広島(★2対7☆)阪神 =リーグ戦25回戦(2021.10.24)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
0100000102621
勝利投手:伊藤 将司(10勝7敗0S)
敗戦投手:九里 亜蓮(12勝9敗0S)

本塁打
【阪神】佐藤 輝明(24号・2回表3ラン)
【広島】坂倉 将吾(12号・2回裏ソロ)

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◆投打のかみ合った阪神が4連勝。阪神は2回表、佐藤輝の24号3ランが飛び出し、先制に成功する。その後4-1で迎えた8回には、坂本の適時三塁打などで3点を奪い、勝負を決定づけた。投げては、伊藤将が6回途中1失点で今季10勝目。敗れた広島は、投打ともに精彩を欠いた。

◆両チームのスタメンが発表された。21日の中日戦(甲子園)で右ハムストリングスに強い張りを感じ、途中交代した阪神近本光司外野手(26)が、2試合連続でスタメンから外れた。 阪神は前日23日と同じオーダー。「1番中堅」島田海吏外野手(25)、「3番三塁」糸原健斗内野手(28)、「5番二塁」木浪聖也内野手(27)が継続された。 また、ルーキー佐藤輝明内野手(22)が「7番右翼」で2試合連続スタメン出場する。 阪神先発は伊藤将司投手(25)。勝てば10勝に到達し、球団新人では13年藤浪以来となる。伊藤将は広島戦に過去3試合先発して2勝0敗、対戦防御率0・95と好相性を誇る。10月は負けなしの2勝、月間防御率も0・82と好調をキープしている。 対する広島先発はここまで12勝を挙げ、阪神青柳に並ぶハーラートップの13勝を目指す九里亜蓮投手(30)。九里は今季、阪神戦に4試合先発して1勝3敗、対戦防御率4・98。逆転優勝を狙う阪神からすれば全4試合で得点しており、今回も攻略したいところ。

◆待ちに待った1発から大爆発だ! 阪神佐藤輝明内野手(22)に約2カ月ぶりのアーチが飛び出した。 0-0の2回1死一塁、三塁。カウント1-2と追い込まれてから、広島九里の140キロ直球をとらえ先制の24号3ランを右翼席にたたき込んだ。打った瞬間スタンドインだと分かる当たりで、右翼の鈴木誠もその場を動かず、その瞬間は後ろを振り向くこともなかった。佐藤輝は三塁手前で右手を突き上げ感情をあらわにし、ベンチ前では久々の「Zポーズ」を繰り出した。 佐藤輝は球団を通じて「絶対に負けられない試合で、つないでチャンスの場面を作ってもらったので、最高のバッティングができて良かったです。チーム全員でしっかり勝ち切れるように頑張ります」と力強くコメントした。 本塁打は8月19日のDeNA戦(東京ドーム)での23号以来となった。新人の24本塁打は58年の森徹(中日)を抜き、歴代単独7位の記録となった。 あと1本で新人の今世紀最多、03年村田修一(横浜)の25本に肩を並べる。新人の最多記録は31年桑田武(大洋)、86年清原和博(西武)の31本。この試合を含めて残り2試合。26日のレギュラーシーズン最終戦の中日戦(甲子園)にも期待がかかる。 佐藤輝は3点リードの8回無死一塁では、広島3番手のケムナから右前打を放ち、こちらも8月19日以来のマルチ安打とした。無死一、三塁とチャンスを拡大して今季6個目の盗塁で二塁を陥れると、坂本の右翼越えの2点適時三塁打で生還した。 後半戦はNPB野手ワーストの59打席連続無安打や2軍降格も経験。前日23日は、広島森下から左前打を放ち、直後の坂本の同点適時打につないだ。2試合連続「7番右翼」でスタメン出場したこの試合も、首脳陣の起用に応えてみせた。怪物ルーキーの復活弾が、逆転Vへの号砲となるか。

◆阪神の先発・伊藤将司投手(25)が、2桁10勝の権利を持って6回途中で降板した。 2回に佐藤輝の24号3ランで援護をもらった。その裏に広島坂倉に1発を浴びたが、その後5回までは菊池涼の1安打だけ抑えた。6回1死から西川に四球を与え、鈴木誠を一ゴロに打ち取ったところで、及川と交代した。及川は坂倉を左飛に打ち取り、無失点でこの回を締めた。 伊藤将は5回2/3を投げ、4被安打1失点。降板後は「今日はランナーも多く出してしまいましたが、その中で最少失点で抑えられたことはよかったと思います。このままチームが勝てるようにしっかり応援します!」と語った。 このまま救援陣がリードを守れば伊藤将は10勝目。球団新人の2桁勝利は13年の藤浪以来で、2リーグ分立後の左腕では67年の江夏豊以来2人目の快挙となる。

◆阪神中野拓夢内野手(25)が7回に今季30個目の盗塁となる二盗を決めた。2位近本(24盗塁)に6個差をつけ、盗塁王へまた1歩前進した。 7回1死一塁から左前安打で出塁。1死一、三塁で続く3番糸原の初球に二盗を決めた。新人の30盗塁は球団では19年近本の36個、01年赤星39盗塁以来3人目。 2位近本とともに残りは1試合。21盗塁で3位のヤクルト塩見はこの日のナイターを含め4試合を残している。

◆2位阪神が佐藤輝明外野手(22)の待望の24号3ランで広島に競り勝ち、逆転優勝に前進した。 佐藤輝は2回1死一、三塁で広島先発の九里亜蓮(30)の140キロストレートを捉え、右翼スタンド上段へ。8月19日DeNA戦(東京ドーム)以来のアーチで、右翼の鈴木誠也(27)が守備位置から動かない完璧な当たりだった。 広島はその裏、坂倉将吾捕手(23)のソロで反撃した。 阪神は7回に糸原健斗内野手(28)の犠飛で1点を加え、8回には坂本誠志郎捕手(27)の2点適時三塁打で突き放した。 守っても先発の伊藤将司投手(25)が6回途中1失点で試合をつくり、ブルペン陣が広島の反撃をかわした。伊藤将は10勝目で、球団の新人では13年藤浪以来、2リーグ分立後の左腕では67年江夏豊以来、2人目快挙となった。 ナイターの首位ヤクルトの結果次第で、阪神は最短で26日に逆転優勝する可能性がある。

