勝利に貢献できるプレーはたくさんできたと思う」とコメント。「ここまできたら日本一になりたいので、CSを勝ち抜いて、日本一になれたらなと思います」と決意を込めた。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(21)が26日、優勝会見に出席し、自身初優勝を喜んだ。「(高津)監督と1年目からお世話になりましたし、青木さんも自主トレから1年目でお世話になりましたし、このチームで優勝したいなという思いがあったので、本当にうれしいです」とかみしめた。 21歳ながら4番として、中心選手として、チームをけん引してきた。「(山田)哲人さんがキャプテンですけど、チーム全員が副主将のつもりで、と話し合った。キャプテン山田哲人のうしろで、僕たちが必死に声を出してきた結果だと思います」と振り返った。 今後については「もう今は何にも考えてないんですけど、残り2試合ありますし、そこもしっかり頑張りたいと思いますけど、CS勝ち抜いて、日本一になれるように頑張ります」と見据えた。

◆チーム野手最年長の青木宣親外野手(39)が、会見に臨み、悲願の優勝に胸を熱くさせた。メジャーリーグでのプレーを経て、18年シーズンからヤクルトに復帰。「めちゃくちゃうれしいです。優勝という結果がほしかった。本当に格別です。ヤクルトが優勝できたことを本当にうれしく思います」と喜んだ。 喜びを示すように、優勝の瞬間は"フライング"した。電光掲示板に流れた阪神-中日戦を見守る中、9回2死から阪神大山がゴロを放った途端、一目散にマウンドへ。一塁に送球され、試合終了を確認すると、ナインが青木から数秒遅れて一斉にマウンドへ走って、歓喜の輪を作った。

◆ヤクルトの扇の要として優勝に貢献した中村悠平捕手(31)が26日、優勝会見に出席した。「すごくホッとしています。6年前は『あれ優勝しちゃった』という感じだったんですけど、今年は古田さんからキャンプで『お前がその気になれ』という言葉をもらって、ずっとやってきた」と大先輩からの"金言"を明かした。 今季は123試合に出場し、打率2割7分9厘、2本塁打、36打点。攻守でチームをどっしりと支えた。「(優勝して)少しでも恩返しができたんではないかと思う。それが財産になった。今後の野球人生にもっといかしていきたい」と先を見据えた。

◆6年ぶり8度目の優勝を果たしたヤクルト高津臣吾監督(52)が、優勝会見で胴上げが5回だった理由を明らかにした。 5回の意味について問われると「何の意味もないんだけど(笑い)。田口が(高津監督の背番号にちなんで)22回と言ったので、じゃあ5回にしてくれと言いました」と経緯を明かした。 ◆高津臣吾(たかつ・しんご)1968年(昭43)11月25日、広島県生まれ。広島工-亜大を経て90年ドラフト3位でヤクルト入団。最優秀救援投手4度。03年オフにFAでホワイトソックス移籍。メッツ、ヤクルト、韓国ウリ、台湾興農、BC新潟を経て12年引退。日本通算286セーブは歴代2位。14年に1軍投手コーチでヤクルトに復帰し、20年から監督。180センチ、75キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸8000万円。

◆ヤクルトが、6年ぶり8回目のリーグ優勝を達成した。DeNAに勝利し、マジックを1へ。午後6時1分開始だった阪神-中日戦(甲子園)で、2位の阪神が敗れ、歓喜の瞬間が訪れた。 高津臣吾監督、村上宗隆、山田哲人、青木宣親、中村悠平が出席した優勝会見では、ターニングポイントを聞かれた。 青木は「少し考えたんですけど、うーん...、本当に1つじゃなくて、前半も中盤も後半も、いろんなことがあったので」と前置きした上でコンデショニングの維持と監督のマネジメント力を挙げた。 「シーズン通して、良かったことはこの戦力を維持できたことなのかなと。新しい戦力もあったけど、ケガをしなかった。監督のマネジメント力じゃないかなと思います。コンディションの維持をいつも言っていたので、練習量を減らしながらとか、その辺がやっぱりうまくいって、戦力を維持できたのではないかと思います。練習をやりすぎないでとか常に言っていたので、マネジメント力がすごかった」 中村はヤクルトの先輩で名捕手の古田敦也氏に言われたひと言から、自分がプラスへと変われた試合を挙げた。 「個人的に開幕カードで阪神に3連敗食らって、(3月31日のDeNA戦で新型コロナウイルスの影響で選手数人が一時チームを離れ)自分が2番を任された時に古田さんが『その気になれ』と言っていて、自分がその気になっちゃったところで、自分がプラスにとらえられていけたところが1つ大きな要因だった」 山田は、シンプルに勝利への執念を全員が持ち続けたことを挙げた。 「勝ちたいという思い、これは全員持っていた。それをつくったのは監督。このチームで勝ちたいという思いを持って、監督を胴上げしたいという気持ちにさせてくれた。モチベーションにさせてくれたのが大きかった」 村上は、山田に同調しながら、"チームスワローズ"の絆の強さを挙げた。「この試合というのはないんですけど、開幕した当初からチーム全員で勝ちたいという気持ちが一致していた。選手、裏方さん、全ての方を含めて、"チームスワローズ"で戦えた。チームワーク、ベンチワーク、絆じゃないですけど、チーム一丸となって戦えたことが全てと思います」

◆ヤクルト高津臣吾監督(52)は、チームを6年ぶりのリーグに導いた。2年連続の最下位から立て直しての下克上。指導者としての原点は新潟にある。 11年にBC・新潟に選手として加入。当時は、設立されてから4シーズン目が終わったばかりの比較的新しいリーグ。現在ほど地域に根付いてはいなかった。当時BC・新潟の経営企画室室長だった、池田拓史社長(40)は「野球事業を通じて新潟を元気にしたいということで、立ち上げからずっとやっていた。本当に情熱というか、熱意で、新潟のみなさんが野球で盛り上がるように、高津さんという方を身近に見られるというのを作りたいと、ひたすらお願いさせていただきました」と振り返る。 翌12年からは選手兼任監督に就任。新体制最初のミーティングで選手たちに投げかけた言葉が、今でも池田社長の印象に残っている。「グラウンドに上がるときは『よっしゃやってやるぞ』とスッキリした気持ちでグラウンドに立つことが大事だというのはすごくおっしゃってた。野球に関することももちろんですし、プライベートに関わることも含めて、モヤモヤしたものというか、100%集中してグラウンドに上がれないというのは非常に良くないので。もしそういうことがあれば、なんでもいいからいつでも相談しなさいと、そういったことを選手に伝えていました」。 今でもヤクルトの選手たちにかけている言葉と全く同じ。9年前から指導者としての気概を見せていた。負けた試合後はミーティングの時間を極力短くするなど、切り替えも重要視。就任1年目で新潟を球団史上初の独立リーグ日本一にのし上げた。 なんでも相談に乗る。兄貴分のような指導者像で、ヤクルトでもリーグ優勝に導いた。

