阪神(★0対12☆)ヤクルト =リーグ戦16回戦(2021.09.07)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:奥川 恭伸(6勝3敗0S)
敗戦投手:青柳 晃洋(10勝3敗0S)

本塁打
【ヤクルト】サンタナ(10号・2回表ソロ),村上 宗隆(32号・3回表3ラン)

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◆ヤクルトは初回、青木の適時打で1点を先制する。その後は、2回表にサンタナのソロ、3回には村上の3ランが飛び出すなど、終わってみれば18安打で12得点を挙げた。投げては、先発・奥川が7回2安打無失点の好投で今季6勝目。敗れた阪神は、投打ともに振るわなかった。

◆スタメンが発表された。 阪神糸井嘉男外野手(40)が6月13日楽天戦(楽天生命パーク)以来、約3カ月ぶりに「3番右翼」で先発出場。糸井は5日巨人戦(甲子園)で代打で同点適時二塁打を放つなど、勝負どころでの活躍が光っていた。 自己ワーストの33打席連続無安打と苦しむ佐藤輝明内野手(22)は、3試合ぶりのベンチスタートとなった。 先発は阪神が青柳晃洋投手(27)、ヤクルトが奥川恭伸投手(20)。青柳は今季ヤクルト戦で4戦3勝と好相性だ。

◆ヤクルト山田哲人内野手が、スタメンから外れた。この日の試合前練習には参加。打撃練習を行い、試合開始直前のノックでも二塁の守備に入っていた。 阪神の先発青柳との今季対戦成績は、12打数1安打。通算でも31打数4安打、打率1割2分9厘と苦手としている。

◆東京五輪で侍ジャパンを率いて金メダルを獲得した稲葉篤紀監督(49)が甲子園を訪れ、五輪戦士たちを激励した。決勝翌日に会見した8月8日以来の再会となった。 この日先発の青柳晃洋投手(27)も、笑顔であいさつ。稲葉監督は「登板日だから来てくれないかと。うれしかったですね」。青柳は五輪では登板した2試合で1回2/3、5失点と打ち込まれた。稲葉監督は「こちらの責任で打たれてしまった。(チームに戻って)勝っていましたし、阪神の青柳選手にしっかり戻ってくれたのでよかった。悔しさが残る大会の中でも、学ぶことはあったと思う。もっと成長していく姿を見たい」と、ほっとした表情で話した。 岩崎からは、母恭子さんが稲葉監督のサインを喜んだという報告を受けた。大会期間中に岩崎がもらっていた。稲葉監督は「お母様が私のファンということで。私もうれしかった。(五輪では)ご家族のみなさまの協力もいただけたのでよかった」と、選手の家族のサポートにも感謝した。 梅野も含め3人の侍は、シーズンでも優勝争いの佳境を迎える。稲葉監督は「ジャパンの重圧の中で、プレッシャーの中で戦った経験は、なかなか言葉では伝わらないと思う。プレーで、背中で引っ張っていく存在であってほしい」と、エールを送った。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(21)が、8試合ぶりの1発を放った。 2点リードの3回1死一、二塁で、初球の内角低め変化球を強振。右中間席へ32号3ランを運んだ。「チャンスだったので積極的に打ちにいくことを心がけて打席に入りました。1球で仕留めることができてよかった」と振り返った。 8月28日DeNA戦以来の快音で、本塁打リーグトップの巨人岡本和に3本差に迫った。自身の通算100号までは、あと3本。今季中に達成されれば、史上最年少記録となる。

◆日刊スポーツ評論家の中西清起氏(59)が7日、阪神-ヤクルト16回戦でファーストピッチセレモニーに参加した。 球団スーツサプライヤーにちなんだ「オーダースーツSADA Day」。金色ネクタイのスーツ姿で投球したが、内角低めへの直球がショートバウンドして苦笑い。「ぶっつけ本番で1球しか投げられないということでウオームアップもできなかったけど...言い訳にはならない(笑い)」と反省した。

◆自身8連勝中の阪神青柳晃洋投手(27)が序盤に崩れ、5回を8安打4四球5失点で降板した。 1回、3番青木に先制打を献上。2回には8番サンタナの右翼ポール際ソロで加点された。痛恨だったのは3回1死一、二塁の場面。4番村上に特大の右中間3ランを浴び、序盤から大量リードを許した。 試合前にはあいさつ回りで甲子園を訪れた侍ジャパン稲葉監督と談笑。東京五輪金メダルの実力を披露したかったが、5月14日巨人戦から続く自身の連勝が止まる危機に陥った。

◆首位阪神が完敗し、3位ヤクルトに2・5ゲーム差まで迫られた。引き分けを挟んでの連勝は3でストップ。DeNA戦に敗れた2位巨人との1・5ゲーム差は保った。 自身9連勝を狙った先発青柳晃洋投手(27)が誤算だった。1回は3番青木に先制打を許し、2回には8番サンタナに右翼ポール際ソロを被弾。3回には4番村上に右中間3ランを献上し、5回を8安打4四球5失点で3敗目(10勝)を喫した。5月14日巨人戦から続いた連勝は8で止まった。 打線は高卒2年目のヤクルト奥川に7回8奪三振2安打無失点と翻弄(ほんろう)され、6勝目を献上。救援陣も打ち込まれて大敗した。

◆ヤクルトは1回に青木の左前適時打で1点を先制。2回にサンタナの10号ソロ、3回に村上の32号3ランで追加点を挙げた。 ヤクルトは6回に村上の右前適時打で1点を追加。阪神青柳は5回5失点で降板。ヤクルト奥川は6回まで2安打無失点の力投。 ヤクルトは攻撃の手を緩めることなく終盤も得点を重ね快勝。奥川は7回無失点の好投で今季6勝目。阪神の連勝は3で止まった。