◆阪神ラウル・アルカンタラ投手(28)が4-1の7回に3番手で登板し、1イニングを完全に抑えて3点リードを守った。 先頭の菊池涼を151キロ速球で、続く堂林を変化球で連続空振り三振。林は中飛に打ち取った。連投の右腕は「今日もみんなが良い仕事をしてバトンを渡してくれたから、自分も必ず抑えて次につなぐという気持ちだったよ。0点で抑えることができてよかったね」と振り返った。

◆先発は広島が九里、阪神が伊藤将。阪神は2回に佐藤輝の24号3ランで先制。広島はその裏、坂倉の12号ソロで1点を返した。 中盤まで両先発が粘った。九里は6回2死満塁をしのぐと、伊藤将は5回2/3を1失点。6回2死二塁で登板の及川は後続を断った。 終盤に追加点を奪って広島を突き放した阪神が大勝。2引き分けを挟み、4連勝。新人伊藤将が2桁10勝目。広島九里は9敗目。

◆阪神及川雅貴投手(20)が6回2死二塁のピンチを無失点でしのぎ、先発した伊藤将の勝利投手の権利を守った。 得点圏に走者を背負った場面で、2番手で登板。2回の第1打席でソロを放っていた坂倉を左飛に抑えた。「(伊藤)将司さんが本当に良いピッチングをしてくれていたので、自分もあの場面をなんとか切り抜けたいと思い、マウンドに上がりました。抑えることができてよかったです」と先輩の力投に応えた。これで今季10ホールド目をマークした。

◆ルーキー佐藤輝が24号を含む2安打で、今季101安打。阪神では同じ新人の中野が127安打しており、100安打の新人コンビは、58年広島の小坂と森永以来63年ぶりで、ドラフト制後では初めてとなった。球団では48年に後藤と別当がマークして以来73年ぶり2度目。また、24本塁打は58年森(中日)を抜き新人単独7位。 ▼中野は今季30盗塁。新人の30盗塁は19年近本(阪神)以来17人目。阪神では01年赤星39盗塁、前記近本36盗塁に次いで3人目。 ▼伊藤将が今季の新人では一番乗りの10勝目。阪神で2桁勝利した新人は13年藤浪以来9人目で、左投手では49年田宮、67年江夏に次いで54年ぶり3人目。

◆阪神が引き分けを挟んで4連勝を決めた。先発のルーキー伊藤将司投手(25)が、5回2/3 4安打1失点と好投し、10勝目を手にした。同じく新人の佐藤輝明内野手(22)が2回に約2カ月ぶりのアーチとなる24号3ランを放った。矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。 -伊藤将はプレッシャーのかかる試合で持ち味を出した いやいやホントね、これで2桁(勝利)やし。もちろん俺らは絶対勝たなアカンという状況の中で、いろんな雑念というか、プレッシャーに感じるところもあったけど。まあまあ、そういうところではアイツ動じないで、もしかしたら逆にそこをプラスに考えて投げてくれたんかなって気もするし。きょうも調子自体はまあどうかなって感じはあったけどね、3点入って逆に、楽になるっていうより、今のチーム状況では逆に守らなアカンとか、そういうふうになりそうなところやけど。本当によくいってくれたんで。俺の中ではあそこ(6回途中)で、申し分ないというところで代えました。 -新人で開幕からローテを守った いやいやもうありがたいよね。本当、1年間ローテで投げるってことだけでも大変やし、プロで1年間ずっと投げるっていうことはアマチュアではなかなか経験できないことなので。その中でも結果もしっかり出して、貢献してくれたというのもそうやし。高校、大学、社会人といろんな経験してきたものが、そのまま簡単に出せないんだけど、そのまま出してくれたというのは、これからもね、楽しみなピッチャーになっていってくれるのかなと思っています。 -及川も久々の登板だったが抑えた 1個のアウトやけど、めちゃめちゃデカいからね。 1/3やけど、しっかり止めてくれるというのはね。プレッシャーもかかるし、マイナスを考えればいろいろなことを考えてしまうけど。向かっていってくれて、意図したところにボールを投げられていたんでね。あの1/3が大きい。 -佐藤輝の1発 久しぶりやな。いつ以来や。 -2カ月ぶり 2カ月ぶり。一番というか、ええところで出てくれて良かったしね。打線もなかなかつなげて、つなげてというチャンスは少ないかなと思っていたんでね。そういうところでは最初に3点取ったというのも大きいしね。今後のことも考えて輝が打ったということも明るい材料の1つやしね。 -きっかけにしてほしい もちろんいい攻めをされたら厳しいところもあるしね。でも、そうやってちょっとでも甘くなったり、ミスしてくれたところを仕留めるというところが出てくれば楽しみにはなってくるなと。きっかけは、どこでどうなるかわからないけど。もう1本出たしね。 -中押し、ダメ押しもあった 今正直チームの打線の状態がいいよとは正直言えない中でね、全員の気持ちでこうやってつなげてくれたっていうのも大きいし、誠志郎も守備もバッティングの方もね、しっかりやってくれてるんで、あの点数も大きいし、まあまあ全員で勝てたかなっていう。 -スクイズも確実に決めた あれも追い込まれてからやから簡単じゃないんだけど、まあまあ、作戦なんて選手たちがやってくれてこそなんでね、島田がよく決めてくれたなって思います。 -優勝の可能性という意味でも大きな1勝 もちろんもちろん、それしか、もちろんないし、まあ、もちろんまだヤクルトが負けてくれないとっていう条件が付いたにしてもね、いいプレッシャーはかけられてると思うんで、残りひとつ、そこを目指して戦いきるしかないんで、今日までやることはしっかりみんなやってくれたし、できたと思います。

