阪神(☆1対0★)中日 =リーグ戦2回戦(2021.04.03)・京セラドーム大阪=
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中日
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阪神
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勝利投手:スアレス(1勝0敗1S)
敗戦投手:福 敬登(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆阪神がサヨナラ勝利。阪神は両軍無得点で迎えた9回裏、2死一二塁の好機で山本の適時打が飛び出し、試合を決めた。投げては、先発・青柳が8回途中無失点の好投。3番手・スアレスが今季初勝利を挙げた。敗れた中日は、先発・柳が好投するも、打線が好機を生かせなかった。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、1日広島戦以来の本塁打を地元ファンの前で放てるか、注目だ。「6番右翼」で先発。新人が開幕から3カード連続本塁打なら、プロ野球史上初の快挙となる。 この日の試合前フリー打撃では、53スイングで4本の柵越え。右翼での守備練習、走塁練習を終えるとバント練習も行った。 中日先発柳は、昨季阪神戦3試合に登板し、カード別最多の10失点で防御率5・19。阪神打線は今季も"お得意様"にしたいところだ。

◆中日根尾昂内野手(20)が、大阪桐蔭の先輩でもある平田良介外野手(33)とともに今季初めてスタメンから外れた。根尾は開幕戦から「8番・左翼」、平田は「5番・右翼」で7試合連続出場してきたが、この日は2人ともベンチスタート。根尾に代わって、2日に「2番・二塁」でプロ初スタメン出場した高松渡内野手(21)がこの日は「2番・左翼」、球界現役最年長の福留孝介外野手(43)が14年ぶりの古巣復帰後初めて「5番・右翼」でスタメン出場を果たした。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が青柳晃洋投手(27)、中日が柳裕也投手(26)。「柳」対決を制するのはどちらか。 阪神の1番近本光司外野手(26)は2日に今季初タイムリーと初マルチ安打を記録し、復調の兆しを見せる。また、ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)は前カードの1日広島戦で2号ソロ。開幕カードのヤクルト戦でも本塁打を放っており、開幕3カード連続本塁打なら、ドラフト制後、新人では球界初となる。

◆球界現役最年長の中日福留孝介外野手(43)が今季初安打をマークした。 この日は平田に代わって、古巣復帰後初となる「5番・左翼」でスタメン出場。2回1死走者なしで迎えた第1打席で阪神先発青柳から左中間フェンス直撃の二塁打を放った。中日では07年7月16日ヤクルト戦(ナゴヤドーム)以来のヒットになった。

◆阪神青柳晃洋投手(27)が今季初のホームゲーム登板で観客をクスッとさせた。 チーム屈指の「雨男」として知られ、「雨柳(あめやぎ)さんフェイスタオル」も人気の右腕。 3回2死から打席登場曲の徳永英明「レイニーブルー」が流れ、自身をネタにしたとしか考えられない選曲に球場全体をザワザワさせた。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が「6番右翼」で先発し、第1打席は空振り三振に倒れた。カウント2-2から、中日先発柳の142キロに空を切った。柳はクイック気味の投球を交えるなど、工夫を凝らしてきた。 第2打席は5回1死。柳の初球133キロをたたき、一ゴロに倒れた。 佐藤輝は3月27日ヤクルト戦で左腕田口からプロ1号。1日広島戦では、右腕中村祐から2号ソロを放った。新人の開幕2カード連続本塁打は89年中島輝士(日本ハム)以来。3カード連続なら2リーグ制後初の偉業となる。

◆阪神青柳晃洋投手(27)が7回1/3を4奪三振7安打4四球で無失点と好投した。 初回から毎イニング走者を背負いながら要所を締める投球。6回2死満塁のピンチでは6番阿部を遊ゴロ、7回2死一、二塁でも2番高松を遊ゴロに仕留めた。 8回1死から4番ビシエドに四球を与えたところで2番手岩崎と交代。0対0の状況で降板して勝ち負けはつかなかったが、粘投でチームを鼓舞した。

◆阪神岩崎優投手(29)が2番手で2/3回を無失点に抑え、周囲を安心させた。 前日2日中日戦は2点リードの終盤に登板せず、試合後に矢野監督が「今日はちょっと使えない感じだった」と説明していた。 体調面で不調があったとみられるが、一夜明けたこの日は両チーム無得点で迎えた8回1死から登板。5番福留を空振り三振、6番阿部を右飛に仕留めた。

◆阪神が山本のサヨナラ打で今季ホーム初白星を挙げた。 打線は8回まで柳に二塁も踏めなかったが、9回に福にスイッチして流れを変えた。2死一、二塁から2番山本が中越えにサヨナラタイムリー。1-0で今季ホーム初白星となった。 投手陣では、先発の青柳は毎回走者を背負いながら粘りのピッチング。6回は2死満塁から阿部を遊ゴロに抑え、7回は2死一、二塁から2番高松を遊ゴロに仕留めた。8回途中7安打無失点と先発の役割を果たした。2番手岩崎、3番手スアレスとつないで中日打線にホームを踏ませず、執念の継投が実った。

◆阪神青柳と中日柳の両先発が投手戦を繰り広げる。青柳は3回まで毎回安打を許しながら無失点。柳は3回まで完全投球。 中日は6回に2死満塁としたが阿部が遊ゴロに倒れ先制ならず。その裏、阪神は無死から木浪の内野安打が出たが無得点。 阪神がサヨナラ勝ち。9回2死一、二塁から山本が中越えに運び、試合を決めた。中日は2番手福が柳の好投に続けなかった。 スアレスは1勝目、福は1敗目。

