巨人(★0対3☆)阪神 =リーグ戦21回戦(2021.09.25)・東京ドーム=
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阪神
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巨人
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勝利投手:髙橋 遥人(2勝1敗0S)
敗戦投手:菅野 智之(5勝7敗0S)

本塁打
【阪神】糸原 健斗(2号・7回表ソロ)

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◆阪神は両軍無得点で迎えた7回表、糸原のソロで先制する。続く8回には中野の2点適時打が飛び出し、貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・高橋が9回無失点13奪三振の快投。今季2勝目を完封で飾った。敗れた巨人は、先発・菅野が好投を見せるも、打線が沈黙した。

◆巨人菅野智之投手(31)は阪神戦通算19勝9敗で、今日勝てば20勝目。 現役投手で阪神戦20勝以上は内海(西武)と石川(ヤクルト)だけ。石川は25勝40敗と負け越しており、20勝以上で勝ち越しは27勝17敗の内海しかいない。

◆42打席連続無安打の阪神佐藤輝明内野手(22)がこの日も7番右翼でスタメン起用された。前日24日は3打数無安打で9回には代打を送られた。 新人野手の42打席連続無安打は、セ・リーグでは55年藤井(広島)の41打席を抜きワーストとなった。 巨人先発は菅野。佐藤輝は昨年12月の新入団会見で対戦してみたい投手に菅野の名前を挙げ、結果を問われると「もちろんホームランです」と答えていた。菅野は今季阪神戦2戦目だが、佐藤輝とはこの日が初対戦となる。対戦を熱望した巨人のエースからトンネル脱出の一打が打てるか。

◆ミスターが27年前の「10・8決戦」の再来を予言!?  巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(85)が、巨人-阪神戦を観戦するために東京ドームを訪問。試合前には原辰徳監督(63)を激励した。 試合前の時点で、3位巨人は2・5ゲーム差で首位ヤクルトを追う展開。長嶋氏は広報を通じて「テレビで毎日、身を乗り出しながら試合を見ています。苦しい形の中でも、ジャイアンツはいい戦いをしていますね。今は3位だけど、まだまだこれから。1994年の10・8決戦みたいになるかもしれません。今年は最後の最後までわからない。絶対に勝つと信じています」とコメントした。 ■ともにリーグ最終戦、勝った方が優勝の史上初の一戦■ ◆10・8決戦 94年10月8日、中日-巨人がともに1試合を残して同率首位で並んで迎えた、リーグ最終戦。勝った方がリーグ制覇という史上初の一戦を、監督だった長嶋氏は「国民的行事」と表現した。試合は槙原-斎藤-桑田の「先発3本柱」リレーで巨人が勝利し、平均視聴率は史上最高の48・8%を記録した。

◆阪神糸原健斗内野手(28)が値千金の先制2号ソロを放った。 両チーム無得点で迎えた7回表1死、2ボール2ストライク。それまでチーム2安打に抑え込まれていた菅野の内角150キロをコンパクトに振り抜いた。 「(高橋)遥人が頑張ってくれているので、なんとか先制点をあげたかった。食らいついて打ちにいった結果がホームランという最高の結果になって良かったです」 高々と上がった飛球は右翼フェンスを楽々オーバー。4月1日広島戦以来177日ぶりの1発が、価値あるアーチとなった。

◆阪神佐藤輝明内野手(22)が7回の第3打席で二ゴロに倒れ、45打席連続無安打となった。この日も7番右翼でスタメン起用され、2回の第1打席では四球を選び21打席ぶりに出塁したが、5回の第2打席は空振り三振を喫していた。 セ・リーグの新人野手では55年藤井(広島)の41打席を抜き、ワースト記録を更新している。 巨人先発は菅野。佐藤輝は昨年12月の新入団会見で対戦してみたい投手に菅野の名前を挙げ、結果を問われると「もちろんホームランです」と答えていた。だが、菅野との初対戦は2打数無安打1四球だった。

◆2位阪神が先発高橋遥人投手(25)の快投に導かれ、4戦ぶりの勝利を手にした。3位巨人とのゲーム差を3に広げた。 高橋は巨人菅野との投手戦で1歩も譲らなかった。2回2死一塁から6者連続三振を奪うなど、序盤から巨人打線を圧倒。自身初完封で今季2勝目をあげた。 打線は両チーム無得点で迎えた7回、5番の糸原健斗内野手(28)が値千金の2号右越え先制ソロ。177日ぶりの1発でチームを勢いづけると、1点リードの8回1死二、三塁からドラフト6位中野拓夢内野手(25)が左中間2点二塁打で突き放した。 直近の3試合は黒星から2戦連続引き分け。4戦ぶりの白星で首位ヤクルト追走に弾みをつけた。

◆セ・リーグ3位巨人と2位阪神が対戦し阪神が巨人を3-0で下した。先発は巨人が菅野智之、阪神は高橋遥人。

◆先発は巨人菅野、阪神高橋。3回まで菅野は毎回走者を背負いながらも得点は許さず。高橋は毎回の6奪三振と最高の立ち上がり。 阪神高橋は6回まで1安打無失点、6者連続を含む10奪三振。巨人菅野も2安打無失点と、両チーム無得点で終盤に入った。 阪神は7回、糸原が先制ソロ。8回に中野の2点適時二塁打でダメ押し。高橋は完封で2勝目。巨人は今季8度目の無得点負け。

