ヤクルト(☆6対4★)阪神 =リーグ戦14回戦(2021.07.07)・明治神宮野球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
阪神
2002000004922
ヤクルト
40000002X6701
勝利投手:清水 昇(2勝3敗1S)
(セーブ:マクガフ(2勝1敗16S))
敗戦投手:齋藤 友貴哉(1勝1敗0S)

本塁打
【阪神】サンズ(15号・1回表2ラン),佐藤 輝明(20号・4回表2ラン)
【ヤクルト】山田 大樹(23号・1回裏3ラン)

  DAZN
チケットぴあ ヤクルト戦チケット予約 阪神戦チケット予約
◆ヤクルトは2点ビハインドの初回、山田の3ランと中村の適時打で一挙4点を奪い、逆転に成功する。4-4で迎えた8回裏には、1死二塁の好機から渡邉が適時二塁打を放ち、再びリードを奪った。投げては、5番手・清水が今季2勝目。敗れた阪神は、4番手・齋藤が誤算だった。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が4回にヤクルト先発高梨から12試合ぶりの20号2ランを放った。2点を追う4回無死一塁、初球低めフォークを空振りした2球目、1球目より高めに浮いたフォークを逃さずすくい上げ右翼ポール際へ。7月初本塁打で、最近恒例のメダルをベンチ前でかけてもらいナインと喜び合った。「早い回で同点に追いつくことができてよかった。ようやく自分もメダルをつけることができてうれしいです」とコメント。最後は久しぶりのZポーズも決めた。 球界の新人左打者では歴代1位の1946年大下弘(セネタース)の20本に並んだ。終戦直後のプロ野球で赤バットの川上哲治(巨人)に対し、「青バットの大下」と呼ばれた通算201本塁打のスター。球界の伝説的な大打者に肩を並べた。 4日広島戦ではプロ野球タイ記録の1試合5三振を喫したが、前日6日のヤクルト戦ではあと数メートル高ければ柵越えとなった右翼フェンス直撃の適時二塁打を放った。矢野監督も試合後「アイツも悔しい思いをしてここに来ているし。ああいう走者を置いて本塁打をもちろん一番打ってほしいけど、ああいうふうに適時打を。勝負強い打者になっていってもらいたい」と、復調の兆しとなる二塁打を評価していた。 新人左打者では20本でトップに並んだが、右打者を含めたプロ野球全体では、59年桑田武(大洋)86年清原和博(西武)の31本塁打が新人最多。また阪神の新人最多は69年田淵幸一の22本で、あと2本に迫った。

◆阪神佐藤輝明内野手(22)がレーザービームでピンチを救った。 4-4の7回、先頭のヤクルト青木が及川の初球を捉え、右翼へ痛烈な打球を放った。右翼手の佐藤輝はフェンスに跳ね返ったボールを素早く捕球すると、二塁へ矢のようなストライク送球。ヘッドスライディングで飛び込んだ青木を強肩で刺して、ピンチの芽を摘んだ。マウンドの及川も何度も手をたたいて、ファインプレーをたたえた。 佐藤輝は4回に同点の20号2ランを放っており、この日は攻守に存在感を見せた。

◆阪神は1回、サンズの15号2ランで先制。ヤクルトはその裏、山田の23号3ランで逆転。さらに中村の適時打で2点をリードした。 阪神は4回、佐藤輝の20号2ランで追いついた。ヤクルト高梨は5回途中、阪神二保は5回を投げ切り、ともに4失点で降板した。 ヤクルトは8回、渡辺が決勝の適時二塁打を放って接戦を制した。清水が2勝目、マクガフが16セーブ目。阪神斎藤がプロ初黒星。

◆ソフトバンクからトレード移籍した二保旭投手(31)が初先発し、5回4安打4失点だった。粘りの投球となったが、同点のまま降板し、移籍初勝利は次戦以降に持ち越しとなった。 「一番は先制してもらった後にすぐに逆転されてしまったので、チームに申し訳ないという気持ちが大きいです。すぐに打線がホームランを打ってくれて追いついてくれたので良かったですが、試合を壊していてもおかしくない展開だったと思います」。 2点リードをもらった初回、無死一、二塁から3番山田にいきなり逆転3ランを浴びた。続く村上にも中越え二塁打を許し、中村の中前適時打で4失点目。苦しい立ち上がりとなった。 2回は四死球に暴投もあったが無失点で切り抜けると、3回は3者凡退。味方の援護も受けながら、多彩な変化球を駆使して徐々に調子を取り戻した。 5回先頭の打席ではプロ初の四球で出塁。直後を3者凡退に抑えると、6回に代打を送られ降板となった。「2回以降は徐々に落ち着いて自分の投球はできていたと思うので、本当に追いついてくれた味方の打線に感謝したいです」と振り返った。 この日は七夕。阪神ベンチには「二保さんが勝てますように ~みんなより~」と書かれた黄色の短冊が飾られていた。新たなチームメートの応援も受け、虎デビュー戦を終えた。

◆バスケットボールBリーグ1部(B1)に昇格した群馬クレインサンダーズに新加入した元日本代表の五十嵐圭(41)が始球式に登場した。 ゆったりとしたフォームから山なりでノーバウンド投球を披露。「このたびは、このような機会を作っていただきましてありがとうございました。個人的にもスポーツをやっている人間として、貴重な経験をさせていただき感謝しています。最近は来られていないですが、野球観戦することもあり、前に神宮球場にも来たことがあったのですが、その時とは違った雰囲気を感じることができました。しっかりとしたボールを投げたかったのですが、山なりになってしまいました。ですが、ノーバウンドで投げることができてよかったです」とコメントした。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(33)が先制の15号2ランを放った。1回1死三塁の場面。フルカウントからヤクルト高梨の6球目フォークをバックスクリーン左に運んだ。 先頭近本が左前打で出塁し、すぐさまリーグトップに並ぶ17盗塁となる二盗を成功。続く2番糸原が二ゴロで三塁に走者を進めていた。 サンズは「1番が塁に出て走って、2番が三塁に進めてくれて、あとはかえすだけという状況を作ってくれたから、自分の仕事に集中することができたよ。先制することができて良かったね」とコメントした。

