全パ(★4対5☆)全セ =オールスター1回戦(2021.07.16)・メットライフドーム=
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全セ
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全パ
02100010041001
勝利投手:ビエイラ(1勝0敗0S)
(セーブ:スアレス(0勝0敗1S))
敗戦投手:益田 直也(0勝1敗0S)

本塁打
【全セ】菊池 涼介(1号・6回表2ラン), 【全パ】レアード(1号・3回裏ソロ)

  DAZN
チケットぴあ
◆全セは1点ビハインドで迎えた6回表、菊池涼の2ランが飛び出し、逆転に成功する。その後同点とされて迎えた9回には、2死満塁から中野が押し出し四球を選び、再びリードを奪った。敗れた全パは、終盤に追いつく粘りを見せるも、その後の好機にあと1本が出なかった。

◆全パのソフトバンク工藤監督が、投手目線で第1戦のスタメンの脅威を明かした。 「この打線に投げたくないです。3回持たずにKOじゃないですか。ファンのみなさんにも『お~』と喜んでいただけたら」と解説。1番には自軍の主砲・柳田を置き、4番には首位打者のオリックス吉田正を据えた。また、楽天生命パークでの第2戦では、田中将、松井ら楽天投手陣による「東北リレー」も予告。「震災から10年の節目ですし、仙台、東北の方に元気になってもらえたら」と活躍に期待した。

◆日本野球機構(NPB)は16日、楽天田中将大投手(32)浅村栄斗内野手(30)日本ハム近藤健介外野手(27)が体調不良で同日のマイナビオールスターゲーム2021第1戦(メットライフドーム)を欠場すると発表した。またホームランダービーで腰部の張りでロッテのレオネス・マーティン外野手(33)が欠場し、代わりに西武山川穂高内野手(29)が出場する。マーティンは試合には出場予定。

◆球宴初出場の阪神佐藤輝明内野手(22)が、まずはホームランダービーでファンを魅了する。 メットライフドームは5月28日西武戦で、新人では58年長嶋(巨人)以来の1試合3本塁打を放ったゲンのいい球場。また、ファンである「ももいろクローバーZ」が数々のメモリアルライブを行っており、モノノフ(ももクロファンの呼称)の聖地としても知られる。佐藤輝にとって、相性抜群の舞台は追い風になるはずだ。 立ちはだかるのは西武山川。1回戦の相手だったマーティン(ロッテ)が腰部の張りのため辞退。代わってファン投票で次点だった西武の大砲が出場する。5月29日のヒーローインタビューで山川は「輝明くん、えぐいっすね~」とうなっていた。セパ屈指のパワーヒッターの対決に注目が集まる。 佐藤輝は、ゲームには「2番左翼」でスタメン出場する。本塁打を打ちたい投手には西武平良を挙げ、真っ向勝負に期待がかかる。新人で本塁打なら19年近本以来、球界5人目の快挙。夢の祭典で怪力を見せつける。

◆マイナビオールスターゲーム2021で試合前にホームランダービーを行われた。セの出場者は阪神佐藤輝明、ヤクルト村上宗隆、巨人岡本和真、ヤクルト山田哲人。パの出場者はソフトバンク柳田悠岐、オリックス杉本裕太郎、吉田正尚。 1日目に出場予定だったロッテのレオネス・マーティンは腰部の張りで欠場、代わりに西武山川穂高が出場。 その山川が佐藤輝明、山田哲人を下し決勝進出を決めた。

◆「マイナビオールスターゲーム」第1戦は全セが接戦を制した。

◆怪物ルーキーはやっぱりモテモテ!? 阪神佐藤輝明内野手(22)が、初めての球宴をさっそく満喫している。 午後3時過ぎにグラウンドに姿を現すと、広島栗林、ヤクルト清水と談笑。その後ともにホームランダービーに出場するヤクルト村上、巨人岡本和とカメラの前でポーズを決めていた。ストレッチ中には、1回戦で対戦する西武山川と座りながら5分ほど談笑した。 フリー打撃では全セの指揮を執る巨人原監督が見守る中、快音を連発。シーズンの試合前でも打撃投手を務める阪神嘉勢打撃投手を相手に、右中間席中段へ運ぶ特大の1発を放つなど、本番へ向け万全だ。 その後は広島鈴木誠とキャッチボール。ライトでしばらく2人で談笑を続けていた。

◆球宴初出場の全セ・阪神佐藤輝明内野手(22)が、ホームランダービーで4本の柵越えに終わり、西武山川穂高内野手(29)の9本に敗れ、1回戦で敗退した。「疲れました(笑い)。負けちゃいましたけど、すごい楽しかったです」と笑みがこぼれた。 先攻の山川が驚異的なペースで9本放った。佐藤輝も思わず「すげえ」と口が動いた。「いや~もう9本打たれたので、すごいプレッシャーだったんですけど、はい。嫌だったです(笑い)」。先輩スラッガーに及ばなかったが、2発目の右翼席への1発は、この日トップクラスの打球速度168キロを記録。7試合通して打球の平均速度が一番速かった選手には日産リーフ賞が用意されている。 山川はヤクルト山田との準決勝も制し17日の決勝に進出。試合前練習で談笑していた西武の大砲に貫禄を見せつけられたが、虎のドラ1ルーキーも存在感をみせた。

◆ホームランダービーに代役出場した西武山川穂高内野手が、17日の決勝進出を決めた。1回戦で阪神佐藤輝明内野手の4本を大きく上回る9本放つと、2回戦は後攻でヤクルト山田哲人内野手の5本を1本上回り進出。打撃投手には同僚の源田壮亮内野手を指名し「源田が打ちやすいところにいっぱい投げてくれたのでよかったです」と喜んだ。 決勝は17日に第2戦の楽天生命パークで行われる。決勝の相手は明日決まるため、連戦を回避できる山川に分がある。「これ(ホームランダービー)で優勝したことがないので、また明日優勝目指していきたいです。今から始まる試合でもホームラン打てるように、頑張りたいと思います」と宣言。第1戦は全パの6番一塁でスタメン出場する。

◆全パからホームランダービーに出場したオリックスのラオウこと杉本裕太郎外野手(30)は2分間で2本の柵越えで、不発だった。 「力んだらアカンと思っていたんですが、やっぱり力んでしまいました。自分の弱さを感じています...」 1回戦でヤクルト山田哲に敗れ、駒を進めることができず「なんとか1本打ちたかったので、0で終わらなかったのは良かったのですが...。また出たいと思える楽しい企画だったので、来年も出られるようにがんばります」と、明るく話した。

◆全セ・阪神佐藤輝明内野手(22)は、4打数無安打でホロ苦い球宴デビュー戦なった。 「2番左翼」でスタメン出場。初回、シーズンと同様の登場曲、ももいろクローバーZの「吼えろ」が流れると、ゆっくりと打席に向かった。全パの先発、オリックス山本に3球で追い込まれると、最後は外角153キロ直球にバットが空を切った。 シーズンでは20本塁打の長打とともに、プロ野球新人最多タイの121個を記録した三振も"代名詞"となっている。球宴でも豪快なスイングを貫いたが、第1打席は不発だった。 第2打席は3回2死一、二塁のチャンスで回ってきた。16年夏に作新学院で甲子園優勝投手になった同学年の西武今井と対戦。2球目152キロ直球に詰まらされ、左飛に倒れた。 第3打席もチャンスで巡ってきた。5回無死一、二塁。日本ハム上沢に追い込まれてから、低めの142キロフォークに空振り三振に倒れた。 この日最後の第4打席でも、ロッテ佐々木千を捉えきれず中飛に倒れた。 全パの強力投手陣に抑え込まれ、7回表の守備から退いた。本塁打は祖父母が観戦予定の第2戦(楽天生命パーク、17日)にお預けとなった。

◆全パのオリックス山本由伸投手(22)が予定の2回を無安打無失点で、3度目の球宴マウンドで貫禄を見せた。 試合前には「オールスターは、この時期に唯一、記録に残らない。結果は関係ない。数字にこだわる必要のない試合なので、結果を恐れず、思い切り投げたいです」と球宴を楽しむ姿勢を見せていた。 最速は154キロ。計24球で6つのアウトを奪い、笑顔で捕手の西武森とグラブタッチした。 山本は過去2度の球宴は、本塁打を許して失点。今回は、スコアボードにきれいな輪を並べた。

◆全セ先発の巨人高橋優貴投手(25)が2回2安打2失点で、ほろ苦い球宴初登板を終えた。 ハーラー単独トップの9勝を挙げる左腕は3年目で初の球宴出場。バックネット裏に座り、人生初の球場観戦に訪れた1歳半の長女の前で"パパ"は全パ先頭ソフトバンク柳田をスライダーで左飛に打ち取ると、続く西武森は初球の147キロをフルスイングで空振らせ、尻もちをつかせた。最後は再びスライダーで三ゴロに打ち取った。3番のロッテ・レアードはカウント1-2から得意のスクリューで空振り三振を奪い、3者凡退で立ち上がった。 だが2回、全パの強打者に力を見せつけられた。 東京五輪侍ジャパンの先頭、4番オリックス吉田正にカウント2-2から外角スライダーを中前打とされると、ロッテ・マーティンに四球で無死一、二塁とピンチを招く。西武山川にフルカウントから真ん中144キロ直球をはじかれ、左中間を破る2点適時二塁打を浴び、先制を許した。後続の西武呉念庭、ソフトバンク松田、西武源田はそれぞれ内野ゴロに打ち取り、大量失点は防いだ。 球宴初登板を終え「グラウンドを見渡しても一流の方ばかりに守ってもらって、パ・リーグさんの打者を見ても一流の方ばかりなので、出られたことに感謝したいです」と汗をぬぐった。投球については「(1回のレアードは)三振を取りたいなと思っていたので、取れてよかったです。(2回に2失点し)一流の選手ばかりなので、なかなか全部抑えるのは難しいなと痛感しましたし、すごくいい経験をさせてもらったなと思います」と振り返った。 人生初観戦の愛娘へは「こうやって初めてプレーを見せられたので、今度はいい姿を見せれればなと思います」と"リベンジ"を誓った。 今季は9勝3敗、防御率2・51と投手陣をけん引。「リーグ優勝、最終目標として日本一だと思うので、フルスイングするバッターが多いパ・リーグのチームと、日本シリーズでやると思うので、力を付けて準備できたならなと思います」。確実にステップを踏む背番号26が、初めての晴れ舞台のマウンドを終えた。

◆全セ・阪神近本光司外野手(26)が3回に右前安打を放ち、サイクル安打を放った前回19年第2戦での5打数5安打から続く6打数連続安打とした。 2回1死一塁でまわってきた打席では西武今井の初球、150キロ直球を右前へ鮮やかに運んだ。 シーズン中も初球は53打数18安打、打率3割4分をマークしており、球宴でも積極打法で安打を放った。

◆オールスターで"幕張ずし"が開店した。全パの3番DHで起用されたロッテのブランドン・レアード内野手(33)が3回2死の第2打席、巨人戸郷の外角149キロ直球を豪快に引っ張り、左翼席へ運んだ。日本ハム時代と合わせ4度目の球宴で初の本塁打になった。 すし好きの"大将"は、すしをデザインしたスパイクで出場。花火が打ち上げられる中、悠然とダイヤモンドを1周すると、全パの仲間たちが「すしポーズ」でお出迎え。最後は釣って、さばいて、握っての恒例「すしパフォーマンス」。お客様はソフトバンク松田で、レアードによるとウニを握ったという。 自身球宴16打席目での初本塁打だった。試合中、広報を通じて「感触よく手ごたえも十分だったよ」と自画自賛。「ファンのためにオールスターですしを握れてうれしいよ」と喜びのコメントを寄せた。

