ソフトバンク(2対2)日本ハム =リーグ戦25回戦(2021.10.21)・福岡PayPayドーム=
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日本ハム
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ソフトバンク
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勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【ソフトバンク】甲斐 拓也(12号・7回裏2ラン)

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◆ソフトバンクは0-0で迎えた7回裏、甲斐の2ランで先制する。対する日本ハムは、9回に杉谷の2点適時二塁打が飛び出し、土壇場で同点とした。その後は決着がつかずに9回の攻防を終え、試合は規定により引き分けに終わった。なお引退試合を迎えた長谷川は、7回に代打で登場。ファーストゴロに倒れるも、気迫のヘッドスライディングでファンを沸かせた。

◆日本ハムのルーキー伊藤大海投手(24)は9月7日に9勝目を挙げてから5試合連続白星なし。 同じ新人の早川(楽天)は2桁勝利に4度失敗と、ルーキーが2桁勝利に苦戦している。伊藤が6度目の挑戦で10勝できるか。

◆ソフトバンク今宮健太内野手(30)が、担架で運ばれる負傷アクシデントで途中交代した。 2回1死一塁で打者は日本ハム杉谷。マルティネスが6球目を投げると、一塁走者高浜が二盗を仕掛けた。そこで二塁へカバーに入った今宮が高浜と交錯。左ひざ付近を押さえながら苦悶(くもん)の表情を浮かべた。小久保ヘッドコーチ、本多内野守備走塁コーチに肩を支えられながらベンチへ戻ろうとしたが歩けず。担架で運ばれた。工藤監督も心配そうな表情で交代を告げた。 代わって中堅牧原大が遊撃へ入り、柳町が中堅守備へ就いた。

◆今季限りで現役を引退するソフトバンク長谷川勇也外野手(36)が、現役最後の打席に立った。0-0の7回1死二塁という勝負どころで登場。一ゴロに倒れたが、最後はヘッドスライディングで一塁へ駆け込んだ。球場や自軍ベンチからは惜しみない拍手が送られた。 その後2死三塁となり、次打者の甲斐が左翼へ先制2ラン。長谷川がつないだ絶好のチャンスをものにした。長谷川はベンチで涙を浮かべながら両手を挙げる。ベンチに戻った甲斐も涙を浮かべていた。 専大から06年大学生・社会人ドラフト5巡目でソフトバンク入り。3年目の09年に頭角を現し、143試合フル出場で打率3割1分2厘をマークした。13年には現在でも球団史上最多の198安打を放って最多安打、打率3割4分1厘で首位打者。同年は交流戦MVP、外野手でベストナインも獲得した。15年間ソフトバンク一筋で戦ってきた打撃職人が、現役最後の仕事終えた。 試合後には引退セレモニーが行われる。

◆ともに10勝目を狙うソフトバンク・マルティネス、日本ハム伊藤の両先発が3回まで無失点投球。投手戦の展開となった。 両軍ともにホームが遠い。日本ハムは4、5回に得点圏に走者を進めたが無得点。ソフトバンクは6回まで2安打に封じられた。 ソフトバンクは7回、甲斐の12号2ランで先制したが、日本ハムも9回に杉谷の2点適時打で同点に追いつき引き分けた。

