広島(★1対4☆)阪神 =リーグ戦18回戦(2021.09.11)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:秋山 拓巳(10勝5敗0S)
(セーブ:スアレス(1勝1敗31S))
敗戦投手:高橋 昂也(3勝5敗0S)

本塁打
【阪神】マルティネス(17号・6回表3ラン)
【広島】西川 龍馬(10号・7回裏ソロ)

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◆阪神は両軍無得点で迎えた6回表、マルテの3ランで先制する。2点リードの8回には、代打のロハス・ジュニアが適時打を放ち、貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・秋山が7回1失点の好投で今季10勝目。敗れた広島は、打線が3安打1得点と振るわなかった。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神は前日10日に代打で決勝打を放ったジェリー・サンズ外野手(33)を3番左翼で起用。大山悠輔内野手(26)は5番三塁で出場する。 先発は阪神が秋山拓巳投手(30)。中5日の登板で2年連続2桁勝利を狙う。広島は高橋昂也投手(22)が務める。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(30)が、17号3ランで0-0の均衡を破った。 6回無死一、二塁の第3打席。それまで2打席連続三振を喫していた左腕高橋昂を捉えた。カウント2-2と追い込まれてから142キロ直球を振り抜くと、左翼席3回コンコースまで到達する特大弾。7月9日巨人戦(甲子園)以来、後半戦初の1発で、ベンチ前では久しぶりに「虎メダル」をぶら下げ、お決まりの「ラパンパラ」を豪快に決めた。 「打ったのはストレート。みんなが作ってくれたチャンスだったから強引にならないようにつないでいく気持ちだったよ。甘く来たボールを仕留めることができたし、久しぶりにみんなとラパンパラをすることができて最高の気持ちだね」 5回まで無安打投球を続けている先発秋山拓巳投手(30)に、打線がようやく援護点をもたらした。

◆阪神糸井嘉男外野手(40)が、史上31人目の通算300盗塁を達成した。 40歳1カ月での到達は史上最年長。 8回無死一塁で代打で登場し、右前打で出塁。一、三塁で打者梅野の初球にすかさず二盗を決めた。 前日10日に西勇が通算100勝を達成した後には、自身のツイッターで「記念ボードえ~なー!」と投稿していた。その翌日、二塁ベース上で300盗塁の記念ボードを手渡され、マツダスタジアムのファンに向けて掲げた。

◆広島西川龍馬外野手(26)が"ノーノー阻止弾"となる10号ソロを放った。 打線が阪神秋山に7回2死まで無安打と苦戦していた中で、カウント1-1からの3球目、内角高めのボール球を強引に引っ張り、右翼席まで放り込んだ。西川は「ノーヒットだったので、何とかしようと上からぶったたきました。引き続き最後まで頑張ります」とコメント。2年ぶりの2桁本塁打とした。

◆阪神先発秋山拓巳投手(30)が7回2死まで無安打無得点、7回、80球、1失点と好投した。2年連続2桁勝利となる10勝目の権利を持ち、8回の打席で代打ロハスと交代。リリーフ陣に託した。 この日の最速は139キロ。だが、丁寧にカットボール、カーブ、フォークなど変化球を混ぜ、広島打線に凡打の山を築かせた。走者は2回に鈴木誠に与えた死球のみ。球場もざわつき始めた7回、2死から3番西川に高めボール球の内角カットボールをライナーで右翼席に10号ソロをたたき込まれた。苦笑いした秋山だったが、すぐに気持ちを切り替え、続く鈴木誠を二飛で切り抜けた。 前回5日巨人戦は今季最短2回、45球、3失点で降板したが「しっかり反省して考える時間をつくった」と話していた通り、圧巻の投球だった。

◆首位阪神が広島に連勝した。先発秋山拓巳投手(30)が7回2死まで無安打無得点と好投。西川に10号ソロを許し、大記録への挑戦は途切れたが、7回を80球で1安打1失点。2年連続2桁となる10勝目を挙げた。 打線は6回にジェフリー・マルテ内野手(30)が、3階コンコースまで運ぶ特大の16号3ランで先制。後半戦初本塁打が決勝弾となった。 8回には無死一、三塁から一塁走者糸井嘉男外野手(40)が二盗を決め、通算300盗塁を記録した。

◆先発は広島高橋昂、阪神秋山。阪神は2、3回と得点圏に走者を進めながら得点を奪えず。広島は3回まで無安打無得点。 阪神は両軍無得点の6回に、マルテの左中間への17号3ランで3点を先取。先発秋山は、6回まで無安打無得点の好投。 広島は7回2死から西川がチーム初ヒットとなる10号ソロで反撃に出たが、追い上げ届かず。阪神2連勝。秋山が10勝目、スアレス31セーブ目。高橋昂が5敗目。

◆阪神先発の秋山拓巳投手(30)が8回1安打1失点で10勝目を挙げた。 ドラフト4位以下で入団した投手の2年連続2桁勝利は球団初。「目標にしていた2桁を勝つことができて、ひとまずホッとしています」と笑った。 7回2死まで無安打無得点の好投だった。西川に高めボール球を右翼へ10号ソロを浴びたが「ノーヒットとは気づいていたが、狙うとかそういう気持ちはなかった」と、記録よりもチームの勝利に集中していた。 親交がある歌手のATSUSHIが今季も2桁勝利を挙げれば秋山のテーマ曲を作ることをYouTubeで発表していた。約束の10勝を挙げた秋山は「そこの部分に関しても、僕以上に期待してくれている方もたくさんいたと思う。この後、報告したい」と喜んだ。 前回5日巨人戦(甲子園)は今季最短の2回3失点、45球で降板していた。「前回ふがいない投球をしていたので、今回はしっかり投げると意気込んでいた。次回以降も、続けていい投球ができていないので、いい投球ができるように頑張ります」。頼れる右腕は喜びよりも、次の試合へと気持ちを切り替えた。【石橋隆雄】

