阪神(★2対4☆)広島 =リーグ戦22回戦(2021.10.17)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:玉村 昇悟(4勝7敗0S)
(セーブ:栗林 良吏(0勝1敗35S))
敗戦投手:秋山 拓巳(10勝7敗0S)

本塁打
【広島】林 晃汰(9号・3回表ソロ),宇草 孔基(4号・3回表ソロ),鈴木 誠也(37号・4回表ソロ),鈴木 誠也(38号・8回表ソロ)
【阪神】ロハス・ジュニア(8号・7回裏2ラン)

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◆広島が一発攻勢で3連勝。広島は3回表、林と宇草がソロを放ち、2点を先制する。3-2となって迎えた8回には、鈴木誠にこの日2本目となるソロが飛び出し、貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・玉村が7回途中2失点の好投で今季4勝目。敗れた阪神は、10安打で2得点と打線がつながりを欠いた。

◆今季の阪神近本光司外野手(26)は2安打45度、3安打13度、4安打1度で、1試合2本以上のマルチ安打が両リーグ最多の59度。2リーグ制後、阪神でマルチ安打を60度以上記録すれば10年マートン67度以来2人目になる。

◆阪神大山悠輔内野手(26)が10日ヤクルト戦(神宮)以来、4試合ぶりに「4番三塁」でスタメン復帰する。 7日のDeNA戦(横浜)で左脇腹に死球を受けた影響で3試合連続欠場していた。チーム練習が行われた16日には通常メニューを消化し、矢野監督が「明日いこうかなと思っています。4番でいくよ」と明言。この日の試合前練習でも三塁でノックを受けフリー打撃、走塁練習とフルメニューをこなした。10月は9試合で4本塁打、8打点、打率3割7分1厘。逆転Vに必要不可欠な主将が、復帰戦で快音を響かせられるか。 阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)は、3試合連続でスタメン落ちとなった。 先発は阪神が秋山拓巳投手(30)、広島が玉村昇悟投手(20)。

◆17日から甲子園で応援団による一部の応援活動が再開された。 阪神、広島の応援団が参加。外野席から太鼓と電子笛を鳴らし、手拍子を中心とした応援を再開。阪神ファンは右翼スタンドにある太鼓の音を中心に、メガホンを鳴らして選手にエールを送った。 阪神が攻撃時は、引き続き録音されたヒッティングマーチがスピーカーを通じて放送される。 巨人-阪神3連戦が行われた12日からの東京ドームでも同様に、応援団による一部の応援活動が再開されていた。

◆阪神近本光司外野手(26)が、今季60度目のマルチ安打を記録した。初回先頭の第1打席は中前打、3回1死二塁の第2打席は、右前打を放ちチャンスを拡大させた。 これで今季2安打46度、3安打13度、4安打1度で、1試合2本以上のマルチ安打が両リーグ最多の60度。2リーグ制後、阪神でマルチ安打を60度以上記録したのは、10年マートンの67度以来2人目となった。 近本はこれで今季177安打。両リーグ断トツで、自身初の最多安打のタイトルも射程圏内だ。

◆広島鈴木誠也外野手(27)が、3戦連発となる37号ソロを放った。3回に林、宇草の1発で2点を先取し、迎えた4回1死からの打席。フルカウントからの7球目、高めに浮いた109キロカーブをたたき、左中間スタンドに放り込んだ。主砲は「玉村が頑張っているので追加につながってよかったです」と喜んだ。 勢い止まらず、1点差に迫られた8回2死から、アルカンタラの154キロを再び左中間席へ運ぶ38号ソロ。3戦4発で、セ・リーグ本塁打トップのヤクルト村上、巨人岡本和についに1本差。首位打者との打撃2冠が現実味を帯びてきた。

◆若鯉躍動!! 広島の3年目林晃汰内野手(20)が、甲子園初本塁打となる先制の9号ソロを放った。 「8番三塁」で先発出場。両軍無得点の3回1死から、秋山の外角137キロ直球を逆方向へはじき返し、左翼席に放り込んだ。名門・智弁和歌山出身の大砲の甲子園でのプロ初ヒットが貴重な先制弾となり「思い切っていきました。自分のスイングで強く打つことが出来ました」と振り返った。 今度は3回2死から2年目宇草孔基外野手(24)が、内寄りのフォークを完璧に捉え、右翼スタンドに飛び込むプロ初の2戦連発となる4号ソロでリードを2点に広げた。「とにかく玉村の援護点になってよかったです」とコメントした。 チームはここ9試合で8勝を挙げ、3位巨人を猛追して3ゲーム差に迫った。残り8試合1つも負けられない状況の中、今季8度の対戦で2勝5敗と苦しんでいた天敵秋山から若鯉2人の1発で、好スタートを切った。

◆阪神秋山拓巳投手(30)が、5回4安打3失点で降板した。ここまでチーム2位の10勝を挙げている右腕が、まさかの今季ワーストタイ3被弾。「本当に大事な試合でこのようなピッチングをしてしまい、チームに申し訳ないですし情けないです」。コメントに悔しさがにじんだ。 初回、2回と3人で攻撃を終わらせる上々の立ち上がり。しかし3回1死、林に137キロ直球を捉えられ、左翼へ先制ソロを許すと、2死から宇草にフォークを右翼スタンドへ運ばれ、1イニング2被弾。4回は1死から4番鈴木誠にフルカウントからカーブを捉えられ、左中間へソロ本塁打を許した。 開幕から先発ローテーションの一角としてフル回転してきたが、9月11日広島戦(マツダスタジアム)を最後に白星から遠ざかる。好相性の広島には今季ここまで5勝を挙げてきたが、この日は白星をつかめなかった。 ▼阪神投手陣が広島打線に4本塁打を浴びた。1試合4被弾は4月22日の巨人戦(東京ドーム)、6月27日のDeNA戦(甲子園)に次いで今季3度目だが、いずれも秋山が先発した試合だった。秋山の3被弾は前記DeNA戦以来今季2度目。

