ヤクルト(★5対6☆)阪神 =リーグ戦15回戦(2021.07.08)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:馬場 皐輔(3勝0敗0S)
(セーブ:スアレス(1勝1敗25S))
敗戦投手:清水 昇(2勝4敗1S)

本塁打
【阪神】マルティネス(15号・2回表ソロ),大山 悠輔(10号・8回表3ラン)
【ヤクルト】山田 大樹(24号・8回裏2ラン)

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◆阪神は2回表、マルテのソロで先制に成功する。その後2-3となって迎えた8回には、梅野の適時打と大山の3ランで一挙4点を追加し、再びリードを奪った。投げては、2番手・馬場が今季3勝目。敗れたヤクルトは、守備の乱れから逆転を許し、痛い敗戦を喫した。

◆阪神ジョー・ガンケル投手(29)は開幕から6連勝中。昨年のガンケルは左打者に対して被打率2割9分で3本塁打だったが、今年は被打率1割9分6厘で本塁打0。ヤクルト戦も左打者を被打率1割7分6厘に抑えている。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(30)が先制弾を放った後、「虎メダル」スルーでナインを驚かせた。 2回、先頭で右腕スアレスから15号ソロを左翼席中段まで運んだ。三塁ベンチ前では1発を決めた選手がかけられる「虎メダル」を持った坂本が待ち構えていたが、まさかのスルー。慌てて戻ってメダルをかけられ、照れ笑いしていた。

◆阪神大山悠輔内野手(26)が値千金の勝ち越し3ランを決めた。 8回表、同点に追いつき、なおも2死二、三塁。清水の外角直球をとらえ、10号3ランを右翼席に届かせた。 不振続きで6月29日ヤクルト戦から4番を外れているが、6日ヤクルト戦で9号を放ってから中1日で1発を披露。元4番が本来の力を発揮し始めている。

◆阪神ジョー・ガンケル投手(29)の、今季無敗は継続となった。 2点の援護をもらって迎えた4回、先頭青木から山田、村上と3連続二塁打。同点に追いつかれ、なおも1死二塁で吉田成に勝ち越し打を浴びた。追加点は許さなかったが、ここまで無傷の6勝の右腕は、2-3の6回で降板。 「4イニング目はピンチでクリーンアップだったから、低めに投げないといけない場面だったけど、ボールが浮いてしまって打たれたことが悔やまれるね。チームが2点を取ってくれているし、まだ1点差だから逆転できるようにしっかり応援するよ」と振り返ったが、まさに祈りが通じる展開に。8回に味方打線が4点を奪って再逆転し、ガンケルの負けを消した。

◆先発はヤクルト・スアレス、阪神ガンケル。阪神は2回、マルテの15号ソロで先制。3回には糸原の適時二塁打で2点目を挙げた。 ヤクルトは2点を追う4回、青木、山田、村上の3者連続二塁打で一気に同点。さらに吉田成の中前適時打で1点を勝ち越した。 阪神が8回に4点を奪って逆転。その裏に2点を返されたが逃げ切った。馬場が3勝目、阪神スアレスが25セーブ目。ヤクルト清水は4敗目。

◆阪神が大山悠輔内野手(26)の決勝10号3ランで、カード勝ち越しを決めた。 先手を取ったのは阪神。4回にジェフリー・マルテ内野手(30)が先制の15号ソロを放ち、3回には糸原健斗内野手(28)の適時二塁打で2点目を追加した。 だが4回、先発のジョー・ガンケル投手(29)がヤクルト打線につかまった。先頭の青木、山田、村上まで3者連続二塁打で同点に追いつかれ、なおも1死二塁で吉田成に中前への勝ち越し打を許し、2-3と逆転された。登板前はシーズンを通じて左打者を被打率1割9分6厘と抑えてきたが、青木、村上、吉田成に捉えられた。 だが8回、敵失から阪神に得点機が転がり込んだ。先頭・糸原の飛球を左翼の青木が落球。そこから2死一、三塁とし、梅野隆太郎捕手(30)が同点打。なおも2死二、三塁で、大山が右翼スタンドに決勝弾をたたき込んだ。 8回裏、山田の24号2ランで1点差に迫られたが、逃げ切った。2位巨人が敗れ、ゲーム差は2・5に開いた。

◆阪神馬場皐輔投手が6月8日日本ハム戦(札幌ドーム)以来の3勝目を挙げた。 2-3の7回に2番手で登板し、2死二塁のピンチを背負うも無失点。直後の8回に味方打線が再逆転した。前回登板の6日ヤクルト戦では1点を失うなどしており「最近はふがいないピッチングが続いていたので、今日はなんとか0点で抑えることができてよかった。ここからまた1試合1試合をしっかり抑えて、チームに貢献できるように頑張っていきたい」と次戦を見据えた。

◆神宮に降り注いだ雨は、ヤクルトにとって涙雨となった。雨脚が強まった1点リードの8回。左翼の青木が糸原の飛球を落球(記録は失策)。降って湧いたピンチから逆転負けとなった。高津監督は「簡単じゃないでしょうね。投げる方も守備の方も」と、振り返った試合の分岐点。悪条件は阪神も同じで、その裏に相手失策から山田の24号2ランが飛び出したが、雨は味方になりきらなかった。 勝てば2週間ぶりの貯金「10」、そして苦戦する阪神戦の今季初勝ち越しだったが、雨に流された。それでも9回の攻撃前は円陣を組み、阪神の守護神スアレスから一打同点の状況まで迫った。最後まで諦めない気持ちはチーム全体で体現した。「次に、明日につなげたい。こういうつながりだったり、諦めないところは」と高津監督。前向きな熱い心だけは雨に流さず、前半戦残り5試合に臨む。 ▽ヤクルト村上(4回に右翼フェンス直撃の適時二塁打)「少しバットの先でしたが、タイムリーになってくれて良かった」 ▽ヤクルト吉田成(4回に一時勝ち越しとなる適時打)「どんどんアピールしていかないといけない立場。1打席1打席が勝負なので食らい付いていきました」

