広島(★0対5☆)阪神 =リーグ戦9回戦(2021.07.03)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:伊藤 将司(5勝4敗0S)
敗戦投手:大道 温貴(3勝2敗0S)

本塁打
【阪神】マルティネス(14号・7回表ソロ)

  DAZN
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◆阪神は3回表、マルテの内野ゴロの間に1点を先制する。そのまま迎えた7回にはマルテのソロが飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・伊藤将が7回無失点の好投。その後は齋藤、及川の完封リレーで逃げ切り、伊藤将は今季5勝目を挙げた。敗れた広島は、打線が4安打無得点と沈黙した。

◆スタメンが発表され、阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が「5番右翼」で2試合ぶりに先発出場する。 4月4日中日戦(京セラドーム大阪)以来プロ2度目の代打出場となった前日2日は、左腕フランスアに遊ゴロに仕留められた。9試合ぶりのアーチで連敗中のチームを救えるか。 また、同6位の中野拓夢内野手(25)も「7番遊撃」で2試合ぶりにスタメン復帰。ジェリー・サンズ外野手(33)は2日続けてスタメンから外れ、メル・ロハス・ジュニア外野手(31)が2日続けて「3番左翼」に入った。

◆広島が紫の戦闘服を身にまとった。 スポーツを通じて広島を盛り上げることを目的に、初の試みとしてJ1サンフレッチェ広島との互いのチームカラーを使用した共同記念ユニホームを制作した。それぞれ3日の公式戦限定で、コラボユニホームを着用。J1広島は、同日午後7時からエディオンスタジアム広島で行われる鳥栖戦で、赤色のユニホームを着て試合に臨む。

◆阪神ドラフト6位の中野拓夢内野手(25)が好判断で同点を防いだ。 1点リードの5回裏無死一、三塁。前進守備を敷いた状況で7番野間の二塁ベース付近へのゴロをさばくと、三塁走者坂倉を目でけん制しながら二塁ベースを踏んだ。さらに坂倉がホームに走りだした動きに反応して、ホーム送球でタッチアウトをもぎ取った。 無死一、三塁を一気に2死一塁として、この回無失点に導いた。 さらに6回表無死一塁では左前打。自身25打席ぶりの安打を決めた。

◆阪神の新4番ジェフリー・マルテ内野手(30)が弾丸ライナーの1発で「金メダル」を贈呈された。1点リードの7回1死、3ボールから右腕コルニエルの高め153キロをフルスイング。「大事な1点が欲しい場面だったので、良いカウント、甘い球が来たら強くたたこうと思っていた」。左翼席に中押しの14号ソロを突き刺した。 最近の好調ぶりも買われ、前日2日から約1年ぶりの4番を任されている。3回1死満塁では、遊ゴロ併殺崩れの間に先制点をゲット。4点リードの8回にもバードから右前適時打を放ってダメ押しした。「打順は関係ないし、いつでもしっかりプレーできる準備をしてるだけ」。2安打3打点で完勝に貢献し、自然と笑みがこぼれた。 この日は1発の直後、うれしい"贈呈式"もあった。三塁ベンチに戻ると、坂本からお手製の虎ロゴ入り金メダルをかけられ、本塁打パフォーマンスの「ラパンパラ」を決めた。大リーグのパドレスが、本塁打の際に催している儀式が虎でも初めてお披露目。「最高だよ。ああいうモノでチームが勢いづくというか、みんなで1つになれる」と会心だ。低調だった打線に点火し、4試合ぶり2桁の14安打による白星を演出。満足げにマツダスタジアムを後にした。【佐井陽介】

◆「5番右翼」で2試合ぶりにスタメン出場した阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、今季5度目の猛打賞を記録した。 まずは2回の第1打席。同じくルーキーの広島大道の縦の変化球を捉え、右翼線へ運ぶ二塁打とした。6月29日ヤクルト戦以来4試合ぶりの安打となった。 7回には3番手コルニエルから中前打。8回には右前打を放った。 前日2日は、4月4日中日戦(京セラドーム大阪)以来、プロ2度目のスタメン落ち。同戦以来の代打出場となった9回も、左腕フランスアに遊ゴロに仕留められた。悔しさを胸に、スタメン復帰戦で存在感を示した。

◆阪神矢野燿大監督(52)が珍しくマウンドに向かった。 力投を続ける先発伊藤将司投手(25)が最大のピンチを迎えた7回2死満塁。指揮官は迷いなくベンチから小走りでマウンドへ走りだした。マウンドでひと言、ふたことアドバイス。ルーキー左腕はその期待に応えるように、代打松山を二ゴロに打ち取り、ピンチを脱出した。ベンチの指揮官もガッツポーズを繰り出した。 伊藤は7回4安打無失点と好投し、5勝目の権利を持ってマウンドを降りた。

◆先発は広島大道、阪神伊藤将。阪神は3回、1死満塁からマルテの内野ゴロの間に1点を先制。広島は3回まで無安打無得点。 阪神は6回に1死満塁の好機をつくるも、追加点を奪えず。広島は伊藤将を攻略できず6回まで無得点。大道は5回1失点で降板。 阪神は7回にマルテの14号ソロ、8回にも3点を追加。5-0のゼロ封勝ちで首位をキープした。伊藤将が5勝目。大道が2敗目。

◆広島が、赤紫色の戦闘服を身にまとった。スポーツを通じて広島を盛り上げることを目的に、初の試みとしてJ1サンフレッチェ広島との互いのチームカラーを使用した共同記念ユニホームを制作した。それぞれ3日の公式戦限定で、コラボユニホームを着用。 J1広島は、同日午後7時からエディオンスタジアム広島で行われる鳥栖戦で、赤色のユニホームを着て試合に臨む。