◆"ペタジーニ超え!" 全セ・阪神近本光司外野手(26)が2打席連続安打を放ち、前回サイクル安打を記録した19年の第2戦5打数5安打から続く7打席連続安打で、同一年ではないが、01年球宴でペタジーニ(ヤクルト)が記録した6打数連続安打(途中1四球含む)を超えた。 3回1死一塁でまわってきた第1打席では西武今井の初球、150キロ直球を右前へ鮮やかに運んだ。2点差とした5回無死三塁の第2打席では、日本ハム上沢から1点差に詰め寄る左前適時打をマークした。これで、近本は「パ・リーグを代表する投手から、こういうゲームで打つことができて、楽しみながらプレーできています。自分自身すごく楽しめているから、いい結果が出ているのかもしれないですね」と話した。 7回の第3打席ではロッテ佐々木千の初球を打ちにいったが一ゴロに倒れ、連続打席安打は7でストップした。 ▼近本が第1、2打席で安打を放ち、5安打した19年<2>戦の第1打席から7打席連続安打。これまで球宴の連続打数安打記録は69年<2>戦~70年<1>戦高田(巨人=1四球挟む)と01年<2>戦~<3>戦ペタジーニ(ヤクルト=1四球挟む)の6打数で、近本の7打数連続安打は球宴新記録。

◆全セ巨人岡本和真内野手が3度目の球宴出場で初安打初盗塁を決めた。2打席凡退に倒れ、6回先頭での第3打席。日本ハム上沢の外角直球にややタイミングを外されながらも右前へ落とし、球宴通算12打席目でうれしい1本が出た。 なおも2死から広島菊池涼の初球に二盗成功。周囲の意表を突き、二塁上で必死に笑いをこらえた。今季は5月22日中日戦で1盗塁、シーズンでは通算9盗塁を決めている。

◆初出場の全セ・ヤクルト清水昇投手(24)が、4回に3番手として登板した。 ロッテマーティン、西武山川、西武呉相手に直球中心の投球。打者3人を無安打無失点で、わずか7球で封じた。「いいバッターと対戦することができたので、自分がどういう投球をすればいいのか、なお感じることができた」と、貴重な経験に笑顔を見せた。

◆全セ・阪神佐藤輝明内野手(22)と全パ・ソフトバンク柳田悠岐外野手(32)がテレビインタビューで軽妙な掛け合いを見せた。佐藤輝が「(柳田の)動画とかよく見させてもらっています」と言うと、柳田は「サトテル見てます、はい」。先輩の返答に、緊張の面持ちを見せていた佐藤輝が笑顔になった。 その後、佐藤輝は「雲の上の存在というか、すごい方なので勉強することばかりです」と続けると、柳田は「いやいやいや、それはもう言い過ぎなんで。リップサービスって分かってるんですけど(笑い)。いやでも、本当になんであんな飛ぶんかなっていうふうに、すごい研究してます」と熱く語った。 佐藤輝と柳田の一問一答は以下の通り。-佐藤輝選手、ここまでの雰囲気、プレーは 佐藤輝 そうですね、自分自身は全然だめだったんですけど、すごいプレーがいっぱい出て、はい、楽しいです。 -柳田選手は 柳田 いやもう、いつもね、一緒にやってるパ・リーグの素晴らしい選手と、一緒のチームで野球できて最高です。 -(古田氏が)2人ともフルスイングが持ち味。佐藤選手は柳田選手のバッティングを研究してるんじゃ 佐藤輝 そうですね、動画とかよく見させてもらってますね。 -(古田氏が)柳田選手、これだけ話題になっていたから佐藤選手を気になっているんじゃ 柳田 うーん、見てます。サトテル見てます、はい。 -(古田氏が)これからもフルスイング見せて下さい 佐藤輝 はい、ありがとうございます。 -柳田選手から見ているという言葉があったが 佐藤輝 いやーもう、雲の上の存在というか、すごい方なので、はい。勉強することばかりです。 -雲の上の存在と言われているが 柳田 いやいやいや、それはもう言い過ぎなんで、リップサービスって分かってるんですけど(笑い)。いやでも、本当になんであんな飛ぶんかなっていうふうに、すごい研究してます。

◆全セ・広島菊池涼介内野手(31)が、球宴初本塁打となる一時逆転となる2ランを放った。 1点を追う6回2死二塁で、日本ハム上沢の直球を強振し、左翼席までかっ飛ばした。3回には左前打、5回にも右前打を放っており、初の猛打賞と大暴れだ。 初出場の14年以来、7年ぶり2度目のマルチ安打となった。球宴前に「久しぶりに開催される喜びはファンの人たちにもある。楽しんでもらえる試合がしたい」と話していた通り、バットでお祭りを盛り上げた。

◆全パのロッテ佐々木千隼投手(27)が、初出場で持ち味を存分に見せた。 7回に4番手で登板。球宴で7打席連続安打中の阪神近本を初球で一塁ゴロに打ち取った。1番の巨人坂本は独特の緩いスライダーで空振り三振に。2番の阪神佐藤輝も114キロのスライダーで中飛に打ち取った。試合中、広報を通じて「独特の雰囲気でしたけど楽しんで投げられたと思います」とコメントを寄せた。 プロ5年目の今季はリリーフでここまで31試合に登板し、4勝12ホールド1セーブと、飛躍の1年になった。前日には「僕が直球勝負をしてしまうと、いつまでたっても1イニングが終わらなくなってしまうと思います」と冗談交じりのコメントをしたが、いつも通りの緩急で3者凡退。1イニング7球は、今季の自身最少タイ。佐々木千隼の真骨頂だった。【金子真仁】

◆8年ぶり出場のDeNA三嶋一輝投手(31)が1点を追う5回から登板し、1回を2安打無失点に抑えた。いつもの赤系と違い、キャメル色に紫のひもを通したオールスター仕様のグラブで登場。先頭のソフトバンク松田に左前打を打たれたが、西武源田は遊撃ライナー。ソフトバンク柳田にも左前打を浴びたが、最後は西武森を二-遊-一の併殺打に仕留めた。 「前回出場した際はルーキーで緊張したのを覚えています。8年越しで球宴に出られ感慨深いものがあり、なおかつ守ってくれているのが日本を代表する選手で最後もダブルプレーを取っていただき感謝しています。多少緊張はしましたが、無失点に抑えられ良かったです。楽しく投げることができました。セ・リーグが勝てるよう、ベンチに戻って応援します!」とコメントした。 併殺は侍ジャパンの広島菊池涼から巨人坂本、阪神マルテへと転送されていた。6回に味方が2点を取って逆転。1度は勝利投手の権利が転がり込んできたが、後続投手が同点に追いつかれ権利は消滅した。

◆全セの巨人戸郷翔征投手(21)が球宴初登板で"すし"を握られた。 2点を追う3回から2番手で登板。先頭のソフトバンク柳田をフォークで空振り三振、西武森を151キロの直球で一飛に打ち取った。だが2死からロッテ・レアードに追い込んでから高めの149キロ直球を左翼席へ運ばれた。続く吉田正は遊ゴロに打ち取った。 高卒3年目で初の晴れ舞台を終え「めちゃくちゃ楽しかったです。ホームランを打たれたのは正直悔しいですが、初めてのオールスターを楽しんで投げられたのでよかったです。また後半戦に向けて頑張ろうと思います!」とコメントした。

◆阪神のルーキー中野拓夢内野手(25)が、決勝の押し出し四球を選んだ。 4-4の9回2回2死満塁。途中出場したこの日初打席で、ロッテ益田と相対した。カウント1-2と追い込まれたところから、直球、シンカーをしっかり見極めフルカウント。その後直球2球にファウルで食らいつき、最後は外高めに直球が外れ押し出し四球。緊迫の対決に両ベンチが盛り上がる中、勝ち越し点を奪った。 直後の9回裏を、阪神スアレスが1安打無失点で締め、セ・リーグが勝利。初出場の大舞台で殊勲の活躍を見せた。

◆全パの日本ハム上沢直之投手(27)が、2回を投げ6安打4失点に思わず苦笑いを浮かべた。 5回に3番手で登板。先頭の菊池涼から4者連続で安打を浴び、2失点。2イニング目には菊池涼に左越え2ランを献上。降板後は首から滴る汗を拭いながら苦笑いも、3年ぶり2度目の球宴の舞台を笑顔で楽しんだ。 「とりあえずフォアボールだけ出さないように気をつけて、ストライクゾーンで勝負することを意識して投げました。シーズンじゃなくてよかったなと思います。盛り上げられてよかったです」とユーモアたっぷりに話した。

◆全パの9番遊撃でスタメン出場した西武源田壮亮内野手は「たまらん」守備を披露した。 先頭の全セ・巨人坂本の打球をなんなく処理。4回には広島鈴木誠、巨人岡本和と球界を代表する打者の打球をさばいた。打撃では5回の第2打席、痛烈な当たりも遊撃の正面を突いた。「オールスターの雰囲気を楽しむことができました。でもヒット1本打ちたかったです」と楽しみながらも、悔しそうに振り返った。

◆全パは2回無死一、二塁で山川が左中間への2点適時二塁打を放ち先制した。3回にはレアードが左翼席へソロ本塁打で突き放した。 3点を追う全セは5回、先頭菊池涼から4連打で1点差に詰めよった。6回2死二塁から菊池涼が逆転2ランを放った。 1点を追う全パは7回に敵失で同点に追い付いた。全セは9回2死満塁から押し出し四球で決勝点を挙げ、逃げ切った。

◆全セは「6番一塁」で先発した阪神ジェフリー・マルテ内野手は3打数無安打に倒れた。「みんなの前でいいところを見せたかった」と残念がったが、6回裏の守備ではオリックス杉本のゴロに飛びついて捕球し球場を沸かせた。 「みんなと関わることができてうれしいですし、いい経験をさせてもらって楽しませてもらいました」。初めての球宴を存分に味わった。

◆ 監督推薦で球宴初出場のオリックスの「ラオウ」こと杉本裕太郎外野手は、悔しさが残った。 本塁打競争では柵越え2本で1回戦敗退。「力んだらアカンと思っていたんですが...。自分の弱さを感じています」と不発を反省。試合では6回に代打で出場し一ゴロ。8回は空振り三振に倒れたが、9回2死満塁では右翼フェンス際の飛球をスーパーキャッチ。「スーパースターばかり。最後、守備で貢献できてよかった」とホッとした様子だった。

◆全パのソフトバンク柳田悠岐外野手(32)が、3年ぶり球宴でフルスイングを披露した。 オールスター常連の柳田は、前回19年は故障中のため出場できず、今回はファン投票、選手間投票のダブル選出で返り咲いた。 今季レギュラーシーズンでは1度もない「1番中堅」で先発。まずは全セ先発の巨人高橋に対し、豪快に振っていった。初球見逃しのあと、2球続けてファウル。最後は外角変化球に体勢を崩されながら、左翼へ大きな飛球を放ち柳田らしさを見せた。3回無死では巨人戸郷に空振り三振。2打席凡退で迎えた5回1死一塁では、DeNA三嶋から火の出るようなライナーで左前に運び、18年の第2戦以来となる快音を響かせた。 他球団の選手たちとも積極的にコミュニケーションを取り、阪神佐藤輝についても「サトテル、(映像)見てます。なんであんなに飛ぶんかな、と研究しています」と興味津々。「オールスターという舞台では、超一流選手が同じチームとなって戦うので、とても刺激になり楽しかったです。やはり、オールスターに出場できることは最高です」と久々の舞台を楽しんだ。

◆全パのソフトバンク甲斐拓也捕手は元同僚との対戦に天を仰いだ。 9回無死で、かつてバッテリーを組んだこともある阪神スアレスに二ゴロに打ち取られ苦笑い。8回からマスクをかぶった守備では、侍ジャパンの仲間となる西武平良ともコンビを組み好投をアシスト。「素晴らしい選手の集まりの中で野球ができ、とても刺激になりました。さまざまな選手と、いろいろな話をしたり、いい1日になったと思います」と振り返った。

◆初出場の全パ・ソフトバンク栗原陵矢捕手(25)は、球宴ほろ苦デビューとなった。 同点になった直後の7回2死二、三塁という絶好機に代打で登場。一気にヒーローをかっさらう大チャンスだったが、三振に倒れた。「素晴らしいプレーヤーの集まりで、いい刺激をもらいました。何度も出場できるように頑張っていきたいとあらためて思いました」。代打の後には三塁守備にも就き、はつらつとプレーした。

