巨人(2対2)阪神 =リーグ戦24回戦(2021.10.13)・東京ドーム=
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阪神
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巨人
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勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【阪神】坂本 工宜(1号・4回表ソロ)

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◆巨人は初回、1死一三塁の好機から岡本和の犠飛で先制に成功する。対する阪神は、2回表に坂本の適時打で同点とすると、1点ビハインドとなって迎えた4回には坂本のソロが飛び出し、再び追いついた。その後は両軍の投手陣が得点を与えず、試合は規定により引き分けに終わった。

◆今季の巨人菅野智之投手(32)は東京ドームで52回2/3を投げて被本塁打が10本。 同球場で被本塁打10本は19年の9本を上回り自身最多で、本拠地登板試合は6月6日から5試合連続で被弾中。今日は1発を許さず勝利できるか。

◆阪神板山祐太郎外野手(27)が13日、1軍に合流した。 今季は外野の守備固めを中心に1軍で36試合に出場し、8打数1安打、打率1割2分5厘。5月23日に出場選手登録を抹消された後は2軍調整を続けていた。 ウエスタン・リーグでは64試合出場で打率2割6分5厘、5本塁打、33打点。

◆阪神大山悠輔内野手(26)が2日連続で巨人戦のベンチ入りメンバーから外れた。前日12日の練習中に背中の張りを感じたため、同日巨人戦はベンチ外に。この日の試合前も全体練習には参加せず、ランニングやキャッチボールなど軽めの動きにとどめた。 7日DeNA戦で左脇腹に死球を受け、8日からの敵地ヤクルト3連戦は強行出場していたとみられる。前日12日の試合後、矢野監督は「多分、明日も厳しいとは思っている。死球の影響でちょっと無理をさせられない状態なので。明日も無理をさせられないと思っている」と説明していた。 10月は打率3割7分1厘、4本塁打、8打点。出場11試合連続安打中と好調をキープしている主将の状態が心配される。

◆育成出身の巨人松原聖弥外野手(26)が、1打席目で27試合連続安打を達成した。 1回、カウント1-1から阪神西勇の変化球を右翼線へはじき返して二塁打にしとめた。球団では08年のラミレスに並ぶ歴代2位に浮上した。

◆2戦連続でスタメンマスクの阪神坂本誠志郎捕手(27)が2回に貴重な同点適時打をたたき出した。1点を追う1死一、三塁で1ボール1ストライクから136キロスライダーに食らいつき、三遊間をしぶとく破った。今季40打席目、6安打目での初打点。「何とか早い回に取り返しておきたかったので、打つことができてよかった」とコメントした。 守りでの貢献が目立つが、この適時打で今季巨人戦では11打数4安打、打率3割6分4厘と、バットでも「巨人キラー」として活躍している。

◆阪神西勇輝投手が緊急降板した。1-1の2回1死二、三塁。1番松原の二ゴロで1点を失ったところでアクシデントが発生。マウンドの西勇は右手を上げて自らベンチに下がった。 そのまま矢野監督が交代を告げて馬場にスイッチした。西勇は今季この試合まで6勝9敗ながら、前回6日DeNA戦では6回無失点の好投で勝利。リーグ終盤戦で底力を見せていた。

◆阪神坂本誠志郎捕手(27)が4回に今季初本塁打となる同点ソロを放った。 1点を追う4回2死。2ボール1ストライクから巨人菅野の149キロ直球がシュート回転して真ん中へ入ってきたのを逃さず、左翼席たたき込んだ。 本塁打を打った選手の首にかける「虎メダル」の発案者は坂本で、小野寺から初めて自分の首にかけられた。この日は2戦連続でスタメンマスク。巨人に先制されたが2回に今季初打点となる左前適時打で同点に。2回に再びリードを奪われたが、自身の1発で追いついた。「追いつくことができてよかった。まだ(試合の)中盤なので、気を引き締めてリードしていきたい」とコメント。すぐに頭を守りに切り替えた。 これで今季の巨人戦は14打席、12打数5安打で打率4割1分7厘、1本塁打、2打点。宿敵相手にバットでも勝負強さを見せている。

◆プロ初の中継ぎ登板となった阪神伊藤将司投手(25)が3回1安打無失点と好投した。4回から3番手として登板。先頭大城を内角直球で中飛に打ち取るなど3者凡退に抑えると、その後も安定した投球でアウトを重ねた。 今季はルーキーながら開幕から先発ローテの一角として奮闘。この試合まで登板した20試合はすべてが先発で、8勝7敗、防御率2・67だった。前回登板の10月7日DeNA戦(横浜)では5回2失点(勝ち負けつかず)。12日巨人戦(東京ドーム)から中継ぎ待機していた。

◆阪神近本光司外野手(26)が8回にこの試合3本目となる安打を左前へ放ち、プロ3年目で自己最多を更新する今季14度目の猛打賞をマークした。 この日は9月3日巨人戦以来、今季2度目の3番で起用された。1回の第1打席、3回の第2打席でいずれも巨人菅野から中前打を放った。8回にはこの回から代わったばかりの2番手左腕中川の初球スライダーを鮮やかに左前へ運んだ。ルーキーだった19年、昨年は猛打賞を13度記録していた。3年目で自己記録を更新した。 今季の安打数は173安打となり、リーグトップを快走している。

