ソフトバンク(★3対4☆)日本ハム =リーグ戦5回戦(2021.04.28)・福岡PayPayドーム=
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日本ハム
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ソフトバンク
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勝利投手:伊藤 大海(1勝2敗0S)
(セーブ:杉浦 稔大(0勝1敗7S))
敗戦投手:和田 毅(2勝2敗0S)

本塁打
【日本ハム】近藤 健介(5号・6回表2ラン)
【ソフトバンク】今宮 健太(2号・9回裏ソロ),柳田 悠岐(5号・9回裏ソロ)

  DAZN
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◆日本ハムは2回表、大田の適時打で先制する。そのまま迎えた5回には、郡の適時打で1点を追加すると、続く6回には近藤の2ランでリードを広げた。投げては、先発・伊藤が6回無失点の好投でプロ初勝利。敗れたソフトバンクは、打線が再三の好機を生かせなかった。

◆日本ハムの新人伊藤大海投手(23)は、初登板からの奪三振数が8→11→9→10。2桁奪三振が2度あり、奪三振率が13・15。 日本ハムの新人で2試合連続2桁奪三振を記録すれば80年8月27日、9月2日の木田以来となる。

◆5度目の先発でプロ初勝利を狙う日本ハムのドラフト1位伊藤大海投手(23)のプロ初勝利記念グッズ発売の前に「23イニング連続奪三振記録」記念グッズが受注販売されている。 プロ初登板初先発した3月31日西武戦(札幌ドーム)の初回から前回登板の21日ロッテ戦(ZOZOマリン)の4回まで毎回奪三振を継続し、球団の大先輩である80年木田勇に並ぶ球団記録とプロ野球新人記録に並んだ。 いきなりの偉業を記念してTシャツとフェースタオルが26日から受注販売されており、オフィシャルオンラインストアとオフィシャルショップ「ON-DECK」「CLUBHOUSE」で5月6日まで受注を受け付けている。 伊藤はここまで4試合連続でクオリティースタート(6回以上3失点以内)を決める好投を続けながら、白星には恵まれていない。5度目の先発は4月7日に札幌ドームで対戦したソフトバンクが相手。前回の投球内容は7回4安打3失点(自責2)だった。 登板前日の27日には「向こうが、どういう対応してくるかを考えて実際に試合でどうなっていくかだと思うので、その中でしっかりアジャストできるようにやっていきたい」と意気込んだ。 試合前まで38奪三振は両リーグ1位タイ、奪三振率13・15は規定投球回をクリアしている先発投手の中で堂々の両リーグトップ。福岡でも奪三振ショーを展開して念願のプロ初勝利を挙げれば、新たなメモリアルグッズも、すぐにお目見えするはずだ。

◆ソフトバンク新加入のニック・マルティネス投手(30=日本ハム)が28日、1軍に初合流した。 1日オリックス戦(京セラドーム大阪)で先発する見込み。工藤監督は「投げる日も決まっています。100球未満というところになると思う。いいところで代えてあげられたら」と話した。不調で2軍降格した高橋礼の代役として、悩める投手陣の救世主になれるか。

◆ソフトバンク和田毅投手が3勝目を逃した。 2回に1点を先制され、5回にも1失点。何とか粘りの投球を続けていたが6回、近藤に5号2ランを被弾。4失点で無念の降板となった。「調子はあまりよくありませんでした。調子が良くない中で、丁寧に、粘り強く投げなければと思いましたが、できなかった」。6三振を奪ったが「失点を重ねてしまい、申し訳ない」と唇をかんだ。

◆やっと、やっと、プロ初勝利だ。"北のドクターK"日本ハムのルーキー伊藤大海投手(23)が28日、ソフトバンク5回戦(ペイペイドーム)で6回4安打無失点。デビューから5試合連続でクオリティー・スタート(6回以上、自責3以内)を達成し、待望の初白星を手にした。奪三振数は両リーグトップの41個。大学中退など苦難を乗り越えプロ入りの夢をかなえたハートは、強靱(きょうじん)だった。伊藤は小学校の卒業文集に「サイコーの野球から学んだこと」と題して書いていた。小学2年生から始めた野球に夢中だった。プロフィル欄には「好きなことは野球、グローブの手入れ」と記した。幼い頃から一切、ブレることなくプロという夢に向かって道を切り開いてきた。 「僕の言うサイコーの野球とは大好きな野球を楽しむなかで、できなかったことを練習してできるようになったときの喜びのことです」。7日ソフトバンク戦ではプロ初黒星を喫し、試合後ベンチで涙を流したが、その悔しさも成長への糧に変えた。 野球への情熱は幼い頃と全く変わらない。「こんな楽しい野球をこれからも続けていきたいと思います。僕に野球をやらせてくれた両親に感謝したいと思います」。マウンドで躍動する姿が、応援してくれる父と母への最高の恩返しになる。文集の将来の夢には「メジャーリーガー」と書き記した。プロ初勝利は1つの通過点。大きな夢に向かってブレずに突き進む。【日本ハム担当 山崎純一】

