阪神(☆3対1★)ヤクルト =リーグ戦9回戦(2021.05.19)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:西 純矢(1勝0敗0S)
(セーブ:スアレス(1勝0敗13S))
敗戦投手:田口 麗斗(1勝3敗0S)

本塁打
【阪神】近本 光司(3号・5回裏ソロ),サンズ(10号・8回裏ソロ)

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◆阪神は5回裏、近本のソロが飛び出し、先制に成功する。1点リードで迎えた8回にはサンズがソロを放ち、貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・西純が5回無安打無失点の好投でプロ初勝利。敗れたヤクルトは、先発・田口が試合をつくるも、打線が3安打1得点と沈黙した。

◆田口麗斗投手(25)がヤクルト移籍後初めて甲子園球場で登板。巨人時代の田口は同球場で通算5勝1敗の防御率2・04。 黒星は甲子園球場初登板の15年4月18日だけで、プロ初完投勝利を挙げた16年4月27日から5連勝中。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が阪神ヤクルト9回戦のライブ評論を行います。18日のカード初戦を大敗した阪神は、19年ドラフト1位西純矢投手(19)がプロ初登板初先発します。ヤクルトはリーグトップ12本塁打の村上宗隆内野手(21)が4番の貫禄を示せるか。両チームの注目プレーを随時、解説します。

◆高卒2年目の阪神及川雅貴投手(20)が、プロ初めて1軍に合流した。この日は同期入団の西純矢投手(19)がプロ初先発予定。19年のドラフト1位&ドラフト3位が、そろって甲子園に姿を見せた。「やっぱり純矢(西)は良いライバルでもありますし、同級生として切磋琢磨(せっさたくま)してやってきたので、そういった意味では同じ日に昇格できて良かったと思いますし、一緒に頑張っていきたいです」。及川は今季ウエスタン・リーグで5試合に先発し、計26回1/3を9失点(自責8)、防御率2・73の成績を残している。「先発でもリリーフでも、1球1球全力で自分の球を投げるだけだと思っているので、頑張っていきたいです」と意気込んだ。 また、ルーキーのドラフト8位石井大智投手(23)、斎藤友貴哉投手(26)も甲子園での試合前練習に参加した。1軍再昇格となった石井大は「一番はストライク先行というところで、無駄な球をなくして、しっかり意図のある球を投げることに集中して頑張りたいと思っています」。今季初昇格の斎藤は「先発でもリリーフでもやってきたことは変わらないですし、自分のピッチングを出すだけ」と気合を入れた。 前日18日ヤクルト戦では小野、守屋、桑原の3人が計9失点と炎上。矢野監督は試合後に1、2軍の入れ替えについて「うん、もちろん」と話しており、中継ぎ要員の投手計6人が入れ替わる形となった。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が阪神ヤクルト9回戦のライブ評論しています。プロ初先発の阪神西純矢投手の立ち上がりを解説した。-阪神の先発西純の立ち上がりは 真弓氏 先頭打者から、2つ四球を与えた。コースを狙いすぎているように見えた。私の経験からいうと、若い投手はガムシャラに投げるから、真ん中にきたり、ボールになったりする。逆球があったりね。だから打ちづらい。西純は、3番山田を迎えてから、いい意味で開き直れた。村上もそうだが、真っすぐのコースは甘かったが、ファウルになっていた。しっかりと腕が振れているので、球威はある。 -阪神は初回に近本が出塁したが、無得点に終わった 真弓氏 近本はカーブを見逃した後の2球目の直球を一発でしとめた。不調時ならファウルになっていただろう。状態がいいということだ。しかし2番中野のところで、盗塁など何か仕掛けたかった。前日に本塁打を放ったロハスは、3球目の甘いストレートを見逃したのが痛かった。内角に偏った配球だったので、ヤクルトのバッテリーも内を突けば、抑えられる意図があったのだろう。満塁のチャンスだったので、ロハスにはもう少し積極的に振って欲しかった。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が阪神ヤクルト9回戦のライブ評論しています。-ヤクルト田口は3回を無失点 真弓氏 初回の満塁をしのいで、立ち直った。対戦する打者にすれば、きっちりとコースを狙って投げてくる投手だけに、内角のスライダーを打ちにいくか、いかないかになる。打たないとなれば、外角の真っすぐしかない。球のキレもいいので、狙いを絞っていかないと。カーブは序盤では数多く投げていないので、頭に入れなくていいだろう。ただし、カーブが入り始めると厄介になる。 -西純は4回に4番村上に左翼フェンスぎりぎりのフライと打たれた 真弓氏 前の3球はすべて変化球だった。最後の真っすぐは、頭に入っていただろうが、差し込まれた。その前を打った山田に対してはカウント1-1からスライダーが逆球で内角に入った。止めたバットに当たって、投ゴロ。山田もこのコースは頭になかっただろう。逆球だから。これが若い投手の打ちづらさだ。

◆阪神近本光司外野手(26)が先制ソロを放ち、高卒2年目の西純矢投手(19)にプロ初勝利の権利をプレゼントした。 西純はプロ初登板初先発で5回無安打無失点と快投し、5回裏に代打を送られた。両チーム無得点で迎えた5回裏1死、1番近本が右翼ポール際に3号を届かせた。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が阪神ヤクルト9回戦のライブ評論しています。-西純は5回を無安打無失点でデビュー戦を終えた。球数は87球 真弓氏 首脳陣は100球の球数をメドにしていただろうし、5回裏に打席が回ってくることを考えれば、降板もうなずける。ヒットも打たれていないし、次の登板もあるだろう。ただ課題を挙げれば、ストライクを取るボールにもう少し自信をもたないと。やはりストライクが先行しないと、苦しくなる。外角なら手を出してこないから、ストライクを取りにいっても大丈夫だ、というふうに、ストライクのとり方を覚えていかないといけない。3ボールからヤクルトの打者もファウルでしとめられず、ヒットは打たれなかったんだ。それを早いカウントからやれたらいい。

◆プロ初先発となった阪神西純矢投手(19)が、5回無安打無失点デビューを果たした。4四球を出しながらもヤクルト打線を抑えこむと、5回裏に近本のソロ本塁打が飛び出し、勝利投手の権利を手にして降板した。10代投手の初登板初勝利となれば、史上4人目の快挙となる。 初回、先頭の山崎から連続四球を与えて、いきなり無死一、二塁。遊撃手の山本がすかさずマウンドに駆け寄ると、こわばった表情を少し緩めた。迎えた3番山田は145キロ直球で押し込み二飛。4番村上にはファウルで粘られながら、8球目に中飛に打ち取った。5番オスナはフルカウントから外角低めに直球を決めて見逃し三振。主軸3人との真っ向勝負に勝つと、力強く手をたたいた。 大きなピンチを乗り越えた後は、徐々にカーブやスライダーの変化球も決まり出し、気づけば5回まで無安打投球。4回1死から村上に左翼フェンス際への大飛球を浴びるも、左翼手サンズが好捕。この回を終えると、ベンチに戻るサンズを最後まで待ち、笑顔で感謝のグラブタッチを交わした。 「初めての1軍での登板なので、緊張はすると思いますが、その中でしっかり自分の投球ができるように頑張ります」と意気込んでいたデビュー戦で、持ち味を存分に発揮した。

