広島(★2対3☆)巨人 =リーグ戦7回戦(2021.05.03)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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巨人
1000011003823
広島
0020000002901
勝利投手:鍵谷 陽平(1勝0敗0S)
(セーブ:高梨 雄平(0勝0敗1S))
敗戦投手:森下 暢仁(3勝3敗0S)

本塁打
【巨人】坂本 工宜(5号・1回表ソロ),丸 佳浩(2号・6回表ソロ),ウィーラー(4号・7回表ソロ)
【広島】鈴木 誠也(7号・3回裏2ラン)

  DAZN
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◆巨人が一発攻勢で接戦を制した。巨人は1点を追う6回表、丸がソロを放ち、試合を振り出しに戻す。続く7回には、ウィーラーにソロが飛び出し、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・鍵谷が今季1勝目。敗れた広島は、9回に一打サヨナラの好機をつくるも、あと1本が出なかった。

◆巨人畠世周投手(26)は通算14勝を挙げているが、球団別の内訳は阪神戦5勝、DeNA戦4勝、中日戦3勝、ヤクルト戦2勝。 広島戦はまだ白星がなく、通算9試合で0勝3敗、防御率5・18と苦戦している。

◆巨人は今季2勝4敗と唯一負け越している広島との一戦に臨む。畠世周投手(26)が先発する。今季は2勝1敗、防御率4・95。前回登板の4月27日ヤクルト戦では3回までに5点の援護点をもらいながら、村上に本塁打を浴びるなど3回途中を4安打6失点で降板。リードを守り切れなかった。 今季チームは16勝中13勝を先制した試合で収めている。畠は中5日で臨むこの日は、好調打線の援護を待ち、リードを守り切りたい。広島戦は通算9試合で0勝3敗、防御率5・18と苦戦しているが、地元広島凱旋(がいせん)登板で初勝利を狙う。 対する広島先発は昨季のセ新人王の森下暢仁投手(23)。昨季は2試合対戦し、1勝1敗だった。1日の中日戦で2打席連続三振を喫し途中交代した丸佳浩外野手(32)は昨季、森下に対し打率4割をマーク。原監督から「丸のバッティングじゃないんだから。やっぱりコロナの影響はあります」と言われるように、ここ2戦は6打数無安打4三振と本調子ではない。森下打ちで本来の姿を取り戻せるか。 チームは首位阪神を3・5ゲーム差で追う2位。打線は4戦29得点と厚みが出ている。メジャー通算196発のジャスティン・スモーク内野手(34=ジャイアンツ)は4月27日の1軍昇格後、打率5割3分3厘、1本塁打と日本野球に対応し、後ろを打つ6番ウィーラーも打率5割1分9厘と好調だ。投打の力を結集し、敵地で白星をつかみ取る。【久永壮真】

◆巨人坂本勇人内野手(32)が5号先制ソロを放った。1回1死、カウント3-1から外角高めの142キロ直球を左中間席に運んだ。「まずは先制点が取れて良かったですね。頑張ります!」とコメントした。 ここ2戦は6打数無安打4三振と本調子ではなかった丸佳浩外野手(32)も続いた。1日の中日戦で2打席連続三振を喫し途中交代したが、昨季対戦打率4割をマークした森下の147キロ直球を中前打。3試合ぶりの安打をマークした。 今季の巨人は16勝中13勝を先制した試合で収めている。試合前時点でリーグトップタイの防御率1・80を誇った森下打ちで幸先のいいスタート。先発畠世周投手(26)は1回2死一、三塁のピンチを背負ったが、坂倉を空振り三振に仕留めた。

◆1日の中日戦で途中交代した巨人丸佳浩外野手(32)が復調をアピールした。「3番中堅」で先発出場。1点を追う6回2死、広島森下のカーブを右中間席に運ぶ2号同点ソロを放った。足早にダイヤモンドを1周しベンチに戻るとお決まりの「丸ポーズ」で喜びを表現。「いいスイングができたと思います。何とか後ろにつなぐ気持ちでいきました」と振り返った。1回1死には8打席ぶりの安打となる中前打を放っていた。 新型コロナウイルス陽性判定を受け4月4日に離脱。20日のイースタン・リーグ西武戦で実戦復帰し、22日までの同一カードで7打数4安打3打点をマーク。23日の広島戦から1軍復帰していた。試合前時点で昇格後は打率3割4分6厘をマークしていたが、ここ2戦は6打数無安打4三振と本調子ではなかった。

