1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 5 | 6 | 9 | 0 | 1 |
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 | 1 |
勝利投手:清水 昇(1勝3敗1S) 敗戦投手:スアレス(1勝1敗23S) 本塁打 |
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◆ヤクルトは1点を先制された直後の7回表、山田のソロで同点とする。そのまま迎えた9回には、代打・宮本の適時打などで5点を挙げ、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・清水がプロ初勝利。敗れた阪神は、3番手・スアレスが誤算で、打線も1得点と振るわなかった。
◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(30)はここまでリーグ10位の打率2割9分1厘だが、ガンケルが先発した試合は29打数12安打、2本塁打、8打点、打率4割1分4厘。 今日も猛打を見せてガンケルの連勝に貢献できるか。
◆好投を続ける阪神ジョー・ガンケル投手(29)に、一瞬ヒヤリとするアクシデントが起きた。 7回、先頭の山田に同点ソロを浴びた直後。迎えた4番村上の強烈な打球がガンケルの左手首付近を直撃した。ガンケルはそのまま捕球して一塁ヘ送球しアウトにしたが、福原投手コーチとトレーナーらがベンチから駆け寄り、治療のためいったんベンチへ下がった。 それでも数分後にマウンドに戻ると、数球投げ込んだ後、問題ない様子で投球再開。6回まで10奪三振を奪う好投を見せていただけに、ほっと一安心だ。
◆阪神梅野隆太郎捕手(30)が今季甲子園初アーチで先制点を運び込んだ。 6回に先頭打者で打席に入り、それまで打線が1安打に抑えられていたヤクルト先発奥川をとらえた。カウント2-2から甘く入ったスライダーを振り抜き、左翼席へ。6回までに来日2年目で自身最多の10奪三振で無失点投球を続ける先発ガンケルを援護する大きな1点をもたらした。 「ガンケルが本当によく頑張って投げてくれているので、なんとかしたいという気持ちでした。最高の結果になりましたし、先制することがができて良かったです」 ゆっくりとダイヤモンドを1周し、ベンチ前ではナインとともに、本拠地初の「U2ポーズ」で喜びを分かち合った。 「U2ポーズ」は、日刊スポーツで虎ファンに梅野のホームランパフォーマンス案を募って約100通のアイデアから10案に絞った中から梅野が選んだ。梅野の「U」と今季からの新背番号「2」にちなんだポーズとなっている。
◆阪神ジョー・ガンケル投手(29)が、4回で早くも1試合の自己最多奪三振を更新した。 立ち上がり、先頭の塩見を146キロストレートで空振り三振。2回は村上をスライダーで見逃し三振。3回は古賀、奥川、塩見を3者連続三振に抑えた。4回の山田から7個目の三振を奪い、5回はオスナ、サンタナを連続三振で前半で9個をマークした。 ガンケルの奪三振数は、来日1年目の昨年は10月30日のDeNA戦(横浜)の5個、今季は4月18日ヤクルト戦(甲子園)と6月13日楽天戦(楽天生命パーク)の6個が最多だった。 ガンケルは6回の古賀からの三振で、2桁10奪三振に到達。その裏、梅野の2号ソロで1点の援護をもらった。だが7回、ヤクルト先頭の山田に右翼ポール際に同点21号ソロをたたき込まれた。 ガンケルは7回1失点で降板し、7勝目はならず。「奥川投手もすごくいいピッチングをしている中で、梅野がホームランを打ってくれたから、そのリードを守りきりたかったし悔しいね」と、山田に浴びた同点弾を悔やんだ。
◆阪神ロベルト・スアレス投手(30)が、自己最速、球団最速タイの163キロをマークしたが、イニング途中で降板した。1-1の9回に登板。2死一塁で迎えたオスナにカウント1-2からの7球目、渾身(こんしん)の163キロ快速球を投じた。だがこれをオスナに中前にはじき返された。2死一、二塁から代打の川端に四球を与え、2死満塁から代打・宮本に勝ち越しの2点打を浴びた。3連投の守護神は痛恨の失点で、イニング途中でマウンドを去った。後を受けた馬場も打たれ、計4失点。 スアレスがイニング途中で降板するのは昨年10月5日中日戦(ナゴヤドーム)以来で、敗戦投手になったのも同戦が最後だった。
◆ヤクルト清水昇投手(24)がプロ3年目、通算100試合目でプロ初勝利を挙げた。同点の8回に2番手で登板。打者3人で打ち取った。直後の9回に打線が一挙5得点を挙げ勝ち越し。そのまま逃げ切り、チームの連敗を4で止めた。 昨季は52試合に登板し、最優秀中継ぎに輝き、ブレーク。中継ぎエースとしてチームを支えてきた。セットアッパーとして、99試合で勝ちがつかなかったのは、自らの仕事に徹した証拠。名誉ある1勝をつかんだ。
◆阪神は守護神ロベルト・スアレス投手(30)が決勝打を浴び、接戦を落とした。1-1の9回、スアレスは3連投のマウンドへ。2死を取ったが与四球がらみで満塁とし、ヤクルトの代打・宮本丈内野手(26)に決勝の2点打を打たれた。 後を受けた馬場皐輔投手(26)もヤクルト打線に連打され、結局この回計5点を失った。 中盤まではロースコアの戦いだった。阪神のジョー・ガンケル投手(29)は7回を投げ、自己最多の10奪三振1失点の好投。阪神が梅野隆太郎捕手(30)の2号ソロで1点を先制した。だがヤクルトも7回、山田哲人内野手(28)の21号ソロで追いつく。 阪神は8回、先頭の梅野が中前打で出塁も、小野寺暖外野手(23)がバントを失敗。チャンスをつぶし、勝ち越せなかった。