◆死球が影響した背中の張りから4試合ぶりに「4番三塁」でスタメン出場した阪神大山悠輔内野手(26)が、10日ヤクルト戦(神宮)以来の安打を放った。 3点ビハインドの6回1死。この日3度目の打席で広島先発玉村の105キロカーブを引きつけ、左前打とした。 2回表の三塁守備では、鈴木誠の打球を横っ跳びで追いつき、素早く一塁送球しアウトをもぎ取った。主将が復帰戦で攻守に問題のない動きを披露している。

◆2位阪神は追い上げ及ばず、痛恨の黒星を喫した。引き分けを挟んでの連勝は2でストップ。 シーズン7試合を残して、首位ヤクルトとのゲーム差は3に開き、ヤクルトの優勝マジックは「4」となった。 先発の秋山拓巳投手(30)が誤算だった。試合前時点で今季広島戦8試合先発で5勝2敗、防御率1・64。チーム屈指の「カープキラー」が5回3被弾と勢いに乗れなかった。 3回は8番林に先制の左越えソロ、1番宇草に右越えソロを献上。4回は4番鈴木誠に左中間ソロを浴び、5回3失点で7敗目(10勝)を喫した。 打線は背中の張りから4戦ぶりにスタメン復帰した4番大山悠輔内野手(26)が6回に左前打。3点を追う7回には7番メル・ロハス・ジュニア外野手(31)が特大の8号左越え2ランを放ち、反撃ムードを高めた。 だが、1点差に迫った直後の8回、4番手ラウル・アルカンタラ投手(28)が鈴木誠にこの日2本目となる左中間ソロを許した。逆転Vへ、いよいよ窮地に立たされた。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、球団新記録となるシーズン167個目の三振を喫した。 2点ビハインドの9回1死一、二塁。ホームランなら逆転サヨナラの場面で代打で登場するも、広島守護神栗林の138キロ変化球を振らされ空振り三振。甲子園は大きなため息に包まれた。 14日巨人戦(東京ドーム)では空振り三振に倒れ、今季166個目の三振となり、14年ゴメスの球団記録に並んでいた。 佐藤輝は「三振は自分の技術不足」と以前から語っている。前半戦だけで99年福留(中日)の新人最多三振記録に並ぶ121個の三振。今試合前までに、すでに球団新人記録を更新する23本塁打のルーキーが、三振数でも球団史を塗り替えてしまった。 三振数のプロ野球記録は93年ブライアント(近鉄)の204三振(127試合)。日本人の最多記録は19年村上(ヤクルト)の184三振(143試合)。

◆阪神先発は秋山、広島は玉村。広島は3回1死から林の9号ソロ、同2死から宇草の4号ソロで2点を先取した。 広島は4回1死、鈴木誠の37号ソロで1点を追加し、3-0とした。阪神は6回まで無得点。先発秋山は5回3失点で降板した。 阪神は7回、ロハスの8号2ランで1点差に迫った。広島は8回、鈴木誠の38号ソロで引き離し、3連勝。玉村が4勝目を挙げた。栗林は35セーブ目。阪神秋山は7敗目。

◆阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(31)が、ネバーギブアップ弾を放った。重苦しい0行進が続き、3点ビハインドだった7回無死一塁の場面。完封の勢いだった広島先発玉村の直球を捉え、左翼席中段までかっ飛ばした。 ロハス 右打席でのホームランはかなり久しぶりだったから、いい感じで打てていると思うね。 一時1点差に詰め寄る8号2ラン。8月22日の中日戦(バンテリンドーム)以来の右打席アーチは、球場の弾道測定器「トラックマン」で141メートルと表示される特大弾だった。緊急事態宣言の解除を受け、この日から甲子園でも応援団による一部の応援活動が再開。太鼓や電子笛で一体となった虎党をさらに盛り上げた。 逆転Vはもちろん、目の前の試合に必死な理由がある。宮崎で行われているフェニックスリーグで、サンズが前日16日のヤクルト戦(西都)で1号を含む3安打6打点。この日のロッテ戦(ひなたサンマリン宮崎)でも左翼へ二塁打を放った。リーグ戦残り7試合、そしてポストシーズンへ向け登録「5」、ベンチ入り「4」の外国人枠争いは再び激化。4回の左前打と合わせたマルチ安打で生き残りを猛アピールだ。 ロハス 僅差になるホームランだったのでよかったけど...。結局負けてしまったので、うれしさも半減というか悔しさもあります。 試合後は、敗戦の悔しさが上回った。2点差の9回無死一塁では中飛に倒れ、チャンスを拡大ができなかった。満足感はない。 ロハス 自分自身、苦しいシーズンになっていることは間違いないけど、少しでもチームに貢献したいという思いはある。一生懸命スワローズを追うということもあるけど、自分たちの野球をして勝ち続けることが大事。その勝ちにつながるようなプレーができるように、頑張っていきたい。 首位ヤクルトのマジックは4まで減った。でも可能性のある限り、あきらめるわけにはいかない。必勝を期し、18日の広島戦に向かう。【中野椋】 ◆今季の外国人出場人数 昨季と同じく、外国人枠の出場登録は、昨季と同じく5人(ベンチ入りは4人)。一昨年までの4人からの拡大が維持され、「投手4、野手1」または「投手1、野手4」で登録した場合でも比率の変更が可能。ただし、登録枠の4人あるいは5人全員を投手または野手にすることはできない。クライマックス・シリーズ(CS)の出場選手資格は8月31日現在でその球団の支配下選手で、その後引き続いて支配下選手として登録されているものに限る。ただし出場登録・抹消の手続きや扱いはレギュラーシーズンと同じ。

◆3番手の阪神小川一平投手が落ち着いた投球で3点ビハインドの7回をゼロで抑えた。 1死から林に中前打を許し、犠打で2死二塁。宇草にはチェンジアップでタイミングを外し、遊ゴロに仕留めて無失点で終えた。「0点で抑えることが自分の役割だと思うので、0点で抑えて次につなぐことができて良かったです」。今季17試合に登板し、13試合で無失点。この日も役目を果たし、グラブをポーンとたたいて喜びを表現した。

