広島(☆1対0★)阪神 =リーグ戦1回戦(2021.03.30)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:森下 暢仁(1勝0敗0S)
(セーブ:栗林 良吏(0勝0敗2S))
敗戦投手:西 勇輝(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆広島が投手戦を制した。広島は0-0で迎えた6回裏、1死二塁の好機から菊池涼の適時打で先制する。投げては、先発・森下が6回1安打無失点7奪三振の好投。その後は、3投手の継投で1点を守り切った。敗れた阪神は、好投した先発・西勇を打線が援護できなかった。

◆今季は開幕カードで新人の阪神佐藤輝明内野手(22)とヤクルト元山飛優内野手(22)が本塁打。ドラフト制後、新人の開幕カード本塁打は昨年まで14人いるが、このうち2カード目も打ったのは89年中島(日本ハム)だけ。佐藤輝らは打てるか。

◆阪神の西勇輝投手(30)が今季初先発し、広島相手に7回5安打1失点と好投した。 初回は先頭の田中に左前打を許したが、すぐに一塁けん制でアウト。その後、菊池涼の安打や失策も絡み2死一、二塁と得点圏に走者を背負ったが、坂倉を打ち取った。 2回以降は立ち直った。4回までの3イニングはいずれも3者凡退。5回は1死からクロンに安打を浴びたが、続く堂林を三塁併殺打と0を並べた。 0-0の投手戦が続く中、6回は1死二塁とピンチを招くと、菊池涼の左前適時打で先制点を献上。西川の二ゴロで2死二塁と再び得点圏に走者を置いたが、鈴木誠を一飛に仕留め、追加点は阻止した。 7回は先頭の坂倉に四球を与えたが、この日2つ目のけん制死を奪い、後続も抑えた。8回の攻撃で代打を送られ降板。「自分自身の今シーズン初戦でしたけど、いつもと変わることなく試合に入れましたし、先発としてイニングを多く投げるということはできました」とコメント。白星こそつかなかったが、昨季は6戦4勝0敗防御率2・00と相性の良いカードで、データ通りのピッチングを披露した。

◆両先発が上々の立ち上がり。広島森下は3回無安打無失点。阪神西勇は1回2死一、二塁を切り抜け、2回、3回は無安打投球。 広島が6回1死二塁から菊池涼の左前適時打で先制した。先発森下は4回1死満塁をしのいで、6回1安打無失点で降板となった。 広島が7回から継投で逃げ切り、引き分けを挟み連勝。森下が1勝目。栗林が2セーブ目。阪神は開幕からの連勝が3でストップ。広島森下が1勝目、栗林2セーブ目。阪神西勇輝は1敗目。

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が、昨季10勝を挙げて新人王に輝いた広島森下と対戦する。 近大2年時に選出された侍ジャパン大学代表でチームメートだった1学年上の右腕とは2月の練習試合で対戦し、直球を捉えて右中間への二塁打を放っている。 試合前のフリー打撃では、24スイングで2連発を含む7本の柵越えを放った。初見参のマツダスタジアムで1発を放てるか、注目だ。 なお昨年、阪神は森下と4度対戦して1完封を含む3勝を献上し、対戦防御率1・91と苦しんだ。 ◆佐藤輝VS森下VTR 2月21日の練習試合で対戦。1回2死の第1打席で外角150キロ直球を捉え、右中間への二塁打とした。第2打席は三失で出塁し、2打数1安打。森下は2打席とも得意のカーブを投げず、佐藤輝は「シーズンはもっと違う球を投げてくる。油断はできない」と語っていた。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神は昨年広島戦4勝0敗で対戦防御率2・00と好相性の西勇輝投手(30)が先発。 広島先発は、昨年のセ・リーグ新人王で、阪神戦は3勝、対戦防御率1・91の森下暢仁投手(23)だ。打線では両チームともに打率5割で首位打者の阪神ジェリー・サンズ外野手(33)と広島菊池涼介内野手(31)が名を連ねた。

◆広島鈴木誠也外野手(26)が7回、右翼からのレーザービームで阪神佐藤輝明内野手の二塁進塁を阻止した。 1点を先制した直後の7回の守備。1死から売り出し中の佐藤輝の打球は一、二塁間を破る痛烈な当たり。右翼鈴木誠は滑り込むように打球を止めると、起き上がってすぐさま二塁へ。力強い球がワンバウンドでストライク送球となり、二塁進塁を狙った佐藤輝を刺した。 二塁打となれば一打同点のピンチとなっていただけに、チームを救うビッグプレーだった。

◆広島菊池涼介内野手(31)が、6回に先制打を放った。 0-0の6回裏。無失点投球を続けた先発森下の代打メヒアの安打から、1死二塁の好機を迎えた。開幕から打撃好調の菊池涼は、阪神先発西勇の初球、内角球を思い切り引っ張り、左翼線に落とした。二塁から代走の曽根が生還。「森下が頑張っていたので、いい結果につながって良かったです」。両先発の投げ合いが続いていたが、菊池涼が試合の均衡を破った。

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が、2試合ぶりの安打を放った。7回の第3打席。広島2番手森浦の130キロスライダーを捉え右前へ運んだ。快足を飛ばし二塁を狙ってヘッドスライディングしたが、右翼鈴木誠の好返球に阻まれてアウト。貪欲に次の塁を狙った姿勢をみせ、ベンチに戻る際には矢野監督から拍手を浴びた。 広島先発森下の前に第2打席まで連続の空振り三振に倒れていた。