◆阪神坂本誠志郎捕手(27)が、2試合連続スタメンで適時打&1号ソロの奮闘も、巨人と引き分けに終わった。 大山悠輔内野手(26)が2日連続でベンチ入りメンバーから外れた一戦で、伏兵が奮闘した。8番坂本が1点ビハインドの2回に一時同点となる左前適時打。さらに1点勝ち越された4回には今季1号となるソロ本塁打で再び追いついた。 投げては先発西勇輝投手(30)にアクシデントが発生した。1-1の2回1死二、三塁。1番松原の二ゴロで1点を失った場面で、マウンドの西勇は右手を上げて自らベンチに下がった。そのまま矢野燿大監督(52)が交代を告げて馬場皐輔投手(26)にスイッチした。西勇は今季この試合まで6勝9敗ながら、前回6日DeNA戦では6回無失点の好投で勝利。リーグ終盤戦で底力を見せていた。 阪神は巨人先発菅野に7回2失点と抑えられ、その後の投手リレーも打ち崩せなかった。逆転優勝へ向け、負けられない一戦で痛い引き分け。首位ヤクルトが勝利したため、優勝マジックは1つ減り「8」となった。

◆巨人は1回に岡本和の犠飛で先制し2回に1点追加。阪神は2回に坂本が適時打。先発の西勇は2回途中で異変を訴えて降板した。 阪神は4回、坂本の1号ソロで同点。巨人先発の菅野は6回まで7安打を浴びながらも2失点と粘りの投球。 阪神は西勇の緊急降板後は投手陣が無失点で踏ん張った。巨人は先発菅野が7回2失点も打線が3回以降は援護できず引き分けた。

◆阪神近本光司外野手が3安打を放ち、プロ1年目からの安打数が19年159本→20年139本→21年173本の計471本。

◆阪神4番手ラウル・アルカンタラ投手も無失点で守護神スアレスにつないだ。「みんながめっちゃ頑張ってくれたし、自分もそこでチームに貢献したいという気持ちで、必死に投げた結果です」。 7回に登板すると若林から3者凡退。8回は1死から丸に四球を与えたが、岡本和を二邪飛、中田を見逃し三振に仕留めた。前回登板の10日ヤクルト戦は、同点の6回に2点を失い敗戦投手に。この日はきっちり仕事を果たした。

◆阪神伊藤将司投手(25)がプロ初の中継ぎで初ホールドを挙げた。 「中(継ぎ)でもしっかり仕事できることはアピールというか、できたかなと思います」。3番手で2-2同点の4回に登板し、3回1安打無失点と好投。5回先頭の菅野に中前打を浴びたが、1番松原から3人で斬るなど、危なげなかった。4月にも1度ブルペン待機したが登板機会はなし。プロ21試合目で救援初体験となったが、「社会人とかでもやってきたので、不安とか戸惑いはなかった」と力強いコメント。矢野監督も「将司も中継ぎ初めてで難しいところもあったと思うけど、しっかり投げてくれた」とたたえた。

◆阪神馬場皐輔投手が緊急事態を救った。先発西勇が2回に2点目を失い、2死三塁としたところで降板。突然の出番にも坂本をフルカウントから外角低めに変化球を落とし、三ゴロに仕留めて追加点を許さなかった。3回はクリーンアップを3者凡退。1回1/3を完璧に抑えた。 「試合の流れを左右する場面で使ってもらっているので、何としてもチームに流れを持ってくるために、とにかく必死で投げました」。しっかり期待に応えた。

◆阪神坂本誠志郎捕手(27)が、2試合連続スタメンで適時打&1号ソロの奮闘も、巨人と引き分けに終わった。首位ヤクルトは勝利したため、優勝マジックは1つ減り「8」となった。 先発の西勇輝投手(30)にアクシデントが起きた。2回1死二、三塁で松原の二ゴロの間に2点目を失った後、マウンドで右手を上げて自らベンチに下がった。そのまま矢野燿大監督(52)が交代を告げ、馬場、プロ初の中継ぎとなった伊藤将ら4人のリリーフで無失点でつないだ。 ? 阪神矢野監督の一問一答は以下の通り -負けなかったのはみんなの力か 「まあまあ、そうなんだけど、うちは勝たないと駄目な状況なんでね。その中でやれるのは引き分けしかなかったんで、よう踏ん張ってくれたかなと思うけど、その一方で勝たないと。両方あるけど」 -中継ぎの馬場、伊藤将が踏ん張った 「そうやね。(西)勇輝があんな形で降板になったんで。なかなかたくさん点取れるという状態じゃないんで。そういう中でピッチャーが踏ん張ってくれたから引き分けになったんでね。将司(伊藤)も中継ぎ初めてで難しいところもあったと思うけど、しっかり投げてくれた」 -西勇の状態は 「大きな、こう…。これから検査してみないと分からないけど、現状すごい大きなところはないと思っているんだけど、病院に行かないと分からない部分が多いんでね。肩、ひじ? ひじかな」 -捕手の坂本が打撃でも 「誠志郎が打つ方も守る方も頑張ってくれているというのはあるし。あいつが2打点か、そういうところではもちろん毎日、試合に出たいと誰でも思うわけやから、そういうところでもアピールしてくれたらこっちとしても使わざるを得ない結果を出してくれているんでね。いい働きしてくれたなと思います」 -2試合ベンチを外れた大山の状態はどうか 「うん、まあ。2日休んで明日やってまたというのも、どうかなというのは正直あるから。明日は打撃練習できるんじゃないかというところまでは、現状のイメージではそこまで来られてるかもしれないなというところで、スタメンは難しいなと思っているんだけど。ベンチに入ってできるのかというのは明日の状態見ないと」 -西勇、大山と、やりくりは苦しい 「これはもう今までみんな、ようやってきてくれたし、年間の中でそういうことが出てきている状態なんでね。それは誰か1人で埋められないし。逆に言うと、聖也(木浪)も出られるチャンスだし、そういうのを全員でカバーしたり、チームだけど、ライバルなんでね。そういうところも意識して、自分がどうやって出ていくかというのを考えてくれたらいいんじゃないかと思います」