◆日本ハム伊藤大海投手(24)が1発に泣いた。ソフトバンクとの今季最終戦(ペイペイドーム)に先発。0-0の7回2死三塁、甲斐に先制2ランを浴びた。7回4安打2失点で勝ち負けはつかず、10勝目へ6度目の挑戦もかなわなかった。チームは9回、杉谷拳士内野手(30)の同点打で引き分けに追いつき、土壇場で意地を見せた。高まるムードに、あらがえなかった。伊藤は、非情な光景を目に焼き付けるしか出来なかった。0-0で迎えた終盤7回2死三塁。甲斐への3球目、甘く入ったスライダー134キロを捉えられた。「あそこで真っすぐでいけない弱さが...。甲斐さんには真っすぐを、すごく褒めていただいていた。その真っすぐで勝負出来なかったのが、ちょっともったいなかった」。左翼席を見つめ、ゆっくりと視線を落とした。 甲斐の本塁打を呼び込んだベテランの存在を、まざまざと感じた。1死二塁、今季限りで現役引退を発表した長谷川が代打で登場した。「もうすごい雰囲気でしたし、四球と死球だけは絶対にないようにと思って投げた」。自ら球を受けて一ゴロを完成させる際、長谷川は一塁ベースにヘッドスライディング。気迫あふれる最後の勇姿に「僕も初球から声が出るくらい、思い切りいかせていただきました」。7回4安打2失点8奪三振。悔しさは残るが、全力で立ち向かった。 栗山監督は「もう1回行かせる」と、最後の登板チャンスを与えることを明言した。チームは2点を追う9回2死一、二塁。杉谷の左翼フェンス直撃の2点適時二塁打で、土壇場で同点とした。チーム屈指のハッスルボーイが、ルーキーの負けを吹き消した。伊藤は「最後しっかり追いついてくれて、まだ望みはある。何とか次も良い投球が出来るように頑張りたい」と誓った。ルーキーイヤーの最後、来季につながる姿を披露する。【田中彩友美】

◆今季限りで現役を引退するソフトバンク長谷川勇也外野手(36)の引退セレモニーが、日本ハム戦後に行われた。長谷川は涙を流しながら引退のあいさつ。その後は球場内を一周すると、ナインから胴上げを受けた。長谷川のスピーチ内容は以下の通り。長谷川 まず初めに、今日この場を用意してくださった球団の方々、全ての方々に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。そして、クライマックスシリーズを争っている状況の中、まだ順位が確定していない中で登録していただき、打席に立たせてもらいました。それを許してくださった球団の方々、監督、コーチ、選手の皆様、本当にありがとうございました。プロに入って15年、若い時の自分を思うと、ここまで長くできるとは思っていませんでした。それも王監督、秋山監督、工藤監督、コーチの方々の指導のおかげだと思っています。 そして、支えてくださったチームスタッフ、トレーナーの方々、体のケアをしていただいた先生方、手術をしていただいた先生。関わっていただいた全ての方々の支えがなければ、15年やってくることはできなかったと思います。 そして何より、一番近くで支えてくれた家族。妻には、気を使わせることも多く、子供たちにも我慢させることも多く、本当に助けてもらいました。野球に打ち込ませてくれて、野球に集中させてくれて本当にありがとう。 こうして多くの方々に支えられてやってきた現役生活も今日で終わりです。悔いはありません。一生懸命やりました。バットもたくさん振りました。今日の最後の打席も自分らしく終われました。伊藤投手、本当にありがとうございました。なかなか思い通りにいかないことが多かった現役生活でしたけど、そこから逃げずにしっかりと向き合ってやってきたということは自信を持って言えます。そんな自分を応援してくださったファンの皆様、15年間本当に応援ありがとうございました。自分はファンサービスや派手なパフォーマンスも得意ではありませんでした。にもかかわらず打席に立つ際には大きな声援をいただいたり、時には今日のようにアウトになった時でさえ大きな拍手をいただきました。普段の努力や一生懸命やる姿というのを感じてもらって、認めてもらっていると思っていました。それを喜びに感じ、さらに野球に向かって努力していく力になりました。 最後になりますが、けがも多く、山あり谷ありの野球人生でしたが、山を越え、谷を越え、やってきたその先にこんなにも素晴らしい舞台、場所があるとは思ってもいませんでした。多くの方々に見守られ、ファンにも見守られて引退することができ、本当に諦めずに頑張ってきて良かったと思います。会見では「順風満帆な野球人生ではなかった」と言いましたが、今日一日を通して考えが変わりました。訂正します。長谷川勇也のプロ野球生活15年間は、多くの方に支えられた順風満帆な野球人生でした。ファンの皆様、支えてくださった全ての方々、15年間本当にありがとうございました。

◆ソフトバンク今宮健太内野手(30)が21日、日本ハム25回戦(ペイペイドーム)で負傷交代した。 2回1死一塁の守備。一塁走者の高浜が二盗を仕掛けた際、二塁送球カバーに入って交錯。左ひざ付近を押さえて苦悶(くもん)の表情を浮かべ、担架でベンチに戻り退いた。その後は球場内で治療を受けて、ベンチに戻った。工藤監督は「普通に近い状態では歩いていた。また明日見てからですね」と話すにとどめた。

