中日(★2対3☆)阪神 =リーグ戦18回戦(2021.09.21)・バンテリンドーム=
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阪神
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中日
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勝利投手:岩崎 優(2勝3敗1S)
(セーブ:スアレス(1勝1敗33S))
敗戦投手:R.マルティネス(0勝3敗18S)
  DAZN
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◆阪神は3回表、近本と中野の連続適時打で2点を先制する。その後同点を許すも、9回に1死三塁から木浪の犠飛が飛び出し、再びリードを奪った。投げては、4番手・岩崎が今季2勝目。敗れた中日は、先発・柳が試合をつくるも、守護神のR.マルティネスが痛い失点を喫した。

◆阪神中野拓夢内野手(25)はビジターでの打率が3割2分7厘で、セ・リーグでは宮崎(DeNA)の3割3分3厘に次ぐ2位の好成績。 特にバンテリンドームは、26打数10安打の3割8分5厘と好相性。

◆首位阪神は主砲の大山悠輔内野手(26)が、8月31日中日戦(甲子園)以来、15試合ぶりにスタメンから外れた。三塁には3番の糸原健斗内野手(28)が入る。貧打解消のため、外国人助っ人トリオそろい踏みとなった。4番ジェフリー・マルテ内野手(30)、5番メル・ロハス・ジュニア外野手(31)、6番ジェリー・サンズ外野手(33)と並べた。 今季2試合対戦し0勝1敗、17イニングで1点も奪えていない中日先発柳対策として、今季4打数2安打の木浪聖也内野手(27)が7番・二塁でスタメンに抜てきされた。

◆22日の中日戦に先発する阪神青柳晃洋投手(27)が4戦ぶりの11勝目を目指す。 前回14日のヤクルト戦(神宮)は5回2失点と粘ったが勝ち星つかず。20日の投手練習の際には「先制点を与えてしまったのが、チーム的にも苦しい状況になったと思う。次は先制点を与えないように投げていきたい」と意気込んでいた。前半戦の首位快走に貢献してきた右腕。久々の白星をつかみたい。

◆阪神が3回、1番近本光司外野手(26)、2番中野拓夢内野手(25)の連続適時打で2点を先制した。今季3度目の対戦で、ようやく中日先発柳から得点を奪った。 3回、先頭の梅野が死球で出塁すると、秋山が1球で犠打を決め1死二塁の好機をつくると、近本が外角高めチェンジアップとらえ、右越えの先制適時二塁打。「(先発の)秋山さんが頑張って投げてくれていますし、バントもきっちり決めてくれたので、何とか走者をかえすという気持ちで打席に入りました。先制点を取ることができてよかったです」とコメントした。続く中野も中前へしぶとくはじき返し、二塁から近本が生還した。中野は「近本さんが先制打を打ってくれたので、少し楽な気持ちで打席に入ることができました。1打席目は(無死一塁で遊ゴロで)走者を進めることができずに悔しい思いをしていたので、走者をかえす場面でしたが、しっかりと仕事をすることができてよかったです」と話した。 近本は6試合連続安打。今季ここまで対柳は7打数無安打だったが、柳からの今季初安打は貴重な先制打となった。

◆東京五輪ソフトボール金メダリストの後藤希友投手(20=トヨタ自動車)が始球式を行った。中日の球団公式マスコットのドアラを打席に迎え、ソフトボールを用いて下手から外角低めに投球し、102キロを計測。始球式は初めてで「オリンピックとは違う緊張感がありましたが、楽しかったです。試合と同じ気持ちで全力で投げました。大勢の方の前で投げることが久々だったので、拍手をいただいて、すごくうれしかったです」と笑顔で振り返った。 ベンチ裏では、同じ東京五輪金メダリストの中日大野雄大投手(32)と初対面。「ずっとお会いしたかった方なのでうれしいです」と感激した。大野雄も「後藤さんの登板した場面は、チームの勝利に直結するような難しい場面ばかりで大変だったと思います。強気の投球で腕を振っていた姿が印象的です。後藤さんのさらなる活躍を願って、これからも注目していきたいと思います」と一回り年下の同じ左腕にエールを送った。 後藤は愛知県出身で、東海学園からトヨタ自動車に入社。東京五輪では何度も好救援をみせて金メダル獲得に貢献した。名古屋市への表敬訪問では、河村たかし市長に金メダルをかじられる騒動に巻き込まれた。

◆阪神中野拓夢内野手(25)が、今季100安打に到達した。2-2と同点の8回1死。中日又吉から左翼線への二塁打を放ち到達した。 球団新人では19年近本以来の大台到達。新人王を争うDeNA牧が9日に100安打に到達しており、今季の新人では2人目となった。 中野は1点リードの3回に中前適時打を放っており、今試合2安打。三菱自動車岡崎からドラフト6位で入団したルーキーは、今やチームに欠かせない存在となっている。

◆中日の先発柳裕也投手(27)はハーラートップタイの10勝目はならなかった。3回に先頭の死球から2点を先制されたが、その後は無失点。6回4安打2失点と試合を作った。その裏の打席で代打を送られ、味方が同点に追いついて黒星は消えた。 降板後は「リズムが悪く、チームに流れを持ってこられなかった。木下(拓)さんが(リードで)粘らせてくれた」と女房役に感謝した。

◆阪神は3回1死二塁から近本の右翼線二塁打、中野の中前打で2点を先制。阪神先発秋山は3回を2安打無失点で乗り切った。 阪神秋山は5回5安打無失点で降板。中日は6回2死二、三塁から京田が中前2点適時打を放ち同点に追いついた。 阪神は9回に木浪の左犠飛で勝ち越した。岩崎は2勝、スアレスは33セーブ。中日は5連敗、R・マルティネスは3敗。

