ヤクルト(★2対8☆)阪神 =リーグ戦3回戦(2021.03.28)・明治神宮野球場=
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阪神
10101004181002
ヤクルト
0000000202601
勝利投手:ガンケル(1勝0敗0S)
敗戦投手:奥川 恭伸(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】マルティネス(1号・3回表ソロ),サンズ(3号・8回表3ラン)
【ヤクルト】山田 大樹(1号・8回裏2ラン)

  DAZN
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◆阪神が開幕カード3連勝。阪神は初回、サンズの適時打で1点を先制する。その後2点を加えて迎えた8回表、マルテの適時打とサンズの3ランで4点を加えて、試合を決めた。投げては、先発・ガンケルが6回3安打無失点の好投で今季1勝目。敗れたヤクルトは、投打ともに振るわなかった。

◆阪神は昨季開幕カードで3連敗を喫したが、今季は2戦2勝と上々の滑り出し。阪神が開幕3連戦で3連勝となれば15年中日戦以来。 このシーズンは京セラドームでのホームゲームで開幕しており、敵地で開幕3連戦3連勝だと04年巨人戦(東京ドーム)以来、球団17年ぶりとなる。

◆スタメンが発表された。ヤクルトの先発は、高卒2年目の奥川恭伸投手(19)、阪神はジョー・ガンケル投手(29)。阪神は江越大賀外野手(28)が、代走で2盗塁を記録した27日の試合中に左足を痛め、ベンチを外れた。登録抹消はせず、29日以降は様子を見る。また、熊谷敬宥内野手(25)が1軍昇格。27日中日との2軍戦では梅津から安打を放った。 27日にプロ初本塁打を放ったドラフト1位佐藤輝明内野手(22)は、3試合続けて「6番右翼」で先発。2戦連発なるか。

◆阪神が開幕3連勝へ幸先良く先制した。 初回、2番糸原が3試合連続となる安打を中前に運ぶと、続くマルテが四球でチャンスメーク。2死一、二塁で5番サンズが、左中間を破る先制の適時二塁打を放った。ヤクルト先発奥川の立ち上がりを襲い、3試合連続打点。球団広報を通じ「打ったのはストレート。ケント(糸原)とマルテがいい仕事をして出塁してくれたし、ジョー(ガンケル)のために先制点を取るという仕事ができてよかったよ」とコメントした。

◆野村克也氏の追悼試合となったヤクルト-阪神戦の始球式で、野村氏の孫、彩也子さん(16)が登板した。 92年にヤクルトがリーグ優勝をした際に、名将が着用した背番号「73」のユニホームを着てマウンドへ。ワンバウンドで捕手中村のミットに収まった。彩也子さんは「人がいっぱいで、球場も広くて緊張しました。今日、石井コーチに教わって練習しました。練習ではうまく投げられるようになっていたので、ワンバウンドしたのは悔しかったです。映像を見ていると、おじいちゃんを思い出してグッときましたが、(始球式に向けて)我慢しました。おじいちゃんのように、人を愛せて、人を残せるような人になれるように頑張っていきたいです」とコメントした。 試合前には、野村氏をしのぶ映像がビジョンで流され、黙とうがささげられた。両チーム全員が、野村氏が監督時代につけた背番号「73」でプレーした。

◆阪神の3番マルテが今季初安打初本塁打となる1号ソロを放った。 1点リードの3回2死、ヤクルト先発奥川の高め直球を打ち砕いた。左翼席中段への特大弾。球団広報を通じ「打ったのはストレート。どんな状況でもポジティブな気持ちで取り組んでいることがいい結果につながったね。これからそういう気持ちは忘れずにやっていくよ」と振り返った。試合前の円陣では、坂本を通訳役にナインへ声を掛け、笑いを誘う場面も。陽気な助っ人が貴重な追加点を挙げた。

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)は開幕3戦目も「6番・右翼」でスタメン出場した。 1点を先制した1回、なおも2死二、三塁のチャンスで打席がまわってきた。1ボール1ストライクからヤクルト先発奥川の145キロ真ん中直球を打ったが、三邪飛に倒れた。 この日は元ヤクルト、阪神でも監督を務めた野村克也氏の追悼試合として行われ、佐藤輝も両チームのほかの選手と同じように背番号「73」のユニホームでプレーしている。

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)とヤクルト高卒2年目右腕奥川恭伸投手(19)とのこの日2度目の対決となった4回の第2打席は、徹底的に変化球で攻められた。 初球フォーク、2球目スライダーと低めに2球変化球で空振りを奪われ追い込まれると、3球目ワンバウンドとなったフォークは見送ったが、4球目スライダーをファウル、5球目は再び低めボールゾーンへフォークを落とされ空振り三振に倒れた。 1回の第1打席では145キロ直球で三邪飛に倒れている。

◆来日2年目の阪神ジョー・ガンケル投手(29)が、6回3安打無失点と好投し、先発初勝利をつかんだ。「今季初登板で、先発初勝利が取れたことはうれしく思います。今年はこれだけしっかり点も取ってくれるので、本当にチームメートに感謝したい」とヒーローインタビューでは仲間に感謝。初回から直球、変化球をコントロール良く投げ分け、7回に代打を送られた。 4回は先頭の青木に左越え二塁打を浴び、村上に四球を与えて1死一、三塁のピンチを招いた。迎えた内川にファウルで粘られるも、内角へのツーシームで空振り三振。続く坂口にも粘られたが12球目、127キロスライダーで二ゴロに打ち取り、根気強く丁寧に投げ続けた。「本当に坂口選手は非常にいいバッターなので、とにかく自分としては失投しないように、自分の出せる力を出し切って、いい球をいいコースに投げようと心掛けていた」。来日1年目の昨季も、初登板は6月24日の神宮でのヤクルト戦。当時は4回3失点で2軍降格という苦渋を味わっていた。今年は見事ヤクルト打線を抑えてみせた。 この日は野村克也氏の追悼試合として開催。野村氏がヤクルト監督時代につけた背番号「73」を、ガンケルも着用した。「たとえ外国人にしても、本当に日本の野球に偉大なものを残された方の1人だと思う。そういった方の追悼試合で投げられたこと、そして好投できたことを、本当にうれしく思います」。忘れられない1勝になったはずだ。【磯綾乃】

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)の第3打席はこの日2本目の三邪飛に倒れた。6回1死一塁、2番手右腕近藤の高め146キロ直球をとらえきれず高々と三塁ファウルゾーンに打ち上げた。 ヤクルト先発奥川の前には三邪飛、空振り三振と2打席抑え込まれた。