◆ヤクルトが、6年ぶり8回目のリーグ優勝を達成した。午後9時4分にDeNAに勝利し、マジックを1へ。午後6時1分開始だった阪神-中日戦(甲子園)の試合経過を待ち、2位阪神が敗れ、歓喜の瞬間が訪れた。優勝を逃した・リーグ監督のコメントは以下の通り。▽阪神矢野監督 ヤクルトは外国人2人が入って、打線の厚みがしっかり出た。それで、若手、ベテラン、中堅がバランスよくガチッと固まった部分もあった。投手も高津監督がうまく使って、投手陣全体の力が上がった。 ▽広島佐々岡監督 僕の現役時代の時の打線に似ていた。青木、山田が元気で長打の4番村上につなげる。オスナ、サンタナの2人、捕手の中村の調子も良くて、いやらしい打者が多かった。投手は終盤が固定されて、8回の清水が大きかった。昨年とは全然違った。 ▽中日与田監督 ヤクルトは打線の強さが際立っていた。山田が復調して、去年とは外国人の層が違った。点を取られても、はじき返してくれるので投手陣の強さも増した。2、3点取られても大丈夫と向かってこられるとなかなか点が取れない。 ▽DeNA三浦監督 投手に結構抑えられていますし、外国人に痛いところで打たれた。投打のバランスも非常によかったと思います。終盤、特に点が取れなかった。

◆ヤクルト高津臣吾監督(52)がリーグ優勝を決め、マウンド付近で胴上げされる直前に、選手に祝福の言葉を掛けた。 「本当におめでとうと言いました。選手の頑張りが全てなので心から本当におめでとうと言いました」 今季を象徴するような戦いでDeNAに勝利し、2位阪神が敗れ、6年ぶりのリーグ優勝が決定。5度宙を舞った。 胴上げされた時の気持ちについて「開幕してからここまでいろんなことがあったので、ホッとした気分と選手が一生懸命頑張ってくれた成果だと思います。気持ち良く、胴上げしてもらいました」と感激した。 選手の成長について「今年のキャンプに入る前日に、2年連続最下位の悔しさを持って、今シーズン入っていこうという話をしました。そして、1年ね、首位に立つのは1カ月ほどで短かったんですけど、悔しいスタートになったんですけど、その悔しさをずっと胸に持って、選手が一生懸命戦ってくれた結果だと思います」とたたえた。

◆6年ぶりにセ・リーグを制したヤクルトは、都内で祝勝会を行った。 選手やスタッフは、優勝記念Tシャツ姿で参加した。 根岸孝成オーナーは「厳しいペナントレースを見事勝ち抜きまして、本当に私たちが感動する優勝をしていただきまして、ありがとうございました。こうして優勝できましたのも、毎試合球場に足を運んで頂いて、温かい応援をしていただきましたファンのみなさんのおかげだと思っています。ありがとうございました。チームはこれからまだ、日本一を目指してCS、日本シリーズと厳しい試合が続きますけど、みんなと一緒になって日本一を目指して頑張りたいと思います。どうも優勝おめでとうございます。ありがとうございました」とあいさつした。 衣笠剛球団社長は「みんな、優勝おめでとう。高津監督、おめでとう。それからコーチ、選手、チームスタッフのみんな本当におめでとう。よーく、本当に頑張ってくれました。本当にうれしい限りです。そして、またCSファイナルステージも我々の本拠地神宮球場で行えることは、本当にまた喜びです。高津監督の指揮のもとに選手のみなさん、いま一度、力を振り絞って、ファイナルステージを勝利して、ぜひとも日本一を目指して頑張ってほしいと思います。本当にみんな、おめでとう」と笑顔で話した。 その後、鏡開きが行われ、乾杯。最後は、山田哲人主将が「監督の言葉を信じて、みんなで日本一を目指して頑張りましょう」と力強く宣言し、一本締めでお開きとなった。 なお、新型コロナウイルス感染対策のためノンアルコール、密を避けるため着席スタイルだった。開始から約10分で終了した。

◆ヤクルト奥川恭伸投手(20)が初優勝の喜びをかみしめた。 「手応えとか自信みたいなものは全然ない。自分なりに頑張ってきたつもりなので、貢献できたかは分からないですけど、こうしてチームが優勝できて本当にうれしいです」 ルーキーイヤーの昨季は1試合の登板にとどまったが、高卒2年目の今季はここまで17試合に先発し、チーム最多タイの9勝をマーク。「去年はケガで全然投げられなかった1年だった。今季は間隔をあけながらですけど、しっかり投げられているところが成長した部分かなと思います」と振り返った。 優勝の歓喜もつかの間、2週間後にはCSファイナルステージ、勝ち進めばその先に日本シリーズが待つ。祝勝会が終わって立ち上がると、すぐにシャドーピッチング。視線は常に前を向いている。「まだ投げるか分からないですけど、投げたときにはチームの勝利に貢献できるように頑張りたい。一生懸命プレーしたいと思うので、これからもご声援をよろしくお願いします」と力を込めた。

◆グラウンドで年齢は関係ない。ヤクルト村上宗隆内野手(21)は、物おじせず、リーダーシップを発揮してきた。今季は不動の4番として、リーグトップタイの39本塁打。打撃でけん引しながら、ベンチでは誰よりも声を出してきた。きっかけはシーズン中に離脱した先輩のように振る舞ってきたこと。チームにとってのマイナスが、MVP候補の村上を大きく成長させることになった。村上は最後の打球を大事につかんだ。9回2死一、三塁、フルカウントで迎えた8球目が三塁ファウルゾーンに飛んだ。客席に入るかギリギリの打球も、目測を誤り、捕球できず。苦笑いを浮かべた。直後の9球目も再び三塁ファウルゾーンへ。投手マクガフもカバーに回ってきた中、ガッチリキャッチ。両手を天へ突き上げた。ウイニングボールを高津監督へ渡し、指揮官の右肩をポンッとたたいた。 SNS上ではたびたび「村上監督」という言葉が急上昇ワードとなる。ベンチの最前列で戦況を見守り、仲間が得点したときは、派手にガッツポーズ。何度も手をたたいて鼓舞するときもある。21歳とは思えない貫禄と、ベンチでの姿から指揮官に例えられてきた。 ピンチが成長を生んだ。開幕直後、チームで新型コロナウイルスの感染が判明。青木らが濃厚接触者と認定され、離脱した。戦う雰囲気をつくってくれたベテランがいない。村上は「青木さんだったらこういうことするかなとか、こう声かけするかなとか。そういうのをベンチの中で考えながらやっています」。精神的支柱がいないからこそ、一枚岩で。今の明るいベンチを生み出した。そんな村上の姿を見て、青木は「100点満点。みんな本当に一丸となっているように見えたし、すごくうれしかった」と目を細めていた。 今季村上は史上最年少の通算100本塁打、100打点を達成。MVPの最有力候補に挙がる。結果でチームを引っ張ってきた一方で、打席以外でも存在感を発揮してきた。熊本で生まれ育ち、東京で成長をして4年目。早くもチームリーダーとしての器量を見せた。【湯本勝大】