◆阪神が9回に木浪聖也内野手(27)の勝ち越し左犠飛で中日に競り勝った。同点の9回、中日の守護神R・マルティネスから、先頭の島田が二塁内野安打で出塁すると、二盗、一ゴロで1死三塁となり、木浪が左犠飛を放った。木浪は8月28日広島戦以来のスタメン抜てきに応えた。 3回に近本、中野の連続適時打で2点を先制。今季3度目の対戦で初めて中日先発柳から得点を奪った。だが、6回2死二、三塁から京田に中前2点適時打を許し同点に追いつかれていた。9回に勝ち越し、最後は守護神スアレスが締め、首位を守った。

◆阪神が9回に木浪聖也内野手(27)の勝ち越し左犠飛で中日に競り勝った。同点の9回、中日の守護神R・マルティネスから、先頭の島田が二塁内野安打で出塁すると、二盗、一ゴロで1死三塁となり、木浪が左犠飛を放った。木浪は8月28日広島戦以来のスタメン抜てきに応えた。 3回に近本、中野の連続適時打で2点を先制。今季3度目の対戦で初めて中日先発柳から得点を奪った。だが、6回2死二、三塁から京田に中前2点適時打を許し同点に追いつかれていた。9回に勝ち越し、最後は守護神スアレスが締め、首位を守った。

◆阪神木浪聖也内野手(27)が決勝犠飛を放った。2-2の9回1死三塁。右腕R・マルティネスの152キロ直球を左翼へ打ち上げ、タッチアップで三塁走者島田が生還した。 6回に2点を追い付かれた後は決定打がないまま迎えた最終回。2位ヤクルトが勝利したため、負けていれば首位陥落、引き分けていれば1ゲーム差に迫られていた。 8月28日広島戦以来、約1カ月ぶりに「7番二塁」でスタメン起用された男が、土壇場でチームを救った。 ヒーローに選ばれた木浪の一問一答は以下の通り。-ナイスバッティングでした 木浪 ありがとうございます(帽子を取って) -いい仕事しましたね 木浪 いやそうですね。全然、最初活躍できなかったので、ああいう場面で島田が出てサンズが進塁打を打ってくれて、自分のところに来たので。絶対打ってやろうという気持ちだったのでよかったです -しかも難攻不落のR・マルティネスから 木浪 ストレートを打ったんですけど、それに合わせてずっと準備していたんで、はい、1球で仕留められてよかったです -今季の阪神を象徴するしぶとい1点。盛り上がった 木浪 そうですね。今日は自分が声出しで『全員野球』ということを言ったんですけど、まさにその野球ができたと思います -久々のスタメンでヒーローインタビュー 木浪 まさかヒーローになるとは思ってなかったですけど。こうやって打てて、ヒーローになれてよかったです -負けられない戦い続く。しびれるような思いを 木浪 負けられない試合が多く続きますけど、やっぱりチーム一丸となって戦うのがタイガースなので。これからも応援よろしくお願いします

◆阪神秋山拓巳投手は5回5安打無失点に抑えた。2点リードのままバトンを渡したが、後を受けた小川、及川が守れなかった。 リーグ単独トップになる11勝目をつかめず「次の登板をまたしっかりと頑張りたいと思います」と短い言葉に思いを込め、次戦を見据えた。 登板予定だった17日中日戦が台風接近で中止となり、中9日でのマウンド。毎回走者を出しながら、粘り強く投げた。5回に連打をで招いた1死一、二塁のピンチでは、4番ビシエドを初球フォークで右飛に打ち取り、福田も136キロ直球で右飛に片付けた。 5回87球での降板に、矢野監督は「アキ(秋山)には申し訳なかったけどね。俺の中ではいっぱいかなと思った。若い投手がいって、結、果点取られちゃったんで。そこはアキに一番申し訳ないなと思う」と説明した。

◆「8回の男」阪神岩崎優投手が危なげなく3者凡退に抑え、2勝目を挙げた。先頭の木下拓、加藤翔を直球で打ち取ると、最後は代打堂上をチェンジアップで一ゴロに仕留めた。 「良い仕事ができました」と淡々とコメント。五輪中断後のリーグ後半戦は、ここまで13戦連続無失点。同点や1点を追う展開など場面を問わず好投を続け、優勝争いの佳境で存在感はさらに高まっている。

◆中日が今季3度目の5連敗を喫した。先発柳裕也投手(27)は3回に2点を先制されても6回4安打2失点、106球の粘投で試合を作った。 打線が応えるように6回に京田の中前適時打で2点差を追いついて柳の負けを消したが、9回に守護神R・マルティネスが決勝犠飛を許した。 柳は6回無死一、二塁、打席に加藤翔の場面でネクストバッタースサークルで待機。ただ加藤翔が送りバントを失敗すると、代打福留が送られた。ベンチに戻ってヘルメットをかぶったままぼうぜんとした表情を浮かべた。「リズムが悪く、チームに流れを持ってこられなかった。木下(拓)さんが(リードで)粘らせてくれた」。試合後のコメントでは自らを責めた。 防御率2・16、145奪三振はリーグトップを堅持したが、3年ぶりの2桁勝利、ハーラートップに並ぶ10勝目は先送りに。与田監督は「球数は増えたがよく2点で抑えてくれた。柳の負けを消すことはできたが、何とか勝ちにつなげられたらと思った」と右腕をかばった。 チームは5連勝の後、5連敗とシーズン最終盤にきて乱高下している。【伊東大介】