◆阪神がサイン盗みを疑われて騒動になった6日ヤクルト戦から一夜明け、井上ヘッドコーチは練習前の全体ミーティングで紛らわしい行為に気をつけるよう選手たちに伝達した。 疑惑を向けられたのは5回2死一、二塁、打者佐藤輝の場面。二塁走者近本が左手を真横に動かすなどし、サイン伝達を疑ったヤクルト村上が審判にアピールした。ここから両軍ベンチが言い合いとなり、名幸球審は紛らわしい行為として近本を注意。その後、審判団が矢野監督と高津監督を呼んで話し合う騒動となった。 この日にセ・リーグ杵渕統括は「リーグ統括として近本選手の動作は紛らわしいと率直に感じるが、サイン盗みまであったとは思っていない」と見解を示していた。阪神の嶌村球団本部長は「当球団はそのような行為は全くしておりませんし、する意思も全くございません」と完全否定。近本から一連の動きについて話を聞いたといい、「帰塁のタイミングを計る中でそういうことがあった。今後は気をつけていくということ」と説明した。 嶌村球団本部長によると、矢野監督と高津監督が試合前に話し合い、この件は解決したという。またグラウンド上では矢野監督、井上ヘッドコーチとヤクルト森岡内野守備走塁コーチが話をする場面もあった。 近本は1回に二塁走者となり、両手を両膝の上に置いて動かさずプレーした。【石橋隆雄】

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(33)がスーパーキャッチでピンチを救った。 4-4で迎えた6回2死一、二塁の場面。代打川端が藤浪から放った左翼線の飛球に向かってダイブし、ドンピシャでグラブに収めた。サンズは4回に吉田成の打球を落球していたが、名誉挽回のスーパープレーだった。

◆ヤクルト高津臣吾監督(52)が挙げた試合の最大のポイントは5回の場面だった。 高津監督 まぁ星のところでしょうね、今日は。ちょっと失点を覚悟したんですけど、よく打ち取ってくれたと思いますね。 4-4の同点で迎えた5回。先発高梨が1死二、三塁とピンチを背負ったところで、2番手に星知弥投手(27)を投入。3番サンズはフルカウントから147キロ直球を内角へ投げ切って見逃し三振。4番マルテには四球を与えて2死満塁としたが、4回に20号2ランを放っていた5番佐藤輝にも真っすぐで内角攻めし、最後は内角高めの149キロ直球で空振り三振。見事にピンチを無失点で切り抜け、阪神に傾きそうな流れを食い止めるとともに、終盤の勝ち越し劇へつながるリリーフ陣の踏ん張りの起点となった。 星は6月9日に1軍へ昇格し、この日で登板は8試合目。4日中日戦に続いて2ホールド目を挙げ、任される舞台も重要度が増し始めている。高津監督は「このくらいは最低できると思っているので。あとは変化球の精度とコントロールというところがまとまってくれば、これくらいの力は発揮できると思っています」と、勝利の影のヒーローに、今後のさらなる高いレベルのパフォーマンス発揮に期待した。【木下大輔】

◆同点の8回、阪神矢野燿大監督は「8回の男」岩崎ではなく斎藤をマウンドに送った。しかし先頭の8番吉田成を安打で出して犠打で進められると、途中出場の渡辺に左翼フェンスを直撃する勝ち越しの適時二塁打を浴びた。2番青木に対して阪神ベンチは今季初登板のベテラン左腕岩田稔にスイッチしたが、暴投で走者を三塁まで進め、さらに死球で交代。石井大が山田に犠飛を許してこの回2点目を失い、引き離された。斎藤はプロ初黒星となった。 矢野監督はうなりながら勝負の分かれ目を振り返った。「昨日(6日)スアちゃんがいってなかったらあそこ(8回)でスグル(岩崎)っていけるんだけど、スアちゃん登板がこれだけ増えて、何でもかんでもスグル、スアちゃんっていうわけにはね。連戦も続くし、疲労もあるし。下位のところを何とか、何人でもと」。8回はヤクルトが下位打線だったことから斎藤をチョイスしたと説明した。 岩崎は1日ヤクルト戦(甲子園)を最後に6日間登板がない。この日は8回は準備せず、味方が9回に攻め立てて同点の可能性が出てきてブルペンで準備をしていた。前日6日も5点差で9回を馬場に託したが、1死満塁でスアレスを投入していた。「中継ぎもちょっと今、苦しい状態」と矢野監督も苦悩が続く。だが、6回は藤浪、7回は及川がピンチを作りながらも無失点投球。指揮官は「それは収穫」と喜んだ。中日に勝った2位巨人には再び1・5ゲーム差に迫られた。首位を守り抜くためにも、リリーフ陣の再編が急がれる。【石橋隆雄】 ▼阪神は2位巨人に1・5ゲーム差と詰められたが、8日に阪神●巨人○でも阪神の首位は動かない。阪神は45勝30敗3分け、巨人は42勝28敗10分けでともに勝率6割となる。ただしセ・リーグの規定により、勝ち数の多い阪神が上位となるため。

◆阪神藤浪晋太郎投手は美技にも助けられ、4戦連続無失点を決めた。 同点の6回に登板。6番中村を154キロ直球、7番サンタナを外角低めカットボールで2者連続空振り三振に仕留める。ここから2四死球で2死一、二塁とし、代打川端に左翼線へ打ち上げられたが、左翼サンズがダイビングキャッチに成功。「ツーアウトからバタバタしてしまった中でサンズの守備に助けられました。サンズさまさまですし、大いに感謝したいです」と最敬礼した。

◆ヤクルト清水昇投手が本拠地初勝利を挙げた。8回に登板。無失点に抑えると、その裏に決勝点が入った。 お立ち台では「すごくうれしい」と笑顔。1日阪神戦(甲子園)で3年目、通算100試合目の登板でプロ初勝利を挙げたばかり。神宮でも白星を手に入れたセットアッパーは「僕は頑張って勝ちゲームで投げられるようにやっていくので、応援よろしくお願いします」と頭を下げた。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(33)が七夕の夜に攻守で輝きを見せた。 天の川にも届くような大きな1発だった。初回1死三塁。フルカウントからの6球目、高梨の外のフォークを捉えた。打球はバックスクリーン左へ飛び込む15号2ラン。 「近本が塁に出て、健斗(糸原)がつないでくれて、幸運にも打てるところにボールが来てくれたので、結果的にかえせて良かったよ」 ベンチに帰ると、4日広島戦に続く2個目の「阪神メダル」を坂本からゲット。胸元に金色がキラキラと映えた。 守備で光ったのは、同点の6回。この回から登板した藤浪が、2四死球を与えて2死一、二塁のピンチ。迎えた代打川端の打球は、左翼線への飛球となった。サンズはボールへ向かって猛烈に走り込むと、最後は豪快なダイビングキャッチ。 「とりあえず捕りたかったので、飛ばないといけないところに来たので、とにかく必死でなんとかグラブに収まって良かったよ」 実は、4回に吉田成の打球を落球して失策を記録していた。チームの窮地で出た汚名返上のファインプレー。体を張った守備に、矢野監督も「サンズすごかったね。あれもほんと何打点も、2打点ぐらいの価値が十分にあった」と大絶賛。頼れる助っ人はいつだって全力だ。 前カードの広島戦では2試合でベンチスタートだったが、ここ3戦で2発を放ち状態は上向き。「もちろん、長いシーズン上がり下がりはあるけど、その波をできるだけなくしたいので、悪くないと思ってるよ」。悔しい敗戦となったが、次はきっと虎党の願いをかなえてくれるはずだ。【磯綾乃】

