中日(☆6対2★)阪神 =リーグ戦10回戦(2021.06.23)・バンテリンドーム=
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阪神
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中日
11000040X6811
勝利投手:福谷 浩司(4勝6敗0S)
敗戦投手:藤浪 晋太郎(3勝2敗0S)

本塁打
【阪神】佐藤 輝明(19号・6回表ソロ)
【中日】高橋 周平(5号・1回裏ソロ)

  DAZN
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◆中日は初回、高橋周のソロで先制に成功する。2-2で迎えた7回裏には、堂上の適時二塁打などで一挙4点を奪い、勝ち越しに成功した。投げては、先発・福谷が7回2失点の粘投で今季4勝目。敗れた阪神は、2番手・藤浪が振るわず、打線も序盤の好機を生かせなかった。

◆阪神は中日戦で○または△で、球宴前の勝ち越しが決まる。 金本知憲監督時代の17年に43勝36敗の貯金7で折り返して以来、4年ぶり(20年は新型コロナウイルスのため開催なし)。 ▼阪神がバンテリンドームでの同一カード3連戦で勝ち越せば、ナゴヤドーム時代の20年7月24~26日○●○以来。今季同球場では、4月29日、6月22日と2連勝中。同一年に3連勝となれば、18年4月18、19日、5月18日3連勝以来、3年ぶり。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、内角攻めに動じず5試合連続安打を放った。 4回先頭の第2打席。中日福谷に内角直球を2球続けられたが、平然と見送った。2ボールから少し中に入ってきた内角直球を強振しファウル。4球目の145キロ内角直球にはアジャストし、詰まりながらも中前へ運んだ。 その後無死一、三塁となって糸原の遊撃への併殺打の間にホームへかえり、5試合連続得点もマークした。 佐藤輝は2打席目を終えた時点で6月の月間打率を3割4分4厘。豪快な1発だけでなく率も残し、5番打者として欠かせない存在になっている。

◆中日は1回に高橋周の5号ソロで先制、2回にも桂の適時二塁打で1点を加点。中日先発福谷は3回を5安打無失点で切り抜けた。 阪神は4回無死一、三塁から糸原の併殺打の間に1点を返す。さらに6回、佐藤輝の19号ソロで同点に追いついた。 中日は7回に2番手藤浪を攻略、押し出し四球、堂上の適時二塁打で4点を勝ち越し、連敗を止めた。福谷は4勝、藤浪は2敗。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、6回1死無走者の第3打席で、中日福谷から2試合ぶりとなる今季19号ソロを放った。 カウント1-1から131キロチェンジアップを捉え、バックスクリーン右のスタンド最前列へ運んだ。「しっかり自分のスイングができました。同点に追いつくことができたので、ここから1点でも多く取って勝ちにつなげることができるように頑張ります」。プロ野球新人左打者では歴代2位の98年高橋由伸(巨人)の本塁打数に並んだ。 「子どもの頃に見ていた『巨人の天才バッター』というイメージの方」と印象を語っていた好打者の1年目に肩を並べ、さらに新人左打者では最多の46年大下弘(セネタース)の20本に1本差に迫った。右打者を含めた新人の最多は59年桑田武(大洋)86年清原和博(西武)の31本塁打となっている。 阪神の新人で19本塁打は、80年岡田彰布の18本を抜いて歴代2位。1位の69年田淵幸一の22本にあと3本となった。 母晶子さんの49歳の誕生日だった前日22日は、左翼フェンス最上部に直撃する特大二塁打。高さ4・8メートルの"バンテリンドームの壁"に阻まれ「バンテリンドームなので仕方ないです」と語っていた。この日は軽々と越え、同球場では4月27日に大野雄から7号ソロを放って以来2本目となった。 ▼佐藤輝が19号。新人で19本塁打以上は10年長野(巨人)以来19人目。左打者では1リーグ時代の46年に20本、98年に19本の高橋(巨人)に次いで3人目となり、2リーグ制後の新人左打者では高橋に並び最多。月別の本数は3月1本→4月6本→5月6本→6月6本とスランプがなく、チーム65試合目で19号は59年桑田(大洋)の58試合目に次ぐペース。桑田がマークした60試合で20号の最速記録には及ばないが、佐藤輝は何試合目で20本打つか。