◆首位阪神が2カードぶりにカード勝ち越しを決めた。先発の阪神が秋山拓巳投手(30)が6回までノーヒットの7回1安打1失点と好投。2年連続2桁となる10勝目を挙げた。チームも貯金17とした。矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ? -秋山は秋山らしく上出来の投球 逆にヒット打たれていないからね、どこで代えるかっていうのはなかなか難しいというか。まあでも、しっかりこう真っすぐでね、ある程度前半いけたっていうのは大きかったんじゃないかなと思う。 -7回に初安打を打たれてもあの回をしっかり抑えた もちろんピッチャーも準備はしているけど、もうちょっと点差があれば、もちろん投げさせることもできる。まあでもああいう点差だったんで。点差がちょっと難しかっただけで、まあまだ行けるとは思うんだけど。そこらへんはウチのパターンというか、そういうところもあった。 -前日には西勇も勝って、前回悔しい思いをしていた秋山も勝利投手に 残りもだいぶ少なくなってきたけど、吹っ切れるというかね。やっぱりいい投球しても勝てないとか、勝ち星からちょっと遠ざかると、どうしてもリズムに乗れない、また慎重になるとか、そういう部分がどうしてもみんな出る。まあそういうところはこの勝ちでまた、次、次、次ってね、アキ(秋山)も(西)勇輝も行ける勝ちになるんでね。 -秋山が真っすぐで押せるのはポップフライも増えるというバロメーターか もちろん、変化球でかわすっていうとなんだけど、びっくりするようなスピードが出るわけじゃないけど。やっぱり大きな特長だと思うんでね。そういうところではさっき言ったように、前半、そういうふうにいけたというところが大きいんじゃないかな。 -打線は6回につないでつないでマルテが打った その前もチャンスあったけどね。あと1本出ないから、流れ的にちょっと嫌やったから。そういうところではタイムリーと思ったけどね。最高の形で。久しぶりのラパンパラでベンチもタイミング一致するのがなかなか難しかったけれど。でも最高の形で打ってくれた。 -中野がチャンスメーク そうやね。しぶとい、追い込まれてから逆方向に打ったりしながらというところで。ああいうふうに打ってくれれば、拓夢のリズムにつながるし、相手にとっても嫌な選手になっていくと思うんで。現状2番でいい機能を果たしてくれているんで。 -中押しもあって、攻撃もいい流れ まあそうやね。あんだけヒット打っているからもうちょっとというのはなくはないけど。代打陣、嘉男もあれやったし、ロハスもあそこで打ってくれたし、そういうところではみんなが何かしら絡むということはできたんで。得点的にはもうちょっと取りたかったというのはあるけど、点取れているところはいい攻撃ができたんじゃないかなと思います。 -糸井が300盗塁 去年からあと1個、あと1個というところで。嘉男もキャンプからもそうやし、走るということをすごく意識して。元々、膝がよくなかったというのが前年からありながらね。そういうところをしっかりケアしながら意欲的に走るというのを。外野でもよく走っているし。一つの通過点だと思うんで。でも300ってとんでもない数字なんで。嘉男らしい、攻走守全てがバランス良く整ったという嘉男を表すにはピッタリな300という素晴らしい記録だと思います。

◆広島が天敵にたたきのめされ、阪神2連戦は連敗に終わった。相手先発の秋山に7回2死まで1死球無安打に封じ込められた。西川の初ヒットとなる1発で一矢報いたが、流れを引き寄せることができなかった。 佐々岡監督は「こういう結果なら(秋山の)対策ができていないことになるだろう。真っすぐと変化球のフォームが一緒で、打ちづらい。だからこそ2桁勝てる投手なのだと思う」と頭を抱えた。秋山と今季7度の対決で1度しか勝てず、5敗目を喫した。

◆阪神糸井嘉男外野手(40)が、史上31人目の通算300盗塁を達成した。40歳1カ月での到達は史上最年長。二塁ベース付近で原口から記念ボードを手渡され「みんな喜んでくれてそれが一番思い出になったし、うれしい。勝ち試合でできて本当によかった」と笑顔を浮かべた。首脳陣もナインも、チーム最年長に大きな拍手を送った。 その瞬間は終盤にやってきた。8回無死一塁で代打で登場し、右前打で出塁。一、三塁で打者梅野の初球にすかさず二盗を決めた。昨年7月2日の中日戦(ナゴヤドーム)で通算299個目を決めてから、436日ぶりの盗塁で区切りの数字に到達。ロハスのダメ押し打も呼び込む貴重な足攻めになった。「正直、諦めたって言ったらおかしいですけど、1年半くらいリーチかけてからできなかったんで...」。超人からほっとした本音がこぼれた。 「記念ボードえ~なー!」。前日10日にオリックス時代の同僚でもある西勇が通算100勝を達成すると、自身のツイッターにそう投稿していた。その翌日、二塁ベース上で300盗塁記念ボードを手渡された。つぶやいた夢が実現した。 チームにとって欠かせない存在だ。近年は膝の状態も思わしくなかったが、今季は不安が解消。スタメン、代打と試合によって起用法も変わるが、8月以降は打率3割8厘とバットでも勝負強さが際立つ。残り34試合。頼れる虎の超人は「本当に胴上げ絶対にする! それを胸に誓って残りの試合頑張ります!」と気合を入れた。【桝井聡】