◆阪神がヤクルトに競り負けた。4-4と同点で迎えた終盤8回に勝ち越しを許した。矢野燿大監督(52)は試合後に継投の裏側を明かした。一問一答は以下の通り -2回以降、7回まで押されている中でも中継ぎを含めて守っていたが うん、まあまあ負けるのにはもちろん原因があるし、チャンスでね、(5回の)ノーアウト二、三塁も点取れんかったしとか、それは振り返ればそういう返すところで打順が回ったんでね。あそこは何が何でも行きたかったなというのはあとからというか、試合の流れの中ではあるけど。二保も4点取られたけど、あそこから粘ったからね。それがゲームを持たしてくれたというか、それにつながったし、中継ぎもちょっと今苦しい状態で誰をどういくかっていうのがなかなかうまく、できてない状態やから。今日も難しかったけど。 -8回斎藤投入は同点で昨日スアレスが登板していたことも影響 昨日スアちゃん(スアレス)行ってなかったら、あそこで(岩崎)スグルって行けるんだけど、スアちゃん登板こんだけ増えて、何でもかんでもスグル、スアちゃんていうわけにはね。連戦も続くし、疲労もあるしというところでは下位のところを何とか、何人でもっていうかね、いるメンバーで、1人必殺じゃないけど、それぐらいでいけたらなっていうところはあったんだけどね。相手のあることなんでうまくいかんけど、あそこらへんで(藤浪)晋太郎と及川が何とか粘ってくれたんで、それは収穫として。競っているところでの早いイニングのところが拾えるとこういうゲームも変わってくるんで。何とかやってやりくりしていこうかと思うけど。 -二保は立ち直ってからはいい球も 今年の映像も見ているけど、結構いいボール投げていたしね。今日は俺の中では状態自体はよくなかったと思うし、ソロッというか、立ち上がりに入っていった中でコンコンとやられたけど、本当に3回以降くらいかな、まだ打席が回ってこなければまだ行こうとは思ったんだけど、打席が回ってきたんで。まあまあ、こう、力になってくれそうなものはやっぱり持っているなというのは、あの粘りでも感じた。球種はいろいろあるんでね。ほかのけん制やフィールディングやいろんなこともできることも多いんで。先発でも、中に入るとしても、力になってくれるんじゃないかなと思う。 -今日くらいの投球なら、また次も まあ、ただ(五輪期間で)ブレークが入るからね。 -佐藤輝は20号に乗せたが悔しい三振も両方出た 三振を怖がっていくこと自体は良くないし、これだけ新人で20本打つのはすごいことやし。テルの魅力やし。でも、ここからあいつの成長というか1本打ったけど、その他がっていうのをプロで長くやるためにはそこの成長というのがどうしても必要なところ。そこがなかなか疲れも出てくるし、相手もこうやって攻めてくるというのがだいぶある中で、そういうバットに当たらない三振が増えている部分がある。ここを何とか乗り越えていってほしいなと思っています。 -サンズの6回の好守もあった サンズすごかったね。あれもほんと何打点も、2打点ぐらいの価値が十分にあったし。そういうこう、最後もなんとか、ランナー出て。(熊谷)タカヒロのあの走塁(9回の三塁憤死)も、俺は悪いと思わんし。準備の段階でああいうふうに行くっていうことは、うちの野球なんでね。それは俺も受け止めている。 -向こうの守備を褒めるしかない 結果的にね、あっちにそれたらセーフだし。高いスローでチカ(近本)も二塁まで行けているっていうのは、一気にノーアウト二、三塁に持ち込めたから。まあ...攻めた結果なんでね。相手もいいところに投げたな、という。テルのスローもあったし、良いところもあったんで。ただ、まあまあ課題もある。 ー8回に失点はしたが締まった試合だった 粘って粘ってというところではね、序盤のチャンスのところで、やっぱりあそこで二保のフォアボールでチャンスになって、チカのあれで二、三塁になったところで点取れるとか。そういう締まったという部分と、自分らのチームを指揮してるというところでは課題もある。中継ぎのそこのもう1枚、もう2枚というところは課題でもある。でもみんな逃げたわけではなく、勝負にいった結果なので、それは監督として受け止めながら前に進んでいこうかなと思います。

◆ヤクルトの高卒6年目、渡辺大樹外野手(24)が初めてヒーローとなった。 出番は8回表の守備から。セットアッパー清水が無失点で切り抜けると、その裏に1死二塁で打席が巡り、初球を引っ張って左翼フェンス直撃の決勝適時二塁打を放った。「いつもはあんまり打席に立つことは少なくて、そういうチャンスを託してもらえるとは思わなかった」と、試合後は初々しく振り返った。 試合を決めた打席は、今季19打席目だった。38試合目の出場だが、主な役割は守備固めや代走。それでも高津監督は渡辺に懸けた。「代打も考えたんだけど、思い切っていこうと。彼もずっと若い頃から見てきて、思い切りの良さというのはずっと持っているなと思っていたので、そこに懸けました。よく打ってくれたと思います」。2軍監督時代から成長を見守り、熟知していた特長を信じて最高の結果が待っていた。 渡辺は9回の守備では右翼からレーザービームも決めた。攻守でインパクトの大きい仕事を連発し、試合が終わるとチームメートから「Xポーズ」で出迎えられた。「去年、めちゃくちゃ髪が長い時に真っ黒のサングラスをしたらX-JAPANのToshiに似ていると。そこからトシと呼ばれ、Xポーズをやるようになりました」という新たなパフォーマンスは、今後のヤクルトベンチをさらに盛り上げそうな予感だ。 これでチームは貯金を9として、首位阪神に3・5差。高津監督は「明日もぜひ勝ちたいと思っています。いろんな意味がある阪神戦、タイガースとの試合なので、明日も勝ちたいと思います」と、前を向いた。【木下大輔】

◆阪神岩田稔投手は今季1軍初登板で苦しんだ。 1点を勝ち越された直後の8回1死二塁で登板。2番青木の打席で暴投した後、死球を与えわずか5球で降板した。ウエスタン・リーグでは中継ぎ転向後6試合連続無失点と結果を出していたが、1軍初戦はホロ苦いマウンドとなった。