◆阪神が0-1で今季初黒星を喫し、開幕からの連勝は3でストップした。 前半は阪神先発の西勇輝投手(30)と広島先発森下暢仁投手(23)がスコアボードに0を並べ合う息詰まる投手戦。我慢比べの中、西勇は6回に1死二塁とピンチを招くと、菊池涼に左前へ先制適時打を許した。ただ、その後は追加点を与えず7回1失点と試合を作った。 打線は森下の前に、4回に安打と2四球で1死満塁とチャンスを作ったが、6番佐藤輝、7番梅野が凡退。広島のリリーフ陣に対して7回、8回にはともに二塁まで走者を進めたが、得点を奪えなかった。9回はクローザーのドラフト1位、栗林に打者3人抑えられた。 散発4安打の完封負けで、08年以来の開幕4連勝はならず。佐藤輝は9回2死で空振り三振に倒れて最後の打者となり、4打数1安打、3三振だった。

◆阪神西勇輝投手(30)は黒星を喫したが、安定感は健在だった。今季初先発で7回5安打1失点。「自分自身の今シーズン初戦でしたけど、いつもと変わることなく試合に入れましたし、先発としてイニングを多く投げるということは出来ました」。我慢強く味方の援護を待った姿はエースらしかった。 立ち上がりの苦しい展開にも動じなかった。初回。先頭の田中広を左前打で出塁させたが、素早い一塁けん制で刺して1死。続く菊池涼は打ち取った当たりが三塁線ギリギリにとどまり内野安打になった。味方の失策も絡んで2死一、二塁としたが、5番坂倉を初球スライダーで二ゴロ。23球をかけて踏ん張った。 2回はわずか5球で3人を抑え、ここから3イニング連続で3者凡退とテンポに乗った。6回に菊池涼に先制適時打を許したが、7回無死一塁では代走上本を2度目のけん制で刺して、再びピンチの芽をつんだ。 9戦6勝だったマツダスタジアムで西勇の無敗はついに途絶えた。ただ、矢野監督は粘り強く投げた姿をねぎらった。「特に立ち上がりとか難しかったと思う。けん制アウトにしながらとか、その後も粘ってね。援護なかったっていうのはちょっと、申し訳ないけど」。7回2死からクロンに4球目を投じた直後、バランスを崩しマウンドに座り込む場面もあったが、指揮官は「多分大丈夫じゃないかなと。今のところの感じ。ちょっと滑ったんだけど」と説明した。 春季キャンプをぜんそくの症状で離脱し、初実戦は3月5日。それでもきっちり開幕に間に合わせるのは、さすがの調整力だ。次カードは本拠地甲子園での巨人戦。宿敵相手に今季初白星をつかむ。【磯綾乃】 ◆今春の西勇 沖縄・宜野座キャンプを順調に過ごしていたが、ぜんそくの症状が出たため2月23日に途中離脱して帰阪した。3月3日に甲子園で行われた全体練習に合流。5日にソフトバンクとのオープン戦で今季初実戦登板し、2回無失点に抑えた。開幕投手は藤浪に譲ったが、10日の2軍教育リーグで4回無失点、16日のヤクルトとのオープン戦で5回2失点にまとめるなど開幕へ向けてペースを上げた。24日に四国IL・徳島との2軍練習試合で3回を投げ、最終調整を終えた。

◆阪神井上ヘッドコーチは佐藤輝明内野手を責めることはなかった。 4回1死満塁で森下に空振り三振。最大のチャンスをものにできなかったが、「確かにいい投手が来た時はそうはいけない、打てないんだなとか、今は感じていると思う」と怪物ルーキーの心情を推察。それでも「ほら見てみろ!ってあおらない。あれだけのものを見せてきたやつだから。それを経験して打席に立たせて、覚えて、あれ?また復活したねってものを早く見せられるように」を視線を先に置いた。前向きに「励ましでケツたたいていきます」と成長を期待した。

◆阪神2番手小林慶祐投手は2戦連続で1回無失点に抑えた。 0-1の8回に登板し、会沢からフォークで空振り三振を奪うなど危なげなく3者凡退。12球で最終回の攻撃へつなげ、右腕は「0で抑えられて良かった。これからも任せられたところ、やるべきことをやっていきたい」とホッとした表情だった。