◆敗戦の中、阪神近本光司投手が今季60度目のマルチ安打で奮闘した。3戦ぶりに1番中堅で先発。 初回に広島玉村の初球、145キロ直球を中堅へ運ぶと、3回1死二塁の第2打席でも初球のスライダーを捉えて右前打を放った。得点にはつながらなかったが、積極的な姿勢で打線を引っ張った。 シーズン60度以上のマルチ安打は、2リーグ制後の阪神では10年マートンの67度以来で2人目。矢野監督も「自信にしていいんじゃないの。自分で自分のスタイルというのがだんだん築けて、それで結果が出て。右肩上がりにはなかなかいかないんだけど、それを実際にやっているわけだから」とたたえた。 安打数も177本とし、最多安打のタイトルへ独走中。打率も3割1分8厘をキープし、トップの広島鈴木誠に7厘差で追う。好調のリードオフマンが最後まで打線を引っ張る。

◆2位阪神は追い上げ及ばず、痛恨の黒星を喫した。引き分けを挟んでの連勝は2でストップ。 ジェフリー・マルテ内野手(30)は20打席連続無安打と苦しんでいる。大山悠輔内野手(26)の復帰に伴い、4番から3番に打順を戻した一戦。3回2死二、三塁で三ゴロに倒れるなど、4打数無安打に終わった。8回の痛烈ライナーが左飛となる不運もあったが、9回にはファウルゾーンの飛球を落球(記録は失策)する場面も。矢野燿大監督(52)は状態について「良くはないんじゃない? 打球もあまり上がっていないし」と心配顔だった。

◆背中の張りで3戦連続欠場していた4番の阪神大山悠輔内野手が、4戦ぶりのスタメン復帰で奮闘した。 2回無死、4番鈴木の三遊間への痛烈ゴロに飛びついてアウトをもぎ取る。6回には玉村のカーブを強振し、出場12試合連続安打となる左前打をライナーで運んだ。4戦ぶりの出場でフル出場したが、チームは痛恨の惜敗。試合後は残り7試合に向けて「頑張ります」と短い言葉に決意を込めた。

◆阪神の及川雅貴投手(20)が満塁を招いたが1イニングを無失点で踏ん張った。 0-3の6回から2番手でマウンドへ。先頭宇草に左前打を許し、犠打野選や敬遠などで1死満塁となった。坂倉を直球で押し込んで浅い中飛、菊池涼をスライダーで泳がせて左飛に打ち取った。「内容的には良くなかったですが、無失点で抑えられたことは大きい。残り試合も少ないですが、これからもっと状態を上げて(打者を)抑えられるように頑張りたい」。2年目左腕が残り7試合のフル回転を誓った。

◆2冠見えた!! 広島鈴木誠也外野手(27)が、3戦連発となる1試合2本塁打と敵地で暴れ回った。 2点リードの4回に左中間に37号ソロ。さらに1点差に迫られた8回には、再び左中間へ38号ソロを放り込んだ。本塁打はセ・リーグトップに1本差まで大接近。首位打者と本塁打王の打撃2冠を視界に捉えた。チームは10戦9勝の3連勝で、3位巨人に2・5ゲーム差。奇跡の大逆転CSへ、また大きく歩みを進めた。主砲のバットが快音w2度、敵地・甲子園で響かせた。3回に林、宇草の1発で2点を先取し、迎えた4回1死。フルカウントからの7球目。「たまたま高めに来た」という甘いカーブを左中間席へ。後輩に負けじと3戦連発の37号を放つと、今度は阪神に1点差に迫られた8回2死から、アルカンタラの154キロを再び左中間へ。この日2発目の38号だ。「振ったらたまたま当たった感じです」と鈴木誠は冷静だった。 3戦4発と勢いは止まらない。セ・リーグ本塁打トップのヤクルト村上、巨人岡本和をついに1本差まで追い上げた。3試合連続のマルチ安打で打率を3割2分5厘とし、2位の阪神近本に7厘差。打撃2冠が現実味を帯びてきた。佐々岡監督は「すごい。(7回に)2点取られたところでの1発も大きかった。味方チームではありますけど、止められないくらいの素晴らしい打撃をしている」と最敬礼した。 若手が多いチームで、最高の生きた"教科書"だ。この日先制弾を放った林には、打撃技術だけにとどまらず「投手に声をかけに行くとか、そういうところが大事になるよ」と助言。前日16日に先頭打者弾を放った宇草には「いつも通り平常心で」と心を落ち着かせていた。主砲は「僕もまだ経験が浅い。新井さんや黒田さんみたいに、助言みたいなことはなかなかできない。でも僕も何年か1軍を経験して、(後輩と)同じような経験、悔しい思いもしている。俺はこう考えていたよっていうことを伝えている。正解がないスポーツなので」。若手の手本となり、チームをけん引する。 チームは3連勝で、直近10戦9勝。3位巨人に2・5ゲーム差に迫った。佐々岡監督は「1試合1試合勝っていくしかないので、1試合に集中して、それだけです」と力を込めた。チームの快進撃の中心には、背番号1がどっしりと座っている。【古財稜明】

◆阪神の佐藤輝明内野手(22)が、球団新記録となるシーズン167個目の三振を喫した。2点を追う9回1死一、二塁で、代打で登場。カウント1-2から、広島守護神栗林の138キロフォークを振らされ空振り三振を喫した。 前回代打で出場した14日巨人戦(東京ドーム)でも空振り三振に倒れ、今季166個目となり14年ゴメスの球団記録に並んでいた。佐藤輝は「三振は自分の技術不足」と以前から語っているが、球団新人記録を更新する23本塁打をマークするとともに、三振数でも球団史を塗り替えた。 それでも復調の気配を見せていた。試合前練習のフリー打撃では、47スイング中15本をスタンドへ放り込んだ。ここ最近は数本にとどまっていたが、この日は柵越えを連発。首脳陣にも上がりつつある状態が目に入ったのか、1発逆転サヨナラの大事な場面で起用された。この日は期待に応えられなかったが、豪快なフルスイングはチームの劣勢をはね返す武器になるはずだ。 三振数のプロ野球記録は93年ブライアント(近鉄)の204三振(127試合)。日本人の最多記録は19年村上(ヤクルト)の184三振(143試合)。