◆阪神先発ラウル・アルカンタラ投手は6回2失点と試合を作った。初回は3番高橋周に先制ソロ、2回は8番桂に適時二塁打を浴びたが、中盤以降は無失点。6奪三振6安打1四球とゲームを安定させた。 勝ち負けはつかなかったが、3戦連続クオリティースタート(6回以上、自責点3以内)をクリア。「最初の2イニングは真っすぐの感覚があまり良くなかったけれど、そこから修正して、なんとか試合を作ることができた」と振り返った。

◆阪神4番大山悠輔内野手は美技に泣いた。 1回2死二塁で見逃し三振に倒れると、3回2死二、三塁では右中間への飛球を右翼加藤翔にダイビングキャッチされた。これで15打席連続ノーヒット。矢野監督は「もちろん4番だし、どうしても悠輔にいいところで回ってきて点が取れていないというのが原因の1つだと思う」とした上で、「あいつ自身も一生懸命やっている。(藤浪)晋太郎と一緒でそこはオレ自身が受け止めながら、どうしていくかを日々の中で考えていこうかなと思います」と力を込めた。

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が新人左打者では歴代2位の19本塁打を刻んだ。中日戦の6回に福谷から一時同点のソロ。98年の高橋由伸(巨人)に並んだ。6月は打率3割4分8厘、6本塁打、9打点。阪神の新人野手で史上初めて月間MVPに輝いた5月の打率を上回り、6試合を残して早くも本塁打数は並んだ。敗戦の中、2カ月連続の受賞を期待させる充実ぶりだ。チームは2位に5ゲーム差に迫られた。白球が高さ4・8メートルのフェンスを越えると、三塁ベンチ付近の虎党が拍手で沸いた。バックスクリーン右、中日ファンが座るスタンド最前列へ放り込む19号ソロ。佐藤輝はゆっくりとダイヤモンドを1周し、今季19回目の「Zポーズ」で盛り上げた。「しっかり自分のスイングができた」。短い言葉に力を込めた。 甘い球を確実に仕留められる。6回1死。中日福谷の131キロチェンジアップが浮いてきた。2回の第1打席も同じチェンジアップに少し崩されたが、しっかり捉えて右飛。今度はより踏ん張りを利かせ、上半身に力を伝えてスタンドまで運んだ。「同点に追いつけるホームランだったので良かったかな」。前日22日に放った左翼フェンス最上部直撃の二塁打を「バンテリンドームだから仕方ない」と表現した22歳。わずか1日で"前言撤回"した。 反省を生かし、同じ手には乗らない。そんなルーキーに矢野監督も「対応力があるし、それが本塁打になるのがテルの魅力。相手が本塁打を警戒した中で打ったのも価値があるし、安打じゃなく本塁打にしているのがらしさ」と賛辞を送った。 対応力に磨きをかけた6月は66打数23安打、打率3割4分8厘、6本塁打、9打点と打ちまくる。球団新人野手で初の月間MVPとなった5月は打率3割1厘、6本塁打、19打点。6月はまだ6試合残し、すでに本塁打は3カ月連続の6本に到達した。 「しっかり自分のスイングができている。調子が悪い時は自分から崩されていって...。そういう意味では、打ち損じっていうのは少なくなってきている」 確実に手応えを感じ、プロ野球史上初の新人2カ月連続月間MVP受賞に期待が高まる。 19本塁打は新人左打者では98年高橋由伸(巨人)と並んで歴代2位だが「ポジティブにとらえて、またやっていきたい」と早くも前を向く。「しっかり勝ち越して帰るのが一番大事。そこを目指して頑張ります」。昨季3勝9敗と鬼門のバンテリンドームでも、佐藤輝がいれば怖くない。【中野椋】 ▼佐藤輝が19号。新人で19本塁打以上は10年長野(巨人)以来19人目。左打者では1リーグ時代の46年に20本の大下(セネタース)98年に19本の高橋(巨人)に次いで3人目となり、2リーグ制後の新人左打者では高橋に並び最多。月別の本数は3月1本→4月6本→5月6本→6月6本とスランプがなく、チーム65試合目で19号は59年桑田(大洋)の58試合目に次ぐペース。桑田がマークした60試合で20号の最速記録には及ばないが、佐藤輝は何試合目で20本打つか。