◆阪神メル・ロハス・ジュニア外野手が貴重な追加点をたたき出した。2点差に迫られた直後の8回表に代打で登場。1死一、三塁でケムナの152キロ直球を捉え、左前への適時打でリードを3点に広げた。 「あそこのもう1点はとても重要なポイント。岩崎、スアレスが少しでも投げやすい展開にしたかった」。前回代打出場した8日のヤクルト戦では甲子園のバックスクリーンに6号同点2ランで逆転勝ちを呼んだ。マルテ、サンズに負けじと状態を上げている。

◆広島西川龍馬外野手(26)が天敵から意地の1発を放ち、ノーヒットノーランを阻止した。阪神戦に「3番左翼」で先発出場。7回2死まで無安打に抑えられていた秋山から、2年ぶりの2桁本塁打となる右越えの10号ソロで一矢報いた。秋山と今季7度の対決で1度しか勝てず、5敗目。阪神2連戦は連敗で終わったが、西川の復調は、今後の明るい材料だ。西川が得意の悪球を、一振りでたたきつぶした。7回2死まで無安打に封じられていた天敵の阪神秋山を相手に迎えた第3打席。カウント1-1からの3球目、内角高めのボール球のカットボールを強引に引っ張り、右翼席までかっ飛ばした。「ノーヒットだったので何とかしようと上からぶったたきました」。この日チーム発ヒットとなる意地の1発で、屈辱のノーヒットノーランを阻止した。 朝山打撃コーチが「不思議なストレート」と表現する秋山の直球に、打線が沈黙した。同コーチは右腕の最速130キロ台後半の直球について「スピンが効いてる時もあるし、効かずに沈むこともある」と説明。西川も「確かに不思議。(スピード)ガン以上に感じるのか、キレって言うんか。あとはコントロールですかね」と分析した。「1打席目からなんとなく打てそうで、打てなかった。もうちょっと早めに捉えとけばよかった」と振り返った。 前半戦は打率を2割台前半まで落とすなど、苦戦を強いられた。「割り切りですかね。シンプルに振って合わせるだけ」と切り替え、打率を2割7分4厘まで戻した。プロ入り後から使い続けてきた形のバットから、東京五輪による中断期間に新調。従来のものより1・5センチ長い、ナショナルズのフアン・ソト外野手(22)モデルの86・5センチのものに切り替えた。不振から抜け出すためにあらゆる方法を模索し、復調につなげてきた。 この1発で、16発を放った19年以来2年ぶりの2桁に到達した。西川は「最低限2桁打てたのはとりあえず。あとは率が上がってくれば」と引き締めた。9月に入り3番に定着しつつある。「誠也が後ろにいるので、絶対的に僕を全力で抑えてくると思う。誠也の後ろも坂倉がおるし、なんとか僕がエラーでも四球でもとりあえず塁に出れば、点が入る確率は高くなる」と力を込めた。「3番」の役割を全うし、チームをもり立てる。【古財稜明】 ▽広島佐々岡監督(西川の1発について)「主力として期待していた打者なので。5番も大事だけど、誠也につなぐ3番として(の役割は大きい)」

◆阪神は11日、糸井嘉男の通算300盗塁記念グッズを13日から発売すると発表した。記念ロゴをモチーフとしたTシャツ(2500円)、フェースタオル(1600円)、ヘンリーネックシャツ(4400円)、クッション(3000円)、巾着(2600円)の5種類で、公式オンラインショップT-SHOPでの受注販売となる(金額は全て税込み)。詳細は球団公式サイトで。

◆広島の先発高橋昂也投手が、6回途中3失点で5敗目を喫した。走者を出しながら粘りの投球で5回まで無失点にしのいだが、6回無死一、二塁からマルテに甘い直球を左中間席まで運ばれる3ランを被弾した。 「完全な失投。あの1球がすごく悔やまれます」と反省した。佐々岡監督は「球の質は以前よりよくなっている」と評価する一方で、「4番に対して『中に入ってしまったから打たれた』ではダメというところですね」と指摘した。

◆これが4番の仕事だ。阪神ジェフリー・マルテ内野手(30)が、先制決勝の3ランを放った。0-0が続いた6回、均衡を破る特大の17号にマツダスタジアムの阪神ファンが沸いた。マルテも興奮を隠せず、先走った。ベンチ前で後半初の「ラパンパラ」。後ろでサンズとハイタッチしていた福原コーチらは間に合わなかった。フライングしてしまうほど、約2カ月ぶりの本塁打パフォーマンスは、格別だった。 ? マルテ みんながいつも元気をくれてモチベーションになっている。ラパンパラを一緒にやるために、しっかりと強い打球を打ちたいと思っていた。 ? 6回無死一、二塁。2打席連続三振を喫していた左腕高橋昂を捉えた。カウント2-2。142キロ直球を振り抜くと、打球は左翼席3階コンコースまで飛んだ。7月9日の巨人戦(甲子園)以来の会心弾。後半戦初アーチの新4番に、矢野監督も「久しぶりのラパンパラでベンチもタイミング一致するのがなかなか難しかった。でも最高の形で打ってくれた」とにっこりだ。 球宴後に一時帰国し再来日後、2軍調整していた8月のこと。ウエスタン・リーグで2本のアーチを描いた際は、控えめな「ラパンパラ」だった。欲していたのは1軍の舞台。「ずっとこれを待ち望んでいたよ」。納得の一打で、好投していた秋山に大きな援護点をプレゼントした。 「打順に関してはそこまで意識していない。打席でしっかりゾーンを狙うことだけを意識しているんだ」。9月は打率2割2分2厘。4番に入った3日の巨人戦(甲子園)から7試合連続で打点がない中、爆発の時を探してきた。3回2死一、三塁の先制機は悔しい見逃し三振。優勝戦線を引っ張る4番の意地が、打球に乗り移った。 「最後までしっかり戦っていくだけ。ポジティブな気持ちで優勝を目指す」 ベンチとの「ラパンパラ」のタイミングが合えば合うほど、「優勝」に近づいていく。【中野椋】