◆阪神がサヨナラ勝ちで今季のホームゲーム初勝利を飾った。0-0で引き分け寸前9回2死一、二塁。山本泰寛内野手(27)が人生初というサヨナラ打で試合を決めた。昨オフ巨人から金銭トレードで移籍し、虎党の前で初めてのお立ち台。「タイガースの一員になれた」と喜びを爆発させた。チームは貯金を2として2位に浮上。セ界王者巨人で鍛えられた男が、16年ぶりVへの起爆剤となる。京セラドーム大阪が沸いた。中堅フェンス手前まで飛んだ打球を見届けると、山本は両手を大きく広げた。ベンチから飛び出してきたナインからは、歓喜のウオーターシャワーだ。人生初というサヨナラ打。「タイガースの一員になれた気がして本当にうれしいです!」と喜びを爆発させた。 スコアボードは9回表まで両軍0行進。凡退なら引き分けの2死一、二塁で打席が回ってきた。「積極的に。初球から浮いてきた球は逃さずいく」。感覚を研ぎ澄まし、中日2番手福の127キロスライダーを捉えた。前進守備を敷いていた中堅大島の頭上をはるかに越える二塁打。「あの場面で代打を送らないで使ってくれた監督に感謝したいと思います」。8回に守備から途中出場した男が、ワンチャンスをものにした。 その集中力を鍛えてくれた師がいる。巨人にいた昨季は5年目で初の1軍出場なし。「来年は、来年は...とずっと思って取り組んできた」とジャイアンツ球場で汗を流し続けた。阿部2軍監督からは「頭で考える」ことの大切さを教わった。「(学んだことは)全てだと思います。狙い球を絞って、思い切っていくところはいく。すごく学びました」。教えを体現する、値千金の一振りだった。 昨オフに金銭トレードで阪神に加入。手薄な右打ち内野手の活躍に矢野監督も「小技もできるし、守備もできるし、打つ方も悪くないし。レギュラーになれる力は持っていると思う」と大絶賛。「明日も左が来れば、スタメンももちろん考えている」と、左腕小笠原が予告先発の、4日のスタメン起用も示唆した。 妻はMBS辻沙穂里アナウンサーで現在産休中。近々子どもが誕生する予定で、大黒柱として一層気合が入る。「今日の勢いそのまま、また連勝ができるように、しっかり継続して結果が残せるように準備していきます!」。背番号00が自己紹介替わりの活躍で、虎党のハートをつかんだ。【中野椋】

◆阪神は0-0の9回2死一、二塁から山本の中越え二塁打でサヨナラ勝ちした。わずか3安打ながら少ない好機を生かした。 柳が8回2安打無失点と快調だった中日は打線に逸機が続き、9回は2番手の福が痛打を浴びた。

◆発案者は岩崎優投手(29)だった! 無失点の好投でサヨナラ勝利につなげた阪神青柳晃洋投手(27)が試合後、初お披露目された今季の打席登場曲について舞台裏を明かした。 チーム屈指の「雨男」として知られ、「雨柳(あめやぎ)さんフェイスタオル」も人気の右腕。3回2死から打席登場曲の徳永英明「レイニーブルー」が流れ、自身をネタにしたとしか考えられない選曲で観客をクスッとさせていた。 青柳は「あれは完全に岩崎さんがやってくれたので(笑い)。僕も(打席に)立つまで知らなかった。いい選曲だなと思いました。ぴったりかなと思います」とニッコリ。 投げては毎回走者を背負いながら7回1/3を4奪三振7安打4四球で無失点。「今日はあまり調子が良くなかった。その中でも結果ゼロで行けて、先発としての役割は果たせたかな」と充実感を漂わせた。

◆中日は今季初のサヨナラ負けの中で、先発柳裕也投手が8回2安打無失点と結果を残した。 オープン戦から調子が上がらず3月27日広島戦でも4回3失点で降板。柳は「精神的にも技術的にも良かった。次はチームを勝たせる投球をしたい」と自らに合格点を与えた。与田剛監督は「素晴らしかった」と、エース大野雄大投手らに続く右腕の快投をたたえた。

◆阪神 ドラフト1位の佐藤輝明内野手は8打席連続ノーヒットで打率1割3分3厘となった。 この日は柳の前に3打数無安打。2回は直球、8回はシンカーで空振り三振に仕留められた。4日の同戦では、ドラフト制後では新人初となる開幕3カード連続弾の期待がかかる。

◆中日は9回から2番手で登板した福敬登投手(28)が2死一、二塁から途中出場の山本に痛恨のサヨナラ二塁打を打たれて、勝率5割に逆戻りした。 ただ、敗戦の中に光明もあった。先発柳裕也投手(26)が8回2安打無失点と好投。初スタメン起用の球界現役最年長の福留孝介外野手(43)が中日復帰後初安打をマークした。 与田剛監督の試合後の一問一答は以下の通り -福が先頭四球で最後に打たれた 「そうですね。こういう緊迫したゲームなんでね。(福を)責められないところですね」 -柳がいい形で8回まで投げた 「素晴らしかった。球数もそうだし、ペースも非常に良かった。しっかりいいコースに投げられていた」 -変化球を含め精度が上がった 「全体的に球も低めに集まっていた。本当に良かったと思う」 -1週間前と比べて良くなった要因は 「ブルペンでのフォームチェックもそうだし、いろいろ自分で反省したと思う」 -打線は前日に引き続き高松を2番に起用したのは 「まあ、守備でもいいプレー見せてくれた。機動力も含めて何とか絡めていきたいな、と」 -福留も初スタメン 「第1打席でやっといい形のヒットも出た。一安心です」 -相手や状態見ながら 「もちろん。オーダーは時と場合によって考えて行きたい」 -柳の粘りはリリーフの負担を減らせたか 「リリーフもこのところ投げている。前にも話したが、今年は柳、小笠原がしっかり台頭してくれたらいい」 -何とか1本が欲しかった 「本当。その前に点が取れれば楽なゲームになった。そんなに簡単にはいかない。青柳にもいいピッチングをされた。次につなげないといけない」

◆阪神が今季初の完封勝利だ。 8回に青柳を救援した岩崎優投手(29)が後続を断ち、9回は守護神ロベルト・スアレス投手(30)が0のバトンをつないだ。7番京田、8番木下拓を内野ゴロに仕留めると、最後は代打井領相手にこの日最速の159キロで見逃し三振。その裏の山本のサヨナラ打につなげ、初白星がついた。矢野監督は試合後、「スアちゃんにバトンを渡すのが僕らの役割。スアちゃんに渡せた時点で任せています」とあらためて全幅の信頼を寄せた。

