ヤクルト(☆4対1★)阪神 =リーグ戦21回戦(2021.10.08)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:奥川 恭伸(9勝3敗0S)
(セーブ:マクガフ(3勝2敗27S))
敗戦投手:髙橋 遥人(3勝2敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(21号・4回表ソロ)
【ヤクルト】西浦 直亨(5号・2回裏ソロ)

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◆ヤクルトが7連勝。ヤクルトは初回、村上の適時打で1点を先制する。続く2回裏に西浦のソロで追加点を挙げると、5回には塩見の2点適時打が飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・奥川が7回途中1失点の好投で今季9勝目。敗れた阪神は、打線が1得点と振るわなかった。

◆阪神高橋遥人投手(25)は2試合連続完封中。 3試合連続完封すれば18年菅野(巨人)以来になるが、70年以降に記録しているのは右投手ばかり。左投手の3試合連続完封は65年金田(巨人)を最後に出ていない。

◆2位阪神は首位ヤクルトとの3連戦で1分けでもすると自力優勝の可能性が消える。負けられない初戦は2戦連続完封、3連勝中で27イニング連続無失点中の高橋遥人投手(25)に中5日で先発マウンドを託す。 佐藤輝明内野手(22)は2試合連続でベンチスタート。前日7日DeNA戦で2安打を放った島田海吏外野手(25)が2日連続で7番・右翼でスタメン起用となった。

◆阪神ロベルト・スアレス投手(30)が、兄でヤクルトのアルバート・スアレス投手の32歳の誕生日を祝福した。 この日の試合前練習時、右翼フェンス付近でスアレス兄弟が談笑。この日は兄の32歳の誕生日で、ケーキを持って弟が祝福すると、阪神の投手陣も拍手でお祝いした。 最後は、この日ヤクルトから発売された「アルベルト×ロベルト Wスアレス コラボレーションタオル」を手に記念撮影。 2人は今月3日に、プロ野球史上初の兄弟同日セーブを達成。スアレスは同日に「もちろんチャンピオンを争うライバルではあるけども、共に日本で戦う仲間として、そして兄弟として、彼の成功をうれしく思うし、これからも共に頑張っていきたいね」と話していた。 この日からリーグ優勝を目指した負けられない直接対決。互いにリスペクトしながら、チームのために全力を尽くす。

◆阪神大山悠輔内野手(26)が2戦連続アーチで反撃ムードを高めた。 2点を追う4回2死、フルカウント。無安打投球を続けていた奥川の外角高め直球を強く押し返し、右翼席に21号ソロを届かせた。 ここ4試合で3本目となる1発。4番主将が勝負の一戦で好調を結果につなげた。

◆阪神は頼みの綱だった先発高橋遥人投手(25)がヤクルト打線に攻略された。 1回2死一塁で村上に右中間適時二塁打を浴びて先制された。2回には西浦に左翼ポール直撃のソロ本塁打を被弾。リズムに乗れないまま、5回は1死二、三塁で塩見に内角速球で詰まらせながらも振り切られ、右前に2点適時打で追加点を許した。2試合連続完封勝利と好調で、中5日でこの日の天王山を迎えたが、首位ヤクルトの勢いを止められなかった。「大事な試合で先発させてもらったなかで試合を作ることができず、申し訳ないです」。この日は5回4失点で降板した。2位の阪神はこの日、敗れて、自力優勝の可能性が消滅した。ヤクルトにはマジック11が点灯した。阪神は05年以来、16年ぶりの優勝に向けて、苦しい状況に追いつめられた。

◆2位阪神が絶好調の高橋遥人投手(25)でもツバメ打線を止められず、2連敗で自力優勝の可能性が消滅した。首位攻防3連戦の初戦を落とし、ヤクルトにマジック11点灯を許して3ゲーム差をつけられた。 先発の高橋が誤算だった。試合前時点で2戦連続完封勝利。27イニング連続無失点と無双状態だったが、1回2死一塁、4番村上の適時二塁打でいきなり先制点を許す。2回には8番西浦に左翼ポール直撃のソロを献上。1点ビハインドで迎えた5回には1番塩見に中前2点打を浴びた。5回4失点で2敗目(3勝)を喫した。 打線は高卒2年目の奥川に7回途中1失点で白星を献上。7回2死満塁では2番手田口に対し、代打の糸井嘉男外野手(40)が空振り三振に倒れた。痛恨の1敗で16年ぶりのV奪回へ追い込まれた。

◆首位ヤクルトと、2位阪神が対戦。先発はヤクルト奥川、阪神が高橋。

◆ヤクルトが阪神との首位攻防戦初戦を制し、シーズン127試合目で待望の優勝マジック11を点灯させた。 節目の一戦。先制点は山田&村上コンビで奪った。 1回2死一塁から、村上宗隆内野手の右中間への二塁打で、一塁走者の山田哲人内野手が激走。本塁クロスプレーはセーフ判定になり阪神ベンチはリクエストしたが、判定は覆らず。捕手梅野のタッチをかいくぐった激走に、二塁上で村上は両手を突き上げてガッツポーズを決めた。 2回には西浦直亨内野手が左翼ポール直撃の5号ソロ。一塁側ベンチ前で選手たちとガッツポーズを決め、ムードは最高潮になった。5回は1死二、三塁から塩見が詰まりながら右前に運び、2点を追加した。 先発の奥川恭伸投手は7回2死満塁、打席に代打糸井を迎えた場面で降板。2番手田口が空振り三振に仕留めた姿を見届けると、ベンチでガッツポーズを決めた。7回途中、91球を投げて、4安打2奪三振1失点。9勝目を挙げた。 チームは10月負けなしの7連勝で、2位阪神に3ゲーム差。15年以来6年ぶりの歓喜が、着実に近づいてきた。 ▼ヤクルトに優勝マジック11が点灯した。2位阪神は残り13試合に全勝で83勝53敗7分け、勝率6割1分。ヤクルトは残り16試合のうち阪神戦4試合に敗れても他カードで11勝すれば78勝49敗16分け、勝率6割1分4厘で阪神を上回る。2位以下の5球団に自力Vがなくなり、M11が出た。現日程での最短Vは15日。 ▼ヤクルトは19年が優勝した巨人から18ゲーム差の6位で、昨年はVの巨人から25ゲーム差の6位。ヤクルトは前回の優勝も13年6位→14年6位→15年優勝。過去に、前年最下位から優勝は15年ヤクルトまで7度あるが、2度やったチームはまだない。