◆阪神佐藤輝明内野手(22)の2カ月ぶりの本塁打となる24号3ランが決勝弾となり、チームを4連勝に導いた。 ヒーローインタビューは以下の通り --先制かつ決勝の3ラン。走者を2人置いての打席 点数がほしい、先制したい場面だったので、走者をかえせるようにと心がけて、打ちました。 --カウント的には1ボール2ストライクと追い込まれてからの本塁打 相手の攻め方もわかってきているんで、そういうのも頭に入れながら、しっかり打つことができました。 --打球は右翼手鈴木誠が動かない豪快なアーチ しっかりとらえることができたのでよかったです。 --本塁打は8月19日DeNA戦(東京ドーム)以来 すごく久しぶりだったので、すごい、気持ちよかったです --打った感触も 打った瞬間、いったと思いました。 --同期入団の伊藤将の10勝をアシスト 勝ちをつけることができたので、そういう点でもよかったかなと思います。 --右翼の守りから見て、今日の伊藤将の投球は いつも通りの安心できる投球で、すごく頼もしかったです。 --スタメン起用に応えた 本当に負けられない戦いが続いているんで、そういった中で、こういった活躍ができたので、とてもよかったです。 --26日の最終戦は甲子園で優勝の可能性も出てきた 僕たちは、僕たちの、ヤクルトの結果とかではなくて、自分たちの試合にしっかり集中して、あと1勝絶対したいと思います。頑張ります。

◆最多勝を狙う広島九里亜蓮投手(30)は、リーグトップ13勝の阪神青柳に追いつくことはできなかった。先発した阪神戦で、佐藤輝に豪快な3ランを浴びるなど6回2/3、137球を投げて4失点。12勝から白星を積み上げることはできなかった。前日23日にリーグ4位が決まったチームは、中継ぎ陣も崩れて完敗した。初のタイトル獲得へ、痛い足踏みとなった。最多勝を狙う広島九里は、6回2/3 4失点。青柳に並ぶトップの13勝目はならなかった。 1回を3者凡退で斬ったが、2回1死から連打で一、三塁。佐藤輝を追い込みながらも、内角球が中に入り、右翼席後方に3ランを運ばれた。序盤で3点ビハインド。「打たれたので。どういう風にしていけばいいか、考えながらやっていきたい」。試合後も自分に納得できない様子だった。 3回以降は粘り強く投げ、6回までで球数は120球に達した。それでも続投した7回は、3試合連続の中5日登板も影響したのか、1点を失って途中降板。「あそこで行かせていただいたことを意気に感じて、0点で帰れればよかったけど、回の途中で降りてしまった。もっとしっかりとやらないといけないなと、自分で受け止めて、できるようにやっていきたい」。首脳陣のアシストに応えられず、唇をかんだ。 登板機会はあと1試合。青柳が26日にチーム最終戦の中日戦で14勝目を挙げ、2勝差となれば厳しくなる。それでも「チャンスがあれば取りたい。しっかりとした投球をしないと意味がない。そのための準備をしていきたい」と諦めない姿勢を示した。【前原淳】 ▽広島佐々岡監督(九里について)「球数は多くなりましたが、何とか粘り強く投げていたので(勝たせてあげたかった)。最後の最後まで、可能である限りは(登板を)考えている」

◆広島坂倉将吾捕手の19試合ぶり12号ソロも空砲に終わった。 3点を追う2回。1死から伊藤将のやや甘く入ったツーシームを捉えて右翼席に運んだ。9月29日の阪神戦以来、約1カ月ぶりの1発。「甘い球が来たら振ろうと思っていました。ちょっと泳いだ形でしたが、うまく引っ張れた」と振り返った。9回の最終打席は二塁打を放ち、打率をリーグトップ鈴木誠に4厘差に迫る3割1分4厘に上げた。

◆2試合連続5番で先発した阪神木浪聖也内野手がマルチ安打をマークした。 近本が欠場、大山が先発を外れる中、2回1死から左前打で出て佐藤輝の先制3ランにつないだ。6回1死一塁では右前に引っ張り、得点機をつくった。初めて5番に入った前日23日は「全然仕事ができなかった」と4打数無安打だったが、「とにかく自分のやるべきことをやろうと決めて今日臨んだ。それが結果につながったのが良かった」。二塁守備でも9回に先頭野間の一、二塁間への打球にバウンドを合わせて巧みにさばいた。

◆阪神糸原健斗内野手が7回に中押しの犠飛を放った。1死二、三塁で広島九里のストレートを捉え、中堅へ。三塁から島田をホームに迎え入れた。 2回に3点を先制も中盤の得点機を逃し、2点のリードで終盤に入っていただけに「なんとかしたいという思いでした。最低限ですが、追加点を取ることができてよかった」と快勝への流れをつくった一打に自信を持った。

◆阪神坂本誠志郎捕手が2戦連続で打撃でも貢献した。4-1の8回無死二、三塁で右越えの適時三塁打。「点差が開けばザキさん(岩崎)やスアちゃん(スアレス)も休める」。女房役ならではの気遣いがこもった2点打だった。 守っても伊藤将の粘投を支え、「この前ほど良くなかったかもしれないですけど、そういう中でも試合をつくったり丁寧に投げたりでき、こういう試合につながった」とねぎらった。レギュラーシーズンのゴールに向け「みんなで笑います」と言い切った。

