巨人(★5対6☆)阪神 =リーグ戦9回戦(2021.05.16)・東京ドーム=
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阪神
0024000006911
巨人
0200030005811
勝利投手:アルカンタラ(1勝0敗0S)
(セーブ:スアレス(1勝0敗12S))
敗戦投手:平内 龍太(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】陽川 尚将(2号・4回表2ラン)
【巨人】岡本 和真(9号・2回裏ソロ)

  DAZN
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◆阪神は2点ビハインドの3回表、近本の適時打などで同点とする。続く4回には陽川の2ランで勝ち越しに成功すると、その後も近本、糸原の連続適時打が飛び出し、この回一挙4点を奪った。投げては、先発・アルカンタラが来日初勝利。敗れた巨人は、2番手・平内が誤算だった。

◆未来永劫(えいごう)に続いていくであろう宿命のライバル対決は、新たな未知のステージへ-。巨人と阪神の「伝統の一戦」は、1勝1敗で迎えたこの日の今カード最終戦で通算2001試合目を数える。 前日15日の通算2000試合目は、巨人がジャスティン・スモーク内野手(34)の3号逆転3ラン。節目の一戦は巨人が制し、通算の対戦成績を1094勝835敗71分けとした。 15日終了時で、首位阪神とのゲーム差は3・5。今日の勝利で2・5に縮めるか、再び今季最大差となる4・5へと広げられてしまうのか。2位巨人にとって、2001回目の伝統の一戦は序盤の分岐点になる。15日試合後の巨人原辰徳監督(62)の主な一問一答は、以下の通り。 -節目の試合。しびれる試合だった そうですね、ジャイアンツのOBの方も、タイガースのOBの方も、2000という数字をどういう思いでみていらっしゃったか。両軍ともに死力を尽くした良いゲームだったと思いますね。 -決勝点は5回2死走者なしからクリーンアップで へっへっ(笑)、見事に2アウトからクリーンアップで3点を取った。良かったと思います。 -投手陣もよく粘って サンチェスも自分の中では、かなり引っ張ったつもりです。リリーフ陣は打たれる前に、早めにという中で、しっかりと役割を全員が果たしてくれたと思います。 -伝統の一戦は1094勝目 まだまだ未来永劫(えいごう)続くでしょうし、そういう中で我々が2000回目という現場を預かっていることを幸せに感じて、また明日からの英気にするという風に思っております。 -原監督は通算1000試合目には3ランを放っている。特別な思いがある一戦ではなかったか もう私のは忘れましたけれども、今日のゲームという、目の前の勝利を目指すということに徹してやっております。 -初回2死一、三塁で一塁走者丸と三塁走者梶谷が重盗を仕掛けて同点に たまたまあの2人のランナーがやったんでしょう。 -試合を動かしていくという攻めの気持ちが出た チャレンジャー精神というのは、勝負するにおいて非常に重要なポイントだと思っています。そういう意味では、そういうものを持った状態で試合に臨むことができているということだと思います。 -4回の好機でサンチェスに代打を送らなかった やっぱり先発を降ろすというのは相当なる覚悟ですよ。1点ビハインドですけれど、サンチェスに懸けたというところで、流れは、まだ来るというところですよね。 -丸も本調子じゃない中で逆転への好機をつくった もううちの中心バッターですから、チームをどんどん引っ張ってもらいたいと思いますね。

◆阪神ラウル・アルカンタラ投手(28)が来日初登板初先発し、6回7安打5失点で初勝利を挙げた。 昨季韓国リーグで20勝を挙げて最多勝に輝いた右腕で、「初登板だったけど、いい感覚で初回に入れたし、全体的にコントロール良く投げることができたよ」と初マウンドを振り返った。 初回、1番梶谷への初球は150キロ直球。左飛で打ち取ると、2番ウィーラーにも全て直球で見逃し三振を奪い、初回は3者凡退でスタートした。2回は先頭の岡本和にソロ本塁打を浴び、1死一、三塁から内野ゴロの間に2失点目。それでも3回から3イニング連続で3者凡退と、威力ある球で巨人打線を押し込んだ。 猛反撃を受けたのは4点リードの6回。先頭の梶谷から4連打を浴びると、重盗もからんで3失点。なんとか1点のリードを守って降板した。

◆先発投手は巨人今村、阪神アルカンタラ。巨人が2回に岡本和の9号ソロなどで2点を先制。3回に阪神が2点を返して同点。 阪神が4回に陽川の2号2ラン、近本、糸原の連続適時打で4点を挙げた。巨人は6回に4連打に重盗を絡め、1点差に迫った。 阪神が接戦を制してカード勝ち越しを決めた。先発のアルカンタラは6回5失点で来日初勝利。巨人は投手陣が踏ん張りきれず。

◆阪神の糸原健斗内野手(28)が、5回裏の守備から退いた。初回に今村から右肘に死球を受け、2打数1安打1打点だった。 矢野監督は交代について「ずっと出ているから。足の張りもずっとあったし、そういうところでは無理させたくないなというところで。タイムリーも打ってくれたしね。そういうところで早めに代えておこうというところで代えました」と説明。二塁には山本泰寛内野手(27)が代わって入った。

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が、今カード最終戦で巨人戦初の本塁打を目指す。1発が出れば、93年巨人松井秀喜のルーキーイヤーに並ぶ11号となる。 佐藤輝は前日までの2試合でも次々に快挙を達成してきた。14日は、阪神新人の4番として82年ぶりとなる巨人戦安打をマーク。阪神と巨人の対決で通算2000試合目となった15日は、3本の二塁打を放ち全3打点を稼いだ。「伝統の一戦」で新人が4番を務めて3安打を放ったのは、58年の巨人長嶋と今回の佐藤輝だけ。3長打と3打点は史上初めてと、歴史的な活躍を見せて勢いに乗る。 試合前練習のフリー打撃では左翼、バックスクリーン、右翼に1本ずつを放り込んだ。前日の試合後には「1勝1敗で、明日絶対勝って、絶対勝ち越して帰ります」と力を込めていた一戦。ゴジラに並ぶ11号アーチで、また歴史に残る活躍を見せられるか。

◆巨人ドラフト1位の平内龍太投手(22)が2/3イニングを3安打4失点で悔しいプロ3戦目の登板となった。 2-2と同点の4回、先発今村に代わって2番手で登板。先頭サンズに四球を与えると続く陽川にシュート回転して甘くなった147キロ直球を右翼スタンドまで運ばれ、2点を献上した。さらに2死二塁のピンチを背負うと近本に左中間へ適時二塁打を許した。136キロカットボール捉えられ、この回3失点目。3番手戸根と交代でベンチに退いた。 3月20日の阪神戦でプロ初登板を果たしたが、3回0/3を1失点。同25日の広島戦では2回途中3失点と荒れ、翌日に登録を抹消された。好投すればプロ初勝利の可能性もある展開だっただけに悔やまれる投球となった。

