阪神(☆7対3★)巨人 =リーグ戦16回戦(2021.09.03)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:岩貞 祐太(3勝0敗0S)
敗戦投手:戸郷 翔征(8勝6敗0S)
  DAZN
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◆阪神が逆転勝利。阪神は2点ビハインドで迎えた7回裏、大山の2点適時二塁打で同点とする。さらに2死満塁の好機で中野が走者一掃の適時三塁打を放ち、リードを奪った。投げては、2番手・岩貞が今季3勝目。敗れた巨人は投手陣が終盤につかまり、痛い敗戦を喫した。

◆阪神西勇輝投手(30)が巨人戦で通算100勝目を目指す。通算100勝は139人が達成しているが、巨人戦で達成したのは07年黒田(広島)まで10人だけ。阪神の投手では75年安仁屋、85年山本和が巨人戦で100勝目を挙げている。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神が上位打線を大幅に改造した。 ドラフト6位中野拓夢内野手(25)をプロ初の1番起用。島田海吏外野手(25)は今季初のスタメンで「2番右翼」。「3番中堅」には自身最長タイの6試合連続複数安打中の近本光司外野手(26)を据え、得点力アップを目指す。 ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)は4試合連続、今季7度目のスタメン落ち。助っ人ではジェリー・サンズ外野手(33)が外れ、「4番一塁」にはジェフリー・マルテ内野手(30)が起用された。 前日9月2日の中日戦に先発予定だった藤浪晋太郎投手(27)がベンチ入り。中継ぎ要員としてブルペン待機する見込みだ。 阪神先発は西勇輝投手(30)。通算100勝に王手をかけてから自身6連敗と足踏みも、前回8月27日の広島戦で6回3失点と復調の兆しを見せている。坂本誠志郎捕手(27)とのバッテリーで勝利を目指す。巨人先発は戸郷翔征投手(21)。0・5ゲーム差で迎えた首位巨人と2位阪神の首位攻防3連戦が幕を開ける。

◆上肢のコンディション不良でリハビリを行っていた阪神高橋遥人投手(25)が、今季初めて1軍に合流した。 「みなさんから歓迎してもらいうれしかったですし、本当にここまでけがで出遅れてしまい、チームに迷惑をかけてしまったので、今日からですが、なんとかチームに貢献できるように頑張りたいと思います」。 甲子園の室内練習場に足を踏み入れると、福原投手コーチと会話。新井打撃コーチに肩を抱かれ、井上ヘッドコーチからもグータッチで歓迎された。梅野や青柳らとも言葉を交わし、秋山とキャッチボールを行った。 首位巨人を追いかける阪神は、今季初の4連敗を喫するなど苦しい戦いもあり、負けられない試合が続いている。「残り試合も少ないですし、チームも優勝争いをしているので、1試合1試合が本当に大切になってくると思います。自分もそこで活躍してチームが1つでも多く勝てるように全力で投げていきたいと思います」。帰ってきた左腕が、リーグ優勝への切り札になりそうだ。 高橋は今季開幕ローテ入りを期待されていたが、1軍春季キャンプ中に右脇腹の筋挫傷と診断され離脱。その後は、上肢のコンディション不良で2軍でリハビリを続けていた。 7月25日のウエスタン・リーグ中日戦(鳴尾浜)で5カ月ぶりに実戦復帰し、1回を無安打無失点。その後同リーグでは、6試合に登板し、17回1/3を1失点。防御率0・52と安定感は抜群だ。直近の8月31日の同広島戦(鳴尾浜)では、復帰後最長の5回1/3を1安打無失点。76球を投げて最速は149キロを計測するなど、順調に復帰ロードを歩み、待望の復活となった。

◆巨人亀井善行外野手(39)が激走で、19年7月28日阪神戦以来2年ぶりの三塁打をマークした。 2点リードの6回2死二塁、阪神西の140キロを強振すると、打球は右中間を破った。亀井は二塁を蹴って一気に三塁を陥れた。5回の2打席目には中前打で出塁すると、先制点のホームを踏んだ。中島と並んでチーム最年長の39歳の一打で、巨人が追加点を奪った。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、長いトンネルを抜け出せない。代打糸井が2点差に迫る適時打二塁打を放った直後。球場のボルテージが最高潮の中、6回無死二塁で代打で登場した。 巨人戸郷の内角高め直球を2球空振りし追い込まれると、最後は真ん中低めのフォークで空振り三振。「教科書通り」の攻めにあっけなく今季145個目の三振を喫した。 0・5ゲーム差で迎えた巨人との首位攻防戦で、4試合連続のスタメン落ち。勝負どころで起用されたが結果を残せなかった。これで10試合、28打席連続無安打と自己ワーストをさらに更新。前日2日には室内練習場で矢野監督、井上ヘッドコーチから直接指導を受け、この日の試合前にも新井コーチからアドバイスを送られていた。もがき苦み必死にバットを振り続けているが、霧はなかなか晴れない。

◆阪神西勇輝投手(30)が6回6安打3失点の粘投で、チームの勝利につなげた。「チームみんなで勝ち越してくれましたし、チームが勝つことが一番なので」。自身のプロ通算100勝は、7度目の持ち越し。それでも最後はベンチ前でナインを笑顔で迎え入れ、ともに喜びを味わった。 初回を無失点で立ち上がると、2回から3イニング連続で3者凡退。しかし5回先頭の亀井に中前打を許すと、1死一、三塁から松原に先制の中越え適時三塁打を浴び2点を献上。粘投したが6回にも1点を失い、マウンドを譲った。 西勇は6月18日巨人戦(甲子園)で今季4勝目を挙げ、プロ通算100勝に王手をかけた。しかし6月25日DeNA戦(甲子園)から足踏みが続き、またも節目の勝利はお預けとなった。

◆攻めあぐねていた戸郷をつかまえた。6回に1点を返し、3-1と2点ビハインドの7回1死満塁の好機で大山悠輔内野手(26)。初球のスライダーを迷いなく振り切った。三塁手が飛びつくも、打球はその横を抜けていき、走者2者が生還し同点に追いついた。 「みんなが必死につないでくれてできたチャンスだったので、初球から思い切って振っていく気持ちで打席に入りました。自分の仕事ができて良かったです」 5回まで戸郷を相手に走者を1人も出せずに苦しんでいたが、マウンドから引きずりおろした。 なおも1死二、三塁で代打ジェリー・サンズ外野手(33)が申告敬遠で満塁に。続く代打の原口文仁捕手(29)は捕邪飛に倒れたが、中野拓夢内野手(25)が値千金の勝ち越し3点適時打を放った。フルカウントから高めに浮いた変化球をシャープに振り抜き、高く上がった打球は右翼フェンスに直撃した。打球が転々とする間に走者全員がホームを踏んだ。大きな価値のある三塁打に中野は三塁上で右手を突き上げた。

◆巨人が「ワンポイント継投」でピンチ脱出を図ったが、逆転を許した。2点リードで迎えた7回。先発の戸郷が1死から突如乱れ、1死満塁から大山に同点の適時二塁打を許し、高梨にスイッチ。 1死二、三塁から代打サンズを2ボール後に申告敬遠すると、代打原口に対し、鍵谷に交代。捕邪飛に仕留めると、左打者の中野に大江を投入したが、走者一掃の適時三塁打を浴び、勝ち越しを許した。 阪神のヒッティングマーチ「チャンスわっしょい」が流れる中、5得点のビッグイニングを作られた。