◆阪神先発の青柳晃洋投手(27)が、8回途中無失点でチームのサヨナラ勝ちに貢献した。毎回走者を背負う苦しい展開だったが要所で踏ん張り、得点を与えなかった。 最大のピンチは6回。2死から高橋周、ビシエドに初めて連打を浴び、続く福留も申告敬遠で満塁となった。だが阿部を初球の内角142キロで遊ゴロに料理。前打席で粘られて四球を与えた6番を斬り、グラブをたたいた。「今日はあまり調子が良くなかった。毎回ランナーを出しましたし、その中でも結果ゼロで取れて、先発の役割を果たせたかなと思います」。7回1/3で7安打4四死球も粘り腰発揮の112球だった。 昨年までのチームメートで、左打者の抑え方のアドバイスを受けていた福留とも対戦。1度目の対戦では左中間へ二塁打を打たれが、2打席目ではシンカーで併殺打に仕留めた。「シンカーだったりカットだったりで、去年に比べたら左を抑える術は増えました」。対左の被打率は昨季、2割8分8厘だったが、今季は2割4分1厘に抑えて手応えも実感する。 矢野監督も目を細めた。「四球は出したけど、どんどん粘ってこれてるというのも成長の1つ。意図したアウトが本当に多くなってるので、結果的に0で抑えてる中身以上の部分はすごく出てきている。そういうところで成長してるんじゃないかと思います」。安定感を見せる右腕に高評価だ。 「雨男」と「青」にちなんでか、今シーズンは打席に立つ際に徳永英明の名曲「レイニーブルー」が流れ、この試合で初めて使用された。岩崎が選曲し、青柳本人には知らされていなかったというが、「ぴったりかなと思います」と笑った。この日の関西は快晴で、しかも京セラドーム大阪とあっておなじみの「雨柳さん」は無縁。チームのサヨナラ勝ちを呼び、晴れやかな笑顔だった。【林亮佑】

◆球界現役最年長の中日福留孝介外野手(43)が、中日復帰後初となる今季初安打をマークした。古巣阪神との2戦目は平田に代わって、「5番・右翼」で初のスタメン出場。初安打を含め2度の守備機会も無難にこなし健在ぶりを見せつけた。 初安打は揺さぶりのジャブから始まった。2回1死無走者、阪神先発青柳の初球スライダーにバントの構えで見送った。フルカウントまで粘ってからの7球目を強振すると、打球は左中間フェンスを直撃。二塁に到達すると小さく拳でガッツポーズ。一塁ベースコーチの荒木内野守備走塁コーチとグータッチで喜びを分かち合った。 「1本出てホッとしたのが1番。(ガッツポーズは)自然と出たと思う」。9971人が見守った中で、中日の選手としては、07年7月16日ヤクルト戦以来、5010日ぶりのヒットだった。 福留の14年ぶりの中日復帰は、ナインにさまざまな効果を与えている。8回2安打無失点と好投した柳もその1人。3月27日の広島戦で4回3失点降板後にベンチでアドバイスを送り、2日にも練習中に助言。開幕から8試合連続安打の大島も「アドバイスをもらう」と話す。 平田、根尾をベンチに下げ、福留を初めてスタメン起用した与田監督も「第1打席でやっといい形のヒットも出た。一安心。オーダーは時と場合によって考えていきたい」と、今後もスタメン起用を含め積極的にベテランを活用することを明言した。 昨年阪神から戦力外を通告され、12月中旬に中日入団。空白の期間には現役引退も頭をよぎり「それも自分の野球人生。仕方ない」と家族と話し合った時期もあった。球団創設85周年での10年ぶりのV奪回が竜の悲願。ベテランが貴重なピースとして輝きを増してきた。【伊東大介】

◆阪神が今季初の完封勝利を収めた。阪神矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。 -しびれる試合だった いやあ、しびれましたね。もうちょっと早く決めたかったですけどね。でもヤス(山本)が最後、本当にいい形で決めてくれてめちゃくちゃうれしいです -9回は脇役たちがサヨナラの形を作った そうですね。9回はね、フミ(原口)が何とかね、見極めて出てくれましたし。ジョー(北條)もね、その前からドキドキしてベンチでね。ずっと準備してましたし。あそこでバントを決めるのも簡単なことじゃないんで。でまあ、やすとね。もちろんその前には中継ぎや、青柳の頑張りっていうのがあったからこそなんで。こういう試合だからこそ勝ちたかったですね -昨日の借りを返した うんまあね。昨日も本当は勝ちたかったですけど。まあシーズンのなかでいろいろあると思うんでね。もっともっと成長していけるようにしていきます -先発の青柳について あそこまでいったらね、本当はいかしてあげたかったんですけど、まあちょっとあそこでスグル(岩崎)にバトンっていうことで。本当に申し分のない、本当に成長した青柳っていうのを見られている。 -心配していた岩崎も見事だった そうですね。昨日(2日)はちょっとね、出せない状況だったけど、きょう投げて僕もホッとしていますし。いてくれるっていうのはね。本当に大きな存在なんでね。あそこ締めて、スアちゃんがしっかりっていうね、うちのパターンがきょうもできたんでね。ひとまずホッとしています -スアレスは安定している スアちゃんにバトンを渡すのが僕らの役割なんでね。スアちゃんに渡せた時点で任せてます -サヨナラ勝利を振り返って きょうの引き分けもね、引き分けでも負けてはないんですけど、ムード的には昨日の流れを引きずってしまうような部分もあったかもしれないんで。そういうところではヤギ(青柳)の粘りと投手の粘り。後から出て行った選手がこういう試合をつくってくれたことに心強く思います。 -山本はマツダでは好守備もあったが打撃も 打撃もオープン戦はちょっと結果は出ていなかったけど、中身というか内容がすごく悪いかと言えばそんな感じはなかったし。いろいろ小技もできるし、守備もできるし、打つ方も別に悪くないし。レギュラーになれる力というのは持っていると思うんで。 -柳は打ち崩せなかった。 もちろんシーズンの中でね。でも、ボールを振ってる、まあいいところに来てるからボールを振っちゃうんだけど。そんな俺らがベンチから見てる程、簡単なことじゃないっていうのはわかってるけど。まあいいピッチャー対策っていうところであれば、あの1球をどうバッター陣が、一人が1球ね、見逃せたら、これはチームとして大きな力になれるのでね。そういうところが、打ちにいくんだけど見逃すっていう。これはすごく難しいんだけど。まあそこのレベルアップっていうのは、いいピッチャーにはより必要になってくるし。そういうのは今日あったかな