◆不振の怪物ルーキーはついにプレーすることなく、1日を終えた。阪神佐藤輝明内野手(22)が今季105試合目で初めて出番なく終わった。 プロ初の欠場だ。この日の打線はわずか2安打。チーム8度目の0封負けとなった。3回裏には、9番青柳の打順に備え次打者席でバットを振っていたが、結局、そのまま青柳が打席に入った。8回は代打サンズ。9回は9番からの打順でも、長打力のある佐藤輝の名前はコールされなかった。試合後、矢野監督は「(起用法は)毎日考えている。奪い取ればいいんじゃないの? アイツが」と奮起を促した。 この日は3試合ぶりにスタメン落ちした。8月19日DeNA戦(東京ドーム)で9回に左翼へ23号ソロを放ったが、翌20日の中日戦から5日巨人戦までの14試合で36打数1安打、打率2分8厘。自己ワーストの33打席連続無安打と、極度の不振に陥っている。この日も早出特打を行った。何とかトンネルを脱出しようともがき続けている。 2年前、近大3年秋の関西学生リーグで打率1割8分8厘と大不振に陥ったことがあった。2年春~3年春までは打率は常に3割を超えていた。「自然にできていたことが、ちょっと忘れた、というわけではないですが...」と、微妙なフォームのズレを感じていた。それでも「取り戻すというか、どんどん新しいものにしていかないといけない。よかったところとかはもちろん映像とかで見ますけど、戻ろうという意識はないですね」と、過去は振り返らなかった。 プロでも同じだ。バットの左手の握りを変え、構えた位置も低くなるなど、改良、工夫を重ねてきた。新しい佐藤輝で、再びレギュラーを奪う。今季は104試合に出場し、打率2割5分5厘、60打点、本塁打はチームトップの23本。激戦のペナントレースを制すためにも、佐藤輝の復活は不可欠だ。【石橋隆雄】

◆阪神青柳晃洋投手(27)が序盤に崩れ、5回を8安打4四球5失点で今季3敗目(10勝)を喫した。自身の連勝は8で止まった。 1回、3番青木に先制打を献上。2回には8番サンタナの右翼ポール際ソロで加点された。痛恨だったのは3回1死一、二塁の場面。4番村上に特大の右中間3ランを浴び、序盤から大量リードを許した。 「チームもいい流れで迎えた試合でしたが、自分の投球で水を差すような形になってしまい、チームに本当に申し訳ないです」 試合前にはあいさつ回りで甲子園を訪れた侍ジャパン稲葉監督と談笑。東京オリンピック(五輪)金メダルの実力を披露したかったが、5月14日巨人戦から続く自身の連勝がストップ。チームの引き分けを挟んでの連勝も3で止まった。

◆ヤクルト奥川恭伸投手が、聖地で初勝利を挙げた。 プロ2度目の甲子園の登板は、チームは2カード連続負け越しと悪い流れの中。「ここで上の2チームにくっついていかないといけないところ。絶対大事だなと思った」と意気込んだ。自らにプレッシャーをかけながらも、平常心は忘れなかった。150キロを超える直球を中心に、スライダーとフォークを織り交ぜ、7回を2安打無失点8奪三振。阪神打線を83球の省エネ投球で封じた。 これで6勝目。高卒2年目以内でのシーズン6勝は、球団では99年五十嵐亮太が達成して以来の記録となった。「まずまずよかった。まだまだ上はあると思う。満足せずにいい投球内容を目指したい」と引き締める。勝利も通過点。絶対的なエースとなるため、おごらず腕を磨いていく。

◆阪神中継ぎ陣が踏ん張れなかった。5点を追う6回から2番手で登板した馬場皐輔は2死一、三塁から村上の右前適時打で5試合ぶりに失点。7回から2イニングを投げた小野泰己も6安打5失点と勢いを止められなかった。 9回に4番手の湯浅京己も荒木に適時打を許し、3人そろって失点した。巨人戦では中継ぎ陣が踏ん張り連夜の反撃を演出したが、この日は反撃の機運を高められなかった。

◆ヤクルトが"奇襲"に成功し、優勝戦線に踏みとどまった。高津臣吾監督(52)は、今季4戦3敗と苦しむ阪神青柳相手に大胆な先発変更を敢行。今季12打数1安打、通算37打数5安打と相性の悪い山田を外した。「いろいろ考えた。この打順が一番いいと判断した」と、直近の5日広島戦から変わらないのは、4番村上のみ。野手7人の先発を組み替えた。 効果はさっそく発揮された。1回1死、2番坂口が右翼二塁打で出塁すると、3番青木が適時左前打を放って先制。2回には8番サンタナの10号ソロ、3回には不変の4番村上が32号3ランと序盤に一気に突き放した。ふたを開けてみれば、今季最多18安打で12得点と大勝。指揮官は「期待通り。しっかりと自分の仕事を理解してプレーした結果」とうなずいた。 9月に入って、5戦8得点。打線の不調が響き、1勝3敗1分けで優勝戦線から1歩後退。負けると首位阪神と4・5差になる重要な1戦で、大幅に入れ替えて得点力不足を解消。高津監督は「控えで出ている選手の活躍というのは、刺激になる。レギュラーだけではなくチーム全体や我々も刺激をもらえた」と晴れやかな表情を見せた。チーム一丸となって、逆転優勝へ突き進んでいく。【湯本勝大】 ▽ヤクルト村上(3回1死一、二塁で32号3ラン) チャンスだったので積極的に打ちにいくことを心がけて打席に入りました。1球でしとめることができて良かった。

◆阪神4番ジェフリー・マルテは攻守に精彩を欠いた。打っては20歳奥川に的を絞らせてもらえず、3打席連続三振。 一塁守備では5点ビハインドの6回1死一塁で馬場のけん制球を後逸し、両リーグワーストのチーム69失策目で追加点を呼び込んでしまった。ここ3試合で11打数1安打と、やや当たりが止まっている。