◆横浜高出身の阪神及川雅貴投手が1回1安打無失点で今季2ホールド目をマークした。同点の7回から3番手で登板。2四球と味方の失策で満塁としたが、最後はサンタナから150キロ直球で見逃し三振を奪った。高校の大先輩である西武松坂が今季限りでの引退を正式に発表。虎の将来を担う20歳左腕は「幼い頃から知っている大先輩であり、大スター。自分も横浜高校出身のプロ野球選手として、少しでも近づけるように頑張っていきたい」と誓った。

◆首位阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が偉大な先人に並んだ。ヤクルト戦の4回に高梨から同点の20号2ラン。1946年に戦後の大ヒーロー「青バット」の大下(セネタース)が記録した新人左打者の最多本塁打に並んだ。7回の守備では右翼から二塁へストライク送球で打者走者の青木を仕留めた。攻守でハッスルしたが、試合は8回に勝ち越された。勝った2位巨人に再び1・5ゲーム差に迫られた。虎の怪物ルーキーがまた1つ、歴史に肩を並べた。2点を追う4回無死一塁。高梨の1ストライクからのフォークにやや体勢を崩されながら芯で捉えた。低めの甘い球ではなかったが、右膝を折りながら最後は右腕1本ですくい上げ、低い弾道のまま右翼席へ運んだ。12試合ぶり、二保の黒星を消す同点の20号2ラン。ベンチ前では前カードの広島戦から導入された「阪神メダル」を初めて贈呈され、「早い回で同点に追いつくことができてよかった。ようやく自分もメダルをつけることができてうれしい」とその味をかみしめた。 高梨には6月30日の前回対戦でフォークに2度、空振り三振を喫した。この日も初回にフォークを脳裏に植え付けられ、直球に立ち遅れて空振り三振。同じ相手に何度もやられるわけにいかず「しっかり自分の打撃に集中していました」とリベンジに成功した。これで新人左打者では46年大下(セネタース)の最多本塁打に並んだ。終戦直後のプロ野球で赤バットの川上(巨人)に対して「青バットの大下」と呼ばれた通算201本塁打の大打者。打つたび先人たちの歴史的記録を掘り起こし続けるルーキーは「もっともっと上を目指して頑張っていきます」と強く口にした。 矢野監督は「新人で20本はすごいこと」と褒めつつも、本塁打を除く3度の空振り三振を指摘。「疲れも出てくるし、相手がこうやって攻めてくる。そういう中でバットに当たらない三振が増えている。ここをなんとか乗り越えてほしい」。新人とはいえ、中軸を担う大砲に期待を込めて背中を押した。 佐藤輝は7回の守備で青木の右翼線への打球でクッションボールをスムーズに処理し、反転して「刺すつもりで投げた」とノーバウンド送球で二塁を狙った青木を仕留めた。攻守で存在感を示したが、勝利に結びつかず悔しさと責任感をにじませ、言った。「もう1本打たないと。あと1本打てたら勝てていた試合。自分の反省点として明日以降やっていきたい」。前半戦は残り7試合。勝っても負けても歩みを進めていく。【前山慎治】 ▼ルーキー佐藤輝が20号。新人で20本塁打以上は03年村田(横浜)以来17人目。新人の最多本塁打は59年桑田(大洋)86年清原(西武)の31本だが、左打者では1リーグ時代の46年大下(セネタース)に並ぶ最多本数。チーム77試合目で20号到達は、58年長嶋(巨人)の89試合目を抜き、59年桑田の60試合目に次いで2位のスピード。 ▼佐藤輝が3三振を喫し、通算112三振となった。阪神の新人では、19年近本の110三振を超え、最多となった。なおプロ野球新人最多は99年福留孝介(中日)121三振。 ▼佐藤輝は、阪神の新人最多の69年田淵幸一22本塁打にあと2と迫った。現在のペースを維持すると、年間37本塁打となる。プロ野球新人最多の59年桑田武(大洋)、86年清原和博(西武)各31本塁打の更新も十分に可能だ。

◆阪神近本光司外野手がサイン盗み疑惑から一夜明け、今季9度目の猛打賞をマークした。 初回は高梨から左前に運び、5回は無死一塁から右翼線への二塁打でチャンスを拡大。9回無死一塁でも右前打を放った。初回は今季17個目の盗塁を決め、リーグトップのヤクルト塩見に並んだ。 前日6日は二塁走者の近本が左手を動かすなどした動作が疑惑の発端となったが、二塁進塁後は両手を膝に置いてリードをとった。

◆首位阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が偉大な先人に並んだ。ヤクルト戦の4回に高梨から同点の20号2ラン。1946年に戦後の大ヒーロー「青バット」の大下(セネタース)が記録した新人左打者の最多本塁打に並んだ。7回の守備では右翼から二塁へストライク送球で打者走者の青木を仕留めた。攻守でハッスルしたが、試合は8回に勝ち越された。勝った2位巨人に再び1・5ゲーム差に迫られた。プロ野球界で史上初めて20本塁打の大台に乗せたのが、1リーグ時代だった46年のセネタースの新人、大下弘だった。1922年(大11)12月15日生まれ、兵庫県出身。台湾・高雄商-明大を経て、45年秋に新球団セネタース(現日本ハム)と契約した。1年目の46年に20本塁打でキングとなった。戦前の本塁打王の最多が10本という時代に、別次元の活躍を見せた。川上哲治(巨人)と人気を二分し「赤バットの川上、青バットの大下」と並び称された。本塁打王3回、首位打者3回。1試合7安打は今もプロ野球記録として残る。52年に西鉄に移籍。54年の初優勝に貢献。56~58年は3連覇し、日本シリーズでいずれも巨人を撃破した。 通算201本塁打を放ち、59年に引退した。68年には古巣東映(現日本ハム)の監督に就任。74、75年には大洋(現DeNA)のコーチとなり、同じ左打者の長崎慶一(後に啓二)を育てた。長崎は82年に首位打者を獲得。85年には阪神に移籍し、来日3年目のバースがそのタイミングの取り方を徹底研究。同年の3冠王へとつながった。バースはいわば、大下の孫弟子ということになる。 名文家としても知られ、著書「大下弘日記-球道徒然草」は自らペンを執ったという。79年5月23日、56歳で死去した。【記録担当=高野勲】 ▼ルーキー佐藤輝が20号。新人で20本塁打以上は03年村田(横浜)以来17人目。新人の最多本塁打は59年桑田(大洋)86年清原(西武)の31本だが、左打者では1リーグ時代の46年大下(セネタース)に並ぶ最多本数。チーム77試合目で20号到達は、58年長嶋(巨人)の89試合目を抜き、59年桑田の60試合目に次いで2位のスピード。 ▼佐藤輝は、阪神の新人最多の69年田淵幸一の22本塁打にあと2と迫った。現在のペースを維持すると、年間37本塁打となる。プロ野球新人最多の59年桑田武(大洋)、86年清原和博(西武)各31本塁打の更新も十分に可能だ。 ▼佐藤輝が3三振を喫し、通算112三振。阪神の新人では、19年近本の110三振を超え、最多となった。なおプロ野球新人最多は99年福留孝介(中日)121三振。

