阪神(☆4対0★)広島 =リーグ戦5回戦(2021.04.15)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:秋山 拓巳(2勝1敗0S)
敗戦投手:床田 寛樹(1勝1敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(1号・1回裏2ラン),佐藤 輝明(5号・4回裏2ラン)

  DAZN
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◆阪神が5連勝。阪神は初回、大山の2ランで先制に成功する。そのまま迎えた4回裏には、佐藤輝の2試合連続本塁打となる2ランが飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・秋山が7回3安打無失点の力投で今季2勝目。敗れた広島は、打線が散発の4安打と振るわなかった。

◆阪神のルーキー佐藤輝明外野手(22)が2試合続けて本塁打を打てるか。 阪神の新人が甲子園で2戦連続で本塁打を打てば、15年江越以来となる。本塁打を打った次の試合はここまで12打数1安打だが、今日はどうか。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、プロ初の2試合連続本塁打を目指す。 前日14日広島戦では、森下から甲子園初本塁打となる4号2ラン。初本塁打から2号までは19打席、2号から3号までは24打席要していたが、間隔をぐっと縮める12打席ぶりの1発だった。4試合連続安打中と状態は上向き。阪神の新人では15年江越以来の、甲子園での2戦連続本塁打に期待がかかる。 試合前フリー打撃では40スイングで4本の柵越え。試合前には連日、サンズや井上ヘッドコーチと打撃談義し、レベルアップへ貪欲な姿勢を忘れない。豪快な一打で、聖地のファンを沸かせられるか。

◆16日の中日戦(バンテリンドーム)に先発する予定だった広島大瀬良大地投手(29)が、試合前の練習中に何らかのアクシデントが発生した模様で、永川投手コーチにおんぶされてグラウンドを後にした。16日の予告先発は遠藤淳志投手(22)に変更された。 大瀬良は今季3年連続で開幕投手を務めた。前回9日の巨人戦では6回無失点の好投を見せるなど3戦2勝、防御率0・89と好調だ。前日14日には国内フリーエージェント(FA)権の資格取得条件を満たした。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神ではドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が「6番右翼」で先発。前日14日に甲子園1号を放っており、2戦連発に期待がかかる。また、4番大山悠輔内野手(26)が今季本塁打ゼロで、初アーチが飛び出すか。 阪神秋山拓巳投手(29)、広島床田寛樹投手(26)が先発。両投手ともに今季はそれぞれのチームから白星を飾っており、好投なるか。

◆名探偵でも推理不能な事件が起こった。犯人は阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)だ。2回先頭で広島先発床田から、二塁手菊池涼の後方へ高い飛球を打ち上げた。右翼鈴木誠が前進したが、そのまま間にポトリ。甲子園はほぼ無風の状態だったが名手2人が捕球できず右前への二塁打となった。佐藤輝はこれで5試合連続安打とした。 この日は試合前のファーストピッチセレモニーに「名探偵コナン」の主人公である江戸川コナンが登場。16日から「劇場版 名探偵コナン 緋色の弾丸」が上映され、猛虎打線の大ヒットも願う投球を見せていた。期待に応え、佐藤輝は「白色の弾丸」を甲子園の夜空へ打ち上げた。

◆昨年リーグ2位の28本塁打を放った阪神大山悠輔内野手(26)に待望の今季1号が飛び出した。 初回2死一塁から広島床田の136キロの低めツーシームをすくい上げ、左翼スタンドへ先制2ランを運んだ。今年から甲子園でファンサービスの一環でビジョンに表示される本塁打の打球速度は161キロ、角度は24度、飛距離120メートルだった。 今季68打席目の1号で、プロ5年目で「最遅」。これまでは19年の48打席目だった。待望の1発に主将は「追い込まれていた中でうまく打つことができました。ここからチームのために1本でも多く打てるように頑張ります」とコメントした。 大山が打点を挙げた試合は昨季から1分けを挟んで16連勝中で、加えて今季チームは先制すれば12戦全勝としている。幸先の良い1発となるか。 ▼大山が今季68打席目で初本塁打。過去のシーズン1号までの所要打席数は 17年 9打席目(7月1日ヤクルト戦) 18年 2打席目(3月30日巨人戦) 19年 48打席目(4月11日DeNA戦) 20年 16打席目(7月4日広島戦) プロ5年目で最遅となった。

◆首位阪神は投打がかみ合って今季初の5連勝を決めた。矢野燿大監督(52)の就任以来最多の貯金数を9に更新した。 1回裏には4番大山悠輔内野手(26)が先制2ラン。今季17試合目、68打席目で満を持して1号を放ち、チームを勢いづけた。 4回にはドラフト1位の6番佐藤輝明内野手(22)がプロ初の2戦連発となる5号2ランをバックスクリーンに運ぶ。先発の秋山拓巳投手(29)は7回無失点で今季2勝目をあげた。 先発投手陣は12試合連続でクオリティースタート(6回以上、自責点3以内)を達成。打線は先制すれば13連勝、大山が打点をあげれば引き分けを挟んで17連勝となった。 ▼阪神の5連勝は今季初。矢野監督就任の19年以降の最長は6連勝で、19年9月21日広島戦~30日中日戦、20年10月24日巨人戦~31日DeNA戦(1分け含む)の2度。

◆鯉キラーの本領発揮だ。阪神秋山拓巳投手(29)が粘りの投球で7回3安打無失点に抑え、2勝目を挙げた。 「ボール自体は良かったのですが、間延びしてしまう部分がありそこは反省点です。ただ、粘り強く投げることができたのは良かったと思います」。たびたび走者を背負ったものの、4番鈴木誠には3打数無安打と仕事をさせなかった。 初回、堂林に右前打と盗塁を許して1死二塁。西川を中飛に打ち取ると、鈴木誠をフルカウントから外の直球で見逃し三振。27球を要したが、持ち前の丁寧な制球で無失点で切り抜けた。5回は連続四球から無死二塁のピンチを招くも、代打安部を外低めの直球で見逃し三振に仕留めた。続く絶好調の菊池涼、堂林は内野ゴロ。要所で外角へズバッと決まる直球が光った。 今季初先発だった1日広島戦(マツダスタジアム)では、5回まで完全投球を見せて7回2失点で勝利。昨季4勝0敗の好相性を今年も継続している。

