広島(★1対4☆)阪神 =リーグ戦17回戦(2021.09.10)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
阪神
10000201041400
広島
1000000001910
勝利投手:西 勇輝(5勝9敗0S)
(セーブ:スアレス(1勝1敗30S))
敗戦投手:大瀬良 大地(6勝5敗0S)
  DAZN
チケットぴあ 広島戦チケット予約 阪神戦チケット予約

DAZN

◆阪神は同点で迎えた6回表、代打・サンズと中野の適時打で勝ち越しに成功する。そのまま迎えた8回には、近本が適時打を放ち、貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・西勇が5回1失点と試合をつくり、通算100勝を達成。敗れた広島は、打線が初回の1得点のみと振るわなかった。

◆阪神佐藤輝明内野手(22)と藤浪晋太郎投手(27)が10日、出場選手登録を抹消された。 佐藤輝はプロ初の2軍降格となった。前日9日のヤクルト戦(甲子園)に右翼守備から途中出場し、2打数無安打2三振。35打席連続無安打と自己ワーストをさらに更新した。球団新人最多本塁打を更新した8月19日DeNA戦(東京ドーム)で23号を放ったのを最後に自慢の1発も出ていない。矢野監督は試合後に、今後の起用について「今から考えようかなと思います」と言及していた。2軍で再調整し、復調を図る。 藤浪は9日の同戦に2番手で登板し、1回1/3を3四球で2失点。先発登板を含めて4試合連続2失点以上と勢いに乗れず、降格となった。両選手とも再登録は最短で20日となる。 代わって熊谷敬宥内野手(25)、斎藤友貴哉投手(26)が広島戦の試合前練習に合流し、そのまま1軍登録された。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神は3番にベテラン糸井嘉男外野手(40)を起用。7日ヤクルト戦に続いて今季2度目の3番先発だ。 今季、23本塁打を放っているドラフト1位新人の佐藤輝明内野手(22)は35打席無安打と不振でプロ入り初めての2軍降格となった。先発は阪神が通算100勝に王手をかけた西勇輝投手(30)で、広島はエース大瀬良大地投手(30)が務める。広島は鈴木誠也外野手(27)が6試合連続本塁打をマークし、阪神戦でプロ野球記録の7戦連発(72年巨人王貞治、86年阪神バース)に挑戦する。

◆阪神が10試合ぶりに先制した。1回、先頭の近本が左翼線二塁打で出塁し、1死三塁の好機を築いた。糸井の二ゴロの間に生還し、広島先発大瀬良から先制点を奪った。 8月27日広島戦(マツダスタジアム)以来の先制点となったが、その裏、坂倉の右犠飛で追いつかれた。

◆阪神西勇輝投手(30)が通算100勝目を挙げた。5回を5安打1失点に抑えると、6回の攻撃で1死満塁から西勇の代打で登場したサンズが中前へ勝ち越しの適時打。さらに中野の適時打も飛び出し、リードを2点に広げた。 西勇は100勝に8度目の挑戦。初回に1点を失い同点に追いつかれたが、その後は粘りの投球で2回以外は走者を出しながらも追加点を与えなかった。この日は3戦ぶりに捕手梅野とコンビを組んだ。登板前日の9日に「準備はしっかりやってきた。チームの勝利につながる投球ができるように」と話していた通りの投球だった。ベンチに戻った西勇はリリーフ陣に声援を送った。 ▼通算100勝=西勇(阪神) 10日の広島17回戦(マツダスタジアム)で今季5勝目を挙げて達成。プロ野球140人目。初勝利はオリックス時代の11年4月17日楽天3回戦(甲子園)。西勇は6月18日巨人戦で99勝目を挙げてから6連敗。王手から6連敗以上を喫して達成は50年川崎(西鉄=7連敗)81年小林(阪神=6連敗)81年野村(大洋=6連敗)に次いで4人目の難産だった。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(33)が値千金の勝ち越し打を放った。 同点の6回1死満塁で代打起用された。広島先発大瀬良の外角球を見極めて3-1の有利なカウントから、高め速球をとらえ、詰まりながら中前に運んだ。「みんながつないでくれたチャンスだったし、代打だったから、とにかくランナーをかえすという気持ちで打席に入ったよ。良い仕事ができてよかったね」。前日9日のヤクルト戦(甲子園)は3打数3三振で、この日はスタメン落ちしていた。勝負どころで抜てきされ、均衡を破る適時打を放った。さらに中野拓夢内野手(25)の中前タイムリーで1点を追加した。

◆先発は広島大瀬良、阪神西勇。阪神は初回、内野ゴロの間に1点を先制。広島はその裏、坂倉の右犠飛で同点に追いついた。 阪神は同点の6回、2本の適時打で2点勝ち越し。西勇は5回1失点で勝利投手の権利を持って降板。広島は中盤無得点。 広島鈴木誠の連続試合本塁打は「6」でストップ。阪神が逃げ切り、西勇が今季5勝目でプロ100勝目に到達。大瀬良が5敗目。

◆阪神西勇輝投手(30)が今季5勝目を手にし、8度目の挑戦で通算100勝を達成した。 5回を5安打1失点に抑えると、6回の攻撃で1死満塁から西勇の代打で登場したジェリー・サンズ外野手(33)が中前へ勝ち越しの適時打。さらに中野拓夢内野手(25)の適時打も飛び出し、リードを2点に広げ、8回には近本光司外野手(26)の適時打も飛び出した。 西勇のヒーローインタビューでの一問一答は以下の通り。 -プロ通算100勝。久しぶりに勝利 「ずっと勝てなかったっていうのはありましたし、チームのみんながね、毎試合毎試合声かけてくれて、なんとか『100勝をつけてあげたい』という気持ちが伝わってきましたし、自分も早く勝ちがほしいって気持ちはずっとありましたんで。なんとか今日、この日を勝てることができてよかったと思います」 -今日はどんな思いで 「思いっていうのは基本的には毎試合、変わりはないですし。本当に丁寧に投げることだけっていうのは考えていました。あとは本当に梅野のリードだったり、周りの守備だったり、すごい声かけてもらって、自分の投げやすい環境だったので、本当にピンチでも力強く投げることができてよかったと思います」 -5回裏のピンチは直球で坂倉を三振 「いつもだったら低めにっていうのが自分の中でもあったんですけど、なかなか同じ対戦だったり、試合数を重ねていくごとに配球っていうのは難しくなってきますんで。その中でも梅野が真っすぐを推してくれましたんで。打ち取ることができてよかったと思ってますし、無事にゼロであの回を終えることができたのでこうやって勝ちが転がってきたと思っています」 -直後の6回には自身の代打でサンズがタイムリー 「うれしい限りですし、100勝の中でもいろんな勝ちがあった中で、こういう勝ちもあってもいいのかなとすごく感じましたんで、本当にこの100勝っていうのはうれしいです」 -ファンへ 「前半中盤と自分のピッチングというのがなかなかできない試合が多かったので、安定っていうのもなかなかできなかったですし、苦しい登板ばっかりだったので、これからはなんとか腕を振ってチームに貢献できるように1つ1つ大事に投げていきたいと思います」 ? ▼通算100勝=西勇(阪神) 10日の広島17回戦(マツダスタジアム)で今季5勝目を挙げて達成。プロ野球140人目。初勝利はオリックス時代の11年4月17日楽天3回戦(甲子園)。西勇は6月18日巨人戦で99勝目を挙げてから6連敗。王手から6連敗以上を喫して達成は50年川崎(西鉄=7連敗)81年小林(阪神=6連敗)81年野村(大洋=6連敗)に次いで4人目の難産だった。