◆阪神大山悠輔内野手(26)が、決勝の10号3ランを放った。1点を追う8回2死一、三塁から梅野の左前適時打で同点に追いつくと、大山が右翼へ勝ち越しの3ランを放った。 今季初の7番に座った今カードは3戦2発。「ここまで本当に迷惑ばかりかけていたので、なんとかチームに貢献したいと思って、1試合1試合やっているので、本当にいいところで打てて良かったと思っています」と振り返った 大山のお立ち台での一問一答は以下の通り。 -梅野選手の同点適時打、盗塁の後に決勝3ラン 「いやもう、かえすだけだと思ってましたし、チーム全員でつないできたチャンスだと思っていたので、なんとかかえすことだけを考えて打席に入りました」 -打った球は 「ストレートです」 -スタンドインは確認出来たか 「いや、ちょっと雨降ってたんで分からなかったですけど、越えたのは分かったので良かったです」 -4年連続2ケタ本塁打 「はい、まだまだです。頑張ります」 -昨年は28本塁打。何本までいくか 「1本1本頑張ります」 -神宮では初戦で先制本塁打を放ち2本塁打。9連戦最初のカードで頼りになった 「ここまで本当に迷惑ばかりかけていたので、なんとかチームに貢献したいと思って、1試合1試合やっているので、本当にいいところで打てて良かったと思っています」 -打順は下がったが、主将の意地 「そうですね、本当にチーム全員頑張ってるので、自分だけ乗り遅れないようにと思ってやっています」 -前半戦最後の9連戦。神宮でまず勝ち越したが、主将として 「本当に1試合1試合が勝負だと思っているので、全員で気を抜かないように、もう1回一丸となって頑張りたいと思います」 -激しく雨が降る中、応援を続けてくれたファンへメッセージを 「最後までありがとうございます! これからも頑張るので、応援よろしくお願いします」

◆前日6日に阪神が打者へのコースの伝達行為を疑われる事象が起き、セ・リーグの杵渕和秀統括が阪神側への注意を行ったと明かしたことについて、阪神・嶌村聡球団本部長(53)が7日、試合前に説明を行った。 改めて、「そのような行為というのはまったくしておりませんし、する意思もまったくございません」と語った上で、この日の球場入り後に行ったミーティングでも首脳陣、選手らを集め「紛らわしい行為は気をつけよう」と伝えたという。 今回は五回2死一、二塁、D1位・佐藤輝(近大)の打席で二走だった近本の手の動きが問題となったが、同本部長はすでに近本とも話し合いを持ち「当たり前のことですけど、当然そういうこと(伝達行為)はやっていない。帰塁を測るタイミングの中でそういうことがあった。今後気を付けていくということになっています」と前に進んでいるという。 また、この日の試合前に矢野監督とヤクルト・高津監督が話し合っていたことも明かし、「解決しています、ということです」とも付け加えた。

◆阪神のジェリー・サンズ外野手(33)が一回にバックスクリーン左へ先制の15号2ランを放った。 「1番が塁に出て走って、2番が三塁に進めてくれて、あとはかえすだけという状況を作ってくれたから、自分の仕事に集中することができたよ」 1死三塁で打席に向かうと、フルカウントから高梨の130キロフォークを完璧に捉えた。打球はバックスクリーン左へ一直線。4日の広島戦(マツダ)以来の15号2ランで阪神が先手を奪った。 この回は先頭の近本が左前打。糸原の打席で、リーグトップに並ぶ17盗塁目を決めると、糸原の二ゴロで三進。理想的な形で作った先制機に、勝負強いS砲が応えた。この日の先発はソフトバンクからトレード移籍で加入した二保。虎初マウンドに上がる右腕に大きな先制点をプレゼントした。

◆ソフトバンクからトレードで阪神に加入し、移籍後初先発のマウンドに上がった二保旭投手(31)が一回にヤクルト打線に捕まった。 2-0の一回。先頭の塩見に初球を痛打され、左前打を浴びると、青木に四球を与え無死一、二塁。山田哲に左翼席へ逆転の3ランを被弾。村上に二塁打を許すと、1死三塁から中村にも中前打を浴びた。今季ファームでは防御率2・57と安定した成績を残していた右腕だが、苦しい立ち上がりとなった。

◆阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が2-4の四回無死一塁の場面で同点の20号2ランを放った。 「早い回で同点に追いつくことができてよかったです。ようやく自分もメダルをつけることができてうれしいです」 ヤクルトの先発・高梨に対して初球は空振り。2球目だった。127キロフォークをすくい上げると、打った瞬間にスタンドインを確信。白球は右翼席へ弾んだ。ベンチでは米大リーグ・パドレスではやりの祝福を取り入れた「タイガースメダル」を首にかけ、笑顔をみせた。 6月23日の中日戦(バンテリンD)以来、12試合ぶりの一発で大台の20号到達。これで1946年のセネタース・大下弘と並んで新人左打者最多本塁打記録となった。佐藤輝は第1打席に今季110個目の空振り三振。2019年の近本と並んで球団新人最多三振数も記録していた。ホームランと三振が魅力の黄金ルーキーが、また伝説を作った。

◆ヤクルトは、2点を先制された直後の一回無死一、二塁から、山田哲人内野手(28)が23号3ランを放った。 相手の先発右腕、二保(前ソフトバンク)が投じた114キロのカーブを捉え「先制された直後だったので、何とか追いつきたいという気持ちで打席に入りました。すぐに逆転することができてよかったです」。3日の中日戦(バンテリンドーム)以来、3試合ぶりの一発で打線に勢いをもたらした。