◆2位阪神は価値ある逆転勝利で首位巨人に肉薄した。 ゲーム差では0・5上回り、順位の基準となる勝率でも巨人の5割7分8厘に対して5割7分6厘まで迫った。 打線はドラフト6位中野拓夢内野手(25)をプロ初の1番で起用し、島田海吏外野手(25)を「2番右翼」で今季初先発させた。好調の近本光司外野手(26)を3番に据えた新打順で得点力アップを図った。 5回を終えるまで巨人先発戸郷に完全投球されたが、3点を追う6回、先頭の7番大山悠輔内野手(26)のチーム初安打から代打糸井嘉男外野手(40)が右中間適時二塁打。2点を追う7回には1死満塁から大山の三塁線を破る2点二塁打で同点。なおも2死満塁から1番中野が右翼ポール際フェンス直撃の走者一掃適時三塁打で3点を勝ち越した。8回には大山の中前適時打で7点目を加えた。 自身6連敗中の先発西勇輝投手(30)は4回終了時点で1安打無四球無得点。5回は8番松原に中堅フェンス直撃の先制2点三塁打、6回にも5番亀井に右中間適時三塁打を浴びたが、6回3失点と試合を作った。3点リードをもらった8回以降はセットアッパー岩崎優投手(30)、守護神ロベルト・スアレス投手(30)が「勝利の方程式」を完成させた。 ▼阪神は57勝42敗3分けで勝率5割7分6厘、巨人は52勝38敗13分けで5割7分8厘となり、勝率の差で阪神はまだ2位。貯金の数は巨人14に対し阪神は15あるため、巨人は阪神に「マイナス0・5差」の首位となった。阪神は4日○なら8月28日以来の首位に復帰する。

◆阪神岩崎優投手(30)が、3者凡退と完璧なリリーフを見せた。 6-3と逆転した直後の8回にマウンドへ。先頭の岡本和を初球で三邪飛に打ち取ると、代打ウィーラーには外低めに直球をずばっと決めて見逃し三振。最後は広岡を捕邪飛に仕留めた。後半戦はここまで6試合の登板で計6回を3安打無失点と、安定感ある投球が光っている。 降板後には、広報を通じて「0点で抑えることができてよかったです」とコメント。リーグ前半戦はこれがお決まりコメントで、グッズも発売されたほどだったが、後半戦は「良い結果になって良かったです」「良い仕事ができました」と新たなコメントが続いており、久しぶりに飛び出したお決まりフレーズだった。

◆2位阪神は価値ある逆転勝利で首位巨人に肉薄した。 ゲーム差では0・5上回り、順位の基準となる勝率でも巨人の5割7分8厘に対して5割7分6厘まで迫った。

◆阪神中野拓夢内野手が7回に勝ち越しの3点三塁打。中野の勝利打点は4月14日広島戦、6月10日日本ハム戦、同24日中日戦、8月26日DeNA戦に次いで今季5度目。 今季、セ・リーグの新人で勝利打点を記録しているのは、中野5度、佐藤輝(阪神)3度、元山(ヤクルト)2度、牧(DeNA)1度、大道(広島)1度。23本塁打、60打点の佐藤輝や16本塁打、51打点の牧を上回り、勝利打点は中野が最も多い。

◆巨人戸郷翔征投手(21)が、7回途中5安打5失点でKOされ、今季6敗目(8勝)を喫した。 5回までパーフェクト投球だったが、6回に代打糸井の適時二塁打で1点を奪われ、2点リードの7回1死満塁から大山に同点の2点適時二塁打を浴び降板。さらに、2死満塁から4番手の大江が中野に走者一掃の適時三塁打を許し、決勝点を奪われた。 試合後、戸郷は「大事な試合だったので、最後粘れず、申し訳ないです。次また頑張ります」と悔しさをにじませた。原監督は「あそこは投げ切ってほしいね、何とかね。7回ね」と指摘。宮本投手チーフコーチは「良かったけど、先発としてはランナー出て、バタバタってくるようじゃ、ちょっともろいね。精神的なものなのか、その辺がまだまだ力が足りないのか」と話した。

◆阪神西勇が6回6安打3失点の粘投で、チームの勝利につなげた。「チームみんなで勝ち越してくれましたし、チームが勝つことが一番」。自身のプロ通算100勝は7度目の持ち越し。それでも最後はベンチ前でナインを笑顔で迎え入れ、ともに喜びを味わった。 初回を無失点で立ち上がると、2回から3イニング連続で3者凡退。持ち前の制球力で変化球を投げ分け、きっちり打ち取った。5回先頭の亀井に中前打を許すと、1死一、三塁から松原に先制の中越え適時三塁打を浴び2点を献上。6回にも1点を失ったが、粘り強く投げ続けた。 白星こそつかなかったが、矢野監督は右腕の気迫と姿勢を認めた。「すごく気持ちも出ていた。結果は勝負にいって打たれることもあるし、なんとかしようっていうのがすごくこの前の広島もそうやし、しっかり出ているんで。そういう点では大丈夫と思います」。 6月18日巨人戦で今季4勝目を挙げ、プロ通算100勝に王手をかけてから7戦連続お預け。それでも2戦連続でクオリティースタート(6回以上自責3以下)と復調の兆しを見せている。待望の節目の勝利も近そうだ。【磯綾乃】

◆阪神が巨人との伝統の一戦で逆転勝利を飾った。 1-3で迎えた7回、1死満塁で大山悠輔内野手(26)が三塁線を破る同点の2点二塁打。さらに2死満塁の場面で、初めて1番起用されたルーキー中野拓夢内野手(25)が走者一掃の勝ち越し三塁打を放った。大山は8回にも適時打を放ち、3安打3打点の活躍。お立ち台に上がった大山と中野のヒーローインタビューは以下の通り。-巨人に勝って本拠地でのお立ち台 大山 勝って良かったです。 中野 皆さんの温かいご声援のおかげだと思うので、とても最高の気持ちです。 -7回満塁、何を待っていたか 中野 あの打席はずっとスライダーを待っていたので、まっすぐで簡単に追い込まれていた。なんとか強い気持ちで打つことができて良かったです。 -高めの球をうまく打っていたが 中野 あの打席は四球という気持ちではなく、なんとかヒットで返そうという気持ちを持って打席に立ったので、その結果がいいあたりではなかったが、タイムリーになって良かったと思います。 -あとひと伸びだった 中野 自分の中でもあそこまで飛んでいるとは思わなかったので、皆さんの声援のおかげであそこまで飛んだのかなと思います。 -左封じの大江からの初ヒット 中野 なかなか左バッターにとっては打ちにくい投手だと思いますが、捉えることができて良かったかなと思います。 -投手陣の力も大きかったか 中野 西勇さんが投げたときになかなか援護点を取ることができなかったので、何としても投手のためにも打ってやろうと気持ちを持って打席に立ちました。 -6回の戸郷からの初安打 大山 追い込まれていたが、しっかりうまく打つことができました。その後に糸井さんも打ってくれたのでなんとか点数にできて良かったです。 -7回の打席 大山 打つだけだと思っていたので、初球から打つのが自分の持ち味だと思っているので、しっかり思い切っていきました。 -マルテ、ロハスのベンチでの喜び 大山 その2人だけではなくて、ベンチの皆、ファンの皆さんが喜んでいる姿が見えたので良かったです。 -8回の打席 大山 何があるか分からない、1点でも多くというところでやっているので、1点取れて良かったです。 -巨人とは8勝8敗 大山 1試合1試合全員で戦うだけだと思うので、また一丸となって戦っていきます。 -ファンの皆さんに一言 中野 いつも温かい声援ありがとうございます。明日からも厳しい戦いが続くと思いますが、皆さんの応援が力になります。これからも応援よろしくお願いします。