◆阪神ドラフト8位石井大智投手は17日ぶりのマウンドで結果を出した。 4点を勝ち越された直後の7回2死二塁で登板し、6番溝脇を遊直に打ち取った。これで5月下旬に1軍再昇格後、5試合連続無失点。一時期の不調を脱し、ブルペン陣の力となっている。

◆中日先発の福谷浩司投手(30)が、12安打を浴びるも7回を無四球2失点に抑え、4勝目を挙げた。 12被安打以上での勝利投手は、両リーグを通じて今季初。球団では、04年4月3日の広島戦(ナゴヤドーム)で野口茂樹が6回12安打4失点で勝って以来、17年ぶりの粘り勝ちだった。 「あれだけ打たれて、むしろそれでも2点かというくらいの気持ちだった」 ヒットの雨を浴びても大崩れしなかった。「何本打たれても、気持ちは逃げない」。毎回の12安打で再三ピンチを背負ったが、失点は4回に併殺打の間に許した1点と、6回の佐藤輝の19号ソロだけ。要所を締めた気迫の投球に、ナインも奮起。安打性や長打性の当たりを野手が好捕するなど、バックにも助けられた。 2回は大島が好返球で走者を刺し、3回には加藤翔が右翼へのライナーをダイビングキャッチ。5回は中野の投安を一塁へ悪送球したが、二塁溝脇がカバーし、一走近本を本塁で刺した。「(野手には)感謝してもしきれないくらい」。同点でお役御免となった直後の7回の攻撃では、ビシエドの押し出し四球と堂上の3点二塁打で一挙4点を奪い、4勝目が届けられた。 負ければ首位阪神に今季最大の14ゲームをつけられた一戦で、開幕投手の意地を見せた。「勝ってかぶとの緒を締めよ、まさにその通りだと思います」。次戦での快投も約束した右腕の言葉は、24日に5カードぶりの勝ち越しを目指すチームへのエールにも聞こえた。【伊東大介】 ▽中日与田監督(粘り勝ちで連敗ストップ)「流れを相手に渡さない1つ1つのプレーでいい結果が出た。よく耐えた」 ▽中日加藤翔(4回にロッテから移籍後の本拠地初安打&初盗塁を決め、守備でも勝利に貢献)「まだまだ結果を出せていないので、1打席1打席を大事にしたい。(盗塁は)どんどん個数を増やしたい」

◆中日堂上直倫内野手が7回、ダメ押しの3点二塁打で勝利を決定づけた。 2回先頭で2点目を導く安打を放ち、1点を勝ち越した7回2死満塁で2番手藤浪の154キロ直球を右中間へ運んだ。「(藤浪は)ファームでも対戦があり、イメージはわきやすかった。コンパクトに、球の速さを利用できた」。名古屋北リトル時代からの感謝を胸に刻む男は、恩師の名前を記した帽子をお立ち台で掲げた。

◆7回に決勝の押し出し四球を選んだ中日ダヤン・ビシエド内野手(32)が、"神の手"も披露した。 4点リードの8回守備で、先頭中野の中野が放った一塁正面への打球がイレギュラーバウンド。とっさに素手の右手でキャッチし、ベースを踏んでアウトにした。「反応です。勝ちたい気持ちで自然に体が動いた。荒木コーチのノックのおかげ」とにっこり。昨季ゴールデングラブ賞を受賞した名手が、攻守で勝利をアシストした。