◆ヤクルトは東京五輪日本代表の山田哲人内野手が2試合連続本塁打を放ったが、惜しくも空砲となった。 3点を追う8回に村上に並ぶ24号2ラン。「最後の最後まで諦めず、何とかしようという気持ちでした」と、意地を見せた。2点を追う4回には一時逆転の起点となる適時二塁打も放った。チームは黒星を喫したが、7月は7試合で4本塁打、10打点と、徐々に勝負強さもよみがえりつつある。

◆阪神糸原健斗内野手が、3試合ぶりの安打でカード勝ち越しに貢献した。 1-0の3回2死二塁でヤクルト・スアレスの156キロツーシームを捉え、左翼線を破る適時二塁打。「追い込まれていましたが、甘く入ってきたボールをしっかり捉えることができました。追加点を取ることができてよかったです」。4日広島戦(マツダスタジアム)以来の安打で2点目をたたき出した。

◆阪神が大山悠輔内野手(26)の10号決勝3ランでヤクルトに競り勝ち、4カードぶりのカード勝ち越しを決めた。矢野燿大監督(52)の一問一答は次の通り。 -非常に大きな1勝になった 矢野監督 まあね。こういう接戦ばっかりやし、勝つと負けるとではえらいね、チームのムードも違うし。相手のミスもあったにしてもね、リュウ(梅野)もよく打ってくれたし、(大山)悠輔もあそこで打ってくれたっていうのも大きいし。ピッチャーも苦しいながらも粘ってくれたっていうのが、まあ、誰か1人だけ頑張ったっていうよりはみんなで頑張れたなっていう試合でした。 -大山の一振りはしびれた 矢野監督 うん、まあまあ、流れの中でリュウが打ってくれたっていうのがまずあっての悠輔だと思うし。まあ、そういうところでね、ホームランっていうのはやっぱり悠輔の魅力なんでね。そういうところではあそこで、いったん流れが来るようになったというのは大きなホームランだったと思うし。ここまでね、昨年と比べたらアイツも苦しい状況というか気持ちで戦っていると思うけど。プロ野球生活ってうまくいくこと(ばかりでは)ないんでね。そういうところではこういうところを糧にして、悔しさをバネにしてね、やっていってくれる1本やったかなと思います。 -助け合いという中で、佐藤輝明が内野フライに倒れた後に梅野が打ったことも大きかった 矢野監督 いやまあ、それは救われるよね、やっぱり。アイツ自身もかなり気持ちの中で悔しさっていうのはあったし。そこでチームが勝ってくれた、リュウが打ってくれたっていうのは、それはもう全然違うし。そういうところはもちろんチームワーク、1つの、みんなで勝ちを目指すっていう中では、まあいろんな勝ち方もあるし、もちろんいろんな負け方もあるけど。そういうところはみんなでね、助け合うというところがリュウの一打になったんでね。本当に、勝負強く打ってくれました。 -岩崎、スアレスが登板 矢野監督 ここも雨が降ったら、マウンドもなかなか難しいから。足場がどうしても滑るんでね。難しい状況の中やったし。でも、まだ1アウト取ってない段階でエラーがあって1点差になったんでね。嫌な展開やったけど、優も落ち着いて投げてくれたし。スアちゃんもいつも通り正々堂々というか、力で押し切ってくれたんでね。本当にどんな形でもね。勝てたというのが大きいかなと思います。 -明日は秋山が登板 矢野監督 それ(前回は3回で降板したというの)もあるし。全体的な状態も考えてそうしました。 -中4日での登板 矢野監督 中4日だけど、(前回登板は)別に球数もそんな多くなかったし、アキらしくいくしかない。ヤマ場というけど、今日もヤマ場やし、昨日もヤマ場やし。俺らずっとヤマ場なんで。(9連戦は)残り6になったんかな。巨人戦だけど、目の前の試合をどう戦っていくかしかできないんでね。まずはアキがね、しっかり、前回、俺に代えられた悔しさとかもあると思うし、いろんな気持ちもあると思うんで、そういうものをぶつけながら。粘るのが秋山の持ち味の1つなんで、そういう投球をしてくれて、打線がなんとか取っていけたら。 -西勇は間隔をあける。3戦目ぐらい 矢野監督 うん。今のところ、3戦目。

◆阪神佐藤輝明内野手はスアレスに2三振を喫し、今季三振数は114となり新人では17年石井(日本ハム)の113を抜いて歴代2位の記録となった。 4回はカーブ、6回は高めの直球でともに空を切らされた。「三振するのは技術が足りないだけ」と再三強いスイングへのこだわりを口にし、スキルアップに励んでいる。なお、新人の最多三振記録は99年福留(中日)の121となっている。

◆ヤクルト高津臣吾監督(52)が試合の土壇場で打った勝負手は、無情にも実らなかった。 1点を追う9回の攻撃。1死から代打中村が中前打で出塁すると、9番渡辺に犠打を命じた。渡辺が成功させ、2死二塁と好機を広げたが、1番塩見は9球粘って空振り三振に倒れて試合が終わった。 延長戦がない今季は、9回裏の攻撃がラストイニング。敗戦まで、あと1死となる状況でも、覚悟を決めて犠打を選択した。 高津監督 スコアリング(ポジション)に送って、2アウトにはなるんですけども...相手は(阪神の守護神)スアレスですし、そんなに簡単じゃないと思った。まあ、塩見に懸けたんですけど。 得点圏に走者を進めて雨というコンディションだけでなく、さらにプレッシャーをかけて守護神攻略を狙ったが、虎のストッパーの牙城は高かった。