◆巨人ゼラス・ウィーラー外野手(34)が勝ち越しの4号ソロを放った。同点の7回の先頭。広島森下の初球146キロを捉え、バックスクリーン右へ運んだ。一塁ベースを回る直前にスタンドインを確認すると右手を突き上げ、ベンチに戻ると喜びを爆発させ、「クルリンパ!」と言いながらヘルメットを1回転させた。「逆転できてうれしいよ!! いいバッティングができたと思う。うれしいよ!」と2度「うれしい」を繰り返した。この一打で出場試合連続安打を12に伸ばした。 新型コロナウイルス陽性判定を受け4月4日に離脱。同23日に1軍復帰するまで16試合の離脱を余儀なくされたが、開幕からの好調を維持。試合前時点で打率5割1分9厘、3本塁打、11打点の成績を残していた。

◆広島ドラフト1位の栗林良吏投手(24)が、デビューから13試合連続無失点とし、ソフトバンク甲斐野が19年にマークしたドラフト制後の新人最長記録に並んだ。 1点ビハインドの9回に登板。先頭のスモークをフォークで空振り三振。好調ウィーラーもフォークで遊ゴロに仕留め、若林は内角直球で一ゴロ。「ビハインドの方が緊張感があった」と言うが、中7日の登板でも一切の隙を与えず、3者凡退で偉業を成し遂げた。 「チームの勝利のためにマウンドに上がることができた。ゼロを継続して。勝ち試合もビハインドの時でもチームに勢いをつけられる投球をしていきたい」 栗林はオーバースローで、角度のあるボールを投げるのが魅力の1つだ。しかし名城大時代までは、横滑りに変化するスライダーを武器としていたことから、スリークオーター気味のフォームだったという。トヨタ自動車に入社してすぐ、同僚の捕手に「スライダーよりカーブの方がいい」と助言を受けた。「カーブは縦の変化で投げたかった。そこから勝手に上から投げる形になりましたね」。 オーバースローに切り替わったことで、多くの面でプラスに転じた。「直球が縦回転になって、強い球もいくようになった。制球もつきやすくなりましたし、イメージ通りの投げやすいフォームになりました」。名城大4年時のドラフト会議では指名漏れを経験。悔しさをバネに社会人2年間で確かな進化を遂げ、プロの世界で圧倒的な力をみせつけている。 チームに流れを呼び込んだが惜しくも勝利で記録に花を添えることはできなかった。しかし球史に「栗林」の名を刻んだことには違いはない。【古財稜明】 ▼広島栗林が初登板から13試合連続無失点。新人のデビューから13試合連続無失点は、19年甲斐野央(ソフトバンク)に並び2リーグ制後2人目の最長となった。栗林はスコア2-3の9回表に登板。リードされている状況で登板したのは初めて。

◆4位広島が2位巨人と対戦し2-3で敗戦。

◆巨人が1回に坂本の5号ソロで1点を先制した。広島は3回2死二塁で鈴木誠が7号2ランを放ち、逆転に成功した。 巨人は6回に丸の2号ソロで同点に追いついた。広島の先発森下は6回までに2発を浴びたが、今季初の2桁奪三振を記録した。 巨人は7回にウィーラーの4号ソロで勝ち越した。巨人は連敗を脱出。広島は巨人投手陣を打ち崩せず、5連敗となった。

◆「先行逃げ切り型」の巨人が今季5度目の逆転勝利で広島に競り勝ち、連敗を2で止めた。初回に坂本勇人内野手(32)の5号ソロで先制。3回に鈴木誠に逆転2ランを浴びたが、6回には丸佳浩外野手(32)、7回にはゼラス・ウィーラー内野手(34)のソロ2発で逆転に成功した。先発畠世周投手(26)は勝敗こそつかなかったが、5回2/3を7安打2失点(自責0)と踏ん張った。この一戦前までの「16勝のうち」の続きに、どちらのデータを選ぶか。巨人はこの試合前までの全16勝のうち「先行逃げ切りは12勝」で、「逆転勝利は4勝」。どちらを重視するかで、この試合の見方は変わっていった。 1回、前者のデータがクローズアップされる状況が生まれた。1死、坂本が広島森下の直球を引きつけてから軸回転で強振し、左中間席への5号ソロに仕留めた。勝ちパターンでもある先行逃げ切りのスイッチを発動させ「まずは先制点がとれて良かったですね!」と、胸をなでおろした。 3回、高まっていた勝利の確率が下がった。1死から菊池涼のゴロを遊撃坂本が弾いて2塁まで進塁を許すと、先発畠が2死二塁から鈴木誠に逆転2ランを浴びた。16勝のうち75%だった「先行逃げ切り」は消滅。連敗を2で止めるには逆転するしかなくなった。 そんな閉塞(へいそく)ムードを破り、後者のデータを呼び起こしたのは丸だった。6回2死、森下のカーブに体勢を崩されることなく右中間席へ運んだ。新型コロナウイルス感染からの復帰後8試合目。直近2試合は6打数無安打4三振で、1日中日戦では3回で交代。原監督から「丸の打撃じゃないんだから。コロナの影響はありますよ」と気に懸けられていた。4月29日には休日返上で打撃マシン相手に打ち込み、この日の試合前練習では石井野手総合コーチと意見交換しながら本来の打撃フォームの構築に励んだ。「いいスイングができたと思います。なんとか後ろにつなぐ気持ちでいきました」。その成果が16勝のうち25%の「逆転勝利」の希望をともした。 7回にはウィーラーが勝ち越しの1発をバックスクリーン右に放り込んだ。「逆転できてうれしいよ!! いいバッティングができたと思う。うれしいよ! くるりんぱ!」。ベンチに戻るとヘルメットをくるりと1回転させ、大喜びした。緊急事態宣言が発出していない広島の地で、スタジアムに集まった観客から放たれる熱気の中、巨人が粘り強い戦いぶりで「逆転勝利」の確率を上げた。【浜本卓也】