◆阪神元監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が阪神ヤクルト9回戦のライブ評論しています。-近本が5回に先制ソロ、7回にも2点目のタイムリーと好調だ 真弓氏 カーブを引っ張って一、二塁間を破った。不調だった開幕当初は、大事にセンター方向に打とうとして、遊ゴロになっていただろう。体が泳がされるような球に対し、ヘッドを返さずにうまく打とうとすると、打球は弱くなる。しっかりとヘッドを返すことで、強い打球が打てる。近本は吹っ切れて、一、二塁間への引っ張りの打球が打てるようになってから、ヒットが増えた。次の中野の打席で、近本が盗塁をしかけたが、ヤクルトの捕手中村は二塁に投げるべきではなかった。遊撃のベースカバーを遅れていたし、走者が近本であることを考えれば、痛いミスだ。

◆阪神西純矢投手(19)が、5回無安打無失点デビューを果たしプロ初勝利を挙げた。

◆序盤3回まで、両チームともに無得点。プロ初登板初先発の阪神西純矢は初回2死一、二塁のピンチを背負うも、中軸を抑えた。 西純は5回を被安打ゼロの無失点で投げ終え、マウンドを降りた。5回裏、阪神が近本の3号ソロで1点を先制した。 阪神は7回に2点目を追加。ヤクルトは8回に中村の適時打で1点差に迫るも、反撃もそこまで。阪神西純がプロ初勝利、スアレスは13セーブ目。ヤクルト田口は3敗目。

◆阪神が接戦を制した。プロ初登板初先発の西純矢投手(19)が5回無安打無失点の好投。西純は立ち上がり、制球に苦しみ、1、2番に連続四球で無死一、二塁のピンチを背負った。だが山田哲人内野手(28)から始まる中軸を抑え、無失点で切り抜けた。2回も先頭の青木宣親外野手(39)を四球で歩かせたが、併殺などで無失点。3、4回は3人で片付け、5回でマウンドを降りた。 均衡を破ったのは、近本光司外野手(26)の一振り。5回1死でヤクルト田口麗斗投手(25)のフォークを捉え、右翼スタンドへ先制の3号ソロ。西純に勝ちをつける千金弾となった。 6回からは馬場皐輔投手(26)が登板。1番から始まるヤクルト打線を6、7回と3人ずつで完璧に封じた。投手陣の力投に応えるように、打線は7回に追加点。1死一、三塁で一塁走者の近本が二盗を仕掛け、防ごうとしたヤクルト中村悠平捕手(30)が二塁へ悪送球。ボールが中前に抜ける間に、三塁走者が2点目のホームを踏んだ。 8回からは岩崎優投手(29)が登板。2死から代打の西浦直亨内野手(30)に初安打を許し、一、三塁から中村に適時打を打たれて1点差に迫られた。だが8回にジェリー・サンズ外野手(33)が10号ソロで、貴重な3点目のソロ。9回はロベルト・スアレス投手(30)が締め、ヤクルトを振りきった。

◆阪神がヤクルトとの接戦を制した。プロ初登板初先発で5回を無安打無失点と好投の西純矢投手(19)と、3号先制弾の近本光司外野手(26)がお立ち台に上がった。 -3安打猛打賞、そして5回は見事なホームランでした 近本 最高です。 -後輩の西投手が点を与えず、懸命に投げていた。センターの守備位置から見て、どうだったか 近本 そうですね。初先発でロッカーとかで緊張してたんで、今日、どうなんかなと思っていたんですけど。初回とか結構厳しいなと思ったんですけど、本当に踏ん張ってくれて今日の試合勝ててよかったなと思います。 -あのホームランの場面。西純矢投手に代打が送られた直後の打席。どんな気持ちで 近本 そうですね。純矢も本当に頑張って投げて、5回までゼロで抑えてくれていたんで、なんとしてもここは1本、なんとしても塁に出て、という気持ちで打席に入りました。 -結果は見事なホームラン。あの一打で後輩にプロ初勝利がついた 近本 よかったです。 -頼りになる後輩がチームに加わった 近本 そうですね。だんだんぼくの下のね、子が増えてきているんで、ぼくももうちょっと引っ張っていけるようにやっていきたいです。 -初勝利を挙げた西純矢投手。ナイスピッチング 西純 ありとうございます。 -1軍の舞台で初登板、初先発、初勝利までついた 西純 本当に初回は緊張してどうなるかなと思ったんですけど、しっかりとあきらめずに投げて、近本さんとか他の先輩がたが助けてくれた勝利かなと思っています -初回、まっさらなマウンド。緊張したか 西純 心臓が飛び出るくらい緊張しました -終わってみれば、初登板で5回までノーヒットピッチング。内容はどうか 西純 いや、本当に運がよかったなと思っています。 -代打が送られた直後、近本選手がホームラン 西純 本当にかっこよかったです。 -高校時代に立っていた甲子園のマウンドは 西純 すごい甲子園は投げやすくて、よかったと思います。 -今、他球団ではかつてのライバル、同級生が活躍。刺激になっているか 西純 そうですね。みんな頑張ってて。自分も置いて行かれないようにずっと頑張ろうと思ってやってきて、そういう思いでやりました。 -ウイニングボールはもらったか 西純 はい、もらいました。 -どうする? 西純 あの、母にあげたいなと思います。 -初のお立ち台。ファンへの自己紹介とどんな投手になりたいか、決意を 西純 2年目の西純矢です。もっともっとフォアボールを減らして、圧倒的なピッチングができるようなピッチャーになります。よろしくお願いします。