◆ヤクルトが6年ぶり8度目のリーグ優勝を決め、高津臣吾監督(52)が、横浜の夜空に5度宙を舞った。興奮冷めやらぬ中、高津監督は優勝インタビューに応じた。 優勝から一夜明け、あの最高の瞬間をもう1度全文で紹介する。-優勝、おめでとうございます。 はい、ありがとうございます。 -胴上げされた時の気持ちはいかがでしたか? そうですね、開幕してからここまでいろんなことがあったので、今ほっとした気分と選手が本当に一生懸命頑張ってくれた成果だと。気持ち良く、胴上げしてもらいました」 -今日の試合に勝って、甲子園の試合を待った。その時の気持ちは? そうですね、まず最初に我々が勝つことが一番だと思ってました。確かにタイガースの勝敗は気になったんですけど、その前に今年を象徴するようないい打線のつなぎと、いいピッチャーのつなぎといい形で今日を取れたのが良かったと思います」 -優勝が決まって、選手たちにはマウンドではどんな声を掛けたのか? 本当におめでとうと言いました。選手の頑張りが全てなので、心から本当におめでとうと言いました。 -今日もそうでしたが、リリーフ陣、先発陣、投手陣がよく投げた1年だったのではないですか? よく打線が注目されるんですけど、本当に先発投手から投手力というのが、ここ数年から今年にかけてすごくアップしたのが今年勝てた要因かなと思います。もちろん、チーム一丸となってね、打線もつないでいく、投手もつないでいくというつなぎの野球というのがしっかりできたのかなと思います。 -2年連続で最下位という悔しさがあった中での優勝。選手たちの成長はどう感じたのか。 今年のキャンプ入る前日に、2年連続最下位の悔しさを持って、今シーズン入っていこうという話をしました。そして、1年ね、なかなかこう、首位に立つのは1カ月ほどで短かったんですけど、悔しいスタートになったんですけど、その悔しさをずっと胸に持って、選手が一生懸命戦ってくれた結果だと思います。 -選手に伝えた絶対、大丈夫という言葉。ファンのみなさんも信じていたと思います。待っていたファンに向けても、ひと言いただけますか? 絶対、大丈夫です! 我々はどんなことがあっても崩れません! ありがとうございました! -次は、日本一に向けての挑戦。この後の戦いに向けての決意を聞かせてください。 今はちょっと勝ったばっかりで、なかなかその先は考えられないんですけど、このチャンスは絶対に逃すものではないと思ってますし、我々の野球を、スワローズの野球をこれからも引き続き、やっていきたいなと思います。

◆ベテランとしてヤクルトを引っ張った青木宣親外野手(39)が、日刊スポーツに手記を寄せた。前回優勝時はメジャーに在籍。自身初めてのセ・リーグ優勝となった。シーズン96敗を喫した翌年の18年にヤクルト復帰。 米国での経験をどのように還元したのか? 率直な思いを記した。信じてはいたけど、2年連続最下位から、一気にこんなふうに優勝という結果になるとは...。本当にうれしいです。優勝したい気持ちがありつつも、その場所に行くにはまだたくさんの課題があると思っていましたから。 でも、そんな考えをものの見事に吹き飛ばしてくれた。チームは接戦を勝ち抜いたり、優勝争いの中で本当に1戦1戦成長した。貴重な経験をしてきたような気がします。みんなが本当に頑張った。 僕はアメリカの7球団に行ったけど、チームごとに組織作りや雰囲気が違った。いろんな監督いろんなコーチ、いろんな選手、スタッフと関わってきたので、すごく勉強になった。「そんな考え方もあるんだ」というのは、アメリカに行ってより感じることができた。自分自身も変わって帰って来られたような気がします。 MLBは選手の喜怒哀楽が激しかったので、NPBに帰ってきたときにそのギャップをすごく感じました。ヤクルトは特に96敗した翌年だから、余計に目について、もっと感情を表に出せばいいのになって思ってて、自分は意識して出すようにしてました。あえて悔しがることもありました。戦う姿勢を見せたかったんです。自分の結果、負けることへの悔しさみたいなのを、表に出した方がファンにも伝わると思ったし、なによりチームに欠けているものだと思ったんです。 ガンガン個性を出してやればいいんだよっていうのは、周りにも話してました。例えばユニホームの着こなし1つでも、ムーチョ(中村悠平)はシーズン途中から、ユニホームの裾を絞ったりしている。そういう変化が必要なんです。ムーチョからはピッチャーを引っ張っていくという強い意思も伝わってきて、頼もしかったです。 監督を含め、みなさんが適度な自由さが許される雰囲気にしてくれたことで、自分たちもやりやすかった。ガチャガチャやったり、ああだこうだやってる方が自分は楽しい。あまりにも好き勝手やるのは違うけど、その辺のさじ加減はみんな分かっている。 若い選手もいい雰囲気でプレーできていました。これをヤクルトの伝統にしてほしい。粘り強く最後まであきらめないで頑張るというのは、自分も先輩たちからそういうふうに教わってきました。その上で、いつも明るくやってほしい。野球ってやっぱり変化している。10年前にいた日本の野球と、今の野球とでは全然違う部分もある。うまくアップデートしていきながら、伝統も大切にしていけば、必ず常勝軍団をつくれると思ってます。(ヤクルト外野手)

◆最下位から巻き返したヤクルトに何が起こったのか? 昨年からの大きな違いの1つが「ホークアイ」を使いこなしたことだ。MLBが全球団で取り入れる最先端の映像分析システム。ヤクルトは昨年、試験導入したものを本格活用した。高津再生工場の秘密も、そこにあった。今野、近藤、原、大下、田口ら...。戦力外通告からの復活や、例年よりも好成績を残した投手が目立った。今季、NPBではヤクルトだけが使った高度な分析は、今後の日本野球のトレンドになるかもしれない。神宮は"鷹の目"で監視されている。グラウンドに向けて8台のカメラを設置。選手のデータを収集している。レーダーでトラッキングする手法「トラックマン」とは違い「ホークアイ」は画像による解析を行うため、ボールの軌道や回転数などに加え、投手のリリースポイントや、リリース時の角度、投球時の手首や肩の位置までもが分かる。打撃面でも、スイングスピードや、加速度、バットとボールのコンタクトポイント、グラウンドにいる選手全員の骨格情報や動作まで数字に表すことができる。 楽天戦力外から7回の男として再生を遂げた今野は「いいときと悪いときのリリースの位置や手首の角度だったり、変化球のホップ成分を確認していた」と活用法を明かした。自分の投球が数値化されることで、課題は一目瞭然となる。伊藤投手コーチは「今の自分の状態を確認するには、完璧にしていくには有効なデータ。いろんな数字を出していって、納得してもらって、トライしてもらう。変化量やどういう回転が理想なのかを客観的に見た」とフル活用した。 数字にもとづいて、コーチから新球を提案することもあった。例えばサイスニード。シーズン序盤、チェンジアップとスライダーの精度が低く、決め球が直球に偏っていた。空振りを取れる球として、変化の方向や球速からフォークが有効だとデータは示していた。伊藤コーチは「過去にも投げていたらしいので、もう1度トライしてみませんか?と。チェンジアップとは球速も異なるし、落差もある。練習で投げている球はいいので、どんどん打たれてもいいからゲームで使っていきなさいというところですね」。1年目の助っ人は、そこからフォークを駆使。これまで6勝2敗と日本の野球に適応した。 実は思い切った取り組みもしていた。キャンプからオープン戦、シーズン中も、新たな球種の習得を許容してきた。しばらくの間、結果につながらないのは織り込み済み。石井投手コーチは「キャンプ中の成績はひどかったと思うんですよ。それは僕らもある程度想定内でやっていた。もちろん昨年の成績の中で考えると『やっぱり今年も』って言われたかもしれないですけど、すべてはこのシーズンのこの時期のためにやってきたことが、本当にうまくいった」。オープン戦の結果を度外視して、新たなものに取り組ませることで歓喜の秋につなげた。最新のデータ分析に最下位からの挑戦者精神が加わり、投手陣再建が成功した。【湯本勝大】