◆広島森下暢仁投手(23)が30日、6回1安打無失点の圧巻の内容で今季1勝目を挙げた。阪神戦で今季初先発。最速152キロの直球を軸にした投球で、開幕3連勝中と波に乗る猛虎打線を沈黙させた。大学日本代表でチームメートだった阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)には2打席連続三振と完勝し、昨季新人王の貫禄を示した。森下が、1枚も2枚も上手だった。両軍無得点の4回、1死満塁のピンチで打席に佐藤輝を迎えた。カウント1-2からの4球目、「打たれるわけにはいかない。何が何でもという気持ちでした」と内角高めに152キロ直球を投じ、空振り三振。2月の練習試合で右中間二塁打を浴びたスーパールーキーを、2打席連続空振り三振と圧倒。本番でリベンジを果たした。 磨きがかかった直球が、さえ渡った。2月のキャンプ中のキャッチボールで徹底して低い軌道で投げ込み、キレを増した直球にカットボール、カーブなどを要所に決め、猛虎打線を打ち砕いた。6回1安打無失点の快投で、相手の開幕3連勝の勢いを止めてみせた。 背番号18の大先輩との出会いが大きかった。中田の紹介でツインズの前田健太と昨年末に初めて対面し、1月は沖縄で一緒に練習する機会にも恵まれた。スライダー、ツーシームを伝授されたが、特に前田の体のメンテナンスへのこだわりに感銘を受けた。「ケガをしないための取り組みが大事だと思った。しっかりやるようになりました」。チューブを使って肩のインナーを鍛えたり、ケアなどにこれまで以上に時間を割くようになったという。 対打者のデータの重要性についても学んだ。「相手の苦手なところを頭に入れておけば、楽な場面は絶対ある」。ピンチの場面を迎えても、冷静な判断で相手の弱点に投げ込めることが2年目の進化につながっている。「火曜日の男」として6連戦の初戦でチームに勝利をもたらした。「いいスタートを切れた。勝つことで優勝に近づくと思う。これからもしっかりと自分の役割を果たしていきたい」と次戦を見据える。 お立ち台で、似てると言われるお笑いコンビ「ぺこぱ」のシュウペイの、人さし指をほおの横でクロスさせるポーズを決め「モリペイでーす」とおどけ、場内の爆笑をさらった。この男に、2年目のジンクスは存在しない。【古財稜明】 ▽広島佐々岡監督 「攻めた中で3ボール2ストライクという投球が多くて球数が多くなったが、それでも粘り強くというのはさすがです。あそこの(4回1死)満塁でしっかりと抑えたというのも大きい。攻めた結果だと思う」 ▽広島横山投手コーチ 「彼のいいときを知っているだけに、今日はもう1つかなという内容でした。それでも要所要所を抑えられるんだから、たいしたもの。レベルの高い投手」

◆どんと胸を張れ! 阪神は広島の若手4投手の完封リレーに屈し、開幕からの連勝が3で止まった。ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)は4打数1安打、3三振。7回は右前打から二塁を狙ったヘッドスライディングで走塁死となり、9回は最後の打者になった。プロ公式戦で初めて味わう黒星に悔しがったが、矢野燿大監督(52)は大型ルーキーの積極性を認めた。プロで初めて味わう敗戦に、悔しさがあふれ出た。0-1点の9回2死。バッターボックスにゆっくりと佐藤輝が向かう。マウンドには同じドラフト1位の広島栗林。若き守護神が投じるフォークと直球に豪快に空を切らされ、最後は2-2から外角低めのフォークに手が出た。シーズンでは最多の3三振。表情は変わらなかったが、ベンチではバットをたたきつけた。 悔しさが積もった理由は、最初の2打席にもある。先発森下と公式戦初対戦。第1打席は直球、カットボール、チェンジアップを散らされた後、カーブで仕留められた。4回は1死満塁の好機。直球とチェンジアップで追い込まれると、1-2から152キロ直球に再び空振り三振。取材対応がなかったが、井上ヘッドコーチは「いい投手が来たときはそうはいけない。また『復活したね』ってものを早く見せられるように」と思いを代弁した。 昨季10勝の新人王とは、2月の練習試合で対戦した。佐藤輝は直球を右中間へ運び二塁打としていた。それでも、相手は得意のカーブを1球も見せておらず「シーズンはもっと違う球を投げてくると思う」と警戒していた。長丁場を戦うプロのリーグ戦ならではのことだ。この日はカーブが3球。手の内を明かした「シーズン仕様」の森下に完敗した。 ただ転んでも、タダでは終わらせない。7回1死の第3打席。ドラフト2位の2番手左腕森浦のスライダーを右前へ。一塁ベースを蹴ると、果敢に二塁を狙ってヘッドスライディング。鈴木誠の好返球に阻まれたが、貪欲に次の塁を狙った。ベンチに戻る際に拍手でたたえた矢野監督は「全然、行っていい。あれは相手が上なだけ。うちの野球はそういう野球なんで」。ファイティングポーズを崩さない姿勢を評価した。 チームは開幕からの連勝が3で止まった。試合前までチーム打率がリーグトップだった打線も散発4安打に終わった。「大きくダメージというのはない。気持ちの部分とか、攻めていく気持ちとか、粘りとか、やり切ってくれたんで。俺の中ではこの敗戦は割り切れる」。指揮官にそう言わしめた理由の1つは大型ルーキーにもある。次の戦いへ、佐藤輝も、チームも前を向く。【中野椋】

◆阪神原口文仁捕手(29)が今季初出場で初安打を放った。 開幕3連戦ではベンチ入りで唯一出番がなかったが、8回に西勇の代打。3番手塹江の外寄り146キロを引っかけた打球はボテボテになったことが幸いし、三塁内野安打。開幕前に「ゲームに入ったら結果が全て」と意欲を燃やしていた背番号94が、今季の1打席目から有言実行した。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手は2打数1安打、4打席で3度の出塁と孤軍奮闘した。 森下から2四球を選び、9回は右翼へのライナー性の安打から二塁を狙ってアウト。 神宮3連戦後に「チームに貢献できるのが最高の形」と語り、場所を広島に移しても同じ姿を見せた。打率5割を保ち、3本塁打、7打点はともにリーグトップのままだ。

◆広島鈴木誠也外野手(26)が、レーザービームで新人森浦を救った。 1点を先制した直後の7回1死、佐藤輝の右翼線への打球をスライディングしながら捕球。すぐに立ち上がり、二塁へワンバウンド送球でピンチの芽をつんだ。「(佐藤輝は)走れるというのは分かっていました。足の踏ん張りもあり、しっかりした球を投げられた。打てないときは、守備、走塁は集中して貢献できるように」と振り返った。

