阪神(☆4対3★)巨人 =リーグ戦17回戦(2021.09.04)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:岩貞 祐太(4勝0敗0S)
敗戦投手:ビエイラ(0勝1敗16S)

本塁打
【巨人】岡本 和真(34号・6回表2ラン)
【阪神】梅野 隆太郎(3号・5回裏2ラン),大山 悠輔(15号・9回裏2ラン)

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◆阪神が劇的なサヨナラ勝利。阪神は1点差で迎えた5回裏、梅野の2ランで逆転に成功する。その後逆転を許して迎えた9回に、無死1塁から大山の2ランが飛び出し、試合を決めた。投げては、4番手・岩貞が今季4勝目。敗れた巨人は、守護神・ビエイラが痛恨の一発を浴びた。

◆巨人岡本和真内野手(25)の今季阪神戦は、東京ドームの6試合では打率3割9分1厘、3本塁打だが、甲子園では10試合で同1割2分5厘でわずか1本塁打。苦戦する敵地で今日は打てるか。

◆阪神佐藤輝明内野手(22)が、7番右翼で8月28日の広島戦(マツダスタジアム)以来5試合ぶりにスタメンに復帰した。 7番は7月9日の巨人戦以来2度目。今季チームが4戦4敗と苦手としている巨人先発左腕高橋には今季9打数2安打1打点。3月14日のオープン戦では左翼ポール直撃の本塁打を放っている。今季、対左腕は打率2割8分3厘と対右腕の2割4分6厘より高い。前日3日は代打で登場し空振り三振。自己ワーストを更新する28打席連続無安打中だが、久々のスタメンで長いトンネルから脱出したい。 前日3日の巨人戦で7番に入り、3安打3打点の大山悠輔内野手(26)は6番三塁。ジェリー・サンズ外野手(33)は2試合ぶりにスタメン復帰し、3番左翼で出場する。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、5試合ぶりに「7番右翼」でスタメン復帰した。自己ワーストの10試合、28打席連続ノーヒットで迎えた首位巨人との首位攻防第2ラウンド。試合前のスタメン発表で「7番 ライト 佐藤輝明」とコールされると、ひときわ大きな拍手が甲子園に響いた。 第1打席は2回2死。2球ボール球を見逃し、カウントは2-0。バッティングカウントで左腕高橋の内角直球に手を出した。右翼へ鋭い飛球が飛び、甲子園は大歓声に包まれたが、松原のグラブに収まった。 第2打席は5回無死一塁。カウント0-2と追い込まれてから、外角123キロのきわどい変化球を見極めボールとしたが、最後は内角高め142キロの直球にバットが空を切った。 第3打席は1点ビハインドの7回1死。2番手デラロサの2球目、140キロのカットボールを強振すると、一塁アルプス席最深部へ強烈なファウルが飛んだ。タイミングがわずかに違えば...。スタンドインを予感させる弾道に、どよめきが起こった。ただ、最後は内角高めの直球に空振り三振。これで自己ワーストをさらに更新する31打席連続無安打。今季147個目の三振となった。

◆巨人大城卓三捕手(28)が、大好きな甲子園で先制の適時打を放った。4回2死二塁。「(先発の高橋)優貴のために打ちました」と阪神ガンケルの外角144キロのツーシームを逆らわずに左前に軽打した。 東海大相模では、3年夏に甲子園で準優勝。昨季は打率4割4分8厘、今季も7月11日の同戦で西勇から決勝打を放つなど、甲子園では無類の勝負強さを発揮する。

◆阪神梅野隆太郎捕手(30)が一時は逆転弾となる3号2ランを放った。 1点を追う5回1死一塁、2ボール。左腕高橋の144キロ直球を完璧にとらえ、左翼席に運んだ。7月1日ヤクルト戦以来のアーチとなった。 「(先発投手の)ガンケルもすごく頑張ってくれていますし、(大山)悠輔も先頭で塁に出てくれたので、何とかしたいという気持ちでした」 前日3日巨人戦ではスタメンから外れ、2戦ぶりの先発マスク。気合十分の感情をバットに乗せた。

◆阪神2番手の及川雅貴投手(20)が7回2死満塁のピンチを抑えた。7回1死一塁で先発ガンケルをリリーフ。両打ちの代打若林には四球を与えたが、1番丸はスライダーで空振り三振。2番坂本を申告敬遠で満塁となり、左の吉川に代わって登場した中島と対決した。 2球で中島を追い込むと、スタンドからは虎党が拍手で後押し。外角、内角と2球きわどいコースを突くボールで揺さぶり、5球目は低めボール球の変化球で空振り三振。メガホンが打ち鳴らされる中、及川はマウンド上でガッツポーズを見せた。 「3試合連続失点していたので、今日は何としても0点で抑えるという強い気持ちで投げました。四球は出してしまいましたが、0点で抑えることができてよかった」と笑顔。3試合連続失点でも、大事な場面で送り出したベンチの期待に見事に応えた。

◆今季巨人戦初登板初先発のジョー・ガンケル投手(29)が6回1/3、110球、6安打3失点と粘りの投球を見せた。 「全体的にはいい投球ができていたと思う。ただ、あのホームランでリードを許した展開でマウンドを降りることになり悔しい」と、6回に岡本和に左翼席中段にたたき込まれた痛恨の逆転34号2ランを悔やんだ。