◆ヤクルトが6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たした。 今季は東京オリンピック(五輪)のため、初めてペナントレース中に長期中断があった。前半戦を勝率5割6分8厘の3位で終了したヤクルトは、五輪後の後半戦が31勝18敗9分け、勝率6割3分3厘。セ・リーグで後半戦の勝率6割以上はヤクルトだけだ。チーム113試合目の9月22日に初めて首位に立ち、セ・リーグで100試合以上消化してから初首位のチームが優勝は08年巨人以来2度目だった。 後半戦の快進撃を支えたのが投手陣。1試合の平均得点は前半戦4・41点→後半戦4・33点でほぼ同じだったが、防御率が3・81から2・93と良くなり、平均失点は前半戦の4・04点から3・16点に減った。注目したいのが先発投手の防御率。前半戦の先発防御率はリーグ5位の4・17だったが、後半戦の先発投手は22勝11敗で防御率2・84。後半戦の先発防御率が2点台はヤクルトしかない。奥川が前半戦4・19→後半戦2・25、サイスニードが5・09→2・56と、この2人で後半戦は10勝3敗。石川、高橋、原の3人は自身には白星があまり付かなかったものの、先発した時のチームは11勝7敗7分けだった。先発投手がしっかり試合をつくって清水、マクガフの救援陣につなぐ野球が確立され、後半戦の勝率が6割を超えた。 前回優勝の15年は救援投手の防御率はリーグ1位の2・67も、先発投手はリーグ5位の3・68。16年から先発防御率は5年連続リーグ最下位と、長年の課題が後半戦に入って解消。高津監督が五輪で中断した1カ月の間に投手陣を整備してリーグ優勝をつかんだ。【伊藤友一】

◆ヤクルトが、6年ぶり8度目のセ・リーグ優勝を達成した。 打線の中心は昨年に続いて全試合4番を務める村上宗隆。過去に優勝チームで全試合4番は18年山川(西武)まで11人、12度あり、村上が残り試合も打てば12人目。21歳は62年張本(東映)の22歳を抜いて優勝チーム全試合4番の最年少記録になる。昨年は村上の前を打つ1~3番を固定できなかったが、今季は途中から1番塩見、2番青木、3番山田、4番村上が定着。結果、4人がそろって打席に立つことが多い1回にイニング別最多の85点を記録した。決勝点が入ったイニングも1回が18試合で最も多い。1回が無得点の試合は43勝42敗11分けのヤクルトだが、1回に得点した試合は30勝8敗7分け、勝率7割8分9厘。1~3番が固定され、1回に打率3割7分5厘、9本塁打、33打点、7V打をマークした4番村上のバットがチームを優勝へ導いた。

◆本拠地最終戦となる26日のヤクルト戦に先発するDeNA・今永昇太投手(28)が25日、横浜スタジアムで調整。優勝へのマジックナンバーを「2」としている首位との一戦に「2年前、巨人にここで胴上げをされている。僕らが勝てばひとまず胴上げはなくなるので、とにかく勝って防がなければいけない」と誓った。 ヤクルト戦は今季3戦3敗。チームも6勝16敗2分けと大きく負け越し、5位タイに沈むだけに「こういう成績でも最後まで応援してくださったファンの方々へ、一つでも良い順位で終えることがメッセージだと思う」と気合を入れた。 左肩手術から復帰を果たした今季の最終登板。「最終戦を見て、これなら来年は大丈夫だと思ってもらえるような投球で締めくくりたい」と意気込んだ。(浜浦日向)

◆横浜で舞う-。高津臣吾監督(52)率いるセ・リーグ首位のヤクルトは25日、先発投手陣が神宮外苑で調整した。優勝へのマジックナンバーを「2」としており、優勝が懸かる26日のDeNA戦(横浜)の先発を高梨裕稔投手(30)に託した。さあ、歓喜の瞬間へ。2001年に横浜スタジアムでリーグ優勝を決めた際に胴上げ投手となった指揮官が、再現を狙う。 悲願のリーグ優勝へ、勝負手を打った。高津監督は26日のDeNA戦(横浜)の先発に高梨を抜擢(ばってき)。今季4勝1敗の右腕に2001年以来となる横浜での胴上げを託した。 「残り3試合を勝ちたい。そのために何をするかというところしか考えていない」 24日の巨人戦(神宮)に勝利後、指揮官は前を見据えた。マジック「2」で迎える大一番。20日の阪神戦(甲子園)で7回無失点と好投した左腕高橋も中5日で登板可能だったが、雨天中止となった22日の広島戦(神宮)に先発予定だった高梨を回すことを決めた。21日に68球で降板した小川も、中継ぎで待機する可能性が高そうだ。 お願いします! 練習中、奥川は高梨に手を合わせた(撮影・土谷創造) 今季、高梨が先発した11試合でチームは9勝1敗1分けと勝率9割を誇る。ショートダッシュなどで調整した右腕は「優勝が懸かった大事な試合で先発させていただくので、なりふりかまわず全力で腕を振っていきたい」と気合十分。今季のDeNA戦は16勝6敗2分け。横浜スタジアムでは7勝2敗1分けで4連勝中とデータが後押しする。 19日の阪神戦(甲子園)から1分けを挟んで3連敗と足踏みが続いた状況は2001年に酷似する。同年は10月1日にマジック「1」となったが、1日を含めて4戦3敗1分けと苦しんだ。それでも6日の横浜戦(横浜)で延長十回の末に6-4で競り勝ち、リーグ優勝を決めた。胴上げ投手となったのが6番手で登板し、最後は谷繁を遊ゴロに抑えた高津監督だった。捕手の古田と抱き合い、優勝インタビューで若松監督が「ファンの皆さま、おめでとうございます」と語った場面は燕党の記憶に色濃く刻まれた。29日、11月1日の広島戦(マツダ、神宮)は高橋と奥川がスタンバイする。「切り替えて全力で戦うだけだと思います。そういう気持ちがやっぱり勝つ近道、原動力。しっかり気持ちを入れ替えて、グラウンドに立ってというところだと思います」と指揮官。ヤクルトが26日のDeNA戦に勝つか引き分けると、阪神の結果次第で6年ぶりのリーグ優勝が決まる。歓喜の瞬間は手の届くところまで来た。横浜の地で高津監督が高々と宙に舞う。(横山尚杜)★本拠地から届け 6年ぶり8度目となるリーグ優勝へ向けて、本拠地からエールを届ける。26日のDeNA戦(横浜)は神宮でパブリックビューイングを実施する。SwallowsCREW会員が対象で、1万人の定員に達した。「限られたお客さんしか球場に来られない。その中でもいい試合を見せることが(プロ野球選手の)宿命」と話してきた高津監督。神宮からの応援も背に、歓喜の瞬間を全国の燕党に届ける。★2001年VTR ヤクルトは8月16日にマジック「33」が点灯したが、9月に勝利数で再び巨人に抜かれて2位に後退した。左膝靱帯(じんたい)損傷で戦列を離れた古田が9月24日にスタメン復帰すると、翌日からチームは4連勝。10月1日にはマジック「1」に。しかし、1日を含め接戦をモノにできず、4日まで4戦3敗1分けと足踏みが続いた。敵地で行われた6日の横浜戦。延長十回の末に競り勝ち、リーグ優勝を決めた。若松監督の優勝監督インタビューでの「ファンの皆さま、おめでとうございます」は語り草となった。日本シリーズでは近鉄を4勝1敗で下し、168センチの若松監督は胴上げで一回転した。