◆阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(30)がベンチを外れた。この日の先発がラウル・アルカンタラ投手(28)で、外国人の1軍ベンチ枠4人が埋まるため。 試合前練習には、いつも通り元気よく参加。フリー打撃では左投手相手に、左右両打席で打ち込んだ。 ロハスは前日15日巨人戦(東京ドーム)で3打数無安打に終わり、球団外国人野手で来日初打席からのワースト記録を更新する20打席連続無安打。6回には四球を選び、来日初出塁していた。

◆阪神の陽川尚将内野手(29)が勝ち越しの2号2ランを放った。 2-2の4回無死一塁から2番手平内の147キロをライトスタンド最前列へ。「積極的に打ちにいった中でしっかり捉えることができました。入るか微妙な距離でしたが入ってくれて良かったです」。ベンチ前ではゴリラポーズでナインと喜びを分かち合った。今季ここまで主に代打で、これが30試合目。「6番右翼」で4度目のスタメン起用に応えた。

◆巨人が2日連続で"トリックプレー"を決めた。 6回2死一、三塁、代打松原の場面。2球目に一塁走者若林がスタートを切ると阪神捕手梅野は二塁へ偽投して三塁へ送球した。しかし、送球が高くそれて左翼へ。その隙に三塁走者丸が悠々生還した。記録は重盗で、一塁走者若林の三塁進塁のみ、梅野の悪送球となった。三塁走者の丸はホームスチールが記録された。 前日15日の同戦のトリックが伏線になった。1回2死一、三塁。打者スモークの2球目だった。一塁走者の丸がスタート。阪神の捕手梅野が二塁へ送球すると、丸は二塁ベース付近でスピードを緩めて、挟殺プレーに持ち込んだ。様子をうかがっていた三塁走者の梶谷は、梅野の送球のタイミングを見計らい本塁を陥れるシーンがあった。

◆来日初先発の阪神ラウル・アルカンタラ投手(28)が6回7安打5失点も、勝利投手の権利を手にして降板した。 初回、1番梶谷への初球は150キロ直球。左飛で打ち取ると、2番ウィーラーにも全て直球で見逃し三振を奪い、初回は3者凡退でスタートした。2回は先頭の岡本和にソロ本塁打を浴び、1死一、三塁から内野ゴロの間に2失点目。それでも3回から3イニング連続で3者凡退と、威力ある球で巨人打線を押し込んだ。 猛反撃を受けたのは4点リードの6回。先頭の梶谷から4連打を浴びると、重盗もからんで3失点。なんとか1点のリードを守って降板した。 昨季韓国リーグで20勝を挙げ最多勝に輝いた右腕は「初めての公式戦での登板ですが、全てがうまくいくように願っています」と意気込みを語っていた。5点を失ったものの、制球力と球威は光った。

◆ミスターのパワーが主砲に伝わった。巨人長嶋茂雄終身名誉監督(85)が東京ドームに来場し、伝統の一戦を観戦した。3月26日のDeNAとの開幕戦以来の東京ドームでの試合観戦となった。ホームベース後方の球団ブースから熱視線を送った。2回裏の攻撃前に場内アナウンスで紹介され、電光掲示板に姿が映し出されると、スタンドのファンは大きな拍手で沸いた。 直後の2回、先頭岡本和が阪神アルカンタラの初球を強振。バックスクリーン直撃の9号先制ソロを放った。 前日15日に阪神との「伝統の一戦」が通算2000試合に到達した。長嶋終身名誉監督は「伝統の一戦、阪神戦にはやはり特別な思いがあります。1959年の天覧試合では、天皇陛下の前でサヨナラホームラン、ダイヤモンドを1周することができましたが、今でもあの時の興奮、そして大歓声はよみがえってきます。1968年の阪神戦ではバッキーと王さんのデッドボール事件もありました。ライバルである阪神戦になると、今も熱い思いがこみ上げてきます。今年の阪神はルーキーの佐藤輝君という新しい力もあり、強い。手ごわい相手ですが、わが巨人軍も十分に力があります。やはりプロ野球は巨人と阪神が強いと盛り上がります。2001試合目以降もライバルとして、新たな好勝負が生まれていくことを期待しています」と球団を通してコメントした。

◆阪神が巨人を下し、今季デーゲームは1分けを挟んで15連勝、日曜日は8戦全勝とした。 来日初先発のラウル・アルカンタラ投手(28=韓国・斗山)は6回7安打5失点で初勝利を挙げた。 打線は3回に近本光司外野手(26)の適時打と敵失で同点。4回は陽川尚将内野手(29)の2号2ランで勝ち越し、近本、糸原健斗内野手(28)の連続適時打もあってこの回4点で突き放した。

◆阪神の新外国人ラウル・アルカンタラ投手(28=韓国・斗山)が来日初登板で先発し、6回7安打5失点で初勝利をつかんだ。 3回から5回までを3者凡退に抑えた後、6-2の4回に先頭から4連打の猛反撃を受けたが、1点のリードを守り抜いた。 初のお立ち台でインタビュアーから紹介されると、「アッアッー、オハヨウゴザイマス」とおどけて、ファンの心もつかんだ。 アルカンタラのヒーローインタビューは以下の通り。 -日本での初登板で勝ち投手になったアルカンタラ投手です 「アッアッー、オハヨウゴザイマス」 -今の気持ちは 「うれしいですね。今日初めて勝つことができたので、とてもうれしい気持ちと、またこれからも頑張りたいという気持ちです」 -今日のピッチングはどこが良かった 「コントロールが良かったかなと思います。もちろん全部いいコントロールで行くことも出来なかったですけれども、全体的に見て良かったかなと思います」 -ストロングポイントは 「コントロールかなと思います」 -タイガースの一員になった。どんな投球で貢献していきたい 「もっと自分自身成長して、チームを勝たせられるようなピッチングをこれからも続けていきたいなと思います」

◆阪神ロベルト・スアレス投手(30)が、球団最速タイの162キロをマークした。 1点リードの9回、危なげなく2アウトを奪うと代打亀井を直球で押し込み、5球目で空振り三振。球場のビジョンに162キロと計測され、球場もどよめいた。昨年10月19日に藤浪が救援登板で球団最速を更新する162キロをマークしていた。「セーブがつく場面ということが自分の仕事だと思いますし、とにかく何よりもチームが勝った、シリーズを勝ち越したっていうのが大きいですしうれしいです」。これで12セーブとセーブランキングのトップを走っている。