◆ヤクルト奥川恭伸投手(20)が、7回途中4安打1失点で9勝目を挙げ、チームに待望の優勝マジック11を点灯させた。 2年目右腕の好投に、ツイッターでは「奥川くん」がトレンド入り。 「奥川くん好きー」「ナイスピッチング奥川くん!」「奥川くん 後ろには頼もしい先輩がいる」などコメントが集まった。 7回は2死満塁の場面で降板し、2番手田口が代打糸井を三振に打ち取っただけに「田口くんありがとう!」「マリモちゃんガッツポーズ」などのコメントも寄せられた。

◆ヤクルトは1回2死一塁で村上が右中間への適時二塁打を放って先制。2回には西浦が5号ソロ。阪神は3回まで無安打無得点。 阪神は4回、大山の右翼への21号ソロで反撃開始。ヤクルトは5回1死二、三塁で塩見が右前に2点適時打を放って突き放す。 ヤクルトは2位阪神との直接対決を制し、7連勝。6年ぶりのマジック11が点灯した。阪神は打線が振るわず2連敗。高橋は2敗目。

◆阪神2番手の馬場皐輔投手が好救援で奮闘した。3点ビハインドの6回から登板。オスナを低く沈む変化球で空を切らせるなど、2イニングで無安打無失点だった。3三振を奪い、反撃を待った。 「とにかく相手に流れを渡さないことを心掛けて1人1人、集中して投げました」。今季はすでにシーズン自己最多の登板数で、この日は38試合目のマウンド。チームは敗れたが、存在感を示した。

◆ヤクルト奥川恭伸投手(20)が、7回途中4安打1失点で初の2桁勝利に王手をかける9勝目を挙げ、チームに待望の優勝マジック11を点灯させた。 ヒーローインタビューでは「チームもこの週がヤマ場だと思うので、大事な初戦だったのでもう少し長いイニングを投げたかったです」と反省。それでも1失点に抑え、試合をしっかりとつくった。 7回は2死満塁で降板し、2番手田口に託した。「本当に申し訳ない気持ち。何とか抑えてくれって思いながら応援してました」。交代する際には「『本当にごめんなさい』『お願いします』って言葉ですね」と声を掛けた。 田口は代打糸井を三振に斬り「ヤス(奥川)がここまでつくったものを壊したくなかったので、何とかアウトを取るという気持ちで投げた結果が最高の結果になりました」と喜んだ。 ▼ヤクルトに優勝マジック11が点灯した。2位阪神は残り13試合に全勝で83勝53敗7分け、勝率6割1分。ヤクルトは残り16試合のうち阪神戦4試合に敗れても他カードで11勝すれば78勝49敗16分け、勝率6割1分4厘で阪神を上回る。2位以下の5球団に自力Vがなくなり、M11が出た。現日程での最短Vは15日。 ▼ヤクルトは19年が優勝した巨人から18ゲーム差の6位で、昨年はVの巨人から25ゲーム差の6位。ヤクルトは前回の優勝も13年6位→14年6位→15年優勝。過去に、前年最下位から優勝は15年ヤクルトまで7度あるが、2度やったチームはまだない。

◆2位阪神が首位ヤクルトとのカード初戦で敗れ、2連敗で自力優勝の可能性が消滅した。ヤクルトにマジック点灯を許し、3ゲーム差をつけられた。 27イニング連続無失点中だった高橋遥人投手(25)を中5日で投入したが、初回に先制を許すなど5回7安打4失点で2敗目。 打線はヤクルト先発の奥川から突破口を開こうと奮闘したが、大山悠輔内野手(26)の2戦連発となる21号ソロで1点をかえすのが精いっぱいだった。 阪神矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り -高橋は前回、前々回に比べると状態は良くなかった 「中5日っていうのもあるしね、こっちももう、勝負に行ってるんで、それは前半(ヤクルト先発の)奥川もいいだろうっていうので来てるんで、前半ちょっと粘ってくれたらなっていうのはもちろんあるけど、遥人も勝負に行った結果なのでね、それはしっかり受け止めてやるしかないかな」 -交代は次の登板を見越してか 「そんなん考えてへんよ、そんなん考えてへん」 -球数も58球と少なかった 「点差も考えて、今日の試合の大事さ分かってたらそんなん関係ない」 -打線は積極的に打ちにいって何とか攻略しようという姿はみせた 「まあまあ、そういうのはうちとして大事にしてるし。でも結果はプロとして求められる。だから良かったということではやっぱり、できない。俺らも成長していかなあかんし。そういう気持ちを持ちながら、どう結果につなげていくか。プロセスは俺、すごく大事にしているんだけど、そこまで求められる」 -自力Vの可能性が消えた 「いつも言うけど、終わったことは変えられない。明日以降、自分たちが変えられるところにチャレンジにしていく。どういう状況になっても俺たちの野球っていつも言うけど、その姿を見せていくのが、さっきの打者の攻めていくのと同じで、そこがあってこその俺たちの野球なんで。そういうところを大事にしながら、なんとか変えられる明日以降を全員で変えにいく努力をしていきます」