◆阪神の2番中野拓夢内野手が、貴重な追加点をたたき出した。 サンズの適時打で1点を勝ち越した6回。なおも2死満塁で大瀬良の高め146キロ直球に力負けしなかった。3点目を呼び込む中前適時打とし「なんとしても打って流れを持ってこようと。良いところに落ちてくれて良かった」と喜んだ。2試合連続のマルチ安打。同期入団の佐藤輝が2軍降格でも、ドラフト6位の男は最後まで1軍で突っ走る。

◆阪神西勇輝投手(30)が今季5勝目を手にし、8度目の挑戦で通算100勝を達成した。「今年5勝すれば100勝になるので、必ず見に来て下さい」。西勇は恩師と初めての約束をしていた。母校・菰野(こもの、三重)の戸田直光監督(59)のもとにメールが届いたのは、開幕直前の3月末。「驚きました」。年始に母校に自主トレで来た時も、100勝のことは全く口にしない。そんな連絡が来たのは、初めてのことだった。 王手をかけた直後の6月25日DeNA戦。戸田監督は約束通り甲子園を訪れたが結果は黒星。「先生、すみません」。メールに並んだ短い言葉に悔しさがにじんでいた。そこからまさかの7戦連続で足踏み。コロナ禍で球場に足を運べなくなったが、戸田監督は毎週、テレビやネット速報で投球を見守っていた。 「足踏みしすぎましたね」。そう笑いながら、プロで戦い続ける教え子の姿に目を細めた。「まさか(公立校の)菰野出身で100勝するとはすごいこと。本人も通過点だと思っていると思う。200勝とは言いませんが、150勝はしてほしいです」。きっと次の節目も、約束のメールが来るはずだ。【磯綾乃】

◆阪神の守護神ロベルト・スアレス投手(30)が盤石の投球で節目の30セーブに達した。3点リードの9回に登板。丁寧な投球が光り、先頭林を外角チェンジアップで打ち損じを誘う。投ゴロで片づけ、代打長野も156キロで遊飛に抑えた。 2死一塁で小園を157キロ高め速球で空振り三振。西勇のメモリアル白星を呼び込み、自身も「大台」到達だ。「満足してるよ。チームが勝ててよかった。ここまでセーブチャンスで積み重ねた結果だね」。阪神のシーズン30セーブ到達は藤川球児、呉昇桓、ドリスに次いで4人目。歴戦のリリーフエースに名を連ねた。 タテジマ在籍2年間で通算55セーブに積み上げ、"たむじい"の愛称で親しまれた田村勤を抜いて球団単独6位に浮上した。昨季、セーブ王に輝いた剛腕は今年もリーグトップを快走中。2年連続の戴冠も現実味を帯びる。スアレスは言う。「まだ(試合は)いっぱいある。しっかりみんなで戦う」。悲願の優勝に向けて、着実にゲームを締めていく。

◆広島大瀬良大地投手が6回を投げ、今季ワースト10安打を浴び3失点で5敗目を喫した。初回に先制点を失うも、2回以降はピンチを招きながら要所を締めて切り抜けた。 だが1-1の6回1死満塁から代打サンズにこの日最速の148キロ直球を中前に運ばれるなどで、2点を失った。際どい判定もあった中だったが「もう少しストライクゾーンできっちり勝負できていれば、違ったかなと。次は抑えられるように頑張りたい」と切り替えた。

◆ベンチで拍手を送る西勇に向かって、一塁ベース上でクールに右手を挙げた。阪神ジェリー・サンズ外野手(33)は、通算100勝がかかった右腕の思いに、どうしても応えたかった。 「いい投球をしていてもなかなか勝ちをつけることができなかったから...。今日はその場面、勝ちをつける場面で自分の仕事ができたし、本当によかったね」 その場面とは、同点の6回1死満塁。粘りの投球を続ける西勇の代打で打席に立った。ここ最近調子を落としていたが、集中力を研ぎ澄ました。カウント1-1から、大瀬良こん身の外角直球を立て続けに見逃した。はやる気持ちを抑え、3-1。高めに来た148キロをコンパクトに仕留めた。 「大瀬良投手も力が入ったと思うけど、得点圏にいる以上はかえすことが仕事だからね。みんながつないだチャンスだったし、良い仕事ができてよかったよ」 勝ち越しの中前適時打で、これが決勝点となった。チームトップの64打点目は、自身4試合ぶりの打点。タイムリーにいたっては8月28日広島戦以来、10試合ぶりだった。得点圏での代打は今季3打席2安打1四球で打率10割の勝負強さだ。「どんな場面でもしっかり準備をすることは一緒。あの場面、出番くるかなと思っていたんで、しっかりと心と体も準備できていたよ」と頼もしい。 不調でも努力を重ねてきた。9日ヤクルト戦(甲子園)前には野手一番乗りでグラウンドに現れた。一番にアップを開始し、最初にバットを持った。普段行わないロングティーで調整し、状態アップに努めた。同戦は3打席連続三振。翌日、すぐさま結果につなげた。 そんな助っ人に矢野監督も「ジェリーで何とかしてくれるだろうと思って送り出した。100勝もついたし、チームにとっても大きな1勝。ナイスバッティングでした」と大絶賛した。 サンズは昨季、終盤10、11月の32試合で打率2割2厘、本塁打1本と苦しんだ。優勝争いがますます加熱していく道中。今年は失速の秋にしない。【中野椋】

