◆巨人は両軍無得点で迎えた5回表、廣岡のソロで先制に成功する。対する中日は1点を追う7回、1死二塁から大島の適時三塁打が飛び出し試合を振り出しに戻した。その後は中日が2投手、巨人は6投手の救援陣が得点を許さず、試合は規定により9回引き分けに終わった。

◆巨人岡本和真内野手（24）が、18年9月以来2度目の4戦連発に挑戦。 中日先発の大野雄とは通算40打席対戦し、35打数5安打、打率1割4分3厘で本塁打が0。苦手大野雄から初アーチを放って4戦連発を達成できるか。

◆昨季限りで現役を引退した元中日の吉見一起氏（36＝野球評論家）が人生初という始球式に挑んだ。同氏は、ポリウレタン製のマスクをはじめ医薬品製造販売会社と中日が主催するドラゴンズブルーのマスクを入場者がつけて行うイベント「DRAGONS BLUE WALL」の特命大使に就任。この日の試合前セレモニアルピッチ（始球式）に登板した。現役引退から約半年ぶりの本拠地マウンドにスーツ姿で登場。現役時代のようにコーナーをつくコントロールは披露できず、115キロの直球は打者役を務めたドアラの頭上を通過した。 中日は現在、借金6の5位とあえぐ。「今日はエース大野が帰ってくる。エースの存在は大きい。今日の試合次第で（順位は）グンと上がっていく」と、常勝時代にチームをけん引した元エース右腕が、古巣の逆襲を期待した。

◆巨人ベンチが思いがけない危険に襲われた。 5回2死一、二塁で打者は左打席に立った先発投手の畠世周投手（26）。中日大野雄に追い込まれてからの3球目だった。外角高め直球をカットすると打球は勢いよく味方巨人ナインが控える三塁側ベンチへ飛び込んだ。誰にも直撃してはいない模様だが、ウィーラーをはじめナインは危険を逃れ興奮気味だった。

◆中日大野雄大投手（32）が、17日ぶりの復帰マウンドでエースの貫禄を見せつけた。7回3安打6奪三振1失点。白星はならなかったが、上肢コンディショニング不良による戦線離脱のブランクは感じさせず、執念ドローに一役買った。 初回から最速150キロをマークするなど全開だった。梶谷、ウィーラー、丸を3者連続三振に斬ると、5回2死まで無安打無失点。前回4月13日の対戦でも被弾した広岡に先制2号ソロを浴びたが、7回はその広岡を2ナッシングと追い込み、被弾したツーシームで史上152人目の通算1000奪三振を奪った。 「1つめの坂本選手から取った三振。いまでも覚えている。フォークで三振を取った」。プロ初登板の11年10月14日の巨人戦。同学年の坂本から三振を奪ってから10年の道のりを思い起こした。189試合目での到達は中日では今中慎二氏（野球評論家）の186試合に次ぐスピード記録。19年のノーヒットノーランや、昨季の沢村賞受賞などとともに、竜の"新ドクターK"としてその名を刻んだ。 だがエースらしく、記録よりチームの先を見据える。「7回を投げられて、体も問題なく投げ切れて良かった。勝てれば一番よかったけど、マイナスばかりではない。巨人をあと一歩のところまで追い詰めていた」。チームは借金6で首位阪神に11ゲーム差の5位に沈む。だが、まだ100試合ある。エースの復活が、与田竜の大逆襲に勇気を与えたことは間違いない。【伊東大介】 ▼通算1000奪三振＝大野雄（中日）　21日の巨人9回戦（バンテリンドーム）の7回、広岡を見逃し三振に仕留めて達成。プロ野球152人目。初奪三振は11年10月14日の巨人22回戦（東京ドーム）で坂本から。

◆巨人の守護神が戻ってきた。ルビー・デラロサ投手（32）が同点の9回に4月14日以来約1カ月ぶりに登板した。先頭の中日阿部に二塁への内野安打を許すも、続く代打三ツ俣への直球は153キロをマークした。この球で犠打を決められ1死二塁。7回に二塁打を放っている左打者の根尾を打席に迎えたところでマウンドを退いた。わずか4球の復帰登板となった。 今季はこの試合を合わせて7試合に登板し、5セーブ、防御率0・00をマークしている守護神。米国の市民権取得手続きによる渡米から3日に再来日し、自主隔離をへて18日から1軍練習に参加。この日に1軍昇格を果たしていた。

◆中日先発大野雄大は初回3者三振で3回まで無安打無失点。巨人先発畠も初回福田の二塁打だけで、3回1安打無失点と好投した。 巨人は5回に広岡の2号ソロで先制したが、中日は7回に同点に。大野雄は通算1000奪三振を記録し、7回1失点で降板した。 中日は0－1の7回、大島の適時三塁打で同点。その後は両軍投手陣が踏ん張り、9回規定により引き分けた。