◆阪神は5-0のゼロ封勝ちで首位をキープした。矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。 -伊藤将が大きな働き 矢野監督 なかなかこっちにチャンスがありながら点を取れない状況で、それも(リードが)1点やったからね。なかなかずっと苦しい投球になっていたけど、本当に粘りに粘ってくれた。マサシ(伊藤将)とリュウ(梅野)と。2人でしっかり粘ってくれたのが1番大きな勝因だね。 -6回表1死二、三塁で伊藤将を打席に立たせた。チーム事情も踏まえた 矢野監督 もちろん、こっちもいろんなことを考えているんやけど。マサシ(伊藤将)に任せようっていう...。 -7回は就任以来初めて自らマウンドに。気持ちの部分か 矢野監督 それしかないし。俺の中で、交流戦の時の(西)勇輝からサダ(岩貞)にスイッチしたところでも、後から思えば「あそこで俺、マウンドに行けば良かったな」という自分なりの反省があって。俺がマウンドに行って何ができるわけでもないけど、応援することしかできないけど、今日もマサシに何とかもう1人頑張ってほしいところやったから。行って、結果が今日みたいに抑えてくれて最高の形になったけど、打たれることがあっても、お互い「よし、もう1回頑張ろう」という気持ちだけを作りに行くというのも大事というか。それぐらいしか俺はできないけど。そのために行った。 -5回は遊撃中野にビッグプレー 矢野監督 あ~あれはデカかったな。聞いたら、あいつは(三走)坂倉が動けてないのが見えていたって言うから、それは大したもんやと思う。ベースを踏んで、ホームに行っているのが見えたって言うから。ああいうプレーっていうのは野球センスというか視野の広さっていうか。そういうのがないとなかなかできないプレー。普通にファースト(送球)って決まり事のように行ってしまっていたら1点が入っていたからね。あれは本当に素晴らしい超ファインプレーやと思う。 -あまり見ないプレー 矢野監督 そうやね。だから準備もあったと思うんやけど。そういうところもあるんやなっていうのを見せてくれたプレーやったね。 -中野は久々の安打も出た 矢野監督 うん、その技術的っていうよりは疲れとかそういうところでちょっとバットが振れなくなるし、体重も落ちていると思うし、そういうところで出ていないけど。ヒットが出るのが1番の薬になるんで。そういうところでは守備でもいいプレーをしたし、ヒットも出たんでね。何でもいいんで、きっかけにしてくれたら嫌な打線になると思うんで。 -佐藤輝も3安打 矢野監督 まあ昨日ね、スタメンを外すことでバッティング練習で試すことができて、最後は本人的にもこういうので行くという話をしていたので。バッティング練習もこの2日間、内容もいいし。そういうところでは昨日そういうきっかけみたいなものがあった感じはあった。それがすぐに結果に出たというのは、本人も迷いなくこうやって打っていこうという気持ちに変われる。そういう3本になったかなと思う。 -スタメン落ちのサンズは休養もあっただろうが 矢野監督 ジェリー(サンズ)もね、もちろんスタメンから外して悔しさもあったと思う。バットでぶつけてくれるというのは本当にチームとして1番歓迎するところ。ベンチでも声を出したり、チームメートにアドバイスを送ったりしてくれる。試合に出ている時もそうだけど、出ていない時もそうやってやってくれているし、今日も1本出たんでね。ジェリーにとっても、外国人選手の競争というところでも大きな1本だったと思います。 -シーズン通して戦う上で、坂本がメダル作ったり一体感がある 矢野監督 本当に俺、今のチームがすごく好きで。出ているヤツはもちろんやし、出ていない時の選手が何かベンチでもすごく声を出しているし、コーチもめちゃくちゃ声を出してくれるし。俺の大好きなチームになってきていて、誠志郎(坂本)とかジョー(北條)とかもそうやけど、出ないヤツも何かチームにできることあるんちゃうかというのを考えてやってくれるのは本当にこう、目指すチームというか、そういう風になってきているんでね。それぞれ役割は違うし、試合に出たい気持ちもありながら、そういう風にやってくれるのは、チームを預かる立場としては助かる。本当にいいチームになってきている。

◆2番阪神糸原健斗内野手(28)がしぶとく追加点をたたき出した。 3点リードの8回1死三塁、左腕バードの外角低めスライダーを右前に運んだ。「梅野さんが出てくれて、途中から行ったジェリー(サンズ)がタイムリーを打ってくれて、近本が進塁打を打ってくれた。なんとか事を起こそうと思って打った結果がタイムリーになってよかった」。3回にも右前打を放って先制点を呼び込むなど、猛打賞で完勝に貢献した。

◆20歳の阪神及川雅貴投手が9回を締めた。 5点リードの状態で登板し、5番坂倉からの3人に完全投球。「今日は結構変化球が主体だったんですけど、それでもいつも通りストライク先行で投げられたのが一番の収穫かな」と手応えを明かした。だが「最後のライトフライは甘くなってしまった」と慢心はなかった。6月26日のDeNA戦で桑原に逆転2ランを浴びたことを引き合いに「本塁打を打たれて敗戦投手になっている現実もある。しっかり反省していきたい」と力を込めた。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(33)が久々の快音で復調をアピールした。 4番を務めていたが、2戦連続のスタメン落ち。2点リードの8回無死二塁で代打登場し、左腕バードから左中間フェンス直撃の適時二塁打を決めた。3番ロハスが無安打に終わった一戦で、11打席ぶりの安打を記録。矢野監督は「悔しさもあったと思う。バットでぶつけてくれるというのはチームとして1番歓迎するところ。外国人選手の競争というところでも大きな1本だった」とほめたたえた。

◆矢野監督は迷いなくベンチを飛び出した。2点リードで迎えた7回。先発伊藤将が8番石原に四球を与え、2死満塁となった場面だ。指揮官は小走りにマウンドに向かった。引退試合などでマウンドに行くことはあっても、ピンチの場面は就任3年目で初めてだった。まさに異例中の異例。そして、指揮官は少し驚いた表情のルーキー左腕を、ひと言で奮い立たせた。 「お前に任せたぞ!」 そのゲキに応えるように、伊藤将は代打松山を変化球で二ゴロに打ち取り、ピンチを脱出。グラブをたたいて喜ぶマウンドの伊藤将に、ベンチの矢野監督は何度も「矢野ガッツ」を繰り出した。勝敗を分けた大きな分岐点になった。阪神が負け、巨人が勝てば首位から陥落していた正念場の戦い。指揮官の闘魂注入が、連敗ストップを演出した。 「俺がマウンドに行って何ができるわけでもないけど、応援することしかできへんけど、今日も将司に何とかもう1人頑張ってほしいところやったから。今日みたいに抑えてくれて、最高の形になったけど、打たれることがあってもお互い『ヨシ、もう1回頑張ろう』という気持ちだけを作りにいくというのも大事。それぐらいしか俺はできないけど、そのために行った」 苦い教訓があった。6月8日の日本ハム戦(札幌ドーム)。1点リードの6回2死一、三塁の場面で、先発西勇から岩貞にスイッチ。その岩貞がいきなり適時打を浴び、同点に追いつかれた。「あそこで俺、マウンドに行けばよかったなという自分なりの反省があって」。巨人とのデッドヒートの様相を呈してきたペナントレースに、もう寸分の悔いは残したくない。迷ったら前へ。矢野監督は動き、ハートを打たれた伊藤将も最高の結果で応えた。 指揮官の気迫は、野手にも伝わった。直後の8回にはサンズ、糸原、マルテの3タイムリーを含む5本の長短打が飛び出して3得点。低調だった打線が4試合ぶり2桁の14安打で5得点を奪い、投打のかみ合った勝利になった。ナイターで2位巨人が勝ったため、1・5ゲーム差はそのまま。4日に阪神負け、巨人が勝てば首位から陥落する危機は変わらない。だが、指揮官異例の行動が、チームを再び1つにしたことは間違いない。一丸で森下撃ちに挑む。【桝井聡】