◆2度目出場の全セ・中日ダヤン・ビシエド内野手(32)が6年越しの球宴2試合連続安打を放った。 「5番・DH」でスタメン出場し、4回の第2打席で全パ2番手の西武今井から中前打。16年球宴第2戦での初安打以来の2安打目を決めた。スタンドからは妻と長男が応援。「息子は野球をやっていて、日本を代表する選手のプレーを間近で見てくれてうれしい」と、自身の勇姿を見せられただけでなく、息子の知見が広がったことを喜んだ。

◆全パのソフトバンク松田宣浩内野手が盛り上げ役を全うした。 試合前の円陣では、アイブラックで眉毛をつなげて濃く描き「点では全然ダメ。打線は分厚く、活発に行きましょう」。試合では8番三塁で先発し、5回は先頭打者でDeNA三嶋から左前打。「ヒットを打つことができたのが何より良かった」。ロッテ・レアードの本塁打の後にはパフォーマンスのすしを食べる役も買って出るなど、躍動していた。

◆全パ・ソフトバンク工藤公康監督(58)は、全セ・巨人原監督に対抗した必勝采配で盛りあげた。 同点の9回無死一、二塁でヤクルト中村が犠打を決めると、工藤監督はすかさず阪神近本を申告敬遠。ロッテ益田が押し出し四球を与え、惜しくも勝ちにはつながらず「ああやった方が盛り上がるのかなというところはちょっとね。やはり勝負となったら負けたくないという思いもあって、させていただいたんですけど。益田君には申し訳ないです」と苦笑いだった。

◆全セで初出場の巨人チアゴ・ビエイラ投手が14年日本ハム大谷を1キロ上回る、球宴最速の163キロをマークした。 8回から登板し先頭ロッテ・レアードの初球を含む10球中4球で計測。160キロ超えを8球記録し1回1安打無失点で勝利投手に。自己最速164キロの右腕は「いい場面でアドレナリンがすごく出た。163キロが出たのはそういうところもあったかもしれない」と誇らしげだった。

◆全パを率いたソフトバンク工藤公康監督(58)の、試合後の一問一答は以下の通り。 -先発のオリックス山本は好投 工藤監督 セ・リーグもこれだけすばらしい打者がいる中で、あれだけのピッチングができるのはすばらしいなと思いました。 -西武山川は急きょ本塁打競争に出場。試合でも活躍 工藤監督 試合でもしっかりと打ってね。ファンの方がメットライフで彼のホームランが見られたというのは喜ばしいことじゃないかなと思いますよ。 -4番のオリックス吉田正も安打 工藤監督 すごい4番としてどっしりしている感がありますしね、さすがパの首位打者。多分、もっとホームラン打とうと思ったら打てるんでしょうけどね。ああいうシュアなバッティングを見せるところはオールスターでも変わらないと思わせるナイスバッティングでした。 -柳田もヒット 工藤監督 1本出ましたね。良かったですよ、マッチ(松田)も出ましたし。明日はクリ(栗原)と甲斐にも出てくれたらなという思いです。 -9回は采配での攻防 工藤監督 勝つのも大事だなと思いますけど、ああやった方が盛り上がるのかなというところはちょっとね。原さんがバント出して、ぼくがまあね。コーチの方、辻監督と井口監督にも聞いて、ここは満塁でいった方がというところだったので。やはり勝負となったら負けたくないという思いもあって、させていただいたんですけど。益田君には申し訳ないです。 -明日は仙台で第2戦 工藤監督 2連敗というわけにはいかないので、明日はなんとか勝ちたいなと思います。ベンチの雰囲気もみんな楽しんでくれているオールスターかなと思います。見ている方には試合も楽しんでもらいながら、ベンチの様子、選手の雰囲気も楽しんでもらえたと思うので、良かった。マッチも大活躍でしたよ。

◆剛腕がうなった。全パの西武平良海馬投手(21)が、8回に5番手として登板し、1回無安打無失点と好投した。侍経験のある中日大島と、東京五輪でともに戦うヤクルト村上、山田との対戦。セ・リーグの猛者たちとの対戦も、心はブレず。「いつもとは違う景色で。いろんなタオルが掲げられて、声援もあって新鮮でした」。お祭りを楽しむ余裕があった。 同学年の村上への初球ではこの日の最速156キロを計測。「真っすぐで勝負しないと面白くない」と直球で押し続けた。最後は内角低めのスライダーで、一飛に打ち取り、侍主砲候補との真剣勝負を満喫した。 球宴に初出場も、今季はプロ野球記録の39試合連続無失点を達成。力強い直球を武器に、無双の前半戦を送り、東京五輪出場を引き寄せた。セットアッパーや、抑えとしてかかる期待は大きい。この日も、冷静なマウンドさばきで勝利に貢献。侍戦士たちを封じた勢いで、日の丸を背負った戦いに挑む。「オリンピックで抑えられるように調整します」。自慢の武器で世界を斬る。短い言葉に、確かな自信が見えた。【湯本勝大】

◆全セの巨人岡本和真内野手(25)が"足"でスタンドをざわつかせた。 「4番三塁」でスタメン出場。過去2回の出場で9打数無安打としているだけに何とかヒットがほしかったが、第1、2打席は凡退。それでも1点を追う6回先頭で日本ハム上沢の直球にタイミングを外されながらも右前へ落とし、通算12打席目で球宴初安打。 「(巨人)坂本さんと(広島)菊池さんにずっとあおられていたので、ヒットが出てよかったです」と安堵(あんど)したのもつかの間、2死から広島菊池涼の初球にスタートを切った。タッチをわずかに上回り、二盗成功。「ファーストの(西武)山川さんに『盗塁いきます』と伝えてから行きました」。盗塁はシーズンでも通算10個だけで、今季は5月に1盗塁を決めている。周囲の意表を突き、ざわつくベンチへ向き、二塁上で笑いを必死にこらえた。直後に2ランを放った菊池涼から「盗塁を見せてくれたから楽に打てた」と冗談を言われ「賞金は僕がもらわないといけないかなと思います」と笑った。 楽天生命パークで開催される第2戦の試合前にはホームラン競争に臨み、公私ともに仲のいいオリックス吉田正と対決する。「緊張して1本も打てないかもしれないですけど、頑張りたいなと思います。宮城、仙台の球場もセ・リーグはあんまり行く機会がないので、しっかりみなさん楽しんでもらえるようにプレーしていきたいなと思います」と力を込めた。

◆全パの日本ハム上沢直之投手(27)が、自虐たっぷりにお祭り舞台を楽しんだ。5回、3番手で登板。先頭の広島菊池涼から4者連続で安打を浴びて2失点。2イニング目にはまたしても菊池涼に左越え2ランを浴びた。2回を投げ6安打4失点。「ストライクが入れば。四球を出さなかったことが良かった」と笑った。 降板後は首から滴る汗を拭いながら苦笑いも、3年ぶり2度目の球宴の舞台を笑顔で楽しんだ。「ストライクが入ればいいと思った」と繰り返し「結果はもう、あまり正直気にしていなかったです。打たれても盛り上がるし。四球だけは誰も盛り上がらないので。シーズンだったら別ですけど」とユーモアたっぷりに振り返った。 球宴での目標だった「友達づくり」には1歩前進した。「僕から(話しかけに)いきました」と侍ジャパンの西武平良や今井と親交を深め、体の使い方など技術的な部分を学んだ。「(第2戦の)明日は、ほぼお手伝いさんなので。友達づくりが出来そうな感じがします」と心躍らせた。 この日は近藤が体調不良で欠場したため、日本ハム勢では唯一の出場となった。「今日は引き立て役に回ったので(第2戦では)ファイターズの人が活躍してくれます」と予告。お祭り舞台を盛り上げたあとは、後半戦でエースとして一肌脱ぐ。

◆全パの西武山川穂高内野手(29)が、本拠地での「マイナビオールスターゲーム2021」を沸かせた。試合前のホームランダービーに繰り上げ出場すると、圧倒的なパワーで決勝進出。試合では、先制の適時二塁打を放ち、ベース上で小さくどすこいを披露した。普段は見せないセーフティーバントを試みるなど敢闘選手賞を獲得。2年ぶりの宴を、大技小技を織りまぜながら盛り上げた。二塁ベース上でさりげなく、両手を突き上げた。山川は第1打席の2回無死一、二塁で、左中間へ打球速度156キロの先制2点適時打。同点で迎えた8回2死三塁では、ビエイラとの力のぶつけ合いを演じ、初球161キロをファウル。2球目の159キロで遊飛に打ち取られた。打てばMVPもありえた場面だが「最後は緊張感のあるオールスターらしからぬ緊張感で、それもそれで楽しかった」と汗をぬぐった。 3回連続3度目の出場。人生初の試みにも挑戦した。4回の第2打席、清水の初球にセーフティーバントの構え。ファウルとなり「人生初をやってみようと(球宴に)選ばれた瞬間思ったので。セーフティーって難しいんだなと」。生粋のホームラン打者が、敵も味方もファンも虚を突く、慣れないプレーで盛り上げた。「セーフになろうという気持ちではなく、いつもと違うことをやろうという気持ちです」とせービス精神から生まれた。 試合前には、圧巻の打撃力を披露した。マーティンに代わって、急きょ繰り上げ出場が決まった「ホームランダービー」では1回戦で阪神佐藤輝と対戦。かつて「お前は何の悪魔の実を食べたんだ?」とうらやんだスーパールーキー相手に9-4で圧勝する力業。2回戦ではヤクルト山田哲を抑え決勝へ進出した。計15本の柵越えも、クールにベンチに戻るとソフトバンク松田から「どすこいやらんかい!」と強烈なツッコミを受け、先制打では三塁側ベンチに向けて、さりげなく、どすこいパフォーマンスを披露した。 17日の第2戦前、決勝戦が待ち受ける。2度の本塁打王も、獲得していない称号だ。「まあまあいいところでいける気がしているので頑張りたいです」。ギンギラギンに輝く仙台の夜空に、無数のアーチを描いてみせる。【栗田成芳】

◆全パのロッテ荻野貴司外野手(35)と中村奨吾内野手(29)が、ともに途中出場した試合終盤の攻撃で輝いた。 7回2死走者なし、中村奨はこの日初めての打席でヤクルト・マクガフの151キロを痛烈に左前打とすると、さらに2死一、二塁で同じくこの日初打席の荻野が、追い込まれながらも三遊間へ強い打球。相手の悪送球を誘い(記録は安打と失策)、中村奨が一時同点となるホームを踏んだ。 荻野は不動の1番打者として、中村奨は不動の3番打者として、ともに3割超の打率をマークし、前半戦の12球団チーム最多得点に大きく貢献した。荻野は「(大学後輩の阪神)近本に負けないように存在感を出していきたい」、中村奨は「まずは安打を打てるように頑張りたい」と意気込み、それぞれがしっかりと結果を出した。 中村奨は1点を追う9回にも1死後、阪神スアレスの初球の直球を強く捉え、左前安打で出塁。マルチ安打で逆転のチャンスを作ったものの、その後2死一塁で荻野の当たりは惜しくも二塁ゴロとなり、サヨナラ勝ちとはならなかった。