◆ヤクルトの連勝が3で止まった。8回2死まで無安打。代打西浦の中前打から3連打で1点取るも、追いつけなかった。18日に15安打14得点の打線が一変、3安打に沈黙。高津監督は阪神先発の西純から先制できなかった打線を悔やんだ。 高津監督の試合後の主な一問一答は次の通り。 ? -先制したかった 高津監督 初回もらったチャンスというか、あそこで哲人以下、1本出ていたら変わっていたんでしょうけども、初めて対戦するピッチャーで、難しいところがあったのかもしれないですけど。 -3回の攻撃前に円陣を組んでいた 高津監督 バッティングコーチがいろいろな指示を出したんですけどね。 -阪神西純の投球は 高津監督 すごく高いレベルで、真っすぐの質であったり、変化球であったり、コントロールを乱すところはあったんですけど。他のチームのことを言うのもあれだけど、すごくさすがだなというか。これから本当に野球界としては、そういう選手が出てきたのはすごいことなのかなと思います。 -ばらけているところが打ちづらそう 高津監督 ちょっと絞り切れなかったのは間違いないでしょうね。さっきも言いましたけど、初めて対戦するので、球筋もよく分からないですし、いろんな対策はしたんですけども、うまくいかなかったというところですね。 -18日は良い形で勝った分、悔しい結果 高津監督 確かにそうですね。昨日あれだけ打って、点取って、今日はやっぱり先に点を取って、いい展開で試合を進めることがすごく大事だと思っていたので、先発ピッチャーにあそこまで押さえ込まれたというのは、ちょっと反省するところですね。 -点が取られない中で先発田口が粘った 高津監督 しっかりゲームを作ることのできるピッチャーだと思います。しっかり粘れるし、駆け引きとか勝負勘というところはすごく持ったピッチャーだと思いますね。

◆阪神西純矢投手(19)が、5回無安打無失点デビューを果たしプロ初勝利を挙げた。 矢野監督の一問一答は以下の通り。 ? -プロ初登板の西純は5回無失点 矢野監督 うん、まあね、5回ゼロというのは100点だと思うし、勝ちがついたというね、ところも含めて。俺もいろんな初登板のピッチャー受けてきたけど、よくあるのはストライクが入らないという、緊張もあるから。そういうふうなピッチャーもたくさん受けてきた。その中で結果ゼロで帰ってきたというところにアイツの何かこう勝ち運というか、気持ちの部分で切り替えたり攻めていく気持ちというのがあるのかなというふうには思えた。 -4回から投球にも工夫 矢野監督 前半は工夫できるような投球じゃなかったからね。中盤からはそうやって、あいつ自身も緊張がほぐれたり、そういうふうに抑えられたというところも収穫。でも、純矢のプラス的に言うと初対戦という有利さというか、そういうのはもちろんあったと思う。あとは、奥川や佐々木や宮城やあの年代にいいピッチャーがいっぱいいるから。そういうところのいいライバルを励みにして、またやっていける登板になったと思う。 -来週以降については、また考えてからになる 矢野監督 うん、そうやね。 -2番手の馬場も好投 矢野監督 いやあ、馬場は助かったね。純矢ももちろん5回とか、結果的に投げてくれて想定以上に頑張ってくれたけど。馬場の内容を見ていたらもう1回いけるなっていうぐらいテンポ良く抑えてくれた。あれが俺の中でもMVPというか、大きな働きだったと思っている。 -近本が役割を果たした 矢野監督 そうやね。複数安打がだいぶ出るようになってきたし、今日も3本打って、まあ1カ月ちょっとだいぶ苦しかったと思うけど、でもそこを乗り越えて。この2年間見ていても固め打ちできる選手なんで。まあ、そういうところではチカがポイントゲッターになってくれたりチャンスメークだったりしてくれるというのはチームの勢い、リズム的にも大きい。そういうところでは今日もやってくれたし。どうしても数字が気になるんで、そういうところでは数字もだいぶ上がってきて落ち着いて出来る内容になってきたんで、まあタイガースの野球は出来ていけるかなという感じになってきた。 -糸原は10日以上はかかるか 矢野監督 まあそうやね。無理させてもより悪くなる可能性もあるし。まあここまで数字的にもケントはよく引っ張っていってくれていたし、試合出ても、出なくてもすごい声だしてくれてチーム引っ張ってくれていたから抹消というのは残念なんやけど、これからのこと考えると、今のうちにというところで。早く戻って来てくれるに越したことはないけど、治すということを考えると、ちょっと時間かかるかなと思っています。

◆阪神にまた1人、新星が輝きを放った。西純矢投手(19)が5回無安打無失点の快投でデビュー戦勝利を飾った。威力ある真っすぐでヤクルト打線を圧倒。阪神のドラフト最上位入団の投手がプロ初先発で白星を挙げたのは、球団初の快挙だった。「高校四天王」の一角として甲子園を沸かせた19年ドラフト1位右腕が猛虎史に1ページを記し、2位巨人に再び4・5差。会心の首位固めナイトだ。西純はひとたびマウンドに上がると、強気に直球をビシビシと投げ込む。この日も7割近くが直球だった。そんな西純も、マウンドを降りれば優しい好青年になる。 昨年11月、宮崎でのフェニックス・リーグ。ある球場のサブグラウンドでウオーミングアップをしていると、グラウンドの外で幼稚園児たちが散歩をしていた。ネット越しに声援を送り、ある園児がカエルを捕まえてナインに見せてきた。一同が苦笑いする一方、西純だけは優しく「すごいね!」と笑顔で対応した。腰をかがめ、うなずきながら同じ目線で園児と話した。優しい一面に同学年の及川も「純矢はマウンドに上がったら性格が変わるのに」と、そのギャップに目を丸くしていた。 ウイニングボールを手にした西純は、きっと腰を低くして「みなさんのおかげです」と、心の底から感謝しているだろう。謙虚で向上心旺盛。未来が楽しみだ。【前阪神担当 只松憲】

◆僕も西純のために。阪神ジェリー・サンズ外野手がリードを2点に広げる10号ソロで、奮闘する投手陣を援護した。 1点差に迫られた8回、坂本の初球、147キロ速球を捉えて左中間スタンドに放り込んだ。「先発の西(純)をはじめ、ピッチャーがみんないい仕事をしてくれていたし、最後にはスアレスというパーフェクトなリリーバーがいるから、あそこで1点追加して良い展開にすることができてよかったよ。チームみんなの勝利だね」。攻守の助け合いを強調した。