◆阪神の4年目左腕・高橋遥人投手(25)が巨人打線を5安打完封し、プロ初完封勝利となる2勝目を挙げた。9回は1死満塁のピンチを招いたが、丸、代打亀井を打ち取った。巨人菅野との投手戦は7回に糸原健斗内野手(28)が決勝弾となる2号ソロを放った。試合後の矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。 -最後はしびれるところ いやもう、遥人にもう任せる投球をしてくれていたんで。任せようと思っているけどね。球数も増えてくるし、どうするかっていうのを、スアちゃん(スアレス)も、もちろん準備をしてもらっていたし、そういうのは難しかったけど。遥人自身がね、丸を三振に取って、最後の最後で、まあそういう気持ちで、あとはもう応援するしかなかった。 -ピンチになっても高橋でいこうと いや全然まあ、自分の中で「行けるところまで遥人で行っていっていいんじゃないかな」っていう、まあまあ、心の中でまあ同点までは、やられ方というか取られ方にもよるんだけど、自分の中では「同点までは遥人に任せていいんじゃないかな」というふうに思わせてくれた投球やったんで。そう思いながら、でもどこでスアちゃんにスイッチするかっていうのは、頭にはもちろん考えてはいたけどね。 -高橋の今日の投球は 申し分ないよね。同じ球種でも少し抜いたりとか、速くいったりとか。本当にボールを操っているという感じがすごくした。球の強さもあるから変化も鋭くなるし。それが三振の数に表れているしね。どの球種でも空振りを取れたと思う。真っすぐ、カット、スライダー、ツーシーム。ツーシームも抜いたやつもあるし。全部の球種で空振りを取れたと思うから。そうやって打者は的を絞られない。もちろん幅だって広がっちゃうし。 -菅野を終盤に攻略 反省としてはやっぱり序盤の初回の拓夢(中野)のところ(のバント失敗)でね。最近しっかり決めてくれていたんだけど、あそこでしっかり攻撃のリズムっていうか。そんなガンガン打ってっていうのは考えにくい、そういう状況では初回のところでリズムを作りたかったなっていう反省はまああるけど。(7回に)健斗(糸原)が、ホント、追い込まれながらね、力と言うより完全に技で打った打撃だと思うんで。あれでもね、今日の遥人を見ていたら相手にはプレッシャーかけられる1点になったと思うし。もうちょっと早くはいきたいという反省はあるんだけれども。(8回は)拓夢も追い込まれてからよく打ったし、その前に遥人が投げる方だけじゃなくて、打つ方でもしっかり(安打で)出るっていうね。それで、ずっと調子がいい近本がっていうところは、まあまあ、機能しているんでね。かえすところが何とか。ずっと同じなんだけど、かえせるというところが機能してくれば、もっともっと点が取れると思う。 -梅野のリードも工夫していた もちろん、もちろん。リュウ(梅野)も一生懸命、投げる前の指示というかジェスチャーであったり、そういうものも。この球場はどうしても、本塁打っていうのは捕手にはどこか頭をよぎるんで、そこもありながら、攻めるところはしっかり攻めて、堅くいくところは堅くいくっていう、すごくリュウが引っ張っていたというところもしっかりあった。 -シーズン最終盤に高橋がかえってきてくれたことは もっと早く戻ってきてくれるに越したことないんだけど、あいつも一生懸命になんとかしようとしながらだったんで。それをわかっていた。その思いを投げるところで、本当にあいつ、おとなしいんだけど、マウンドに上がればいい意味で人が変わる。そういう気迫が出るんで。きょうの打席でもそうだし。そういう部分でもチームに与える影響はある投手だなって。今後のうちにとっても大きい。 -また明日が大事 昨日もみんなで、拓夢のああいうナイスプレーや坂本誠志郎のキャッチやみんなでなんとかなんとかして引き分けてきょうにつなげられたんで。いつも同じになっちゃうけど、俺らの野球というのは全員でつなげてあきらめないとか積極性とかいろんなことが含まれているんだけど、そういうものを明日やり切るのが一番大事。明日もそういう野球をします。

◆巨人がミスターの激励に勝利で応えられなかった。長嶋茂雄終身名誉監督が観戦する中、8回まで二塁も踏めず沈黙。 9回は1死満塁と攻め立てたが生かせず、13三振で今季8度目の無得点負けを喫した。原監督は「異議はないよ。こっちはベストで行っているわけだからね」と、プロ初完封の阪神高橋に脱帽した。 大混戦の中、波に乗りきれない。前夜は1点リードを守護神ビエイラで守り切れずドロー。この日は力投するエース菅野を援護できず、連勝は2で止まった。 だが、ミスターは伝説の一戦を制した27年前のチームに重ねた。試合前に原監督を激励後「テレビで毎日、身を乗り出しながら試合を見ています。苦しい形の中でも、ジャイアンツはいい戦いをしていますね。今は3位だけど、まだまだこれから。1994年の10・8決戦みたいになるかもしれません。今年は最後の最後までわからない。絶対に勝つと信じています」とコメントした。「10・8決戦」とは、中日と同率首位で並んで迎えたリーグ最終戦を長嶋監督率いる巨人が槙原-斎藤-桑田の先発3本柱リレーで制した一戦。粘り強く戦う姿に、「国民的行事」の再現を期待した。 原監督は「明日はまた、ベストを尽くすということで」と切り替えを強調したが、今日にも自力Vが消滅する可能性が出てきた。残りは22試合。「決戦」の実現へ、踏ん張りどころを迎えた。【浜本卓也】 ▼巨人が敗れ、今日26日にも自力Vの可能性が消滅する。消滅の条件は巨人が阪神戦に●、ヤクルトが中日戦に○。

◆阪神高橋遥人投手(25)が6者連続三振を奪う快投を見せた。 2回2死一塁で中田からツーシームで空振り三振を奪うと、Kの山を築いた。3回は、先頭小林に148キロ直球を内角低めにズバッと決めて見逃し三振に仕留めると、菅野、吉川尚と3連続三振。 4回も松原を外角低めの149キロ直球で見逃し三振に仕留めると、坂本にはカウント2-2からスライダーで空振り三振。バットが勢いよく空を切った坂本は、尻もちをつくほどだった。 4回まで早くも8奪三振。巨人のエース菅野と投手戦を繰り広げた。高橋は復帰2戦目となった前回18日中日戦(甲子園)でも7回無失点、10奪三振と好投し今季初勝利を挙げている。