◆日本ハムのドラフト1位伊藤大海投手(23)が、プロ初登板から5試合目で待望の1勝目を手にした。 6回をのぞき毎回四球も、粘りを見せて4安打無失点。持ち味の奪三振数は「3」にとどまったが、悲願の勝利に向けてリードを守り切った。登板5試合目で無失点は、初めて。 ヒーローインタビューの前には、栗山英樹監督(60)と並び、勝利球を手に記念撮影。「ホッとしたのが1番かなと思います。(監督からは)『今まで、ごめんな』と。これからどんどん成長して、1試合でも多くファイターズのために投げられるように頑張りたいと思います」と誓いを立てた。 前回登板の4月22日ロッテ戦では、デビュー戦から続ける連続イニング奪三振を「23」に伸ばし、球団の新人記録と球団記録に並ぶ力投を見せていた。球団初の道産子1位選手に、ようやく初白星が舞い込んだ。 日本ハム栗山監督(プロ初勝利の伊藤に)「勝たせてあげられてホッとしている。練習の仕方もしっかり自分を持っていて、本当に自分1人でいろんなことを考えてやってきたんだなって。そのレベルも高い。資質としては10年くらい(プロで)やっている感じに見える」

◆ソフトバンクが、また「ドラ1」に手を焼いた。2度目の対戦となった日本ハムのドラフト1位右腕、伊藤大海投手(23=苫小牧駒大)に6回無得点と抑え込まれ、プロ初勝利を献上した。 25日にはロッテのドラ1、鈴木にもプロ初勝利を許したばかり。チームは今季2度目の4連敗となった。また、目の前で、歓喜の記念撮影を見せられた。日本ハムのドラフト1位伊藤にプロ初勝利を許した。6回まで1点も奪えず、完敗。工藤監督は「札幌の時よりは調子は悪かったと思いますけどね。低めの球を振らなければ攻略できたかな、という気もするんですけど...。バッターボックスに立っているわけではないのでわからないですけどね」と、もどかしそうに振り返った。 初回に2死一、二塁の先制機をつくったが、デスパイネが二直で凡退。2回に松田が、4回にはデスパイネが併殺打に倒れた。6回は先頭栗原が二塁打で出たが、ホームが遠い。5四球をもらいながら、拙攻で攻めきれなかった。前回の7日、札幌ドームでの対戦では11三振を奪われた。相手の失策が絡んでなんとか黒星を付けたが、攻略できた、と言える内容ではなかった。2戦続けて、同じルーキー右腕に苦しめられた。 25日ロッテ戦で、ドラフト1位の鈴木にプロ初勝利を献上したばかり。オープン戦では阪神佐藤輝に1号本塁打され、広島栗林には初セーブ。他球団のドラ1に、初物をプレゼントする形になっている。 チームは今季2度目の4連敗となり、引き分けだった首位楽天に0・5差をつけられた。勝負の9連戦は始まったばかり。工藤監督は「今は首位がどうのこうのではなくて。辛抱するところはしっかりして、次の日に『よし』と思える反省をして。新たな1日を迎えられるようにね、頑張っていくことが大事だと思います」と前を向いた。【山本大地】

◆ソフトバンク今宮健太内野手、柳田悠岐外野手のアーチも勝利を呼べなかった。 3点を追った9回裏。1死から今宮が開幕戦以来となる2号ソロを左翼席に運ぶと、2死後に柳田が右中間スタンドに5号ソロをたたき込んだ。だが、最後はグラシアルが投ゴロに倒れた。今宮の打撃復調に、工藤監督も「徐々によくなってくれればいい。よくなってくれれば打線のつながりになる。今日をきっかけに、早く上がってほしい」と期待を寄せた。