◆開幕から負けなしの阪神先発ジョー・ガンケル投手は6回3失点で先発の役目は果たした。 序盤は走者を背負いながら打たせて取った。2点の援護をもらう中、唯一崩れたのが4回だった。先頭青木、山田、村上と3者連続二塁打で同点とされ、なお1死二塁から吉田成に勝ち越し打。「4イニング目はピンチでクリーンアップだったから、低めに投げないといけない場面だったけど、ボールが浮いてしまって打たれたことが悔やまれるね」。制球力が武器の右腕は悔しがった。その後は立ち直って後続にマウンドを譲ると、打線が逆転してくれて自身の黒星は消えた。 これで開幕から11試合で6勝0敗。自身の不敗神話はまだまだ続く。

◆阪神が岩崎優、ロベルト・スアレス投手の必勝リレーで1点差で逃げ切った。9回、ヤクルトが1死から犠打で2死二塁と得点圏に進めて1番塩見で勝負に来たが、守護神スアレスは155キロの動く球を低めに投げ空振り三振を奪った。相手先発は6回2失点の兄アルバート。昨年に続き2度目となる兄弟そろっての登板に「うれしいです。どっちもしっかり仕事ができた」と喜んだ。 岩崎は8回に梅野が同点打を放った直後に準備し、3点リードの8回に中6日で登板。山田に2ランを左翼席に運ばれたが、その後は3人で片付けた。矢野監督は「雨が降ったら(神宮の)マウンドもなかなか難しい。足場がどうしても滑るんでね。嫌な展開だったけどスグル(岩崎)も落ち着いて投げてくれた」と評価した。2人がそろって投げるのはスアレスがつかまった1日ヤクルト戦以来。岩崎が22ホールド、スアレスが25セーブとともに数字を伸ばしたのは6月29日以来8戦ぶり。酷使も気になるがやはり勝利には欠かせない。

◆水も滴るいい男! 首位阪神が神宮の"水中戦"を逆転で制した。雨の続いたヤクルト戦。殊勲者は主将の大山悠輔内野手(26)だった。2-3の8回に梅野の適時打で追い付き、なお2死二、三塁で勝ち越しの10号3ラン。元4番が7番に降格して3戦2発と発奮して、4カードぶりに勝ち越した。敗れた2位巨人とは2・5ゲーム差。9日から甲子園に戻ってその巨人と首位攻防戦だ!大山が珍しく右拳を突き上げた。グッと歯を食いしばって目線を下げるも、あふれ出る感情には逆らえない。打球の右翼席着弾を確認すると、降りしきる雨粒を右手ではじき飛ばした。 「チーム全員で作ったチャンスを生かさないとダメなので。とにかく必死で打ちにいきました」 8回表。6番梅野に同点打が飛び出した直後の2死二、三塁。「打席に集中していた。自分の世界にしっかり入れた」。清水の外寄り144キロ直球を強く押し返し、右翼席に届かせた。値千金の勝ち越し3ランは自身4年連続となる2ケタ弾。三塁ベンチ前で糸原が、北條が飛び跳ねる中、主将は雨空に拳を掲げた。 常日頃から見せる柔和な笑顔の裏には、燃えたぎる闘志が隠されている。周囲がどれだけ温和なイメージを持っていても、本人は苦笑いで首を振る。 「穏やかかどうかは正直分からないですけど...負けず嫌いだなとは自分で思っています。負けたくない気持ちは常に持っている」 幼少期から続けてきたスポーツは野球だけ。小学生時代は習字教室に通ったこともあったが、それは「自分1人では決められない習い事だったから」。自称「飽き性」で「好きなことはずっと続けられる」という性格。どれだけ好青年であっても、一野球人としての本能には逆らえない。 「ここまで本当に迷惑ばかりかけている。チーム全員が頑張っている。自分だけ乗り遅れないようにと思ってやっています」 不振続きで6月29日ヤクルト戦から4番を外れ、7番に降格して3戦目。6日ヤクルト戦の先制ソロに続く決勝弾に「こういう状況の中でも応援してくれているファンの皆さんがいる。しっかり仕事ができて良かったです」と力を込めた。 チームは3位ヤクルトとの敵地3連戦に勝ち越し、前半戦最後の9連戦を上々の形で滑り出した。9日からは甲子園で2位巨人との3番勝負に突入する。 「本当に1試合1試合が勝負だと思っている。気を抜かないように、もう1回全員が一丸となって頑張りたいと思います」 まだゲーム差はわずか2・5。主将はナインの総意を代弁した後、早くも決戦に目を向けた。【佐井陽介】 ▼阪神大山が今季9度目の勝利打点をマークし、マルテの8度を上回りチーム最多となった。4年連続で2桁本塁打に到達し、チームの10本以上は佐藤輝20本、サンズ、マルテの各15本に次いで4人目。阪神のチーム4人以上が2桁本塁打は、13年の4人(マートン19、新井貴15、新井良14、鳥谷10)以来8年ぶり。