◆純矢のために! 同じドラフト1位の先輩が、後輩へ大きなプレゼントを贈った。0-0の5回裏。無安打無失点ピッチの先発西純に代打が送られた直後だった。1死から近本光司外野手(26)がバット振り抜くと、打球は大きな放物線を描いた。「切れるかな...」。心配をよそに、吸い込まれるように右翼ポール際へ着弾した。 「純矢も本当に頑張って投げて、5回までゼロで抑えてくれていたんで。なんとしてもここは1本、なんとしても塁に出て、勝ちをつけてあげたいなとは、思っていました」 今季の甲子園初本塁打は、後輩の初勝利を強力アシストする先制の3号ソロとなった。ベンチ前では、はち切れんばかりの笑顔で待っていた西純とグータッチ。18年ドラフト1位の先輩が、貫禄を見せた。 試合前のロッカーで見かけた西純は、緊張の面持ちをしていたという。「頑張れ、とは言いましたけど。声をかけられるのも気になるとは思う。そっとする部分はそっとして」。気遣いを忘れず、先輩はプレーでけん引。「下の子が増えてきているんで、僕ももうちょっと引っ張っていけるようにやっていきたい」。後輩の活躍を"刺激"に、3安打で今季最高の打率2割8分1厘まで上げた。5月は13試合で4割2分。開幕直後の不調がうそのように打ちまくっている。 この日、開幕から打線を引っ張ってきた2番糸原が下肢のコンディション不良で出場選手登録を抹消された。「(責任が)のしかかってますけど」と重圧は否めないが、力強く続けた。 「1、2番でずっとやってきて、助けてもらってる部分もありますし、今度は僕が頑張らないといけない場面だと本当に思う」 新世代の力で勝利した夜。打のヒーローは、新たな決意を固めた。【中野椋】

◆ヤクルトは連勝が3で止まった。 8回2死まで無安打。代打西浦の中前打から3連打で1点を取るも、追いつけなかった。18日に15安打14得点の打線が一変、3安打に沈黙。高津監督は阪神先発の西純から先制できなかった打線を悔やんだ。 「あそこまで抑え込まれたのは反省するところ。野球界としてはそういう選手が出てきたのは、すごいことなのかなと思います」と話した。

◆陰のMVPは17年ドラフト1位の快投だ。阪神馬場皐輔投手は2イニングの完全投球でドラフト1位の後輩西純の初勝利を力強くアシスト。矢野監督から「馬場は助かったね。あれがオレの中でもMVPというか、大きな働きだったと思っている」と絶賛された。 5回を無安打0封した西純を受け、1イニング目から1番山崎からの好打順を難なく3者凡退に仕留めた。「もう1回行けるなっていうぐらいテンポ良く抑えてくれた」と指揮官を納得させ、7回もマウンドへ。2イニングで3奪三振、内野ゴロ2つの安定感を披露し、本人も「相手に流れを与えないことを意識して投げました。いい形で次につなげることができて良かった」と納得顔だ。 球界でシーズン5度目のノーヒットノーラン継投の期待が高まった2点リードの8回は、3番手岩崎が2死から初安打を浴び、3連打で1失点。それでも2死一、三塁で3番山田を中飛に打ち取り、リーグ最多の16ホールド目を記録した。9回はスアレスが最速161キロの直球を軸に3人斬り。自身19試合連続無失点でリーグ最多13セーブ目を挙げた。「チームがいい試合をして、自分の仕事をする時だと思った」と充実感を漂わせた。

◆阪神にまた1人、新星が輝きを放った。西純矢投手(19)が5回無安打無失点の快投でデビュー戦勝利を飾った。威力ある真っすぐでヤクルト打線を圧倒。阪神のドラフト最上位入団の投手がプロ初先発で白星を挙げたのは、球団初の快挙だった。「高校四天王」の一角として甲子園を沸かせた19年ドラフト1位右腕が猛虎史に1ページを記し、2位巨人に再び4・5差。会心の首位固めナイトだ。力いっぱい腕を振った。帽子が何度振り落とされても、構わなかった。「自分の持ち味はやっぱりバッターに向かっていけるところ。逃げるとかじゃなくて、しっかりとバッターに向かっていくことができた」。プロ初のマウンドで、西純は最後まで逃げなかった。 「心臓が飛び出るくらい緊張しました」。ピンチはいきなり初回、先頭の山崎から連続四球で無死一、二塁。遊撃手の山本に声を掛けられると、こわばった表情を少し緩めた。迎えた3番山田に5球直球を続けて二飛。4番村上も145キロ直球で押し込んだ。5番オスナはフルカウントから外低めに直球を決めて見逃し三振。主軸3人に真っ向勝負を挑んだ。 投げるたびにカーブやスライダーも決まり出し、気づけば凡打の山が積み重なった。4四球を出しながらも5回まで無安打と堂々のデビュー。「本当に運がよかったなと思っています」。お立ち台ではどこまでも謙虚だった。 「18歳の1年間はいろいろ悩む1年だった」。昨年の夏頃、西純は自分のフォームを見失っていた。長いイニングを投げるうちペース配分が頭をよぎり、直球の球速も下がっていく。8月中旬からは約1カ月、実戦から遠ざかった。続けたのは地道な投げ込み。フォーム固めの毎日だった。その一方で同期の井上は1軍デビューを果たし、オリックス宮城も初登板を経験。「みんな活躍してて、自分だけおいて行かれてる感じはするなって」。焦りはふと口からこぼれたが、決して腐ることはなかった。再び甲子園のマウンドに立つ日だけを見ていた。 大事に握りしめた記念のボールは、母美江さんに送る。この日の朝も「しっかり諦めずに投げて」と背中を押してくれた。高校1年の時にこの世を去った父雅和さんも「見てくれてるんじゃないかなと思ってます」と、力になってくれたと信じている。 矢野監督は「純矢自身、お母さん喜ばせたいとか、天国のお父さんへ、という思いで投げてきたものが、プロとしての第1歩踏み出せた」と思いやった。創志学園時代は「高校四天王」と呼ばれ輝いた聖地。全力投球の19歳に勝利の女神がほほえんだ。【磯綾乃】 ◆西純矢(にし・じゅんや)2001年(平13)9月13日生まれ、広島県出身。創志学園2年夏の甲子園、創成館(長崎)との1回戦で16奪三振完封。U18日本代表。19年ドラフト1位で阪神に入団。今季は2軍戦で6試合に登板、2勝1敗、防御率3・44。184センチ、86キロ。右投げ右打ち。今季の推定年俸は1200万円。 ? ○...矢野監督は西純の次回登板については明言はしなかった。来週以降の登板は考えてからになるかと問われ、「そうやね」と話した。右肩張りの影響から今月10日に出場選手登録を抹消されたガンケルがすでに1軍練習に合流。西勇、青柳、秋山、伊藤将、アルカンタラと先発要員はそろっている。 ▽創志学園・長沢宏行監督 試合は見られなかったのですが、皆さんからの連絡で聞いたらヒヤヒヤだったと。お父さんの運が付いていたんじゃないですかね。不思議の勝ちですもんね。強気に見える顔立ちは、お父さんそっくり。損をする部分もあるけど、本当に謙虚な子なんです。1つ1つを大事に、お父さんの仏壇の前にボールを並べていってほしいですね。