◆優勝マジック2としているヤクルトは1点を先制された。先発の高梨が一回、DeNA・牧に右越え適時二塁打を浴びた。

◆DeNAは26日、本拠地・横浜スタジアムでの今季最終戦となるヤクルト戦が行い、11日のドラフト会議で指名された9選手(育成3人含む)のうち、大学生3選手を除く6選手が来場。施設見学や三浦大輔監督と初対面を果たした。 最速152キロ右腕で世代ナンバーワン投手の呼び声高いドラフト1位・小園健太投手(18)=市和歌山高=は「横浜はかなり都会だなと思いました。また、ファーム施設のある横須賀にも先ほど行ったのですが、自分の地元にも近い雰囲気を感じたので、少し安心しました」と初々しいコメントを残した。 指名あいさつではリモート対面だったため、初めて三浦監督と対面も果たし「改めて本当に優しそうな方だと感じました。体つきが非常に大きく、実際に見る三浦監督はすごいなという印象を受けました。横浜スタジアムでの練習風景を見てみて、非常に雰囲気がよく、選手の皆さんが野球を楽しんでいるなという印象を受けました。来季から自分もチームにもうまく溶け込めるのではないかなと感じました」とプレーを心待ちにした。

◆ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が三回に勝ち越しの2点打を放った。 「チャンスだったのでボール球に手を出さないように見極めを意識して打席に入りました。ミスショットする事なく打つことができました」 1―1の三回、1死満塁で打席に入った。1ボール2ストライクからの4球目、140キロをフルスイング。打球は右中間を割る適時二塁打となり、3―1と勝ち越しに成功。二塁ベース上で両拳を握った。 ヤクルトは優勝へのマジックを2として迎えている一戦。10月はこの日の試合前時点で7本塁打、打率・369、16打点と好調のサンタナが、一振りで勝利を手繰り寄せた。

◆ヤクルト・中村悠平捕手(31)が三回1死二、三塁で左翼フェンス直撃の2点二塁打を放った。 「1打席目に抑えられたので、絶対にやり返す気持ちで打席に入りました。気持ちで打ちました」 サンタナの勝ち越し打で3―1とした直後の打席。1ボールからの2球目を振り抜き、あと少しで本塁打という強烈な当たりで左翼フェンスへぶち当てた。貴重な追加点を挙げ、5―1と突き放した。 中村は1点を追う二回の第1打席では無死二、三塁の好機で空振り三振の凡退。見事に1打席目の雪辱を果たした。

◆DeNAのドラフト2位ルーキー・牧秀悟内野手(23)=中大=が四回に先頭で迎えた第2打席、左翼線二塁打を放った。前戦の23日の中日戦(横浜)から4打席連続の二塁打となり、イチローらがマークしたプロ野球記録に並んだ。 今季の二塁打は34本目。新人では1958年の長嶋茂雄と並んでセ・リーグトップに立ち、1948年の笠原和夫(40)に次いで歴代2位タイの記録となった。

◆ヤクルト・高梨裕稔投手(30)が、優勝へのマジック「2」として迎えた一戦に先発し、4回5安打1失点と試合を作った。 「すごく緊張しましたが『絶対大丈夫』と自分に言い聞かせながら『腹をくくって』投げました。先制はされてしまいましたが最低限の仕事はできたかなと思います」 一回に牧に先制打を献上したが、その後は走者を出しながらも無失点。大事なマウンドに上がるにあたり、高津監督がナインに向けてかけた言葉「絶対大丈夫」と、この日選手ロッカーに新たに張り出された直筆の「腹くくっていたれぃ!!」の言葉を胸に、強気で腕を振った。

◆DeNAのドラフト2位ルーキー・牧秀悟内野手(23)=中大=が六回、左越え二塁打を放ち、1958年の長嶋茂雄に並び新人最多記録となる14度目の猛打賞をマークした。 今季の二塁打は35本目。新人では長嶋茂雄を上回り、セ・リーグ単独トップに立ち、1948年の笠原和夫(40)に次いで歴代2位の大記録となった。

◆優勝マジックを2としているヤクルトは1-1の三回に一挙4点を奪い、勝ち越し。6投手の継投で逃げ切った。六回、七回で好救援した左腕・高橋が4勝目(1敗)。阪神が中日戦(甲子園)に勝たなければ、ヤクルトの優勝が決まる。八回を終えて中日が4-0でリードしている。 大一番。この日、選手ロッカーには高津監督直筆の「腹くくっていたれぃ!!」の言葉が新たに貼りだされた。先発・高梨は一回、DeNA・牧に右越え適時二塁打を浴び、1点を先制されたが、二回の攻撃で1死二、三塁でオスナの三ゴロの間に、三走・村上が生還し、同点に追いついた。三回にはDeNA先発の今永に対し1死満塁と好機を作ると、サンタナが右中間に2点二塁打。続く中村は左翼フェンス直撃の2点二塁打を放ち、4点差とした。 高梨は要所を締め、4回5安打1失点で降板。五回から石山、回の途中で田口とつないだ。六回には今季先発で3勝をマークしている左腕・高橋がマウンドに上がり、2死一、三塁のピンチで代打・宮崎を見逃し三振に仕留めた。高橋は七回も続投し、無失点。八回は清水、九回はマクガフが無失点で締めた。 ◆三回に2点二塁打を放ったサンタナ 「打ったのはストレートです。チャンスだったのでボール球に手を出さないように見極めを意識して打席に入りました。ミスショットする事なく打つことができました」 ◆三回に2点二塁打を放った中村 「打ったのはストレートです。1打席目抑えられたので絶対にやり返す気持ちで打席に入りました。気持ちで打ちました」 ◆先発で4回1失点の高梨 「凄く緊張しましたが『絶対大丈夫』と自分に言い聞かせながら『腹をくくっ』』投げました。先制はされてしまいましたが最低限の仕事はできたかなと思います」 ◆好救援の高橋 「凄く緊張しました。1イニング目は力んでしまいました。2イニング目はいつも投手コーチに言われている8割の力で10割のボールを投げる意識で投げることが出来ました。なんとか後ろに良い形で繋ぐことができて良かったと思います」

◆DeNAは今季の本拠地最終戦でヤクルトに完敗。甲子園で中日が阪神に勝利したため、2015年以来、6年ぶりのシーズン最下位が確定した。 先発を託されたエースの今永が、3回8安打5失点でまさかのノックアウト。打線も4番のルーキー、牧が3本の二塁打を放ち、セ・リーグ新人最多35二塁打、歴代新人最多14度目の猛打賞をマークするも、1得点に終わった。 三浦大輔監督就任1年目の今季は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の入国制限によりオースティン、ソトら外国人選手の来日が遅れ、開幕から6連敗、直後にも10連敗と3、4月だけで借金15と大きくつまずいた。チーム防御率は4点台。2年契約2年目となる来季は、投手陣の立て直しが求められる。