◆阪神が首位巨人相手に3点差を逆転勝ちし、首位攻防3連戦の初戦を取った。先発西勇輝投手(30)が6回3失点、打線も5回まで先発戸郷に無安打無得点と押さえ込まれていた。 6回に大山悠輔内野手(26)のチーム初安打、代打糸井嘉男外野手(40)の適時二塁打で1点をかえすと、7回には大山が同点となる左翼線2点適時打を放つとさらに2死満塁から、この日プロ初1番に起用された中野拓夢内野手(25)が右翼フェンス直撃の3点適時三塁打で勝ち越した。 試合後の矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り ? (テレビ) -逆転勝利しびれました いい試合が、できましたね。 -巨人3連戦の初戦を取ったのが大きい もちろんジャイアンツ相手なんでね。特に大きいと思います。 -大山が7番でやってくれた こうやって苦しんでいる悠輔が打ってくれると、うれしい。こういうことがきっかけになって、またこういうところで打ってくれる打者に、どんどんなっていってくれたら。 -大山の状態は まだ悠輔らしいというところまでいかないですけど、何とかしようという気持ちが今日の3本につながったと思うんでね。何か急にということはないかもしれないですけど、そういう気持ちがしっかり出た打撃だった。 -中野が最後に決めた (打った球は)投げた瞬間にボールかなと思ったんですけどね。その前のファウルから何とかしようという気持ちがすごく出ていましたし。結果的にあそこまで飛ばしてくれてナイスバッティングでした。 -あの回は4人の選手も代えた。投手も踏ん張った。掲げている全員野球 そうですね、もういくしかないという場面だったのでね。結果、いろいろ考えますけど、もういってやろうと思いました。 -最後に明日に向けて 本当に苦しい中で今日、初戦取れたのはすごく大きいですし、全員が絶好調という状態ではないですけど、僕たちの野球ができたんでね。明日以降も一丸でジャイアンツに向かっていきます。 ? (囲み) -あの場面で中野があのボールを振って行った その前のファウルがすごくこう、本当にこう『どうやってもつなげてやろう』っていう、三塁線のファウルとかでも、そういうので気持ち本当に出ていたんで。もちろん見逃せばボールだったと思うんだけど、でも、挑戦しようとか失敗を恐れないとか言っているチームなんでね。そういう気持ちが出たんじゃないかな。 -中野も当たりは出ていなかった中で1番に据えたのは思い切っていけ、と いつも思い切って行けっていう気持ちで送り出しているんでそれはないけど、打線の中でこれがいいんじゃないかなと思って選びました。 -巨人先発右腕・戸郷の対左の被打率などを考えての1~3番 もちろん全部考えてやってます。 -大山の復調は大きい 結果がね。きょうはいいところで打ったしね。その前はいい内容のバッティングではなかったけど、何かをきっかけにしてくれたら。 -西勇も粘りの投球 すごく気持ちも出ていたし。もちろん同じキャッチャーと組んでて、もちろんいいこともあるしね。逆に相手からすると参考になりやすいし。そういうところで言うとセイシロウ(坂本)がかぶる意図というか。そういうのは見せられた。松原のところは落ちるボールっていう頭の中でボール一個分ちょっと高かったのかなというところやけど。そこは勝負にいった結果なんでね。ボール自体は悪くなかったと思うし、勇輝らしく投げてくれたかなと思います。 -西勇の状態自体はよくなっている よくなっているというか、よくしようとすごくしてくれているのはよく分かるんで。それがすぐに結果に結びつくかどうかは分からないけど。その気持ちが出ていることが俺は一番大事だと思うんで。結果は勝負に行って打たれることもあるし、何とかしようっていうのがすごくこの前の広島もそうやし、しっかり出ているんで。そういう点では大丈夫と思います。 -7回の岩貞はランナー出しながら0点 まあでも先頭バッターフォアボールっていうのはよくないし。結果抑えたからヨシっていう内容で満足されては困るんで。やっぱりあそこは点を取った後なんで行ってピシャッとね、抑えるっていうのがサダのやることなんで。もっと高いところを目指してほしい。 -糸井も代打で適時二塁打 あそこは、3点差ついたし嘉男に走者一塁のところで何とかつなげてもらうというところで、最高の形でつなげてくれたので。最高の結果で。よく打ってくれました。 -原監督はマシンガン継投だった。 そういう継投のピッチャーが多いんでね。そういうことをやってくるだろうなとこちらも予想してやっています。 -3点差の逆転はDeNA戦のサヨナラ勝ち以来。チームは乗っていける 明日につなげるように僕らが全力でやるだけです。

◆阪神糸井嘉男外野手(40)が代打で適時二塁打を放ち、反撃ののろしを上げた。 0-3の6回。先頭大山が戸郷からチーム初安打で出ると、代打のコールに聖地がさらに沸いた。「新井良太コーチもお尻をたたいて、打席に向かわせてくれた」。チーム最年長は周囲の期待を全身に感じて打席に向かった。 カウント3-2まで1度もスイングせずに好投する右腕と対峙(たいじ)した。6球目。外角の148キロの直球を右中間へはじき返し、二塁ベース上で人さし指を突き上げた。「大山が塁に出てくれたので、とにかく自分もつなぐ気持ちで」。淡々としたコメントだったが、矢野監督は「最高の形でつなげてくれた。最高の結果で。よく打ってくれた」と追い上げムードを高めた大きな1点に笑みを浮かべた。試合後の糸井は西勇に両肩をもまれて労われた。 後半戦の代打は11打数4安打でその打率は3割6分4厘。疲労のたまる夏場にベテランは調子を保っている。「明日もそうですし、これからもまだまだ大事な試合は続くので。毎日、最高の集中でみんなやっているので、明日も頑張ります」。先発は6月13日の楽天戦を最後に遠のいている。それでも糸井は"最高の集中"で目の前の試合に備えている。【前山慎治】

◆首位奪取に王手や! 2位阪神が甲子園で首位巨人に鮮やかに逆転勝ちした。打線改造で臨んだ「伝統の一戦」。7回に同点に追い付き、なお2死満塁でプロ初1番の中野拓夢内野手(25)が走者一掃の勝ち越し三塁打を放った。まずは首位攻防3連戦の初戦を取った。マイナス0・5ゲーム差で順位変動はないが、4日も勝てば首位奪回だ。巨人を1週間で引きずり降ろす!生還した小幡、大山、小野寺、次打者梅野が本塁横で手をたたくと、右手を突き上げた。三塁ベースに到達した中野は、先輩たちの笑顔に負けないスマイル。その裏で、気持ちは熱かった。「みなさんが必死につないでくれた。フォアボール狙いという弱い気持ちではなく、なんとかヒットで返そうと」。 3-3。同点に追いついた7回、なおも2死満塁。左サイドの大江をぶつけられた。直球で追い込まれフルカウント。「ずっとスライダーを待っていた。真っすぐで簡単に追い込まれてしまって、なんとか強い気持ちでいこう」。狙いが決まっていたから、ボール気味の高めスライダーを捉えることができた。過去2度の対戦で三ゴロ、見逃し三振に仕留められていた左腕から、右翼フェンス直撃の3点適時打三塁打。「ファンのみなさんの声援のおかげであそこまで飛びました」。お立ち台で爽やかな笑顔に戻り感謝した。 この回3人の救援をつぎ込んだ巨人執念の継投に対し、矢野監督は代打、代走4人を投入して一挙の5得点で粉砕した。強気な采配はオーダーにも。試合前まで4試合、16打席連続ノーヒットと苦しんでいた中野をプロ初の1番に抜てき。今季全試合で1番の近本を3番に置き、2番には島田を今季初スタメン起用した。 「いつも思い切って行けっていう気持ちで送り出している。打線の中でこれがいいんじゃないかなと」。そんな指揮官の期待に、中野は20打席ぶりの快音で応えた。直前に代打原口が倒れて重圧のかかる場面だったが、「1番でも2番でも自分のやるべきことは出塁してチャンスメークすること」とルーキーの思いはぶれなかった。 首位攻防3連戦の初戦を取り、9月に入って2戦2勝。勝率で2厘及ばず2位のままだが、4日も勝てば8月28日以来、1週間ぶりの首位奪回となる。矢野監督は「本当に苦しい中で今日、初戦取れたのはすごく大きい。全員が絶好調という状態ではないですけど、僕たちの野球ができたんで。明日以降も一丸でジャイアンツに向かっていきます」と力強く言った。2戦目の先発は今季4戦全敗の左腕高橋。新人が生み出した勢いで、鬼門を打ち破る。【中野椋】 ▼阪神は57勝42敗3分けで勝率5割7分6厘、巨人は52勝38敗13分けで5割7分8厘となり、勝率の差で阪神はまだ2位。貯金の数は巨人14に対し阪神は15あるため、巨人は阪神に「マイナス0・5差」の首位となった。阪神は4日○なら8月28日以来の首位に復帰する。 ▼阪神の3点差逆転勝利は今季2度目。前回は7月12日DeNA戦で、0-3の9回に一挙4点を取ってサヨナラ勝ちした。巨人戦に限ると、19年5月29日に0-3から劣勢を挽回し、延長12回に高山が代打満塁サヨナラ本塁打して8-4で勝って以来2シーズンぶり。