◆阪神ガンケル、ヤクルト奥川の両先発右腕が3回までともに1安打無失点と好投。ガンケルは4連続を含む6奪三振と的絞らせず。 阪神が6回に梅野の2号ソロで先制した。先発ガンケルはヤクルト相手に6回まで2安打無失点、自己最多の10三振を奪う好投。 ヤクルトは7回に山田の21号ソロで同点に追いつくと、9回に阪神抑えのスアレスを攻め、一挙5点を奪い逆転勝ちした。ヤクルト清水は今季初勝利。阪神スアレスは今季初黒星。
◆阪神は、守護神ロベルト・スアレス投手(30)が決勝打を浴び、痛恨の黒星を喫した。試合後の矢野燿大監督(52)の一問一答は次の通り。 -スアレスは打たれたが、ああいうこともあると言ったらダメかもしれないが 矢野監督 年間の中ではね。完璧にいってもらいたいというのはもちろんどっかではあるけど、まあまあそういうわけにもね。相手も全力で来る中で、こういうことも起こりうるんでね。ここまでよくやってくれてるんで、それはもう勝負にいった結果なんで、仕方がないかなと思ってます。 -岩崎、スアレスに負担がかかっているのか 矢野監督 もちろん打線が点を取れてないので、そういうところでは、もう1点差あればとか(小野寺)ダンのところもね、あそこでしっかりバントを決めれてたらまた流れも違うのかなとか、負けてる中で要因というのはあるし、もちろんそこに負担がいくし、また負担がかかるところでいってもらうピッチャーなのでね、そこは打線との兼ね合いというのはあると思います。 -中野選手の状態が 矢野監督 まあ、もちろん調子(よく)1年間やることはそんなに簡単なことではないし。やっぱり毎日出て行く中で相手にも研究されるし、こっちも体的にもしんどくなってくるところだと思うんで。そういうのは経験してみないと分からないし、そういうところには当たっているかなと思うんで、まあ、うーん、バッティングの技術というよりも、そっちなのかなと思っている」 -サンズの交代は体の状態か 矢野監督 それは関係ない。うん。 -奥川がよかったが、打線が... 矢野監督 もちろん、そのアウトのなり方が、やっぱりよくないっていうか。もちろん奥川がよかったのは、もちろんオレも思っているし。 -奥川の状態より打線が 矢野監督 いやまあ、アウトのなり方がもちろん、よくないっていうか。奥川がよかったのは俺ももちろんそう思っているし、その中でも、もうちょっとなんとかできるというところの状態が。これも1年間の中でちょっと打線の状態が下がることはあるけど、そういう選手が複数いるんで、そういうところで我慢かなと思います。 -ガンケルが好投 矢野監督 もともとはゴロを打たせてという投手だと思うんだけど、あれだけ三振を取れて、空振りを取れてというのはボールが切れている証だと思う。山田に打たれたにしても、本当に今までの中でも1番というぐらいのボールを投げてくれていた。ここまで負けなしできてくれているし、今後もなんとか頑張ってもらいたいなと。素晴らしい投球でした。
◆ヤクルト清水昇投手(24)がプロ3年目、通算100試合目でプロ初勝利を挙げた。同点の8回に2番手で登板。打者3人で打ち取った。直後の9回に打線が一挙5得点を挙げ勝ち越し。そのまま逃げ切り、チームの連敗を4で止めた。 ▼清水が通算100試合目でプロ初勝利。初勝利までに100試合以上かかった投手は、20年に130試合目で勝利した平田(DeNA)以来、史上8人目(他に110試合で0勝の広島小早川がいる)。また、初登板からの連敗は10でストップ。あと1敗で、36年桜井(大東京)50年成田(国鉄)07年松崎(楽天)の11連敗に並ぶワースト記録になるところだった。
◆阪神岩崎優投手が3戦ぶりに無失点に抑えた。 1-1同点の8回、ヤクルトは内川、中村と代打攻勢に出たが、2人を右飛に打ち取り、塩見も三ゴロ。6月29、30日の同戦で連続失点したが安定した投球を見せ、同22日の中日戦(バンテリンドーム)以来の無失点。 「0点で抑えることができてよかったです」。おなじみの言葉で登板を振り返った。
◆阪神梅野隆太郎捕手(30)は聖地を「U2ポーズ」で沸かせたが、白星はつかめなかった。 先頭で迎えた6回。奥川からファウルで粘った7球目、内角に来たスライダーを振り抜いた。高々上がった打球はレフトスタンドへ一直線。「ガンケルが本当によく頑張って投げてくれているので、なんとかしたいという気持ちでした」。今季2号ソロに沸く仲間とともに、甲子園で初めて新しい本塁打パフォーマンスを披露した。 午後7時過ぎに5回が終わる投手戦。援護がない中で奮闘を続けるガンケルに報いたい-。女房役として突破口を開いた。 しかし直後の7回、山田に同点ソロ本塁打を許した。梅野は8回にも先頭で中前打を放ったが、後続がつながらず。守護神スアレスが4失点を喫するなど、悔しさの残る夜。甲子園での今季初アーチは空砲となった。 試合前には、オールスターの選手間投票結果が発表され、梅野はファン投票に続いて選出された。「同じプロ野球選手から、選手の目線で選出されたこともすごく光栄ですし、感謝の気持ちでいっぱいです。選出されたことに恥じないプレーを見せられるように頑張りたい」。3度目の球宴へ向け、新たなモチベーションが加わっていた。 チームは72試合を終え、シーズンのちょうど半分を消化。梅野は休養で欠場した1試合をのぞき、70試合でスタメン出場した。扇の要として攻守での奮闘は続く。敗戦は次戦への糧に、頂点を目指して戦い続けるだけだ。【磯綾乃】
◆ヤクルト奥川恭伸投手(20)が、首位阪神に堂々の投球を披露した。 1回から直球は150キロを連発。スライダーとフォークを織り交ぜ、7回4安打1失点6奪三振でまとめた。19年夏の甲子園以来の聖地でのマウンド。「懐かしいなと思いながら。阪神ファンの応援もすごかったので、すごくワクワクしたというか、今日のゲームはすごく面白かった」と充実感を持っていた。