◆巨人が首位阪神との3連戦で1勝2敗と負け越した。 1勝1敗で迎えた3戦目は1点差で逆転負け。原辰徳監督(62)は負傷離脱中の坂本の代役として出場する吉川尚輝内野手の消極的な守備に一喝した。「もうちょっと攻撃性がほしい。守備というのは攻撃性がないと、いい守備はできない。バッティングは冷静さというのがあるけれど。攻撃だけではダメだけど、守備はやっぱり攻撃性がないと」。3回にマルテの打球を滑り込みながら捕球するも、一塁への悪送球で適時失策となった。送球がやや消極的に映った。 ? 試合後の原監督の主な一問一答は下記の通り。 -1点差に詰め寄りながらの試合だった 原監督 まぁ、やっぱり、なんていうかな6点がね。やや重かったかなという気がする。よく追い上げたけど。 -今村は3回で降板した 原監督 流れをね、何とか変えたいというところでね。平内に託しましたけど、まぁ、うまく機能しなかったというところですね。 -平内は本塁打の後を切り替えて投げてほしかった 原監督 やっぱり簡単に、フォアボール、ホームランだからね。新人選手とはいえ、いろいろな経験をしているわけだから。自分の役割というのは分かっているはずだよね。もう少し、思うところ(目標)というのは高いところにないといけませんね。今日は寝られないぐらい悔しがらないといけないよね。 -3回にマルテに遊撃内野安打を許した吉川の守備は 原監督 スローイングだって、ワンバウンドで投げようとしているのか、投げまいとしているのか、というのがなかなか見えづらい。そういうところでしょうな。

◆阪神1番近本光司外野手が2本の適時打を含む3安打で貢献した。 3回に右前適時打で1点差に迫ると、陽川の勝ち越し2ランが出た4回には左中間への適時二塁打でさらにリードを広げた。「良い仕事ができた1日だったと思います」。開幕直後は苦しんだが、5月は月間打率4割5厘と絶好調。「1勝ですけど、この1勝はただの1勝ではないと思いますし、とても大きい1勝。巨人はシーズンを通して勝たなければいけない相手ですし、また勝てるようにしっかりやっていきます」と選手会長は引き締めた。

◆首位阪神が「勝利の方程式」で2位巨人を1点差で振り切った。終盤3イニングを岩貞祐太投手(29)、岩崎優投手(29)、そして守護神ロベルト・スアレス投手(30)が球団最速タイ162キロをマークして無失点で締めた。岩崎の15ホールド、スアレスの12セーブはともにリーグ最多。かつての「JFK」をほうふつとさせる勝ちパターンを確立し、5カード連続で勝ち越した。デーゲーム15連勝、日曜8連勝で、再び巨人を4・5差と突き放した。162キロで締めた。9回2死、阪神の守護神スアレスは代打亀井の外角へ自己最速、昨年の藤浪に並ぶ球団最速の直球を投げ込み空振り三振。球場ビジョンに「162キロ」と表示される中、右手でグッとガッツポーズをつくった。「とにかく何よりもチームが勝った。(3連戦を)勝ち越せたっていうのが大きいですし、うれしいです」。シャイな男は笑みを浮かべ、来日初勝利のアルカンタラにウイニングボールを手渡した。 矢野監督も「スアちゃん、今日はいつもよりもさらに球が速い感じにも見えた」と驚くほど気持ちが入っていた。直球が160キロ台で動き、チェンジアップが140キロ台と異次元の投球。15日に逆転3ランのスモークからは低め160キロで見逃し三振を奪った。20試合でリーグ最多の12セーブを挙げ、18試合連続無失点で防御率は0・45。ソフトバンクを戦力外となって加入した昨季は外国人枠を争う1人で、途中から抑えに転向してセーブ王に。今季は「セーブがつく場面ということが自分の仕事」と立場にこだわっている。 8回の岩崎は2死から岡本和に打たれたが、一塁走者の代走増田大をけん制で飛び出させアウトに。矢野監督は「スグル(岩崎)もいろんな引き出しを出しながら、しっかりゼロで帰ってきてくれる」とほめた。15ホールドはリーグ最多。岩崎が抑えるたびに出す「0点で抑えることができてよかったです」というお決まりのコメントは、虎党の中でも話題となっている。 7回の岩貞も「気持ちで抑えた」と3人で片付けて11ホールド目をマークと、勝ちパターンの継投はライバル球団の脅威になっている。優勝するためには05年のウィリアムス-藤川-久保田の「JFK」のように強固な勝利の方程式が必要。それに似通う3人の奮投を指揮官は「いやあ、ホントね、頭が下がるというか、だいぶ登板数も多くなっているから」とたたえた。 2リーグ制後、40試合時点での勝率7割1分1厘は球団最高で、27勝も08年と並んで最多。今季デーゲームは1分けを挟んで15連勝で、日曜日は8連勝と景気いい数字が並ぶ。阪神が、21年自慢の方程式で首位を走り続ける。【石橋隆雄】 ◆阪神過去のV年の主な必勝リレー 投手分業が定着して以降、阪神の優勝年でも勝ちパターンが確立されていた。日本一となった85年には、中西、山本和のダブルストッパー体制。福間や佐藤秀ら左腕も個性を発揮した。03年には中継ぎの安藤、吉野から抑えのウィリアムスへとつなぐ流れがあった。そして05年には、球史に残る名トリオ「JFK」がフル稼働。急成長した藤川、クローザーから転じたウィリアムスの中継ぎ陣、そして抑えの久保田と、盤石の救援陣を形成して混戦を勝ち抜いた。

◆阪神佐藤輝明内野手の連続試合出塁が「18」でストップした。 巨人の3投手に4打数無安打。4月21日巨人戦以来、19試合ぶりに3三振を喫した。3度得点圏に走者を置いて打席を迎えたが、快音は響かなかった。前日15日に「勝ち越して帰ります」と宣言した通りチームは勝利したが、4番のバットは小休止となった。

◆首位阪神が2位巨人を1点差で振り切った。デーゲーム15連勝、日曜8連勝で、再び巨人を4・5差と突き放した。 ? ▼阪神は今季40試合を終え、27勝11敗2分けの勝率7割1分1厘。この試合数を消化した時点での勝率では、08年の6割9分2厘(27勝12敗1分け)を超え2リーグ分立後最高。球団最高は37年秋の8割2分1厘(32勝7敗1分け)。 ▼40試合時点での首位は、17年5月21日以来4年ぶり。今季の2位との4・5ゲーム差は、リーグ優勝した03年の4差を超え2リーグ分立後最大となった。

◆阪神陽川尚将内野手(29)が勝ち越し2号2ランを放った。同点の4回無死一塁、2番手平内の外寄り147キロ直球を振り抜き、オレンジ色に染まる右翼席最前列へ。「積極的に打ちにいった中でしっかり捉えることができました」。ベンチ前で一塁走者のサンズとともに両手で胸をたたく「ゴリラポーズ」で喜んだ。 2回の第1打席で同じ無死一塁で今村の低め変化球を引っ掛けて遊ゴロ併殺打に倒れ、「ちょっと気持ちセンター返しを心掛けていった」とすぐに修正。強引にならず逆方向へ運んだ。 ここまで主に代打でスタメンは2日以来、4試合目。「ここ最近代打でチャンスのときに、全く内容のない打席ばっかりだったので、積極的にどんどん振っていこうと思いました」。大山が背中の張りで離脱後の「6番右翼」は糸井とロハスが務める。激しいポジション争いの中、外国人枠の都合でロハスがベンチを外れた試合。2本塁打の糸井に負けじと存在感を見せ、矢野監督も「代わった陽川が打ってくれるのはチーム全体が盛り上がりますね」とたたえた。 昨年はキャリアハイの8本塁打。7月で30歳を迎える陽川は現状に満足していない。「どんどん結果を出していくしかないので、それだけを意識してこれからも取り組んでいきます」。アピールを続け、定位置奪取を目指す。【林亮佑】