◆阪神が90年以降では最多となる計9人の1、2軍入れ替えを断行した。新型コロナウイルスによる特例を除けば、この間の最多は8人で、直近は10年6月6日に登録4人(金村、筒井、高橋、林威助)抹消4人(杉山、江草、鶴、葛城)。なお昨年9月25日にはコロナのための「特例2020」として、合計19人もの入れ替えがあった。

◆阪神・近本光司外野手(26)が「1番・中堅」で出場。五回に先制の3号ソロを放った。  「打ったのはフォーク。(西)純矢が頑張って投げていましたし、勝利投手の権利をつける一打を打つことができてよかったです」  五回1死で田口の2球目、内角の134キロフォークを一閃。高々と舞い上がった打球はポールの内側を通った。4月21日の巨人戦(東京ドーム)以来、21試合ぶりの一発だった。  先発した西純はこの回に代打を送られたものの、5回を無安打無失点と好投。同じドラ1、プロ初登板初先発だった右腕に勝ち投手の権利を与える貴重なアーチとなった。

◆阪神・西純矢投手(19)がプロ初登板初先発し、5回無安打無失点と粘りの投球を披露した。  「初回は緊張もあって力んでしまいましたが、回を追うごとにリラックスして投げることができましたし、特に途中からカーブが決まりだしてからは自分の投球をすることができたと思います」  一回は1番・山崎から連続四球を与え、制球に苦しむ立ち上がりとなった。だが、3番・山田を二飛、続く村上を中飛に抑え、オスナは粘られながらフルカウントからの8球目、145キロ直球を外角低めいっぱいに決めて見逃し三振。渾身の一球が決まると、グラブをたたきながら雄たけびをあげた。  ここを乗り越えて勢いに乗った。前日18日に15安打14得点と大暴れした燕打線にも直球主体の投球で立ち向かい、二回は先頭・青木に四球を与えるも、サンタナのバットをへし折って二ゴロ併殺。三回以降もリズムよく、無安打で5回を投げ抜いた。  5回で4四球を与え、要した球数は87球。五回の攻撃で代打が送られた際は続投を期待するスタンドからため息も漏れた。だが、この回に近本が右翼へ先制ソロを放ち、勝ち投手の権利をゲット。「野手の方々にすごく助けていただきましたし、打ってくれた近本さんに感謝です」と喜んだ。

◆阪神・馬場皐輔投手(26)が1-0の六回から登板。2回を無安打無失点と好救援した。六回は1番からの好打順と相対したが、山崎を空振り三振に仕留めると、中村も見逃し三振。山田は145キロの直球で中飛に打ち取った。七回はセ・リーグトップタイの12本塁打を放っている村上を低めのスプリットで空振り三振に斬り、オスナと青木はともに三ゴロに仕留めた。  馬場は2018年ドラフト1位。プロ初登板初先発で5回無安打無失点と粘投した西純、先制ソロを放った近本と、ドラ1勢が奮起している一戦で、右腕もしっかりとその輪に加わった。

◆阪神・近本光司外野手(26)が七回1死一塁で右前打を放ち、一、三塁と好機を作った。続く中野の打席の2球目で二盗すると、ヤクルト捕手・中村の悪送球も重なり、三塁走者・山本が生還。近本も三塁まで進んだ。  一回に中前打、五回には右翼へ先制ソロを放っており、16日の巨人戦(東京ドーム)以来となる今季4度目となる猛打賞。さらに足でもファンを魅了し、チームに勢いをもたらした。

◆ヤクルトが阪神との接戦に敗れた。プロ初登板初先発となった西純に5回無安打無失点に封じられ、初勝利を献上した。先発の田口は五回1死、近本に3号ソロを浴び、先制を許した。前日18日に15安打14得点と爆発した打線はこの日は振るわず。八回2死から西浦、塩見、中村の3連打で1点を返すのが精いっぱいだった。

◆阪神は西純が先発で初登板し、プロ初勝利を手にした。一回こそ制球に苦しみ、1番から連続四球で無死一、二塁のピンチを招いたが山田、村上、オスナを抑えてゼロ発進。いきなり33球を要したが二回以降は落ち着きを取り戻し、直球中心の強気の投球で5回無安打無失点と粘った。0-0の五回に代打を送られたが、この回に近本が右翼へ放った先制の3号ソロで手にした勝ち投手の権利が、うれしい形で生きた。  打線は近本が七回1死一塁で右前打を放ち、先制ソロと一回の中前打を含めて今季4度目の猛打賞。その七回は続く中野の打席で二盗を決めると、相手捕手・中村の悪送球が重なり、三走・山本が生還し、リードを広げた。2-1の八回にはサンズが左中間席へ貴重な10号ソロを放った。  投手陣は六回からバトンを受けた馬場が2回を無失点。八回から登板した岩崎は2死から代打・西浦にこの試合のチーム初安打を浴び、そこから3連打で1点を失ったが、なおも一、三塁のピンチは脱出。九回は守護神・スアレスが三者凡退で締めた。

◆ヤクルトの田口は西純との投げ合いで先につかまった。五回1死から近本への投球が捕手の構えより内に入り、右越えに運ばれた。3敗目に「ゼロ行進している中での一発は相手に勢いがついてしまう。しっかり反省したい」と悔やんだ。  打線はこの日デビューした2年目投手の立ち上がりに畳み掛けられなかったのが響いた。馬場にも苦しみ、初安打が出たのは八回とあって、6戦ぶりの黒星となった高津監督は「田口はしっかりゲームをつくった」と責めなかった。 高津監督(西純に) 「高いレベルで直球と変化球を投げてきた。(制球が荒れ気味で)絞り切れなかったし、初見の難しさもあったと思う」

◆ヤクルトは打線が振るわず、連勝が3でストップ。阪神投手陣を相手に八回2死まで無安打に抑え込まれた。先発の田口麗斗投手(25)は七回途中7安打2失点(自責1)の好投も3敗目。高津臣吾監督(52)の主な一問一答は以下の通り。  --序盤の好機を生かせなかった  「一回にもらったチャンス(無死一、二塁)というか、あそこで哲人(山田)以下に一本出ていたら変わったんでしょうけど、初見というか初めて対戦する投手(西純)で難しいところもあったのかもしれないです」  --三回攻撃前の円陣はどんな指示を  「それは、打撃コーチがいろんな指示を出したんですけどね」  --阪神先発の西純  「すごく高いレベル。直球の質であったり、変化球であったり制球を乱すところもあったんだけど、さすがだな、と」  --打者が絞りにくかった部分あるか  「絞り切れなかったのは間違いないでしょうね。球筋もよくわからないですし、いろんな対策はしたんですけど、うまくいかなかったところですね」  --田口は粘りの投球  「しっかり試合をつくることのできる投手だと思います。粘れるし、駆け引きとか勝負勘とか、そういうところはすごく持った投手だと思います」