◆阪神矢野燿大監督(52)の執念采配が、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。「こういう試合だからこそ勝ちたかった」。0-0の9回裏、8番からの攻撃で1点をもぎ取った。先頭の代打原口が四球を選び、代打北條が投前犠打を決めた。「ジョー(北條)もその前からドキドキしてベンチでね。ずっと準備してたし、あそこでバントを決めるのも簡単なことじゃないんで」。 8回まで柳に2安打に抑えられた。だが最終回に初めて二塁へ走者を進めると3打数無安打で、打率1割2分1厘の近本に代打陽川を告げた。近本への代打は昨年7月16日のヤクルト戦以来3度目だが、今季は開幕からチームで唯一フルイニング出場だった不動の1番。だが、相手の左腕福も考慮し、勝負に出た。その陽川は申告敬遠で一、二塁。最後は山本が決めた。 継投も攻めの采配で今季初めて0を9個並べた。8回1死一塁、打者福留の場面で0封の先発青柳から左腕岩崎へスイッチ。岩崎は福留を空振り三振、阿部を右飛に斬り、9回の守護神スアレスにつないだ。 前日はコンディション不良とみられる岩崎を回避し、2点リードの8回に逆転負けを食らった。矢野監督も「(岩崎が)投げて僕もホッとしている。いてくれるというのはね。本当に大きな存在」とひと安心だ。 最後は脇役たちが束になって激勝。「引き分けでも、ムード的には昨日の流れを引きずってしまう部分もあったかもしれない。後から出て行った選手がこういう試合をつくってくれたことに心強く思う」。分厚くなった選手層を実感する1勝になった。【石橋隆雄】

◆阪神が単独首位に躍り出た。阪神矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。 -カード勝ち越し ちょっとね、今、打線が点を取れていないのでムードが重いですけど、その分投手陣がね、本当によく粘ってやってくれてるっていう感じですね。 -近本に待望の1発 ホームランっていうよりはね、ヒット2本、3本というのがチカ(近本)の持ち味かなと思いますけど、どんな形であれいまはヒットがほしい状況だと思うので。そういうところではもう1本、バントもヒットになりましたし。こういうところからのっていってもらいたいですね。 -佐藤輝に代わって出場した陽川が勝ち越し打 何とかね。重いムードを陽川があそこで返してくれたおかげで、こっちに流れがくる1本になったんでね。ずっとバッティングの状態もよかったですし、使いたいなっていう風には思っていたんですけど。そういうところでは勝負所でね、1本打ってくれたんでね。いい仕事をしてくれました。 -佐藤輝は代打で登場し、球場がわいた いい場面だったんでね。楽しみもありますし。一番打席に立っている、今控えにいるなかでは打席に立っている選手なので。そういうところでは大いにチャンスがあるんではないかなというところで佐藤輝でいきましたけどね。 -打球も行ったかと いやちょっと、バットも折れてましたしね。そんないったかなって感じはベンチからはなかったですけど。 -佐藤輝のコンディションは それは関係ないです。 -ガンケルは 安定感ある、ゴロ打たせながら丁寧に投げてくれて。最後あと1人というところも行ってくれたんで。あとしっかり勝ちパターンにつなげたので。 -リリーフ陣も安定している 序盤始まってまだ流れが、まだまだつくるというところまでいってないですけど、その中で流れができる形になってる。後ろの投手はウチの強みであるんで。そういう意味ではどんどん勝ってる中、いってもらおうかなと思ってます。 -週明けは甲子園で巨人戦 そうですね。久しぶりに甲子園に帰りますし。僕たちの元気な姿を、まだまだ規制はありますけど、球場、テレビやラジオで応援してもらえると思うので僕がしっかり元気を届けたい。

◆絶好調の阪神糸原健斗内野手がリードを2点広げる右前タイムリーを放った。 7回無死一、三塁。「中野と近本がいい形でつないでくれたので、何が何でもかえすという気持ちで打ちました」。谷元のフォークをとらえ、前進守備の一、二塁間をしぶとく破った。開幕から9戦連続安打で打率4割5厘。矢野監督も「頼りになるよね」と絶賛の1打だった。

◆阪神ドラフト6位中野拓夢内野手が貴重な追加点の起点になった。 1点リードの7回先頭で代打出場し、谷元の8球目フォークを中前に運んだ。「甘い球が来たら積極的に振りにいこうと思っていた」。ここから打線がつながり、糸原の適時打で3点目のホームを踏んだ。開幕から代打、代走の起用が続くが8打数4安打で、打率5割と好調をキープ。矢野監督も「ほんとにバッティングは非凡なのものがある」と目を細めた。

◆勝利の方程式トリオがパーフェクトリレーで中日に反撃のスキすら与えなかった。まずは7回1死で、先発ガンケルからバトンを受けた岩貞が登板。左の滝野と井領を打ち取り、「ガンケルも気持ちの入ったピッチングをしてくれていましたし、その流れに乗って投げることができました」と会心の笑顔。8回は連投の岩崎が、1番から始まる打順をピシャリと抑えた。「3人でしっかりと終えることができてよかったです」。 もちろん最後は守護神スアレスだ。ビシエド、平田、福留の強打者を力でねじ伏せ3人斬り。「セーブの場面に備えてしっかり準備できました」と、わずか9球で2セーブ目に胸を張った。開幕戦以来の3人そろい踏み勝利。矢野監督は「後ろの投手はウチの強み。どんどん勝ってる中、いってもらおうかなと思っています」とますます信頼を高めていた。