◆巨人は昨季2度の対戦で本塁打を1本も打てなかった広島森下から3本塁打。森下から1試合3本塁打を放ったチームは初めて。 これまでは昨年9月26日DeNA(宮崎、オースティン)今年4月14日阪神(佐藤輝、マルテ)の各2本が最多だった。

◆巨人ゼラス・ウィーラー外野手が決勝の4号ソロで試合を決めた。 7回先頭の初球、広島森下の146キロ直球をバックスクリーン右に運んだ。ベンチでは定番のクルリンパポーズを決め、喜びを爆発させた。これで12試合連続安打となり、打率5割、OPS(出塁率+長打率)1・426。「去年はバタバタしていたのが、今年はキャンプから腰を落ち着ける環境にいられるのが大きい」と好成績を残す要因を分析した。

◆チーム2位タイの12試合目の登板となった巨人鍵谷陽平投手(30)が、今季初勝利を手にした。 6回途中を7安打2失点と好投した畠の後を受け2番手で登板。6回2死一、三塁のピンチで、広島クロンのバットをへし折り、遊ゴロに仕留めた。イニングまたぎで1回1/3を無安打無失点と好投し「畠が頑張って投げていたので何とかしのぎたいと思って投げました。粘ってみんなで勝てたので良かった」と「ワンチーム」での勝利をかみしめた。 ウィーラーの4号ソロで勝ち越した後の7回2死では、プロ3打席目の打席にも立った。3球続けて外角低めに決まる広島森下の直球の前に一度もバットを振ることなく3球三振となり「すごい。いいピッチャーでした。全部ボールだと思って『低いな』って思ったら全部あれ(ストライク)だったので。いいピッチャーでした」と苦笑い。窮地を救った投球とは対称的に打席では脱帽するしかなかった。

◆今季5度目の逆転勝利で初の3連敗を阻止した、巨人原辰徳監督(62)の今日のひと言。 「どういう状況でも栄養にするということを、アスリートは心掛けておくということでしょうね。そこがやっぱり強さですね」 巨人が今季5度目の逆転勝利で連敗を2で止めた。初回に坂本勇人内野手(32)の5号ソロで先制。3回に鈴木誠に逆転2ランを浴びたが、6回には丸佳浩外野手(32)、7回にはゼラス・ウィーラー内野手(34)のソロ2発で逆転に成功した。先発畠世周投手(26)は勝敗こそつかなかったが、5回2/3を7安打2失点(自責0)。9回には4投手で無失点で抑え、逃げ切った。 新型コロナウイルス感染からの復帰後は本調子にまでは戻らず、1日中日戦では原辰徳監督(62)から2打席で交代を命じた丸が、値千金の同点弾を含む3打数2安打1四球。復調を願う交代のメッセージに結果で応えた丸の姿に「どういう状況でも栄養にするということを、アスリートは心掛けておくということでしょうね。そこがやっぱり強さですね」と目を細めた。 試合後、そのほかの主な一問一答は以下の通り。 ? -最後は執念の逃げ切り 執念というか...(笑い)。ベストを尽くしたと言うことでしょうな。 -丸選手に本塁打 ねえ! 非常に勝負強さが出てきましたね。今日は良かったと思いますね。 -「選球眼」という話があったが 良いんじゃないでしょうか、だいぶ。今日の皆さんの(原監督のコメントが掲載されていた)記事で、少々ファイティングスピリットに火が付いたのか。 -ウィーラーにも1発。勝負強さが目立つ OPS(出塁率+長打率)の数字を見ると分かるでしょう(ウィーラーは1・426)。最低でも800から900近くレギュラーの人たちはあってほしいね。 -6回途中から2番手鍵谷が好投 今日は何とか畠が頑張ってくれたらなということがあったんですが、非常に厳しい6回、7回というのを抑えてくれた。 -8回に登板した中川のイニングまたぎは、9回最初の左打者までを想定 そうですね。 -厳しい試合に競り勝ったのは明日以降につながる と、思いますね。逆転だしね。僅差の中でね、こうやってどんどん強さが増してくれるといいですね。