◆阪神高橋遥人投手(25)が自己最多にあと1に迫る13奪三振の快投で、プロ4年目で初の完封勝利を挙げた。 相手エース菅野と緊迫の投手戦を繰り広げ、被安打はわずか5。プロ最多となる128球を投げ抜き、今季2勝目を挙げた。 マウンドの迫力とは打って変わり、自然体のヒーローインタビューにファンからは何度も温かい拍手が送られた。 阪神高橋のヒーローインタビューは以下の通り ? -9回のピンチをしのいでプロ初完封勝利。今の率直な気持ちは 「えーっと、そうですね、なんで最後こうなるのかなと思って投げてたんですけど、最後しっかり締められて、めちゃくちゃうれしかったです」 --9回で初めてのピンチ。1死満塁で表情は変わらなかったが、どんな思いで 「9回まで来てたんで、1点もあげないで完封したかったんで、その通りになって良かったです」 -巨人のエース菅野投手と投げ合い、巨人打線を抑えてプロ初完封。自信になったか 「そうですね、こうやって中盤まで緊迫した試合で、先に先制点を絶対あげないぞと思って投げられたので、はい。それなりに自信になりました」 -昨日は引き分け、今日は高橋投手の初完封勝利。チームの雰囲気もいいと思うが 「でも僕は、本当に、遅れて来てるんで、ここから少しでもチームに貢献出来るようにやるだけなんで、はい」 -16年ぶり優勝へ力強い一言を 「しっかり貢献できるように頑張ります」

◆阪神高橋遥人投手(25)が自己最多にあと1に迫る13奪三振の快投で、プロ4年目で初の完封勝利を挙げた。 相手エース菅野と緊迫の投手戦を繰り広げ、被安打はわずか5。プロ最多となる128球を投げ抜き、今季2勝目を挙げた。敵地でのヒーローインタビューで「最後しっかり締められてむちゃくちゃうれしかったです」と笑みを浮かべた。 初回から巨人打線のバットは次々に空を切った。2回2死一塁で中田からツーシームで空振り三振を奪うと、ここから6者連続三振。4回1死で6人目の坂本にはカウント2-2からスライダーを投じ、空振りした巧打者に勢いのあまり尻もちをつかせた。 8回は先頭の中田を味方の失策で出したが、代打の北村と若林を連続三振。巨人打線を圧倒した。最終回は連続内野安打から、この日初めて1死満塁のピンチを招いたが、丸をカットボールで空振り三振。最後は代打亀井に粘られながら右飛に仕留めた。 今季の高橋は上肢のコンディション不良で出遅れるも、9日ヤクルト戦で312日ぶりに1軍登板。前回18日中日戦で7回無失点、10奪三振と好投し今季初勝利を挙げていた。優勝争いの佳境で復活した左腕が、救世主になった。 ▼高橋の2ケタ奪三振は通算5度目。自己最多は20年10月5日の巨人戦でプロ初完投したときに奪った14個。今季は前回18日中日戦で10奪三振。高橋は19年から3年連続で2ケタ奪三振をマークしている。

◆阪神高橋遥人投手(25)が自己最多にあと1に迫る13奪三振の快投で、プロ4年目で初の完封勝利を挙げた。 相手エース菅野と緊迫の投手戦を繰り広げ、被安打はわずか5。プロ最多となる128球を投げ抜き、今季2勝目を挙げた。高橋が13三振を奪ってプロ初完封勝ち。巨人戦で13奪三振以上の完封勝ちは02年5月24日黒田(広島)以来となり、阪神では延長12回を投げ13奪三振で1-0完封した68年9月17日江夏以来、53年ぶり。黒田や江夏は自身の本拠地でマークしており、敵地の巨人戦では58年6月10日小山(阪神)が後楽園球場、90年9月22日川口(広島)が東京ドームで記録して以来3人目になる。

◆阪神中野がバットで勝利に貢献した。1点リードの8回1死二、三塁。巨人菅野の5球目、フォークボールを中堅左へ2点適時二塁打。「(高橋)遥人さんを何とか楽に投げさせるためにも、追加点がほしい場面でしっかり食らいつくことができた」。前夜は9回に守備でスーパープレーが飛び出し、引き分けに持ち込んだ。この日は相手エースをKOする一打で存在感を見せた。 ミスを取り返した。初回、先頭近本が二塁打で出塁。送りバントを命じられたが、初球を捕邪飛。絶好の得点機でチャンスを広げられなかった。「バントはもう終わったこと。切り替えて、試合が終わるまでは弱気にならず強気で攻めた」。気持ちを強く持って、沈むことなく打席でも守備でも必死でプレーした。8回には三盗も決め、リーグトップの24個目をマークした。 3回には三塁手後方へしぶとく落とす二塁打を放ち、この日菅野から4打数2安打。前回19日の対戦でも2打数1安打で6打数3安打、打率5割と「菅野キラー」となっている。「すべての球種が一級品。どんどん積極的に打ちにいこうというのがいい結果につながっているんじゃないかと思います」と、ここでもやはり強気の中野が好結果を出している。しびれる優勝争いの中、頼もしいルーキーだ。【石橋隆雄】

◆一瞬、時が止まったかのように、東京ドーム全体が静寂に包まれた。阪神糸原健斗内野手(28)が高々と打ち上げた瞬間、観客の大半が息をのんだ。 巨人菅野は驚きを隠せないまま、思わずマウンド上で体をのけぞらせた。「たまたまホームランになっただけなので...」。謙虚すぎる言葉では表現しきれないほど、インパクトのある1発だった。 高橋VS菅野。息詰まる投手戦にひと振りで変化をもたらした。0-0の7回表1死、2ボール2ストライク。それまでチーム2安打に抑え込まれていた菅野の内角150キロに腕を畳み、右翼フェンスを楽々オーバーさせた。「こんな大事な試合で打てて...。遥人も頑張っていたし、本当に最高の結果になったかな」。先発高橋のプロ初完封を豪快にアシストし、控えめなコメントの数々からも喜びがにじみ出た。 「おまえ、今年ホームラン何本や? 」 試合前、談笑していた矢野監督から何げなく聞かれた。この時点で答えは「1」。もちろんアーチ指令が出されたわけではなかっただろうが、シーズンの行方を左右する重要な一戦で、あらためて持ち前のパンチ力を証明してみせた。4月1日広島戦以来、実に177日ぶりの2号は決勝ソロ。指揮官も「力と言うより、完全に技で打ったバッティング。いいところで打ってくれた」と納得顔だ。 9月はすでに3、5、6番と3つの打順を経験。前日24日巨人戦から5番に戻っても、柔軟に対応する適応力が頼もしい。これで今月の月間打率は3割6厘。「どこに入れても仕事をしてくれるバッター」と矢野監督の信頼は揺るぎない。粘れる。つなげる。かえせる。ツボにハマれば、アーチも架けられる。場面に応じて何役も使い分けながら、ナインを頂点へ先導する。【佐井陽介】