◆阪神が追い上げも及ばず痛恨の黒星を喫した。シーズン7試合を残して、首位ヤクルトとのゲーム差は3に開き、ヤクルトの優勝マジックは「4」となった。 先発の秋山拓巳投手(30)が、今季ワーストタイの3被弾など5回4安打3失点で7敗目。7回に7番メル・ロハス・ジュニア外野手(31)が特大の8号2ランを放ち反撃に出たが、1点差とした直後の8回に4番手ラウル・アルカンタラ投手(28)が、鈴木誠にこの日2本目の左中間ソロを浴びた。 阪神矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り -最後まであきらめない姿勢は出たが 「序盤に点を取らんとね。点を取られた後かな。あそこで点を取れているかどうかが大きいし、アキ(秋山)もちょっと粘れなかったんで。そういう点の取られ方を、アルカンタラも、よし行くぞっていうところの1点やったからね。そういういろいろ、負ける原因というのはやっぱり、そういうところにあるかな」 -マルテがチャンスで打てなかった 「そりゃ、いろいろあるでしょう」 -最後の打席の当たりは良かったが、マルテの状態をどう見ている 「良くはないんじゃないの? やっぱり打球もあんまり上がっていないし」 -点の取られ方が走者なしからの本塁打 「そうやね。そこでアキらしく粘るっていうのがね、特長なところが、ボールがちょっと高かったかなっていう感じに見えたけど」 -近本は安打でチャンスメーク。ずっと調子がいい 「自信にしていいんじゃないの。自分で自分のスタイルというのがだんだん築けていって、それで結果が出て、1年目より2年目、2年目より3年目っていう、その右肩上がりにっていうのはなかなかいかないんだけど、それを実際にやっているわけだから、それは自信にして、もっともっと高いところを目指してやってもらえばいいんじゃないの」 -8回にアルカンタラが浴びた鈴木誠の一発がもったいなかった 「どれもタラレバ言えたらそんなんもう。どれもやん、結局そんなん。でも、あれも勝負行ってる結果やからね。そりゃあコントロールミスもしてほしくないし、しっかり追い込んだから打ち取ってほしいなと思うけど、だから...ねえ。そら勝負行く、じゃあ勝負行くなということも言えないわけだし、それは結果を受け止めてやっていくしかないんでね。タラレバで俺はなんか、選手を言うのは簡単なんだけど、俺もこうやって気持ちの方は大事にしたいから」

◆広島の守護神栗林良吏投手が1回ゼロ封で35セーブ目を手にした。 2点リードの9回に登板。先頭に四球を許すなど、1死一、二塁のピンチを背負ったが、代打佐藤輝をフォークで空振り三振、近本を遊ゴロに抑え、リードを死守した。前日16日の巨人戦では左肩付近の違和感を訴える場面があったが「もう全然大丈夫です」ときっぱり。これで連続試合セーブを「18」に更新。15年にDeNA山崎が記録した新人最多セーブ記録の「37」まであと2つだ。

◆広島の若鯉2人が貴重な1発を天敵の阪神秋山に浴びせた。 3回1死で3年目の林晃汰内野手(20)外角137キロ直球を逆方向へはじき返し、左翼席への9号ソロ。「思い切って割り切っていきました」。2死からは2年目宇草孔基外野手(24)が内角フォークを引っ張り、右翼席へのプロ初の2戦連発となる4号ソロ。「とにかく玉村の援護点になってよかったです」。今季9度の対戦で、5敗を喫していた相手を打ち崩した。

◆広島先発玉村昇悟投手が7回途中2失点と力投し、4勝目を手にした。低めに丁寧に球を集め、6回まで無失点。 7回無死一塁からロハスに1発を浴びたものの、試合をつくりチームを勝利に導いた。「どうしても負けられない試合だった。こういう緊張する試合で投げられたのはよかった」。佐々岡監督は「プレッシャーがあった中で、ナイスピッチングだった」と評価した。球団の高卒2年目では、前田健太(ツインズ)以来の100投球回に到達した。

◆阪神奇跡の逆転Vが絶体絶命の危機だ。先発秋山と4番手アルカンタラが鈴木誠らにソロ4発を被弾。打線に跳ね返せる反発力はなく、クライマックスシリーズ(CS)進出に勢いづく4位広島にのみ込まれた。勝った首位ヤクルトの優勝マジックは4まで減って3ゲーム差をつけられ、最短Vは20日の甲子園での直接対決。屈辱の目の前胴上げは何としても阻止すべく、もう勝ち続けるしかない。冷たい秋風が吹く甲子園は、ため息の連続だった。デーゲームでヤクルト勝ち、逆転Vへ必勝が至上命題だったホーム5連戦初戦の広島戦。今季10勝中5勝を稼ぐ鯉キラー秋山が、まさかのアーチ攻勢に沈んだ。 0-0の3回。8番林に左翼へ流され先制ソロを献上。1番宇草には右越えソロを浴びた。4回には最も警戒していたはずの4番鈴木誠にカーブを痛打され、中堅左にソロをたたき込まれた。逆転CSへ怒濤(どとう)の進撃を続ける赤い軍団にのみ込まれ、ソロ3発で5回3失点。最多勝も絶望的になった右腕は「本当に大事な試合でこのような投球をしてしまい、チームに申し訳ないし情けないです」と声を振り絞った。 矢野監督も厳しい表情だった。「(打線も)序盤に点を取らんとね。アキ(秋山)もちょっと粘れなかった。ボールがちょっと高かったかな」。打線が低調なだけに、粘りの投球を期待していたが、ダメージの大きい点の取られ方だった。7回にはロハスの2ランで1点差に迫り、さあ逆襲だというところで、今度は4番手アルカンタラが鈴木誠にソロを被弾。矢野監督も「よし行くぞ、というところの1点やからね。負ける原因はそういうところにある」と悔やむ4点目が、最後まで重くのしかかった。 赤い軍団のソロ4発に対し、阪神はロハスの2ラン1発だけと反発力に乏しく、今季4度目の1万8000人越えの客席も秋風が身に染みる展開。矢野監督は「勝負にいっている結果なんでね。そりゃ、制球ミスしてほしくないし、(アルカンタラも)追い込んだから打ち取ってほしいと思うけど。結果を受け止めていくしかない。俺も気持ちの方は大事にしたいから」と、懸命に前を向いた。 首位ヤクルトの優勝マジックは一気に二つ減って4になった。最短優勝は20日、甲子園での直接対決。目の前で胴上げを許す危機に陥った。中村監督時代の92年、野村ヤクルトに最後にかわされ、甲子園で胴上げされた苦い思い出もある。屈辱を阻止するためにも、まずは18日の広島戦に勝って、ヤクルト2連戦に勢いをつけたい。これ以上、負けられない。【石橋隆雄】 ▼ヤクルトの優勝決定は最短で20日の阪神戦。18日阪神○または△なら、19、20日に阪神●●のとき。18日に阪神●なら、19、20日に阪神●●のほか△●でもヤクルトの優勝となる。