◆マウンドの19番が天を仰いだ。2-2で迎えた7回。阪神の2番手藤浪晋太郎投手(27)がのみ込まれた。 1ヒット、2四球で2死満塁とするとフルカウントから4番ビシエドへの7球目、156キロが外角へ。痛恨の押し出し四球で勝ち越し点を献上した。続く堂上には、右中間へ走者一掃の適時二塁打と勢いを止められず。この回一挙4失点でジ・エンド。ただ、矢野監督は「勝負にいった中での結果なんで、使っている俺の責任として受け止めている」と右腕を責めることはなかった。 時計の針を戻せば、つながらない打線が重い空気を作り出していた。初回から中盤まで毎回のように得点圏に走者を進めたが、序盤の得点は4回糸原の遊ゴロ併殺の間に奪った1点だけ。1番近本が3安打、2番中野が2安打を放ちながら、走者がかえってこない。3回2死二、三塁の場面では4番大山の右中間へ抜けようかという当たりを右翼手の加藤翔に横っ跳びでキャッチされて勢いをそがれた。 「かみ合ってないというところ。そういうところでもう1本出てないというのが点になってない」。中日よりも4安打多い12安打を放ちながら、わずか2得点。指揮官もさすがにもどかしさを隠せない。2回には1死一塁から7番糸原の中前打で、一塁走者サンズが三塁を狙ってタッチアウト。6回には糸原の二盗がリクエストでアウトになるなど2盗塁死、2走塁死と自慢の足も封じ込められた。 後方から足音と息づかいが聞こえている。勝利した2位巨人、ヤクルトとは5ゲーム差に縮まった。交流戦終了後の7ゲーム差から詰められている。トップを走り貯金19と大きく勝ち越していることに変わりはないが、2つの集団に分かれつつあるセ界のレース。気を緩めることは出来ない。【桝井聡】

◆阪神佐藤輝が、球界の新人左打者では歴代2位の19本塁打を刻んだ。6回に福谷の131キロチェンジアップをバックスクリーン右へ。98年の高橋由伸(巨人)に並んだ。「しっかり自分のスイングができた。同点に追いつけるホームランだったので良かったかな」。短い言葉に力を込めた。 対応力に磨きをかけた6月は、66打数23安打、打率3割4分8厘、6本塁打、9打点と打ちまくる。球団新人野手で初の月間MVPとなった5月は打率3割1厘、6本塁打、19打点。6月はまだ6試合を残し、すでに3カ月連続の6本塁打に到達した。 「しっかり自分のスイングができている。調子が悪い時は自分から崩されていって...。そういう意味では、打ち損じっていうのは少なくなってきている」 確実に手応えを感じ、プロ野球史上初の新人2カ月連続月間MVP受賞に期待が高まる。 新人左打者では歴代2位の98年高橋由伸(巨人)の本塁打数に並んだが「ポジティブにとらえて、またやっていきたい」と早くも前を向く。「しっかり勝ち越して帰るのが一番大事。そこを目指して頑張ります」。昨季3勝9敗と鬼門のバンテリンドームでも、佐藤輝がいれば怖くない。【中野椋】

◆虎の黄金ルーキーが、ひと振りで試合を振り出しに戻した。阪神は1-2の六回1死走者なしから、D1位・佐藤輝(近大)が中日先発・福谷の131キロのチェンジアップを一閃。打球を中堅右へと叩き込み、今季19号ソロで同点とした。 「しっかり自分のスイングができました。同点に追いつくことができたのでここから1点でも多くとって勝ちにつなげることができるように頑張ります」と力を込めた。 この一撃で、2リーグ制となった1950年以降の新人左打者最多本塁打となる98年の高橋由伸(巨人)の数字に並んだ。数々の歴史を塗り替える背番号8に、新たな勲章が加わった。

◆阪神は2番手の藤浪が勝負どころで打ち込まれて、中日に敗れた。痛い1敗となったが、1-2の六回1死走者なしで、D1位・佐藤輝(近大)が福谷の131キロのチェンジアップを捉え、中堅右へ今季19号ソロを放り込んだ。2試合ぶりとなるこの一発で、2リーグ制となった1950年以降の新人左打者で最多となる1998年の高橋由伸(巨人)に並んだ。 先発のアルカンタラは6回6安打2失点(自責1)と試合を作ったが、七回からバトンを受けた藤浪が同点の2死満塁から痛恨の押し出し四球、堂上の走者一掃の右越え3点二塁打を浴びた。藤浪は2/3回を2安打3四球4失点だった。