◆サンフレッチェさんごめんなさい...。 広島が特別仕様の試合で、阪神に完敗を喫した。 J1広島との共同企画で、互いのチームカラーを使用した赤紫色の記念ユニホームを着用して臨んだゲーム。だが投打ともに振るわず、チームは両リーグ最速の40敗に到達。今季8度目のゼロ封負けとなり、前半戦で早くも7度だった昨季を越えてしまった。観客席の一部を赤紫色に染めたマツダスタジアムが、ため息に包まれた。阪神の伊藤将、斎藤、及川の若虎投手リレーに翻弄(ほんろう)され、1度も本塁を陥れずことができず、今季8度目のゼロ封負け。早くも昨季の7度を越えた。佐々岡真司監督(53)は「こういう企画で広島の街を(盛り上げる)というところで、なかなかいい戦いができず申し訳ない」と肩を落とした。 特別仕様の試合だった。球団初の試みとして、スポーツを通じて広島を盛り上げる目的で、J1のサンフレッチェ広島と互いのチームカラーを使用した共同記念ユニホームを制作。カープはJ1広島の紫色に赤色を混ぜ合わせた赤紫色を基調とした帽子とユニホームを着用し、試合に臨んだ。この日限りの催しだったが、勝利という形で花を添えることができなかった。 絶好の得点機を逃した。1点を追う5回、無死一、三塁のチャンス。打席の野間が投手真横を抜ける二遊間へのゴロを放つと、捕球した遊撃の中野が二塁を踏み、一塁走者をアウトに。ライナー性の打球で判断が遅れた三塁走者の坂倉が本塁に突入するも、中野が本塁へすかさず送球し、タッチアウトに終わった。 河田ヘッドコーチは坂倉の走塁について「一、三塁で、内野手があそこ(定位置より)で守っているから、絶対にゴロGO」と説明。「あの体勢から振り返って本塁へ投げた相手の野手を褒めるべきなのか、もうちょっと何とかなったんじゃないかというのもある。走塁も見直さないといけない」と険しい表情だった。 投手では中継ぎ陣が踏ん張れなかった。1点ビハインドで7回に登板したコルニエルが、1死からマルテに左越えソロを被弾。8回はバードが長短打5本を浴びるなど、3失点。勝ちパターンの2人が役割を果たせなかった。佐々岡監督は「コルニエル、バード、フランスアで終盤をということを考えていますけど、バードは修正をしなくてはいけない」と指摘した。 最下位に甘んじているチームは、両リーグ最速の40敗に到達。指揮官は「明日また切り替えてやるしかない」と懸命に前を向いた。雨にさらされた赤紫色の限定ユニホームは、むなしく見納めとなった。【古財稜明】

◆阪神遊撃の中野拓夢内野手(25)が、神業のスーパープレーで同点の危機を救った。 1点リードの5回無死一、三塁。二遊間は走路付近に構える中間守備を敷いていた。7番野間の二塁ベース付近へのゴロをさばくと、三塁走者坂倉を目でけん制しながら二塁ベースを踏んでまず1アウト。流れ的に6-4-3の併殺が定石で、同点はやむなしかと思われた。だがその野性的本能は瞬時に、周囲を驚かせるビッグプレーを呼んだ。なんと振り向きざまに腕を振り、ホームへストライク送球。間一髪のタッチアウトももぎ取る"変則ゲッツー"に仕留めたのだ。 「打った瞬間に三塁走者が動いていなくて。自分がベースに向かった瞬間に動いたのが見えた。あそこは迷いなく投げました」 事前の準備が生きた。直前に林に左前打で出塁されると、野手陣がマウンドに集まった。そこで「三塁走者をかえさない」と最優先事項を確認した。 「まずは三塁走者をアウトにするということ。打球に応じて対応できたのは良かった」 頭でしっかりと作戦を理解し、瞬時に実践。優れた"野球脳"で難易度の高い芸当をやってのけた。無死一、三塁を一気に2死一塁とし、この回無失点に導いた。このプレーがなければ同点は免れず、試合はどうなっていたかわからない。まさに陰のMVPだ。 矢野監督も「あれデカかった」とうなった。「野球センスというか視野の広さっていうか。普通にファーストって決まり事のようにいってしまっていたら、1点入っていたから。本当に素晴らしい超ファインプレーやと思う」と最敬礼だ。 6回表無死一塁では、左前打で自身25打席ぶりの安打を決めた。前日2日にはスタメン落ちを経験し、指揮官や井上ヘッドコーチらに「こういう時期は来るから我慢。どう乗り越えるか考えてやっていけ」とアドバイスを受けていた。ようやく出た1本に「これからにつながる。これをきっかけに、いい準備をしながらやっていきたい」。流れはつかんだ。再び上昇気流に乗っていく。【中野椋】

◆広島の先発大道温貴投手(22)が5回6安打1失点と力投したが、打線の援護なく2敗目を喫した。初回は3者凡退と好発進。だが3回は連打と四球で1死満塁のピンチを招き、マルテの内野ゴロの間に1点を失った。 阪神伊藤将とのルーキー対決に敗れた右腕は「ピンチを4回連続で招けば、結果1失点でも攻撃のリズムは生まれない。毎試合悪い時でも粘れるように、準備をしていきたい」と唇をかんだ。

