ヤクルト(★5対11☆)阪神 =リーグ戦6回戦(2021.05.04)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:岩貞 祐太(2勝0敗0S)
敗戦投手:近藤 一樹(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】マルティネス(7号・7回表ソロ),中野 拓夢(1号・8回表2ラン),サンズ(8号・9回表2ラン),佐藤 輝明(9号・9回表ソロ)
【ヤクルト】西浦 直亨(1号・5回裏ソロ)

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◆阪神は2-4で迎えた6回表、代打・陽川の2点適時打で同点とする。続く7回にマルテのソロで勝ち越すと、8回には中野の2ランが飛び出すなど、終わってみれば15安打で11得点を挙げた。投げては、3番手・岩貞が今季2勝目。敗れたヤクルトは、投手陣が崩壊した。

◆今季のヤクルトはデーゲームの試合で0勝7敗2分け。デーゲームで白星なしは12球団でヤクルトだけ。対する阪神はデーゲームで11戦11勝。12球団唯一負けなしと対照的な結果になっている。

◆阪神大山悠輔内野手(26)が先発復帰した。スタメンが発表され「4番三塁」で名を連ねた。試合前練習でも、フリー打撃や三塁でのノックなど、いつも通りメニューをこなした。 前回2日広島戦(甲子園)では、体の張りなど疲労を考慮した模様で、今季初めて欠場していた。大山はここまで打率3割、23打点、5本塁打をマークしており、頼れる4番として欠かせない存在となっている。

◆阪神が失策で勝ち越しを許した。 2-1の5回に西勇が西浦にソロ本塁打を浴び同点とされ、なお1死二塁の場面。中村の打球は三遊間へのゴロで、捕球した大山が飛び出した二塁走者の田口に対して三塁アウトを狙ったが、カバーに入った遊撃中野への送球がそれた。ボールがファウルゾーンへ転がる間に田口の生還を許した。その後、山田に適時二塁打を浴び、この回3失点。阪神はこれでチーム23失策となった。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(29)が勝ち越しの7号ソロを放ち、神宮で「ラパンパラ」を披露した。 同点の7回1死、近藤の高めに入ったシュートを見逃さなかった。力強く振り抜くと打球はレフトスタンドへ一直線。ベンチへ戻ると、天に向かって弓を引く本塁打パフォーマンス「ラパンパラ」を、ナインと息の合った様子で披露した。ちなみにドミニカ共和国の有名コメディアンから拝借したポーズだという。 直後のツイッターでは「ラパンパラ」が、一気にトレンド入り。陽気な助っ人への注目度の高さをうかがわせた。

◆阪神陽川尚将内野手(29)が、矢野監督の采配に初球で応えた。 6回2死一、二塁、西勇の代打で打席へ。ヤクルト田口と向き合うと、初球の甘く入ったカットボールを迷わず振り抜いた。打球は左中間を破り、2人が生還。一振りで一気に追いつき、先発西勇の黒星も消した。 「一昨日の試合ではスタメンで出させてもらいながら打つことができなかったので、なんとしても打つという気持ちで打席に入りました。みんなが必死でつないでくれましたし、初球から打ちにいくと決めていたので、結果につながって良かったです」。前回2日広島戦(甲子園)では4月23日DeNA戦以来の先発出場も、4打数無安打3三振。チームを救う結果で悔しさを晴らした。 4月25日DeNA戦(甲子園)では守備から途中出場し、7回に絶妙な犠打を決めて逆転機を演出。この日も、矢野監督の起用に応える集中力を発揮した。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、プロ初の死球を受けた。 8回の第4打席でヤクルト3番手左腕坂本の3球目が背中に直撃。インコースを攻められることが多かった佐藤輝だが、ここまで死球はなく、プロ初となった。 前回対戦の3月27日にプロ初本塁打を放った田口からはこの日は3打数1安打。2回の第1打席にインコースを詰まりながら左翼前に落とす安打を放っていた。

◆ゴールデンルーキーはテルだけじゃない! 阪神中野拓夢内野手(24)にプロ初本塁打が飛び出した。 5-4の8回。佐藤輝が死球で出塁し、梅野が犠打をきっちり決めて1死二塁。中野が打席に立つと、坂本の4球目、内角高めの直球を振り抜いた。打球は大きな弧を描いてライトスタントへ。 「点差の厳しい展開の中で、梅野さんがしっかりとバントを決めてくれたので、なんとしてでもランナーをかえすという気持ちでした。最高の結果になってくれて本当に良かったです」。 記念すべきプロ初本塁打は、試合終盤にリードを広げる大きな1本となった。 中野は開幕1軍を勝ち取ると、ここまで24試合に出場。3日時点で打率は3割3分3厘。この日は6回無死一塁の場面でも左前打を放ち、陽川の同点打につなげていた。ドラフト1位の佐藤輝だけではない。社会人卒のルーキーが存在感を見せた。

◆昼間の猛虎は負けない。首位阪神が4連勝で貯金を今季最多13に増やした。今季のデーゲームは12戦全勝。開幕からヤクルト戦で6戦6勝。開幕から同一カード6戦全勝は06年横浜(現DeNA)戦に7戦7勝して以来、15年ぶり。ヤクルト戦に限れば、70年7戦7勝以来51年ぶり。 3回に3番ジェフリー・マルテ内野手(29)の適時打で先制すると、同点で迎えた5回は適時失策でいったん勝ち越し。2点を追う展開となった6回は、2死一、二塁から代打陽川尚将内野手(29)の左中間2点二塁打で試合を振り出しに戻した。 そして、再び同点で迎えた7回にはマルテが勝ち越しの7号左越えソロ。1点リードの8回にはドラフト6位中野拓夢内野手(24)がプロ初アーチとなる右越え2ランを放った。 9回には4番大山悠輔内野手(26)の適時三塁打、5番ジェリー・サンズ外野手(33)の8号左越え2ラン、6番ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)の9号左越えソロで5点を追加。佐藤輝の9号は球団新人左打者最多タイの数字となった。 投手陣は先発の西勇輝投手(30)が5回4失点で降板した後、救援陣が粘り強くつないだ。