◆阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)の第4打席は8回にまわってきたが、空振り三振に終わった。 8回は2番糸原から始まり、糸原が右安、マルテ適時中安、大山左翼線二塁打、サンズ左翼へ3号3ランと4連打4得点のお祭りムードの中、6番佐藤輝も打席に入ったが4番手右腕吉田喜の前に空振り三振に倒れた。 ヤクルト先発奥川の前には三邪飛、空振り三振。2番手近藤に三邪飛、そして吉田喜に空振り三振。8回裏の守りから熊谷と交代し、開幕3戦目は4打数無安打に終わった。

◆阪神がヤクルトに快勝し開幕3連勝を決めた。敵地での開幕3連勝は、04年巨人戦(東京ドーム)以来17年ぶり。ヤクルト戦、神宮ともに開幕3連勝を収めるのは、球団史上初となった。昨季は開幕3連敗を喫したが、今季は最高のスタートダッシュを切った。 初回にサンズの適時二塁打で先制すると、3回にマルテが今季初安打となる1号ソロを放ち追加点。5回にも糸原の適時二塁打で3点目、8回は連打からサンズの3号3ランも飛び出し4点を追加。9回には山本の犠飛でダメ押しの8点目を奪った。 ガンケルは、6回3安打無失点で来日先発初勝利。助っ人勢の活躍が光った。

◆阪神が8回、4連打で4点を挙げた。 ヤクルト4番手吉田喜から先頭糸原が右前打で出塁。無死二塁で3番マルテがしぶとく右前へ落とす適時打を放った。続く4番大山が三塁線を破る二塁打でつなぐと、5番サンズが3号3ラン。リーグ単独トップを走る1発を左中間へ放り込んだ。1番近本、6番佐藤輝が無安打でも、前日の9点に続きこの日も7得点。猛虎打線が好調だ。

◆阪神は1回、ヤクルト先発奥川からサンズが適時二塁打を放ち先制。3回にはマルテが1号ソロ。先発ガンケルは3回まで無失点。 阪神は5回、糸原の適時二塁打で追加点。ヤクルトは先発奥川が5回3失点で降板。プロ1勝ならず。打線は6回まで散発3安打。 阪神は8回サンズの3号3ランなどで4点を追加。開幕3連勝を決めた。先発のガンケルが今季初勝利。ヤクルトは8回に山田が1号2ランを放つも及ばず。先発奥川は今季初黒星。

◆勝利をささげられなかった。ヤクルトは野村克也氏の追悼試合で、投打がかみ合わず、敗戦。16年以来の開幕3連敗、本拠地では野村氏がヤクルトの監督を最後に務めた98年以来の屈辱となった。高津監督は「勝ちたかった」と本音を漏らした。 先発には2年目の奥川恭伸投手(19)を抜てきした。立ち上がりの1回1死一、二塁からサンズに左中間へ適時二塁打を浴び、先制点を献上。3回にはマルテに1号ソロを浴びるなど、5回5安打3失点でマウンドを降りた。負け投手とはなったが、最速148 キロ をマーク。フォークとスライダーを織り交ぜる投球で試合をつくった。 指揮官は「いろんな球種でストライクを取れるレベルの高いピッチングだった」と評価した。一方で次回、中6日での登板は「しません」。登録抹消し、登板間隔を空ける見通し。奥川は最短10日後の再昇格を目指し、プロ初勝利を狙う。

◆ヤクルト先発の奥川恭伸投手(19)は、プロ初勝利とならなかった。 立ち上がりの1回1死一、二塁からサンズに左中間へ適時二塁打を浴び、先制点を献上。3回にはマルテに1号ソロを浴びるなど、5回5安打3失点でマウンドを降りた。 最速148キロ。フォークとスライダーを織り交ぜた。球数は74球で、1軍ではプロ最長の5回を投げ、試合をつくった。「いい緊張感でマウンドに上がることができた。調子自体は悪くはなかったが、失点のしかたが良くなかった。初回に先制点を与えてしまいチームに流れを作ることができず、本当に最低限の仕事しかできませんでした。今日の反省を次の登板にしっかりつなげられるように調整していきたい」と振り返った。 高津監督は「いろんな球種でストライクを取れる。レベルの高いピッチングだった」と評価した一方で、次回、中6日での登板は「しません」。間隔を空ける方針を示唆した。

◆昨年2月に死去した野村克也氏の追悼試合を1万人の観客上限ギリギリの9988人が観戦した。 試合前には、同氏をしのぶ映像がビジョンで流れ、黙とうがささげられた。始球式では孫の彩也子さん(16)が登板。92年にヤクルトがリーグ優勝をした際に、名将が着用した背番号「73」のユニホームに袖を通し、ワンバウンド投球を披露した。両チーム全員が、野村氏が監督時代につけた背番号「73」でプレー。高津監督は「野村監督を思い出す時間ができたのは、すごく良かった」と話した。

◆高速ライナーのまま、左翼ポール際の中段席に突き刺した。さらに三塁ベンチ前ではナインと「弓引きポーズ」を一斉共有。阪神の3番打者、ジェフリー・マルテ内野手(29)の話だ。 1点リードの3回2死フルカウント、高卒2年目奥川の浮いた144キロ直球を強振。今季10打席目で初安打初アーチをたたき込んだ。8回にも右前適時打を放って開幕3連勝に貢献。「チームの勝利が1番気持ちいい」と満面の笑みだ。 試合後には来日1年目の19年から続ける「弓引きポーズ」の正式名称!? も発表した。もともと母国・ドミニカ共和国の有名コメディアンから拝借していたポーズについて「ラパンパラです」とニヤリだ。 前日27日に試合前の声出しを担当した際、即席通訳を務めた坂本を通じて「ホームランを打ったらみんなでやってほしい」とお願いしていた。坂本から「いつ打つの?」と聞かれると「イマデショ! 」と即答。1日遅れで有言実行して「一緒にやってくれて楽しかった」と喜んだ。 そんなド派手な弾道とパフォーマンスに注目が集まりがちだが、中身の濃い打撃内容も見逃せない。 1回1死一塁では外角低めフォークを3球我慢してフルカウントから四球を選び、5番サンズの先制打をお膳立て。3回の1発も1ボール2ストライクから2球連続で低めフォークに耐え、甘いボールを引き出した末の豪快弾だった。 フォーク計5球の誘いに乗らず19歳の投球を窮屈にさせた「眼」の勝利。矢野監督は「選球眼もいい。相手にプレッシャーをかけられる打者。持ち味が十分に出ている」と納得顔だ。 開幕3試合を終え、打率2割2分2厘ながら3四球で出塁率4割1分7厘。「前の2試合もボールはよく見られていた」。本人の言葉からも自信が見え隠れする。来日3年目、日本の配球にも慣れて自慢の選球眼に磨きがかかる。21年は「ラパンパラ弾」を多く拝めそうだ。【佐井陽介】