◆阪神伊藤将司投手(25)が7回4安打無失点で、阪神新人では14年岩崎以来の5勝目を手にした。 雨が降る中でも制球を乱さず「低めに集めることは常日頃やってきた」と自信を持って腕を振り、チームの連敗を2で止めた。 最大のピンチは7回裏2死満塁。直前にストレートの四球を出し、マウンドに来た矢野燿大監督(52)から「お前に任せたぞ!」とゲキを受けた。「一言をいただいて引き締まった。ピンチの場面で自分の投球ができた」。松山に対し2ボールから低めの133キロを打たせ二ゴロに打ち取ると、バシッとグラブをたたいた。 4回まで無安打投球で、5回は初めてヒットを許して無死一、三塁のピンチを招いたが、遊撃中野の好守に救われた。防御率は2・23でランキングの"隠れ2位"に浮上。次戦の10日巨人戦(甲子園)に予定通り中6日で回れば、7回1/3で規定投球回に到達する。「やっとチームに貢献できた。どんどん波に乗って勝っていきたい」と力を込めた。

◆2試合ぶりに「5番右翼」でスタメン出場した阪神佐藤輝明内野手(22)が、プロ5度目の猛打賞で復調モードだ。 2回の第1打席で大道から右翼線二塁打を放つと、7、8回は単打で出塁。「いくつか細かい部分はありますけど、一番は構え」と修正ポイントを挙げ「しっかり自分の打撃を見つめ直して、今日はそれがうまくいきました」と納得顔だ。前日2日は4月4日中日戦(京セラドーム大阪)以来の代打出場となったが、悔しさを晴らす3安打。新人同期の伊藤将、中野に負けない存在感を見せた。ノーアーチは9試合に伸びたが、新人左打者最多タイの20号もいよいよか。

◆阪神が勝ち切った。ナイターで巨人が勝ったため、負けていれば開幕以来守り続けてきた首位から陥落していた正念場。14安打5得点で連敗をストップした。 ▼阪神は4日も首位陥落の可能性がある。阪神●なら44勝28敗3分けで勝率6割1分1厘1毛。巨人○なら41勝26敗10分けで6割1分1厘9毛となり、阪神を上回るため。貯金は阪神16に対し巨人15と阪神の方が多く、巨人は阪神に「マイナス0・5差」の首位となる。

◆虎の将がゲキって勝った。阪神矢野燿大監督(52)が就任3年目で初めて、ピンチの場面でマウンドに向かった。2点リードの7回2死満塁で先発伊藤将司投手(25)に駆け寄り、「お前に任せたぞ!」と闘魂を注入。伊藤は代打松山を二ゴロに斬り、ヤマ場をしのいだ阪神が勝ち切った。ナイターで巨人が勝ったため、負けていれば首位から陥落していた正念場。指揮官の気迫が低調打線にも乗り移り、14安打5得点で目覚めの連敗ストップだ。 矢野監督は迷いなくベンチを飛び出した。2点リードで迎えた7回。先発伊藤将が8番石原に四球を与え、2死満塁となった場面だ。指揮官は小走りにマウンドに向かった。引退試合などでマウンドに行くことはあっても、ピンチの場面は就任3年目で初めてだった。まさに異例中の異例。そして、指揮官は少し驚いた表情のルーキー左腕を、ひと言で奮い立たせた。 「お前に任せたぞ!」 そのゲキに応えるように、伊藤将は代打松山を変化球で二ゴロに打ち取り、ピンチを脱出。グラブをたたいて喜ぶマウンドの伊藤将に、ベンチの矢野監督は何度も「矢野ガッツ」を繰り出した。勝敗を分けた大きな分岐点になった。阪神が負け、巨人が勝てば首位から陥落していた正念場の戦い。指揮官の闘魂注入が、連敗ストップを演出した。 「俺がマウンドに行って何ができるわけでもないけど、応援することしかできへんけど、今日も将司に何とかもう1人頑張ってほしいところやったから。今日みたいに抑えてくれて、最高の形になったけど、打たれることがあってもお互い『ヨシ、もう1回頑張ろう』という気持ちだけを作りにいくというのも大事。それぐらいしか俺はできないけど、そのために行った」 苦い教訓があった。6月8日の日本ハム戦(札幌ドーム)。1点リードの6回2死一、三塁の場面で、先発西勇から岩貞にスイッチ。その岩貞がいきなり適時打を浴び、同点に追いつかれた。「あそこで俺、マウンドに行けばよかったなという自分なりの反省があって」。巨人とのデッドヒートの様相を呈してきたペナントレースに、もう寸分の悔いは残したくない。迷ったら前へ。矢野監督は動き、ハートを打たれた伊藤将も最高の結果で応えた。 指揮官の気迫は、野手にも伝わった。直後の8回にはサンズ、糸原、マルテの3タイムリーを含む5本の長短打が飛び出して3得点。低調だった打線が4試合ぶり2桁の14安打で5得点を奪い、投打のかみ合った勝利になった。ナイターで2位巨人が勝ったため、1・5ゲーム差はそのまま。4日に阪神負け、巨人が勝てば首位から陥落する危機は変わらない。だが、指揮官異例の行動が、チームを再び1つにしたことは間違いない。一丸で森下撃ちに挑む。【桝井聡】

◆阪神先発伊藤将司投手(25)が7回4安打無失点で、阪神新人では14年岩崎以来の5勝目を手にした。雨が降る中でも制球を乱さず「低めに集めることは常日頃やってきた」と自信を持って腕を振り、チームの連敗を2で止めた。 最大のピンチは7回裏2死満塁。直前にストレートの四球を出し、マウンドに来た矢野監督から「お前に任せたぞ!」とゲキを受けた。「一言をいただいて引き締まった。ピンチの場面で自分の投球ができた」。松山に対し2ボールから低めの133キロを打たせ二ゴロに打ち取ると、バシッとグラブをたたいた。 4回まで無安打投球で、5回は初めてヒットを許して無死一、三塁のピンチを招いたが、遊撃中野の好守に救われた。防御率は2・23でランキングの"隠れ2位"に浮上。次戦の10日巨人戦(甲子園)に予定通り中6日で回れば、7回1/3で規定投球回に到達する。「やっとチームに貢献できた。どんどん波に乗って勝っていきたい」と力を込めた。 ◆伊藤将の規定投球回到達 中6日のローテーションを守るとすると、次回登板は10日巨人戦。それまで中止がないと仮定すると、その試合はチーム80試合目。阪神投手の規定投球回は80イニングとなっている。伊藤将の通算投球回数は現在72イニング2/3であるため、次回登板で7イニング1/3以上を投げれば規定投球回を満たす。