◆ヤクルト宮本丈内野手(26)が、勝負強い打撃を発揮した。 同点で迎えた9回2死満塁で、元山に代わって代打出場。阪神スアレスの初球、159キロ直球をファウルとすると、2球目の低め160キロ直球を左前へ運び、決勝の2点適時打となった。「勝負をかけて出してもらっている場面だったので、なんとか結果を出したいなと。チームの雰囲気も良かったので、そういう雰囲気が、いいところに落としたなと思います」と喜んだ。
◆阪神ガンケルは7回4安打1失点、来日最多の10奪三振でゲームを作った。ヤクルトの若き右腕、奥川と投手戦を演じ、6回まで二塁を踏ませなかった。「良い投球ができた。ストライクゾーンだけではなくてボールもうまく使って打ち取ることができたかな」。勝敗は付かなかったが、矢野監督が「今までの中でも一番」と評する内容だった。 落とし穴は女房役梅野の先制ソロが出た直後の7回だ。先頭山田にやや高めの直球を仕留められ、右翼ポール際に同点ソロを運ばれた。「梅野がホームランを打ってくれたから、そのリードを守り切りたかったし悔しい」と痛恨の被弾を残念がった。次打者村上のゴロを左手首付近に受けたが、治療を挟んで続投。気概を示した右腕は「今は少し腫れているけれど問題はない」と頼もしかった。
◆どこであろうとやることは変わらない。ヤクルト奥川恭伸投手(20)は、阪神戦に先発。星稜(石川)のエースとして戦った、19年8月22日夏の甲子園決勝・履正社(大阪)戦以来の聖地でのマウンドとなった。高校野球を沸かせたスターが凱旋(がいせん)。それでも奥川は「甲子園は高校の時にやりましたけど、そんなに特別には思っていないですね。また違うものだと思っているので、しっかりやりたいなと思っています」と表情を崩さなかった。 デーゲームが多い高校野球と違い、ナイターでの投球。背中を押してくれた観客も、阪神ファンに変わるビジター登板。感傷に浸らず、切り替えた。 それでも自身の原点となった場所。「甲子園という舞台で試合をすることができて、満員の中で試合をすることが多かった。その経験ができたのは大きかった。あまり緊張もしなくなった」と振り返る。一番の思い出は19年、高3夏の3回戦、智弁和歌山戦。延長14回を165球23奪三振で投げ切った。「あれが一番頑張ったかなと。当時は勝ちたい一心でやっていたのであれですけど、今となれば頑張りすぎたのかなと」と照れくさそうに笑った。4月16日には20歳になった。夏の死闘から2年が経ち、より自分と向き合えるように。大人になった考え方を垣間見せた。 高校時代があったからこそ、今がある。だが、それは思い出として、奥川の中で区切りがついている。「いつも通り落ち着いてプレーしたい」。甲子園を特別ではないと言い切る平常心が、今はある。
◆首位阪神の守護神が崩された。1-1の9回。リーグ最多23セーブを誇るスアレスが2死満塁のピンチを招き、ヤクルトの代打攻勢に4失点を喫した。昨季のセーブ王に今季初黒星がつき、雨の甲子園にため息が充満。矢野燿大監督(52)は「勝負にいった結果。仕方ない」と受け止め、下降気配の打線を案じた。2位巨人が広島に逆転勝ちし、約2カ月ぶりに2ゲーム差まで迫られた。不動の抑えのスアレスが黒星をつかまされた。前日6月30日と同様に同点の9回に登場。1死一塁から4番村上にはチェンジアップでゴロを打たせ、二塁ベース寄りに守っていた遊撃手中野の正面へ。だが、村上の足が速く併殺は取れなかった。続くオスナに163キロを中前打、代打川端には外角へ大きく抜ける四球で2死満塁。悪い流れを察知してか、一塁手マルテがマウンドに声を掛けにきたが、左の代打宮本に低め160キロをコンパクトに当てられ三塁後方へポトリと落ちる適時打で2点を勝ち越された。 矢野監督は「相手も全力で来る中で、こういうことも起こりうる。ここまでよくやってくれている。勝負にいった結果なんで、仕方がない」と責めなかったが、今季33試合目で初めて守護神をイニング途中で降ろした。代わった馬場も流れを止められなかった。スアレスが途中降板したのは昨年10月15日の中日戦で負け投手になって以来。スアレスの登板試合でチームが敗れたのも昨年11月3日ヤクルト戦以来という非常に珍しいシーンだった。ここまで両リーグトップの23セーブ。首位を走る原動力の1人として完璧に仕事をしてきた右腕が崩された。 矢野監督は「打線が点を取れていない。もちろんそこに負担がいく」と、8回岩崎、9回スアレスに負担をかけている打線の奮起を求めた。中でも中野は自己ワーストの6試合、22打席連続無安打と苦しむ。指揮官は「相手に研究され、体的にもしんどくなっているところ」と技術面ではなく体力面を心配した。また、佐藤輝も3打数無安打で19号から7試合1発が出ていない。「1年間の中で打線の状態が下がることはあるけど、そういう選手が複数いるので我慢かなと思います」。現在の阪神は、新人2人だけでなく打線全体が下降気配にあると認めた。 2位巨人が勝ってゲーム差は4月27日以来の2に縮まった。その際は翌28日に1差に迫られた後、最大8差まで引き離している。これでシーズン折り返しの72試合を消化。東京五輪によるリーグ中断までは残り12試合。打線を復調させ、なんとか首位を守り抜きたいところだ。【石橋隆雄】