◆ソフトバンク戦力外から新加入の阪神加治屋蓮投手が、タテジマ初ホールドを記録した。 「勝っている場面で出してもらっているからには、しっかりと結果で応えたい」。7回に2番手で登板し1イニングを8球で3人斬り。新人元山からは得意の高速フォークで空振り三振を奪った。26日の開幕戦では移籍初登板初勝利も挙げたが「また次、相手も変わりますし、初めてのセ・リーグなのでしっかり作戦、配球を立てていきたい」と引き締めていた。

◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)の開幕3戦目は、4打数無安打2三振に終わった。 ヤクルトはこの日の4打席もすべて遊撃手、二塁手を右に寄せる「輝シフト」を敷く徹底マークぶり。先発奥川とのドラフト1位対決は三邪飛と、低めフォークを振らされての空振り三振。8回は糸原からの4連打で4点を奪う盛り上がりの中で回ったが、吉田喜のフォークで空振り三振。その裏の守りからベンチに下がった。 開幕戦はプロ初打席で先制犠飛、2戦目はプロ初安打をバックスクリーンへの特大1号2ランで決めたが、この日はバットで貢献できなかった。井上ヘッドコーチは「今日何しとんねんってことではない。あいつもそれなりに生身の人間だし」と思いやった。30日からは初のマツダスタジアムで広島3連戦。仕切り直して豪打を響かせる。

◆この日昇格した阪神熊谷敬宥内野手が、公式戦初の外野で好守を見せた。 8回裏の守備から右翼で途中出場。1死一塁で、青木の右翼フェンスギリギリの大飛球をジャンピングキャッチし、見せ場をつくった。前日27日に代走で2盗塁した江越が試合中に左足を痛め、この日はベンチ外。急きょ招集された1軍で期待に応えた。 江越は登録抹消せず、29日以降は状態を見て判断する。

◆阪神糸原健斗内野手が猛打賞で勝利に貢献した。「いい仕事ができたのでよかったです」。 初回1死、奥川の147キロ直球をはじき返して中前打。先制のホームも踏むと、5回2死一塁では右翼へ適時二塁打を放って3点差に広げた。8回は先頭で右前打を放ち、ダメ押しの4点を呼ぶ大活躍。「マルテがしっかり球数も稼いでくれますし、僕も積極的にいける部分もある。チームも打線としていい感じにきていると思います」。開幕3戦は13打数6安打、打率4割6分2厘と絶好調だ。

◆ガンケルが6回を3安打無失点に抑え、来日2年目で先発初勝利をつかんだ。「今年はこれだけしっかり点も取ってくれるので、本当にチームメートに感謝したい」。来日1年目の昨季も、初登板は同じ神宮でのヤクルト戦。4回3失点で1試合で2軍降格という悔しさを味わったが、見事リベンジを果たした。 持ち前の制球力で丁寧に投げ分けた。4回2死一、三塁のピンチ。迎えた坂口に7球ファウルで粘られたが、12球目の127キロスライダーで二ゴロに打ち取った。「坂口選手は非常にいいバッターなので、とにかく失投しないように。最後の最後、弱い当たりで打ち取れたのは、本当に幸運でした」。集中力を切らさず丁寧に、根気強く投げ続けた。今年から神宮の土が硬い材質となったことも好投を後押しした。「自分がアメリカで慣れているマウンドに近いという感じがした。自分は今年のマウンドが気に入っています」。 この日は野村克也氏の追悼試合。ガンケルも背番号「73」を着用した。「外国人選手からみても、日本の野球に偉大なものを残された方の1人だと思う。そういった方の追悼試合で投げられたこと、そして好投できたことを、本当にうれしく思います」。忘れられない1勝を新たな力に、白星を量産する。【磯綾乃】 ◆ガンケルの昨季来日初登板 開幕5戦目の6月24日、神宮でのヤクルト戦でデビュー。1回先頭の坂口に中前打を浴びるなど無死満塁のピンチを招き、村上の一塁ゴロで先制点を献上。雄平の犠飛と山崎のタイムリーで3点を失った。以後は無失点ながらも、3、4回に各2安打を許す不安定な投球に終始。4イニング7被安打3失点で降板した。翌日25日に登録を抹消された。

◆3冠王が開幕ダッシュを導く! 5番ジェリー・サンズ外野手が先制打、ダメ押し弾の大暴れだ。 まずは初回。2死一、二塁から先発奥川を捉えた。146キロ直球を左中間へ適時二塁打。8回には4番手吉田喜の145キロ直球を左中間スタンドへ運んだ。いずれも初球。「真っすぐが早いカウントで来るだろうと思っていた。準備もできていたし、積極的にいこうと」。抜群の集中力を発揮した。 阪神で開幕3戦までに3本塁打を放ったのは、75年田淵幸一、84年掛布雅之、85年真弓明信の3人のみ。いずれも当該シーズン30発超えで、田淵と掛布は本塁打王に輝いた。「自分がチームに貢献できるというのは、最高の形。どんどん続けて貢献できるように、頑張っていきたいと思います」。昨季開幕2軍スタートの男が、今季は打率5割、7打点と合わせて、リーグ3冠発進だ。 3回には3番マルテが1号ソロ。ベンチ前ではマルテの「ラパンパラ」ポーズで一緒に盛り上がった。意外や来日初のアベック弾。「『そろそろ(マルテも)打って』と思っていたよ(笑)」とジョークを飛ばした。自身の「ハッピーハンズ」とともに、本塁打量産で虎の名物へ。虎の神助っ人コンビが、猛虎打線の中心にいる。【中野椋】

◆瞬間、顔が引きつった。野村克也氏の追悼試合先発に抜てきされたヤクルト奥川恭伸投手(19)は3回2死、阪神マルテにフルカウントから144 キロ の高め直球を投じた。軽々と左翼席上段まで運ばれ、苦笑いするしかなかった。5回5安打3失点で、野村監督が率いた98年以来となる神宮での開幕3連敗。プロ初勝利もお預けとなり「調子自体は悪くなかったが、失点の仕方が良くなかった」と悔やんだ。 星稜(石川)時代は、2年春から4季連続で甲子園に出場。3年夏に準優勝に輝き、スターとなった。昨年右肘の故障で1軍登板は1度だけ。今季もオープン戦3試合で0勝、防御率6・00と納得いく結果を残せていない。 星稜の林和成監督は「逆球が少なくなってきた。段階を踏んで成長しているんじゃないかな」と心配していない。自身は高校時代、1学年上の松井秀喜氏とともにプレー。超一流の選手が間近にいたからこそ、プロの厳しさも分かる。「高校とプロのレベルは違う。そのまま活躍する成功例はほとんどない」と見守る。 悔しさを糧にする奥川を見てきた。1年秋、県大会と北信越大会で日本航空石川に合計16失点。「変わるチャンスかなと思ったら、その通りに成長してくれた」。2年の春季大会決勝では4安打完封した。「もしかしたらすごい投手になるなと。感情、プレー、スケール感が出てきた。本人はどう思っているか分からないですが。順調にいった子ですよね」と懐かしそうに言った。 7日広島戦(マツダ)から、中6日で登板し続けてきた。貴重な1カ月を肥やしとし、登板間隔を空けてるため、1度登録を抹消される見通し。最短10日後の再昇格を目指し、仕切り直す。【湯本勝大】