◆阪神勝利の方程式も盤石だ。3点リードの8回からセットアッパー岩崎が登板。1死から菊池涼に左前打を許したが、会沢を直球で二塁併殺打に仕留めた。 今季29個目のホールドを記録した左腕は「0点で抑えることができてよかったです」とおなじみのクールなコメント。バトンを受けた守護神スアレスも9回を無失点締めでリーグトップの31セーブをマーク。「こうやって勝っていくことが大事。自分もセーブが挙げられるように、みんなでやっていきたい」と引き締めた。

◆阪神は4番ジェフリー・マルテを挟むジェリー・サンズ、大山悠輔の新3、5番がマルチ安打を放った。 3番サンズは6回無死一塁で四球を選び、直後のマルテの決勝弾につなげた。3打数2安打3出塁に「どんな形であれ、チームの勝利に貢献したいという思い。もっともっと状態を上げて、勝ちにつながる仕事をしていきたい」と力強い。 大山は「4番三塁」だった8月27日以来、12試合ぶりにクリーンアップに戻り、5打数2安打。4試合連続安打で、9月は打率4割1分2厘と調子を上げている。それぞれが機能したサンズ、マルテ、大山の新中軸も勝利のスパイスになった。

◆阪神秋山拓巳投手(30)が意地の10勝目を挙げた。前回5日の巨人戦は2回でKOされたが、今季初の中5日で広島相手に7回2死まで無安打無得点。7回1安打1失点で、2連勝と首位固めに大貢献した。ドラフト3位以下の生え抜き投手の2年連続2桁勝利は球団初の快挙。同僚の青柳、巨人高橋に並びハーラートップに躍り出た。2位ヤクルトが勝って3差は変わらずだが、リーグ優勝、そして猛虎同士の最多勝争いも楽しみな秋になってきた。秋山は記録よりチームの勝利しか頭になかった。04年井川慶以来のノーヒットノーランかと球場がざわついた7回2死。西川に初安打となる10号ソロを許した。内角高めボール球を右翼ポール際へ。「ノーヒットには気づいていたけど、狙う気持ちはなかったです」。苦笑しただけで崩れることはなかった。続く4番鈴木誠を108キロのカーブで二飛に仕留め、7回を1安打1失点で投げ切った。 意地のマウンドだった。 前回5日の首位攻防巨人戦(甲子園)は今季最短の2回、45球3失点でKOされた。「前回ふがいない投球だったので、今回はしっかり投げると意気込んでいた」。今季初の中5日で、ここ2年で8勝(1敗)を稼ぐ広島を相手に用意されたリベンジの舞台。負けるわけにはいかなかった。 「自分の長所を考えながら、思い切って自分を信じて投げることができた」。この日投げた80球で、球速140キロを越えた球は1球もなかった。160キロを投げる投手も出る時代でも、09年ドラフト4位の12年目右腕はらしさ全開だった。ドラフト3位以下の生え抜きでは、球団史上初の2年連続2桁勝利を達成した。 スピンが利いたり、利かずに沈む速くない直球がキレた。抑えられた広島朝山打撃コーチは「不思議な直球」と表現した。1回先頭の野間は外角高め137キロ直球で空振り三振、続く小園はこの日最速139キロを内角の構えたミットに決め、見逃し三振。盗塁死を含む21アウトのうち、三振3個、ゴロ2個、飛球7個と半分以上を"不思議な直球"で奪った。矢野監督も「やっぱり大きな特長」とうなった。 青柳、巨人高橋と並ぶリーグ最多の10勝目。同僚同士で最多勝を争う展開になってきた。阪神の最多勝は14年メッセンジャー以来だが、日本人右腕では79年の小林繁以来。生え抜き右腕では66年村山実以来、55年ぶりに歴史の扉を開ける。 大きなプレゼントもゲットした。親交があるEXILEのATSUSHI(41)が、10勝すれば秋山のテーマ曲を作ると約束していた。「いい曲をお願いしますと伝えたい」と笑った。それでも「まだここがゴールではない」ときっぱり。リーグ優勝をつかむまで、まだまだ腕を振る。【石橋隆雄】 ◆秋山の今季の早期降板 首位攻防だった前回5日の巨人戦(甲子園)は、今季最短の2回で降板。初回に吉川の適時打と中島の2ランで3失点。2回2死二塁のピンチを無失点で切り抜けた後、その裏2死一、二塁の打席で代打小野寺を送られた。7月4日の広島戦(マツダスタジアム)も3回2失点で降板。広島戦はここ2年で10戦7勝0敗だったが、3-0から1点差に迫られた直後の4回2死二、三塁で打席が回り、代打原口を告げられた。 ▼秋山の2桁勝利は、昨年の11勝に続き2年連続。秋山は09年ドラフト4位。阪神にドラフト3位以下で入団した投手の2年連続2桁勝利は球団初となった。阪神の下位指名投手の2桁勝利はほかに、94年4位の川尻哲郎があるが、96年13勝、98年10勝、00年10勝で連続年はなかった。 ▼ドラフト3位以下でプロ入りし、他球団から阪神に移籍し連続年2桁勝利を挙げた投手は3人。江本孟紀(70年東映ドラフト外)76~79年の4年連続、小林繁(71年巨人6位)79~83年の5年連続、下柳剛(90年日本ハム4位)05~08年の4年連続。