◆阪神が大山悠輔主将(26)の逆転サヨナラ弾で、8月28日以来、1週間ぶりに首位に返り咲いた。 1点ビハインドの9回無死一塁、巨人の守護神ビエイラを捉え、左翼席へ15号2ラン。自身2本目の逆転サヨナラ弾だった。甲子園の虎党は大興奮のサヨナラ劇でも、大山は冷静にお立ち台で言葉を紡いだ。 大山のお立ち台での一問一答は以下の通り。お立ち台に立つと割れんばかりのメガホン音。大山は一礼で応える。 -今の心境は 「本当にうれしいです」 -あの場面、どんな思いで打席に入ったか 「いやもう死ぬ気で、打ちにいきました」 -打った瞬間確信していたように見えた 「入ってくれと思って走ってたんですけど、入ってくれてよかったです」 -首位浮上のサヨナラ弾となった(質問が聞こえないほどのメガホン音。大山は聞き返す) 「そうですね、本当に大事な1試合っていうのはずっと分かっていたので、勝つことができてよかったですし、ここで油断することなく、また頑張りたいと思います」 -去年も一昨年もサヨナラ弾を打っている。今年のサヨナラホームランは 「うれしいです」 -昨日に続いてお立ち台。完全復活か 「1試合1試合頑張りたいと思います」 -最後にファンへメッセージ 「明日も頑張ります。応援よろしくお願いします」

◆2位阪神が大山悠輔内野手(26)の劇的な逆転サヨナラ弾で、巨人との首位攻防3連戦の2戦目に勝利し、1週間ぶりに首位へ返り咲いた。 先発のジョー・ガンケル投手(29)が7回途中3失点と粘った。4回に大城の適時打で先制点を許したが、1点を追う5回に8番梅野隆太郎捕手(30)が一時は逆転弾となる3号左越え2ラン。ムードが一変した直後の6回、4番岡本に特大の逆転左越え2ランを献上したが、その後は持ちこたえた。 打線は1点を追う8回1死満塁、4番ジェフリー・マルテ内野手(30)が遊ゴロ併殺打に倒れて万事休すかと思われたが、9回裏に主将がチームを救った。 9回は巨人守護神ビエイラに対し、先頭糸原が安打で出塁。続く6番大山が15号2ランをかっ飛ばし試合を決めた。大山は2試合連続のお立ち台。後半戦はスタメン落ちや中軸から外れるなど悩める主砲が完全復活した。 4番手で登板し、9回を3者凡退に抑えた岩貞祐太投手(29)が4勝目を挙げた。

◆両先発がまずまずの立ち上がり。先発ガンケルは3回を1安打無失点。巨人高橋も3回を1安打無失点に抑えた。 巨人が4回大城の左前適時打で先制。阪神は5回に梅野の左越え2ランが飛び出すも、巨人が6回に岡本和の34号2ランで逆転。 阪神が9回に大山の15号2ランでサヨナラ勝ちを収めた。チームは再び首位に浮上。巨人はビエイラが今季初黒星。阪神岩貞4勝目。

◆巨人岡本和真内野手が一時逆転となるキャリアハイの34号2ランを放ったが、チームはサヨナラ負けを喫した。逆転された直後の6回1死三塁。阪神ガンケルのツーシームを左翼席に運んだ。 18年に自身初の30本塁打を放ち、史上最年少の「3割、30本、100打点」を達成した甲子園で、自己最多本塁打を更新したが、記録について「全く何も意識してないですし、考えてないです」と淡々と話した。

◆阪神岩貞祐太投手が2試合連続の勝ち投手となり4勝目を挙げた。 8回1死満塁のチャンスで得点できず球場全体が沈んだ直後の9回に登板。松原、若林を外野フライで打ち取り、丸には外角にきっちり球を集め、最後は148キロ直球で空振り三振に仕留めた。「勝ちたいという、その一心で投げました。自分の役割は果たすことができた。キャプテンの大山が本当にすごい仕事をしてくれた」。投手主将は3人斬りでその裏の攻撃に好リズムでつなぎ、主将大山のサヨナラ2ランを演出した。

◆巨人が3年ぶりの逆転サヨナラアーチを食らい、首位から陥落した。 1点リードの9回に登板したビエイラが糸原に安打を浴び、続く大山に156キロ直球を左翼席へ運ばれた。まさかの結末に、巨人ナインは守備位置で立ち尽くした。首位の座を奪ってから、わずか6日後に2位転落。原監督は「もうちょっと点を取っておくというところでしょう」と淡々と振り返った。 勝利への手は着実に打った。先発高橋が6回2失点と踏ん張り、リードを保ったまま継投策へ。シナリオ通りに絶対的守護神につないだが、最後は虎の執念に上回られた。2試合連続で失点した守護神だが、原監督は「こういう時もありますよ」と揺るぎない信頼を口にした。5日の首位攻防第3ラウンドに勝てば「マイナス0・5ゲーム差」で一夜にして首位に返り咲くが、敗れれば3年ぶりに阪神に同一カード3連敗で、ゲーム差は2・5に広がる。巨人が分岐点を迎える。

◆阪神5番糸原健斗内野手が大山のサヨナラ2ランを呼んだ。 1点を追う9回、先頭でビエイラの剛球に食らいついた。5本のファウルで粘り8球目、159キロ外角直球に逆らわず左翼前へ低いライナーで安打を放った。矢野監督が「糸原が粘って粘って出た」と評価すれば、井上ヘッドコーチは「今日のサヨナラは、オレは糸原が呼んだと思っている」と絶賛。今季3度目の5番に入った、つなぎのクリーンアップが、渋く輝いた。

◆阪神小川一平投手が好リリーフで劇勝へのバトンをつないだ。2-3の8回に3番手で登板。 前の打席で特大の1発を放っていた岡本和を右飛。続く中田に左前打を許したが、落ち着いて後続を断った。「攻撃に良い流れを持ってこれるような投球を心掛けてたので、0点で抑えることができてよかったです」。8月31日中日戦から2試合連続無失点で、矢野監督も「よく投げてくれた」とねぎらった。