◆広島鈴木誠也外野手(27)が阪神17回戦(マツダスタジアム)で2打数無安打2四球に終わり、連続本塁打が6試合で止まった。 第1打席は四球、第3打席も申告敬遠。ほか2打席は遊ゴロ、三ゴロに倒れ、巨人王貞治、阪神バース以来の7試合連続アーチのプロ野球記録はならなかった。チームは敗れ、5位に後退した。7回2死一塁から、鈴木誠の打球が三塁へのゴロとなった瞬間、スタンドからため息がもれた。3日から続いた連続本塁打は、プロ野球記録にあと1試合及ばなかった。 ただ、らしさを貫いた。5試合連続で本塁打を記録していた第1打席は、フルカウントから外角球を見極めた。3回の2打席目はカウント3-1から一塁塁審にスイングの判定をされるも、四球を選ぼうと我慢した(結果7球目を遊ゴロ)。2点差の5回2死二塁は申告敬遠。偉大な記録がかかった試合でも、チームのためにプレー。試合後も「負けたので、仕方ないです」と、チームに貢献できない悔しさをにじませた。 もともと、個人記録にあまり興味がない。だが今季、チームは振るわず、シーズン序盤から下位に低迷。自身も前半戦は新型コロナ感染やワクチンによる副反応などの体調不良あり、思うような打撃ができなかった。シーズン終盤にようやく手応えを感じ始めた。連続本塁打の記録を伸ばしても「フォア・ザ・チーム」の精神は変えなかった。 6戦連発はランス、新井と並ぶ球団記録。新井は15年から18年までともにプレーし、4番道を学んだ先輩でもある。あの日の見た後ろ姿を、今は自分が後輩に示そうとしている。スタメンに後輩が増えたときには「僕が打てなくなるとサク(5番坂倉)が勝負を避けられて打撃が難しくなってくると思う。僕が若いときは新井さんたちがいたからいい結果を残せていたのだと思う」と主軸の自覚を口にした。自分のためではなく、チームメートのため。その姿も、若手のかがみになる。 結果に一喜一憂することなく、目の前の1球、1打に全神経を注いだことで、6試合連続本塁打を積み重ねた。記録が止まっても、鈴木誠は鈴木誠であり続ける。新たに視線を据えるものは、次の1球、次の1スイングだけだ。【前原淳】

◆これぞエースだ! 阪神先発の西勇輝投手(30)が5回1失点の好投で史上140人目の通算100勝を達成した。大台に7度足踏みが続いていたが、ヤクルト3連戦で28失点した苦しい台所事情を救う"8度目の正直"で5勝目。チームの両リーグ60勝一番乗りを導き、2位チームに約2カ月ぶりに3ゲーム差をつけた。再進撃の猛虎が一気に首位独走態勢を築きにかかる。100勝記念のボードを手渡されると、西勇はほっとしたように笑みを浮かべた。「チームのみんなが、毎試合毎試合声かけてくれて、なんとか『100勝をつけてあげたい』という気持ちが伝わってきました。もり立ててくれた野手の方々に感謝です」。少し時間はかかったが、8度目の挑戦で達成した記念の白星。味方への感謝が言葉をついた。 広島の強打者を強気も抑えた。3回2死一塁で、4番鈴木誠をチェンジアップで遊ゴロ。プロ野球タイの7戦連続本塁打を阻止した。5回2死満塁では、首位打者を争う5番坂倉を直球で遊飛。「よっしゃー!」。雄たけびに気迫は表れた。 通算276試合目の登板で100勝。腕を振り続けることこそ、西勇の武器だ。プロ2年目に初めて肩を痛めた時、それをケガと言うのか、分からなかったという。そんな「ケガ知らず」の原点は、幼少期にあるのかもしれない。小学4年で野球を始めた当初、西勇は「横投げ」だった。「子供だったから、一番強くボールを投げられたのが、ドッジボールをしてる時。ドッジボールの要領でまねして投げてみろ、って言われて」。その後は上手投げになったが、プロに入ってから13年の間も、投げる腕の位置を微妙に変えていた。 「体に分度器を置いたとして、大体70度~85度ぐらい。毎日投げるわけだから、痛くならないように」。練習中のキャッチボールで80度で投げても、試合では75度で投げることも。微妙な投げ分けを続けることで同じ箇所の酷使を避け、故障を防いできた。腕の角度を変えても、球の軌道が変わらないのは、積み重ねた技術のたまもの。「腕に合わせて、体の動きを変えればいいだけ。いろんなところで投げられる」。故障を避ける繊細な感覚と体を操る器用さ。強い体でたくさんの経験を重ねてきた。 2位巨人が敗れゲーム差は以来の3に開いた。今季5勝目でも、チームにとっては大きな1勝。前カード28失点の悪い流れを断ち切った。優勝争いの佳境に大黒柱が戻ってきた。【磯綾乃】 ▼通算100勝=西勇(阪神) 10日の広島17回戦(マツダスタジアム)で今季5勝目を挙げて達成。プロ野球140人目。初勝利はオリックス時代の11年4月17日楽天3回戦(甲子園)。西勇は6月18日巨人戦で99勝目を挙げてから6連敗。王手から6連敗以上を喫して達成は50年川崎(西鉄=7連敗)81年小林(阪神=6連敗)81年野村(大洋=6連敗)に次いで4人目の難産だった。 ▽阪神矢野監督(西勇について)「しっかり粘った勇輝らしいピッチングやった。100勝の手前で、かなり時間がかかってしまって、それでも意識高く、なんとかしようという練習の姿は見ていた。これでちょっと吹っ切ってくれたらな、と。単なる通過点だと思うんで。さらに、150、その上と目指していってもらえればなと思います」 ▽阪神梅野(3試合ぶりに組んだ西勇をリード)「西さんが苦しんで苦しんでの1勝ですけど、乗り越えたからこそ101勝、102勝というステップがあると思う。このゲームをつくれたことがうれしい。100勝というすごい記録を一緒に刻めたということは捕手としても本当に光栄です」

◆阪神高卒2年目左腕の3番手及川雅貴投手が広島鈴木誠の日本記録を阻止した。7回に登板し、2点リードの2死一塁で対戦。終盤で、7戦連発を狙える機会が限られていく大砲と向き合った。1発なら同点の場面だが、2ボールからツーシームで三ゴロに料理。1イニング無失点で勝利に貢献した。 「西さん(小川)一平さんと粘り強い投球を続けてくれていたので続くことができてよかった」と振り返った。前日のヤクルト戦は中継ぎ陣も痛打されて計13点を失ったが、先発西勇を受けた小川、及川、岩崎、スアレスが0封リレー。5投手が総力を挙げ、鈴木誠の7戦連続弾も阻止した。