◆ソフトバンクからトレードで阪神に加入し、移籍後初先発のマウンドに上がった二保旭投手(31)は5回4安打4失点。虎初星はお預けとなった。 2-0の一回無死一、二塁から山田哲に逆転3ランを被弾。中村にも適時打を許し、いきなり4失点と苦しい立ち上がり。それでも二回以降は持ち味の打たせて取る投球で0を並べる。二回は2四死球で2死一、二塁のピンチも村上を二ゴロ。二回以降は安打を許さず、五回は村上、オスナを連続三振に斬った。 また、五回の第2打席では、四球を選びプロ初出塁も記録。4-4の六回1死一、二塁の場面で代打を送られたが、チームは勝ち越すことができず、移籍即白星はかなわなかった。

◆阪神のジェリー・サンズ外野手(33)が超ファインプレーで虎を救った。 6回、川端の打球を好捕した阪神・サンズ=神宮球場(撮影・今野顕) 4-4の六回。2番手の藤浪が連続三振で2死を奪うも突如乱れる。連続四死球で一、二塁のピンチ。ヤクルトベンチは代打の切り札、川端を送った。 その初球、左翼線に飛んだ打球はフェアゾーンへ。ここでサンズが193センチ、102キロの巨体を揺らして、飛んだ。抜けていれば勝ち越しされていた当たりを、ダイビングキャッチ! 神宮が大歓声に包まれた。一回に先制の15号2ランを放った助っ人が、守備でもチームを鼓舞した。

◆阪神のドラフト1位・佐藤輝明外野手(22)がレーザービームを魅せた。 4-4の七回、3番手・及川が先頭の青木に初球を痛打される。打球は右翼線を転々。青木は一塁ベースを周った。ここで右翼手・佐藤輝が二塁にストライク送球。青木はヘッドスライディングも判定はアウト! ヤクルトベンチはリクエストを要求も、リプレー検証の結果、判定は覆らず。ルーキーが大きなアウトをもたらした。 直前の六回の守備ではサンズがダイビングキャッチのファインプレー。この日、ともにホームランを放っている2人が、守備でも躍動した。

◆2番手で登板した阪神・藤浪晋太郎投手(27)が、サンズへの感謝を述べた。 「ツーアウトからバタバタしてしまった中で、サンズの守備に助けられました。サンズ様様ですし、大いに感謝したいです」 藤浪は4-4の六回に2番手で登板。連続三振で2死を奪うも、その後連続2四死球で一、二塁のピンチを背負った。続く代打・川端の初球、左翼線を襲った打球をサンズがダイビングキャッチ。超ファインプレーに助けられ、無失点で切り抜けていた。

◆ヤクルトが接戦を制し、本拠地・神宮で阪神戦今季初白星となった。4-4の八回1死二塁で、6年目で途中出場した渡辺大樹外野手(24)の左越え適時二塁打で勝ち越しに成功。さらに山田の左犠飛で追加点を奪った。山田は一回に23号3ランを放つなど4打点の活躍。八回に5番手で登板した清水が無失点でつなぎ、2勝目(3敗)を挙げた。九回を無失点で締めたマクガフは16セーブ目。

◆阪神は二保がソフトバンクからトレード移籍後初登板先発に臨んだ。2点の先取点をもらった直後の一回に4失点。制球の甘さが目立ち「チームに申し訳ない気持ちが大きい」と反省した。 ただ、その後は緩急を付けた投球で立て直し、二回以降は無安打に抑えた。5回4失点に「徐々に落ち着いて自分の投球はできた」と振り返った。

◆ヤクルトが競り勝った。4―4の八回に途中出場の渡辺の適時二塁打で勝ち越し、一回に3ランを放っていた山田の犠飛で突き放した。同点の八回に5番手で登板した清水が、無失点でつなぎ2勝目。清水との一問一答は以下の通り。 --神宮で初勝利 「すごくうれしい。いつも野手の方にがんばってもらっているので、どうにか踏ん張ってがんばりたいと思った」 --投球を振り返って 「何とか流れを引き寄せたいという気持ちでマウンドに上がった」 --救援陣が好投 「僕の場合、スコット(マクガフ)につなぐだけなので、つないでもらったリリーフの投手に感謝」 --渡辺の決勝打は 「打ってくれという気持ちが大きかった」 --今後へ向けて 「がんばって勝ちゲームで投げられるようにやっていく」

◆阪神はヤクルトに逆転負け。打線は一回、サンズの15号2ランで先制。2-4と逆転され迎えた四回にはD1位・佐藤輝(近大)が同点の20号2ランを放った。この一発で、佐藤輝は1946年のセネタース・大下弘と並んで新人左打者最多本塁打記録を打ち立てた。 先発はソフトバンクからトレードで移籍してきた二保。一回に山田哲に逆転3ランを浴びるなど4失点したが、その後は安打を許さない投球で5回4安打4失点と力投した。六回以降は藤浪、及川と継投。サンズ、佐藤輝のファインプレーにも助けられ無失点で切り抜けていたが、八回に4番手の斎藤が勝ち越しを許した。 4回表、阪神の佐藤輝明が右越え2ラン本塁打。もらったホームランメダルに笑顔=神宮球場(撮影・今野顕) 2位・巨人が勝利したため、ゲーム差は再び1・5となった。

◆ヤクルトが競り勝った。4―4の八回に途中出場の渡辺の適時二塁打で勝ち越し、一回に3ランを放っていた山田の犠飛で突き放した。5番手の清水が白星。渡辺との一問一答は以下の通り。 --お立ち台は 「初めて立つのでとても緊張している。いつもプレーしながら背中を押してもらっているので、きょうの打撃につながった。いつも感謝している」 --決勝打は 「いい流れで打席に入れた。その流れのまま打った。何も考えず、来た球を振っただけ。抜けてくれと思いながら走った」 --九回は(右翼で)見事な守備 「あれはムネ(村上)がしっかり僕の送球をカバーしてくれたおかげでアウトになった。ムネにも感謝している」 --今後へ向けて 「僕みたいな選手はスタートで出ることはほとんどないが、これからも全力プレーでがんばる」