◆今季限りで現役引退する長谷川勇也外野手(36)の引退セレモニーに、かつてソフトバンクでチームメートだった日本ハム鶴岡慎也捕手兼バッテリーコーチ(40)がサプライズで花束贈呈役で登場した。 花束を渡した後には、長谷川の肩をたたいて抱き寄せた。「最後に良い打席、見せてもらったわ」と笑顔で声を掛けた。 最も衝撃を受けた姿がある。あるナイターでの試合で無安打に終わると、翌日にホームでデーゲームを控えていながら特打を始めたという。「あの時は、彼のすごさを知りました」。 自身はプロ19年目のシーズン。「後輩が先に引退していくのは、すごくいろんなことを感じますね」と笑い「彼とは対戦相手としてもそうですけど、ホークスに行ってからも、すごい変わったヤツだったけれどバッティングへの執着は人一倍あったし、バットも人一倍振っていた」と懐かしんだ。

◆今季限りで現役を引退するソフトバンク長谷川勇也外野手(36)の引退セレモニーが、日本ハム戦後に行われた。長谷川は涙を流しながら引退のあいさつ。その後は球場内を一周すると、ナインから胴上げを受けた。長谷川には元チームメートやライバルから多くの花が届いた。日本ハム鶴岡やロッテ福田秀、西武栗山らの名前が並ぶ中に意外な人物もいた。木村拓哉からだった。長谷川は15年にSMAPの「前に!」を登場曲にしていたこともあり、広い交友関係を感じさせる引退試合となった。

◆ソフトバンク甲斐拓也捕手が長谷川の執念に応える先制の12号2ランを放った。 0-0の7回2死三塁。前打者の長谷川が現役最終打席でヘッドスライディングを見せた直後に、左翼へ1発をたたき込んだ。「長谷川さんの姿を見て、とにかく結果で応えたいと打席に入りました。本当に、気持ちで打ったというのはこういう打席のことだと思います。長谷川さんの生き様、気迫、その気持ちが乗り移ったんじゃないかなと思います」。ベンチでは長谷川とともに涙を流し、最高の笑顔を見せていた。

◆ソフトバンクは今季21度目の引き分け。CS出場へわずかな希望を残した。試合後の工藤公康監督(58)の一問一答は以下の通り。 -甲斐は長谷川勇也の執念が乗り移ったかのような1発 工藤監督 この前の西武戦のホームランで打ったのと同じボールでしたね。見事なホームランを打ってくれた。まぁ...野球というのは最後のアウトを1個取るまで何が起こるか分からないということ。もう一度しっかりと締め直して、残りの3試合をしっかり戦っていく。自力ではできないので、そこは奇跡を信じて。ただ自分たちはやるべきことをしっかりやっていく。最後まで、決まるまでしっかりやることに変わりはないです。 -長谷川は最終打席でヘッドスライディング 工藤監督 そうですね。やっぱり最後まで諦めずにね。彼らしいヘッドスライディングだったと思います。「最後まで諦めるな」というメッセージをもらったと思って、残りの3試合をしっかり戦いたいと思います。 -両軍無得点の7回に代打出場だった 工藤監督 今日はヘッドもいいところで使いたいと。やっぱり彼の力を信じていいところで使ってあげたいという思いが僕にも十分分かりましたので。スコアリングポジションにいったらいこうと言ってました。 -今宮が守備で左ひざを負傷 工藤監督 ちょっと明日病院に行く予定にしてます。ちゃんと診てもらったうえでどうか。普通という訳ではないんですけど、普通に近いような感じで歩いてはいたので。明日痛みが出るのか、逆に引くのかというところですね。

◆ソフトバンク先発のニック・マルティネス投手は8回5安打無失点と快投したが、9回に守護神森が打たれ、10勝目はお預けになった。 古巣日本ハム相手に力強い直球とチェンジアップで翻弄(ほんろう)。規定投球回到達には2回1/3足りないが、防御率はオリックス山本に次ぐ1・60と安定感抜群だ。 「自分の持てる力は出すことができたし、いい投球ができたね。勝つことはできなかったけど、自分のやるべきことはできたと思うよ」と自身も納得の投球だった。