◆阪神の新外国人ラウル・アルカンタラ投手(28=韓国・斗山)が来日初登板で先発し、6回7安打5失点で初勝利をつかんだ。「アッアッー、オハヨウゴザイマス」。お立ち台での第一声はまさかの朝のあいさつ。冷静な投球とはかけ離れたおちゃめな姿で、ファンの心もがっちりつかんだ。 ヤマ場は4点リードの6回、先頭梶谷から4連打の猛反撃を受けた。いやなムードの中、一塁手マルテがマウンドに駆け寄った。「いいピッチングしているから、落ち着いていくこと。まずコントロールをしっかり下(低め)に投げること」。同郷の仲間に背中を押されると、スモークを捕邪飛。その後も内野ゴロと重盗で追い上げられたが、1点のリードを守り抜いた。 失点した2回と6回以外は3人ずつで片付け、最速153キロの球威と制球力が光った。「今日初めて勝つことができたのでとてもうれしい気持ちと、またこれからも頑張りたいという気持ち。95点をあげたい」。そんな自己採点に、矢野監督も「点数より内容の方が、良かったかなという感じに見えた」と合格点だ。 昨季韓国リーグでは最速158キロを計測し、20勝を挙げて最多勝に輝いた。それでも韓国球界関係者が舌を巻いたのは、その冷静さ。マウンドでカッとすることはなく、穏やかで周りを見渡す能力に優れていた。所属した斗山でフォークを習得すると「リーグのエース」と言われるまで進化。成長させてくれたチームへの思いも忘れず、退団が決まった昨年末は自身のSNSに感謝の長文を書き記した。穏やかで謙虚な人柄は日本でも愛されるはずだ。 夫人と3人の息子を米国に残して単身来日。この日も海を越えて応援してくれていた。「さみしい気持ちもあるけど、いい時も悪い時も家族が一番支えてくれる存在」。阪神の助っ人投手が来日初登板で巨人戦に先発して勝つのは02年ムーア以来、3人目。虎にまた頼もしい戦力が加わった。【磯綾乃】

◆首位阪神が「勝利の方程式」で2位巨人を1点差で振り切った。終盤3イニングを岩貞、岩崎、そして守護神スアレスが球団最速タイ162キロをマークして無失点で締めた。岩崎の15ホールド、スアレスの12セーブはともにリーグ最多。かつての「JFK」をほうふつとさせる勝ちパターンを確立し、5カード連続で勝ち越した。デーゲーム15連勝、日曜8連勝で、再び巨人を4・5差と突き放した。 矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。-しびれる試合をひっくり返して勝ち越した 結果的には、昨日も負けたけどね、中身のある試合ができていたし、アルカンタラが初登板やったけど、勝ちも付いたというところでは、勝ち越せたっていうのは良かったというか、チームのやることをできたかなと思います。 -スアレスは気持ちが入っていた。後ろの3人が期待に応え続けてくれている いやあ、ホントね、頭が下がるというか、だいぶ登板数も多くなってるからね、アレやけど。(岩崎)優もいろんな引き出しを出しながら、しっかりこうゼロで帰ってきてくれるっていうところは本当にいつもチームの欠かせない存在になってくれているし。スアちゃんも今日ね、またいつもよりさらに球が速いような、なんかそんな感じにも見えたんで。本当に、岩貞も含めてね、ピッチャー陣がよく投げてくれているなという印象です。 -アルカンタラは5点は失ったが真っすぐで押せていた うんまあ、力で押すっていう感じまではいかないと思うんだけど、コントロールも両サイドにしっかり投げられるしね。変化球もある程度、カウントを取れたり、打たすこともできるというところでは力というよりは投球の幅とコントロールで抑えていくという感じかなと思うけど。 -梅野のリード 初めて組むわけやからね。アルカンタラの何が、どうというのは、ハッキリ分かった状態ではない中でのリードやからね。これだ、これだとすべて覚えるわけじゃないけど。その中でも協力してやって、しっかり投げていってくれたと思う。タイプ的には西勇にも似ているのかなという感じにも見えたけど。 -近本が続いたのも大きかった もちろん、もちろん。さらにさらにというところで近本がかえしてくれたというのは大きいし。近本が乗ってくるというのは、うちの野球のポイントになるんで。今日はかえすところがあったけど、やっぱり1打席目に結果が出るというのは、3本、4本というタイプの打者でもあるんでね。チカが上がってきたというのは頼もしいかなと思います。 -糸原が途中交代 ずっと出ているから。足の張りもずっとあったし、そういうところでは無理させたくないなというところで。タイムリーも打ってくれたしね。そういうところで早めに代えておこうというところで代えました。

◆巨人新外国人ジャスティン・スモーク内野手が2者連続弾で日米通算200号本塁打を決めた。 7回2死、岡本和の2ランの直後、初球真ん中158キロ直球を右翼席上段に運ぶ完璧な特大の4号ソロをぶち込んだ。「初球をしっかりと振り抜くことができた。200本打てるまでずいぶん長くかかったけど、節目の200本はやっぱりうれしい」とプロ13年目、日米通算1300試合目での大台到達を喜んだ。

◆巨人・岡本和真内野手(24)が先制の9号ソロを放った。 「ストレートを力負けせずに打ち返すことができた。先制できてよかった」。二回。阪神先発・アルカンタラの高めの直球を捉え、バックスクリーン左に突き刺した。12日のDeNA戦(横浜)で九回2死から起死回生の同点8号2ランを放って以来の一発となった。  この日は長嶋茂雄終身名誉監督(85)が観戦に訪れた。ミスターが見守る中、「4番・三塁」の系譜を引き継ぐ主砲が期待に応える一発を放った。

◆阪神・近本光司外野手(26)の適時打などで2-2の同点に追いついた。  「取られた後だったので、すぐに取り返すことができてよかったです。もっと援護できるように頑張ります」  2点を先制された直後の三回。先頭のD6位・中野(三菱自動車岡崎)が右前打を放つと、アルカンタラ(前韓国・斗山)が一犠打で1死二塁の好機を作る。  ここで近本が今村の内角のシュートを右前にはじき返して1点を返した。さらに、続くマルテが遊撃への内野安打を放つと吉川の一塁への送球が悪送球。一走の近本が生還し、同点に追いついた。

◆阪神・陽川尚将内野手(29)が勝ち越しの2ランを放った。  「積極的に打ちにいった中でしっかり捉えることができました。入るか微妙な距離でしたが入ってくれてよかったです」  2-2の四回。先頭のサンズが四球を選んだところで打席に立つ。巨人のD1位・平内(亜大)の直球をとらえると、右翼席最前列へ着弾。3月27日のヤクルト戦(神宮)以来となる今季2号2ランで、ベンチ前では「ゴリラポーズ」を披露した。  前日15日まで4試合連続で右翼で先発出場していたロハスが、外国人枠の関係でこの日はベンチ外。2日の広島戦(甲子園)以来のスタメンで結果を残した。  さらに、2死二塁から近本が適時二塁打を放つと、糸原も中前適時打。打線がつながり、この回4得点を挙げた。