◆阪神が2-2の9回に勝ち越した。先頭島田海吏外野手(25)が二塁内野安打で出塁。続くジェリー・サンズ外野手(33)の打席で二盗を決め、その後の一ゴロで三塁に進んだ。最後は木浪聖也内野手(27)の左犠飛で決勝点をもぎ取った。矢野燿大監督(52)は「1人1人が気持ちをつなげながら取った1点だと思う」と振り返った。 矢野監督との一問一答は以下の通り。 -9回は途中出場の島田が躍動 いや、見事やったね。アイツの持ち味というかね。チャンスの少ない中、しかも相手の抑えでこっちとしては絶対出てくれというところで。出て、走るっていうのは。アイツも4年目か。俺もファームで(2軍監督として)一緒にやってたけど。こう積み重ねてきたものを一発であそこで出せたっていうのは成長だと思う。 -サンズのつなぎ あそこでほんとに何とかしようという形でサードに進めてくれて。みんなの気持ちもつながったと思う。聖也(木浪)もあそこでよくしっかりかえしてくれた。ほんとに1人1人が気持ちをつなげながら取った1点だと思う。すごくスアレスの気持ちも高まる、そういう1点になったと思います。 -打線をやりくりする中で大山に代えて木浪をスタメンに 柳とも1回しか対戦していないけど、聖也自身はね。そのときもしっかりした対応をしていたし、そういうこともしていいんじゃないかなということで。 -9回も木浪に任せた 頭の中では代打もってどっかでよぎったけど、まあまあ途中、今日の打席の内容もそうだし、あいつもレギュラーを中野に現状奪われた形だったけども、キャンプからやれることをしっかりやってきたというのは、どっかしら頭の片隅にはあるんで。そういうところでは任せようという気持ちになった。 -先発秋山は状態も良くはなかったが、5回を無失点 アキには申し訳なかったけどね。俺の中ではいっぱいかなと思ったんで。若い投手がいって、結果、点取られちゃったんで。そこはアキに一番申し訳ないなと思うけど、若い投手を出している以上、責任は俺にあるんでね。若い選手たちがうまくいくことばかりじゃないし、今日みたいなところから、一平(小川)もまた勝ちパターンに入ってきてもらいたいし、及川は逆にタイムリーを打たれたけれど、あの後粘ってくれたからつなげられた。そういうところの若手の台頭がいるんで。結果としては俺が受け止めてやっていかないと駄目だし、個人個人の成長にしていってくれたらと思います。 -相手が柳で打線も苦しい中、全員で勝てた まあでも4番以降がねえ、やっぱり1、2、3ではいけているけど。今日はマルちゃんのところと、4、5のところで出ればもっと試合展開が変わったと思うんで。ちょっと我慢かなと思う。まあ我慢の中で拾えたと思う。 -中野が100安打 いや大したもんやね。自分のルーキーの時から考えたら考えられへん。ショートというポジションも大変なところやし、プロで1年間戦うというのも大変な中で100安打というのはたまたま出せる数字ではないんでね。高校、大学、社会人とやってきて、しっかりしたものがあるからできたと思うんで。もっともっと貪欲にいってくれたらいいんじゃないかと思います。

◆「キナ」の前には「チカ」が輝いた。阪神近本光司外野手(26)が、"柳の呪縛"を打ち破る先制打で打線を勇気づけた。 0-0の3回。梅野の死球、秋山の犠打で1死二塁。142キロ直球の直後、柳の130キロチェンジアップにも崩されない。右翼へ適時二塁打を放ち、二塁ベース上でクールに左手を上げた。「梅野さんが出て、秋山さんが送って、しっかりした形で点を取れたのが、チームとしても良い流れができた」。 中日先発の柳とは試合前まで今季0勝1敗、17イニングで無得点で、近本も7打数無安打と抑え込まれていた。「前回やられていますし、なんとしても打つっていう気持ちを持ちながら、しっかり冷静に対応できた」。心は熱く、頭は冷静に。プロ3年目。チャンスにもぶれないメンタルで、得点圏打率3割5厘と勝負強さも兼ね備える。 5回には再び柳から中前打を放ち、今季48度目のマルチ安打。後半戦は123打数46安打、打率3割7分4厘で失速の気配は見えない。146安打はリーグトップ。同時に、打率3割1分3厘も首位打者を走るDeNA桑原の3割1分8厘に迫る。好調の要因は「それはよく分かんないですね」とニッコリ。打っても打たなくても、一喜一憂しない。1番打者の仕事を全うした先に、最多安打&首位打者の2冠も見えてくる。 9回の木浪の決勝犠飛にはベンチで喜んだ。ともに社会人経由で18年ドラフトの同学年。新人イヤーから1軍でプレーし、切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲だ。この日もベンチに帰ってきた木浪にすぐさま声をかけた。同期が決めた劇勝にも、試合後は冷静だ。 「しっかりピッチャーに対して打つだけ。1勝を積み重ねていきたい」。気持ちはすでに、真っさらなバッターボックスに向かっていた。【中野椋】

◆阪神スアレス投手が安定感抜群の投球で最終回を締め、リーグ最多のセーブ数を33に伸ばした。 先頭京田を空振り三振に仕留め、三ツ俣の高いバウンドの打球には腕をいっぱいに伸ばしてジャンピングキャッチ。最後は大島を一ゴロに打ち取り、外野に飛ばさせなかった。「9回にチームが勝ち越してくれたから、絶対に守り切る気持ちでマウンドに上がったよ。とにかく勝つことができてうれしいね」。勝利に貢献し、2年連続セーブ王へ独走を続ける。

◆阪神は"鬼門"のバンテリンドームでの中日戦を5勝5敗に持ち込んだ。9回に木浪の犠飛で勝ち越しホームを踏んだのは島田だった。 梨田 阪神ベンチのイチかバチかの賭けだった。この回先頭の島田が二安で出塁し、続くサンズの2球目に二盗に成功した。中日マルティネスのクイックも速くなかったが、ノーアウトから思い切った。監督としては、最悪引き分けでもの思いもよぎったかもしれない。ただ、あのシチュエーションでスチールのサインを出せた裏には、抑えで控えるスアレスに対する絶大な信頼感があるからだろう。 9回無死二塁。その島田が6番サンズの一ゴロで三進、木浪の左犠飛で1点が入った。 梨田 サンズの中途半端な当たりで、島田が三塁に進んだ。木浪は守りでまずいプレーもあったが、終わってみればいい仕事をしたということになる。島田の足が生きた1勝になった。ただ、理解に苦しんだのは秋山の交代だ。 秋山は中盤に差し掛かって得点圏に走者を置きながらも5回まで無失点だった。その秋山をベンチに下げて、6回からつぎ込んだ小川、及川で同点に追いつかれた。 梨田 秋山は好調ではなかったが、2桁勝ってるし、中日の6回の攻撃は下位からだ。なぜ交代だったのか、不思議だった。6、7回のリリーフに秋山より上の人材はいないはずだ。攻撃での采配は当たったが、継投は裏目だった。また、守備ではミスもでたが好プレーもあった。 5回裏無死一塁。2番三ツ俣の2-2からの5球目、秋山の投球を外した梅野が一塁走者・京田をけん制で刺した。 梨田 ベンチのサインだが、捕手としてはいったん二塁送球の姿勢を見せてから、切り替えて一塁に投げる難しさがある。梅野のビッグプレーだった。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