◆今季限りで現役を引退するソフトバンク長谷川勇也外野手(36)が、現役最後の打席で「魂のヘッドスライディング」を見せた。試合後のセレモニーを終えた後、囲み取材での一問一答は以下の通り。-長谷川らしい打席だった 長谷川 そうですね、らしいですね。まあ、伊藤投手はすばらしいボールで。初球がきたときに「やば」と思った。最後まで対応できなかったので、力がなくなったなと思いました。いいボール、気合の入ったボールを投げ込んできてくれて良かったです。 -時間をかけて打席に入った 長谷川 代打で行く準備はしてましたけど。今日のような投手戦の中で、しびれる場面での代打だったので。最後の打席にはなると思っていたんですけど、それよりもこのゲームの重要性、投手戦の中での代打というそっちの方が重要だなと思ったので、気持ちの整理を付けてから打席に入るようにしました。 -悔いがないと言った 長谷川 そうですね。でも、悔しかったのは最後、もうちょっとやりようがあったかなと。打席が終わってからは思いましたけど。でもその後に(甲斐)拓也がホームランを打ってくれたので良かったです。 -現役最後に悔しがるのも珍しい 長谷川 ホッとしたというか、0-0の7回の得点圏で重要な場面だったんで。自分の最後の打席でヒットを打とうというより、この戦いにけりを付けないといけなかったので、そのために打ちたかったんですけど。悔しさというかそういう気持ちでした。 -気迫がチームに乗り移った 長谷川 ぼく自身はそういう風には思わないんですけど、展開的には厳しい中で、何かきっかけになったんだろうし、伊藤投手も難しかったと思うんですよ。普通ではなかったと思うんですけど。まあ、そういったところもあって、拓也が甘いボールを仕留めてくれたと思います。 -チームはCSの可能性を残して戦う 長谷川 試合が続く限りは、勝たないといけない。勝たなくていい試合なんてないと思うので。残り3試合、しっかりと戦ってほしいと思います。 -スピーチの内容は考えていた 長谷川 用意してました。さすがに何も用意せずにしゃべれるかわからなかったので。しっかり感謝の思いを伝えようと思いました。 -「順風満帆」と言った 長谷川 引退会見してから、野球人生を振り返っているときに、いろんな人に支えてもらっていたんだなと実感したので。そういう意味では「順風満帆」。何事にもうまく進むという意味なんでしょうけど。支えてもらって15年間やってこられたと思います。 -王会長とはどんな話を 長谷川 「若いときに、君のホームランには一番びっくりしたのを覚えている」と言っていただいて。試合前には「思い切ってホームランいけよ」と言われていたんですけど、なかなか思い切っていけなかったので。「すみませんでした」と言いました。

◆ホークス一筋15年、今季限りで現役を引退するソフトバンク長谷川勇也外野手(36)が、現役最後の打席で、"魂のヘッドスライディング"で生きざまを見せた。0-0の7回1死二塁。「必殺仕事人」のテーマ曲が流れる中、代打で登場。一ゴロに頭から一塁に飛び込んだ。ガッツあふれるプレーが続く甲斐の先制2ランを呼び込み、ベンチで涙があふれた。試合は2-2で引き分け、5年連続日本一につながるCS進出の可能性をつないだ。15年のプロ野球生活最後の打席は、しびれる場面で回ってきた。0-0の投手戦。7回無死でデスパイネが右前打を打つと、中村晃が送りバントを決めて1死一塁。絶好の先制機をお膳立てし、工藤監督は「代打長谷川」をコールした。 あるかどうか、わからなかった打席だ。まだCS争いを続けるチーム事情を優先し、長谷川は出場を辞退する意向を示していた。それでも、ここぞの場面で出番が来た。「最後の打席にはなると思っていたんですけど、それよりもこのゲームの重要性、投手戦の中での代打という、そっちの方が重要だなと思った」。気を静めるように、ゆっくりと打席に向かった。いつものように体をくねらせるルーティンで、集中力を研ぎ澄ました。 カウント1-2から伊藤の4球目。外角低めのチェンジアップを引っかけて一塁へのゴロ。微妙なタイミングとなり、長谷川は一塁にヘッドスライディングした。結果はアウト。倒れ込んで天を仰ぐ。「自分の最後の打席でヒットを打とうというより、この戦いにケリを付けないといけなかったので。そのために打ちたかった」と、悔しさがこみ上げた。 ドラマはここで終わらない。長谷川の進塁打で2死三塁。燃えた次打者の甲斐が左翼へ先制2ランを運んだ。打球を目で追った長谷川は両手を突き上げ、次の瞬間には涙があふれ出た。仲間が思いをつないでくれた。長谷川の魂が、チームに乗り移ったようだった。 9回に追いつかれて引き分けたが、負けなかったことでCS進出への望みがつながった。23日からは敵地仙台で、3・5差で追う3位楽天2連戦。長谷川は「試合が続く限りは、勝たないといけない。勝たなくていい試合なんてない。残り3試合、しっかりと戦ってほしいと思います」と、5年連続日本一への希望を託した。 ○...長谷川は試合後の引退セレモニーで、涙をこらえながらあいさつした。「順風満帆な野球人生ではなかったと思いましたが、今日1日を通して考えが変わりました。訂正します。長谷川勇也のプロ野球生活15年間は多くの方々に支えられ、順風満帆の野球人生でした」。王球団会長や工藤監督、日本ハム鶴岡らから花束を受け取り、最後は長女と長男からのメッセージを受け取って笑顔を見せた。

