阪神(☆7対1★)巨人 =リーグ戦2回戦(2021.04.07)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
巨人
0000100001710
阪神
00132100X71311
勝利投手:伊藤 将司(1勝0敗0S)
敗戦投手:畠 世周(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】サンズ(4号・5回裏2ラン)

  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 巨人戦チケット予約
◆阪神は1-0で迎えた4回裏、近本と糸原の連続適時打で3点を追加し、リードを広げる。その後は5回にサンズの2ラン、6回には大山の適時打が飛び出し、試合を優位に進めた。投げては、先発・伊藤将が7回1失点の力投で、うれしいプロ初勝利。敗れた巨人は、投打ともに振るわなかった。

◆巨人畠世周投手(26)が今季初登板。 阪神戦は通算4勝2敗だが、甲子園球場では先発2試合、救援3試合の合計5試合に登板して3勝0敗。通算11回1/3を投げ被打率1割3分2厘で、同球場ではまだ1点も取られていない。

◆阪神ドラフト2位伊藤将司投手(24)が、7日の巨人戦に先発する。 阪神の新人投手が初勝利を巨人戦で挙げれば、2リーグ分立後8人目。03年久保田智之以来18年ぶりで、先発に限ると87年猪俣隆以来34年ぶり。猪俣は後楽園での登板で、阪神の新人先発が甲子園の巨人戦でプロ初勝利となれば、史上初となる。 伊藤将は前回3月31日広島戦でプロ初登板。5回を投げ毎回の8安打を許すも、2失点にまとめた。勝敗はつかなかったが、一塁けん制で2度走者を誘い出すなど、落ち着いたマウンドさばきを見せた。 横浜高時代は春夏2度甲子園に出場して1勝2敗。「高校の時は甲子園で、いい結果が出なかったので、リベンジしたいと思っています」と意気込みを語っていた。同い年の巨人岡本和ら、宿敵を封じて初勝利なるか。

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が、5試合ぶりの1発で連夜のG倒を目指す。前日6日の第1打席で10打席ぶりの中前打。第4打席では特大の右飛を放ち、甲子園デビュー戦でファンを沸かせた。 この日の試合前フリー打撃では、50スイングで2連発を含む8本の柵越え。バックスクリーンへ2発たたき込んだ。巨人先発は同じ近大出身の畠。先輩右腕を打って甲子園1号なるか、注目だ。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神の先発は伊藤将司投手(24)、巨人は畠世周投手(26)。 ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)は、前日の最終打席で右翼へ大飛球を放った。近大の先輩にあたる畠撃ちで、聖地での初本塁打なるか。伊藤将はプロ2度目の先発。阪神の新人投手が初勝利を巨人戦で挙げれば、2リーグ分立後8人目、03年久保田以来18年ぶりとなる。

◆女子硬式野球クラブチーム「阪神タイガースWomen(ウィメン)」の水流麻夏(つる・あさか)投手(21)が始球式を行った。 左腕から真ん中高めへストライク。「すごく緊張していて、テレビで見る世界だったので、甲子園というのが。その中で私が立てたというのは、本当に夢のような世界で、一瞬だったんですけど、充実していました。まさかあんないいところにいくとは」と笑顔で振り返った。 自己最速は115キロ。地元兵庫県出身で昨年女子プロ野球埼玉アストライアで最多勝(9勝)や最多奪三振(38個)、最優秀防御率(1・22)と大活躍。侍ジャパンとして今年の女子野球W杯にも名前を連ねている伸び盛りの左腕だ。今年は「阪神タイガースWomen」の一員としてプレーし、女子野球発展に貢献していく。 前日6日からの巨人3連戦は「阪神タイガースWomenデビューシリーズ」として開催され、Womenの投手による始球式や日替わりの意気込みインタビューなどを連日実施。試合中は、Womenの選手がリリーフカーの運転やボールガールも務める。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)の第1打席は左飛に終わった。無死一塁で巨人先発畠の142キロに詰まらされた。 前日6日の第1打席では、10打席ぶりの安打となる中前打で虎党を沸かせた。生まれ育った兵庫・西宮市のファンの前で、豪快な1発を披露したい。

◆阪神が「畠の呪縛」を破った。3回、先頭近本が四球で出塁すると、ベンチが動いた。エンドランで2番糸原が右前打を放ち、無死一、三塁とチャンスを拡大。続く3番マルテの打席で糸原が二盗を敢行。捕手大城の二塁送球が乱れる間に、三塁走者近本が生還し、先制点を挙げた。 この試合前まで、巨人畠は甲子園で先発2試合、救援3試合の計5試合に登板。通算11回1/3を投げ、阪神打線は打率1割3分2厘、無得点と大苦戦していた。

◆阪神のドラフト2位ルーキー伊藤将司投手(24=JR東日本)が巨人戦初登板初先発で力投した。 速球は130キロ台後半だが、丁寧にコーナーを突いて巨人打線と勝負。序盤から持ち味を見せた。2回、先頭大城が遊撃失策で出塁するが動じない。北村を内角速球で振り遅れ気味の空振り三振に料理。重信を見逃し三振に片づけるなど、危なげない内容だった。3回の先頭広岡まで4者連続三振を奪った。今季2戦目の先発マウンドはプロ初勝利を目指し、カーブやカットボールなどを駆使して5回まで1失点。勝利投手の権利を手にした。 これまで巨人戦初登板でプロ初勝利を挙げた阪神新人投手はいない。伊藤将が勝てば球団史上初の快挙となる。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、プロ初の2試合連続安打を放った。 4回先頭の第2打席。近大の先輩、巨人畠の初球を打ち返すと、遊撃定位置へボテボテのゴロが転がった。完全に打ち取られた当たりだが、坂本が二塁ベース左後ろ付近を守る"佐藤輝シフト"を敷いていたためセーフに。50メートル6秒0の俊足で、プロ初の内野安打をもぎ取った。5回も三塁線へ内野安打。「変なヒットだったんで、次はちゃんと打てるように頑張ります」。納得はしなかったが187センチ、94キロが足でも見せた一日になった。 この日は伊藤将がプロ初勝利。「いっぱい三振を取っていて、見ていて楽しいというか、安心していました。ナイスピッチング」。同期入団の仲間から刺激を受け「今日のヒットをきっかけに、上がっていけるように頑張ります」と意気込んだ。8日の3戦目こそ、地元甲子園でファンを沸かせる1発を放つ意気込みだ。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(33)が4号2ランを放った。 1点を返された直後の5回、大山が左前打で出塁した直後だった。桜井の真ん中に入った直球を振り抜いた。「去年は桜井投手から3つ三振をしていたので、なんとか打ちたいと思っていたよ。(大山)悠輔もいいバッティングをしてくれたし、仕留めることができて良かったね」。バックスクリーン左横へ飛び込む2ラン。中盤に大きな追加点となった。 今年からバックスクリーンには弾道測定器「トラックマン」のデータが映し出され、サンズの本塁打の飛距離は129メートル、打球速度は166キロだった。

◆巨人の内野守備走塁コーチだった木村拓也さん(享年37)がくも膜下出血で亡くなってから、7日で11年が過ぎた。10年4月2日の広島戦(マツダスタジアム)前の練習中に突然倒れ、5日後、甲子園での阪神戦前に訃報が届いた。原辰徳監督(62)は木村さんをトレードで広島から巨人に招き、引退後はコーチを託すなど信頼を寄せていた。命日を勝利で飾れず、9試合連続3得点以下で今季初の2連敗。木村さんが体現していた献身性は、苦境を脱する重要な要素になる。忘れられない風景がある。年輪を重ねても変わらず明るく前向きで、愚直に野球と向き合った木村さん。原監督との「世界一のノッカーになろう」との誓いを胸に熱心に指導にあたっていた。11年前、ノックバットを手に倒れ、天国へ旅立った。この日、ジャイアンツ球場近くの坂道に埋め込まれている木村さんの手形の脇には、花が供えられていた。原監督は「11年たちますか。早いね、時がたつのは。あいつのは良い思い出しかないんだよね。ベテラン選手であっても初々しくてね」と目を細めた。 忘れられない思いがある。09年9月4日ヤクルト戦。試合中に捕手が不在となる緊急事態に、木村さんがマスクをかぶった。指示を受ける前にブルペンへと向かい、捕球練習で備えていた。チームのために-。木村さんの献身性は、その後の巨人が強さを取り戻す礎となった。「すごく残っていますね。ジャイアンツに」。春季キャンプでは石川が緊急事態に備えて捕手練習に励んだ。「その前は寺内だったり、そういう『拓也さんがやったやつですよね』っていうね。やっぱり残してくれていますよ」。 忘れてはいけない姿勢がある。新型コロナの影響で主力4選手が離脱。この日は3回に失策絡みで先制を許し、打線もつながりを欠いた。木村さんが体現してきた自己犠牲や愚直さは、苦境にもがく現状を打ち破るすべになる。試合後、原監督は「野球が大好きな人だったからね。しっかり野球を見続けてくれてるでしょうね」と語った。全員でカバーしながら、献身性でピンチを救える選手が出てこられるか。木村さんの姿と信念が継承されなければ、常勝にはたどり着けない。【浜本卓也】 ? ○...巨人の中島、丸、若林、ウィーラーは、4日に新型コロナウイルス陽性と判定された。球団は接触頻度が高かったとして亀井、増田大、北村の3選手を隔離し、4日に「特例2021」に基づいて登録を抹消。6日に再登録されたが、陽性判定を受けた主力4選手の復帰時期は未定だ。