◆広島森下暢仁投手(23)がプロ初の3被弾に泣いた。 1回、坂本に左中間席への先制弾を浴びると、6回には丸に右翼席に同点ソロ。さらに7回は先頭ウィーラーに中堅へ勝ち越しの決勝弾を許した。「ホームランでいらない点というか、もったいない点を与えてしまったのが反省です」。自己最多タイの12三振を奪いながら3敗目を喫した。

◆巨人が9回に4投手をつぎ込む執念の継投で1点差を守り切った。原監督は「執念と言うか、ベストを尽くしたということでしょう」と話した。 1点リードの9回、8回から3番手で登板していた中川がイニングまたぎでマウンドへ。安部を二ゴロに仕留めたところで4番手ビエイラにバトンを託した。 しかしビエイラが代打松山、小園に連打を浴び1死一、二塁のピンチを背負うと桜井にスイッチ。桜井は暴投で1死二、三塁とピンチを広げたが、石原を空振り三振に仕留め2死目を奪った。「急にいく感じになったんですけど、焦らずいったという感じですね。打者を打ち取るだけ。もうそれだけしか考えていなかったです」とスクランブル登板を振り返った。 続く1番菊池涼を迎える場面では、原監督が直々にマウンドに向かった。桜井、炭谷にひと言かけ、申告敬遠を選択。2死満塁で代打田中広を迎えるところで左腕高梨を送った。最後はこの回4人目の高梨が二ゴロに仕留め、1点差を死守。力強く左こぶしを握り、喜びを爆発させた。

◆巨人坂本勇人内野手が5号先制ソロを放った。 1回1死、広島森下の外角高めの142キロ直球を左中間席に運んだ。「コンパクトに打ちに行くことだけ考えていました。どんな形であれ、勝てたので良かった」と勝利をかみしめた。13打席ぶりの安打が貴重な1発となり、通算250本塁打まで残り3本とした。

◆一矢報いる主砲弾。広島鈴木誠也外野手(26)が巨人戦7回戦(マツダスタジアム)で7試合ぶり7号2ランを放った。1点を追う3回に巨人畠から一時逆転の2ランの左翼席に運んだ。4試合ぶり複数安打で6試合連続安打とし、打率は3割2分7厘に上昇。その後チームは逆転負けとなり主砲の1発は空砲に終わった。投打がかみ合わずに、チームは5連敗となった。甘く入った変化球に反応した。1点を追う3回。2死二塁で巨人畠の甘く入った変化球を見逃さなかった。捉えた打球は低い弾道で左翼席に突き刺さった。「甘かったんで。コントロールいい投手ですし、なかなか甘い球が来ない。そこを仕留められたのは良かったなと思います」。試合後はチームの敗戦もあり、笑顔がなかった。 打率を3割2分7厘に上げながらも、まだ状態は良くない。オフに大改造した打撃フォームを昨季に近い形に戻し、5月に入っても試行錯誤は続く。この日は試合前のフリー打撃時に、裏方に自分の携帯電話を託して動画撮影を依頼。インターバルの間に映像を見返して再びケージに入るなど悩める日々を過ごす。 「毎日変えてるので、分からないです。しっくりしている感じもない。でも、1シーズンでしっくりすることなんてそんなにないですし。その中でもやってかないといけない。それが少しずつ最初に比べてみたら、たまにいい結果が出てくるようになりましたけど、まだめちゃくちゃいいっていう感じではない」。生みの苦しみを味わいながらも、6試合連続安打、15試合連続出塁を記録する。 昨季対戦打率2割3分とセ5球団の中で最も抑えられた巨人相手に今季はやり返している。今季対戦打率4割9厘、4本塁打はシーズン本塁打の半数以上だ。主砲が示す向上心と反骨心こそ、5連敗となったチームに求められている。【前原淳】

◆広島鈴木誠也外野手(26)が逆転の7号2ランを放った。1点を追う3回2死二塁。巨人畠のカウント2-0からの甘い変化球を一振りで仕留めた。 「打ったのはスライダー。森下が頑張って投げているので、逆転につながるホームランになって良かったです。しっかり捉えることが出来ました」。自身7試合ぶりの1発で、先発森下を援護した。