◆阪神佐藤輝明内野手が5試合ぶりに「7番右翼」でスタメン復帰したが、3打数無安打2三振に倒れた。自己ワーストをさらに更新する11試合、31打席連続無安打となかなか出口が見えない。 復活への兆しがなかったわけではない。第1打席は左腕高橋の内角直球を捉え鋭い右飛。7回にはデラロサの140キロカットボールを強振し、一塁アルプス席最深部へ強烈なファウルが飛んだ。タイミングがわずかに違えば...、と期待させる弾道。ただ、最後は内角高めの直球を空振りし、今季147個目の三振となった。 矢野燿大監督は「状態的には良くないというのは、もちろん分かっているんですけど。その中でも使っていきたいと思うような選手ではある」と説明。井上一樹ヘッドコーチは「(大山)悠輔のこういう仕事が、輝明にも触発されるんじゃない。『オレもやりたい』っていう。そういうところがタイガースの和」と劇的勝利を刺激に、ルーキーの発奮を願った。

◆阪神が劇的な逆転サヨナラ弾で首位に返り咲いた。1点を追う9回無死一塁から6番大山悠輔内野手(26)が15号2ランを放った。矢野燿大監督(52)も劇的な首位攻防第2ラウンドを興奮気味に振り返った。 -しびれる試合 両チームが全力でぶつかった結果。苦しい展開でしたけど、諦めずにやってくれた結果が結びつきました。先頭の糸原が9回、粘って粘って出るというね、本当に全員の戦いができました。 -試合のポイントは もちろん大事な試合というのは選手もスタッフもみんな分かって、全力で取り組んでくれていました。ガンケルが岡本君に打たれた本塁打も思いきって勝負にいった結果。それは受け止めています。でも最後、悔しい思いをした悠輔が打ってくれるのはやっぱりうれしいです。後半戦、残りを勝っていくためにも全員で勝つというのが僕たちの野球なんで。その中で悠輔が帰ってきてくれると、頼もしくなりますよね。 -8回満塁チャンスを逸した時の雰囲気は 僕も正直、マルテならやってくれるという思いで見ていました。でも、全力で振りにいった結果なんで、それは受け止めるしかない。マルテは今までも、これからもいい場面で打ってくれるバッターなんでね。勝負にいった結果なんで受け止めていました。本当に全員で勝ったというのはうれしいですね。 -佐藤輝がスタメン復帰した 状態的にはなかなか良くないなというのは、もちろん分かっているんですけど。その中でも使っていきたいと思うような選手ではあるんで。守備では今日は頑張ったプレーもあったんで。良くないこと、うまくいかないこともありますけど、全員で気になったことはアドバイスしますし、全員で何とかやっていけるようにしたいです。 -首位奪回で巨人戦も勝ち越し そうですね。最後に一番上にいるというのが僕たちの目標なんで。その道中、いろんなことがあると思いますけど、この2試合を勝ったというのは僕たちにとっては大きな意味がある。僕たちの野球、タイガースの野球ができた結果での勝ちなんで、全員で喜び合えて、波に乗っていける、そういう2試合ができたかなと思います。

◆阪神中野拓夢は矢野監督の「ささやき」で今季4個目の犠打を決めた。1点を追う8回無死一、二塁。次打者席で直々にアドバイスをもらい、1球ボール球を見送った後、三塁側の投手前に絶妙に転がした。矢野監督は「オレが行った方がすっきりはするかなと思ったので、ちょっと話をしました」と説明。得点につながらなかったが、期待に応えて反攻ムードを高めた。

◆阪神梅野隆太郎捕手(30)が苦手の巨人先発高橋を攻略し、打線を勇気づけた。1点を追う5回1死一塁。ボール先行でカウントを取りに来た真っすぐを見逃さなかった。173センチの体を目いっぱい使ってフルスイング。「打った瞬間『入ったな』と思った」。打球伸びるにつれて歓声が大きくなる。大きな弧を描き、メガホンが揺れる左翼席に着弾。会心の「U2ポーズ」で喜びを爆発させた。 ? 梅野 接戦をどう取っていくかというのは、自分たちの永遠のテーマ。バチバチ意識していかないといけない。ジャイアンツから流れを持ってこれたのはよかった。 ? チームの今季100本塁打目となる3号は、7月1日のヤクルト戦(甲子園)以来、約2カ月ぶりのアーチ。何より、今季4戦4敗の天敵左腕、高橋から打ったことに価値がある。高橋からは今季の甲子園24イニング目で初めての得点。東京五輪では「侍JAPAN」の縦じまで金メダルを首にかけてから1カ月。「Tigers」の縦じまで初めて「虎メダル」を掛けられ、笑顔がはじけた。 1発に沸いたのは甲子園だけではない。遠く離れた福岡で応援する父義隆さん(56)も会心だっただろう。阪神戦のナイターがある日は、試合開始時間までに仕事を終わらせ、お風呂に入って、ビールを片手にスタンバイしているという。勝利に貢献した1発に、祝杯をあげたに違いない。 試合を決めた大山の劇的サヨナラ弾には、ベンチからヘルメットをかぶったまま飛び出し、飛び跳ねて喜んだ。「また明日は0-0からから始まる。チームもワンチャンスをものにできるように、週の最後を全員野球でやっていきたい」。少年のように喜んでいた数分後。早くも巨人との第3ラウンドに向け引き締める姿があった。【前山慎治】