◆阪神は投打の歯車がかみ合い、巨人戦を12年以来、9年ぶりとなる開幕2連勝だ。打線が3回に足を絡めて先制。4回には近本、糸原の連続タイムリーで3点を奪い、試合の主導権を握った。5回はサンズがバックスクリーン左に4号2ランを放って突き放した。巨人戦初登板初先発の伊藤将も7回1失点の好投でプロ初勝利をマークした。4連勝で首位を堅守した。

◆阪神は投打の歯車がかみ合い、巨人戦を12年以来、9年ぶりとなる開幕2連勝だ。 打線が3回に足を絡めて先制。4回には近本、糸原の連続タイムリーで3点を奪い、試合の主導権を握った。5回はサンズがバックスクリーン左に4号2ランを放って突き放した。巨人戦初登板初先発の伊藤将も7回1失点の好投でプロ初勝利をマークした。4連勝で首位を堅守した。

◆阪神のドラフト2位ルーキー伊藤将司投手(24=JR東日本)が巨人戦初登板初先発で自己最長の7回1失点の快投を見せ、プロ初勝利を挙げた。 「初回はピンチもあり、バタバタしてしまいましたが、2回以降はランナーを出しながらも粘りの投球ができた。野手の方が本当によく打ってくれました」。直球は平均130キロ台後半だが、丁寧にコーナーを突いて巨人打線と勝負。序盤から持ち味を見せた。2回、先頭大城が遊撃失策で出塁するが動じない。北村を内角速球で振り遅れ気味の空振り三振に料理。重信を見逃し三振に片づけるなど、危なげない内容だった。3回の先頭広岡まで4者連続三振を奪った。 今季2戦目の先発マウンドはプロ初勝利を目指し、カーブやカットボールなどを駆使して翻弄(ほんろう)した。自己最多114球の熱投だった。過去に巨人戦初登板がプロ初勝利の阪神新人投手はいない。伊藤将は球団史上初の快挙を達成した。

◆阪神山本泰寛内野手(28)が、死球を受け途中交代した。三塁守備で途中出場。8回2死一、二塁で迎えた第1打席。巨人田中豊の3球目146キロ直球が、左肩に直撃した。その場でうずくまり、しばらく動けずベンチへ下がった。代走には北條が送られ、そのまま交代した。 山本は昨年オフに巨人からトレード移籍。3日の中日戦では巨人から移籍した阪神の選手で広沢克実以来2人目のサヨナラ打を放っていた。

◆阪神はプロ初勝利を狙うドラフト2位伊藤将が3回まで無失点。打線は3回無死一、三塁から二盗が捕手悪送球を誘って1点先制。 阪神は4回に糸原の2点二塁打などで3点追加。5回にサンズの4号2ラン、6回に大山の適時二塁打で1点を挙げ、突き放した。 阪神伊藤将が7回1失点でプロ初勝利。チームは4連勝で首位を守った。巨人畠は4回途中4失点で今季初黒星を喫した。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(33)が「2冠弾」の4号2ランで突き放した。3点リードの5回無死一塁。桜井の外角速球を完璧なセンター返しだ。白球はバックスクリーン左へ。ヤクルト村上と並ぶ4発目、12打点はともにリーグ最多だ。 勝負の流れを呼び「去年は桜井投手から3つ三振をしていたので、なんとか打ちたいと思っていた」と振り返った。研究熱心な助っ人らしく、昨季、3打数3三振と歯が立たなかった右腕にリベンジを果たした。 今季から本塁打時にトラックマンの計測値が甲子園バックスクリーンに登場。初お披露目で「打球速度166km/h 打球角度30度 飛距離129m」と表示された。「糸井さんが後で教えてくれたけど見てなかった。フェンスを越えてくれたら何でもいい」。本塁打の平均的な打球速度は時速140~150キロ、打球角度は20~35度だという。ソフトバンク柳田が19年球宴の本塁打競争で計測した平均164キロに匹敵。正真正銘のスラッガーの一撃だ。 昨季は25試合目61打席目で4本塁打だったが今年は11試合目43打席目で到達。来日2年目で、順応している証拠だ。「こんなペースで打っていきたい。去年は終盤に失速した。反省して、打ち損じをなくすのを心掛けていて、減っているよね」と話す姿が頼もしい。【酒井俊作】

◆阪神は投打の歯車がかみ合い、対巨人2連勝を飾った。巨人とのシーズン最初のカードで2連勝スタートするのは、12年以来9年ぶり。打線が3回に足を絡めて先制。4回には近本、糸原の連続タイムリーで3点を奪い、試合の主導権を握った。5回はサンズがバックスクリーン左に4号2ラン。巨人戦初登板初先発のドラフト2位ルーキー伊藤将も7回1失点の好投でプロ初勝利をマークした。お立ち台に上がった糸原と伊藤将の一問一答は以下の通り。 ? -(糸原に)3安打の活躍 糸原 ありがとうございます。 -11試合連続安打。要因は 糸原 自分の仕事をするだけだと思っているので、チームの勝ちに1試合でも多く貢献しようという思いで、毎試合臨んでいます。 -チームは4連勝。巨人戦勝ち越し 糸原 連勝してて、ルーキーの伊藤がね、すごい頑張ってたんで、しっかり援護できてよかったかなと思います。 -単独首位。今年のチームは 糸原 まだ始まったばかりですが、とても元気よく、チーム一丸となって試合に臨んでいると思うので、これを維持しつつ、しっかり勝ちを重ねていければなと思います。 -悲願のリーグ優勝へ、いいスタートが切れたか 糸原 今日勝てたのは大きいと思いますし、明日につながると思うんで、明日も頑張っていきたなと思います。 -伊藤将投手が初勝利。セカンドからどう見てたか 糸原 堂々と投げていたので、本当頼もしかったです。 -ファンへ意気込み 糸原 明日も頑張ります。熱い声援お願いします。 ? -(伊藤将に)お立ち台からの景色は 伊藤将 最高です。 -あらためて今日の投球は 伊藤将 そうですね、今日は粘り強いピッチングができたので、本当に勝ててよかったです。 -セ・リーグのルーキーで初勝利一番乗り 伊藤将 本当に最高です。 -高校でも甲子園で登板。今日の出来は 伊藤将 高校の時はいい思い出がなかったですけど、プロの世界でいいピッチングができて本当にうれしいです。 -相手は巨人 伊藤将 強打者がいるチームなので、その中で、粘り強いピッチングできたのはよかったと思います。 -良かったところは 伊藤将 低めに集めて打たせてとれたのでよかったです。 -勝利球は誰に 伊藤将 両親にあげたいと思います。 -ファンへ自己紹介 伊藤将 新人の伊藤です。少しでも1勝を多く取れるように頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。

◆阪神ドラフト8位石井大智投手(23)が9回を無失点で締めた。 吉川は得意のシンカーで空振り三振。続く炭谷は外角いっぱいにスライダーを決め、見逃し三振。最後は松原を二ゴロに仕留めマウンド上でナインと勝利を喜んだ。「ずっと結果が出ず、チームが勝っている中で自分だけ乗れていない部分があった。いい感じで投げられてよかった」。開幕から2戦連続で失点していたが、甲子園デビュー戦はしっかり「0」で抑えた。

◆巨人は打線のテコ入れも実らなかった。通常の1番ではなく2番で起用した梶谷の適時二塁打の1得点のみで、阪神の新人伊藤将にプロ初勝利を献上。新型コロナの影響で主力選手を欠く厳しい状況だが、原監督は「今はある種、チームとしては緊急事態。その中でデンとしているわけにはいかない。動く必要はあるでしょうね。我慢、我慢。このメンバーで戦うしかないからね」と前を向いた。

◆阪神近本光司外野手が足攻めで快勝に貢献した。 3回に四球で出塁し、糸原とのエンドランで一気に三塁へ。一、三塁の好機では一塁走者糸原が二盗を決め、大城の二塁悪送球の間に、先制のホームを踏んだ。4回は2死二、三塁で二塁に適時内野安打。 「(直前に伊藤)将司がしっかりとバントを決めてくれましたし、投球も粘って投げてくれている。なんとかランナーをかえしたいと思っていました」。6回も中前打を放って生還。今季最多の1戦3得点だ。