◆ヤクルトは26日、DeNA戦(横浜)に5―1で快勝。優勝マジック対象球団の2位・阪神が中日戦(甲子園)に0-4で敗れたため、6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たした。就任2年目の高津臣吾監督(52)が2年連続最下位のチームを見事に再建。横浜スタジアムで、ナインの手により5度宙に舞った。ヤクルトは11月10日に始まるファイナルステージから出場し、2001年以来の日本一を目指す。 今季141試合目となったDeNA戦後、ヤクルトナインはハマスタの大型ビジョンで、甲子園で行われた阪神-中日の戦況を見つめた。阪神が敗れると選手はマウンドへ。ベテラン・青木を中心に歓喜の輪ができた。 高津監督は拳を突き上げ、声を張り上げた。米大リーグでプレーした日本選手として初の優勝監督となった。熾烈を極めた2021年のセ・リーグ優勝争い。ヤクルトが頂点に立った。

◆ヤクルトが6年ぶり8度目のリーグ優勝を決めた。就任2年目の高津臣吾監督(52)が2年連続最下位のチームを見事に再建。横浜スタジアムで、ナインの手により5度宙に舞った。ヤクルトは11月10日に始まるファイナルステージから出場し、2001年以来の日本一を目指す。指揮官の優勝インタビューの全文は以下の通り。 ―今の心境 「開幕してからここまでたくさんいろんなことがあったので、今はほっとした気分と。選手が一生懸命頑張ってくれた成果だと思います」 ―甲子園の結果を待っている時の気持ちは 「まず最初に我々が勝つことが一番だと思っていました。確かにタイガースの勝敗は気になったんですけど、その前に今年を象徴するようないい打線のつなぎと、いいピッチャーのつなぎと。いい形で今日をとれたのがよかったと思います」 ―優勝が決まり、選手たちにかけた言葉は 「本当におめでとうといいました。選手の頑張りがすべてなので。心から本当におめでとうと言いました」 ―五回から継投。リリーフ、先発陣がよく投げた1年 「よく打線が注目されるんですけど、本当に先発投手から、この投手力がここ数年から今年にかけてすごくアップしたのが今年勝てた要因かなと思います。もちろんチーム一丸となって、打線もつないでいく、投手もつないでいくというつなぎの野球がしっかりできたのかなと思います」 ―2年連続最下位からの優勝。選手の成長をどう感じる 「今年のキャンプに入る前日に、2年連続最下位の悔しさをもって今シーズンに入っていこうという話をしました。そして1年、なかなか首位に立つ時間は1カ月ほどで短かったんですけど。悔しいスタートになったんですけど、その悔しさを選手たちが持って一生懸命戦ってくれた結果だと思います」 ―絶対大丈夫という言葉。ファンへ向けて 「絶対大丈夫です。我々は絶対にどんなことがあっても崩れません。ありがとうございました」 ―20年ぶりの日本一へ 「今はちょっと優勝、勝ったばかりでなかなかその先までは考えられないんですけど、このチャンスは絶対逃すものではないと思っていますし、我々の野球を、スワローズの野球をこれからも引き続きやっていきたいと思います」

◆DeNAのドラフト2位ルーキー・牧秀悟内野手(23)=中大=が六回、左越え二塁打を放ち、1958年の長嶋茂雄に並び新人最多記録となる14度目の猛打賞をマークした。 「素直にうれしい気持ち。いい形で二塁打と猛打賞が出て自分としても良かった。残り1試合ですが、気を抜くことなく頑張っていきます!」 今季の二塁打は35本目。新人では長嶋茂雄を上回り、セ・リーグ単独トップに立ち、1948年の笠原和夫(40)に次いで歴代2位の大記録となった。

◆DeNAは本拠地今季最終戦でヤクルトに完敗。甲子園で中日が阪神に勝利したため、2015年以来、6年ぶりのシーズン最下位も確定した。試合後には、本拠地最終戦にともないセレモニーが行われた。以下、三浦監督のあいさつ全文。 まずはヤクルトスワローズのファンの皆さま、優勝おめでとうございます。そして、DeNAベイスターズのファンの皆さま、コロナ禍で制限がある中、今年も熱い熱い声援、誠にありがとうございました。皆さんの期待に応えられず、誠に申し訳ございませんでした。今年味わった悔しさ、選手、スタッフみんなが持っています。この悔しさを忘れず、大きく光り輝けるチームを目指して頑張っていきますので、来シーズンも熱い声援をよろしくお願いいたします。 今、胴上げを見て悔しい気持ちでいっぱいです。選手たちも同じ気持ちだと思います。今シーズン、新しい光も出てきました。小さい光もありました。その光を集めて、もっと大きく輝けるようにやっていきますので、これからも熱いご声援をよろしくお願いいたします。今シーズンも本当にありがとうございました。

◆ヤクルトは26日、DeNA戦(横浜)に5―1で快勝。優勝マジック対象球団の2位・阪神が中日戦(甲子園)に0-4で敗れたため、6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たした。就任2年目の高津臣吾監督(52)が2年連続最下位のチームを見事に再建。横浜スタジアムで、ナインの手により5度宙に舞った。ヤクルトは11月10日に始まるファイナルステージから出場し、2001年以来の日本一を目指す。 ヤクルトの6年ぶりVに球界からも祝福の声が相次いだ。 米大リーグや巨人で活躍した上原浩治氏(46)はツイッターで「いや~決まりましたね ヤクルトスワローズの皆さん、おめでとうございます」と反応。「優勝予想はしてませんでした...この場を借りて申し訳なかったです」と詫びた。 西武などで活躍したG・G・佐藤氏(43)も「東京ヤクルトスワローズファンの皆様、おめでとうございます!!」とツイート。さらに動画も投稿し「東京ヤクルトスワローズ優勝おめでとう! ヤクルトで乾杯だ!」とヤクルトを飲み干して祝福した。 元ヤクルト、楽天の由規投手(31)=本名・佐藤由規、現BCリーグ埼玉=も「東京ヤクルトスワローズ 優勝おめでとうございます! ファンの皆様おめでとうございます!」と古巣のリーグ優勝を喜んだ。

◆ヤクルトは26日、DeNA戦(横浜)に5―1で快勝。マジック対象球団の2位・阪神が中日戦(甲子園)に0-4で敗れたため、6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たした。就任2年目の高津臣吾監督(52)が、2年連続最下位のチームを見事に再建。ナインの手で5度宙に舞った。2021年、大きく羽ばたいた燕の名場面を写真でプレイバックする。

◆DeNAは本拠地今季最終戦でヤクルトに完敗。甲子園で中日が阪神に勝利したため、2015年以来、6年ぶりのシーズン最下位も確定した。 試合後、南場智子オーナーが報道陣の取材に対応。2年契約1年目の三浦大輔監督について「私は大変に納得のいく采配、ゲーム運びをしてくれたと思っている。後から質問しても納得のいく答えが返ってくる、しっかりとした采配をしてくれた。全くそこについては課題を感じていないどころか、素晴らしい滑り出し」と評価した。 来季の続投については「それについては(続投が)前提として考えていて、(三浦監督も)その前提として承知してくださっていると思う。来年、この悔しさを晴らしてくださいと思っている」と語り、今季最終戦となる28日の広島戦(マツダ)後に正式に話し合いの場を設けることを明かした。