◆今季限りでバットを置くソフトバンク長谷川の引退の花道を、白星で飾ることはできなかった。ましてや、今季の本拠地最終戦。さらに、わずかながらも3位の可能性があるだけにチームとしては「必勝」を誓った一戦だった。2点リードの9回に同点に追いつかれたとき、一塁ベンチはぼうぜんとなった。やはり勝負の世界。終わってみなければ分からない。ホークスにとって21度目の引き分け試合。低迷した今季を象徴するようなゲームでもあった。 この試合はソフトバンク工藤監督VS日本ハム栗山監督の「最後の一戦」でもあった。ともに今季限りでユニホームを脱ぐ。序盤の息詰まる投手戦、終盤の攻防...。ここ数年はBクラスに低迷した日本ハムだが、工藤監督が就任した当初は「好敵手」だった。リーグ3連覇を狙った16年には日本ハムに11・5ゲーム差を大逆転され、優勝をさらわれた。機動性を武器にスキのない野球は、ホークスにとって脅威でもあった。 工藤、栗山両監督がタクトを振り合った最後のゲームが引き分けというも何とも因縁めいている。栗山ハムも戦っている以上、負けられないのだ。栗山監督は日本ハムファンが陣取る左翼スタンドへのあいさつを終えると、一塁ベンチ前で待つ工藤監督と握手を交わした。 残念だったのは2チームが「Bクラス」の中で、最後の一戦を迎えたことだ。激烈なV争いを見たかった。試合後、栗山監督はホークス担当記者のいるワーキングルームにやってきた。「今季はこんな戦いで、申し訳ありませんでした」。帽子を取って深々と頭を下げ、ペイペイドームを後にした。去りゆく将の姿は、すがすがしかった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆日本ハム伊藤大海投手(24)が1発に泣いた。ソフトバンクとの今季最終戦(ペイペイドーム)に先発。0-0の7回2死三塁、甲斐に先制2ランを浴びた。7回4安打2失点で勝ち負けはつかず、10勝目へ6度目の挑戦もかなわなかった。チームは9回、杉谷拳士内野手(30)の同点打で引き分けに追いつき、土壇場で意地を見せた。 ▼日本ハム伊藤大海投手がソフトバンク戦で7回を投げ(自責2)で、規定投球回(=チーム試合数)に到達した。防御率は前回登板後の3・00から2・98とし、(1)オリックス山本(1・46)(2)ソフトバンク・マルティネス(1・60)(3)オリックス宮城(2・51)(4)日本ハム上沢(2・95)に次いで5位。6位は楽天田中将(3・11)。奪三振率8・55は、(1)オリックス山本(9・70)(2)楽天則本昂(9・34)(3)ソフトバンク・マルティネス(8・83)に次いで4位。