◆球団史に残るプロ初勝利だ。阪神ドラフト2位の伊藤将司投手(24)が巨人戦(甲子園)で7回1失点でセ界のルーキーで初勝利一番乗り。これがプロ2戦目。「伝統の一戦」に初登板して初勝利は阪神の新人で初めてという快挙となった。開幕ローテ唯一の左腕の奮投でチームは巨人に連勝し、今季初の4連勝。今年も新戦力が頼もしい!少しも変わらなかった表情がやっと緩んだ。伊藤将はファンの大きな拍手を聞くと、初めての甲子園のお立ち台で笑った。「本当に最高です。高校の時はいい思い出なかったですけど、プロの世界でいいピッチングができて本当にうれしいです」。7回6安打1失点でプロ初白星をつかんだ。 出どころの見えにくい独特なフォームと、多彩な変化球で巨人打線を翻弄(ほんろう)した。2回、先頭の大城が味方の失策で出塁しても、動じない。北村、重信から低めの直球で連続三振を奪うと、3回の広岡まで4者連続三振。毎回走者を出しながら丁寧に114球を投げ続けた。 この日のマウンドに立っていなかったかもしれない。国際武道大4年の時。1年時から活躍しながら、左肘痛を発症し指名漏れを味わった。「これが事実だ」。岩井美樹監督(66)に現実を突きつけられた伊藤将の顔は、悔しさであふれていた。JR東日本では「いい投手」から「勝てる投手」になるため、数歩先の展開を読むことを頭に置いて投球した。 社会人2年目の昨年。浜岡武明監督(48)との面談で、プロと社会人のはざまで悩む気持ちを吐露した。夢は持ちながらも、エースとして活躍し、社会人野球の楽しさも感じていた。話を聞いた浜岡監督は「高みを目指すところは変わらないよ。チームが勝てば評価される」と声を掛けた。転機はドラフト直前の10月5日、都市対抗出場がかかったNTT東日本戦。伊藤将は9回1死まで無安打無得点と圧倒した。大一番での快投が、自らの背中をプロの世界へ押した。 矢野監督も新人らしからぬ左腕をたたえた。「あんまりルーキーということを考えさせないような...。ピッチングも性格もそう。"らしい"というか、本当に肝の据わったピッチングをしてくれました」。4回2死一、二塁の攻撃では落ち着いて犠打も成功させた。 「今日は粘り強いピッチングができたので、本当に勝ててよかったです」。阪神の新人で巨人戦初登板初勝利は史上初の快挙。甲子園で最高のデビューを飾った。【磯綾乃】 ▽伊藤将の父正宏さん(51、千葉県内で営む牛乳販売店の店舗でテレビ観戦)「良かったですね~! 打線の皆さんがよく打ってくれました。ストレートも走っていたし。よくランナーを出すんですけど粘りましたね。(前回のプロ初登板後に)次、頑張れと伝えていたんで。おめでとうしかないです」 ▽国際武道大・岩井監督 試合後、すぐに連絡が来て「うれしいです」と言っていました。インサイドのボールが良かったけど、バントを必死に決めた顔が良かったね(笑い)。いいスタートを切ってくれましたね。 ▼阪神の新人伊藤将が7回1失点の好投でプロ初勝利。伊藤将はこれがプロ2戦目の登板で、巨人戦は初登板。巨人戦でプロ初勝利を挙げた阪神の新人投手は過去7人いるが、巨人戦初登板で勝ったのは伊藤将が初めて。ちなみに、巨人戦初登板でプロ初勝利の阪神投手はほかに57年の石川良照だけだが、プロ3年目だった。 ▼ルーキー伊藤将が初対戦の巨人からプロ初勝利。阪神の新人が巨人戦初登板初勝利は16年7月7日青柳以来となり、プロ野球初年度の36年に記録した2人を含め9人目。初登板の巨人戦でプロ1勝目を挙げた新人は18年4月12日東(DeNA)以来で、他に最近では17年床田(広島)16年小笠原(中日)15年薮田(広島)らが記録しているが、阪神の新人では初めて。

◆確実にボディーブローをヒットさせ、聖地では難攻不落だった右腕畠に土をつけた。 阪神糸原健斗内野手(28)が「最高の形でしたね」と振り返ったのは0-0で迎えた3回裏だ。1番近本が四球で出塁。2番糸原は初球スライダーからランエンドヒットを決め、右前打で一、三塁に好機を広げる。3番マルテの打席で二盗を仕掛け、捕手大城の悪送球を誘って先制点をもぎ取った。これが畠にとって甲子園初失点だったことは知らなかったという。 「チームプレーはベンチもやってほしいことだと思う。1、2番でつなげて、というのができた。(盗塁は)行ける時に行くのがタイガース。行けると思って、思い切り走りました」 試合前の時点で畠の甲子園通算成績は計5試合11回1/3を投げて3勝0敗、被打率1割3分2厘で無失点。「気にしていなかった」という「呪縛」を打ち破り、チームを完勝に導いた。 勢いが止まらない。1回に左前打を放ち、開幕戦から11試合連続安打を達成。2点リードの4回2死一、三塁では2番手大江の初球ストレートでまたもランエンドヒットを仕掛け、痛烈に二塁手左を抜く2点二塁打を決めた。 「あそこは積極的に仕掛けていこうと思っていた。狙い球を絞って1球でしっかり振れて良かった」 3安打2打点の大暴れに充実感を漂わせた。 主将2年目だった昨季は7月に右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折し、連続試合出場が312でストップ。最終的に自己最少の63試合出場にとどまった。 「去年は自分自身、悔しい思いをしている。それをぶつけるという強い気持ちで臨んでいる。今年は絶対に勝ちたい。優勝したい」 ドラフト2位伊藤将とお立ち台に上がった直後には「いい形で助けられて良かった」と後輩のプロ初勝利に笑顔。糸原の並々ならぬ覚悟が、虎の開幕ダッシュを呼んでいる。【佐井陽介】

◆阪神4番大山悠輔内野手が2戦連続適時打を放った。6回2死一塁から三塁線を鋭く破る二塁打。 「(伊藤)将司がすごく粘り強く投げていたし、打つことができてよかった。(一塁走者の)チカ(近本)もよく走ってくれた」と、ルーキーを援護した。試合前に矢野監督から「1点ではなく幅を持って打て」と助言を受け、5回の左前打と合わせて2戦連続、今季3度のマルチ安打で応えた。

◆球団史に残るプロ初勝利だ。阪神ドラフト2位の伊藤将司投手(24)が巨人戦(甲子園)で7回1失点でセ界のルーキーで初勝利一番乗り。これがプロ2戦目。「伝統の一戦」に初登板して初勝利は阪神の新人で初めてという快挙となった。開幕ローテ唯一の左腕の奮投でチームは巨人に連勝し、今季初の4連勝。今年も新戦力が頼もしい!コロナ禍の中で、伊藤将の存在は明るい光だった。JR東日本施設部工事課の同僚、山本太郎さん(30)は振り返る。「課からドラフトで指名される選手が出る喜びや驚きは、コロナ禍を明るくさせる話題となりました」。 昨年10月26日のドラフト会議当日。JR東日本の会見場には、1枚の色鮮やかな大漁旗が飾られた。同僚全員から伊藤将への思いが込められたものだ。「野球以外の話であっても、真面目な受け答えで、課のメンバーとも交流を持っていました」と山本さん。明るく前向きな左腕は、社内でも人気者だった。 昨年2月に伊藤将が異動してから、試合の度に課内は話題で持ちきり。コロナ禍で直接応援に行くことが出来なかったため、応援の気持ちを形にすることにした。「横断幕の掲出が可能な場合もあると知り、これは横断幕を作って工事課の思いを伝えなければと思い、製作しました」。都市対抗東京2次予選での掲出を目指し、9月から作製に取りかかった。文字のデザインやレイアウトは数パターンを用意して、課全体でアンケートを取って決定した。 大漁旗を選んだのは、そのインパクトでマウンドから必ず見つけてもらえるように。カジキマグロのデザインで勢いある投球をイメージし、次々に三振を奪う姿を見せてほしいとの思いから「三振大漁」の文字を入れた。観客が入れるようになった11月の都市対抗では、大漁旗とともに同僚全員で応援に駆けつけた。 ドラフト指名後に、伊藤将からもらったサインボールは、山本さんの宝物だ。「サインの価値が出るように頑張ります」の言葉に決意を感じ取ったという。「猛虎魂の片隅にJR魂も忘れずにプロの世界でも活躍してください! 首都圏で試合があるときはみんなで応援します!」と話す温かい応援団が、これからも左腕を見守っている。【阪神担当=磯綾乃】