◆阪神遊撃の中野拓夢内野手(25)が、神業のスーパープレーで同点の危機を救った。1点リードの5回無死一、三塁。二遊間は走路付近に構える中間守備を敷いていた。7番野間の二塁ベース付近へのゴロをさばくと、三塁走者坂倉を目でけん制しながら二塁ベースを踏んでまず1アウト。流れ的に6-4-3の併殺が定石で、同点はやむなしかと思われた。だがその野性的本能は瞬時に、周囲を驚かせるビッグプレーを呼んだ。なんと振り向きざまに腕を振り、ホームへストライク送球。間一髪のタッチアウトももぎ取る"変則ゲッツー"に仕留めたのだ。 「打った瞬間に三塁走者が動いていなくて。自分がベースに向かった瞬間に動いたのが見えた。あそこは迷いなく投げました」 事前の準備が生きた。直前に林に左前打で出塁されると、野手陣がマウンドに集まった。そこで「三塁走者をかえさない」と最優先事項を確認した。 「まずは三塁走者をアウトにするということ。打球に応じて対応できたのは良かった」 頭でしっかりと作戦を理解し、瞬時に実践。優れた"野球脳"で難易度の高い芸当をやってのけた。無死一、三塁を一気に2死一塁とし、この回無失点に導いた。このプレーがなければ同点は免れず、試合はどうなっていたかわからない。まさに陰のMVPだ。 矢野監督も「あれデカかった」とうなった。「野球センスというか視野の広さっていうか。普通にファーストって決まり事のようにいってしまっていたら、1点入っていたから。本当に素晴らしい超ファインプレーやと思う」と最敬礼だ。 6回表無死一塁では、左前打で自身25打席ぶりの安打を決めた。前日2日にはスタメン落ちを経験し、指揮官や井上ヘッドコーチらに「こういう時期は来るから我慢。どう乗り越えるか考えてやっていけ」とアドバイスを受けていた。ようやく出た1本に「これからにつながる。これをきっかけに、いい準備をしながらやっていきたい」。流れはつかんだ。再び上昇気流に乗っていく。【中野椋】

◆前日2日にスタメンから外れていた阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が「5番・右翼」、同6位・中野拓夢内野手(25)=三菱自動車岡崎=は「7番・遊撃」でスタメン復帰する。佐藤輝は、2日に4月4日の中日戦(京セラ)以来、64試合ぶりにスタメン落ち。九回の先頭でプロ2度目の代打で出場し、遊ゴロに凡退していた。 D2位・伊藤将(JR東日本)はプロ初登板となった3月31日(マツダ、5回2失点)以来、今季2度目の広島戦での先発。6月12日の楽天戦(楽天生命パーク)以来、自身3試合ぶりの白星を目指す。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(30)が1―0の七回に14号ソロを放ち、追加点を挙げた。 「(先発の)伊藤(将)がいい投球を続けてくれているし、追加点が欲しかったところでホームランという最高の結果になったね。タイガースネックレスも掛けてもらえて気分も最高だよ」 好機を作りながらも1得点と攻めあぐねていたが、2試合連続で4番に座った助っ人が貴重な一撃をお見舞いした。 1死走者なしで打席に立つと、3番手のコルニエルの4球目、外角の153キロを強振。ライナー性の打球は左翼席に着弾し、1点を追加した。 ベンチに帰ると、坂本の発案で用意されたタイガース仕様のメダルを首にかけてもらい、笑顔を見せた。 直後にはスタメンに復帰したD1位・佐藤輝(近大)がこの日2本目となる中前打で出塁。得点にはつながらなかったが、6月24日の中日戦(バンテリンドーム)以来、8試合ぶりのマルチ安打でチームを勢いづけた。

◆阪神のドラフト2位・伊藤将司投手(25)=JR東日本=は7回4安打無失点と好投した。 四回まで無安打投球を披露し、迎えた1―0の五回にピンチを招いた。先頭の坂倉から連打で無死一、三塁とされたが、野間の遊ゴロで遊撃のD6位・中野が二塁ベースを踏み、すぐさま本塁へ返球し、併殺を完成。味方の好守に助けられて失点を免れた。その後も2死一、三塁とされながらも無失点でしのいだ。 1点を追加してもらった直後の七回には、安打と四球などで2死満塁の危機を背負ったが、代打・松山を二ゴロに仕留めた。 八回の攻撃で代打が送られ、5勝目の権利を保持して降板した。

◆2試合連続でベンチスタートとなった阪神のジェリー・サンズ外野手(33)が2―0の八回無死二塁で代打で出場し、リードを広げるタイムリーを放った。 「(伊藤)将司が粘りの投球を続けてくれていたし、(梅野)リュウが先頭で良い仕事をしてくれたから、とにかくランナーをかえしたかったよ。自分の仕事ができてよかったね」 先頭の梅野が左翼線二塁打で出塁すると、投手・伊藤将の代打で打席へ。4番手・バードの外角高めの直球を左中間へはじき返して3点差とした。 その後も糸原、4番のマルテにも適時打が飛び出し、この回一挙3得点を挙げた。

◆阪神は投手陣が奮闘し、広島相手に完封リレーで連敗を「2」で止めた。 先発のD2位・伊藤将(JR東日本)は四回まで無安打投球。2―0の七回に2死満塁のピンチを招いたが、ゼロでしのいで7回無失点の好投で今季5勝目を挙げた。 打線は1―0の七回に4番・マルテの14号ソロで追加点を挙げると、八回には2試合連続でベンチスタートとなったサンズが代打で適時打を放つなど勢いづき3得点。終盤に相手を引き離した。 ヒーローインタビューを受けスタンドに手を振る阪神・伊藤将司=マツダスタジアム(撮影・門井聡) 前日2日に連敗し、2位・巨人とは1・5ゲーム差に。この日の試合で敗れ、巨人が勝利すれば勝率の差で首位陥落の可能性があったが、阪神が意地の勝利で首位を堅持した。