◆巨人戦で燃え尽きたのか? 阪神が3位ヤクルトに完敗し、2・5ゲーム差に迫られた。ベテラン糸井嘉男外野手(40)を3番右翼で起用する日替わりオーダーで臨んだが、打線は2安打と沈黙。投手陣も18安打12得点と打ち込まれた。前カードの巨人戦では、驚異的な粘りを発揮。2勝1分けで首位を奪還したが、この日は強い虎の姿はなかった。G倒疲れなのか? 激勝疲れなのか? 矢野阪神がお得意の3位ヤクルトに信じられないほどあっさり敗れた。今季8度目の完封負け。スコアボードには0-12の無残な数字が残った。サンドバッグ状態の投手陣は今季ワースト18被安打と打ち込まれ、打線はわずか2安打。試合後の会見場に現れた矢野監督の表情もさすがに浮かない。 「バッテリーがどうしても先にポンポンといかれちゃうというね。点取られているところでリズム作れないというのはある。それを巨人戦は逆転できたけど。打者陣もそれを言い訳にはできないけど。確かに奥川いいなと思っていたけど。その中でもうちょっと何かできる打線になっていかないといけない」 週末の上げ潮ムードが一変した。初回に3者凡退で倒れると、淡泊な攻撃が続いた。ヤクルトの20歳奥川の前に続く沈黙...。ヒットは2回糸原の中前打と6回梅野の右前打だけで、3回の3者連続を含む8三振を奪われた。前カードの巨人3連戦は劇的なサヨナラ勝ちを含む2勝1分けとライバルを蹴散らした。燃え尽き症候群ではないだろうが逆転の虎が、この夜は借りてきた猫になってしまった。 打線の並びも指揮官を悩ます種になりそうだ。この日は5日巨人戦で同点打を放ったベテラン糸井を6月13日楽天戦(楽天生命パーク)以来、約3カ月ぶりに先発で起用。自己ワーストの33打席連続無安打と苦しむ佐藤輝は、3試合ぶりにスタメンから外した。首脳陣は打線を固定しない「日替わり打線」を組む方針だが、この日は苦心のオーダーが実ることはなかった。 ヤクルトが不気味だ。この日は2位巨人も敗れて順位に変動はなかった。ただ、1位阪神から3位ヤクルトとの差はわずか2・5ゲーム。矢野監督は今シーズン中に再び対戦するであろう奥川に対して「こっちとしてはどうやって対策していくかを考えないといけない」と表情を引き締めた。シーズンは筋書きのないドラマ。どう転んでもおかしくない。トンビに油揚げ...なんてことだけは避けなければいけない。【桝井聡】

◆投打がかみ合ったヤクルトが、優勝戦線に踏みとどまった。今季4戦3敗と苦手の阪神青柳対策で、大胆に打線を変更。青柳との今季対戦成績が12打数1安打、通算でも37打数5安打と相性の悪い山田を外し、野手7人の組み替えが的中した。投げては先発奥川が7回2安打無失点と好投。試合後の高津臣吾監督(52)の主な一問一答は以下の通り。 ? -奥川の投球 完璧ですね。なんか文句つけてやろうと思ったんですけど。文句のつけようがないですね。すべての球種、ストレートはもちろんですけど、いろんな球種でカウントが取れるので、困ったときに、というところの引き出しもたくさんあるのかなと思います。 -成長を感じる 成長しているなとは思いますけど、今完結しているわけではないので、すべて終わったときに、果たしてどういう過程でこのシーズンを終われたか。来年にどうやって向かっていくか、というところの長い目で見ているので、今のところは非常に順調に成長しているなというのは感じます。 -首位阪神との戦いでの好投 彼に関して言えばプランはしっかり立てて、今日たまたま登板の日になったんですけど、いい勢いをつけてくれるピッチングだったと思います。 -優勝争いへ向けて奥川を中10日登板から詰める構想は いや、もう彼の場合は最後までプランができているので、その通りに進むだけだと思います。 -今季中には なんとも言えないです。それは。 -大幅な打線の入れ替え 今日は青柳投手ということでいろいろ考えました。今日の打順の並びが一番いいと、コーチも判断し、決めたわけですけど、非常に期待通りというか、奥川のピッチングじゃないけど、本当にしっかりとみんなが仕事を理解し、自分の立ち位置を理解し、プレーした結果が今日の打線のつながりだったと思います。 -先制したあとにも点が取れた 本当は4、5回もチャンスでもう1点とは思ったんだけど、ムネ(村上)のホームランで大きく試合を動かすことができたし、先に点が取れたというのは、青柳投手相手にすごく大きな得点だったと思います。 -打線を変えて点が取れて刺激になった 先週が全然点が取れなかったので、丈(宮本)とか坂口とかがね、常にレギュラーというか、控えで出ているわけですけど、そういう選手の活躍というのは本当に刺激になるんじゃないですか。レギュラーだけじゃなくて、チーム全体とか我々も刺激をもらいますしね。すごくいい1、2番でしたね、今日は。 -あと2戦も重要 毎日同じですよ。勝つためにどうするかとか、どうやったら打てるか、どうやったら抑えられるかということを、みんなで勉強しながら毎日を戦っていきたいなと思います。