◆阪神が執念勝ちで首位を死守した。中日守護神のR・マルティネスが登場し、良くて引き分けかと思われた同点の9回。先頭の島田がヒットと二盗でチャンスメーク。不振のサンズがチーム打撃に徹した"大根切り"の一ゴロで三塁に進めると、約1カ月ぶりスタメンの木浪が勝ち越し犠飛を打ち上げた。 2位ヤクルトが勝ち、負ければ首位陥落の危機だった崖っぷちで、みんなが一丸になり、泥臭く大きな1勝をつかんだ。これぞ「全員野球」だ。阪神が難攻不落の守護神、R・マルティネスから1点をもぎ取った。同点の9回1死三塁。木浪が左翼へ勝ち越し犠飛。「絶対にここで打つ」と152キロ直球に食らいついた。「今日は自分が(試合前の)声出しで『全員野球』と言ったんですけど、その野球ができたと思います」。優勝への執念を体現した、言霊(ことだま)の一丸攻撃だった。 チャンスメークは途中出場の先頭島田だ。「もう、何でもいいから(塁に)出て」。149キロ直球に食らいつき、二塁へ内野安打。続くサンズの2球目に二盗を決めて無死二塁をつくると、もう押せ押せだ。島田は「持ち味なので、最大限に生かし切れたかな」としてやったり。矢野監督も「いや、見事やったね。俺もファームで(2軍監督で)一緒にやったけど、積み重ねてきたものを、一発で出せたのは成長」と絶賛するビッグプレーになった。 続くサンズも不振だったが粘りに粘った。8球目の内角高めボール球を"大根切り"するような右打ち。一ゴロで17打席ノーヒットとなったが、チーム打撃に徹する進塁打で1死三塁をつくった。矢野監督は「何とかしようと三塁に進めてくれて。みんなの気持ちもつながった」と絶賛。木浪の決勝犠飛を呼び込んだ。 木浪は約1カ月ぶりのスタメンだった。今季2度の対戦で17回を0封された先発柳対策で、ひとり2安打を放った相性を買われた。だがこの日は3打席凡退。矢野監督は「代打もよぎった」という。ベンチには、まだ大山も糸井も原口も残っていた。だが、最後まで、自分にかけてくれた思いを背番号0も感じていた。「結果を残せて、恩返しができました」。指揮官も「聖也(木浪)もよくかえしてくれた。ほんとに1人1人が気持ちをつなげながら取った1点」とたたえた。 貧打打開へ、不調の大山を15試合ぶりにスタメンから外した。4番から助っ人トリオを並べる苦肉オーダーで、三塁糸原、二塁木浪の新布陣を組んだ。2位ヤクルトが勝ったため、負ければ陥落した試合で首位を死守。矢野監督は「4番以降がね。ちょっと我慢かな。まあ我慢の中で拾えた」と笑顔でプラスに受け止めた。V争いの佳境、この1勝はデカイ。【石橋隆雄】 ▼阪神は21日に首位を守ったが、22日に阪神●でヤクルト○のとき、2位に陥落する状況は変わらない。阪神は63勝48敗5分けで勝率5割6分8厘、ヤクルトは56勝42敗15分けで5割7分1厘。この場合、ヤクルトは2位阪神にマイナス0・5ゲーム差の首位となる。

◆阪神近本光司外野手(26)が、"柳の呪縛"を打ち破る先制打で打線を勇気づけた。 ▼阪神近本が2安打し打率を3割1分3厘に上げ、リーグトップの桑原(DeNA)に5厘差とした。近本が今季首位打者になれば、阪神では14年のマートン以来。日本人選手では03年の今岡誠以来18年ぶりとなる。日本人左打者に限ると、81年の藤田平までさかのぼる。また、今季146安打でリーグ最多安打をキープしており、このまま最多安打者となれば阪神では13年のマートン以来。日本人選手では93年和田豊、日本人左打者では67年の藤田平以来54年ぶり。近本が首位打者と最多安打を同時に獲得すれば、阪神では86年のバース以来35年ぶりとなる。

◆阪神の新人中野拓夢内野手が2安打を放ち、今季通算100安打とした。 阪神の新人でシーズン100安打以上は、19年の近本光司(159安打)以来で、1リーグ時代を含め10人目。現在2軍調整中の佐藤輝明内野手も95安打を記録しており、1軍復帰すれば100安打をクリアする可能性がある。阪神の新人2選手が100安打以上なら、48年の後藤、別当以来73年ぶりとなる。

