阪神(☆6対0★)広島 =リーグ戦4回戦(2021.04.14)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:西 勇輝(2勝1敗0S)
敗戦投手:森下 暢仁(2勝1敗0S)

本塁打
【阪神】佐藤 輝明(4号・4回裏2ラン),マルティネス(2号・5回裏2ラン)

  DAZN
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◆阪神が完勝。阪神は2回裏、2死一二塁から中野の適時打で1点を先制する。その後は4回に佐藤輝の2ラン、5回にはマルテの2ランが飛び出し、試合を優位に進めた。投げては、先発・西勇が8回4安打無失点の快投で今季2勝目。敗れた広島は、投打ともに振るわなかった。

◆阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、試合前のフリー打撃で柵越えを連発した。47スイング中15スイングでスタンドイン。4連発も飛び出すなど、センター方向中心に快音を残した。 ここまでは56打数11安打で1割9分6厘。最近3試合ではいずれも安打が出ており、練習中にも井上ヘッドコーチから指導を受けるなど、試行錯誤しながら状態を上げている。今季は3本塁打しているが、まだ甲子園では出ておらず聖地1号の期待がかかる。

◆首位攻防戦のスタメンが発表された。阪神では「6番右翼」で先発するドラフト1位佐藤輝明内野手(22)の甲子園初アーチに期待がかかる。 2・5ゲーム差で虎を追う広島の先発は昨季阪神戦5戦登板で4勝0敗、防御率1・85の森下暢仁(まさと)投手(23)。今季初対戦した3月30日のマツダスタジアムでも6回無失点で白星を手にしている。 虎打線は天敵に首位快走の勢いをぶつけられるか。

◆阪神ドラフト6位中野拓夢内野手(24)が天敵の森下を攻略した。 2回2死から佐藤輝が四球、梅野の遊ゴロが失策となり、一、二塁で打席が回った。カーブ、直球とボール球を見逃すと、真ん中高めへの甘いストレートを力強く振り抜いた。打球は右前で弾み、二塁走者の佐藤輝が生還した。「打者有利のカウントだったので思い切って打ちにいきました。いい投手から打つことができてよかったです」とコメントした。 チームは昨年から森下を苦手としている。5試合対戦し、4敗とすべて黒星。防御率も1・85と抑え込まれ、3月30日にも6回を1安打無失点。苦手な相手から中野の一打で先制点をもぎ取った。

◆Zポーズが出た! 阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)に甲子園1号が飛び出した。1点リードの4回無死一塁。森下の113キロカーブを捉えると打球はライトスタンドへ一直線。2ランで追加点を奪った。「いいピッチャーですし、前の対戦でやられているので、今日はなんとかやり返したいと思っていました。ランナーのいる場面でホームランを打つことができて良かったですし、先制タイムリーを打った中野さんに続くことができて良かったです」。森下に対しては、前回3月30日に2三振を喫しており、リベンジの1発となった。 この日、佐藤輝が大ファンと公言する「ももいろクローバーZ」の高城れに(27)が日刊スポーツを通じて「応援しテル~」と激励の動画を送っていた。「推しメン」のエールにさっそく応え、今季4号を地元甲子園で放った。 ▼佐藤輝が4号。阪神の新人が4月までに4本塁打は、69年田淵幸一3本塁打、19年近本光司4本塁打に次ぎ2リーグ分立後3人目。 ▼佐藤輝は甲子園で初本塁打。甲子園でのチーム4試合目での本塁打は、56年大津淳2試合目(3月21日広島戦)、69年田淵(4月13日大洋戦)19年近本(4月11日DeNA戦)の各3試合目に次ぎ、4番目の速さ。

◆阪神藤川球児スペシャルアシスタント(SA=特別補佐、40)が始球式を行った。東京五輪開幕まであと100日となったこの日は「結束! 侍ジャパンナイター」として、プロ野球の6球場で五輪出場経験者による始球式を開催。藤川氏は現役時代の登場曲、リンドバーグの「every little thing every precious thing」が流れると、背番号28の日本代表ユニホーム姿で登場。昨年までのチームメート、捕手の梅野に笑顔で合図すると、外角高めへコントロール良く投げた。かつての守護神がマウンドに立つ姿に、ファンからは大きな拍手が送られた。 始球式後には宮本慎也氏(50=日刊スポーツ評論家)ら、6球場の始球式参加者をつないだオンライン会談に参加した。「今の試合のほうが気になっていますけど」と、阪神の戦いぶりが気になる様子。始球式の点数を問われると「100点」と答え「肩痛かったですね。せっかく辞めたのにと思いました」と冗談交じりに笑わせた。藤川氏は06年WBC、08年北京五輪、09年WBCに日本代表として出場。WBCではどちらも世界一に輝き、当時の数々の思い出も語った。 オンライン会談の模様は後日、侍ジャパン公式YouTube「侍ジャパンチャンネル」で配信される。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(29)が、広島森下から2号2ランを放った。 3点をリードした5回無死一塁、森下の高めに入った131キロカットボールを完璧に捉えた。本塁打を確信したマルテはバットを投げてゆっくりダイヤモンドを回り、ベンチ前でお決まりの「ラパンパラポーズ」を披露した。「いい投手から打つことができてうれしいし、久しぶりのホームランを甲子園で打ててよかったよ。ラパンパラポーズも甲子園でお披露目できてよかったね」。4回の佐藤輝に続き、広島森下からこの日2本目のアーチ。球場ビジョンに表示された打球速度は173キロ。168キロだった"佐藤輝超え"の本塁打となった。 広島森下から阪神打線が1試合で複数の本塁打を放ったのは初めて。森下から5回までに奪った5得点も最多となった。前回3月30日(マツダスタジアム)に6回1安打無失点と抑え込まれた右腕を、本拠地で攻略した。

◆阪神西勇輝投手(30)が、8回4安打無失点と好投し2勝目を挙げた。 先制に成功した直後の3回、2死二塁と得点圏に走者を背負うも、菊池涼を7球目の内角直球で捕邪飛。ピンチを切り抜けると笑顔で手をたたいた。その後も走者を背負いながら要所を抑え、三塁には進ませず。広島森下が5回で降板した一方、安定感ある投球で8回まで投げ抜いた。 前回、広島森下と投げ合った3月30日(マツダスタジアム)では、7回1失点と好投しながらも味方が完封され敗戦。この日は6点の援護も得て、広島打線を抑え込んだ。