◆阪神1番近本光司外野手の勢いが止まらない。1回は先頭で左中間二塁打を放ち、10試合連続安打をあっさりマーク。1点リードの8回1死一塁では右翼フェンス直撃の二塁打を放ち、2番中野の2点二塁打につなげた。 「その状況状況で求められた打撃をしっかりできている。あとはチャンスメーク、チャンスで打つことをもうちょっと増やしていきたい」。ここ5試合でマルチ安打が4度と好調だ。

◆遅れてきた左腕が、負けられない「伝統の一戦」で最高の投球を見せた。阪神高橋遥人投手(25)が6者連続を含む13奪三振の快投で、4年目でプロ初完封勝利を挙げた。プロ最多128球を投げ、被安打5で巨人打線を封じた。今季は上肢のコンディション不良で出遅れたが、9月上旬に復帰すると登板3試合で2勝目。三つどもえの優勝争いが続く中で、大きな白星をチームにもたらした。信じてくれた指揮官とともに、高橋は諦めなかった。最終回に最初で最後のピンチを迎えた。3点リードの9回1死満塁。丸から空振り三振を奪うと、小さくほえた。亀井の打球が右翼手のグラブに収まるのを確認すると、無邪気な笑顔を見せた。 「なんで最後こうなるのかなと思って投げてたんですけど、最後しっかり締められて、めちゃくちゃうれしかったです」 プロ最多128球を投げてつかんだ初の完封勝利。前夜に執念で同点に追いついたナインの思いを胸に秘めていた。「当たり前ですけど、みんな必死だった。それに乗って僕も、必死に勝利をつかみにいこうと思って投げられた」。2回2死から6者連続で奪うなど2戦連続2ケタとなる13奪三振。1球1球に魂を込めて、巨人のエース菅野と渡り合った。 誰もが天性の素材にほれ込む。2年前の9月上旬、広島戦でプロ最短タイの4回6失点で降板した。落ち込んでいた翌日、トレーナーとともに食事に誘ってくれたのが当時同僚の福留だった。「今まで会った左投手の中で5本の指に入る。だから、そんなに力を入れすぎなくてもいいんじゃないか?」。大リーグでもプレーし、話を聞いてみたいと思っていた大先輩からの言葉。経験豊富なベテランは完璧主義を見抜くと同時に、エース道を歩めるように背中を押してくれた。 上肢コンディション不良で今季は大きく出遅れたが、復帰2戦目の18日中日戦は大野雄に投げ勝って今季初勝利。この日の重要な一戦で先発に指名した矢野監督は最後まで信じていた。「『同点までは遥人に任せていいんじゃないかな』と思わせてくれた投球やった。マウンドに上がればいい意味で人が変わる。そういう気迫が出る。今日の打席でも」。 8回には自ら左前打を放ち、追加点の起点となった。出遅れた時間を取り戻そうと必死にプレーする。「僕は本当に遅れて来てるので、ここから少しでもチームに貢献出来るようにやるだけなので」。チーム4戦ぶりの白星は、3位巨人を3ゲーム差に突き放す大きな1勝。帰ってきた未来のエースが、救世主になった。【磯綾乃】

◆阪神梅野隆太郎捕手が高橋遥人投手のプロ初完封を引き出す好リードを見せた。 「遥人も目の前の打者に1人1人集中した結果、9回まで行ったと思う」と、最後のピンチもしのいだ左腕をたたえた。8回まではわずか2安打。矢野監督も「この球場はどうしても本塁打が頭によぎるが、攻めるところはしっかり攻めて、堅くいくところは堅くと、すごくリュウ(梅野)が引っ張っていた」と、褒めた。

◆遅れてきた左腕が、負けられない「伝統の一戦」で最高の投球を見せた。阪神高橋遥人投手(25)が6者連続を含む13奪三振の快投で、4年目でプロ初完封勝利を挙げた。高橋は今季、長いリハビリを乗り越えたが、その途中で恩師に本音をもらしていた。母校・亜大の生田勉監督(55)に電話をかけた。「ボールを投げるのがイヤです」。連絡が来るなんて、追い込まれているのだろう。弱気な声を聞いた恩師は、苦しむ姿を感じ取った。「マウンドに立つのが、怖いみたいでした。大学時代も弱気になった姿をずっと見てきた。親にとって、子どもはいつまでも子どもです」。優しい言葉が必要かもと思いつつ、あえてゲキを飛ばした。 この日、生田監督は、寮内のサウナに設置したテレビで力投を見守っていた。「サウナに入ったのが、糸原選手がホームランを打ったくらい。そこから見続けて結局、約1時間入り続けました。2キロやせました(笑い)」。そして試合後、報告の電話がかかってきた。高橋はうれしそうだった。「完封しました! 次は英恵ちゃんを招待します」。英恵(はなえ)さんは生田監督の長女で、生まれつき知的障がいがある。大学時代から交流を持ち、いつもテレビ越しに「遥人さん」と応援してくれる。やっと明るい声で宣言。心身ともに完全復活した瞬間だった。【磯綾乃】

◆阪神佐藤輝は46打席連続無安打となった。 1軍復帰後3戦連続で7番右翼で先発出場。昨年12月の入団会見で「対戦したい。結果は本塁打です」と熱望していた巨人菅野との初対戦は、2回の第1打席では四球を選び21打席ぶりに出塁したが、続く2打席は抑えられた。9回の第4打席では、変則左腕高梨に見逃し三振とトンネルは続く。2リーグ分立後のセ・リーグ野手最長は59年吉沢、16年荒木(ともに中日)の47打席であと1。新人野手最長の50年山下(阪急)の48打席にもあと2打席となった。

◆阪神・佐藤輝明内野手(22)が二回2死から、巨人のエース、菅野と初対戦した。 初球から3級連続で内角へスライダー。すべて見送り、カウント3-0とすると、4球目は真ん中低め直球を見逃し。5球目は甘く入ったスライダーに初めてバットを振ったがファウルとなった。フルカウントから内角に投じられた151キロが外れボール。入団会見で、名前を上げた右腕との初対戦は四球。これで佐藤輝は43打席連続無安打となった。