◆最終回に登板した阪神ロベルト・スアレス投手がピンチにも動じず無失点で締めた。 9回1死からウィーラーにフェンス直撃の二塁打を浴び、代打中島は遊撃への内野安打で1死一、三塁。一打出ればサヨナラ負けの場面で、吉川尚を159キロ直球で空振り三振。最後は松原も161キロツーシームで連続三振に仕留めた。「負けないことがやっぱり大事だと思うので、これからも続けて。最後はアウトをしっかり、点をやらない状態で終えたのは良かったよ」。この日も守護神が仁王立ちした。

◆阪神の大逆転Vに暗雲だ。先発の西勇輝投手(30)が右肘に異変を訴え、1回2/3で緊急降板。14日以降に精密検査を受けるが、戦線離脱の可能性が出てきた。本来4番の大山悠輔内野手(26)も背中の張りで2試合連続欠場し、14日の復帰も微妙な情勢。エースと4番が不在の巨人戦は痛恨ドローで、勝った首位ヤクルトに2・5ゲーム差に広げられた。この日2年連続2位以上が確定したが、奇跡への道が険しくなった。まさかの光景だった。1-1の2回1死二、三塁。1番松原の二ゴロで2点目を失った直後だ。マウンドの西勇は渋い表情で右手を振り、異変を訴えた。三塁側に歩き、福原投手コーチとベンチ裏に姿を消した。矢野監督は時間を稼ぐこともなく、投手交代を決断。わずか42球、移籍後最短タイの1回2/3で降板。東京ドーム全体がザワついた。 楽観視できない状況になった。試合後、矢野監督は「これから検査してみないと分からない。現状すごい大きなところはないと思っているんだけど、病院に行かないと分からない部分が多いんでね」と説明。異常を訴えた箇所については「(右)肘かな」と明かした。西勇は阪神移籍後2年連続で2桁勝利。今季6勝9敗と苦戦しているとはいえ、グラウンド内外でチームを鼓舞するエースの戦線離脱となれば大きな痛手だ。 試合前から厳しい展開が予想された。前日12日の練習中に背中の張りを訴えた4番大山が、2日連続でベンチメンバーから外れた。不動の切り込み隊長である近本を今季2度目の3番に据え、1番には島田を入れた。巨人菅野を相手に苦肉のオーダーで臨んだが、得点は8番坂本による孤軍奮闘の2点だけ。9安打を放ちながら決定打を欠き、9回痛恨のドローになった。 矢野監督は大山の状態について「明日は打撃練習できるんじゃないかというところ。スタメンは難しいなと思っている。ベンチに入ってできるのかというのは、明日の状態を見ないといけない」と依然、不透明な部分があるとした。巨人戦前まで11試合連続ヒットを放っていた主砲の離脱に加えて、この日はエースまで…。まさに緊急事態だ。 この日、2年連続の2位以上が確定した。だが首位ヤクルトが勝ったため、ゲーム差は2・5に広げられて優勝マジックを8にされた。逆転Vがさらに厳しくなったが、指揮官は力を込めた。「誰か1人で埋められない。全員でカバーしたり、チームだけど、ライバルなんでね。そういうところも意識して、自分がどうやって出ていくかを考えてくれたらと思う」。窮地に追い込まれたが、ファイティングポーズは崩さない。闘争心むき出しで食らいつくしかない。【桝井聡】

◆3連覇を逃した巨人の3位以下が確定した。エース菅野が7回2失点の粘投も、9回1死二、三塁のサヨナラ機で吉川と松原が連続三振。27年ぶりの8試合連続2得点以下で引き分け、前日の優勝に続いて2位の可能性まで完全消滅した。原監督は両手をたたいて「何とか、こうコンタクトしてくれたらというのはあったけど、三振、三振」と話した。 投打のかみ合わない、もどかしい戦いが続く。先発投手が13試合ぶりに7回を投げきっても、白星にはつながらなかった。残る目標は3位でのCS進出のみ。最後のイスを争う広島とのゲーム差は5・5。7連敗でストップさせれば、最短16日の3位確定に光が差し込んでくる。 ▽巨人菅野(7回8安打も2失点の粘投)「試合の中で大城と『球数が多くなっても丁寧に投げていこう』と話をしました。今日は粘って7回を無四球で投げることができたのは収穫のある登板でした。先発としての仕事はできたのかなと思います」

◆阪神近本光司外野手(26)が今季58度目のマルチ安打を放ち、03年赤星に並ぶ球団4位に浮上した。 大山欠場の余波で9月3日の巨人戦以来、今季2度目の3番起用。「何番でもやることは変わらないですし、自分のできることは塁に出ること」と、1番と変わらぬ姿勢で打席に立ち、1回の第1打席は菅野から中前安打。3回も中前へ運び、今季24盗塁目の二盗を決めた。 菅野からこの日2安打。今季は10打数5安打の打率5割と得意にしている。「いい投手には変わりないので、追い込まれる前に仕留めていきたい」と、積極打法で攻略する。8回にはこの回から代わったばかりの2番手左腕中川の初球スライダーを左前に運んだ。プロ3年目で自己最多を更新する14度目の猛打賞をマーク。セ・リーグの最多安打を独走する安打数も173本に積み上げた。 打率は3割1分6厘2毛でリーグ2位。首位打者の広島鈴木誠は3割1分9厘。残り9試合で首位打者争いも激しさを増しそうだ。マルチ安打の数で並んだ03年の赤星は大学、社会人と進みプロ3年目で、バットと足でリーグ優勝に貢献したレジェンド。近本もその域に近づき、負けじ劣らずの奮闘ぶりだ。 この日の引き分けでヤクルトのマジックは8となったが、諦めてはいない。「とにかく目の前の試合を勝つために、できることをやっていくしかない。苦しい状況は続きますが、チームに貢献するために明日からも頑張ります」。バットと足で最後まで全力を尽くす。【石橋隆雄】 ▼阪神近本が3安打を放ち、今季58回目のマルチ(複数)安打を記録した。阪神の選手でシーズン58回のマルチ安打は、03年の赤星憲広に並ぶ歴代4位タイ。1位は10年マートンの67回、2位は50年藤村富美男、86年バースの59回。セ・リーグ最多は10年青木宣親(ヤクルト)の68回、パ・リーグ最多は94年イチロー(オリックス)の69回。