◆阪神が広島に競り勝ち、2位ヤクルトと3ゲーム差とした。 先発西勇が5回5安打1失点に抑え、6回の攻撃で1死満塁から西勇の代打で打席に立ったサンズが中前へ勝ち越しの適時打を放った。試合後、矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り ? -西勇が久々の勝利で100勝に届いた 今日も粘り強くというか、投げた結果やと思う。調子自体がすごいいいっていう感じではなかったけど、初回も1点に終わったというところもそうやし、そのあともちょっとピンチあったけど、しっかり粘った勇輝らしいピッチングやった。本当にこの100勝の手前でね、かなりこう時間がかかってしまって、本人もいろいろそれでも意識高く、なんとかしようなんとかしようという練習の姿は見ていたので。これでちょっと吹っ切ってくれたらな、というね。また100が目標じゃないと思うのでね。単なる通過点だと思うんで。さらにね、150、その上と目指していってもらえればなと思います。 -技巧派の西勇が勝てる要因 まずはコントロールでしょう。しっかり投げられるというところと、あとはフィールディングであったり、そういうところと、バッター心理というか。そういうものを感じながら投げられるというのがあったこそじゃない。 -6回サンズを代打起用した場面は難しい判断 難しいというか。ジェリー(サンズ)しかというか、ジェリーで何とかしてくれるだろうと思って送り出した。しっかり、あそこでいってくれたんでね。勇輝にも勝ちが付いたし、もちろんまだもう1回は勇輝に行ってもらおうかなと思っていたところだったんだけど。あそこで点が入らずにとなると、またムードが重くなるんで。そういう意味では100勝も付いたし、チームにとっても大きな1勝になったんでね、ナイスバッティングでした。 -リクエスト2回が流れ的にも大きかった 確信があるわけじゃないけど。でも俺の中ではビデオ判定しても全然おかしくないようなタイミングに見えたので。流れの中でもあそこで何もしなくてというよりかは、ビデオ判定までいった結果そのままの判定ならそれを受け止めてっていうのは、チームも俺も切り替えられる。そのまま何もしないでってなったらちょっと流れが嫌になってしまう。そういうところでも行ったところやけどね。 -ゲッツー含めて守備がもり立てた もちろん、いいところもあるし、もちろん、(7回守備)マルテも最初はヒットになったけど聖也がとったやつも、あれだってヒットになってるけどとっていかないといけなしね。勝ったし、ダブルプレーたくさん取ったからいいやんかとはあまり思わない。 -6、7回を若い小川、及川の2人で抑えたのはチームにも本人にも大きい もちろん。一平(小川)もこの前、勝ちがついてね。こういうところでいくぞ、いくぞという気持ちに本人もなっていると思う。また今日も粘ってしっかりあの場面を抑えた。及川も鈴木誠の場面も嫌な場面やと思うけど、こういう1つ1つの積み重ねから自信を持っていくような投手に育ってもらいたい。 -2軍へ合流した佐藤輝とは昨日直接話も したよ。 -本人は前向きにとらえている そりゃそうでしょ。何もへこむことなんか、何もないし、まだまだ試合も続くし、あいつの野球人生なんて、まだ第1歩踏み出したところなんだから。このままこっちにいて少ない打席であいつを置いておくよりも、ファームいって打席を多く立って、調子上がって早く帰って来る方が本人のためにもなる。こっちに置いておくという中でチームにとってもあいつにとってもいいことではないのかなという判断で、行って来いという形になったんだけど。あいつもそう思って、行っていると思う。逆に悔しさがあったり、こういう経験があったからこそと後で言えるように、そういう時間にしてもらえたらなと思います。

◆阪神矢野燿大監督(52)が勝負どころの6回の攻防で要求した2つのリクエストで判定が覆った。 6回1死一、二塁の攻撃で梅野の打球を三塁手林がはじき、カバーしていた遊撃手小園がつかんで三塁へ。二塁走者が三塁でアウトの判定もリクエストでセーフとなり満塁に。代打サンズの決勝適時打につながった。2点を勝ち越したその裏の守りでは、無死一、二塁から林の二ゴロで併殺を狙ったが、一塁へヘッドスライディングした走者が早いとセーフに。ここでも、リクエストを要求。林もアウトと覆り、二-遊-一の併殺が完成した。矢野監督は「確信があるわけじゃないけど。でも俺の中では、ビデオ判定しても全然おかしくないようなタイミングに見えたんで」と会心だった。

◆阪神近本光司外野手が8回にダメ押しの4点目となる左前適時打を放った。1死満塁。代わったばかりの4番手左腕、バードの151キロ外角低め直球を逆らわず左前へはじき返した。 「次の1点をなんとしても取りたい場面だったので、チャンスでしっかり仕事をすることができてよかった」。初回も先頭打者で二塁打を放ち、糸井の二ゴロで生還。10戦ぶりの先制にも貢献した。

◆阪神は10日、西勇輝投手(30)のプロ通算100勝記念グッズを11日から発売すると発表した。黄色と青の記念ロゴをモチーフとしたTシャツ(3300円)、フェースタオル(1650円)、巾着(1430円)、スクエアクッション(3150円)、マウスカバー(1400円)の5種類で、公式オンラインショップT-SHOPでの受注販売となる(金額は全て税込み)。詳細は球団公式サイトで。

◆阪神糸原健斗内野手(28)が二塁守備のビッグプレーで、流れを渡さなかった。 2点を勝ち越した直後の6回裏。広島林の一、二塁間のゴロを滑り込んでキャッチし、素早く二塁送球でフォースアウト。遊撃中野拓夢内野手(25)の一塁送球は1度セーフと判定されたが、リクエストで覆り、ダブルプレーを完成させた。抜けていれば1点もやむなしの場面でチームを救った。バットでも6回先頭に勝ち越し劇の口火を切る中前打。5番や3番など打順が流動的な中、状態は崩れていない。