◆指揮官の愛ある無言のメッセージに、巨人丸佳浩外野手(32)が結果で応えた。 1-2の6回に同点の2号ソロを放ち、今季5度目の逆転勝ちを呼び起こした。新型コロナウイルス感染からの復帰後は本調子にまでは戻らず、1日の中日戦(東京ドーム)で復調を願う原辰徳監督(62)から2打席で交代を命じられた。「愛のムチ」に値千金の一発でかえした。満面の笑みで左拳をつきだした丸が、両手で「マル」ポーズを作った。6回2死。森下の真ん中に入ってきたカーブを、体勢を崩されることなく、美しいスイングで捉えた。打球は右中間の最深部へ。同点の2号ソロを決めて本塁を踏むと、ベンチ最前列の指揮官を見た。「あのままダラダラいくとしんどい展開になってしまうと思ってたのでよかった」とほおを緩めた。 新型コロナに感染後、4月4日から10日間の入院生活を送った。退院後は2軍で調整し、同23日から1軍に合流。復帰後は5試合連続安打を放っていた。 指揮官には、本来の姿には遠く映っていた。前日に4打数無安打2三振で迎えた1日の中日戦では、2打席2三振を見て3回でベンチに下げた。空振りに、離脱の影響の大きさを感じ取った。「丸の打撃じゃないんだから。あれだけ選球眼が良かった人だからね」。こんなもんじゃないだろう、頑張ってはい上がってこい-。18年オフにはFAの初交渉の場に初めて同席してまで思いを伝え、巨人入りへ導いた。2打席での交代は信頼する背番号8への無言のメッセージだった。 丸も心を折らず、もがいた。「(2打席で交代は)しょうがないかなという感じがありました。結果が全ての世界なので。真摯(しんし)に受け止めながら現状できることをしっかりやっていくだけ」とかみしめた。「打った、打たない関係なく、こういうことをやってみようという風に考えながらやっている」。この日の試合前練習では石井野手総合コーチと何度も意見交換しながら試行錯誤を繰り返した。ぶれずに打撃と向き合ってきた成果が初の3連敗阻止につながった。 原監督も「非常に勝負強さが出てきましたね。(原監督のコメントが掲載された)皆さんの記事で少々ファイティングスピリットに火が付いたのか」と笑顔で合格点をつけ、続けた。「どういう状況でも栄養にするということを、アスリートは心掛けておくということでしょうね。そこがやっぱり強さですね」。背番号8の先輩でもある指揮官の思いを受け止め、強い丸が戻ってきた。【浜本卓也】 ? ▽巨人鍵谷(6回2死一、三塁から登板し、1回1/3を無失点で今季初勝利)「畠が頑張って投げていたので何とかしのぎたいと思って投げました。粘ってみんなで勝てたので良かった」

◆巨人の坂本が4月24日以来となる5号ソロを放った。0-0の一回1死で、森下の高めの直球を左中間へ運んだ。昨季のセ・リーグ新人王との今季初対戦で初めて本塁打を放ち「良かった」と貫禄を見せた。  打撃で久々に快音を響かせた一方、遊撃の守備では三回に今季2失策目を喫した。1死で菊池涼の平凡な打球のバウンドにタイミングを合わせられずに後逸。打者走者に二塁まで進まれ、渋い表情でグラブをたたいた。2死後に先発の畠が鈴木誠に2ランを浴びて失点につながった。  今季は4月25日の広島戦の1試合に代打で出場した以外は全て遊撃で先発出場している。2015年から伝統球団の主将を務め、7年目。今季も攻守でチームの浮沈を一身に背負っている。

◆広島の鈴木誠が4月24日以来、7試合ぶりの7号2ランを放った。0-1の三回2死二塁で、2ボールから畠の真ん中に入ったスライダーを強く振り抜き、ライナー性の打球を左越えへ運んだ。「しっかり捉えることができた」と手応えを語った。  一回には中前打を放ち、今季10度目の複数安打をマーク。6試合連続安打で連続試合出塁を15に伸ばした。  4月24日の巨人戦で通算150本塁打を達成した。球団では江藤に次ぐ若さで節目に到達し、「これからもいいところで打てるように、チームの勝利に少しでも貢献できるように頑張っていきたい」と気持ちを新たにした。26歳で球界を代表するスラッガーとして、広島打線をけん引している。