◆ヤクルトが6年ぶり8度目のリーグ優勝を飾った。開幕前に巨人からトレードで加入したヤクルト・田口麗斗投手(26)は、巨人時代から合わせて〝1人3連覇〟を成し遂げた。 先発、中継ぎとフル回転し、この日は五回2死一塁で森を投ゴロに仕留めて任務完了。ムードメーカーとしてもチームを盛り立てた左腕は、胴上げの輪の中でも元気いっぱい。 高津監督が胴上げの回数を「何回にする?」と相談している選手たちの様子を暴露。「田口が(背番号の)22回と言ったので、じゃあ、5回にしてくれと」と明かしていた。

◆ヤクルトは横浜スタジアムでの試合後に東京都内へ移動して祝勝会を行った。新型コロナウイルス感染防止のためビールかけは行わず、着席したままノンアルコールビールで乾杯した。 選手会長の中村は「苦しい試合が続いたが、チーム一丸となって勝ち取った最高の優勝だと思う」とあいさつ。高津監督は「僕を優勝監督にしてくれてありがとう。今日だけはほっとして、次の目標に向かっていきましょう」と呼びかけた。

◆6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たしたヤクルトは試合後、都内に移動して祝勝会を行った。新型コロナウイルス感染防止のため恒例のビールかけは行わず、着席したままノンアルコールビールで乾杯した。 青木宣親外野手(39)は心境を問われると、「めちゃくちゃうれしいですね。本当に、それだけだと思ってヤクルトに復帰したので、本当に格別です」と感激の面持ち。今季から主将を務め、チームを牽引(けんいん)した山田哲人内野手(29)について「哲人がね、キャプテンをやりたいっていうことを聞いて、本当に自分もうれしく思いましたし、本当に引っ張ってくれましたからね。本当に頼もしく見ていました」とたたえた。 山田は「今年はキャプテンをさせていただいて、周りを見ながら2015年よりは視野を広くプレーできたのかなと思いますし、自分にプレッシャーをかけながらなんとか勝利に貢献できるプレーはたくさんできたのかなとは思います」とうなずいた。さらに、2001年以来の日本一に向け決意も新たに。「ここまで来たら日本一になりたいので、とりあえずCSを勝ち抜いて、日本シリーズを勝てたらなと、日本一になれたらなと思います」と誓った。 選手会長の中村悠平捕手(31)は、6年前の優勝は「『あれ? 優勝しちゃった』って感じだった」と告白。春季キャンプで臨時コーチを務めた古田敦也氏(56)にかけられた「お前がその気になれ」という言葉を胸にプレーしてきたといい、「本当にうれしいです」と優勝の余韻に浸った。 村上宗隆内野手(21)は「哲さんがキャプテンになる時にチーム全体で支えていこうと、チーム全員が副キャプテンの気持ちでやっていこうと、全員話し合ってやっていました。本当に"キャプテン山田哲人"の後ろで僕たちが必死に声を出してやってこれた結果だと思います」と胸を張り、「残り2試合シーズンがありますし、そこもしっかり頑張りたいと思いますけど、その後のCSをしっかり勝ち抜いて日本一になれるように頑張ります」と言葉に力を込めた。

◆新主将の山田が、優勝の喜びをかみしめた。国内フリーエージェント(FA)権を行使せず残留した昨オフに主将就任を志願。11年目の今季は、投手に積極的に声をかけるなど成長し、チームの先頭に立った。この日は4打数無安打に終わったが、34本塁打、101打点の好成績で打線を引っ張り、「勝利に貢献できるプレーはたくさんできたと思う」と胸を張った。2015年の前回優勝時には到達できなかった真の頂へ「ここまで来たら日本一になりたい」と力強く宣言した。

◆3―1の三回1死二、三塁で中村悠平捕手(31)が左中間フェンス直撃の2点二塁打。貴重な追加点をたたき出し、二塁ベース上で雄たけびを上げた。一時2番を打った〝陰のMVP〟はここまでの戦いを振り返り、自身のターニングポイントを挙げた。 「ノリさん(青木)とかの離脱もあったけど、2番という打順を任せていただいたときに『もっとその気にならないといけない』と思った」 開幕当初は苦難の連続だった。阪神に本拠地で開幕3連敗。2カード目のDeNA戦(横浜)ではコロナ禍で青木が離脱し、山田、西浦らも欠く中、中村が2番に抜擢(ばってき)された。 2月のキャンプで古田敦也臨時コーチから「その気になれ。捕手で勝たせろ!」と激励された。その思いを胸に投手陣をリードし、要所で好打を放ってきた。扇の要が、この日もひと際輝いた。

◆いつもと違う〝仕事場〟でスコアボードに「0」を並べた。高橋奎二投手(24)は六回から2回1安打無失点で4勝目。今季初の救援で力を示し「後ろにいい形でつなぐことができて良かった」と息をついた。 ここまで登板した12試合は全て先発で3勝1敗。ローテーションの一角を担ってきた高卒6年目左腕を高津監督は〝勝負手〟で送り出した。 六回こそ1死から牧に左越え二塁打を浴びるなど2死一、三塁のピンチを背負ったが、最後は代打・宮崎を見逃し三振に斬り、七回も走者を背負いながら後続を断った。「2イニング目は、いつも投手コーチに言われている8割の力で10割のボールを投げる意識で投げた」とうなずいた。 9勝を挙げる高卒2年目の奥川とともに、チームの躍進を象徴する若き二枚看板。6年ぶりのリーグ優勝を〝新戦力〟が牽引(けんいん)した。

◆鉄壁の守りは、崩れなかった。清水昇投手(25)が八回に5番手で登板し、1回1安打無失点。優勝へのバトンをつないだ右腕を含めシーズンを通して奮闘した投手陣に、高津監督は賛辞を贈った。 「よく打線が注目されるけど、投手力がすごくアップしたのが今年勝てた要因かなと思います。チーム一丸となって、打線もつないでいく、投手もつないでいくというつなぎの野球がしっかりできた」 指揮官の言葉通り、全員でつないだ勝利。6年ぶりのリーグVを支えたのは、間違いなく投手陣だ。昨季、12球団ワーストだったチーム防御率(4・61)は、3・45と大幅に改善。先発陣の奮闘ぶりに加え、救援陣の安定感が光った。 屋台骨を支えたのが、3年目の清水だ。プロ野球記録を更新するシーズン50ホールドをマークし、リーグ最多の72試合に登板。2年連続で最優秀中継ぎ投手のタイトルも確定させている。 試合前。投手陣の練習前に、肩を組んでスクラムを作った。2015年のシーズン最終盤でも行われ優勝に導いたゲン担ぎで気合を注入。一丸で勝利をつかんだ。 今春のキャンプから、伊藤投手コーチが掲げてきた「チェンジ」「チャレンジ」「チャンス(をつかめ)」の〝3C改革〟が結実。大きく成長した投手陣に、燕党から万雷の拍手が送られた。