◆リーグトップタイ10勝を挙げている阪神青柳が、まさかの2被弾など5回8安打5失点で3敗目を喫した。「チームもいい流れで迎えた試合でしたが、自分の投球で水を差すような形になってしまい、チームに本当に申し訳ないです」。4月28日中日戦以来13試合ぶりの黒星。4戦3勝と好相性だったヤクルト戦で、自身の連勝は8で止まった。 初回に連打で1点を失うと、2回は8番サンタナに右翼スタンドギリギリのソロを浴びた。3回1死一、二塁で4番村上に初球のシンカーを完璧に捉えられ、右中間へ特大3ランを献上。ここまで2本塁打を浴びていた主砲につかまってしまった。 前回8月31日中日戦(甲子園)では3回に一挙5失点。開幕から安定感抜群の投球を続けてきたが、ここ2試合で苦戦する。矢野監督は「もうちょっとバッテリーが工夫できるところがあったんじゃないかなと思うけど。1点はね、仕方がない部分はあるけど、次の3点はちょっと重い」。相手がさまざまな対策を講じる中で、それを上回る投球を期待した。「今までそうやってやられている中で成長できてきた部分もあるし。まだまだ成長せなあかんところもある」。前半戦首位を走るチームに大きく貢献してきた右腕。苦しい時期を乗り越えられる力はある。【磯綾乃】 ▽阪神福原コーチ(2戦連続5回5失点で3敗目の青柳に)「疲れがちょっと出ている。ゴロ、凡打をイメージして投げてほしい。しっかり調整して次、やり返さないといけない」

◆球界に旋風を巻き起こした怪物ルーキーが、2軍降格危機に直面した。阪神佐藤輝明内野手(22)がヤクルト戦のスタメンから外れ、試合終了まで出番はなかった。プロ初の欠場に、矢野燿大監督(52)は「奪い取ればいいんじゃないの?」とゲキを飛ばした。チームは投打で精彩を欠き、3位ヤクルトに完敗。2・5ゲーム差に接近された。不振の怪物ルーキーはついにプレーすることなく、1日を終えた。佐藤輝が今季105試合目で初めて出番なく終わった。プロ初の欠場だ。この日の打線はわずか2安打。チーム8度目の0封負けとなった。3回裏には、9番青柳の打順に備え次打者席でバットを振っていたが、結局、そのまま青柳が打席に入った。8回は代打サンズ。9回は9番からの打順でも、長打力のある佐藤輝の名前はコールされなかった。試合後、矢野監督は「(起用法は)毎日考えている。奪い取ればいいんじゃないの? アイツが」と奮起を促した。 この日は3試合ぶりにスタメン落ちした。8月19日DeNA戦(東京ドーム)で9回に左翼へ23号ソロを放ったが、翌20日の中日戦から5日巨人戦までの14試合で36打数1安打、打率2分8厘。自己ワーストの33打席連続無安打と、極度の不振に陥っている。この日も早出特打を行った。何とかトンネルを脱出しようともがき続けている。 2年前、近大3年秋の関西学生リーグで打率1割8分8厘と大不振に陥ったことがあった。2年春~3年春までは打率は常に3割を超えていた。「自然にできていたことが、ちょっと忘れた、というわけではないですが...」と、微妙なフォームのズレを感じていた。それでも「取り戻すというか、どんどん新しいものにしていかないといけない。よかったところとかはもちろん映像とかで見ますけど、戻ろうという意識はないですね」と、過去は振り返らなかった。 プロでも同じだ。バットの左手の握りを変え、構えた位置も低くなるなど、改良、工夫を重ねてきた。新しい佐藤輝で、再びレギュラーを奪う。今季は104試合に出場し、打率2割5分5厘、60打点、本塁打はチームトップの23本。この日の完敗で、2位巨人、3位ヤクルトが2・5ゲーム差にひしめき合う状況となった。激戦のペナントレースを制すためにも、佐藤輝の復活は不可欠だ。【石橋隆雄】 ▼佐藤輝が、2リーグ分立後では球団初の新人シーズン全試合出場を逃した。今季の12球団新人では、前日6日まで唯一1軍公式戦全試合に出場を続けていた。球界では18年藤岡裕大(ロッテ)以来3年ぶり、セ・リーグでは61年徳武定之(国鉄)以来60年ぶりの快挙を逸した。

◆阪神・糸井嘉男外野手(40)が「3番・右翼」で出場。6月13日の楽天戦(楽天生命パーク)以来のスタメンに名を連ねた。 また、自己ワーストの33打席連続無安打の佐藤輝明内野手(22)はベンチスタートとなった。

◆東京五輪で日本代表を金メダルに導いた稲葉監督が試合前に訪れ、両球団の監督、代表選手と言葉を交わした。「ありがとうね、と感謝の気持ちを伝えさせていただいた」と話した。 代表メンバーは阪神で梅野と青柳、岩崎、ヤクルトでは山田と村上が主力を担い、互いに優勝争いを繰り広げている。「ジャパンの重圧の中で戦った。行動、言動、プレーで模範でなくてはならないという話はさせてもらっている。背中で引っ張っていく存在であってほしい」と活躍を期待した。(甲子園)

◆現役時代は阪神で投手として活躍し、引退後はコーチも務めた中西清起氏(59)が株式会社オーダースーツSADA協賛の「オーダースーツSADA Day」として開催された阪神―ヤクルト戦(甲子園)のファーストピッチセレモニーに登場した。 紺色のスーツを着て投じた注目の1球は、捕手の手前でショートバウンドし「ぶっつけ本番で、ウオームアップもできなかったけど、(投球内容は)言い訳にならない」と苦笑いした。 数年前から同社のオーダースーツを着用している中西氏は「われわれは肩とか腕の長さが左右で違ったりとか、既成のもの(スーツ)ではなかなか合わない。(SADAのスーツは)体形に合わせて、オーダーで作ってくださるので、ありがたいです」と話せば、同社の佐田展隆社長(46)は「阪神に優勝してもらって、勝ちスーツにしてもらいたい」と願った。 中西氏は今季の阪神の投手陣について「リリーフは後半戦で岩貞、岩崎だったり、小川とか、生きのいい(若い)投手も出てきている。後半は(メンバーも)そろってきたので、いい形でやれている」と評価。16年ぶりのリーグ優勝へは「若いチームで怖さを知らないので(このまま)勢いでいってほしい。大山も復調したし、あとはサトテル(佐藤輝明)かな。一発ガツンというのはほしいかなという感じはするけど、(これからが)非常に楽しみ」と期待を寄せた。