◆待ちわびた瞬間でも冷静だった。ダイヤモンドを回り終え、三塁ベンチ前に到着。阪神坂本誠志郎捕手(27)は小野寺にちょこんと首を突き出した。少しだけ目尻を緩めた後、すぐさま表情を引き締め直した。 「投手が誰であろうと関係なく、この打席で爪痕を残そうと。いつも出ているわけじゃないので」 今季36試合目の出番。ため込んだ熱い感情を冷静に体現した。1点を追う2回1死一、三塁、菅野から三遊間を抜く同点打。再び1点を追う4回2死、今度は2ボール2ストライクから149キロを左翼席に運んだ。今季1号は値千金の同点ソロ。自ら手作りした「虎メダル」を初めて首にぶらさげ、「まさか自分がかけるとは…」とようやく試合後に照れ笑いした。 2年近く前、一気に注目を集めた時期があった。あるメディアのインタビューで、ダルビッシュ(現パドレス)から捕球技術「フレーミング」を高評価された20年1月。坂本は浮かれることなく、捕手のあるべき姿を再確認していた。 「自分の名前が出て驚いたし、もちろんうれしかった。でもそれ以上に、捕手は態度に出さないことが大事という部分に、すごく共感させてもらいました」 世界屈指の右腕はインタビュー内で「捕手に求める2箇条」として、フレーミングとともに「何があっても態度に出さないこと」をあげていた。 「捕手はみんなが笑っている時も暗くなっている時も1人、冷静でいないといけないんです」 この日も信念を貫いた。先制点を許しても、西勇が緊急降板しても、今季1号を放った後も落ち着いてゲームメーク。負けられない一戦を引き分けに持ち込み、前を向いた。 「チームみんなで1個の勝ち、1個のアウト、1点を取りに行く。残り9試合、その積み重ねでいい方向に向かっていくと思う」 ここ4試合のうち、先発マスクをかぶった3試合は2勝1分け。仕事人の意地もまた、虎をV戦線に踏みとどまらせる底力の一端を担っている。【佐井陽介】

◆3連覇を逃した巨人の3位以下が確定した。 エース菅野が7回2失点の粘投も、9回1死二、三塁のサヨナラ機で吉川と松原が連続三振。27年ぶりの8試合連続2得点以下で引き分け、前日の優勝に続いて2位の可能性まで完全消滅した。原監督は両手をたたいて「何とか、こうコンタクトしてくれたらというのはあったけど、三振、三振」と話した。 投打のかみ合わない、もどかしい戦いが続く。先発投手が13試合ぶりに7回を投げきっても、白星にはつながらなかった。残る目標は3位でのCS進出のみ。最後のイスを争う広島とのゲーム差は5・5。7連敗でストップさせれば、最短16日の3位確定に光が差し込んでくる。

◆坂本誠志郎捕手(27)が4回に今季初本塁打となる同点ソロを放った。坂本には履正社高時代の忘れられない記憶がある。 「ある時、部員のお母さんたちが雑談の中で『誠志郎くんのユニホームが一番きれいよね』っていう話になったらしくて。それを伝え聞いた時はうれしかったですね」 高校3年間は学校近くの豊中市内で1人、下宿生活を送った。夜のうちに泥だらけのユニホームを洗濯し、乾いた物を朝畳んで学校に向かう毎日。いつだって準備に手を抜かない姿勢はプロ入り後も変わらない。 東京五輪金メダリストでもある梅野がチームメート。先輩の陰に隠れ、今季も出番は決して多くない。それでも、一番乗りでスコアラー室に顔を出す。地道で泥臭い日々が、数少ない出場機会で自信となり、背中を押してくれている。【遊軍=佐井陽介】

◆阪神の大逆転Vに暗雲だ。先発の西勇輝投手(30)が右肘に異変を訴え、1回2/3で緊急降板。14日以降に精密検査を受けるが、戦線離脱の可能性が出てきた。本来4番の大山悠輔内野手(26)も背中の張りで2試合連続欠場し、14日の復帰も微妙な情勢。エースと4番が不在の巨人戦は痛恨ドローで、勝った首位ヤクルトに2・5ゲーム差に広げられた。この日2年連続2位以上が確定したが、奇跡への道が険しくなった。まさかの光景だった。1-1の2回1死二、三塁。1番松原の二ゴロで2点目を失った直後だ。マウンドの西勇は渋い表情で右手を振り、異変を訴えた。三塁側に歩き、福原投手コーチとベンチ裏に姿を消した。矢野監督は時間を稼ぐこともなく、投手交代を決断。わずか42球、移籍後最短タイの1回2/3で降板。東京ドーム全体がザワついた。 楽観視できない状況になった。試合後、矢野監督は「これから検査してみないと分からない。現状すごい大きなところはないと思っているんだけど、病院に行かないと分からない部分が多いんでね」と説明。異常を訴えた箇所については「(右)肘かな」と明かした。西勇は阪神移籍後2年連続で2桁勝利。今季6勝9敗と苦戦しているとはいえ、グラウンド内外でチームを鼓舞するエースの戦線離脱となれば大きな痛手だ。 試合前から厳しい展開が予想された。前日12日の練習中に背中の張りを訴えた4番大山が、2日連続でベンチメンバーから外れた。不動の切り込み隊長である近本を今季2度目の3番に据え、1番には島田を入れた。巨人菅野を相手に苦肉のオーダーで臨んだが、得点は8番坂本による孤軍奮闘の2点だけ。9安打を放ちながら決定打を欠き、9回痛恨のドローになった。 矢野監督は大山の状態について「明日は打撃練習できるんじゃないかというところ。スタメンは難しいなと思っている。ベンチに入ってできるのかというのは、明日の状態を見ないといけない」と依然、不透明な部分があるとした。巨人戦前まで11試合連続ヒットを放っていた主砲の離脱に加えて、この日はエースまで…。まさに緊急事態だ。 この日、2年連続の2位以上が確定した。だが首位ヤクルトが勝ったため、ゲーム差は2・5に広げられて優勝マジックを8にされた。逆転Vがさらに厳しくなったが、指揮官は力を込めた。「誰か1人で埋められない。全員でカバーしたり、チームだけど、ライバルなんでね。そういうところも意識して、自分がどうやって出ていくかを考えてくれたらと思う」。窮地に追い込まれたが、ファイティングポーズは崩さない。闘争心むき出しで食らいつくしかない。【桝井聡】