◆巨人・丸佳浩外野手(32)が1点を追う六回、森下のカーブを右中間席へ運び、2号ソロをマークした。  「3番・中堅」で先発し、一回にも森下から右前打を放った丸は、前戦の1日の中日戦(東京ドーム)で2打席連続三振を喫したところで途中交代。最近2試合は6打数無安打、4三振、2併殺と元気がなかったが、本来の打撃をアピールした。

◆巨人は2-2の七回にウィーラーの2試合連発の4号ソロで勝ち越した。2番手で好救援の鍵谷が今季初勝利、九回を小刻みな継投でしのぎ、高梨が今季初セーブを挙げた。広島は5連敗。九回2死満塁で代打田中広が二ゴロに倒れた。

◆広島は1点を追う九回2死満塁。一打逆転サヨナラの場面で代打・田中広が6番手・高梨の前に二ゴロに倒れて、ジ・エンド。逆転負けを喫してしまった。  試合の主導権を握ったのは広島だった。0ー1の三回、鈴木誠が畠から7号逆転2ランを放ち、悠々とダイヤモンドを一周した。  「森下ががんばって投げているので、逆転につながるホームランになってよかった。しっかりとらえることができた」  今季は開幕こそ出遅れたが、試合前時点で打率・321、6本塁打、14打点。主砲の一打でペースを握ったが、防御率リーグトップの1・80でマウンドに上がった先発の森下が誤算だった。  一回1死から坂本に先制ソロを浴びたものの、二回から五回までわずか1安打に抑えた。しかし1点リードで迎えた六回2死で"元広島の主砲"丸に同点ソロを許した。七回には先頭・ウィーラーに勝ち越しのソロを浴び、天を仰いだ。  結局、失点は森下の3被弾のみで、5連敗。過去9度のリーグ優勝で、最大逆転は1991年の7・5ゲーム差。これで試合のなかった首位・阪神とは8差。コイの季節にデッドラインを越えてしまった。

◆広島のドラフト1位・栗林良吏投手投手(24)=トヨタ自動車=がデビューから13試合連続無失点とし、2年ぶりの新人記録更新へ「1」と迫った。  プロ入り後初のビハインドの展開となる2-3の九回にマウンドへ。9日ぶりの登板だったが、先頭・スモークをフォークで空振り三振に斬った。続くウィーラーを遊ゴロ、若林を一ゴロに仕留め、わずか11球で打者3人を料理した。  自身のセ・リーグ記録を「13」に伸ばし、2019年にソフトバンク・甲斐野が打ち立てた新人記録に並んだ。球団では2003年の永川(現投手コーチ)以来の「新人守護神」は開幕2戦目の3月27日の中日戦(マツダ)でプロ野球史上5人目の初登板セーブを挙げると"ミスターゼロ"のまま突っ走っている。  春季キャンプ中の練習試合、オープン戦を含め対外試合は20イニング連続無失点といまだ1点も取られていない。早ければ4日の巨人戦(マツダ)で新人記録を塗り替える可能性がある。

◆不動の座を揺るがす"危機"に直面していた巨人・丸佳浩外野手(32)が1点を追う六回、森下のカーブを右中間席へ運んだ。同点の2号ソロ。一回に放った右前打とともに、この日の結果は価値あるものだった。  「ジャイアンツはずっとそう(実力主義で)やってきている。『なんだ、あの人、あんな打撃していても使われるんだ』と思われるのは限界はある」  原監督は2日に広島へ移動した際、こう予告した。丸は1日の中日戦(東京ドーム)で2打席連続の三振で途中交代。「明日(3日)は右投手(森下)だから出そうと思うけど、具合によっては、明後日(4日)が左投手(床田)なら...」とベンチスタートの可能性も示唆していた。  丸は2018年オフにフリーエージェント(FA)権を行使して広島から加入後、不動の主軸として君臨した。だが、今季は開幕から不調で、4月4日には新型コロナウイルスの陽性判定を受けて10日間の入院も経験した。  2軍で3試合に出場して急ピッチで仕上げ、同23日の広島戦(東京ドーム)で1軍に復帰。一時は本来の姿を取り戻したかに見えたが、最近2試合は6打数無安打、4三振、2併殺。指揮官は「(復帰が)早かったかな。本来の丸の姿ではない」と療養明けを考慮しつつ、実力主義の方針も示していた。  そんなハッパにいきなり応えた。10年連続100試合以上(うち6度は全試合)に出場する背番号8が、バットで健在をアピールした。  2-2の七回、絶好調のウィーラーが勝ち越しソロ。九回も小刻みな継投でサヨナラのピンチをしのいで、今季初の3連敗を免れた。