◆阪神は同点の八回に中継ぎ陣が失点し、好機も生かせず、今季神宮6戦目で初黒星。矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー初回以降、七回まで押されている中で... 「負けるのには原因があるし、チャンスでね。ノーアウト二、三塁(五回)も点取れんかったしとか、振り返れば、返すところで打順が回ったんでね、あこは何が何でも行きたかったなというのは試合の流れの中ではあるけど」 ーー八回の斎藤は6日にスアレスが登板していたことも 「昨日、スアちゃん行ってなかったら、あそこでスグル(岩崎)って行けるんだけど、スアちゃん登板こんだけ増えて、何でもかんでもスグル、スアちゃんていうわけにはね。連戦も続くし、疲労もあるしというところでは下位のところを何とか...」 ーー二保は立ち直ってからはいい球も(5回4失点) 「三回以降くらいかな、まだ打席が回ってこなければまだ行こうとは思ったんだけど、まあ、打席が回ってきたんで」 ーー今日くらいの投球なら、また次も 「まあ、ただ(五輪期間で)ブレークが入るからね」 4回、20号2ランを放つ阪神・佐藤輝明=神宮球場(撮影・宮沢宗士郎) ーー佐藤輝は20号に乗せたが、悔しい三振も両方出た 「三振を怖がっていくこと自体は良くないし、新人で20本打つのはすごいことやし。テルの魅力やし。疲れも出てくるし、相手もこうやって攻めてくるというのがある中で、バットに当たらない三振が増えている部分がある。ここを何とか乗り越えていってほしいなと思っています」ーーサンズの六回の好守もあった「サンズすごかったね。あれもほんと何打点も、2打点ぐらいの価値が十分にあったし。そういうこう、最後もなんとか、ランナー出て。(熊谷)タカヒロのあの走塁(九回の三塁憤死)も、俺は悪いと思わんし。準備の段階でああいうふうに行くっていうことは、うちの野球なんでね。それは俺も受け止めているし」6回、川端の左飛をダイビングキャッチする阪神・サンズ=神宮ーー八回に失点はしたが締まった試合だった「粘ってというところではね、序盤のチャンスのところで、やっぱりあそこで二保のフォアボールでチャンスなって、チカのあれで二、三塁なったところで点取れるとか。そういう締まったという部分と、自分らのチームを指揮してるというとこでは課題もあるし。中継ぎのそこのもう1枚、もう2枚というところは課題でもある。でもみんな逃げたわけではなく、勝負にいった結果なので、それは監督として受け止めながら前に進んでいこうかなと思います」

◆移籍してすぐ先発というのは簡単ではない。リードする梅野も手探り状態だったのだろう。二保は一回先頭の塩見に初球を打たれ、リズムを崩された。なかなか最初のアウトを取れない苦しい立ち上がりになった。 ■先発の適性も十分 二回も塩見に死球。かなり苦しいとみたが、そこから立ち直った。打者の手元で微妙に動くツーシームが効果的で、カーブもうまく使っていた。三、四、五回は次に期待できる内容。ソフトバンク時代はどちらかというとリリーフのイメージが強かったが、いろんな球種があるので、先発の適性も十分ありそうだ。 阪神の先発は他球団より豊富だが、優勝するためにはローテの谷間や故障などのアクシデントに備え、ファームで待機する投手も必要になる。二保の加入で層はさらに厚くなったが、救援陣の再建はまったなしだ。スアレス、岩崎への負担を軽減するために五輪期間中にもう1人勝ちパターンで投げる投手と、先発が早く降りたときの備えを急ぎたい。追い付き、サンズと佐藤輝の好守備で終盤は流れが来ていたので残念な試合となった。(本紙専属評論家)

◆まだ先は長いから、あらゆるカードを切った。9連戦に臨むにあたり「思い切って」起用していくと語っていた矢野監督が、思い切った策に出た。同点の八回に岩崎を温存する勝負に出たが、結果は厳しかった。 「中継ぎもちょっと今苦しい状態で、誰をどういくかっていうのがなかなかうまくできてない状態やから。下位のところを〝一人一殺〟じゃないけど、いけたらなというところはあった。相手のあることなんで、うまくいかんけど」 伏線は9連戦初戦の前日6日。5―0の九回に馬場が1死満塁のピンチを招き、守護神スアレスの救援を仰いだ。逃げ切り、24セーブ目もついたが、その〝代償〟が、この日の起用に影響した。 8回、選手交代を告げた阪神・矢野燿大監督 =神宮球場(撮影・水島啓輔) 「昨日、スアちゃん(スアレス)が行ってなかったら、あそこ(八回)で優(岩崎)っていけるんだけど。スアちゃん、登板がこれだけ増えて、何でもかんでも『優、スアちゃん』っていうわけにはね」 同点の八回に斎藤を送り出したが、先頭の吉田成に中前打を許し、犠打と渡辺の適時二塁打で沈んだ。続いて送り出したベテラン左腕、岩田稔は青木に死球。さらにD8位・石井大(四国IL高知)も投入したが、1死一、三塁から山田に犠飛を浴びた。矢継ぎ早に策を打ったが、この日は実らなかった。 「(六、七回は)晋太郎(藤浪)と及川が何とか粘ってくれたんで、それは収穫として。何とかやってやりくりしていこうかと思うけど」 後半戦も耐えられるように、今は打てる手を打ち、耐えるときだ。(長友孝輔)

◆七夕の夜空に、燕党の願いを乗せた白球が舞った。4―4の八回1死二塁。守備から右翼で途中出場していた高卒6年目、渡辺大樹外野手(24)が左翼へ決勝の適時二塁打を放った。 「何も考えず、来た球を振っただけでした。『抜けてくれ』と思いながら走りました」。山田らの〝Xポーズ〟で迎えられ、初めてのお立ち台では声を弾ませた。 コロナ禍で自主練習期間だった昨年5月頃。3カ月間ほど散髪できない中、黒いサングラスをかけると、チーム内でこう話題になった。 「Toshlに似ている」 ロックバンド「X JAPAN」のボーカルを務めるスターになぞらえ、以来活躍すると腕をクロスさせる「Xポーズ」でナインに迎えられるように。チームでは高級スポーツ車のエンブレムを模した「フェラーリポーズ」が流行中だが、渡辺だけは〝独自の型〟で祝福される。 千葉・専大松戸高から2016年にドラフト6位で入団。50メートル5秒9の俊足と守備力が武器で打撃を課題にするが、高津監督は「代打も考えたけど、若いときから思い切りの良さは持っている思っていた。そこに懸けた」。采配がズバリ、的中した。 渡辺は九回に無死一塁から右前打で三塁を狙った俊足・熊谷を〝レーザービーム〟で仕留め、持ち前の守備でも貢献した。チームは神宮で阪神戦今季初勝利。指揮官は「よく刺してくれた」と〝伏兵〟の輝きに目を細めた。(赤尾裕希)