◆ノムさん、見てくれていますか! 阪神が6年ぶりの開幕3連勝を飾った。先発ガンケルが6回無失点と好投。打線もマルテ&サンズのアベック弾が飛び出すなど投打がかみ合った。この日は両球団で監督を務め、昨年2月に84歳で亡くなった野村克也氏の追悼試合。猛虎の雄姿を天国に届けた教え子の矢野燿大監督(52)も、16年ぶりVへの決意を新たにした。まだ3試合だが勝率は10割! ノムさんもビックリの? 2年ぶり単独首位だ。背番号73の矢野監督が右手を挙げ、東都のファンの声援に応えた。6年ぶりとなる開幕3連勝。ビジターでは実に17年ぶりだ。ゲーム終了後も鳴り響くメガホンの音は、三塁ベンチから出てきた虎のナインに注がれていた。「目の前の試合を1試合、全力で取りに行くというのができた中の3連勝。自分たちのゲームができた」。指揮官は充実した表情でうなずいた。 オープン戦首位の勢いが止まらない。初回に絶好調の5番サンズが先制の適時二塁打を放つと、3回には3番マルテが1号ソロ。8回にもマルテが右前適時打、サンズが3号3ランと中軸がこの日も活躍した。開幕3試合で、チーム打率2割9分は12球団トップ。6本塁打もソフトバンクと並んでトップタイだ。この日は先発ガンケルも6回無失点と好投。危なげなくヤクルトを押し出した。 球場がいつもと違う空気に包まれた。この日は両球団で監督を務めた野村克也氏の追悼試合。両チームのナインが全員、同氏がヤクルト監督時代に9年、阪神監督時代も最後の01年につけた背番号73のユニホームを着用した。球場には半旗が掲げられ、試合前には同氏をしのぶ映像がビジョンで流れた。矢野監督も黙とうで静かに目を閉じ、心を新たにしての一戦だった。 矢野監督は現役時代、野村阪神1年目の99年に初めて規定打席に到達し、打率3割4厘を記録するなど大きく飛躍。「頭で考えてやる。能力だけでやるんじゃないというのは野村さんの考え」。考える野球は能力のある選手にも勝る。ノムラの教えが、指導者としての礎にもなっている。 開幕前日の25日、野村氏が沙知代夫人と眠る都内の墓をお参りした。「また頑張ってきますという報告もしてきた。野村さんの考えで、俺自身もやれたし、教えてもらったものを伝えていく」と改めて日本一を誓った。 粘って開幕戦を取り、2、3戦目は圧倒した。「全員でやれた野球は、うちの野球。開幕からそれができたのはチームとして自信にしていきたい」。今後は甲子園でも追悼試合が検討されている。天国のノムさんが目を丸くするようなシーズンへ。DNAを受け継ぐ矢野阪神が、最高のスタートを切った。【桝井聡】

◆阪神がヤクルトに快勝し開幕3連勝を決めた。 ▼阪神の開幕カード3連勝は、15年3月27~29日の京セラドーム大阪での中日戦以来、6年ぶり。敵地では、04年4月2~4日の東京ドームでの巨人戦以来、17年ぶり。 ▼最近3年のセ・リーグでは、18年広島、20年巨人が3連勝発進しそのまま優勝している。阪神も続けるか。

◆ヤクルト・奥川が28日の阪神戦に先発する。昨季の最終戦だった11月10日の広島戦以来となる、1軍登板に向けてダッシュなどで調整。昨年1月の入寮時に野村氏の著書『野村克也 野球論集成』を持参した右腕は「自分のパフォーマンスを発揮できるように頑張りたい。何とか勝てるように」と特別な一戦でプロ初勝利を目指す。(神宮外苑)

◆ヤクルトは、28日の阪神3回戦(神宮)を、両球団で監督を務めた故・野村克也さんの追悼試合として開催する。昨年3月に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっていた。  昨年2月11日に84歳で死去した野村さんは、1990年から98年までヤクルトを率いてリーグ優勝に4度、日本一に3度導いた。99年から2001年までは阪神を指揮した。  ヤクルトの監督、コーチ、選手は、野村さんが監督時代に着けた背番号73のユニホームを着用。神宮球場正面に懸垂幕を設置し、野村さんの孫・彩也子さん(16)が始球式を務める。

◆この日の一戦は両球団で監督を務めた故・野村克也さんの追悼試合として開催。神宮球場正面には懸垂幕が設置された。  昨年2月11日に84歳で死去した野村さんは、1999年から2001年まで阪神を指揮。現役時代、選手と監督という立場でノムラの教えを学んだ矢野燿大監督(52)が開幕3連勝を飾り、野村さんに雄姿を届ける。  前日27日にプロ初本塁打をマークしたドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=は、雨の降りしきる中、フリー打撃を行い25スイングで柵越え4本。大注目の黄金ルーキーが天国から野村さんが見つめるグラウンドで、この日もアッと驚く快音を響かせる。

◆前日27日にプロ初アーチを放った阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=は「6番・右翼」で出場。この日は、両軍の監督を務め、昨年2月11日に84歳で死去した野村克也さんの追悼試合として、午後1時から行われる予定。

◆ヤクルトは28日の阪神3回戦(神宮)を、両球団で監督を務めた故・野村克也さんの追悼試合として開催。野村さんの孫・彩也子さん(16)が始球式を務めた。「人がいっぱいで、球場も広くて緊張しました。今日、石井コーチに教わって練習しました。練習ではうまく投げられるようになっていたので、ワンバウンドしたのは悔しかったです」と振り返り、「映像を見ていると、おじいちゃんを思い出してグッときましたが、(始球式に向けて)我慢しました。おじいちゃんのように、人を愛せて、人を残せるような人になれるように頑張っていきたいです」と前を向いた。  昨年2月11日に84歳で死去した野村さんは、1990年から98年までヤクルトを率いてリーグ優勝に4度、日本一に3度導いた。99年から2001年までは阪神を指揮した。