◆阪神はドラフト2位の伊藤将司投手(24)が巨人戦(甲子園)で7回1失点でプロ初勝利を挙げ、チームは今季初の4連勝を飾り、首位をキープした。2位広島とは1・5ゲーム差。矢野燿大監督(52)との一問一答は以下の通り。―一番の勝因は そうですね、まあ伊藤将司のピッチングじゃないですか。 ―どんな投球に映ったか ルーキーなんですけど、あんまりルーキーということを考えさせないような、投球も性格もそうなんで。そういうところでは自信を持って送り出した。まあ"らしい"というか、本当に肝の据わった投球をしてくれた。 ―攻撃面では積極的に走って点を取れた 打者もつながったし、走って動いて。目立たないが藤本コーチもいい判断をずっとしてくれている。思い切った走塁につながっているかなと思う。 ―4番大山が2戦連続適時打 でも、まだまだもっと打ってほしいなと思うし、打てる球もまだあるだろうと思う。 ―巨人に連勝 日々、前を向いて目の前の試合に全力で戦うことは変わらないが、2つ取れたのはプラスにもちろんなる。 ―伊藤将は(4回に)犠打を決めたのも大きい いやそれがね、すっごい大きい。あの流れでやっぱり二、三塁になって、近本やったら内野安打でも、もちろんバッテリーとしてはね、バッテリーミスでも1点となるから。追い込まれたけどよく送ったし、流れの中でも大きなバントやったなと思う。 ―糸原はずっとゲームを動かしている いや頼もしいよね。引っ張っても押っつけてもいけるし、作戦をやってもね、決めてくれるし。ほんとにケントが今引っ張っていってくれている。 ―大山に練習中に声を掛けていたが 1点にこうボールを打ちにいくと、そこから曲がったり落としたりバッテリーはしていくわけで。だから、いいところで1点で捉えるというよりは、その幅を持たせないとダメだから。打ちたいから(体)全部がこう一緒に回っているというか。上と下って逆に回らないといけないんだけど、一緒になるから1点になっちゃう。そういうあたりを伝えた。 ―佐藤輝は守備でいいプレーがあった あれ難しい判断やしね。行きながらどうするかという球際のところでもしっかり捕れたし。今日はラッキーな安打も2本あったんで。シーズンに入ればどんな形であれ、安打というのは気持ちを押してくれたりすることになるんでね。そういうところでは結果的には良かった。本当に日々成長してほしい選手なんで。きっかけをいろんなところでつかんでいってくれたら。 ―9回に石井大が最後、久々に投げた そういう部分が大きいね。今日の勝ちの中では。(8回の)加治屋もいったん落ち着くと思うし、大智(石井)も開幕2試合投げてからちょっと投げさせるタイミングがなかったんで。そういうところでは今日のボールを見せてくれて、また抑え方の内容を見ても、またいいところにいけるなと。あいつ自身のバロメーターにもなったし、こっちとしてもそういう起用がまたできやすい投球を見せてくれた。この点差で使えたというのは今後の起用に対して、幅広くいけると。点差をつけてくれたからこそ、そういうところでいけた。俺としては大きいと思う。 ? 阪神加治屋(8回に2番手で5日ぶりに登板して1回無失点)「前回(2日中日戦)の登板では先発投手(藤浪)の勝ちを消してしまっていたので、今日はなんとしても0点で抑えるという強い気持ちでマウンドに上がりました。最後は(佐藤)テルに助けられましたが、0点で抑えることができてよかったです」

◆ルーキー伊藤将が初対戦の巨人からプロ初勝利。 阪神の新人が巨人戦初登板初勝利は16年7月7日青柳以来となり、プロ野球初年度の36年に記録した2人を含め9人目。初登板の巨人戦でプロ1勝目を挙げた新人は18年4月12日東(DeNA)以来で、他に最近では17年床田(広島)16年小笠原(中日)15年薮田(広島)らが記録しているが、阪神の新人では初めて。

◆球団史に残るプロ初勝利だ。阪神ドラフト2位の伊藤将司投手(24)が巨人戦(甲子園)で7回1失点と好投し、セ界のルーキーで初勝利一番乗り。これがプロ2戦目。「伝統の一戦」に初登板して初勝利は阪神の新人で初めてという快挙となった。開幕ローテ唯一の左腕の奮投でチームは巨人に連勝し、今季初の4連勝。今年も新戦力が頼もしい!

◆確実にボディーブローをヒットさせ、聖地では難攻不落だった天敵に土をつけた。 阪神糸原健斗内野手(28)が「最高の形でしたね」と振り返ったのは0-0で迎えた3回裏だ。先頭の1番近本が四球で出塁。2番糸原は初球スライダーを計算ずくで引っ張った。ランエンドヒットを右前に決め、一、三塁に好機を広げる。さらに3番マルテの打席で二盗を仕掛け、捕手大城の悪送球を誘って先制点をもぎ取った。 「チームプレーはベンチもやってほしいことだと思う。1、2番でつなげて、というのができた。(盗塁は)行ける時に行くのがタイガース。行けると思って、思い切り走りました」 試合前の時点で畠の甲子園通算成績は計5試合11回1/3を投げて3勝0敗、被打率1割3分2厘で無失点。今季初盗塁でもぎ取った1点が畠の甲子園初失点だったことは「気にしていなかった」という。普段通りの泥臭いスタイルで「呪縛」を打ち破り、チームを4連勝に導いた。 勢いが止まらない。1回に左前打を放ち、開幕戦から11試合連続安打を達成。2点リードの4回2死一、三塁では2番手大江の代わりばな、初球ストレートでまたもランエンドヒットを成功させた。痛烈に二塁手左を抜く2点二塁打だ。 「あそこは積極的に仕掛けていこうと思っていた。狙い球を絞って、しっかり1球で振れて良かった」 3安打2打点の大暴れに充実感を漂わせた。 主将2年目だった昨季は7月に右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折し、連続試合出場が312でストップ。最終的に自己最少の63試合出場にとどまった。 「去年は自分自身、悔しい思いをしている。それをぶつけるという強い気持ちで臨んでいる。今年は絶対に勝ちたい。優勝したい」 糸原の並々ならぬ覚悟が、虎の開幕ダッシュを支えている。【佐井陽介】

◆阪神ジェリー・サンズ外野手(33)が「2冠弾」の4号2ランで突き放した。3点リードの5回無死一塁。桜井の外角速球を完璧なセンター返しだ。白球はバックスクリーン左へ。ヤクルト村上と並ぶ4発目、12打点はともにリーグ最多だ。 勝負の流れを呼び「去年は桜井投手から3つ三振をしていたので、なんとか打ちたいと思っていた」と振り返った。研究熱心な助っ人らしく、昨季、3打数3三振と歯が立たなかった右腕にリベンジを果たした。 今季から本塁打時にトラックマンの計測値が甲子園バックスクリーンに登場。初お披露目で「打球速度166km/h 打球角度30度 飛距離129m」と表示された。「糸井さんが後で教えてくれたけど見てなかった。フェンスを越えてくれたら何でもいい」。本塁打の平均的な打球速度は時速140~150キロ、打球角度は20~35度だという。ソフトバンク柳田が19年球宴の本塁打競争で計測した平均164キロに匹敵。正真正銘のスラッガーの一撃だ。 昨季は25試合目61打席目で4本塁打だったが今年は11試合目43打席目で到達。来日2年目で、順応している証拠だ。「こんなペースで打っていきたい。去年は終盤に失速した。反省して、打ち損じをなくすのを心掛けていて、減っているよね」と話す姿が頼もしい。【酒井俊作】

◆チーム最年長39歳糸井が今季初安打を放った。 8回無死一塁で代打で登場。巨人田中豊の直球に詰まらされながらも左翼前へしぶとく落とした。今季はすべて代打で4試合に出場。開幕前に「どういう場面でもしっかりやることしか考えてない」と話し、役割を黙々と果たしている。代走中野と交代してファンからメガホンによる拍手を浴び、ベンチへ戻った。

◆球団史に残るプロ初勝利だ。阪神ドラフト2位の伊藤将司投手(24)が巨人戦(甲子園)で7回1失点でセ界のルーキーで初勝利一番乗り。これがプロ2戦目。「伝統の一戦」に初登板して初勝利は阪神の新人で初めてという快挙となった。コロナ禍の中で伊藤将は希望の光だった。JR東日本施設部工事課の同僚、山本太郎さん(30)は振り返る。「課からドラフトで指名される選手が出る喜びや驚きは、コロナ禍を明るくさせる話題となりました」。昨秋、JR東日本のドラフト会見場にあったのは色鮮やかな大漁旗。明るく社内でも人気者だった左腕。コロナ禍で応援できない大会もあり、観客席に掲げてもらおうと同僚全員が気持ちを込めて送ったものだ。 大漁旗を選んだのは、マウンドから見つけてもらえるように。勢いのあるカジキマグロの絵と「三振大漁」の文字は伊藤将の投球をイメージ。デザインやレイアウトを複数用意して、課の全員でアンケートを取って決めた。山本さんは伊藤将からもらったサインボールを大切に持つ。「サインの価値が出るように頑張ります」の言葉に決意を感じた。「猛虎魂の片隅にJR魂も忘れずにプロの世界でも活躍してください!」と全員の思いを代弁した山本さん。これからも温かい応援団がついている。【磯綾乃】