◆頼もしすぎる「得点圏の鬼」だ。阪神梅野隆太郎捕手(30)が、値千金の同点打を放った。 1点を追う8回2死一、三塁。梅野の覚悟は決まっていた。「しっかりコンタクトしたら何か起きるんじゃないかと。そこの1点だけに集中して」。甘く入った清水のフォークを振り抜くと、打球は飛び込んだ三塁手村上の左横を抜けていった。行方を目で追いながら、降りしきる雨の中で何度もガッツポーズした。 「自分がカバーするという気持ち、打席に入る前にしっかりリズム、気持ちを整えて。チームの状態がいい悪い関係なく、なんとかカバーしていくのが大事だなって改めて感じた試合」 その直前、遊飛に倒れて悔しそうな佐藤輝の姿を見ていた。勝利への気迫、仲間への思いを込めてバットを振った。 昨季まで選手会長だった梅野。チームを率いる立場として、当時主将の糸原と話し込む時間も多かった。そんな2人の間には、ポジティブな合言葉があった。 「返ってくる、返ってくる!」。 自分が打ち取られても、走者を進塁させることが出来た時。"犠牲"はいつか大事な時に返ってくる-。「次の打席なのか、10打席後に返ってくるのか分からないけど。チームバッティングを自分たちが率先してやることが、年上になればなるほど大事やと思う」。この日は一番大事な場面で、チームを救う安打となって返ってきた。 得点圏打率はリーグ2位の4割。矢野監督も「みんなでね、助け合うというところがリュウ(梅野)の一打になった。本当に、勝負強く打ってくれました」と振り返った。 捕手としても、激しい雨に耐える投手陣を懸命にリード。「長いシーズンやけど、こういう1勝を、取って良かったと言えるような結果を」。頂点を目指して、チームはまた1つになった。【磯綾乃】

◆阪神井上ヘッドコーチは大山の近いタイミングでのクリーンアップ復帰を示唆した。 6日に続く決勝弾。「『打順は関係なく』と本人にも言っているけど、あいつはあいつで自分が4番を打ちたいという気持ちは持っているはず」と胸中を気遣った上で、「やっぱりユウスケだねという形になりつつあるところで、やっぱりオマエが打ったから勝ったでしょ、というようなモノを見せてくれた。クリーンアップに戻るのは時間の問題という1発だったね」と表現した。

◆水も滴るいい男...。セ・リーグ首位の阪神が神宮の"水中戦"を大山悠輔内野手(26)の10号決勝3ランで制した。2-3の8回に梅野の適時打で追い付き、なお2死二、三塁のチャンスから元4番が決めた。大山は7番に降格してから3戦2発と発奮し、4カードぶりの勝ち越し。敗れた2位巨人との差を2・5ゲームに広げ、9日から甲子園に戻って首位攻防戦に臨む。パ・リーグ首位のオリックスは楽天と引き分け、2・5ゲーム差を守った。 大山が珍しく右拳を突き上げた。グッと歯を食いしばって目線を下げるも、あふれ出る感情には逆らえない。打球の右翼席着弾を確認すると、降りしきる雨粒を右手ではじき飛ばした。 「チーム全員で作ったチャンスを生かさないとダメなので。とにかく必死で打ちにいきました」 8回表。追い付いた直後の2死二、三塁。「打席に集中していた。自分の世界にしっかり入れた」。清水の外寄り144キロ直球を強く押し返し、右翼席に届かせた。勝ち越し3ランは自身4年連続となる2ケタ弾。雨空に拳を掲げた。 常日頃から見せる柔和な笑顔の裏には、燃えたぎる闘志が隠されている。周囲がどれだけ温和なイメージを持っていても、本人は苦笑いで首を振る。 「穏やかかどうかは正直分からないですけど...負けず嫌いだなとは自分で思っています。負けたくない気持ちは常に持っている」 幼少期から続けてきたスポーツは野球だけ。小学生時代は習字教室に通ったこともあったが、それは「自分1人では決められない習い事だったから」。自称「飽き性」で「好きなことはずっと続けられる」という性格。どれだけ好青年であっても、いち野球人としての本能には逆らえない。 「ここまで本当に迷惑ばかりかけている。自分だけ乗り遅れないようにと思ってやっています」 不振続きで6月29日ヤクルト戦から4番を外れ、7番に降格して3戦目。6日ヤクルト戦の先制ソロに続く決勝弾で、前半戦最後の9連戦を上々の形で滑り出した。今日9日からは甲子園で2位巨人との3番勝負に突入する。 「本当に1試合1試合が勝負だと思っている。もう1回全員が一丸となって頑張りたいと思います」 ゲーム差はわずか2・5。主将はナインの総意を代弁した後、早くも決戦に目を向けた。【佐井陽介】

◆水も滴るいい男! 首位阪神が神宮の"水中戦"を逆転で制した。雨の続いたヤクルト戦。殊勲者は主将の大山悠輔内野手(26)だった。2-3の8回に梅野の適時打で追い付き、なお2死二、三塁で勝ち越しの10号3ラン。元4番が7番に降格して3戦2発と発奮して、4カードぶりに勝ち越した。敗れた2位巨人とは2・5ゲーム差。9日から甲子園に戻ってその巨人と首位攻防戦だ! ▼阪神大山が今季9度目の勝利打点をマークし、マルテの8度を上回りチーム最多となった。4年連続で2桁本塁打に到達し、チームの10本以上は佐藤輝20本、サンズ、マルテの各15本に次いで4人目。阪神のチーム4人以上が2桁本塁打は、13年の4人(マートン19、新井貴15、新井良14、鳥谷10)以来8年ぶり。

◆阪神マルテが2回、先制の15号ソロを放った。 スアレスのカットボールを捉えて左翼席中段へ。「先制点が欲しかったから、自分の仕事をすることができてよかったよ」と4試合ぶりのアーチを喜んだ。ただ、凱旋(がいせん)後にハプニングが。1発を放った選手がもらえる「虎メダル」を持った坂本が待ち構えていたが、マルテは素通り。慌てて戻ってメダルを首にかけてもらい照れ笑いした。