◆首位阪神が2軍調整中だったメル・ロハス・ジュニア外野手(31)の緊急昇格を決めた。ヤクルト戦は守護神スアレスが同点の9回に4失点して今季初黒星を喫し、今回の甲子園6連戦で1勝4敗1分けと失速した。この間は1試合平均2得点と打線がパワーダウン。2位巨人に2ゲーム差まで迫られる中、昨季韓国で打撃2冠の両打ち助っ人に期待がかかる。低迷する打線の起爆剤として、ロハスが2日広島戦から緊急昇格する運びとなった。この日もわずか1得点。同点の9回にスアレスを今季初の3連投、3日連続でマウンドへ。しかし、疲れからか2死満塁を招き、代打宮本に160キロを左前へ落とされ、これが決勝の2点適時打となった。 「こういうことも起こりうる。ここまでよくやってくれている。打線が点を取れていないので、そこに負担がいく」 矢野監督は今季初黒星となったスアレスを責めず、低調な打線を敗因に挙げた。この負の流れを止めるのが、2軍で打撃好調のロハスだ。新型コロナ禍で来日が遅れ、5月8日に1軍昇格も10試合で打率0割5分7厘、1本塁打、3打点。昨季韓国・KTで47本塁打、135打点で2冠とMVPを取った打撃状態とはほど遠かったが、2軍で状態をしっかり上げてきた。 6月2日に出場選手登録を外れた後は5本塁打。同11日からの2軍ソフトバンク3連戦で3連発。この時には「今は理想とするスイングができている」と本人も手応え十分のコメントを残している。直近の6月30日広島戦(由宇)では4打数4安打。この日更新した自身のインスタグラムでは「I'M BACK!!(戻ってきたよ)」というコメントに両手を合わせる絵文字をつける意味深な投稿をしていた。 矢野監督はヤクルトに競り負けた試合後、「1年間の中で打線の状態が下がることはあるけど、そういう選手が複数いるので我慢かな」と話していた。中でも中野は自己ワーストの6試合、22打席連続無安打と苦しんでおり、「体的にもしんどくなっているところ」と技術面ではなく体力面を心配した。佐藤輝も3打数無安打で19号から7試合1発が出ていない。 2位巨人が勝ってゲーム差は4月27日以来の2に縮まった。その際は翌28日に1差に迫られた後、最大8差まで引き離している。6月25日からの甲子園6連戦は今季初めて1万人以上の観衆で埋まったが1勝4敗1分けと喜ばすことができていない。陽気なスイッチヒッターのロハスが打線に火をつけ、五輪中断期間までの残り12試合、なんとか首位を守り抜きたいところだ。 ▼2軍降格後のロハス 1軍で21打席無安打と苦しむなどで10試合に出場したが、6月2日に抹消され2軍での再調整へ。同6日の中日戦で2ランを放つなど徐々に調子を取り戻し、同11~13日のソフトバンク戦では3試合連続本塁打。6月は19試合で打率2割9分、5本塁打、14打点と実力を示した。
◆侍入りを果たした虎の正捕手・梅野が試合を動かした。0-0の六回先頭でヤクルト先発・奥川の125キロ変化球を一閃。打球はぐんぐん伸びて左翼席へ飛び込み、今季2号ソロで先制に成功した。 「ガンケルが本当によく頑張って投げてくれているので、何とかしたいという気持ちでした。最高の結果になりましたし、先制することができてよかったです」と声を弾ませた。 5月30日の西武戦(メットライフ)以来、出場24試合ぶりの一発で、六回まで2安打無失点投球を続けた先発・ガンケルを援護。七回にヤクルトの山田に同点ソロを被弾したが、背番号2が好リードで虎を勝利に導く。
◆ヤクルトが九回、執念の代打攻勢でスアレスを攻略。虎の守護神に今季初黒星をつけ、今季の阪神戦2勝目を挙げた。 山田の中前打、オスナの中前打で2死一、二塁とし、代打の川端が追い込まれてから粘って四球を選んで満塁。続く代打・宮本が160キロの速球を左前に運んで2点を勝ち越した。 スアレスはここで交代し、阪神は馬場にスイッチ。3者連続の代打・吉田大成が四球を選んで再び満塁とし、中村が中前へ2点打。塩見も右前へ適時打を放ち、この回大量5点を奪った。 先発の奥川は、白星こそつかなかったものの7回4安打1失点。星稜高で2019年夏に準優勝を果たした思い出の甲子園で、快投を演じた。
◆ヤクルトの3年目右腕、清水昇投手(24)がプロ初勝利を挙げた。奥川の後を受け、2番手で八回に登板。先頭の梅野に左前打を許したが、小野寺が試みたバントを捕ゴロ併殺打とし、最後は近本を149キロの直球で空振り三振に抑えた。 昨季は史上初めて未勝利で最優秀中継ぎ賞のタイトルを獲得。通算100試合目の登板でつかんだプロ初白星となった。
◆阪神は絶対的守護神のスアレスを同点の九回に投入するも、まさかの勝ち越しを許した。打線もヤクルト投手陣に梅野の1発のみに抑え込まれ、3試合ぶりの黒星となった。 1-1の九回2死満塁で、スアレスが代打・宮本に160キロを左前に弾き返される2点打で勝ち越しを許し、バトンを受けた馬場も悪い流れを止められず、この回よもやの5失点となった。 スアレスは?回を投げて3安打4失点で今季初、昨年10月15日の中日戦以来となる敗戦投手に。梅野が六回に自身24試合ぶりとなる今季2号の本塁打を放って先制に成功したが、直後の七回に先発・ガンケルが山田に痛恨の同点弾を浴びた。そして防御率0点台だった絶対的守護神が崩れ、痛い黒星を喫した。
◆ヤクルトの3年目右腕、清水昇投手(24)がプロ初勝利を挙げた。奥川の後を受け、2番手で八回に登板。先頭の梅野に左前打を許したが、小野寺が試みたバントを捕ゴロ併殺打とし、最後は近本を149キロの直球で空振り三振に抑えた。昨季は史上初めて未勝利で最優秀中継ぎ賞のタイトルを獲得。通算100試合目の登板でつかんだプロ初白星となった。 清水はヒーローインタビューで「昨日(6月30日)勝っている場面で投げさせてもらったのに同点にさせてしまった。悔しい思いを胸に投球した」とコメント。ヤクルト先発の奥川恭伸投手は、阪神・ガンケルと投手戦を繰り広げ、7回4安打1失点とゲームを作った。清水は「奥川が頑張っていたので、その気持ちを受け継いでマウンドに上がりました」と振り返った。 続けて「チームに負けばっかりつけていたので、やっと勝つことができてうれしく思います」と謙遜し、「ウイニングボールは育ててくれた両親にプレゼントしたい。やっと勝てましたと言いたい」と笑顔を見せた。