◆阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)がプロ初の2戦連発となる5号2ランを放った。 2点リードの4回無死一塁、1ボール1ストライクから床田の内角140キロをバックスクリーンに運んだ。甲子園での主催試合でバックスクリーンへ本塁打を打った阪神の選手に対して、今季はDAZNから賞金100万円が贈呈され、その1号にもなった。前日14日に広島森下から甲子園1号を右中間に放っていた。 ダイヤモンドを1周すると、お決まりの「Zポーズ」でナインと喜びを分かち合った。守備につく際には帽子を取ってファンの声援に応えた。佐藤輝は「少し詰まりましたが、しっかり振り切ることができたので入ってくれたと思います。中盤で追加点が欲しい場面だったので、最高の形で追加点を取ることができて良かったです」と振り返った。 なお本塁打の打球速度は173キロ、飛距離131メートルだった。これで4月は月間4本目。怪力ルーキーの1発でさらに点差を広げた。 ▼佐藤輝がプロ初の2試合連続本塁打。阪神の新人では、高山が16年9月19日巨人戦(甲子園)、22日広島戦(マツダスタジアム)で2試合連発して以来。甲子園に限ると、江越の15年7月22日巨人戦、24日DeNA戦2試合連続以来。なお2日連続の本塁打となると、岡田彰布が80年8月6、7日中日戦(ナゴヤ球場)で2試合連発して以来、41年ぶりとなった。 ▼佐藤輝が2試合連続の5号。阪神の新人で2戦連発は16年高山以来になる。DeNAのルーキー牧が14日に5号を打っているが、2人ともチーム17試合目で記録。セ・リーグ新人のスピード5号を出すと、(1)03年村田(横浜)チーム11試合(2)59年桑田(大洋)同13試合(3)59年江藤(中日)同16試合(4)牧、佐藤輝同17試合。58年長嶋(巨人)の27試合や69年田淵(阪神)の21試合より早く、セ・リーグの新人では4番目のスピードだった。

◆阪神は初回、4番大山の今季1号2ランで先制。広島は初回に走者を二塁まで進めるも、先発の秋山を前にあと1本が出なかった。 阪神は4回、佐藤輝の2戦連発となるバックスクリーンへの5号2ランで追加点。広島先発の床田は4回7安打4失点で降板した。 阪神は秋山が7回無失点で今季2勝目を手にし、チーム5連勝を飾った。広島は中軸が抑え込まれ、今季初の3連敗となった。床田が1敗。

◆強力打線の影響か、虎の守護神にセーブがつかない。4点リードの9回、阪神ロベルト・スアレス投手(30)がマウンドへ。4月11日DeNA戦(横浜)以来の登板となった。 先頭で迎えた鈴木誠を遊ゴロ。坂倉の3球目には160キロを計測した。フォークを捉えられ中前打を許したが、会沢を初球の157キロ直球で遊ゴロ併殺。盤石の投球で試合を締めた。 この日は先発の秋山が7回無失点に抑え、これで先発陣は連続クオリティースタート(6回以上自責3以内)を12試合に伸ばした。ここまでチームは17試合で13勝を挙げたが、守護神の登板は7試合目でセーブはたったの「3」。この日も4点差でセーブがつかない場面での登板だった。チームは絶好調だが、スアレスは2年連続最多セーブのタイトル獲得なるか。

◆今季2勝目を挙げた阪神秋山拓巳投手(29)と今季1号を放った大山悠輔内野手(26)が甲子園のお立ち台に上がった。主将の大山は「コロナでなかなかいいニュースがない中ですが、僕たちタイガースが頑張ることで、少しでも元気になってもらえればと思っているので、これからも応援よろしくお願いします!」とファンへ呼びかけた。 初回に待望の先制2ランを放った主砲。「なかなか1本出ない中でやってたんですけど、チームのみんながカバーしあいながら、やってくれていたので、今日こそはなんとか自分の仕事をやり遂げる気持ちで試合に入りました」。感触についても「すごい感触は良かったので、入ってくれと思いながら走っていたんですけど、本当に入ってくれて良かったなと思っています」と笑顔で話した。 秋山は「先制すると負けないっていうのと、大山が打点を挙げると負けないっていう、プレッシャーを感じながら、頭には入ってたんで、なんとか試合を作ることができて良かったです」とちゃめっ気たっぷりに白星を喜んでいた。 ▼阪神の5連勝は今季初。矢野監督就任の19年以降の最長は6連勝で、19年9月21日広島戦~30日中日戦、20年10月24日巨人戦~31日DeNA戦(1分け含む)の2度。

◆こちらのルーキーも勢いが止まらない。阪神ドラフト6位の中野拓夢内野手(24)は4戦連続スタメンで長打2本を決め、打率を再び5割に乗せた。左腕床田を相手に2回1死三塁で見逃し三振。「何としても次の打席で1球で仕留めようという気持ちで振りにいけた」。4点リードの4回1死、床田との再戦で2ボール2ストライクからツーシームに食らいつき、右翼線に三塁打を放った。 6回1死では右腕コルニエルから一塁線を破る二塁打。「流すことを意識するとヘッドが下がったり、そういうことが自分の傾向として多いので」。引っ張って2本を積み重ね、打席に立てば6戦連続安打、今季通算24打数12安打だ。「右投手の時だけと思われてしまうとチャンスが減る。両方の投手を打てるようにやっていかないとスタメンは取れない」。遊撃先発の座を一気に奪いにかかっている。

◆広島菊池涼介内野手の開幕連続試合安打は「16」でストップした。 第3、4打席目は捉えた当たりだったが、相手の好守にも阻まれ、4打数無安打。朝山打撃コーチは「今日もいい当たりがあったし、たまたま相手のグラブの中に入ってしまった感じ。記録は途切れたけど、本人も記録にこだわっているわけではない」と気持ちを代弁。打線の苦戦が続くだけに「また全員で明日切り替えていきます」と前を向いた。