◆阪神大山悠輔内野手(26)が劇的な逆転サヨナラ15号2ランを放ち、3連勝で1週間ぶりに首位を奪い返した。 勝った方がセ界のトップに立つ伝統の一戦第2ラウンド。1点ビハインドでこのまま敗戦かと思われた9回無死一塁。守護神ビエイラを完璧にとらえて左越えに運んだ。試合は阪神が5回に梅野の2ランで逆転すると、巨人が6回に岡本の2ランで再逆転。元4番の意地が、手に汗握る首位攻防の空中戦を鮮やかに締めた。大山は豪快にフォロースルーを決めた直後、夜空に右手を伸ばした。確信めいたほほ笑みと共に、ゆっくりと走りだした。どよめきと拍手の嵐が収まらない中、ホームベースで待つ仲間の輪に飛び込む。びしょぬれの破顔に、主将の安堵(あんど)がにじみ出た。 「いや、もう...死ぬ気で打ちにいきました」 1点を追う9回裏無死一塁、1ボール。「なんでもかんでも振ればいいというわけでもないですが、積極的に振ることは決めていました」。ビエイラの内角156キロ直球を左翼上空に打ち上げた。逆転サヨナラ2ラン。「その一打で勝ったというのが1番うれしいです」。チームの首位再浮上に何より心が躍った。 日本球界最速の166キロ右腕さえも打ち返す、力強いスイング。それは16年秋、阪神がドラフト1位指名に踏み切るきっかけとなった長所でもある。「タイガースは速いボールに弱い。速球に強い選手を探してくれませんか? 」。当時の金本監督から要望を受けたスカウト陣が選んだ大砲が、白鴎大の4番大山悠輔だった。 5年前に統括スカウトを任されていた佐野仙好氏は「第一印象がすごくてね」と初視察した練習試合、創価大戦を思い返す。最速156キロ右腕と騒がれていた田中正義(現ソフトバンク)の直球をいとも簡単にセンターへ強打-。周囲を驚かせた天性の特長は今も、勝負どころで打者大山の土台を支えている。 1日中日戦では決勝打。前日3日巨人戦では起死回生の同点二塁打。そして、この日は逆転サヨナラ弾。不調時の悔しさを晴らす働きで3連勝を先導し、今度こそ本格復調の気配が漂う。矢野監督も「全員で勝つというのが僕たちの野球。その中で悠輔が帰ってきてくれると頼もしくなる」と声を弾ませる。 5戦ぶりにドラフト1位佐藤輝をスタメン復帰させ、1番近本、2番中野の並びに戻した一戦。6番に打順を上げた主将に劇的弾が飛び出し、いよいよムードは最高潮だ。 「今日が良くても、明日はまたゼロから始まる。油断もスキもないようにやっていきたい。いい結果の勢いそのままにやっていけたらと思います」 歓喜の直後、主将は冷静にナインの総意を代弁することも忘れなかった。狙うはもちろん、首位攻防3連戦3連勝しかない。【佐井陽介】 ▼大山のサヨナラ本塁打は19年8月10日広島戦、20年11月4日ヤクルト戦に次いで3本目。阪神選手の3年連続サヨナラ本塁打は74~76年田淵、13~15年福留に並ぶ球団タイ記録。阪神選手が巨人戦で逆転サヨナラ本塁打は62年9月23日藤本、67年9月10日藤井、88年9月11日田尾に次いで33年ぶり4人目。 ▼阪神が巨人戦の同一カード3連戦の2戦目での連敗を4で止めた。過去4試合は先発防御率が6・26と低調だったが、この日は6イニング1/3を自責点3と粘ったガンケルが勝利をアシストした。なお、今季このカード1戦目はここまで6戦全勝。2戦目に勝てないことが、波に乗れない要因になっていた。3戦目も1勝4敗と負けが込んでいるが、今回はどうか。勝てば3年ぶりに巨人戦同一カード3連勝になる。

◆阪神が劇的な逆転サヨナラ弾で首位に返り咲いた。1点を追う9回無死一塁から6番大山悠輔内野手(26)が15号2ランを放った。

◆大山の劇的弾を演出したのは、リリーフ陣の0のバトンだった。1点ビハインドを継続した及川、小川、岩貞が、隠れヒーローだ。 まずは及川だ。1点ビハインドの7回1死一塁で先発ガンケルを救援。2死満塁までいったが、代打中島を低めの変化球で空振り三振に斬った。マウンドで思わずガッツポーズ。「3試合連続で失点していたので、今日は何としても、0点で抑えるという強い気持ちで投げました」と会心だ。 そして8回は小川だ。前の打席で特大の逆転2ランを放っていた岡本和を右飛。中田に左前打を許したが、落ち着いて後続を断った。「攻撃に良い流れを持ってこれる投球を心掛けていたので、0点で抑えることができてよかったです」。2試合連続無失点で、流れを巨人に渡さなかった。 そして9回は前日勝利投手のラッキーボーイ岩貞だ。味方打線が8回1死満塁で得点できず、球場全体が沈んだ直後。松原、若林、丸を3人で斬った。「勝ちたい、その一心で投げました。自分の役割は果たすことができた。キャプテンの大山が本当にすごい仕事をしてくれた」。投手主将の攻めの投球が、主将大山のサヨナラ2ランを誘発。岩貞は巨人戦2試合連続の勝ち投手で無傷の4勝目だ。 矢野監督も絶賛した。「先発、勝ちパターンの投手だけでシーズンを戦うのは難しい。そういうところで及川も、一平(小川)も、サダ(岩貞)もホントによく投げてくれた」。岩崎、スアレスが投げなくても、こんな勝ち方ができる。強い虎を象徴する甲子園ナイトになった。【石橋隆雄】