◆阪神が執念の攻撃で中日守護神R・マルティネスを攻略し、首位を守った。同点の9回、先頭の島田がヒットと二盗でチャンスメーク。不振のサンズがチーム打撃に徹した"大根斬り"の一ゴロで三塁に進めると、約1カ月ぶりスタメンの木浪が勝ち越し犠飛。2位ヤクルトが勝ったため、負ければ首位陥落の危機だった。脇役たちも一丸となり、泥臭く大きな1勝をつかんだ。阪神が全員野球で決勝の1点をもぎ取った。同点の9回1死三塁、8月28日広島戦以来17試合ぶりにスタメン起用された木浪が左翼へ決勝の犠飛。「絶対にここで打つ」と152キロ直球に食らいついた。木浪が「今日は自分が(試合前の)声出しで『全員野球』と言ったんですけど、まさにその野球ができたと思います」と話す通り、ナインの勝利への執念が形となった。 途中出場の島田が二塁内野安打で出塁。サンズの2球目に二盗を決めると、サンズは8球目の内角高めボール球を大根斬りするように右打ちし一ゴロ。進塁打で1死三塁をつくった。矢野監督は「何とかしようという形で三塁に進めてくれて。みんなの気持ちもつながったと思うし、聖也(木浪)もよくしっかりかえしてくれた。頭の中では代打もよぎったけど」とベンチには大山も糸井も残っていたが、木浪に託した。 過去2度の対戦で無得点に封じられていた柳対策として、ただ1人柳から2安打の木浪をスタメンに抜てきした。木浪本人が「守備でしょうもないミスをしてしまって」と話すように、6回1死一、二塁の守りで福留の二ゴロを一塁に送球。併殺を逃し、2死二、三塁から京田に2点同点適時打を許していた。それでも9回の打席に立たせてくれた矢野監督に対し「結果を残せて恩返しができた」と安堵(あんど)した。 2位ヤクルトが勝ち、1・5ゲーム差のまま。矢野監督は「まあ我慢の中で拾えた」と、打線が低調な中、全員でつかみ取った大きな1勝を喜んだ。【石橋隆雄】

◆阪神秋山は5回5安打無失点に抑えた。2点リードのままバトンを渡したが、後を受けた小川、及川が守れなかった。リーグ単独トップになる11勝目をつかめず「次の登板をまたしっかりと頑張りたいと思います」と短い言葉に思いを込め、次戦を見据えた。 登板予定だった17日中日戦が台風接近で中止となり、中9日でのマウンド。毎回走者を出しながら、粘り強く投げた。5回に連打で招いた1死一、二塁のピンチでは、4番ビシエドを初球フォークで右飛に打ち取り、福田も136キロ直球で右飛に片付けた。 5回87球での降板に、矢野監督は「アキ(秋山)には申し訳なかったけどね。俺の中ではいっぱいかなと思った。若い投手がいって、結果点取られちゃったんで。そこはアキに一番申し訳ないなと思う」と説明した。

◆阪神・大山悠輔内野手(26)が8月31日の中日戦(甲子園)以来、15試合ぶりにベンチスタートとなった。 主将は最近5試合で打率・211(19打数4安打)、さらに得点圏で12打席連続無安打中と低調なパフォーマンスだった。 大山に代わって糸原が三塁に就き、木浪が「7番・二塁」で8月28日の広島戦(マツダ)以来のスタメン出場する。

◆阪神・近本光司外野手(26)が三回、先制二塁打を放った。苦手にしている中日・柳から今季20イニング目で、チーム初得点を挙げた。 0-0の三回、先頭の梅野が死球。秋山のバントで1死二塁とし、近本が柳のチェンジアップをたたいた。打球は右翼手の頭上を越える先制二塁打となった。 近本は「(先発の)秋山さんが頑張って投げてくれていますし、バントもきっちり決めてくれたので、なんとかランナーをかえすという気持ちだけで打席に入りました」と話した。 なおも1死二塁から中野が遊撃手・京田のグラブをはじく適時打で加点した。中野は「近本さんが先制打を打ってくれたので、少し楽な気持ちで打席に入ることができました。しっかりと仕事をすることができて良かったです」と声を弾ませた。 阪神は今季、柳との2試合の対戦で0勝1敗(完封負け)、防御率0・00。試合前の時点で17イニング無得点だった。

◆先発した秋山拓巳投手(30)は5回87球を投げて5安打無失点で降板した。2-0とリードしており、ハーラー単独トップとなる11勝目の権利を残して、救援陣にマウンドを託した。 一回、2死から大島の一ゴロをマルテが捕球できず(記録は失策)、走者を許したが、無失点で切り抜けた。四回は2四球と安打で2死満塁とされたが、柳を見逃し三振に。五回は連打で1死一、二塁のピンチを招くも後続を打ち取った。 前回11日の広島戦(マツダ)で7回1失点に抑え、2年連続2桁勝利となる10勝目を挙げた。登板予定だった17日の中日戦(甲子園)が台風接近により、中止。中9日での登板だった。

◆阪神の3番手・及川雅貴投手(20)が2-0の六回、2死二、三塁から京田に中前への2点同点打を浴びた。 矢野監督は継投策を決断。5回無失点と粘投をみせた先発・秋山から六回、小川にスイッチ。だが、四球と安打などで1死一、二塁とピンチを招き、及川がマウンドへ。代打・福留は二ゴロに打ち取ったが、得点圏に2人の走者を置いて、京田に痛打された。 秋山はハーラー単独トップとなる11勝目はならなかった。

◆阪神・木浪聖也内野手(27)が2-2の九回、1死三里で、中日の守護神、R・マルティネスから勝ち越しの左犠飛を放った。 木浪は8月28日の広島戦(マツダ)以来となる「7番・二塁」でスタメン出場。先発した柳に今季、打率5割(4打数2安打)と相性の良さを買われたとみられるが、柳には左飛、二ゴロと2打数無安打。七回も祖父江に中飛に抑えられていた。

◆阪神は中日に3―2で勝利した。三回に先頭の梅野が死球。秋山の投前犠打で1死二塁とすると、近本が右翼線へ適時二塁打を放った。苦手としていた柳から今季20イニング目でチーム初得点を挙げると、続く中野も中前適時打を放った。 先発の秋山は粘り強い投球で5回5安打無失点。だが、六回に2番手の小川が四球と安打などで1死一、二塁とされると、及川がマウンドへ。代打・福留は二ゴロも、2死二、三塁から京田に同点の2点打を許した。 2―2のまま迎えた九回。守護神のR・マルティネスから先頭の島田が二塁への内野安打を放つと、盗塁も成功。サンズの一ゴロで1死三塁とすると、木浪が左翼へ勝ち越しの犠飛を放った。接戦を制して、首位をキープした。