◆ヤクルトは打線の入れ替えが奏功した。試合前の時点で10勝を挙げている阪神先発・青柳に対し、高津臣吾監督(52)は、塩見と山田の右打者2人をスタメンから外し、代わりに1番に宮本、2番に坂口、3番に青木を配置。一回に上位打線で先制した。 1死から坂口が一塁線を破る二塁打で出塁すると、青木が左前適時打。シンカーに対し、最後は右手一本で捉え「坂口が本当に良い走塁をしてくれました。初回に先制することができてよかったです」。直近5試合で8得点だった打線が、いきなり流れを呼んだ。

◆ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(29)が、二回2死から右越えへの10号ソロを放った。 「チームが良い流れで試合に入れた中、青木が初回に(先制の左前適時打で)チームに勢いをつけてくれて楽な気持ちで打席に入れた。よく入ってくれた」 阪神の先発右腕・青柳が投じた142キロの直球を捉えると、打球は右翼フェンス上部に当たり、スタンドイン。試合前の時点で6打数3安打の打率・500と好相性の右腕から、貴重な一発を放った。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(21)が、2点リードの三回1死一、二塁から右中間席へ32号3ランをたたき込んだ。 阪神の先発・青柳が投じた初球、127キロのチェンジアップを捉え「チャンスだったので、積極的に打ちにいくことを心掛けて打席に入りました。一球で仕留めることができてよかったです」。試合前の時点で10打数5安打と好相性だった右腕から、今季3本目のアーチをかけた。

◆先発した青柳晃洋投手(27)は5回8安打5失点で降板。ハーラー単独トップとなる11勝目を挙げることはできなかった。 一回、1死二塁から青木の左前適時打で先制されると、二回にはサンタナにソロアーチを被弾。0-2の三回、安打と四球で1死一、二塁のピンチ。村上にシンカーを右中間席に運ばれる3ランを浴びた。 青柳は5月14日の巨人戦(東京ドーム)で3勝目を挙げてから8連勝中。試合前の時点でリーグトップタイの10勝、防御率2・22はリーグ2位で、ヤクルトには4戦3勝負けなし、防御率2・03と抜群の相性を誇っていた。 この日は、東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督(49)が甲子園にあいさつに訪れた。代表メンバーだった青柳も試合前に対面したが、マウンドで結果を出すことはできなかった。

◆ヤクルトが連敗を「2」で止めた。一回に青木の適時打で先制。二回にサンタナの10号ソロ、三回には村上の32号3ランでリードを広げた。先発の奥川は7回2安打8奪三振無失点の好投で6勝目(3敗)を挙げた。

◆阪神は投打に精彩を欠いて0-12と完敗。打線は2安打しか打てず、今季8度目の零封負け。4人の投手が計12失点と炎上し、連勝(1引き分けを挟む)は「3」で止まった。 ヤクルトの先発・奥川の前に7回2安打無得点と攻略できなかった。糸井が、6月13日の楽天戦(楽天生命パーク)以来、3カ月ぶりに「3番右翼」で先発したが、3打数無安打。近本、中野の1、2番コンビも出塁できなかった。 先発した青柳は一回、青木に先制打、二回にはサンタナに被弾。0-2の三回、村上に右中間席に3ランを被弾し、5回5失点で降板。救援の馬場も1失点、小野は5失点、湯浅も1失点とヤクルト打線の勢いを止めれなかった。 青柳は今季3敗目(10勝)で、自身の連勝は「8」で止まった。3試合ぶりにスタメンを外れた佐藤輝は出場機会がなく、開幕からの連続試合出場は止まった。

◆ヤクルトの奥川は7回を2安打無失点で6勝目。球威が光り、無四球と制球も安定して二塁を踏ませなかった。一回に青木が先制打、2―0の三回は村上が3ランを放つなど、計12得点と圧倒した。奥川との一問一答は次の通り。 --無四球の好投 「四死球を出さないことは普段、心がけてやっていること。それが良い結果につながっている」 --甲子園での投球は 「高校時代も何度も試合をした球場。すごく楽しかった。投げやすい」 --甲子園でプロ初勝利 「とてもうれしい」 --今後に向けて 「チームとして優勝という一つの目標に向かって全員が一生懸命プレーしている。自分も優勝に貢献できるようにがんばりたい」

◆阪神は青柳晃洋投手(27)が5回5失点で降板するなど、計4投手で18安打を浴び、12点を奪われてヤクルトに完敗した。巨人も敗れたため、首位は守った。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー青柳はらしくない投球 「もうちょっとバッテリーが工夫できるところがあったんじゃないかなと思うけど。1点はね、まあ仕方がない部分はあるけど、次の3点はちょっと重い」 ーー相手打線も対策を 「それは今までもやってくることやし。俺が反対でもそうやってやるっていうことも考えられるし。今までそうやってやられている中で成長できてきた部分もあるし。まだまだ成長せなあかんところもある。両方のあれが出ているんで」 ーー序盤に得点できないケースが続いている 「だからバッテリーがどうしても先にポンポンといかれちゃうというね。点取られているところでリズム作れないというのはあるし。それを巨人戦は逆転できたけど。打者陣もそれを言い訳にはできないけど。確かに奥川いいなと思っていたけど。その中でもうちょっと何かできる打線になっていかないと」 ーー奥川は登板間隔は分からないが、当たる可能性がある 「それは向こうが決めることなんで。こっちとしてはどうやって対策していくかを考えないとね」

◆阪神はヤクルトに惨敗。33打席連続無安打の佐藤輝明内野手(22)は今季105試合目にして初めて、出場機会がなかった。試合後、矢野耀大監督(52)は起用法を聞かれ「毎日、考えているけど。奪い取ればいいんじゃないの」と語っていた。