◆阪神・マルテが雨を切り裂く弾丸ライナーをかっ飛ばした。0-0の二回先頭で、ヤクルト先発・スアレスの高め141キロを振り抜くと、打球はあっという間に左翼席へ着弾した。 7月3日の広島戦(マツダ)以来、4試合ぶりの今季15号ソロで先制に成功。〝タイガースメダル〟を首にかけ、おなじみの決めポーズもベンチ前で披露した。自慢の打撃で虎を勝利に導く。

◆阪神・マルテが雨を切り裂く弾丸ライナーをかっ飛ばした。0-0の二回先頭で、ヤクルト先発・スアレスの高め141キロを振り抜くと、打球はあっという間に左翼席へ着弾した。 7月3日の広島戦(マツダ)以来、4試合ぶりの今季15号ソロで先制に成功し、M砲は「高く浮いてきたボールを1球で仕留めることができたね。先制点が欲しかったから、自分の仕事をすることができてよかった」と声を弾ませた。 〝タイガースメダル〟を首にかけ、おなじみの決めポーズもベンチ前で披露した。自慢の打撃で虎を勝利に導く。

◆阪神・糸原のバットから追加点が生まれた。1-0の三回2死二塁でスアレスの156キロを捉え、左翼線への適時二塁打を放った。 「追い込まれていましたが、甘く入ってきたボールをしっかり捉えることができました。追加点をとることができてよかった」と胸を張った。直前には近本の投前へのゴロに三走のD6位・中野(三菱自動車岡崎)が飛び出してアウトになっていた。悪い流れになりかけたが、背番号33の一打で勝利への流れを再加速させた。

◆ヤクルトはスアレス、阪神はガンケルが先発した一戦。2点を追う四回、ヤクルト打線がつながった。先頭の青木が右中間への二塁打で出塁すると、続く山田が右中間への適時二塁打。さらに村上が右越えの適時二塁打で同点。その後、1死二塁となり、吉田成の中前適時打で勝ち越しに成功した。 ◆四回に適時二塁打を放った山田 「打ったのはストレート青木さんが良いカタチで出塁してくれたので大振りせずコンパクトに打つことを心掛けて打席に入りました。タイムリーになって良かったです」 ◆四回に同点二塁打を放った村上 「打ったのはチェンジアップ良い流れで打席に回ってきたので自分も後ろに良いカタチでつなぐ気持ちで打席に入りました。少しバットの先でしたがタイムリーになってくれて良かったです」

◆阪神は大山の一撃で八回に一気に逆転に成功した。梅野の同点適時打で3―3に追いついた直後の2死二、三塁。ヤクルト3番手・清水の144キロを振り抜き、打球は強まる雨をモノともせずに右翼席へ吸い込まれた。 4年連続2桁となる10号の勝ち越し3ランに、一塁ベースをまわると右拳を突き上げ、ベンチ前でナインも飛び跳ねて喜んだ。打撃不振で打順を下げるなか、背番号3が意地のつまった一発で勝利への流れを力強く引き寄せた。

◆阪神のガンケルが雨が降る悪条件の中、2―0の四回につかまった。4安打を集められて3点を失い「低めに投げないといけない場面だったけど、球が浮いてしまったことが悔やまれる」とコメントした。 序盤は走者を背負いながらもしのいでいたが、四回に崩れた。先頭の青木から3者連続二塁打を浴び、同点。さらに1死後に吉田成に適時打を許した。その後は立て直して6回3失点と粘ったが、7勝目はつかめなかった。 来日2年目の今季は開幕から安定した投球で、先発陣を支えている。「一試合一試合に集中して、投げていきたい。攻めていく姿勢で、少しでも失投を減らしたい」と意気込んでマウンドに上がったが、不本意な結果に終わった。

◆ヤクルトはスアレス、阪神はガンケルが先発した一戦。2点を追う四回、ヤクルト打線がつながった。先頭の青木が右中間への二塁打で出塁すると、続く山田が右中間への適時二塁打。さらに村上が右越えの適時二塁打で同点。その後、1死二塁となり、吉田成の中前適時打で勝ち越しに成功した。 しかし、八回に登板した3番手・清水が虎打線につかまる。同点に追いつかれなおも2死二、三塁から大山に右越え3ランを浴び、3点をリードされた。その裏、ヤクルトは山田が、阪神・岩崎から2戦連発となる24号2ランを左翼スタンドに放ち、1点差に迫った。

◆阪神・大山がひと振りで虎を救った。3-3の八回2死二、三塁で10号の勝ち越し3ランを放ち、雨中の激闘に決着をつけた。 4番を務めた男が打撃不振で打順を下げるなか、意地の一発で勝利に導き、6月22-24日の中日戦以来となる4カードぶりのカード勝ち越しとなった。 先発したガンケルは92球を投げ、6回6安打3失点と粘りの投球で試合を作り、馬場、岩崎とつないで、守護神のスアレスが25セーブ目をあげて逃げ切った。接戦をものにし、貯金は「17」。2位・巨人が中日に敗れ、阪神が首位を堅持した。

◆ヤクルトは接戦を落とし、このカード負け越しとなった。1点リードの八回に3番手・清水が登板。強い雨が降る中、先頭・糸原の飛球を左翼手・青木が落球。この後、2死一、三塁となり、梅野に左翼線に同点打、大山に10号3ランを許し逆転された。ヤクルトはその裏、山田が阪神・岩崎から2戦連発となる24号2ランを左翼スタンドに放ち1点差に迫ったが、反撃は及ばず。これで、首位・阪神とのゲーム差は4・5となった。 ヤクルトは9日から本拠地で広島との3連戦を迎える。