◆阪神の先発・高橋遥人投手(25)が圧巻の投球で巨人打線を封じ込めた。 二回2死一塁。中田を142キロで空振り三振に斬ると、ここから奪三振ショーが始まる。三回は小林、菅野、吉川を3者連続三振。四回は先頭・松原を空振り三振とすると、続く坂本は133キロ変化球で空振り三振。4番・岡本和に四球を与えたが、圧巻の6者連続三振で、五回終了時点で早くも9奪三振と快投を見せている。

◆阪神・糸原健斗内野手(28)が0-0の七回に巨人の先発・菅野から先制の2号ソロを放った。 「遥人(高橋)が頑張ってくれているので、何とか先制点をあげたかった。食らいついて打ちにいった結果がホームランという最高の形になってよかった」 1死から打席へ。カウント2-2から6球目だった。内角に投じられた150キロを一閃。白球は右翼席へ吸い込まれた。4月1日の広島戦(マツダ)以来の今季2号は値千金の先制弾。一塁ベースを蹴った糸原は右手をグッと握りしめた。

◆阪神・中野拓夢内野手(25)が1-0の八回に2点二塁打で貴重な追加点をあげ、リードを広げた。 1死から阪神の先発・高橋がしぶとく変化球に食らいつき左前打で出塁。好投を続ける左腕の執念に野手陣が燃えた。 続く1番・近本が右翼フェンス直撃の二塁打で1死二、三塁と好機拡大。ここで中野が打席に向かった。 巨人の先発・菅野に対して、カウント2-2から5球目。141キロにバットを合わせると、打球は左中間に弾む2点二塁打。殊勲の一打で、巨人のエースをノックアウトした。

◆阪神が白熱の投手戦を制した。先発した高橋が9回5安打無失点の快投で今季2勝目をマークした。二回1死から6者連続三振。九回は無死一、二塁のピンチ。岡本和を一飛に打ち取るも、ウィーラーに右前に運ばれ満塁とピンチは続く。それでも丸を空振り三振。最後は代打・亀井を右飛に仕留めた。プロ入り後、最多の128球を投じ、13奪三振と圧巻の内容でプロ4年目で初の完封勝利を勝ち取った。 【プロ野球巨人対阪神】 7回 本塁打を放ちベンチで祝福される阪神・糸原健斗 =東京ドーム (撮影・中井誠) 7回、本塁打を放つ阪神・糸原健斗=東京ドーム(撮影・宮沢宗士郎) 打線は菅野から、七回に糸原が2号ソロを放って先制。八回には、1死から先発の高橋が左前打。今季初安打で野手陣を鼓舞すると、近本がフェンス直撃の二塁打で続き、1死二、三塁から中野が2点二塁打を放って大きな追加点をあげた。

◆阪神が接戦を制した。0―0の七回に糸原のソロで均衡を破り、八回に中野の2点二塁打でリードを広げた。高橋は13三振を奪う快投で今季2勝目をプロ初完封で飾った。巨人は打線がつながらず零敗を喫し、菅野は7敗目。

◆阪神は先発の高橋遥人投手(25)が5安打13三振の投球を見せ、巨人相手にプロ初完封勝利を挙げた。打線は七回に糸原健斗内野手(28)が均衡を破る2号ソロを放ち、八回は中野拓夢内野手(25)の2点打で追加点を奪った。ヒーローインタビューで高橋は「最後は締めることができて、めちゃくちゃうれしかったです。完封したかったんで、その通りになってよかったです」。九回1死満塁の窮地をしのいだとあって、喜びもひとしお。矢野耀大監督(52)は「しびれましたけど、最後はハルトにかけるしかないなと。最後は祈るだけでした。最高のピッチングをしてくれました」と話していた。

◆阪神は高橋遥人投手(25)が九回1死満塁の窮地をしのぎ、5安打13三振で巨人相手にプロ初完封勝利を挙げた。打線は七回の糸原健斗内野手(28)の2号ソロと八回の中野拓夢内野手(25)の2点打で終盤、突き放した。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 (テレビインタビュー) ーー糸原の一発で均衡を破った 「どこに入れても仕事をしてくれるバッターなんで。きょう試合前に『お前、今年ホームラン何本や?』という話を、たまたましていたんですけど。いいところでよく打ってくれました」 ーー八回の追加点は高橋の左前打と中野の適時打 「遥人が投げながらね、あそこで出たというのも大きかったですし。拓夢も追い込まれながら2点タイムリーは本当にすごく素晴らしい仕事をしてくれています」 (囲み) ーー最後はしびれるところ 「遥人にもう任せるね。ピッチングをしてくれていたんで。任せようと思っているけどね。球数も増えてくるし、どうするかっていうのを、スアちゃん(スアレス)にも準備をしてもらっていたし、そういうのは難しかったけど。遥人自身がね、丸を三振に取って、最後の最後で、まあそういう気持ちで、あとはもう応援するしかなかった」 ーー投手戦で高橋の投球はどう見ていたか 「申し分ないよね。同じ球種でも少し抜いたりとか本当にボールを操っている感じがすごくした。球の強さもあるから変化も鋭くなるし。それが三振の数に表れているしね」 ーー菅野に対して 「反省としてはやっぱり序盤の初回の拓夢のところでね、最近しっかり決めてくれていたんだけど、あそこでしっかり攻撃のリズムっていうか(無死二塁で犠打失敗)。健斗がホント、追い込まれながらね、力というより完全に技で打ったバッティングだと思うんで。今日の遥人を見ていたら相手にはプレッシャーかけられる1点になったと思う」 ーー梅野のリードも工夫していた 「リュウも一生懸命、投げる前の指示というかジェスチャーであったり、この球場はどうしても、ホームランはキャッチャーにはどこか頭をよぎるんで、そこもありながら、攻めるところはしっかり攻めて、堅くいくところは堅くいくっていう、リュウが引っ張っていたのも、しっかりあったと思います」 ーーシーズン最終盤に高橋がかえってきてくれたことは 「もっと早く戻ってきてくれるに越したことないんだけど、あいつも一生懸命になんとかしようとしながらだったんで。それをわかっていたんで。その思いを投げるところで、本当にあいつ、おとなしいんだけど、マウンドに上がればいい意味で人が変わる。そういう気迫が出るんで。きょうの打席でもそうだし。そういう部分でもチームに与える影響はある投手だなって。今後のうちにとっても大きいし」 ーーまた26日が大事 「昨日もみんなで、拓夢のああいうナイスプレーや坂本誠志郎のキャッチや、みんなでなんとかして引き分けて、今日につなげられたんで。いつも同じになっちゃうけど、俺らの野球というのは全員でつなげてあきらめないとか積極性とかいろんなことが含まれているんだけど、そういうものを明日やり切るのが一番大事。明日もそういう野球をします」