◆中日・福留孝介外野手(43)が「5番・右翼」で今季初めてスタメン出場する。中日でのスタメンは2007年7月15日の阪神戦(甲子園)に「3番・右翼」で出場して以来、5011日ぶり。中日復帰後初の阪神戦となった2日は代打から出場して2打数2三振で、今季初めて守備にも就いた。試合後は「ファンの声援はすごくありがたかったですし、声援をもらって感謝しかないです」と温かい拍手を送ってくれた虎党に向けたコメントも残した。ここまでの7打席で出ていない移籍後初安打は大阪の地で飛び出すか。  また、開幕から7試合続けて「8番・左翼」で出場していた根尾昂内野手(20)が開幕8試合目で初めてスタメンから外れた。ここまでは打率・136(22打数3安打)、1打点。試合前は内外野でノックを受けるなどして準備した。

◆中日・福留孝介外野手(43)が「5番・右翼」で今季初となるスタメン出場し、今季初安打を放った。  二回1死走者なしで迎えた第1打席だった。相手先発・青柳との対戦で粘ってフルカウントに持ち込むと、7球目で外角に投じられた144キロのツーシームを振り抜き、左中間へとはじき返した。打球はフェンス手前まで伸び、悠々と二塁へ到達。小さく手をたたき、グッと右こぶしを握って手応えを表現した。  今季は試合前まで7打席に立ち、5打数無安打2四球。待望の古巣復帰後初となる今季最初の安打は、大阪の地で飛び出し、竜党だけでなく、昨年まで味方だった虎党からも、大きな拍手を浴びた。

◆阪神・青柳晃洋投手(27)が7回1/3を投げて、7安打されたものの無失点に抑えた。  毎回走者を背負ったが、粘り強く投げ、ホームは踏ませなかった。二回に1死から昨季まで同僚だった福留に左中間へ二塁打を許したが、阿部を空振り三振、京田を遊ゴロに料理し、得点は許さなかった。  六回には2死から高橋周に右前打、ビシエドに右翼へのエンタイトル二塁打を許すと、福留は申告敬遠で満塁のピンチ。続く阿部を遊ゴロに打ち取り、切り抜けた。  八回にもマウンドに上がると、先頭の高橋周を遊ゴロ。続くビシエドに四球を与えたところで、マウンドを岩崎に譲った。中日打線をゼロに抑えたが味方打線の援護もなく、今季2勝目とはならなかった。

◆阪神は0-0の九回2死一、二塁から山本の中越え二塁打でサヨナラ勝ちした。わずか3安打ながら少ない好機を生かした。柳が8回2安打無失点と快調だった中日は打線に逸機が続き、九回は2番手の福が痛打を浴びた。

◆阪神は中日に1-0で勝利。山本泰寛内野手(27)がサヨナラとなる適時二塁打を放った。  八回まで中日の先発、柳にわずか2安打に抑えられていたが、九回。2番手の福を攻めた。先頭の原口が四球。北條が投前犠打を決めると、陽川が申告敬遠で1死一、二塁とした。続く糸原は左飛に倒れるも、八回の守備から出場していた山本が初球のスライダーをとらえた。中越えの適時二塁打となり、劇的な勝利となった。  先発した青柳晃洋投手(27)は毎回走者を背負いながらも粘り強い投球。7回1/3を投げて、7安打無失点に抑えた。

◆中日・柳裕也投手(26)が先発し、8回2安打無失点と好投した。  「精神的にも技術的にもバランスがよかった。阪神は長打のある打者が多いので、低めは意識していました」  四回1死までパーフェクトと文句なしの立ち上がりを披露。糸原の二塁内野安打で最初の走者を背負っても、マルテは外角低めにカットボールを集めて空振り奪三振。昨年9月18日(ナゴヤドーム)に満塁弾を浴びるなど「彼に打たれることは多い。意識して対戦している」という同学年の4番・大山は縦のスライダーで左飛に打ち取った。  最後の攻撃となる九回が7番から始まることから、八回は「代打が出るだろうなと思って力を振り絞っていきました」。1死からD1位・佐藤輝(近大)をシンカーで空振り三振、梅野は外角低めのカットボールで見逃し三振に仕留めて出番を終えた。  許した2安打はともに内野安打で、外野に抜けた安打はゼロ。一度も二塁を踏ませない完璧な95球だった。それでも「これを次につなげないといけない。今日よかったからどうという訳ではなく、次につなげる投球を。チームは負けましたけど、次はチームを勝たせられるようにしたい」。右のエース格として期待されるなか、次回登板こそ自分にもチームにも勝利をもたらす。

◆中日はまさかの九回サヨナラ負け。与田剛監督(55)の主な一問一答は下記の通り。  --九回は福の先頭・原口への与四球がサヨナラ負けのきっかけになった  「こういう緊迫したゲームなので、責められないところですね」  --柳がいい形で八回まで投げた  「素晴らしかった。球数もそうだし、ペースも非常によかった。2安打で、しっかりと抑えたと思う」  --変化球を含めて精度が上がった  「全体的に球も低めに集まっていた。本当によかったと思う」  --1週間前と比べて制球がよくなった要因は  「ブルペンでのフォームチェックもそうだし、いろいろと自分で反省したと思う。よくつなげてくれた」  --打線は2日連続で高松を2番起用。機動力を使いたかったから?  「まあ、守備でもいいプレーを見せてくれたし、機動力も含めて何とか絡めていきたいなと思った」  --福留が古巣復帰後初スタメン  「第1打席でやっと、いい形のヒットも出た。ひと安心です」  --今後の起用は相手や状態見ながら  「もちろん。オーダーは時と場合によって考えていきたい」  --柳の粘りはリリーフ陣の負担を減らせたか  「リリーフもこのところ投げている。少しでも長いイニングを投げるのは(大事)。前にも話したが、今年は柳、小笠原がしっかり台頭してくれるのはよかったと思う」  --何とか1本が  「本当にね。その前に点が取れれば楽なゲームになったけど、そんなに簡単にはいかないし、青柳にもいいピッチングをされた。次につなげないといけない」