◆阪神・大山悠輔内野手(26)が「4番・三塁」で4試合ぶりにスタメン復帰した。12日の巨人戦(東京ドーム)の試合前練習で背中の張りを訴え、ベンチを外れるなどしていたが、状態は問題なさそうだ。これによって、近本が定位置である「1番・中堅」に復帰。必勝のベストメンバーで広島戦に望む。

◆阪神・秋山拓巳投手(30)は5回4安打3失点で降板した。 0―0の三回1死走者なしで林に左翼席へ一発を浴びると、2死とした直後にも宇草に右越えのソロを許した。 さらに四回にも1死で4番・鈴木誠に左中間へ運ばれて3点目を献上。打たれた右腕は両ひざに手をついて悔しそうな表情を浮かべた。 秋山は今季、試合前の時点で広島戦8試合に登板し、5勝2敗、防御率1・64と好相性だったが、この試合では一発に泣いた。1試合3被弾は6月27日のDeNA戦(甲子園)と並んで今季ワーストとなった。

◆阪神のメル・ロハス・ジュニア外野手(31)が七回に8号2ランを放ち、1点差とした。 「甘いボールがきたら強く打つというアプローチはずっと意識しているし、あの打席はそれができて結果が出て良かったよ」 0―3の七回、先頭の小野寺が右前打で出塁。ここで助っ人が打席に立つと、先発・玉村の2球目、甘く入った直球を左中間へ運んだ。本塁打は10月6日のDeNA戦(甲子園)以来、7試合ぶり。右打席では2本目となった。チームはその後、代打・木浪の安打と代走・島田の二盗で2死二塁と同点機を作ったが、中野は右飛に倒れた。

◆広島が本塁打攻勢で3連勝とした。三回に林と宇草のソロ本塁打で2点先制。3―2の八回には鈴木誠がこの日2発目となる38号ソロで突き放した。玉村が七回途中2失点で4勝目を挙げ、栗林が35セーブ目。阪神は秋山が誤算だった。

◆阪神は広島の一発攻勢にあい敗戦。逆転Vに目指す矢野虎にとっては痛すぎる1敗となった。 先発の秋山は今季ワーストタイとなる1試合3被弾して5回4安打3失点で降板。七回にロハスの8号2ランで1点差としたが、直後の八回に登板したアルカンタラが4番・鈴木誠にこの日2本目となるソロを浴びてリードを広げられた。 九回には四球と安打で1死一、二塁と守護神・栗林を追い詰めたが、代打・佐藤輝が空振り三振、近本は遊ゴロに倒れて試合終了となった。 この日、首位・ヤクルトはDeNAに勝っており、マジックは「4」に減少。ヤクルトが残り8試合を3勝5敗で終えた場合、阪神は残り7試合を全勝で上回るが、逆転優勝へさらに厳しい状況となった。

◆阪神は先発の秋山拓巳投手(30)が3本の本塁打を浴び、4番手のラウル・アルカンタラ投手(28)も鈴木誠に2本目のアーチを食らうなど、4被弾で痛い黒星を喫した。打線はメル・ロハス・ジュニア外野手(31)の8号本塁打で挙げた2点のみ。九回1死一、二塁では代打の佐藤輝明内野手(22)が空振り三振に倒れた。ヤクルトの優勝マジックは「4」。矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー最後まであきらめない姿勢は出たが 「序盤に点を取らんとね。点を取られた後かな。あこで点を取れているかどうかが大きいし、アキもちょっと粘れなかったんで。そういう点の取られ方を、アルカンタラも、よし行くぞっていうところの1点やったからね。負ける原因というのはやっぱり、そういうところにあるかな」 ーーマルテがチャンスで打てなかった 「そりゃ、いろいろあるでしょう」 ーー最後の打席の当たりはよかったが、マルテの状態をどうみている 「よくはないんじゃないの? やっぱり打球もあんまり上がっていないし」 ーー点の取られ方が走者なしからの本塁打 「そうやね。そこでアキらしく粘るっていうのがね、特長なところが、ボールがちょっと高かったかなっていう感じに見えたけど」 ーー近本は安打でチャンスメークしている。ずっと調子がいい 「まあ、自信にしていいんじゃないの。自分のスタイルがだんだん築けていって、それで結果が出て、1年目より2年目、2年目より3年目っていう右肩上がりにっていうのは、ないんだけど、実際にやっているわけだから、それは自信にして、もっともっと高いところを目指してやってもらえばいいんじゃないの」 ーー八回の鈴木誠の一発がもったいなかった 「どれもタラレバ言えたらそんなんもう。どれもやん、結局そんなん。でも、あれも勝負いってる結果やからね。そりゃあコントロールミスもしてほしくないし、しっかり追い込んだから打ち取ってほしいなと思うけど、だから...ねえ。そら勝負いく、じゃあ勝負いくなということも言えないわけだし、それは結果を受け止めてやっていくしかないんでね。タラレバで俺は何か、選手を言うのは簡単なんだけど、俺もこうやって気持ちの方は大事にしたいから」