◆日本ハム「帝京魂」のリードオフマン郡拓也捕手が、価値ある仕事を果たした。 1点リードの5回1死二塁、左前適時打で追加点を挙げた。伊藤を援護する一打。「大海さんがいいピッチングをしていたので、なんとか追加点を取ろうという思いで打席に入りました」。出場9試合連続出塁と、勢いに乗っている。

◆頼もしい4番がドラフト1位右腕にプロ初勝利をプレゼントした。日本ハム近藤健介外野手(27)が、ソフトバンク戦(ペイペイドーム)の6回に試合を決める5号2ランを放った。 力投したルーキー伊藤を援護する大きな1発で4月は5本目。月間本塁打数は18年6月に並ぶ自己最多タイとなった選手会長は、チームにも5カードぶりの勝ち越しをもたらした。狙った結果を大幅に上回る、4番らしい仕事だった。2点リードの6回無死一塁。近藤は「なんとか一、二塁間に引っかけようとだけ考えていたので...それがうまく(バットに)乗ってくれた」。ソフトバンク和田のカットボールに食らい付き、打球は右翼のホームランテラスに飛び込んだ。「まぐれの1本です」という5号2ランが「なんとか勝たせたかった」伊藤のプロ初勝利を最後まで守る切り札となった。栗山監督も「なかなか点数が取れないところで、本当に大きかった」と感謝した。 最近9試合で5本目のアーチとなった。「何が起きているのか、自分でもちょっと分からないです」と苦笑いする本塁打量産態勢。月間5本は3年ぶり2度目で自己最多タイ。天才的なヒットメーカーも、あまり経験がない確変状態に「キャンプ中には、しっかり強く振ることを心掛けていた。それが形になりつつあるのかな」と、現状を自己分析した。 極上の選球眼とバットコントロールの巧みさは球界随一。そこにインパクトの力強さが融合し始めた。打率は2割6分1厘で「もう少し率も上げたい。ホームランが増えていることはいいと思う。そこの両立を」と、全開へあと少しだ。 開幕前に左膝を痛め、この試合も右手の違和感から7回には大事を取って代打を送られた。万全とは言えないが、打撃に支障は「全然ないです」。16年シーズンから6連敗中だったソフトバンク和田に5年ぶりに土を付け、チームも5カードぶりの勝ち越し。パワフルな選手会長がチームを上昇気流に乗せた。【木下大輔】

◆ソフトバンクは28日、長谷川勇也外野手(36)の出場選手登録を抹消した。背中に張りがあり、前日27日日本ハム戦からベンチを外れていた。 工藤監督は試合前に「(長谷川は)今日も試合には出しません。動きを見て、最終的にどうするか」と話していたが、29日に先発予定の武田を登録する必要があり、長谷川を抹消することになった。

◆日本ハムが先手を取った。2回2死二塁から大田の右前適時打で1点先制。先発伊藤は3回まで毎回走者を出しながら無失点投球。 日本ハムは5回に1点を追加すると6回には近藤の5号2ランで4点差とした。ソフトバンクは6回2死三塁も無得点に終わった。 ソフトバンクは9回に2本のソロで反撃もあと1歩及ばず4連敗。日本ハムは1分けを挟んで3連勝。伊藤がプロ初勝利、杉浦は7セーブ目。ソフトバンク和田は2敗目。