◆阪神は「7番・二塁」で8月28日の広島戦(マツダ)以来のスタメン出場となった木浪聖也内野手(27)が九回1死三塁で決勝の左犠飛を放ち、中日に競り勝った。ヒーローインタビューで「最初は活躍できなかったので、絶対に打ってやろうという気持ちだった」。打ったのはストレート。「それに合わせて準備してきたので、一気に仕留められてよかったです」と語り、「今日は自分が声出しで、全員野球って言ったんですけど、まさに、その野球ができたと思います」と話していた。

◆阪神は九回1死三塁からの木浪聖也内野手(27)の左犠飛で中日に競り勝った。首位を死守した矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー九回は途中出場の島田が躍動 「いや、見事やったね。アイツの持ち味というかね。チャンスの少ないなか、しかも相手の抑えでこっちとしては絶対出てくれというところで。出て、走るのは。アイツも3年目? 4年目か。俺もファームで一緒にやってたけど。積み重ねてきたものを、一発で出せたのは成長だと思う」 ーーサンズのつなぎ(九回無死二塁で一ゴロの進塁打) 「何とかしようという形でサードに進めてくれて。みんなの気持ちもつながったと思うし。聖也もかえしてくれたっていう、ほんとに一人一人が気持ちをつなげながら取った1点だと思うので。スアレスの気持ちも高まる、そういう1点になったと思います」 ーー打線をやりくりするなかで大山に代えて木浪をスタメンに 「そうやね。柳とも1回しか対戦していないけど、聖也自身はね。そのときもしっかりした対応をしていたし、そういうこともしていいんじゃないかなということで」 --九回1死三塁も木浪に任せた 「もちろん、頭の中では代打もってどっかでよぎったけど、途中、今日の打席の内容もそうだし、あいつもレギュラーを中野に現状、奪われた形だったけども、キャンプからやれることをしっかりやってきたのは頭の片隅にはあるんで。そういうところでは任せようという気持ちになった」 ーー秋山は状態も良くはなかったが、5回をゼロ 「そうやね、アキには申し訳なかったけどね。俺の中ではいっぱいかなと思ったんで。若い投手いって、結果、点取られちゃったんで。そこはアキに一番申し訳ないなと思うけど。若い投手出している以上、責任は俺にあるんでね。若い選手たちがうまくいくことばかりじゃないし、一平もまた勝ちパターンに入ってきてもらいたいし。及川はタイムリー打たれたけど、あの後粘ってくれたからつなげられたんで。若手の台頭がいるんで。結果としては俺が受け止めてやっていかないと駄目だし、個人個人の成長にしていってくれたらと思います」 ーー相手が柳で打線も苦しい中、全員で勝てた 「まあでも、4番以降がねえ、やっぱり1、2、3ではいけているけど。今日はマルちゃんのところと、4、5のところで出ればもっと試合展開変わったと思うんで。ちょっと我慢かなと思う。まあ我慢の中で拾えたと思うし」 ーー中野が100安打 「いや大したもんやね。自分のルーキーの時から考えたら考えられへんし。ショートというポジションも大変なところやし、プロで1年間戦うというのも大変な中で100安打というのはたまたま出せる数字ではないんでね。高校、大学、社会人としっかりしたものがあるからできたと思うんで。もっともっと貪欲にいってくれたらいいんじゃないかと思います」

◆阪神の新人中野が100安打に到達した。三回に中前適時打を放ち、八回は左翼線に二塁打。「意識はしていなかったが、3桁の数字に乗せられたことはうれしく思う」と声を弾ませた。 2番打者としてチャンスメークや勝負強い打撃で貢献し、欠かせない存在となっている。「もっと積み重ねていきたい」とまだまだ満足はしていなかった。

◆同点にされたので、結果論のようになってしまうのだが、六回は秋山を続投させるべきだったのではないか。 ■小川&及川勢いあるが経験ある先発が踏ん張らないと 今の阪神投手陣の課題は六、七回を誰でつないで、岩崎、スアレスにつなげるか。小川、及川の若い、勢いのあるコンビが頑張っているが、経験も浅く、守備が乱れるとこの日のような展開になりがち。2人に託すか、87球しか投げていない秋山の続投かの比較になれば、やはり経験がある秋山だろう。 ピンチの連続で、球数以上に疲労が蓄積していたのか。四回に秋山がマウンドで一瞬、腰を抑える仕草があったので、異変があったのなら交代は仕方がない。ただ、五回は普通に投げていた。ベンチにしか分からない事情があるのかもしれないが、先発がもう少し長く踏ん張らないと、この先も厳しい。 打線の援護があれば、もう少し楽な展開になるのだが、4番以降は状態が悪すぎる。ただ、そんな中で九回にサンズが見せた進塁打は評価したい。戦況を理解し、打てないのなら、と切り替えての右打ち。優勝へ向けて、チーム一丸の空気は漂っている。(本紙専属評論家)

◆九回に登板した守護神・スアレスは12球で三者凡退に封じ、1点差ゲームを危なげなく締めた。「九回にチームが勝ち越してくれたから、絶対に守り切る気持ちでマウンドに上がった。とにかく勝つことができてうれしい」。これでリーグトップ独走の33セーブ目。今季はセーブ機会での登板で失敗は一度もない。防御率も1・14と安定感抜群の〝失敗しない男〟が虎を支え続ける。

◆秋山は毎回走者を出しながらも5回5安打無失点と粘投。勝利投手の権利を得てマウンドを降りたが、六回にリリーフ陣が打たれて同点となり、白星が消えた。「次の登板をまたしっかりと頑張りたいと思います」。継投策に出てリードを保持できなかった矢野監督は「アキ(秋山)に申し訳なかった。俺の中では、いっぱいかなと思ったんで。若い投手を出している以上、責任は俺にある」と話した。