◆阪神は同点の七回に2番手の藤浪晋太郎投手(27)が押し出し四球と3点三塁打を浴びて、勝ち越しを許した。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り ーー―アルカンタラは珍しく序盤に失点した(6回6安打2失点) 「そういう傾向あるよね、ストライクどうしても取れるから。そういうところでストライク、ストライクって固まってしまう、やられるときはね。コントロール良いピッチャーってだいたいそういう傾向があるんだけど。めちゃくちゃ悪いってことじゃない。何かが悪かったというよりは、ちょっと味方がね、いいところで一本出えへんかった」 ーーヒットは出たが得点につながらなかった 「だからかみ合ってないというところで。そういうところで、もう1本出てないというのが点になってない」 ーー走塁死あったが、これはタイガースの野球 「いやいや。そんなん全然。藤本(コーチ)だってずっといい判断してくれているし、迷ったら行ってくれた方がいいし、今までも何個も助けてもらっていい判断しているんで。そんなん年間のなかで、そんなんもあるし。そんなんちゃんと俺が受け止めてやるだけのこと。全然それは」 ーー藤浪は四球が 「まあまあそれはある程度こっちも覚悟というか、まあその何が何でもゼロでという気持ちで投げたと思うし、こっちも出す側としてね。でも粘ってくれよというところで粘れなかったのが、もちろん満塁になったというのもあるし、そこは俺自身が受け止めて、あいつももちろん、悔しさとかをもってやってくれてるし、打たれたあとのバックアップもちゃんといってたし、やられっぱなしというより、そういうところまでしっかりやっているところを見ると勝負にいった中での結果なんで、使っている俺の責任として受け止めているし。あの回をどうするかというのは、今の現状で誰か出てきて欲しい部分でもある。それを受け止めています」 ーー佐藤輝が本塁打 「あれもフォークボールかなと思ったけど。ああいう球種もなんていうかな、狙うというかヤマを張るとか、そういう感じではない対応だと思うんだけど、対応力があるし、それが本塁打になるのがテルの魅力。相手が本塁打を警戒した中で打ったのも価値があるし、それが安打じゃなく本塁打にしているのがらしさかなと思います」 ーー大山が3試合無安打 「もちろん、4番だし、いいところで回ってきて点が取れてないというのが振り返っていく中での原因の一つだと思うし、あいつ自身も一生懸命にやっているし、晋太郎と一緒でそこは俺自身が受け止めながら、どうしていくかを日々の中で考えていこうかなと思います」

◆中日は七回の4得点で阪神を突き放した。与田剛監督(55)の主な一問一答は以下の通り。 ――守りで粘って勝ち越した 「溝脇のタッチプレーも素晴らしかったし、加藤が必死になって(ダイビングキャッチで)抑えてくれた。流れを渡さない、そういう一つ一つのプレーがいい結果になった」 ――桂も盗塁を2つ阻止した 「(六回、糸原の盗塁は)リクエストをしましたけど、ちょうど相手が下位打線のところで代打が出るかどうかという、いろんな場面だったので見事な仕事をしてくれた」 ――加藤のダイビング捕球は 「ダイビングもあったし、福谷の送球エラーのあとのカバリングも、正確な送球で。よく守ってくれた」 ――加藤は移籍後本拠地初安打で盗塁も。存在感は 「全ての部分で貢献してくれていますし、このところヒットが出てなかったので、試合前に『打てなくてすみません』ということを言っていたんですけど、日々、必死に取り組んでくれていますし、チームのために...という気持ちが良く出ているな、と思います」 ――七回は走者をためて4得点 「ひとつひとつの積み重ねでしたけど(四球を選んだ)孝介(福留)にしろビシエドにしろ、みんなそうですけど、つないでくれた。洋平(大島)のヒットも先頭・桂の四球もそう。相手投手(藤浪)が非常にいい投手だけに、粘るのは難しかったと思いますけど、よく耐えました」 ――堂上が走者一掃の二塁打 「あそこは本当に、最低でも何とか1点というところでしたけど、よく打ってくれた」 ――堂上は5試合連続で5番。ハマっている 「よくやってくれている。神宮で一時期、打撃の状態は悪くなりかけたが、よく練習もしていますし」 ――福谷は7回2失点 「安打が『12』。途中、雰囲気的に危うさがあったが、投手コーチがいいタイミングで(マウンドに)行ってくれて、福谷もいい形でスイッチが入ったというか、よく粘ってくれました」