◆やっと、やっと、プロ初勝利だ。"北のドクターK"日本ハムのルーキー伊藤大海投手(23)が28日、ソフトバンク5回戦(ペイペイドーム)で6回4安打無失点。デビューから5試合連続でクオリティー・スタート(6回以上、自責3以内)を達成し、待望の初白星を手にした。奪三振数は両リーグトップの41個。大学中退など苦難を乗り越えプロ入りの夢をかなえたハートは、強靱(きょうじん)だった。プロデビューから約1カ月。苦しみながら、ようやく待望の白星をつかんだ。5度目の先発で、プロ初勝利を挙げたドラフト1位伊藤は「ホッとしたのが一番。でも、うれしい。最後まで粘れて良かったなと思います」。両頬にトレードマークのえくぼを浮かべ、ウイニングボールを大切そうに握り締めた。 21日ロッテ戦でプロ野球新人記録に並ぶ23イニング連続奪三振をマークした"北のドクターK"が奪った三振は、たったの3つだけ。得意のスライダーの割合をぐっと減らし「落ちるボールを試しながら」と、2度目の対戦となった相手に挑んだ。自己最多の5与四球と直球の制球に苦しんだが、連打は許さなかった。 今年の正月、地元の北海道鹿部町の神社で大吉が出るまで14度もおみくじを引いたが、ほとんどが、末吉だった。勝てない時期も「『末広がり』と書いてあったので、後半に良くなっていくことを願って投げ続けています」。なかなか勝てなくても、財布に末吉のおみくじを忍ばせ「何か支えてくれるものがあれば、ちょっと気持ちが楽になる」と笑ってみせた。 駒大中退後、地元北海道の苫小牧駒大に再入学。強豪リーグから一転、地方の無名リーグからプロを目指した。駒大苫小牧の佐々木監督は「『中退という経歴は何があっても消えないんだぞ』と反対したが、意志は固かった」。再入学までの半年間、毎日のように母校のグラウンドへ通い、自分で作った練習計画をこなした。同監督は「練習内容は毎日、違って、自分を確立するために試行錯誤していた。僕より彼の方が大人だった」。エリート街道から外れても、夢を実現できることを、身をもって教えてくれた。 ウイニングボールは「母親にプレンゼントしたいと思います」と、ニッコリ。「ここからが本当のスタート。これからどんどん成長して、1試合でも多くファイターズのために投げられるよう頑張りたい」。チームは5カードぶりの勝ち越しが決定。近い将来、間違いなくチームの顔となる背番号17には、早くも大投手の風格が漂っていた。【中島宙恵】 ▽日本ハム栗山監督(プロ初勝利の伊藤に)「勝たせてあげられてホッとしている。練習の仕方もしっかり自分を持っていて、本当に自分1人でいろんなことを考えてやってきたんだなって。そのレベルも高い。資質としては10年くらい(プロで)やっている感じに見える」

◆ソフトバンクは今季2度目の4連敗。日本ハムのドラフト1位伊藤にプロ初勝利を献上した。工藤公康監督(57)の一問一答は以下の通り。 -伊藤を攻めきれなかった 工藤監督 札幌の時よりは調子は悪かったと思いますけどね。球も高かったですし、ストレートも苦労していたみたい。低めの球を振らなければ攻略できたかなという気もするんですけどね、バッターボックスに立っているわけではないのでわからないですけどね。 -ロッテ鈴木に続いてプロ初勝利された 工藤監督 たまたまです。それはたまたま。 -デスパイネが不調 工藤監督 一番は引っ張りかかっちゃうとゴロになってしまう。どうしてもホームランバッターはホームランを打ちたい意識が強いのかなとは思います。打つ方は(ヘッドに)キャンプから任せて、ここまできていますんで。聞いてはいますけど、デスパイネは使いたいというところもありますし、ぼくもオーケーと言っている以上は、打てなければ、最終的にはそれで試合に負ければぼくの責任なので。それはしっかり背負っていきたいなと思います。 -先週は打線が好調だったが 工藤監督 1日休んで急に落ちるとは考えにくい。うまく攻められてるのかなと思いますね。 -ビハインドで勝ちパターンが登板 工藤監督 昨日あれだけ投げていて、今日もというわけにはなかなかいかないし、モイネロはあまり(間隔を)空けたくないので投げたいということで行かせました。ピッチャー全体を考えると、昨日投げたピッチャーをまた投げさせるか。昨日4人で200何球投げて球数も多かったのもありますし。負けていても津森くんであったり泉君だったり嘉弥真、岩崎君というところまでは使っていこうかなと。田浦君が空いていたので、万が一、点が取れてなければ9回行ってもらおうと考えましたけど。モイネロが投げたいということだったので行ってもらいましたけど。これはピッチャー全体で考えていかないといけないところかなと思いますので。負けていたら早めに交代せざるを得ない。最少失点で粘っていると逆転する可能性は高いのかなと思っていますけど。ぼくらも考えないといけないのかなと思います。 -和田は内容は悪くなかった 工藤監督 ボール自体も良かったと思います。スピードも出ていましたし、コントロールもまずまず良かったのかなと思います。その中で打たれてしまうのは、仕方のないところもあるんですけどね。全く打たれないピッチャーはいないので。(調子が悪くても)丁寧に行けるというところが他のピッチャーと違うところかなと思います。丁寧さというところができるというのがすごく大事だと思う。 -長谷川を登録抹消 工藤監督 状態が上がらない、良くなってないというのもありますけど、去年も同じような形で試合に出て痛めたというのがありましたので。いてほしいし、いてもらわないといけない選手であることは間違いないですけど、ケガにつながってしまったら月単位になる。本人とも話して、良くして10日で上がってきてもらいたいと話しました。 -今宮が久々に本塁打 工藤監督 徐々に良くなってくれればいいですね。良くなってくれれば打線のつながりになる。今日は9番でしたけれど、そこから上位につながることが1点ではなく2点、3点につながりますからね。今日をきっかけに、早く上がってほしいなと思います。 -今季2度目の4連敗 工藤監督 今は首位がどうのこうのではなくて、ピッチャーの方もバッターの方もしっかり整備をして、毎日出ている選手は少しでも自分の状態が良くなるように、先発ピッチャーは少しでも長いイニングを投げられるように1週間を過ごすことが大事。泉君も久しぶりに出て、四球、送りバント、四球で終わっちゃいましたけどね。防御率0は続いていますので。それも彼にとってのモチベーションだと思うので。また次、期待したいと思います。投げた人、打った人がダメだったら、また次の人がしっかりと。チームとしてやっているのでね、お互いが補い合ったりというところも大事かなと思います。今は辛抱するところはしっかりして、次の日に「よし」と思える反省をして、新たな1日を迎えられるようにね、頑張っていくことが大事だと思います。明日は頑張りましょう。