◆阪神・青柳が心配だ。2試合続けて序盤に5失点するような投手ではない。ボール自体は悪くない。ただ、自信のあるコースをストライクと判定されなかったり、自信を持って投げた球を打たれると、その後の球に微妙なズレが生じてしまっている。そして、そのズレを修正できなくなっている。 技術的ではなく、メンタルの部分だろう。開幕以来、好調だった青柳は、ズレがあっても、すぐに元に戻せていたのだが、東京五輪後、何が原因かは分からないが「おかしいな」「おかしいな」と思いながら投げ続けているように映る。 解決策は梅野と徹底的に話し合うこと。打者への入り方、追い込んでからの打ち取り方を、もう一度、基本に立ち返って徹底的に洗い直してもらいたい。 ここまで阪神のローテを支えてきたのは青柳。青柳が崩れると、ローテは崩壊するし、岩崎、スアレスへとつなぐ勝利の方程式も崩れる。優勝争いすらおぼつかない。次回登板までに青柳が復調できるか。この1週間が阪神の今後を左右すると言っても過言ではない。(本紙専属評論家)

◆阪神は先発の青柳晃洋投手(27)ら4投手が18安打&12失点で大敗。打線も2安打で3日からの巨人3連戦(甲子園)で見せた執念はどこへやら。データでこの試合を振り返ってみると...。 ◆...阪神の1試合2安打は7月11日の巨人戦(●0-1、甲子園)での1安打以来 ◆...零封負けは8月29日の広島戦(●0―5、マツダ)以来、今季8度目。2桁失点は8月25日のDeNA戦(●2-10、京セラ)以来今季5度目だが、1点も奪えず、2桁失点するのは、2018年10月1日のDeNA戦(●0―10、甲子園)以来、3年ぶり ◆...18被安打は今季ワースト。14年5月29日の西武戦(●2―12、甲子園)での19被安打以来 ◆...12点差以上で敗れるのも今季ワースト。19年7月28日の巨人戦(●4-16、東京ドーム)以来 ◆...佐藤輝のスタメン落ちは今季8試合目だが、欠場は105試合目で初 ◆...青柳は5月14日の巨人戦(東京ドーム)以来、自身8連勝中だったが、ストップ。4月28日の中日戦(バンテリンドーム)以来、登1313試合ぶりの黒星 ◆...青柳は試合前時点で、ヤクルト戦は今季4試合登板で3勝0敗、防御率2・02。昨季も3試合登板で1勝0敗、防御率0・96と好相性。5連勝中だったが、2019年8月7日(神宮)以来、登板10試合ぶりに黒星を喫した ◆...青柳はヤクルト・村上には今季11打数6安打(打率・545)、3本塁打、5打点。通算でも30打数13安打(同・433)、6本塁打、13打点

◆東京五輪で日本代表を金メダルに導いた稲葉監督が阪神―ヤクルト戦の試合前に訪れた。両球団の監督、代表選手らに感謝の挨拶。ジャパンでの経験をチームに還元し「しっかりと背中で引っ張っていく存在であってほしい」と、さらなる活躍を期待した。 また、五輪期間中に岩崎から「母親が稲葉さんのファンなので、サインいただけますか」と頼まれて書いたことを明かし「私もうれしかったですね。優(岩崎)に『(母が)すごく、そのサインを喜んでましたよ』という報告を受けました」と笑顔で話した。

◆不動の4番が勢いをもたらした。ヤクルト・村上宗隆内野手(21)が、2点リードの三回に中越えへ32号3ラン。序盤で阪神を突き放す、大きな一撃だった。 「チャンスだったので、積極的に打ちにいくことを心掛けて打席に入った。一球で仕留めることができて良かった」 東京五輪をともに戦った青柳から今季3本目のアーチだ。試合前の時点で今季10打数5安打と相性が良く、三回は初球のチェンジアップを一閃。8月28日のDeNA戦以来8試合ぶりの一発で、1989年に清原和博(西武)が21歳9カ月で達成した最年少での通算100本塁打の更新まで「3」とした。 チームは青柳対策として打順を大幅に入れ替えた。右打者の塩見、山田をスタメンから外し、1―3番に左打者の宮本、坂口、青木を配置。一回に坂口と青木の連打で先制点を奪い、宮本は3安打を放った。今季最多の18安打で12得点。直近5試合で8得点だった打線が奮起し、その中心には2安打4打点、4四球(1敬遠含む)と全6打席で出塁した主砲が座っていた。 高津監督は「期待通り。みんなが仕事、立ち位置を理解し、プレーした結果」と称賛。頼もしい4番がいる燕打線が息を吹き返した。(赤尾裕希)

◆初めて試合に出ることなく、ゲームセットの瞬間を迎えた。佐藤輝が初の欠場。プロに入って初めての悔しさを味わったルーキーに、矢野監督は強い口調で、奮起を促した。 「(起用法は)毎日、考えているけど。奪い取ればいいんじゃないの」 自己ワーストを更新し続けて、33打席連続無安打。苦しみの中にいるドラ1ルーキーは3試合ぶりにスタメンを外れ、今季8度目となるベンチスタートとなった。三回に投手・青柳のところでネクストバッターズサークルで準備。だが、2死走者なしとなると青柳が打席に入った。その後も、打席に立つことなく、チームの敗戦を眺めることしかできなかった。 7月12日のDeNA戦(甲子園)や8月29日の広島戦(マツダ)では、九回2死まで出番なし。だが、前の打者がつないで、出場機会が巡ってきたこともあり、104試合までは全試合出場を続けてきた。新人で全試合出場となれば、セ・リーグでは4人目の快挙だったが、105試合目で途絶えてしまった。 代わって右翼には、近大の先輩の糸井が今季初めての3番で出場した。スタメン自体、6月13日の楽天戦(楽天生命)以来で、甲子園では初。5日の巨人戦(甲子園)では代打で同点の適時二塁打を放つなど、好調だった40歳の超人だが、この日は3打数無安打。快音は響かなかった。 この日も早出特打で汗を流し、なんとか復活のきっかけをつかもうと、もがいている佐藤輝。必ず、この長いトンネルを抜け出す。黄金ルーキーが復活しなければ、虎は乗っていけない。(菊地峻太朗)