◆広島新人栗林良吏投手(24)が1-0の9回を抑え、2セーブ目を挙げた。 4番大山を空振り三振に切り、右前打で二塁に走ったサンズは鈴木誠の好送球で二塁封殺。最後は佐藤輝をフォークで空振り三振に切った。「ホームランだけはダメだなと思ってそこだけは意識して投げました。会沢さんのリードのおかげで三振を取れたのかなと思います」。27日中日戦の2回から続くチームの無失点イニングを26に伸ばした。

◆阪神は広島の若手4投手の完封リレーに屈し、開幕からの連勝が3で止まった。阪神矢野燿大監督(52)の一問一答は以下の通り。 -先発西勇は 特に立ち上がりとか難しかったと思う。けん制アウトにしながらとか、その後も粘ってね。あそこを乗り切ったからこそいってくれたし、最後もまたもう1回、ランナー出してもけん制でアウトにしたのも大きかったと思う。援護なかったっていうのはちょっとね、申し訳ない。 -菊池涼に打たれた球も甘くなかった まあまあ、3回り目になればバッターもいろいろ考えて打席に入ってくるわけやから。あれも詰まらないとヒットにならんと思うし、それはバッテリーを責めるということはできない。攻めていく中で、ある意味仕方のない失点だから。 -西勇は足を気にしていた まあ、多分大丈夫じゃないかなっていう。今のところの感じ。ちょっと滑ったんだけど。 -4回満塁のチャンス まあ、振り返ればなんかあるけどね。それは向こうだって狙って三振取るっていうのはさすがっていうのもあるし。こっちとしては何とか前に飛ばすというか、あそこで何か出来れば良かった。あそこはバッターそれぞれに任せていく場面やから。オレとしては受け止めるしかないかな。あとから「たら、れば」言えば出ちゃうんだけど、みんな思い切っていったから仕方がない。 -森下に完全に抑えられた印象はない まあ、でもどのカウントでもいろんな球種でカウント取れたり、空振りもいろんな球種で取れるっていうのは、それはレベルの高いピッチャー。だからこそ何とか全員でっていうところはまあまあいけたんだけど、最後点取るところがちょっといけなかった。 -7回、佐藤輝の走塁は鈴木誠の返球が良かった 全然、いっていいと思う。あれは相手が上なだけで。うちの野球はそういう野球なんで。あれはいっていいんじゃないかなと思う。 -初黒星だが、攻める姿勢はチームとして出ている そんな大きくダメージというか、というのはないし。みんなが結果はどうしてもついてくるから。でも結果だけで言いたくない。気持ちの部分とか、攻めていく気持ちとか、粘りとか、そういうところはやり切ってくれたんで。俺の中ではこの敗戦は割り切れるというか。チームとしてそういうのは出せたかなと思う。

◆阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が試合前のフリー打撃で、25スイング中8本の柵越えを放った。3連発を放つなど豪快なスイングで準備を済ませ、「6番・右翼」でスタメンに名を連ねた。  広島の先発は昨季セ・リーグの新人王に輝いた森下。チームは4度対戦して3勝を献上。阪神戦の防御率は2・25、被打率は・184(98打数18安打)と封じられた。佐藤輝は春季キャンプ中に行われた2月21日の練習試合(宜野座)で対戦し、一回の第1打席で二塁打を放っており、その再現に期待がかかる。

◆広島・森下暢仁投手(23)が今季初登板し、100球を投げ6回1安打無失点、7三振3四球。代打を送られた六回に打線が1点を奪い、勝ち投手の権利が転がり込んだ。  注目の佐藤輝との対決は二回1死一塁。切れのいいストレートとスローカーブで貫禄の差を見せつけて、最後はカーブで空振り三振。四回1死満塁では、ストレートで空振り三振を奪った。  五、六回は2イニング連続で三者凡退に切って取り、六回先頭の打席で代打・メヒアが送られお役御免。そのメヒアが左前打を放ち、その後1死二塁で菊池涼が左前打を放って先制した。ゴールデンルーキーに昨年の新人王の存在感を示した。

◆阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が劣勢のなか気迫をみせた。0-1の七回1死走者なし。それまで2打席連続の空振り三振だったが、2番手の左腕、D2位・森浦(天理大)の高め130キロを右前へはじき返し、8打席ぶりにHランプを灯した。右翼線寄りの打球に、黄金ルーキーは果敢に二塁を狙ったが、鈴木誠の強肩の前に二塁で憤死。気合のヘッドスライディングも及ばなかった。

◆先発した阪神・西勇輝投手(30)は序盤から"鯉キラー"を発揮したものの、0-0の六回1死二塁から、菊池涼に初球136キロを左前へはじき返されて痛恨の先制点を献上。1点を追う七回にはマウンド上でバランスを崩す場面もあったが、そのまま投げ切った。八回の第3打席に代打・原口を送られ、7回5安打1失点で降板した。  昨季、西勇は広島戦で6試合に先発し、4勝無敗、防御率2・00と好相性を誇っていた。だが、この日の広島の先発・森下は昨季、虎と4度対戦して3勝をあげ、対阪神の防御率は2・25とこちらは"虎キラー"。好調を誇る阪神打線も封じ込められ、西勇が降板するまで無得点と援護に恵まれなかった。