◆サンズが飛んだ! 左翼線への打球に103キロの巨体を揺らして激走。ダイブ一閃、地面にたたきつけられても、グラブからこぼさなかった。 「とにかく捕りたかった。飛ばないといけないところにきたんで、とにかく必死で。なんとかグラブに収まってよかったです」 4-4の六回、2番手の藤浪が2死から四球、死球で招いた一、二塁のピンチ。代打・川端の打球は左翼線へ。抜けていれば2者が生還していた。左翼席の虎党からは大きな拍手。ベンチ前でナインはハイタッチで出迎え、藤浪も両手をたたいて、サンズをたたえた。 四回の守備では吉田成の飛球をポロリ。失点には結びつかなかったが「怠慢プレー」と指摘されても反論できなかった。まさに、汚名返上の一幕でもあった。 一回には先制の15号2ラン。幸先はよかったのだが...。 最近はマルテが一塁守備で好プレーを連発。サンズも「打つだけでなく守りや走塁でもチームの勝利に貢献したい」が口癖だ。脚力があるわけではないが、常に全力プレー。これがナインだけでなく、虎党のハートをつかんでいる理由だ。 矢野監督は「サンズ、すごかったね。あれは本当に何打点も...2打点ぐらいの価値が十分にあった」と絶賛。もちろん守りだけでない。バットでも存在感を示した。 一回先頭の近本が左前打で出塁し、リーグトップに並ぶ17個目の盗塁に成功。糸原の二ゴロで三進した直後、ヤクルトの先発・高梨の高めのフォークを捉えた。打球はバックスクリーン左へ。2試合ぶりとなる先制15号2ラン。勝利には結びつかなかったが、2失点を防いだ守備も含めて、実質〝4打点〟の働きだ。 「(打撃の)調子は悪くないよ。でも、シーズンは長い。上がり下がりはある。その波はなくしていきたい」 2位・巨人とは再び1・5ゲーム差となったが、攻守でチームを鼓舞する助っ人がいる。心配無用だ。(三木建次)

◆大台到達! 阪神はヤクルトに4―6で逆転負け。しかし、四回にドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が一時同点となる2ランを放った。これで20号となり、新人左打者としては1946年の大下弘(セネタース)に並び歴代1位となった。球団新人1位の田淵幸一(1969年、22本)までも、あと2本。次は勝利に直結するアーチを頼むぞ~! 星より輝く白球が神宮を彩る。立ちはだかっていた「20」の壁を乗り越えて、佐藤輝がまた伝説を作った。逆転負けの悔しさはもちろんある。ただ、黄金ルーキーの放ったメモリアルアーチは、七夕の短冊に悲願を込めた虎党の希望だった。 「しっかり自分の打席に集中していました。もっともっと上を目指して頑張っていきます」 2-4の四回無死一塁。高梨の127キロフォークを左手一本で押し込んだ。打った瞬間、確信するライナー性の当たりは右翼席で弾んだ。6月23日の中日戦(バンテリンドーム)以来、12試合ぶりの一発だった。 「ようやく自分もメダルをつけることができてうれしい」 恒例となった「タイガースメダル」を首から下げ、久しぶりのZポーズで締めた同点2ラン。新人では史上17人目となる20号の大台に到達し、1946年に大下弘(セネタース)が作った新人左打者の最多本塁打記録に並んだ。チーム77試合目の到達は59年の桑田武(大洋)の60試合に次ぐ2番目のスピードだが、58年の長嶋茂雄(巨人)の89試合を抜いた。〝青バット〟で知られた大下は終戦直後の国民的ヒーロー。75年前の大先輩に、肩を並べた。歴史的な一発で球場をわかせたドラ1は、守備でも魅せる。七回先頭・青木の打球は頭上を越えてフェンスに当たった。素早く捕球するや、一塁ベースを回った青木に、右翼最深部からレーザービーム。「刺すつもりで投げたので、よかったです」と二塁カバーに入った中野へストライク送球でタッチアウト。好守で勝利への執念をにじませたからこそ、メモリアルアーチの喜びよりも、試合後は勝機を逸した後悔が口をついた。「いやもう、うーん。きょうもあと一本、(自分が)打てたら、勝てた試合なのに」4-4で迎えた五回2死満塁の第3打席。カウント2-2から星が投じた高め149キロ直球に、バットは空を切った。絶対に打たなくてはいけない場面だった。矢野監督も「新人で20本打つのはすごいこと」とたたえながら「相手もこうやって攻めてくるというのがあるなかで、バットに当たらない三振が増えている部分がある。ここを何とか乗り越えてほしい」とさらなる成長を願った。勝った2位巨人とは再び1・5差と苦しい状況は続く。前半戦最後の山場を迎えた9連戦。20号の壁を登った佐藤輝は、この三振を糧に、またひとつ強くなる。「そこ(三振)は自分の反省点として、あす以降やっていきたいです」69年に田淵幸一が記録した球団新人記録の22本塁打も視野に入れた。次は空砲にしない。再び伝説を作る一発は、勝利のアーチとしてみせる。(原田遼太郎)

◆七夕の夜、短冊に『阪神V』、『打倒巨人』の願いを記そうかと思ったけど...。「ウワ~! いくら祈っても、わが阪神には雨やぎさんこと青柳さんがいたんだ~! 星が出ない雨雲の空じゃ願いもかなわないよな~」と試合前からテンション低かった俺なのだ。 そしたら、ソフトバンクからトレードで入った二保が一回にいきなり4失点で逆転って...。俺「クーリングオフ! トレード白紙!!」と叫んだけど、その後五回まで落ち着いた投球をしてくれたので、次回登板に期待することにしまーす!! クリーンアップのサンズと佐藤輝に2ランが出たらプロ野球って大体勝つのとちゃう~!! しかも五回にはサンズのファインプレーが飛び出したのに、中野のエラーが出たり...。チームカラーが『雑』じゃ勝てんぜ、矢野さ~ん!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
45293 0.608
(↓0.008)
-
(-)
66323
(+4)
274
(+6)
76
(+2)
67
(+1)
0.255
(-)
3.270
(↓0.05)
2
(-)
巨人
412810 0.594
(↑0.006)
1.5
(↑1)
64334
(+3)
274
(+1)
104
(+2)
48
(-)
0.253
(↓0.002)
3.330
(↑0.03)
3
(-)
ヤクルト
39309 0.565
(↑0.006)
3.5
(↑1)
65332
(+6)
308
(+4)
77
(+1)
48
(-)
0.254
(-)
3.760
(↓0.01)
4
(-)
中日
293911 0.426
(↓0.007)
13
(-)
64229
(+1)
269
(+3)
44
(+1)
39
(-)
0.238
(-)
3.290
(-)
5
(-)
DeNA
294010 0.420
(-)
13.5
(↑0.5)
64318
(+3)
375
(+3)
80
(+2)
16
(+1)
0.260
(-)
4.590
(↑0.02)
6
(-)
広島
254110 0.379
(-)
16
(↑0.5)
67269
(+3)
337
(+3)
52
(+2)
36
(+1)
0.258
(-)
4.010
(↑0.02)