◆阪神は同点の九回、守護神のロベルト・スアレス投手(30)が打ち込まれて、一気に5失点。2位・巨人とは2差となった。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ーースアレスが打たれた... 「年間の中ではね、完璧にいってもらいたいというのは、もちろんどっかではあるけど、そういうわけにもね。相手も全力で来る中で、こういうことも起こりうるんでね。ここまでよくやってくれてるんで、それはもう勝負にいった結果なんで、仕方がないかなと思ってます」 ーーどこかで岩崎、スアレスに負担がかかってるのか 「もちろん打線が点を取れてないので、そういうところでは、もう1点差あればとか、ダン(小野寺)のところもね、あそこでしっかりバントを決められてたら(八回無死一塁で代打で登場し、バントを試みたが、捕ゴロ併殺)また流れも違うのかなとか、負けてる中で要因というのはあるし、もちろんそこに負担がいくし、また負担がかかるところでいってもらうピッチャーなのでね、そこは打線との兼ね合いというのはあると思います」 ーー中野の状態が 「調子(よく)1年間やることは簡単なことではないし。毎日出て行く中で研究されるし、体的にもしんどくなってくるところだと思うし、そういうのは経験してみないと分からないし、そういうところには当たっているかなと思うんで、まあ、うーん、バッティングの技術というよりもそっちなのかなと思っている」 ーーサンズの交代は体の状態か 「それは関係ない。うん」 ーー奥川がよかったが打線が 「もちろん、そのアウトのなり方が、やっぱりよくないっていうか。もちろん奥川がよかったのは俺も思っているし、その中でも、もうちょっとなんとかできるというところの状態が。これも1年間の中でちょっと打線の状態が下がることはあるけど、そういう選手が複数いるんで、そういうところで我慢かなと思います」 ーーガンケルが好投 「もともとはゴロを打たせてという投手だと思うんだけど、あれだけ三振をとれて、空振りをとれてというのはボールが切れている証しだと思う。山田に打たれたにしても、本当に今までの中でも一番というぐらいのボールを投げてくれていた。ここまで負けなしできてくれているし、今後もなんとか頑張ってもらいたいなと。素晴らしい投球でした」
◆甲子園の空は、厚い雲に覆われていた。試合開始後には雨が降ったり、止んだり。難しい天候の中、ヤクルト・奥川恭伸投手(20)がプロ入り後初めて、球児の聖地でマウンドに上がった。 「懐かしいなと思いました。高校のときに甲子園という舞台で試合をすることができて、その経験ができたというのは大きかった」 登板前日の6月30日に、20歳の右腕はこう口にしていた。石川・星稜高時代、2年春から4季連続で甲子園大会に出場。3年だった2019年夏には、智弁和歌山高との3回戦で、延長14回165球を投げ抜き、23三振を奪ってタイブレークの末のサヨナラ勝ちに貢献。チームを準優勝に導き、全国に名を知らしめた。 実は、甲子園のナイターゲームが好きという。高2の選抜大会で経験があり、「薄暗い感じとライトの感じがすごく好き。僕は日が暮れるぐらいの時間帯が一番好きなんです」と意外な素顔を明かした。曇天とあって、試合開始時からカクテル光線に照らされて立った約2年ぶりのマウンドで、4勝目を目指した。 序盤から光ったのは制球力。最速152キロの直球と変化球を両コーナーと低めに集め、ストライク先行の投球を続けた。四回2死では、4番・サンズを外角直球で見逃し三振。六回に梅野にソロ本塁打を浴びたが、自己最長タイの7回を投げ、4安打1失点だった。 「今日は全体的に調子が良く、自分の意図した球が多く投げられました。(捕手の)古賀さんにも助けてもらい試合をつくることができましたが、あのホームランだけが悔いが残ります」。白星こそつかなかったが、自身を大きく成長させてくれた地で、87球の好投を見せた。
◆主将が意地の一発だ。1点を追う七回先頭、山田が右翼ポール際へ飛び込む21号ソロを放った。六回まで2安打に抑えられていた先発右腕・ガンケルが投じた、内角寄りの直球を捉え「追い込まれていたので、逆方向を意識していました。点を取られた直後に取り返すことができて良かったです」。好投の奥川の黒星をけしす貴重なアーチとなった。
◆まさかまさか...。阪神はロベルト・スアレス投手(30)が1-1の九回につかまって、ヤクルトに逆転負け。阪神OBで楽天初代監督を務めた田尾安志氏(67)=本紙専属評論家=は守護神の起用法など、敗戦のなかから3つのポイントを取り上げて、提言した。2位巨人とは2ゲーム差となり、前半戦は残り12試合。矢野虎よ、今こそ踏ん張りどきだ。 ■リードと同点では背負っているものが違う この日の敗戦にはポイントが3つあった。 ①九回、引き分けでスアレスが登板 6月30日の2戦目も2─2の九回にスアレスだったが、2試合続けて、1─1の九回にスアレスだった。この起用法は正直「?」と思う。 守護神は「打たれたら仲間の勝ちを消してしまう」という高いモチベーションを持って投げるものだ。だが、イーブンで登板すると「打たれても自分の責任」となってしまう。スアレスは一生懸命投げていたし、そんなことは思っていなかっただろう。だが、やはり1点でもリードしている場面と、同点では、背負っているものが違う。その微妙な心理の差が、悪い結果として出てしまったのではないか。 8回、送りバントを失敗、併殺となった阪神・小野寺=甲子園球場(撮影・中島信生) ■長打力が売りの小野寺がバント失敗、代打起用も... ②小野寺に代打でもよかった もっと流れを変えてしまったのは、八回の小野寺のバント失敗。先頭の梅野が出塁して、さあ勝ち越すぞというところ。痛恨の併殺だった。 小野寺は長打力を買われて1軍にいる選手だ。少なくともバント巧者というイメージはない。プレッシャーのかかるあの場面では、どうかと思う。ベンチには北條がいた。バントもできるし、強打も期待できる選手だ。あそこで代打・北條という手もあった。 ちなみに最近の阪神はバント失敗が目につく。貯金を積み上げていたときは、もっと丁寧に決めていたはずだ。改めて徹底してほしい。 ■大山ら不調の中...代わりの選手いるのに活用できていない ③厚い選手層をもっと活用すべし サンズ、大山、佐藤輝、中野は見ての通り状態がよくない。不調カルテットだ。ベンチには糸井もいるし、2軍にはロハスもいる。今年の阪神の最大の武器は、こうした選手層の厚さ。代わりの選手がいるのに活用できていない。 巨人の原監督は、不調の丸を2軍で調整させて復活させた。前半戦残り12試合で、そういうことをやってみるのも手だ。他に使える選手がいるのだから、うまくつかってあげないといけない。(本紙専属評論家)