◆広島がソロ4発で連勝を「3」に伸ばし、3位巨人に2・5ゲーム差まで縮めた。先発の2年目左腕・玉村は6回?を8安打2失点で今季4勝目(7敗)。試合後のヒーローインタビューは以下の通り。 ──今季4勝目 「きょうはどうしても負けられない試合だったので、すごく緊張しましたが、しびれる展開で投げられてすごくよかったなと思います」 ──一~三回まで先頭打者の出塁を許した 「きょうはこういう日だなと思って、ここで崩れることなく何とか粘ろうと思ってずっと投げました」 ──投球で良かった点は 「いや、特になかったですけど、キャッチャーの石原さんが丁寧にリードしてくださって、その通りに投げることができたので、結果的に抑えることができました」 ──援護を受けた四回以降の投球は 「野手の方々が点を取ってくれたので、逆転されないようにと思って投げました」 ──今季4勝のうち2勝が阪神 「(打線が)怖いのには変わりはない。最後には(ロハスに)本塁打を打たれて終わっているので、怖い打線だなと思っている」 笑顔の広島・玉村=甲子園(撮影・河田一成) ──今季残り7試合。来季へ生かせる点 「序盤は苦しい展開だったんですけど、それでも粘ってもちこたえたというのはすごく力になるなと思う」 ──3位・巨人と2・5ゲーム差。クライマックスシリーズ進出の可能性がある 「1軍で投げるのも今年が初めてですし、クライマックスに行ってみたい気持ちもあるので、一戦一戦、気を抜くことなくやりたい」 ──4─2の九回(1死一、二塁のピンチ)の心境 「チームの流れは良いので、ここは抑えてくれるだろうなと。栗林さんだったのでそう見ていました」

◆崖っぷちに追い込まれた矢野阪神。主砲として、代打の神様としてタテジマを引っ張ってきたOBでもある八木裕氏(56)=本紙専属評論家=は「18日からの3試合で集大成を見せてほしい。目の前での胴上げは何が何でも阻止しろ!」と〝最後のゲキ〟を飛ばした。 ■集大成を18日からの3試合で見せてくれ! マジックが「4」になってしまった。ということは、19日からの甲子園での直接対決2連戦でヤクルトの優勝が決まる可能性がある。本拠地で、目の前で、胴上げを見せつけられる-。いい気分のはずがない。というより、選手として、これほどの屈辱はない。 「何がなんでも、甲子園での胴上げを阻止しろ。そのために、ことし1年頑張ってきた集大成を、18日からの3試合で見せてくれ!」 今、言えるとしたら、それぐらいしか思いつかない。ここまで来たら、こうすればいい、ああすればいい、誰を使え、こんな打線にしろ、というという具体的な策を語る段階でもないような気がするからだ。 試合を振り返って、全体的に言えることは、流れの悪さだ。先発・秋山は広島との相性も悪くなかったし、二回に林に一発を浴びた時点では単なる1失点だ。が、今の阪神打線は流れが悪く、それを敏感に察している秋山が慌ててしまった。これ以上、失点してはいけない、と。結果、宇草にもったいない一発を浴びてしまう。それでも5回3失点は決して責められる内容ではない。 近本が当たっていて、塁上を賑わすのに、後続がつながらず、なかなか点に結びつかない。3番・マルテは元気がないし、4番・大山が復帰しても起爆剤になれない。とにかく流れが悪いという表現しか思い浮かばない。 ■少しでも「夢のある打線」で臨んではどうか ここまで来たら、一番近くで見てきた矢野監督以下首脳陣が、感じたことをそのままぶつけてもらうしかない。選手個々の状態をみても、今はベストの布陣を組むのは難しいから、少しでも「夢のある打線」という考え方で臨んではどうか。 選手も、開幕からずっと首位を走ってきたわけだから、すんなり負けるなんて、こんな悔しいことはないはず。1年間、努力してきたこと、頑張ってきたことを思い出し、すべてを18日からの3試合にぶつけてほしい。キャンプ以来、積み重ねてきたことを出し切って、何が何でも3連勝する。集大成を見せつければ、その先にある「夢」が再び見えてくる。 合言葉は「目の前の胴上げ阻止」だ。2021年タイガースの意地が見たい。(本紙専属評論家)

◆背中の張りで3試合欠場していた阪神・大山が「4番・三塁」でスタメン復帰。4打数1安打も得点には結びつかなかった。三塁の守備では二回先頭の鈴木誠の三遊間の打球を横っ飛びで好捕して三ゴロにしたが、六回には犠打の処理を誤って野選となり、ピンチを広げてしまった。フル出場した主将はチームの敗戦に「頑張ります」と言葉を絞り出した。

◆六回に2番手で登板した阪神・及川はピンチを招きながらも無失点で乗り切った。「内容的には良くなかったけど、無失点で抑えられたことは大きなこと」。安打と犠打野選などで1死満塁とされたが、坂倉を中飛、菊池涼を左飛に打ち取って危機を脱した。最近2試合連続で失点を喫し、調子を落としていた左腕は「もっと状態を上げて抑えられるように頑張っていきたい」と話した。

◆5連戦の初戦の先発を任された阪神・秋山だったが三回に林と宇草にソロ。四回は鈴木誠にもソロを浴びて、今季2度目、自己ワーストタイの3被本塁打となった。今季の10勝のうち広島から5勝を挙げていたが、5回4安打3失点で降板。7敗目を喫し、「本当に大事な試合でこのようなピッチングをしてしまい、チームに申し訳ないですし、情けないです」と悔しさをにじませた。