◆阪神は今季初のサヨナラ勝ち。巨人から移籍した山本泰寛内野手(27)の劇的な一打に矢野耀大監督(52)も興奮を隠せなかった。一問一答は以下の通り。  ■もうちょっと早く...  --しびれる試合だった  「しびれましたね。もうちょっと早く決めたかったですけどね。ヤス(山本)が最後、本当にいい形で決めてくれて、めちゃくちゃうれしいです(2死一、二塁で中越え打)」  --九回は脇役たちがサヨナラの形を作った  「そうですね。九回はね、フミ(原口)が見極めて出てくれましたし(先頭打者として代打で四球)。ジョー(北條)もね(その後、代打で犠打成功)。あそこでバントを決めるのも簡単なことじゃないんで」  --2日の逆転負けの借りを返した  「うんまあね。昨日も本当は勝ちたかったですけど。まあシーズンのなかでいろいろあると思うんでね。もっともっと成長していけるようにしていきます」  ■岩崎に安堵  --先発の青柳は(7回1/3で7安打無失点)  「申し分のない、成長した青柳っていうのを見られているんでね。今年は本当に楽しみですね」  --心配していた岩崎も見事だった(青柳の後を継いで2/3回無失点)  「そうですね。昨日は出せない状況だったんですけど、きょう投げて僕もホッとしていますし。大きな存在なんでね。あそこ締めて、スアちゃんがしっかりっていうね、うちのパターンができたんでね。ひとまずほっとしています」  ■ガンケルにバトン  --4日の先発ガンケルにも期待  「ガンケルはもちろんですけど、打線が早く援護してあげて、何とかいい形でスアちゃんまでつなげていきたいですね。   (記者囲み)  --山本の加入でさらに戦力層が厚くなった  「どこでも使えるというのは、そういう選手がいてくれるのは大きいし、明日も左が来れば、スタメンというのも考えている」  --青柳は申し分ない投球だった  「意図したアウトが多くなってるので、結果的に0で抑えてる中身以上の部分っていうのは、すごく出てきてるので」  --柳は打ち崩せなかった  「ボールを振ってる、いいところに来てるからボールを振っちゃうんだけど。俺らがベンチから見てる程、簡単なことじゃないっていうのはわかってるけど。いいピッチャー対策っていうところであれば、あの1球をバッター陣が見逃せたら、チームとして大きな力になれるのでね」  ■投手の犠打が課題  --ピッチャーの犠打失敗が目立つ(青柳が六回無死一塁で犠打失敗)  「セ・リーグは攻撃にもピッチングにも影響する部分なんで、今のところ決まってないのでね。継続してやっていくしかないと思うし、決める気持ちとか練習っていうのは、それぞれ持ってやってくれてるっていう風に俺は見てるんだけど。でもこれができてないんであれば、もっともっとっていうのはあるし。そこも課題として残ってるよね」

◆阪神の青柳は申し分ない投球内容で、八回途中まで無失点の快投だった。満塁も切り抜け「先発の役目を果たせてよかった」と安堵した様子だった。  無走者の場面でもクイックモーションを織り交ぜ、打者のタイミングを微妙にずらした。最大のピンチは六回。2死から高橋周に右前打、ビシエドの二塁打などで塁が埋まっても慌てない。阿部は内角球で詰まらせ、遊ゴロに打ち取った。矢野監督も「今年の青柳は本当に楽しみ」と今後の活躍に期待した。

◆「5番・右翼」で今季初先発した中日の福留が、古巣相手に復帰後初安打を放った。二回に変則投手の青柳から左中間を破る二塁打。ベース上で小さく拳を握り「1本出てほっとした。(ガッツポーズは)自然に出たと思う」と安堵した。  阪神相手の安打だったことで両チームのファンから拍手。「たまたまそういう巡り合わせだったと思う」と控えめに喜んだ。六回は申告敬遠で勝負を避けられ、好機が広がった。主に好機での代打が今の役割だが、勝負強いベテランが5番に座るのも心強い。

◆「5番、ライト、福留」のコールに、両軍ファンがわいた。中日・福留が、開幕8試合目で今季初スタメン。第1打席では古巣復帰後初安打が飛び出した。  「一本出て、ホッとしたのが一番です」  二回1死走者なしで青柳が外角に投じた144キロのツーシームを強振。左中間への打球はフェンス手前まで伸び、悠々と二塁へ到達した。試合前まで7打席に立ち、5打数無安打2四球。待望の一打に、塁上では「自然と出たのだと思う」と、小さく右こぶしを握り、喜びを表現した。  「張っているなぁ...と思っていたんだけど。思いきり投げたら飛んだ」  2007年7月15日の甲子園。中日の一員として虎と対戦し、五回の守備で三塁送球した際に右肘を痛め、代打で2試合に出た後に遊離軟骨除去手術を受けた。苦い記憶として残るあの日から、5011日。竜の先発オーダーに戻ってきた。  「(阪神戦で今季初安打が出たことは)たまたま、そういう巡り合わせだったのだと思います」  クールに振り返った。今後も与えられたチャンスで結果を残し、存在感を高めていく。(須藤佳裕)