◆4番の一振りが、マジックを呼び込んだ。ヤクルト村上宗隆内野手(21)が1回2死一塁、阪神の高橋遥人投手(25)から貴重な先制適時二塁打を放った。一塁走者の山田哲人内野手(29)が好走塁で一気に本塁生還。攻撃陣が全力プレーを見せ、27イニング連続無失点だったサウスポーを鮮やかに攻略した。村上が両手を突き上げた。1回2死一塁、阪神高橋の外角低め140キロカットボールをフルスイング。右中間を破る適時二塁打を放った。「奥川に先取点を取ってあげたかった」。後輩思いの一打で27回連続無失点の高橋から1点をもぎ取るとともに、自身は105打点とし、前回優勝した15年に打点王に輝いた畠山の球団日本選手最多に並んだ。 ヤクルトの選手たちが走り回った。村上の先制打でも、一塁走者の山田が果敢に本塁へ突入。捕手梅野のタッチをかいくぐった。5日の巨人戦では、3回1死一、三塁で、村上は遊ゴロを放つも気迫のヘッドスライディング。「本当に点を取るのに必死。無我夢中で走っていた」と執念で併殺崩れをつかみ取り、決勝点となった。6日は一塁走者のオスナが、中村の右中間二塁打の間に一気に生還。7日は9回2死二塁から山田がボテボテの遊ゴロを放ち「打った瞬間は終わったと思った」と振り返りながらもダッシュ。内野安打をもぎ取った。二塁走者の塩見も諦めずに三塁を蹴り、サヨナラのホームイン。3位巨人、2位阪神との連戦で、走塁が効いている。 主砲とはいえ、村上の50メートル走タイムは6秒1。今季12盗塁と足でも貢献する。 「全力疾走は基本です。それが当たり前だと思ってやってきた。打ったら走る。てれんこ走る人いないっしょ」と涼しげに語る。38本塁打105打点と打撃が目立つが、貪欲に点を取る姿勢を忘れない。全員が泥くさく1点を追い求めている。【湯本勝大】

◆もう、過ぎ去った一戦を悔やんでいる暇はない。阪神大山悠輔内野手(26)は痛い敗戦の直後、厳しい表情を保ったまま、強い足取りで神宮球場を後にした。 「前を向いてやっていくしかない。反省するところはしっかり反省して、また明日から勝ちに向かってチーム一丸となってやっていきたいと思います」 振り絞った言葉の節々から、第2ラウンドへの覚悟がにじみ出た。 首位攻防3連戦の初戦、一時は反撃ムードを高めた。2点を追う4回2死、フルカウント。無安打投球を続けていた20歳奥川の外角高め149キロ直球を強く押し返した。 「しっかり打席の中で攻めていった結果がホームランになって良かった」 3ボールとなっても四球で良しとせず、直球2球を空振り、ファウルと積極的に振り抜いた末の21号ソロ。1点差に迫る1発でナインの士気を高めた。 前日7日DeNA戦でも20号左越え2ランを放っており、2戦連続アーチ。ここ4試合で3本目の1発だ。10月の月間成績は現在、7試合で打率3割3分3厘、4本塁打、7打点とハイアベレージを保っている。 これで今季70打点。球団では14~16年のマウロ・ゴメス以来、生え抜きの日本人右打者では03~05年の今岡誠以来となる3年連続70打点をクリアした。勝負の季節に状態を上げているが、なかなか勝利につながらない事実がもどかしい。 主将に就任して1年目。開幕前から一貫して言葉にしてきた。 「とにかく勝ちたい。勝てれば何でもいい」 今こそチームの先頭に立ち、信念を全身で体現し続けるタイミングだ。 この日、自力優勝の可能性が消滅した。首位ヤクルトとのゲーム差は3に開いた。16年ぶりのV奪回へ、窮地に追い込まれて迎える次戦。今まで以上に、主将の、4番の反発力に頼りたくなる。【佐井陽介】

◆阪神佐藤輝明内野手(22)は2試合連続で出番がなかった。 9回2死一塁でヘルメットをかぶりバットを持ってベンチ内で準備したが、メル・ロハス・ジュニア外野手(31)が倒れて試合終了。8回は投手馬場皐輔(26)の打順でも声は掛からなかった。5日DeNA戦で60打席ぶりの安打を放った後は6打席安打がない。首脳陣も2日連続でフリー打撃の一番最後にじっくり打ち込ませるなど復調の糸口を探っている。開幕2戦目の3月27日にプロ初本塁打を放った神宮できっかけをつかみたい。

◆次世代エースでマジック点灯ヤ! ヤクルトが2位阪神との大一番を制し、6年ぶりとなるマジック11を点灯させた。2年目の奥川恭伸投手(20)が6回2/3を1失点と好投。チームトップタイの9勝目を挙げるとともに、チームを7連勝に導いた。それでも出てきたのは反省の言葉。優勝へ向けて突き進みながらも、成長への努力を怠らない若き右腕が、ツバメをセ界の頂点へと押し上げる。首位を走るヤクルトが、今季127試合目で優勝マジックを点灯させた。4番が打って、若きエース候補が勝利を挙げる。理想的な展開で連勝を7に伸ばし、高津監督は「先制して加点して奥川が試合を引っ張る。いい展開だった」と満足そうに振り返った。 それでもチームを勝利に導いた若き右腕は、盛り上がる神宮とは対照的だった。奥川が強調したのは「申し訳ない。もっと長いイニングを投げたかった」という反省の言葉。3点リードの7回2死一、三塁のピンチ。島田に対し、1球もストライクが入らずに四球とした。それまで8試合、54回1/3で無四球を続けるほどの制球の持ち主。それが狂った。2死満塁のピンチで降板。2番手田口が空振り三振で火消しに成功し、救ってもらった。「いつも通り投げたが、今日はうまくいかなかった」と自身に厳しかった。 普段よりボール球が多く、打者に対してカウント負けしたことを悔やんだが、試合を作り、流れを読んだ。2位阪神との直接対決でいつも以上に緊張感のあるマウンド。立ち上がりからエンジン全開で腕を振った。緊張の対処法は確立されている。「ほぐすというよりも受け止める。そうやって今までやってきた。緊張感あるゲームは投げていて楽しい」。プレッシャーを糧に自然と力も入る。我を忘れないからこそ、課題と反省が分かる。 6年ぶりのマジック点灯。リーグ優勝がいよいよ近づいてきた。奥川は「これから優勝へ向かって一生懸命投げたい」と意気込んだ。次世代エースの好投で、チームの勢いもより増した。指揮官は「負ける気がしないというとちょっとあれですけど、負けたくないという気持ちはみんな強い。牙むき出して、鼻息荒く、グラウンドに立っているんじゃないかなと思う」と興奮気味。ラストスパートへ向けて、全員がギアを上げた。【湯本勝大】 ▼ヤクルトに優勝マジック11が点灯した。2位阪神は残り13試合に全勝で83勝53敗7分け、勝率6割1分。ヤクルトは残り16試合のうち阪神戦4試合に敗れても他カードで11勝すれば78勝49敗16分け、勝率6割1分4厘で阪神を上回る。2位以下の5球団に自力Vがなくなり、M11が出た。現日程での最短Vは15日。 ▼ヤクルトは19年が優勝した巨人から18ゲーム差の6位で、昨年はVの巨人から25ゲーム差の6位。ヤクルトは前回の優勝も13年6位→14年6位→15年優勝。過去に、前年最下位から優勝は15年ヤクルトまで7度あるが、2度やったチームはまだない。

