ヤクルト(4対4)阪神 =リーグ戦19回戦(2021.09.14)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【阪神】マルテ(18号・9回表3ラン)
【ヤクルト】村上 宗隆(34号・6回裏ソロ)

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◆ヤクルトは2回裏に元山の適時打で1点を先制すると、その後は村上のソロなどで小刻みに加点し、8回までに4点を挙げる。対する阪神は、3点ビハインドの9回にマルテの3ランが飛び出し、土壇場で同点とした。試合はそのまま決着がつかずに攻防を終え、規定により引き分けとなった。

◆阪神は今季のヤクルト戦は11勝5敗2分けで、特に神宮では6勝1敗1分けの高勝率。 ジェリー・サンズ外野手(33)が打率3割1分、5本塁打、ジェフリー・マルテ内野手(30)が3割2分、3本塁打と、助っ人コンビがそろって神宮で好成績。

◆セ・リーグの杵渕和秀統括と友寄正人審判長が14日、ヤクルト阪神19回戦の試合前にヤクルトのクラブハウスを訪れた。 13日中日戦(バンテリンドーム)の9回の判定について、ヤクルト側へ事情説明を行った。 問題となったプレーは、1点を追う9回1死一、二塁で起こった。代打川端が二塁へのゴロを放ち、二塁手の堂上が一走西浦をタッチにいくが、タッチできずに一塁送球するも、川端はセーフ。西浦が一、二塁間で挟まれたが、遊撃京田が二塁を踏んだ。ここで二塁塁審のジャッジがなく、三塁まで進んでいた二走古賀が、本塁を狙いタッチアウト。中日側のリクエストで、二塁フォースアウトが認められ、試合終了となった。 高津監督は二塁フォースアウトの明確なジャッジがあれば、古賀が危険を冒して本塁に突っ込む必要はなかったと主張。約15分間の猛抗議も覆ることはなかった。二塁塁審を務めていた嶋田審判は、「二塁塁審としては(二塁)ベースを踏んだことは確認していない。だから一塁走者はそのまま生きていてセーフとして。ジャッジしていないのでアウトもコールもしていない」と話していた。

◆阪神が3試合ぶりに3番を入れ替えた。直近2戦で3番だったジェリー・サンズ外野手(33)がスタメンから外れ、糸原健斗内野手(28)が9日ヤクルト戦以来、4試合ぶりに「3番二塁」で起用された。サンズは12日DeNA戦(横浜)で4打数無安打。前日13日には休日返上で打撃練習を行っていた。 4番ジェフリー・マルテ内野手(30)、5番大山悠輔内野手(26)は不動。6番には糸井嘉男外野手(40)、7番にはメル・ロハス・ジュニア外野手(31)が入った。 阪神先発は青柳晃洋投手(27)。前回7日のヤクルト戦(甲子園)では5回5失点で3敗目を喫しており、リベンジを期すマウンドとなる。 ヤクルト先発はアルバート・スアレス投手(31)。阪神戦は今季2度目の先発で、前回7月8日の対戦では6回4安打2失点と好投した。ヤクルトは青柳を攻略した前回7日のゲーム同様、山田哲人内野手(29)をスタメンから外し、上位打線に左打者を並べた。

◆セ・リーグの杵渕和秀統括と友寄正人審判長が、ヤクルト阪神19回戦(神宮)の試合前に、ヤクルトのクラブハウスを訪れた。13日中日戦(バンテリンドーム)の9回1死一、二塁の判定について、ヤクルト高津監督ら球団へ経緯の説明と謝罪をした。 二塁塁審のジャッジについて、友寄審判長は「(二塁塁審が)バッターランナーが一塁でアウトになったという思い込みが要因。それが起因した」と説明。打者走者がアウトだった場合は、一塁走者はタッチプレーになり、二塁を踏んだところでジャッジはしなかったとみられる。「思い込みから起こったトラブルなので、そういうことはあってはいけないというところで、注意しましたと(高津監督へ)お伝えしました」。二塁塁審を口頭で厳重注意とした。 問題となったプレーは、1点を追う9回1死一、二塁で起こった。代打川端が二塁へのゴロを放ち、二塁手の堂上が一走西浦をタッチにいくが、タッチできずに一塁送球するも、川端はセーフ。西浦が一、二塁間で挟まれた状況で、遊撃京田が二塁を踏んだ。ここで二塁塁審のジャッジがなく、三塁まで進んでいた二走古賀が、本塁を狙いタッチアウト。中日側のリクエストで、二塁フォースアウトが認められ、試合終了となった。 高津監督は二塁フォースアウトの明確なジャッジがあれば、古賀が危険を冒して本塁に突っ込む必要はなかったと主張。約15分間の猛抗議も覆ることはなかった。ヤクルトは14日付で意見書を提出した。

◆首位阪神と3位ヤクルトのゲームが再開された。4回表の阪神の攻撃途中で雨脚が強まり、午後6時48分から一時中断。その後雨が弱まり、21分間の中断を挟んで、同7時9分に再開された。 4回表は先頭糸井が左前打で出塁。続くロハスが1球目のストライクを見逃した後、雨が強くなり、守備につくヤクルトの選手がベンチに戻っていた。 試合は2回にヤクルトが元山の適時打で先制。直後の3回表に阪神は1死満塁と好機をつくったが4番マルテ、5番大山が連続三振に倒れた。 この日の阪神先発は青柳。今季阪神の雨天中止試合(ノーゲーム含む)は6度あるが、そのうち3試合で青柳が先発予定だった。「雨柳さん」の愛称で親しまれる右腕は、この日も悪天候の中、粘りの投球を続けている。

◆ヤクルトのアルバート・スアレス投手が退場となった。2点リードの5回無死での2球目、150キロ直球が中野の後頭部に直撃。危険球で退場となった。代わりに大西がマウンドに上がった。 中野は歩いて治療のためにベンチに引き揚げたが、大事に至らず。そのまま一塁走者としてプレーを続けた。

◆阪神中野拓夢内野手(25)が、後頭部に死球を受けた。 2点ビハインドで迎えた5回先頭の第3打席。ヤクルト先発のスアレスが投じた3球目の150キロ直球が、ヘルメットの後頭部に直撃。トレーナーと北川打撃コーチが寄り添い、自力でベンチに戻った。 その後、中野は問題のない様子で、一塁走者としてプレーを続行した。ヤクルトはスアレスが危険球退場となり、2番手大西に投手交代した。