◆首位阪神が6得点快勝。中野が先制打、佐藤輝が4号含む3打点とルーキーが躍動。先発西勇も8回無失点で2勝目。広島は先発の森下が誤算だった。

◆甲子園初アーチに、れにちゃんも喜んでる? 阪神佐藤輝明内野手(22)が大ファンだと公言する、女性アイドルグループ「ももいろクローバーZ」(ももクロ)の高城れに(27)が14日、自身のインスタグラムのストーリーを更新。「阪神タイガース 18:00~試合 応援しテルー」と、虎などの絵文字とともに投稿した。名前の「テル」をかけたキュートなエールに佐藤輝も発奮? 4回に広島森下から甲子園初本塁打となる4号を放ち、7回はケムナから6点目の適時打を放った。 高城は日刊スポーツを通じて佐藤輝へ激励の動画を寄せ、「輝、がんばっテル~!」「輝! これからも応援しテル~!」などとエールを送っていた。熱い言葉が届いたのかも? 虎党も、れにちゃんも沸かせるアーチとなった。

◆阪神は2回、8番中野の右前適時打で1点を先制した。先発西勇は3回を2安打無失点と上々の立ち上がり。 阪神が4回に佐藤輝の甲子園初本塁打となる右翼越え4号2ランで追加点。5回にはマルテの2号2ランも飛び出した。 阪神西勇が8回無失点の好投で2勝目。チームは貯金8。2位広島に3・5ゲーム差とした。広島森下は5回5失点で今季初黒星。

◆首位阪神が天敵打ちで4連勝を飾った。貯金8は矢野燿大監督(52)政権下で最多となった。 相手先発は昨季から5戦4勝と抑え込まれ、試合前時点で今季防御率0・00だった広島森下暢仁(まさと)投手(23)。 まずは2回2死一、二塁からドラフト6位の8番中野拓夢内野手(24)が先制の右前適時打を放ち、重たい扉をこじ開けた。 2点リードの4回無死一塁からはドラフト1位の6番佐藤輝明内野手(22)が甲子園初アーチとなる4号右越え2ラン。 5回には3番ジェフリー・マルテ内野手(29)が左翼中段席まで届く2号2ランをマーク。森下を5回5失点で降板させた。 佐藤輝は7回にも中前適時打を記録。投げては大黒柱の西勇輝投手(30)が8回無失点で今季2勝目を挙げた。

◆甲子園初アーチを放った阪神佐藤輝明内野手(22)と、先制適時打を放った中野拓夢内野手(24)のルーキー2人が、ともに初めて聖地のお立ち台に立った。 中野は2回の第1打席で、広島森下から価値ある先制打。「先に先取点が欲しい中で、なんとしても自分が決めてやろうという強い気持ちを持って打席に入った結果が、いい結果につながったと思います」。同期の佐藤輝の本塁打について聞かれると「もうなんか外国人みたいなホームランだったので、ちょっとうらやましいなと思いながら見てました」と素直な感想で球場を沸かせた。 佐藤輝は本拠地での初アーチに「やっぱり甲子園で打てて一番良かったです。うれしかったです」と笑顔。ルーキー2人でのお立ち台に「若い選手がしっかり頑張って、チームを盛り上げていきたいと思います」と頼もしく話した。

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)に甲子園1号が飛び出した。1点リードの4回無死一塁。森下の113キロカーブを捉えると打球はライトスタンドへ一直線。2ランで追加点を奪った。矢野監督は佐藤輝の甲子園1号をたたえた。「この前の鳩サブレー越えを見てるんで」と横浜で放った場外弾の後だけに驚きはなかったが、「完璧というよりはあれで本塁打が打てるのがテルのいいところ」とパワーと技術を絶賛。「甲子園のみなさんに1本見せれましたし、状況的にもあの2点が大きかった。ムードも一気に盛り上がった」と価値ある一撃を振り返った。3年目を迎えた矢野政権下で貯金8は最多。それでも「シーズンは始まったばかりなのでそこに対する意識はない。目の前のオレらの野球をどうやっていくかの方が大事」と表情を緩めなかった。

◆広島菊池涼介内野手が開幕から16試合連続ヒットを記録した。 初回、先頭で西勇の真ん中変化球を左前に運んだ。打率4割6厘で、依然として首位打者をキープ。開幕からの連続試合安打の球団記録は04年前田智徳の「19」で、あと3とした。97年に阪神和田豊がマークしたプロ野球記録の「24」も視界に捉えた。

◆阪神西勇輝投手(30)が、8回4安打無失点7奪三で今季2勝目を手にした。安定感ある盤石の投球に、矢野監督も「いつも通り勇輝がしっかりとリズムを作ってくれて、勇輝らしく投げてくれたのが、まず勝利の大きな要因かなと思います」と手放しにたたえた。 先制に成功した直後の3回。2死二塁と得点圏に走者を背負うも、菊池涼を7球目の内角直球で捕邪飛に打ち取った。その後も要所を抑えて連打は許さなかった。森下が5回5失点で降板した一方、8回を127球で守り抜いた。13日が天候不良で中止となり、2人はともにスライド登板。プロ2年目の右腕に経験の差を見せつけた形となった。 前回3月30日(マツダスタジアム)でも7回1失点と好投しながら、味方が森下に抑え込まれ黒星を喫した。この日は矢野監督も「間違いなく影響している」と話すテンポのいい投球で打線のリズムも作り、大量点を呼び込んだ。 週頭の火曜日を任された今季は、ここまで3戦全てで7イニング以上を投げ抜いた。リリーフが登板したのは、小林の計2イニングだけ。白星だけではなく、ブルペン陣を休ませる大きな働きも見せている。これで4月1日の秋山から、11戦連続のクオリティースタート(6回以上、自責3以内)を継続。頼もしい先発陣の中心には、経験豊富な右腕がいる。【磯綾乃】