◆阪神の本拠地開幕カードは、今年始動した女子硬式野球クラブチーム「タイガースWomen」のデビューシリーズとして行われ、第2戦は水流(つる)麻夏投手(21)が始球式に登板した。  打席には巨人の1番・広岡。左腕からしなやかなフォームで直球を真ん中高めを投げ込むとスタンドから大きな拍手が送られた。べンチの矢野監督も驚きの表情をみせた。  直球は最速115キロという水流投手は「すごく緊張しました。甲子園はテレビで見る世界だったので。本当に、夢のような世界で、すごい一瞬だったんですけど、充実していました」と声を弾ませた。  タイガースWomenは、阪神が女子野球の裾野拡大のため2021年に設立した女子硬式野球クラブチーム。5月のラッキートーナメント、6月の全日本女子硬式野球選手権大会関西予選などに出場する予定。監督は元阪神、野原祐也氏が務めている。

◆阪神が近本が適時打を放ち、1点を追加した。  1-0の四回、先頭のD1位・佐藤輝(近大)が遊撃への内野安打、梅野が右前打を放つ。木浪は二飛に倒れたが、D2位・伊藤将(JR東日本)が投前犠打を決め、2死二、三塁と好機を演出。近本が畠の初球を捉え、二塁への適時内野安打となった。  近本は「打ったのはストレート。(伊藤)将司がしっかりとバントを決めてくれましたし、ピッチングも粘って投げてくれているので、なんとかランナーをかえしたいと思っていました。追加点を取ることができて良かったです」とコメントした。さらに、続く糸原が巨人の2番手・大江の初球を右中間へはじき返し、2点を追加する適時二塁打を放った。

◆阪神・サンズが4号2ランを放ち、リードを広げた。  「去年は桜井投手から3つ三振をしていたので、なんとか打ちたいと思っていた。(大山)悠輔も良いバッティングをしてくれたし、仕留めることができてよかった」  1点を返され、4-1で迎えた五回。先頭の大山が左前打を放ったところでサンズが打席へ。桜井の直球を完璧にとらえると、打球はバックスクリーン左に飛び込んだ。  今季から阪神の選手が本塁打を打った際に、球場内の大型ビジョンに高性能弾道測定器「トラックマン」のデータが表示。これが初お披露目となり、打球速度166キロ、角度30度、飛距離129メートルだった。

◆絶好調の阪神の糸原が快音を重ねた。一回の左前打で開幕から11試合連続安打をマーク。三回無死一塁は右前打で好機を広げ、1-0の四回には1点を加え、なお2死一、三塁で2点二塁打を放った。  一塁走者の近本がスタートを切り、代わったばかりの左腕大江の浮いた136キロを力強く右中間に引っ張った。初球を捉える積極性が実り「追加点を取っておきたかったので、ランナーをかえすことだけを意識して打席に入った」と納得のコメントを残した。  三回には今季初盗塁の二盗を決め、捕手大城の二塁送球が乱れる間に三塁走者の近本が先制のホームを踏んだ。バットだけではなく、足でもチームに貢献した。

◆ドラフト2位・伊藤将司(24)=JR東日本=が先発し、7回6安打1失点、6奪三振と好投。プロ初勝利の権利を持ってマウンドを降りた。  「初回はピンチもあり、バタバタしてしまいましたが、二回以降はランナーを出しながらも粘りのピッチングができたと思います。野手の方が本当によく打ってくれましたし、後はしっかりとチームを応援したいと思います」  プロ2度目の登板。立ち上がりの一回に2死一、二塁のピンチを背負うも亀井を三ゴロに打ち取り、無失点に抑えた。  五回に先頭の松原に四球。広岡を右飛も梶谷に右中間への適時二塁打を浴びた。だが、そこから崩れることなく、坂本を中飛、岡本和を遊ゴロに料理し、最少失点で切り抜けた。  毎回走者を背負ったが、粘り強い投球をみせた。7回、114球を投げたところで加治屋に交代。勝利投手の権利を持ってマウンドを降りた。

◆阪神が7-1で巨人に連勝。巨人に対しては9年ぶりの2連勝発進となった。先発したラフト2位・伊藤将司(24)=JR東日本=は毎回走者を背負う投球だったが、粘り強く投げた。五回に1点を失ったが、7回6安打1失点、6奪三振と好投。球団初となる、新人投手の巨人戦でのプロ初勝利を挙げた。  打線は三回に相手に失策も絡んで1点を先制。四回に近本の二塁への適時内野安打と糸原の右中間への2点二塁打で追加点を奪った。五回にサンズの4号2ラン、六回には大山の左翼線への適時二塁打と加点。13安打7得点の猛攻でチームは4連勝となった。

◆横浜高時代以来、7年ぶりに上がった甲子園のマウンドで躍動した。プロ2度目の先発で本拠地初登板したD2位・伊藤将(JR東日本)が巨人打線を相手に堂々の投球を披露した。  「優勝しているチームですし、自分ができることは試合を作ることだと思うので、そこを意識して投げていきたい」  5日の投手指名練習でそう意気込んでいた左腕は、有言実行の投球を体現した。  立ち上がりは制球がまとまらず、不安定だった。一回、先頭の広岡に左前打。続く梶谷は併殺崩れで走者が入れ替わり、直後の坂本の打席で盗塁死。その後、安打と四球で一、二塁とされたが、亀井を三ゴロに仕留めて踏ん張った。  4-0の五回に1死一塁で梶谷に外角の変化球を右中間へはじき返されて失点。その後は坂本を中飛、4番・岡本和を遊ゴロに打ち取り、最少失点にとどめた。  伝統の一戦でも物怖じせず、持ち味を発揮した。二回無死一塁で迎えた北村から三回先頭の広岡まで4者連続三振を奪い、圧倒。直球の平均球速は140キロ台前半ながら切れと緩急で打者を手玉に取った。  プロ初登板となった3月31日の広島戦(マツダ)では5回8安打2失点で試合を作ったが、勝ち負けはつかず。「前回は(制球)まとまっていない部分があったので、そこの修正をしていければ、良い結果が出ると思う」。初勝利へ2度目のマウンドで気を吐いた。  横浜高時代に2度、甲子園に出場(2年の夏、3年の春)したが、頂点には届かず、悔しい思いを経験。阪神に入団後はオープン戦などで本拠地のマウンドに上がる機会はなく、この日がプロ入り後初。「高校の時は甲子園で良い結果が出なかったので、リベンジしたい」と語っていたように、六回まで1失点に封じゲームメーク。  ウイニングボールを受け取った後、上がったお立ち台では「最高です。勝ててよかったです。(巨人は)強打者がいるチームなんで、その中で粘り強い投球ができたことはよかったと思います」と笑顔をみせた。  阪神の新人で巨人戦初登板初勝利は2016年の青柳以来、5年ぶり。プロ初勝利が重なったため球団史上初の快挙となった。セ・リーグの新人一番乗りとなる初勝利でチームは4連勝だ。(織原祥平)

◆ついに動いた。巨人・原監督が今季11試合目で打順を組み替えた。ここまでの10試合で1番打者として出場してきた梶谷を2番に置き、3月にヤクルトから交換トレードで加入した右の大砲、広岡を1番に起用した。  ヤクルト時代の2019年以来、2年ぶりの1番起用でいきなり結果を出した。  一回の第1打席。2ストライクから阪神先発、ドラフト2位左腕・伊藤将(JR東日本)の変化球を捉え、左前に運んだ。丸、中島ら主力が新型コロナの陽性判定を受けて出場選手登録を抹消された4日のヤクルト戦で決勝三塁打を放って以来、移籍後2本目の安打。ここまで打率・158(38打数6安打)と不振に苦しむ梶谷に代わっての1番起用で指揮官の期待に応えた。  だが、この日も強力打線は影を潜めた。指揮官が「今のジャイアンツは2点打線だから」と嘆く通り、最近8試合ではすべて3得点以下と沈黙。打線の奮起を期待してのテコ入れだったが、この日も打線は元気がなかった。一回。広岡、坂本の安打でチャンスを作ったが、後続が倒れ無得点。二回以降も阪神のルーキー左腕・伊藤将の緩急自在の投球に翻弄され、7回6安打1失点に封じ込められた。不動の1番を変える采配も、実らず、連敗で勝率5割となった。(樋口航)