◆阪神は3回無死二、三塁でマルテが中前に適時打を放って先制。先発西勇は3回まで1安打無失点と序盤の流れを引き寄せた。 ヤクルトは5回、西浦のソロや山田の適時二塁打などで3得点。阪神は6回、代打陽川が左中間に同点の2点適時打を放った。 阪神は7回マルテのソロで勝ち越し。8回中野、9回はサンズ、佐藤輝が本塁打を放ち、ヤクルト戦6戦全勝。岩貞が2勝目。ヤクルトは3連敗。近藤は初黒星。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、2試合連続となる9号本塁打を放ち、2ケタ本塁打に早くも王手をかけた。 9回1死走者なし。5番のサンズが左翼スタンドに2ランを放り込んだ直後。ヤクルト杉山の3球目はやや外寄り低めへの131キロフォーク。呼び込んで捉えた打球はレフトスタンドへ入る9号ソロ。2者連続本塁打でヤクルトを一気に突き放した。 神宮は開幕2戦目の3月27日ヤクルト戦でプロ1号を放った球場。「プロとしての1歩目を踏み出すことができた」という思い出の地で、またしても柵越えのパワーを見せた。 3、4月では7本塁打を放ち、4月までの新人本塁打記録で03年村田修一(横浜)と並びプロ野球最多。5月に入っても勢いは止まらない。2日広島戦(甲子園)では初めて「4番」で先発し逆転満塁弾をライトスタンドに放り込んだ。阪神新人の4番デビュー戦での本塁打は史上初という快挙を成し遂げた。 この日の1発で早くも今季9本目となり、阪神の新人左打者では19年近本と並び、最多タイとなった。その近本も2日の逆転満塁弾を三塁走者として見ており、「あんなに飛んでるんや。フェン直かなと思っていたら、普通に超えていったのでやっぱスゲーなと思いました」と佐藤輝のパワーに驚いた様子。仲間も驚く怪力で佐藤輝が歴史に名を残している。

◆プロ初本塁打を含む3安打の中野拓夢内野手(24)がヒーローインタビューを受けた。 プロ1号について、「非常にうれしく思います。感触は良かった。あとは入ってくれという願いを込めた」と振り返った。記念球は両親にプレゼントされる予定。3安打で4試合連続安打と打撃も好調。「非常に積極的に振りにいけているところがいい」と分析した。 この日も無観客でのヒーローインタビューとなり、「悲しい気持ちはありますけど、テレビの前で見てくださっている人のために元気を与えるプレーをすることが自分たちの仕事」と今後の活躍を誓った。

◆ヤクルトは11失点で、3連敗となった。4-4の同点で迎えた7回、近藤がマルテに7号ソロを献上。 今季17試合目で初めての失点を許した。8回には中野のプロ初本塁打となる2ラン、9回にはサンズから8号2ラン、佐藤輝から9号ソロを浴び、終盤に突き放された。これで阪神戦6戦全敗となった。12被弾と打ち込まれている。高津監督は投手陣に対し「逃げ回っているのですぐにつかまってしまうという状況。相手を見て投げるのではなく、自分のベストピッチを投げることを考えていかないと」と話した。 デーゲームでも今季8敗2分と未勝利。5日の先発マウンドを奥川に託し、悪い流れを断ち切る。 ▽ヤクルト田口(先発して6回4失点)「今日は点を取ってもらったあとに失点してしまったり、先頭を出してしまったりが多かったので、チームに勢いをつけることができなかった」

◆阪神が代打陽川尚将内野手の一振りで同点に追いついた。2点を追う6回2死一、二塁。田口の初球を迷わず振り抜き、左中間を破る2点適時二塁打。「初球からどんどん、自分のスイングをすることだけを考えて、打席に立ちました」。 2日広島戦では先発出場も、4打数無安打。この日の練習前に、井上ヘッドコーチから「厄払い餅」をもらった。「試合前に食べたんですけど、その効果が出ました」。見事に「餅パワー」で悔しさを晴らした。

◆阪神の主将大山悠輔内野手は2戦ぶりの出場でダメ押し打を放った。 2日広島戦は疲労を考慮されて欠場したが、「4番三塁」で先発復帰。2点差に迫られた9回1死二塁、右中間フェンス直撃の適時三塁打を決めた。ただ、3回無死一、三塁、5回2死二塁では凡退。三塁守備でも5回に適時失策で1度勝ち越しを許していた。矢野監督は「最後に打つのは価値がある」とした上で「もっといい打者、4番になってもらうためには、前半のチャンスでかえすことが求められる」とさらなる期待をかけた。

◆虎の「マルサン」コンビがアーチそろい踏みで4連勝に導いた。まずはマルテ。3回無死二、三塁で詰まりながらも左手1本で中前に先制打を落とす。同点で迎えた7回1死からは値千金の勝ち越し7号左越えソロ。4月21日巨人戦以来10試合ぶりの1発をかまして「ホームランを狙わなかったというか、しっかりボールを強くたたくことを意識した。それが逆に良かったのかな」と納得顔だ。 一方のサンズは3点リードで迎えた9回1死三塁、8号左越え2ランで試合を決めた。こちらは4月25日DeNA戦以来6試合ぶりの1発で「(直前に適時三塁打の大山)悠輔のあのスピードを見せられたら、何とかもう1点取りたいと思った」。これで神宮球場では今季4試合で打率4割6分7厘、4本塁打、9打点。2軍で新助っ人ロハスが状態を上げる中、2人もまったく引かない。