◆阪神・ジェフリー・マルテ内野手(29)が1-0の三回2死で、今季初安打となる1号ソロを放った。奥川の高めの直球をフルスイング。打球は左翼席上段に突き刺さった。  ベンチ前で、お決まりの弓を弾くポーズで喜びを表現すると「どんな状況でもポジティブな気持ちで取り組んでいることが、いい結果につながったね。これからもそういう気持ちを忘れずにやっていくよ」と話した。  一回2死一、二塁からはサンズが先制の左中間を破る適時二塁打。助っ人コンビの活躍で、三回を終了して2-0とリードしている。

◆阪神のジョー・ガンケル投手(29)が先発し、6回3安打無失点と好投した。  最大のピンチは2-0の四回だった。先頭の青木に左越え二塁打。その後、4番・村上に四球を与えて1死一、三塁とされたが、内川を空振り三振、坂口にはファウルで粘られながらも二ゴロに仕留めてゼロで切り抜けた。  今年で来日2年目の助っ人右腕は昨季、開幕2カード目の6月24日の同戦(神宮)で初先発し、4回7安打3失点で敗戦投手となっていた。  27日には「去年(の対戦で)は気持ちも体も試合に入っていくのに時間がかかった。今回はしっかり自分の投球ができるように」と語っていた通り、この日は安定した投球を披露。6回108球を投げ、勝利投手の権利を手にしてマウンドを降りた。

◆ヤクルト・奥川恭伸投手(19)が今季初先発し、5回74球を投げ5安打3失点。味方打線の援護がなく、プロ初勝利はお預けとなった。  一回は立ち上がりを攻められ、2死一、二塁からサンズに左中間へ先制の適時二塁打を許した。二回は3者連続三振。三回は2死からマルテに高めの直球を捉えられ、ソロ本塁打を被弾した。  四回は3者凡退だったが、五回は2死一塁から糸原に右中間への適時二塁打を浴び3点目を失った。

◆阪神のジェリー・サンズ外野手(33)が1点を追加して4-0とした八回、無死二、三塁から左中間スタンドへ3号3ランを放った。  サンズは26日の開幕戦で2本の本塁打を放ち勝利に貢献。27日は無安打に終わったが、犠飛で打点を挙げており、3試合連続の打点。この日は一回にも先制の適時二塁打を放っており、開幕3試合で7打点の大暴れだ。

◆ヤクルトが阪神に同一カード3連敗を喫した。奥川恭伸投手(19)が今季初先発し、5回74球を投げ5安打3失点。味方打線の援護がなく、プロ初勝利はお預けとなった。  一回は立ち上がりを攻められ、2死一、二塁からサンズに左中間へ先制の適時二塁打を許した。二回は3者連続三振。三回は2死からマルテに高めの直球を捉えられ、ソロ本塁打を被弾した。四回は3者凡退だったが、五回は2死一塁から糸原に右中間への適時二塁打を浴び3点目を失った。  打線は阪神の先発ガンケルに6回3安打と手が出ず。四回は1死一、三塁としたが、内川が空振り三振、坂口は二ゴロに仕留められ、得点を奪えず。八回に山田が中越え1号2ランを放ったが反撃が遅すぎた。

◆阪神はヤクルトに圧勝。2015年以来となる開幕3連勝を飾った。  サンズ&マルテが今季初のアベックアーチ。一回2死一、二塁からサンズが先制の適時二塁打を放つと、三回にマルテが左越えの今季1号ソロ。五回には、糸原の右中間への適時二塁打で加点した。八回には大山の適時二塁打とサンズの3号3ランで4点を奪った。  先発した来日2年目のガンケルは、6回3安打無失点の好投で今季初勝利を挙げた。  注目のドラフト1位・佐藤輝明内野手は4打数無安打2三振。八回の守備から退いた。  この日は両軍で監督を務め、昨年2月11日に84歳で死去した野村克也さんの追悼試合だった。

◆ヤクルトは投打がかみ合わず、本拠地・神宮開催となった開幕シリーズで3連敗。高津臣吾監督(52)は、先発した奥川恭伸投手(19)の投球を評価しつつも、打線の状態に表情を曇らせた。以下が主な一問一答。  --投打がかみ合わなかった  「昨日(27日)、きょうと全くスイングをさせてもらえなかった。ミーティングはしているんだろうけど、結果が出ないと、という感じですね」  --先発した奥川は5回3失点  「いい投球だったと思います。ボール先行で苦しむことがなかった。しっかりいろんな球種でストライクがとれて、レベルの高い投球だったと思います」  --追悼試合を開催できた意義  「こうして野村監督を思い出す時間ができたのはすごくよかったと思います。勝てれば一番よかったのかもしれないですけど、僕たちも(背番号)73番を着てグラウンドに立てるというのはすごく思い出になりましたし、まさか73番を着てベンチに座っていると思わなかったです」  --今後の結果で恩返し  「本当は勝ちたかったですね。勝つことが勝負事で大事というか、勝つ執念であったり勝つ技術であったり、考え方であったりというところを野村監督に学んできたので、それは選手に伝えていきたいなと思います」  --坂口が自打球の影響で途中交代  「彼にしては結構な痛がり方だった。病院には行ってないです」

◆野村氏の追悼試合で快勝した阪神・矢野耀大監督(52)は恩師への感謝の思いを口にした。一問一答は以下の通り。  ■一番の勝因  --ガンケル(6回無失点)が期待に応えた  「申し分ないというか、ほぼ完璧な。ピンチ作ってもね、丁寧に行きながらやってくれたし。いろんな気持ちが力んだりする中でも、そういうのも気持ちもボールもコントロールして投げてくれたというのは一番の勝因の部分かな」  --本塁打を打ったマルテ(三回に1号ソロ)は?  「選球眼がいいんでね。相手にこう、プレッシャーというか、そういうものが、かけられるバッターなんでね。持ち味は出してくれた」  --マルテが打てば盛り上がる  「チーム自体がマルちゃんに遠慮なくというかね。マルちゃんもパフォーマンスをやることで調子に乗れると思うしね。チームも盛り上がるんでね。そういうことをやるのもいいと思うしね。もっとやってほしい。もっと打って、もっと見たい」  --サンズは開幕から好調(3本塁打)。5番がいいと打線もつながる  「タイムリーも大きいし、いいところでホームラン打ってくれてるから、そういうところでは相手にもかなりダメージを与えられるホームランになってるので」  ■開幕前に墓参  --野村さんの追悼試合で特別な思いもあった  「高津監督の方が長くやってるし、俺だけじゃなくてね、高津もそういう思いで、臨んだと思うけど。俺もやっぱりこの73番着て、野球やるって最初で最後かと思うし、この開幕前にお墓参りも行けたんでね、頑張ってきますって報告もしてきたので」  (さらに続けて)  「受け継いできたものはあるんでね、野村さん、星野さんっていうのは俺の中でやっぱり大きく影響を与えてくれた方々なんでね。そういうところでは頭で考えてやる。能力だけでやるんじゃないっていうのは、野村さんの考えで、俺自身もやれたし、教えてもらったものは伝えていくっていうのは改めて。普段でもそれはやってるんだけどね。こういう立場でやらしてもらってるからには、野球界にいいものを残していきたいなと思いました」  --お墓参りに行かれたのは25日か  「いつやった? 25?(はい)」  --阪神の野球の中でも野村さんから脈々と受け継がれている伝統みたいなものはあるか  「脈々…。それはだから俺らが受け継いでいくというか、受け継いでいくものだと思うんだけど、俺らが伝えていったり受け継いでいくところ。俺はこうやって野村さんに3割を打たせてもらったとか、こういうふうにやったら見えないものが見えたり、感じられないものが感じられるようなところができたということは伝えていっているし、それがチームなのか個々にそれが伝わっているのかは、俺にはまだわからないけど、それは伝えていっています」  ■チームに自信  --昨年と違って今年は3連勝  「昨年は昨年なんで。もう終わったことなんで。あと原口だけかな、出ていないのは。全員が出て、投手も今日で全員投げて、全員でやれた野球というのはうちの野球なんで。開幕からそれができたのはチームとして自信にしていきたいと思います」