◆ソフトバンクは、最下位の日本ハムに痛い連敗を喫した。今季2度目の4連敗。初戦で首位から引きずり下ろされ、この日で1位楽天とは0・5差となった。まだまだリーグ勝敗表を気にする時期ではないが、開幕から低空飛行が続いている栗山ハムにとって、上位撃破は何よりの活力になるだろう。16年にホークスに大逆転してリーグ制覇した日本ハムだが、この4年は苦しい戦いが続く。昨年も5位に終わった。大谷が海を渡り、チーム編成は腐心の日々が続いている。23年には札幌郊外に新球場が誕生する。それまでは我慢のチーム再生作業ということか。とはいえ、「負ける」戦いを続けるわけにはいかない。勝利を求めつつ、若手強化に手を打っているようだ。新人伊藤がプロ初勝利。うれしそうにウイニングボールを握って、帰って行った。伊藤にも大きな1勝だが、チームにとっても再起に向けた希望の白星となった。チーム編成の責任者でもある吉村GMは、1週間前に亡くなられた父英世氏の弔いも慌ただしく終えると、アマ視察、チーム同行など激務をこなしているようだ。リーグ連覇と日本一5連覇を目指すホークスも、2つの「V達成」と同時進行で、さらなる常勝のチーム作りを進めなければならない。27日に2年目の佐藤直がプロ入り後初めて1軍昇格したが、出番は回ってこない。思いきった若手の起用は、現状のホークスでは「難題」ではある。勝っても負けても「世代交代」の視点は、忘れてはいけない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆ソフトバンクのニック・マルティネス投手(30)が1軍本隊に合流した。試合前に代表取材に応じた工藤公康監督(57)が期待を込めた。  「投げる日も決まっています。球数は考えます。100球、100球未満というところで考えて、いいところで代えてあげられたら」  マルティネスは今季から加入した新戦力。ウエスタンでは2試合に登板して1勝1敗、防御率2・00だった。4月24日のウエスタン・オリックス戦(タマホーム筑後)では6回4安打無失点の好投。工藤監督はまだ調整段階の途中であることも考慮し、球数も考えると強調したが、新戦力がいよいよ初陣。土曜日を任されてきた高橋礼が27日に2軍降格となっただけに、5月1日のオリックス戦(京セラ)での先発が有力だ。  新しい風を吹き込んでほしい? と問われた指揮官は「刺激になってほしいですけど、現状いる選手たちが頑張らないといけないところもある。誰かに頼るということは(誰かが1軍に)いられなくなるということ。チームといえど競争ですから」と選手の尻をたたいていた。鷹がまた一丸となり、シーズンを戦っていく。