◆仙台で球宴1号や! 「マイナビオールスターゲーム2021」の第1戦が16日、メットライフドームで行われ、ファン投票で初選出された全セの阪神佐藤輝明内野手(22)が夢の舞台を満喫した。 ホームランダービーでは西武山川の前に1回戦敗退となったが、トップクラスの打球速度168キロをマーク。試合は4打数無安打で終わったが、広島鈴木誠ら球界を代表するスラッガーと交流し、充実の時間を過ごした。球宴仕様の青色スパイク、手袋を装備した佐藤輝が打席に向かうと、メットライフドームに大きな拍手が響かせた。本拠地と同じ登場曲、ももいろクローバーZの「吼えろ」が流れる中、オリックス山本と対戦。3球で追い込まれると、最後は外角153キロ直球に空振り三振に倒れた。 「真っすぐも速くて、フォークとか全然当たらなかったんで、やっぱりすごいなと思いました」 第2打席は3回2死一、二塁。同学年の西武今井の152キロ直球に詰まらされ左飛に倒れた。その後も凡退し4打数無安打2三振。「しっかり振っていったんですけど、いいボールが来たんでしょうがない」。苦笑いになるほど全パの投手陣に完璧に封じられたが、力と力の勝負を楽しんだ。 ホロ苦の球宴デビュー戦。一方で学び、楽しんだ1日にもなった。試合前のホームランダービーでは、先攻の山川が驚異的なペースで9本を放ち、思わず「すげえ」とうなった。 「すごいプレッシャーだったんですけど...。嫌だったです(笑い)。負けちゃいましたけど楽しかった」 4発で及ばなかったが右翼席へ運んだ2発目は、この日トップクラスの打球速度168キロをマーク。4本目のバックスクリーン右への1発は、136メートル飛ばす特大弾。「らしさ」は存分に発揮した。 7回裏の守備から退くと、ソフトバンク柳田とテレビインタビューに出演した。「雲の上の存在というか、すごい方なので勉強することばかりです」と言うと「本当になんであんな飛ぶんかなっていうふうに、すごい研究してます」と返され思わず笑顔。パのスラッガーたちからも"モテモテ"だった。 試合前には広島鈴木誠とキャッチボール。侍ジャパンの4番候補に、準備の大切さを説かれたという。「周りはすごい人だけなんで。いろいろ聞き出して、自分の勉強材料にしていければ」。2戦目も"取材"意欲十分。「変わらず強いスイングというところだけ心掛けてやっていきたい」。さあ、夢の祭典2日目。観戦予定の宮城の祖父母に、お預けとなった球宴1号を届ける。【中野椋】

◆4年ぶり出場の全セ・中日又吉克樹投手(30)が1点リードの6回に5番手で登板しロッテ・レアードを3球三振に打ち取るなどパの主軸を3者凡退に抑えた。 試合前には青柳、高梨とセの変則フォーム3人衆と野球談議にも熱。「気負い過ぎず、楽しみつつ投げられた。ストライク先行で抑えられたのが大きかった」と、1回3安打1失点に終わった初出場時の雪辱を果たした。

◆初出場のDeNA佐野恵太外野手が、MVPのチャンスを逃した。7回裏の守備から出場。同点の9回1死満塁で初打席が回り、益田直也から空振り三振を喫した。 真ん中付近の148キロ直球を空振りし「緊張しましたが楽しかったです。まさか、あんな良い場面で打席が回ってくるとは思わなかったので、力が入ってしまいました。明日は活躍できるよう頑張ります」と苦笑いだった。

◆全セのヤクルト村上宗隆内野手と山田哲人内野手が、西武平良海馬投手に封じられた。 8回1死で村上が代打で出場すると、一飛。続くビシエドに変わって山田も代打で空振り三振に倒れた。この日が29歳の誕生日だった山田は、ホームランダービーでも2回戦敗退。「すごく緊張しましたが、楽しくスイングすることができました。良い思い出になりましたけど、疲れました」と話していた。

◆全セ・阪神近本光司外野手(26)が20年ぶりの新記録で球宴史にまた名前を刻んだ。第1、第2打席で安打を放ち、前回サイクル安打を記録した19年の第2戦5打数5安打から続く7打席連続安打で、01年にペタジーニ(ヤクルト)が記録した6打数連続安打(途中1四球含む)を超えた。「記録というのは、全然知らなかったです」と喜んだ。 3回1死一塁では西武今井の初球、150キロ直球を右前へ鮮やかに運んだ。5回無死三塁では、日本ハム上沢の外角チェンジアップを逆らわず左前適時打。「自分自身すごく楽しめているから、いい結果が出ているのかもしれないですね」。お祭り舞台で純粋にプレーを楽しむ姿勢が、安打量産につながった。 7回の第3打席もロッテ佐々木千の初球を打ちにいったが一ゴロで記録はストップ。だが、その打撃力を恐れたパ・リーグが同点の9回1死二、三塁の場面で申告敬遠。「(捕手の)甲斐さんに『緊張しますね』という話をしたんですけど、それが申告敬遠になって恥ずかしい気持ちになりました」と照れ笑いしながら一塁へ向かった。敬遠は23年ぶり8度目、申告敬遠は球宴初の珍事と、ここでも「近本」の名前を刻んだ。 ルーキーだった19年の球宴は満員の東京ドームと甲子園。「満員の中でやれていたことが当たり前じゃなかったんだというのはすごく感じます」と、コロナ禍の中でも応援してくれるファンにプレーで元気づける。「チャンスがあれば走っていきたい」。第2戦はリーグトップタイ17盗塁の足も見せる。【石橋隆雄】

◆全セ・広島菊池涼介内野手(31)が、1発を含む4安打2打点と奮闘し、オールスター第1戦のMVPを獲得した。 球団では15年の会沢以来6年ぶりのMVP受賞。賞金300万円をゲットした菊池涼は「申し訳ないというか、まさかというか、1回も賞を取ったことないので、思い出の深い場所でMVPが取れたのは、本当にうれしく思います」と初受賞を喜んだ。 7度目の出場で、待望の初本塁打をかました。1点を追う6回2死二塁、日本ハム上沢の高め直球を振り抜き、打球は左翼席へ。一時逆転の2ランに「ほぼ地元の球場で、球宴という舞台で初めての本塁打を打てたのが、思い出に残るというか、最高の気分です」。3回には左前打、5回には右前打、9回にも右前打をマーク。左右に打ち分け、猛打賞も球宴初だった。 思い出の地で暴れ回った。菊池涼は同球場からほど近い東京・東大和市出身で、「自転車で来れるほど近い球場」だという。小学生時代の99年に当時西武ドームで開催された球宴を現地で観戦していた。自身が本塁打を打ち込んだ左翼ポール際で試合を見たという菊池涼は「(巨人の)二岡さんが投げてくれたボールを父親が捕ってくれた。今でも実家にそのボールがあります」と感慨深げ。打点を記録したのも、球宴初出場だった14年以来7年ぶり。地元で強さをみせつけた。 2年ぶりのお祭りで、ひときわ輝きを放った。「コロナ禍で難しい中で開催された。無観客というよりかはファンのみなさんに見てもらいながら野球をやるということが本当に大切なんだなと思いました」。東京五輪に向け、弾みをつけるゲームとなった。【古財稜明】

◆全パで4番起用されたオリックス吉田正尚(28)は、2回の第1打席に巨人高橋から中前打を放った。 この日は宇宙空間をイメージし、星空が描かれているデザインのバットを使用。アンダーアーマー社と協力し、球宴限定での「七夕バット」。17日の第2戦はホームランダービーに出場予定で「チャンスがあれば(本塁打を)狙っていきたい」と意気込んだ。

◆9回のセ・リーグは無死一、二塁から中村悠平(ヤクルト)が送りバントを決め、1死二、三塁で近本光司(阪神)が敬遠された。球宴の犠打は91年<2>戦の延長10回無死一塁で伊東(西武)が記録して以来、30年ぶり43度目。 敬遠は98年<2>戦の9回1死二塁で高木大(西武)が記録して以来、23年ぶり8度目になる。満塁から中野の押し出し四球が決勝点となり、新人の勝利打点は19年<2>戦近本(阪神)に次いで2度目。

◆全セ・広島鈴木誠也外野手(26)が5回目の球宴出場を果たした。 全セの「3番右翼」で先発したが、第1戦はオリックス山本、西武今井、日本ハム上沢に抑え込まれ、3打数無安打に終わった。18、19年に続く3年連続のアーチは、17日の第2戦へ持ち越しとなったが「いろんな選手としゃべれたり、今までとは立場が変わって年下の選手たちが多かったので、新鮮で楽しかったです」と振り返った。

◆全セの阪神ロベルト・スアレス投手(30)が、球宴初登板で初セーブを挙げた。 「チームがセーブチャンスを与えてくれて、しっかり生かせたので、まずセ・リーグで勝てたのがうれしいです」。いつもの9回にマウンドへ上がると、先頭はかつての同僚、ソフトバンク甲斐。初球157キロで二ゴロに仕留めるなど、1回1安打無失点と球宴でも安定感は健在だった。この日の最速は160キロで、直前には巨人ビエイラが球宴最速の163キロをマークしていた。「彼も含めてみんながいい仕事をしたので、自分もすごくモチベーションになったよ。最後終わった時に、みんなでいいシーズンだなって終われるような活躍をみんなでしたい」と話した。

◆球宴デビューの全セ・阪神中野拓夢内野手(25)が決勝の押し出し四球を選んだ。4-4の9回2死満塁。途中出場し、この日初打席で、ロッテ益田と対戦。カウント1-2と追い込まれたところから、ボール球2球でフルカウント。その後は2球ファウルで食らいつき、最後は外高め直球を見極めて四球をもぎ取った。7回の遊撃守備では自身の悪送球から同点となっていただけに、借りを返した。 打席では勝ち越し打でヒーローも頭をよぎったが「フワフワした中でなかなか振りにいくことができず...」。ただ、ルーキーながら大仕事で全セの勝利を呼び込み「シーズン中でも、球宴でも自分の役割は変わらないと思う。そこをしっかり見せることもできましたし、四球を選んだ瞬間は非常にうれしかったなと思います」と胸を張った。 試合前には巨人坂本と守備談議。DeNA佐野、ヤクルト山田ともコミュニケーションを図った。17日の第2戦は両親も招待している「地元東北」での試合。「今日の菊池さんみたいな4安打というのはなかなか難しいかもしれないですが、両親の前で活躍している姿を見せられるように頑張りたい」と意気込んだ。

◆全セの巨人原辰徳監督(62)がヤクルト中村悠平捕手(31)を称賛した。 中村は同点の9回無死一、二塁で送りバントに成功。1死二、三塁から阪神近本への申告敬遠で満塁とし、2死から阪神中野が決勝の押し出し四球を選び、全セが勝利をつかんだ。 お立ち台に立った原監督は9回の攻防を振り返り「選手にはね、大いに個性を出して、思い切った戦いをしてくれと。しかし根底にあるのは、忘れてはいけないのは勝利を目的とするということだけを伝えて、それが(ヤクルト)中村くんがああいう形でね、犠牲心を持ちながら送りバントをしてくれたと。あそこが勝利の分岐点になったのかなと思いますね」と名前を挙げて、たたえた。 2年ぶりの球宴を勝利で飾り「本当に2年ぶりということなんですけども、非常に懐かしく感じてですね、新鮮な形で選手、我々も含めて1人1人がオールスターの舞台を楽しむことができたと思います。ひとえにファンの皆さまのおかげだと思っております。いろいろ厳しい世の中ではありますけども、やっぱり野球界というのはですね、ファンあってのプロ野球であると。その期待に応えるべく我々もコロナと戦い、そして前に進んでいくと強くまた思いました。ファンの皆さま本当にありがとうございます」と言って、ファンへ感謝の思いを伝えた。

◆ 「マイナビオールスターゲーム2021」の第1戦が16日、メットライフドームで行われ、ファン投票で初選出された全セの阪神佐藤輝明内野手(22)が夢の舞台を満喫した。 【阪神佐藤輝の一問一答】 -シーズンと違って球宴は個人の戦い 自分は負けないよう、スイングしたんですけど、今日は結果が出なかったですね。 -山本、今井と力勝負できた 力強い球でした。 -練習の時に鈴木誠、村上らと話していたが、印象に残った話は やっぱり、皆さん一流なんで、すごい準備っていうのが大切なんだと思いました。 -ベンチなどでは チームのことだったりバットの握りとか、いろいろ聞きました。 -山川とも。ヒントはつかめた そうですね、勉強させてもらって生かせていけたら。 -柳田と直接話は 今日はしてないですね。機会があれば明日話してみたいですね。 -他の選手から質問されたことは それは特にないですね。 -明日話したい人は パリーグの選手だったりいろいろ話してみたい。 -あすは仙台へ あしたはしっかり打てるように頑張っていきたいと思います。