◆念願の初優勝だ! ヤクルト・青木宣親外野手(39)が26日、DeNA最終戦(横浜)で1安打1得点。ヤクルト12年目で初のリーグ優勝を経験し、歓喜に浸った。今年は2度の新型コロナウイルスによる濃厚接触者と判定され、コンディション維持に苦心したが、背中と結果でチームを牽引(けんいん)した。 阪神が敗れた瞬間、フライングでマウンドに駆け出した。ヤクルト12年目、青木が一番乗りで歓喜の輪をつくった。 「目の前の一戦に集中してやっていった結果だけど、優勝がほしかったので本当にうれしいです」 米大リーグ、ロイヤルズでプレーしていた2014年にリーグ制覇した経験はあるが、ヤクルトでは初の優勝だった。 18年1月31日。キャンプイン前日に古巣への電撃復帰が決まった。百戦錬磨のベテランは入団会見で「やり残したことはヤクルトでの優勝」と言い切った。 主将として2年間チームを支え、『諦めない。前を向く大切さ』と言葉と背中で示してきた。上昇気流に乗った18年は、勢いは止まることを知らず。19年にリーグワースト記録となった16連敗を喫した際も、ナインは下を向かなかった。 若手からベテランまで、ベンチ最前線で声を出し、仲間を鼓舞する。今季から主将を務める山田にも大きな影響を与えた。青木に刺激を受け、チームに7年契約で残留し、バトンを引き継いだ。 「哲人は本当に頼もしかった。主将をやりたいということを聞いて、本当にうれしく思ったし、チームをいい方向に導いてくれた」 チームは変わった。塩見、村上、奥川ら若手が伸び伸びプレーし、ベテランが支える。青木が築き上げたチームの土台が、令和の黄金期をつくる。(横山尚杜)

◆ヤクルトは26日、DeNA最終戦(横浜)に5-1で勝利。2位・阪神が中日に敗れたため、6年ぶり8度目のセ・リーグ優勝が決まった。就任2年目の高津臣吾監督(52)が、2年連続最下位のチームを見事に再建し、米大リーグでプレーした日本選手として初の優勝監督となった。セのクライマックスシリーズ(CS)は昨季、コロナ禍で実施を見送ったため、今季は2年ぶりの開催。ヤクルトは11月10日に始まるファイナルステージから出場し、2001年以来の日本一を目指す。 高津監督の目は潤んでいた。マウンドに向かって笑顔で駆け出す選手たちの背中を、万感の思いで見つめた。 「一番はホッとしています。厳しいシーズン、難しいシーズンだったなと。選手たちがよく踏ん張って、よく我慢して、本当に強くなった」 6年ぶり8度目のリーグ制覇。2001年に同じ横浜スタジアムで胴上げ投手となった指揮官は、ナインに「本当におめでとう」と伝えた後、5度宙に舞った。 天国の恩師は笑ってくれているだろうか。再建を託された就任1年目の昨季は、2年連続の最下位。再起を誓う中、高津監督は自宅の廊下に掲げた色紙の前で、何度も足が止まった。 『捲土重来』―。1998年オフ。野村克也元監督がヤクルトを退団する際、「サインをください」と頭を下げた。97年に野村スワローズが優勝した際のスローガンで「一度敗れた者が、再び勢いを盛り返し巻き返すこと」を意味する四字熟語。23年間苦しいときの支えとなった師の言葉が、より胸に響いた。巻き返しを期すため、己を捨てた。こだわりが強い指揮官は昨季、多くを一人で決め、勝敗を背負った。結果は出なかった。「何かを変えないといけない」。どん底からはい上がるため、自身の考えを改めた。「任せよう」。戦術、戦略などで各コーチを頼った。打順や起用法、守備シフトなど異なる視点からの意見に耳を傾け、尊重した。「一人欠けても戦力ダウンになる」と選手にも全員で戦うことの重要性を説いた。始まりは最悪だった。阪神に開幕3連敗を喫し「選手の目つきが変わった。危機感がより強まった気がした。このままじゃ駄目だと」。直後、新型コロナウイルスの影響で青木ら主力が離脱。危機的状況で、全員で戦うことを体現した。3月31日のDeNA戦(横浜)で捕手の中村を初めて2番で起用。「そのとき一番いい選手を使う。『代わりが頑張っている』と言われたけど、代わりとは思っていない」。期待に応える選手を見て、自身の役割を再確認した。「選手を気持ちよくグラウンドに立たせてあげたい。僕には言葉しかない」指揮官の言葉が、ナインの結束を強くした。現役時代、野村元監督から勝利後にかけられた「サンキュー」の一言が忘れられない。「またその言葉を聞きたくて頑張ろうと思えた」。言葉の力は偉大だと知っていた。9月7日の阪神戦(甲子園)。試合前に選手を集め「絶対に大丈夫だから。チームスワローズが一枚岩でいったら、絶対に崩れることはない。何かあったら僕が出ていく」と伝えた。9月13日の中日戦(バンテリンドーム)では、敗戦を告げた審判の判定に約15分間の猛抗議。怒気を帯びた表情で声を荒らげる指揮官の姿に、ベンチにいた選手たちは執念を感じ優勝への思いを強くした。熟睡できた日はない。睡眠導入剤を飲んでも、短時間で目が覚める毎日。だが、家族に弱みは見せない。「勝負師として、負けても胸を張って帰りたい」。歓喜の涙は、初めて〝弱み〟を見せた瞬間だった。昨年2月11日に亡くなった野村さん。墓前には、勝利の報告をすると決めていた。「感謝してもしきれない。会いたいね、会いたい」。迷ったときは現役時代に書きためた「野村ノート」を見返し再びスワローズを強くした。だから、優しくぼやいてくれるはずだ。「ようやったな」と。(赤尾裕希)

◆DeNA・南場智子オーナー(59)は、本拠地最終戦となった26日のヤクルト戦後に三浦大輔監督(47)が来季も続投する方針であることを明らかにした。来季が2年契約の2年目で「続投することが前提で『来年この悔しさを晴らしてください』と思っている」と語った。 6年ぶりの最下位が確定したが、同オーナーは「大変に納得のいく采配、ゲーム運びをしてくれた」と評価。全日程終了後に話し合いの場を設ける。三浦監督はセレモニーで「胴上げを見て悔しい気持ちでいっぱい」とし雪辱を誓った。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
735018 0.593
(↑0.003)
優勝
(-)
2617
(+5)
518
(+1)
141
(-)
70
(-)
0.254
(-)
3.450
(↑0.01)
2
(-)
阪神
775610 0.579
(↓0.004)
1
(↓1)
0541
(-)
508
(+4)
121
(-)
114
(-)
0.247
(↓0.001)
3.300
(-)
3
(-)
巨人
616220 0.496
(-)
12
(↓0.5)
0552
(-)
541
(-)
169
(-)
65
(-)
0.242
(-)
3.630
(-)
4
(-)
広島
606812 0.469
(-)
15.5
(↓0.5)
3537
(-)
581
(-)
120
(-)
65
(-)
0.262
(-)
3.850
(-)
5
(-)
中日
557117 0.437
(↑0.005)
19.5
(-)
0405
(+4)
478
(-)
69
(-)
60
(+1)
0.237
(-)
3.220
(↑0.03)
6
(1↓)
DeNA
547216 0.429
(↓0.003)
20.5
(↓1)
1559
(+1)
617
(+5)
136
(-)
30
(-)
0.258
(-)
4.130
(↓0.01)