◆阪神の新外国人のラウル・アルカンタラ投手(28)=前韓国斗山=が来日初先発し、6回を7安打5失点、5奪三振でマウンドを降りた。  「初登板だったけど、良い感覚で初回に入れたし、全体的にコントロール良く投げることができたよ」  一回を三者凡退で終えたが、二回に岡本和に先制のソロを浴びる。スモーク、吉川の安打などで一死一、三塁とされると大城の併殺崩れの間に1点を追加された。  その後、味方打線が6点を奪い大きな援護点をもらうと、三、四、五回は1人の走者も許さない完璧な投球をみせた。  だが、六回に先頭の梶谷から4連打で1点を失う。その後、1死満塁で若林の併殺崩れの間にさらに1点。2死一、三塁からは重盗を決められ、この回3点を失った。  なおも、2死三塁とされたが、代打・松原を二ゴロに打ち取り、なんとかリードを守った。来日初勝利の権利をもって交代となった。

◆阪神が逆転勝利。カード勝ち越しを決め、2位。巨人とのゲーム差を4・5に広げた。0-2の三回1死二塁から近本が右前適時打。さらに2死一塁でマルテの遊撃への内野安打を放つと、吉川の悪送球で一走の近本が生還し、2-2の同点に追いついた。  四回には無死一塁から陽川が右越えの勝ち越し2ラン。その後、近本の適時二塁打と糸原の適時打で、この回4点を奪った。  来日初先発のアルカンタラは一回を三者凡退で終えたが、二回に岡本和にソロを浴びると、一死一、三塁から併殺崩れの間に2点目を失った。  その後は三、四、五回と完璧に抑える投球。だが六回に4連打や併殺崩れの間、重盗などで3点を許し、6回を投げて、7安打5失点。1点差に迫られたが、なんとかリードを守り、来日初先発で初勝利を挙げた。

◆巨人のドラフト1位・平内龍太投手(22)=亜大=が2-2の四回に2番手として登板。2/3回を投げ3安打4失点と打ち込まれ、1回持たずKO。プロ初黒星を喫した。先頭のサンズに四球を与え、続く陽川に右越え2ランを被弾。その後2死二塁で近本に中越え適時二塁打を浴び、3点目を失ったところで降板。3番手の戸根にマウンドを譲った。  平内はここまで、3試合に救援として登板。5回を投げ8失点、防御率14・40となった。  試合後、宮本和知投手チーフコーチ(57)が平内の2軍降格を明言。代わってビエイラが1軍に昇格する見込み。

◆阪神は四回2死から16人連続して凡退するなど、巨人に追い上げられたが、中継ぎ陣が耐えて、1点差勝利。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ■シビれる試合  (テレビインタビュー)  ーーー接戦を制した。  「シビれましたけどね。バッターも点は取ってくれましたけど、ピッチャーがね、本当によく投げ切ってくれました」  ーーリリーフが好投した。  「出したところでなんの迷いもないので、全て任して、全ての責任を受け入れるという気持ちで送り出してます」  ーーアルカンタラの投球について(6回5失点で勝ち投手)。  「初登板でね、落ち着いて投げてくれましたし、5点はエラーだったり、点数より内容の方がね、もうちょっと良かったかなという感じに見えました」  ーー陽川の2ラン(四回の勝ち越し弾)など、打線がつながった。  「この3連戦は取られてからすぐ取ったり、そういう攻撃ができてるんでね、うちらしい攻撃ができてますし。代わった陽川が打ってくれるのは、チーム全体が盛り上がりますね」 ■ライバルチームに勝ち越し  ーー交流戦前最後の巨人戦で勝ち越した。  「去年もやられてますし、去年の優勝チームですし、2000試合というね、ライバルのチームでもあるんでね。勝ち越せたのは大きいです」  ーー巨人と4・5ゲーム差  「先は長いのでね、負けた試合でもタイガースらしい試合はできてるんでね、思い切って攻めていく。全員野球をこれからも、やりきっていきます」  (記者の取材に対し)  ーーシビれる試合をひっくり返して勝ち越した  「結果的には、きのうも負けたけどね、中身のある試合ができていたし、アルカンタラ初登板やったけどね、勝ちも付いたところではまあまあ。もちろん3タテをしたいけど、勝ち越せたのはよかったというか、チームのやることをできたかなと思います」 ■ブルペン陣の勝利  ーースアレスは気持ちが入っていたが、後ろの3人が期待にこたえ続けてくれている  「いやぁホントね、頭が下がるというか、だいぶ登板数も多くなってるからね、アレやけど。(岩崎)優もいろんな引き出しを出しながら、ゼロで帰ってきてくれるところは、欠かせない存在になっているし。スアちゃんも、いつもよりさらに球が速いような、そんな感じにも見えたんで。本当に、岩貞も含めてね、ピッチャー陣がよく投げてくれている印象です」  ーーアルカンタラは5点は失ったが真っすぐで押せていた  「力で押す感じまではいかないと思うんだけど、両サイドにしっかり投げられるしね。変化球もある程度、カウントを取れたり、打たすこともできる。力より投球の幅とコントロールで抑えていく感じかなと思うけど」 ■アルカンタラは西勇タイプ  ーー梅野のリード  「初めて組むわけやからね。アルカンタラの何が、どうというのは、わかった状態ではない中でのリードやからね。これだとすべて覚えるわけじゃないけど。その中でも協力してやって、しっかり投げてくれたと思う。タイプ的には西勇にも似ているのかなという感じにも見えたけど」  ーー近本が続いたのも大きかった(四回の適時打)  「もちろん、もちろん。さらにさらにというところで近本が返してくれたのは大きいし。近本が乗ってくるというのは、うちの野球のポイントになるんで。今日は返すところがあったけど、やっぱり1打席目に結果が出れば3本、4本というタイプのバッターでもあるんでね。チカが上がってきたというのは頼もしいかなと思います。  ーー糸原が途中交代  「ずっと出ているから。足の張りもあったし、無理させたくないところで。タイムリー(四回の6点目の適時打)も打ってくれたしね。早めに代えておこうというところで代えました」