◆阪神の糸原が2-0の五回2死一塁で適時二塁打を放った。甘く入った奥川の速球を右中間にはじき返し「展開的にも追加点が欲しい場面だったので良かった」と胸を張った。一回に中前打、八回は右前打と3安打の固め打ちで、開幕から3戦連続安打と好調だ。  五回は一塁走者の近本が足で重圧をかけ、奥川の再三のけん制を誘った。打者への集中力を低下させたところで、糸原が快打。矢野監督は「チカ(近本)が絡んでの点。あの点の取り方が、うちの野球」と満足そうに振り返った。

◆打球は左中間席の上段に飛び込んだ。1点を追加して4-0とした八回無死二、三塁。阪神・サンズが勝利を決定づける特大の3号3ランを放った。  「きのうも真っすぐで攻められていたし、準備はできていた。得点圏に(走者が)いる状況で、打てる球がきたので、積極的にいったよ」 ■打撃3部門でセ・リーグトップ!!  ヤクルトの右腕、吉田喜の初球、145キロの直球にドンピシャ。配球を読んだ一発だった。阪神の選手で、開幕3戦で3本塁打を放ったのは、1985年の真弓明信以来36年ぶり4人目で、外国人選手では初めてとなった。一回2死一、二塁では左中間を破る先制の適時二塁打。開幕から3試合連続で打点を記録し、打率・500、3本塁打、7打点は、いずれもリーグトップだ。  「自分の前の選手がしっかり塁に出てくれるのが、何より大きいね」  好調の原因を、この日も3安打でチャンスをおぜん立てした2番糸原や一発を放った3番マルテ、八回に適時打でつないでくれた4番大山に感謝した。 ■矢野監督「引っ張ってくれている…心強いね」  矢野監督は「(一回の)タイムリーも大きいし、いいところでホームランを打ってくれた。サンズが(打線を)引っ張っていってくれている部分はある。心強いね」と、S砲を開幕3連勝の立役者に挙げた。  昨年は外国人枠の関係で開幕は2軍スタートだった。「昨年はここ(開幕)にいなかったが、今年は(チームの)3連勝に貢献できた。これからも頑張りたいね」。来日2年目。日本の投手の配球や特徴を把握した頼もしい助っ人が、虎を優勝へと導いていく。(三木建次)

◆阪神は最高の形でシーズンを滑り出した。一度も相手にリードを許すことなく3連勝。これが一番評価できる点だ。逆に言えばヤクルトは常に追う展開で3連敗。追悼試合の野村さんが好んだ「負けに不思議の負けなし」の言葉ピタリ当てはまる。  追いかける状況になると、どうしても作戦的に強引になったり、無理したりする。すると、自然と打撃が粗くなる。調子を落とすのは、大半がこの展開だ。 ■踏ん張れる先発陣、期待していい  阪神が3試合で一度も追い込まれた状態での攻撃にならなかった最大の要因は先発の踏ん張り。最も安定している西勇、秋山がまだ登板せずにこの状況を生んでいる先発陣は、相当に期待していいだろう。  攻撃陣は日替わりヒーローで、こちらも合格点だ。特にキーマンとして評価したいのは3番マルテ。低めに沈む変化球のボール球には絶対に手を出さない。外国人でここまで徹底して「見送れる」選手は記憶にない。ボール球を振らないから、出塁率も必然的にアップする。好調な糸原と大山、サンズ、佐藤輝と続く強打者をつなぐ「理想の3番」が機能。得点力は近年で最も充実している。(本紙専属評論家)

◆ヤクルトは28日、阪神3回戦(神宮)に2-8で完敗。昨年2月に死去した野村克也元監督(享年84)の追悼試合を飾れず、開幕3連敗を喫した。本拠地での開幕3連戦3連敗は、野村監督が指揮した1998年以来(対巨人)。先発の奥川恭伸投手(19)は5回3失点で黒星スタート。高津臣吾監督(52)は「本当は勝ちたかった」と悔しさをあらわにした。  朝から降り出した雨も、午後1時の試合開始前には止んだ。野村元監督がヤクルト時代に身につけた背番号「73」のユニホームを着て高津監督は、追悼試合で敗れ、天を仰いだ。  ■98年野村政権以来の本拠地開幕3連敗  「本当は勝ちたかったですね。勝つ執念であったり、勝つ技術や考え方を野村監督に学んできたので、選手に伝えていきたいと思います」  表情は晴れなかった。一回、開幕から3戦連続で先制を許し、終始追いかける展開となった。打線はつながりを欠き、得点は八回に山田が放った1号2ランのみ。野村元監督の最終年、1998年以来、23年ぶりに本拠地開幕3連敗を喫した。  2年連続最下位のチームは再建中。雲間から、差した光もある。高卒2年目の奥川が今季初先発で5回5安打3失点。敗戦投手になったが、指揮官は「いろんな球種でストライクが取れる、すごくレベルの高い投球だった」と評価した。90年代のヤクルト黄金時代に、川崎憲次郎や石井一久ら高卒の投手が主戦で活躍した。奥川の活躍は浮上に向けての好材料だ。  ■野村監督の教えに“高津流”加え新時代を  勝負に徹し、選手に厳しかった野村監督から守護神を任された高津監督。厳しさに「会話」を重視するスタイルを加えた“高津流”で新たな時代を築こうとしている。  「野村監督はどっしりと、勝負に徹する。僕は選手をできるだけ気持ちよく、迷いなくグラウンドに立たせてあげたいという考え。そこは野村監督とは正反対だと思う」  293試合。高津監督が現役時代に野村元監督のもとで救援登板した数だ。ヤクルトの教え子では最も多く、投手交代で名前を告げられた。  「『ようやったな』なんて言われたことは1回もない。だけど、こちらから話しかけると、すごくうれしそうに応対してくれる監督だった」  名将の教えを次世代につないでいくのが自身に与えられた使命。必ず、再建を果たし、天国の恩師の表情を晴れやかにする。(赤尾裕希)