◆ソフトバンク・工藤公康監督(58)が試合前に代表取材に応じ、現役生活のラストゲームとなる長谷川勇也外野手(36)について話した。 「何とかいいところで出してあげて。最後はいい形で、がつんと打ってもらって。彼にとってもいい思い出になる日を作ってあげられれば。試合の展開によっては使うべき人を使わないといけない場合もあるので、使えるように僕らは努力したいと思います」 本拠地最終戦は、今季限りでの現役引退を表明した長谷川にとってもラストゲームだ。ただまだ順位が決まっていないだけに、展開次第では出場を控えたいという本人の意向もある。指揮官は言葉を交わしたといい「あいさつにきたので。『使うところも考えているから』ということで話もしましたけど」と明かした。 この日は試合前練習に姿を見せ打撃練習や守備練習、いつもと何も変わらない内容で試合に備えた。通算1108安打のヒットマンが、最後の試合に臨む。

◆ソフトバンク・今宮健太内野手(30)が負傷交代となった。 二回1死一塁の守備、一走・高浜がスタート。捕手・甲斐が素早く二塁に送球すると、ベース上で高浜と遊撃・今宮が交錯した。今宮は左膝を抑え悶絶すると、球場は騒然となった。工藤監督、小久保ヘッドコーチが確認のためにグラウンドに出てきたが、今宮は自力で立ち上がることもできず。担架に運ばれて交代となった。代わって柳町が中堅、中堅の牧原大が遊撃に入った。

◆今季限りで現役を引退する長谷川勇也外野手(36)が0-0の七回1死二塁で代打で登場した。 1球目は149キロで見逃し。2球目の変化球はボールとなり1-1。3球目の直球はハーフスイングで空振りとなり、追い込まれた。4球目、低めの変化球を引っかけると打球は一塁方向へ。際どいタイミングとなり執念のヘッドスライディングを見せたが、結果はアウト。現役最後の打席を終えた。勝敗がかかった展開の中だっただけに、笑顔も涙も見せない、長谷川らしい最後だった。 2死三留となり、甲斐が打席に立つと3球目の134キロをフルスイング。打球は左翼席に消える先制12号2ランとなった。甲斐にとっても12号はキャリアハイ。長谷川の執念が、ホークスを一つにした。ベンチでは長谷川も甲斐も涙を浮かべ、劇的な一発となった。

◆日本ハムが土壇場で引き分けに持ち込んだ。0―2の九回2死一、二塁から杉谷の2点二塁打で追い付いた。ソフトバンクは七回に甲斐の2ランで先制。先発のマルティネスが8回無失点と好投したが、九回に森が打たれた。

◆日本ハムのルーキー伊藤は7回4安打2失点の力投も打線の援護がなく、10勝目はならなかった。四回に柳田ら中軸から3者連続三振を奪うなど六回まで無失点だったが、七回に甲斐に痛恨の先制2ランを浴びた。 9月7日に9勝目を挙げてから、6度目の挑戦だった2桁勝利にまたも届かず、「ふがいない投球をしてしまい申し訳ない」と自分を責めた。次回が今季の最終登板となるだけに「この1年の集大成を見せられるように、また気合を入れて練習する」と気を引き締めた。