◆ソフトバンク・武田翔太投手(28)が29日の日本ハム戦(ペイペイドーム)での先発登板に向けてキャッチボールなどで調整した。  「まずは余計な走者を出さないように気を付けて。(工藤)監督にも『気合を入れていけ』と言われたので、気合を入れていきます」  今季は開幕ローテをつかんで、16日に登録抹消となった。22日のウエスタン・阪神戦(鳴尾浜)では7回2/3を投げ2失点で126球を消化した。「(状態は)いいかなと思います。カーブとか、他の変化球を試したりもした」とファームでの一戦を振り返った。これまで通り、木曜日のマウンドを託された。  日本ハムとの対戦は8日(札幌ドーム)以来、今季2度目。その試合は折れたバットが体を直撃するアクシデントがあっただけに、もう大丈夫か? と問われると「次は避けます」とうなずきながら笑った。世間は大型連休に突入し、チームも9連戦の途中。「長いイニングを投げさせたいと思ってもらえるように」と意気込んだ。

◆日本ハムの大田が二回に適時打を放ち、2試合連続で打点をマークした。2死二塁で初球の変化球を振りにいく。逆らわずに右前へとはじき返した。  モットーとしている「一日一善(1安打)」を最初の打席で達成し、「積極的にいった結果、ヒットになって良かった」と満足そうだった。  自他共に認めるスロースターターで、開幕直後は例年調子が上がらない。今季も一時は打率1割台に落ち込んでいた。ただ、「自分はそういうもの。もがくのも大事だが、そこで慌てずにしっかり準備を整えるのが最善策」と冷静に受け止め、落ち着いて調整を続けた。27日の試合は適時打2本を放ち、今季最多となる3打点を稼いだ。一歩ずつ、復調の気配を示している。

◆ソフトバンクの和田は援護がない中で粘りの投球を続けたが、0-2の六回に近藤に痛恨の2ランを浴びて降板となった。「調子が良くない中で、丁寧に粘り強く投げなければと思ったが、できなかった」と肩を落とした。  無四球とさすがの制球力で、失投も少なかった。しかし、いつもの球威がないのか、日本ハム打線に低めをうまく捉えられて8安打を浴びた。近藤に対しても変化球で泳がせたが、右翼からせり出すホームランテラス席まで運ばれ、悔しそうに唇をかんだ。「失点を重ねてしまい申し訳ない」と言葉を絞り出した。

◆ソフトバンクは4連敗。2カード連続の負け越しが決まった。試合後、工藤公康監督(57)が代表取材に応じた。主な一問一答は以下の通り。  --相手先発の伊藤の出来は  「札幌(7日)のときよりは調子は悪かったと思う。球も高かったしボール球も多かった。ストレートも苦労していたみたいだったので」  --打線だとデスパイネに当たりが出ていない(打率・203)  「一番は引っ張りにかかっちゃうとゴロになってしまう。凡打になってもライトの方に打っていくとヒットも出るのかなと思いますけど。どうしてもホームラン打者はホームランを打ちたいという意識が強いのかなと感じてはいますけど。そのへんは(小久保)ヘッドとも話しています」  --起用を続けるにしても動かすにしても、小久保ヘッドとの話し合いになる  「打つ方はキャンプから任せてここまできているので。(考えを)聞いてはいますけど、デスパイネは使いたいというところがあるので。僕もOKと言っている以上は、打たなければ、試合に負ければ僕の責任なので。それはしっかり背負っていきたいと思います」   --和田もバラついているようには見えなかったが  「そう思います。ボール自体もよかったと思います。スピードも出ていましたし、ある程度コントロールもよかった。見逃し三振もいくつかあったと考えればコントロールもよかったと思いますし。その中で、打たれてしまうのは...。仕方のないところもあるんですけど。全く打たれない投手はいないので」  --長谷川が抹消  「状態がよくなっていないのもあって。大事を取って。去年も同じような形で最終的に試合に出て痛めたのがあったので。いてほしい、いてもらわないといけない選手でもあることは確かですけど。けがにつながってしまったら(復帰が)月単位になってしまう。本人とも話して『(状態を)よくして、10日で何とか上がってきてもらいたい』と話しました」