◆ガンケルは7回4安打1失点。自己最多の10奪三振を奪う力投も、無傷の7勝目はつかめなかった。「良い投球はできたが、あの失投が悔やまれる」。六回に梅野が先制アーチを放ったが、直後の七回、山田に高めの直球を右翼ポール際に運ばれた。ガンケルが先発すればチームは負けない〝不敗神話〟は今季10試合目で止まったが、矢野監督は「今までの中でも一番のボールを投げてくれた。素晴らしい投球でした」とねぎらった。
◆絶対的守護神のスアレスが、今季33試合目で初黒星を喫した。1-1の九回にマウンドに上がったが、2安打と四球で2死満塁とされ、代打・宮本に勝ち越しの2点打を浴びて降板。後を受けた馬場も打たれ、2/3回を投げて4失点となった。 矢野監督は「ここまでよくやってくれているし、勝負にいった結果なんで。仕方がないかなと思ってます」と言いながらもショックを隠しきれなかった。 リーグトップの23セーブ。試合前の時点で防御率0・56と驚異的な数字を残していたが、6月29日からのヤクルト戦は3連投。開幕からフル回転しているだけに、登板過多による蓄積疲労も気になる。指揮官は「打線が点を取れていないから、そこ(救援投手)に負担がいってしまう」と、ここにきて湿りがちな打撃陣の奮起に期待した。
◆甲子園の申し子が、プロ入り後最高の投球を見せた。ヤクルトは1日、阪神12回戦(甲子園)に6-1で逆転勝ちし、連敗を4で止めた。奥川恭伸投手(20)が先発し、7回4安打1失点と好投した。石川・星稜高3年夏の甲子園大会で準優勝した右腕が、プロ入り後初となる聖地のマウンドで躍動。自身に勝ち星は付かなかったが、流れを呼び込んだ。 聖地に凱旋し、鬼気迫る87球でチームの連敗ストップを呼び込んだ。奥川がプロ入り後初登板の甲子園で7回1失点。打線が同点の九回に難敵スアレスを攻略して逆転勝利すると、野球少年の顔に戻った。 「(甲子園は)懐かしいなと思いながら、阪神ファンの声援もすごかったので。すごくワクワクしたというか、今日のゲームはすごく面白かったと思う。すごくいい球場だなと思います」 あの夏の青空ではなく、断続的に雨が降りしきる中、成長した姿を見せた。1球目は代名詞の直球だった。一回先頭の近本を150キロで一直に抑えると、リズムに乗った。最速152キロの直球と切れのある変化球を両コーナーに制球。五回まで1安打とほぼ完ぺきな投球だった。 甲子園の女神からは宿題も与えられた。六回先頭。梅野に甘く入ったスライダーを捉えられ、先制ソロを被弾。「迷いながら投げてしまった自分がいた。自信を持って投げないといけない」と一球の大切さを痛感した。 だが、決して崩れないのが今の奥川だ。七回2死二塁では、中野をフォークボールで空振り三振に抑え、白い歯をのぞかせた。4勝目は挙げられなかったが、プロ入り後最高といえる投球を披露した。 まさに〝甲子園の申し子〟だ。石川・星稜高時代は2年春から4季連続で甲子園に出場。最後の夏に大きな輝きを放った。3回戦の智弁和歌山高戦では165球の熱投で23三振を奪い、延長十四回サヨナラ勝ち。同年8月22日の決勝戦では履正社高(大阪)に敗れて準優勝に終わったが、全国に「奥川恭伸」の名を知らしめた。 2年ぶりの甲子園。思い出が詰まったマウンドで奥川が躍動した 「あの夜」のことは忘れられない。決勝戦当日の夜は、チームメートと激戦を振り返りながら語り合った。気付けば、朝日が昇っていた。「楽しかったなあ」。特別な時間を過ごした戦友たちとは今でも交流がある。 そして、昨夏。後輩たちの活躍を楽しみにしていたが、新型コロナウイルスの影響で夏の甲子園は中止に。交流試合が8月に行われたが、無観客試合の映像を見た奥川は改めて甲子園へ感謝の思いを抱いた。 「あの大歓声の中で投げられたことはすごい経験だったんだなと。ずっと緊張していましたけど、歓声は聞こえていました」。自身を大きく成長させてくれた聖地。あの夏の敗戦から679日ぶりに立ったマウンドで、感謝の力投だった。 チームは首位・阪神に競り勝ち、1分けを挟んだ連敗を4で止めた。高津監督は「勝ちがつけば100点だったかもしれないけれど、素晴らしい内容だった」と目を細めた。また一つ大きくなった奥川が、険しいプロの道を進む。(赤尾裕希) 星稜高・林和成監督「余裕が出てきた」 奥川の恩師である星稜高・林和成監督(45)は石川県内の自宅テレビで投球を見届け「緩急をうまく使ったり余裕が出てきた。力を抜いて、自分のバランスを考えながらボールを操れている。高校時代のようにプロでも『ピッチング』ができるようになってきたなと思いました」とうなずいた。今季3勝目を挙げた際には電話で会話したといい「体の状態の話とか、練習の話をしました。これからもけがなく進んでいってほしい」とエールを送った。