◆昼間の猛虎は負けない。首位阪神が4連勝で貯金を今季最多13に増やした。今季のデーゲームは12戦全勝。開幕からヤクルト戦で6戦6勝。開幕から同一カード6戦全勝は06年横浜戦の7戦全勝以来、15年ぶり。ヤクルト戦に限れば70年以来、51年ぶりとなった。◆矢野監督語録 -試合を振り返って 矢野監督 序盤はね。ちょっとチャンスをつぶしていやな展開のところを、勇輝(西)が踏ん張ってたからね。よかったけど。中盤ぐらいはすごい、どっちにいってもおかしくないような流れやったしね。とられた後にすぐ、陽川が打ってくれたっていうのも、流れのなかで大きかったし。で、すぐにマルちゃん(マルテ)で追い越してっていう。最後は点差のあいたゲームになったけど、試合の流れ的にはどっちにいってもおかしくないようなゲームやったんでね。そこらへんは反省っていうか。チームとしてやるべきことと、よかったところと、次にどうしていくかっていうところは両方あった試合かなと思います。 -代打陽川のタイムリー 矢野監督 陽川も、この前にスタメンしたときに良くなかったんでね。今日はいいところで打ったというところで、陽川自身も乗っていける1本になったしね。チームにとっても大きかった。 -マルテは好調 矢野監督 ああいうふうに1発を走者置いて、打つというのは理想的な形やと思うんでね。向こうも流れを止めたくて出してきた投手だと思うんでね。そこで、ひと振り、追い越せたというのはマルテの魅力かなと思います。 -中野の本塁打 矢野監督 見逃せばボールだと思うんだけど、左投手のあの高めのところを、そんなに体勢もまだない中でしっかり打っていけるっていうのは中野の魅力だと思うんよね。かといって外の変化球が弱いわけでもないから。最高の場面で、1点でというところを2点にしてくれたし。ハマればああいうところもありうる選手なんで、そういうところはタクム(中野)の打撃の魅力というのは出た打席かな。最後も三遊間にしっかり打っていくっていうのもアイツの良さと思うし。打撃はほんとにキャンプからすっといいんでね。これがアイツの実力に近いのかなっていう評価にやっぱりなってくるよね。 -佐藤輝も逆方向へ本塁打 矢野監督 まあまあ、持ち味やしね。逆方向はいつでも入るっていうか、打てると思うし、打てると思うっていうか、センターから逆方向っていうのは、特に神宮とかこういう球場になれば、より行くし。 -最後に大山が彼らしい当たりで1本出た 矢野監督 あそこで1本出るのは明日にとって全然違うしね。ぜいたくというか、やっぱりその前の打席でかえすというのが4番だと思うんでね。ぜひぜひ、最後に1本打つというのは価値あるけど、もっともっといいバッター、チームの4番ってなってもらうためには前半のあのチャンスでやっぱりかえす、というのが求められてくると思うけど。

◆もう1人のルーキーにも、メモリアルアーチが飛び出した。阪神ドラフト6位の中野拓夢内野手(24)が1点リードの8回に1号2ランを放ち、ヤクルトの反撃ムードを断ち切った。ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)も最終回に9号ソロを放ち、阪神では実に49年ぶりとなる新人アベック本塁打で4連勝。今季のデーゲームは12戦全勝で、ヤクルト戦は開幕から6連勝となった。右翼席に打球が飛び込んだことを確認すると、かみしめるようにガッツポーズを繰り出した。中野がプロ入り後初めてダイヤモンドをゆっくりと1周した。 「打席に入る前から速い球とは聞いていたので、何とかその真っすぐを仕留めることに集中して打席に入りました。感触的には非常に良かったと思っていたので、後は入ってくれと願いを込めてボールを見ていて、入ったので良かった」。 待望のプロ1号は貴重な1発となった。1点リードの8回1死二塁。カウント2-1からヤクルトの左腕坂本が投じた内角高めへの144キロ真っすぐに力負けしなかった。 身長171センチと小柄だが、打撃は力強い。内角高めのストレートを引っ張っての一撃に、二塁走者として打球を見届けた佐藤輝は「あの高めの強い球をよく引っ張ったなと思います」と驚いた。矢野監督も「見逃せばボールだと思うんだけど、左ピッチャーのあの高めのところをしっかり打っていけるのは中野の魅力」とたたえた。 強打の秘密は天性のリストにあった。社会人時代に所属した三菱自動車岡崎の野波尚伸監督(49)が明かす。「手首と足首が強いんです。手首が強いので高めを打つ。小さいのに高めも折りたたんで打てる。低めは伸ばしたら手首が強いので、ひっかけてもハイスピンがかかりますよね」と身体能力の高さを力説する。ドラフト6位で入団した当初は守備が高く評価されたが、この日は本塁打以外にも6回に左前打、9回には遊撃への内野安打で自身2度目の猛打賞。打率も3割6分2厘でバットでもアピールを続ける。 東北福祉大4年時に大学選手権で優勝。プロ初安打、初本塁打も神宮と中野にとっては思い出の地だ。「両親に贈りたいと思います」。記念球を手に初々しく語った。最終回には佐藤輝も9号ソロで続き、球団の新人アベック本塁打は、72年5月30日大洋戦の望月と中村勝以来、49年ぶりだ。「(佐藤輝は)刺激を受けていますが、タイプが違うので、自分のスタイルをしっかりと貫こうという信念が自分にはある。輝の影響は自分の中でも大きいかなと思う」。これで今季のデーゲームは12戦全勝。ヤクルト戦も51年ぶりとなる開幕から6戦6勝となった。4連勝で貯金も今季最多13。輝だけじゃない。2人のルーキーが首位快走の原動力になっている。【林亮佑】 ? ◆1972年の望月&中村勝アベック本塁打 2点を追う阪神は5回、先頭の望月充が大洋先発の平松政次から右翼へ7号ソロを放ち、反撃態勢に移った。その裏に阪神先発の上田二朗が松原誠、江藤慎一から連続アーチを浴び点差が広がった。阪神は、7回に代打に立った中村勝広が平松に2号ソロを浴びせ食い下がる。8回に田淵幸一の同点2ラン、さらに敵失に乗じ一挙4点を挙げ逆転に成功した。このリードを江夏豊が守り、阪神が快勝した。

◆阪神先発の西勇輝投手は5回6安打4失点と粘った。 スライダーを決め球に、3回まで被安打1と完璧な立ち上がり。しかし4回に先頭山田、村上の連続二塁打で1失点。5回は先頭の西浦にソロ本塁打を浴びた。なおも1死二塁から大山の悪送球で3点目を失い、続く山田に適時二塁打を浴びたが、後続を打ち取り大崩れはしなかった。 矢野監督も「序盤はね。ちょっとチャンスをつぶして、嫌な展開のところを、勇輝が踏ん張ってたからね」と振り返った。