◆巨人は、今季8度目の零封負けで連勝は2でストップした。打線は阪神先発・高橋の前に二回から四回にかけて6者連続三振を喫するなど、5安打、13三振と封じ込まれた。先発の菅野も六回まで2安打無失点と好投を続けていたが、0-0の七回1死から糸原に痛恨の右越えソロを被弾。八回にも中野に左中間を破られる2点二塁打を許した。八回途中3失点で3年ぶり3度目の7敗目を喫した。原辰徳監督(63)が試合を振り返った。 --最終回は粘り強く攻めた 「そうですね。でも、0点じゃあね。でも、最後まで粘り強くいけたと思います」 --菅野も六回まで好投した 「そうですね。粘りどころで、もうひとつ踏ん張れなかったというところでしょうね」 --阪神・高橋にあれだけいい投球をされると糸口も... 「まあ異議ないよ、それは。こっちはベストで行っているわけだからね。(途中まで)セカンドも踏めなかったもんね。(攻めたのは)最終回くらいだよね」 --長嶋さんが観戦。試合前はどういったお話を 「激励を受けたということですね」 --明日に向けて 「まだ明日のことは考えていないんだけど。明日はまた、ベストを尽くすということで」

◆高橋に尽きる試合だった。球の切れ、腕の振りともに文句なし。菅野に投げ勝っての初完封は自信になったことだろう。ただ、高橋を完封に〝導いた〟梅野の好リードは見逃せない。 ■巨人の読みを見事に外した 梅野自身の中に前日(24日)の序盤での6失点という失敗があったはず。もう一度、相手打者を研究し直したのだろう。打席での相手の読みをことごとく見破っての「初球の入り方」が素晴らしかった。右打者が外狙いとみると、内角へカットボール。内角狙いとみたら、外へのツーシーム。左打者なら、その逆になるのだが、見事に読みを外してストライク先行のカウントを作っていった。 おかげで高橋の球数は増えることなく、イニングを重ねられた。肩のスタミナの点で課題がある高橋が1試合を投げ切るには、球数の少なさが条件になる。八回までで98球。ベンチは迷うことなく九回、続投の判断ができた。 捕手にとって、投手の完封をリードすることほど楽しいことはない。梅野には、今度は違う投手を完封させるリードを期待したい。(本紙専属評論家)

◆巨人の菅野は八回途中まで3失点で7敗目を喫した。0―0の七回、2ボール2ストライクと追い込んだ糸原に右翼席へ先制ソロを運ばれた。八回には投手の高橋に許した安打を起点にピンチを招き、中野に2点二塁打を浴びてマウンド上でしばらく固まった。 六回までは150キロ前後の直球を軸に2安打に抑え込んでいただけに、もどかしさが募った。「悔しいですが、まだ戦いはあるので次に向けて頑張ります」と自らを奮い立たせた。

◆バットを振り抜き、糸原は上を見た。緊迫の投手戦。両軍のゼロ行進を止める一撃は滞空時間の長い弧を描き、右翼スタンドへ-。どよめく東京ドーム。顔をしかめる宿敵を横目に、一塁を蹴った打のヒーローは小さく右手を握りしめた。 「たまたまホームランになっただけなので。でも、こんな大事な試合で打てて、遥人(高橋)も頑張っていたし、本当に最高の結果になったと思います」 菅野の前に2度の得点圏を生かせず、0-0のまま迎えた七回1死だ。カウント2-2から内角150キロを一閃。喉から手が出るほど欲しかった先制点をもぎとった。 劇弾を予感させるようなやり取りがあった。「お前、今年ホームラン何本や?」。試合前、矢野監督と交わした会話の内容はホームランのこと。このときは、まだ1本塁打。4月1日の広島戦(マツダ)以来、177日ぶりに放った2号ソロは、指揮官からの〝偶然のゲキ〟に応えた大きな一発となった。 チームが得点力不足に苦しむ中、2試合連続で5番を任された。開幕は2番打者として迎え、今季は3番、6番、7番も経験。上位にいても下位にいても、持ち前の粘り強さとしぶとさで、チャンスメークしてくれる。そしてこの日、隠れたパンチ力と試合を決める勝負強さを発揮し、クリーンアップとしても機能することを証明した。 矢野監督は「どこに入れても仕事をしてくれるバッター。(ホームランは)完全に技で打ったバッティング。いいところで打ってくれた」と全幅の信頼を寄せる。打線全体の活性化は今後の戦いで急務となるが、糸原がときにはつなぎ役、ときには主軸として猛虎打線を完成させていく。 「チームが勝つことが一番。きょうもいい勝ち方ができたので、それが一番よかった。あしたもしっかり勝って、甲子園に帰りたいと思います」 頭にあるのはフォア・ザ・チームの精神。虎が勝つために、どんな役割だってこなしてみせる。(原田遼太郎)

◆復調気配を漂わせていた打線が、好左腕に封じられた。巨人は、阪神先発・高橋の前に八回までわずか2安打。バットが次々と空を切り、21日の広島戦での床田に続いてプロ初完封を献上した。 「(八回まで)二塁も踏めなかったもんね。最終回くらいだよね」 原監督もお手上げだ。九回こそ松原、坂本、ウィーラーの安打で1死満塁の好機をつくったが、丸と代打・亀井がともにフルカウントから空振り三振と右飛に倒れ、今季8度目の零封負けを喫した。連勝は2でストップし、阪神とのゲーム差は3に広がった。 この日は長嶋茂雄終身名誉監督が来場。ジャイアンツ球場で指導した丸や中田のプレーを見守ったが、丸は1安打、中田は無安打と振るわず、ミスターに勝利をプレゼントできなかった。 六回まで好投を続けていた菅野は七回に糸原に先制弾を浴び、九回に投手の高橋から近本、中野に3連打を浴びて八回途中まで3失点で降板。シーズン7敗は2015、18年に続く3年ぶり3度目で、5年連続の2桁勝利達成も極めて厳しくなった。 「悔しいですが、まだ戦いはあるので次に向けて頑張ります」とエースは前を向いた。リーグ3連覇へ、このままでは終われない。(伊藤昇) ★ミスター生観戦「『10・8決戦』みたいになるかも」 長嶋茂雄終身名誉監督が、阪神戦を生観戦した。試合前に原監督を激励。球団を通じて「テレビで毎日、身を乗り出しながら試合を見ています。今は3位だけど、まだまだこれから」とハッパを掛けた。さらに「『10・8決戦』みたいになるかもしれません。今年は最後の最後まで分からない。絶対に勝つと信じています」と、リーグ最終戦が中日との優勝決定戦となり、自身が「国民的行事」と言い表した1994年を引き合いに出し、期待を寄せた。