◆巨人は3-2の九回に4投手の継投で1点差を守り切った。八回から投げた中川が九回に1死を奪うと、ビエイラを投入。連打を浴びると桜井に代えた。さらに2死満塁で左打者の代打田中広に対しては高梨を使い、逃げ切った。  高梨は今季初セーブを挙げ「何とか勝ち切れたというのは、僕だけじゃなくて、チームにとっても大きい」と安堵の表情。今季は延長戦がないため、救援陣を総動員するケースが目立つ。貴重な左の横手投げとして「接戦になったときはつぎ込むことができる。準備の回数などは(例年と)違うかな」と実感していた。

◆巨人は同点の七回に絶好調のゼラス・ウィーラー内野手(34)が放った2試合連続本塁打の勝ち越し4号ソロが決勝点となった。ヒーローインタビューに登場した助っ人が試合を振り返った。  --ナイスバッティング  「アリガトウ」  --接戦を制した今の気持ちを  「連敗して今週を迎えたので、1週間の最初の試合を勝ててよかったです」  --連敗を止めるいい一発になりましたね  「チーム一丸となって今日を勝つために全力を尽くしました」  --七回は先頭打者。初球から打っていった  「同点の試合終盤に入る場面で、とにかく出塁しようと積極的にいこうと思っていました」  --手応えは  「感触は良かったです。野球は難しいスポーツですけど、良くないことがあっても前向きに常にやるしかないと思っています」  --2試合連続本塁打。12試合連続ヒット。状態をどう感じているか  「まだ自分ではそういう数字を気にすることなく、まだまだ良くなると思っているので。シーズンは長いですし、今に満足せず良くしていきたい」  --ファンへメッセージを  「東京では緊急事態宣言で無観客が続いていますけども、引き続きテレビの向こうでも応援していただいて。自分たちはできることを最善を尽くすので、引き続き応援をよろしくお願いします。ゴールデンウィークを楽しく過ごしてください」

◆広島の森下は自己ワーストの3本塁打を浴び、7回7安打3失点で3敗目を喫した。一回に坂本に直球を左中間へ、2-1の六回は丸にカーブを右中間へ運ばれた。七回はウィーラーに速球を中堅右への勝ち越し弾とされ「本塁打でいらない点というか、もったいない点を与えてしまったのが反省」と悔やんだ。  中5日で毎回の12三振を奪い、117球を投げたが、チームは5連敗。「しっかり投げ切れたところはあったけど、抑えないといけないところで抑えられなかった」と肩を落とした。

◆広島の会沢が欠場した。試合前の練習からグラウンドに姿を見せずベンチ入りメンバーから外れ、佐々岡監督は「下半身のコンディション不良。ひどくはないんだけど、もしかしたら抹消することも考えている」と話した。

◆巨人は一発攻勢で勝利。丸佳浩外野手(32)が同点弾、ゼラス・ウィーラー内野手(34)が決勝弾を放ち、九回は2死満塁のピンチを6番手・高梨雄平投手(28)が切り抜けた。連敗は2でストップ。原辰徳監督(62)が試合を振り返った。  --最後は執念の逃げ切り  「執念と言うか...。ベストを尽くしたということでしょうな」  --丸に一発  「ねえ! 非常に勝負強さが出てきましたね。今日は良かったと思いますね。今日の皆さんの記事で少々ファイティングスピリットに火が付いたのか」  --丸は1日の中日戦で四回から途中交代。監督のメッセージも届いた  「どういう状況でもね、栄養にするということがアスリートは心掛けておくということでしょうね。そこがやっぱり強さですね」  --ウィーラーが決勝弾  「OPS(出塁率+長打率)の数字(1・426)を見ると分かるでしょう。OPSが最低でも・800から・900近く、レギュラーの人たちはあってほしいね」  --鍵谷が今季初勝利  「何とかあそこ(六回2死一、三塁)は畠が頑張ってくれたらなということはあったんですが、非常に厳しい六、七回というのを抑えてくれた」  --中川は八、九回と回またぎ。9回最初の左打者(安部)までという想定だった  「そうですね」  --好投手の森下からカード頭を取れた。意味は?  「どういう意味というか、いつも勝ちにいっているんだけどね(笑)」  --厳しい試合を競り勝ったことは明日以降につながる  「と、思いますね。逆転だしね、僅差の中でね、こうやってどんどん強さが増してくれるといいですね」

◆広島が1点差で敗れ、今季ワーストの5連敗を喫した。佐々岡真司監督(53)の主な一問一答は以下の通り。  --先発の森下は自己ワースト3被弾するなど7回7安打3失点  「打たれたのは甘く入ったところ。ウィーラーには不用意な入りをしたかなと思うけど、あそこまで投げて7回3失点は責められない」  --D1位・栗林(トヨタ自動車)をプロ入り後初のビハインドの場面となる2-3の九回に投入した  「リードした場面で出してあげたかったのもありますけど、登板が中7日に空いてね。こういう展開で最後にどうなるか、1点差なら(わからない)というところ」  --打線は巨人より1つ多い9安打も2得点どまり  「チャンスをつくるけど、あと一本が出ないのが今のところ。それが出ればチームも乗っていけると思う」