◆阪神はD2位・伊藤将司投手(25)=JR東日本=が7回無失点の好投で5勝目を挙げた。ジェフリー・マルテ内野手(30)が3打点の活躍を見せ、連敗を止め、首位を死守した。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーー伊藤将が大きい働きをした 「チャンスがありながら点をとれない状況で、それも1点やったからね。ずっと苦しい投球になっていたけど。粘りに粘ってくれたからね。あの後も点も入ったし。マサシとリュウと。2人でしっかり粘ってくれたのが一番大きな勝因だね」 ーー七回は就任後、初めてマウンドに...(2死満塁で代打・松山の場面でマウンドに向かい、伊藤将を激励。結果は二ゴロ) 「それしかないし。俺の中で、交流戦の時の勇輝からサダにスイッチしたところでも、後から思えば『あそこでマウンドに行けば良かったな』と反省があって(6月8日の日本ハム戦)。マウンドに行って何ができるわけでもないけど、応援することしかできへんけど、将司に、もう一人頑張ってほしいところやったから。抑えてくれて、最高の形になった」 ーー五回に中野がビッグプレー(無死一、三塁で遊ゴロを捕球し、二塁ベースを踏んで、本塁に送球。三走の生還を阻止) 「あれデカかったな。聞いたらあいつは(三走の)坂倉が動けてないのが見えてたって言うから大したもんやと思う。ベース踏んで、ホームに行ってるのが見えたって言うから。野球センスというか視野の広さっていうか。そういうのがないとなかなかできない。普通にファーストって決まり事のようにいってしまってたら1点が入っていたからね。超ファインプレーやと思う」 ーー久々に安打が出たことも(六回に25打席ぶりの安打) 「技術的っていうよりは疲れとか、バットが振れなくなるし、体重も落ちてると思うし、ヒットが一番の薬になる」 ーー佐藤輝も3安打 「昨日ね、スタメン外すことでバッティング練習で試すことができて、本人的にもこういうのでいくという話をしていたので。すぐに結果に出たのは本人も迷いなく、こうやって打っていこうという気持ちに変われる」 ーーサンズも休養もあっただろうが(八回に代打で適時打) 「スタメンから外してというのは悔しさもあったと思うし。バットでぶつけてくれるというのは一番、歓迎するところだし。ベンチでも声出したり、チームメートにアドバイス送ったりしてくれるんでね」 ーーシーズン通して戦う上で、坂本がメダル作ったり一体感を(七回にマルテが14号ソロを放った際に、ベンチ前で坂本発案のタイガース仕様のメダルを〝授与〟) 「本当に俺、今のチームすごく好きで、出ているやつはもちろんやし、出てない時の選手がベンチでも声出しているし、コーチも声出してくれるし。俺の大好きなチームになってきてて、出ないやつも、チームにできることあるんちゃうかと考えてやってくれるのは、目指すチームになってきているんでね」

◆阪神の中野が1―0の五回に同点を阻止する好守を見せた。無死一、三塁で野間の遊ゴロを捕球し、二塁を踏んで封殺。本塁に投げて三塁走者のタッチアウトにつなげた。「三塁走者が動いていない」と状況を確認して即座に判断。矢野監督を「野球センス、視野の広さがないと、なかなかできない。超ファインプレー」とうならせた。 最近は疲労からか打撃不振に陥り、先発を外れた前夜2日は出番もなかった。首脳陣に「こういう時期にどうするかが一番大事」と声を掛けられ、奮起。六回に25打席ぶりの安打を放ち「一本出たことでこれからにつながる」とほっとした表情を見せた。

◆広島打線はルーキー伊藤将にひねられ、今季8度目の零敗を喫した。佐々岡監督は「分かっていても、なかなか対応できず、腕を振られると崩されてしまう」とお手上げの様子だった。 初安打が出た五回に無死一、三塁と攻め立てたが、野間の遊ゴロで二塁封殺後、三塁走者が本塁タッチアウト。石原の安打で再び一、三塁としても、代打長野は二ゴロに倒れた。絶好機で同点を逃したとあって監督は「とにかく、あそこの1点は取らなければいけなかった」と肩を落とした。

◆広島は初の試みでJ1サンフレッチェ広島とコラボレーションした紫色のユニホームで臨んだが、今季8度目の零敗で40敗目を喫した。佐々岡監督の主な一問一答は以下の通り。 --J1サンフレッチェとコラボした紫色のユニホームでプレー 「なかなかいい戦いができず申し訳ない。明日また切り替えてやるしかないです」 --D3位・大道(八戸学院大)は5回1失点 「まあ5回1失点というなかで、コントロールが定まらないというところでも結果的に投げきったというのはよかったと思う」 --阪神のD2位・伊藤将(JR東日本)には7回無得点 「動くボールというかね、抜かれるボールに、わかっていてもなかなか対応できず、腕を振られると崩されてしまう」 --0─1の五回無死一、三塁で野間の遊ゴロを捕球した阪神のD6位・中野(三菱自動車岡崎)が二塁を踏み、本塁へ送球して三走・坂倉をアウトにした 「(坂倉は)当然、強いゴロであれば突っ込む。難しい打球だったのか...。とにかくあそこの1点は取らなければいけない」 --バード、D2位・森浦(天理大)の今後の起用方針は 「今いるメンバーでやっていかなくてはいけない。コルニエル、バード、フランスアで終盤をというところで考えていますけど、バードは修正をしなくてはいけない」

◆ビッグプレーで窮地を救った。スタメン復帰したD6位・中野(三菱自動車岡崎)が大仕事だ。 「打った瞬間に三塁走者が動いていなくて、自分がベースに向かったときに動いたのが見えたので『振り向きざまに投げないと間に合わない』と迷いなく投げました」 ■スタメン復帰いきなり! 1-0で迎えた五回無死一、三塁。野間が放った鋭いゴロが中堅方向を襲う。二塁ベース手前で捕球すると、ホームに背を向けて走った。まずは二塁を踏んで1死。次の瞬間、センスあふれるルーキーが魅せた。 背中に目がついているのか? 三走・坂倉の本塁突入を見逃さなかった。反転するとホームにストライク送球。タッチアウトでダブルプレーが成立だ。逆転すら覚悟したピンチを一瞬で摘み取ったプレーに、矢野監督も「あれ、デカかったな。野球センスとか、視野の広さとかがないと、なかなかできない、ホントに素晴らしい超ファインプレー」と絶賛した。 ■25打席ぶりヒットも出た 6月25日のDeNA戦(甲子園)から、ピタリと安打が出なくなった。打撃不振で、2日には4月29日から45試合守り続けてきたスタメンを外れた。矢野監督らから「この時期をどう乗り越えるかを考えろ」と助言された。壁を乗り越えるきっかけをくれたのが、一番の武器と自負してきた守りだった。攻撃のリズムは守備から生まれる。ビッグプレーの直後の六回無死一塁で左前打を放ち、自己ワーストを更新していた連続無安打を24打席でストップさせた。 「ヒットが一本出たことは、これからにつながると思う。これをきっかけに、いい準備をしながらやっていきたい」 不動の遊撃手として、虎を再び勢いに乗せる。(原田遼太郎)