◆阪神先発秋山拓巳投手(30)が2年連続3度目の10勝に到達した。 6回まで無安打と完璧なピッチング。7回に広島西川にソロ本塁打を浴びたが、その後は後続を断って7回1安打1失点にまとめ、無四球だった。 打線は6回にジェフリー・マルテ内野手(30)が先制の17号3ランを放った。 8回には代打の糸井嘉男外野手(40)が右前打で出塁し、直後に二盗に成功。プロ野球31人目の通算300盗塁を史上最年長の40歳1カ月で達成した。 阪神は投打ががっちりとかみ合い、連勝で貯金を17とした。 ヒーローに選ばれた秋山の一問一答は以下の通り。-今の気持ちは 「なかなかうまくいかなかったですけど、こうやって目標にしていた2桁勝つことができて、ひとまずほっとしています」 -ノーヒットノーランを期待してしまうピッチング。振り返って 「前回、ふがいないピッチングをしていたんで。なんとか今回はしっかり投げると意気込んでいたんで。結果、ノーヒットピッチングが続いていましたけど、そっちのことは考える余裕もなかったです」 -少しもノーヒットは頭になかったか 「ノーヒットっていうのは気づいてましたけど、狙うとかそういう気持ちはなかったですかね」 -好投の中、マルテの1発 「0-0でずっと続いていたんで、粘り勝ちした方が勝てると思っていたんで、マルテがああやって3ラン、非常に頼もしかったです」 -8回には糸井が300盗塁。ベンチの反応は 「そうですね、残り1つから本当に長かったんで。本人も諦めてたそうですし。こうやって、糸井さんが300盗塁決めたところを、みんなで見られて、みんなでお祝いできてよかったと思います」 -自身初の2年連続2桁勝利 「開幕前に1つの目標にしていたんですけど、まだまだここがゴールではないと思うんで、次回以降も...続けていいピッチングすることができていないので、次回以降もいいピッチングできるように頑張りたいと思います」 -EXILEのATSUSHIさんとの約束(今季2桁勝利ならオリジナル登場曲の作成)も果たせた 「そこの部分に関しても、僕以上に期待してくれている方が、たくさんいたと思うんで。ひとまずほっとしましたし、この後報告したいと思います」 -最後にファンへ 「こうやって優勝争いしている中で、もっともっとしっかり投げないといけないと思うんで、今後も任された試合をしっかり投げきれるようにまた明日から頑張りたいと思います」

◆阪神は「3番・右翼」で先発出場した糸井嘉男外野手(40)が一回、1死三塁から二ゴロを放って先制した。 一回、先頭の近本が左翼線二塁打。中野が送りバントを決めて1死三塁の先制機。糸井が最低限の仕事をした。 阪神が先制するのは8月28日の広島戦(マツダ)の一回に得点して以来、10試合ぶり。先発投手陣が序盤に失点することが多かった。

◆阪神のジェリー・サンズ外野手(33)が1-1の六回、1死満塁から代打で登場し、左前に勝ち越し打を放った。 「みんながつないでくれたチャンスだったし、代打だったからランナーをかえすという気持ちで打席に入った。いい仕事ができてよかった」 先頭の糸原が中前打で出塁。1死後、ロハスが右前に運び、続く梅野の三塁強襲安打で1死満塁。ここで通算100勝を目指して、粘投していた西勇に代わったサンズが中前に勝ち越し打。なおも2死満塁から中野が中前適時打。リードを2点に広げた。

◆阪神・西勇輝投手(30)が5回1失点で、5勝目(9敗)を挙げ、史上140人目の通算100勝(87敗)に到達した。6月18日の巨人戦(東京ドーム)以来、8試合ぶり&84日ぶりの白星で自身の連敗を「6」で止めた。試合後のヒーローインタビューで「チームのみんなが毎試合、毎試合、声かけてくれて、100勝つけてあげたいという気持ちは伝わっていた。早く勝ちがほしいという気持ちはずっとあった。無事、勝てることができてよかったです」と語った。「こういう勝ちがあっていいのかなとすごく感じた。ホント、この100勝はうれしいです」と喜びに浸っていた。

◆広島・鈴木誠也外野手(27)が申告敬遠を含む2四球、2打数無安打に終わり、プロ野球タイ記録の7試合連続本塁打はならなかった。 一回1死一、三塁ではスライダーを見送り四球で一塁へ歩く。1─1の三回2死一塁は遊ゴロに倒れる。五回2死二、三塁は申告敬遠で歩かされると、七回2死一塁では三ゴロに打ち取られ、球場は深いため息に包まれた。 ここまで球団では1987年ランス、2005年新井貴浩以来の6戦連発をマーク。この試合で本塁打が出れば、72年王貞治(巨人)、86年バース(阪神)しか成し遂げていないプロ野球記録の7戦連発、右打者では史上初の快挙だったが、全4打席のうち半分の打席で勝負を避けられた。

◆阪神が12球団一番乗りで60勝に到達した。先発した西勇が5回5安打1失点の粘投で、3カ月ぶりとなる今季5勝目。王手をかけてから8度目の挑戦で、史上140人目。平成生まれでは巨人・菅野以来2人目のプロ通算100勝を達成した。 西勇は1-0の一回、坂倉の左犠飛で追いつかれたが、二回以降は粘りの投球で失点を許さなかった。打線は一回、糸井の二ゴロで、9試合ぶりに先制点を奪うと同点の六回、1死満塁の好機。西勇に代わって代打で登場したサンズが中前に勝ち越し打を放った。さらに、中野も中前適時打で続き、3-1の八回には近本の左前適時打で加点した。九回はスアレスが締めて30セーブ目。 この日、巨人が中日に敗れて3位に転落。勝率の差で2位に浮上したヤクルト、3位・巨人との差を3ゲームに広げた。

◆広島の大瀬良は要所で踏ん張れず、6回3失点で5敗目を喫した。先発として最低限の役割を果たしても「僕が求められているのはそこではないので」と悔やんだ。 六回のピンチでは代打サンズに力勝負を挑むも、微妙なコースの球をボールと判定された。高めの148キロを中前に運ばれて、勝ち越しを許し「もう少し、ストライクゾーンで勝負できていれば違った」と反省した。

◆阪神は六回、ジェリー・サンズ外野手(33)、中野拓夢内野手(25)の適時打で勝ち越し。西勇輝投手(30)は通算100勝を挙げ、ロベルト・スアレス投手(30)は今季30セーブ目を記録し、チームは両リーグ最速の60勝に到達した。矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー西勇が久々の勝利で100勝 「粘り強くというか、投げた結果。調子自体がいい感じではなかったけど。初回も1点に終わったというところもそうやし。そのあともちょっとピンチあったけど、しっかり粘った勇輝らしいピッチングやったし。100勝の手前で時間がかかってしまって、意識高く、なんとかしようという練習の姿は見ていたので。これで吹っ切ってくれたらな、というね。また『100』が目標じゃないと思うのでね。単なる通過点だと思うんで。さらにね、150、その上と目指していってもらえればなと思います」 ーー技巧派の西勇が勝てる要因は 「まずはコントロールでしょう。フィールディングであったり、バッター心理を感じながら投げられるというのがあったこそじゃない」 ーー六回、サンズを起用した場面は難しい場面だった 「難しいというか。ジェリーしかというか、ジェリーで何とかしてくれるだろうと思って送り出したけどね。しっかり、あそこでいってくれたんでね。勇輝にも勝ちが付いたし、もう1回は勇輝に行ってもらおうかなと思っていたところだったんだけど。あそこで点が入らずにとなると、またムードが重くなるんで。そういう意味では100勝も付いたし、チームにとっても大きな1勝になったんでね、ナイスバッティングでした」 ーーリクエスト2回が流れ的にも大きかった 「確信があるわけじゃないけど。でも俺の中ではビデオ判定しても全然おかしくないようなタイミングに見えたんで。流れの中でもあそこで何もしなくてというよりかは、ビデオ判定までいった結果、そのままの判定ならそれを受け止めてっていうのは、チームも俺も切り替えられるけど。そのまま何もしないでってなったら、ちょっと流れが嫌になってしまう。そういうところでも行ったところやけどね」 --六、七回を若い小川、及川の2人で抑えた 「一平もこの前、勝ちがついてね。こういうところでいくぞ、いくぞという気持ちに本人もなっていると思うし。また今日も粘ってしっかりあの場面を抑えた。及川も鈴木誠の場面も嫌な場面やと思うけど、こういう一つ一つの積み重ねから自信を持っていくような投手に育ってもらいたい」