◆広島・鈴木誠也外野手(27)が本拠地マツダスタジアムでの阪神戦前にプロ9年目で初受賞した7、8月度のセ・リーグ打者部門の「大樹生命月間MVP賞」の表彰式に出席した。 ユニホーム姿の鯉の主砲は元広島監督の〝ミスター赤ヘル〟山本浩二さん(74)らからトロフィーや賞金30万円を受け取った。新旧4番打者の2ショットにカープファンからは祝福の拍手が沸き起こった。 7、8月は打率・333、27打点、9本塁打と打撃3部門でリーグトップをマーク。9月に入っても球団記録タイの6試合連続本塁打をマークするなど勢いが止まらない。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(30)が17号3ランを放ち、先制に成功した。 「みんなが作ってくれたチャンスだったから強引にならないようにつないでいく気持ちだったよ。甘く来たボールを仕留めることができたし、久しぶりにみんなとラパンパラをすることができて最高の気持ちだね」 好機を作りながらも得点が奪えず、0―0のまま迎えた六回。先頭の中野が左前打、サンズが四球で無死一、二塁を作ると、マルテが打席に立った。カウント2―2から高橋昂の142キロを一閃。高々と上がった打球は左翼席に着弾する先制3ランとなった。 3日の巨人戦(甲子園)から4番に座っている助っ人の後半戦初アーチで、五回まで無安打投球を続けている先発の秋山を援護した。

◆広島・西川龍馬内野手(26)が七回に10号ソロを放ち、阪神・秋山のノーヒットノーランを阻止した。 「打ったのはカットボール。ノーヒットだったので、何とかしようと上からぶったたきました。引き続き最後まで頑張ります」 3点を追う七回2死走者なし。1─1からの3球目の高めのボール球を〝大根切り打法〟で完璧に捉え、右翼席にたたき込んだ。球団では2004年10月4日の阪神戦(井川慶、●0─1、広島市民球場)以来の屈辱まであと7人の状況だったが、鯉のリョーマが救った。

◆阪神・糸井嘉男外野手(40)が八回に二盗し、史上31人目となる通算300盗塁を達成した。 3―0の八回無死一塁で代打で登場すると、右翼へ安打を放った。無死一、三塁となると、続く梅野への初球でスタートを切ると、捕手・会沢は送球できずにセーフ。記録達成となり、記念のボードを受け取った。

◆先発した阪神・秋山拓巳投手(30)が7回1安打1失点と好投した。一回を三者凡退に抑えると、二回は先頭の鈴木誠に死球を与えたが、続く坂倉を二ゴロで二塁封殺。坂倉が盗塁失敗となると、菊池涼を中飛に料理した。 その後は走者を許さず、無安打のまま迎えた七回2死。西川に126キロのカットボールを右翼席に運ばれた。初めて許した安打がソロとなったが、続く鈴木誠を二飛に打ち取り、追加点は許さず。今季10勝目の権利を持って降板した。

◆阪神は広島に4―1で勝利した。先発した秋山は七回2死まで許した走者は鈴木誠への死球のみの無安打無失点と圧巻の投球をみせる。その後、西川にソロを浴びたが、7回1安打1失点で今季10勝目。自身2年連続の2桁勝利となった。 打線は0―0の六回。中野の左前打とサンズの四球で無死一、二塁とすると、4番のマルテが左中間へ3ランを放ち、先制に成功した。3―1と2点差にされた直後の八回には1死一、三塁からロハスが左前適時打を放ち、追加点を挙げた。 これで広島に連勝。マツダスタジアムでは昨年8月28―30日以来となるカード勝ち越しとなった。

◆阪神・秋山拓巳投手(30)が七回2死まで無安打投球を続け、7回1安打1失点で、10勝目(5敗)を挙げ、2年連続の2けた勝利をマークした。ヒーローインタビューでは「目標にしていた2けた勝つことができて、ほっとしています」と安堵の表情を浮かべた。二回、先頭の鈴木誠に与えた死球だけで、七回2死まで無安打投球を続けていたが、「そっちのことは考える余裕もなかったです。ノーヒットということは気づいていましたけど、狙うとか、そういう気持ちはなかったですかね」と話していた。

◆阪神は秋山拓巳投手(30)が7回1失点の好投で、2年連続の2けた勝利をマーク。ジェフリー・マルテ内野手(30)が17号3ランを放った。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー秋山は上出来の投球 「ヒット打たれていないからね、どこで代えるかが難しいというか。ある程度前半行けたのは大きかったんじゃないかなと思うけど」 ーー初安打を打たれても、しっかり抑えた 「ピッチャーも準備はしているけど、点差があれば投げさせることもできるし。ああいう点差だったんで。点差がちょっと難しかっただけで、まだ行けるとは思うんだけど。そこらへんはウチのパターンというか、そういうところもあったけど」 ーーー西勇も秋山も勝って今後にも大きい 「残りもだいぶ少なくなってきたけど、吹っ切れるというかね、やっぱりいい投球しても勝てないとか、勝ち星からちょっと遠ざかると、どうしてもリズムに乗れない。また慎重になるとか、そういう部分がどうしてもみんな出るんで。この勝ちでまた、次、次、次ってね、アキも勇輝も行ける勝ちになるんでね」 ーー秋山が真っすぐで押せるのはポップフライも増えるというバロメーターか 「もちろん、変化球でかわすっていう...かわすっていうとなんだけど、びっくりするようなスピードが出るわけじゃないけど。やっぱり大きな特長だと思うんでね。さっき言ったように、前半、そういうふうにいけたというところが大きいんじゃないかな」 ーー打線は六回にマルテが打った 「その前もチャンスあったけどね。あと1本出ないから、流れ的にちょっと嫌やったから。そういうところではタイムリーと思ったけどね。最高の形で。久しぶりのラパンパラでベンチもタイミング一致するのがなかなか難しかったけれど。でも最高の形で打ってくれたなと」 ーー中野がチャンスメーク 「そうやね。しぶとい、追い込まれてから逆方向に打ったりしながらというところで。ああいうふうに打ってくれれば、拓夢のリズムにつながるし、相手にとっても嫌な選手になっていくと思うんで。現状2番でいい機能を果たしてくれているんで」 ーー中押しもあって、攻撃もいい流れ 「まあそうやね。あんだけヒット打っているから、もうちょっと、というのはなくはないけど。代打陣、嘉男もあれやったし、ロハスもあそこで打ってくれたし、そういうところではみんなが何かしら絡むということはできたんで。得点的にはもうちょっと取りたかったというのはあるけど、点取れているところはいい攻撃ができたんじゃないかなと思います」