◆阪神青柳晃洋投手(27)が雨中で粘投するも、5回6安打2失点で降板し、白星とはならなかった。 「前回に続き先制点を与えてしまい、チームに勢いをつけるような投球をすることができず悔しいです」。8月24日DeNA戦(京セラドーム大阪)で自身初の10勝に到達してから、ここ3戦で白星から遠ざかっている。 2回先頭の村上に左前打を浴びるも、続くオスナをツーシームで遊ゴロ併殺。ピンチを脱したかに見えたが、中村に四球を与えるとサンタナ、元山に連打を浴び先制を許した。4回も先頭の村上に左前打を浴び、続くオスナを三ゴロに仕留めるも、1死一塁から中村に左中間へ適時二塁打を浴び、2点目を失った。 村上にはこの試合前まで、11打数6安打3本塁打を許していた。この日も2打数2安打と、苦手とする主砲に打ち込まれた。3、5回は3者凡退に抑えたが、味方打線が満塁機で無得点に終わるなど、援護にも恵まれなかった。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(21)が、通算99号に到達した。2点リードの6回、先頭で打席に立つと、フルカウントから甘く入った134キロチェンジアップを強振。右中間席へ34号ソロを放った。「先頭打者だったのでとにかく出塁することを考えて打席に入りました。くらいついていった結果が本塁打になってよかった」と振り返った。 これまでの通算100号は、89年西武清原和博の21歳9カ月が史上最年少記録。村上は現在21歳7カ月。今季中に達成すれば、記録を塗り替える。

◆阪神近本光司外野手(26)にヒヤリとするシーンがあった。8回裏2死一塁。ヤクルトオスナの中堅左への飛球を追いかけ、フェンスに激突した。しばらく動けなかったが、その後自ら立ち上がり、ベンチへ手を挙げ「問題なし」をアピールした。 この試合は2安打で、今季46度目のマルチ安打をマークするなど、攻守に欠かせない存在だ。直後の9回表には打席立ち四球を選ぶなど、通常通りプレーして周囲を安心させた。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(30)が、起死回生の同点弾を放った。 3点ビハインドの9回1死一、二塁。ヤクルトマクガフの138キロカットボールを捉え、左中間へ18号3ラン。土壇場の最終回で追いついた。 2点ビハインドの7回無死一、二塁では、左翼ポール上を越す特大飛球を打ち上げた。ファウルの判定に矢野監督がリクエストを要求したが覆らず、捕邪飛に倒れていた。9回は正真正銘の1発で、4番の仕事を果たした。

◆阪神が終盤に4番の1発が飛び出し、引き分けに持ち込んだ。巨人が負けたため、ヤクルトが勝率の差で2位に浮上。首位阪神とはともに3・5ゲーム差となった。 3点を追う9回に、2四球で1死一、二塁とすると、4番ジェフリー・マルテ内野手(30)が左中間へ同点の18号3ランを放った。最後は9回裏を守護神ロベルト・スアレス投手(30)が3者凡退で締めた。 チームトップタイ10勝を挙げている先発の青柳晃洋投手(27)は、5回6安打2失点と粘投。打線は5回無死満塁の好機で無得点に終わるなど、好機を生かせない展開が続いていたが、最後に起死回生の1発が飛び出した。

◆ヤクルトは2回2死一、三塁で元山が中前適時打を放って先制。阪神は3回1死満塁のチャンスを作るも、あと1本が出なかった。 ヤクルトは4回1死一塁で中村が左翼へ適時二塁打を放つ。6回には、村上が右中間へ34号ソロを放ち、通算99本塁打とした。 阪神は3点を追う9回1死一、二塁から4番マルテの18号3ランで同点。土壇場で引き分けに持ち込んだ。ヤクルトは逃げ切れず。

◆連敗で3位転落のヤクルトが首位阪神と対戦。 阪神は3点を追う9回1死一、二塁から4番マルテの18号3ランで同点。土壇場で引き分けに持ち込んだ。 ヤクルトは2回に元山の中前安打で先制し、村上の本塁打などで得点を重ねるも、マクガフが土壇場でマルテに3ランを被弾。逃げ切れず痛い引き分けとなった。 巨人が負けたため、ヤクルトが勝率の差で2位に浮上。首位阪神とはともに3・5ゲーム差となった。 4回表の阪神の攻撃途中で雨脚が強まり、18時48分にロハスが1球目のストライクを見逃した後に一時中断となったが、19時10分に再開。 ヤクルト先発のスアレスは2点リードの5回無死での2球目、150キロ直球が中野の後頭部に直撃。危険球で退場となった。

◆ヤクルトは緊急登板で大西広樹投手がチームを救った。 2点リードの5回無死でスアレスの150キロ直球が中野の頭部に直撃し、危険球退場。大西がマウンドに上がった。直後の糸原に右前打を浴び、続くマルテは四球と、無死満塁のピンチを招いた。その後、見逃し三振と二塁併殺打。無失点で切り抜け、ガッツポーズをしながら絶叫し、感情を爆発させた。

◆阪神守護神ロベルト・スアレス投手が危なげなく最終回を締めた。 先頭の山田を156キロ直球で遊ゴロに打ち取ると、元山は初球のチェンジアップで二ゴロ。最後は塩見を空振り三振に仕留めた。「しっかりと負けないことが大事だと思っていた。マルテのホームランで追いついたんで、なんとかゼロにしっかり抑えて引き分けに持ち込みたいなと思っていた」。ここまで31セーブを挙げ、リーグトップを独走する右腕。この日も圧倒的な投球で勝ち越しを許さなかった。

◆ヤクルトはあと2死で勝利を逃した。 3点リードの9回、スコット・マクガフ投手が登板。1死一、二塁からマルテに低めのカットボールを捉えられ、同点の3ランを浴びた。それでも高津監督は「天気も足場も難しかったのかなと思います」と守護神をかばった。