◆阪神が130試合目にして自力Vが消滅し、ヤクルトの優勝マジック11点灯を許した。27イニング無失点と絶好調だった高橋遥人投手(25)を今季初の中5日で投入する勝負手も実らず5回4失点。打線も先発奥川らに大山のソロ1点に抑えられ、首位と今季最大の3ゲーム差に広げられた。それでも矢野燿大監督(52)は「変えられる明日以降を全員で変えにいく」とネバーギブアップを宣言。残り13試合に大逆転をかける。最後の打者ロハスが見逃し三振に倒れると、矢野監督は悔しさをこらえてグラウンドを見つめた。首位ヤクルトに優勝マジック11が点灯し、130試合目にして自力優勝の可能性が消滅した。「終わったことは変えられない」。懸命に現実を受け止めた。 負けられない直接対決の初戦に、今季初の中5日で2戦連続完封中の高橋を投入する勝負手を切った。「中5日もあるし、奥川もいいだろうというところで、前半ちょっと粘ってくれたらなと」。だが、初回村上に先制二塁打を浴びて連続無失点が27イニングでストップ。2回に西浦の5号ソロで序盤に2点を失った。5回にも1死二、三塁から塩見に前進守備の二塁横を鋭く破られる2点適時打。5回4失点での降板に高橋は「大事な試合で先発させてもらった中で、試合をつくることができず申し訳ないです」と肩を落とした。 打線も不調の佐藤輝を外し、この日も島田を右翼で起用するなど奥川対策を講じたが、大山のソロ1点に終わった。6回1死一塁では2番中野が1ボールから積極的に打って出て二ゴロ併殺。その裏の守りから交代を命じるなど、厳しい姿勢を見せたがカツも実らない。7回2死満塁では代打糸井で勝負もワンポイントで代わった左腕田口に空振り三振に終わった。矢野監督は「結果はプロとして求められる。(積極打法で)よかったということはない。オレらも成長していかなあかん」と厳しかった。 ヤクルトとの優勝争いで思い出されるのは92年。最終盤の天王山、同じ神宮で2連敗して首位から落ち、V逸につながる無念を味わった。リベンジのはずの神宮。首位と今季最大3ゲームが開く崖っぷちでも、9日、10日は何としても勝ち、逆転Vへの希望をつながないといけない。9日はローテを変更してまで、10勝右腕の秋山を中10日でぶつける。矢野監督はネバーギブアップを誓い、力を込めた。「変えられる明日以降を全員で変えにいく」。残り13試合。6月に2位に最大7ゲーム差をつけて首位を走っていた時は、16年ぶり優勝の文字が見えていたはず。猛虎の意地が試される。【石橋隆雄】 ▼阪神がヤクルトとの直接対決に敗れ、自力優勝の可能性が消滅した。阪神が残り試合を全勝すると83勝53敗7分けの勝率6割1分で、ヤクルトが阪神との直接対決4試合に全敗しても、他のカードに11勝すれば78勝49敗16分け勝率6割1分4厘となり上回れないため。 ▼阪神は後半戦に入りペースダウン。前半戦は48勝33敗3分けの貯金15で折り返したが、後半戦はここまで22勝20敗4分けで貯金2。対するヤクルトは前半戦を貯金10でターン。後半戦は9連勝するなど25勝12敗7分の貯金13とハイペースで勝ち進み、10月はこれで7連勝。阪神はヤクルトに6月19日に最大7差をつけたが、逆転を許した。

◆ヤクルトのリリーフ陣が踏ん張った。7回2死満塁で奥川に代わって、田口が登板。「正直フワフワしてました」と打ち明けるも、代打糸井をカウント2-2から外角低めのカットボールで空振り三振に仕留めた。大ピンチをしのぎ、雄たけびをあげながら渾身(こんしん)のガッツポーズ。試合後、お立ち台では奥川からの感謝の言葉に、帽子を取って一礼して応えた。8回は清水、9回はマクガフと、4連投コンビが無失点。登板した救援陣全員が、自らの仕事をこなした。

◆阪神が先制を許した。一回2死一塁から、先発の高橋が村上に右中間を破られる二塁打。一走・山田が一気にホームに突入し、クロスプレーとなった。判定はセーフ。たまらず矢野監督はリプレー検証を要求した。それでも、判定は覆ることなく大事な天王山で、先手を許した。二回にも失点し、2点のビハインドとなった。

◆勝てば優勝へのマジックナンバー「11」が点灯するヤクルトは一回、村上の右越え適時二塁打で先制した。阪神先発・高橋のカットボールを捉え、「奥川に先に先制点を取ってあげたかった。初回から先制することができて良かった」と今季105打点目を振り返った。

◆勝てば優勝へのマジックナンバー「11」が点灯するヤクルトは1-0の二回、西浦が左翼ポール直撃の5号ソロを放ち、2-0とリードを広げた。「打ったのはカットボール。チャンスメイクする気持ちで打席に入った。インコースの球だったが、うまく反応できた。切れなくて良かった」と胸をなでおろした。

◆阪神・大山悠輔内野手(26)が2試合連続の21号ソロで反撃ののろしを上げた。「しっかりと打席の中で攻めていった結果がホームランになってよかったです。遥人(高橋)も粘って抑えてくれていますし、ここから何とか援護して逆転できるように頑張ります」。0-2の四回2死。フルカウントから高めの直球を逆方向にはじき返した。打球は右翼スタンドへ。7日のDeNA戦(横浜)に続く2試合連続弾。意地のチーム初ヒットがホームランと4番がナインを鼓舞した。

◆先発した阪神・高橋遥人投手(25)は5回7安打4失点でマウンドを降りた。一回に村上に右中間を破る適時二塁打を浴びて、先制点を献上。二回には西浦にソロを被弾した。五回には1死二、三塁から塩見に2点右前打を許して4失点。2試合連続完封勝利をあげるなど、好調だった左腕が六回の打席で代打を送られた。