◆セ界一の2番打者はもう誰にも止められない。この日、3度目の快音が甲子園に響き渡る。宿敵を突き放す一打にスタンドがわいた。糸原は塁上で両手をパンッとたたき、喜びを爆発させた。  「(伊藤)将司も頑張っていますし、追加点を取っておきたかったので、ランナーをかえすことだけを意識して打席に立ちました」  プロ初勝利を狙うルーキー左腕の背中を押したのは2-0で迎えた四回2死一、二塁の場面。D1位・佐藤輝(近大)の遊撃内野安打をきっかけに作ったチャンスで、大江の初球、136キロを見逃さなかった。白球は飛び込んだ二塁手・広岡のグラブを抜け、外野を転々。走者一掃の2点二塁打で勝利をグッと手繰り寄せた。  一回は粘って8球目を左前に運ぶと、三回無死一塁で迎えた第2打席は引っ張って逆方向へ。一、三塁と好機を広げると、足でも魅せる。続くマルテの4球目にスタート。これが相手捕手の失策を誘い、甲子園で13回1/3を投げ無失点と苦手とする巨人の先発・畠から先制点をもぎ取った。  早くも今季3度目の猛打賞。首位に立つ猛虎打線をけん引しているのは間違いなくこの男だ。開幕から全試合でヒットを積み重ね、これで11試合連続安打。昨年7月に記録した自己最長12試合連続安打にリーチをかけた。  「去年めちゃくちゃ悔しい思いをしているので、今年にぶつけるという思い。1試合1試合けがせずにチームに貢献できるように頑張りたい」  13試合連続安打の記録がかかった昨年7月22日の広島戦(甲子園)。右手に激痛が走り、無念の途中交代となった。診断の結果は右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折。絶好調の最中、長期離脱を強いられた。あのときの悔しさは忘れない。昨年、果たすことのできなかった記録まであと少しだ。  バットでチームを鼓舞する"名誉キャプテン"。五回にサンズがバックスクリーン左へ4号2ランを放ち、6-1とリードを広げた。シーズン最初の巨人戦でカード勝ち越しを決めるのは2016年4月以来。今年の虎は一味違う。糸原がつなぐ猛虎打線が、宿敵を打ち砕く。(原田遼太郎)

◆伊藤将はカーブを有効に使った緩急が絶妙で、切れのいい真っすぐを丁寧に低めに投げ、内容のある投球だった。走者を許しても、連打を許さないから最小限の失点で切り抜けられる。独特の変則フォームで、初対戦の打者が打ちにくそうにしていたのも印象的だ。  阪神の課題は先発ローテが右腕に偏っていることだったが、この好投でこの先も伊藤将が先発のチャンスをもらえる。チームとしても一気に視界が開けた。左腕が一枚加わるのは大きい。  何よりも褒めたいのは四回の送りバント。投手がバントを決めると、自分を助けることになる。実際、直後に3点の援護点が入った。投球だけではない、西勇に通ずる器用さを感じた。  もちろん課題もある。五回あたりから、疲れが出てくるとカウント球はいいコースに決まるが、勝負球が甘くなる傾向がみられた。勝利投手が脳裏をかすめ、勝負を焦ったのかもしれないが、今後の修正ポイントだ。先頭打者への不用意な四球が失点に直結することも肝に銘じてほしい。  とはいえ、見事なプロ初勝利。ルーキーの好投は、チーム全体に活気を与える。(本紙専属評論家)

◆阪神はドラフト2位・伊藤将司(24)=JR東日本=の7回1失点の好投などで、巨人に快勝。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 ■自信を持って送り出した  (テレビインタビュー)  ーー一番の勝因は  「伊藤将司のピッチングじゃないですか」  ーーどんな思いで送り出した  「ルーキーなんですけど、ルーキーということを考えさせないような、ピッチングも性格もそうなんで。自信を持って送り出しました。肝のすわったピッチングをしてくれました」   ーー「キャッチャー・矢野」の感性から見れば  「きょうが完璧ではないですし、良いのと悪いのがはっきりしたかなと思うんですけど。梅野もいろんなことをできる。キャッチャーが楽しめるようなピッチャーかなと思います」 ■藤本コーチが好判断  ーー攻撃面では積極的に走って点を取れた  「目立たないですけど藤本コーチ(三塁コーチ)も良い判断を、ずっとしてくれていますし。思い切った走塁につながっているかなと思います」  ーー監督就任直後から積極的にと言ってきたことが実を結びつつある  「点数に表れない部分もありますけど、僕としては全力疾走とか、高い意識を持ってやってくれているのが試合にも出たかなと思っています」  ーー4番の大山が連夜のタイムリー   「もっと打ってほしいなと思いますし、打てるボールも、あるだろうと思います。近本も出始めたんでね。1番、4番。2番のケント(糸原)やサンズも頑張ってくれていますけど、1番、4番が頑張ってくれたらもっともっとね」 ■日々前を向いて  ーー昨年3連敗から始まった巨人に連勝  「日々、前を向いて目の前の試合に全力で戦うことは変わらないですけど。二つ取れたというのはプラスにもなりますので、明日また全員でね、全員野球で取りに行きます」  (囲み取材)  ーー伊藤将は物怖じしない  「堂々と、ことしのルーキーみんなそんな感じやけど。インコースもアウトコースもね、右も左もすべての打者に対してコースは使えるピッチャーなんで。出し惜しみなく、落ち着いて投げたかなと思う」 その他の写真(2/2枚) ■伊藤将の犠打も絶賛  ーーバントを決めたのも大きい(四回1死一、二塁での犠打成功)  「すっごい大きい。あの流れでやっぱり二、三塁になって、近本やったら内野安打でも、バッテリーミスでも1点というのはなるから。追い込まれたけどよく送ったし、流れの中でも大きなホントにバントやったなと思います」  ーー糸原はずっとゲームを動かしている  「頼もしいよね。引っ張っても押っつけてもいけるし、作戦をやってもね、決めてくれる」 ■一点打法に幅を  ーー大山に練習中に声をかけていたが  「一点にボールを打ちにいくと、そこから曲がったり落としたり、していくわけで。一点でとらえるというよりは、その幅を持たせないとダメだから、打ちたいからこう、全部がこう一緒にまわっているというか。上と下って逆に回らないといけないんたけど、一緒になるから一点になっちゃう。そういうあたりを伝えた」  ーー攻撃面ではいろいろな形を巨人に見せられた  「特に変わったことをしているつもりはないし、そうやって結果に出れば言われることもあるけれど、やれるところでは走っているので、うちらしい野球ができたということで、ジャイアンツだからとか、今日の試合がよく走ったとか思っていない。うちにとっての当たり前というか、いけるところではどんどん行く」 ■ヒットが気持ちを押す  ーー佐藤輝は守備でいいプレーがあった(八回、大城の飛球を好捕)  「難しい判断やしね。球際のところでもしっかり捕れたし。今日はラッキーなヒットも2本あったんで(四、五回に2本の内野安打)。シーズンに入ればどんな形であれヒットというのは気持ちを押してくれたりする。日々成長して欲しい選手なんで。きっかけをつかんでいってくれたらなと思います」  ーー九回に石井大が久々に投げた  「そういう部分が大きいね。今日の勝ちの中では。加治屋もいったん落ち着くと思うし、大智(石井大)も開幕2試合投げてから、投げさせるタイミングがなかったんで。今日のボールを見せてくれて、また抑え方の内容を見ても、いいところにいけるなというね。あいつ自身のバロメーターにもなった」

◆巨人の畠は四回途中4失点で降板し、今季初先発を白星で飾れなかった。わずか66球の球数で交代を告げられ「うまく流れをつかむ投球ができずに申し訳ない。もっと工夫して、考えていかないといけない」とうつむいた。  三回は先頭打者の近本を四球で歩かせ、先制点の要因をつくった。宮本投手チーフコーチは「あんなことをやっていると成長はない」と苦言を呈した上で「一本立ちしてほしい投手の一人」とも述べ、次回の奮起に期待した。

◆巨人は7安打も1得点に終わり、投手陣は六回までに7失点。今季初の連敗となった一戦を原辰徳監督(62)が振り返った。  --投打がかみ合わず  「そうだね。なかなか主導権を握れないからね。展開としては良くないね。我慢、我慢」  --打順を変えたが  「まあ、ね。このメンバーで戦うしかないからね」  --1番に固定していた梶谷を2番に  「少し気分転換も含めてと思っているんだけど、打順は少しどういうものがあれするか。今はある種、チームとしては緊急事態でしょう。その中で、デンッとしているわけにはいかないし、やっぱり動く必要はあるでしょうね」  --1番には広岡を起用したが、ある程度日替わりになるか  「決め込むということは難しいということでしょうね」  --岡本が19打席ぶりに安打  「それはそういう位置づけの人ですからね」  --先発の畠  「畠はいいと思うけど、近本に、2打席目のストレート(4球続けて)の四球だよね。あれでかなり彼自身も(相手を)楽にさせちゃったね。それくらいかな。ボールそのものは悪くはないですよ」  --大城を途中から一塁につかせた  「そうですね。一番いい策を講じるというところ」  --きょうは木村拓也さん(2010年にくも膜下出血で急逝した元内野守備走塁コーチ)の命日だった  「そうですね。野球が大好きな人だったから、しっかり野球は見続けていてくれているでしょうね」