◆阪神近本光司外野手(26)が今季46度目のマルチ安打をマークした。 7回には中野拓夢内野手(25)の適時打につなげる二塁打を放った。8回裏2死一塁の中堅守備では、オスナの中堅左への飛球を追いかけ、フェンスへ激突。しばらく動けなかったが、その後自ら立ち上がりベンチへ手を挙げ「問題なし」をアピール。直後の9回表は先頭で四球を選び、ジェフリー・マルテ内野手(30)の同点弾を呼んだ。矢野燿大監督(52)は「チカはちょっと大丈夫だと思っているんだけど。そんな大きな離脱とか、そんなんは現状ではないと思う」と状態を説明した。

◆阪神2番手小川一平投手が村上にプロ通算99号を浴びた。 2点ビハインドの6回に登板し、先頭で迎えた主砲にフルカウントからチェンジアップを捉えられ、右中間スタンドへ運ばれた。 8日ヤクルト戦でプロ初勝利を挙げるなど、リリーフとして存在感を見せてきた右腕。6戦ぶりの失点を喫した。

◆雨降る神宮にラパンパラがさく裂した。1-4と3点ビハインドの9回1死一、二塁。阪神4番ジェフリー・マルテ内野手が豪快にバットを振った。 カウント2-1から守護神マクガフの低めに落ちる変化球に反応。打球は低い弾道で左中間席で待つ虎ファンのもとに飛び込んだ。崖っぷちから試合を振り出しに戻す起死回生の18号3ラン。マルテは「ホームランとかは狙わずにシンプルに後ろにつなぐだけだった。その前の打席で打つことができなかったから、あの場面でいい結果を出すことができて良かったよ」と興奮気味に振り返った。 「打ち直し」の1発だった。7回無死一、二塁の好機で、内角高めの直球を強振。大飛球が左翼ポールの上を通過した。ファウルの判定に、矢野監督は即座にリクエストしたが判定は覆らず、“幻弾”となった。結局、邪飛に倒れ、下を向いて悔しがった。指揮官は「1個前のリクエストも際どいところやったから、『打ってくれ、打ってくれ』と思ったらホンマに打ってくれた。みんなのモヤモヤを吹き飛ばしてくれるような」と喜びを爆発させた。 フラストレーションのたまる展開だった。3回には1死満塁で3番マルテ、4番大山が連続三振。5回にも無死満塁の好機で主軸が倒れて無得点に終わっていた。雨による21分間の中断を挟んで3時間52分のロングゲーム。拙攻続きのイライラをひと振りで吹き飛ばしたマルテは「自分だけでなく、みんなが良い仕事をできているし、みんなの諦めない姿勢が今日のような結果を生んだと思う」と胸を張った。 価値あるドローだ。負ければ、ヤクルトに2・5ゲーム差と再び接近を許すところだった。矢野監督は「普通にいけば、あのまま終わってしまう方が(確率的に)高いんで、そこを同点に追いつけたのはすごく価値がある」と力を込めた。勝ちに等しい引き分けで、首位の座をしっかりと固めた。【前山慎治】 ▼マルテは今季18本塁打中、肩書のつく「殊勲本塁打」が過半数の10本と、価値あるアーチを連発している。本塁打に限らぬ殊勲安打の数は24本で、チーム最多。セ・リーグ中でも(1)岡本和(巨人)27(2)村上(ヤクルト)25に続き、リーグ単独3位の勝負強さだ。

◆「恐怖」の2文字なんて頭になかった。阪神ドラフト6位中野拓夢内野手(25)が、ど根性で反撃のタイムリーを放った。3点ビハインドの7回無死二塁。4番手石山の147キロ直球を捉え、中前適時打で2点差に迫った。結果的にこの1点がなければ、9回は同点に追いついていなかった。「雰囲気もなかなかよくない状況。何とかチームに勢いをもたらすために、自分がかえしてやろうと」。 前の打席で植え付けられた残像にも負けなかった。2点ビハインドの5回。ヤクルト先発のスアレスが投じた150キロ直球が、ヘルメットの後頭部に直撃した。「自分としても大事な戦い。ここでもうプレーができないという気持ちは持っていなかったですし、この後もやってやろうという気持ちはあったので」。 トレーナーと北川打撃コーチが寄り添い、自力でベンチに戻ると、その後一塁走者としてプレーを続行。試合後に「今のところは全然大丈夫かと思います」と強調した。 アクシデントをものともしない。丈夫な体に育った要因の1つに「熟睡型」の睡眠があった。野球を始めた小学3年生から、夜はプロ野球のナイターに夢中な日々。阪神ファンでも、他球団の試合までくまなくチェックした。試合後、風呂に入り歯磨きをして…。小学生にとっては少し夜更かしの時間になっても、朝の目覚めは3人きょうだいの末っ子拓夢が最初だった。「家の1階から、2階で寝ている拓夢を呼んだらすぐ降りてくるんです。短時間睡眠でも集中して寝られる子だから、病気もしなかったし丈夫に育ったのかな」と父茂明さん(56)は分析した。 ルーキーの奮闘に、矢野監督も「最近、いいつなぎをね、いいバントも決められている」とたたえた。中野は「とてもいい引き分けなので、この勢いを明日につなげられるように頑張っていきたい」。劇的なゲームにも冷静に次の戦いを見据えた。【中野椋】

◆球史に名を刻むまで、あと1本と迫った。ヤクルト村上宗隆内野手(21)が6回、先頭で打席に立つと、フルカウントから3球連続でファウルと粘り、右中間席へ34号ソロを放った。これでプロ通算99号。今季中に100号に到達すれば、89年西武清原和博の21歳9カ月を抜き、史上最年少記録となる。チームは引き分けに持ち込まれたが2位に再浮上した。村上はフルカウントとされてから、内角高め、外角低め、内角高めと、直球で厳しく攻められた。大振りせず、3球すべてファウルにした。9球目。甘く入った134キロチェンジアップを逃さず右中間席へ。「先頭打者だったのでとにかく出塁することを考えて打席に入った。くらいついていった結果が本塁打になって良かった」と、表情を崩さず雨が降りしきる神宮のダイヤモンドを回った。 「優勝チームの4番になりたい」と強く意気込んで臨む今季。その願いに手が届く位置につけ、より闘志を強く燃やす。2カード連続の負け越し後に迎えた7日阪神戦の試合前には、指揮官がナインの前で熱く語った。 「自分のことをしっかり理解して、自分の足元をしっかり見つめて回りのチームメートを信じ、一枚岩でいったら絶対に崩れることはない。絶対に大丈夫。これはしっかり自信を持っててください」 負けが続いたときは、ベテラン青木がミーティングを開催するなど、常に高い士気を保ってくれた。村上も「自分もそういう気持ちでいる」と改めて実感した。13日中日戦の9回は、納得のいかない判定に指揮官が激しく抗議。最後はその高津監督がなだめるまで、村上はベンチの先頭で、仲間とともに悔しさをあらわにした。チーム一丸の精神を日に日に強くしている。 9回3点差を追いつかれても、ベンチの先頭に立ち続け、声を出して仲間を応援。引き分けが決まると、ぼうぜんとグラウンドを見つめた。「今はタイトルより優勝したい気持ちが強い。個人の目標は気にしていない」と自身のことは二の次。いかにチームのために打てるか-。貪欲に勝利を追い求めた結果が、通算100発目になる。【湯本勝大】