◆阪神は首位ヤクルトに敗戦し、自力優勝の可能性が消滅。ゲーム差は今季最大の「3」に広がった。 先発の高橋は村上に先制の適時二塁打、西浦にソロを許すなど5回7安打4失点。馬場、小林と何とか望みをつないだが、打線の援護がなかった。 得点は四回に大山が2試合連続のソロを放った1点のみ。七回は2死満塁のチャンスを作ったが、代打・糸井が空振り三振に倒れた。八回、九回はヤクルトの中継ぎ陣の前に無得点に終わった。ヤクルトに優勝マジック「11」が点灯した。

◆ヤクルトが7連勝。6年ぶりの優勝へのマジックナンバー「11」が点灯した。一回に村上が先制二塁打を放ち、二回は西浦がソロ本塁打。2―1の五回は塩見が2点打を放った。奥川は球に力があり、6回?を大山のソロによる1点に抑えて4連勝の9勝目を挙げた。奥川との一問一答は以下の通り。 --投球を振り返って 「大事な初戦だったので、もう少し長いイニングを投げたかった。最初はよかったけど、ピンチを作ってしまって投げ切れなかったので悔しい」 --七回2死満塁で田口と交代 「申し訳ない気持ち。何とか抑えてくれと思いながら応援した」 --交代時に田口と交わした言葉は 「本当にごめんなさいとお願いします」 --いま田口にかけたい言葉は 「本当にありがとうございます」 --今後へ向けて 「優勝に向かって一生懸命投げたい」

◆ヤクルトが7連勝。6年ぶりの優勝へのマジックナンバー「11」が点灯した。一回に村上が先制二塁打を放ち、二回は西浦がソロ本塁打。2―1の五回は塩見が2点打を放った。奥川は球に力があり、6回?を大山のソロによる1点に抑えて4連勝の9勝目を挙げた。七回2死満塁のピンチを防いだ2番手・田口との一問一答は以下の通り。 --七回2死満塁で糸井を空振り三振 「正直、そわそわしていた。野手がここまで作り上げたものを壊したくなかった。何とかアウトを取るという気持ちで投げた結果が、最高の形になった」 --救援陣が好投 「中継ぎのチーム全員で戦う姿勢は常に整っている。野手陣がたくさん点を取ってくれるので助かっている」 --リリーフ陣の雰囲気は 「僕のおかげで良い雰囲気を保っている」 --巨人時代に連覇を経験。ヤクルトでは 「やりましょう」 --今後へ向けて 「いつでもマウンドを上がれるように試合に挑んでいる。最後までずっと見続けて」

◆ヤクルトが、今季2度目の7連勝で優勝へのマジックナンバー「11」がついに点灯した。先発の奥川恭伸投手(20)が6回?を4安打1失点で今季9勝目(3敗)。ドラフト制以降で球団の高卒2年目までの投手では、1990年の川崎憲次郎(津久見高、2年目、12勝13敗)以来、2人目となる2桁勝利に王手を懸けた。 大一番で新エースが躍動した。奥川が神宮のマウンドで仁王立ち。重圧のかかる阪神との天王山で、臆せず腕を振り続けた。七回途中まで4安打1失点の好投。最少失点で粘った。 「大事なカードの初戦を任せていただいたので、結果がどうなろうと攻め抜こうという気持ちで投げました」 2―0の四回2死から大山に右越えのソロを浴びたが、表情は変わらなかった。五回までわずか1安打に封じ、六回は先頭の代打・木浪に右前打を浴びたが続く近本を二ゴロ、中野を二ゴロ併殺打に斬り、右拳を握った。試合前時点で47回?で連続無四球だったが、七回2死一、三塁で四球を許し、連続無四球イニングは53回?で途切れ、降板。それでも救援の田口が2死満塁からが代打・糸井を空振り三振。この日一番の大歓声が神宮を包んだ。 ついにマジック点灯。ヤクルトが一気に突っ走る。

◆阪神の自力優勝の可能性が消滅し、ヤクルトにマジック「11」が点灯した。先発の高橋遥人投手(25)が5回4失点で降板。得点は大山悠輔内野手(26)の21号本塁打の1点のみで、七回2死満塁では代打・糸井嘉男外野手(40)が三振に倒れた。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー高橋は前回、前々回に比べると状態は良くなかった。 「中5日っていうのもあるしね、こっちも勝負いってるんで、前半、奥川もいいだろうっていうのできてるんで、前半ちょっと粘ってくれたらなっていうのはもちろんあるけど、ハルトも勝負いった結果なのでね、それはしっかり受け止めてやるしかないかな」 ーー交代は次の登板を見越してか 「そんなん考えてへんよ、そんなん考えてへん」 ーー球数も少なかった(58球) 「点差も考えて、今日の試合の大事さ分かってたら、そんなん関係ない」 ーー打線は何とか攻略しようという姿はみせた 「そういうのはうちとして大事にしてるし。でも結果はプロとして求められる。だから良かったということではやっぱり、できない。俺らも成長していかなあかんし。そういう気持ちを持ちながら、どう結果につなげていくか。プロセスは俺、すごく大事にしているんだけど、そこまで求められる」 ーー自力Vの可能性が消えた 「いつも言うけど、終わったことは変えられない。明日以降、自分たちが変えられるところにチャレンジしていく。どういう状況になっても俺たちの野球っていつも言うけど、その姿を見せていくのが、さっきの打者の攻めていくのと同じで、そこがあってこその俺たちの野球なんで。そういうところを大事にしながら、なんとか変えられる明日以降を全員で変えにいく努力をしていきます」