◆また、伝説作った! 日本野球機構(NPB)は1日、「マイナビオールスターゲーム2021」(第1戦・16日=メットライフ、第2戦・17日=楽天生命パーク)の選手間投票結果を発表。阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が外野手部門で選出された。選手間投票で新人の選出は史上初の快挙。この日のヤクルト戦は3打数無安打に終わったが、プロも認める黄金ルーキーが、低空飛行が続く打線に再び、火をつける!!雨の降り注ぐ甲子園で黄金ルーキーのバットから快音が響くことはなかった。ただ、空振りを恐れない豪快なスイングは、しのぎを削るライバルたちすら魅了した。佐藤輝がまた、伝説を作った。 「選手の方々からこうして選んでいただいたというのはすごく驚いていますし、素直にうれしいです」 この日はヤクルト・奥川の前に3打数無安打と沈黙した。それでもシーズンの半分となる72試合を消化し打率・270、19本塁打、48打点はルーキーらしからぬ堂々の活躍。そして、鮮烈なインパクトを与える圧倒的な飛距離。ここまで走り抜けた日々が前人未到の金字塔を打ち立てる。 この日、球宴の選手間投票結果が開示され、虎のドラ1は全756選手の投票のうち、セ・リーグ外野手部門で広島・鈴木誠(374票)に次ぐ、2位の353票を獲得。2008年から始まった選手間投票。その歴史のなかで新人選手の選出は史上初の快挙だ。 トップレベルの中でもさらに一握りのスター選手が集うのが、オールスターという舞台。その切符を、ファンだけではなく、同業者から与えられたことに価値がある。豪快なスイングを前に、パ・リーグの剛腕が対戦したいと腕をまくる。球界屈指のスラッガーたちがそのバッティングを間近で見たいと望み、一票を投じた。プロ野球界全体が、スター性と実力を認めたことの証しだった。 選手間投票では昨季、本塁打&打点の2冠を獲得した巨人・岡本和も選出された。ファン投票で選ばれたヤクルト・村上もいる。球界の未来をともに背負う若き大砲との共演に、佐藤輝も「どうやって(本塁打を)打っているのか聞きたい」と胸を躍らせている。一流選手に認められた実力を引っさげ、〝超一流〟の仲間入りを果たすために挑む夢舞台。狙うはもちろん、代名詞の一発だ。 「ファンの方々が楽しみにされているのはホームランだと思うので、しっかり自分のスイングをしてホームランを打てるように頑張ります」 オールスターまで残り12試合。沈んでいる暇はない。この日も阪神打線は1得点と苦しい状態が続くが、打って打って打ちまくり、球宴アーチに弾みをつける。(原田遼太郎)
◆16年ぶりVへ、編成面でも動く! 阪神は1日、ヤクルトに1-6で敗れ、2位の巨人に2ゲーム差に迫られたが、水面下でソフトバンクとのトレードを検討していることがわかった。セ・リーグ1位を走りながらも救援陣のやりくりに苦心する虎と、5年連続日本一へ向け、打線にカンフル剤を打ちたい3位の鷹-。〝補完し合える〟点が見い出せれば、一気に現実となる。開幕から盤石だった阪神のリリーフ陣は一人また一人と打ち込まれ、この夜は守護神のスアレスまでもが散った。6月18日に最大「8」あった2位巨人とのゲーム差は、これで「2」となった。 143試合の折り返しである72試合目。シーズンも後半戦、ここからが本当の勝負だ。だからこそ、悲願の16年ぶりVを、あらゆる手を尽くしてたぐり寄せるべく、編成面でも必死に動く。 昨季までの絶対王者である鷹と、その頂点へ挑もうという虎-。両者の間で、水面下でトレードが検討されていることが分かった。 阪神の現状の課題は、中継ぎ陣だ。交流戦に入ってからは、岩貞が打たれ始め、岩崎も3敗を喫する不調で一時は2軍へ降格していた。馬場は2勝7ホールドと踏ん張ってはいるが、小林の負傷も痛かった。現在は、本来なら先発要員であるはずの藤浪や斎藤、そして高卒2年目の左腕・及川までをも、1軍ブルペンに組み込んでいる。このほころびを、後半戦まで放ってはおけない。 一方、現在パ・リーグ3位に甘んじているソフトバンクは、打線の活性化が急務だ。6月はチーム打率・216で6勝11敗6分け。2度の4連敗もあった。特に外野手の駒不足には苦しんでおり、西武に0-1で敗れたこの日は、打率・174の谷川原を中堅で起用していた。あとは両者の思惑ががっちり一致するか、どうかだ。 ソフトバンクは津森、板東ら若いリリーフ右腕が台頭する中で、現在2軍には、2015年に44試合に登板して6勝を挙げた二保のような実績組や、長身右腕の椎野らが控えている。投手王国だけに、出番に恵まれない力のある投手は多い。 阪神サイドを見れば、若い野手は、充実のときを迎えつつある。特に外野は左から、4番を打つサンズに、不動のリードオフマンの近本、そして言わずとしれたD1位・佐藤輝(近大)と、今や12球団屈指の顔ぶれだ。他に1軍ベンチに入れている外野手は、ベテランの糸井に、代走起用が多い江越と、ウエスタン・リーグで打率1位の「・307」と伸び盛りの小野寺しかいない。そこへ割って入れず、2017年に20本塁打を放った28歳の中谷や、16年新人王の高山でさえ、今季は一度も1軍に呼ばれていないという状況だ。 今季に限っては、東京五輪の開催によって、通常であれば7月31日までとなる新戦力の獲得期限が、8月31日までという点もある。編成面でも最後の最後まで手綱を緩めずに戦い抜く。鷹と虎、頂点を目指し、ともに最善の策を探っていく。
◆八回が終わって1-1の手に汗握る試合も、九回に虎の守護神・スアレスが打ち込まれ、1-6の大敗...。まあ、スアレスだって、こんなこともあるさあ、人間だもの。相田みつを...。って、そんなもん許せるかー!! 全ては勝負に対する甘さなのだ!! 1-1の同点の八回先頭の梅野がセンターへヒット、その場面で打席に途中から入っている小野寺。ポイントはその場面だ!! 1点取れば九回のマウンドにセーブがつく状態でスアレスを送り込めるのだから、最良の選択をしなくてはいけないのに、小野寺は犠打失敗のゲッツーで、チャンスをつぶしたのだった。送りバントは当然の策だと思う。だけど、あの場面はホントに小野寺で良かったのか? ノー、ノー! 若虎でプレッシャーのかかる小野寺ではなく、バント慣れしている北條をバント要員で代打に送るべきでしょう!! 先発・ガンケルが7回1失点、10奪三振の好投だったのに、僅かなベンチの気の緩みが目につく試合だったのだ。さあ、次の広島戦。『自分たちは弱虎』を自覚して戦ってくれー!!