◆阪神は高卒2年目の西純矢投手(19)が5回を投げて無安打無失点でプロ初勝利。孝行息子の出現に矢野耀大監督(52)は喜びを隠せなかった。一問一答は以下の通り。  ■よく粘った  --西純の特に良かったところは  「いいボールが投げられるし、いいピッチングができるピッチャーなんで。初登板の緊張で、ボール自体もよかったというのが、分かりにくいですけど。崩れそうなところを粘れたとか、結果ゼロで行ったところがよかったんじゃないですかね」  --試合中にかけた言葉は  「いやいやもう、試合中は何も言っていないです。試合前だけ、はい」  --梅野とのやり取りも映っていたが  「コントロールが定まらないというところだったんで。配球をリードするだけじゃなくて、言葉がけであったりベンチで帰ったときであったり、インサイドワークをしっかりやってくれたと思います」  ■無安打交代はちょっと...  --ノーヒット投球だったが、交代は迷いはなかったか  「ヒットを1本も打たれてないところだけが、ちょっと迷いましたけど。それ以外はね。短いイニングで経験してもらうところが一番大事だと思ったので。そこだけ迷いましたけど、あとは迷っていません」  ■母を喜ばせたい  --今後にどんなピッチャーに期待しているか  「お母さんを喜ばせたいとか、高校野球のときもね、天国のお父さんにという思いで投げてきたものが、プロとしての第一歩を、踏み出せましたんで。応援してくれる人のため、自分のためではあるんですけど、これから思い描きながら頑張ってくれたらなと思います」  ■陰のヒーローは馬場  --リリーフ陣では特に馬場が2回をパーフェクト(2番手で2回無失点)  「本当に落ち着いて投げてくれた。あの2回は"隠れたMVP"じゃないですけど、そういう投球だったと思います」  --打では近本とサンズの一発  「近本は本当に状態が上がってきたという、それがホームランになったのがうれしいですけど。ポイントゲッターなんでね。よかったと思いますし。サンズのホームランも場面的にね(八回の10号ソロ)、1点以上の重みがあったので、効果的でした」  --今季は打てない選手を他の選手がカバーしている印象がある  「そうですね、全員で戦うのが僕たちの野球ですし、失敗は変えられないので。失敗をどう生かしていくか、失敗の悔しさを常にぶつけてやっていってくれれば成長につながると思うので」 その他の写真(2/3枚)  ■改めて西純は100点  (記者との囲み)  --西純は緊張も力みもあった中で腕を振って投げた  「うん、まあね、5回ゼロというのは100点だと思うし、勝ちがついたところも含めて。俺もいろんな初登板のピッチャー受けてきたけど、よくあるのはストライクが入らないという、緊張もあるから。その中で結果ゼロで帰ってきたところに、何かこう勝ち運というか、また結果ゼロで抑えたところからいうと、切り替えたり攻めていく気持ちがあるのかなと思えたけど」  ■ライバルを励みに  --四回からは投球にも工夫  「前半は工夫できるような投球じゃなかったからね。緊張がほぐれたり、抑えられたところも収穫。こっち側の純矢のプラス的に言うと初対戦という有利さというか、もちろんあったと思うけどね。あとは、奥川(ヤクルト)や佐々木朗(ロッテ)や宮城(オリックス)やあの年代にいいピッチャーがいるから。いいライバルを励みにして、やっていける登板になったと思う」  --来週以降については、また考えてからになる  「うん、そうやね」  --2番手の馬場も好投  「いやあ、馬場は助かったね。もう1回いけるなっていうぐらいテンポ良く抑えてくれたんでね。俺の中でもMVPというか、大きな働きだったと思っているけど」  --近本が役割を果たした  「複数安打がだいぶ出るようになってきたし、今日も3本打って、まあ1カ月ちょっと、苦しかったと思うけど、そこを乗り越えて。この2年間見ていても固め打ちできる選手なんで」  ■糸原は時間かかる  --抹消の糸原は10日以上はかかるか  「まあそうやね。無理させて、悪くなる可能性もあるし。数字的にもケントはよく引っ張っていってくれていたし、試合出ても、出なくてもすごい声だしてくれて引っ張ってくれていたから抹消は残念なんやけど、これからのこと考えると、今のうちにというところで。早く戻って来てくれるに越したことはないけど、直すということを考えると、ちょっと時間かかるかなと思っています」

◆虎の次世代のエース候補が、高校時代にスポットライトを浴びた甲子園で圧巻の投球をみせた。高卒2年目の西純がプロ初登板初先発で5回無安打無失点。燕打線を完璧に封じ込めた。  「初回は緊張もあって力んでしまいましたが、回を追うごとにリラックスして投げられました」  一回先頭の山崎から、いきなり連続四球を与えたが、山田を145キロの直球で二飛、村上は中飛。続くオスナを見逃し三振に仕留めると、グラブをポンとたたいて喜びを表現した。  「途中からカーブが決まりだして、自分の投球ができた」  二回無死一塁では、18日に3安打5打点と大暴れしたサンタナのバットを伸びのある直球でへし折って、二ゴロ併殺に仕留めた。  三回、四回と三者凡退。五回も四球は与えたが、無失点に切り抜けた。0-0の五回の打席で代打を告げられて"ノーヒットノーラン"での降板となったが...。  西純の笑顔が弾けたのは、この直後だった。近本が1死から右越えの先制3号ソロ。「(西)純矢が頑張って投げていたし、勝利投手の権利をつけることができてよかった」と19歳のプロ初勝利を強力に後押しだ。  2020年ドラフト1位で入団。創志学園高時代は「高校BIG4」と称された。同期のライバル、ロッテ・佐々木朗(大船渡高)は16日の西武戦(ZOZOマリン)でプロ初先発し、ヤクルトの奥川(星稜高)は4月8日の広島戦(神宮)でプロ初白星。「BIG4」ではないが、オリックスの宮城(興南高)は先発ローテに定着し、すでに今季4勝だ。  西純は「テレビで見ていてすごく刺激になっているので、次は自分の番だという気持ちが強いです」と語っていた。阪神の10代の投手で初登板初先発初勝利は、2012年の岩本輝以来9年ぶりとなった。  「野手の方々に(守備で)すごく助けていただきましたし、(本塁打を)打ってくれた近本さんに感謝です」  継投陣がヤクルトの追撃を抑え、プロ初勝利。近本と上がったお立ち台では、感極まった表情をみせた。(三木建次)