◆中野のダメ押し打を演出したのは1番・近本だ。1点リードの八回1死一塁で右翼線二塁打。中野の2点二塁打でホームを踏み、自己最多タイの81得点目を挙げた。 「(高橋)遥人があれだけ頑張ってくれていたので。糸原さんがホームランを打って、チームの雰囲気というか、流れも変わった。その後は全員で(点が)取れた」 一回先頭でも左中間二塁打を放ち、10試合連続安打。今季51度目の複数安打で打率・315(リーグ3位)まで上昇させた。22盗塁は同2位。首位打者&盗塁王のダブル受賞となればセ・リーグ初(パ・リーグでは1964年の広瀬叔功=南海、95年のイチロー=オリックス)となる。 「(試合の)状況で自分の求められているバッティングというか。チャンスを作っていくことももうちょっと増やしていきたい」。Vに向けて、先頭に立って引っ張る。(菊地峻太朗)

◆めちゃくちゃうれしい! 阪神は巨人に3-0で勝利。4年目の高橋遥人投手(25)が5安打に抑え、プロ初完封勝利を挙げた。26日にも自力優勝の可能性が消滅する可能性があった一戦。13奪三振、自己最多となる128球の力投で救世主となった。悲願のVへ、虎投を引っ張れ! 一発を許せば逆転サヨナラ負け。薄氷を踏みながらの128球目だった。代打・亀井を右飛に打ち取ると、高橋はマウンド上でニッコリと笑った。崖っ縁に立たされていた虎を救った。プロ4年目で初完封。しかも、巨人を相手に達成した。 「(ピンチを招き)なんで最後こうなるのかなと思って投げていたんですけど。最後しっかり締められて、めちゃくちゃ、うれしかったです」 菅野との投げ合い。二回から四回にかけて6者連続奪三振など、緩急自在の投球で八回まで二塁も踏ませなかった。七回に飛び出した糸原の先制弾に「もう一回、気持ちが入りました」とガソリンが注入された。しかし、試練は九回。先頭の松原、坂本に連打を許すなど1死満塁のピンチ。ギアを上げる。直球は150キロを計測。丸を空振り三振。亀井もカットボールで打ち取った。2試合連続2桁となる13奪三振。「1点もあげないで本当に完封したかったので、その通りになってよかった」と喜んだ。 今季初勝利を挙げた18日の中日戦(甲子園)も大野雄とのマッチアップで7回無失点。この日は菅野との投手戦に完勝し「いい緊張感で投げられた」と力を込めた。井川慶もつけた背番号29を引き継ぐ左腕はエース格との対戦に武者震いする。バットでも八回1死で今季初安打となる左前打を放ち、中野のダメ押しとなる2点二塁打の起点となった。「みんな必死だったので、僕も必死に勝利をつかみに行こうと思って投げられた」と、今季2勝目を振り返った。チームは土俵際にいた。この日から阪神が連敗し、ヤクルトが中日に連勝すれば自力優勝の可能性が消滅していた。春季キャンプ中に右脇腹を痛めて出遅れた高橋が孝行息子となった。「今年は1軍で投げられないかも...」シーズンに入っても思うように体調が戻らなかったとき、高橋は弱気になっていた。トンネルの出口が見えず、自問自答を繰り返す中、平田2軍監督の言葉に救われた。「お前は絶対に1軍戦力として必要なときがくる。そのときに備えて、しっかりと体調を整えておきなさい」。9月9日に昇格すると、任された大舞台でプロ初完封。矢野監督は「本当に(最後は)しびれましたけど、祈るだけでした。この時期に帰ってきて、菅野投手に投げ勝って、強力打線を完封したのは本人にとっても、チームにとっても大きい」と相乗効果を期待した。「(1軍に)遅れてきているので、1試合でも多くチームを勝たせられるようにというのと、自分がチームを助けられるように」と高橋。青柳、西勇ら先発陣の白星が伸びない現状を打破すべく、救世主が燃えた。26日に巨人に勝ち、ヤクルトが中日に敗れると首位返り咲き。伝統の一戦から、奇跡のドラマが始まる。(三木建次)