◆巨人・亀井善行外野手(39)が左ふくらはぎ打撲のため、出場選手登録を抹消された。 12日の阪神戦(東京ドーム)の六回2死二、三塁の好機で代打で登場し、左ふくらはぎに死球を受けて交代していた。今季は91試合に出場し、打率・216、3本塁打、17打点だった。 亀井に代わり、みやざきフェニックスリーグに参加していた重信慎之介外野手(28)が登録された。

◆巨人・松原聖弥外野手(26)が一回に右翼線二塁打を放ち、連続試合安打を「27」に伸ばし、2008年のアレックス・ラミレスが記録した球団歴代2位の記録に並んだ。 阪神・西勇のスライダーを引っ張り、俊足を飛ばして二塁へ。張本勲氏が1976年に記録した球団記録の30試合に、あと3と迫った。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(27)が同点の適時打を放った。 1点を先制された直後の二回に先頭の糸原が中前打を放つと、1死後、木浪が右前打で一、三塁。ここで坂本が打席に立つと、カウント1―1から菅野のスライダーを捉えた。打球は三遊間を抜けて左前へ。1―1の同点に追いつく適時打となった。

◆阪神・西勇輝投手(30)がアクシデントで降板となった。1―1の二回1死二、三塁で松原の二ゴロの間に勝ち越し点を奪われた直後、右手を挙げて、自らベンチへ。そのまま交代となった。2番手で馬場がマウンドに上がった。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(27)が四回に同点の1号ソロを放った。 「追いつくことができてよかったです。まだ、中盤なので、気を引き締めてリードしていきたいと思います」 1―2の四回2死。カウント2―2から菅野の149キロ直球を捉えた。高く上がった打球は左中間席へと着弾。これが今季初アーチで、2019年7月8日の巨人戦(甲子園)で同じく菅野から放って以来の一発だった。 0―1の二回1死一、三塁では左前へ同点の適時打。2試合連続でスタメン起用の期待にバットで応えた。

◆巨人・松原聖弥外野手(26)が五回の第3打席で今季443打席目(結果は空振り三振)となり、シーズンの規定打席に到達した。育成出身選手としては球団初の快挙となった。 松原は一回の第1打席で右翼線二塁打を放ち、連続試合安打を「27」に伸ばして2008年のラミレスがマークした球団歴代2位に並んだ。8日の広島戦(マツダ)では12号を放ち、育成出身選手としてのシーズン最多本塁打も更新している。

◆阪神は2―2で巨人に引き分けた。先発した西勇は一回1死一、三塁から岡本和に先制の犠飛を許す。1―1の二回1死二、三塁では松原の二ゴロの間に勝ち越し点を献上すると、その直後に西勇がアクシデントで降板。早い回から継投となったが、馬場、プロ初の中継ぎでの登板となった伊藤将、アルカンタラ、スアレスとリリーフ陣が無失点に抑えた。 援護したい打線は0―1の二回1死一、三塁で坂本が同点の適時打。1―2となった四回にも坂本が今季1号の同点ソロを放つも、その後は得点が奪えず。9安打を放ちながら、2得点のみに終わった。

◆阪神は1番・島田海吏外野手(25)、3番・近本光司外野手(26)の打線を組んだが、得点は坂本誠志郎捕手(27)の適時打と2年ぶりの本塁打で挙げた2点のみ。9安打を放ったものの、痛恨のドローとなった。先発の西勇輝投手(30)は右肘の違和感で二回途中降板。首位ヤクルトのマジックは「8」となった。試合の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー負けなかったのはみんなの力か 「そうなんだけど、うちは勝たないとダメな状況なんでね。その中でやれるのは引き分けしかなかったんで、よう踏ん張ってくれたかなと思うけど、その一方で勝たないと。両方あるけど」 ーー伊藤将&馬場が踏ん張った 「そうやね。勇輝があんな形で降板になったんで。なかなかたくさん点取れるという状態じゃないんで。そういう中でピッチャーが踏ん張ってくれたから引き分けになったんでね。将司も中継ぎ初めてで難しいところもあったと思うけど、しっかり投げてくれた」 ーー坂本が打撃でも 「セイシロウが打つ方も守る方も頑張ってくれているというのはあるし。あいつが2打点か、そういうところではもちろん毎日、試合に出たいと誰でも思うわけやから、アピールしてくれたらこっちとしても使わざるを得ない結果を出してくれているんでね。いい働きしてくれたなと思います」 ーー大山の状態はどうか 「うん、まあ。2日休んで明日やってまたというのも、どうかなというのは正直あるから。明日は打撃練習できるんじゃないかというところまでは、現状のイメージでは、来られてるかもしれないなというところで、スタメンは難しいなと思っているんだけど。ベンチに入ってできるのかというのは明日の状態見ないと」 ーー西勇がこうなって、大山も。やりくりは苦しい 「今までみんなようやってきてくれたし、年間の中で、そういうことが出てきている状態なんでね。それは誰か1人で埋められないし。逆に言うと、セイヤも出られるチャンスだし、そういうのを全員でカバーしたり、チームだけど、ライバルなんでね。そういうところも意識して、自分がどうやって出ていくかというのを考えてくれたらいいんじゃないかと思います」