◆大きく勝利を引き寄せる一打だった。中日の堂上は1点を勝ち越した直後の七回2死満塁から、藤浪の154キロの直球を右中間にはじき返す走者一掃の二塁打。「球が速いのでコンパクトに。2軍でも対戦があってイメージは湧きやすかった」と二塁ベース上で手をたたいた。 5番に入って5試合目。堅実な遊撃の守備に加え、打撃でも勝負強さを見せている。「自分のやっていることを試合で出せるか」と力を込めた。

◆2/3回を投げて4失点の藤浪にアドバイスを送るとすれば「一球一球を全力で投げる」ということだろう。本人も首脳陣もそしてファンの方も「それはわかっている」と思うだろうが、シーズン中とあって、フォームを修正する時期ではない。そうなると、やはり「集中して全力で投げる」という基本に戻るしかない。 同点の七回という状況で先頭打者に四球を与えた。1点もやれない状況で、いろいろと考えるだろうが、そういう時こそ次の打者への一球に集中するしかない。ボール自体は悪くはない。首脳陣が期待しているのは力で抑えること。コーナーに丁寧に投げることは求められていない。カウントが悪くなってもボールを置きにいかずに、投げきる。これしかないだろう。 右前打を許した大島も、四球を与えたビシエドも、初球は見逃しストライクだった。歩かせてしまった福留に対しても初球は空振りを奪った。この試合では好結果には直結しなかったが、今の藤浪にとって、いかにして1球目にストライクを取るか。修正ポイントとして、この一点にこだわってほしい。(本紙専属評論家)

◆選手とコーチ、全員の頭と体に染みついている積極性が、この夜ばかりは裏目に出た。12安打を積み上げたが、痛い走塁死が重なって2点のみ。リーグ戦再開後初の連勝を逃したが、試合後の矢野監督は胸を張った。 「いやいや。そんなん全然。藤本(三塁ベースコーチ)だって、ずっといい判断してくれているし、迷ったら俺は行ってくれた方がいいし、それは全然(問題ない)。今までも、何個も助けてもらって、いい判断してもらっているんで」 得点に直結するところだけに、試合に敗れれば目立つ。だが、どちらも相手に少しでも隙があれば、逆に今季の虎で何度も見てきた「好走塁」となった場面だった。 まずは0-1の二回一死一塁。糸原の中前打で一気に三塁を狙った一走・サンズが三塁で憤死した。今季の虎は、助っ人も全員がとにかく走る。だが、ここでは中堅・大島の的確なワンバウンド送球に刺された。 1-2の五回1死一塁では、近本にも憤死があった。D6位・中野(三菱自動車岡崎)のバント内野安打を処理した福谷が、一塁へ悪送球。白球は一塁側ファウルグラウンドの奥へ突き抜けて、転がっていった。三塁ベースコーチの視点では、たしかに〝はるか遠く〟に見えたはずだ。だが、一塁から一気に本塁を目指した近本は、滑り込むこともできずに本塁タッチアウトになった。 糸原、近本の盗塁死も含めると、4つのアウトを足で失った。だが、これまで何得点もこの戦い方で奪ってきた強い自負が、矢野虎にはある。 「そんなん、年間のなかで、そんなんもあるし。ちゃんと俺が受け止めてやるだけのこと。全然それは」 たまたま憤死が重なったことは、2軍監督時代から選手らに求め続けてきた「超積極的」な野球の、一つの側面でしかない。だから矢野監督は、次も行け、どんどん狙えと、迷わず背中を押し続ける。(長友孝輔)