◆今季限りで現役を引退する長谷川勇也外野手(36)が七回1死二塁で代打で登場して、一ゴロ。ヘッドスライディングを見せるもアウトとなり、現役生活に別れを告げた。試合後、引退セレモニーが行われた。以下、長谷川のコメント。 「まずはじめに、この場を用意してくださった球団の方々、準備のために尽力してくださった全ての方々に心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。 そしてクライマックスシリーズを争っている状況の中、順位も確定していない中で、登録していただき、打席に立たせてもらいました。それを許してくださった球団の方々、監督、コーチ、そして選手の皆さん、本当にありがとうございました。 プロに入って15年、ここまで長くできるとは思っていませんでした。それも王監督、秋山監督、工藤監督、コーチの方々の指導のおかげだと思っています。ありがとうございました。 そして、チームスタッフ、トレーナーの方々、体のケアをしていただいた先生方、手術をしていただいた先生、関わっていただいた全ての方々の支えがなければ15年、やってくることはできなかったと思います。 そして何より、一番近くで支えてくれた家族...(声を詰まらせる)。妻には気を使わせることも多く、子供たちにも我慢させることが多く、本当に助けてもらいました。野球に集中させてくれて本当にありがとう。 多くの方々に支えられ、やってきた現役生活もきょうで終わりです。悔いはありません。一生懸命にやりました。バットもたくさん振りました。きょうの最後の打席も自分らしく終われました。伊藤投手、本当にありがとうございました。 なかなか思い通りにいかないことが多かった現役生活でしたけど、逃げずに向き合ったことは自信を持っていえます。そんな自分を応援してくださったファンの皆さん、15年間、本当に応援ありがとうございました。自分はファンサービスや派手なパフォーマンスは得意ではありませんでした。にもかかわらず打席に立つ際には大きな声援をいただいたり、ときにはアウトになったときでさえ大きな拍手をいただきました。本当にありがとうございました。皆さんの声援や、普段の努力や一生懸命にやる姿を認めてもらっていると思っていました。それに喜びを感じ、さらに野球と向き合って、努力する力になりました。 最後になりますが、けがも多く、山あり谷ありの野球人生でしたが、山を越え、谷も越えたその先にこんなにも素晴らしい舞台、場所があるとは思っていませんでした。多くの方々に見守られ、引退することができ、本当に諦めず、頑張ってきたよかったと思います。会見では、順風満帆の野球人生ではなかったといいましたが、きょう1日を通して、考えが変わりました。訂正します。長谷川勇也のプロ野球生活、15年間は、多くの方々に支えられ、順風満帆の野球人生でした」

◆ソフトバンクの今宮が二回、遊撃の守備で負傷し、途中交代した。二盗を試みた高浜と交錯。左膝を押さえて起き上がれず、担架で運ばれた。工藤監督は「あした(22日)病院へ行く予定」と話した。

◆野球の神様が笑うほど努力した。だからソフトバンクは一つになった。今季限りで現役を終える長谷川は代打で一ゴロ。執念のヘッドスライディングで、続く甲斐の12号2ランを呼び込んだ。 「悔いはありません。最後の打席も自分らしく終われました」 0-0の七回1死二塁に代打で登場。一ゴロに終わるも、ユニホームは土まみれになった。勝敗がかかった展開だけに笑顔も涙も見せていなかったが、2死三塁となり甲斐だ。134キロを振り抜くと、打球は左翼席へ一直線。12号2ランでクライマックスシリーズ(CS)出場の希望をつないだ。 ベンチでは甲斐も長谷川も号泣。「生きざま、気迫、気持ちが乗り移ったんじゃないかな」と甲斐。敗れればBクラスが決まる一戦で大仕事だ。23日からの3位楽天との2連戦(楽天生命パーク)に向け、長谷川の意地が力になる。 「会見では順風満帆の野球人生ではなかったといいましたが、きょう一日を通して、考えが変わりました。長谷川勇也のプロ野球生活、15年間は、多くの方々に支えられ、順風満帆の野球人生でした」 ファンに愛され、究極を求めてきた打撃職人が、バットを置いた。(竹村岳)

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<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ORIX
695518 0.556
(↑0.003)
-
(-)
1547
(+3)
500
(+2)
133
(+1)
48
(+1)
0.248
(-)
3.330
(↑0.01)
2
(-)
ロッテ
655319 0.551
(-)
0
(-)
6566
(-)
538
(-)
121
(-)
104
(-)
0.241
(-)
3.680
(-)
3
(-)
楽天
646015 0.516
(-)
4
(-)
4520
(-)
495
(-)
106
(-)
45
(-)
0.245
(-)
3.420
(-)
4
(-)
ソフトバンク
586121 0.487
(-)
7.5
(-)
3542
(+2)
476
(+2)
126
(+1)
89
(+1)
0.245
(-)
3.240
(↑0.01)
5
(-)
西武
556918 0.444
(↓0.003)
13
(↓0.5)
1521
(+2)
588
(+3)
112
(+2)
84
(-)
0.240
(↓0.001)
3.960
(↑0.02)
6
(-)
日本ハム
526620 0.441
(-)
13
(-)
5438
(+2)
505
(+2)
75
(-)
74
(+1)
0.232
(-)
3.380
(↑0.01)