◆阪神ガンケルが痛恨の1発を悔やんだ。 女房役の梅野の2ランで逆転した直後の6回、岡本和に再逆転となる2ランを左翼席中段まで運ばれた。「全体的にはいい投球ができていたと思う。ただ、あのホームランでリードを許した展開でマウンドを降りることになり悔しい」。それでも今季巨人戦初登板初先発は6回1/3、110球、6安打3失点と粘り最後はサヨナラ弾の大山をとびきりの笑顔で祝福した。

◆阪神大山悠輔内野手(26)が劇的な逆転サヨナラ15号2ランを放ち、3連勝で1週間ぶりに首位を奪い返した。勝った方がセ界のトップに立つ伝統の一戦第2ラウンド。1点ビハインドでこのまま敗戦かと思われた9回無死一塁。守護神ビエイラを完璧にとらえて左越えに運んだ。試合は阪神が5回に梅野の2ランで逆転すると、巨人が6回に岡本の2ランで再逆転。元4番の意地が、手に汗握る首位攻防の空中戦を鮮やかに締めた。 ▼大山のサヨナラ本塁打は19年8月10日広島戦、20年11月4日ヤクルト戦に次いで3本目。阪神選手の3年連続サヨナラ本塁打は74~76年田淵幸一、13~15年福留孝介に並ぶ球団タイ記録。 ▼阪神選手が巨人戦でサヨナラ本塁打を放ったのは、19年5月29日に高山俊が代打満塁本塁打を放って以来。逆転サヨナラとなると、62年9月23日藤本勝巳、67年9月10日藤井栄治、88年9月11日田尾安志に次いで33年ぶり4人目。 ▼阪神の今季サヨナラ勝ちは4月3日中日戦(山本が中二塁打)7月12日DeNA戦(大山が中安)に続き3度目。

◆阪神・佐藤輝明内野手(22)が「7番・右翼」で出場する。8月28日の広島戦(マツダ)以来、5試合ぶりにスタメンに復帰した。自己ワーストの28打席連続無安打、6打席連続三振と苦しんでいるが、不振からの脱出に期待がかかる。 また、前日はスタメンを外れたサンズも「3番・左翼」でスタメンに名を連ねた。

◆5試合ぶりにスタメン復帰した阪神・佐藤輝明内野手(22)が第1打席で右飛に倒れ、これで29打席連続無安打となった。 8月28日の広島戦(マツダ)以来となる先発出場。二回2死で迎えた第1打席は、カウント2-0から高橋の144キロの速球を振り切った。打球はいい角度で右翼へ上がるもフェンス手前で失速。それでも、惜しい一打に甲子園がどよめいた。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(30)がひと振りで試合をひっくり返した。0-1の五回1死一塁。カウント2-0から3球目だった。巨人・高橋の144キロを振り抜くと、白球は左翼スタンドへ。打球速度161キロ、打球角度26度、飛距離127メートルの一撃に甲子園がわいた。7月1日のヤクルト戦(甲子園)以来の3号2ラン。先発のガンケルに女房役からこれ以上ない援護弾だ。 5回、巨人・高橋から2点本塁打を放つ阪神・梅野隆太郎=甲子園球場(撮影・門井聡) 阪神は今季、高橋の前に4戦4敗と苦しめられてきた難敵だった。試合前の時点で高橋に対してのチーム打率・155。ただ、梅野は対戦打率・333と気を吐いていた。

◆巨人・岡本和真内野手(25)が、1―2の六回に逆転の34号2ランを放った。六回1死三塁、阪神のガンケルが胸元へ投じた140キロのツーシームを豪快に左翼席へ運んだ。 6回、2点本塁打を放った岡本和真を迎える坂本勇人=甲子園球場(撮影・宮沢宗士郎) リーグ単独トップを快走する34号で、2018年の33本塁打を超え、今季104試合目で自己最多を更新した。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(30)が一時逆転の3号2ランを放った。 「ガンケルもすごく頑張ってくれていますし、悠輔(大山)も先頭で塁に出てくれたので何とかしたいという気持ちだった」 0-1の五回1死一塁。カウント2-0から3球目だった。巨人・高橋の144キロを振り抜くと、白球は左翼スタンドへ。打球速度161キロ、打球角度26度、飛距離127メートルの一撃に甲子園がわいた。7月1日のヤクルト戦(甲子園)以来の3号2ラン。先発のガンケルに女房役からこれ以上ない援護弾だ。 阪神は今季、高橋の前に4戦4敗と苦しめられてきた難敵だった。試合前の時点で高橋に対してのチーム打率・155。ただ、梅野は対戦打率・333と気を吐いていた。

◆先発したジョー・ガンケル投手(29)は6回?を投げ6安打3失点で降板。試合を作ったが、痛恨の1球に泣いた。 「全体的にはいいピッチングができていたと思う。ただ、あのホームランでリードを許した展開でマウンドを降りることになり悔しいね」 味方が2-1と逆転した直後の六回だった。先頭の坂本に二塁打を許すと、吉川尚の三ゴロで1死三塁のピンチ。巨人の4番・岡本に投じた4球目だった。白球は無情にも左翼席へ消える特大の逆転2ランを被弾。再逆転を願い、粘りの投球を続けたが、七回1死から松原に中前打を浴びたところで交代が告げられた。 バトンを受けた2番手の及川は2死満塁とピンチを広げるも、最後は代打・中島を空振り三振とし無失点で切り抜けた。