◆巨人は勝てなかった。だが、負けなかった。同点の9回、1軍復帰したデラロサ、大江、桜井と3投手を惜しげもなく投入。2死満塁のサヨナラ負けのピンチをしのぎ、中日に11残塁を積み上げさせて引き分けた。9回2死二塁、打者大島の場面ではマウンドに足を運んでから申告敬遠を告げるなど、積極采配で価値あるドローに持ち込んだ原監督は試合後、両手を真横に広げて足を前後に置いて綱渡りをするジェスチャーを披露。「1点で引き分けるのは簡単ではない。もう少し（4安打の）打線が何とかというところはあるけどね」と振り返った。 守護神の復帰が、執念の継投策を可能にした。延長戦がない今季の最終回となる9回を託せるデラロサが、4月15日以来となる1軍昇格。8回までの継投プランを練られれば、勝率を高められる状況が整った。 だからこそ迷わずカードを切った。先発畠が7回1死二塁から大島に同点の適時三塁打を浴びると、左の京田に左の高梨を投入して空振り三振。続く右の福田には右の鍵谷を送り、二者連続の空振り三振。デラロサ不在時は終盤でフル回転させざるを得なかった2人を中盤の勝負どころでの「1人1殺」で起用し、傾きかけた流れを引き戻した。 デラロサは久々の実戦を考慮し右打者2人で降板させたが、今後も守護神起用で本調子へと近づけていく方針。1カ月ぶりによみがえった「8回中川、9回デラロサ」の方程式を引っ提げ、4・5ゲーム差の首位阪神を追う。【浜本卓也】 ▽巨人畠（6回1／3を7安打1失点も3勝目はならず）「意図した球を多く投げることができた。ただ7回は粘りたかった。状況を踏まえてもう少し冷静に投球できれば良かった」

◆巨人の守護神ルビー・デラロサ投手が約1カ月ぶりに復帰した。同点の9回に5番手で登板し、1／3回を1安打無失点。内野安打と犠打で1死二塁で大江にバトンをつないだ。 米国の市民権取得手続きによる一時帰国から3日に再来日。自主隔離を経て、この日1軍昇格した。最速153キロをマークし「1カ月離れていたのを感じないくらい、状態は良かった」と手応えを口にした。

◆中日根尾昂内野手のプロ初となる代打安打から同点に追いついた。 1点を追う7回1死、大野雄の代打で右翼線二塁打。大島の左翼線への適時三塁打で同点のホームを踏むと、エース左腕に笑顔で迎えられた。根尾は「詰まりながらフェアゾーンに落ちた。しっかり振り切った結果かな」と笑顔。左翼ウィーラーに捕球されるかと思いきや、幸運な同点打を決めた大島も「いいところに落ちてくれた」と喜んだ。

◆巨人・広岡大志内野手（２４）が「６番・遊撃」で先発し、チーム初安打となる先制の２号ソロを放った。 　五回２死。ここまで無安打投球を続けていた中日先発左腕・大野雄の初球を完璧に捉え、大きな放物線を描いて左中間席まで運んだ。「追い込まれると厳しい投手なので、若いカウントの打てるボールを打ち損じしないように意識した。ボールを選択しながらしっかりとスイングできて手応えも良かった」と振り返った。 　４月１３日（東京ドーム）にも大野雄から一発を放っており、今季２本目。４月２５日の広島戦（東京ドーム）以来のスタメンで"大野雄キラー"ぶりを発揮し、起用に応えた。

◆両チームとも決め手を欠き、引き分けた。巨人は五回、広岡の２号ソロで先制。追い付かれた後の終盤は救援陣６人を起用して勝ち越し点を許さなかった。七回に大島の三塁打で追い付いた中日は九回２死満塁をつぶすなど１１残塁。

◆巨人・原辰徳監督（６２）は七回途中から救援６投手を投入する"マシンガン継投"で逆転負けを許さなかった。 　１点リードで迎えた七回に、先発の畠が大島に適時三塁打を許して同点とされると、代わった高梨、鍵谷が連続で三振を奪ってピンチを脱出。八回は中川が３者凡退に封じた。 　同点の九回は守護神のデラロサが約１カ月ぶりに登板したが、安打と犠打で１死二塁となったところで大江に交代。１死を奪うもピンチは２死満塁に拡大。ここで７番手の桜井が福田を左飛に仕留め、ドローで持ちこたえた。 　原監督は報道陣の前で綱渡りのようなポーズを見せ、「１点で、同点で引き分けるのはやっぱり簡単ではないよね」と苦笑いした。「もう少し打線が何とかというところはあるけどね」と振り返った。