◆ガコンッ! 無人の左中間席に飛び込んだ打球が音を立てた。阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が9回にサンズに続く2者連続となる2戦連発の9号ソロでとどめを刺した。「打った瞬間は分からなかったですけど、入って追加点になったのでよかった」。打った瞬間の手応えはなかったが、それでも放物線を描く。打たれたヤクルト右腕杉山もぼうぜんとした表情だった。 8回には左腕坂本から背中にプロ初死球を食らった。それでも「全然大丈夫」と、変わらぬフルスイングを見せた。オープン戦では6本中4本が逆方向だったが、公式戦では9本目で初めての逆方向だった。矢野監督は「持ち味やし。逆方向はいつでも入るというか、特に神宮とかになれば、より行くし」と、もはや驚かない。阪神の新人左打者としては19年近本に並ぶ最多9本となり、球団史上初の2桁本塁打に王手をかけた。2桁到達は通過点に過ぎない。 9本塁打、25打点はチームトップ。打点は巨人岡本和と並びリーグトップタイ。2回の第1打席では先発左腕田口の内角の動く球を左前へはじき返し、3戦連続のマルチ安打。打率も2割6分1厘まで上昇してきた。2日広島戦では初の4番三塁を任されたが、この日は定位置の6番右翼で出場。「誰かが凡退しても、その後に誰かが打つというのが続いていて、助け合いじゃないですけど、そういうことができているので勝てていると思います」。いずれもリーグトップ153得点、打率2割6分3厘を挙げている猛虎打線のすごさはお互いをカバーできる点にあると感じている。 この日は同じ新人の中野も1号2ランを含む3安打と大活躍。佐藤輝は「やっぱりルーキー2人でチームを盛り上げていけていることはすごくいいなと思います」と笑った。欠かせない打線の軸として、白星に貢献していく。【石橋隆雄】 ▼佐藤輝が今季3度目の2試合連発で早くも9号。新人がチーム31試合目に9号は59年桑田武(大洋)23試合、49年大岡虎雄(大映)と03年村田修一(横浜)26試合、50年戸倉勝城(毎日)30試合に次いで5位のスピードだ。 ▼阪神の左打ち新人の9本塁打は、19年近本光司と並び史上最多。2桁本塁打に到達すれば、新人左打者では球団新人初となる。右打者も含めると、80年岡田彰布18本以来41年ぶり。なお最多は69年田淵幸一の22本。 ▼プロ野球新人左打者の2桁本塁打は過去18人。直近は16年吉田正尚(オリックス)10本塁打。なお最多は46年大下弘(セネタース)20本。 ▼この日は同じルーキーの中野が1号。阪神の新人アベック本塁打は72年5月30日大洋戦の望月充と中村勝広以来、49年ぶり。

◆阪神岩崎優投手が抜群の安定感で今季11ホールド目を挙げた。勝ち越した直後の7回にマウンドへ。 中村を遊ゴロに打ち取った後、山田に四球を与えた。続く村上にファウルで粘られながらも9球目、内角高めの直球で空振り三振。オスナはスライダーで一飛に打ち取った。「今日も0点で抑えることができて良かったです」といつも通りのクールなコメント。防御率0・68、リーグ2位タイのホールド数で、勝利に貢献した。

◆阪神先発の西勇輝投手は3回まで1安打無失点と序盤の流れを引き寄せた。 ▼西勇輝の連続試合先発登板が217となり、前田健太(広島)を抜いてプロ野球単独6位となった。西勇はオリックス在籍中の11年10月13日ロッテ戦から記録を継続中。今季中に岩隈久志(近鉄、楽天)を225試合を超え、4位浮上が見込まれる。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、2試合連続となる9号本塁打を放ち、2ケタ本塁打に早くも王手をかけた。▼佐藤輝が今季3度目の2試合連発で早くも9号。新人がチーム31試合目に9号は59年桑田武(大洋)23試合、49年大岡虎雄(大映)と03年村田修一(横浜)26試合、50年戸倉勝城(毎日)30試合に次いで5位のスピードだ。 ▼阪神の左打ち新人の9本塁打は、19年近本光司と並び史上最多。2桁本塁打に到達すれば、新人左打者では球団新人初となる。右打者も含めると、80年岡田彰布18本以来41年ぶり。なお最多は69年田淵幸一の22本。 ▼プロ野球新人左打者の2桁本塁打は過去18人。直近は16年吉田正尚(オリックス)10本塁打。なお最多は46年大下弘(セネタース)20本。 ▼この日は同じルーキーの中野が1号。阪神の新人アベック本塁打は72年5月30日大洋戦の望月充と中村勝広以来、49年ぶり。 ▼阪神は今季のデーゲーム12戦で全勝。チーム打率はナイターでの2割3分7厘に対し、昼は3割1厘と好成績。デーゲームでのセ本塁打最多は佐藤輝、サンズの4本。打点最多は佐藤輝の14打点。規定打席到達者中、打率1位は糸原の4割2分6厘。中軸がそろって好結果を残している。

◆首位阪神が5回以降に毎回得点。4発を浴びせ快勝。

◆阪神岩貞がワンポイントリリーフで、今季2勝目を手にした。6回に登板した馬場が2死から松本友に四球を与えると、1番山崎を迎える場面で、左腕の岩貞にスイッチした。2ボールから外の直球で見逃しを奪うと、最後は高めのシュートで左飛に打ち取った。 嫌な流れを4球で断ち切ると、直後にマルテの7号ソロで勝ち越し。4月25日DeNA戦で2失点、同28日中日戦でも4失点していたが、前回2日広島戦から連続で無失点リリーフ。こどもの日の前日に頼もしい父の姿を見せた。

◆スタメンが発表され、2日の広島戦(甲子園)は疲労を考慮して欠場した阪神・大山悠輔内野手(26)が「4番・三塁」でスタメンに復帰した。  同戦で大山に代わって4番で出場し、満塁弾を放ったドラフト1位・佐藤輝明内野手=近大=は再び「6番・右翼」で出場。試合前練習のフリー打撃では、42スイングで10本の柵越えを放った。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(29)が三回に先制の適時打を放った。  「先制点が欲しい場面だったから、絶対に打ちたいと思っていたね。当たりは良くなかったけれど、良いところに落ちてくれてうれしかったよ」  0-0の三回に先頭の近本が遊撃・西浦の失策で出塁。糸原の中前打で無死一、三塁と好機を作る。糸原が二盗を決めると、マルテが田口の138キロを詰まりながらも中前へ運んで、先制に成功した。