◆首位阪神が天敵打ちで4連勝を飾った。貯金8は矢野燿大監督(52)政権下で最多となった。 以下、矢野監督の一問一答。 -好投手の投げ合いだったが、結果は6-0。試合を振り返って まずはね。いつも通り勇輝(西)がしっかりとリズムを作ってくれて、勇輝らしく投げてくれたっていうのが、まず勝利の大きな要因かなと思います。相手もいいピッチャーなんで、そう簡単にヒットヒットっていうのは難しいなかで、中野のタイムリーがありましたけど、いいところでホームランていうのも出ましたので。ヒットはそんなに多くなかったですけど、効果的に点がとれました。 -西勇のテンポのいい投球が打線に影響した それはもう。影響していることは、間違いないですね。 -中野は勝負強さが光る そうですね。初めて対戦するピッチャーばっかりですけど、速い球でも変化球でも対応力もありますし、きょうもエラーはありましたけど、打つほうの魅力は十分にあるかなと思うのでね。総合的に守るほうもどんどん伸ばしていってくれたら、もっともっと面白くなるかなと思います。 -佐藤輝に甲子園1号 この前の横浜スタジアムの鳩サブレー越えを見てるんでね。ちょっと泳いだ感じのね、完璧というよりはあれで本塁打が打てるのがテルのいいところ。甲子園の皆さんに1本見せられましたし、状況的にもあの2点が大きかった。ムードも一気に盛り上がりましたし、いい本塁打でした。 -佐藤輝も前回やられた相手に悔しさを持って打ち返したと その後のタイムリーにつながった、あの1本に終わらなかったことが僕としてはよかったかなと思います。 -2人は甲子園でいい経験を積んだ ミスやいろんなことが起こりますけど、その中で成長してほしい選手たちなんで。チーム内競争も激しくしてくれてるので、どんどん思いきって超積極的にやっていってくれたらうれしいですね。 -明日は秋山が先発 アキも調子がいいと思うんで、西同様に粘り強くアキらしく堂々と思いきってやってくれたら。

◆れにちゃん、打ったZ! 阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が広島戦の4回に、先発森下のカーブをとらえ、右中間に本拠地初アーチとなる4号2ランを放った。前回対戦の3月30日には、カーブに苦戦し、2打席連続三振。リベンジに成功し、4連勝に貢献。大ファンである女性アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の高城れに(27)が日刊スポーツを通じて激励の動画を送っていた。キュートなエールに、豪快アーチで応えた。甲子園はこんなスラッガーを待っていた。待望のアーチは4回に生まれた。1点リードで無死一塁。広島森下に直球とチェンジアップで追い込まれた後の3球目。真ん中に入った113キロカーブを捉えると、打球は右中間へ一直線。入場制限のスタンドが沸く。主役はゆっくりとダイヤモンドを回った。打球速度168キロ、飛距離125メートルの記念すべき甲子園1号となった。 「たくさんのファンの皆さんの前で打てたので良かったです。(カーブは)狙ってなかったんですけど、甘いところにきたので、いい反応ができました」 本塁に生還すると、笑顔で「Zポーズ」を繰り出した。佐藤輝はモノノフ(ももクロのファン)でライブにも行ったことがある。打席に入る際の登場曲も、ももいろクローバーZの「吼えろ」を使用。ももクロの推しメンである高城れにが、激励の動画を寄せていた。開幕から試合をチェックし、Zポーズ披露を喜んでいた。「輝、応援しテル~!」。キュートなエールに豪快な放物線で応えた。 2度目の対決でリベンジにも成功した。森下には昨年から5戦で4勝を献上し、苦手にしていた。佐藤輝も3月30日の対戦ではカーブに苦しめられ、2打席2三振。「前のは消して、新しい感じで行きました」。気持ちの切り替えは超一流選手になるための重要な要素。相手の武器を攻略したことも今後を考えれば大きい。 早くも今季4号。4月までに新人が4本塁打となると球団では19年近本に次いで2リーグ分立後2人目となった。7回にはダメ押しの中前適時打を放ち、自己最多の1試合3打点。4試合連続安打と打撃は確実に上向きだ。試合前練習ではサンズと打撃の意見交換するなど貪欲に学んでいる。 チームは4連勝で矢野政権最多の貯金8。首位の座をガッチリと守った。中野とともに初めて甲子園でお立ち台に上がり、「チームを勝利に導けるような、いい場面で打てるようなバッターになりたい」と虎党に宣言。頼もしすぎるルーキーが、チームを独走態勢に導く。【林亮佑】◆佐藤輝が4号。阪神の新人が4月までに4本塁打は、19年近本光司4本に次ぎ2リーグ分立後2人目。◆佐藤輝は甲子園で初本塁打。甲子園でのチーム4試合目での本塁打は、56年大津淳2試合目(3月21日広島戦)、69年田淵(4月13日大洋戦)19年近本(4月11日DeNA戦)の各3試合目に次ぎ、4番目の速さ。

◆広島森下暢仁投手(23)が、5回を自己ワーストタイ5失点で今季初黒星を喫した。前日13日が雨天中止で、プロ初のスライド登板で阪神戦に先発。2回に今季初失点を許すと、4回にドラフト1位佐藤輝、5回はマルテと2ランを2本浴びた。阪神には昨年から負けなしの4連勝だったが、小休止。打線も振るわず、チームは2試合連続のゼロ封負けで2位から一気に4位まで転落した。甲子園のマウンドに本来の森下の姿はなかった。2回だ。田中広の失策もあり、2死一、二塁のピンチから、阪神ドラフト6位中野に右前への適時打を浴びて先制点を献上。今季17イニング目にして初失点を許すと、4回には佐藤輝に2ラン、5回にもマルテに2ランを浴び、自己ワーストに並ぶ5失点で降板した。 「甘い球をしっかり打たれました。ストライクとボールがはっきりしている中で、ストライクから相手打線に捉えられてしまった」 持ち前の制球力が乱れた。カーブが打者の手前でバウンドする場面が目立つなど、終始コントロールの精彩を欠いた。「試合の中でしっかり修正できなかった。それは反省です」。前回3月30日の阪神戦で2三振を奪っていた佐藤輝には、4回無死一塁から真ん中付近に甘く入ったカーブを捉えられ、右翼席まで運ばれた。「相手にしっかり打たれました。次は抑えたい」と切り替えた。 阪神戦では昨年から無傷の4連勝を飾っていたが、この日はキラーぶりを発揮できず初黒星が付いた。佐々岡監督は「中に入ってくるボールが多くて、シュート回転していたし、カーブもいつもの軌道ではなかった。コントロール、四球絡みの失点でらしくない投球だった」と頭を悩ませた。 昨季の新人王右腕は侍ジャパンの先発候補に挙げられている。この日は日本代表の建山投手コーチが予定を変更して視察に訪れる中、本来の力を発揮することはできなかった。森下は「2回続けてこういうことがあっては絶対いけない。しっかり反省して次は抑えたいと思います」とリベンジを誓った。チームは連敗で、2位から4位まで転落。東京五輪開幕100日前となった日に、悔しさを残した。【古財稜明】