◆日本ハムの4番打者、近藤が貴重な2ランを放ち、ルーキー伊藤のプロ初勝利に貢献した。2-0の六回無死一塁。追い込まれながらも和田の外角低めのカットボールを捉えて右翼フェンスを越す。「うまく(バットに)乗ってくれた、まぐれの一本」と笑顔だった。  本塁打のシーズン最多は2018年の9本だが、今季は4月だけで5本目となった。「何が起きているのか自分でも分からない」とおどけつつ、「キャンプ中に強く振ることを心がけていたのが形になりつつあるのかな。ホームランが増えていることはいいが、もう少し打率も上げたい」と満足していなかった。

◆ソフトバンクは1-4の九回に2本のソロで追い上げたが一歩及ばなかった。1死から今宮が開幕戦以来の一発を放つと、2死から柳田が右中間スタンドに第5号を放り込む。執念の攻撃で球場は期待感に沸いたが、続くグラシアルが止めたバットで投ゴロに倒れた。  柳田は「内の真っすぐをうまく打てた」という七回の適時二塁打を含め、3打数3安打2打点。勝利には結びつかなかったが、低調な打線の中で一人気を吐いた。

◆日本ハムのドラフト1位ルーキー、伊藤大海投手(23)=苫小牧駒大=が28日、ソフトバンク5回戦(ペイペイドーム)に先発し、6回4安打無失点と好投。5度目の登板で念願のプロ初勝利を挙げた。全ての登板でクオリティースタート(先発で6回以上、自責点3以下)を達成する安定感を発揮し、4-3の勝利に貢献。チームは1分けを挟んで3連勝とした。  5度目の挑戦でついにつかんだ。最速155キロ右腕、伊藤がソフトバンク打線を相手に6回4安打無失点の快投でプロ初勝利をマーク。チームを3連勝に導いた。  「攻守にわたって野手がもり立ててくれたおかげでゼロに抑えることができた」  プロワーストの5四球を与えるなど制球に苦しみ、毎回走者を許した。最大のピンチを迎えた4-0の六回、勝負球のスライダーがさえた。1死三塁で中村晃に対し、内角高めに投げ込んで三飛。続く甲斐は3球勝負で外角のボール球を振らせ、三振に仕留めた。  北海道・函館市に近い鹿部町出身。タコつぼ漁師の息子として育った。プロ入りを志して駒大苫小牧高から駒大へ進学。しかし「4年後に自分がどうなっているか見えてこない部分があった」と1年秋に退学。地元の苫小牧駒大に入学した。遠回りしたが、大学日本代表に選ばれるなど注目を集め、球団初の"道産子1位指名"となった。  今月18日、東京ドームで行われた楽天戦で、高校の先輩にあたる田中将大と初対面。田中将が同17日の復帰登板を振り返るYouTubeチャンネルも視聴し「田中さんも言っていましたが、良くなかった真っすぐを(試合の)前半で見切って、後半は変化球中心に変えた。自分自身もそういう切り替え、修正能力をまねしたい」と刺激を受けた。偉大な先輩の投球術を意識しながら投げ、初勝利につなげた。  先発ローテーションの中でただ一人、登板全てでクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)を達成し、41奪三振はリーグトップ。「ここからスタートという気持ちで引き締めてやっていきたい」と力強かった。

DAZN

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
楽天
1396 0.591
(-)
-
(-)
115106
(-)
95
(-)
21
(-)
8
(-)
0.229
(↓0.004)
3.230
(↑0.12)
2
(-)
ソフトバンク
14113 0.560
(↓0.023)
0.5
(↑0.5)
115114
(+3)
104
(+4)
23
(+2)
12
(+1)
0.263
(-)
3.570
(↓0.02)
3
(-)
ロッテ
13124 0.520
(↓0.022)
1.5
(↓0.5)
114140
(+2)
109
(+3)
27
(+1)
21
(-)
0.244
(↓0.004)
3.640
(↑0.01)
4
(-)
西武
12123 0.500
(↑0.022)
2
(↑0.5)
11691
(+3)
107
(+2)
17
(+2)
27
(+1)
0.226
(↑0.001)
3.940
(↑0.11)
5
(-)
ORIX
10136 0.435
(-)
3.5
(-)
114100
(-)
98
(-)
20
(-)
7
(-)
0.241
(↓0.006)
3.020
(↑0.12)
6
(-)
日本ハム
9144 0.391
(↑0.027)
4.5
(↑0.5)
11684
(+4)
122
(+3)
13
(+1)
15
(-)
0.223
(↑0.002
4.070
(↑0.04)