◆巨人は首位・阪神に敗れてこのカードを1勝2敗で負け越し、ゲーム差は再び4・5に開いた。原辰徳監督(62)は2番手で登板し、1イニングもたずに4失点と炎上して2軍降格が決まったドラフト1位・平内龍太投手(22)に「寝られないぐらい悔しがらないと」と奮起を求めた。  --1点差まで詰め寄ったが...  「やっぱり6点がやや重かったかなという気がする。よく追い上げたけど」  --先発の今村は三回で交代した  「流れを何とか変えたいというところで(2番手の)平内に託しましたけど、うまく機能しなかったというところですね」  --アクシデントではない  「そういうことではないですね」  --今村は3イニングとも先頭打者を出していた  「やっぱり(二回に)2点を取って(三回先頭の中野に)2ナッシングから簡単に(安打された)。もちろん(失点は)不運な(守備が)足を引っ張った部分もあるけれど、リズムというものがなかなか...。リズムを変えたかったというところですね」  --平内は本塁打の後を切り替えて投げてほしかった  「(本塁打は)しようがなくはないよ。やっぱり簡単に四球、本塁打だからね。新人選手とはいえ、色々な経験をしているわけだから、自分の役割というのは分かっているはずだよね。もう少し思うところ(目標)というのは高いところにないといけませんね。今日は寝られないぐらい悔しがらないといけないよね」  --失策もあった吉川の守備は  「もうちょっと攻撃性がほしいね。守備というのは攻撃性がないといい守備はできないよね。打撃は冷静さ、というのがあるけれど、守備はやっぱり攻撃性がないと」  --内野安打を許した場面も  「もちろんそれもあるしね、(三回に悪送球で失点につながったマルテの場面の)スローイングだって、ワンバウンドで投げようとしているのか、投げまいとしているのか、というのがなかなか見えづらい。そういうところでしょうな」  --長嶋終身名誉監督が来場  「近況的なものの報告ですね。元気そうでした」

◆東京ドームで今季2度目の生観戦した巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(85)が球団を通じてコメントを発表。15日に阪神との対戦が通算2000試合となったことにあわせ、思い出を振り返った。また阪神D1位・佐藤輝明内野手(22)にも言及した。ミスターのコメント全文は以下の通り。  「伝統の一戦、阪神戦にはやはり特別な思いがあります。1959年の天覧試合では、天皇陛下の前でサヨナラホームラン、ダイヤモンドを一周することができましたが、今でもあの時の興奮、そして大歓声はよみがえってきます。1968年の阪神戦ではバッキーと王さんのデッドボール事件もありました。ライバルである阪神戦になると、今も熱い思いがこみ上げてきます。今年の阪神はルーキーの佐藤輝君という新しい力もあり、強い。手ごわい相手ですが、わが巨人軍も十分に力があります。やはりプロ野球は巨人と阪神が強いと盛り上がります。2001試合目以降もライバルとして、新たな好勝負が生まれていくことを期待しています」

◆巨人・元木大介ヘッドコーチ(49)が「7番・遊撃」で先発した吉川尚輝内野手(26)の守備に苦言を呈した。  先制した直後の三回に1点を返され、なお2死一塁の場面。吉川はマルテの三遊間の深い打球を好捕したが、一塁への送球が乱れ、一塁走者の近本が一気に生還して同点とされた。元木ヘッドコーチは「ノーバンで投げるのか、ワンバウンドで投げるのかが中途半端だったから、ああいう結果になった」と指摘した。  勝ち越しを許した四回には、D6位・中野(三菱自動車岡崎)のボテボテの当たりにチャージが遅れて内野安打とされた場面も。六回の守備から吉川はベンチに下がり、二塁手の若林が遊撃に、香月が二塁に就いた。右手母指(親指)末節骨を骨折した坂本の代役としての期待は大きいが、同ヘッドは「ミスが続いたからね。そんな甘くないよ、っていうことで。代わりはいっぱいいる」と危機感を植え付けた。

◆また一人、頼もしい戦力が阪神に加わった。アルカンタラは安定した制球で、自分から崩れることはないタイプ。自分の考えで打者と勝負できていた。球威があるし、タイミングを外すチェンジアップが有効で、フォークもいい。梅野もリードしやすかっただろう。六回は疲れからか、連打を浴びたが、慣れてくればイニングの心配ないし、ローテの一角は十分に任せられるだろう。  アルカンタラの登場で、ますますチーム内競争が激化してくる。ガンケルの体調が戻った時に、どんなローテを組むのか、楽しみだ。  全く結果が残せていないロハスに代わって陽川をスタメン起用したら貴重な一発が出た。糸井も調子を上げている。個人的にはロハスは今はファームで調整させればいいと思っている。結果を残したものが試合に出るという正常なチーム内競争が、チームを強くする。今の阪神にはそれができつつある。  この3連戦で、巨人は劇的な一打があり、さらには原監督の重盗や細かな継投など執念のさい配が随所に見られたが、裏を返せば、「劇的」=「危機的」ともいえる。そういうものがなければ勝てないチーム状態。対する阪神は普通に戦って巨人に勝ち越した。  あれほど課題とされた内野守備も、佐藤輝がサードに入って以降、安定してきている。死角がどんどん消えている。アルカンタラの参戦で、さらに加速しそうな感じがする。(本紙専属評論家)

◆六回に1点差まで詰め寄ったが、反撃もそこまで。通算2001度目の対戦となった首位・阪神との直接対決を1勝2敗で負け越し、原辰徳監督(62)が"投壊&守乱"に苦言を呈した。  「やっぱり6点がやや重かったかな」 ■平内2死しか取れず4失点KO  2点を先制した直後の三回、先発の今村が追いつかれた。3イニングとも先頭打者に安打される不安定な内容で、たまらず指揮官は四回からD1位・平内(亜大)にスイッチ。結果を残せば先発転向も見えてくる場面だったが、2死しか取れずに4失点KOを喫した。  これには指揮官もあきれ顔で「新人とはいえ、自分の役割は分かっているはず。今日は寝られないぐらい悔しがらないと」と注文をつけた。初黒星で防御率は14・40まで悪化し、ビエイラとの入れ替えで2軍降格が決まった。 ■吉川の送球ミスで一走生還  守備の乱れもあった。1-2の三回2死一塁。マルテの遊ゴロを処理した吉川の送球が中途半端なバウンドとなって一塁・スモークが捕れず、一走の生還を許した。坂本が親指の骨折で離脱する中、穴を埋める活躍が期待されるが、指揮官は「もうちょっと攻撃性がほしい。守備というのは攻撃性がないといい守備はできない」と厳しかった。  この日は長嶋茂雄終身名誉監督(85)が3月の開幕戦に続いて今季2度目の観戦に訪れていた。ミスターは「今年の阪神はルーキーの佐藤輝君という新しい力もあり、強い。やはりプロ野球は巨人と阪神が強いと盛り上がります。2001試合目以降もライバルとして、新たな好勝負が生まれていくことを期待しています」と前向きに締めた。ゲーム差は再び4・5に。付け入る隙を与えていては、追い付くことはできない。(伊藤昇)