◆降りしきる雨を切り裂く弾丸ライナーで、左翼席に突き刺した。追加点となる一発をお見舞いしたマルテは、ベンチで坂本から金色の〝タイガースメダル〟を首にかけてもらってニッコリ。みんなでラパンパラポーズも決めて、気分は最高だ。 七回、本塁打を放つ阪神・マルテ=マツダスタジアム(撮影・門井聡) ■七回、貴重な追加点 「1点がほしい大事な場面だったので、良いカウントで甘い球が来たら強くたたこうと思っていた。フェンスを越えてくれて良かった」 三回に自らの遊ゴロの間に1点を奪っただけ。再三、チャンスを作りながら追加点が取れない。重苦しい展開を、ひと振りで振り払った。七回1死、コルニエルの4球目、外角高めの153キロを一閃。6月30日のヤクルト戦(甲子園)以来、3試合ぶりとなる14号ソロでリードを広げた。さらに2点を追加した八回2死二塁にも、右翼へタイムリー。計3打点で連敗ストップに貢献だ。 ■坂本発案の〝メジャー流〟 得点圏打率・354(65打数23安打)と勝負強さの光る助っ人には、キラキラと輝く金色がよく似合う。七回に一発を放った後、ベンチで渡されたメダルは坂本の発案。本塁打を放った選手にメダルをプレゼントする、米大リーグ・パドレスではやりの祝福をマツダで受けた。M砲は「みんなでひとつになれるもののひとつ。引き続き良い流れに乗ってプレーしていきたい」と一体感を強調。矢野監督も「(試合に)出ないヤツも、何かチームにできることがあるんとちゃうかと、考えてやってくれる。本当に目指すチームになってきている」と坂本のアイデアに目を細めた。 ■4番は「関係ない」 開幕から72試合連続で3番で出場していたが、チーム全体の打撃不振もあって、2日から4番を託された。責任も増したが、やるべきことは変わらない。 「打順は関係ない。いつもでもしっかりプレーできる準備をしているだけなので、何番でもやることは変わりない。しっかり準備したい」 東京五輪によるシーズン中断期間まで、残り10試合。後半戦につながるような勝利を、積み上げていく。(織原祥平)

◆将の思いに応えた! 阪神は広島に5―0で勝ち、連敗を2で止めた。先発したD2位・伊藤将司投手(25)=JR東日本=が7回4安打無失点の力投で5勝目。2―0の七回2死満塁では、就任後初めて自らマウンドに出向いた矢野燿大監督(52)の「お前に任せた」との一言に発奮し、後続を断った。負ければ首位陥落の可能性があった一戦で、虎が地力を発揮した。 ■就任後、初めて自らマウンドへ 一言でよかった。将の思いを受け取った伊藤将は、気迫の投球で首位陥落の危機からチームを救った。チーム一丸で連敗は2でストップ。大ピンチで背中を押してくれた矢野監督に、左腕は感謝しきりだった。 「『思い切っていけ、お前に任せた』という一言をいただきました。本当にしっかり抑えてやろうという気持ちになりました。監督さんの一言をいただいて、そこで引き締まったので、期待に応えられてよかったです」 将から将へ。安打と四死球で塁が埋まった2-0の七回2死満塁。代打・松山を迎えるところで指揮官がベンチを出た。交代? いや、違う。マウンドへ向かった。2019年の1軍監督就任以来、初の行動。厚い信頼がこもった言葉をかけられて、燃えないはずがない。2ボールの後、外角低めへのカットボールで二ゴロに打ち取った。 ■「何とかもう一人」という場面 「俺がマウンドに行って、何ができるわけでもない。応援することしかできへんけど、将司(伊藤)に何とかもう一人、頑張ってほしいところやったから」 1日のヤクルト戦(甲子園)では、守護神スアレスが4失点。首位独走に貢献してきたリリーフ陣に、疲労の色が見え始めた。東京五輪開催による中断期間がまもなく訪れるとはいえ、それまでまだ10試合。9―11日には2位巨人との直接対決も控える。先発に少しでも長く投げてほしい。指揮官が自らマウンドに行くのは、どのチームでも勝負手。負ければ首位陥落の可能性があった一戦で、カードを切った。 ■反省を見事に生かした指揮官 将にとっては、後悔の念を断ち切るための一手でもあった。「交流戦の時の勇輝(西)からサダ(岩貞)にスイッチしたところも、後から思えばマウンドに行けばよかったなという、自分なりの反省があって」。6月8日の日本ハム戦(札幌ドーム)。六回途中、あと1人というところで西勇から岩貞に代えて同点に追いつかれた。結果的にこの試合は勝ったが、あそこでマウンドに行き、西勇に託していれば―。 「打たれることがあっても、お互い『もう1回頑張ろう』という気持ちだけを作りに行くのも大事というか。それぐらいしか俺にはできないけど。そのために行った」 信じている、頑張れ。短い言葉に込めた矢野監督の思いが、降りしきる雨の中で無失点に抑え続けていた伊藤将を再び奮い立たせたことは、想像に難くない。 この日、阪神が敗れ、巨人が勝てば4月3日以来の2位に転落していた。4日も状況は変わらないが、貯金は再び17、首位も堅持。伊藤将は「これからどんどん波に乗って一戦一戦勝っていきたい」。リーグ戦再開後、苦しい戦いが続いていたが、再び上昇気流に乗る執念の1勝とする。(新里公章)

◆黄金ルーキーが頼もしさを取り戻した。D1位・佐藤輝(近大)が復活の猛打賞だ。 「しっかり自分の打撃を見つめ直して、それがうまくいきました」 二回に右翼へ二塁打を放つと、七回は球界最速タイの165キロをマークしたコルニエルの直球を中堅へ。八回2死一塁では右前打。6月12日の楽天戦(楽天生命パーク)以来、今季5度目の猛打賞と快音を響かせた。 2日は64試合ぶりのベンチスタート。九回に代打で出場したが、遊ゴロだった。ただ、この休養が大きかった。フォームを微調整。矢野監督は「スタメンを外すことで練習で試すことができて、きっかけみたいなものはあった」と明かす。 佐藤輝も「構えを変えて、いいイメージでいけた。細かい部分はあるけど、一番はしっかり自分の形を作ることを意識しました」とうなずいた。もう心配はいらない。次は、完全復活を確信させるアーチを描く。