◆阪神・糸井嘉男外野手(40)が八回、二盗を決め、史上31人目の通算300盗塁をマークした。試合後、矢野耀大監督(52)は「去年からあと1個、あと1個というところで。嘉男もキャンプからもそうやし、走るということをすごく意識して。元々、膝がよくなかったというのが前年からありながらね。ケアしながら意欲的に走るというのを。外野でもよく走っている」と評価。糸井のここまでの野球人生にも触れ、「一つの通過点だと思うんで。でも300ってとんでもない数字なんで。攻走守全てがバランス良く整ったという嘉男を表すにはピッタリな300という素晴らしい記録だと思います」と絶賛していた。

◆広島が首位・阪神に連敗を喫し、2連戦を負け越した。今季7度目の対戦だった阪神・秋山に七回2死まで無安打無失点投球を許すなど、7回1安打1得点。対秋山は5敗目(1勝)。佐々岡監督の主な一問一答は以下の通り。 ──先発の高橋昂は5回7安打3失点で5敗目 「粘り強く投げた中で、球の質は以前よりも良くなっていると思う」 ──六回は疲れが影響 「球数はそこまでいっていなかったと思う。4番(マルテ)の一発(3ラン)が駄目。映像はまだ見ていないけど、おそらく真っすぐが中に入っている。ああいうところが秋山と違う」 ──秋山対策は 「そんなに球速は出ていないけど、ベース板のところで球がしっかりと来ているから差し込まれて、ポップフライが多くなった。真っすぐと変化球の投球フォームが一緒で打ちづらい。だからこそ、2桁勝てる投手なのだと思う。周りから見たらビックリするような球には見えないかもしれない。甘い球もあるかもしれないけど、フライになったりするのは切れがあるから」 ──西川が10号 「主力として期待していた打者。5番も大事だけど、(鈴木)誠也につなぐ3番として(の役割は大きい)」

◆広島は粘っていた高橋昂が0―0の六回にマルテに3ランを喫した。無死一、二塁で内角狙いの直球が甘く入り、左中間に運ばれた。「丁寧な投球を心掛けていたが、完全な失投。あの1球がすごく悔やまれる」と5敗目に声を落とした。 打線は秋山の直球を打ちあぐね、七回に西川のチーム初安打となるソロで1点を返すのがやっとだった。佐々岡監督は「差し込まれてフライが多くなった。真っすぐと変化球の投球フォームが一緒で打ちづらい。びっくりするような球には見えないかもしれないが、そういうところの違いがある」と話した。

◆先発投手がしっかり投げると、チームとして安定した、落ち着いた試合になる。前日の西勇、この日の秋山が役割を果たす投球を披露する姿を見て、改めて先発投手の重要性を認識した。 秋山は前回、早い回(2回3失点)での降板を経験し、悔しい思いをぶつけたマウンドだったはず。七回まで投げて、フライでのアウトが12個に「秋山らしさ」を感じた。もともと三振を数多く奪ったり、ゴロを打たせるタイプではない。高めの球でタイミングをズラすことによってフライアウトを重ねていく時は状態がいい。 その投球をするためにポイントとなるのが、ストレートが走るか、走らないか。十分に走っていたら、打者はバッティングにズレが生じ、変化球にもアジャストできなくなる。今、セ・リーグで最も強力な広島打線を七回2死までノーヒットに抑えた投球は立派だ。 残り試合から計算すると、5、6回の先発が予想される。その試合をいかに落ち着いて、この日のような投球をするか。先発が安定すれば、阪神らしい試合ができ、優勝へ近づける。(本紙専属評論家)