◆痛すぎる1敗だ。阪神は、ついにヤクルトにマジック11の点灯を許した。西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを歴任し、数々の修羅場をくぐってきた本紙専属評論家・黒田正宏氏(73)なら、この窮地をどう乗り越えるか? 逆転Vへ秘策はあるのか? 編集委員・上田雅昭が迫った。 ■高めを痛打され...M点灯「バッテリーは反省」 上田 ヤクルトにマジック11が点灯しました。もう、おしまいです。 黒田 諦めるな。ここからが勝負やろ。九回のベンチを見ても、誰もが「次こそ」という顔をしていた。明るさは失われていない。 上田 でも、前日(7日)の逆転負け、この夜の完敗。このままズルズル-というチームも何度も見てきました。 黒田 ヤクルトも阪神との直接対決は緊張感はあったはず。一回に村上が高めに浮いた球を捉えての先制が大きかったし、五回の塩見も高めの球を2点適時打。逆に言えば、要所で高めに浮いてしまった高橋-梅野のバッテリーは反省やな。 上田 先手を取ったことで、相手は一気にノビノビ野球になりましたもんね。阪神は息苦しい感じが。 黒田 要するに先制点。2戦目以降、阪神が先制できれば雰囲気は変わる。その意味では打線の奮起も大事だが、きょうなら先発の秋山の踏ん張りも必要だ。 ■ロハスがブレーキ「佐藤輝を使わない手はない」 上田 流れを変える意味で、打線の組み換えも必要では。 黒田 流れを変える可能性を秘めた選手が一人、ベンチにいるやろ。 上田 佐藤輝ですね。 黒田 最近の打撃の状態を見て、島田のスタメン起用は間違いではない。でも、ロハスはサッパリ。この試合もロハスの打順で止まってしまっていた。ならば、きょう以降は佐藤輝を使うべき。ベンチに入れておいて、使わない手はない。 上田 阪神が今、この位置にいるのは佐藤輝のおかげですよね。最後も託してほしいです。 黒田 何度も優勝争いを経験したから分かるが、マジックが点灯しても、決まったわけではない。むしろ、点灯したチームのほうが苦しいケースもある。きょうから阪神が連勝したら、流れは完全に逆になる。諦める必要はないし、佐藤輝に期待したいね。

◆救援陣が流れを渡さなかった。七回2死満塁は田口が登板し、代打・糸井を空振り三振。しびれる場面に「正直ふわふわしていた」というものの、派手なガッツポーズをつくった。八回は清水、九回はマクガフがそれぞれ今季初の4連投で無失点リレー。高津監督は「普段はそんなに悩まないけど、すごく悩んだ。でも彼らも投げなくて何かあったときに悔いが残るだろうし、僕も悔いが残る。ちょっと無理はしてもらいました」と舞台裏を明かした。

◆1点リードの二回に、西浦が貴重な追加点をもたらした。阪神・高橋のカットボールを捉え、左翼ポール直撃の5号ソロ。ベンチに帰ると、「ノリでやっています」という右拳を突き上げるポーズでナインと喜びを分かち合った。この日の朝食で納豆を食べたといい「当たりは結構良かったんですけど、『切れないで』と思っていた。〝ひと粘り〟あったのかな」とお立ち台でおどけた。

◆4番の一発がむなしく空砲に終わる。大山の意地が燕の〝右翼〟を撃った。それでもヤクルトの勢いを止めるまでには至らなかった。 「前を向いてやっていくしかないので、反省するところはしっかり反省していきたい」 0-2の四回2死。フルカウントから奥川の高め直球を逆方向にはじき返した。「しっかりと打席の中で攻めていった結果」。チーム初安打の一撃は右翼席へ着弾する21号ソロ。ただ、終わってみれば得点はこの1点だけだった。 首位ヤクルトとの直接対決で痛すぎる敗戦。その中で2試合連続本塁打、10月は月間打率・333、4本塁打と好調な主砲の存在は救いだ。 大山は「またあしたから勝ちに向かって、チーム一丸となってやっていきたいと思います」と語気を強めた。その目はまだ死んでいない。わずかでも逆転の可能性がある限り、最後まで4番としてバットを振り続ける。(原田遼太郎)

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(21)が8日、阪神21回戦(神宮)の一回2死一塁で右中間へ先制の適時二塁打を放ち、チームを7連勝に導いた。殊勲の一打でシーズン105打点とし、前回リーグ優勝した2015年に打点王を獲得した畠山和洋(現2軍打撃コーチ)の球団日本選手最多記録に並んだ。今季7度目となる1試合3安打以上の猛打賞も記録。主砲の活躍で、阪神に3ゲーム差を付けた。 アウトか、セーフか? 敷田球審の手が横に広がる。村上は二塁ベース上で両手を挙げた。一回2死一塁から、先制の右中間適時二塁打。熱気ムンムンの神宮に色とりどりの傘が開いた。 「奥川に先制点を取ってあげたかった。初回から先制することができて良かった」 一回に村上の右中間二塁打で一走の山田(手前)が生還。捕手のタッチを見事にかいくぐった(撮影・今野顕) 主軸2人で奪った1点だった。一走は山田。村上が捉えた一打で激走し、捕手のタッチを見事にかわして右手でホームベースに触った。リプレー検証でも判定は覆らず、ベンチの高津監督は両手で何度もガッツポーズ。「タイミング的に微妙なところだったので、(山田は)よく走った。ちょっと熱くなりました」と笑った。 2位・阪神との天王山。ナインは特別な思いだった。今季は開幕戦から6連敗。前半戦で首位を快走する虎に歯が立たなかった。7月6日には村上が阪神サイドのサイン盗みを指摘して、不穏な空気も漂った。そして迎えた本拠地3連戦。相手先発は、2試合連続完封の高橋だった。二回は西浦が5号ソロ、五回には塩見の2点打が飛び出し、左腕を攻略。チーム一丸の勝利でライバルに3ゲーム差を付けた。 村上は殊勲の一打で今季105打点。前回リーグ優勝した2015年の打点王、畠山和洋の球団最多記録に並び、リーグ1位の巨人・岡本和(106点)に肉薄した。 一気にスターダムを駆け上がった21歳の主砲だが、悩むこともある。「1年目で感じられなかったことや、試合に出ていく中で感じていく部分もある」。そんなときに助言をくれるのが、8歳上の山田だ。 1回裏、村上宗隆に右二塁打で1走の山田哲人が本塁生還 =神宮球場(撮影・今野顕) 打席での気持ちの制御、凡退した際の切り替え方...。トリプルスリー(シーズン打率3割、30本塁打、30盗塁)を3度達成した主将の言葉に耳を傾ける。山田も「自分も頑張ろうと思うし、村上に頼ることもある。大きい存在」と語り、深い絆で結ばれた2人がチームを支えている。 「勝ちたい一心。勝つことだけを考えている」と村上。今の燕打線に死角はない。(赤尾裕希)