◆奥川の短期間での成長ぶりには、驚かされる。球の切れがよくなり、思ったところへ投げられている。この2試合とも、素晴らしい内容だ。 なにより、反省点を確実に修正しているところを、評価したい。 開幕当初は、追い込んでからの勝負球が高く、甘く入り、痛打された。そこに気を配り、両サイドへきっちり投げようという意識が、伝わってくる。この日、甘い球は2、3球しかなかった。 特に目を引いたのは、佐藤輝との対決だ。第1打席、カウント1-2から高めの釣り球で空振り三振に仕留めたのは、まさに狙い通りか。バッテリーを組んだ古賀とともに、スコアラーからの指示を実践できた結果だろう。下からすくいあげるようなスイングの佐藤輝に対しては、低めより、高めが有効。古賀がしっかり中腰に構え、奥川もそこへ強い速球を投げ込んだ。 第2打席も速球で押し込み、外角低めのフォークボールで二ゴロ。最後は5球すべて速球。しかも、内角中心に攻めて、力のない左飛。見ごたえのある投球だった。 まだプロ2年目。大事に育てるのは当然のことながら、正直なところ、中10日ではもったいない気もする。それほどの投手だ。(本紙専属評論家)
◆瞳にはうっすら光るものが見えた。ヤクルト・清水昇投手(24)が通算100試合目の登板でプロ初白星。かつて憧れた甲子園で、勝利の味をかみしめた。 「チームに昨年も今年も負けばかりつけていたので、やっと勝つことができてうれしいです」 八回、奥川の後を受けて2番手で登板した。先頭・梅野に左前打を許すも、小野寺のバントを捕ゴロ併殺打とし、最後は近本を149キロの直球で空振り三振。「奥川が頑張った部分もあるので、気持ちを引き継いだ」と後輩の好投を力とした。 人生の転機は帝京高3年夏の東東京大会決勝。二松学舎大付高に敗れ、聖地への夢はついえた。「ここまでやっても上がいるんだと感じて、まだまだ野球をやりたいと思った」。反骨心を胸に国学大ではひたすら投げ込み、2019年のドラフト1位でヤクルトに入団。勝利球は、プロ入り後苦しむ中でも支えてくれた両親に贈る。 「(両親に)やっと勝てましたと言いたい」。ヤクルトに必要不可欠な背番号17が、新たな一歩を踏み出した。 ◆通算100試合目でプロ初勝利を挙げた清水についてヤクルト・高津監督 「難しいところでいっぱい投げて、すごく大事な存在の一人として、2勝目を目指してほしい」
◆26歳の宮本が大仕事だ。1―1の九回2死満塁で代打出場し、守護神・スアレスが投じた160キロの直球を左前にはじき返して、決勝の2点打。一挙5得点の火付け役となり「勝負を懸けて出してもらった場面だったので、何とか結果を出したいと思って」と胸を張った。起用した高津監督は「速い球をしっかりスイングできるし、食らいついていく姿勢はチームに良い変化を与えてくれる」とたたえた。(甲子園)
<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
43 | 26 | 3 | 0.623 (↓0.009) | - (-) |
71 | 305 (+1) | 256 (+6) | 71 (+1) | 65 (-) |
0.253 (↓0.001) | 3.230 (↓0.04) |
2 (-) |
巨人 |
39 | 26 | 10 | 0.600 (↑0.006) | 2 (↑1) |
68 | 324 (+10) | 266 (+4) | 98 (+3) | 44 (-) |
0.255 (↑0.002) | 3.400 (↓0.01) |
3 (-) |
ヤクルト |
36 | 29 | 8 | 0.554 (↑0.007) | 5 (↑1) |
70 | 308 (+6) | 292 (+1) | 75 (+1) | 43 (-) |
0.250 (-) | 3.790 (↑0.04) |
4 (-) |
中日 |
28 | 36 | 10 | 0.438 (-) | 12.5 (↑0.5) |
69 | 218 (-) | 247 (-) | 40 (-) | 37 (-) |
0.239 (-) | 3.220 (-) |
5 (-) |
DeNA |
27 | 39 | 9 | 0.409 (-) | 14.5 (↑0.5) |
68 | 307 (-) | 365 (-) | 75 (-) | 15 (-) |
0.261 (-) | 4.710 (-) |
6 (-) |
広島 |
23 | 39 | 9 | 0.371 (↓0.006) | 16.5 (-) |
72 | 253 (+4) | 321 (+10) | 49 (+2) | 35 (-) |
0.260 (-) | 4.070 (↓0.09) |
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