◆阪神及川雅貴投手(20)が6回にワンポイントの火消しを決めた。 2死二塁で伊藤将を救援し、2回にソロを放っていた坂倉を左飛に片付け、伊藤将の10勝目を守った。「(伊藤)将司さんが良いピッチングをしていたので、自分もあの場面をなんとか切り抜けたいとマウンドに上がりました」と力投に応えた。矢野監督は「1個のアウトやけど、めちゃめちゃデカいからね。向かっていってくれて、意図したところにボールを投げられていた」と喜んだ。

◆阪神佐藤輝明内野手(22)の2カ月ぶりの本塁打となる24号3ランが決勝弾となり、チームを4連勝に導いた。佐藤輝は「自分の世界」を持つ、ぶれない男だ。近大での4年間で唯一打率1割台に終わった19年秋。「全体練習が終わって、気づけば室内練習場で、黙々と打ち込んでましたね。打撃練習中は話しかけづらいオーラで自分の世界に入っていました」。1学年先輩で佐藤輝と中軸を組んだ竹村陸(現日本生命、24)は近くでその姿を見てきた。 普段は誰からも「テル」と呼ばれ、愛されキャラで「隙だらけ」。それが打撃の話になると一変。「『どうやってそんなに飛ばすん?』って聞いたら難しいこと言っていて分からなくて諦めました。テルみたいな感覚を持っている人じゃないと分からんのかな...」。 他にも「試合に行く前は1人でカレーを食べていたり、寮の部屋には見たことないサプリのカプセルが山積みだったり」。4年時は大学日本代表に選出された竹村をもってしても、理解不能な"輝ワールド"。V争い最終盤でも自分を貫き、次の1本を目指す。【阪神担当=中野椋】

◆阪神矢野監督が執念のスクイズでとどめの7点目をもぎ取った。 8回に1死三塁で、打席の島田はカウント2-2と追い込まれながらスクイズを敢行。7球目に三走坂本がスタートを切って本塁を陥れた。終盤に飛び出した一手は矢野監督にとっては珍しいタクトだった。指揮官は「追い込まれてからやから簡単じゃない。作戦なんて選手たちがやってくれてこそなんでね、島田がよく決めてくれた」と背番号53を褒めた。 3点差で迎えたこの回は先頭ロハスの中前打から佐藤輝の右前打で無死一、三塁と好機をつくった。佐藤輝が盗塁を決めた後、坂本が2点適時三塁打を放っていた。5点差に突き放したところで、広島の戦意を喪失させるダメ押しスクイズとなった。

◆阪神中野拓夢内野手が7回に二盗を決め、今季30盗塁とした。 1死一塁から左前打で出て、続く糸原の初球に成功。球団新人で30盗塁は01年赤星の39個、19年近本の36個に続いて3人目で、ドラフト6位以下では初の快挙となった。「目標としてましたし。まずはその目標に掲げていた30盗塁ができてよかったかなと思います」。リーグ2位の近本に6個差をつけて盗塁王へ前進した。 2回にはベンチで、ドラフト同期の佐藤輝の約2カ月ぶりの大アーチを見届けた。「本当にすごいホームランだったと思いますし、またそれがあったからこそ、という話ですし。自分のことのようにうれしかったです」。白星を呼んだ復活弾に自分のことのように声をはずませた。10勝目を挙げた伊藤将も含め、新戦力がタイガースの進撃を後押ししている。

◆社会人出身ルーキーの強心臓が頼もしかった。阪神伊藤将司投手(25)が、逆転優勝への重圧かかる中、5回2/3を1失点で10勝目を挙げた。 「優勝するのにあと1歩。そういう中で自分の投球スタイルを崩さず投げることを意識した」と力まずツーシーム、カットボールと球を動かした。 初回、先頭宇草にいきなり安打を許したが、動揺することなく2番小園を追い込んで低め140キロ直球で遊ゴロ併殺に仕留めた。失点は2回の坂倉ソロの1点のみ。首位打者と本塁打王を争う4番鈴木誠には3打数無安打と仕事をさせなかった。2点リードの6回2死二塁、90球で坂倉を迎えたところで降板となったが、矢野監督は「絶対に勝たなあかんという状況の中で、アイツは動じないで投げてくれた。申し分ないというところで代えた」と気持ちの強さを絶賛した。 チームでは青柳、秋山に続く今季3人目の2桁到達となった。球団の新人では13年藤浪以来、左腕では67年江夏以来10人目。1年目から先発ローテーションを守って10勝7敗と貯金3つをつくった。140回1/3で規定投球回数にあと2回2/3足らないが、防御率2・44はトップ中日柳の2・20に続く"隠れ2位"の活躍だ。昨年12月の入団会見から「目標は2桁」と掲げ、有言実行に「実際に結果で残ってよかった」と笑った。 「社会人時代も一発勝負でやっていたので」とJR東日本時代の経験がプロでも大一番で生きた。横浜高時代には渡辺元智監督(76)から「体に隠して投げろよ」と指導され、グラブを持つ右手を高く上げ、リリースが見えにくいフォームをここまで継続してきた。2月のキャンプでは藤浪らの剛球を見て驚いたが「自分のプレースタイルを貫いて」と、自分を見失わなかった。この日の最速も143キロ。剛球でなくても、味のある投球で16年ぶりのリーグ優勝への望みを大きくつなげた。【石橋隆雄】