◆好調の左腕も燕の勢いを止められなかった。中5日で先発した高橋は5回7安打4失点で降板。ヤクルトにマジック11を点灯させた責任を一人で背負い込んだ。 「大事な試合で先発させてもらった中で、試合を作ることができず、申し訳ないです」 必死に声を振り絞った。一回、2死一塁で村上にカットボールを右中間に運ばれると一走・山田が本塁に突入。微妙なタイミングながら、判定はセーフ。矢野監督はリクエストしたが、リプレー検証で判定は覆らず、連続イニング無失点は「27」で止まった。二回は2死を奪った後、西浦に左翼ポール直撃の一発を被弾。登板5試合&31イニング目での今季初被本塁打だった。 矢野監督は「(ヤクルトの先発)奥川もよかったので、もうちょっと粘ってくれたら...というのはあるけど、(高橋)遥人も勝負にいった結果」と責めはしなかった。残念だったのは、四回に大山の一発で1点差に詰め寄った後の2失点だ。五回、1死二、三塁から塩見に2点打を浴び、反撃ムードに水を差してしまった。 阪神先発の高橋遥人 =神宮球場(撮影・今野顕) 春季キャンプ中に右脇腹痛などで出遅れ、復帰2戦目の9月18日の中日戦(甲子園)で今季初勝利。同25日の巨人戦(東京ドーム)、10月2日の中日戦(甲子園)と2試合連続完封勝利を飾り、指揮官も「現状、調子がいいのは遥人」と期待をかけ、中5日で大一番の先発マウンドを託しただけにショックは計り知れない。 自力Vの可能性が消滅し、ヤクルトに優勝マジック「11」が点灯したが、まだなにが起きるかわからない。アクシデントがない限り、高橋は次も中5日で14日の巨人戦(東京ドーム)で先発し、再び中5日で20日のヤクルト最終戦(甲子園)のマウンドに立つ予定。 「まだ(今季は)何にもできていないし、ここから少しでもチームに貢献したい」 先発の軸と期待されながら3勝しか挙げられていない左腕の口癖だ。落ち込んではいられない。神宮の屈辱は12日後の甲子園で、必ず晴らしてみせる。(三木建次)

◆セ・リーグ首位のヤクルトは8日、阪神21回戦(神宮)に4-1で勝利。天王山の第1ラウンドを制し、今季2度目の7連勝で優勝へのマジックナンバー「11」がついに点灯した。先発の奥川恭伸投手(20)が6回?を4安打1失点で今季9勝目(3敗)。ドラフト制以降で球団の高卒2年目までの投手では、1990年の川崎憲次郎(12勝)以来、2人目となる2桁勝利に王手をかけた。6年ぶりとなるリーグVは最短で今月15日。この勢いで一気に決める!! 大一番で新エースがマウンドに仁王立ちだ。阪神との天王山第1ラウンドで、奥川が七回途中まで4安打1失点。勝利が決まった瞬間、神宮のスタンドから燕党の大きな拍手が降り注いだ。 「チームにとっても今週が山場だと思っていた。結果がどうなろうと攻め抜こうという気持ちで投げました」 自身4連勝で今季9勝目。チームは今季2度目の7連勝で、ついに優勝へのマジックナンバー「11」が点灯した。 重圧のかかるマウンドでも平常心を貫いた。一回に村上の先制打、二回に西浦の5号ソロで援護をもらうと、最速150キロの速球を軸に前半から飛ばした。2―0の四回2死で大山に右越えソロを浴びたが、表情は不変。阪神打線を五回までわずか1安打に封じた。 6月20日の中日戦の七回から3カ月以上も連続無四球だった。疲れが見え始めた七回2死一、三塁で島田に四球を与え、連続無四球は53回?で途切れた。2死満塁で田口にバトンタッチ。救援左腕が糸井を空振り三振に斬ると、とびきりの笑顔で出迎えた。 今週は巨人、阪神と勝負の6連戦。最も重要な2位・阪神との初戦を任された。期待通りの大仕事に高津監督も「先制して加点して奥川が試合を引っ張る。いい展開だった」と手放しで褒めた。新エースへの階段を駆け上がっている。8月15日の後半戦開幕を任されると、この試合を含めて全てカード頭に先発。中10日前後の登板間隔を空けながらも、6試合で5勝1敗と圧巻の成績を残している。奥川は胸の内にはエースとしての矜持(きょうじ)がある。「スイッチが入るとこれは打てないなという雰囲気がある投手。田中将大さん(楽天)、ダルビッシュ有さん(パドレス)、千賀滉大さん(ソフトバンク)...。本気を出したときに打者を見下せるような投球ができれば、自分も自信を持って投げられるようになると思う」。球団では1990年の川崎憲次郎以来となる高卒2年目までの10勝目に王手をかけたが、自身には新たなハードルを課した。「数字が良くても離脱しては駄目だし、1年間中6日、中5日でローテーションを回るということが大前提。来年、再来年、数年後にはそうなっていかないといけない」。その向上心こそが右腕の真骨頂だ。投手陣は奥川、高橋。攻撃陣は村上、塩見ら若い力の台頭でゴールテープが見えてきた。「牙むき出しで、鼻息荒くグラウンドに立ってくれているね」と指揮官は目尻を下げた。最短でのV決定は15日。最後の力を振り絞り、ラストスパートを開始する。(横山尚杜)★2年目でも資格あり 9勝目を挙げた奥川は入団2年目だが、昨年の登板が30イニング以内(2回0/3)のため、新人王の資格を持つ。ただ、今季は広島D1位・栗林(トヨタ自動車)、DeNAのD2位・牧(中大)、阪神D1位・佐藤(近大)の新人が好成績を収めており、混戦模様。奥川は次回登板で節目の10勝目を狙う。