◆天国のノムさんに届けた!! 阪神はヤクルトに8-2で快勝。2015年以来6年ぶりの開幕3連勝を飾り、単独首位に立った。この日は両球団で監督を務めた故・野村克也さんの追悼試合として開催。現役時代、選手と監督という立場で指導を受けた矢野燿大監督(52)が、亡き恩師に猛虎魂で恩返しした。 ■開幕前日『頑張ってきます』と墓前へ報告  受け継いだものはすべて、つぼみのように、大事に大事に膨らませてきた。必ず花を開かせてみせますと誓う開幕3連勝になった。ピンクの花びらが舞う神宮外苑。名将に心を寄せる人々がつどったゲームで、矢野監督も野村さんを思い、涙雨が落ちてくる空を見上げた。  「この73番を着て、野球をやるって最初で最後かと思うし。この開幕前に、お墓参りも行けたんでね。気持ちもスッキリというか『頑張ってきます』って報告もしてきたので。野村さん、星野(仙一)さんっていうのは俺の中でやっぱり大きく影響を与えてくれた方々なんでね」 ■両チーム監督時の背番「73」着用し万感プレー  スコアボード上には半旗が掲げられた。両軍の首脳陣と選手が、野村さんのヤクルトと阪神(2001年)の監督時代の背番号「73」のユニホームを着用し、特別な思いを胸に戦った。両軍と野村さんとの結びつきを振り返る映像が大型ビジョンに流れ、その中には“矢野選手と野村監督”の写真もあった。昨年2月11日に突然の別れが訪れ、コロナ禍もあり、ようやくこのタイミングで実現した追悼試合だった。 その他の写真(2/3枚)  全体ミーティングで「めちゃめちゃ勝ちたい」と打ち明けた開幕前日の25日、矢野監督は野村さんの元も訪れていた。シーズンの幕開けと、このゲームを前に、勝つためにすべきことを誰より教えてくれた師に、もう一度会いたかった。授かったものをつなぎ戦っていきますと、墓前を訪れて誓っていた。 ■「教えてもらったものを伝えていく」  「頭で考えてやる、能力だけでやるんじゃないっていうのは、野村さんの考えで、俺自身もやれたし。教えてもらったものを伝えていくっていうのは、改めて(思う)。こういう立場でやらしてもらっているからには、野球界にいいものを残していきたい」  東京都内の自宅を訪問し、阪神の監督を引き受けたことを直接報告した18年秋には「野球に学び、野球を楽しむ」としたためられた色紙を受け取った。甲子園の監督室に今も大事に飾るその言葉にも背中を押されている。この日は一回にサンズの適時打で先制すると、三回にはマルテが1号ソロを放ち、八回には再びサンズがトドメの3ラン。15年以来6年ぶりの開幕3連勝を飾り、単独首位に立った。  「目の前の試合を全力で取りにいくという野球ができた中の3連勝なんで。いいスタートを切りたいとは誰もが思っていること。その中で自分たちのゲームができた。チームとして自信にしていきたい」  勝ちだけを追い求め、踏み出す就任3年目。咲き乱れるように躍動したナインを、矢野監督は頼もしく見つめた。野村さんも見てくれている。16年ぶりの優勝へ、胸を張れる3試合を刻んだ。(長友孝輔)

◆28日に神宮球場で行われたヤクルト-阪神は、両球団で監督を務めた故・野村克也氏(享年84)の追悼試合として開催された。野村氏がヤクルト監督時代につけた背番号「73」のユニホームを全選手が着用した。サンケイスポーツ運動部長・加藤俊一郎が観戦記を綴った。ノムさんの言葉が、大型ビジョンに現れては消えた。神宮球場で開催された「ありがとう野村監督」追悼試合。試合前とイニング間に、恩村克也さんが生前語った言葉が流れた。  ボヤキに笑い、名言にうなずき、まるで野村さんの声が聞こえるようで、目の前の試合と重なってきた。  「人間最大の悪はなんであるか。それは鈍感である」  矢野監督は、野村さんに教わったことは「感じる」だと答えた。ヤクルト・奥川が三回、2死走者なし、フルカウントから被弾。打者は3番のマルテ。野村さんなら「一発だけは避けなければいけない。打者を3人かけてもいいから、1個のアウトを取るべきや!」と捕手を叱っただろう。  「ホームランは麻薬」  長距離タイプではない打者に、口酸っぱくかけた言葉だ。無意識に「もう一丁」と力み、バットが下から出がちになるためだ。27日にプロ1号を放ったヤクルトのルーキー、元山は引っ張りの意識が強すぎ、一ゴロ3つと空振り三振に倒れた。  「『もうダメだ』ではなく、『まだダメだ』だ」  八回、ヤクルトの攻撃直前に映った言葉に応え、山田が2ラン。だが九回は2死一塁から2人続けて初球を打ち、どちらも力のない一ゴロでゲームセットとなった。「まだダメだ」の心構えは、たとえきょうかなわなくても、明日への努力の源になると伝える。  野村さんがヤクルトで、阪神で、「原理原則」として選手に伝えた多くの言葉たち。野球を言語化したことは、野村さんの大きな貢献だと私は考えている。選手だけでなく、応援するファンをも豊かにしてくれる言葉、すなわち「ノムラの考え」は、野球界に遺(のこ)された大きな財産である。 (サンケイスポーツ・加藤俊一郎=2005~12年に野村克也さんを担当)

◆2年目の奥川は今季初先発で5回5安打3失点と粘ったが、初勝利はお預けとなった。二回には3者三振を奪ったが、要所で踏ん張れなかった。「調子自体は悪くなかったが、失点の仕方が良くなかった。先制点を与えてチームの流れを作ることができず、最低限の仕事しかできなかった」と肩を落とした。29日に出場選手登録を抹消される見込み。1軍に同行し、次回登板に向けて調整する。

◆山田が八回2死一塁から中越えに1号2ランを放った。「風に乗ってくれましたが、自分にとってすごく大きな1本になる」と手応えを口にした。打線は6安打と沈黙し、得点は山田の一発のみ。高津監督は「結果が出ているのが青木と中村しかいない。なかなか打線がつながらない」と渋い表情だった。(神宮)