◆先発の阪神青柳晃洋投手(27)が雨中で、5回6安打2失点と粘投した。 先頭の村上に安打を許したイニングでともに失点。「前回に続き先制点を与えてしまい、チームに勢いをつけるような投球をすることができず悔しいです」。1点を追う4回には村上に初球からクイックで投げ込んだが、打球は詰まりながらも左翼へ弾んだ。試合前まで11打数6安打3本塁打を許していた主砲にこの日も2打数2安打。マウンドで苦笑いするしかなかった。 マルテの同点弾で黒星は消えたが、8月24日DeNA戦で自身初の10勝に到達してから、ここ3戦で白星から遠ざかる。矢野燿大監督(52)は「1点でも入っている状態ならいかすこともできたかもしれないけど、心配もあったんで。あそこでちょっと代えたけど。でも、工夫しながら投げたかなと思う」。3戦連続5回での降板となったが、バッテリーの粘りを評価した。 試合前にはショッキングな知らせがあった。10日広島戦でプロ通算100勝を達成したばかりの西勇輝投手(30)が、首の寝違え症状で出場選手登録を抹消された。開幕から先発ローテを回り続けてきた右腕が今季初めての離脱。矢野監督は「そんなに長くかかるとは思っていない。10日でいけるだろうと思っている」と話し、大きな故障ではない模様だ。最短復帰となれば24日巨人戦(東京ドーム)に回ることができる。安定感抜群だった虎の先発投手陣に訪れたピンチも、チーム一丸で乗り越える。【磯綾乃】

◆阪神の5番大山悠輔内野手(26)は2回に二塁打を放つも、好機で三振に倒れた。 3回2死満塁でスアレスのカーブに空振り三振。5回無死満塁では大西の直球に見逃し三振、7回1死一、二塁でも今野のフォークに空振り三振と苦しんだ。試合後、矢野燿大監督(52)は「悠輔だけじゃないじゃん、そんなん。悠輔だけ取り上げたんなよ。悪者にするなよ」とかばった。

◆阪神が4番のひと振りで引き分けに持ち込んだ。9回に4番ジェフリー・マルテ内野手(30)が、左中間へ同点の18号3ラン。矢野燿大監督(52)も「打ってくれ打ってくれと思ったらホンマに打ってくれたね」とねぎらった。好機で3三振と苦しんだ大山悠輔内野手(26)については「だから悠輔だけじゃないじゃんそんなん。悠輔だけ取り上げたんなよ。悪者にするなよ」とかばった。 またこの日に、首の寝違え症状で出場選手登録を抹消された西勇輝投手(30)については「そんなに長くかかるとは思っていない。10日で行けるだろうと思っているけど」と今後の見通しを話した。 阪神矢野監督の一問一答は以下の通り-なんと言っても同点3ランのマルテ 「いやー、ねー、その前チャンスで回ってきてたけどね、1個前のリクエストもそうやしね、際どいところやったから、打ってくれ打ってくれと思ったらホンマに打ってくれたね」 -想像はしていたか 「いや、想像はしてるけど、いろんな想像はしてるから(笑い)。まあまあ、その中で打つって、しかもクローザーからああやって打ってくれるっていうのは、うちにとって引き分けっていうのは勝ちだと思うんで、うちの立場で言うとね、その中でほんとにみんなのモヤモヤを吹き飛ばしてくれるような」 -展開的に負けてもおかしくなかった 「いや、まあ、もちろんあれだけこっちがチャンスがありながらなかなか得点前半からできずに、向こうはツーアウトから、こっちは点取られてるっていう嫌な流れやからね。流れをこっちに呼び戻すっていうのはなかなかできてなかったんで。どっかで点が入れば全然違う流れになったんだけど、普通に行けば試合展開的に言えば、あのまま終わってしまう方がもちろん高いんで、そこを同点に追いつけたっていうのはすごく価値がある」 -大山のところで結果が出なかったが、マルテが振り払った 「だから悠輔だけじゃないじゃん、そんなん。悠輔だけ取り上げたんなよ。マルテだって打ってないじゃん。最後打ったけど。打つ時もあるやないか。悪者にするなよ」 -先発青柳は前回に比べて内容は良くなった 「もちろん、前回やられているという中の登板だったから、いろいろとバッテリーで工夫しているというのはもちろんあったと思うし、粘りながらというところはもちろん、あったと思う。1点でも入っている状態なら行かすこともできたかもしれないけど、心配もあったんで。あそこでちょっと代えたけど。でも、工夫しながら投げたかなと思う」 -中野は死球後に適時打 「最近、いいつなぎをね。バントだっていいバント決められているし、最後の(守備の)先頭バッターの当たりだって、雨であの打球というのはすごい嫌な打球。ショートは負担というか、やること多いんで。いろんなところで、あいつが絡んでくれているのはあいつの自信になるんじゃないかと思う」 -フェンスに激突した近本、頭部死球の中野は大丈夫か 「大丈夫、大丈夫。まあチカ(近本)はちょっと大丈夫だと思っているんだけど。そんな大きな離脱とか、そんなんは現状ではないと思う」 -登録抹消された西勇は最短10日で復帰できそうか 「そうやね。そんなに長くかかるとは思っていない。10日で行けるだろうと思っているけど。そこは今後の調整というか、していく中で変わる可能性はなくはないと思うんだけど、いったんコンディション整える方がいいのかなと思って」 -次の中日戦先発は秋山か 「先のことやから、いいんちゃう」