◆2位阪神がルーキー佐藤輝明内野手(22)の復活弾で逆転優勝へ望みをつないだ。敵地広島戦の2回に約2カ月ぶりの1発となる24号先制3ラン。これが決勝点でチームは4連勝とした。 一方の首位ヤクルトは巨人に勝ってマジック2。阪神は26日に中日戦(甲子園)を残すのみで、この最終戦に勝って最短29日の「待機V」につなげたいところ。目覚めた怪物ルーキーとともに聖地で運命の一戦だ。右翼の鈴木誠は1歩も動かなかった。佐藤輝はスタンドインを確信し、バットを掲げ1歩、2歩...。右翼席最深部へ着弾を確認するとゆっくりと走りだした。 「打った瞬間、いったと思いました。すごく久しぶりだったので、すごい、気持ちよかったです」 8月19日DeNA戦(東京ドーム)以来の24号3ランは2回1死一、三塁。カウント1-2から九里の内角140キロ直球を、バットの根元寄りで打ち返した。それでも特大の推定飛距離135メートル。「相手の攻め方も分かってきているんで、そういうのも頭に入れながら」。追い込まれてもフルスイングを貫き、今季24発中12発が2ストライクから。ベンチ前では久々の「Zポーズ」を繰り出した。 前半戦だけで20発放った怪物ルーキーだが、後半戦はプロ初の2軍降格、NPB野手ワーストの59打席連続無安打とどん底だった。打撃練習でさえ、満足な打球を飛ばせない期間もあった。 それでも「とにかく自分のできることを心掛けて、あとはしっかり打てるように」練習するしかなかった。甲子園でのゲーム日は同期の中野とタクシーに乗って練習開始の1時間以上前の球場入りがルーティン。目の前の「できること」を積み重ね、8回には痛烈な右前打。1本でよしとせず、直後に坂本のダメ押しの2点適時三塁打を呼び込んだ。 矢野監督は「ええところで出てくれてよかった。今後のことも考えて、テルが打ったことも明るい材料の1つ」と喜んだ。ナイターで勝ったヤクルトがマジックを2に減らし、26日は阪神が敗れ、ヤクルトが勝てばV逸となる。文字通り大一番となった。 矢野監督 ヤクルトが負けてくれないと、っていう条件がついたにしても、いいプレッシャーはかけられていると思う。残り1つ、そこを目指して戦い切るしかない。 指揮官の力強い言葉に佐藤輝も続く。「僕たちは、僕たちの、ヤクルトの結果とかではなくて、自分たちの試合にしっかり集中して、あと1勝絶対したい」。前回05年の優勝時はまだ6歳だった輝明少年がもうひと暴れし、逆転Vの可能性をつなぐ。【中野椋】 ◆阪神の最短優勝決定日は現日程で29日。阪神のV条件は残り1試合の中日戦(甲子園)に○で、ヤクルトが残り3試合を△△●、○●●、△●●、●●●(順不同)の4パターン。△の場合はヤクルトが△●●か●●●、●ならヤクルト●●●。

◆阪神・佐藤輝明内野手(22)が二回に特大の24号3ランを放ち、先制した。 「絶対に負けられない試合で、つないでチャンスの場面を作ってもらったので、最高のバッティングができて良かったです。チーム全員でしっかり勝ち切れるように頑張ります」 1死から木浪、ロハスの連打で一、三塁の好機を作ると、黄金ルーキーが打席へ。先発・九里の5球目、内角高めのシュートを強振すると、打球はすさまじい勢いで右翼席に着弾した。 三塁を回ったところでガッツポーズを見せると、ベンチでは久しぶりの〝ゼットポーズ〟を決めて喜びをあらわにした。 8月19日のDeNA(東京ドーム)以来、実に2カ月ぶりの本塁打をマーク。今季100安打目は特大アーチとなり、奇跡の逆転Vを目指すチームを勢いづける一発となった。

◆阪神・伊藤将司投手(25)は5回?を投げ、4安打1失点と好投した。3点の援護をもらった直後の二回。1死で坂倉に右越えのソロを被弾。直後に安打と申告敬遠で2死一、二塁とされたが、投手・九里を空振り三振に仕留めて流れを断った。 その後はゼロを並べ、3―1の六回に2死二塁としたところで交代が告げられた。後を引き継いだ2番手・及川が坂倉を左飛に打ち取り、伊藤将の勝利投手の権利を保持した。「今日はランナーも多く出してしまいましたが、その中で最少失点で抑えられたことは良かったと思います。このままチームが勝てるようにしっかり応援します」と広報を通じてコメントした。 この試合で10勝目を挙げれば、球団の新人では2013年の藤浪以来で、2リーグ分立後の新人左腕に限れば1967年の江夏豊以来(12勝)の快挙となる。

◆阪神は糸原健斗内野手(28)が七回1死二、三塁から中犠飛を放ち、4点目を追加した。「打ったのはストレート。なかなか追加点が取れていなかったので、何とかしたいという思いでした。最低限ですが、追加点を取ることができて良かったです」と広報を通じてコメントした。

◆阪神はルーキーの活躍で広島に快勝。奇跡の逆転Vへ一歩前進した。 二回に佐藤輝の2カ月ぶりとなる24号3ランで先制すると、終盤の七回には糸原の犠飛、八回にも坂本の2点打などで得点を重ねてリードを広げた。 先発の伊藤将は六回途中1失点の好投で10勝目。球団の新人では2013年の藤浪以来、左腕では1967年の江夏豊以来(12勝)の2桁勝利に到達した。 チームはこれで引き分けを挟んで4連勝。最短では、首位ヤクルトが24日のナイターの巨人戦(神宮)、26日のDeNA戦(横浜)で連敗し、阪神は今季最終戦となる26日の中日戦(甲子園)で勝利すれば16年ぶりのリーグ優勝が決定する。