◆阪神は広島投手陣の前に打線が沈黙して0-1で今季初黒星を喫した。2008年以来、13年ぶりの開幕4連勝はならなかった。  今季初先発した西勇輝投手(30)は0-0の六回1死二塁から菊池涼に初球136キロを左前へはじき返されて痛恨の先制点を献上。その後も打線の援護に恵まれず、1点ビハインドのまま7回5安打1失点で降板し、負け投手となった。  打線は昨季、4度対戦して3勝を献上し、対阪神の防御率が2・25だった先発・森下の前に抑え込まれ、その後も得点をあげられなかった。  阪神のD1位・佐藤輝は二、四回と空振り三振。七回に8打席ぶりの安打をマークしたが得点に絡めず。九回2死では守護神の栗林(トヨタ自動車)とのドラフト1位対決で、空振り三振に終わった。

◆6連戦の初戦を託された広島・森下暢仁投手(23)が6回7安打無失点で、今季初勝利を挙げた。  「長いイニングを投げることができれば中継ぎを楽にできる。勝てばチームも良い流れに乗っていけるので、結果を残せるように頑張りたい」  一回からフルスロットルだった。先頭の近本をカットボールで空振り三振、糸原を初球146キロで右飛、マルテをカットボールで見逃し三振に仕留め、三者凡退の好スタートを切った。二回には1死からサンズを四球で歩かせたが、注目のD1位・佐藤輝(近大)をカーブで空振り三振、梅野を152キロで力のない右飛に封じた。  "矛盾対決"だ。昨季セ・リーグ新人王に輝いた森下は10勝のうち阪神戦で3勝を挙げた。一方で西勇も昨季、広島戦で4勝。昨年8月28日のマツダで投げ合ったときは、森下が7回2失点、西勇が6回3失点とともに勝敗は付いていない。  森下は四回に単打と2つの四球などで1死満塁のピンチ招いたが、佐藤輝を空振り三振、梅野を二ゴロに打ち取って本塁を踏ませない。  五、六回は2イニング連続で三者凡退に抑え、六回先頭の打席でお役御免。右腕の気迫が打線に乗り移ったのか、その代打・メヒアが左前打を放ち、田中広の送りバントで代走・曽根が二進。菊池涼の左前打で一気に生還し、待望の先制点が入り、D2位・森浦(天理大)ー●(=漸の下に土)江ーD1位・栗林(トヨタ自動車)の継投で逃げ切った。(柏村翔)

◆味方の援護と勝利を信じ、必死でマウンドに立ち続けた。今季初登板した阪神・西勇輝投手(30)が敵地・マツダで7回1失点と好投したが、無援のまま交代となった。  「自分自身の今シーズン初戦でしたが、いつもと変わることなく、試合に入ることができました。先発として、イニングを多く投げるということはできました」  最初のピンチは一回だった。先頭の田中広に左前打。素早いけん制球で刺した後、菊池涼のボテボテのゴロが三塁線ギリギリを転がり、内野安打に。その後、味方失策などで2死一、二塁とされたが、坂倉を低めのスライダーで二ゴロに仕留めて危機を脱した。  春季キャンプでは、ぜんそくの症状を訴えて一時離脱していたが「ぜんそくでいろいろできなかったりしたけど、この1カ月で埋めることができた」と、しっかりこの日に調整してきた。  チーム13年ぶりとなる開幕4連勝がかかった重要な一戦は、戦前の予想通り、緊迫の投手戦となった。西勇は阪神移籍後、広島戦は、試合前時点で13試合8勝1敗、防御率2・32。昨季は6試合で4勝無敗、同2・00と好相性を誇っている。一方、広島の先発は虎キラーの森下。互いに譲らず0を重ねたが...。  六回。西勇は1死二塁のピンチを招くと、菊池涼に左前適時打を許して先制点を献上した。  七回にはバランスを崩し、マウンドにうずくまるアクシデントも起きたが、投球を続行。気合で無失点に抑えると、直後の攻撃で代打が送られ、7回5安打1失点で降板し、存在感は示した。(織原祥平)

◆広島が1点差の完封勝ちで、阪神の開幕からの連勝を3で止めた。6回1安打無失点で今季初登板勝利の森下と、六回に決勝打を放った菊池涼がヒーローインタビューに臨んだ。  --森下投手は今季初登板勝利。気持ちは  森下「ありがとうございます。(両手の人さし指で頬をさし)モリペイでーす(顔が似ていると噂のお笑いコンビ、ぺこぱのボケ担当・シュウペイの一発ギャグ)!!」  --今季初登板は有観客で初登板  「こうやって先輩とお立ち台に上がるのが、初めてなので、とってもうれしいです」  --開幕3連勝の阪神が相手。どんな気持ち  「いろんな人に感謝の気持ちを持ちながら初戦に絶対勝つという思いでマウンドに上がりました」  --0-0の四回1死満塁のピンチは  「周りを見たら、守ってくれているので信じて投げました」  --その場面でD1位・佐藤輝(近大)と対決  「あの場面で打たれるわけにはいかないと思っていたので、何が何でもという気持ちで三振を取れてよかったです」  --六回先頭の打席で代打が送られて降板後に菊池涼が決勝打を放ち、勝ち投手の権利が転がり込んだ  「とってもうれしかったです」  --今季の目標を皆さんへ  「これからも投げる試合を勝てるように全力でやっていきたいと思います。応援よろしくお願いします」  --続いて決勝打の菊池選手。おめでとうございます  菊池涼「本当にシュウペイ(森下の愛称)がすごく頑張ってくれていたので、絶対何とかしたいなという気持ちだけで打席に入りました」  --西勇の内角球は厳しかったが狙っていた  「ご想像にお任せします」  --打った瞬間は  「本当に苦しい展開だったんですけど、良いところに落ちてくれて、一生懸命投げてくれたシュウペイに勝ちが付いてよかったです」  --開幕から絶好調の要因は  「わかんないですけど出落ちしないように、継続できるように頑張ります」  --今季は有観客で開幕した  「新しいルールのなかで観戦したり、苦しいこともありますけど、やっぱり皆さんの声援が力になって、良いところを見せたいなとか、そういう風に思って打席に入ったり、グラウンドに立ち続けていられる。皆さんの前でプレーできることがうれしいです」  --最後に今季の目標は  「シュウペイが最多勝を取れるように打ちたいと思います」  --それを受けて森下投手は  森下「シュウペイでーす!!」