◆ヤクルトは終盤に痛恨の逆転負け。雨脚が強まった3―2の八回に失策が絡んで4失点。その裏に山田哲人内野手(28)の24号2ランで1点差に迫るも及ばなかった。七回から2番手で登板した今野龍太投手(26)が1回を抑え、21試合連続無失点となった。高津臣吾監督(52)の主な一問一答は以下の通り。 ――八回の守備は雨もあって難しかったか 「簡単ではないでしょうね。投げる方も守備の方もいろいろ足場だったり、雨の影響だったり大変だったんじゃないですか」 ――八、九回の攻撃を明日につなげたい 「そうですね。次に、明日(9日)につなげたいですね。こういうつながりだったり、諦めないところというのは」 ――集中力の高い試合だった 「先週、ガンケルにやられているので野手の方はなんとかという気持ちがあったと思います。(先発の)スアレスもあまり状態がいいとは思わなかったですけど、あと一本を粘って何とか抑えるという姿勢は見えました」 8回、阪神・糸原健斗の打球をエラーするヤクルト・青木宣親=神宮球場(撮影・水島啓輔) ――今野が21試合連続無失点 「すごく成長を感じます。そんなにこっちに来たときは、1軍の経験があったわけでもなかった。投げる度に成長しているんじゃないですか。いろいろ考えながらマウンドに立っているように映ります」 ――九回攻撃前に円陣 「諦めないで最後まで戦おう、と」 ――九回1死一塁から犠打 「ちょっと得点圏に送って2死にはなるんですけど、相手スアレスですし、そんなに簡単じゃないと思ったので塩見に懸けたんですけど」

◆阪神は同点に追いついた八回、大山悠輔内野手(26)の10号3ランで逆転勝ち。巨人に2・5差をつけて、9日から甲子園で直接対決3連戦に挑む。矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー非常に大きな1勝になった 「こういう接戦ばっかりやし、勝つと負けるとではエラいね、チームのムードも違うし。相手のミスもあったにしても、リュウ(梅野)もよく打ってくれたし(八回の同点打)、(大山)悠輔もあそこで打ってくれたのも大きいし。みんなで頑張れた試合でした」 ーー大山のひと振りはしびれた 「流れの中でリュウが打ってくれたのが、まずあっての悠輔だと思うし。ホームランは悠輔の魅力なんでね。あそこで、一旦流れが来るようになったのは大きなホームランだったと思うし。去年と比べたら、アイツも苦しい状況というか気持ちで戦っていると思うけど。プロ野球生活って、うまく行くこと(ばかりでは)ないんでね。悔しさをバネにしてね、やっていってくれる1本やったかなと思います」 ーー助け合いという中で、佐藤輝が内野フライ(八回1死一、三塁で遊飛)に倒れた後に梅野が打ったことも大きかった 「それは救われるよね、やっぱり。アイツ自身も気持ちの中で悔しさはあったし。そこでチームが勝ってくれた。リュウが打ってくれたのは、全然違うし。みんなで勝ちを目指す中では、いろんな勝ち方もあるし、いろんな負け方もあるけど。助け合うというところがリュウの一打になったんでね。本当に、勝負強く打ってくれました」――岩崎、スアレスが登板「ここも雨が降ったらマウンドも難しいから。足場がどうしても滑るんでね。難しい状況の中やったし。でも、まだ1アウト取ってない段階でエラーがあって1点差になったんでね(八回、岩崎が三塁・山本の失策の後、山田に2ランを浴びる)。嫌な展開やったけど、優も落ち着いて投げてくれたし。スアちゃんも正々堂々というか、力で押し切ってくれたんでね。本当にどんな形でもね。勝てたのが大きいかなと思います」――9日は秋山が登板「それ(4日の広島戦は3回2失点、46球で降板)もあるし。全体的な状態も考えてそうしました」――中4日での登板「中4日だけど、(前回登板は)別に球数もそんな多くなかったし、アキらしくいくしかない。ヤマ場というけど、きょうもヤマ場やし、昨日もヤマ場やし。俺らずっとヤマ場なんで。(9連戦は)残り6になったんかな。巨人戦だけど、目の前の試合をどう戦っていくかしかできないんでね。まずはアキがしっかり、前回、俺に代えられた悔しさもあると思うし、いろんな気持ちもあると思うんで、そういうものをぶつけながら。粘るのが秋山の持ち味の一つなんで、そういう投球をしてくれて、打線がなんとか取っていけたら」――西勇は間隔をあける。3戦目ぐらい「うん。いまのところ3戦目」

◆大山のバロメーターは安打が出るかどうか。ダメなときはヒットも出ない。ここ数試合、自分のタイミングでボールを呼び込む間ができており、打撃の状態は上がっていた。大山が打たないことには阪神打線は始まらない。これから挽回してほしい。 大山は真っすぐか変化球にヤマを張る打者。状態が悪い時は相手バッテリーに見破られることが多い。見る人が見れば、何を待っているか分かるのだ。そういう傾向があるので、打席の中で待っていない球を思い切り振ってみるとか、狙い球が来ても見送るとか、そういう芸当も必要だ。1球1球、ヤマを張っていくと後手を踏むことが多い。打席や試合を通じての狙い球を定めれば、4打席のうち必ず狙った球が来る。 大山の状態が上がってきたが、打順は7番のままでいい。8番中野に当たりが戻ってきたので、相手バッテリーは勝負してくれる。打順は後ろの打者の状態で考えればいい。 9日から巨人戦。球宴までの残り6試合で考えて、4勝2敗で乗り切ってほしい。1カ月も中断期間があるのだから、短期決戦のつもりで、早めの継投、早めの仕掛けで戦力をどんどんつぎ込んでほしい。(本紙専属評論家)