◆首位巨人が2位阪神の勢いにのみ込まれ、逆転負けを喫した。 2点リードの7回、先発戸郷が1死からマルテの二塁打を皮切りに四球、安打で満塁を招くと、大山の2点適時二塁打で追いつかれ降板。高梨、鍵谷、大江と「一人一殺」の継投に出たが2死満塁で大江が中野に走者一掃の適時三塁打を食らった。4連勝を阻まれた原辰徳監督は「(戸郷は)投げ切ってほしいね、何とかね。7回ね」と勝負イニングを振り返った。 守護神不在の一戦で、攻守で攻めの姿勢は貫いた。2勝1分けだった直前のヤクルト戦でビエイラが3連投したため、この日は休養でベンチ外。先発戸郷に長いイニングの登板を期待したが同点に追い付かれると、迷わずワンポイント継投を選択。総力戦で流れを断ち切ろうとしたが、この日は虎の勢いに上回られた。 攻撃では5回に松原の2点適時三塁打で2点を先制した直後、戸郷がセーフティースクイズを敢行した。なりふり構わず1点を奪いに行ったが、結果は投ゴロで三塁走者は動けなかった。6回に亀井の適時三塁打後に四球の中田に代走広岡を送り、二盗を敢行して好機を広げたが実らなかった。首位攻防第1ラウンドは落としたが、勝率で上回ったため「マイナス0・5ゲーム差」で首位の座は変わらない。一晩で、勢いを取り戻す。【浜本卓也】

◆阪神井上一樹ヘッドコーチ(50)は打順について「これから先は日替わり定食じゃないけど、何がベストなのか考えて」と臨機応変に組む考えを示した。 その上で初戦は「近本を3番に置いた場合を考えたら必然的にそういうふうになった」とし、好調の近本を起点したオーダー編成だった説明。長打を織り交ぜての得点が理想だが「みんなが調子が戻るまでは、足を絡めてやるのか、つないでいくのか。1発攻勢でいくのか考えながら」と模索しながら戦う。

◆阪神自慢のリリーフ陣が終盤3イニングを無失点でつないだ。6回に打線が難敵戸郷から1点を奪い、2点差に詰めた7回に2番手として投手主将の岩貞祐太が上がった。いきなり左打者の松原に4球で四球を与え、戸郷の犠打で1死二塁。打たれれば流れを渡しかねない場面で丸の内角をえぐり投ゴロで2死。坂本を申告敬遠し、左の吉川と勝負。岩貞は「とにかく勝ちたいという気持ちだけ」とここも内角へシュートを厳しく投げ込み投ゴロ。何とか「0」で抑え、7回に5点を奪う攻撃を呼び込んだ。岩貞には5月4日ヤクルト戦(神宮)以来の3勝目もついた。 矢野監督は「先頭の四球はよくない。やっぱりあそこは点を取った後なんで、ピシャッと抑えるのがサダのやることなんで」と厳しかったが、開幕前の構想で「7回の男」と期待していた左腕が結果を残した。 8回岩崎優は4番岡本和、代打ウィーラーと強打者を3者凡退。「0点で抑えることができてよかったです」のお決まりのコメントを今季25ホールド目にも添えた。4点差の9回はセーブがつかない場面で守護神ロベルト・スアレスがあっさり10球で3人斬りで締めた。この3連戦で首位を奪い返すためにも、守護神の出番をつくる。【石橋隆雄】

◆この日も勝負球はファーストストライクだった。2点を追う7回1死満塁。阪神大山悠輔内野手(26)は戸郷の初球、内寄りフォークを迷わず強振した。 「初球から打つのが自分の持ち味なので。思い切っていきました」 痛烈なゴロが三塁線を抜ける瞬間、主役より先に三塁走者マルテが右拳を突き上げてしまう。それほど価値ある2点二塁打。試合を振り出しに戻すと、ハニカミ笑顔の主将も二塁ベース上で左手を掲げた。 「配球だったり相手投手の特徴はもっと勉強しないといけない。でも、考えすぎて振れなくなるのが一番嫌なので」 今春キャンプ中の2月、本紙評論家の桧山進次郎氏に信念を明かしていた。 「1球見逃すのも、もったいない。1打席で3球しっかり振ろう」 昨季開幕直後、代打出場が続いた時期の感情を今季も大切にしている。 2日前の1日中日戦では同点の6回2死一、三塁、3ボールから決勝打。この日は3点を追う中盤にも、積極打法で不穏な空気を吹き飛ばした。6回無死、完全投球を許していた戸郷の初球から振り続け、1ボール2ストライクからチーム初安打となる中前打。代打糸井の適時二塁打で反撃のホームインを踏み、7回には値千金の同点打だ。 「うまくいかない時こそ、持ち味を出すことでいい流れになると思っていた」 その言葉通り、最後は3点リードの8回2死一、二塁、2ストライクから戸根の外角低めチェンジアップに食らいついて中前適時打。6月3日オリックス戦以来、3カ月ぶりの猛打賞も記録した。このまま上昇気流に乗りたいところだ。 今季、大山が打点を記録すれば27勝4敗、勝率8割7分1厘。打順が何番であろうと、チームの勝敗を背負う立場は変わらない。 「どこが相手だろうと、1戦1戦、全員で全力で戦うだけなので」 覇権の行方を左右するであろう首位攻防3連戦は残り2試合。冷静かつ積極的に戦い抜く。【佐井陽介】 ▽阪神井上ヘッドコーチ(7番大山の3安打3打点に)「本人は『4番が打点を挙げない』とか『チャンスで打てない』とかモヤモヤする部分は持っていると思うし、3安打はたまたまじゃないよ、と。『あんたが働かないと勝てないでしょ』という証明だから。あいつの中では自信にしてほしい」

◆阪神中野拓夢内野手の決勝三塁打は高めのボール球だった。東北福祉大時代の恩師で元西武外野手の大塚光二監督(54)は「ああいうタイプって『ボール球を振るな』って言ったらバットが出てこなくなる。三振してもいいから初球からどんどんいきなさい」と積極的にバットを出すことを優先させていた。それが、この日の痛快な悪球打ちにもつながる。 変則左腕大江からのV打。だが、大学時代は左腕に弱く両打ちにも挑戦した。人の何倍も両方でスイングしたことで、左打席も磨きがかかった。プロでは左腕に強く、対右は打率2割6分4厘だが、対左は2割8分1厘と得意とする。大塚監督は「今もたまに雑な三振やなと思う打席を見ますね」。強引に打ちにいって三振する姿に、大学時代の中野の姿が重なるとうれしそうに笑った。【石橋隆雄】

◆2位阪神が、逆転勝ちで巨人との首位攻防3連戦の初戦を制した。マイナス0・5ゲーム差で順位変動はないが、4日も勝てば首位奪回だ。宿敵を1週間で引きずり降ろす! ▼阪神は勝率5割7分6厘、巨人は5割7分8厘となり勝率の差で阪神は2位。巨人は阪神に「マイナス0・5差」の首位となった。阪神は4日○なら8月28日以来の首位に復帰する。

◆2位阪神が、逆転勝ちで巨人との首位攻防3連戦の初戦を制した。打線改造で臨んだ「伝統の一戦」。7回に同点に追い付き、なお2死満塁でプロ初の1番に起用された中野拓夢内野手(25)が走者一掃の勝ち越し三塁打を放った。中野の勝利打点は5度目で、12球団のルーキー最多。 ▼中野が7回に勝ち越しの3点三塁打。中野の勝利打点は4月14日広島戦、6月10日日本ハム戦、同24日中日戦、8月26日DeNA戦に次いで今季5度目。今季、セ・リーグの新人で勝利打点を記録しているのは、中野5度、佐藤輝(阪神)3度、元山(ヤクルト)2度、牧(DeNA)1度、大道(広島)1度。23本塁打、60打点の佐藤輝や16本塁打、51打点の牧を上回り、勝利打点は中野が最も多い。