◆広島が天敵西勇を攻略できず、チームは2試合連続のゼロ封負けを喫した。 阪神の継投の前に4度の得点機を生かせず、散発5安打。佐々岡監督は「毎回同じやられ方をしている。良い投手からなかなか打てない中で、失投でもしない限りこういう形になってしまう」と肩を落とした。河田ヘッドコーチは「なんとかしないといけない。選手は一生懸命やっている。あとはこっちがうまいこと導いてやるのが仕事」と話した。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手が2号を放ち、聖地で「ラパンパラ」を披露した。3点をリードした5回無死一塁。森下の高めに入った131キロカットボールを完璧に捉えた。「本当にあれが自分の売り。今日は結果として出てくれたことが、まずうれしいよ」。阪神打線が森下から1試合複数本塁打を放ったのは、この日が初めて。5得点も最多となった。 本塁打を確信してバットを投げたマルテは、ゆっくりダイヤモンドを1周。ベンチ前では、ナイン全員が息を合わせてお決まりの「ラパンパラポーズ」を披露した。「みんなが盛り上がってもらえたらうれしいし、それを甲子園で出来たという意味では、本当に幸せいっぱいだよ」。球場ビジョンに表示された打球速度は173キロ、飛距離は130メートル。佐藤輝の168キロ、125メートルをともに上回った。「フェンスギリギリでも、130メートルでも、ホームランはホームランだよ」。陽気な助っ人がベンチもファンも盛り上げた。

◆阪神1番近本光司外野手がリーグトップタイの5盗塁目を記録した。 2打席目の3回に二塁手のグラブをはじく中前打で出塁。2番糸原の打席で二塁を陥れた。この盗塁でヤクルト塩見に並んだ。6回2死には西川の打球を猛チャージしてスライディングキャッチ。打率は1割9分4厘と本来の姿ではないが、バットを握らずとも貢献度は高い。

◆相手先発は天敵の広島森下。誰もが1点の重みを理解していただけに、ドラフト6位中野拓夢内野手(24)は一塁ベース上で思わず破顔した。値千金の先制打。興奮のまま、仲間に向けて右拳を突き出した。 2回2死一、二塁、2ボール。「1打席に甘い球は1球来るか来ないか。ここは何としてもストライクを取りに来る」。高め151キロを右前に押し返し、貴重な1点をもぎ取った。 チームは森下に昨季から5度の対戦で4勝0敗を許し、抑え込まれていた。試合前時点で右腕の今季防御率は0・00。それでも臆することはなかった。「なんとしても自分が決めてやろう」。ルーキーならではの勢いでナインに「神話」を思い起こさせ、今季先制ゲーム12連勝に突っ走らせた。 2日前の12日、東北福祉大の5学年先輩にあたる松山英樹が日本人初のマスターズ制覇を達成。同大硬式野球部の米国キャンプ中にメンタルコントロールを教わったという大先輩の快挙に気合を入れ直していた。 「自分も頑張らないといけない。松山選手に続いて、自分が大学の名前を売っていけたら」 3試合連続スタメン出場で打席に立てば5戦連続安打。「積極的に振りにいけているというところが一番の好調の要因かと思います」。有言実行で"東北福祉大魂"を体現している。 この日は日大山形2年夏に全国ベスト4に進出した甲子園で初のお立ち台にも上がった。「新人の中野です。これからしっかりと名前と顔を覚えてもらえるように、もっと頑張りたいと思います」と声を張り上げた。 8回の遊撃守備では失策を喫したが、矢野監督の評価は高い。「速い球でも変化球でも対応力がある。打つ方の魅力は十分にある。守る方をどんどん伸ばしていってくれたら、もっともっと面白くなる」。打率4割7分6厘。レギュラー奪取へ、猛進中だ。【佐井陽介】

◆阪神小林慶祐投手が9回に登板し無失点で締めた。 西勇からバトンを渡されマウンドへ。2死から坂倉に四球、長野に中前打を浴びて一、二塁としたが、最後はメヒアをフォークで空振り三振に仕留めた。今季はここまで5試合に登板して4回2/3を2安打無失点、防御率0・00を継続している。

◆元阪神監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)は広島森下攻略の立役者としてドラフト6位中野拓夢内野手(24=三菱自動車岡崎)を挙げた。2回2死一、二塁の先制機。内寄り高め速球に振り負けず、右前に先制適時打を放っていた。難攻不落の好調右腕にとって今季初失点。真弓氏は「今日、森下を攻略できたのは、あのヒットですよ。阪神打線は、なかなか点を取れていなかった。真っすぐにかなり自信を持ってきていた。その真っすぐを打たれたことで、森下のリズムが崩れた。力みが出てきたからね」と評した。 コンパクトで力強い。遊撃でスタメン出場を重ねる中野の打撃を「真っすぐを打てる打者は構えたところからミートするところまでバットが最短で出ていく。たとえ、バットスイングが速い打者でも遠回りすると真っすぐに弱いよね」と解説した。 中野は3試合連続先発でプレーし、4戦連続安打に伸ばした。今季は21打数10安打、打率4割7分6厘と好調を維持する。「1回でもこういう、いい時期を見せておくことは大事だ。1軍にいられる時期が長くなるし、スタメンのチャンスも多くなる。レギュラーを取っていく者の通る道だね」。この日は佐藤輝とともにルーキーコンビが活躍。真弓氏ははつらつさに目を細めていた。【酒井俊作】