◆「マイナビオールスターゲーム2021」の第1戦で、全パのオリックス山本由伸投手(22)が東京五輪へ強烈なデモンストレーションを見せた。先発で2回を無安打無失点の完全投球。侍ジャパンでは開幕戦となる28日の1次リーグ・ドミニカ共和国戦(福島・あづま球場)の先発が最有力だ。大車輪の働きが期待される22歳の右腕にとって、夢の舞台で上々の試運転となった。お祭りムードの球宴でも、オリックス山本は平常心だった。自身3度目の球宴は初の先発マウンド。2回24球で無安打無失点に封じ、敢闘賞をゲット。最速154キロを計測し、全国の野球ファンから拍手を受けた。 「しっかり落ち着いて、いい力感で投げられた。(西武)森さんのリードに任せて、思い切り。毎年(本塁打を)打たれていたので、抑えられてよかった」 18年に筒香(当時DeNA)、19年は阪神原口と、過去2度の球宴では本塁打を浴びて失点。今回は内角攻めを封印しながら貫禄ある投球で、全セをねじ伏せた。 球界を代表するエースとなった22歳右腕は野望に突き進む。「みんなで勝つと、野球はもっと楽しい。究極は、みんなが活躍して勝つこと。1番になりたい。そのために一生懸命、僕は投げるだけ」。東京五輪でも、目指すは頂点のみだ。 侍ジャパンでは開幕戦となる28日の1次リーグ・ドミニカ共和国戦の先発が最有力。初戦を投げれば、メダル確定がかかる8月5日の準決勝に中7日で臨むことができる。敗者復活に回った場合でも、負けたら即敗退となる8月3、4日の試合に中5、6日で登板できる。先発候補だった巨人菅野の辞退で構想が練り直された「先手必勝ローテ」だが、今季リーグトップに並ぶ9勝、首位を快走する奪三振121と防御率1・82をマークする22歳は、重圧には負けない。 「これから緊張感のある試合が続きますが、コンディションを整えて、ベストパフォーマンスを出せるように準備して挑みたい」 この日のマウンドには真っ黒な"球宴グラブ"を新調。侍JAPANでは背番号の「17」と内側に「日の丸」が刻まれた赤ひもの黒色グラブを準備。派手さは不要。目立つのはマウンド度胸と剛球。フラッシュライトが、似合う男になる。【真柴健】

◆監督選抜で初選出を果たした全セ・清水昇投手(24)=ヤクルト=が本紙に独占手記を寄せた。昨季、最優秀中継ぎに輝き、今季もセ・リーグ2位の41試合の登板で、同トップの25ホールドをマーク。3年目の今季の心の支えになっている言葉を明かした。 3年目で初めてオールスターに選出していただきました。ファン投票では差が開いていたので選ばれるとは思っていなかったのですが、すごくうれしい気持ちです。 自分にとってのオールスターといえば、藤川球児さん(阪神)の直球勝負。子供の頃、夢中になってみていた記憶があります。今の自分ができるかと言ったら絶対にできない。それだけすごい選手が集まっているという印象を受けました。公式戦でも結果的に3球直球勝負となることもありますが、打者が直球と分かっていて抑えられるというのは本当にすごいこと。自分も自信のある武器を持って、プロ野球で長くやっていけるようにしたいです。 今季はここまで41試合で25ホールドを挙げましたが、プロの難しさを痛感しています。昨年はイケイケで怖さを知らないところもありました。でも今年はそうはいかない。相手を知って、怖さを知って、昨年と同じではいけないという思いで勢いよくいけていない自分がいました。 そんなときに心に留めている言葉があります。帝京高の先輩でもある康晃さん(DeNA・山崎)から頂いた『重圧を受け止めるんじゃなくて、重圧を自分で楽しみなさい』という言葉です。まだ重圧を楽しめる域には到達していないですが、そう言われたときに腑に落ちる感じがしました。配球やメンタル面の細かいところも助言していただきました。今回、同じベンチに入れるのは光栄ですし、いろいろ教わりたいです。 救援陣としても苦しい時期がありました。6月下旬に石山さんが離脱し、改めてその存在の大きさを実感しました。八回のマウンドに上がっても石山さんが後ろにいる、まだベンチに残っているという気持ちがあるとないとでは、自分の中でも違っていた。石山さんがブルペンにいてくれるということだけで、本当に心強かったということです。その分、自分が抑えないといけないという思いにもなりました。 自分もそういう存在になりたいという思いが一層、強くなりました。これから若い投手が入ってきたときに、『思い切っていってこいよ』と背中を押せるような投手になっていきたいと思います。後半戦も、任されたポジションを絶対に抑えるという気持ちで、ゼロで帰ってくるという気持ちを持って腕を振り続けます。(東京ヤクルトスワローズ投手)

◆全セの試合前練習で変則投手が競演した。左横手投げの巨人・高梨雄平投手(29)が、右横手投げの阪神・青柳晃洋投手(27)、中日・又吉克樹投手(30)に歩み寄って談笑。ボールを使いながら、握りや腕の振りなどについて意見を交わしたようで、高梨と又吉はキャッチボールも行った。 昨季7月14日に楽天からトレードで巨人入りした高梨は、今回の球宴が初出場。他球団の変則投法の投手とコミュニケーションを取る貴重な機会になったようだ。 17日の第2戦では、移籍後初めて古巣の本拠地・仙台に〝凱旋〟する予定。「お世話になった仙台で開催ということで、この上ない幸せを感じています」と楽しみにしている。

◆試合前にホームランダービーが行われ、第1試合は16日に29歳の誕生日を迎えた全セ・山田(ヤクルト)が約50秒を残して3本を放ち、全パ・杉本(オリックス)の2本を上回った。 第2試合は2018、19年と2年連続で本塁打王を獲得した全パ・山川(西武)が9本、全セの阪神のドラフト1位ルーキー・佐藤輝が4本。 全セ・山田と全パ・山川が準決勝に進出した。

◆試合前にホームランダービーが行われ、2分間、球数無制限で行われる本塁打競争で、2018、19年と2年連続で本塁打王を獲得した全パ・山川穂高内野手(29)=西武=が決勝進出を果たした。 1回戦では9本を記録して、4本だった全セの阪神ドラフト1位ルーキー・佐藤輝に圧勝。準決勝は先攻の全セ・山田(ヤクルト)が5本をマークしたが、山川が残り約15秒を残して6本を記録した。 山川は「打ちやすいところにいっぱい投げていただいた」と、打撃投手を務めた同僚の源田に感謝。「これまで(ホームランダービーで)優勝したことがないので、明日(17日)は頑張って優勝を目指したい」とV宣言をした上で、「今から始まる試合でもホームランが打てるように頑張りたい」と力強く話した。 17日の第2戦(楽天生命パーク)の1回戦は全パ・吉田正(オリックス)-全セ・岡本和(巨人)、全パ・柳田(ソフトバンク)-全セ・村上(ヤクルト)のマッチアップで行われ、この4選手の中の決勝進出者と山川が賞金100万円を目指して優勝を争う。

◆全セ・佐藤輝明内野手(22)=阪神=が試合前のホームランダービーの第2試合で出場し、4本の柵越えを放つも1回戦敗退となった。 ルールは2分間無制限でホームランの数を競う。佐藤輝と対決予定だった全パ・マーティン(ロッテ)が腰部の張りを訴えて欠場。代わって出場した先行の全パ・山川(西武)が先攻で9本のアーチを記録した。 プレッシャーがかかる中、後攻の佐藤輝が打席へ。3スイング目にバックスクリーンへと運んだが、その後はなかなかスタンドには届かず。残り30秒を切ると、バックスクリーン右、右中間へ2連発を放ったが、計4本でタイムアップとなった。残念ながら1回戦で敗れたが、打球速度162キロ、飛距離136メートル、打球角度は26度をマークしてファンを沸かせた。 虎の黄金ルーキーはホームランダービーの出場者を決めるファン投票で両リーグ最多の1万7027票を獲得。ファン投票での選出となった2008年以降で、新人の出場は初の快挙となった。 2回戦で全セ・山田(ヤクルト)に勝利した全パ・山川(西武)は決勝進出を決めた。17日には全パ・吉田正(オリックス―全セ・岡本和(巨人)、全パ・柳田(ソフトバンク)―全セ・村上(ヤクルト)が対決し、勝者が全パ・山川(西武)と決勝戦を行う。

◆ホームランダービーの第1戦が行われ、球宴初出場の全パ・杉本裕太郎外野手(30)=オリックス=は、全セ・山田哲人内野手(29)=ヤクルト=と対決した。 杉本はトップバッターで打席に入ると、2分間で2発と悔しい結果に。続く山田が3本の本塁打を打ち、杉本は初戦で敗退となった。 「力んだらアカンと思っていたんですが、やっぱり力んでしまいました。自分の弱さを感じています。なんとか1本打ちたかったので、0(本)で終わらなかったのは良かったのですが...。また出たいと思える楽しい企画だったので、来年も出られるようにがんばります!」とコメントした。

◆試合前のホームランダービーは2分間、球数無制限で行われ、29歳の誕生日を迎えた全セ・山田哲人内野手=ヤクルト=は、1回戦を突破したが準決勝で敗れた。 「すごく緊張しましたが、楽しくスイングすることができました。いい思い出になりましたけど、疲れました(笑)」 1回戦は全パ・杉本(オリックス)との対戦。後攻だった山田が3本を放ち、3―2で勝利。準決勝では初球から3球連続で本塁打を放つなど、計5本塁打をマーク。しかし、後攻の全パ・山川(西武)が6本塁打を放ったため決勝進出はならなかった。 試合前には全セ・原監督(巨人)やナインにサプライズで誕生日を祝福され、バースデーケーキとともに記念撮影も行うなど、シーズン中とは違ったリラックスした表情を見られた。

◆試合前の本塁打競争1回戦で9本の全パ・山川(西武)に対して4本で敗れた全セ・佐藤輝(阪神)は「疲れました。負けてしまいましたけど、すごい楽しかったです。山川選手が目の前で9本も打ってプレッシャーをかけられてしまい、そのプレッシャーに勝てませんでした」と苦笑いを浮かべた。 また、準決勝で初球から3スイング連続で柵越えをマークしながらも、5-6で全パ・山川(西武)に敗れた全セ・山田(ヤクルト)はこの日が29歳の誕生日。「すごく緊張しましたが、楽しくスイングすることができました。良い思い出になlりましたけど、疲れました(笑い)」と振り返っていた。

◆「2番・左翼」でスタメン出場した全セ・佐藤輝明内野手(22)=阪神=の第1打席は空振り三振に倒れた。 一回1死走者なしで打席に立つと、全パ・山本(オリックス)と対決。注目の初球は154キロを見逃しボール。2球目は低めのフォークに空振り、3球目は直球にファウルで追い込まれると、最後は外角の153キロに黄金ルーキーのバットは空を切った。 佐藤輝と山本は同学年の22歳。大卒と高卒でプロ入りの年数は違うが、ともに日本球界の未来を担う2人だ。虎の怪物ルーキーと日の丸を背負う剛速球投手の対決にメットライフドームに駆けつけたファンも大きな拍手を送った。

◆全パ・山川穂高内野手(29)=西武=が先制打を放った。 「メチャメチャうれしいです。オールスター、すごく楽しめています」 二回無死一、二塁から、高橋(巨人)の投じた144キロの直球をとらえ、左中間へ2点二塁打とした。ベース上では、三塁側ベンチの仲間にむかい、笑顔でガッツポーズをみせた。 「次の打席の目標はホームランです」。ファン投票で選出された際には「MVPをとりたい」と話していたスラッガーが、本塁打競争に続き、本拠地で存在感を発揮した。

◆全パ・山本(オリックス)が球宴3度目の出場で初先発。全セ・佐藤輝(阪神)を空振り三振に仕留めるなど、最速154キロで2回をパーフェクトに抑えた。 「トップ選手ばかりなので、対戦していてワクワクした。毎年打たれていたので、抑えられて良かった」と初の球宴無失点に安堵(あんど)の表情を浮かべた。