◆勢いに乗った超人は、誰にも止められない。捕手が送球することもできない軽やかな足取りで、阪神・糸井が通算300盗塁を達成した。リーチから436日-。長かった。ベンチで過ごす時間も長くなったが、その分だけ、ベンチのみんなの笑顔がうれしかった。 ■勝ち試合での300盗塁「本当に良かった」 「みんな喜んでくれて、それが一番思い出になったし、うれしい。チームメートと写真も撮れたし。勝ち試合でできて、本当に良かった」 自らのバットでシチュエーションを整えた。3-1の八回無死一塁、代打で右前打。一、三塁の一走となり、ついにそのときが訪れた。二盗を決め、駆け寄った原口に手渡された記念ボードをニッコリ掲げた。 「正直、ちょっと諦めた、と言ったらおかしいですけど。リーチをかけてから1年半ぐらいできなかった」 激走の代償で何度も足回りの故障に泣かされてきた。299盗塁目を決めたのは昨年の開幕直後、7月2日の中日戦(当時ナゴヤドーム)だったが、なんとか史上31人目となる偉業にたどり着いた。 ■後半戦は代打の神様「胴上げ、絶対にする」 2004年の日本ハム入団時は投手。初盗塁は4年目の07年だった。09-14年は6年連続20盗塁以上を決め、オリックスでは〝特別な出会い〟にも背中を押されさらに進化した。広島などで活躍し、3度の盗塁王、通算477盗塁を誇った高橋慶彦氏(当時打撃コーチ)に触発され、16年に53盗塁を決めて史上最年長盗塁王をつかんだ。 挑戦を続け、気の遠くなるような数の盗塁を積み上げた41歳の背中を、若い選手もみんなが見つめている。後半戦に入り代打では打率・417(12打数5安打)とますます頼もしい。糸井がここから全員で目指したいものは、一つしかない。 「胴上げ、絶対にする。それを胸に誓って残りの試合頑張ります!」 百戦錬磨の超人の躍動が、虎をラストスパートへ導く。(長友孝輔)

◆白球が左中間スタンドに着弾するのを見届けると、ゆっくりと走り出した。これが4番だと言わんばかりの豪快な決勝3ラン。阪神・マルテはダイヤモンドを一周すると、ナインと一緒にうれしい後半戦初ラパンパラだ。 「満足でしたし、チームも勝てた。ずっとこれを待ち望んでいたところもあったのでそれができてよかった」 ■均衡破った一撃3ラン 2度の好機で得点できず、0―0のまま迎えた六回無死一、二塁。ここでも無得点に終わると、相手に流れが傾きかねない状況で打席には4番が立った。カウント2―2から高橋昂の142キロ直球を強振。失投を逃さずに仕留めて、左中間席上段まで運んだ。7月9日の巨人戦(甲子園)以来、後半戦では初アーチ。約2カ月ぶりのラパンパラでベンチと虎党を盛り上げた。 「みんながいつも元気をくれるというか、自分のモチベーションになっている。そういう意味ではラパンパラをみんなと一緒にやるためにしっかりと強い打球を打ちたいと思っていた」 9月3日の巨人戦(甲子園)から4番に座った。チームにとっても4番が本塁打を放つのは8月24日のDeNA戦(京セラ)の大山以来、15試合ぶり。4番が打てば、チームも勝てる-。それを証明するかのような一発だった。 ■一時帰国、外国人枠... 東京五輪の中断期間に一時帰国し、7月25日に再来日。2軍で結果を出し続けていたが、外国人枠の関係や首を痛めたこともあり、なかなか昇格できず、チームは首位から陥落した。だが、8月31日に1軍に戻ってきてからチームは6勝3敗1分け。首位返り咲きに貢献している。 久しぶりのラパンパラに矢野監督は「ベンチもタイミング一致するのがなかなか難しかったけど」と苦笑いも、勝利に直結する3ランに「その前もチャンスあったけど。あと一本出ないから、流れ的にちょっと嫌だった。最高の形で打ってくれた」と絶賛した。 「最後までしっかりと戦っていくだけなので。ポジティブな気持ちで、優勝を目指して頑張りたい」 マルテは力を込めた。頼りになる4番がいれば、虎は頂点に立てる。(菊地峻太朗)

◆EXILE登場曲ゲット!! 阪神は広島に4-1で勝利し、2連勝を飾った。先発した秋山拓巳投手(30)が七回2死まで無安打に抑える7回1失点の好投で、リーグトップタイの10勝目を挙げて2年連続の2桁勝利を達成。親交のある人気ダンス&ボーカルグループ「EXILE」のATSUSHI(41)に登場曲を作ってもらうことが決まった。最高のご褒美を手にして、これからも勝利を積み重ねる。 ■七回2死までノーノー マツダスタジアムがざわつく。虎党も、鯉党もわかっていた。あと7人打ち取れば偉業達成-。3-0の七回2死、秋山は西川の右翼ポール際に飛び込む打球を見つめ、悔しさをにじませた。ノーヒットノーランならず...。それでも、自身初となる2年連続の2桁勝利に充実感を漂わせた。 「前回はふがいないピッチングをしていたんで、今回はしっかり投げると意気込んでいた。目標にしていた2桁勝つことができて、ホッとしています」 5日の巨人戦(甲子園)は2回3失点で降板。打撃陣が奮起して6点ビハインドからドローとなったが、歓喜のベンチの中で素直に喜べなかった。それから中5日。秋山らしく緩急を使って、広島打線を手玉に取った。 二回、先頭の鈴木誠に死球を与えたが、後続を打ち取った。6回を18人で封じ、27人斬りの〝準完全〟の可能性もちらつきはじめる。七回もテンポ良く野間、小園を抑えた。しかし、2死から西川に被弾。はかなく〝夢〟は散った。 今季初登板となった4月1日。場所も同じマツダスタジアムで五回を終えて無安打投球だった。「その時は、野手も気にせず、『ノーヒットや』と。今回、みんな(ベンチで)黙ってたんで。そのせいで打たれたかなっていうことにしておきます」。快挙を逃した秋山は笑った。 ■2桁勝利なら「登場曲」 八回に代打を告げられて降板。7回1安打1失点で10勝目を挙げた。最多勝争いでリーグトップに並んだが、何よりうれしいのが〝ご褒美〟だ。 5月中旬、親交のある「EXILE」のATSUSHIが「今年も2桁勝利を挙げたらアッキャマン(秋山)のために(甲子園での)登場曲を作る」とYouTubeで発言。オリジナル登場曲をモチベーションの一つに秋山はマウンドに上がってきた。 8月29日の広島戦(マツダ)登板時には連絡を取り合い、「また引き続き応援してるよ」とエールを送られた。「プレッシャーというのをめちゃくちゃ感じていたので。こうやって達成できたので、『いい曲をお願いします』ということを伝えたい」。最高のプレゼントが待っている。 矢野監督は秋山の投球について「びっくりするようなスピードが出るわけじゃないけど。変化球でかわすというとなんだけど、それが大きな特長だと思うんで」と改めて評価。3位・巨人は中日に敗れて4ゲーム差に広がった。2位・ヤクルトを加えた三つどもえのペナント争いは、これからが本番だ。 「優勝争いしている中で、もっともっとしっかり投げないといけない。今後も任された試合を投げ切れるように頑張りたい」 秋山は気持ちを引き締めた。個人の目標達成も目指すものは先。16年ぶりのVへ導く投球を続けていく。(三木建次)