◆畠が3回2/3を4失点で、今季初先発を白星で飾れなかった。三回に味方の失策で1点を先制され、四回に3安打を浴びて降板。「うまく流れをつかむ投球ができず、申し訳ない」と肩を落とした。宮本投手チーフコーチは「チャンスを生かさなかったらプロじゃない。もう一度チャンスを与えますけど、成長した姿を見たい」と汚名返上を期待した。

◆初対戦の阪神D2位・伊藤将にプロ初勝利を献上して今季初の連敗を喫した。巨人・原辰徳監督(62)は「なかなか主導権を握れない。展開としては良くないね。我慢、我慢」と悔しさを飲み込んだ。  打線の組み替えも実らなかった。「チームとして緊急事態。デンッとしているわけにはいかないし、動く必要はある」と、開幕から1番に固定していた梶谷を2番に置く新打線で臨んだ。梶谷は五回に適時二塁打を放ったものの、劣勢をはね返す勢いはなかった。  9試合連続の3得点以下は2016年6月28日(対中日)-7月8日(対DeNA)以来5年ぶり。その間、2桁安打は一度もなく、本塁打はわずか3本。新型コロナウイルスの陽性判定を受けた丸、ウィーラー、中島、若林が不在の「緊急事態」を救う打者の登場が待たれる。(谷川直之)

◆阪神・伊藤将の父、正宏さん(51)は7日、千葉・横芝光町の自宅で巨人戦をテレビ観戦。愛息のプロ初勝利にお祝いメッセージをつづり、「将司」と命名したワケやアマ時代のエピソードを明かしてくれた。  うれしいの一言ですね。ましてや甲子園で勝てたことが一番だと思います。私自身、昔は巨人ファンだったけど、今は阪神ファン。将司のユニホームとか、グッズを一式そろえてテレビの前で応援していました。  試合中はヒヤヒヤしながら見守っていましたけど、ストレートがいいところにいっていたので、途中からは大丈夫かなと思っていました。  僕が昔、プロゴルファーを目指していたこともあって、ジャンボ尾崎さんのように日本一の男になってもらいたいなという思いで「将司」と名付けました。小さいころはゴルフ場に一緒に行ったりしていたけど、小学生のときに試しに初めて野球のボールを投げさせたら、いい球を投げていて。肩がよかったし、本人の意志もあって野球をやらせました。  小学校のジュニアチームの時は、土日は午前中くらいで練習が終わるから、午後からは僕が練習を手伝っていました。キャッチボールとかバッティングとか2時間くらい練習していましたね。  将司にとってのターニングポイントは横浜高校に入学したこと。野球のための越境入学だったから、最初は大丈夫かなとこっちも不安で心配していました。僕が牛乳の販売所を営んでいることもあって、試合があるときはグラウンドに行って、将司や部員たちに牛乳の差し入れした記憶は今でもあります。  大学4年にドラフト会議で指名漏れしてしまったときは将司も落ち込んでいたと思う。それでもあきらめずに野球を続けて、小学校からの夢をかなえて、甲子園で投げる姿を見ることができてすごくうれしい。まだプロ野球人生は始まったばかりだから、これからローテをずっと維持して頑張ってほしいな。

◆187センチ、94キロの巨体が揺れる。大きくバウンドした白球には脇目も振れず、D1位・佐藤輝(近大)は一心不乱に一塁ベースを駆け抜けた。同期の一番星につながる執念の激走-。大きな身体を目いっぱい躍動させ、甲子園をわかせた。  「変なヒットだったので、次はちゃんと打てるように頑張ります」  苦笑いを浮かべたが、ヒットはヒットだ。先頭で迎えた1-0の四回。近大の先輩・畠の初球、135キロに食らいつくと、打球は大きく跳ねて遊撃手の手前へ。全力疾走で内野安打をもぎとり、貴重な追加点のホームを踏んだ。勝負を決めた猛攻の口火を切った。  続く五回は三塁線に転がったボテボテの当たりに再びの全力疾走で2本目の内野安打。プロ初の2試合連続安打、そして3月27日のヤクルト戦(神宮)以来のマルチ安打をマークすると最後は守備で魅せる。八回2死三塁の場面。大城の打球は低い弾道で右翼を襲った。猛チャージをかけたルーキーは、迷わずスライディングし、最後はすくい上げるように白球を好捕。筒井外野守備走塁兼分析コーチと日々取り組んでいる守備特訓の成果を発揮し、スタンドからは大きな拍手が送られた。  走って、打って、守ってと大活躍のドライチ。右翼から見つめたのは、D2位・伊藤将(JR東日本)の力投だった。  「いっぱい三振とっていて、こっちも見ていて楽しいというか、安心していました」  プロ初勝利を目指して腕を振る同期の姿は、頼もしくもあり、刺激にもなる。「ナイスピッチングだと思います!」。まるで自分のことのように、喜びを爆発させた。  「きょうのヒットをきっかけに、ここからしっかり(状態を)上げていけるように頑張ります」  次は、会心の当たりで同期を援護してみせる。自慢のパワーでアーチを描き、ともにお立ち台で喜びを分かち合う。(原田遼太郎)

◆プロ初勝利を目指して奮闘するD2位・伊藤将(JR東日本)を勇気づけたのは、開幕からの連続試合安打を「11」に伸ばした糸原だ。  「ルーキーの伊藤(将)がすごい頑張っていたので、しっかりと援護ができてよかったと思います」  試合後、並んでヒーローインタビューを受ける左腕をねぎらった。勝負を決めた一打は、近本の適時打で2-0とした四回、なおも2死一、三塁の場面だ。  「積極的に自分でも仕掛けていこうと思っていた」  代わったばかりの巨人の2番手左腕、大江の初球、ランエンドヒットのサインに136キロ直球を右中間へ。今季3度目の猛打賞は2点二塁打となった。一回には左前打を放ち、三回には四球で出塁した近本とのヒットエンドランを決める右前打で無死一、三塁。ここで二盗成功。慌てた巨人の捕手・大城の悪送球を導き、足で先制に貢献だ。  打率・422。好調の原因を「昨年、悔しい思いをしている。それをぶつけるという意味で、強い気持ちで臨んでいる」という。昨季は開幕1カ月後の7月22日に右手有鉤骨の骨折で離脱。63試合の出場にとどまった。  精神論だけでない。さらなる高みを目指して、今オフは打撃フォームの修正を行った。糸原の担当スカウトで、現役時代の1985年には虎日本一に貢献した北村照文氏(64)=現社会人野球・深谷組ヘッドコーチ=は「バットを左肩に置く感じで寝かせて構えている。あれはスピードボールに速球に対応していくため」と明かした。  糸原は明大からJX-ENEOSを経て2017年にドラフト5位で入団。北村氏を通して、毎年、プロ野球選手を夢見る社会人選手へとバットを送っている。くしくもこの日、プロ初勝利をつかんだ伊藤将も大学、社会人を経験し、25歳シーズンで、プロの世界に飛び込んだ苦労人だ。  「いい形で助けられてよかった。まだシーズンは始まったばかりだけど、チーム一丸となって、しっかりと勝ちを重ねていきたい」。その輪の中心にいるのは、打撃絶好調の糸原だ。(三木建次)