◆阪神は巨人に連勝し、首位に返り咲いた。大山が1点を追う九回に逆転2ランを左翼スタンドに運び、チームは3連勝。九回に登板し、無失点の岩貞が4勝目を挙げた。 打線は0-1の五回、1死二塁から梅野が3号2ランを放って一時逆転した。しかし直後の六回、先発のガンケルが巨人の4番・岡本に2ランを浴び再び逆転された。打線は八回、中川から1死満塁の絶好機を作ったが、4番・マルテが痛恨の遊ゴロ併殺に倒れた。 豪快に振り向いた。9回、サヨナラ2ランを放った阪神・大山=甲子園球場 (撮影・中井誠) ドラマはここから。九回、巨人の守護神・ビエイラに対し、糸原が粘って8球目を左前に運ぶと、打席には6番・大山。カウント1-0から2球目だった。高々と舞い上がった白球は左翼席に吸い込まれるサヨナラの15号2ラン。3点差をはね返した3日の巨人戦に続き、2夜連続で逆転勝利を収めた。

◆阪神は1点を追う九回無死一塁で、大山悠輔内野手(26)が15号逆転2ランを放ち、サヨナラ勝ちを収め、首位に返り咲いた。矢野耀大監督(52)は「あきらめずにやってくれた。全員で勝てたというのはうれしい。大きな意味のある2勝」とコメント。また大山は「本当にうれしいです。死ぬ気で打ちにいきました」とお立ち台で喜びを表現していた。

◆阪神が大山の逆転サヨナラ2ランで3連勝を飾り、首位に返り咲いた。2―3の九回、先頭の糸原が左前打で出塁し、続く大山が15号を放り込んだ。岡本和の六回の34号2ランでリードを奪い返した巨人はビエイラが痛打されて2位転落。

◆巨人はサヨナラ負けを喫し、首位死守とはならなかった。1-2と逆転を許した直後の六回に主砲・岡本和の自己最多となる34号2ランで逆転に成功。1点のリードのまま九回は守護神・ビエイラに託したが、先頭の糸原に左前打を許し、続く大山に痛恨のサヨナラ2ランを被弾した。激戦を原辰徳監督(63)が振り返った。 --手は尽くしたという形となったが 「そうですね。まあ、もうちょっと点を取っておくというところでしょうな」 -―七、八回のチャンスで 「そうね。うん」 -―中川は走者を出したが、踏ん張った 「そうそう。6-4-3という素晴らしいプレーですね」 -―最近の貢献を考えると九回はビエイラしかいない 「そうそう。そりゃもう全然。こういう時もありますよ」 -―高橋はよく粘って投げた 「そうですね。特に勝ち越して六回、あれをよく投げてくれましたね」 -―岡本は一死三塁で最高の結果 「うん、そうですね」 7回、空振り三振に倒れる巨人・丸佳浩=甲子園球場(撮影・門井聡) --岡本は自己最多の34号も打線が 「やっぱり1番バッターが機能しないとね。中心選手の丸が、なかなかね。なんとか奮起してもらいたいと思う」

◆試合に出して経験を積ませ、育てていかなければいけない選手が、いつの時代にもいる。今の阪神では大山と佐藤輝だ。調子を落とすと、スランプが長く、どうしてもベンチに下げたくなる。優勝争いをしていると、なおさら使い辛くなる。でも、矢野監督には、2人をスタメンで使い続けて優勝争いする覚悟を持ってもらいたい。 殊勲の大山は、スタメン復帰させて徐々に調子を上げて、とうとう起死回生の一発を放った。次は佐藤輝の番だ。5試合ぶりのスタメンだったが、やはり何度も打席に立つことが、復調への近道だと感じた。1打席目の右飛で感覚を少し思い出したのか、2打席目以降もスイングは代打出場時に比べると見違えるぐらいに良くなっていた。 これから勉強してほしいのは「気持ちの切り替え」。全打席打てるわけではないし、相手が抑えようとしている中での三振は仕方がない。引きずらないこと。前向きに1打席1打席臨めばいい。 打順に関しては、2人とも無理に上位に上げなくていい。今の流れを大事にしてほしい。(本紙専属評論家)

◆阪神は1点を追う九回無死一塁、大山悠輔内野手(26)の15号2ランで逆転サヨナラ勝ちを収め、8月28日以来の首位に返り咲いた。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 (テレビインタビュー) ーーしびれる試合 「両チームが全力でぶつかった結果ですけど。苦しい展開でしたけど、全員の戦いができました」 ーー首位奪回 「そうですね。最後に1番上にいるのが僕たちの目標なんで。その道中、いろんなことがあると思いますけど、この2試合を勝ったというのは僕たちにとっては大きな意味がある2勝でしたし、そういう中に、僕たちの野球、タイガースの野球ができた結果での勝ちなんで、全員で喜び合えて、波に乗っていける2試合ができたかなと思います」 (囲み) ーー大山の復調の兆しは 「本人次第。後から振り返った時に、この2試合が兆しだったと言えるけど。2試合終わっただけで、これが兆しっていうことが、そういうことってやっぱり、俺の現役期間もあとから振り返ってそうだったというだけで。こっち側から見る立場で、悠輔、これをきっかけにしてくれよという思いはあるけど」 ーー大山のホームランにつながるまでもチーム一丸の攻撃 「追い込まれて速い球もあって、低めの球を見逃してっていうのは、誰でも出来ることじゃない。ケントの良さがしっかり出たところやし。海があそこで代走に行ったからこそプレッシャーかけられたということは無関係じゃないので。そういうところでは誰か1人がやってこういう結果にはならないし、悠輔が決めてくれたんだけど、そこにはいろんな選手が絡んで勝てた勝利っていうのは、監督という立場ではすごくうれしい」 ーー中野がバントの場面で監督が(八回無死一、二塁) 「いやまあまあやっぱり。俺が行った方がすっきりはするかなと思ったんで、ちょっと話をしました」 ーー巨人の救援陣を攻略しているのは今後も大きい 「もちろん、向こうも勝ちを想定しているというかね。ビエイラもずっと良かったわけだし、崩せたというところも次対戦するときもこっちは、有利にというか、向かっていける。相手にとっては嫌な思いを残せるところがあったし。中川にしても最後はゼロに終わっちゃったけど、嫌な部分は見せられた。そういうところで先発のところで早く。相手も良かったけどね、高橋君。そこで点を取ることが大事かな」