◆阪神が2-1の五回に3点を失い、逆転を許した。西勇が先頭の西浦に同点のソロを浴びると、続く田口に遊撃への内野安打、山崎に投前犠打で1死二塁とされた。  続く中村の三塁への打球で、二走の田口が飛び出した。大山が三塁のベースカバーに向かっていた遊撃の中野へ送球したが、これが悪送球となり勝ち越しを許した。さらに、山田に左翼線への適時二塁打を許して、2-4とされた。

◆阪神・陽川尚将内野手(29)が六回に同点に追いつく2点二塁打を放った。  「一昨日(2日)の試合ではスタメンで出させてもらいながら打つことができなかったので、なんとしても打つという気持ちで打席に入りました。みんなが必死でつないでくれましたし、初球から打ちにいくと決めていたので、結果につながってよかったです」  2-4の六回。2死から梅野が四球、D6位・中野(三菱自動車岡崎)が左前打を放ち、一、二塁としたところで、西勇に代打・陽川が告げられた。  田口の初球を捉えて左中間へはじき返した。一走の中野まで一気に生還。4-4の同点に追いついた。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(29)が勝ち越しとなる7号を放った。  4-4の七回1死で打席に立つ。相手はここまで16試合で無失点に抑えていた近藤。カウント2-2から高めの149キロを捉えた。打球は左翼席に着弾。勝ち越しに成功し、ベンチ前では「ラパンパラポーズ」を披露した。

◆阪神のドラフト6位・中野拓夢内野手(24)=三菱自動車岡崎=がプロ初本塁打を放った。  5-4で迎えた八回1死二塁。カウント2-1から坂本の内角144キロ直球を振り抜いた。引っ張った打球はグングン伸びていき、右翼席へ飛び込む2ラン。プロ初アーチに右手を力強く握った。

◆阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が2試合連続となる本塁打を放った。  10-5で迎えた九回1死。杉山の131キロのフォークを逆方向へはじき返した。白球は左翼席に着弾する9号ソロ。2日の広島戦(甲子園)に続いて、2戦連続でアーチを架けた。

◆ヤクルトが3連敗を喫した。4-2で迎えた六回2死一、二塁で、先発の田口が陽川に左越え2点適時二塁打を浴び、同点に追いつかれた。七回は2番手の近藤がマルテに左翼席へ7号ソロをたたき込まれ、勝ち越しを許した。八回には三番手の坂本が中野に右越え1号2ランを許し、リードを広げられた。

◆阪神が15安打11得点でヤクルトに勝ち、このカードは開幕から6連勝とした。  三回にマルテの中前適時打で先制。四回に同点に追いつかれたが、五回に相手守備のミスもあって勝ち越した。その裏に3点を失い、2-4と逆転されたが、六回に代打・陽川の2点二塁打で同点に追いつくと、七回にマルテが勝ち越しの7号ソロを放った。  八回にはD6位・中野(三菱自動車岡崎)がプロ初アーチとなる2ラン。九回は大山が適時三塁打、サンズが8号2ランを放つと、D1位・佐藤輝(近大)は2戦連発となる9号ソロでヤクルトを突き放した。

◆ヤクルトはまた阪神に力負けし、このカードは開幕から6連敗。西勇から4点を奪っても投手陣が総崩れし、高津監督は「投手が逃げ回っているので、すぐ捕まる。弱点を突こうとばかりして、良さが消えている。もっと攻める気持ちを持っていい」とバッテリーに意識改革を求めた。  さらにデーゲームは10戦して8敗2分けと未勝利が続く。苦手を克服できなければ、上位は見えてこない。

◆阪神はD1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=の9号ソロを含む15安打11得点でヤクルトに開幕から6連勝。矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。  ■どちらに転んでもおかしくない試合  --試合を振り返って  「序盤はね。チャンスをつぶして、イヤな展開のところを勇輝(西)が踏ん張ってたからね。中盤ぐらいはすごい、どっちにいっても、おかしくない流れ。取られた後にすぐ、陽川が打ってくれたのも、流れのなかで大きかったし(六回の同点適時打)」  (さらに続けて)  「で、すぐにマルちゃん(マルテ)で追い越して(七回の勝ち越しソロ)。最後は点差のあいたゲームになったけど、流れ的には、どっちにいっても、おかしくないゲームやったんでね。反省っていうか。よかったところと、次にどうしていくかっていうところは両方あった試合かなと思います」  ■ツーアウトからーが阪神野球  --悪送球などで嫌な逆転のされ方をした後に、陽川のタイムリーが出た。チームの強さが出た  「相手からして、ダメージあると思うしね。ツーアウトでほっとしたところで、リュウ(梅野)の四球から同点に追いつけたのは、ダメージもあったしね。陽川自身も乗っていける1本になったしね。チームにとっても大きかったしね。2アウトから攻撃していくというのは、これからもタイガースの野球としていきたいなと思います」  --マルテは好調  「ホームランとか打点というのは、そうやけど。選ぶというのは、いいところなんでね。向こうも流れを止めたくて出してきたピッチャーだと思うんでね。そこで、ひと振り、追い越せたというのはマルテの魅力かなと思います」  ■ハマれば中野も...  --中野の本塁打(八回のプロ1号2ラン)  「見逃せばボールだと思うんだけど、左ピッチャーの高めをそんなに体勢も、まだない中で打っていけるのは魅力。かといって外の変化球が弱いわけでもない。最高の場面で、1点でというところを2点にしてくれたし。ハマれば、ありうる選手。最後も三遊間に打っていくのも良さと思うし(九回の遊撃内野安打)。これがアイツの実力に近いのかなという評価になってくるよね」  ■逆方向に打てれば本塁打量産できる  --佐藤輝も逆方向へ本塁打  「まあまあ、持ち味やしね。逆方向はいつでも入るっていうか、打てると思うし、打てると思うっていうか、センターから逆方向っていうのは、特に神宮とかこういう球場になれば、より行くし。甲子園でも、センターから逆方向も入ると思うし。そういうふうに打っていければ、もっと本塁打も増えると思うし。1打席目かな。安打が出ているのもいいし、打率も上がってきたんでね。落ち着いて、1カ月やって、自分の中でも乗っていける1日というか1本になったんじゃないかなと」  ■大山には試合の序盤で打ってほしい  --最後に大山らしい当たりで一本出た(九回の適時三塁打)  「前半はね、悠輔がかえさなあかんところでかえせなかったり、守備のミスもあったし(五回の失策)。乗っていけない流れになった。あそこで1本出るのは全然違うしね。こっちとしても、大きいと思うんで。ぜいたくというか、その前の打席でかえすのが4番だと思うんでね。ぜひぜひ、最後に1本打つというのは価値あるけど、もっともっといいバッター、チームの4番になってもらうためには前半のチャンスでかえす、というのが求められてくると思うけど」