◆首位阪神は投打がかみ合って今季初の5連勝を決めた。矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。 -4番に待望の1発が出た そうですね。ユウスケ(大山)自身もね、ちょっとモヤモヤしている中でやっと1本出たんでね。ほんとうれしそうにベースを回っている姿も印象的でしたし、これで乗っていってくれると思います。 -打った瞬間、監督はどのように いやホームランになるとはね、思わなかったので、ちょっとびっくりしましたけど、いい泳ぎ方っていうかね。できたんじゃないですかね。 -今日も試合前に打撃指導していたが、この1本で変わるか そんなに簡単とは思わないですけどね。僕だけじゃなくてね、新井コーチとかもいつもよく一緒に寄り添ってやってくれてますし、みんなでね。気づいたことはいって少しでもよくなっていけるようにね、頑張っていきます。 -佐藤輝は連夜のホームラン。きょうはバックスクリーン テル(佐藤輝)らしい。あの方向っていうのはテルのホームランの基本の方向だと思いますし、飛距離もね。本当にテルらしく、夢のあるホームランだったんで。追加点としても大きかったですし、最高でした。 -先発左腕床田に対し、新人中野がスタメン起用 状態もいいですし、もともとそんなに左を苦にするような感じには映っていないので。そういうところでは中野でいいんじゃないかなというところで、持ち味は出してくれたんじゃないですかね。 -期待に応えた そうですね。打って走って。守備もいろいろありますけど、使っていきながらね。成長していってくれたらなと思います。 -先発の秋山は まずはアキ(秋山)が初回にピンチを作りながらも、球数を使いながらゼロで帰ってきてくれたっていうのが悠輔のホームランにもつながってますし。アキの粘り、7回までしっかりいってくれたっていうのが非常に大きい。先発陣は本当によく頑張ってくれているんでね。最高でした。 -先発が奮闘 そこにはしっかりリュウ(梅野)もリードして引っ張っていってくれているところもありますしね。ピッチャーだけじゃなくて、全体で盛り上げながらね。まずはピッチャーがリズムを作ってくれているというのは頼もしいです。 -明日は藤浪  この前はシンタロウも勝ちが付いたんでね。そういうところでは、もう1個勝つようなピッチングをしてもらって、もちろん打線も援護していきますし、また全員で勝ちを取りにいきます。 ▼阪神の5連勝は今季初。矢野監督就任の19年以降の最長は6連勝で、19年9月21日広島戦~30日中日戦、20年10月24日巨人戦~31日DeNA戦(1分け含む)の2度。

◆広島が首位阪神に完敗し、今季初の3連敗を喫した。相手の継投を前に今季最少4安打で、天敵秋山には昨季から1度も勝てず6連敗となった。 佐々岡真司監督は「相手は初球から積極的に打ってきた中で、うちはそこがなかなかできていない」と嘆いた。貧打解消ならず、31イニング連続で無得点。15年9月23~25日以来6年ぶりの3試合連続ゼロ封負けで、貯金がなくなった。 ▽広島床田(先発で2被弾を食らうなど4回7安打4失点で今季初黒星)「立ち上がりがよくなかったのと、抑えないといけない場面で抑えきれなかった」

◆待ちに待った今季1号が勝利をたぐり寄せた。 阪神大山悠輔内野手(26)は初回2死一塁、広島床田の137キロ低めのツーシームをすくい上げた。体を沈め、最後は左手一本で捉える技術の詰まった先制2ランが左翼席に飛び込んだ。「しっかりうまく打つことができた。結果的に勝利打点、決勝打になっているのですごくいいことだなと思います」。今年初めてゆっくりとダイヤモンドを1周。ベンチ前で満面の笑みを見せた。 プロ5年目で最も遅い1号となった。これまでは19年の48打席目だったが、それを上回る68打席目。セ・リーグの開幕4番で最も打席を要した。昨季チーム最多28発を誇った主砲になかなか1本が出ず、矢野監督も連日、直接指導した。「手の意識がどうしても強いから」と踏み込んだ下半身に上半身を連動させてバットのヘッドを利かせるよう助言してきた。ようやく結果が出て、自分のことのように喜んだ。「モヤモヤしている中でやっと1本出た。本当にうれしそうにベースを回っている姿が印象的でしたし、これで乗っていってくれると思います」。 ルーキー佐藤輝も4回に2ランを放ち、左右の長距離砲が初めてそろい踏みした。昨秋のドラフト時に矢野監督は「右と左のチーム内での本塁打争いが楽しみやし、タイガースファンも楽しみにしてくれる部分。それが一番見てみたい」と語っていた。夢を膨らます「OSアベックアーチ」が初めて甲子園で生まれた。大山が打点を挙げた試合は、昨年から引き分けを挟んで17連勝、加えて今季チームは先制すれば13戦全勝。ともに不敗神話も継続した。今季から主将を務める大山は、お立ち台で「チーム」という言葉を繰り返した。「4番で主将」のバットがこの先も連勝街道に欠かせない。【林亮佑】 ▼大山が今季68打席目で初本塁打。過去のシーズン1号までの所要打席数は 17年 9打席目(7月1日ヤクルト戦) 18年 2打席目(3月30日巨人戦) 19年 48打席目(4月11日DeNA戦) 20年 16打席目(7月4日広島戦) プロ5年目で最遅となった。

◆鯉キラーの本領発揮だ。阪神秋山拓巳投手(29)が7回3安打無失点で今季2勝目を手にした。「際どいところがボールというのが多かったんで、精神的に苦しいところはありましたけど、粘ることができたんで、ひとまず良かったです」。得点圏に走者は背負ったが、広島の4番鈴木誠を直球で差し込み3打数無安打と仕事をさせなかった。 初回、堂林に右前打と盗塁を許して1死二塁。西川を中飛に打ち取ると、鈴木誠をフルカウントから外の直球で見逃し三振。27球を要したが、持ち前の丁寧な制球で切り抜けた。5回は連続四球から無死一、二塁のピンチも、代打安部を外低めの直球で見逃し三振、後続を内野ゴロに打ち取った。「自作自演なピンチばっかりだったんで、本当にずっと必死でした」。110球で粘投する中、要所で外角へ決まる直球が光った。 1日広島戦では、5回まで完全投球を見せ7回2失点で勝利。昨季4勝0敗の好相性を今年も継続中だ。大山、佐藤輝の2ラン2本の援護も受け、先発陣のクオリティースタート(6回以上、自責3以内)継続を12戦に伸ばした。矢野監督も「先発陣は本当によく頑張ってくれているんでね。最高でした」と絶賛の白星だ。「チームの顔にやっと1本出たんで。負けるわけにはいかなかったですし、またこれで大山自身もチームも乗っていくと思う。また次に向けて、僕はしっかり調整していくだけかなと」。チームも秋山もさらに勢いを増した。【磯綾乃】 ▼阪神の2試合連続完封勝ちは今季初。19年9月22日DeNA戦、24日巨人戦、28日DeNA戦の3試合連続以来、2年ぶり。球団最長は3試合で、19年を含め9度ある。