◆阪神・矢野耀大監督(52)は試合後、2軍調整となった佐藤輝明内野手(22)について言及。「何もへこむことなんかないし、まだまだ試合も続くし、あいつの野球人生なんて、まだ第一歩踏み出したところなんだから。このままこっちにいて少ない打席であいつを置いておくよりも、ファームいって打席を多く立って、調子上がって早く帰って来る方が本人のためにもなる」とコメント。現在、佐藤輝は35打席連続無安打中だが、「こっちに置いておくという中でチームにとってもあいつにとってもいいことではないのかなという判断で、行って来いという形になった」と説明。最後に「こういう経験があったからこそと後で言えるように、そういう時間にしてもらえたらなと思います」とエールを送っていた。

◆七回に阪神・及川が絶好調の広島・鈴木誠を打ち取ったシーンを見て、この先も七回を任せられる存在になったことを確信した。 前日まで6試合連続本塁打を放っている、今、セ・リーグで一番怖い打者に対して、1球目真っすぐ、2球目ツーシームを内角へ投げ込んだ。胸元、膝元を意識させて、3球目の低めのツーシームで三ゴロに仕留めた。 内角を攻めろと言うのは簡単。だが、強打者に対して怖さは絶対にあったはず。高卒2年目で、なかなか実行できることではない。真っすぐ、スライダーを思ったところへ投げられる制球力もハイレベルだ。 もちろん梅野のリードによるところも大きい。ただ、梅野にこの配球を選ばせたのは、その前の打者に対しても、及川がドンドン内角へ、自信を持って投げ込んでいたから。最近は失点するケースもあったが、使い続ける矢野監督の根拠は、この強心臓にある。 岩崎、スアレスにつなぐ七回を誰に任せるかが課題だったが、誠也斬りで自信を得た及川は、十分にその資格を持っている。(本紙専属評論家)

◆広島は首位阪神に敗れ5位タイに転落した。佐々岡監督の主な一問一答は以下の通り。 ──大瀬良は6回3失点 「こういうゲーム展開。1点を争うゲームであの(六回の)2点は痛かった」 ──際どいボール判定もあった 「あの2点だけという考えあるだろうし、それなりにゲームを作ってくれたので責められないけど、もう1イニングというところもある」 ──1─3の八回に登板した森浦は?を2安打1失点 「ちょっと制球にばらつきがあった」 ──鈴木誠の連続試合本塁打が6で止まった 「当然こういうこと(2四球)はある。なかなか勝負しない場面はあるだろうな、ということを考えていた。きょうは5番が重要だった。それは常々いっていること」 ──西勇から2度満塁の好機を作ったが5回1得点 「あと1本がでなかった。西投手は粘り強く低めに集めるピッチャー。ずっと今シーズン戦っているなかで、対策を練りながらきょうは低めを丁寧に突かれた」 ──あすは阪神の秋山が先発 「打って、打つしかない。秋山をうちに当てられているんだからね」

◆阪神・西勇輝投手(30)が10日、広島戦(マツダ)で5勝目を挙げ、プロ野球140人目の通算100勝を達成。三重・菰野高時代の恩師、戸田直光監督(59)が本紙に、祝福メッセージを寄せた。 100勝おめでとう! 99勝してから時間はかかってしまったけど、なかなか達成できる記録じゃないので、高校からプロに入ってとうとう100勝まで来たんだなという感慨深い思いです。緊急事態宣言ということもあって現地でその瞬間を見届けることはできなかったけど、自宅でネットの1球速報で結果を追っていました。五回に大瀬良選手に四球を出したときはヤバいかなと思ったけど、勝ってくれてほっとしています。 1年の時は普通の高校生みたいな体つきをしていたから、体力作りの一環で当時のコーチから言われて時間があれば必ず走らされていた。長い距離を走るのが得意なタイプではなかったから、短い距離のダッシュを何回も何回も繰り返して。土日の登板のない日は、一日中走っていたね。プロに入った後も年に一回は必ず高校に顔を出しに来てくれて、その時も「よくここ(グラウンド)で走っていたなあ」と話していたくらい(笑)。 1年の時はすべてストレートがシュート回転して、右打者の内角に投げるときはいいんだけど、外角の球も中に入ってきてしまうから、よく打たれていた。それから1年間走り込みとか、体作りのトレーニングを積んだことで、右打者への外角球はシュート回転しなくなった。左打者にとっては外角に逃げるような球になるし、打ちづらい球だったと思う。コントロールがよかったから、内外を突くスタイルがそのときにできあがった。今は意図してシュートを操っているけど、高校の頃はナチュラルにシュート回転していたのを、うまく利用していた。 入学したときからニコニコして投げるタイプだったけど、内に秘めた闘志というか、絶対に打ち取ってやるという強い気持ちをもっている投手。特にランナーが三塁にいるときはめっぽう強く、三振を取ってやるという雰囲気でその通りにやってのけていた。三塁に走者を置いても点を取られない投手で、いつもピンチをしのいでベンチに帰ってきていた。 3年になると、西が登板した試合は負けた記憶がない。常に勝っていたから、彼がどれくらい余力が残っていたのか分からなかった。そこで、6月の練習試合で五回からイニング間にずっとファウルゾーンをダッシュさせたことがあった。七回くらいで疲れて打たれていた。そのときに初めて、ここまでさせたら疲れて打たれるんだなと分かった。 今でも記憶に残っているのは、ブルペンで投球を見ていたときのこと。ベースの上に骨組みだけになった机の椅子を置いて、それに当てないように投げて練習していた。俺が「絶対に当てるなよ!」と言ったら「絶対に当てませんから!」と返してきて。その後、思い切り椅子に当てていたけど、自分でどうしたらうまくなるのかを考えて練習していて、感心したのを覚えています。 今日こうやって100勝を達成したけど、これで終わりじゃない。今年で31歳だから200勝してほしいとは言わないけど、せめて150勝はいけるように、これからも頑張ってほしい。(菰野高校硬式野球部・戸田直光監督)