◆3-1の八回1死一、二塁から阪神の代打・ロハスが駄目押しの左前適時打を放った。「もう1点というのはとても重要なポイントだったし、岩崎、スアレスが少しでも投げやすい展開にしたかった」。スタメンで活躍したサンズ、マルテに負けじと、最後に途中出場ながら猛アピール。外国人野手の競争が、相乗効果となってチームに勢いをもたらしている。

◆阪神・スアレスは8月17、18日のDeNA戦(東京ドーム)以来の2戦連続登板で31セーブ目をつかんだ。「こうやって勝っていくことが大事。自分もそこでセーブを挙げられるように、みんなでやっていきたい」。2死からは野間に2試合連続となる安打を許したが、最後は小園を二ゴロに打ち取った。今季の虎は八回終了時にリードしていると開幕から54連勝中だ。

◆「3番・左翼」で2試合ぶりに先発した阪神・サンズが2安打3出塁と気を吐いた。「ここしばらくチームに貢献できていなかったし、練習から自分のスイングを取り戻すことに集中したよ」。9月に入り、スタメンを外れることも増えた助っ人だが、これで月間打率・318まで上昇。「もっと状態をあげて、チームの勝ちにつながる仕事をしたいね」と腕をまくった。

◆同期の2軍降格も力に変えた。阪神・中野が逆方向へ3本の安打。チャンスメークで2番としての役割を果たした。 「自分の役割は塁に出ることが一番大事。後ろにいいバッターがいるので、いい形で回すということを意識しながら入っていけている」 三回は詰まりながらも左前打。六回先頭で左前打を放つと、マルテの先制3ランへとつなげた。七回にも左前打で5日の巨人戦(甲子園)以来、今季9度目の猛打賞を記録した。 10日に佐藤輝が登録抹消となり、1軍にいる新人野手は中野だけになった。「常に一緒にいたので、最初は少し悲しい気持ちがあった」と明かしたが、「自分がもっとやったろうという気持ちがさらに強くなった。(佐藤)輝がいい状態で帰ってきてくれることを信じて、自分がやるべき仕事をやっていきたい」と力強く決意を語った。同期の分まで暴れる。

◆ウソやろー!! 七回2死までわが阪神先発の秋山が広島打線を相手に1本のヒットも許さず...。「よっしゃァ秋山よ! この試合ノーヒットノーランの偉業達成や! そして猛虎もその波に乗り優勝街道まっしぐらー!!」と俺の頭の中の青写真が完成しかけた途端、西川が高めの大ボール球をライトスタンドに運んで夢を砕きやがったァ!! かつてワンバウンドの球をヒットにして西川の天才的な(?)悪球打ちは分かっているけど、あそこで打つなよ、ニシカワー!! てか、秋山も打たれるなー!!(まあ、その欲の無さが秋山なんだけどね...)。実は俺は七回に入る頃から1997年9月2日の横浜スタジアムを頭の中でプレーバックしていたのだ。 その日、ヤクルトの石井一久(現楽天監督)が横浜相手にノーヒットノーランを達成!! それがペナント終盤猛追してくる横浜を引き離すきっかけとなり、野村ヤクルトはその勢いのまま日本一に輝いたのだ!! ま、あの再現とはいかなかったけど、秋山は2年連続の2桁勝利オメデトウ!! マルテも値千金の3ランおおきに!! そして糸井さんの通算300盗塁に拍手!! さあ、いよいよ優勝へのムチを入れまっせー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
61444 0.581
(↑0.004)
-
(-)
34446
(+4)
421
(+1)
104
(+1)
94
(+2)
0.253
(↑0.001
3.550
(↑0.03)
2
(-)
ヤクルト
514012 0.560
(↑0.004)
3
(-)
40462
(+9)
397
(+2)
104
(+2)
60
(-)
0.257
(-)
3.620
(↑0.02)
3
(-)
巨人
524315 0.547
(↓0.006)
4
(↓1)
33440
(+4)
422
(+5)
136
(+1)
59
(-)
0.248
(↑0.001)
3.610
(↓0.01)
4
(-)
中日
435314 0.448
(↑0.006)
13.5
(-)
33327
(+5)
362
(+4)
60
(+1)
54
(-)
0.240
(-)
3.180
(-)
5
(-)
広島
425510 0.433
(↓0.005)
15
(↓1)
36407
(+1)
450
(+4)
91
(+1)
50
(-)
0.261
(↓0.001)
3.910
(-)
6
(-)
DeNA
415414 0.432
(↓0.004)
15
(↓1)
34433
(+2)
495
(+9)
109
(-)
23
(-)
0.258
(↓0.001)
4.330
(↓0.05)