◆100万円もゲットだぞ~ん。阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が初の2戦連発となる5号2ランをバックスクリーンへ運んだ。2-0の4回に広島床田から131メートル弾。今季甲子園で本塁打を打った阪神選手にDAZNが賞金100万円を贈る「バックスクリーン賞」の1号となった。2戦連続マルチ、5戦連続安打と調子は上向きで、チームも今季初の5連勝で首位キープだぞ~ん。佐藤輝がまた打った。4回無死一塁。広島の先発床田の3球目140キロを捉えると、きれいな放物線を描き、バックスクリーンへ着弾した。口を真一文にしてダイヤモンドを1周。ナインに迎えられ、ようやく笑顔になった。初の2戦連発となる5号2ラン。前回3三振と苦戦した左腕を打ち砕き、貴重な追加点を挙げた。ベンチ前での「Zポーズ」も板についてきた。 「若干詰まってはいましたけど、いくだろうなと。速い系の球をしっかりセンター方向に打てた。しかも左ピッチャーということで、すごい良かったです」 本塁打の打球速度は173キロ、飛距離131メートル。前日14日に森下から放った2ランの168キロ、125メートルを上回った。それでも「詰まった」というから末恐ろしい。阪神新人が4月までに5本塁打は2リーグ分立後最多で「ホームランにはこだわっていきたいのでうれしい」とかみしめた。 思わぬオマケもついてきた。バックスクリーン弾でDAZNから賞金100万円をゲット。使い道は「これから決めます!」と笑った。連日、打撃指導を受ける井上ヘッドコーチへ恩返しは? と問われ「お世話になった方々に(何かを)配ります」。孝行息子が最高の仕事を果たした。 2回は上空へ高々と打ち上げ、右翼手の鈴木誠が見失って二塁打となる超弾道でこちらも怪力ぶりを発揮した。2戦連続マルチ安打で、甲子園ではともに球場別最高の打率3割6分8厘、2本塁打とし"庭"と化しつつある。「ホームで打ったら盛り上がるので、ホームで打つのが一番うれしい」。本塁打後は丁寧にスタンドへお辞儀。虎党の期待に応え、感謝できるから、ファンの拍手もひときわ大きくなる。 自身の5戦連続安打に息を合わせるようにチームも5連勝。貯金は矢野政権最多の9と勢いは止まらない。指揮官は「テルらしい。あの方向がテルのホームランの基本。夢のあるホームランだったんで、追加点としても大きかったし最高」と手放しでたたえた。怪物ルーキーは「すごくいい雰囲気で来ているので、このまま突っ走りたい」と宣言。このまま首位街道を突っ走る。【中野椋】 ▼佐藤輝がプロ初の2試合連続本塁打。阪神の新人では、高山が16年9月19日巨人戦(甲子園)、22日広島戦(マツダスタジアム)で2試合連発して以来。甲子園に限ると、江越の15年7月22日巨人戦、24日DeNA戦2試合連続以来。なお2日連続の本塁打となると、岡田彰布が80年8月6、7日中日戦(ナゴヤ球場)で2試合連発して以来、41年ぶりとなった。 ▼佐藤輝が2試合連続の5号。阪神の新人で2戦連発は16年高山以来になる。DeNAのルーキー牧が14日に5号を打っているが、2人ともチーム17試合目で記録。セ・リーグ新人のスピード5号を出すと、(1)03年村田(横浜)チーム11試合(2)59年桑田(大洋)同13試合(3)59年江藤(中日)同16試合(4)牧、佐藤輝同17試合。58年長嶋(巨人)の27試合や69年田淵(阪神)の21試合より早く、セ・リーグの新人では4番目のスピードだった。

◆阪神・大山悠輔内野手(26)が開幕から68打席目で待望の今季初ホームランを放った。  0-0の一回2死一塁。フルカウントからの6球目。先発・床田の低めのツーシームにバットが反応。体勢を崩されながらも打球は左翼スタンド最前列に飛び込む先制2ランとなった。  「追い込まれていた中で、うまく打つことができました。ここからチームのために1本でも多く(本塁打を)打てるように頑張ります」  今季から甲子園で阪神の選手が本塁打を打った際に高性能弾道測定器「トラックマン」のデータが大型ビジョンに表示されるが「打球速度161キロ、角度24度、飛距離120メートル」だった。

◆阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が2-0の四回無死一塁からバックスクリーンに、2試合連続となる5号2ランを放った。  「少し詰まりましたが、しっかり振り切ることができたので、入ってくれたと思います。中盤で追加点がほしい場面だったので、最高の形で追加点が取ることができてよかったです」  カウント1-1からの3球目。床田の140キロ直球をフルスイングした打球はバックスクリーンに向かって一直線だった。今季から甲子園でバックスクリーンに本塁打を放った阪神選手に贈られる「DAZN バックスクリーン賞」の適用第1号となり、賞金100万円をゲットした。

◆本塁が遠い...。広島打線がタイムリー欠乏症に陥っている。コイキラーの阪神・秋山の前に7回無得点と沈黙した。  「コース、高さともに丁寧に投げてきている。強引に引っ張りにいかず逆方向につなぐ意識を持って打ちにいってもらいたい」  試合序盤に朝山打撃コーチはナインにハッパをかけたが...。一回1死から堂林が右前打を放ち、西川の打席で二盗に成功したが、西川が中飛、鈴木誠が見逃し三振を喫して無得点に終わった。2点を追う三回1死二塁、4点を追う五回無死一、二塁と好機を作ったが、あと一本がでなかった。  チームは秋山攻略の糸口をつかめない。今季初対戦だった1日のマツダスタジアムは7回で2得点に終わり、初勝利を献上。最後に勝った2019年5月19日の甲子園。完全にカモにされている。  先発・床田は投手戦に持ち込みたかったが、一回2死からマルテに中前打、大山にいきなり左越えに2ランを被弾。四回には先頭のサンズに中前打を浴び、D1位・佐藤輝(近大)に2ランをドカン。4回7安打4失点でKOされた。  試合前に今季2勝0敗、防御率0・89の大瀬良が練習を早退。エースのアクシデントを全員でカバーしたかったが、終わってみれば、3試合連続完封負け。10日の巨人2戦目(マツダ)の五回から31イニング連続無得点となってしまった。(柏村翔)