◆風穴を開ける一打がなければ、矢野虎の勝利はなかった。近本が三回、柳から今季20イニング目でチーム初得点となる先制の二塁打を放って、ナインを勇気づけた。 「前回、やられていますし、なんとしても打つっていう気持ちを持ちながら、しっかり冷静に対応できた」 三回1死二塁。柳の投じたチェンジアップを強振。打球は右翼手の頭上を越える、価値ある適時二塁打となった。 防御率セ・リーグトップの柳とは、今季3試合目の対戦。前回8月20日(バンテリンドーム)の対戦では完封負けを喫するなど、過去2試合の対戦は防御率は0・00。17イニング無得点と完全に封じ込まれていた。 「梅野さんが出て、秋山さんが(バントで)送ってという、しっかりした形で、点が取れたのは、自分の中でもチームとしても、いい流れができたんじゃないかと思います」 先頭の梅野が死球。秋山がきっちりと犠打を決めた直後だった。この流れを断ち切るわけにはいかなかった。直後に、2番・中野の中前適時打で生還し、3試合連続となる得点はリーグトップの「76」に。このペースでいけば94・5得点。「目標の100得点」も夢ではなくなってきた。 五回1死からも中前打を放ち、打率・313は今季最高の数字。6試合連続安打で、リーグトップのDeNA・桑原(同・318)を射程圏にとらえた。 好調の理由を聞かれると「よく分かんないですね」と笑った近本。続けて「しっかり投手に対して打つだけなんで。1勝を積み重ねていきたいと思う」と言い切った。熾烈を極める優勝争いがモチベーションになっている。(三木建次)

◆少しずつ、着実に快音を積み重ねて、ここまでやってきた。ドラフト6位ルーキーの中野が適時打を含む2安打。大台の100安打に到達した。 「意識はしてなかったですけど、3桁という数字を乗せることができたのはうれしく思う。これからまた1本ずつ積み重ねていきたい」 三回、近本が先制の二塁打を放ち、なおも1死二塁。柳の130キロのチェンジアップを捉えた。二遊間への打球に遊撃・京田が飛び込むも、白球はグラブを弾いて中前へ。二走の近本が生還して、難敵・柳から大きな2点目を奪った。 「チカ(近本)さんが打ってくれて、気楽に打席に入れました。なんとしてもランナーを返してやろうという気持ちで打席に入りました」 八回には又吉の144キロのカットボールに詰まらされながらも、左翼線に運ぶと、迷わず一塁を蹴って二塁ヘッドスライディング。快足を生かして二塁打にし、大台に到達した。 左翼線へ技アリで落として、決めた 阪神の新人が100安打を記録するのは2019年の近本以来8人目だが、内野手では3人目。遊撃というポジションに限れば1953年、〝牛若丸〟と称された吉田義男以来の快挙だ。ベストナイン9度、通算1864安打の永久欠番「23」、85年日本一監督でもあるレジェンド以来-。それだけ遊撃手の過酷さを物語っている。 矢野監督も「大したもんやね。自分のルーキーの時から考えたら、考えられない。ショートも(守備が)大変なところだし、プロで1年間戦うというのも大変な中で、100安打というのはたまたま出せる数字ではない」と絶賛。成長を続けるルーキーに「もっともっと貪欲にいってくれたら」と期待を込めた。 後半戦では2番での起用も増え、バントをする場面も増えた。シーズン序盤では苦戦していたが「気持ち的に余裕の部分が出てきている」と、五回には12個目の犠打を決めるなど成長。重圧のかかる日々だが、経験を積むごとに少しずつ余裕も生まれ、それが好結果にもつながっている。 「塁に出ることもそうですし、クリーンアップにいい形でつなげることも自分の役割。これからも2番を打たせてもらえるのであれば、その役割を果たしていきたい」 このままの勢いで、スターへの道を突き進む。(菊地峻太朗)

◆まさに矢野流〝必死のパッチ〟だ! 阪神がバンテリンドームで中日に3-2と競り勝ち、首位を守った。2-2の九回無死二塁から、不振のジェリー・サンズ外野手(33)が執念の進塁打で走者を三塁に進め、大山に代わって約1カ月ぶりにスタメン起用された木浪聖也内野手(27)が決勝犠飛。ナイン一丸で2位ヤクルトとの1・5ゲーム差をキープし、3位巨人に3・5差をつけた。全員が同じ〝一点〟を見つめていた。これこそが矢野野球で、一人残らず「必死のパッチ」だった。突破口を開いた伏兵がいた。決勝打を放った代役もいた。すべてをつないだと指揮官がたたえたのは、サンズの「17打席連続無安打」となる一ゴロだった。執念星で、首位を守った。 「あそこでホントに、(サンズが)何とかしようという形でサードに進めてくれて。みんなの気持ちもつながった。聖也(木浪)もあそこでよく、しっかりかえしてくれた。ホントに一人一人が気持ちをつなげながら取った1点だと思う。すごく(抑えの)スアレスの気持ちも高まる、そういう1点になった」 最後の攻撃に入ろうとしていた2-2の九回。午後9時前のこの瞬間、横浜では2位のヤクルトがDeNAを振り切り、4連勝を決めていた。この試合を落とせば首位を陥落するだけでなく、さらに飲み込まれていきかねない瀬戸際だった。 途中出場の島田が先頭で二塁内野安打を放つ。ここで打席に立ったのが大不振のサンズだった。1ボールから高めのボール球を空振りし、島田の二盗をアシスト。〝献身〟はこれだけで終わらない。助っ人砲が100人いれば99人が勝負を決めに行きたくなるような場面で、フルカウントから8球目、内角高めのボール球を右打ちした。窮屈で不格好な進塁打だった。ただ、これこそが矢野虎の強みだった。5試合&17打席連続無安打となった絶不調男が見せた執念が全員のハートを震わせ、続く木浪が、決勝犠飛を打ち上げた。「本当にしょうもないミスをしてしまって。いつチャンスがきてもいいようにずっと準備していたので、結果を残せたのはよかった」木浪も気持ちで打っていた。15試合ぶりにスタメンを外れた大山に代わって「7番・二塁」で、8月28日の広島戦(マツダ)以来の先発出場。守備で悔やみきれないミスを犯していた。2-0の六回1死一、二塁で福留の二ゴロを処理。目の前で止まった一走を挟みかけたが...先に一塁へ送球し打者走者をアウトにしたことで、一走の二進を許した。2死二、三塁から及川が京田に2点打。1点で済むはずが、同点とされてしまった。ここ3試合で2得点だった打線を活性すべく、マルテ、ロハス、サンズと助っ人を4番から3人並べたが、M砲が得点圏で3度凡退するなど揃ってノーヒット。うまく行ったことの方が少なかった試合だ。それでも、最後は執念がまさった。「4、5(番)のところで(一本)出れば、もっと試合展開、変わったと思う。ちょっと我慢かな。まあ我慢の中で拾えたと思う」と矢野監督。苦しくても、結束はできている。全員が「必死のパッチ」で、一つの目標を目指すことができている。(長友孝輔)★「最高の形」今季6盗塁 ロハスに代わって六回から右翼守備に入った島田が、決勝点を呼び込んだ。「なんでもいいから(塁に)出て、(ホームに)かえってくることだけを考えていた。それが最高の形になった」。九回先頭でR・マルティネスから今季5安打目となる二塁内野安打をもぎ取ると、サンズの2球目に6盗塁目となる二盗に成功。木浪の犠飛で決勝ホームを踏み、矢野監督も「見事。積み重ねてきたものを一発であそこで出せたのは成長だと思う」と目を細めた。