◆阪神は、最後は一発攻勢で点差を広げた勝利になったが、序盤の三回までの拙攻で流れを相手に渡してしまい、どうみても負け試合だった。 ■序盤3併殺でヤクルトペースも  3イニング連続の併殺は、やはりいただけない。併殺を怖がると積極性がなくなるし、各打者が併殺を打とうと思って打っているわけではないのは分かる。ただ、金本知憲という偉大な打者が引退時に「野球人生で一番の勲章は連続打席無併殺の日本記録」と話したことを思い出して欲しい。どうすれば併殺にならず、後ろの打者につなげるか。状況に応じて、併殺にならない打撃を目指してほしい。  とはいえ、3併殺でヤクルトペースになりながら、その試合をひっくり返した力は認めたい。選手全員が自分の持ち場を理解し、コンディションを整え、力を発揮できている。首脳陣は、状態のいい選手をしっかり見極めて起用している。劣勢になってもベンチの雰囲気もいい。 ■象徴的だった代打・陽川の同点二塁打  象徴的なシーンが六回の代打・陽川の同点タイムリー二塁打。代打として、準備がしっかりできていたから、打てたのだろう。拙攻、ミスはあったが、強さも感じた試合だった。(本紙専属評論家)

◆ヤクルトは投手陣が五回以降、毎回失点を喫するなど投手陣が阪神打線を止められなかった。とくに七回からの救援陣は計4被弾で7失点。高津臣吾監督(52)の主な一問一答は以下の通り--投手陣が五回以降は毎回失点  「点を取った後、表の攻撃で点を取られてしまうという展開になってしまった。試合自体がいいリズムに乗っていくことができなかった」  --田口(6回8安打4失点)は粘投  「確かに走者は出しましたけど、併殺打とか狙い通りの投球ができたのかなと思います。ただ、(六回の)2死走者なしから下位につながれて、代打で追いつかれるというところは、もうちょっと方法があったんじゃないかなと思います」  --チームは最近3試合で8失策  「ちょっと痛いミスというか、失策はいつでも痛いんですけど、目立ちますね。もちろん、いろいろ対策を練ってやることをやって、しっかり準備してというのはやっている。気持ちの入っていないプレーをしているわけではない。一生懸命やった結果なので、明日それを取り返す気持ちでいけばいいかなと思います」  --阪神打線を止められない  「やっぱり投手ですね。逃げ回っているので、すぐ捕まってしまうという状況になっている。しっかり攻めるというか、相手を見て投球をするんじゃなくて、自分のベストピッチを投げるということを考えていかないと。相手の弱点をついてというところで、自分の良さが消えてしまっているような気がする。もっともっと攻める気持ちを持っていかないといけないと思います」

◆投手陣が好調の虎打線を止められない。ヤクルトは五回以降に毎回失点で3連敗。阪神戦は開幕戦から6連敗となった。  高津臣吾監督(52)は「逃げ回っているので、すぐ捕まってしまうという状況になっている。弱点をついていこうというところで、自分の良さが消えてしまっている」とバッテリーに厳しい言葉を並べた。  先発の田口は先制されながらも粘っていたが、自らの失策と守備陣の2失策がいずれも失点につながった。  五回に今季の阪神戦で初めてリードを奪ったが、4-2の六回2死走者なしから下位打線に一、二塁のピンチを背負い、代打・陽川に左中間へ2点二塁打。6回8安打4失点で降板した。七回以降に登板した救援陣は、計4被弾で7失点と炎上した。  4月20-25日に5連勝を飾ったチームだが、ついに貯金は1となった。「もっともっと攻める気持ちを持っていかないといけない」と指揮官。攻撃的な投球を求めた。(横山尚杜)

◆一回から3イニング連続で併殺打と打線が勢いに乗り切れない。五回の守りでは失策も絡んで、一気に逆転を許した。そんな阪神の負の流れを代打・陽川がひと振りで変えた。執念の同点打で、虎が息を吹き返した。 ■「初球からどんどん自分のスイングを」  「チャンスで回ってきたので、初球からどんどん自分のスイングをすることだけを考えて打席に立ちました」  2-4の六回。2死走者なしからだった。梅野の四球、中野の左前打で一、二塁。ここで先発の西勇に代わって陽川が打席に立った。先発・田口の初球、139キロカットボールを迷わず一閃。打球は左中間を深々と破る2点二塁打となり、塁上で白い歯がこぼれた。  7試合ぶりにスタメン出場した2日の広島戦(甲子園)では3三振など4タコ。「スタメンで出させてもらいながら打てなかった。何としても打つ」。寡黙な男は逆襲の思いをバットに込めていた。さらに試合前にはゲン直しも...。  「(井上ヘッドコーチから)"厄払い餅"をもらって、それを試合前に食べたんですけど、その効果が出ました」  ヘッドから渡されたのはちまきのような餅。気"もち"を切り替え、"もち"前の打撃力を発揮して欲しいというエールに、見事に応えた。 ■今季代打で初打点  代打では今季7打席目での初打点。矢野監督は「とられた後にすぐ(六回に)陽川が打ってくれたっていうのも、流れのなかで大きかった。2アウトから攻撃していくというのは、これからもタイガースの野球としていきたい」と絶賛した。  一、三塁、外野と守備位置がことごとく被る助っ人陣や、佐藤輝の"代役"に甘んじるつもりはない。「去年は代打が多かったので、配球とか考えたりしています。試合の流れを読んだ気持ちの持っていき方とか、その経験が今年に生きている」。負の流れを一変させた背番号55。これからも窮地の虎を、救っていく。(新里公章)