◆采配も、リクエストもズバズバ決まった。糸原が全力で伸ばした足が、必死でこなした併殺が、矢野監督の〝度重なる要望〟でことごとく覆りプラスに働いた。重要局面のリクエスト2連続成功で、虎が勝ち切った。 「確信があるわけじゃないけど。でも、俺の中ではビデオ判定(リプレー検証)しても全然おかしくないようなタイミングに見えたんで」 1-1の六回1死一、二塁で梅野が三塁強襲の当たりを放ったが遊撃・小園の好カバーもあり、懸命に三塁へ足を伸ばした二走・糸原は封殺と判定された。三塁ベンチの全員が両手を広げてアピールし、指揮官もすぐさま球審へ「リクエスト」した。しばしの静寂があり、導かれた結論は「セーフ」。続く代打・サンズのV打が生まれた。 西勇の100勝を守り切ろうとする虎にも、リクエストがほほ笑んだ。3-1とした直後の六回の守り。無死一、二塁で一塁寄りに飛んだ林のゴロを、二塁・糸原が半身でさばいて「4-6-3」とつないだ。一旦は打者走者は「セーフ」と判定されたが、また矢野監督がひっくり返した。 「ビデオ判定までいった結果そのままの判定なら、それを受け止めてっていうのは、チームも俺も切り替えられるけど。何もしないでってなったらちょっと流れが嫌になってしまう。そういうところでも行ったところやけどね」 六回の表裏、糸原が走と守でギリギリのプレーを全力でこなし、指揮官が迷わず立ち上がって、流れを引っ張ってきた。どちらに転んでもおかしくなかった一戦を、タクトとリクエストで自分たちのものにした。 巨人も下位チームに苦戦する状況だけに、ここで広島相手に勝ち切ったことは大きい。審判に向け空中に描く「□」で、ものの見事に「○」に収めてみせた。(長友孝輔)

◆1-1の六回1死満塁。粘投・西勇に代わって代打で登場したサンズが、中前に勝ち越しの適時打を放った。チームに勝利を呼び込み、王手をかけながら7試合連続で足踏みしていたエースに通算100勝を届けた。 「(西勇は)いい投球をしていても、なかなか勝ちをつけられなかったので。きょうは、その場面で、自分の仕事をできた。本当に良かった」 糸原、ロハス、梅野と3本のヒットで作った千載一遇の好機で指名され、カウント3-1から大瀬良の148キロをライナーでとらえた。 「どんな場面でも、しっかりと準備をすることは同じ。ゲーム状況をしっかりみながらね。あの場面は(出場機会が)くると思っていたので、心も体も準備ができていたよ」 まさに仕事人だ。前日9日のヤクルト戦(甲子園)で3打席連続三振に倒れ、一夜明けて今季6度目のスタメン落ち。だが、助っ人は腐ることはなかった。それどころか、今季の代打打率・500(4打数2安打)、2打点。得点圏打率・318(110打数35安打)の勝負強さを、ひと振り稼業でも証明してみせた。 勝負どころでサンズを指名した矢野監督も「ジェリー(サンズ)しか(いない)というか、何とかしてくれるだろうと思って送り出した。あそこで点が入らなかったら、またムードが重くなっていたと思う。(西勇の)通算100勝も付いたし、チームにとっても大きな1勝。ナイスバッティングでした」と助っ人に最敬礼だ。 この日は、35打席連続無安打の佐藤輝が2軍降格。「3番・右翼」で出場した糸井、「7番・左翼」で起用したロハスもそれぞれ安打を放つなど、終わってみれば、先発野手全員の14安打。チーム内のレギュラー争いがしれつで、誰が控えに回っても、仕事をする。その層の厚さが、矢野虎の強みだ。 「チームメートもいい仕事をしてくれて、結果を出すことができてよかった」とサンズ。次はスタメンで、快音を響かせる。(三木建次)

◆ついに、やっと、勝った! 首位の阪神は4-1で広島に快勝。西勇輝投手(30)が5回1失点で、およそ3カ月ぶりの5勝目を挙げ、8度目の挑戦で、プロ野球140人目の通算100勝を達成した。平成生まれでは巨人・菅野に続く2人目の快挙。チームも12球団60勝一番乗りで、試合のなかった2位・ヤクルト、3位転落の巨人と3ゲーム差。エースの久々の白星で、ここから一気に突き放す!! ゲームセットが決まると、少年のような笑顔で仲間たちと喜びを分かち合った。西勇が自らの投球で、苦悩の日々に終止符を打った。ようやくつかんだ84日ぶりの白星。プロ13年目、通算276試合目の登板で100勝にたどり着いた。 「チームのみんなが毎試合、声かけてくれて、なんとか100勝をつけてあげたい、という気持ちも伝わってきました。自分も早く勝ちが欲しいという気持ちはずっとあったので、無事に今日勝てることができてよかった」 最後まで自分のスタイルを貫いた87球だ。最大のピンチは1―1の五回、先頭の投手・大瀬良への四球から2死満塁とされたが、最後は坂倉を遊飛に仕留めて雄たけびを上げた。持ち味の打たせて取る投球で、流れを手繰り寄せた。 六回の攻撃で、自身の代打のサンズが勝ち越し打を放ち、5回5安打1失点で5勝目。どんなに勝ちに見放されても金曜を任されてきた〝ローテの柱〟が、8度目の正直で節目の記録を達成し、矢野監督は「粘り強く投げた結果。(西)勇輝らしいピッチングやった」と称えた。 「100(勝)が目標じゃないと思うので、150、その上と目指していってもらえれば」 平成生まれでは、「師匠」と慕い、かつて自主トレをともにしてきた菅野(巨人)以来2人目の通算100勝だ。人と人との〝つながり〟を何よりも大事にする男だからこそ、たくさんの人から応援と勇気をもらえる。菰野高時代、足しげく通った「お食事処 おかずや」が今年4月に25周年を迎えた。それを知った右腕は、感謝の思いを込めてお店へ大きな胡蝶蘭を贈った。「25周年の節目やから、頑張ってや!」店を切り盛りする奥山磯子さんにそう連絡を入れると、店内に飾られた胡蝶蘭の写真と一緒に激励のメッセージが返ってきた。「あんたが100勝するまで(花)は枯れないよ!」。それから5カ月、残念ながら100勝達成を前に花は枯れてしまったが、この日100勝を自宅で見届けた磯子さんは「また咲くかなと思って」と再び花咲くことを願って根だけを残して大切に保管していると明かした。13年という時間をかけて成し遂げた100勝という記録は決して枯れず、色あせることもない。そして西勇の雄姿は、応援してくれる人たちの目にしっかりと焼き付いているはずだ。チームはこれで両リーグ一番乗りの60勝。2位(ヤクルトが浮上)と3ゲーム差に広げた。暗闇から脱し、一山越えたエースが、これからさらに虎を勢いづける。「もう勝つだけなので。何とかチームに貢献して、思いっきり楽しくやっていきたい」100個の白星はあくまで通過点。16年ぶりのリーグVという次なる目標に向かって、走り続ける。(織原祥平)◆息子の一言で勝ち星がつかない時期に、西勇にきっかけを与えてくれたのは愛息だった。「家でテレビを見ているときに『パパは楽しそうじゃないよ』という風に言われていた」と明かし「改めてもう一度楽しんで野球をやってみようかなと考えて。そう思ったことを言ってくれた息子にも感謝したい。みんなが声をかけてくれたおかげでこうやって立ち直ることができたので、感謝したい」と思いを語った。