◆分から~ん!! 鬼門の名古屋で一度は追い付かれる邪気の中で、なぜ阪神は勝って首位を守れたんや~? 完璧な投球とは言わないけど、2点リードしていて五回まで87球で5安打無失点の秋山に代えて、成長しているとはいえ、まだまだ不安がある2年目の小川をマウンドに送った矢野采配も分からーん? 『勝ちに不思議な勝ちあり』のノムさん(野村克也氏)の言葉は確かに言い得て妙ですが...そこにもう一つの言葉を加えさせてもらいます! ①一回、マルテがエラー②三回、三ツ俣はゲッツーのはずが木浪がポロリ③四回、木浪が併殺を取り逃す④四回、木下拓の中前打は中野ならアウトにできた⑤五回、大島の打球は、記録はヒットだがマルテが捕れた⑥六回、加藤翔のバントで併殺と思ったら糸原の送球それる...と記録には記されないエラーがこれだけあるのだ! 勝ちに不思議な勝ちあれ『優勝に不思議な優勝なし!!』。この言葉を俺は加えるのだ!! と、言いながら再三やらかした木浪が決勝犠飛だってんだから、「不思議を解いてVを奪ってみろ」と矢野監督が言っているのでは?なのだ!!

◆驚くと同時に「サンズならやるだろうな」とも思った。阪神は21日の中日戦(バンテリンドーム)で、2-2の九回無死二塁という絶好機に助っ人砲のサンズが「執念の右打ち」を見せ、木浪の決勝犠飛につなげて勝ち切った。 矢野監督も試合後、興奮気味に「ホントに一人一人が気持ちをつなげながら取った1点だと思う」と全員をたたえた。言葉が違う男たちも、ベンチに座っている時間が長かった男たちも、全員が同じ思いを共有できているからこそ拾えた1勝に違いなかった。 ふと思い出したのは、ロハスが初めて1軍に合流し、初出場した5月8日のDeNA戦(横浜)後の矢野監督の言葉だ。4打数無安打での発進となったR砲を「ハッスルしてくれるような動きも見せてくれている。うちのチームに相性が良いというか、同じような野球観でやれる」と評したのだ。こう語るということは、昨季から在籍していたサンズやマルテ、ガンケルやスアレスら他の助っ人陣とは、すでに野球観を一つにできている自信があるのだと思った。 特にサンズに至っては、佐藤輝ら若手に惜しみなくアドバイスをしたり、果敢なダイビングキャッチや積極的な走塁を見せたり、パフォーマンスでベンチを盛り上げたり、もはやチームにおいて助っ人の域を超えた存在でもある。 どれだけ絶不調でも、そんなサンズだから矢野監督は打席を託した。そして、サンズも必死で「17打席連続無安打」となる一ゴロをしぼり出した。苦しい戦いは続くが、この仲間たちと優勝したいと確認し合えた勝利だったはずだ。(長友孝輔)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
63475 0.573
(↑0.004)
-
(-)
28456
(+3)
444
(+2)
105
(-)
96
(+1)
0.251
(-)
3.570
(↑0.01)
2
(-)
ヤクルト
554215 0.567
(↑0.004)
1.5
(-)
31498
(+5)
424
(+2)
113
(+1)
66
(-)
0.260
(↑0.001)
3.560
(↑0.02)
3
(-)
巨人
554616 0.545
(↓0.005)
3.5
(↓1)
26467
(-)
449
(+2)
147
(-)
62
(-)
0.246
(↓0.001)
3.630
(↑0.01)
4
(-)
DeNA
465614 0.451
(↓0.004)
13
(↓1)
27471
(+2)
513
(+5)
119
(-)
25
(-)
0.259
(-)
4.210
(-)
5
(-)
中日
465814 0.442
(↓0.005)
14
(↓1)
25353
(+2)
392
(+3)
63
(-)
54
(-)
0.240
(-)
3.220
(↑0.01)
6
(-)
広島
445911 0.427
(↑0.005)
15.5
(-)
29421
(+2)
476
(-)
96
(-)
52
(-)
0.259
(↓0.001)
3.880
(↑0.04)