◆阪神は佐藤輝明内野手(22)の24号3ランで先制。八回には坂本誠志郎捕手(27)の適時打と島田海吏外野手(25)のスクイズで加点するなど、広島に快勝した。先発の伊藤将司投手(25)は球団新人左腕では1967年の江夏豊以来(12勝)の10勝目(7敗)を挙げた。ナイターで巨人に勝ったヤクルトのマジックは2。26日、阪神は甲子園で中日戦、ヤクルトは敵地でDeNAと戦う。矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー伊藤将は持ち味を出した 「これで2桁(勝利)やし。俺らは絶対勝たなアカンという状況の中で雑念というか、プレッシャーに感じるところもあったけど。アイツ動じないで、もしかしたら逆にプラスに考えて投げてくれたんかなって気もするし。3点入って逆に、楽になるより、守らなアカンとか、なりそうなところやけど。本当によく行ってくれたんで。俺の中ではあそこ(六回途中)で、申し分ないというところで代えました」 ーー新人で開幕からローテを守った 「ありがたいよね。本当、1年間ローテで投げることだけでも大変やし、1年間ずっと投げることはアマチュアではなかなか経験できないことなので。これから楽しみなピッチャーになっていってくれるのかなと思っています」 ーー及川も久々の登板だったが抑えた 「1個のアウトやけど、めちゅめちゃデカいからね」 ーー佐藤輝の1発 「久しぶりやな。いつ以来や」 ーー2カ月ぶり 「2カ月ぶり。一番というか、ええところで出てくれて良かったしね。打線もつなげて、つなげてというチャンスは少ないかなと思っていたんでね。最初に3点取ったというのも大きいしね。今後のことも考えて輝が打ったということも明るい材料の1つやしね」 ーーきっかけにしてほしい 「もちろん、いい攻めをされたら厳しいところもあるしね。ちょっとでも甘くなったり、ミスしてくれたところを仕留めるところが出てくれば楽しみにはなってくるなと。きっかけは、どこでどうなるかわからないけど。もう1本出たしね」 ーー中押しにダメ押し 「まあまあ、ホントに正直、打線の状態がいいよとは言えない中でね、全員の気持ちでこうやってつなげてくれたのも大きいし、誠志郎も投打に、投打じゃない、守備もバッティングの方もね、しっかりやってくれてるんで、あの点数も大きいし、まあまあ全員で勝てたかなっていう」 ーースクイズも確実に決めた 「あれも追い込まれてからやから簡単じゃないんだけど、まあまあ、作戦なんて選手たちがやってくれてこそなんでね、島田がよく決めてくれたなって思います」 ーー優勝の可能性という意味でも大きな1勝 「もちろんもちろん、それしか、もちろんないし、まだヤクルトが負けてくれないと、っていう条件が付いたにしてもね、いいプレッシャーはかけられてると思うんで、残りひとつ、そこを目指して戦いきるしかないんで、今日までやることはしっかり、みんなやってくれたし、できたと思います」

◆阪神・佐藤輝明内野手(22)が二回1死一、三塁の場面で8月19日のDeNA(東京ドーム)以来となる24号3ランを放った。66日ぶりの一撃でチームは快勝した。矢野耀大監督(52)は試合後、感想を問われ「久しぶりやな。いつ以来や」と第一声。「2カ月ぶり。一番というか、ええところで出てくれて良かったしね。打線もなかなかつなげて、つなげてというチャンスは少ないかなと思っていたんでね。そういうところでは最初に3点取ったというのも大きいしね。今後のことも考えて輝が打ったということも明るい材料の1つやしね」と目を覚ました大砲に期待していた。

◆広島の九里は今季最多137球の力投だったが、リーグトップの青柳に並ぶ13勝目には届かなかった。二回に連打でピンチを招き、佐藤輝に内角直球を特大3ランとされた。1―3の七回は味方が2失策と乱れ、追加点を許し「先に本塁打を打たれて、点を取られたので。しっかりとした投球をまたできるようにしたい」と悔しがった。 26日に登板する見込みの青柳が勝てばタイトルは大きく遠のく。痛い9敗目となったが「チャンスがあれば取りたい」と気持ちを切らさなかった。

◆阪神の伊藤将が六回途中を4安打1失点で、チームの新人では2013年の藤浪以来、うち左投げでは1967年の江夏以来となる10勝目に到達した。「2桁勝利をすることを目標にやってきた。うれしい」と充実感に浸った。 激しい優勝争いの中でも「自分のスタイルを崩さずに投げることを意識した」。多彩な変化球を制球良く投げ分け、広島打線を手玉に取った。JR東日本時代を思い出し「社会人でも一発勝負でやっていたので、その経験を出せた」と笑顔だった。

◆今季4位が確定した広島は阪神との最終戦に敗れ、12勝12敗1分に終わった。13勝の青柳(阪神)と最多勝を争う先発・九里は6回?を7安打4失点で9敗目(12勝)。佐々岡真司監督(54)の主な一問一答は次の通り。 ーー三回に佐藤輝の3ランの場面は追い込んでから 「内の真っすぐでいったんだろうけど、ちょっとシュートしているのかな。もったいなかったね」 ーー七回も続投 「勝てるチャンスがあれば。球数は多くなりましたが、何とか粘り強く投げていた。1点を取られて仕方がないというところですけどね」 ーー順位が4位に確定したがベストメンバーだった 「最後まで球場に来てくれているファンのためにやらないといけない。きのう(順位が)決まった中でもきょうもいい試合をと思って臨みましたけど、こういう結果になってしまった」 ーーDeNA1試合、ヤクルト2試合の残り3試合も同様 「本拠地2試合を含めて、(個人)タイトル含めて、ヤクルト戦ということもある。いろいろ考えることがありながらも、最後までやり抜くのが基本線だと思います」

◆優勝争いはもちろんだが、クライマックスシリーズ(CS)以降を考えても、佐藤輝に結果が出始めたのは朗報だ。 第1打席の本塁打は、相手バッテリーが空振り三振を奪おうとしてインハイを狙った球が甘く入って、それを確実に捉えたものだった。ボールに速さがない分、右翼席へ運べた感じだ。とはいえ、久々の一発で自信を取り戻したはず。飛距離はさすがだ。さらに八回の右前打も真っ芯で捉えており、状態は上がっているのは間違いない。 ■状態上向き!!見極めた低めのボール球 2安打も見事だが、一時のどん底を脱したことがはっきり分かるのは第3打席。低めのボール球をしっかり見極めて四球を選んだ。ボール球さえ振らなければ、シーズン中の極度のスランプはなかった。この見極めができれば、急激に落ち込むことは考えにくい。 佐藤輝の前を打つロハスが本調子になってきたことも大きい。相手の決め球をファウルで粘って、低めを見極められるようになっている。 長距離砲2人の復調で得点力不足は一気に解消に向かう。CSが楽しみになってきた。(本紙専属評論家)