◆毎日毎日、シビれる九回裏を満喫させてもらっております。 一、二塁で岡本和に一発浴びたら同点になってしまう。マジで脅えた。 満塁で丸に対してフルカウント。一発浴びたら逆転サヨナラや。押し出しなら投手交代かなぁ。嫌な予感ばかりが脳内を占拠した。 2死になって代打・亀井。まだ、そんなええバッターが残ってたんかいな-。 何十年取材しても、所詮は野球のプロじゃない。こういう時はひたすら、祈るしかない。 その点、プロの目は違う。2面の評論で梅ちゃんの好リードを絶賛した本紙専属評論家の黒田正宏氏は、落ち着いたものだった。 「きょうの(高橋)遥人は、高めに抜けた球が1球もなく、丁寧に低めへ投げ続けていた。ヒットは打たれる可能性はあっても、ホームランは考えにくいからな」 プロとは、そういうものらしい。プロ目線を身に付けていたら、記者生活の〝息苦しい時間〟は半減して、もっと楽しく仕事ができたんじゃないか。そう思う。 というスリリングなラストの末に、待っていたのはプロ初完封。おめでとう、遥人クン。 前任の金本監督が言っていた。 「遥人はおもしろいんですよ」 --どう面白いんですか? 「食事に連れていくでしょ。何もしゃべらない。じっと、こっちが話しているのをニコニコしながら聞いているだけ。ホント、おとなしい」 --勝負の世界。そんなキャラで大丈夫? 「まあ、あんなプロらしくない投手はあまり見たことないですね。でも、投げている球がスゴイから、大丈夫ですよ」 大打者・金本お墨付きのスゴイ球を投げ続けて、あの球界のエース・菅野に投げ勝っての完封だから、2倍も3倍も喜んでいい。 巨人のエースに投げ勝っての完封。そんな痛快な投球をしてくれた若虎がいたっけ? そもそも、完封する投手自体が〝絶滅危惧種〟になりかけている、このご時世で、まあ、大した投手になったもんだ。 「巨人のエースに投げ勝っての完封といえば、やっぱり竹内さんです。確か1995年。投げ合った相手は、斎藤雅樹さんだったと思います」 当番デスク席で1面から3面までのコンテを嬉しそうに書いていた阿部祐亮が、とんでもない記憶を引っ張り出してきた。少年時代からの阪神ファンには驚かされる。 竹内昌也。愛称タケチャン。1990年代のいぶし銀の先発投手だ。藤田平監督代行率いる同年8月26日に、ミスター完投と呼ばれた斎藤氏に投げ勝ってプロ初完封。暗黒時代に咲いた、一輪の...という感じか。 「以前、(現中日スコアラーの)竹内さんに『甲子園のスタンドから見ていました』と言ったら、メチャクチャ喜んでくださいました」 そりゃ、喜んだだろう。ただ、タケチャンには申し訳ないが、遥人はモノが違う。この先、何度も、いや何十度も、完封ショーを見せてくれることだろう。 そうそう、昨日紹介したデータ、また登場させます。この1勝でビジターのデーゲームは今季18勝2敗2分け。勝率ジャスト9割。そして、きょうもデーゲーム。ニヤリ!

◆阪神・高橋のピッチングは素晴らしかった。テンポがいいし、真っすぐも変化球も、最後まで低めに制球されていた。 とはいえ、巨人の打者には粘りがない。打者有利なカウントでストライクを簡単に見逃し、逆に難しい球に手を出して凡打を繰り返す。6得点した前日も目立っていて、気がかりだ。 凡打した後の淡泊さも気になる。もっと悔しさを表に出してほしい。9連覇時代、アウトになって、すごすごとベンチに戻ると、川上哲治監督やコーチから「悔しさを出せ!」と叱咤(しった)されたものだ。 その意味で、菅野はさすがエース。八回途中で降板すると、ベンチで本当に悔しそうな表情をして、「勝ちたい」という気持ちがうかがえた。3点を失ったが、責任は援護してやれなかった打線にある。 残り22試合。上位が三つどもえのシーズンは近年では珍しく、やりがいがあろうというものだ。3位の巨人はとにかく一つ一つ勝っていくしかないのだが、今のままだと逆転優勝の望みはない。(本紙専属評論家)

◆虎の秘密兵器・高橋が優勝争いをしている巨人との大一番で、プロ初完封という大仕事をしてくれたー!! 本日の勝利で俺は阪神のVを確信したのだ。 いや、勝ったから興奮して大風呂敷を広げているわけじゃなくて、いたって冷静ですよ~。例えば、この『虎の通信簿』は30年書かせていただいていますが、昔なら「巨人さんサヨナラ~! しかし、腐っても栄光の巨人軍だけあるわ~! 零封されても、高橋を最後まで苦しめる大量5安打を放ち、三振もわずか13だってんだから、恐るべき草...いやプロ野球チームなのだ」と毒づいていただろうなぁ...。しかし、人間年を重ねると大局的に物事が見えてくるんですかねェ? 後半戦で、もがく阪神に高橋という救世主が現れ、伏兵の糸原、中野のバットで勝つのもうれしいけど、現在不振の大山、サンズ、佐藤輝に胸がときめくんです。 つまり、ヤクルトは絶好調だけどプロ野球って、チームも投手も打者も2、3週間周期と太古の昔から決まっているんです。と、いうことは現在どん底の猛虎打線は大事なこの先に...。ムフフフ。

◆野球評論家の張本勲氏(81)が26日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・0)の名物コーナー「週刊・御意見番」にリモート出演。25日の巨人戦でプロ初完封勝利を挙げた阪神の高橋遥人投手(25)を絶賛した。 高橋は5安打13奪三振、自己最多となる128球を力投し虎に勝利をもたらした。番組ではこれを伝え、張本氏は「こんなピッチャーがおったんかい、と思うくらいすごいピッチングしましたね。弾は早いし低めにくるし。低めから伸びる弾は同じ阪神OBの江夏(豊)を思い出しましたよ」と絶賛。また「一番いいのがスライダー」とし、「彼のスライダーは横に曲がるから、左バッターはアウトコース。右バッターは内角。これは当てるのが精いっぱい。こんな投手がおったら、阪神手ごわいね~。いい投手だね。私が現役でも打てないな」とほめたたえた。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
584216 0.580
(-)
-
(-)
27507
(-)
427
(-)
116
(-)
66
(-)
0.257
(↓0.002)
3.460
(↑0.03)
2
(-)
阪神
64487 0.571
(↑0.003)
0
(↓0.5)
24469
(+3)
455
(-)
107
(+1)
101
(+1)
0.250
(-)
3.540
(↑0.03)
3
(-)
巨人
574717 0.548
(↓0.005)
3
(↓0.5)
22491
(-)
458
(+3)
152
(-)
62
(-)
0.247
(↓0.001)
3.580
(↑0.01)
4
(-)
中日
475916 0.443
(-)
14
(-)
21358
(-)
399
(-)
63
(-)
54
(-)
0.239
(↓0.001)
3.160
(↑0.03)
5
(-)
DeNA
466014 0.434
(↓0.004)
15
(↓0.5)
23478
(+2)
531
(+3)
120
(-)
25
(-)
0.257
(-)
4.210
(↑0.01)
6
(-)
広島
466111 0.430
(↑0.005)
15.5
(↑0.5)
25433
(+3)
498
(+2)
98
(+1)
54
(+2)
0.260
(↑0.001)
3.910
(↑0.01)