◆阪神佐藤輝がトンネルから抜け出せない。 6回無死二塁の場面で、代打として登場。戸郷に内角高めの直球で追い込まれると、最後はフォークで空振り三振を喫した。今季145個目の三振となり、厳しい表情でベンチに戻った。この日で10試合、28打席連続無安打となり、自己ワーストをさらに更新してしまった。4試合連続スタメン落ちと怪物ルーキーの試練が続いている。

◆この日も勝負球はファーストストライクだった。2点を追う7回1死満塁。阪神大山悠輔内野手(26)は戸郷の初球、内寄りフォークを迷わず強振した。 「初球から打つのが自分の持ち味なので。思い切っていきました」 痛烈なゴロが三塁線を抜ける瞬間、主役より先に三塁走者マルテが右拳を突き上げてしまう。それほど価値ある2点二塁打。試合を振り出しに戻すと、ハニカミ笑顔の主将も二塁ベース上で左手を掲げた。 「配球だったり相手投手の特徴はもっと勉強しないといけない。でも、考えすぎて振れなくなるのが一番嫌なので」 今春キャンプ中の2月、本紙評論家の桧山進次郎氏に信念を明かしていた。 「1球見逃すのも、もったいない。1打席で3球しっかり振ろう」 昨季開幕直後、代打出場が続いた時期の感情を今季も大切にしている。 2日前の1日中日戦では同点の6回2死一、三塁、3ボールから決勝打。後半戦初の7番となったこの日は3点を追う中盤にも、積極打法で不穏な空気を吹き飛ばした。6回無死、完全投球を許していた戸郷の初球から振り続け、1ボール2ストライクからチーム初安打となる中前打。代打糸井の適時二塁打で反撃のホームを踏み、7回には値千金の同点打だ。 「うまくいかない時こそ、持ち味を出すことでいい流れになると思っていた」 その言葉通り、最後は3点リードの8回2死一、二塁、2ストライクから戸根の外角低めチェンジアップに食らいついて中前適時打。6月3日オリックス戦以来、3カ月ぶりの猛打賞も記録した。このまま上昇気流に乗りたいところだ。 今季、大山が打点を記録すれば27勝4敗、勝率8割7分1厘。打順が何番であろうと、チームの勝敗を背負う立場は変わらない。 「どこが相手だろうと、1戦1戦、全員で全力で戦うだけなので」 覇権の行方を左右するであろう首位攻防3連戦は残り2試合。冷静かつ積極的に戦い抜く。【佐井陽介】

◆阪神は3日から甲子園で巨人と直接対決3連戦。0・5差での激突だが第1ラウンドに勝っても2位は変わらない。首位に立つためには2勝1分以上(この場合、阪神の勝率は・580で、巨人の・571を抜く)。つまり1敗した時点で、今回の3連戦での返り咲きは不可能になる。 初戦の先発は阪神は6月18日の巨人戦(甲子園)の白星を最後に勝利から遠ざかり、6連敗中の西勇(4勝9敗)で、巨人は戸郷(8勝5敗)。阪神は今季先制すると45勝12敗3分(勝率・7895)で巨人は34勝13敗9分(勝率・7234)。阪神は先制されれば11勝30敗(勝率・2683)、三回終了時ビハインドでは6勝25敗1分(勝率・1935)と完全な「先手必勝チーム」だ。 ここまでチームは56勝42敗3分。七回終了時にリードしていれば23連勝中(48勝2敗1分)という驚異的なデータもあり、いかにして先制点を奪い、終盤に持ち込むか。ここまでの歩みを見れば七回以降の逆転は望めないだけに、三回までの攻防が勝敗の分かれ目。そういう意味では1番に座り、6試合連続で複数安打中の近本がカギを握る存在となる。

◆上肢のコンディショニング不良で2軍調整が続いていた阪神・高橋遥人投手(25)が1軍に合流した。 甲子園の室内練習場に姿を現すと、梅野や青柳らチームメートから声をかけられて歓迎された。練習ではキャッチボールやダッシュなどで体を動かした。 昨季は左肩の故障で出遅れ、12試合に登板して5勝4敗、防御率2・49。先発の柱として期待されていた今年も2月の春季キャンプ中に上肢のコンディショニング不良で離脱。その後は鳴尾浜でリハビリを続け、7月25日のウエスタン・中日戦(鳴尾浜)で実戦復帰。8月31日の広島戦(鳴尾浜)で六回途中1安打無失点の好投を見せ、完全復活をアピールしていた。 順調にいけば、7日からのヤクルトとの3連戦(甲子園)での先発が見込まれる。16年ぶりのリーグVを目指すチームに頼もしい左腕が帰ってきた。 7日からのヤクルトとの3連戦(甲子園)での先発が見込まれる高橋は「残り試合も少ないですし、チームも優勝争いをしているので、一試合一試合が本当に大切になってくる。自分も活躍してチームが一つでも多く勝てるように全力で投げていきたい」と気合を入れた。16年ぶりのリーグVを目指すチームに頼もしい左腕が帰ってきた。

◆阪神が打線の大幅入れ替えを敢行した。6試合連続マルチ安打中と絶好調の近本を今季初めて「1番」から外し、「3番」へ。代わってリードオフマンを中野が任された。さらに「2番・右翼」で今季初スタメンの島田を起用。マルテを4月9日の巨人戦(甲子園)以来の「4番」に据え、不振のサンズに代わって「5番・左翼」にロハスを置いた。先発の西勇とバッテリーを組むのは坂本。新打線で巨人に挑む。

◆巨人の松原が五回、3試合ぶりの安打で先制点をもたらした。2安打で得た1死一、三塁の好機で2点三塁打。「チャンスで打てない試合が多いので、何とかしたかった」と、三塁塁上でベンチに向かって両手を突き上げて喜んだ。 西勇を相手に厳しいコースはファウルでしのいだ。7球目、落差が小さかった外寄りの変化球を、やや体勢を崩されながらも前で捉える。打球はぐんぐん伸びて中堅フェンスを直撃。跳ね返った打球が転々とする間に一塁走者も生還した。 後半戦の当初は1番を任されていたが、初球での凡退や見逃し三振など淡泊な打撃が目立ち、8番にまで打順が下がった。練習中に原監督から助言をもらいながら復調し、大事な首位攻防戦で光り輝いた。

◆プロ通算100勝に王手をかけている阪神・西勇輝投手(30)が0-0の五回1死一、三塁から松原に中越えのフェンス直撃の2点三塁打を浴び、先制された。 先頭の亀井に中前打。1死後、大城に右前に運ばれ、一、三塁とされると、松原にチェンジアップを捉えられた。 西勇は6月18日の巨人戦(甲子園)で今季4勝目&通算99勝目を挙げて以降、東京五輪ブレークを挟んで6連敗中。通算100勝に王手をかけて7度目のマウンドに上がっている。

◆阪神・糸井嘉男外野手(40)が0-3の六回に代打で登場し、適時二塁打を放って1点を返した。 巨人の先発・戸郷の前に五回まで一人の走者も出せなかった阪神打線が六回に反撃した。先頭の大山がチーム初出塁となる中前打。坂本に代わって代打で登場した糸井が148キロの直球を右中間にはじき返した。 なおも無死二塁と追加点のチャンス。代打出場した佐藤輝は空振り三振に倒れ、連続打席無安打は「28」となった。後続も倒れて、反撃ムードも1点に終わった。

◆先発した阪神・西勇輝投手(30)は6回6安打3失点で降板。通算100勝に王手をかけてから7度目の挑戦も達成できなかった。 西勇は四回まで1安打無失点に抑えていたが、0-0の五回、2本のヒットで1死一、三塁とされ、松原に中越えのフェンス直撃の2点三塁打を浴びた。五回には2死から岡本に左翼二塁打。続く亀井に右中間を破る適時三塁打。六回の打席で代打を告げられて降板となった。 西勇は6月18日の巨人戦(甲子園)で今季4勝目&通算99勝目を挙げて以降、東京五輪ブレークを挟んで6連敗中。7度目のマウンドもリードされた展開での降板となった。