◆7連敗中の巨人は引き分けに終わり、今季の3位以下が決定した。5安打2得点で1994年以来27年ぶりの8試合連続2得点以下となった。菅野智之投手(32)は7回2失点。1番・松原聖弥外野手(26)は連続試合安打を「27」に伸ばし、球団歴代2位に浮上した。原辰徳監督(63)が振り返る。 ――最後はあと一本 「ねぇ! 何とか(ボールに)コンタクトしてくれると、というのはあったんですけどね。三振、三振というね」 ――序盤はいい形で攻めた。中盤以降に攻撃の手が止まった 「うーん、そうですね。まあ」 ――打線に少しずつ変化は感じているか 「それはね、みんな日々新たにやっているわけですからね」 ――これで27年ぶりの8試合連続2得点以下 「まあ、でしょうね。僕、初めてだもん」

◆阪神の先発・西勇輝投手(30)は二回2死三塁でアクシデントを訴えて降板。試合後、矢野耀大監督(52)は「大きな、こう…。これから検査してみないと分からないけど、現状すごい大きなところはないと思っているんだけど、病院行かないと分からない部分が多いんでね。肩、肘? 肘かな」と語った。

◆この時期に、見たこともない打順を見せられるとガッカリしてしまう。大幅な打順入れ替えは、ベンチがドタバタしているとしか映らない。大山の欠場は仕方ない。現実を受け止めて、ドッシリと構えて戦ってほしい。 ■1番島田では怖くない 島田に申し訳ないが、相手投手からみれば、全く怖さを感じない。やはり1番は近本。リーグで一番ヒットを打つ打者が最初に出てくるから怖いのだ。走者をかえす3番が不在という理由での近本3番だろうが、その近本の前に走者が出なければ、全く意味がない。 1番・近本、2番・中野、3番・糸原。一時期、この並びで戦っていた。ことしの戦い方に戻ればいい。 そして、もう一つ。佐藤輝はやはりスタメンで使うべき。前日(12日)に「7番・三塁」で起用したのに、この日はもうスタメンに名前がない。阪神が落ち着いて戦えていないことは、佐藤輝の起用法でも顕著だ。 佐藤輝は59打席連続ノーヒットの最悪の時期に比べると状態は良くなっている。とんでもないボール球を振ることもないし、ヒットは出ている。いつ一発が飛び出すかわからないという魅力は相変わらず。代打で1打席の打者ではない。 ■佐藤輝に貴重な経験を 私も経験したが、優勝争いの中で出続けることが、最も選手を成長させる。今、タイガースの将来を考えてもらいたい。この日スタメンに並んだ誰が将来を背負うのか、と考えれば明らか。貴重な経験を佐藤輝に積ませるべきだ。 数字の上では極めて厳しい。ただ、ヤクルトの好調な時期も、ちょっと長く続きすぎ。落ち込む時期がどこかで来る。シーズン最終盤なのか、クライマックシリーズの時期なのか。だからこそ一試合一試合を大事に、諦めることなく戦って、日本一を目指してもらいたい。(本紙専属評論家)

◆先発した西勇が右肘の違和感を訴えて降板した二回2死三塁。マウンドに上がった馬場が坂本を三ゴロに打ち取り、三回は三者凡退。相手に流れを渡さなかった。「チームに流れをもってくるために、とにかく必死で投げました。抑えることができてよかった」。最後の打者・中田を三ゴロに仕留めると、右手を突き上げてガッツポーズだ。

◆ルーキーの伊藤将がプロ入り後初の中継ぎで、四回から登板。3回1安打無失点に抑え、初ホールドをあげた。「社会人とかでも(中継ぎは)やってきたので不安や戸惑いはなかったです」。開幕から先発ローテを守って8勝を挙げてきた左腕は、ここぞの切り札として12日からブルペン待機。優勝へ望みをつなぐべくフル回転だ。矢野監督も「初めてで難しいところもあったと思うけどしっかり投げてくれた」とねぎらった。

◆2-2の七回から登板したアルカンタラがイニングをまたいで2回無安打無失点、1四球に抑えた。「先発投手が早い回(二回途中)で降板してブルペンデーみたいになったけど、(中継ぎの)みんなが頑張っていたし、僕も必死に投げた結果がよかった」。残り9試合。〝七回の男〟として評価はうなぎ上りの助っ人右腕は「良い状態を保っている」と力を込めた。

◆偉業は悔しさに覆われた。巨人・松原聖弥外野手(26)が連続試合安打を「27」に伸ばし、2008年のラミレスに並ぶ球団歴代2位(1位は張本勲の30)に浮上した。しかし、チームの8試合ぶりの勝利は呼び込めず「最後の大事な場面で結果を出せなかったことが何よりも悔しい」と唇をかんだ。 一回に西勇のスライダーを右翼線へはじき返し二塁打とした=写真。第3打席ではシーズン規定打席(今季は443)にセ・リーグの育成出身で初めて到達。だが、九回2死二、三塁でのサヨナラ機、スアレスの161キロ直球にバットが空を切り最後の打者となった。 7連敗中のチームは、5安打2得点。1994年以来27年ぶりの8試合連続2得点以下となり、原監督は「でしょうね。僕、初めてだもん。何とか(ボールと)コンタクトしてくれると、というのはあったんですけど三振、三振というね」と嘆いた。 12日にリーグVの可能性が消え、この日は3位以下が決定。4位・広島も5・5ゲーム差に急接近しており、打線の復調が何より求められる。(谷川直之)