◆「8番・遊撃」で先発出場した西浦が五回に一時同点となる1号ソロを放った。西勇が投じた外角低めのスライダーを完璧に捉え「追い込まれていましたが、当てにいかずに強いスイングを心掛けました。いいスイングができました」と自画自賛。八回にも中前適時打を放って2安打2打点。状態は上向きだ。

◆ルーキーアベック弾に負けじと、マルテ&サンズの助っ人コンビも今季3度目のアーチ競演で、しめて4発! 破壊力抜群の"SM砲"が、虎を51年ぶりとなるヤクルト戦開幕6連勝へ導いた。  「しっかりと強くたたくことを意識して、打席に入った。いい勝ち越し点になったよ」  まずは4-4の七回1死から、勝ち越しソロを放ったマルテだ。2番手・近藤のシュートを振り抜くと、打球は無観客の左中間席へ飛び込んだ。10試合ぶりの7号。0-0の三回無死二、三塁では先制の中前打、五回2死三塁では相手失策を誘う三ゴロとチームに次々と得点をもたらした。  そして勝負を決定づけたのはサンズだ。九回、大山の右中間フェンス直撃の適時三塁打で8-5とし、なお1死三塁。杉山の141キロ直球を一閃し、マルテと同じく、左中間席に運んだ。  「(大山)悠輔の(全力疾走の)あのスピードを見せられたら、なんとか、もう1点取りたいと思っていたよ」  マルテを再び1差でリードする6試合ぶりの8号2ランに、ジョークもさえた。  競争心が、助っ人コンビの力をさらに引き出している。4月27日からの中日3連戦(バンテリンドーム)の試合前練習でのこと。サンズが一塁の守備に就いて、ノックを受けていた。春季キャンプでよく見られた光景だが、シーズンに入ってからはなかった。2軍で調整している新外国人ロハス(韓国・KT)の1軍合流が着々と近づく中、助っ人野手3人制で、ロハスが左翼を守った場合を想定した練習であることは一目瞭然だった。 その他の写真(2/3枚)  佐藤輝が三塁も守れることで、前日3日には矢野監督が主力野手の"ローテ構想"を明かしたばかり。しかしマルテもサンズも、休むつもりはない。オレが出る! とばかりの猛打だ。指揮官はマルテについて「つなぐところで(チームトップ18四球と)選べるし、ひと振り(ホームラン)があるのも魅力」と存在の大きさを再認識した。  この日も本塁打を放つと、M砲は弓を引くようなラパンパラポーズ、S砲は手をひらひらさせる「ハッピーハンズ」でベンチを盛り上げた。「僕がチームの勝利に貢献して(テレビの前のファンにも)ラパンパラポーズをどんどんやってもらいたい」とマルテ。助っ人コンビが活躍すればするほど、矢野監督のうれしい悲鳴が聞こえてくる!?(三木建次)

◆テルだ! タクムだ! 4連勝だ!! 阪神はヤクルトに神宮で11-5と大勝。八回にドラフト6位・中野拓夢内野手(24)=三菱自動車岡崎=がプロ初本塁打を放てば、九回は同1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=の9号でトドメを刺した。新人アベック弾は球団49年ぶり3度目の快挙。貯金を今季最多13に増やし、ゴールデンウイークを無敗で突っ走る!!  無観客の左翼席へ白球が舞い落ち、衝撃音が神宮に響いた。計4発11得点のトドメはドラ1、佐藤輝の9号ソロ。開幕後初となる逆方向への一発で、D6位・中野とのアベック弾を完成させた。  「ルーキーで、若手の2人でチームを盛り上げていけているのはすごくいいなと思います」  10-5の九回1死。杉山の低めのフォークをすくい上げた。「打った瞬間はわからなかったですが、入って追加点になったのでよかった」。2日の広島戦(甲子園)での"4番満弾"から、6番に戻って2戦連発。9本塁打は村上(ヤクルト)らに1差に迫るリーグ3位で、25打点は岡本和(巨人)と並び、ついにリーグトップに立った。  直前に大きな刺激があった。「あの高めの強い球を、よく引っ張ったなと思います」と唸ったのは八回だ。打席は中野。自身は二塁走者だった。だからよく見えた。左腕・坂本の内角高め144キロ直球を捉えた打球が、右翼席に飛び込んだ。  怪物ルーキーも驚く中野の一撃は、記念すべきプロ初アーチ。「感触的には非常によかった。(スタンドに)入ってくれという願いを込めてボールを見ていて、入ったのでよかった」。戻ってきた記念球は、両親にプレゼントする予定だ。  阪神の新人選手のアベック弾は、1972年5月30日の大洋戦(川崎)でのD2位・中村勝広、D3位・望月充以来、49年ぶり3度目。猛虎の歴史に、2人の名前がしっかりと刻まれた。 その他の写真(2/2枚)  中野は2度目の猛打賞で、遊撃スタメンに戻って4戦連続安打、打率・362と絶好調。もちろん「輝(佐藤)の影響は自分の中でも、とても大きい」と、2学年下の同期の存在が、大きな相乗効果を生んでいる。  神宮は思い出の球場でもある。3月26日にプロ初安打を放ったのも、東北福祉大4年時に大学選手権を制したのも、ここだ。今年2月。東北福祉大の大塚光二監督(元西武)から「セカンドユニホームを作るのに協力してほしい」と頼まれた。二つ返事でOKし、3月には後輩たちが、そのユニホームでオープン戦を戦った。ただ、最大の恩返しはプロの舞台で活躍を見せることだ。  大学の先輩でもある矢野監督は「左投手の高めをしっかり打っていけるというのは中野の魅力」と目を細めた。若い力の躍動でチームは4連勝、デーゲームは無傷の12連勝。貯金も今季最多13とし、2位巨人とのゲーム差を3・5に広げた。  「チームはとてもいい流れできている」と中野が言えば、佐藤輝も「誰かが凡退しても誰かが打つというのが続いていて、助け合いじゃないですけど、そういうことができている」とうなずいた。首位快走の虎を、これからも"歴史的ルーキーコンビ"が活性化させていく。(菊地峻太朗) ◆東北福祉大・大塚光二監督「4倍楽しみ」  西武で活躍し、日本ハムでコーチも務めた東北福祉大の大塚光二監督(53)は、DAZNの見逃し配信で、中野のプロ初本塁打をみたという。「スタメンに戻ってきてから、いい状態をキープしている。元々、体に見合わず、小力があるタイプ」。ちなみに矢野監督も東北福祉大時代の後輩。「阪神はずっと応援しているけど(中野)拓夢が出てきて4倍、楽しみにみています」と話すと「ルーキーなので、今やれることをがむしゃらにやってほしい」とエールを送った。