◆阪神・坂本が4-1の八回無死二、三塁で右越え2点三塁打。「3点差から点差が開けば、後ろのピッチャーも、ザキさん(岩崎)とか、スアちゃん(スアレス)も休める」と女房役らしく振り返った。三塁打はプロ1年目の2016年以来、5年ぶり。10戦連続先発マスクで、その間6勝1敗3分けと〝逆転Vへの旗振り役〟となっている。

◆〝つなぎの5番〟を阪神・木浪がこなし、出場4試合ぶりの複数安打をマーク。前日23日は初の5番起用も4タコに終わっていたが「結果につながってよかった」と声を弾ませた。シーズン残り1試合に向けて「自分の仕事を全うして思い切ってやっていきたい」と誓った。

◆阪神・アルカンタラが七回から3番手で登板し、菊池涼、堂林を2者連続三振に仕留め、林は中飛とパーフェクトリリーフ。「きょうも(投手陣)みんながいい仕事をしてバトンを渡してくれたから、自分も必ず抑えて次につなぐ気持ちだった」。2試合連続無失点で今季6ホールド目を記録した。

◆20歳左腕の阪神・及川が復活の好救援だ。3-1の六回2死二塁で伊藤将に代わって登板すると、坂倉を強気に攻め左飛に打ち取った。「将司さんが本当に良い投球をしていたので、何とか切り抜けたいと思い、マウンドに上がりました」。10月5日のDeNA戦(横浜)以来となる10ホールド目。7日の同戦でソトに逆転被弾。さらに10日のヤクルト戦(神宮)では1死も奪えず3四死球1失点と乱れたが、僅差の場面で好投をみせた。

◆阪神・糸原が貴重な追加点を挙げた。3-1の七回に相手失策も絡んで1死二、三塁とチャンスを作り、中犠飛で三走・島田を生還させた。「なかなか追加点がとれなかったので、何とかしたい思いでした。追加点をとることができてよかった」。9月25日の巨人戦(東京ドーム)以来、23試合ぶりの打点。六回には中前打で7試合連続安打と好調を維持している。

◆韋駄天ルーキーに新たな勲章だ。阪神・中野が球団新人3人目の30盗塁をマーク。2位の近本との差を「6」に広げて、盗塁王のタイトルをさらに大きく近づけた。 「目標としていましたし、自分としても何とか1個、決めたいっていう思いはあったので。まずは目標に掲げていた30盗塁を達成できてよかったです」 3-1の七回1死一塁から今季127本目の安打となる左前打を放つと、相手ミスも絡んで一、三塁。続く糸原の打席で二盗を決めた。直後、糸原の中犠飛でリードを3点に広げた。 同期の佐藤輝が二回に約2カ月ぶりの一発となる特大の先制3ラン。「久しぶりにみたんですけど、本当にすごいホームランだった。それがあったからこそ勝てたかもしれない。自分のことのようにうれしかった」。中野も自慢の走塁でアピールした。 春季キャンプの走塁練習では近本から直接指導を受け「少しでも近づけるようになりたい」と夢を語った。尊敬する師匠と〝盗塁合戦〟を繰り広げてきたルーキーイヤー。盗塁成功率・938(盗塁企図32、失敗2)は、2年連続盗塁王の近本の同・774(盗塁企図31、失敗7)を大きく上回る。 公式戦は26日の中日戦(甲子園)のみ。足と遊撃の守備で今季の矢野虎を支えてきた中野は言い切った。 「絶対に勝つしかないので。何とか強い気持ちを持って相手に向かっていきたいです」 次はリーグ制覇という大きな勲章を手にする。(三木建次)

◆虎のレジェンドに並び、そして超えた。自身にとって今季最後となるマウンド、そして逆転優勝への超重要な一戦。阪神・伊藤将はいつも通りの落ち着いた〝大人〟の投球で、目標だった10勝目をつかんだ。 「ランナーを出しても最少失点に抑えられたのはよかった。2桁勝利を目標にしてやってきて、それが実際に結果に残ったのはよかったと思う」 絶対にチームを勝たせる、という気概がポーカーフェースからもにじみ出ていた。「自分のスタイルを崩さずに投げることを意識した」。同期の佐藤輝の一発で3点の援護をもらった直後の二回だ。坂倉に甘く入った球を右翼席に運ばれて1点を献上。その後、安打と申告敬遠で2死一、二塁とピンチは続いたが、九里を渾身の直球で空振り三振に仕留めて嫌な流れを断ち切った。 1967年の1年目に12勝した江夏豊 5回?を投げ、4安打1失点で10勝目。1950年の2リーグ分立後、球団新人左腕の2桁勝利は1967年の江夏豊以来、2人目の快挙だ。ただ、このとき江夏は12勝のうち先発で9勝。伊藤将はすべて先発での2桁勝利で、通算206勝&196セーブのレジェンド超えとなった。 刺激し、競い合えるライバルがいるから今がある。千葉・横芝中時代は軟式野球部に所属し、1年時から120キロを計測する剛腕として有名だった。内野への送球では、速すぎる球に味方が反応できず、額に直撃させてしまったこともある。指が痛くなるからという理由で、伊藤将の投球を受けたがる捕手がいないほどの力を持っていた。 今年、楽天にドラフト1位で入団した同郷の早川は同部の2学年下。監督として2人を指導した八巻隆介さん(49)は「当時は将司の方が早川よりも圧倒的にすごい選手だった」と語る。伊藤将はプロ入りが決まった昨年末には恩師のもとを訪れ「早川には絶対負けません」と宣言。負けん気の強さが最大の武器だ。 「あともう少しなので優勝できるように頑張っていきたい」 ここで終わりではない。チームはセ界の頂点に立つ可能性を残し、クライマックスシリーズ(CS)もある。2桁勝利投手の誇りを胸に突き進んでいく。(織原祥平)