◆阪神は開幕からの連勝が3でストップ。矢野耀大監督(52)の試合後の一問一答は以下の通り。  ◆西勇に申し訳ない  --西勇は粘りながら  「特に立ち上がりとか難しかったと思うしね、けん制アウト(一回無死一塁で一走田中広)にしながらとか、その後も粘ってね、あそこを乗り切ったからこそ(七回まで)行ってくれたし、最後もね、またもう一回、ランナー出しても、またけん制でアウト(七回無死一塁で一走上本)にしてっていうのも大きかったと思うし、援護なかったっていうのはちょっとね、申し訳ないけど」  ◆詰まったから安打  ーー菊池涼に打たれた球も甘くなかった  「まあまあ3回り目になればバッターも色々考えて、もちろん打席に入ってくるわけやから、あれも詰まらんとヒットにならんと思うし、それはバッテリーを責めるということはできないし、攻めていく中で、ある意味仕方のない失点だから、何もないけど」  --七回に足を気にしていた場面もあったが  「まあ、多分大丈夫じゃないかなっていう。今のところの感じ。ちょっと滑ったんだけど」  --四回の(1死)満塁のチャンスが惜しかった(佐藤輝が空振り三振、梅野が二ゴロ)  「まあ、まあ振り返ればなんかあるけどね。それは向こうだって狙って三振取るっていうのはさすがっていうのもあるし。こっちとしては何とか前に飛ばすというか、あそこで何か出来れば良かった」  (さらに続けて)  「あそこはバッターそれぞれに任せていく場面やから。俺としては受け止めるしかないかな。それは、あとから"タラ、レバ"言えば出ちゃうんだけど、みんな思い切って行ったから仕方がない」  --森下には完全に抑えられた印象はない  「まあ、でもどのカウントでもいろんな球種でカウント取れたり、空振りもいろんな球種で取れるっていうのは、それはレベルの高いピッチャー。だからこそ何とか全員でっていうところはまあまあいけたんだけど、最後点取るところがちょっといけなかった」  ◆二塁憤死を責めず  --佐藤輝の積極的な走塁(七回1死から右前打を放って、二塁憤死)は鈴木誠の処理が良かった  「俺も全然、いっていいと思う。あれは相手が上なだけで。うちの野球はそういう野球なんで。あれはいっていいんじゃないかなと思うし」  --初黒星だが、攻める姿勢はチームとして出ている  「そんな大きくダメージというか、というのはないし。みんなが結果はどうしてもついてくるから。でも結果だけで言いたくないし。でも気持ちの部分とか、攻めていく気持ちとか、粘りとか、そういうところはやり切ってくれたんで。俺の中ではこの敗戦は割り切れるというか。チームとしてそういうのは出せたかなと思う」

◆広島が1ー0の完封勝ちで阪神の開幕からの連勝を3で止めた。佐々岡真司監督(53)の主な一問一答は以下の通り。  --今季初登板の森下は6回無失点で初勝利を飾った  「カーブが抜けるところもありましたけど、しっかりと自分の投球ができたと思いますし、際どいところがボールとなって球数も多くなった。これは、いま阪神打線が好調でこっちに乗り込んできましたから、慎重になったのかなとは思いましたけど、四球を出しても(3四球)粘り強く投げていたと思います」  --六回には森下に代打・メヒアを送り、菊池涼の左前打で1点をもぎとった  「相手の西(勇)投手も去年からやられていまして、きょうも点が入らないという状況だった。本来ならもう1回というところも考えながらだったが、球数も(100球に)増えたし本当に攻めていくしかないと思った。そこでメヒアが先頭で出てくれてよかったと思います」  --D1位・栗林(トヨタ自動車)も1-0の九回に登板し、1回無失点で今季2セーブ目  「こういう痺れるなかでしっかりした投球をして最後も三振を取っていて本当に頼もしいと思う」  --苦戦した西勇に今季初対戦で勝てたのは大きい  「立ち上がり攻めたなかでけん制死というのもあったなかでね。打ち崩してはいないが、負けを付けたということは大きいと思うし、シーズンは長いのでどんどん攻略というのをしていかないといけない」