◆阪神はドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=の2ランなどで広島に快勝。金本監督時代で2位に終わった2017年10月10日のシーズン最終戦(対中日、甲子園)以来となる、今季最多の貯金9とした。  一回、2死一塁で大山悠輔内野手(26)の今季第1号となる2ランで先制。五回には無死一塁で佐藤輝がバックスクリーンへの一発を放ち、4点差に広げた。黄金ルーキーは14日に続き、2試合連続で本塁打を記録した。  先発の秋山拓巳投手(29)は、7回3安打無失点の好投で今季2勝目。チームは2試合連続の完封勝利、そして今季初の5連勝とした。

◆衝撃の打球音が甲子園に響く。天高く舞い上がった白球は、バックスクリーンへと吸い込まれた。阪神のD1位・佐藤輝(近大)がプロ初の2試合連発。そして、今季初の"100万円弾"に、渾身のZポーズを決めた。  「少し詰まりましたが、しっかり振り切ることができたので入ってくれたと思います。中盤で追加点が欲しい場面だったので、最高の形で追加点を取ることができてよかったです」  2-0で迎えた四回無死一塁。左腕・床田の140キロ直球を完璧にとらえた。打球速度173キロ、打球角度24度、飛距離131メートル。14日に続く一発は、中押しの5号2ラン。今年から「DAZN バックスクリーンホームラン賞」として、甲子園でバックスクリーンへ本塁打を放った阪神の選手にはDAZNから賞金100万円が贈られる。その第1号を黄金ルーキーがかっさらった。 その他の写真(2/2枚)  各球団との対戦が一回りし、内角攻めの配球、プロのスピードへの慣れが見える。床田は前回対戦した3月31日(マツダ)に、3打数無安打3三振と封じ込まれた相手。しっかりと修正し結果を残した。この対応力も規格外のルーキーと呼ばれる理由だ。  この日の主役はドラ1だけではない。4番・大山に待望の一発だ。一回2死一塁、フルカウントから低めの137キロツーシームに体勢を崩されながら、最後は左手一本で左翼席へ運んだ。  「追い込まれていた中でうまく打つことができました。ここからチームのために1本でも多く打てるように頑張ります」  開幕から17試合目、68打席目で待望の今季初アーチ。これでチームは先制すれば13連勝。大山が打点を挙げれば昨年10月16日のヤクルト戦(甲子園)から引き分けを挟んで17連勝と、2つの不敗神話を継続させた。  ドラ1の覚醒に、4番も本領発揮。初の"OSアベック弾"で今季初の5連勝。猛虎打線がまた強くなった。(原田 遼太郎)

◆阪神は大山&佐藤輝の初のアベック弾で5連勝。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。  ■うれしそうにベース一周  (テレビインタビュー)  --4番に待望の一発が出た  「そうですね。ユウスケ(大山)自身もね、モヤモヤしている中でやっと一本出たんでね。うれしそうにベースを回っている姿も印象的でした」  --打った瞬間、監督はどのように  「ホームランになるとはね、思わなかったので、びっくりしましたけど、いい泳ぎ方っていうかね。できたんじゃないですかね」  ■輝弾の基本  --佐藤輝は連夜のホームラン。きょうはバックスクリーン  「テルらしい。あの方向っていうのは、テルのホームランの基本の方向だと思いますし、飛距離もね。本当にテルらしく、夢のあるホームランだったんで。追加点としても大きかったですし、最高でした」  --左腕の床田が先発のなか、新人の中野がスタメン  「状態もいいですし、左を苦にするような感じにはうつっていないので。持ち味は出してくれたんじゃないですかね」  ■秋山の粘りが本塁打に  --秋山は?  「初回にピンチを作りながらも、球数を使いながらゼロで帰ってきてくれたっていうのが、ユウスケのホームランにもつながってますし。アキの粘り、七回までいってくれたのが非常に大きいですし。先発陣は本当に頑張ってくれているんでね。最高でした」。  --16日は藤浪  「この前は晋太郎も勝ちが付いたんでね。もう1個勝つようなピッチングをしてもらって、打線も援護していきますし、また全員で勝ちを取りに行きます。  (囲み)  --秋山は粘った   「初回は球数が増えたから、どこまでかなというところもあった中で、リズムを作ってくれたのは一番大きいかな」  ■芯でしか打てない打者じゃない  --佐藤輝は詰まったと  「ああそうなんや。詰まるっていうのも、いい詰まり方じゃないと打球は上がらんしね。もっと詰まったり、角度付かなくなってくると思うんで。先でもホームランを打てるし、芯だけでしかホームランを打てないようなバッターではないんで」  (さらに続けて)  「そういう技術とかを身につけていければホームランを打つ確率は上がってくると思うし。今日もね、ホームランだけじゃなくて、もう1本出るっていうところでは率も上がってくると思うし、勝負強いバッターになれると思うんで。幅の広いポイントを作っていくっていうのは大事になってくると思います」  --すぐに修正できる能力  「そのへんは分からん。俺らが言うたからってすぐできるもんではないし。偶然の部分はあるし。情報があればあるだけ悩むっていうこともあるんで。本人が消化していかなくちゃだめかなと思うけど」  ■伊藤将はブルペンが勉強の場  --伊藤将は展開によって登板していた  「先発をずっとやっているとチームがどう動いているかあまりわからない。2試合、中(中継ぎ)に入っただけで、みんなこんな動きをしているとか、俺らを勝たそうと思っている時にこうやって勝たしてくれてるんやというのが中継ぎに入ったら勉強できる。晋太郎も去年、まさにそうやったと思う。2試合だけでも中に入る意味は投げなくてもあるんじゃないかというところで入れた。そういう意図です」