◆七回から登板した阪神・小川は1回無失点に抑えた。「0点で抑えて次につなぐことができて良かった」。1死から安打と犠打で得点圏に走者を置いたが、最後は宇草をチェンジアップで遊ゴロに仕留めて役割を果たした。10月7日のヤクルト戦(神宮)以来、1週間ぶりのマウンドでも安定した投球を見せた。

◆阪神・ロハスは0―3の七回無死一塁で玉村の直球を捉えて、左中間へ飛距離141メートルの特大の2ラン。右打席では8月22日の中日戦(バンテリンドーム)以来、2本目のアーチとなった。「感触もよかったし、いい感じで打てた。負けてしまって、うれしさは半減という悔しさはある」。これまで以上に負けられない戦いが続くが、「勝ちにつながるような、チームの助けになるようなプレーができるように」と力を込めた。

◆メンバー表の先頭に虎の韋駄天が帰ってきた。慣れ親しんだその景色に阪神・近本のバットがさらに鋭く振り抜かれる。土俵際に立たされた虎にとって唯一といっていい希望だ。チームの先頭に立ち、ファイティングポーズを崩さないその姿に矢野監督も脱帽した。 「自信にしていい。自分で自分のスタイルっていうのがだんだん築けて、それで結果が出て。1年目より2年目、2年目より3年目っていう、その右肩上がりにというのはなかなかいかないんだけど、それを実際にやっているわけだから」 3試合ぶりに定位置の1番を任された。一回、玉村の初球。145キロをいきなり中前にはじき返す。今季、何度もチームを勢いづけてきた先制パンチをお見舞いすると、三回1死二塁では、再び初球を右前に運んだ。 4試合連続の複数安打で、今季積み重ねたマルチ安打は60回を数えた。これは1950年の藤村富美男、86年のバースを抜き去り、2010年のマートン(67度)に次ぐ、球団単独2位の記録だ。絶好調のリードオフマンは、また虎のレジェンドを超えた。劣勢のなか、バットでチームを鼓舞し続ける選手会長に指揮官も「もっともっと高いところを目指してやってもらえたら」と期待は尽きない。 大山の一時離脱の影響もあり、ここ最近は3番を任されていた。それでも、「何番でもやることは変わらない。自分にできることは塁に出ることなので意識の変化はありません」と話していた。心にぶれない真っすぐな芯を持った男だ。短期間で変更された打順の影響など、まったく感じさせない。打席に入れば、とにかくチームのために全力を尽くす。不変の精神が好調維持につながっている。 16年ぶりのリーグ優勝は、さらに険しい道のりとなった。それでも、ヤクルトに最後まで食らいつく。ここまできたら、1打席1球に魂を込めるのみ。最後に待つ歓喜のときを信じて、虎の1番はひたすらヒットを積み重ねていく。(原田遼太郎)

◆広島を3本上回る10安打を放ちながら競り負けた。絶対に負けられない5連戦の初戦を落とし、阪神・矢野監督も悔しさをにじませた。 「序盤に点を取らんとね。点を取られた後かな。アキ(秋山)もちょっと粘れなかった。アルカンタラも、よし行くぞっていうところの1点やったからね。負ける原因というのはそういうところにあるかな」 三回に秋山が2本塁打を浴び、その裏の攻撃は1死一、三塁から中野が一ゴロ、マルテも三ゴロに倒れた。鈴木誠のソロの直後の四回も2死一、二塁から坂本が空振り三振。七回に1点差に追い上げたと思ったら、八回にアルカンタラが鈴木誠にこの日2本塁打目を被弾。最後まで試合の流れをつかめなかった。 背中の張りから大山が4番でスタメン復帰し、近本を1番に据えた打線も不発。首位ヤクルトとのゲーム差は「3」に広がった。

◆これが、虎党の叫び-。阪神は広島に2-4で敗戦。DeNAに勝利した首位ヤクルトの優勝へのマジックナンバーは「4」となった。サンスポでは虎番ツイッターで阪神ファンの声を緊急募集。1時間余りで100件以上のリツイートがあった。この日、一発が出れば逆転サヨナラの九回1死一、二塁で代打で登場し、空振り三振に倒れた佐藤輝明内野手(22)のスタメン起用を望む意見が相次いだ。寒さと敗戦の危機に縮こまる虎党を、この日最もアツくさせた瞬間は2点を追う九回1死一、二塁の場面。場内に代打・佐藤輝の名がコールされた瞬間だった。広島の守護神・栗林の初球143キロを豪快なスイングで空振りするだけで、球場がどよめいた。 頼む! 何とかして! もう新人ということを忘れるほどの期待を込め、ファンの脳裏に白球を柵の向こう側へ運び去ってくれる映像がよぎったが...。カウント1-2から最後はフォークの連投にバットが空を切り、今季167三振で2014年のゴメスの球団記録を抜き、不名誉なランキングのトップに立ってしまった。 続く近本は二ゴロに倒れてゲームセット。大逆転Vを目指す矢野虎がさらに苦しい状況に追い込まれる中、サンスポが阪神担当公式ツイッターで〝虎党の声〟を緊急募集。前半戦で数々の新人記録を塗り替えてきたが、最近はスタメン落ちが続く黄金ルーキーの起用について、意見が寄せられた。 「サトテルの使い道をしっかり考えてほしい」(@flash_kurokage) 「サトテルの起用方針おかしくないか? 逃げ腰になってどんどん迷走してる」(@20013987GT) 5月2日の広島戦(甲子園)でプロ初の4番で逆転満塁弾、5月28日の西武戦(メットライフ)では1試合3発で全国の野球ファンの度肝を抜いた。猛虎の起爆剤になってきた男が、ベンチを温め、1打席勝負で快音を響かせられない。 「調子の良かった最初のメンバーを1年通して使ってほしかった。監督は我慢して使わなければと思います」(@E9QwW5pLSnwHmkW) 「やはり試合に出るだけで雰囲気は変わってる」(@star_Exp) 「サトテルが打たないとCSで苦戦する」(@Home) 苦しい現状を打破することで、この先のクライマックスシリーズ(CS)や日本シリーズを制する原動力に必ずなってくれる。 「結果を恐れず、焦らず、今まで通りの良い時の野球で最後までみんなでやるべきことをやろう」(@Yuru_Musha) ヤクルトの最短優勝は20日の阪神戦。何としても目の前の胴上げを阻止しないといけない。佐藤輝の豪快な一打が、〝虎党の声〟を歓喜に変えてくれる。(新里公章)