◆監督選抜で球宴選出された全セ・清水昇投手(24)=ヤクルト=が四回から初登板。1回を3者凡退に抑える球宴デビューを飾った。 先頭のマーティン(ロッテ)は追い込んでから132キロのフォークボールで遊飛。続く山川(西武)は投ゴロ、呉(西武)は一ゴロに打ち取った。 「パ・リーグを代表する打者がたくさんいるので、出せる力を精一杯出したい」と話していた右腕。安定感のある投球で、セ・トップ25ホールドを挙げている片りんを見せた。

◆全セの先発、高橋優貴投手(24)=巨人=が2回2安打2失点だった。 一回は全パの1番・柳田(ソフトバンク)を左飛、森(西武)を三ゴロ。3番・レアード(ロッテ)は決め球のスクリューで空振り三振に仕留めた。二回は無死一、二塁から、対戦したい打者に名前を挙げていた山川(西武)に左中間を破る2点二塁打を許し先制されたが、後続はしっかり打ち取った。 今季は、前半戦でリーグトップの9勝を挙げ、プロ3年目で球宴に初選出。この日は、昨年生まれた長女が夫人とともに球場で初観戦した。 初の夢舞台を終えた24歳左腕は「一流の選手ばかりなので、すべてを抑えるのはなかなか大変だなと。でもすごくいい経験になりましたし、練習もすごいキャッチボールをする人ばかりで驚いた。この経験を後半戦に生かしたい」と笑顔で振り返った。

◆全セ・近本光司外野(26)が右前打で好機を演出したが、佐藤輝明内野手(22)=ともに阪神=が左飛に倒れて得点とはならなかった。 全セが2点ビハインドの三回、先頭の全セ・菊池涼(広島)が2番手の全パ・今井(西武)から左前打で出塁。続く梅野(阪神)は二ゴロ(併殺崩れ)に倒れたが、近本(阪神)が右前へと運んで1死一、二塁とチャンスメークした。しかし、1番の坂本(巨人)は空振り三振、佐藤輝も高めの152キロに左飛に凡退した。 佐藤輝は今井に対し、3月17日のオープン戦(メットライフ)で本塁打を放っていたが、その再現とはならなかった。

◆全パ・今井(西武)が2番手で登板し、2回を3安打無失点に抑えた。 「楽しかった。何とか四球なしで0点に抑えることができた」 全セ・坂本(巨人)からはスライダーで空振り三振を奪い、「シーズンだと配球をもっと読まれてくるのかと思いますが、いい高さに投げることができた」と笑顔。また、全セ・佐藤輝(阪神)は152キロの内角直球で左飛に打ち取り、「交流戦では全球変化球勝負だったので、きょうは真っすぐで抑えることができて良かった」と振り返っていた。

◆「3番・DH」で先発出場した全パ・レアード(ロッテ)が三回2死から左中間席へソロ本塁打。全セ・戸郷(巨人)のストレートを捉え、4度目の球宴出場で待望の初本塁打を放った。 「感触良く、手応えも十分だった。ファンのためにオールスターですしを握れてうれしいよ」 本塁打を打った際のベンチ前での恒例の〝エアすし〟握りのパフォーマンスでは、全パ・松田(ソフトバンク)の口に放り込んだ。「(以前に)松田選手には『何のネタが好きなの?●と聞かれていたので、『ウニ』と答えていた。だから、きょうはウニを握って食べてもらったよ」と上機嫌だった。

◆全セ・梅野隆太郎捕手(30)=阪神=と近本光司外野手外野手(26)=阪神=の連続タイムリーで勢いづけた。 0―3の五回、先頭の全セ・菊池涼(広島)が右前打で出塁すると、梅野が3番手の全パ・上沢(日本ハム)の初球を右翼線へとはじき返して1点を返した。なおも無死三塁で近本が高めの変化球を左前へ運んで打点をマーク。続く坂本(巨人)も左前打で4連打としたが、その後は佐藤輝(阪神)が空振り三振に倒れるなど2得点で攻撃は終了した。 適時打を放った近本はプロ1年目で初出場した2019年の球宴の7月13日の第2戦(甲子園)で5打数5安打を記録し、サイクル安打も達成。この試合でも2打数2安打で7打席連続安打とし、オールスター新記録を樹立した。 オールスターの1シリーズで記録した連続打数安打記録はペタジーニ(ヤクルト)が2001年にマークした「6」だ。

◆全セ・戸郷翔征投手(21)=巨人=が2番手として、1回1安打1失点で球宴デビュー登板を終えた。 同僚で先発した高橋からバトンを受け、三回にマウンドへ。柳田(ソフトバンク)からフォークボールで空振り三振を奪い、森(西武)は一飛に仕留めた。続くレアード(ロッテ)に149キロの直球を左翼席へ運ばれたが、4番・吉田正(オリックス)を遊ゴロに打ち取った。 球宴出場で一流選手の仲間入りを果たした戸郷は「めちゃくちゃ楽しかったです。本塁打を打たれたのは正直悔しいですが、初めてのオールスターを楽しんで投げられたのでよかったです」とコメントした。

◆ルーキーイヤーだった2013年以来、8年ぶりの出場となった全セ・三嶋一輝投手(31)=DeNA=が、2―3の五回に4番手で登板。1回を2安打無失点で最速154キロをマークした。 先頭の松田(ソフトバンク)に、いきなり153キロの直球を打たれ左前打。源田(西武)は遊直も、続く柳田(ソフトバンク)にも左前打を浴びて1死一、二塁のピンチを背負ったが、最後は森を二ゴロ併殺打に仕留め無失点で切り抜けた。

◆東京五輪の日本代表にも選出されている全セ・梅野(阪神)が、0-3の五回無死一塁から右翼線に適時三塁打を放った。 「先頭の菊池(広島)さんが出ていてくれて流れを作ってくれたので、自分も積極的にバットを振っていくことができた。ファン投票で選んでいただいたので、何とか良い姿を見せたかったし、1本出すことができて良かった」と振り返った。

◆全パ・柳田(ソフトバンク)と全セ・佐藤輝(阪神)がテレビ中継内で共演。佐藤輝が「雲の上の存在。すごい方。動画をよく見させていただいてます」と話すと、柳田は「リップサービスと分かっているんですけど、言い過ぎ(笑い)。『なんであんな飛ぶんかな』と、こっちが研究させてもらっている」と応酬した。

◆全パの4番手として七回に登板した佐々木千隼投手(27)=ロッテ=が、自身初球宴で1回無安打無失点と好投した。 「独特の雰囲気でしたけど楽しんで投げれたと思います。リラックスして結果気にせずとにかく楽しめたらと思っていたのでよかったです」 この試合を含め球宴7打席連続安打中だった先頭の近本(阪神)を、まずは1球で一ゴロに仕留めると、続く坂本勇(巨人)は空振り三振に。最後は佐藤輝(阪神)を中飛に打ち取り、三者凡退とした。 プロ5年目で初めての球宴登板を終え「レギュラーシーズンのほうが緊張はしましたね。周りがスターばかりでそっちの緊張のほうがありました」と笑顔で振り返った。

◆「2番・左翼」で出場した全セ・佐藤輝明内野手(22)=阪神=は4打数無安打2三振と快音を響かせることはできなかった。 一回の第1打席は全パ・山本(オリックス)の直球に空振り三振に倒れると、三回の2打席目は左飛、五回はチャンスで空振り三振に終わった。 七回も中飛に倒れ、その裏の守備で交代。代わって全セ・中野拓夢内野手(25)=阪神=が「2番・遊撃」で途中出場した。1死から代打の全パ・中村(西武)の三遊間への深い打球に追いつき、遊ゴロに仕留める好プレーを披露した。

◆初出場の全セ・チアゴ・ビエイラ投手(28)=巨人=が、球宴史上最速の163キロを連発した。 同点の八回に登板。先頭のレアード(ロッテ)に初球から163キロの直球で空振りを奪い、球宴では2014年の大谷翔平(現エンゼルス)が計測した162キロの最速記録を更新した。 レアードには4球すべて直球で空振り三振。4球中3球で163キロをマークした。続く島内(楽天)には163キロを中前打されたが、続く杉本(オリックス)をスライダーを交えて空振り三振。最後は2死三塁で山川(西武)に161キロ、159キロと直球を続けて遊飛に打ち取った。 時折、捕手・中村(ヤクルト)のサインに首を振るしぐさを見せながら、全10球中9球が直球。そのうち163キロが4球、160キロ超は8球と、自慢の剛速球を連発し、球場をどよめかせた。 ブラジル出身の来日2年目右腕は、昨年の日本シリーズで来日後の自己最速164キロをマーク(米国時代も含めると167キロ)。持ち味を発揮して見せ場を作った。

◆今季39試合連続無失点のプロ野球新記録を達成した全パ・平良(西武)が、八回から登板して1回を三者凡退に抑えた。 1死から2018年ドラフト同期生の全セ・村上(ヤクルト)と対戦し、カウント2-2からスライダーで一飛に仕留めた。「自然と(球速が)155、156キロと出ていて...。初対戦だったので楽しかった」と充実の笑顔だった。

◆九回に中野(阪神)が押し出し四球を選び勝ち越した全セが競り合いを制した。 全パの先発は山本(オリックス)。一回、坂本(巨人)を遊ゴロ、球宴初打席となる佐藤輝(阪神)は空振り三振、鈴木誠(広島)も三ゴロに切って取った。全セは高橋(巨人)が先発。こちらも柳田(ソフトバンク)を左飛、森(西武)を三ゴロ、レアード(ロッテ)を空振り三振に仕留めた。 山本の前に全セは二回も三者凡退。全パは二回先頭の吉田正(オリックス)が中前打で出塁すると、マーティン(ロッテ)も四球を選びチャンスを広げ、山川(西武)が左中間を破る2点二塁打を放ち2点を先制した。 全パは三回から今井(西武)が登板。菊池涼(広島)、近本(阪神)に安打を許すが後続を打ち取った。佐藤輝の2打席目は左飛。全セの2番手は戸郷(巨人)。二死からレアード(ロッテ)に左中間に運ばれ、この回1点を失った。 四回、全セは二死からビシエド(中日)が中前打で出塁するも無得点。その裏には清水(ヤクルト)が登板し、7球で三者凡退に仕留めた。 五回、全パのマウンドには上沢(日本ハム)が上がるが、全セは先頭の菊地涼が右前に運ぶと、梅野(阪神)が右翼線への適時三塁打。続く近本が左前適時打を放ち、この回計2点を奪った。さらに無死一、二塁の好機で佐藤輝に打席が回るが空振り三振。その裏、全パは全セ4番手の三島(DeNA)に松田(ソフトバンク)、柳田がヒットを浴びせるが無得点に終わった。 全セは六回、2死一塁から岡本が二盗に成功。さらに打席の菊池涼が左翼ポール際に2点本塁打を放ち4-3と逆転。その裏から又吉(中日)がマウンドに上がり、マルテの好守備などもありこの回を3人で切り抜けた。 七回、全パは佐々木千(ロッテ)をマウンドに送る。2死走者なしからの佐藤輝の第4打席は中飛に終り、ここで退いた。全セはマクガフ(ヤクルト)が登板。全パは2死から中村奨(ロッテ)、小深田(楽天)の連打で一、二塁。続く荻野(ロッテ)の遊撃への当たりを処理しようとした中野が二塁に悪送球(記録は安打と失策)。その間に中村奨が生還し全パが追いついた。 八回は全パ・平良(西武)が完ぺきに抑え、全セもビエイラ(巨人)が守備の乱れから2死三塁のピンチを迎えるが後続を打ち取り無失点。九回、全セは益田(ロッテ)を攻め、ウィーラー(巨人)、菊池涼の連打などで2死満塁とし、中野が押し出し四球を選び勝ち越した。九回のマウンドにはスアレス(阪神)が上がり、1死から中村奨に安打を許したものの全パの反撃をしのいだ。

◆全パ・上沢直之投手(27)=日本ハム=が五回から3番手で登板し、2回6安打4失点。五回に梅野、近本(ともに阪神)に連続適時打を浴び、六回には菊池涼(広島)に左越えソロを献上した。 「とりあえずフォアボールだけ出さないように気をつけて、ストライクゾーンで勝負することを意識して投げました。シーズンじゃなくてよかったなと思います。盛り上げられてよかったです」 全セに対してほろ苦い投球となったが、心優しき右腕は球宴ならではの雰囲気を満喫した。