◆勝負手を放った瞬間、局面は虎の勝利へと傾いた。あと3アウトで引き分けという状況から、阪神・矢野監督が次々とベンチに控える駒をつぎ込んだ。執念の采配。虎の総力をあげて、今季ワーストの3安打ながら、大きな白星をつかみとった。  「九回はフミ(原口)が何とかね、見極めて(四球で)出てくれましたし。ジョー(北條)も、その前からドキドキしてベンチでね。ずっと準備してましたし。あそこでバントを決めるのも簡単なことじゃないんで。でまあ、ヤス(山本)とね」  両軍無得点で迎えた九回。中日は昨季53試合登板の左腕・福を投入してドロー決着を図ろうとしたが、矢野監督はここから怒涛の3連続代打だ。  まずは先頭の木浪に代えて、原口。粘って9球目、スライダーを見極めて四球をもぎとると、すぐさま代走・熊谷のカードを切った。続く板山にも代打・北條。投前バントで1死二塁とすると、さらに攻めた。  1番・近本を下げて「代打・陽川」をコール。ここまで3打数無安打、打率・121とはいえ、不動の切り込み隊長であり選手会長に、昨年7月16日以来、1年ぶり3度目の代打を送るという勝負手に出た。  「(引き分けでは)ムード的には昨日(逆転負け)の流れを引きずってしまうような部分もあったかもしれないんで。中継ぎや、青柳の頑張りっていうのがあったからこそ。こういう試合だからこそ、勝ちたかった」  陽川は申告敬遠となったが、2死後、途中出場の山本が大仕事をやってのけた。まさに、チーム全員の力を結集した。  継投策もはまった。前日は勝利の方程式の一角の岩崎が使えず、手痛い逆転負けを喫したが、この日は好投の青柳が八回1死から四球を出すと、迷わずセットアップ左腕をマウンドへ。福留を空振り三振、続く阿部も右飛に仕留めると、九回は守護神スアレスが最速159キロの直球を武器に三者凡退に片付け、歓喜の瞬間へつなげた。  今季は九回打ち切り。だからこそ投打とも、惜しみなくつぎ込める。貯金を2に戻し、首位広島とは0・5差の2位に浮上。「後から出ていった選手がこういう試合をつくってくれたことに、心強く思います」。チーム一丸でつかんだ勢いが、次の勝利も呼び込んでいく。(新里公章)

◆八回1死一塁の場面でマウンドに上がった岩崎は、福留を122キロスライダーで空振り三振。続く阿部も右飛に仕留め、得点を許さなかった。矢野監督は「昨日(2日)はちょっとね、出せない状況だったんですけど、きょう投げて僕もホッとしていますし。本当に大きな存在なんでね。あそこを締めて、スアちゃん(スアレス)がしっかりっていう、うちのパターンが出来た。ひとまずホッとしています」と安堵。今年も"八回の男"は健在だ。

◆0-0の九回にマウンドを託されたスアレスは簡単に2死を奪うと、最後は代打・井領を159キロ直球で見逃し三振。この日初めての三者凡退でリズムを作り「スピードもしっかり出ていたし、あとはそれをコントロールできるようにと思っていたよ」とうなずいた。サヨナラを呼び込み、今季1勝目。守護神は「自分の出番が来るまで集中したいし、監督に『投げろ』といわれたところで結果が出せるように頑張りたいね」と頼もしかった。

◆青柳が打席に立つとスタンドの虎党も大爆笑だ。今季から主催試合の打席に立つ際の登場曲に選んだのは徳永英明の名曲「レイニーブルー」。青柳も「あれは岩崎さんがやって(選んで)くれたので。いい選曲だなと思いました」とすっかりお気に入りだ。登板日に雨が多いことから「雨柳さん」と呼ばれ、そのタオルが昨季発売されて大ヒット。曲名は名字の青にもかかっている。ちなみにこの日はドーム球場で、外は雨...は降っていなかった。

◆また打った! 糸原がチーム初安打となる二塁内野安打を放ち、開幕から8試合連続安打とした。  四回1死。好投・柳の120キロカーブにタイミング合わせて強振。痛烈な打球が一、二塁間を襲った。二塁手・阿部はダイビングキャッチも、一塁に送球することはできず。開幕から全試合でヒットを積み重ね、打率・412と好調を維持している。  九回1死一、二塁で巡ってきたサヨナラの好機は7球粘るも左飛。グッと唇をかみしめたが、このしぶとさが、相手投手の神経をすり減らしたはずだ。「チームの勝ちに貢献できるように、それだけを心がけて自分の仕事をするだけ」と話している糸原。頼もしい2番打者は、ただチームの勝利だけを思って、バットを振る。(原田遼太郎)

◆112球の熱投だった。青柳が毎回走者を許しながらも今季、先発陣最長の7回1/3を投げて無失点。2勝目はお預けとなったが、サヨナラ勝ちの瞬間をベンチで見届け納得の表情をみせた。  「毎回、ランナーを出したが、結果はゼロで抑えられて、先発としての役割は果たせたかなと思います」  一回1死一塁では高橋周をツーシームで遊ゴロ併殺に。そして二回1死。昨年までの同僚で"師匠"でもあった福留とのプロ初対決。いきなり左中間フェンス直撃の二塁打を許したが、後続を打ち取った。  「(福留)孝介さんには左バッターの抑え方のアドバイスをずっと受けていた。ツーベースを打たれたが、そのあとは抑えられたので(よかった)」。四回1死一塁で迎えた2度目の勝負で、外角に沈むシンカーで二ゴロ併殺。マウンド上で顔をほころばせた。  「(中日打線で)長打があるのがビシエドくらい。ヒットを打たれても『各駅(停車)』と。1個ずつしか(塁は)進まれないから打たれても次、というのを心がけていこうと梅野さんとも話をしていた。その通りにできた」  昨年までなら走者を許すと、抑えなければという気持ちが先走りして、痛打されて大量失点...というパターンが多かったが、今年は違う。六回2死満塁のピンチもしのいだ(阿部を遊ゴロ)のは成長の証し。0-0の八回1死からビシエドを四球で歩かせたところで、2番手の岩崎にバトンタッチしたが、充実感でいっぱいだった。  矢野監督は「青柳の頑張りがあったからこそ(の勝利)なので。本当に申し分のない投球。成長した」とサヨナラ打を放った山本に匹敵する最大級の賛辞をおくった。  「左(打者)を抑える術というのは増えたと思う。去年に比べて成長かなと思いますね」と青柳。今季2勝目はゲットできなかったが、それ以上の収穫を手にした。(三木建次)