◆「カープは3位の可能性があるから、下位にいるチームの中では一番、怖いです」 広島出身のトラ番・原田遼太郎が、甲子園に漂う油断ならない気配を伝えてきた。 「ただ、そんなことより、メチャクチャ寒いです。上着を着こんで準備はしてきたつもりですが想像以上。明日からヒートテックの出番です」 やってきた寒波。夏からいきなり冬になった感覚らしい。グラウンドでプレーする選手はもっと大変だろう。優勝争いでずっと〝夏気分〟だった虎ナインが〝冬気分〟にはならないように、な~んて思った試合前-。悪い予感は当たってしまうんだよなぁ。 こんな大事な試合なのに、またしてもナマでの地上波テレビ中継はないのか。残念がっている虎党は多いだろうなぁ。関西のテレビ局は何をしてるんや...。 ブツブツ文句を言いながら、午後5時半に中継するCS放送「GAORA」にチャンネルを合わせたら、アレッ? なぜか日本ハムvsオリックスを映し出していた。 そうか、斎藤佑樹の引退だな、放送予定を変更なんだなと納得しつつ、このまま試合が長引いて、もし阪神戦を中継しなかったら暴動が起こるぞ、と心配し始めた。 幸いにして5時49分に終了。画面は甲子園に切り替わった。ホッ。 それにしても、試合開始前の時間帯とはいえ、阪神戦中継を〝強奪〟するとは、斎藤佑樹という投手がタダモノではなかった証拠だ。 早実で甲子園のヒーローになった人気者が早大に進学。トラ番記者たちは〝被害〟を被った。 昼間は大学野球、夜はヤクルト戦という神宮球場。記者は早めに球場へ行って、待機するのが常だった。が、佑ちゃんがワセダ在学中は、プロ野球担当記者は、大学野球が終わるまで一切球場に入れなくなった。 スカウト取材のためにスタンドへ行っても警備の学生から「出ていってください」。取材だと主張しても「入場料金を払って入ってください!」。佑ちゃん在学中は、入場料金を払って取材するという前代未聞の〝屈辱〟を味わった(笑)。しかも、会社に請求したら却下され、自腹に。恨んだものだ。人気者を。 『超人気のルーキー君には申し訳ないが、相手が悪かった。ことしの猛虎打線はハンパじゃない。三回までに13安打を浴びせ、9得点。プロ初先発の斎藤を打ちのめした』 10年前の3月22日付サンスポ1面の実に軽快(?)な書き出しです。 大注目でプロに入った斎藤は、練習試合から無失点を継続し、あの日、プロ初先発。そこに襲い掛かったのがマートン、平野、鳥谷、新井、ブラゼル、金本、城島らが名を連ねる阪神打線。プロの厳しさを最初に教えたのが阪神だった。 実は筆者はワタクシ。佑ちゃんに対して複雑に交錯する、いろんな思いを込めて書いた。よ~く覚えている。 佑ちゃん直系の後輩がひとり、トラ番にいる。ワセダ卒の原田だ。 「大学に入学して、ここは斎藤佑樹先輩がいた大学だなぁと思って校門をくぐったものです」 抑えても、打たれても、注目を集め続けた規格外な選手だった。阪神でいえば、誰なんだろうか? いや、今はそんなことより、目の前の1勝だ。辛いなぁ、この1敗は。

◆どないなっとんね~ん!! 阪神投手陣(首脳陣も)『君子危うきに近寄らず』のことわざを知らんのかー!! 知っているなら、絶対に負けられない試合に絶対に打たれちゃあいけない、好調の広島4番・鈴木誠に2アーチを許さんやろー!! 耳の穴をかっぽじって聞きやがれってんだ。『君子危うきに近寄らず』ってのは、分かりやすい例なら、メジャーで本塁打王を狙うエンゼルス・大谷に対し四球、四球、また四球と恥も外聞もなく、逃げまくった投手のこと。その結果、タイトルを取らせなかった。日本人ファンとしては悔しいけど、結果が全てのことなのだ!! は~あ。しかし、鈴木誠の2本を含めソロとはいえ4アーチ...。『ヒットなら、しゃあないわ』の投球や配球のできる秋山と坂本のバッテリーだっただけに腹が立つー!! これで、ヤクルトのマジックは『4』。その現実と、こういう大事な試合は先制点が大きいのに一回無死一塁の中野や二回無死一塁での小野寺に送りバントのサインを出さないと、何年たとうが限りなく優勝に近い2位止まりの虎では? と、不安な未来が重なる黒星だったのだ!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
714717 0.602
(↑0.004)
M4
(↑2)
8598
(+7)
480
(+3)
140
(+1)
70
(+1)
0.256
(-)
3.340
(-)
2
(-)
阪神
73558 0.570
(↓0.005)
3
(↓1)
7514
(+2)
499
(+4)
119
(+1)
109
(+1)
0.248
(↑0.001
3.410
(-)
3
(-)
巨人
596119 0.492
(-)
13
(↓0.5)
4530
(-)
528
(-)
163
(-)
65
(-)
0.242
(-)
3.640
(-)
4
(-)
広島
596611 0.472
(↑0.004)
15.5
(-)
7522
(+4)
564
(+2)
118
(+4)
63
(-)
0.263
(↓0.001)
3.850
(↑0.02)
5
(-)
中日
546817 0.443
(-)
19
(↓0.5)
4398
(-)
463
(-)
69
(-)
57
(-)
0.238
(-)
3.210
(-)
6
(-)
DeNA
527015 0.426
(↓0.004)
21
(↓1)
6543
(+3)
603
(+7)
135
(-)
30
(-)
0.257
(-)
4.190
(↓0.02)