◆阪神の4番・大山にようやく一発が出て、先発・秋山は相変わらずの安定感のある投球。ヒーローは文句なしにこの2人だと思う。  とはいえ、バックスクリーンに打ち込んだ佐藤輝の打撃には驚かされた。バットが体に巻き付くようなスイングができ始めている。グリップが常に体の近くで、フォロースルーでも背中のほうまで来ていた。大振りではなく、フルスイングになっている。打球が飛ぶはずだ。  以前、テレビで「将来性は松井秀喜より上」と表現したが、この試合を見ても鈴木誠也より上なのは確かだろう。  ただ、そろそろ明らかなボール球を、意識して見極めてほしい。三振数を気にする必要はないけれど、多いより少ない方がいいに決まっている。思い切り振っていって、その中でボール球なら待つこと。王貞治さんは本塁打王に15度輝くと同時に、16年連続100個以上の四球を選んでいる。だから13度も打率3割以上をマークした。いかに選球眼が大事かを分かってほしい。  ほんの2週間前の評論で、佐藤輝が三振を量産した時期に「今はやりたいようにやれ」と助言したが、アッという間に厳しく注文をつける段階まで成長してきた。それだけのポテンシャルの持ち主ということだ。(本紙専属評論家)

◆プロ初の2試合連続本塁打をバックスクリーンに運び、勝利に貢献した阪神のD1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=の試合後のトークは以下の通り。  ■左腕から打った  (テレビインタビュー)  --2試合連発  「また昨日(14日)と同じでランナーがいる場面で打てたので、良かったです」  --14日は変化球を打った。今日は?  「速い系の球をしっかりセンター方向に打てたので、しかも左ピッチャーということで、すごい良かったです」  --甲子園で2安打。打率も上がってきた  「ちょっとずつ上がってきていると思うので、しっかりチームも波に乗っているので崩さないように、しっかりとやっていきたいと思います」  --新人の中野と2人で打線を引っ張っている  「どんどんルーキーがチームを盛り上げていけるように、しっかりとやっていきたいと思います」  ■本拠地弾は格別  --甲子園の打席の感じ、球場の雰囲気は?  「やっぱりあのホームで必死で打ったら盛り上がるので、これからホームで打つのが一番うれしいですね」  --ヤクルト3連戦に向けて  「しっかりチームも連勝が続いているので、連勝できるように、やっていきたいと思います」  (記者に対し)  --床田には前回やられていたが  「自分のバッティングフォームを見つめ直して、今日は1本出たので良かったと思います」  ■詰まっていたが  --詰まりながら、と表現していたが、確信はあったか  「でも、若干詰まってはいましたけど、いくだろうなとは思いました」 --バックスクリーンに突き刺した  「そうですね、基本に忠実にセンター返しができたので良かったです」  --100万円の使い道などは?  「うーん...まあ、これから決めます」  --井上ヘッドに恩返し?  「そうですね、お世話になった方々に(何かを)配ります」  --好調を維持している。打席に向かう心構えや余裕は出ているか?  「でも、いつも通り自分のバッティングフォームと、相手の球種とかを考えながら。そこは特に変わることなく、自分のペースでいっています」 その他の写真(2/2枚)  ■球団新人記録  --4月新人5本は球団史上初。得意とする本塁打で1番になった  「そうですね、やっぱり、ホームランにはこだわっていきたいので、うれしいです」  --打った本塁打は全て勝利につながっている  「やっぱりホームランを打ってチームが勝つというのが一番いい形だと思うので、すごい良い感じできていると思います」  --5連勝。チームの雰囲気もいい  「いやもう、すごくいい雰囲気で来ているので、しっかりこのまま突っ走りたいと思います」  --大山も初本塁打。大山はどういう存在か  「うーん...チームの4番なんで、そこはみんなもう信頼していると思いますし、今日みたいにこの先も打ってくれるんじゃないかなと思います」  --大山と佐藤輝が本塁打を量産すれば、勝利に近づく  「そうですね、まあ僕だったり、大山さんだったり、他にもホームランを打てるバッターがたくさんいるので、しっかり打って勝っていきたいですね」

◆阪神の秋山が7回を3安打無失点と好投し、一発攻勢を呼び込んだ。試合前まで計13回で2四球と、抜群の制球力を誇る右腕投手が3四球。細かな制球に苦しみながらの2勝目に「粘ることができて良かった」と安堵感を漂わせた。  七回2死一塁で代打羽月を見逃し三振に仕留めて拳を握るなど、要所では気迫を前面に出した。開幕から先発陣がそろって力を発揮し、2軍ではチェンなども控える。「みんな、ふがいない投球ができない気持ちを持っている」と刺激を受けていた。

◆広島は床田が阪神の本塁打攻勢に沈んだ。一回に大山、四回には佐藤輝に2ランを浴び、4回4失点で今季初黒星を喫した。「立ち上がりの入りが良くなかったのと、抑えないといけない場面で抑えきれなかった」と悔しがった。  四回まで毎回の7安打を許す苦しい内容。「二回以降、それなりには修正できたけど、それなり止まりだった。マウンドですぐ修正できるようにしたい」と立て直しを期した。

◆広島・菊池涼介内野手(31)が4打数無安打に終わり、開幕からの連続試合安打が「16」で止まった。  阪神・秋山の前に一回は空振り三振。三回1死二塁、五回1死一、二塁では2打席連続で遊ゴロに倒れる。八回は代わったばかりの岩崎の変化球をバットに当てたが投ゴロとなり、最後まで快音を響かせることはできなかった。  開幕からの連続試合安打の球団記録は2004年の前田智徳「19」、プロ野球記録は1997年の阪神・和田豊の「24」だったが、惜しくも及ばなかった。