◆阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が東京五輪について、「日本で行われる特別な大会なので、しっかりテレビで見たいと思います」と冗談交じりに話した。前日13日には侍ジャパンの稲葉篤紀監督(48)が広島戦を視察予定だった。雨天中止になったが、「佐藤君も気になる選手の1人」と期待していた。 東京五輪まで残り100日を切った。楽しみな競技について聞かれると「もちろん野球が楽しみです。すごく楽しみ」と声を弾ませた。大学2年時に日本代表に選出された経験もある。東京五輪も「(選ばれる)可能性はゼロではない」と、結果を出してアピールするつもりだ。

◆れにちゃん、打ったZ! 阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が広島戦の4回に、先発森下のカーブをとらえ、右中間に本拠地初アーチとなる4号2ランを放った。前回対戦の3月30日には、カーブに苦戦し、2打席連続三振。リベンジに成功し、4連勝に貢献。大ファンである女性アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の高城れに(27)が日刊スポーツを通じて激励の動画を送っていた。キュートなエールに、豪快アーチで応えた。甲子園はこんなスラッガーを待っていた。待望のアーチは4回に生まれた。1点リードで無死一塁。広島森下に直球とチェンジアップで追い込まれた後の3球目。真ん中に入った113キロカーブを捉えると、打球は右中間へ一直線。入場制限のスタンドが沸く。主役はゆっくりとダイヤモンドを回った。打球速度168キロ、飛距離125メートルの記念すべき甲子園1号となった。 「たくさんのファンの皆さんの前で打てたので良かったです。(カーブは)狙ってなかったんですけど、甘いところにきたので、いい反応ができました」 本塁に生還すると、笑顔で「Zポーズ」を繰り出した。佐藤輝はモノノフ(ももクロのファン)でライブにも行ったことがある。打席に入る際の登場曲も、ももいろクローバーZの「吼えろ」を使用。ももクロの推しメンである高城れにが、激励の動画を寄せていた。開幕から試合をチェックし、Zポーズ披露を喜んでいた。「輝、応援しテル~!」。キュートなエールに豪快な放物線で応えた。 2度目の対決でリベンジにも成功した。森下には昨年から5戦で4勝を献上し、苦手にしていた。佐藤輝も3月30日の対戦ではカーブに苦しめられ、2打席2三振。「前のは消して、新しい感じで行きました」。気持ちの切り替えは超一流選手になるための重要な要素。相手の武器を攻略したことも今後を考えれば大きい。 早くも今季4号。4月までに新人が4本塁打となると球団では19年近本に次いで2リーグ分立後2人目となった。7回にはダメ押しの中前適時打を放ち、自己最多の1試合3打点。4試合連続安打と打撃は確実に上向きだ。試合前練習ではサンズと打撃の意見交換するなど貪欲に学んでいる。 チームは4連勝で矢野政権最多の貯金8。首位の座をガッチリと守った。中野とともに初めて甲子園でお立ち台に上がり、「チームを勝利に導けるような、いい場面で打てるようなバッターになりたい」と虎党に宣言。頼もしすぎるルーキーが、チームを独走態勢に導く。【林亮佑】

◆広島森下暢仁投手(23)が、5回を自己ワーストタイ5失点で今季初黒星を喫した。前日13日が雨天中止で、プロ初のスライド登板で阪神戦に先発。2回に今季初失点を許すと、4回にドラフト1位佐藤輝、5回はマルテと2ランを2本浴びた。阪神には昨年から負けなしの4連勝だったが、小休止。打線も振るわず、チームは2試合連続のゼロ封負けで2位から一気に4位まで転落した。甲子園のマウンドに本来の森下の姿はなかった。2回だ。田中広の失策もあり、2死一、二塁のピンチから、阪神ドラフト6位中野に右前への適時打を浴びて先制点を献上。今季17イニング目にして初失点を許すと、4回には佐藤輝に2ラン、5回にもマルテに2ランを浴び、自己ワーストに並ぶ5失点で降板した。 「甘い球をしっかり打たれました。ストライクとボールがはっきりしている中で、ストライクから相手打線に捉えられてしまった」 持ち前の制球力が乱れた。カーブが打者の手前でバウンドする場面が目立つなど、終始コントロールの精彩を欠いた。「試合の中でしっかり修正できなかった。それは反省です」。前回3月30日の阪神戦で2三振を奪っていた佐藤輝には、4回無死一塁から真ん中付近に甘く入ったカーブを捉えられ、右翼席まで運ばれた。「相手にしっかり打たれました。次は抑えたい」と切り替えた。 阪神戦では昨年から無傷の4連勝を飾っていたが、この日はキラーぶりを発揮できず初黒星が付いた。佐々岡監督は「中に入ってくるボールが多くて、シュート回転していたし、カーブもいつもの軌道ではなかった。コントロール、四球絡みの失点でらしくない投球だった」と頭を悩ませた。 昨季の新人王右腕は侍ジャパンの先発候補に挙げられている。この日は日本代表の建山投手コーチが予定を変更して視察に訪れる中、本来の力を発揮することはできなかった。森下は「2回続けてこういうことがあっては絶対いけない。しっかり反省して次は抑えたいと思います」とリベンジを誓った。チームは連敗で、2位から4位まで転落。東京五輪開幕100日前となった日に、悔しさを残した。【古財稜明】

◆昨季限りで現役を引退し、阪神のスペシャルアシスタント(SA)を務める藤川球児氏(40)が、始球式を行った。  東京五輪開幕100日前となるこの日の一戦は、「結束! 侍ジャパンナイター」として実施され、藤川氏は2008年の北京五輪の日本代表時に着用していた背番号「28」のユニホームで登場。外角いっぱいにストライク投球を披露し、スタンドからは拍手が巻き起こった。