◆球史に名を刻むまで、あと1本と迫った。ヤクルト村上宗隆内野手(21)が6回、先頭で打席に立つと、フルカウントから3球連続でファウルと粘り、右中間席へ34号ソロを放った。これでプロ通算99号。今季中に100号に到達すれば、89年西武清原和博の21歳9カ月を抜き、史上最年少記録となる。チームは引き分けに持ち込まれたが2位に再浮上した。村上はフルカウントとされてから、内角高め、外角低め、内角高めと、直球で厳しく攻められた。大振りせず、3球すべてファウルにした。9球目。甘く入った134キロチェンジアップを逃さず右中間席へ。「先頭打者だったのでとにかく出塁することを考えて打席に入った。くらいついていった結果が本塁打になって良かった」と、表情を崩さず雨が降りしきる神宮のダイヤモンドを回った。 「優勝チームの4番になりたい」と強く意気込んで臨む今季。その願いに手が届く位置につけ、より闘志を強く燃やす。2カード連続の負け越し後に迎えた7日阪神戦の試合前には、指揮官がナインの前で熱く語った。 「自分のことをしっかり理解して、自分の足元をしっかり見つめて周りのチームメートを信じ、一枚岩でいったら絶対に崩れることはない。絶対に大丈夫。これはしっかり自信を持っててください」 負けが続いたときはベテラン青木がミーティングを開催するなど、常に高い士気を保ってくれた。村上も「自分もそういう気持ちでいる」と改めて実感した。13日中日戦の9回は、納得のいかない判定に指揮官が激しく抗議。最後はその高津監督がなだめるまで、村上はベンチの先頭で、仲間とともに悔しさをあらわにした。チーム一丸の精神を日に日に強くしている。 9回3点差を追いつかれても、ベンチの先頭に立ち続け、声を出して仲間を応援。引き分けが決まると、ぼうぜんとグラウンドを見つめた。「今はタイトルより優勝したい気持ちが強い。個人の目標は気にしていない」と自身のことは二の次。いかにチームのために打てるか-。貪欲に勝利を追い求めた結果が、通算100発目になる。【湯本勝大】

◆阪神の4番が最後に意地を見せた。3点を追う9回に、阪神ジェフリー・マルテ内野手(30)が起死回生の18号同点3ランを放った。 チャンスで主軸がことごとく凡退し、敗戦濃厚の試合展開でドローに持ち込んだ。2位ヤクルトに3・5ゲーム差を維持し、接近を許さなかった。 ▼阪神は今季5度の引き分け試合中、4度がビハインドを追いついてのものだ。前回は9月5日巨人戦で、6回表終了時0-6の6点差という劣勢から巻き返した。4試合の得点差合計は13点で、1試合平均3・25点のビハインドを挽回している。 ▼マルテは今季18本塁打中、肩書のつく「殊勲本塁打」が過半数の10本と、価値あるアーチを連発している。本塁打に限らぬ殊勲安打の数は24本で、チーム最多。セ・リーグ中でも(1)岡本和(巨人)27(2)村上(ヤクルト)25に続き、リーグ単独3位の勝負強さだ。

◆阪神近本光司外野手(26)が今季46度目のマルチ安打をマークした。 7回には中野拓夢内野手(25)の適時打につなげる二塁打を放った。8回裏2死一塁の中堅守備では、オスナの中堅左への飛球を追いかけ、フェンスへ激突。しばらく動けなかったが、その後自ら立ち上がりベンチへ手を挙げ「問題なし」をアピール。直後の9回表は先頭で四球を選び、ジェフリー・マルテ内野手(30)の同点弾を呼んだ。矢野燿大監督(52)は「チカはちょっと大丈夫だと思っているんだけど。そんな大きな離脱とか、そんなんは現状ではないと思う」と状態を説明した。

◆阪神は一打逆転の絶好機を逃した。 0-1と先行を許して迎えた三回。先頭の青柳が右前打で出塁すると、近本が続いて無死一、二塁。中野が犠打、糸原が四球でつなぎ、1死満塁とした。 打席には4番・マルテ。しかしカウント2-2から136キロチェンジアップに手が出ず見逃し三振。さらに5番・大山のバットも空を切り、チャンスを生かせなかった。

◆ヤクルトとの一戦は、四回の阪神の攻撃中、降雨により一時中断となった。 先発の青柳は二回2死一、三塁から元山に中前へ運ばれ先制点を献上。打線は三回1死満塁と好機を作ったが、マルテ、大山が連続三振に倒れた。 四回は先頭の糸井が左前打で出塁。続くロハスの打席でカウント0-1としたところで雨脚が強くなり、選手らは一時、ベンチへと引き揚げた。

◆ヒヤリとするシーンに場内が騒然となった。 0-2とされ迎えた五回。先頭の中野が打席へ。ヤクルトの先発・スアレスが投じた3球目、150キロ直球が後頭部付近に直撃した。 スアレスは危険球で退場。中野はそのままプレーを続行した。

◆阪神がまたも満塁の絶好機を逃した。 0-2の五回。先頭の中野が死球。これによってヤクルトの先発・スアレスが危険退場となると、2番手・大西から無死満塁とチャンスを広げた。 しかし、5番・大山が見逃し三振、続く糸井は二ゴロ併殺と1点も奪えず。二回から毎回、得点圏に走者を進めている阪神打線だが拙攻が続いている。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(21)が2―0の六回に右中間席へ34号ソロを放った。通算99号とし、プロ野球最年少となる通算100号に残り1本と迫った。 「出塁することを考えて打席に入りました。食らいついていった結果が本塁打になってよかったです」とリードを広げる貴重な一発となった。

◆ヤクルト・大西広樹投手(23)が五回無死一塁から、危険球退場となったスアレスに代わって緊急登板。糸原に右前打とされ、マルテに四球を与えて満塁とされたが、無失点で切り抜けた。 大山を外角直球で見逃し三振に斬ると、糸井は二ゴロ併殺打。思わず雄たけびをあげ、渾身のガッツポーズをした大西。捕手の中村や元山らから祝福を受けながらベンチに戻った。