◆2番手で七回のマウンドを託された阪神・馬場が1回1安打無失点と好投。直後に味方が逆転したため、今季3勝目をマークした。「最近はふがいない投球が続いていたので何とか0点で抑えることができてよかった」。最近5試合の登板のうち、3試合で失点していた右腕は「またチームに貢献できるように頑張りたい」と決意を新たにした。

◆ヤクルトは雨脚の強まった3―2の八回に4失点して逆転負け。それでも高津臣吾監督(52)は「つながりだったり、諦めないところはつなげていきたい」と八、九回の攻撃に活路を見出した。 八回は先頭・糸原の飛球を左翼・青木が落下点に入りながら捕球できず失策。その後2死一、三塁から今季40試合目の登板となった清水が、梅野に同点打を浴びた。さらに大山に決勝3ランを被弾。直後に山田の24号2ランで1点差に迫ったが、及ばなかった。 九回の攻撃前は円陣を組み、1死一塁から犠打で得点圏に走者を進めた。「相手がスアレスですし、簡単じゃないと思って塩見にかけた」と指揮官。9日からの広島3連戦(神宮)に悔しさをぶつける。(横山尚杜)

◆阪神・マルテが先制の今季15号ソロを放った。二回先頭で高め141キロを左翼席へ運び、「高く浮いてきた球を1球で仕留めることができた。自分の仕事ができてよかった」と胸を張った。八回には左ひじ付近に死球を食らったが、痛みに耐えて〝つなぎ役〟に徹し、この回の大山の勝ち越し3ランにつながった。

◆先発した阪神・ガンケルは6回6安打3失点。2-0の四回に3者連続二塁打などで逆転を許したが、雨にぬかるむ難しいマウンドで粘った。「四回は低めに投げないといけない場面でボールが浮いてしまったことが悔やまれるね」。登板後は反省が口をついたが、チームが逆転勝利。開幕からの自身6連勝は途切れなかった。

◆悪天候の中のピンチにも動じなかった。絶対的守護神の阪神・スアレスが九回を無失点締めで、セ界独走の25セーブ目をあげた。 「いつも通り、セーブをとれるようにと思ってマウンドに上がりました」 6-5の九回。先頭の代打・川端は初球150キロで右飛とし、その後安打と犠打で2死二塁のピンチを背負うも、粘る塩見を9球目の155キロで空振り三振に斬った。 チームトップの登板35試合目。前日7日は登板過多を考慮され、同点の八回に岩崎を温存。ベンチは勝利の方程式への負担を減らそうとしたものの、裏目に出た。長いシーズンを見据えた首脳陣の〝配慮〟があるからこそ、登板機会には最高のパフォーマンスが発揮できる。 矢野監督も「スアちゃんもいつも通り正々堂々というか、力で押し切ってくれたんでね」と喜んだ。ヤクルトの兄・アルバートが先発した一戦で、昨季タイトルを獲得したセーブ数の「25」に2年連続で到達したスアレスは「どちらもしっかりと仕事ができましたし、うれしいです」と笑顔。雨中の乱戦に剛速球で決着をつけた。(新里公章)

◆魂の打球が三塁手・村上のグラブをはじき、外野に転がる。阪神・梅野の執念が肩を落とす黄金ルーキーを救った。土砂降りの神宮で起こったドラマチックな逆転劇はこの同点打なくして、完結を迎えなかった。 「自分が打てるボールというのを待って。しっかりコンタクトしたら何か起きるんじゃないか。この一点に集中したのが好結果につながった」 2-3で迎えた八回、左翼手・青木の落球を端緒に作った1死一、三塁の好機でD1位・佐藤輝(近大)が遊飛に倒れた。唇をかみしめベンチへと戻るルーキー。その姿をネクストバッターズサークルで見つめた梅野の心が燃えた。 「自分がカバーしてあげるという気持ちがね。打席に入る前にリズム、気持ちを整えて何とかチームのためにと思った」 八回は糸原の打球を左翼手・青木が落球 マルテの死球で打線がつながった カウント2-1からの4球目。清水のフォークを振り切った。三塁強襲の同点打。虎を、そして黄金ルーキーを助けた殊勲打に一塁ベース上で右手を突き上げる。矢野監督も「アイツ(佐藤輝)自身もかなり悔しさはあったし。そこでチームが勝ってくれた、リュウ(梅野)が打ってくれた。助け合うというところがリュウの一打になったんでね、本当に勝負強く打ってくれた」と絶賛だ。 そして、梅野自身もこの〝1勝〟の価値を誰よりも強く感じている。「チームの状態が良い悪い関係なく、カバーしていくのが大事だなって改めて感じた試合」。三回はD6位・中野(三菱自動車岡崎)の走塁死を帳消しにする糸原の適時二塁打もあった。誰かの失敗は全員でカバーすればいい。ミスを取り返すプレーがあるからこそ接戦をものにできる。強者の勝ち方を再認識した一戦だ。「長いシーズンやけど、こういう1勝をとってよかったと言える結果をね。今後につなげていきたい」と収穫は大きかった。 9日からは2位・巨人との前半戦最後の首位攻防戦が始まる。絶対に負けられない戦い。梅野が腕をまくった。 「ファンも自分たちも力が入るゲームになると思う。自分たちの野球ができるようにやっていきたい」 ミスをしようが心配はいらない。虎には梅野がいる。どっしり構える正捕手が、これからも虎の窮地を救う。(原田遼太郎)