◆全セ・原辰徳監督(巨人)が執念の采配で勝利をつかんだ。 4-4の同点で迎えた九回。ウィーラー(巨人)、菊池涼(広島)と2連打で無死一、二塁とすると、途中出場の8番・中村(ヤクルト)に犠打を命じた。中村は2球目でこれを決めると、球場内にはどよめきが広がった。 お祭りムードの強い球宴で、勝ちにこだわる犠打は異例。1991年7月24日の第2戦(広島市民球場)の全パ・伊東勤(西武)以来30年ぶりの犠打が記録された。 その後、全パ・工藤監督(ソフトバンク)が近本(阪神)を申告敬遠として満塁策を取ると、2死満塁で中野(阪神)が勝ち越しの押し出し四球を選び、これが決勝点。試合後、原監督はインタビューで「選手には大いに個性を出して思い切った戦いをしてくれと(伝えた)。しかし根底にあるのは、忘れてはいけないことは、勝利を目的とするということ。それが中村君がああいう形でね、犠牲心を持ちながら送りバントをしたと。あそこが勝利の分岐になったのかなと思います」と語った。 これで全セは全パに80勝85敗11分けとなった。

◆2点本塁打を含む4打数4安打の全セ・菊池涼介内野手(31)=広島=がMVP(最優秀選手賞)に選ばれ、賞金300万円を手にした。 「MVPは申し訳ないというか、まさかというか...。(球宴で)一回も賞を獲ったことがないので。でも、自転車で来られるほどの近い球場、ほぼ地元で活躍できたのは最高の気分。思い出にも残る」 東京都東大和市出身で、中学時代までは同市で暮らした。三回に左前打を放つと、五回にも右前打。2-3の六回二死二塁では全パ・上沢(日本ハム)から左中間席中段に逆転アーチを放った。球宴7度目の出場での初本塁打に、「直前に(岡本)和真が盗塁してくれて、気分が楽になっていい反応ができた」。ベンチに戻ると、他のナインから一斉に「MVPあるよ!」と声を掛けられたという。九回にも右前打を放った。 東京五輪でも内野の要、チームリーダーとして期待される菊池涼。賞金300万円の使い道については「家に帰って熟考したい」と笑った。

◆東京五輪代表にも選出されている全パ・源田(西武)は「9番・遊撃」で先発出場し、2打数無安打。「1本打ちたかった」と悔しがった。 だが、試合前の本塁打競争に話題が及ぶと笑顔満開。同僚の全パ・山川(西武)の〝専属〟打撃投手を務め、山川の決勝進出に貢献。「たくさんホームランを打ってくれてホッとしました。明日(17日)の目標は、試合での活躍はもちろんですが、山川さんのホームランダービー優勝にしっかり貢献したいです!」と力を込めた。

◆全セ・岡本和真内野手(25)=巨人=が3度目の球宴に出場し、通算12打席目で初安打を放ち初盗塁も決めた。 「坂本さん(巨人)と菊池さん(広島)にずっとあおられていたので、ヒットが出てよかった。(ベンチでは)ナイスヒットより『ナイス盗塁、ナイス盗塁』と言ってもらったのでうれしかった」 全セの「4番・三塁」で先発した巨人の主砲は六回先頭での第3打席で全パ・上沢(日本ハム)から右前打。待望の初安打を放つと、2死で菊池涼(広島)の打席で二盗に成功。今季はシーズン通算1盗塁だが、意表を突いて〝快足〟を披露し、二塁ベース上でニヤリを笑みを浮かべた。 試合後はMVPに輝いた菊池涼が「盗塁見せてくれたから楽に打てた」と言っていたことを報道陣から伝え聞き、「菊池さんからそれをふざけて言ってもらって、賞金は僕がもらわないといけないかなと思います」と〝和真節〟を炸裂させて和ませた。

◆5年目で初出場の全セ・佐野恵太外野手(26)=DeNA=は、4―4の九回1死満塁の絶好機で初打席を迎えるも、空振り三振に終わった。 「まさか、あんな良い場面で打席が回ってくるとは思わなかったので、力が入ってしまいました」 七回の守りから、佐藤輝(阪神)に代わって左翼で出場。迎えた九回、ウィーラー(巨人)、菊池涼(広島)の連打で無死一、二塁とし、中村(ヤクルト)が球宴では30年ぶりとなる犠打を成功させ二、三塁。続くこの日2安打の近本は申告敬遠され、満塁の絶好機で記念すべき球宴初打席に立った。 持ってる(?)男は、益田(ロッテ)に対してカウント1―2と追い込まれると、最後は内寄りの148キロ直球で空振り三振。天を仰いだ。それでも、17日の第2戦はスタメン出場も見込まれる前半戦セ・リーグ首位打者は「緊張しましたが、楽しかったです。明日は活躍できるように頑張ります!」と前を向いた。

◆全パ・森(西武)は「2番・捕手」で先発出場し、3打数無安打。五回1死一、二塁の好機では遊ゴロ併殺打に倒れた。 「あまりオールスターを楽しむ余裕はなかったですね。でも、山本君(オリックス)の球はすごかった」と感嘆。山本は前半戦終了時点で、勝利数、防御率、奪三振数でリーグトップ。第2戦に向けては「途中からの出場になると思いますが、MVPを狙いたい!」と威勢が良かった。

◆プロ野球の「マイナビオールスターゲーム2021」は16日、メットライフドームで第1戦が行われ、全セが全パに5―4で競り勝ち、通算成績を80勝85敗11分けとした。昨季は新型コロナウイルス感染拡大で中止され、2年ぶりの開催となった。 最優秀選手(MVP)には4安打2打点をマークした菊池涼(広島)が初めて選ばれた。 全セは4―4の九回にウィーラー(巨人)、菊池涼の連打などで2死満塁として中野(阪神)が押し出し四球を選んで勝ち越した。全パは山本(オリックス)が先発して2回無失点と好投するなど試合を優位に進めたが逃げ切れなかった。 第2戦は17日に楽天生命パーク宮城で行われ、全パは宮城(オリックス)、全セは柳(中日)が先発する。 全セ・原監督「2年ぶりで、非常に懐かしく感じた。選手には勝利を目的にすると伝えた。中村君が犠牲心を持って送りバントをした。あそこが勝利の分岐になった」 全パ・工藤監督(満塁策が裏目に出て押し出し四球となり)「勝負となれば負けたくないという思いがあった。益田君には申し訳ない。2連敗というわけにはいかないので、何とか勝ちたい」 三嶋(8年ぶりの出場で1回2安打無失点)「守ってくれているのが日本を代表する選手で、最後も併殺を取っていただき感謝している。楽しく投げることができた」 佐野(初出場し、九回1死満塁で空振り三振)「まさかあんないい場面で打席が回ってくると思わなかったので力が入ってしまった」 岡本和(安打で出た六回に二盗)「普段できないことを、ファンの皆さんに見せることができてうれしい」 梅野(五回に適時三塁打)「楽しんでできた。積極的に行って、いい結果が出た。その後に、近本が(適時打で)かえしてくれたので良かった」 スアレス(初出場でセーブを挙げ)「うれしい。セーブチャンスを与えてくれて、それを生かせて良かった」 上沢(3番手で2回6安打4失点)「四球だけ出さないように気を付けて、ストライクゾーンで勝負することを意識して投げた。シーズンじゃなくて良かった」 柳田(3打数1安打)「超一流選手と一緒に戦うので、とても刺激になり楽しかった」 松田(2打数1安打)「スタメンで出場して、ヒットを打つことができて良かった」 栗原「何度も出場できるように頑張っていきたい」 甲斐「いい一日になった」 杉本(九回2死満塁で体を張って好捕)「打てなかったが、最後に守備で貢献できて良かった。周りがスーパースターばかりで、とても心強かった」 小深田(プロ2年目で球宴初出場を果たし、七回の初打席で右前打)「初球からいこうと思っていた」

◆新型コロナウイルス感染拡大によるイベント開催制限のため、観客数はオールスターゲーム史上最少の8992人にとどまった。これまでの記録は熊本市のリブワーク藤崎台球場で開催した2018年第2戦の1万3760人だった。 日本野球機構(NPB)は当初、上限を1万人に設定していたが、埼玉県で「まん延防止等重点措置」が延長され、イベントの最大人数が5000人とされたためチケットの一般販売を中止。その時点で販売済みのチケットは有効としたため、規定上の上限よりは多い観衆が入った。

◆初出場のスアレス(阪神)が5-4の九回に登板。中村(ロッテ)には左前打を許したが、1死一塁から小深田(楽天)をこの日最速160キロで遊ゴロ、最後は萩野(ロッテ)を159キロで二ゴロに仕留めてセーブをあげた。 前半戦で両リーグトップの25セーブを挙げている昨季のタイトルホルダーは「チームがセーブチャンスを与えてくれて、しっかりいかせた。セントラル・リーグで勝てたのでうれしい」と声を弾ませた。試合前には同僚のマルテとともに、マーティン(ロッテ)、松田(ソフトバンク)とラパンパラポーズを披露。夢舞台を満喫していた。

◆先発マスクをかぶった梅野(阪神)が反撃ののろしをあげた。0-3の五回無死一塁から右翼線へ鋭いライナーを放つと、バウンドが変わってマーティン(ロッテ)が捕球できず(記録は三塁打)。全セの初得点を刻むと、近本も適時打で続き「チカ(近本)もヒットを打ってくれたので、まだまだいけるとセリーグ自体がなったのでよかった」と胸を張った。同じく侍入りした甲斐(ソフトバンク)と話す機会もあり「オリンピックの(代表)選手ともっともっとコミュニケーションをとっていきたい」と有意義な時間にうなずいた。

◆信念を貫いた。2年ぶりに球宴で指揮を執った全セ・原辰徳監督(62)=巨人=は、九回に犠打のサインを出し、決勝点をもぎ取った。 「中村君が犠牲心を持ちながら送りバントをした。あそこが勝利の分岐になったと思います」 4-4で迎えた九回無死一、二塁で中村(ヤクルト)が犠打に成功。球宴での犠打は、1991年7月24日の第2戦(広島市民)で全パ・伊東勤(西武)が記録して以来、実に30年ぶりだ。 全パ・工藤監督(ソフトバンク)は続く近本(阪神)を申告敬遠で歩かせた。球宴での敬遠四球は23年ぶりで申告は初。満塁策で1点も与えない姿勢を示した。 結果は押し出し四球となったが、お祭りムードを排した戦術の応酬に、スタンドも沸いた。 セ・リーグらしい緻密な野球で勝利に導いた指揮官は「忘れてはいけないのは、勝利を目的とするということ」と言い切った。まさに、原監督らしい執念の1勝となった。(伊藤昇)

◆全パの平良海馬投手(21)=西武=が八回に球宴初登板。初対戦となった同学年の村上宗隆内野手(21)=ヤクルト=を一飛に封じるなど三者凡退で終えた。 「自然と155、156キロが出て、初対戦だったので楽しかったです」 初球の156キロに、村上もフルスイングで応えた。直球を5球続け、カウント2-2からのチェンジアップにもファウルで反応されたが、最後はスライダーで一飛。「ホームランと紙一重。楽しく投げられた」と充実感をにじませた。 続く山田(ヤクルト)は「高めにいい球が行った」と154キロで空振り三振。39試合連続無失点のプロ野球新記録を樹立した右腕は、東京五輪日本代表で共闘する甲斐(ソフトバンク)とのバッテリーに「(甲斐の)サイン通りに投げられたかな」とうなずいた。 初の舞台で闘争心をくすぐられた。ファン投票で出場が決まったときは「僕の真っすぐは絶対に打たれる」と変化球で勝負するつもりだった。しかし、試合が始まると、独特な雰囲気に「真っすぐで勝負しないと面白くない」と心変わり。全17球のうち14球で直球勝負を挑み、勝った。 「けがだけはしないように、五輪でしっかり抑えられるように調整します」。日本代表でも守護神候補に挙がる右腕が、いよいよ五輪モードに突入する。(湯浅大)