◆阪神は0-3の七回、ヤクルトの4番手・石山から無死二塁のチャンスを作り、中野が中前適時打で1点を返した。 糸原が四球でつなぎ、なおも無死一、二塁で打席には4番・マルテ。代わったばかりの5番手・今野の2球目、白球は左翼ポール際を通過し、スタンドに弾んだが判定はファウル。矢野監督はたまらずリプレー検証を要求した。しかし、判定は変わらず。マルテはそのまま捕邪飛、さらに大山、糸井が連続三振に倒れた。

◆先発した阪神・青柳晃洋投手(27)は5回6安打2失点だった。 「前回に続き先制点を与えてしまい、チームに勢いをつけるような投球ができず悔しいです」 二回、2死から四球とヒットで一、三塁とピンチを背負うと、元山に中前に運ばれ先制点を献上。四回には中村に適時二塁打を浴びた。 何とか試合をまとめた青柳だったが打線の援護にも恵まれず、0-2の六回に代打を送られて降板。3試合連続で勝ち星から遠ざかっている。

◆ヤクルトが3点差を追いつかれ引き分けに終わった。4-1で迎えた九回、マクガフがマルテに18号3ランを浴び、同点に追いつかれた。

◆4番のひと振りが窮地を救った。阪神・マルテが九回、左中間へ同点の18号3ランを放った。 1-4で迎えた九回。マウンドにはヤクルトの守護神・マクガフがたった。二つの四球で1死一、二塁とすると、打席には4番・マルテ。カウント2-1から4球目、138キロをたたくと、打球は左中間スタンドへ消える同点3ラン。渾身(こんしん)のラパンパラが神宮にこだました。

◆阪神が土壇場で奇跡の同点劇をみせた。1-4の九回。マウンドにはヤクルトの守護神・マクガフが立った。先頭の近本が四球で出塁すると、1死から糸原も四球で一、二塁。ここで4番・マルテが打席へ。カウント2-1から138キロをたたくと、白球は左中間スタンドへ吸い込まれる同点の18号3ラン。4番の一発が起死回生の引き分けを呼び込んだ。 阪神はこれで今季のヤクルト戦の勝ち越しが決定した。

◆阪神は九回1死一、二塁でジェフリー・マルテ内野手(30)が18号同点3ランを放ち、ドローに持ち込んだ。試合後の矢野耀大監督(52)は「打ってくれ打ってくれと思ったらホンマに打ってくれたね」とコメント。「うちにとって引き分けっていうのは勝ちだと思うんで、うちの立場でいうとね、その中でホントにみんなのモヤモヤを吹き飛ばしてくれるような」と興奮を隠せなかった。

◆阪神は大山悠輔内野手(26)が3三振を喫するなど、9安打11残塁2併殺の拙攻の末、ジェフリー・マルテ内野手(30)の3ランでドローに持ち込んだ。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーーなんと言ってもマルちゃん 「いやー、ねー、その前チャンスで回ってきてたけどね、一個前のリクエストもそうやしね、際どいところやったから、打ってくれ打ってくれと思ったらホンマに打ってくれたね」 ーー想像はしていたか 「想像はしてるけど、いろんな想像はしてるから(笑)、その中で打つって、しかもクローザーから打ってくれるのは、うちにとって引き分けは勝ちだと思うんで、うちの立場でいうとね、その中でホントにみんなのモヤモヤを吹き飛ばしてくれるような」 ーー展開的に負けてもおかしくなかった 「あれだけこっちがチャンスがありながら、得点を前半からできずに、ツーアウトから、こっちは点取られてる嫌な流れやからね。流れをこっちに呼び戻すのは、できてなかったんで。どっかで点が入れば全然違う流れになったんだけど、試合展開的にいえば、あのまま終わってしまう方がもちろん高いんで、そこを同点に追いつけたのはすごく価値がある」 ーー大山のところで結果が出なかったが、マルテが振り払った 「だから悠輔だけじゃないじゃん、そんなん。悠輔だけ取り上げたんなよ。マルテだって打ってないじゃん。最後打ったけど。打つときもあるやないか。悪者にするなよ」 ーー先発青柳は前回に比べて内容は良くなった 「1点でも入っている状態ならいかすこともできたかもしれないけど、でも、心配あったんで。あそこでちょっと代えたけど。でも、工夫しながら投げたかなと思う」 ーー西勇の抹消は10日か 「そうやね。そんなに長くかかるとは思っていない。10日でいけるだろうと思っているけど。今後の調整で変わる可能性はなくはないと思うんだけど、いったんコンディション整える方がいいのかなと思って」

◆神様、仏様、マルテ様! 阪神はヤクルトに4-4で引き分けた。3点を追う九回1死一、二塁でジェフリー・マルテ内野手(30)が起死回生の同点3ラン。11残塁と拙攻続きの中、4番の仕事を果たした。2位・ヤクルトとは3・5ゲーム差をキープ。執念のドローで16年ぶりのリーグ優勝にまた近づいた。 頼もしすぎる4番が、ベンチ前で何度もほえた。打線のモヤモヤも、雨粒も力強く切り裂きながら、白球が左中間席に着弾した。その瞬間、崖っ縁から虎が救われた。これぞ、主砲。起死回生の同点3ランで燕との3・5ゲーム差を保った。 「ホームランとかは狙わずに、シンプルに後ろにつなぐだけだったし、その前の打席で打つことができなかったから、あの場面でいい結果を出すことができてよかった」 首位に立つ底力を証明し、声を弾ませた。1-4の九回。2四球で1死一、二塁とし、カウント2-1からヤクルトの守護神・マクガフの低め138キロカットボールを一閃。白球を左中間席へ運び、11日の広島戦(マツダ)以来2試合ぶりの一発で、ナインともラパンパラで心を一つにした。 矢野監督は「うちにとって引き分けっていうのは勝ちだと思うんで、うちの立場でいうとね」と目を細めた。 最後はヒーローになったものの、直前までは〝戦犯〟だった。1点を追う1死満塁で見逃し三振。七回も無死一、二塁で捕邪飛に倒れていた。M砲だけじゃない。5番・大山も三、五回と2度の満塁機での三振を含む、1試合3三振。11残塁を数えた拙攻の嵐で、四回途中には降雨で21分間の中断があった。いつ試合がコールドになるのか分からないにも関わらず、打線は天を仰いでばかり。あと2人で敗戦という地獄の手前から一気にマルテが天国に引き揚げた。 土壇場で追いつけた集中力にはワケがある。七回の打席でM砲は今野の直球を強振し、左翼ポール上空へ。誰もが腰を思わず上げた打球は惜しくもファウル。リプレー検証でも覆らず、場内は騒然となっていた。それでも「引き続き集中することだけを考えていた」とマルテはいう。3時間52分の試合で酸っぱいシーンばかりだっただけに、矢野監督は「ホントにみんなのモヤモヤを吹き飛ばしてくれるような」と白い歯をこぼした。 「自分だけでなく、みんなが良い仕事をできているし、みんなの諦めない姿勢が今日のような結果を生んだと思う。明日以降もそういった試合ができるように頑張るよ」とマルテはナインの執念を代弁した。 東京五輪期間に一時帰国した影響などで1軍合流は遅れていたが、8月31日に昇格すると、打線の軸として大仕事する。新人ながら23発を放つ佐藤輝は2軍調整で、打撃の状態に波がある大山の4番復帰はもう少し先になりそう。そんな〝穴〟を忘れさせてくれるのがマルテのバットだ。16年ぶりのリーグ優勝へ、負けないことが一番。チーム一丸で、今季こそ実りの秋にする。(新里公章)