◆セ・リーグ2位の巨人は3日、広島7回戦(マツダ)に3-2で勝利。昨季新人王の森下暢仁投手(23)に3本のソロ本塁打を浴びせ、連敗を2で止めた。六回に同点の2号ソロを放った丸佳浩外野手(32)は、2安打1打点の活躍で勝利に貢献。1日の中日戦(東京ドーム)では2打席で三振を喫した後、異例の途中交代を告げられた強打者が、かつての本拠地で気を吐いた。  これが、定位置を守り続けてきた男の強さだ。先制、同点、勝ち越しのソロ3発が飛び出した試合。同点の2号ソロを放った丸は、両手で頭上に「○」を描く恒例の「丸ポーズ」と、明るい笑顔で復活を印象づけた。  「しっかり粘って打てた。試行錯誤しながらやっていて、この前の2試合はそれが成功しなかった。結果が全ての世界。そこは真摯(しんし)に受け止めながら、できることをやっていくだけ」  第1打席で自身8打席ぶりの安打となる中前打を放つと、1-2の六回に森下のカーブを捉え、右中間席へ運んだ。3打数2安打1打点1四球。本来の姿を取り戻した。  不動の地位を揺るがす"危機"が迫っていた。1日の中日戦。第1打席から2打席連続三振を喫した後、三回に途中交代を告げられた。最近2試合は2つの併殺打を含む6打数無安打、4三振。4月前半に新型コロナウイルスの検査で陽性判定を受けて10日間入院し、急ピッチで復帰した影響が如実に表れていた。  この姿に、厳しい言葉を発したのが原監督だった。「(療養中の)2週間、寝ておくのは大変なこと。(復帰が)早すぎた」と理解を示しながら「『なんだ、あの人。あんな打撃をしていても使われるんだ』と思われるのは限界がある。主軸であり、給料だって違うわけだから」と、相手先発が左腕の試合でスタメンから外す可能性をちらつかせた。 その他の写真(2/3枚)  期待し、信頼するからこそのメッセージ。2018年オフにFA権を行使して5年総額25億5000万円で広島から加入した丸は、それを記事で目にし、結果に変えた。  「今日の皆さんの記事で、少々ファイティングスピリットに火が付いたのか。どういう状況でも、栄養にすることをアスリートは心掛けておく。そこがやっぱり強さ」。原監督は、うれしそうに目を細めた。10年連続100試合以上(うち6度は全試合)に出場する背番号8が、その地位を不動にした古巣の本拠地で、意地を見せた。(谷川直之) ◆決めたのはウィーラー  決勝弾は好調のウィーラーが放った。2-2の七回先頭で森下の初球、146キロの直球を一閃。4号ソロをバックスクリーン右へ運び、「右中間は自分の強み。調子がいい証拠」と笑い、ベンチではおなじみの"くるりんぱ"を決めた。新型コロナ感染で離脱もあったが、12試合連続安打で打率・500、OPSは驚異の1・426。来日7年目でタイミングの取り方が向上したといい、出場15試合で無安打は1試合という絶好調が続いている。

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
2190 0.700
(-)
-
(-)
113142
(-)
86
(-)
32
(-)
24
(-)
0.259
(-)
2.750
(-)
2
(-)
巨人
17114 0.607
(↑0.014)
3
(↑0.5)
111138
(+3)
112
(+2)
38
(+3)
22
(-)
0.260
(-)
3.320
(↑0.11)
3
(-)
ヤクルト
14124 0.538
(-)
5
(-)
113125
(-)
130
(-)
32
(-)
19
(-)
0.243
(-)
4.020
(-)
4
(-)
広島
13172 0.433
(↓0.015)
8
(↓0.5)
111102
(+2)
123
(+3)
24
(+1)
15
(-)
0.259
(↓0.001)
3.500
(↑0.01)
5
(-)
中日
12164 0.429
(↓0.015)
8
(↓0.5)
11190
(+1)
98
(+2)
12
(-)
15
(-)
0.229
(↓0.003)
2.830
(↑0.06)
6
(-)
DeNA
9214 0.300
(↑0.024)
12
(↑0.5)
109116
(+2)
164
(+1)
25
(+1)
6
(-)
0.231
(↓0.002)
4.680
(↑0.12)