◆明らかにガッカリしていた。ベンチに戻ってからも、藤浪はうなだれたままだった。2-2の七回に登板も押し出し四球、さらに走者一掃の二塁打。佐藤輝の同点弾で生まれた反撃ムードに、水を差してしまった。 「それ(四球)は、こっちも覚悟というか...。ゼロでという気持ちで投げたと思うし、勝負にいった中での結果なんで。使っている俺の責任として受け止めている」 矢野監督は、あえて責めることはなかった。 大きな拍手を受けてマウンドへ。だが、先頭の桂に四球。1死後、大島に156キロ直球を右前に運ばれると、昨年まで同僚だった代打・福留にも四球で1死満塁。高橋は見逃し三振に仕留めたが、ビシエドにフルカウントから投じた直球が外角に外れ、痛恨の押し出し四球。思わず天を仰いだが、まだ1点差。ここで踏ん張れば...。しかし、続く堂上に154キロ直球を右中間にはじき返され、走者一掃の二塁打。4点差に広げられたところで、降板した。1回もたず4失点だ。 昨季は先発で11試合に登板し、防御率4・43。しかし、救援では13試合で防御率2・35と好投して、復調のきっかけをつかんだ。今季は初の開幕投手に指名されたが、先発5試合で再調整を命じられて2軍へ。そんな中、中継ぎの岩崎が不調となり、再び救援に回った。「しっかりと結果を出したい」と前向きにとらえていたが、これで3試合連続失点。7試合目の中継ぎ登板で、先頭打者を打ち取れなかったのは5度(本塁打1本を含む)。短いイニングを任される救援投手としては致命的な数字だ。 指揮官は「あの回(七回)をどうするか。現状、誰か出てきてほしい部分でもある」と苦しい胸の内を明かした。このまま救援失格のらく印を押されてしまうのか-。チームにとっても、藤浪にとっても、踏ん張りどころだ。(三木建次)

◆わかっていたけど、大したルーキーや! 阪神は中日に2―6で敗戦。D1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が六回、2リーグ分立後の左打者としては1998年の巨人・高橋由伸に並び新人最多となる19号を放った。「(記録を)塗り替えることができれば」と話していたが、それにリーチをかける有言実行弾。球団記録でも単独2位に浮上や!! 拙攻に漏れるため息を歴史を刻む一発で吹き飛ばした。これまでも、これからも、口にした言葉は必ず実現する。佐藤輝が放った有言実行弾は悔しい敗戦にあって、虎党の溜飲を下げた。 「同点に追いつけるホームランが出て、よかったと思います」 1-2の六回1死。福谷の131キロチェンジアップを捉えた。快音を残し、白球は高さ4・8メートルのフェンスを越え、スタンドの中堅右へ。20日の巨人戦(甲子園)以来となる19号ソロは、試合を振り出しに戻す同点弾。この一発で1950年の2リーグ分立後では、98年に高橋由伸(巨人)がマークした新人左打者最多本塁打に並んだ。 名古屋遠征前には高橋由伸について「子どもの頃に見ていた『巨人の天才バッター』」と語り、その記録に触れて「自分のバッティングをして塗り替えることができればと思います」と意欲を示していた。まだ塗り替えてはいないが、早速〝リーチ〟をかけた。 これまでも有言実行を貫いてきた。3月のオープン戦では「ホームランが野球で一番面白い。譲れない」とドラフト制施行後、新人最多の6本塁打で新人初のオープン戦の〝ホームラン王〟に輝いた。そして、オープン戦でホームランを放った西武・高橋から交流戦前に「もう1本打ちたい」とおかわりを誓って、2本塁打を放った。 「おじいちゃん、おばあちゃんの前でホームランを」と気合十分だった仙台での楽天戦では、祖父母に届ける豪快アーチ。しかも「絶対打ちたい」と話していた楽天の田中将と早川から快音を響かせた。セ5球団で唯一、ホームランのなかった18日からの巨人戦前には「一番ほしいのはホームラン」といった直後に2試合連続弾。やると言ったことは、すべて成し遂げてきた。 ファンの期待に言葉と結果で応えるからこそ、誰もが規格外と認める。四回の第2打席は中前打で、今季22度目のマルチ安打を記録。12安打でわずか2得点の拙攻の中、両得点に絡み「打ち損じが少なくなってきている。自分のフォームがよくなってきている」とうなずいた。矢野監督も「相手が本塁打を警戒したなかで打ったのも、価値がある」と評価した。 2位で並ぶ巨人とヤクルトが勝ち、ゲーム差は6月9日以来となる「5」に縮まった。でも、心配はいらない。虎には有言実行の黄金ルーキーがいる。 「あした勝って、勝ち越して帰るのが一番大事。そこを目指して頑張っていきたい」 昨年12月の入団会見で3つの誓いを立てた。「巨人を倒して優勝。新人王になって、1年目から30本塁打」。すべて実現してみせる。佐藤輝の有言実行伝説は、まだまだ続く。(原田遼太郎)