◆意地のV弾!! 阪神はヤクルトに6-5で逆転勝利。八回に大山悠輔内野手(26)が決勝の10号3ランを放った。6日から7番に降格したが、この3連戦で打率・455、2本塁打、5打点の大暴れ。チームは4カードぶりの勝ち越しで2位の巨人とのゲーム差を2・5に広げた。9日からの首位攻防戦で宿敵をさらに突き放す。 雨が強くなった神宮の空を切り裂いた。大きな弧を描いた白球が右翼席へ飛び込む。決勝3ランを確認した大山は、一塁ベースを回ると右拳を突き上げた。 「(走者を)かえすだけだと思っていたので、それがホームランになってすごく良かった。チームに流れは持ってこられたので、すごく良かった」 2-3で迎えた八回、直前に梅野が同点打を放ち、二盗に成功。2死二、三塁で大山に打席が巡ってきた。カウント1-1からの3球目。清水の144キロ直球を捉えた打球は、逆方向へぐんぐん伸びていった。笑顔でダイヤモンド一周。三塁ベンチはお祭り騒ぎだ。チームを6月22―24日の中日戦(バンテリンドーム)以来、4カードぶりの勝ち越しに導く今季10号。4年連続の2桁本塁打は、球団の生え抜きの右打者では2002―05年の今岡以来となった。昨季は自身最速の出場38試合目で2桁に到達し、最終的にキャリア最多の28本塁打を放ったが、今季は苦しみながら節目を迎えた。4番として期待されたが、5月には背中の張りで離脱。交流戦から1軍に復帰したが結果を残せず、6月29日のヤクルト戦(甲子園)から6番に降格。それでも状態は上がらず、この3連戦初戦の7月6日からは7番とさらに打順を下げていた。6日には先制のソロを含む2安打2打点。そして、この日は仲間が最高の場面をお膳立てしてくれた。「チーム全員で作ったチャンスでしたし、そこを生かさないことにはダメだと思いますし、ここ何試合かそういった仕事ができていないと自分でもわかっていたので、とにかく必死に打ちにいきました」。主将として奮起しないわけにはいかなかった。7番降格後は打率・455(11打数5安打)、2本塁打、5打点と大暴れだ。今季、得点圏打率・214ながら、勝利に直結する打撃を見せてきた。決勝打はチームトップの「9」をマークし、そのうち4本が本塁打。矢野監督は「ホームランというのはやっぱり(大山)悠輔の魅力。流れが来るようになったというのは大きなホームランだった。悔しさをバネにして、やっていってくれる一本やったかな」と評価。ここぞで頼りになるのが大山の一発だ。2位の巨人が敗れ、ゲーム差を2・5に広げた。9日からはその巨人を甲子園に迎える。「チーム一丸となって戦うだけなので、また一から頑張りたい」。大山が気合を入れた。球宴前最大の勝負どころとなるが、指揮官は「ずっと山場なんで。目の前の試合をどう戦っていくかしかできないんでね」と一戦必勝を誓った。首位攻防戦へ弾みはついた。あとは全員でG倒を果たす。(菊地峻太朗)

◆『雨中』に『右中(間)』への決勝10号3ランホームランを放ち、虎党を『宇宙』に飛び出すくらいサイコーの気分にさせてくれた大山くんの『ウチュウ三昧』アリガトウ!! と、絶賛しておきつつ大山くーん!! あんたは虎の4番やろー!! 7番に成り下がってええんかい? サンズ、マルテは頼りになるけど、1985年に阪神が日本一になったとき史上最強の助っ人なのにバースは3番。4番は掛布さんだったろー!! もうこれ以上は言わん! 信じとるでエ!! さて、その一方で勝ったけど後半戦に不気味なのは巨人じゃなくて高津ヤクルトでは...。 インコースをうなる速球で攻め続け、打ちあぐねていた燕の先発・スアレスを6回でキッパリと交代させてくれたことは確かにラッキーと思ったけど...。九回1死一塁で、前日決勝打のヒーロー渡辺に送りバントで1番・塩見にかける『ぶれない高津采配』なんか、とてつもなくコワ~い! 俺の取り越し苦労なら、いいんだけどね...。あ、次の巨人戦は3連勝しますからご心配なく!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
46293 0.613
(↑0.005)
-
(-)
65329
(+6)
279
(+5)
78
(+2)
69
(+2)
0.254
(↓0.001)
3.280
(↓0.01)
2
(-)
巨人
412910 0.586
(↓0.008)
2.5
(↓1)
63334
(-)
275
(+1)
104
(-)
48
(-)
0.252
(↓0.001)
3.300
(↑0.03)
3
(-)
ヤクルト
39319 0.557
(↓0.008)
4.5
(↓1)
64337
(+5)
314
(+6)
78
(+1)
49
(+1)
0.254
(-)
3.730
(↑0.03)
4
(-)
中日
303911 0.435
(↑0.009)
13
(-)
63230
(+1)
269
(-)
44
(-)
39
(-)
0.238
(-)
3.250
(↑0.04)
5
(-)
DeNA
294110 0.414
(↓0.006)
14.5
(↓1)
63321
(+3)
380
(+5)
81
(+1)
17
(+1)
0.260
(-)
4.600
(↓0.01)
6
(-)
広島
264110 0.388
(↑0.009)
16
(-)
66274
(+5)
340
(+3)
54
(+2)
38
(+2)
0.258
(-)
4.000
(↑0.01)