◆ニューフェースが大仕事! 阪神は中日に1-0で今季初のサヨナラ勝ち。スコアレスドロー目前の九回2死一、二塁で、巨人から新加入の山本泰寛内野手(27)が中越え二塁打を放った。途中出場からの自身プロ初の劇打。「タイガースの一員になれた」と笑顔満開だ。  打った瞬間に虎党が立ち上がる。白球は中堅・大島の頭上を越え、フェンス手前で弾んだ。ドローまで、あと1死。投手戦に終止符を打ったのは新加入の山本だった。  「6年目、今年阪神に移籍してきました、(10月で)28歳、山本泰寛です! ホームゲームという舞台で、ジャイアンツから移籍してきて、みなさんに祝福されて、すごくうれしい。タイガースの一員になれた気がして本当にうれしいです」  虎を今季初のサヨナラ勝利に導き、お立ち台から歓喜の自己紹介だ。  八回の三塁守備から出場。0-0の九回2死一、二塁で打席が巡ってきた。「初球から浮いてきた球は逃さずいこう」-。描いた通り、左腕・福の初球スライダーを一閃。人生初のサヨナラ打に両手を挙げてガッツポーズ。飛び出した矢野監督、そして仲間たちから手荒い祝福を受けた。  「あの場面で代打を送らないで使ってくれた監督に感謝したいなと思いますし、そこで結果が残ったのはプラスになる」  昨季まで5年間、宿敵の巨人に在籍。セ・リーグ2連覇中の強さを肌で感じてきた。坂本や丸の練習姿勢から、軸を持ち、継続する大切さを学んだ。阿部2軍監督からは狙い球を絞るなど頭で考えることを教わった。  だが昨季は1軍で出番がなく、オフに金銭トレードで阪神へ。ライバル間のトレードは2004年のカツノリ(阪神→巨人)以来だった。「来年は来年は、とずっと思って取り組んできた」。  中学の世田谷西シニアでは投手で、西武・松坂に憧れてフォームをマネしていた。慶応高から内野手に転向。以来、泥臭く努力を重ねてきた。新天地でようやくつかんだチャンス。手放すわけにはいかなかった。 その他の写真(2/2枚)  声援も力となった。外から見てきた阪神のイメージは「ファンの方の思い入れがすごい」。だからこそ「(応援が)楽しみ。一緒に戦ってくれている感じがあるので心強さはある」と心待ちにしていた。この日は甲子園ではなく京セラ。入場制限や声を出しての応援も制限されているが、録音されたチャンステーマを流し、メガホンを叩いて必死に応援してくれるファンの思いに、結果で応えた。  スタメンは2試合ながら3安打目。矢野監督も「ヤス(山本)がいい形で決めてくれてめちゃくちゃうれしい。小技もできるし守備もできるし、打つ方も悪くない。レギュラーになれる力は持っている」と絶賛した。4日の中日の予告先発は左腕・小笠原。「明日も左(投手)がくればスタメンというのも考えている」と明言した。  「勢いをそのまま、また連勝ができるように。僕もしっかり継続して結果を残せるようにしっかり準備していきます」と山本。原巨人から加わった新たなカードが、矢野虎に"化学反応"を起こす。(菊地峻太朗) ★山本泰寛という男  「慶応ボーイ」らしくまじめで礼儀正しいが、何事にも全力で熱いのが山本泰寛という男だ。巨人時代は自宅にバットを常備。起床後、朝食前に素振りをするのがルーティンだった。熱を入れすぎて、テレビや窓ガラスを割ったこともあるという。同学年の中川は「頑張りすぎて逆におもしろい」と評し、キャンプ中の特守で足をつりながらもがく姿に、仲間が爆笑したこともあった。  独身時代は、母・律子さんが冷凍保存して送ってくれる総菜などの手料理が支えだった。昨年、毎日放送アナウンサーの沙穂里さん(26)と結婚。生涯の伴侶を得て、新天地で大活躍する姿を楽しみにしている。(16、18-19年巨人担当・赤尾裕希)

◆ピシ~ン!! ああ、いい...。もっと、もっと、いじめてくださ~い!  阪神のマゾ野球っておそろしい~。でも、最後はカイカ~ン!! 阪神ファンは今季も疲れまっせェ!!  投げては先発・青柳が女王様のムチならぬバットに7回1/3を7安打、4四球。八回までランナーを出さなかったことは一度もないという、いたぶられ放題...。それで得点を許さないってんだからマゾのかがみなのだ。  一方、猛虎打線も八回まで内野安打2本以外は凡打ムチをピシ~ンピシ~ンピシ~ンと浴びまくり...。しかし、あまりにも、いたぶられすぎたので九回引き分け寸前に素になった山本がマジギレ。「痛えんだよいい加減にしろ~! これでもくらえ~!!」とサヨナラのひとムチを振り下ろしたようなプレー、いや試合だったのだ。  ただ、青柳、岩崎、スアレスの完封リレーはお見事!! サヨナラ打の山本は玄人好みの野球職人や~!! おおきに!!  ウム、山本のサヨナラ打にヤクルト・田口の7回無失点の好投。よ~し! 原さ~ん、巨人に余ってる選手いまへんか~!?

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
521 0.714
(↑0.047)
-
(-)
13529
(+7)
19
(+3)
8
(+3)
0
(-)
0.269
(↓0.005)
2.000
(↓0.14)
2
(2↑)
阪神
530 0.625
(↑0.054)
0.5
(-)
13533
(+1)
24
(-)
8
(-)
5
(-)
0.230
(↓0.014)
3.090
(↑0.45)
3
(1↓)
巨人
323 0.600
(-)
1
(↓0.5)
13530
(+2)
26
(+2)
5
(-)
7
(+1)
0.227
(↑0.007)
2.790
(↑0.11)
4
(2↓)
中日
332 0.500
(↓0.1)
1.5
(↓1)
13523
(-)
23
(+1)
1
(-)
6
(-)
0.229
(-)
2.290
(↑0.18)
4
(1↑)
ヤクルト
332 0.500
(-)
1.5
(↓0.5)
13535
(+2)
41
(+2)
8
(+1)
6
(-)
0.236
(↓0.011)
4.880
(↑0.41)
6
(-)
DeNA
062 0.000
(-)
4.5
(↓1)
13534
(+3)
51
(+7)
2
(-)
0
(-)
0.258
(↓0.009)
6.170
(↓0.12)