◆ヤクルトは28日、阪神3回戦(神宮)に2-8で完敗。昨年2月に死去した野村克也元監督(享年84)の追悼試合を飾れず、開幕3連敗を喫した。  追悼試合の始球式は、孫の野村彩也子(さやこ)さん(16)が務めた。祖父が着用したユニホームを身につけ、見事な投げっぷりを披露。ノムさんの意外な横顔や、思いなどを本紙に明かした。  雨上がりの神宮でマウンドに上がった彩也子さんは、リーグ制覇を果たした1992年、実際に祖父が着ていた背番号「73」のユニホームを身につけた。上手投げからのワンバウンド投球に、スタンドからは拍手と歓声が響いた。  「緊張しました。映像を見ていると、おじいちゃんを思い出してグッときましたが、我慢しました。ワンバウンドしたのは悔しかったです」  自宅に隣接する祖父の家の庭で、練習を重ねてきた。普段は高校でオーケストラ部に所属するが、トランペットをグラブとボールに持ち替え、登板前にはヤクルト・石井投手コーチと“最後の特訓”も行った。  祖父のユニホーム姿はほとんど記憶にない。孫にとっては笑顔の「優しいおじいちゃん」だった。幼少期から褒めてもらうことが多かっただけに、中学時代に赤いリップを塗った姿を見せたときのことは忘れない。  「似合わないなあ」  意外な言葉に「え?」と戸惑った。だが、直後に「おばあちゃんは、似合っていたよ」と頬が緩んだ祖父の顔を見て「私を見て思い出したみたいで心が温まりました」。2017年12月に祖母・沙知代さんが死去した後の大切な思い出だ。  心に残っているのは「おじいちゃんみたいな人と結婚しなさい」という言葉。「そんな人いないから、無理だよ」と照れながら答えるのがいつもの流れだった。  「おじいちゃんのように人を愛せて、人を残せるような人になりたい」-。白球に願いを込め、見事な一球を投じた。  ■ヤクルト・追悼試合アラカルト  ★試合前セレモニー 半旗が掲げられ、両チームが黙祷(もくとう)をささげた。ビジョンには野村氏の名シーンと語録が流された。  ★ユニホーム 両チームが、野村氏がヤクルト監督時代に着けた背番号「73」のユニホームを着用。球団マスコット、つば九郎も背番号「73」のユニホームで登場。  ★神宮球場 神宮球場正面には監督時代の写真とユニホームをかたどった懸垂幕を掲示。1万人が上限の中、9988人の観衆が来場した。グッズショップでは復刻ユニホームやキャップなどが販売された。

◆本日はヤクルト、阪神で監督をしてくださったノムさんの追悼試合。  「ノムさ~ん、天国から見てくれてます~?」  「奥川、フルカウントから外国人のマルテにストライクをとりにいって、ホームランを浴びるなんて。ブツブツ…。若いわ…」  「ゲ~ッ! 天国でもぼやいてるよー」  「阪神のドラ1佐藤輝も力み過ぎや。ボソボソ…」  「あなた、相変わらず苦虫噛み潰してないで愛想振りまきなさいよー!!」  「わー!! サッチーまで登場してきたー」  「生まれ故郷の京都・京丹後市で『野村克也ベースボールギャラリー』の特別展がスタートしたんだから、(開催期間の5月9日まで)愛想良くして、皆さんに来てもらわないと!! 野村家に少しはロイヤルティーとか入るかもしれないじゃない!」  「え~お金!?」  「ウム…。京都なら阪神が近いか…。皆さ~ん、お久しぶりぶりノムさんでーす! 阪神は本日6回無失点のガンケルが先発の五本目の矢に当確!! 佐藤輝効果もあり、今季は200アーチで優勝間違いな~し!! ということで野村克也展にいらっしゃ~い!!」  ちょっとハシゃぎ過ぎのノムさんだけど、阪神開幕3連勝だから大目に見てね~!!

◆ノムさんなら-。本紙専属評論家の江本孟紀氏(73)が神宮でヤクルト-阪神戦を凝視。1972-75年に南海(ソフトバンクの前身球団)でバッテリーを組んだ故野村克也氏の考えを、評論の形で“代弁”した。  天国の野村克也さんなら、恐らくこう言う。  「もっと考えて野球をせんかい」。投打とも雑なヤクルトに、ボヤキが止まらないはずだ。  まずまずの内容をみせたのは、先発の奥川くらい。連打されない。四球で崩れる心配も少ない。四回、佐藤輝を空振り三振に仕留めたスライダーなど、変化球に角度がある。次回登板へ期待は持てるよ。  その奥川にしても、一回のサンズの先制二塁打は、初球のストレートが真ん中に入ったもの。三回のマルテの本塁打は、フルカウントから高めに抜けたストレート。1球の怖さを、もっと認識しないと。  慎重さの欠如の最たるものは、八回。マルテにはまたもフルカウントからストレートをタイムリーされ、サンズにもまたまた初球のストレートを3ラン。両外国人には3連戦、ずっと打たれているのだから、インハイでのけぞらせるとか、バッテリーに工夫や反骨心はないのかね。  「七回を終えてビハインドは3点。試合を捨てたらお客に失礼やろ」。パ・リーグが不人気だった時代に、南海で育った野村さんからすれば、考えられない淡泊さよ。  打線もそう。チャンスで逆方向へ打とうと心がけていた内川が、目についたくらい。他は総じてブリブリ振り回し、ガンケルに手玉に取られた。  セーフティーバントで揺さぶるとか、徹底的にボールを見極めるとか、外国人投手が嫌がる策は、頭に浮かばなかったのかね。  「ワシの教えを聞いていなかったんか? おさらいせえ!!」。天の声が聞こた気がするのは、エモトだけ?! ヤクルトにも届いていることを、祈りたいよ。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
300 1.000
(-)
-
(-)
14021
(+8)
10
(+2)
6
(+2)
4
(-)
0.290
(↓0.01)
3.330
(↑0.67)
2
(1↓)
巨人
201 1.000
(-)
0.5
(↑0.5)
14019
(+1)
13
(+1)
3
(-)
3
(-)
0.247
(↓0.05)
4.000
(↑1.5)
3
(-)
中日
111 0.500
(-)
1.5
(↓0.5)
1408
(-)
10
(-)
1
(-)
4
(+2)
0.188
(↓0.009)
3.120
(↑1.64)
3
(-)
広島
111 0.500
(-)
1.5
(↓0.5)
14010
(-)
8
(-)
2
(-)
0
(-)
0.265
(↑0.003)
2.000
(↑1)
5
(-)
DeNA
021 0.000
(-)
2.5
(↓0.5)
14013
(+1)
19
(+1)
1
(-)
0
(-)
0.289
(↑0.001)
6.120
(↑2.88)
5
(-)
ヤクルト
030 0.000
(-)
3
(↓1)
14010
(+2)
21
(+8)
3
(+1)
0
(-)
0.229
(↓0.021)
6.670
(↓0.67)