◆監督選抜で初選出されたプロ3年目右腕の全セ・清水昇投手(24)=ヤクルト=は、四回に登板して1回を無安打無失点に抑えた。満点の球宴デビューを飾り「強打者が多かったので自分の持ち味を出せるか不安もあったが、低めに集めて自分らしい投球ができた」と振り返った。 先頭のマーティン(ロッテ)は132キロのフォークボールで遊飛。続く山川(西武)にはセーフティーバントの構えで揺さぶられ「ちょっと動揺しました」と苦笑いを浮かべたが、落ち着いて投ゴロに斬った。3人目の呉念庭(西武)も一ゴロに打ち取り、わずか7球で三者凡退に仕留めた。 今季はセ・リーグ2位の41試合に登板し、同トップとなる25ホールドを挙げている。試合前には東京・帝京高の先輩、山崎(DeNA)やセ・リーグトップの42試合に登板している又吉(中日)らリーグを代表する救援陣と談笑する場面もあった。(横山尚杜)

◆色とりどりのユニホームがバックを守る。シーズンを戦うライバルも、今夜は全員が味方だ。出場3度目で全パの先発を初めて務めた山本(オリックス)が、圧巻の投球で敢闘選手賞に輝いた。 「守っている選手もトップばかりなので、すごくワクワクしました。オールスターの先発はなかなか経験できないこと。しっかり楽しみながら、いい投球ができました」 一回、先頭の坂本(巨人)を遊ゴロに仕留めると、佐藤輝(阪神)は直球で空振り三振。鈴木誠(広島)も三ゴロに打ち取った。二回も最速154キロの直球に変化球を交え、岡本和(巨人)、ビシエド(中日)、マルテ(阪神)を三者凡退。二回を完璧に抑えた。 球宴初出場の2018年から3大会連続での出場。過去2大会はともに本塁打を浴びており、意外にも無失点は今回が初。「毎年打たれていたので、抑えられてよかった」と笑顔で振り返り、敢闘選手賞の賞金100万円をゲットした。 球宴が終われば、東京五輪の日本代表合宿に参加し、金メダルを目指す戦いが始まる。菅野(巨人)が代表を辞退し、千賀(ソフトバンク)の調子も不安定。それだけにエース級の活躍が期待される。28日のドミニカ共和国との五輪初戦(福島)で先発を託される可能性も浮上している。 「これから緊張感のある戦いが続きますけど、コンディションをしっかりと整えて、ベストパフォーマンスを出せるようにしていきたいです」 日本を代表する投手へと成長した山本由伸が、世界に名をとどかせる。(西垣戸理大)

◆懐かしい景色が、息を吹き返す力をくれた。一時勝ち越しとなる2ランを含む4安打と大暴れした全セ・菊池涼(広島)が、MVPに選ばれた。 「小さいころから自転車で来ていたし、思い出に残る球場だった。(MVPは)最高です」 2-3の六回2死一塁。シーズン1盗塁の一走・岡本和(巨人)が意表を突く二盗を決め、好機を拡大した。「和真がいきなり、ふいの盗塁を見せてくれたので、気が楽になった」。上沢(日本ハム)の甘く入ってきた直球を一閃し、左翼席に運び去った。 「(ベンチでは)『MVPあるよ』と、そんな声ばかりでした。思い出深い場所で取れたことはうれしい」 2014年から7大会連続で出場しているが、これが初アーチ。三、五回にも安打を放つと、4-4の九回無死一塁では右前打でつないで勝ち越しを演出した。メットライフドームに隣接する東京・東大和市の出身とあって「ほぼ地元」。少年時代から何度も足を運んだ球場で賞金300万円をゲットし「(使い道は)帰って熟考したい」と笑みを浮かべた。 3、4月は打率・352と絶好のスタートを切った。しかし、5月に新型コロナウイルスに感染して一時離脱。6、7月に調子を落とした時期もあっただけに、MVPという結果に「申し訳ないというか、まさか」と本音ものぞかせたが、日本代表に選ばれた東京五輪にも弾みになりそうだ。 「コロナ禍で、新しい観戦ルールの中で難しいところもあると思いますけど、皆さんの前でプレーできてよかったです」 2年ぶりに開催された球宴に、その意味をしっかりと感じた。東京五輪でも、野球の力で日本を元気にする。

◆交わした言葉の一つ一つ。目の前で沸き起こる超一流のプレー。すべてが成長の糧になる。初の球宴はホロ苦デビュー。それでも、全セ・佐藤輝(阪神D1位、近大)が充実の表情をにじませた。 「みなさん楽しそうにプレーしていますし、すごくいい雰囲気。自分自身は全然ダメだったんですけど、すごいプレーがいっぱい出て楽しい」 セ・リーグの代表として「2番・左翼」でスタメン出場。一回、全パの先発は同世代の山本(オリックス)だった。「しっかり負けないようにスイングはした」。真っ向からぶつかるも、最後は153キロに空振り三振。その後も沈黙し、4打数無安打と快音を響かせることはできなかった。 「周りは僕よりすごい人だけなので何かいろいろ聞きだして、勉強の材料というかそういう風にしていければいいかなと思います」 ヒットは出なくても得たものは大きかった。ファン投票では球宴史上初となる新人でのセ・リーグ最多得票。さらに、こちらも史上初となる選手間投票のトップ選出。ファンも、プロも〝見たい〟と願う怪物ルーキーだ。ひとたびグラウンドに入れば、その人気はすさまじかった。 まず岡本和(巨人)、村上(ヤクルト)と野球談議に花を咲かせた。アップ中は、山川(西武)に〝ロックオン〟され、身ぶり手ぶりで打撃論を語り合う。右翼の守備練習中は鈴木誠(広島)と行動をともに。日本の主砲に「数字を気にするんですか?」など聞きたかったことをぶつけることができた。「球団のチームのこと、バットの握り、いろいろ聞きました。みなさん一流なので、準備を大切にされているなと思いました」。超一流の技術、考え方、野球への姿勢に触れることで、培うことのできた経験値は計り知れない。ここに来られただけで意味があった。 17日の第2戦もスタメンで出場する。次の舞台は第2の故郷・仙台。祖父・勲さん(82)、祖母・美智恵さん(82)も観戦に訪れる。 「変わらずに強いスイングを心がけてやっていきたい。あしたはしっかり打てるように頑張っていきたいです」 黄金ルーキーは夢舞台でまた少し、プロ野球選手らしくなった。次は打つ。杜の都で輝きを放つ。(原田遼太郎) ◆「プレッシャー」 マーティン(ロッテ)が腰部の張りで欠場したため、佐藤輝は山川(西武)とホームランダービー1回戦を戦った。先攻の山川は本拠地の地の利も生かし、2分間で9本塁打。これにはドラ1も「すごいプレッシャーだった。嫌だったです(笑)」とお手上げだ。2連発を放つなど意地を見せたが、4本で無念の初戦敗退。それでも「負けちゃいましたけど、すごく楽しかったです」とお祭りを満喫していた。

◆並みの新人なら緊張でガチガチになってもおかしくない場面でも、冷静だった。全セ・中野(阪神D6位、三菱自動車岡崎)が球宴デビューで決勝の押し出し四球をもぎ取り、勝利に貢献。守備でのミスを取り返す大きな1点をもたらした。 「シーズン中でも、球宴でも自分の役割は変わらない。そこをしっかり見せることもできたし、四球を選んだ瞬間は非常にうれしかった」 4-4の九回。2死満塁の絶好機で、途中出場していた中野に球宴初打席が巡ってきた。すさまじい集中力を発揮。全パ・益田(ロッテ)に3球で追い込まれたが、ファウルで粘り食らいついた。最後はフルカウントから8球目の外角高めに外れた直球を見極めた。スコアボードに「1」を刻むと、顔をくしゃっとさせて笑った。 守備で悔しいミスがあった。佐藤輝に代わって1点リードの七回から遊撃で途中出場。2死一、二塁で荻野(ロッテ)の三遊間のゴロに追いついたが、二塁へ悪送球。この間に二走が生還し、追いつかれた(1ヒット1エラー)。ミスを取り返すべく、最後の最後にやってきたチャンスでやり返した。球団新人野手の球宴初打席での打点は、1980年7月19日(西宮)に岡田彰布が代打本塁打の離れ業をしているが、中野はしぶとく、叩き出してみせた。 球宴前から話してみたいと語っていた全セ・坂本(巨人)とは試合前に写真撮影。それをきっかけに、積極的に先輩へ質問をぶつけた。「守備の捕る間(ま)であったり、状況に応じた守備をするというのを教わったので、それを後半のシーズンに生かせるように」。侍ジャパンの中心でもある名遊撃手からの金言の数々を胸に刻んだ。 17日の舞台である仙台は、山形出身、そして東北福祉大出身の中野にはゆかりのある地だ。 「(観戦に訪れる)両親の前で、活躍している姿を見せられるように頑張りたい」 応援を力に変え、東北でまばゆい輝きを放つ。(織原祥平)

◆新お祭り男だ! 「マイナビオールスターゲーム2021」の第1戦(メットライフ)が行われ、全セが全パに5―4で勝って、通算成績を80勝85敗11分けとした。昨季は新型コロナウイルス感染拡大で史上初の中止となり、2年ぶりの開催。全セ・近本光司外野手(26)=阪神=が2安打を放ち、2019年の第2戦から7打席連続安打の球宴新記録を樹立。敢闘選手賞を受賞した。第2戦は17日に楽天生命パークで開催される。 衝撃の球宴デビューから2年-。今年も、近本が夢舞台を盛り上げた。右に左に弾き返して、またも歴史に名を刻み、新お祭り男を襲名だ。 「とにかく楽しんで、この試合に入れていたというのが良かったなというのと、初球から思いきって振りにいけているというのは良かった」 全セの「9番・中堅」で出場すると、三回1死一塁、今井(西武)の初球150キロを捉え、右前打。1-3の五回無死三塁ではカウント1―1から上沢(日本ハム)の高めのボールをとらえ、左前適時打だ。一塁コーチャーの同僚・岩崎とグータッチ。一塁・山川(西武)に話しかけられ、満面の笑みを浮かべた。新人で初出場した2019年の球宴。甲子園での第2戦で1992年の古田敦也(ヤクルト)以来、史上2人目のサイクル安打を達成した。5打数5安打の大暴れから2年。今年も2打席連続安打で驚異の7打席連続安打だ。これまでは2001年のペタジーニ(ヤクルト)らの6打数連続安打が球宴記録だったが、7打席という四球すら挟まない形で超え、敢闘選手賞にも輝いた。「記録というのは全然知らなくて。(19年に)5打席全部打っていたので。よく打っているなという認識です。すごく楽しめているから、良い結果が出ているのかもしれない」。試合前には同級生の鈴木誠(広島)と談笑。球宴ならではの雰囲気を存分に満喫した。プレーでも、積極的なスイングで楽しんだことが、活躍につながった。さらに、スタンドがどよめいたのは4―4の九回だ。無死一、二塁から8番・中村(ヤクルト)が犠打。全セを率いる原監督(巨人)の勝負に徹した采配。1死二、三塁で打順が回ってきた。「緊張しますね...」お祭りムードも吹っ飛ぶ緊迫感に、思わず捕手の甲斐(ソフトバンク)に声をかけたが...。ここで全パの工藤監督(ソフトバンク)がまさかの申告敬遠。「恥ずかしい気持ちになりました」と苦笑いしたが、これが中野(阪神D6位、三菱自動車岡崎)の勝ち越しの押し出し四球を呼んだ。昨年はコロナ禍で中止。今年も観客数などに制限がある。「満員の中でやれていたことは、当たり前ではなかったんだと、すごく感じる。たくさんの人に元気になってもらったり、もうちょっと頑張ってみようという思いが届いたら、自分としては結果なんて関係ない」。この日の活躍は間違いなく、スタンドや画面越しで見ているファンを元気づけたはずだ。「次は仙台で、またたくさんの全国のファンの方に楽しいプレーとかすごいプレー、試合を見せられるように全力で楽しんでやっていきたい」第2戦も盛り上げる。今年もお祭りの中心となる。(菊地峻太朗)

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