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(21)が14日、阪神19回戦(神宮)の六回に右中間席へ34号ソロ。1989年に西武・清原和博が21歳9カ月で達成した通算100本塁打に王手をかけた。チームは九回に追いつかれ、4-4で引き分けたが、巨人が敗れたため、2位に再浮上した。2000年2月2日生まれの村上は21歳7カ月。15日の同戦こそ、チームを勝利に導く一発で、プロ野球最年少記録を達成する。 秋雨が落ちる神宮の空に鮮やかな放物線を描いた。2―0の六回無死。村上がフルカウントからのフォークボールを右中間席へぶち込んだ。2試合ぶりの34号で、通算100本塁打に王手をかけた。 「先頭打者だったので、とにかく出塁することを考えて打席に入りました。食らいついていった結果が本塁打になって良かったです」 21歳7カ月。1989年に21歳9カ月で100号に到達した西武・清原和博を超える、プロ野球最年少記録の達成まで、残り1本となった。 「若さが持ち味なので狙えるタイトル、記録は全部狙いたい」と話してきた燕の主砲。2018年9月のプロ初打席で放った1号を皮切りに、新人王を獲得した19年に36本、全試合で4番を務めた20年に28本。そして、今季も順調に本塁打を積み重ねてきた。 野球を始めてから貫いてきた信念がある。「三振も内野ゴロもアウトはアウト。どうせアウトになるなら目いっぱい振りなさい」。野球経験者の父・公弥さんからの教えだ。 19年はリーグワーストの184三振を喫したが、決して三振を恐れなかった。経験を積み、翌年には対応力が格段にアップ。今季はリーグトップの81四球を選びながら、追い込まれてからの本塁打は15本目。父から学んだフルスイングは変えることなく、確実性も高めてきた。 20歳になってから、オフに熊本へ帰郷した際は、公弥さんと晩酌を交わしている。昔は照れくさくて言えなかったが、今では父と本音で話せるようになった。 「3人の兄弟に好きな野球を不自由なくやらせてくれて、本当に感謝している。行きたい進路へ進ませてくれて、ありがとう」 長男・友幸は東海大星翔高、次男の村上は九州学院高、三男・慶太も九州学院高2年。いずれも公立高より学費がかかる熊本県内の私立高に入学した。子供たちが希望する進路を歩ませてくれた両親に、お酒の力も借りながら、感謝の思いを伝えた。 ヤクルトは村上の一発でリードを広げたが、九回に3点差を追いつかれ、引き分け。ただ、巨人が敗れたため、再び2位に浮上した。首位・阪神とは3・5ゲーム差。15日は必勝で挑む。 高津監督は「いいところで打ってほしいと思います」と若き主砲の一発を期待した。通算100号まで1本。メモリアルアーチでチームを勝利に導く。(横山尚杜) ◆苦手・青柳攻略 この日の相手先発は、今季3敗を喫する阪神・青柳。勝利とはいかなかったが、対策が功を奏した。五回までで5得点を挙げた前回7日に続いて宮本、坂口、元山と左打者中心のオーダーを選択。二回2死一、二塁では元山が中前適時打を放ち、期待に応えた。山田を控えにまわすなど思い切った手を打った高津監督は「2週連続で対戦したが、しっかり対策を立てて打席に立てていると感じました」と〝苦手克服〟に手応えをにじませた。