◆２位・巨人はスタメン起用された広岡大志内野手（２４）が五回、中日・大野雄から先制の２号ソロを放った。七回に同点に追いつかれると、そこから救援７投手をつぎ込む"マシンガン継投"でドローで持ちこたえた。原辰徳監督（６２）の主な一問一答は以下の通り。－－最終回は３投手でピンチを切り抜けた 　「そうですね（両手を広げて右足を前に、左足を後ろにする綱渡りのようなポーズを見せる）」 　－－七回も高梨、鍵谷がピンチを切り抜けた 　「やっぱり１点で、同点で引き分けるというのはやっぱり簡単ではないよね。もう少し打線が何とかというところはあるけどね」 　－－広岡が２号ソロ 　「いいところが出ましたね」 　－－今季１号も大野雄から打った期待もあって遊撃でスタメン起用したのか 　「ちょっと、若（若林）が少々、コンディションが疲れているのか、技術がないのか、分かりませんけど。でも、広岡は守備の方もよかったですよね」 　－－デラロサは久々の実戦 　「次は１イニングは放れると思いますよ」 　－－右２人（で交代）と最初から決めていたのか 　「そうですね」 　－－畠は七回途中１失点 　「いいピッチングですね。やはり七回というのは難しいのかね。七回、あるいは八回、きれいな（イニング先頭の）マウンドで渡すのが理想ですよね。しかし徐々に成長していると思います」

◆中日は九回のサヨナラの好機を生かせなかった。２死一、二塁から京田への代打福留が四球でつないだが、３番の福田が左飛に倒れた。 　０－１の七回は代打根尾の二塁打を足掛かりに大島の三塁打で同点とした。それでも試合を通じてあと一本が出ず、残塁は３試合続けての２桁となる１１。与田監督は「（打線は）良くなっている。いつも思い通りになる訳ではない」と気丈に話した。

◆沢村賞投手の失投を迷いなく振り抜いた。巨人・広岡大志内野手（２４）が五回２死、中日先発の大野雄から、先制の２号ソロを放った。 　「追い込まれる前の甘い球をしっかり一発で仕留められるようにと思って打席に入った。いい手応えだった」 　真ん中に入ったツーシームを捉えた打球は、左中間席に飛び込んだ。豪快な一発で、４月２５日以来のスタメン起用に応えた。 　開幕前に田口とのトレードでヤクルトから加入した２４歳は、同１３日の中日戦の１号に続き、２発とも大野雄から。"キラー"ぶりを発揮した。 　主将の坂本が右手親指の骨折で離脱中。将来性豊かな右打者の一撃で試合の主導権を握ったが、七回１死二塁で左翼手・ウィーラーが大島の飛球を落球した。これで同点とされ、チームは今季７度目の引き分け。原監督は広岡の一発に「いいところが出ましたね」と目尻を下げながらも、「もう少し打線がね」と４安打に終わった攻撃陣の奮起を促した。 　「チャンスが来たときに結果を残せるように常に準備するだけ」と広岡。遊撃手が固定できていないチーム状況で、大きなインパクトを残した。（樋口航）

◆２位・巨人は二回の丸佳浩外野手（３２）の４号ソロで先制し、三回に岡本和真内野手（２４）が１２号３ランを放って序盤から主導権を握った。投げてはエンジェル・サンチェス投手（３１）が７回８安打２失点で４勝目。終盤に１点差に詰め寄られたが、八、九回は連日の"マシンガン継投"で切り抜けた。原辰徳監督（６２）が振り返る。 　－－九回、鍵谷、高梨が連続三振を奪って逃げ切った 　「めちゃくちゃ大きいよね。まあ、勝ち越させなかったというところに（価値がある）ね（綱渡りポーズでおどける」 　－－序盤は丸、岡本の本塁打で主導権を握った 　「丸も良かったし、和真も大きかった。それをしっかり守った。（丸は６番から３番となり）今日、形はすごくよかったように見えましたね」 　－－吉川を３番に起用 「今一番調子がいいでしょうね」 　－－サンチェス 　「うーん、まあ、あの要所要所で頑張って（抑えた）。調子そのものは上がり調子ではあると思っています。７回を投げ切ってくれたからね。６回何分の何（イニングの途中）じゃなくてね」 　－－岡本 　「ねえ、すごいホームランですね。ちょっとドラゴンズ戦ではなかなか３番、４番が機能していなかったというところもある。非常にいいホームランだった。低いボールをパワーのある人は打てるというのは大きな、ね。低めのボールを狙っておくっていうのはすごく大事なことだと思いますね」 　－－リードの八回に戸根を投入 　「何とかリリーフ陣の過多にならないようにね、（戸根が）とても調子が良かったので、何とかそこに入れたかった。ピッチングコーチには嫌な思いをさせたかもしれないけど、今謝りました。何とか戸根を、と思ったんですけど、ピッチングコーチの言う通りにしておけば良かったというのは反省ではありますね。僕が逆らった」