◆全国の虎党が、テレビ画面の前で歓喜に揺れた!!興奮のあまり、テレビをたたいて壊していないかー!?  まさに猛虎の、猛虎による、猛虎のためのゴールデンウイーク(GW)やー!!  GWの始まる前、4月28日には2位・巨人に1ゲーム差まで詰め寄られたのに、GWに突入したら、あれよあれよの4連勝。ゲーム差も3・5に広げ、巨人さん、サヨナラ~!  本日は五回まで、両チームが草野球のようなエラー合戦。六回、代打・陽川の同点2点二塁打が飛び出した後は、終盤に4本塁打。『こどもの日』に向けて、こいのぼりよりたくましく大空を舞う『虎のぼり』(ホームラン)の歌が響いてきたのだ!!  「♪屋根より高い虎のぼり~、レフトへアーチはマルテさん~。プロ入り1号は中野さん~、面白そうにスタンドイン! 屋根より高い虎のぼり~、弾丸ライナーはサンズさん~。驚異の新人、さとてる(佐藤輝)さん~、面白そうにホームラン!」  無観客を忘れさせて酔わせてくれた虎のぼりを、5日のこどもの日にも泳がせてね~♪

◆五回終了時点で思った。これは無観客試合で良かったかも、と。この展開だと、神宮の虎党は相当に荒れるだろうなぁ...。完全に負けを覚悟した。典型的な負けパターンだったから。  3イニング連続で併殺を喫した時には「プロ野球史上、毎回併殺なんて記録はあるんだろうか?」と超マイナス思考になったりもした。さすがに、そんな悲惨な記録は存在しないが。  五回表。相手がミス続出で1点をプレゼントしてくれた。ところが、その裏、1死二塁からの三ゴロを処理した大山の、三塁ベースカバー・中野への悪送球...。  ファンがスタンドを埋めていたら、間違いなく怒号が飛び交っていた。12球団の本拠地で唯一、試合後にファンの目の前を通って帰路に就く球場、それが神宮。あのまま、負けていたら、スタンドから怒りのメガホンが雨あられと投げ込まれていたかもしれない。  昔の阪神の監督付球団広報担当は、乱舞するメガホンを空手チョップで叩き落す。それが神宮球場での一番大事な仕事。そんな時代もあった。  ところが、今のタイガースは、こんな試合を勝ってしまう。  「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」  名将・野村克也さんの有名な言葉だが、阪神にすれば、あれだけ拙攻を繰り返し、タイムリーエラーをしたのだから、まさに「不思議の勝ち」。でも、ヤクルトからすれば、相手がヘタを打ちまくっているのに負けたわけだから、「不思議の負け」の気分か。  トラ番記者が試合後のファンの暴れっぷりまで見張らなくてもいいわけで、無観客試合の数少ない利点ではある。とはいえ、タテジマの役者たちが、メガホンならぬアーチを乱舞させた痛快な試合。やっぱり東都の虎党に見せてあげたかった。  試合前のこと。東京メトロ「外苑前駅」を降りて地上に出たトラ番サブキャップ・新里公章は改めて、緊急事態宣言が発令されている東京都内を実感した。  「神宮でプロ野球が開催される日は、早くから大勢の人が往来しているんですが、無観客ゲームということもあって、人影もまばら。気温は24・5度。汗ばむ陽気で、最高の野球観戦日和の休日なのに...。昨夜は赤坂に泊まったんですが、あのにぎやかな街のお店は、ほぼ閉店。わずかに開いていた韓国料理屋さんでギョーザとチヂミを買って部屋でおとなしく食事でした」  神宮球場へ歩を進めると、正面に見えてくるのは新装なった国立競技場。この夏、あの舞台で本当に五輪が行われるんだろうか。  複雑な思いが交錯する中、「負け試合を強引に勝ち試合にしてしまう2021年版タイガース」の、とんでもない強さを見せつけられた。  これだけ首位を独走しているんだから、五輪の日本代表に阪神から大量に選ばれたっておかしくない。そう思い始めると思いは止まらない。  誰を送り込もうか。一気に夢が膨らむ。佐藤輝、中野のルーキーコンビ、いいねえ。梅野、近本、糸原も。岩崎も青柳も。  だからこそ願う。どうか、コロナの感染が少しでも収まって、無事に五輪が開催されますように-。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
2290 0.710
(↑0.01)
-
(-)
112153
(+11)
91
(+5)
36
(+4)
25
(+1)
0.263
(↑0.004
2.760
(↓0.01)
2
(-)
巨人
17115 0.607
(-)
3.5
(↓0.5)
110139
(+1)
113
(+1)
38
(-)
23
(+1)
0.260
(-)
3.250
(↑0.07)
3
(-)
ヤクルト
14134 0.519
(↓0.019)
6
(↓1)
112130
(+5)
141
(+11)
33
(+1)
19
(-)
0.244
(↑0.001
4.190
(↓0.17)
4
(1↑)
中日
13164 0.448
(↑0.019)
8
(-)
11098
(+8)
102
(+4)
13
(+1)
15
(-)
0.233
(↑0.004)
2.860
(↓0.03)
5
(1↓)
広島
13173 0.433
(-)
8.5
(↓0.5)
110103
(+1)
124
(+1)
24
(-)
15
(-)
0.257
(↓0.002)
3.420
(↑0.08)
6
(-)
DeNA
9224 0.290
(↓0.01)
13
(↓1)
108120
(+4)
172
(+8)
27
(+2)
6
(-)
0.232
(↑0.001)
4.800
(↓0.12)