◆苦手の広島・森下から1安打しか奪えず、継投での完封負け。開幕3連勝の勢いは完全にストップだ。阪神のヘッドコーチなどを歴任した黒田正宏氏(73)=本紙専属評論家=はカーブを多投してきた森下の緩急に完全にやられた、と指摘。狙い球の徹底と、早い段階でカーブを痛打することを森下対策として提言した。 ■昨年とは違う配球  昨年やられ続けた森下に対し、十分な準備をして臨んだと思う。ところが、森下は昨年とは違う攻め方をしてきた。それがカーブだ。以前からカーブを使っていたが、中盤以降から交える配球が多かった。それがこの日は序盤から多投。今までにない配球に加え、ストレートのキレも素晴らしく、チェンジアップも効果的。緩急の攻めに抑え込まれた。  象徴的だったのが4番・大山。森下との相性が良かった(昨季は12打数4安打、2本塁打)から、自信を持っていたはず。ところが序盤から緩急を意識させられた。迎えた四回無死一、二塁。この打席でのストレート152キロ。カーブ104キロ。50キロ近い緩急で、迷いが生じてしまい、最後はフルカウントからボール球のカットボールを振って三振。いい攻めをされたが、これから4番を背負って行く打者なら、あのボール球は見極めて欲しかった。 ■2週間後  現状のローテーションで行けば、2週間先(4月13日からの3連戦)にも再び対戦することになる。対策としては狙い球を絞るしかない。各打者で、個々が徹底して狙い球を絞ればいいが、重要なのは、誰かが早い段階でカーブを痛打することだ。自信満々に投げてくる森下に「アレッ」と思わせることが一番の対策となる。 ■サンズとマルテ  打線が抑えられることは野球ではよくあることだが、そんな時こそ細かなプレーはキッチリしたい。七回に佐藤輝が二塁を狙って刺されたのは右翼・鈴木誠の捕球、返球が100点満点で仕方がない。でも、九回のサンズが二塁で刺されたのは明らかな走塁ミスだ。  鈴木誠が打球を大きくはじいていない。処理した位置は二塁ベースに近い。打者走者からもよく見えている。回も押し迫った九回。七回のプレーで鈴木誠の強肩を見ているはず。絶対に自重すべきだった。  八回、投手が投球動作に入ってタイムをかけ、認められなかったマルテなどは「何をかいわんや」。ミス、ボーンヘッドをなくさないと、接戦はモノにできない。(本紙専属評論家)

◆広島の上本が八回の三塁守備で原口の打球を処理した際に下半身を痛め、交代した。蔦木トレーナーは「医師のチェックを受けて、アイシングをした。今後は未定」と話すにとどめた。

◆さすが、虎キラーだ。広島・森下が6回1安打無失点で今季初登板勝利。お立ち台ではクロスさせた人さし指を頬に近づけ「森ペイでーす!!」と絶叫した。  「いや、もう、あの...黙秘でお願いします」  試合後の代表取材では言葉に詰まったが、投球は雄弁だった。  0-0の四回に先頭・糸原に左前打、続くマルテに四球を与え、1死満塁とされたが、D1位・佐藤輝(近大)を152キロで空振り三振、梅野を変化球で二ゴロに打ち取り先制点を許さなかった。  最速150キロ超の力のある直球にカーブなど変化球を織り交ぜ、的を絞らせなかった。100球を投げて6回1安打無失点。三回以外は毎回の7三振を奪った。鯉を得意としていた阪神・西勇との対決を制した2年目右腕に対し、佐々岡監督は「粘り強く投げてくれた」とうなずいた。  甘いマスクでカープ女子のハートをわしづかみにしている右腕だが、以前からお笑いコンビ「ぺこぱ」のボケ担当のシュウペイに顔が似ていることで話題に。正月に出演した地元広島のテレビ番組ではVTR出演したシュウペイ本人から"シュウペイポーズ"の指導を受けており、早速お立ち台で披露した。  「いろんな人に感謝の気持ちを持ちながら初戦に絶対勝つという思いでマウンドに上がりました」  森下-森浦-塹江-栗林の鉄壁リレーでチームの連続無失点イニングを「26」に更新。昨季、5位と低迷したカープだが、今季は投手が強い。昨季のセ・リーグ新人王が逆襲の先頭に立つ。(柏村翔)

◆無援の中でも、チームのために全力で右腕を振った。今季初登板した西勇は7回1失点の好投。プロ入り後、初めてマツダスタジアムで黒星を喫したが、最後まであきらめない姿勢で、エースの意地を見せた。  「自分自身の今シーズン初戦でしたけど、いつもと変わることなく試合に入れましたし、先発としてイニングを多く投げることはできました」  相手先発は、昨季のセ・リーグ新人王の森下。阪神に3勝負けなしだった虎キラーと、鯉キラーの投げ合いは、予想通りに投手戦となった。  立ち上がりは苦しんだ。いきなり田中広に左前打。すぐに素早いけん制でアウトにしたが、続く菊池涼の打球は三塁線ギリギリに転がる内野安打に。その後、味方失策などで2死一、二塁とされたが、坂倉を二ゴロに仕留めてしのいだ。  二回以降はテンポよくゼロを重ねたが六回だ。安打と犠打で1死二塁とされると菊池涼に初球、内角へのシュートをはじき返された。詰まり気味の打球が左前に跳ね、先制点を献上した。  逆転を信じて続投した七回は、2死からクロンに投球した際、踏み出した左足を滑らせて、うずくまる場面も。矢野監督やトレーナーが駆け寄ったがマウンドは譲らず。空振り三振に仕留め、気合で乗り切った。  7回をわずか80球。5安打1失点と好投しながら今季1敗目。広島には自身2年ぶりに敗れた。マツダスタジアムでは、オリックス時代の1試合を含め、過去9試合に登板し、6勝無敗、防御率2・11と無類の強さを誇ったが、10試合目の登板で初の黒星となった。  「特に立ち上がりとかは難しかったと思う。けん制でアウトにしながら、その後も粘ってあそこを乗り切ったからこそ(七回まで)行ってくれた。援護がなかったのは、ちょっと申し訳ない」とは矢野監督。足の状態については「今のところ多分、大丈夫じゃないかな。ちょっと滑ったんだけど」と説明した。  敗れはしたが、マウンドを降りる最後まで鬼気迫る姿を見せた西勇。次こそ勝利をつかんで、ファンの前で最高の"西スマイル"を見せる。(織原祥平)