◆プロ初の1番で起用された阪神・中野拓夢内野手(25)が七回、勝ち越しの3点三塁打を放った。 1-3の七回、1死満塁から大山が三塁線を破る2点二塁打で追いつき、巨人の先発・戸郷をマウンドから引きずり下ろした。大山は「みんなが必死でつないでくれたチャンスだったので、初球から思い切って振っていくことだけを考えて打席に入った」と声を弾ませた。 ここから原監督は小刻みな継投策を断行したが、中野が「待った」をかけた。2死満塁から4番手の左腕・大江の高めのスライダーを強振。打球はフェンスを直撃する走者一掃の三塁打となり、この回、一挙5得点で逆転に成功した。

◆阪神が序盤の3点ビハインドをはねかえして逆転勝ちした。1-3の七回、大山悠輔内野手(26)の2点二塁打で同点に追いつくと、2死満塁からプロ初の1番を任された中野拓夢内野手(25)が走者一掃の三塁打。この回、一気に5点を奪った。 この日は、不動の1番だった近本を今季初めて3番で起用し、1番には中野を抜てき。2番に島田を起用するなど、打線をテコ入れした矢野采配が的中した。阪神は巨人との通算成績を8勝8敗とした。 不振の佐藤輝は4試合連続でスタメン落ち。六回に代打で空振り三振に倒れ、連続打席無安打は「28」に。先発した西勇は6回6安打3失点で降板。通算100勝に王手をかけてから7戦連続で勝ち星はならず、節目の1勝は、またもお預けとなった。

◆阪神はプロ初の1番に入った中野拓夢内野手(25)が同点に追いついた七回2死満塁で走者一掃の三塁打を放ち、巨人に逆転勝ちし、首位攻防の第1ラウンドを制した。 試合後、矢野耀大監督(52)は「見逃せばボールだったと思うんだけど、挑戦しようとか失敗を恐れないとか言っているチームなんでね。そういう気持ちが出たんじゃないかなと思います」と中野の一打を評価。試合は先発・西勇が3点を失ったものの、六回に代打・糸井の適時打、七回には大山の2点二塁打で試合を振り出しにもどし、中野の3点打で勝ち越した。近本を3番に入れるなど、新布陣で臨んだ試合で逆転勝ち。3打点の大山について指揮官は「苦しんでいる悠輔が打ってくれると、うれしいです」と語っていた。

◆巨人は五回に松原の2点三塁打で先制し、六回にベテラン亀井の適時三塁打で1点を加えた。先発の戸郷は五回までパーフェクトに抑えたが、六回に1失点、七回1死満塁で大山に2点二塁打を浴びて同点とした。その回に救援3投手をつぎ込むマシンガン継投も実らず、逆転を許した。原辰徳監督(63)が振り返る。 ――戸郷 「あそこ(七回)は投げ切ってほしいね、何とかね。やっぱりセットポジションからがなかなか、やっぱり...。まぁ、まだまだ上積みしないといけないところがあるでしょうね」 ――五回、戸郷のバントはもう少し塁線寄りに転がしてほしかったか 「そうですね。もう少し角度が付けばね。ピッチャーゴロじゃ、やっぱり駄目ですね」 ――亀井が2安打1打点 「ね! なかなかスターティングメンバーが準備ができない状況の中でも、このところ非常に存在感を見せてくれていますね」

◆阪神は同点に追いついた七回、中野拓夢内野手(25)の3点三塁打で勝ち越し。大山悠輔内野手(26)は3打点を挙げ、巨人に逆転勝ちした。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 (テレビインタビュー) ーーしびれました 「いい試合がね、できましたね」 ーー3連戦の初戦を取ったのが大きい 「もちろんジャイアンツ相手なんでね。特に大きいと思います」 ーー大山が7番でやってくれた 「苦しんでいる悠輔が打ってくれると、うれしいですし。毎日、いいことがあるわけじゃないですけど、こういうことがきっかけになって、またこういうところで打ってくれる打者になってくれたらなと思います」 ーー中野が最後に決めた 「投げた瞬間にボールかなと思ったんですけどね。その前のファウルから何とかしようという気持ちがすごく出ていましたし。結果的にあそこまで飛ばしてくれてナイスバッティングでした」 (囲み取材) ーー中野があのボールを振って行った 「見逃せばボールだったと思うんだけど、でも、挑戦しようとか失敗を恐れないとか言っているチームなんでね。そういう気持ちが出たんじゃないかなと思います」 ーー1番・中野は? 「思い切って行けっていう気持ちで送り出しているんで、打線の中でこれがいいんじゃないかなと思って選びました」 ーー戸郷の対左の被打率などを考えての1、2、3番か 「もちろん全部考えてやってます」 ーー大山の復調は大きい 「結果がね。きょうはいいところで打ったしね。その前はいい内容のバッティングではなかったけど、何かをきっかけにしてくれたらいいと思います」 ーー西勇の状態自体は良くなっている 「良くしようと、してくれているのは分かるんで。すぐに結果に結びつくかどうかは分からないけど。気持ちが出ていることが俺は一番大事だと思うんで。勝負に行って打たれることもあるし、何とかしようっていうのが出ているんで。大丈夫と思います」 ーー岩貞はランナー出しながら0点(七回に登板) 「先頭バッター四球はよくないし。結果抑えたからヨシっていう内容で満足されては困るんで。点を取ったあとなので。やっぱりサダのやることなんで。もっと高いところを目指してほしいなと思います。 ーー糸井も代打で適時二塁打(3点を追う六回無死一塁で適時打) 「3点差ついたし嘉男にランナー一塁のところで何とかつなげてもらうというところで、最高の形でつなげてくれたので、よく打ってくれました」 ーー原監督はマシンガン継投だった。 「そういう継投のピッチャーが多いんでね。そういうことをやってくるだろうなと、こちらも予想してやっています」 ―-3点差の逆転はDeNA戦(7月12日の甲子園)のサヨナラ勝ち以来。チームは乗っていける 「1試合で乗れるかどうかっていうのは、俺らがやることだから。それは明日につなげるように僕らが全力でやるだけです」

◆中野、島田、近本という1番から俊足を並べる阪神の新打線が、フルに機能したとは言えないが、結果的には中野が決勝打を放ったわけで、思い切った打線組み換えは評価したい。ただ、3安打の大山を今すぐクリーンアップに戻しても、打ちまくる保証もなく、打線の試行錯誤は当分続きそうだ。 ■最も向いていない場面 気になる選手起用もあった。0-3の六回、糸井の二塁打で1点を返して2点差に迫り、なお無死二塁。ここで代打・佐藤輝を送った。ひょっとしたら、最初から西勇の代打は佐藤輝と決めていたのかもしれない。が、一気呵成で攻める場面ではない。進塁打も打てるつなぎの打者を起用して、もう1点を取りに行くべき。三振が多いフルスイングの佐藤輝には、最も向いていない場面だった。 今の佐藤輝は迷いが出て、何でも振ってしまい、以前のような強いスイングもできなくなっている。現状はスタメン起用できる内容ではない。代打起用を続けている矢野監督の考え方は賛成だ。が、もう少し〝難しくない〟状況で起用したほうが良いのではないか。(本紙専属評論家)

◆阪神は六回終了時で2点ビハインド。七回以降に5点、1点を奪って逆転勝ちした。 ◆...阪神は試合前時点で、六回終了時にリードを許していると3勝31敗1分(勝率・088)で10連敗中。一方の巨人は試合前時点で六回終了時にリードしていれば42勝3敗6分(勝率・933)で9連勝中。データ的には勝率1割にも満たないチームが奇跡の?逆転勝ちを収めたことになる。 ◆...大山は今季、得点圏打率・219だが、得点圏で安打を放った試合は6月24日の中日戦(バンテリンドーム)から8連勝。シーズンを通じても17勝1敗で勝率・944。また打点を挙げた31試合は27勝4敗で、8月14日の広島戦(京セラ)から5連勝。驚異の勝率を誇る〝元4番〟の一打がミラクルを起こしたワケ。 ◆...阪神の3点ビハインドからの逆転勝利は、今季最大タイ。九回に4点を奪って逆転サヨナラ勝ちした7月12日のDeNA戦(○4×-3、甲子園)以来、2度目。 ◆...阪神は巨人に勝利したが、57勝42敗3分で勝率・576。巨人は52勝38敗13分で・578のため、マイナス0・5差で2位のまま。4日に勝てば、首位に浮上する。