◆阪神は広島に7-2で快勝し、引き分けを挟み4連勝。二回に佐藤輝明内野手(22)が8月19日のDeNA戦(東京ドーム)以来、66日ぶりの一発となる先制の24号3ランを放った。ナイターで巨人に勝利した首位・ヤクルトの優勝マジックは1つ減って「2」。崖っぷちに立たされた虎は残り1試合。10月26日の中日との今季最終戦(甲子園)にも勝ち、奇跡の逆転Vへ望みをつなぐ。奇跡の瞬間を手繰り寄せるように、白球は美しい弧を描く。佐藤輝は打った瞬間、確信した。苦しみながらもはい上がり、ようやくともした100度目の「H」ランプ。両手に残る66日ぶりの感触が黄金ルーキーを復活させた。 「打った瞬間、いったと思いました。相手の攻め方もだんだん分かってきた中で、捉えられないことが多かったですけど、きょうは捉えられてよかったです」 二回1死一、三塁。九里が内角に投じた140キロを振り切ると、白球はあっという間に右翼席上段に弾んだ。プロ初安打をホームランで飾った男は、今季100安打の節目で先制の24号3ラン。8月19日のDeNA(東京ドーム)以来66日ぶりの一撃と、少し控えめな〝Zポーズ〟がこれまでの苦難を物語っていた。 「ちょっと遅すぎますけど、本当に負けられない戦いなので、その中で打ててよかった」後半戦に入り、59打席連続無安打の屈辱を味わった。長いトンネルの出口には、また暗闇が待っていた。スタメン落ちどころか、試合に出ることなく終わることも増えた。「とにかく自分のできることを心がけて、しっかり打てるようにと...」。くじけなかった。チームの勝利のためにバットを振り続けた。ベンチから見つめた同期の〝先輩〟らの活躍も刺激となった。「年上ですけど、同期入団ということもあって仲良くさせてもらっています」。虎風荘から甲子園に向かうタクシーはいつも中野と一緒だ。励ましの言葉はない。プレーで叱咤激励してくれた。中野はこの日も打って、走って躍動し、マウンドでは伊藤将が懸命に腕を振った。「いつも通り安心できる投球で頼もしかった」と佐藤輝。八回は右前打でこちらも66日ぶりのマルチ安打。ルーキートリオで勝利をもぎ取った。2021年矢野阪神の強さの象徴-。その先頭に立つドラ1が大事な終盤戦で完全復活し、矢野監督は「2カ月ぶりか。一番というか、いいところで出てくれてよかった。今後のことを考えても、輝(佐藤)が打ったことも明るい材料の一つやね」と目を細めた。ナイターでは首位・ヤクルトも勝利。優勝マジックは「2」となった。虎は26日の中日との今季最終戦に引き分けか負けると、同日のヤクルトの結果次第でV逸が決まってしまう。でも、最後まで何が起こるか分からない。最後も勝って、逆転優勝へ望みをつなぐ。「シーズン最後、甲子園でみなさんにいい姿を、いい結果を届けられるように頑張ります」必死に走り抜いた2021年、感動の結末へ-。佐藤輝の復活が奇跡の合図だ。(原田遼太郎)

◆やっぱり最後の最後、一番おいしいところを持っていくのは佐藤輝、あんたかいなア!! 奇跡の逆転Vのために絶対に負けられない一戦を久しぶりの24号で決める千両役者ぶり、たまりまへ~ん!? えっ、もしかしたら最終戦にカン、カン、カーンと3本塁打して、DeNA・牧、広島・栗林、ヤクルト・奥川、そして球団の新人9人目の2桁勝利を挙げた伊藤将や盗塁王確実の中野らがひしめき合う新人王レースをゴール寸前で大まくりする作戦? アレ? もしかしたらこの2カ月間の大スランプも、逆転Vのドラマを盛り上げるための演出かア!? 『サトテルのサトテルによるサトテルのための猛虎V』 そんなわがまま、許せるかア!! いや、全然許せちゃうから最終戦は3本といわず、4本でも5本でも打ったってー!! これほど投打が、そして矢野采配(八回の2ストライクからの島田のスクイズ成功はお見事!!)がかみ合えば、最終戦の勝利は既に確定!! あとは至福の時を楽しみましょう!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
725018 0.590
(↑0.003)
M2
(↑1)
3612
(+6)
517
(+4)
141
(-)
70
(-)
0.254
(-)
3.460
(↑0.01)
2
(-)
阪神
775510 0.583
(↑0.003)
0
(-)
1541
(+7)
504
(+2)
121
(+1)
114
(+2)
0.248
(-)
3.300
(↑0.01)
3
(-)
巨人
616220 0.496
(↓0.004)
11.5
(↓1)
0552
(+4)
541
(+6)
169
(+1)
65
(-)
0.242
(-)
3.630
(↓0.02)
4
(-)
広島
606812 0.469
(↓0.003)
15
(↓1)
3537
(+2)
581
(+7)
120
(+1)
65
(+1)
0.262
(↓0.001)
3.850
(↓0.01)
5
(-)
中日
547117 0.432
(-)
19.5
(↓0.5)
1401
(-)
478
(-)
69
(-)
59
(-)
0.237
(-)
3.250
(-)
5
(-)
DeNA
547116 0.432
(-)
19.5
(↓0.5)
2558
(-)
612
(-)
136
(-)
30
(-)
0.258
(-)
4.120
(-)