◆序盤から拙攻の連続だったが、伊藤将が粘って投げているうちに、打線がつながった。八回の連打は今後への光が見えるものだった。 好調梅野が出て、下位打線から上位にチャンスを広げるのが阪神打線本来の形。八回、代打でタイムリー二塁打を放ったサンズはタイミングがうまく取れていた。スタメンに戻れる状態。その場合、4番マルテはもとの3番にしてほしい。 ファームで好調だったロハスだが、1軍クラスの投手の配球や球の切れなどにまだ対応できていない。優勝しなければいけないのだから、新助っ人を試す時間はない。実績組を優先し、ロハスは当面代打としてベンチで待機し、後半戦に向けてサンズやマルテの打席内容を学んでいけばいい。 佐藤輝に快音が戻ったのも好材料。打線は底を脱したといえるだろう。あとは大山だけ。ボール球を振って三振ばかりしていたが、見極めて2つ四球を選んだ点に注目したい。打撃がどんな状態でも主将なのだから、ラインアップから外してはいけない。首脳陣は試合前の特打など数をこなす練習をさせて、早く状態を上げてほしい。(本紙専属評論家)

◆-胸つぶるるもの 競馬(くらべ馬)見る。元結(もとゆひ)よる。親などの心地あしとて、例えならぬけしきなる―と清少納言は「枕草子」に書いている。 早い話が、胸がドキドキして何をしていても血圧が上がり、高熱が出てとまるでコロナにやられた? みたいな気分に振り回されていたんデス、この日は。 マツダスタジアムに出向いた虎番は、元気いっぱいだった。サブキャップ新里公章は「シュン太郎なんて一人もいないし、佐藤輝もうつむいてなんかいません。彼はそれがいいところなんです。織原祥平がマークしてましたから、彼のリポートを聞いてください」という。 ほんとか? いつものクソ爺ィがこの忙しいのに電話をしてきやがってと思ってるんだろうが。すると織原がこれまた元気モリモリで「ハイハイ、2日の初戦の時よりもド派手ではなかったけど、佐藤輝は本日もへこたれてませんでしたョ。ま、テレビ中継がありますから、しっかりみていてください」だと。 息苦しい試合が続くので、思わず ♪昔の名前で出ています...。小林旭の名曲は、本人がカラオケで歌っているのを聞いたことがあるんだぞ。プチ自慢デスけど。 そういうグチャグチャな気分でスタンバイしていたら、テレビでは熱海の土石流の現場の悲惨な状況が何度も何度も流れていた。被害に遭われたみなさんには、心からお見舞い申し上げます。ニュースが終わり、野球中継が始まった。その試合の中継の合間にも、土石流のニュースが流れてくる。こちらの場面はちょっとシーンとしていて、いずこをみても土砂降りの雨。心がズブぬれになった。場面が熱海に戻るたびに胸が痛み、広島に戻ると阪神は六回まで残塁ブルースでした。 七回の伊藤将の大ピンチには矢野監督が腹をくくってマウンドに。「お前に任せたぞ」と背中をドン! いい場面は、さすがにNHKは押さえていました。元気を取り戻した佐藤輝や、伊藤将の力投は、虎番の記事で楽しんでくださいませ。 そして九回になりまして、電話がジャン。「こちらは総選挙の世論調査でして」。ええッ、こんな時に? でもこれも大事やから、ハイハイと正論を応えました。あわてて戻ると及川投手のさわやかな笑顔のアップ。 忙しかったぁ。7月3日といえば、忘れもしない1969(昭和44)年のこと。甲子園のTG戦で川上哲治監督は突如ヒラめいた。3番長嶋茂雄、4番柴田勲、5番王貞治とスタメン表に書いた。これが有名な史上唯一の柴田4番のオーダーだ。驚いたのは柴田だ。しかし、夢まぼろしではない。彼は一回、江夏豊から左翼に2ランを放ち、これが決勝点となった。 なんでアノ時に? と後日、川上さんにコソッと問うた。ニヤリとして川上さんは筆者にソッといった。あの日の柴田のバットの先端からは、本当に風を斬る音が私には聞こえたんだョ、と。 その試合だけだった。ONに挟まれた〝4番柴田〟は。なぜだろう? しつこく川上さんに問い続けたが、笑ってそれ以上は答えてくれなかった。七回2死満塁、大ピンチの場面で顔色ひとつ変えずマウンドに歩み寄り「続投」を伊藤将に命じた監督矢野燿大には、川上哲治と同じ炎があったのかもしれない。

◆さあ、全国の虎党の皆さん! 阪神を勝利に導いたルーキー3人の活躍を懐かしの『だんご3兄弟』のメロディーにのせてたたえましょう!! 「♪一番上は(伊藤)将司、将司。一番下は(佐藤)輝明、輝明。間に挟まれ(中野)拓夢、拓夢。ルーキー3兄弟!!」 負ければ、巨人の結果次第で首位陥落の危機を7回無失点で救った将司! さすが、長男は頼りになるで! 1日休んだら、いきなりの3安打の輝明、やっぱりやんちやな三男や!! 次男の拓夢も25打席ぶりのヒット。五回のピンチでは、ショートゴロを二塁ベースを踏んでからホームに転送して三塁走者を刺す、プロ中のプロのプレー。長男もチームも救ったのだ!! マルテがホームランを含む3打点。代打でタイムリーのサンズはもう、スタメンOK! ルーキー3兄弟に加え『助っ人3兄弟』も歌いたい! ロハス・ジュニアは気合を入れんかい! 矢野さんがピンチで自らマウンドに行く執念も実ったし、猛虎は白星を食いまくりまっせー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
44273 0.620
(↑0.006)
-
(-)
69311
(+5)
263
(-)
72
(+1)
65
(-)
0.255
(↑0.002
3.240
(↑0.04)
2
(-)
巨人
402610 0.606
(↑0.006)
1.5
(-)
67327
(+3)
267
(+1)
101
(+3)
45
(+1)
0.254
(↓0.001)
3.370
(↑0.03)
3
(-)
ヤクルト
38298 0.567
(↑0.006)
4
(-)
68322
(+5)
296
(+1)
76
(+1)
47
(+3)
0.253
(↑0.001)
3.750
(↑0.03)
4
(-)
中日
283810 0.424
(↓0.007)
13.5
(↓1)
67222
(+1)
261
(+5)
41
(-)
38
(+1)
0.237
(↓0.001)
3.330
(↓0.03)
5
(-)
DeNA
27409 0.403
(↓0.006)
15
(↓1)
67308
(+1)
368
(+3)
75
(-)
15
(-)
0.261
(-)
4.680
(↑0.03)
6
(-)
広島
24409 0.375
(↓0.006)
16.5
(↓1)
70260
(-)
327
(+5)
50
(-)
35
(-)
0.258
(↓0.002)
4.040
(↓0.01)