◆5回無安打無失点でプロ初登板初勝利を挙げた阪神・西純矢投手がお立ち台に上がった。よろこびの声をどうぞ!!--ナイスピッチングでした  「ありがとうございます!」  --今の気持ちは  「本当に初回は緊張してどうなるかと思ったんですけど、あきらめずに投げて、近本さんや先輩方が助けてくれた勝利かなと思います」  --初回の立ち上がりは緊張したか  「心臓が飛び出るぐらい緊張しました」  --五回まで無安打  「いやもう、本当に運がよかったなと思っています」  --代打が送られて、近本がホームラン  「ホントにかっこよかったです!」  --甲子園のマウンドは  「いやもう、甲子園はすごい投げやすくてよかったと思います」  --同学年の選手たちも活躍している  「みんな頑張っていて、自分も置いていかれないように頑張ろうと思ってやってきて、そういう思いで投げました」  --ウイニングボールは  「母にあげたいなと思います」  --ファンへの自己紹介を  「2年目の西純矢です。もっともっと四球を減らして、圧倒的なピッチングができるようなピッチャーになります! よろしくお願いします!」

◆阪神の近本が五回の先制ソロ本塁打を含む3安打。お立ち台で西純と並んだ1番打者は「初先発の純矢が頑張って、五回までゼロで抑えてくれた。ロッカーで緊張していたが、踏ん張ってくれた。何としても塁に出るという気持ちで打席に入った」と後輩を援護できたことを喜んだ。  右前打で好機を演出した七回は、二盗が捕手中村の悪送球を誘って三塁走者が生還した。「だんだん(年)下の子が増えてきた。もうちょっと引っ張っていけるようにやっていきたい」と気持ちを込めた。 矢野監督(西純に) 「プロとしての第一歩が踏み出せた。コントロールが定まらない中で何とか粘ってゼロでいけたのが勝ちにつながった」

◆西純は緊張からか立ち上がりは球を操れることができていなかった。どうなることかと思ったが、ストレート一本で一回のピンチを乗り越えた。調子が良い村上に対しても真っ向勝負で、ストレートに力があることを証明した。二回の先頭打者に四球を出しても、慌てたような表情はみせずに併殺に打ち取り、いい流れを自分で運んできた。落ち着いてきた四回からはカーブ、スプリットもストライクゾーンに決まり始めた。  序盤は引っかかったり抜けた球もあったが、左打者に対するアウトコースの真っすぐでストライクを取れていた。ひとつ安定する球ができたのは、春季キャンプからの成長。そこから緩急や縦の変化がセットになれば、投球の幅ができる。投球時に帽子も飛んでいたが、いわゆる"顔の我慢"も大体できていた。頭を振る動きが小さく抑えられているので、力が分散されずにフォーム的にもよくなっていた。  ファンのみなさんはもう少し見たかっただろうが、首脳陣からすれば予定通り。5回を投げれば御の字で、今後もチャンスはあるだろう。  西純の世代は佐々木朗(ロッテ)ら力のある投手が多い。私も高卒2年目(旭川工高からD5位)から1軍に昇格したが、同世代の渡辺久信(西武=前橋工高からD1位)、加藤伸一(南海=倉吉北高からD1位)、津野浩(日本ハム=高知商高からD3位)は1年目から1軍で投げていた。大いに刺激を受けて、意識し合って力を伸ばしていってほしい。(本紙専属評論家)

◆2番手で登板した馬場は六回から2回を無安打無失点と好投した。「2イニングを三者凡退でしっかり投げることができましたし、いい形で次につなげることができてよかった」。六回を2奪三振などで抑えると、七回も村上を空振り三振に仕留めるなどゼロを並べた。矢野監督も「隠れたMVPじゃないけど、そういう投球だったと思います」と絶賛した。

◆阪神・西純矢投手(19)のプロ初勝利に、母校の岡山・創志学園高野球部の長澤宏行監督(68)が祝福のメッセージを寄せた。恩師に明かした同世代のライバルへの思い、野球へ対する強い気持ちを明かした。(取材・構成=織原祥平)  強運ですね。勝ってよかった。仕事があって(試合は)見られなかったけど、ニュースで知って、とてもうれしい。  立ち上がりは四球が続いたけど、よく立ち直ってくれたと思う。チームのみなさんに助けてもらった勝利だね。  登板の数日前に本人から連絡があって「1軍で投げます」と。オリックスの宮城(大弥)君と仲がいいらしくて「彼にも負けません」と張り切っていました。  15日の巨人-阪神戦で九回2死満塁で登板した野上(神村学園高監督時代の教え子)の話をしました。打者一人、一つのアウトを奪うためにマウンドに上がって、しっかり抑えて。野上もアキレス腱(けん)を断裂して、いろいろな苦労を経験して、あのマウンドに上がっている。地獄からはい上がって、もう一回あの土壇場で投げるようになるまでには大変なこともあっただろうし、プロというのはそんな甘い世界ではないよ-と話しました。西もその試合を見ていたみたいです。  オフに創志学園にあいさつに来てくれたときには、後輩たちに飲み物の差し入れをしてくれたみたいで、精神的にも体もしっかり成長しているなと感じました。表情はキリッとしていて、気が強そうだけど、ものすごく優しい子。高校2年の夏の甲子園でのガッツポーズも先輩たちへの感謝の思いや、お父さん(雅和さん)への思いが出たんだと思います。  1年生のときにお父さんが亡くなったときは精神的にも大変だっただろうけど、数日してすぐに学校に帰ってきたときはすごいなと思いました。そういうのもやっぱり野球への強い思いとか、お父さんとの野球で活躍するという誓いがあったのでしょう。  高校時代に驚いたのはグラウンドから30キロ離れた学校まで走って帰っていたこと。用具だけバスに乗せてね。練習のときから走れ、走れという感じで指導していたから、走ることに抵抗はなかったんだと思うけど。  こうやって初登板で勝利できて、きっとお父さんも喜んでいると思う。プロに入って指導してくれた矢野監督、平田2軍監督、安藤投手コーチに感謝です。これからも長く活躍して2つ、3つと勝っていってほしい。おめでとう!