◆阪神は敵地で首位ヤクルトに1-4で完敗。燕に優勝へのマジックナンバー「11」の点灯を許し、自力優勝の可能性が消滅した。残りはヤクルトとの直接対決4戦を含めて13試合。逆転Vへの望みをかけ、矢野燿大監督(52)は「明日以降を全員で変えにいく努力をしていきます」と懸命に前を向いた。目の前で優勝マジック「11」点灯の瞬間を見せつけられた。点差でもムードでも圧倒された。ヤクルトベンチの〝お祭り騒ぎ〟を何度もみせつけられ、対照的に阪神ナインが身を乗り出すシーンはつくれず、勝利への機運もしぼんでいく...。1-4の完敗で自力優勝の可能性は消滅したが、矢野監督は淡々とした口調の中に逆転Vへの闘志をにじませた。 「終わったことは変えられない。明日以降、自分たちが変えられるところにチャレンジしていく。どういう状況になっても俺たちの野球、その姿を見せていく。なんとか明日以降を全員で変えにいく努力をしていきます」 勝たないかぎり相手にマジック点灯を許す一戦で、中5日で投入した高橋は初回から失点を重ねた。打線もヤクルト先発・奥川の前に大山のソロのみ。指揮官も「プロとして結果は求められる。俺らも成長していかなあかん」と厳しい表情だ。 首位からのゲーム差は今季最大の3ゲーム。仮にヤクルトが4連敗、阪神が4連勝しても勝率で追いつけないので、実質4・5ゲーム差の隔たりがある。それでも、4試合残っているヤクルトとの直接対決を含めた13試合で未来を変える。就任1年目から〝矢野ガッツ〟など気迫を前面に押し出し、喜怒哀楽を士気につなげてきたナインなら、必ず変えられる。そのためにも意気消沈している時間は1秒もない。

◆ウウウ...。わが阪神の敗戦で、ついにヤクルトにマジック11が点灯してしまった...(涙)。に、してもおかしいなあ? 「そー、ダンカンさんおかしいでしょう、虎打線? 本日も大山のホームランの1点ぽっきりって、おかしいですよねェ!」 否!! それはおかしくなーい!! 俺のスコアブックに間違いがなければ、この21試合で2桁安打は9月29日の広島戦だけ! 残り20試合は全て1桁安打なので、もはや虎の貧打は夏の次に秋が来るような常識だからおかしくなーい!! 「じゃ、何がおかしいの?」 ヤクルトだよ~! この22試合で16勝2敗4分けって、強すぎるちゅ~か? プレッシャーもなければ、優勝への産みの苦しみが、みじんもないのが過去のプロ野球を振り返ってもおかしーい!! ウム、もしかして昨年の最下位からの優勝チャンスで、興奮のあまり産みの苦しみを忘れてる? よっしゃ、ならば第2戦で気付かせたるわー!! 阪神側のスタンド一斉に声を合わせ「ヒッヒッフー」のラマーズ法でプレッシャーかけたろうやないか? えっ、それだと元気に(Vが)産まれる? 矢野監督、何とかせーや!!

◆優勝するチームは何もかも、うまくいく。ここで打ってくれれば。ここを抑えてくれれば...。五回の塩見の2点タイムリー。七回の田口のリリーフ。ヤクルトは、ベンチの願いがことごとく叶っていたね。 その2人といい、二回に本塁打の西浦といい、脇役がゲームをつくっている。村上と山田らが額面通りに働く上に、脇役まで目立つ。いい形だよ。 ただ、阪神側の視点に立つと、もったいなかった。追う立場なんだから、オーソドックスに戦うのではなく、開き直りがほしかった。 特に七回のチャンス。佐藤輝を代打に送る手は思いつかなかったのか。駄目で元々。もし一発が出れば、最高に勢いがつく。これが相手には、想像以上の重圧になるものよ。いったい何をするんや? そんな刺激的な野球は、できないものかね。(本紙専属評論家)

◆これほど完璧に進むとは。「近本と中野の1、2番を出塁させないこと」。3連戦を前に、奥川へ向けて助言したことを、実践してくれた。 2打席目までは足を使わせないアウトの取り方。インハイの速球で押し込み、いずれもフライ。気迫満点だった。 3打席目は一転。六回無死一塁で、近本を二ゴロ。これが併殺崩れになると、中野も二ゴロで併殺完成。どちらも外角に制球された速球。このケースでは一、二塁間を狙い、引っ張りにくると見越して、計算通りに引っ掛けさせた。これぞバッテリーの勝利だ。 私が監督時代の2001年は、8月中旬にマジックが30台で点灯。先が長く感じ、苦労したものだ。今回は残り16試合で11。「11勝5敗」でもゼロにできる。現実的で、やる気も上がる数字は、ますます追い風になるはずだ。(本紙専属評論家)

◆ゲーム差はそれほど離れていないのに、温度差はこうも違うものか。ヤクルトの選手からは、なんとかする! 風を吹かせる!! 〝熱風〟のようなものが伝わってきた。 それは試合に入った瞬間から、結果に表れる。村上の先制二塁打は、大振りとか引っ張るとか、打撃タイトルがちらつくとか、いわゆる〝欲〟とは無縁。どこまでもセンター返しを貫いた。 これで山田が一塁から、きわどいタイミングをかいくぐり生還。阪神の打球処理と中継プレーにミスはなかった。やはり、山田の試合への入り方に熱があるから、一歩の差でセーフにできるわけだ。 塩見の2点タイムリーも、前進守備の二塁手の横を、まさに1メートルの差で抜けた。こうした小さな差の積み重ねが、大きな開きを生む。アッという間に優勝できるのではないだろうか。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
674416 0.604
(↑0.004)
M11
(-)
16567
(+4)
454
(+1)
129
(+1)
68
(-)
0.256
(-)
3.360
(↑0.02)
2
(-)
阪神
70537 0.569
(↓0.005)
3
(↓1)
13499
(+1)
485
(+4)
117
(+1)
106
(-)
0.246
(↓0.001)
3.460
(-)
3
(-)
巨人
595518 0.518
(↓0.004)
9.5
(↓1)
11511
(+2)
495
(+6)
157
(+1)
65
(-)
0.244
(-)
3.570
(↓0.02)
4
(-)
広島
536511 0.449
(↑0.005)
17.5
(-)
14489
(+6)
541
(+2)
109
(-)
58
(-)
0.262
(-)
3.890
(↑0.02)
5
(-)
中日
516616 0.436
(↓0.004)
19
(↓1)
10383
(+3)
450
(+9)
68
(-)
56
(-)
0.238
(-)
3.280
(↓0.05)
6
(-)
DeNA
506615 0.431
(↑0.005)
19.5
(-)
12524
(+9)
580
(+3)
133
(+3)
27
(-)
0.258
(↑0.002)
4.230
(↑0.01)