◆阪神のドラフト6位・中野拓夢内野手(24)=三菱自動車岡崎=が、先制打を放った。  「打者有利のカウントだったので思い切って打ちにいきました。良い投手から打つことができてよかったです」  二回2死一、二塁。広島先発・森下が2ボールから投じた3球目、内角高め151キロの直球をとらえ、右前へ弾き返した。  チームは森下に対し、昨季から5度対戦していまだ未勝利。今季の3月30日の一戦(マツダ)でも、6回1安打無失点と封じられるなど苦手としていた相手だったが、初対決のルーキーがいきなり結果を出した。

◆阪神のドラフト1位・ 佐藤輝明内野手(22)=近大=が、甲子園初アーチとなる今季4号2ランを放った。  「良いピッチャーですし、前の対戦でやられているので、きょうはなんとかやり返したいと思っていました。ランナーのいる場面でホームランを打つことができて良かったですし、先制タイムリーを打った中野さんに続くことができてよかったです」  1-0の四回無死一塁。広島先発・森下が投じた2ストライクからの3球目、113キロのカーブに反応。豪快に振り抜き、虎党の待つ右翼席に運んだ。  今季から阪神の選手が本塁打を打った際に、球場内の大型ビジョンに高性能弾道測定器「トラックマン」のデータが表示される。打球速度は168キロ、角度26度、飛距離125メートルだった。  9日のDeNA戦(横浜)での場外弾以来となる一発は、待望の"本拠地第1号"となり、右翼守備に付く際には、大きな拍手が送られた。

◆阪神は0-0の二回2死一、二塁でドラフト6位・中野拓夢内野手(24)=三菱自動車岡崎=が右前へ先制打。チームが昨季から5度対戦し、いまだ未勝利と苦手としている広島・森下から、初対決のルーキーが貴重な先取点を奪った。  さらに四回には、同1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が、右翼席へ甲子園初アーチとなる今季4号2ランを放ち、追加点。五回にはマルテにも今季2号2ランが飛び出し、七回にも佐藤輝の適時打でリードを広げた。  先発の西勇は8回を4安打無失点で今季2勝目(1敗)。広島に反撃の隙を与えず、チームは今季2度目の4連勝となった。

◆苦手の広島・森下を攻略し、今季2度目の4連勝。矢野耀大監督(52)は投打の歯車がかみ合った快勝劇に手ごたえを感じ取っていた。一問一答は以下の通り。 ■効果的な攻撃  --好投手の投げ合いだったが、6-0。試合を振り返って  「勇輝(西)がしっかりとリズムを作って、投げてくれたのが要因かなと思います。相手(森下)もいいピッチャーなんでね、中野のタイムリー(二回の先制打)がありましたけど、いいところでホームラン(四回の佐藤輝、五回のマルテ)も出ましたので。効果的に点がとれましたね」  --中野は勝負強さが光る  「初めて対戦するピッチャーばっかりですけど、速い球でも変化球でも対応力もありますし、エラーはありましたけど(八回)、守るほうも伸ばしていってくれたら、面白くなるかなと思いますけど」 ■あれで本塁打?  --佐藤輝に甲子園1号が出た  「この前の横浜スタジアムの鳩サブレー越えを見てるんでね(9日のDeNA戦)。泳いだ感じのね、完璧というよりは、あれで本塁打が打てるのが、いいところですし。甲子園の皆さんに一本見せられましたし、あの2点が大きかったですし、ムードも一気に盛り上がりましたし、いい本塁打でした」  --佐藤輝本人も前回やられた相手に悔しさを持って打ち返したと  「その後のタイムリーにつながった(七回の中前適時打)。あの一本に終わらなかったことがよかったかなと思います」  --新人2人は甲子園でいい経験を積んだ  「ミスやいろんなことが起こりますけど、成長してほしい選手たちなんで。競争も激しくしてくれてるので、超積極的にやっていってくれたらうれしいですね」  --明日(15日)は秋山が先発  「アキも調子がいいと思うんで、西同様に粘り強く堂々と思いきってやってくれたら」  (記者囲み)  ーー佐藤輝の一発は大きかった?  「先制できたことも大きいけどね、あの2点というのはどっちにも影響する、向こうにもダメージを与えるし、こっちは有利に持って行ける本塁打になったんで、いい場面で打ってくれたと思います」 ■後はいかに我慢できるか  --カウント0-2から多少泳ぎながらもあそこまで飛ばすスイングを  「ボールを投げようとしたと思うんだけど、ストライクに対しては対応できる能力は持っている。いかに後は、難しいけど、振りに行きながら我慢できるか。そこがポイントにはなると思うけど。ストライクになった時にはホームランまで持って行けるというのは佐藤の魅力やね」 ■完封は次の機会に  ーー西勇は?  「完封させてやりたかったけど。次の登板もあるし、球数もちょっとね。完封というのは大きなひとつの目標。お預けになっちゃったけど」  --森下に勝った  「横浜で3つ勝って、こっちに来ているというところで言うと、勇輝でやっぱり勝ちたいし、相手は森下やし。この勝ちはすごく大きいと思う」 ■就任3年目で初の貯金8  --まだ4月だが監督就任最多の貯金8  「それは通過点やし、みなさんがそうやって言ってくれるのはありがたいことやけど、意識はないし、数字は増えたり減ったりするもんやから。俺らの野球をどうやっていくかという方が大事なんで、そっちしかあまり考えていないです」  --ルーキー2人が奮闘  「あの2人がずっと出られるかっていうのは分からないわけで。セイヤ(木浪)とか悔しい思いしているヤツもいるんでね。元々いる選手の意地とかプライドとか、合わさっていければ強いチームになっていける。そういう効果は出してくれている」

◆阪神の西勇が8回無失点の快投で、2勝目を挙げた。矢野監督は「いつも通り、リズムをつくって、勇輝らしく投げてくれたことが勝利の要因」と手放しで褒めた。  味方が先制した直後の三回は2死二塁で菊池涼を迎えた。一回に左前打を許していたが、詰まらせて捕邪飛。走者を背負っても危なげなく、佐藤輝とマルテの一発を呼び込んだ。監督は「(打線に)間違いなく影響している」と、127球を投じたエースの働きに目を細めた。