◆必死に腕を振る後輩を真後ろで見守った。懸命なその姿が近本の心に火をつける。西純のために何としても打つ! 胸に誓った思いが、値千金の先制アーチを描いた。  「最初、切れるかなと思ったんですけど、切れなかったのでよかった。本当に五回まで頑張ってくれていたので、何とか塁に出て勝ちをつけてあげたかった」  0-0の五回。先頭の西純に代打が送られた。後輩を勝利投手にするには、この回に勝ち越すしかない。1死となり、打席へ。田口が投じた2球目、134キロフォークを振り抜いた。上空高く舞い上がった白球は右翼ポール際に弾み、先制の3号ソロ。ベンチでは、西純が満面の笑みで待っていた。  七回1死一塁の第4打席では右前打で一、三塁と好機を拡大すると、直後に二盗に成功。これが相手捕手の悪送球を誘い、貴重な2点目は自慢の足でもぎ取った。第1打席は中前打と、今季4度目の猛打賞。矢野監督も「本当に状態が上がってきた」と認める活躍で西純とお立ち台に上がった選手会長は、若虎初勝利の舞台裏を明かした。  「ロッカーで緊張していたので、初回は厳しいかなと思ったんですけど、粘ってくれてよかったです」  試合前にかけた言葉は「頑張れ」だけ。「声をかけられすぎるのも気になるので、そっとする部分はそっとしました」と気遣いであふれていた。  勝利への執念をたぎらせる理由はもう一つある。この日、糸原が下肢のコンディショニング不良で登録抹消。好調だった2番打者の離脱で、1番・近本が背負う責任はさらに大きくなった。打撃不振に悩んだ3、4月。糸原は「僕が不調になったら必ずチカ(近本)が助けてくれる」と支えてくれた。次は近本の番だ。  「今度は僕が頑張らないといけない場面だと本当に思う。糸原さんがしっかり治して、焦らず帰ってきてもらえるように、チームのことも、いろいろなところで引っ張っていきたい」  責任感と覚悟が口をついた。後輩よ、ついてこい。復活した虎の韋駄天が勝利への旗手となる。(原田遼太郎)

◆スゴいぞ、純矢! 阪神は前夜に大敗を喫したヤクルトに3-1でリベンジ。プロ初登板初先発した高卒2年目の西純矢投手(19)が、5回無安打無失点の力投で初勝利を挙げた。球団の10代の投手が初登板初先発で無安打投球するのは、2リーグ分立後では初。首位独走をけん引してきた投手陣にフレッシュな力が加わり、ここからVロードを再加速や!  近本の打球が着弾するのを見届けると手をたたき、喜びを爆発させた。西純の力投を野球の神様は見ていた。デビュー戦で5回を"ノーヒットノーラン"。球団の10代投手では2012年の岩本輝以来9年ぶりの初登板初先発初勝利を飾った。  「心臓が飛び出るぐらい緊張しました。あきらめずに投げて、近本さんや先輩が助けてくれた勝利かなと思います」  先輩とともに上がったお立ち台では、感極まった表情もみせた。  一回、いきなり連続四球を与えたが、山田を直球で二飛。強気に直球で押して村上を中飛、オスナを見逃し三振として切り抜けた。二回無死一塁では、前日3安打5打点と大暴れしたサンタナのバットをへし折って二ゴロ併殺。「カーブがよくなって、落ちついて投げられた」という三回、四回は緩急を使って三者凡退に仕留めた。  五回も1四球を出しただけで無安打。過去に唯一、初登板初先発でノーヒットノーランを成し遂げた近藤真一(中日)の再来を思わせる快投だ。  0-0の五回に代打・原口が告げられる。ここで勝ち越さなければ勝ち投手の権利はない-というときに近本の勝ち越し弾。「本当に運が良かった」。2番手の馬場も六、七回を無安打。八回に"ノーヒットノーラン"は途絶えたが、前夜に15安打14失点とやられた借りをきっちり返した。 その他の写真(2/2枚)  記念のボールは「母にあげたい」。創志学園高1年のとき、父・雅和さんが45歳で他界。母・美江さんが女手一つで育ててくれた。天国の父も「見ていてくれているんじゃないかと思います」としみじみと語った。  19歳の奮闘で貯金は今季最多タイの16に。巨人と再び最多タイの4・5ゲーム差となり、2008年以来となる首位での交流戦突入が決まった。矢野監督は「5回0点というのは100点。勝ち運があるのかな」と評価し、交代について「ヒットを1本も打たれてないというところだけがちょっと迷いました」。次回登板については明言こそ避けたが、この内容なら可能性は高そうだ。  高校時代は、打者を打ち取るたびに上級生への感謝や天国にいる父へ伝えたい-とガッツポーズを繰り出していたが、高野連から注意された。初登板を報告した際、野球部の長澤宏行監督からは「思い入れのある甲子園だから、とにかくバッターを打ち取って、思いっきりガッツポーズしてこい」と背中を押されていたが、この日も封印。4四球の内容では、とても納得できなかった。  「四球が多かったことを反省して、明日からの練習でそういうことがないようにしていきたい」  もっと強くなる。派手なパフォーマンスは、真に先発ローテの一員となってから-と決めている。(三木建次)

◆めでたーい! めでたーい!! 19歳の西純矢くん、プロ初登板初先発でのプロ初勝利バンザーイ!!  18日は投手陣大炎上の14失点でモヤモヤしていただけにこの初勝利の美酒はうめ~! もうベロベロの夢見心地で酔っとりまっせ~ウィッ!! あのガッキーと星野仙一さんとの結婚もめでたいね~。えっ『センさん』じゃなくて『ゲン(源)さん』? 何言うとんじゃー!! 2003年わが阪神をリーグ優勝に導いてくれた闘将は仙さんやろー!! んっ、『逃げ恥』? おー知っとるよ『逃げるは恥だが役に立つ』やろ!! それこそまさに今年の阪神のこっちゃー! 現在42試合で貯金16というえげつない強さは大人げなく恥ずかしくないか? という他チームのやっかみもあろうが、このまま逃げまくって優勝のゴールテープを切ってその勢いで日本一や!! それは、1985年以来耐え続けてきた全国の虎党に『人生は捨てたもんやない...』と希望を与える大きな役に立つのだー!! (うかれ過ぎてスミマセン...)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
28122 0.700
(↑0.008)
-
(-)
101191
(+3)
139
(+1)
45
(+2)
34
(+1)
0.259
(-)
3.180
(↑0.05)
2
(-)
巨人
22156 0.595
(↓0.016)
4.5
(↓1)
100183
(+2)
154
(+10)
53
(+1)
30
(-)
0.260
(↓0.001)
3.380
(↓0.16)
3
(-)
ヤクルト
18157 0.545
(↓0.018)
6.5
(↓1)
103169
(+1)
163
(+3)
37
(-)
24
(-)
0.246
(↓0.003)
3.780
(↑0.04)
4
(-)
広島
16205 0.444
(↑0.015)
10
(-)
102131
(+10)
147
(+2)
26
(+1)
18
(-)
0.255
(↑0.002)
3.330
(↑0.03)
5
(-)
中日
15216 0.417
(-)
11
(↓0.5)
101116
(-)
128
(-)
17
(-)
21
(-)
0.232
(-)
2.880
(-)
6
(-)
DeNA
11276 0.289
(-)
16
(↓0.5)
99152
(-)
211
(-)
36
(-)
9
(-)
0.237
(-)
4.640
(-)