◆39歳の亀井が「5番・左翼」で5試合ぶりに先発出場し、2安打1打点をマークした。六回2死一塁では西勇から右中間三塁打。中島と並ぶチーム最年長を感じさせない激走に「久しぶりで足がパンパン」と笑った。チームの勝利には結びつかなかったが、原監督は「このところ非常に存在感を見せてくれていますね」とベテランの奮起をたたえた。

◆勝利モードが一気に暗転した。五回まで完全投球を続けていた巨人・戸郷翔征投手(21)だったが、3-1の七回1死満塁で大山に同点の2点二塁打を許して降板。救援陣も流れを変えられず、一気に逆転を許し、首位攻防3連戦の初戦を落とした。 「大事な試合だったので、最後粘れず申し訳ないです」 6敗目を喫した右腕がうなだれた。この日も課題の後半とセットポジションでもろさが見え、六回以降は別人のような投球。次世代のエースと期待する原監督は「あそこ(七回)は投げ切ってほしいね。やっぱりセットポジションからがなかなか...」と首をかしげた。 七回は戸郷から高梨、鍵谷、大江と4投手を登板させる〝マシンガン継投〟を見せたが、敵地・甲子園で阪神打線の勢いを食い止めることはできなかった。 「次、また頑張ります」 5戦連続で勝ちなしと苦しい状況が続く戸郷だが、必死に前を向いた。ゲーム差はマイナス0・5だが、勝率で上回っているため、何とか首位の座はキープ。今季の阪神戦で4戦4勝の高橋に第2ラウンドを託す。(伊藤昇)

◆周囲からなにを言われても自分のポリシーは曲げない。1-3の七回、1死満塁。7番・大山が難敵・戸郷の初球フォークを叩いた。痛烈なゴロが三塁線を抜ける。同点の2点二塁打が、チームの逆転勝利を呼んだ。 「それ(初球)が、自分の持ち味だし、崩したくない。うまくいかないときこそ、持ち味を出すことで、いい流れになると思っている」 そうつぶやくと、胸を張った。負けられない直接対決の1戦目。戸郷の前に五回までは走者を一人も出せず、苦しい展開だったが、突破口を開いたのも大山だった。 0-3の六回。先頭でチーム初出塁となる中前打。続く代打・糸井の右中間への二塁打で、一気に本塁まで駆け抜けた。 「なんとかしないといけないというのはあった。糸井さんが打ってくれて、本当によかった」 そして、七回の同点打をはさみ、6-3の八回には2死一、二塁から、勝利を決定づける中前適時打。6月3日のオリックス戦(甲子園)以来、実に3カ月ぶりとなる猛打賞だ。 これで大山が得点圏で安打を放った試合は、6月24日の中日戦(バンテリンドーム)から8連勝。打点を挙げた試合は8月14日の広島戦(京セラ)から5連勝だ。「僕がチャンスで打てばチームは勝つし、打てなければ負ける」開幕前、自分の置かれた立場を、こう話していた。実際に、4番を外されても、なぜか大山のところにチャンスが回る。これはチーム内の七不思議のひとつ。そして大山が打てば、勝つ-。大山の不振とともにチームの得点力も落ちたのは事実だ。1日の中日戦(甲子園)での勝ち越し打に続き、2試合連続でチームを勝利に導く打点をマークしたが、得点圏打率・219は主砲としては物足りない。矢野監督は「まだ悠輔(大山)らしいというところまでいかないが、何とかしようという気持ちが3本につながったと思う。苦しんでいる悠輔が打ってくれると、うれしい」と声を弾ませた。劣勢ムードをはねかえしての逆転勝利。主砲はお立ち台で「1試合、1試合、全員で戦うだけだと思うのでまた一丸となって戦っていきます」と叫んだ。輪の中心にいるのは、助っ人でも佐藤輝でもない。どんなときも信念を曲げない大山だ。(三木建次)■「あんたが働かんと勝たないよという証明」井上ヘッドは「ギャンブル的なところもあるけど、近本を3番に置いた場合を考えたら、必然的にそういうことになった」と1番に中野、2番には3年ぶりスタメンの島田を抜てきした理由を、説明した。その中で3打点の活躍を見せた7番・大山について「あんた(大山)が働かんと勝たないよという証明だから。これは本当にあいつの中では自信にしてほしい」と完全復活に期待を込めた。

◆ハンターのような鋭い眼光で白球を振りぬき、右中間を真っ二つに切り裂いた。40歳の糸井が反撃の口火を切る適時打を放ち、沈黙していた打線にスイッチを入れた。 「大山が塁に出てくれたので、とにかく自分も繋ぐ気持ちでした。新井良太コーチもお尻をたたいて、打席に向かわせてくれたので、良い結果につながりました」 0-3の六回、先頭の大山が中前打を放ち、この日、チーム初出塁。代打で打席へと向かう前、新井打撃コーチからお尻をたたかれ、さらに気合が入った。好投・戸郷に対し、フルカウントまで粘ると、6球目の外角直球を強振。痛烈なライナーで適時二塁打とした。 自身、8月27日の広島戦(マツダ)以来のタイムリー。ここぞの集中力が光るベテランに矢野監督も「3点差ついたし、(糸井)嘉男にランナー一塁のところで、何とかつなげてもらうというところで、最高の形でつなげてくれた。よく打ってくれました」と、賛辞を惜しまなかった。 後半戦の代打での打率は・364(11打数4安打)で、3打点。好調の要因を問われ「自分というよりはみんなで勝とうという気持ちだけなんで」と語った。プロ18年目を迎えてもなお、早出で汗を流すことを日課としている超人は、仲間と一緒に常に戦っている。 「これからもまだまだ大事な試合は続くので。毎日、最高の集中でみんなやっているので、明日も頑張ります」 虎がどんな逆境に立たされても簡単に倒れないのは、最後の砦として背番号7がいるからだ。(織原祥平)

◆痛快、逆転G倒! 2位の阪神は、巨人との甲子園での首位攻防第1ラウンドを7-3で制した。七回、同点に追いつき、なお2死満塁で、プロ初の1番に入ったドラフト6位・中野拓夢内野手(25)=三菱自動車岡崎=が、右翼へ走者一掃の決勝三塁打を放った。天下分け目の伝統の一戦を、自身20打席ぶりの安打で勝利に導き、さあ、きょう4日、奪首だ!!見逃せば高めのボール球だ。しかし、迷わず渾身の力でバットを振り切った。祈るように見つめる先で、ラッキー7の夜空に大きな弧を描いた白球は、音を立てて右翼フェンスに跳ね返った。中野が三塁ベース上で右手を突き上げる。虎の新1番が、宿敵を撃った。 「何とか強い気持ちで打つことができてよかった。自分のなかでも、あそこまで飛ぶと思っていなかった。(ファンの)皆さんの声援のおかげで飛んだと思います」 1-3で迎えた七回。大山の一打で追いつき、なお2死満塁で打席へ。巨人の原監督のマシンガン継投で、この回4人目の大江がコールされた。これまで虎が何度も煮え湯を飲まされてきた左腕。そう何度もやられるわけにはいかなかった。 フルカウントから7球目。高めに投じられた120キロ変化球に、バットをぶつけた。「四球狙いとか、弱い気持ちではなかった」-。試合を決める走者一掃の三塁打! 虎ナインも思わず、ベンチから飛び出した。 首位巨人と0・5ゲーム差で迎えた一戦だが、勝率の関係で、敗れていればこの3連戦での首位浮上ははかなく消えていた。大事な天王山初戦。矢野監督は近本を今季初めて1番から外し、3番に配置転換。代わりにリードオフマンを任されたのが、中野だった。 手を尽くし、勝利にこだわった一日で大仕事をやってのけた新1番に、指揮官も「見逃せばボールだったと思うけど、挑戦しようとか失敗を恐れないと言っているチーム。そういう気持ちが出た。ナイスバッティングでした」と目を細めた。 「全然ヒットが出ていなくて、何とかこのヒットをきっかけに、もっと状態を上げてチームに貢献していきたい」と中野。実はこの決勝打が、20打席ぶりにともした「H」ランプだった。「(盗みたいのは)飛ばせるところかな」と話す同期・佐藤輝のお株を奪う大飛球。そのドラ1も現在28打席連続無安打と苦しんでいる。グラウンド内外で行動を共にすることが多い2人。ただ、そんなとき中野は「調子が良くないときは野球の話よりは、他愛もない会話をする方がいいと思っているので」とあえて励ますことなどしない。バットで互いを鼓舞しあえばいい。この日、大歓声の中心に立ったドラ6の姿は、悩めるドラ1にとって何よりの発奮材料となったはずだ。痛快な逆転勝ちで、今季六回終了時にビハインドなら3勝31敗1分けで10連敗中だった負のデータとも、おさらば。4日も勝てば再び首位に返り咲く。まだまだ続く天王山へ、中野が誓った。「何とかこのカード、3連勝できるように。あしたからもいい流れで頑張っていきたい」夢を切り〝拓く〟新リードオフマンのバットが、甲子園で再び奇跡を起こす。(原田遼太郎)