◆スーパー絶好調の4番打者を申告敬遠して、首位打者と勝負-。究極の2択に、あっちで「当然やろ!」。こっちで「アカン!」。ファンがみんなが監督になれる。賛否両論が交錯するのは「正しいプロ野球の楽しみ方」だ。五回2死満塁のピンチ。西勇がしのいで、記念すべき100勝達成。阪神ベンチの判断も光った。 「落とせ!」「落とすな!」。ファンも、百戦錬磨のプロ野球評論家も巻き込んで、賛否両論を巻き起こしていたスーパールーキー・佐藤輝明がついに2軍落ちした。 こんな表現をしたら叱られそうだが、阪神史上最も豪華な2軍降格コンビになってしまった。藤浪晋太郎と佐藤輝。ともにドラフトでは4球団競合でくじ引きの末にタテジマに袖を通したスーパーゴールデンルーキー。こんなところでそろい踏みしなくてもいいのに。 「その2軍には、2球団競合で入団してきた高山もいるんですよね」 昨日の当番デスク席にいた堀啓介も苦笑いするしかない。 2012年秋のドラフト会議は藤浪を引き当てた和田監督がガッツポーズ。15年秋は金本監督が〝まさかの入札〟で驚かせた高山を的中させた。そして昨年は矢野監督が佐藤輝をビンゴ! 3人そろって阪神入団の確率は32分の1かぁ...なんて考えたりもする。3代の指揮官が強運で引き寄せた栄光のドライチたちの、あってはいけない2軍集結だ。 「でも、佐藤輝の場合は1軍でスタメン起用がないのなら、2軍で打席に立つ方が良いでしょう。代打で調子を上げていくのは、ルーキーには難しいでしょうから」 堀デスクの冷静な分析。これに賛同したのは、昨年のドラフト当日から「サトテル番」として密着取材してきたトラ番・原田遼太郎だった。 「かなり前から、2軍に行った方がいいのかなと思ってましたから」 その原田によると、すでにサトテル復活ロードが出来ているんだとか。 「ファームは11日から甲子園で広島2連戦。14日からはまたまた甲子園でソフトバンク3連戦。慣れ親しんだ甲子園ですから、気分よく臨めると思うんです。さらにその先は17日からナゴヤ球場で3連戦。この8試合で調子を戻して、名古屋で待っていたら1軍がバンテリンドームにやってきます(21日から中日3連戦)。これが最短10日での復活計画です」 サトテルを誰よりも応援している原田記者の願望。スケジュールを一生懸命に伝えてくる電話の声に、ウルっときた。 遠い昔に〝純粋に応援する心〟を失ってしまった「虎のソナタ」筆者は、原田の電話の直前まで、2軍での調整長期化を予感していた。 これで新人最多本塁打31発の更新は難しくなったかなぁ。シーズン最多三振記録の更新は避けられそうか。そこは良かったのかも...と。 いろんな妄想の先で、さらに悪魔が耳元で囁いてきた。 「ファーム新記録の16連勝継続中の阪神2軍に、160キロの剛腕・藤浪と場外ホームランをかっ飛ばせる規格外の男・佐藤輝が加わるんだぞ。すごい補強や。これでファーム優勝へ一直線」 いやいや。首を振って、原田の夢プランが現実になることを信じよう。再昇格は再び藤浪と一緒に-。私も心を改めてます。虎党のみなさまも、祈りましょう。

◆という感じで六回、一度はアウトと判定された梅野のサードへの当たりが、矢野監督のリクエスト成功で満塁に。そこから2点を挙げて西勇投手に勝ち投手の権利がついた~!! さらにその裏、一塁セーフと判定された広島・林の当たりが、またまた矢野監督のリクエストが通って、セカンドゴロのゲッツー完成!! 「なるほど...。そりゃ、気分もヨロシクないですね...。あ! 佐々岡さんのリクエスト、入りましたね! 皆さん、お聴きください。佐々岡監督が熱唱いたします! 小林明子さんの名曲『鯉(カープ)が落ちて』、ジックリとお聴きくださ~い!!」 「コラー! 鯉がじゃなくて『恋に』...。ウウウ、最悪じゃ!!」という矢野監督の名リクエストに、西勇投手の丁寧な投球での100勝。オメデトウ!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
60444 0.577
(↑0.004)
-
(-)
35442
(+4)
420
(+1)
103
(-)
92
(-)
0.252
(↑0.001
3.580
(↑0.02)
2
(1↑)
ヤクルト
504012 0.556
(-)
3
(↓0.5)
41453
(-)
395
(-)
102
(-)
60
(-)
0.257
(-)
3.640
(-)
3
(1↓)
巨人
524215 0.553
(↓0.006)
3
(↓1)
34436
(+1)
417
(+10)
135
(+1)
59
(-)
0.247
(↓0.001)
3.600
(↓0.06)
4
(1↑)
中日
425314 0.442
(↑0.006)
13.5
(-)
34322
(+10)
358
(+1)
59
(+4)
54
(-)
0.240
(↑0.001)
3.180
(↑0.02)
5
(1↓)
広島
425410 0.438
(↓0.004)
14
(↓1)
37406
(+1)
446
(+4)
90
(-)
50
(-)
0.262
(-)
3.910
(↓0.01)
6
(1↓)
DeNA
415314 0.436
(-)
14
(↓0.5)
35431
(-)
486
(-)
109
(-)
23
(-)
0.259
(-)
4.280
(-)