◆今季の虎投の柱が崩れては、チームも波に乗れない。青柳はマウンド上で、苦悶の表情を浮かべながら額の汗を拭いた。5回97球、8安打5失点で3敗目。自身の連勝も8でストップし、巨人に勝ち越した、先週からのいい流れも止めてしまった。 「チームも良い流れで迎えた試合でしたが、自分の投球で水を差すような形になってしまい、チームに本当に申し訳ないです」 降板後にざんげした右腕。立ち上がりから不安定だった。一回に1死から連打であっさり先制を許し、二回は2死からサンタナに被弾。そして三回1死一、二塁で、村上に右中間へ痛恨の3ランだ。日本代表でともに戦った燕の4番には、試合前時点で被打率・500(10打数5安打)と苦手としていたが、またもやられてしまった。 プロ初の2試合連続5失点という屈辱的な記録も上塗りされ、4月28日の中日戦(バンテリンドーム)以来、4カ月ぶりの黒星。矢野監督も「もうちょっとバッテリーが工夫できるところがあったんじゃないか。1点は仕方がない部分はあるけど、次(三回)の3点はちょっと重い。まだまだ成長せなあかんところもある」と顔をしかめた。 試合前の練習には東京五輪で野球日本代表を金メダルに導いた稲葉監督が甲子園を訪問。右腕も練習後に挨拶をかわし、「もっと成長していく姿を見ていきたい」と気合を注入されていたが、悔しい結果に終わった。 ここにきて先発投手陣は7試合連続で先制点を献上するなど、苦境に立たされている。金曜日のカード頭の西勇は6連敗を含む7戦連続勝ち星なし。日曜日の秋山も最近2試合はピリッとしない内容が続く。そんな状況の中で、開幕から好調をキープし、週頭の火曜日を任されている青柳が頼みの綱だったが...。 試合前時点で今季4試合で3勝0敗、防御率2・02と好相性だった燕打線につかまり、ヤクルト戦は実に2年ぶりの黒星に。今後に不安が残る内容となった。 次回先発予定の14日も敵地でのヤクルト戦だ。ハーラートップタイ10勝の男が、やられたままでは終われない。この悔しい思いを、1週間後の神宮のマウンドで晴らす。(織原祥平)

◆ヤクルト・奥川恭伸投手(20)が7日、阪神16回戦に先発し、7回2安打無失点、8奪三振の快投で今季6勝目(3敗)となる甲子園球場でのプロ初勝利を挙げた。高卒2年目以内でのシーズン6勝は、球団では1999年の五十嵐亮太以来、22年ぶり。12―0の快勝に導き、チームはゲーム差を2位・巨人と1、首位・阪神とは2・5に縮めた。優勝争いの正念場。未来のエース候補が、大きな仕事を成し遂げた。 やはり、甲子園がよく似合う。首位・阪神との3連戦初戦で先発を任された奥川は7回83球を投げ、2安打無失点。ヒーローインタビューでは、マウンドでの闘志あふれる表情から一変、優しげな笑みを浮かべた。 「絶対に勝たないといけない試合だと思っていたので、勝ちに貢献できてうれしい」 石川・星稜高時代、2年春から4季連続で甲子園大会に出場し通算7勝を挙げた〝甲子園の申し子〟。最後の夏は履正社高(大阪)との決勝で敗れたが、この聖地から全国に名をとどろかせた。 あれから2年。一段と成長した姿を見せた。最速153キロの直球に、フォークボール、数種類のスライダーなど変化球もさえ、二塁すら踏ませなかった。5試合連続の無四球投球。2019年8月20日の中京高(岐阜)との準決勝以来749日ぶり、プロ入り後は2試合目で初めて、甲子園での白星を手にした。3連勝なら首位浮上の可能性もある今カード。自身にも、チームにも価値のある1勝となった。2カード連続で3連戦に負け越し、3・5ゲーム差を追う首位との一戦。若き右腕は「高校時代も、何度も試合をした球場ですし、すごく楽しかった」と気持ち良さそうに汗を拭った。喜び、悔しさ。甲子園のマウンドには多くの思い出がある。高3夏の決勝で敗れた後、奥川は大会側の厚意で特別にマウンドの土を持ち帰ることを許可された。その土は今、石川県内の実家にあるが、もう小さな瓶に収まるほどの量しか残っていない。大会後、ベンチ入りできなかった同級生に配ったからだ。アルプスからの応援があったからこそ頑張れた。今でも付き合いがある最高の仲間たちへのそんな感謝を胸に、この日もプロ野球選手として聖地のマウンドに立った。勝利を届けたい人もいた。4日前、星稜高・林和成監督(46)が来年3月末で退任することを発表した。「突然で驚きました。伸び伸びと野球をやらせてもらったおかげで今がある」と奥川。思い出すのは、恩師に掛けられた言葉だ。1年秋の北信越大会決勝。石川県大会決勝に続いて日本航空石川高に打ち込まれ、2試合で計16失点を喫した。そんな時、林監督から「星稜高校を選んでよかったな。県内にそういうライバルがいることは、それだけ成長ができる」と背中を押された。2年春の県大会決勝では4―0で雪辱。挫折を糧にすることの意味を胸に刻んだ。今後も中10日前後で起用される見込みで「みんなで優勝に向かっている。その一員として頑張りたい」と力を込めた。逆転Vへ、勢いをつける白星。奥川は聖地の土を踏み、また一つ階段を上った。(赤尾裕希)