◆阪神・佐藤輝明内野手(22)は8月28日の広島戦(マツダ)以来、5試合ぶりに「7番・右翼」でスタメン出場したが、右飛、空振り三振、空振り三振に終わり、31打席連続無安打となった。試合後、矢野耀大監督(52)は「状態的に良くないというのは、わかっているんですけど。その中でも使っていきたいと思うような選手ではあるんで」と説明。「良くないこと、うまくいかないこともありますけど、全員で気になったことはアドバイスしますし、全員で何とかね、やっていけるようにしたいです」と〝全員指導〟を強調していた。

◆絶体絶命のピンチで必死に腕を振った。バットが空を切ると、及川はグラブをたたいて感情を爆発させた。満塁の危機をゼロでしのぎ、逆転サヨナラの機運を作った。 「3試合連続で失点していたので、今日は何としても0点で抑えるという強い気持ちで投げました」 2―3の七回1死。先発のガンケルが走者を出したところで登板した。代打・若林にいきなり四球。丸を三振とするも、坂本は申告敬遠で2死満塁。ここで打席には代打・中島。プロ19年目、最多安打のタイトルも獲得したことがあるベテランを直球で攻め、最後は内角低めへのツーシームで空振り三振。無失点で切り抜けて、逆転勝利への道を切り開いた。 「四球は出してしまいましたが、0点で抑えることができてよかった」 高卒2年目の左腕は、この日の登板前まで3試合連続失点していた。それでも勝敗を左右する僅差の場面で起用してくれた首脳陣の期待に、どうしても応えたかった。 矢野監督は及川をはじめとする無失点リレーで逆転への流れを作ったリリーフ陣に「優勝していく上では、やっぱり勝ちパターンの(継投による)勝ちだけでは、なかなか難しい。そういうところでは本当に及川も、(小川)一平も、サダ(岩貞)もよく投げてくれた」と称賛した。 4度目の正直で零封。チームの課題でもある七回担当としても、結果を出した。まだまだ成長途上の20歳。チームを頂点へ導く活躍を続け、さらに殻をぶち破っていく。(織原祥平)

◆一瞬で勝利が吹き飛んだ。逆転サヨナラ負けで阪神に首位の座を明け渡した巨人・原辰徳監督(63)は悔しさを飲み込み、淡々と試合を振り返った。 「もうちょっと点を取っておくというところでしょうな。やっぱり1番打者が機能しないとね。中心選手の丸が、なかなかね」 六回に岡本和が逆転2ランを放って3―2で迎えた九回。ビエイラが大山に左翼席へ逆転サヨナラ2ランを浴びた。サヨナラ負けは今季初。2日のヤクルト戦(京セラ)で32試合連続無失点が止まった守護神が2試合連続で失点したが「そりゃもう全然(責められない)。こういう時もありますよ」と指揮官。敗因は打線にあると指摘した。 名指ししたのは丸だ。8月27日の中日戦(バンテリンドーム)から1番に座る強打者は、5打数無安打で3試合快音なし。追加点を奪えなかった七回は1死一、二塁で空振り三振。元気のない背番号8がキーマンであることは明白なだけに「何とか奮起してもらいたいな」と願った。 首位攻防戦で痛恨の2連敗。5日の第3戦で首位の座を奪い返す。(谷川直之)

◆勝てば首位奪回。負ければ今カードでの再浮上はない。ある意味、正念場の一戦で矢野監督が執念の采配をふるった。試合を決めたのは大山の劇弾だったが、全員でもぎとった大きな1勝だ。 「両チームが全力でぶつかった結果。苦しい展開でしたけど、(選手が)諦めずにやってくれた結果。本当に全員の戦いができました」 連夜の打線組み替えで今季4戦4敗だった高橋に挑んだ。試合前の段階でもっとも対戦打率(・308)のいい近本を1番に戻し、5、6番は好調な糸原、大山。高橋から2安打を放っている佐藤輝を、5試合ぶりに7番で先発起用した。後半戦8度目のテコ入れについて「いろいろ複雑に考えてやってます」と多くを語らなかったが、五回に大山がチャンスメークすると、梅野が一時逆転2ラン。17イニングぶりに得点をもぎ取り、流れを引き寄せた。 今季巨人戦初先発のガンケルという勝負手も投入した。昨年は4試合に登板して0勝1敗、防御率5・00も今季の7勝の好調ぶりを信じて中8日でぶつけた。優良助っ人は6回?3失点と試合を作ってくれた。 勝負どころでも動きまくった。1点を追う八回、先頭の小野寺が死球で出塁すると、すかさず代走・島田。無死一、二塁ではネクストの中野のもとへ歩み寄り「俺が行った方がすっきりするかなと思ったんで」と〝ささやき戦術〟だ。投前犠打を成功させて、チャンスを拡大した。 続くサンズが故意四球で出塁すると再び代走・小幡で巨人バッテリーを揺さぶった。ここは得点につながらなかったが、九回先頭の糸原が出塁すると、またも代走・植田。「(植田)海が代走に行ったからこそプレッシャーをかけられた。誰か1人がやってこういう結果にはならない」と大山の逆転弾につなげた。 攻めの采配にナインも奮起して、巨人の強力中継ぎ陣を攻略。チームとしてビエイラに黒星をつけたのは、初めてだ。「(大山)悠輔が決めてくれたんだけど、そこにはいろんな選手が絡んで勝てた。監督という立場では、すごくうれしい」と目を細める。熱い思いでタクトをふるい、大混戦の首位争いを制する。(新里公章)