◆何しとんねん藤浪! 何が虎のエースや! 何が将来の日本のエースや!! 独り相撲はもう見あきたわー!! ただ、俺の心の片隅にやっぱりあるんだよなあ。『藤浪晋太郎は怪物投手になれるはず』という捨て切れない夢のかけらが...。 1、2、2、2、2、2、1。これ、何か分かります? 本日、中日先発の福谷が毎回打たれたヒット数なのだ!! 立ち上がりから調子の悪さを自覚するように目がうつろ。それでも謙虚に、臆病に攻める投球(決して逃げることはしなかった)が7回2失点の勝利投手に結びついたのだ!! 『人のふり見てわが身』を学ぶか? 大勝負に出て、日本一に輝いた大阪桐蔭高時代の森友哉がマスクをかぶる西武に今季限定でレンタル移籍して大覚醒に懸けるか? 冗談でなく、その時が来ていると俺は思う!!

◆一気に記憶がよみがえった。阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が23日の中日戦(バンテリンドーム)で放った19号ソロの着弾点を見つめていて「自分も小学生のころ、スタンドのあの辺りで試合を見たなあ」と、いきなり思い出した。 愛知県出身の記者にとって、ナゴヤドームでの野球観戦は年に何度かの至福のときだった。中堅右あたりの外野スタンドに陣取ったあの日は巨人戦で、センターを守る松井秀喜さんの「55」と、ライトを守る高橋由伸さんの「24」の背中をジッと見つめていたのを覚えている。 竜党だったはずなのに、中日の選手のことは正直あまり覚えていなくて、その2人が打席に入ったときには「ここまでホームランが飛んできたらどうしよう...」とワクワクしていた。そんな記憶があったから、佐藤輝が新人年の高橋由伸氏に並んだ一発を〝そこ〟にほうり込んだのを見てゾクゾクして、もう大人なのにまたワクワクしてしまった。 勝手に調べてみると、松井氏が大卒1年目の佐藤輝の今季と〝同学年だった〟プロ5年目の1997年シーズンに放ったホームラン数は「37」だった。当時は135試合だったので、今季の143試合に換算すれば「39・2」。佐藤輝はここまで「41・8」本塁打ペースで、そこも超えられる勢いでアーチを架けている。 見つめるすべての人の記憶、あらゆる記録を掘り起こしながら突き進む。ものすごい選手が産声を上げる姿を間近で見ているのだなと、日々感じている。(長友孝輔)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
41222 0.651
(↓0.01)
-
(-)
78287
(+2)
231
(+6)
69
(+1)
60
(-)
0.255
(↑0.002
3.240
(↓0.04)
2
(-)
巨人
342510 0.576
(↑0.007)
5
(↑1)
74281
(+4)
247
(+2)
87
(+2)
42
(+1)
0.252
(↓0.001)
3.430
(↑0.03)
2
(-)
ヤクルト
34257 0.576
(↑0.007)
5
(↑1)
77287
(+8)
261
(+5)
68
(+1)
42
(-)
0.250
(↑0.001)
3.750
(-)
4
(-)
中日
27329 0.458
(↑0.01)
12
(↑1)
75200
(+6)
214
(+2)
38
(+1)
34
(+2)
0.238
(-)
3.030
(↑0.02)
5
(-)
広島
21358 0.375
(↓0.007)
16.5
(-)
79224
(+5)
284
(+8)
42
(-)
33
(-)
0.259
(↑0.001)
3.940
(↓0.02)
6
(-)
DeNA
22399 0.361
(↓0.006)
18
(-)
73281
(+2)
355
(+4)
68
(+1)
14
(-)
0.256
(-)
4.880
(↑0.01)