◆またも3度の快音を響かせた。阪神・近本が2日連続の猛打賞で存在感を見せつけた。 「(菅野は)良い投手ということに変わりはないので、追い込まれる前に仕留めていきたいという気持ちです」 一回2死で菅野から中前打。三回1死の次の打席でも中前打。巨人のエースから2安打を放って、今季対戦打率・500(10打数5安打)とキラーぶりを発揮。今季58度目の複数安打を記録した。 八回先頭では中川から左前打で、2019、20年を上回る自己最多の14度目の猛打賞。今季2度目の3番での出場も「自分のできることは塁に出ることなので特に意識の変化はありません」とキッパリ。「とにかく目の前の試合を勝つためにできることをやっていくしかない」。逆転優勝を信じ、目の前の敵を倒していく。(菊地峻太朗)

◆この男が持ってくるのは、誕生日を迎えた選手へのケーキや、記録を達成した仲間への表彰状だけじゃない。失いかけた流れを持ってきた。ムード面でチームを支えて続けてきた坂本が千金同点弾を放った。 「爪痕を残そうという思いで。いつも(試合に)出ているわけじゃないので。爪痕を残したいと思っている選手がいっぱいいるので、その1人かな」 1-2の四回2死。カウント2-2から菅野の高め149キロをとらえると、左翼・ウィーラーが、すぐに追うのをやめた。プロ6年目。2年ぶりの通算6号が、左中間席へ飛び込む今季1号の同点ソロ。ベンチ前では自らが考案した虎メダルをかけられ、「まさか自分がかけるとは思わなかった」とはにかんだ。 0-1の二回1死一、三塁でも左前適時打。梅野の壁に阻まれ、9試合目のスタメン出場だったが、適時打に一発とどちらも同点に追いつく価値ある2本を放った。 本塁打の坂本は自身が発案した〝虎メダル〟を首にかけた 守りでも苦しい状況を救った。西勇が負傷により二回途中で降板。それでも緊急登板の馬場、プロ初の中継ぎ登板の伊藤将、アルカンタラとつないで、九回はスアレスが1死二、三塁のピンチも吉川、松原を連続三振。巧みなリードで引き分けに持ち込んだ。矢野監督も「打つ方も守る方も頑張ってくれている。こっちとしても使わざるを得ない結果を出してくれている。いい働きしてくれた」と絶賛した。 誰よりもチーム全体を見渡して行動してきた。昨季、福留(現中日)の誕生日にケーキを自作したところから「パティシエ」の呼び名が定着。二保がトレード加入後初登板に臨んだ7月7日のヤクルト戦(神宮)では、七夕の短冊をベンチにぶらさげ「二保さんが勝てますように」としたためた。新人の三振記録を樹立した佐藤輝に「フルスイングをやめないで」と表彰状を授与したのも坂本だった。そんな男だから、チームを救う準備はできていた。 「チームみんなで1個の勝ちを1個のアウトを1点を取りにいくというのが、いい方向に向かっていくと思う。思いを1つにして1つの勝ちを全力で取りにいきたい」。シーズン終盤の大事な戦いで、俺もいると見せつけた。