◆まるで〝抜け殻〟...。阪神は3位のヤクルトに甲子園で0―12と大敗し、連勝は3でストップ。わずか2安打、今季ワーストの18被安打と、無抵抗に終わった。先週末の巨人との首位攻防3連戦を2勝1分けで制したあの熱さは、いったいどこに? 2位巨人も敗れて首位キープだけが救いだ。もう一回、気合を入れ直してくれ~!!ほんとに同じチームなの? 甲子園の1万1167人のファンも、テレビの前の虎党も、目を疑ったはずだ。巨人との首位攻防3連戦で激闘を繰り広げ、2勝1分けで乗り切った猛虎の姿は影も形もない。まるで〝抜け殻〟のように、3位の燕にいいようにやられた。 首位固めのはずが、わずか2安打で今季8度目の零敗に加え、今季ワースト18被安打で12失点という悲惨なスコア。どちらが首位チームかわからない試合展開に、球場はため息に包まれた。 4番のマルテは3三振 「(先に)点取られているところでリズム作れないというのはあるし。それを巨人戦は逆転できた。(ただ)打者陣も、それを言い訳にはできない。その中でもうちょっと何かできる打線になっていかないと」 試合後、矢野監督は悔しさを押し殺すように淡々と野手陣の尻をたたき、約2分と、いつもより短めに取材を切り上げた。〝何かできる〟きっかけすら、20歳の奥川の前につかめなかった。力強い直球と緩急自在の変化球にタイミングを狂わされ、7回無得点。結局最後まで先頭打者は出塁できず、三者凡退のイニングは6度を数えた。「確かに奥川いいなと思っていたけど」豊富な経験と好調ぶりを期待して3番でスタメン起用した40歳の糸井も無安打に終わり、後半戦9度目の猫の目打線は〝無抵抗〟のまま。好調・近本も4タコ、4番・マルテも3三振に失策といいところなく、救援陣も失点を重ねた。1点も奪えず2桁失点するのは2018年10月1日のDeNA戦(●0―10、甲子園)以来の屈辱だ。甲子園で観戦した藤原オーナーだが...3-5日の伝統の一戦。第1Rは中野が決勝三塁打を放つなど3点差を逆転。第2Rは大山が逆転サヨナラ本塁打を放ち、首位を奪回。第3Rは投手陣が崩れながら、今季最大6点差を追いつき、勝ちに等しい引き分けに持ち込んだ。いずれも虎の底力を示し、ファンを狂喜乱舞させた。指揮官も「自分らの野球をやれば勝つんだというのが一番強い。それを目指しています」と鼻息荒く臨んだ、今回のヤクルト3連戦だ。しかも今季はここまで10勝3敗2分けとお得意さまにしていただけに、圧倒したかったが、虎党も、試合観戦に訪れた藤原オーナー兼球団社長もがっくりだ。2位の巨人がDeNAに敗れたことで、首位を陥落しなかったことが唯一の救い。だが、3位のヤクルトとは2・5ゲーム差に縮まり、三つどもえの優勝争いは予断を許さない状況だ。「こっちとしてはどうやって対策していくかを考えないとね」と矢野監督。来週の神宮(14、15日)で再び相まみえる可能性のある奥川に、必ずリベンジする。こんな試合は、もうできない。チーム全体で燃えるような〝熱〟を取り戻し、やり返す。(新里公章)

◆わが阪神、10年に1度くらいの、な~んにもない試合...。トホホの夜です。 伝統的に巨人戦の次のカードは弱いとかあるんだけどさ~、それにしてもヤクルトの18安打12得点に対して、阪神はわずか2安打ポッキリ(しかも八回の大山のヒットが試合中にエラーに訂正されるという泣きっ面にハチや~)で零封負けはないやろー!! 誰が悪いとかではなくて、4番に入ったマルテが3打席3三振(巨人戦でも2併殺打やらで苦しんでいた)。その前に4番に起用されたサンズもいい仕事はできず。本来4番の大山の大不振から『虎の4番地獄』が始まっているんだけど...。プレッシャーなのかなあ? そこで、思い切って優勝のために阪神は4番をなくしましょう!! 「4番、●●」の場内アナウンスが大きなプレッシャーになっているんでしょう。だから3番打者の次のアナウンスは「次のバッターはファースト、マルテ...」と4番打者を消したれー!!

◆〝代打の神様〟が、きっちりと仕事をした。ヤクルト・川端は八回2死二塁から奥川の代打で打席に立ち、左前適時打。球団のシーズン代打安打数で、1988年の若松勉を抜いて単独2位の23安打とした(1位は真中満の31本)。16打点も89年の八重樫幸雄、2003年の佐藤真一に並ぶ同4位。「絶対に(走者を)かえしてやろうという強い気持ちを持って打席に入ってます」という背番号5の存在は大きい。

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
58434 0.574
(↓0.006)
-
(-)
38430
(-)
403
(+12)
101
(-)
91
(-)
0.251
(↓0.002)
3.530
(↓0.09)
2
(-)
巨人
524014 0.565
(↓0.006)
1.5
(-)
37429
(+2)
398
(+8)
134
(-)
58
(+1)
0.247
(-)
3.520
(↓0.05)
3
(-)
ヤクルト
493912 0.557
(↑0.005)
2.5
(↑1)
43437
(+12)
387
(-)
101
(+2)
57
(-)
0.255
(↑0.002
3.630
(↑0.04)
4
(1↑)
広島
415210 0.441
(↑0.006)
13
(↑1)
40392
(+8)
433
(+7)
86
(+3)
50
(-)
0.261
(↑0.001)
3.900
(↓0.03)
5
(1↓)
中日
405214 0.435
(↓0.005)
13.5
(-)
37303
(+7)
344
(+8)
53
(-)
54
(-)
0.239
(↑0.002)
3.140
(↓0.05)
6
(-)
DeNA
405313 0.430
(↑0.006)
14
(↑1)
37422
(+8)
480
(+2)
107
(+1)
23
(-)
0.258
(-)
4.320
(↑0.02)