◆首位の阪神は2位の巨人に6-5で勝ち、5カード連続の勝ち越しとなった。近本光司外野手(26)が3安打2打点で勝利に貢献。チームは40試合消化時点では球団最多となる貯金16とし、宿敵に再び4・5ゲーム差をつけた。5月の月間打率・405と絶好調のリードオフマンが、Vロードを引っ張っていく。  勝利への思いをバットに込めた。伝統の一戦2001試合目に敵地で響かせた3度の快音。巨人に勝ち越して本拠地に帰る-。矢野監督の執念を近本は分かっていた。3安打2打点でG倒けん引だ。 ■「良い仕事できた一日」  「良い仕事ができた一日だった。(四回は)何点あっても足りないくらいの試合だと思うので、後ろにつなげるようにと思っていたし、結果的に点が入ってよかった」  陽川の2ランで4-2と勝ち越した四回、2死二塁からD1位・平内(亜大)のカットボールを捉えた。中越えの適時二塁打で貴重な追加点。その後追い上げられただけに大きな1点となった。一回先頭で左前打。0-2の三回1死二塁では先発・今村の内角シュートを右前へはじき返し、反撃の適時打を放った。10試合ぶりとなる今季3度目の猛打賞で貢献した。 ■絶好調5月打率・405  もう心配はいらない。開幕直後は打撃不振で、4月が終わった時点で打率は・222だった。それが5月に入ると絶好調。月間打率は・405(42打数17安打)で、シーズン通算でも・270まで上昇した。春季キャンプ中から遅い球でも自分の打撃フォームを崩さずに同じ打ち方ができるよう、スローボールのフリー打撃に取り組んできた。三冠王に3度輝いた落合博満氏も現役時代に行っていた「間」を取る練習。ようやくその成果が出てきた。  得点はリーグトップの31。143試合に換算すれば、110・8得点で目標に掲げているシーズン100得点を超えるペースだ。矢野監督は「近本が乗ってくるというのは、うちの野球のポイントになる。チカが上がってきたというのは頼もしい」と目を細めた。 ■矢野監督、有言実行の勝ち越し  そして、何よりも巨人に勝ったというのが、大きい。前日15日に通算2000試合を迎えた伝統の一戦。節目の試合に敗れ、指揮官は2001試合目に向けて「勝ち越して帰るよ」と誓っていた。まさに有言実行。再び巨人とのゲーム差を4・5に広げた。  チームは5カード連続勝ち越しで貯金16。2008年の15を上回り、40試合消化時点では1950年の2リーグ分立後球団最多となった。  「この1勝はただの1勝ではないと思うし、とても大きい1勝だと思う。巨人はシーズン通して勝たなければいけない相手ですし、また勝てるようにしっかりやっていきます」  近本も宿敵に勝つことの大切さはよくわかっている。これからも勝利をもたらす一打を放っていく。(菊地峻太朗)

◆巨人・岡本和が二回に先制の9号ソロを放った。阪神先発、アルカンタラの直球をバックスクリーン左に運び、「直球を力負けせずに打ち返すことができた」とうなずいた。主砲は六回に左前打、八回に中前打を放ち、3安打1打点。試合には敗れたが、打点をリーグトップの35に伸ばし、2位の阪神D1位・佐藤輝(近大)との差を4に広げた。

◆巨人・ウィーラーが六回に左前打を放ち、来日7年目で自己最長となる21試合連続安打をマークした。球団では、長嶋茂雄(1969年)、中畑清(81年)の記録に並んだ。ここまで24試合に出場し、打率・433、5本塁打、15打点と好調を維持している。

◆来日初登板でいきなりG倒だ。阪神・アルカンタラが味方打線の援護に助けられ、初勝利をつかんだ。  「初めて1軍で勝つことができたので、とてもうれしい。全体的にコントロールがよかったと思うよ」 ■6回5失点で降板も  ゆったりとしたフォームから繰り出す最速153キロの直球と、切れのある変化球をコントロールよく投げ分け、五回まで2失点と粘った。六回に1番・梶谷からの上位打線に4連打を食らうなど3点を献上。6回5失点で降板したが、来日初登板が巨人戦で白星を挙げるのは、球団助っ人では2002年のムーア以来の快挙だ。  打席では2個の犠打を成功させるなど器用さも披露。自身の投球を自己採点し「95点をあげたいよ」と満足げだ。昨季韓国で20勝を挙げて最多勝に輝いた右腕のデビュー戦に矢野監督は「初登板で落ち着いて投げてくれた。(許した)点数より内容の方が良かった感じに見えた」と評価した。 ■勝利球は「奥さんに」  遠く離れた米国で暮らす家族にプレゼントする1勝だ。「寂しい気持ちもあるけど、いい時も悪いときも家族が一番支えてくれる」。異国の地で生活する助っ人にとって妻と3人の愛息が何よりの原動力となっている。ウイニングボールは「奥さんにプレゼントしたい」と笑顔で話した。  「もっと成長してチームを勝たせられるような投球をしていきたい」  チーム最多の5勝を挙げているガンケルが不在でもアルカンタラがいる。次回は百点満点の投球で虎を勝たせる。(織原祥平)

◆ため込んだ、なかなか繰り出すチャンスがなかった"GP"が、ここぞで入った。逆方向の右翼席最前列までパワーで持っていく、おなじみ「ゴリラパンチ」で決勝の2号2ランだ。阪神・陽川がGに重たいパンチを食らわせた。ロハスがベンチ外でも、虎はこんな野性味あふれる大砲であふれている。  「ここ最近、代打とかでチャンスをもらったときに、まったく内容のない打席だった。どんどん積極的に振っていこうと思いました」  2-2で迎えた四回無死一塁。力のある真っすぐに定評があるD1位・平内(亜大)と向かい合い、その147キロ直球を打ち砕いた。雌雄を分けるカード3戦目に巡ってきた見返すチャンスを、ひと振りでモノにした。 ■一発放てばチーム11連勝  しかも、ただの一本ではない。これで陽川が一発を放てば、チームは2019年9月29日の中日戦(甲子園)から11連勝だ。この日もベンチ総出で胸をたたくゴリラポーズで陽川を迎えた。主役の背後では、一緒に生還したサンズが同じポーズをマネし、ナインの喝采を浴びていた。  3年にまたがってチームを勝たせ続けてきたのも"単なる神話"とは言い切れない。このゴリラパフォーマンスもあって、間違いなくゲームのムードは変わった。矢野監督も「この3連戦は取られてからすぐ取ったり、そういう攻撃ができている。(ロハスに)代わった陽川がああいうふうに打ってくれるっていうのは、チーム全体が盛り上がりますね」とたたえずにいられなかった。 ■ロハス代役6番で大仕事  指揮官の言葉通り、大物助っ人の"代役"だった。先発はアルカンタラで、外国人枠の都合もあり、助っ人球団ワーストの来日から20打席無安打のロハスがベンチから外れた。先発出場すれば2戦連発中のベテラン糸井もいたが、相手先発が左の今村とあって指揮官は陽川の名を「6番・右翼」に書き込んだ。5月2日の広島戦(甲子園)以来10試合ぶりのスタメンで、絶対にモノにしたい一戦を、陽川は豪快につかんでみせた。  「どんどん結果を出していくしかないんで。それだけを意識して、これからも取り組んでやっていきたいです」  これでチームのデーゲームの連勝は「15」に伸びた。陽川のような男が最高の仕事をできるから、虎はまた強くなる。(長友孝輔)

◆1点リードの七回に登板した阪神・岩貞は三者凡退に抑える好リリーフで勝利に貢献した。「気持ちで抑えました」。先頭の代打・中島を二ゴロ、香月を1球で一ゴロに仕留めると、最後は梶谷を低めのフォークで空振り三振に斬り、任務完了。勝利の方程式の一角として今季11ホールド目をマークし、虎のブルペンを支えている。