◆三回の阪神の攻撃。無死一、二塁から送りバントが決まって二、三塁。さあ、絶好機だ! 糸原が粘って、粘って四球を選んだ。マルテは5球目を見逃し三振。大山は5球目を空振り三振。あぁ残念! と思って見ていた方、正しいです。 えっ、私? 実は気になって、気になって。阪神の攻撃どころではなかったのです。というのも、この攻撃中、二塁走者がズ~~~ッと、あの近本だったから。 青柳が先発した神宮といえば、7月6日以来。阪神が神宮にやってきたのも、その時の3連戦以来。あの日、あの試合、二塁走者・近本の時に何が起きたか? 思い出されました? 情報伝達疑惑でヤクルト・高津監督が猛抗議。対する矢野監督も無実を訴え猛反論。会話内容がスタンドのファンにマル聞こえの、大激論に発展してしまった。騒動の元凶となったのが、近本の二塁ベース付近での〝紛らわしい行為〟だったのだ。 また、ややこしいことが起きないか? テレビに映る近本の背中ばかり見ていた。今度は変な動作するなよ! 祈ってしまったほど。無事に時が流れて、ホッ。 ちなみに、あの日球場でラジオ解説していた本紙専属評論家・田尾安志氏は自身のYouTubeで「今どき、両手でコースを教えるサイン盗みなんて、少年野球でもやらない」と、タテジマへの疑惑を全否定してくださっていたが…。 神宮でのヤクルト戦と聞いて、二塁走者が近本というだけで、ヒヤヒヤしながら見ている自分は変なのか。長年、トラ番記者をやっていると、いろんなことが気になって。これも悲しき〝職業病〟-。 でも、九回。この試合で3度目の二塁走者になった近本。何か起きないかな、と思っていたら、飛び出したマルテの劇弾! 神宮の「二塁走者・近本」。これからは幸せを呼ぶんです。 サンスポで最もおおらかに生きる男に電話してみた。トラ番サブキャップ・新里公章。この男、神宮にいるときの返事は春夏秋冬、いつも一緒だ。たまには違う返事を期待するのだが、ワンパターンは不変だった。「二塁走者・近本」なんて、気にもしていない。 「大好きな豚丼を食べています。750円。おいしいです」 神宮名物だ。左翼外野スタンド下の売店で売っている。トラ番の大半が必ず食べる。神宮で観戦予定のある方、一度、ご賞味ください。味は保証します。 憧れるほどおおらかな新里の食生活の紹介はこれぐらいにして。さすがに西勇の抹消は、新里でも心配しているだろうと思ったが、そうでもなかった。 「週末には台風も来ますから、中止になればローテはそれほど難しくないかと思います」 新里の話を聞いていると、人生、いろいろ心配するほうが損なのだと思えてくる。 そんなサブキャップのも分までも、投手担当・織原祥平が思い切り心配していた。 「通算100勝して、さあ、これからという矢先でしょ。最短の10日間で戻ってくれれば問題はないのですが。シーズン終盤は、西勇さん抜きには考えられないです」 早く戻ってこい。西勇ショック、なんて記事は書きたくないから。

◆本日、俺にとっての神宮球場は『天国から長い長い地獄、そして最後は天国へ戻る』というものだった。 猛虎打者が次から次へと俺の前で打席に登場するスタンド最前列天国!! ところが、あめやぎ(青柳)さんの先発とはいえザーザー降りでぬれねずみ。中断はあるわ、六回まで0―3と大劣勢…その地獄絵図と言ったら三回1死満塁のチャンスにマルテ、大山の連続三振、五回は無死満塁の大大大チャンスに大山三振、糸井ゲッツーで無得点…。普段より30分も早い試合開始なのに、何で4時間もビショぬれの地獄を味わわなきゃならんのよ!! 肩を落とし、帰宅の用意をしかけた九回1死。今度は、マルテの天国3ランが飛び出したア!! そうです。これは全て優勝のための苦しみだったんですね…。地獄もまた楽し!! といつの間にか横にいた虎党の松村邦洋と、限りなく勝利に近い引き分けを噛み締めたのでした。

◆マルテの起死回生の一発で引き分けに持ち込んだ阪神。価値あるドローだが、拙攻の連続を見ていると「勝てたのでは?」の疑問がわいている。西武、阪神でヘッドコーチを歴任した名参謀・黒田正宏氏(73)=本紙専属評論家=に編集委員・上田雅昭が迫った。 上田 九回はマルテが打ちそうな気がしました。優勝を狙う状況で、ヤクルト相手の引き分けは大きいですね。 黒田 四球、四球、本塁打。完全に相手の自滅やけどな。2・5ゲーム差になるところが3・5差のまま。ヤクルトのショックは相当大きい。 上田 ただ、チャンスで凡退の繰り返し。うまく攻めていたら勝てていたのでは? 黒田 その通り。9回の攻撃で先頭打者出塁が6度。しかも、そのうち4度はクリーンアップに打順が回った。負けていたら、中軸が戦犯。中でも大山。指摘したいのは五回無死満塁からの三振や。あの場面は相手守備の隊形をみても、ゲッツーでもいいから1点を返す打撃が必要だった。 上田 調子が上がってきて、5番にまで打順を戻しているんですが。 黒田 調子、良くないよ。安打は出ていても打点が少ない。そこをどう考えるか。チャンスで力まずに打てるか。今後の課題やね。 上田 雨による中断、頭部死球による投手の退場など、波乱含みの試合ではありました。 黒田 雨の中の試合をもっと考えてほしい。いつも、俺が口を酸っぱくして言ってるよな? 上田 先制すること。先制されないこと。いつ、コールドになるか分からないですからね。黒田さんの教え、忘れたことはありません。 黒田 そうや。二回の守り。2死一、三塁で打席は8番の元山。阪神ベンチは勝負を選択した。ならば、バッテリーは勝負するにしても絶対に甘く入らないこと。カウントが悪くなったら歩かせるぐらいの配球をしないと。バッテリーは猛省や。個人的にはベンチが次のスアレスで勝負すべきだと思う。 上田 もったいなかったですね。ただ、村上にはよく打たれますね。 黒田 打たれたけれど、青柳、小川の投球は、評価してあげたい部分もある。二、四、六回の打席はすべて先頭打者。逃げて四球ではなく、勝負に行った。村上が外角攻めを読んでの流し打ちなど、読み勝ちだった。読みを外す攻め。これはバッテリーの仕事。次回は期待したい。 上田 でも、気分よく次の試合に臨めますね。 黒田 おう、そやな。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
61455 0.575
(-)
-
(-)
32451
(+4)
433
(+4)
105
(+1)
94
(-)
0.253
(↑0.001
3.600
(-)
2
(1↑)
ヤクルト
514213 0.548
(-)
3.5
(-)
37471
(+4)
411
(+4)
106
(+1)
64
(-)
0.256
(-)
3.640
(-)
3
(1↓)
巨人
534415 0.546
(↓0.006)
3.5
(↓0.5)
31444
(+2)
426
(+3)
137
(-)
59
(-)
0.246
(↓0.001)
3.580
(↑0.01)
4
(-)
中日
465314 0.465
(↑0.006)
11.5
(↑0.5)
30347
(+10)
368
(+1)
62
(-)
54
(-)
0.243
(↑0.001)
3.140
(↑0.02)
5
(-)
DeNA
435414 0.443
(↑0.005)
13.5
(↑0.5)
32444
(+3)
498
(+2)
114
(+2)
23
(-)
0.258
(↓0.001)
4.270
(↑0.02)
6
(-)
広島
425710 0.424
(↓0.005)
15.5
(↓0.5)
34409
(+1)
462
(+10)
92
(-)
50
(-)
0.259
(↓0.001)
3.950
(↓0.06)