◆入ってくれ!! と念じながら一塁に向かって全力疾走した。阪神・大山がプロ入り後、最も遅い17試合&68打席目で待望の1号だ。主将就任後、初アーチはチームを勝利に呼び込む先制2ラン。ベンチに帰ると、ナインから祝福の嵐。あまり感情を表に出さない男が、顔をくしゃくしゃにして喜びを爆発させた。  「本当に入ってくれてよかった。これが結果的に勝利打点、決勝打になっているので、すごくいいことだなと(思う)」  一回2死一塁。フルカウントから床田のツーシームに体を崩されながら最後は左手一本。白球を左翼席最前列に運んだ。  「自分は思っていなくても、周りのみなさんがホームランが(ゼロ)と。焦りがなかったって言ったらウソになると思う」。これまで適時打だけでは喜べなかった心中を素直に明かした。  試合前練習中だ。打撃ケージの裏で素振りをしていると、矢野監督から呼び止められた。この日は下半身の動きやスイング時のバットの軌道などを身ぶり手ぶりで指導された。「最近、いろいろアドバイスをもらっています」。感謝の一発だ。  指揮官は「悠輔(大山)自身、ちょっとモヤモヤしている中で、やっと一本出たんでね。うれしそうにベースを回っている姿は印象的だったね。これで乗っていってくれると思います」とわがことのように喜んだ。  規格外の新人の活躍が発奮材料になっている。四回、D1位・佐藤輝(近大)の一発に大山はベンチで手をたたいて喜んだ。誰もが首を長くして待ちわびた初のOSアベック弾だ。  「チームが勝つために一人一人、いろんな仕事がある。新人だからではなくて、試合に出る以上はタイガースの代表なので思い切ってやってほしい。その中で、自分が、助けられることがあれば助けたい」  今季最多の5連勝&貯金9。大山が打点を挙げた試合は昨季から1分けを挟んで17連勝だ。昨季28発を放った主将は「また明日、ゼロから始まる。しっかり仕事ができるように反省して、明日に臨みたい」と力を込めた。もう心配はいりません。これからはOS砲が打線を引っ張っていく-と言わんばかりだった。(三木建次)

◆バックスリーンに白球が吸い込まれた瞬間、どこかでチャリン♪ という音が鳴った気がした。打球速度173キロ、飛距離131メートル。ドラフト1位・佐藤輝(近大)が5号2ランを放ち「DAZN バックスクリーンホームラン賞」の賞金100万円を、虎で今季初めてゲットした。  「うーん...まあ、(使い道は)これから決めます」  勝利の余韻が冷めやらぬ試合終了直後だけに22歳は考え込んだが、うれしいビッグな臨時収入には違いない。家族への恩返しをするのか。プロ野球選手としてシーズンを戦い抜くために、高級マッサージ機を購入するような自己投資でもいい。  日頃から打撃指導してくれる井上ヘッドコーチへの恩返しも? 報道陣からそう問われ「そうですね、お世話になった方々に(何かを)配ります」と背番号8。自らのバットで稼いだ100万円を有効に使い、虎党だけでなく、恩人たちも笑顔にする。  昨季も7月の広島戦でサンズがバックスクリーン弾を放って100万円を手にした。これまでもタテジマ戦士のモチベーションに貢献し、勝利を呼び込んだ同賞は今季からDAZNにスポンサーが変更された。  「しっかり基本に忠実にセンター返しができたので良かったです」  "100万円弾"で自信を深めた佐藤輝なら何百万円、いや何千万円だって荒稼ぎしてしまいそうだ。(新里公章)

◆昭和はON! 令和はOS! 阪神は広島に4-0で快勝した。ドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=がバックスクリーンへ、初の2試合連発となる5号2ラン。一回に1号をマークした大山悠輔内野手(26)との初のアベック弾を完成させた。OS砲のそろい踏みで今季初の5連勝。無敵の打線となってきた!  新時代の幕開けだ。佐藤輝が放った打球は、天高く舞い上がり、長い滞空時間を経てバックスクリーンへ吸い込まれた。覚醒の2試合連発弾-。甲子園にとどろかせた"OS"の快音が、伝説の始まりを告げた。  「速い系の球をしっかりセンター方向に打てたので、しかも(相手が)左投手ということで、すごくよかったです」  一回、4番・大山の今季1号2ランで先制し、迎えた四回無死一塁。今度はドラ1が球場を沸かせる。前回の対戦(3月31日、マツダ)ではバットをへし折られ、3打数無安打3三振と封じ込まれた左腕・床田の140キロ直球を振り切った。「自分のバッティングフォームを見つめ直して、一本出たのでよかった」。14日に続く一発は中押しの5号2ラン。雪辱を果たすとカメラに向かって渾身のZポーズだ。  「大山さんはチームの4番なので、みんなも信頼していると思いますし、きょうみたいに、この先も打ってくれるんじゃないかと思います」  初となった大山とのアベック弾。虎を引っ張る右の大砲との初共演に昭和のレジェンドの姿が重なった。長嶋茂雄と王貞治-。言わずと知れた球界を代表する右と左のスラッガーだ。昭和のプロ野球界の頂点に立ったのがON砲なら、令和の新時代は、虎のOS砲が伝説を作る。  その1ページ目を刻んだタテジマの大砲コンビ。佐藤輝にとって、4学年上の大山は入団当初から意識している先輩でもある。昨年10月、ドラフト会議で指名されたときから話を聞きたい選手として真っ先に大山の名前を挙げた。春季キャンプの1カ月間では打撃論はもちろん、報道陣への受け答えなど、さまざまなことを語り合った。  前を行く主将の背中はお手本となり、目指す道しるべとなる。くしくも、あす17日は1985年にバース、掛布雅之、岡田彰布が甲子園でバックスクリーン3連発を放った伝説の日でもある。猛虎のレジェンドにもONにも負けない。佐藤輝と大山が令和の球史に名を残す。  OS砲のアベック弾でチームは今季初の5連勝。4カード連続で勝ち越した。連夜のホームランを放ったルーキーを矢野監督は「テル(佐藤)らしく、夢のあるホームランだったんで、追加点としても大きかったし、最高でした」と絶賛した。ドラ1の覚醒に、本領発揮の4番とまた強くなった猛虎打線。快進撃の中心に頼もしい2人のスラッガーがいる。  「僕だったり、大山さんだったり、ホームランを打てる人がたくさんいる。しっかり打って勝っていきたいですね」  昭和のONから令和のOSへ-。世代を超えて語り継がれるアベック伝説。その新章が始まった。(原田遼太郎)  ■アベック砲あらかると  ★ON砲 1959-74年まで巨人で活躍した王貞治、長嶋茂雄の2人のこと。ONアベック本塁打は通算106回あり、チームは87勝16敗3分け、勝率・845。2者連続アベック本塁打は29回。2000年には王はダイエー、長嶋は巨人の監督としてON対決し、長嶋が日本一。  ★AK砲 86年から93年にかけて西武に在籍した3番・秋山幸二と4番・清原和博の2人のこと。8年間でのAKアベック本塁打は通算62回あり、チームは52勝8敗2分け、勝率・867だった。この8シーズンでリーグ優勝7回、日本一を6回達成した。