◆個人記録よりもチームの勝利だというのは分かっている。でも、早く1勝してほしかった。なのに、またも辛抱しきれない...。四回まで巨人打線をピシャリ抑えていた西勇が五、六回に点を与えてしまう。ビハインドで代打を送られて交代。阪神ファン的には大ニュースの「西勇の通算100勝」はまたしても〝お預け〟だ。 お昼前に衝撃の第一報が飛び込んできて、午後からのニュース番組、ワイドショーは一色になってしまった。菅首相が自民党総裁選不出馬を表明。日本の内閣総理大臣が変わることになる決断だから、そりゃ大事件だ。 阪神と巨人が甲子園で激突した首位攻防戦。ことしのプロ野球界屈指(?)の大一番だけど、日本の将来を左右するニュースにもしっかり興味を持たないとダメだよ、うちのトラ番記者たちよ! と思っていたら、甲子園の記者席からトラ番・原田遼太郎が元気に即答してきた。 「もちろんです。阪神の動きをチェックしながら、ずっとネットのニュースを見ていました。改めて感じましたね、首相ってホント、大変そうです。いつ、どこへ行っても、番記者たちに追いかけられて。気が休まる時間なんて全くないんでしょう。阪神の監督と同じぐらいに大変だと思います」 おいおい、総理大臣と阪神の監督が「同じぐらい」になってしまうのか? 一瞬、注意しようと思ったが、それぐらいタイガースのことを必死に取材し続けている証拠だから、許すか。確かに阪神の監督は、勝てば英雄だけれど、少しでもさい配がうまくいかなかったら、ボロクソに言われたりする。コロナ対策で悪戦苦闘してきた菅首相も、タイガースの監督と共通項がないとも言えない。 「東証株価が上昇したみたいですね。来るべき新首相への期待といったところでしょうか」 意外過ぎる感想を述べたのが、トラ番最年少・織原祥平だった。視野の広い記者になれるぞ、とホメようとしたら...。 「でも、朝から一番気になっていたのは、西勇輝さんが100勝してくれるかどうかでした」 やっぱり阪神のほうが気になるのか。まあ、この男も優秀なトラ番に近づいているのかもしれない。 まさか、あの西勇がたった1勝挙げるのに、これほど苦労するとは夢にも思わなかった。 99勝目をマークした6月18日は、交流戦を6連勝締めして、4日間の〝交流戦ブレーク〟を終えて迎えた巨人戦。何事もなく快勝して、チームは7連勝。貯金は今季最多の21。そして両リーグ通じて40勝一番乗り。3位だった巨人とは8ゲーム差に広げた試合だった。 あの日、西勇の99勝目の記事は、ひっそり2面の片隅。次の100勝目で大々的に紙面を埋め尽くすから、王手をかけた西勇は控えめに。そんな思惑すら感じるサンスポの紙面だった。だが、そこから西勇は投げても投げても黒星。この夜もか-。 落胆していたら、奇跡が待っていた。伝統の一戦にふさわしい、劇的、痛快な大逆転勝利。これは間違いなく、総裁選よりビッグニュースだ。虎党にとっては...ですが。西勇も次は勝ってくれるだろう。

◆ガオー!! 『野球は筋書きのないドラマ』というけど、まるで漫画のような阪神の『筋書き? アホか! そんなモン、うちにあるかいな!!』の勝利にバンザーイ、を忘れて口をあんぐりの虎野球なのだ!! 七回、大山の同点二塁打が出て、さらに2死満塁のチャンスに打席に中野。巨人の4番手・大江が投じた3-2からの球は、内角高めの明らかなボールだった。 「よっしゃ!! 押し出しで勝ち越しや!!」と思った次の瞬間...中野がそれを強振したから、そのわずか何秒かの間、テレビ解説者の声にならない「ウソやろ~」の空気(同時に全国の虎党の、アホかァのため息)が日本中に流れた。そのまた何秒か後に打球が右越えの勝ち越し三塁打となって、狂喜乱舞の虎祭り!! ということで、全国の虎党の皆さ~ん。このチームを真剣に、常識的に見ていたら頭も体も壊しますので、くれぐれもご注意くださ~い!! 通算100勝を懸けてマウンドに上がった西勇は、7度目も沈没...。でも、逆に考えたら西勇ほどの投手が4勝で終わることはないだろうし...。ムフフ、優勝のための追い込みに、おいしいところを残しているのね...。憎いね~この!!

◆1ランクも2ランクも上の投手になるための課題が、如実に出た。戸郷だ。 五回までパーフェクト。六回無死から連打で1点を許したものの、その後をしのぎ、完投ペースに乗ったと思えたところで暗転した。迎えた七回は1死から安打、四球、安打で満塁。大山に初球、真ん中のフォークボールを左翼線へ二塁打された。 球が浮いてしまいました...では済まされない1球だ。チャンスに打つ気満々で、しかも4番まで張っていた相手。真ん中のフォークは、打ちごろの〝半速球〟でしかない。球種の選択は間違っていないが、低めへ投げなければ、フォークの意味がないのだ。 原因は投げ急ぎとみる。七回は全般的にコースが甘く、テンポもワンパターンだった。ここを早く乗り越え、九回まで...という意識から、アウトを欲しがってしまったのだろう。 そういうときこそ、冷静に、丹念に。ボールから入るなど、ストライクをそろえない工夫をすることだ。終盤の山を乗り越えてこそ、つねに完投、完封を狙える投手になれるのだから。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
523813 0.578
(↓0.006)
-
(-)
40418
(+3)
380
(+7)
131
(-)
54
(+1)
0.247
(↓0.001)
3.480
(↓0.04)
2
(-)
阪神
57423 0.576
(↑0.005)
-0.5
(↓1)
41420
(+7)
382
(+3)
99
(-)
91
(+2)
0.252
(-)
3.420
(↑0.01)
3
(-)
ヤクルト
483712 0.565
(↑0.005)
1.5
(↑1)
46422
(+3)
377
(+1)
99
(+1)
57
(+1)
0.254
(-)
3.640
(↑0.03)
4
(-)
中日
395014 0.438
(↑0.006)
12.5
(↑1)
40293
(+1)
333
(-)
53
(-)
53
(-)
0.237
(-)
3.120
(↑0.03)
5
(-)
DeNA
385213 0.422
(↓0.005)
14
(-)
40411
(-)
475
(+1)
105
(-)
23
(-)
0.259
(↓0.001)
4.400
(↑0.04)
5
(-)
広島
385210 0.422
(↓0.005)
14
(-)
43374
(+1)
423
(+3)
78
(+1)
47
(-)
0.259
(-)
3.920
(↑0.01)