◆阪神・西勇の投球は見事としか言いようがない、完ぺきに近い内容だった。一回から丁寧に低めへ投げ、直球らしい直球はほとんどなかったのではないか。カット、ツーシーム、シュート、スライダーをボール半分の出し入れで両サイドに投げ込み、打者を打ち取っていった。12球団を見渡して、これだけの投球をできる投手は皆無に近い。  もともとゲームを壊すことのない投手だが、この日は「2度続けて(昨年を含めれば3度)森下に投げ負けることは許されない」という強い気持ちも感じた。森下が寒さ、プロ入り初のスライド先発などが影響したのか、四球からの失点を繰り返した。対する西勇は同じ環境でも全く影響を感じさせなかった。これが経験の差だろう。  文句の付けようのない投球だったが、できることなら完封してもらいたかった。試合後の監督談話を聞くと、納得する部分もあるし、ベンチが配慮したのかもしれない。それでも、投手の勲章である完封を目指して欲しかった、という気持ちは強い。西勇にはその力が十分にある。次回登板に期待したい。(本紙専属評論家)

◆大物ルーキーに負けない、本物の助っ人パワーを見せつけた。マルテが3月28日のヤクルト戦(神宮)以来、13試合ぶりとなる2号2ラン。打球速度173キロ、飛距離130メートルの豪快なアーチを描き、甲子園で初の「ラパンパラポーズ」だ。  「うれしい、幸せです。やっぱりみんなで盛り上がってくれたらうれしいし、それが甲子園でできたので、うれしい気持ちでいっぱいです」  3-0の五回無死一塁。森下が投じた高めの変化球をとらえた。D1位・佐藤輝の4号2ランに負けじと、左翼中段席に叩き込んだ。  佐藤輝の125メートルを上回る放物線。「フェンスギリギリであれ、130メートルであれ、ホームランはホームランなのでうれしい。勝ちにつながる」と笑うと、「勝てたので、そこがうれしい」とうなずいた。

◆虎のエースが"三度目の正直"で投げ勝った。西勇は8回4安打7奪三振、無失点で2勝目だ。互いにスライド登板した難敵、カープの森下とのマッチアップ。何が何でも先制点をやれない中、抜群の安定感を見せた大黒柱に、矢野監督も目を細めた。  「いつも通り(西)勇輝がしっかりとリズムを作ってくれて、勇輝らしく投げてくれたっていうのが、まず勝利の大きな要因かなと思います」  一回、先頭の菊池涼の左前打から、1死二塁のピンチを背負う。それでも冷静に西川を129キロのチェンジアップでライナー性の二飛に打ち取ると、飛び出した二走が帰塁できず。併殺で切り抜け、流れに乗った。  この日唯一、三塁まで走者を進められた五回2死三塁でも貫禄勝ちだ。変化球で森下のバットに空を切らせ、その後もゼロを並べて今季最長の8回を127球で投げ切った。指揮官は「勇輝には完封させてやりたかったけど。次の登板もあるし、球数もちょっとね」と気遣い、親心をにじませた。  「中野が(八回の失策で)ちゃんと捕ってアウトにしていたら、九回もっていうのはあり得たと思うんだけど。やっぱりピッチャーにとって完封というのは大きなひとつの目標なんでね」  昨季のセ・リーグ新人王の森下との3度目の投げ合いは、西勇が初めて制した。新人のミスにも動じず、持ち前の投球術でサラリとカバーするなど、まさに貫禄勝ち-。虎の最強先発陣を引っ張る背番号16が、次戦もゲームを支配する。(新里公章)

◆振り抜いた打球が緑の芝生で弾んだ。D6位・中野(三菱自動車岡崎)が森下から値千金の先制打。甲子園では初のお立ち台に上がった。  「新人の中野です。名前と顔を覚えてもらえるようにもっと頑張りたいと思います。何としても自分が決めてやろうという強い気持ちで、打席に入ったことがいい結果につながったと思います」  二回だ。2死一、二塁で打席に立つ。相手は開幕からここまで16イニング無失点中の右腕。カウント2-0から151キロ直球をとらえた。右前へ運び、二走のD1位・佐藤輝(近大)が生還。一塁上で右手を大きく挙げた。甲子園初打席で初安打。初対戦の昨季新人王から1点を奪った。  「すごい自信になりましたし、こういう投手を打っていかないと、スタメンで出る機会もないと思う。これからもエース級のいい投手を打てるように準備していきたい」  10日のDeNA戦(横浜)から3戦連続でスタメン出場し、3試合連続打点。4戦連続安打。波に乗っているが「まだまだアピールが足りない」と満足はしていない。  甲子園には日大山形高時代の2年夏に出場。山形県勢初のベスト4入りに貢献した思い出の場所で「やりやすさは感じます」とうなずいた。  当時から「レギュラーを張っている以上、一番練習するのは当たり前」と慢心せず、黙々と努力を積み重ねるタイプ。東北福祉大、三菱自動車岡崎で経験を積み、再びこのグラウンドに。チームにも自身にも大きな一打を放った。  矢野監督は「初めて対戦するピッチャーばかりだけど、速い球でも変化球でも対応力もある」と評価。遊撃では初失策を犯したが「どんどん(長所を)伸ばしていってくれたら、もっともっと面白くなる」と期待した。  「テレビで見ていて、いつかはあそこ(甲子園のお立ち台)に立ちたいという気持ちがあった。立つことができて、すごくうれしい気持ちで、すごく見晴らしが良かったです」と中野。米男子ゴルフ「マスターズ」で日本男子初のメジャー制覇を果たした松山英樹(LEXUS)は東北福祉大の先輩。「自分もがんばらないと」と話して臨んだ試合で結果を出した。このままレギュラー定着、そして新人王を目指していく。(菊地峻太朗)