◆気迫のヘッドスライディング! 阪神は広島に0-1で敗れ、今季初黒星。開幕4連勝はならず、巨人に抜かれて2位となった。それでも、ドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が七回、8打席ぶりの安打を右翼へ。二塁を狙ってアウトになったが、矢野燿大監督(52)は攻めの姿勢を評価した。  目の前の真っ白な二塁キャンバスを、1点を、がむしゃらにつかみにいった。赤土に顔を打ちつける覚悟で、佐藤輝が闘魂ヘッドスライディングだ。アウトにはなった。3三振も、プロ初の敗北も喫した。だが、振っていき挑んでいくその心意気こそが、矢野虎が"よし"とするものだった。  将は、迷わずこう言った。「俺も全然、行っていいと思う」と-。  0-1の七回1死走者なし。攻めなくては、もう負けが待っているだけだった。森下が6回1安打無失点で降板し、マウンドには左腕のD2位・森浦(天理大)。そこまで2三振、ここも2球で追い込まれた佐藤輝だったが、4球目の外角スライダーを痛烈に引っ張り込み、右翼線へ運んだ。8打席ぶりの安打で開いた突破口。その直後、誰もが目を見開いた。  緑の芝生を転がる白球に、鈴木誠が滑り込み、反転するときにはもう、背番号「8」は一塁キャンバスを蹴っていた。強肩から、すさまじい送球が放たれる。ワンバウンドで二塁へ突き刺さったその軌道と、土煙を上げながら頭から突っ込む佐藤輝が交錯した。無情にも、塁審のこぶしが振り下ろされた。 その他の写真(2/6枚)  生まれかけたチャンスも消えた。0-1で今季初黒星を喫したが、矢野監督はあの走りこそが求め続けてきたものだと強調した。「あれは相手が上なだけで。うちの野球はそういう(常に先の塁を狙う)野球なんで。あれは行っていいんじゃないかなと思う」。ただでさえ「挑・超・頂」とスローガンに掲げて臨む、就任3年目だ。ルーキーの佐藤輝にまで「攻めの気持ち」が浸透しているという一点で、むしろ誇れることだった。  13年ぶりの開幕4連勝は逃し、単独首位からゲーム差なしの2位に後退もした。だが、指揮官は「そんな大きくダメージというのはない。結果だけでは言いたくないし。気持ちの部分とか、攻めていく気持ちとか、粘りとか、そういうところはやり切ってくれた」と手応えが口をついた。  昨季3敗を喫した森下を、四回の満塁機でも取り逃がし、またも白星を献上した。佐藤輝は3三振でリーグワーストの8三振。初めての敗戦で最後の打者になり、ベンチに戻る際、思わずバットを振り下ろした。全身からにじみ出る悔しさ-。だが、今季の虎は攻めてくる、次々に先の塁を狙ってくると、大物ルーキーを中心に示すことはできた。それだけで矢野監督は、1敗を差し出す価値があったと思えた。  「俺の中ではこの敗戦は割り切れるというか、チームとしてそういうのは出せたかなと思う」  佐藤輝の非凡さは、やはりパワーだけではない。猛然と頭から突っ込んだワンプレーで、今季全員が抱く勝ちへの執着を表現した。(長友孝輔)

◆何という美しき黒星マウンド...。西勇の芸術的とも言える敗戦に全国の虎党は酔いしれ、その酔った勢いで「猛虎打線、何しとんねん! 森下のスローカーブに相変わらず翻弄されよって、アホか!!」と声をからした者もいるだろう。  でも、俺はそんなふがいない打線さえ目に入らず、西勇にヘベレケだったのだった...。  オープン戦の後半に体調を崩し、ほぼ確定していた開幕投手の座を藤浪に渡しての4戦目での先発。本日は決して投球自体は完璧ではなかったように見えた。それでも7回をわずか80球で、5安打1失点の快投。牽制(けんせい)球で2人を刺すというプロ中のプロのマウンドを見せてくれたのだ。  その西勇を援護できなかった虎打線は情けないけれど、広島の森下も昨季の新人王らしい力強い投球を見せたしなぁ。  九回にヒットを放ち、狙った二塁で憤死したサンズは、好ゲームに水を差したのだ! 強いときこそフンドシを締めなおせー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
巨人
202 1.000
(-)
-
(↓0.5)
13922
(+3)
16
(+3)
4
(+1)
4
(+1)
0.244
(↓0.003)
3.250
(↑0.75)
2
(1↓)
阪神
310 0.750
(↓0.25)
0
(-)
13921
(-)
11
(+1)
6
(-)
4
(-)
0.259
(↓0.031)
2.830
(↑0.5)
3
(-)
広島
211 0.667
(↑0.167)
0.5
(↓1)
13911
(+1)
8
(-)
2
(-)
0
(-)
0.250
(↓0.015)
1.500
(↑0.5)
4
(1↓)
中日
112 0.500
(-)
1
(↑0.5)
13911
(+3)
13
(+3)
1
(-)
4
(-)
0.197
(↑0.009)
3.090
(↑0.03)
5
(-)
ヤクルト
130 0.250
(↑0.25)
2
(↑1)
13915
(+5)
25
(+4)
4
(+1)
1
(+1)
0.232
(↑0.003)
5.750
(↑0.92)
6
(1↓)
DeNA
031 0.000
(-)
2.5
(-)
13917
(+4)
24
(+5)
1
(-)
0
(-)
0.296
(↑0.007)
5.820
(↑0.3)