◆残り9試合、全部勝つしかない!! 阪神は巨人に2-2で、首位ヤクルトが勝利したなか痛恨のドロー。矢野燿大監督(52)は「勝たないとダメ」と唇をかんだ。背中の張りで4番の大山が2日連続で欠場し、この日は先発の西勇が右肘の違和感を訴えて緊急降板。逆転優勝へ苦しい状況だが、勝って勝って奇跡を起こす!! 崖っぷちから、奈落の底をのぞき込んだ。もう落ちるだけの状況だったが、落ちることだけは耐えた。でも、ドローではダメ。一歩も引けない一戦での〝半歩後退〟だ。複雑な表情を浮かべた矢野監督の言葉には、悔しさとナインへのねぎらいが入りまじった。 「ウチは勝たないとダメな状況なんでね。その中でやれるのは引き分けしかなかったんで。よう踏ん張ってくれたかなと思うけど、その一方で勝たないと」 連投もイニングまたぎもいとわず、誰より勝利への執念を見せてくれていた守護神を、セーブ機会で送り出すことはできなかった。すでにバンテリンドームではヤクルトが中日に勝利を収めていた。もう勝てない、燕に近づくことはかなわなくなっていた虎だったが、引き分けだけは死に物狂いでつかまなくてはならなかった。 2-2の九回1死から、スアレスはウィーラーに右中間二塁打を、代打・中島に遊撃内野安打を許してしまう。ここまでかと覚悟をしかけたが、剛腕クローザーはここでも、バットにボールを当てさせない力を振り絞った。吉川、松原を連続三振に斬り、かろうじて引き分けた。先発した西勇は、1-1の二回1死二、三塁から松原に二ゴロを許し、一時勝ち越しとなる得点を挙げられた直後に自ら手を挙げマウンドを降りた。試合後、指揮官は右肘にアクシデントがあったことを明かしたが「これから検査してみないと分からないけど、現状すごい大きなところはないと思っているんだけど、病院行かないと分からない部分が多い」と言葉も表情も曇った。大山は前日12日の練習中に背中の張りを訴えた影響で、この日もベンチ外。エースとして期待されてきた男と4番が相次いでグラウンドを去って、何とか敗れはせずに優勝争いから転げ落ちずに済んだことが、逆に不思議でさえあった。2位以上が確定し、巨人はもう相手ではない。この引き分けは、14日に巨人をたたき、ここからすべて勝ってこそ効いてくる。阪神が残り9戦を全勝すれば、81勝54敗8分けの勝率6割に達し、ヤクルトがそれを上回るには8勝4敗が必要となる。2戦を残す直接対決にも阪神が勝つことを意味し〝実質8勝2敗が必要〟という計算だ。厳しい状況ではある。だが、もう燕を追えるのは虎だけだ。2・5差に広がり、優勝マジック8にされたが、この夜、引き分けられた小さな奇跡を、ここから続く大きな奇跡の始まりにするしかない。「これはもう、今までみんなようやってきてくれたし。年間の中で(故障者や)そういうことが出てきている状態なんでね。それは誰か1人で埋められない」と指揮官。最後に訪れた最大の危機。9戦全勝で、不可能を可能に変える。(長友孝輔)現実味を帯びる2冠王。21歳シーズンまでに本塁打と打点の2冠を獲得したのは1953年の西鉄・中西太(20歳シーズン)だけで史上2人目の快挙が射程圏だ。世代のトップを走る。熊本・九州学院高から入団4年目。11日に行われたドラフト会議では西武D1位指名・隅田(西日本工大)、オリックスD1位指名・椋木(むくのき、東北福祉大)、阪神のD2位指名・鈴木(創価大)、巨人のD3位指名・赤星(日大)ら同学年投手が「村上と対戦したい」と宣戦布告した。村上も「抑えられたくない。同級生なので、僕も負けじと打てるように頑張ります」とプロの〝先輩〟として受けて立つ構え。長崎・波佐見高から西日本工大に進学し、ドラフト会議でヤクルトを含む4球団の競合となった隅田は高校時代に対戦経験もある。「高校のときは打てなかった。プロでは打てるように」。4年間のプロ生活で積み上げてきた自信と自覚がある。若き4番が牽引するチームは1点を追う五回に中村、サンタナの連打で同点とし、投手陣もサイスニードが六回に下半身の張りで緊急降板するアクシデントを乗り越えた。今季の2位以上が決まり、高津監督は「(村上は)最近、左翼にああいう当たりはなかったので、会心の一発じゃないですか。(連敗を防いだのは)大きい。昨年みたいにズルズルいかないというのは、チームとして成長を感じる」と目を細めた。「ここまで来たら本当に優勝したい」と村上。残り12試合。村上を先頭にラストスパートに入る。(横山尚杜)

◆優勝争いをしていたチームが、これほどボロボロ、ヘロヘロになるとは。巨人打線の体たらくは、いかんともしがたいね。 九回1死二塁のサヨナラ機。まず代打・中島がスアレスの速球に詰まらされながら遊撃内野安打。長打への欲を封印し、コンパクトに捉えた内容のあるバッティングだった。 問題はその後。吉川と松原が連続で空振り三振ときた。吉川は相手の極端な前進守備でヒットゾーンが広がったというのに、バットを長く握ったままフルスイング。ミートに徹する姿勢も見られなかった。松原もセーフティーバントなどの小技は利かないから、大振りを繰り返すだけ。チームで勝つ野球になっていない。8試合連続で2得点以内というのも、無理はない。 阪神も同様。どっちもどっちだ。エモトにいわせれば、両軍でバッターらしいバッターは近本だけよ。ヤクルトと比べたら、ともに打線は相当落ちるね。 優勝を争うだけでなく、救済と恩恵の制度、クライマックスシリーズまであるというのに…。現状で、どちらも2位、3位を名乗るには恥ずかしい限り。ネジを巻き直さないと、いかんよ。(本紙専属評論家)

◆聞くも涙…、話すも涙…。今回は『猛虎ルーキー苦悩編』でございますー!! 逆転Vを最後の最後まで諦めないで中継ぎに伊藤将を指命したのは、ルーキーということを考えれば酷は酷!! だけど、百歩譲って窮地にそのカードしかないという判断なら、優勝を望むわれら虎党としてはルーキーには申し訳ないがそれも許そう!! だけど一万歩譲っても許せないのは、この状況で体調不良を訴えてベンチにも入れない4番・大山、先発マウンドに上がったのに1回?で緊急降板した西勇。何のためにここまで(ファンも含めて)戦ってきたんやー!! 2-2の同点の八回は先頭・近本がヒットで出塁。「さあ、ここから1点もぎとれば勝ちやー!!」と思った次の瞬間、マルテが初球を強振の三ゴロでゲッツー…。4番だから送りバントなんて言いません…。でも、1点勝負を考えたら進塁打の右打ちは…。最後の執念、見せたってーや!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
694616 0.600
(↑0.004)
M8
(↑1)
12579
(+3)
464
(+1)
133
(+1)
69
(+1)
0.256
(-)
3.320
(↑0.02)
2
(-)
阪神
72548 0.571
(-)
2.5
(↓0.5)
9509
(+2)
495
(+2)
118
(+1)
108
(+1)
0.247
(-)
3.440
(↑0.01)
3
(-)
巨人
595819 0.504
(-)
11
(↓0.5)
7516
(+2)
509
(+2)
159
(-)
65
(-)
0.243
(-)
3.570
(↑0.01)
4
(-)
広島
566611 0.459
(↓0.004)
16.5
(↓1)
10505
(+3)
552
(+9)
110
(-)
61
(+1)
0.263
(-)
3.860
(↓0.04)
5
(-)
中日
536816 0.438
(↓0.004)
19
(↓1)
6392
(+1)
459
(+3)
69
(-)
57
(-)
0.238
(-)
3.230
(-)
6
(-)
DeNA
526815 0.433
(↑0.004)
19.5
(-)
8537
(+9)
591
(+3)
135
(+2)
30
(-)
0.257
(↑0.001)
4.190
(↑0.01)