◆記念すべき聖地弾で難敵粉砕、4連勝! 阪神は広島に6-0で快勝し、貯金を矢野虎3年目で最多の8とした。ドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が四回、"虎キラー"の森下から、自身甲子園初となる4号2ラン。若い力の爆発で、2位(巨人)との差を今季最大の3ゲームに広げた。  白球が夜空を舞う。佐藤輝が放った甲子園第1号は難敵を打ち砕く放物線となり、右翼席へ吸い込まれた。虎がやられ続けてきた森下を、ドラ1が撃破。本拠地初のお立ち台で声を弾ませた。  「甲子園で打てて、一番よかった。うれしいです。打った瞬間、『いくかな』と思いました」  1-0の四回無死一塁。2ストライクから森下の伝家の宝刀・カーブを完璧にとらえた。「狙っていなかったが、甘いところにきたのでいい反応ができた」。9日のDeNA戦(横浜)での場外弾以来、3試合ぶりの4号2ラン。球団新人の4月中の4本塁打は2019年の近本に続き2人目の快挙。さらに近本の4月25日より11日早い、最速到達となった。  雪辱を晴らす一撃だ。1歳上で近大時代に大学日本代表でともに戦った森下(明大)とは、公式戦初対決の3月30日(マツダ)に2打席2三振。カーブに全くタイミングが合わず、チームも敗れた。「きょうは何とか打とうと思った。前の(イメージ)は消して、新しい感じでいきました」。  試合前。以前に打撃論をかわしたサンズの元へ再び足を運んだ。「手の使い方。どういう感覚で打っているのかと聞いた」。直後のフリー打撃は47スイングで15発。引っ張った当たりは1本だけで残りは中堅から左方向へ。練習中から意識したボールの引き込みが、カーブに対応できる体の"タメ"を生んだ。  「サンズだけでなく、監督、コーチ、いろいろな方からアドバイスをもらってよくなってきた」  同じ相手に二度はやられない。貪欲に前回の自分を超える。5-0の七回2死一、二塁ではケムナの150キロを中前へ弾き返し、本塁打を除けばプロ初の適時打もマーク。試合を決定づけ、過去5度の対戦ですべてチームが敗れてきた森下に初めて土をつけた。  矢野監督も「甲子園の皆さんに(佐藤輝の)一本見せられましたし、あの2点が大きかった。ムードも一気に盛り上がりましたし、いい本塁打」と絶賛した。4連勝で矢野虎3年目で最多、4年ぶりの貯金8。2位(巨人が浮上)とのゲーム差も3と首位を快走だ。  この日は東京五輪まで残り100日の節目。雨で流れた前日、佐藤輝を「非常に気になる」と評した日本代表・稲葉監督は神宮を視察したが、甲子園には同・建山投手コーチの姿が-。佐藤輝は「(代表に選ばれる)可能性はゼロではないので頑張りたい」としながらも「日本で行われる特別な大会なので、しっかりテレビで見たいと思います」と笑顔を見せた。  「チームを勝利に導けるような、いい場面で打てる、そういうバッターになりたいと思います」  輝く未来に向かって、まずは本拠地・甲子園を熱く盛り上げる。(原田遼太郎)  ■データBOX  ◎...阪神は今季2度目の4連勝で、貯金は最多「8」。2017年10月10日の中日とのシーズン最終戦(甲子園)での「17」以来、4年ぶりで矢野阪神では最多  ◎...開幕16試合目までの貯金8到達は、2008年(16試合で13勝3敗、貯金10)以来。同年の最終順位は2位  ◎...広島・森下とは通算6度目の対戦で、初勝利(森下の4勝1敗)  ◎...佐藤輝が4号。2リーグ分立後、球団新人の4月中の4本塁打は1969年の田淵幸一(3本)を超え、2019年の近本光司に並ぶ球団最多。近本の4月25日(91打席目)に対し、佐藤輝は4月14日(60打席目)で球団最速に  ◎...佐藤輝は自己最長4試合連続安打。1試合3打点も自己最多。甲子園では初本塁打初打点で通算4試合15打数5安打、1本塁打、3打点

◆強い強い虎の勝利の美酒に、全国の虎党よテレビの前で春の宴に酔ったれー!!  昨季の新人王、虎キラーの広島・森下から今季の新人王・佐藤輝が甲子園初本塁打となる4号!! 何? まだ16試合だから新人王は決まってない? このペースなら35本!! 当確やんけー!!  ただ、惜しいのはここまで先発15試合で続けてきた三振が途切れたこと。1993年のブライアントの三振日本記録の204を超える210ペースだったのに...ザンネ~ン!!  でも、まだ虎党には壮大な夢(?)があるのだ!! 4番・大山にいまだホームランなし!! このまま優勝して「4番、ホームラン0」(打点王には輝きますよ!!)なんて逆ミラクルもあっていいよー!!  コロナで沈んでいる日本を活気づける年間120勝いっちゃえー!! あ、マスターズを制した松山英樹のマウンドからの野球ボールをゴルフクラブで打つ始球式もやったれー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
1240 0.750
(↑0.017)
-
(-)
12771
(+6)
35
(-)
14
(+2)
14
(+1)
0.253
(↓0.001)
2.250
(↑0.15)
2
(1↑)
巨人
863 0.571
(↑0.033)
3
(-)
12656
(+5)
48
(+1)
13
(+1)
12
(+1)
0.215
(-)
2.630
(↑0.11)
3
(1↑)
ヤクルト
763 0.538
(↑0.038)
3.5
(-)
12765
(+7)
62
(+3)
14
(+3)
13
(+1)
0.257
(↑0.005)
3.680
(↑0.04)
4
(2↓)
広島
871 0.533
(↓0.038)
3.5
(↓1)
12747
(-)
53
(+6)
15
(-)
7
(+1)
0.251
(↓0.005)
2.960
(↓0.16)
5
(-)
中日
583 0.385
(↓0.032)
5.5
(↓1)
12738
(+1)
49
(+5)
3
(+1)
10
(+1)
0.213
(↓0.001)
2.580
(↓0.19)
6
(-)
DeNA
3122 0.200
(↓0.014)
8.5
(↓1)
12658
(+3)
88
(+7)
11
(+1)
4
(+1)
0.244
(↓0.004)
4.990
(↓0.17)