◆首位奪回や~! 阪神は巨人との首位攻防戦で4―3と逆転サヨナラ勝ち。3日の第1戦で猛打賞の大暴れだった大山悠輔内野手(26)が、九回にサヨナラの15号2ランを放った。3連勝で8月28日以来の首位に返り咲き。この日は「6番・三塁」でスタメン出場したが、やはり〝主砲〟が火を噴けば虎は強い。優勝に向けて、虎を引っ張ってや~!! 打った瞬間、スタンドインを確信して右腕を突き上げた。ゆっくりと走り出す大山の背中を追って、ベンチからナインも飛び出す。逆転サヨナラ2ランを放ったヒーローは、歓喜のウオーターシャワーを浴びた。 「死ぬ気で打ちにいきました! 『入ってくれ』と思って見ていたんですけど、入ってくれてよかったです」 首位攻防の第2幕は先制され、逆転し、ひっくり返されるシーソーゲーム。八回1死満塁のチャンスをモノにできずに迎えた2―3の九回だ。先頭の糸原が左前打。前夜の猛打賞の活躍を思い出したのか、妙に盛り上がるスタンド。応えないわけにはいかなかった。ビエイラの156キロ直球を思い切りよく振り抜くと、高々と舞い上がった打球は左翼席へ。昨年11月4日のヤクルト戦(甲子園)以来となるサヨナラ弾で、8月28日以来の首位へと導いた。2017年の入団以来、生え抜きの主砲として期待を一身に集めてきた。しかし、まだ4番を貫き通したシーズンはない。今季は好不調の波が激しく、後半戦も8月28日の広島戦(マツダ)でスタメン落ちした。だが、誰よりも責任感の強い男は、こんな時期をどう乗り切るか知っている。主砲として貢献できない悔しさを胸に早出してバットを振り、コーチの指導を仰いだ。必死に汗をかくことでしか、脱出できない。そんな姿を見てきた井上ヘッドは「外された悔しさというのは、アイツが一番あるだろうから」と胸中を思いやり「アカンかったときのことを思いながらやってくれたら、きょうみたいにみんなを感動させる仕事が、これからもいっぱいできるはず」とさらなる活躍を予感した。6番でスタメンに復帰した1日の中日戦(甲子園)では決勝打、7番の前夜は同点打。これで打点を挙げれば6連勝だ。3戦連続でお立ち台と復調著しいものの「何をやるにしても一人ではできない。コーチ、裏方さんの支えがあってこそ。その思いを無駄にしないよう、一日一日しっかりやっていきます」と本人はいたって謙虚。矢野監督は「『(大山)悠輔、これをきっかけにしてくれよ』という思いはあるけど、振り返ったときにそうなるだけで。でも、それくらい価値のある1本やったしね」とうなずいた。「今日が良くても、明日はゼロから始まる。油断も隙もないようにやっていきたいですし、いい結果の勢いそのままにやっていけたら」3連勝で首位に戻ったが、2位巨人とはまだ1・5ゲーム差。大山はかぶとの緒を締め直した。16年ぶりのリーグ制覇を成し遂げるには、やはりO砲の力が必要。4番に舞い戻り、虎を力強くVへと引っ張っていく。(菊地峻太朗)

◆逆転の虎やー!! Vへの最大のライバル・巨人を連日の逆転劇で沈め、首位復活サイコーに気持ちいいー!! 本日の主人公はいわずと知れた逆転サヨナラ2ランの大山悠輔なのだ!! 4番を降格させられた大山の意地...。いや、そんなもんは関係なく、大山の復調が最大の収穫なのだ!! おそらく俺の半世紀以上の虎党の知識によれば、このまま大山を4番に戻したら重圧、責任感などで再びスランプに陥るのだ!! しばらくはこのままでいきましょう! 勝ったのは正直うれしい~、ピ~ヒャラドンドンだけどー!! 1点ビハインドの七回途中から及川、八回は小川と継投し、天王山の大一番で起用した矢野監督の采配を(もし逆転しなくても)俺は大評価するのだ!! ペナントレースって春先から大騒ぎしてるけど、結局は真の優勝争いは残り20試合なのだ!! 例え逆転しなくても、そこに備えて若虎投手に経験を積ませ、残り20試合に備える覚悟を見せた矢野はんはやっぱしたたかなくせ者やー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
阪神
58423 0.580
(↑0.004)
-
(↑0.5)
40424
(+4)
385
(+3)
101
(+2)
91
(-)
0.252
(-)
3.420
(-)
2
(1↓)
巨人
523913 0.571
(↓0.007)
1.5
(↓1.5)
39421
(+3)
384
(+4)
132
(+1)
56
(+2)
0.247
(-)
3.490
(↓0.01)
3
(-)
ヤクルト
483812 0.558
(↓0.007)
3
(↓1.5)
45424
(+2)
381
(+4)
99
(-)
57
(-)
0.254
(-)
3.640
(-)
4
(-)
中日
395114 0.433
(↓0.005)
14
(↓1.5)
39294
(+1)
336
(+3)
53
(-)
54
(+1)
0.237
(-)
3.120
(-)
5
(-)
DeNA
395213 0.429
(↑0.007)
14.5
(↓0.5)
39414
(+3)
476
(+1)
106
(+1)
23
(-)
0.258
(↓0.001)
4.360
(↑0.04)
5
(-)
広島
395210 0.429
(↑0.007)
14.5
(↓0.5)
42378
(+4)
425
(+2)
81
(+3)
48
(+1)
0.259
(-)
3.900
(↑0.02)