◆気合の入った直球でねじ伏せ、阪神・スアレスが今季12セーブ目を挙げた。  「セーブが付く場面が自分の仕事。とにかく投げてチームが勝った。(カードを)勝ち越したというのが大きいですしうれしい」  14日の1戦目の2-1に続き、この日は6-5の九回に中1日でマウンドへ。先頭のスモーク、続く若林をともに160キロで見逃し三振、中飛に料理。代打・亀井は昨季藤浪がマークした球団記録に並ぶ自己最速の162キロで空振り三振に仕留め、右拳を握った。  チームは六回終了時点でリードした試合はこれで20連勝。七回は岩貞、八回は岩崎が無失点でつなぎ、最後はスアレスがピシャリ。矢野監督は「頭が下がる。チームに欠かせない存在になってくれている」と鉄壁の救援陣を絶賛した。(柏村翔)

◆八回に3番手で登板した阪神・岩崎が"技あり"の無失点だ。「0点で抑えることができてよかったです」。2死から岡本和に中前打を許したが、代走・増田大をけん制アウトにした。矢野監督は「いろんな引き出しを出しながら、しっかりゼロで帰ってきてくれる」とうなりっぱなし。リーグトップを維持する15ホールド目だ。

◆「伝統の一戦」の2001試合目は、虎が勝利!! 巨人とのゲーム差も4.5と広げたし、今季のデーゲームでは依然負けなしでサイコーの日曜日やー!! と浮かれたいところだけど...。内心は冷や汗タラタラだったのだ。  満を持して来日初マウンドに登場した昨季韓国リーグで最多勝投手のアルカンタラは初勝利こそ挙げたものの6回7安打5失点とハラハラドキドキの内容。速球は常に150キロ超えでコントロールに不安はなさそうだけど、ボールが甘い、高い、ストレートで空振りが取れないから怖さがな~い!! 本日は初登板だし、勝ったから60点くらいにしとくけど...。次回は本気を見せてくれ!!  さらに、打線も四回までに6点を奪ったものの、五回以降は巨人の中継ぎ陣にパーフェクトを許してるんだから...。ホンマに優勝できるんかいなあ???  さあ、伝統の一戦2000試合のお祭りイベント(本日は長嶋茂雄さんも来場)は終了!! ヤクルト戦からは地味でもいいから、コツコツと白星を積み上げていくでェ!!

◆関西方面は記録的な早さで梅雨に突入した。甲子園の2軍戦も「降り出すタイミングが悪くて、中止になりました」とトラ番最年少・織原祥平。大急ぎで東京ドームの決戦をテレビ観戦できる場所に移動して、現場の長友孝輔キャップのバックアップ態勢に入った。伝統のTG2000試合を挟んだ3連戦は、若きトラ番にどう映ったか?  「15日の九回は一人一殺、16日は毎回のように惜しげもなく投入。原監督の投手起用に、改めて負けられない伝統の一戦の重みを感じました」  な~るほど。でも、経験豊富なキャップ長友になると、少し感想が違ってくる。  「いやぁ、巨人はリリーフが大変だなあ、と。対する阪神の後ろの投手は超安定してますから」  そうだよなぁ。長くTG決戦を見ていると、チームが入れ替わったような印象がある。昔から、ド~ンと構えているのが巨人で、あの手この手で必死で食い下がるのが阪神。それが"虎が強い時期をほとんど知らない"記者の見てきた伝統の一戦だった。ビックリするぐらいに正反対なのだ、今は。  サンスポ紙面でもOBの連載をしたが、トラ番の仲間内でも「あなたが選ぶ思い出のTG戦」で盛り上がっている。先日も某タテジマ監督経験者に尋ねられたので「1996年7月28日の延長十五回逆転サヨナラ勝ちです」と即答した。  25年前のあの日、十五回表に勝ち越し弾を浴び、敗色濃厚。その裏、必死で猛虎は久慈照嘉(現内野守備コーチ)がサヨナラ打を放つ。選手を使い果たし、サヨナラのホームを踏んだのは代走で出ていた投手の嶋田哲也(現NPB審判員)という5時間33分の死闘だった。ただ、選考は別の理由から。午後8時直前、ナイター中継の放送席にいたABCの名アナウンサー武周雄が突然、大絶叫したのだ。  「まもなく時刻は日曜午後8時。ここ甲子園は伝統の阪神-巨人戦。敵はアトランタと本能寺にあり!」  ハァ?! でしょ。  実は日本時間午後8時は、アトランタ五輪女子マラソンのスタート時刻だった。前回バルセロナで銀メダルの有森裕子の金メダルを日本中が願っていたレース。  そして、ナイター中継の"裏番組"NHK大河ドラマ『秀吉』はクライマックス「本能寺の変」の回だった。大スター渡哲也演じる信長が、どんな最期を遂げるのか? みんな見たい番組だらけ。というわけで、敵はアトランタ五輪と本能寺の変、となったらしい。  クスっと笑いながら、伝統の一戦の"凄み"を感じたものだ。五輪と競うだけでスケールは十分にデカいのに、日本歴史上最大のミステリーとも真っ向勝負できるとは。TG戦の敵は本能寺の変? それぐらい、とんでもない戦いなのだと認識させてもらった瞬間から、TG決戦の思い出は「この試合」「あの名言」と決めている。  新たな1000試合へと踏み出した伝統の一戦。2500試合目の頃は、どんな「敵」と競い合っていることやら。約20年後です。  「昔を振り返って、含蓄のある記事を書いていたいです」と長友キャップが笑った。「球界を背負う大ベテラン佐藤輝を取材してるかも」と織原もニヤリ。ならば3000試合目は? 今のメンバーは誰も記者をしていないか。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
27112 0.711
(↑0.008)
-
(-)
103185
(+6)
124
(+5)
42
(+1)
33
(-)
0.261
(↑0.001
2.960
(↓0.06)
2
(-)
巨人
21146 0.600
(↓0.018)
4.5
(↓1)
102174
(+5)
142
(+6)
50
(+1)
30
(+2)
0.260
(-)
3.250
(↓0.05)
3
(-)
ヤクルト
17147 0.548
(-)
6.5
(↓0.5)
105154
(+2)
157
(+2)
36
(+1)
23
(-)
0.245
(↓0.002)
3.840
(↑0.05)
4
(-)
広島
15195 0.441
(-)
10
(↓0.5)
104119
(+3)
138
(+3)
25
(-)
17
(-)
0.255
(↑0.001)
3.260
(-)
5
(-)
中日
14216 0.400
(-)
11.5
(↓0.5)
102111
(+2)
127
(+2)
17
(-)
21
(+1)
0.229
(↑0.002)
2.920
(↑0.03)
6
(-)
DeNA
11266 0.297
(-)
15.5
(↓0.5)
100151
(+3)
206
(+3)
35
(+1)
9
(+1)
0.237
(↑0.005)
4.630
(↑0.04)