◆セ・リーグ一番星は虎のジャンボ! 阪神は巨人に7-1で快勝。先発のドラフト2位・伊藤将司投手(24)=JR東日本=が7回1失点で、球団新人史上初となるG戦初登板プロ初勝利を挙げた。チームは今季最長の4連勝で、巨人戦2連勝発進は9年ぶり。孝行息子で首位をキープや!  8089人から送られる拍手を燃料に変え、1球1球に力を振り絞った。伊藤将がG打線を封じ込め、セ・リーグの新人一番乗りで白星をゲット。人生初のお立ち台でがっちりとウイニングボールをつかみ「最高です!」と笑みを浮かべた。  「強打者がいるチームなので、その中で粘り強いピッチングができた。低めに集めて、打たせて取ることができたのでよかったです」  横浜高3年春以来、7年ぶりの甲子園のマウンド。堂々と、冷静に打者を打ち取った。ハイライトは二回。無死一塁で北村を142キロで空振り三振に斬ると、三回先頭の広岡まで4者連続三振を奪ってみせた。  「右打者にはカットとか、ツーシームでゴロを打たせたり、三振も取れたのでよかったと思う」  4-0の五回に梶谷に適時二塁打を許したが、それ以降は粘りの投球を続けて追加点は与えず。7回114球を投げ、6安打1失点でプロ初勝利。虎の新人が巨人戦初登板でプロ初白星を挙げるのは史上初の快挙だ。  昨季8勝16敗で9年連続で負け越した宿敵に今年は、2012年以来、9年ぶりの開幕2連勝スタート。その原動力となったルーキーの力投に矢野監督も「あまりルーキーということを考えさせないような、本当に肝のすわったピッチングをしてくれた」と絶賛した。  座右の銘とする「報恩謝徳(ほうおんしゃとく)」の言葉通り、24年間で支えてくれた人たちに送る白星だ。転機となったのは国際武道大時代。恩師・岩井美樹監督の存在が左腕を変えた。 その他の写真(2/2枚)  大学ではより力を伝えやすくするために、右手を高く上げるフォームに変更した。それを見た岩井監督は「その投げ方のほうがしっくりくるんだろ? だったら自分の好きなようにやってみなさい」と言ってくれた。選手と向き合い、伸び伸びと育てる指導方法で才能が開花した。  しかし、4年時にチェンジアップを覚えたことでフォームが崩れて左肘を故障。大けがには至らなかったが、その影響でドラフト会議では指名漏れを経験した。悔しさに打ちひしがれる左腕の尻をたたき、背中を押したのも監督だった。  「けがをしてしまったのは、自分の責任。プロに行きたいのなら、都市対抗に東京都の第1代表で出場しなさい」  その言葉を胸に大学でマスターできなかったチェンジアップを社会人になって磨き上げ、JR東日本で都市対抗に出場。恩師との約束を果たし、小学校から夢だったプロ入りの実現をした。  将司という名前は、プロゴルファーの"ジャンボ尾崎"こと尾崎将司から、ゴルフ好きだった父に名付けられた。「ジャンボ尾崎さんに負けないぐらい有名になれるように頑張りたい」。初勝利を手にし、ようやくスタートラインに立った。これからジャンボをも超える球界を代表するスターへと成長する。(織原祥平)

◆ドラフト2位・伊藤将司が7回1失点でプロ初勝利、サイコーや!!  さらに『マスクが大事!!』の昨今に、キャッチャーマスクを被った梅ちゃんのリードはお見事。伊藤将のイメージは「ストレートの速度はそれほどではないけど、変化球がいい」のイメージを逆手に取りまくった直球、速球、ストレートのリードで巨人打線をバッサバッサ!! 梅ちゃん、サイコー!!  一方、巨人は1番・広岡(ヤクルトから移籍)、2番・梶谷(DeNAから移籍)、3番・坂本(ず~っと巨人)という打線を組み、ルーキー伊藤将を「アレ? もしかしてオールスター? ヤベ~、緊張するなあ(汗)」という錯乱戦法に出たのだろうか?  そんなもん、通用するかいなー!! 実は強い阪神だけど、初の2桁安打。さあ、この勢いで宿敵巨人に3連勝したれー!!

◆お昼前のニュース。MBSの野球中継でおなじみの赤木誠アナウンサーが、何とも残念なニュースを読み上げていた。  「きょうの大阪府の新たなコロナ感染者は800人台の後半になる見込みです」  あらら~。やがて、感染者は878人と発表される。感染拡大は収まる気配は全くなし。大阪府は医療非常事態宣言を発し、「不要不急の外出を控えるように」というフレーズが、再び繰り返される状況になってきた。困ったもんだ。  こんな時に甲子園で野球をやっている場合か、と超正論メールを送ってきた知人がいる。そうかなぁ。私はそうは思わない。こんな時こそ、ルールを守って観戦しているファンのために、激励を込めて、野球の素晴らしさを伝えてもらいたい。  昨夜も伝統の一戦はドラマがいっぱい。試合前から、いろいろ考えるだけで楽しい。これも、試合があるからこそ。  TG決戦今季第2ラウンドは大きなテーマが2つ。1つはルーキー伊藤将司のプロ初勝利なるか。もう1つは巨人先発・畠vs佐藤輝。近大の先輩後輩対決だ。  トラ番キャップ・長友孝輔は「畠には忘れられない思い出があります」と伝えてきた。あれは畠がドラフト会議で巨人2位指名を受けた直後の2016年暮れ。ちょうど、糸井嘉男がオリックスからFA宣言して阪神入りを決断した直後でもあった。  近大硬式野球部の「OB開明会」に"潜入"して、近大4年の畠と、OB会長でもあったミスター・ロッテ、有藤通世氏を取材した長友。当時はまだトラ番の一兵卒だった。  --糸井先輩が阪神に入って、伝統の一戦で対戦することになるけど...  長友記者の畠への質問に、横から乱入したのが有藤さん。  「ぶつけるぐらいの球を投げてやればいいんだ。1年目なんだから」  何とまあ過激な大先輩の"糸井攻略法"。畠の表情も引き締まったらしい。「ガツンと内角を攻めていきたいと思います」と堂々、先輩をエグる宣言。以降、畠は阪神戦で好投を繰り返した。この日の登板前まで、甲子園ではプロ入り以来無失点を続けてきた。  そして今度は、畠先輩への刺客となれるか-。怪物ルーキーが挑む新たなドラマは想像しただけで楽しい。  結果は...。  佐藤輝がまたまたバットを折られて。でも次打席はしぶく内野安打。この先、何度も対戦するであろう近大対決を期待しよう!  「きょうは伊藤クンでしょう。開幕前から、初勝利を信じて、いろんな準備をしてきたので」  試合前からハラハラしていたのは、トラ番の中で投手陣を担当している織原祥平。年齢も近いから親近感もあるのだろう。前回先発(3月31日の広島戦)もマツダスタジアムで固唾をのんで見守りながら、惜しくも...だったから、この夜にかける意気込みは相当のようだった。  「開幕3連勝のヤクルト戦は会社で観戦。伊藤クンの勝利を信じて、満を持して乗り込んだ広島で連敗。結構、気にしてます。だから...」  織原の願いが通じたのか、それとも伊藤将の実力か。もちろん、実力です。7回1失点。虎にまたまたスター候補のルーキーが。思い描くだけでワクワクする。  さあ、楽しい野球でコロナを吹っ飛ばそう。

◆開幕3週目で早くも「叱咤(しった)激励型」の評論をせざるをえないとは...。巨人は投打にわたって、厳しい状態だよ。  打者は総じて、体に切れがない。だから、しっかりとしたスイングができない。阪神の先発左腕・伊藤将はコントロールこそよかったものの、本来なら軽くヒットにできそうな、真ん中の甘いチェンジアップに引っ掛かり続けた。  ボールを呼び込み、タメをつくって、バシッと鋭くたたく。そういう切れのあるスイングを取り戻さないと、当分、打てないとみる。  投手も生きたボールを投げられない。先発右腕の畠が、左打者にことごとく打たれたのは、内角高めに速球を投げ切れていないから。外へ外へと逃げていき、それが真ん中に入ると、痛打されるわな。  スピードガン表示でそこそこの数字をマークしても、ボールに回転と切れがなければ、意味はない。ボールが生きていれば、真ん中に入っても抑えられるものなんだ。  もし、打者にも投手にも、エモトの助言に耳を傾ける気持ちがあるのなら-。今週の『週刊エモト』で語ったことを、繰り返したい。「調整ではなく、練習してきなさい!」。トレーニングのやり方を工夫して、鍛え直すべきだよ。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
830 0.727
(↑0.027)
-
(-)
13249
(+7)
28
(+1)
10
(+1)
6
(+1)
0.251
(↑0.013
2.650
(↑0.18)
2
(-)
広島
641 0.600
(↓0.067)
1.5
(↓1)
13234
(+2)
25
(+3)
11
(+2)
2
(+1)
0.250
(↓0.008)
2.040
(↓0.12)
3
(-)
巨人
443 0.500
(↓0.071)
2.5
(↓1)
13235
(+1)
40
(+7)
6
(-)
8
(-)
0.216
(↓0.001)
3.320
(↓0.32)
4
(-)
中日
452 0.444
(↑0.069)
3
(-)
13230
(+3)
34
(+1)
1
(-)
7
(-)
0.212
(↓0.006)
2.610
(↑0.16)
4
(-)
ヤクルト
452 0.444
(↑0.069)
3
(-)
13239
(+3)
47
(+2)
8
(-)
8
(-)
0.234
(↑0.003)
4.040
(↑0.21)
6
(-)
DeNA
272 0.222
(↓0.028)
5
(↓1)
13245
(+1)
58
(+3)
6
(-)
3
(+1)
0.278
(-)
4.970
(↑0.35)