◆ガオーッ!! 『先制の虎』や!! 先に得点を奪ったら13試合全勝やー!!  一回2死からついに4番・大山に、待望の1号ホームランが飛び出して、わが阪神が本日も先制点...。おっと? どうしたんでしょうか、審判団が集まって、何か協議をしていますね...。おっ、球審の杉永さんが今、ホームプレートの後方に立ちましたよ?  「ゲーム!! 阪神が先制したから特別コールドゲームで阪神の勝ち~」というのは、俺の妄想だけど...。ま、そのくらい今の虎は強いし、それでもいいんじゃないの~!?  あ、やっぱダメダメ!! それだと、四回、バックスクリーンにほうり込んだ佐藤輝の甲子園2試合連続の5号アーチも、D6位のガムシャラルーキー、中野の二塁打も、三塁打も、秋山の7回無失点のマウンドも、見られなかったのでコールドは取り消しー!!  とにかく、2021年度版の虎は強し!! 前回のカードでやられた森下、床田をきっちりとマウンドに沈める、いい意味のいやらしさまで加わっている矢野野球は恐るべしなのだ!! 全国のプロ野球ファンの皆さ~ん、東京五輪前に阪神の優勝が決まっちゃっても、許してちょ~だい!!

◆トラ番がぜいたくなことを言い始めました。  「勝っても、興奮せえへんねん」  ビヤ樽編集委員・三木建次です。  「阪神が強い。けど、なんか、普通に勝ってる。優勝した2003年と2005年は劇的な勝ち方があった。逆転したり、とんでもないヒーローが出たり。今は先発が抑えて、先制して、リリーフもしっかり投げて、『あ、勝つだろうな』という展開でそのまま勝っている」  試合前時点で12勝4敗の3勝1敗ペース。その勝った12試合すべてで阪神は先制しています。  「野村克也さんが言うてたやん。『負けに不思議の負けなし、勝ちに不思議の勝ちあり』と。『不思議の勝ち』が今の阪神はないんや」  いいじゃないか。強い証拠だ。  「けど、たとえば、ここまでのMVPを選ぶとしたら誰にする?」  サンズやろ。それか糸原。  「サンズは数字が落ちてきた。糸原はよく打ってるけどチャンスメーカーで、MVPと言うまでにはちょっと」  じゃ、3勝を挙げているガンケルか。  「いや、先発は他の5人もみんな調子がいい」  こっちも一緒になってぜいたくな会話を続けていたら、三木の隣にいたサブキャップ・新里公章が「梅野捕手でしょ」と推奨してきました。  全試合に先発マスクをかぶって好調の投手陣を支え、試合前時点で打率・278。14打席あった得点圏では打率・636(11打数7安打)と7番打者としても勝負強さを発揮しています。  「これに『不思議の勝ち』が加わったらどうなるんやろ」  投手担当の菊地峻太朗も「安心して見ていられますもんね。僕は伊藤将投手の中継ぎ登板が楽しみです。1試合雨で流れたので今はベンチに入ってるんです。どんなピッチングをするのかな」と話しながら、うなずいています。  打者担当の原田遼太郎は、気の早い話を始めました。  「僕が楽しみにしているのはオールスターです。佐藤輝選手が選ばれたら、手を挙げます。取材にいきたいです。ホームラン競争を見たい。誰にも負けないくらいポンポン打ちますよ」  球宴は7月16日(メットライフ)と17日(楽天生命パーク)。まだ3カ月も先の話です。などと、みんなで勝つこと前提でやいのやいの言っていたら、また三木が割り込んできました。  「さっき言い忘れたけど、俺、きょうは大山がホームランを打つ気がする」  ビヤ樽は、横浜での佐藤輝の場外弾(9日)を試合前に「場外ホームランを打ちそうな気がする」と予言して以来調子に乗っています。大丈夫か。開幕から67打席一発なしだぞ。と言っていたら。  「ほら、ほら、ほら~!! 打撃練習がいい感じやったんや」  はい。出ました。一回に先制2ラン。誰やねん「興奮する勝ち方がない」とボヤいていたのは。一番興奮しとるじゃないか。すると今度は原田が割り込んできたんです。  「(佐藤輝は)相手の攻め方に慣れてきた感じがします。インハイのボールを振らなくなりました。床田投手には前回(3月31日)はバットを3回折られて3三振でしたけど、きょうは打ちそうな気がしてます。楽しみです」  四回にバックスクリーンに5号2ランをぶつけました。阪神が好調なもんだから、ウチの会社、ノストラダムスだらけになってきています。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
1340 0.765
(↑0.015)
-
(-)
12675
(+4)
35
(-)
16
(+2)
16
(+2)
0.255
(↑0.002
2.110
(↑0.14)
2
(-)
巨人
963 0.600
(↑0.029)
3
(-)
12561
(+5)
49
(+1)
14
(+1)
14
(+2)
0.219
(↑0.004)
2.540
(↑0.09)
3
(-)
ヤクルト
863 0.571
(↑0.033)
3.5
(-)
12667
(+2)
63
(+1)
16
(+2)
13
(-)
0.253
(↓0.004)
3.520
(↑0.16)
4
(-)
広島
881 0.500
(↓0.033)
4.5
(↓1)
12647
(-)
57
(+4)
15
(-)
8
(+1)
0.245
(↓0.006)
3.040
(↓0.08)
5
(-)
中日
593 0.357
(↓0.028)
6.5
(↓1)
12639
(+1)
54
(+5)
3
(-)
10
(-)
0.215
(↑0.002)
2.740
(↓0.16)
6
(-)
DeNA
3132 0.188
(↓0.012)
9.5
(↓1)
12559
(+1)
90
(+2)
11
(-)
4
(-)
0.245
(↑0.001)
4.850
(↑0.14)