ソフトバンク(☆8対2★)ロッテ =リーグ戦1回戦(2021.03.26)・福岡PayPayドーム=
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ロッテ
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ソフトバンク
20100212X8804
勝利投手:石川 柊太(1勝0敗0S)
敗戦投手:二木 康太(0勝1敗0S)

本塁打
【ロッテ】マーティン(1号・6回表ソロ),吉田 裕太(1号・9回表ソロ)
【ソフトバンク】今宮 健太(1号・1回裏2ラン),周東 佑京(1号・3回裏ソロ),柳田 悠岐(1号・6回裏2ラン),甲斐 拓也(1号・7回裏ソロ)

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◆投打のかみ合ったソフトバンクが快勝。ソフトバンクは初回、今宮の2ランで先制に成功する。その後は、3回裏に周東のソロ、6回には柳田の2ランが飛び出すなど、一発攻勢で得点を重ねた。投げては、先発・石川が7回1失点の好投で今季初勝利。敗れたロッテは、投打ともに精彩を欠いた。

◆ロッテ鳥谷敬内野手(39)が、ソフトバンクとの開幕戦に「7番遊撃」でスタメン出場する。 遊撃手で、39歳9カ月での開幕スタメンは史上最高齢となる。井口資仁監督(46)は試合前「オープン戦で良かった選手たちがしっかりスタメンになっていますし(相手先発の)石川に対してどう攻略するかです」と、開幕オーダーを組んだ意図を話した。 鳥谷は石垣島キャンプは2軍で調整し、3月中旬過ぎまでは2軍教育リーグで打席を重ねた。20日に1軍に合流後は2試合連続で安打を放っていた。 19年オフに阪神を退団し、20年3月にロッテに入団。昨季は42試合に出場し、打率は1割3分9厘だった。遊撃手としての1軍公式戦出場は、この日で1769試合目。NPB歴代1位となっている。

◆ソフトバンク今宮健太内野手(29)が、今季チーム1号となる先制2ランを放った。 1回に1番周東が中前打で出塁して無死一塁の場面。昨季チームが0勝3敗と、苦手にしていたロッテ二木の141キロ直球を左翼席へ運んだ。 「初の開幕投手、同学年でもある石川が、初回をテンポ良く3人で抑え、攻撃へのリズムを作ってくれた。そして1番周東がヒットで流れをさらに呼び込み、その勢いで打つことが出来たと思う。この後も石川を援護し、試合に勝つために集中していくだけです」。初の大役を任された同学年の石川に、大きなプレゼントを贈った。 この日は母校の明豊(大分)が、センバツ高校野球で2年ぶりの8強入り。後輩たちに負けじと、先輩も福岡で特大アーチを描いた。

◆モデルでタレントのみちょぱこと池田美優(22)が、ソフトバンク-ロッテの開幕戦(ペイペイドーム)で始球式を務めた。 背番号348(みちょぱ)をつけてワンバウンド投球を披露。「2年前のタカガールユニホーム発表会に参加させていただいた当初よりは、春のセンバツを見たりと、前より野球との距離は近くなったなと感じています。野球のプレー人数? 9人です! ホークス、頑張ってください!」とエールを送った。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手(32)が21年初アーチを描いた。 3ー1の6回無死一塁。二木の129キロフォークを右翼スタンドギリギリに運んだ。インパクトの瞬間、ペイペイドームは大歓声。柳田もバットを高く上げ、アーチを確信していた。 「(先発の石川)柊太が頑張ってくれているんで、(今宮)健太も出ていましたし、何とかここで追加点をという気持ちでした。『ためて、ためて、解放!』って感じで! 開幕戦だからというわけではないですが、やっぱりいい形で勝ちたいですし打てて良かったです」。 今季は両アキレス腱(けん)のコンディション不良で調整が出遅れた。オープン戦では5試合で11打数4安打、打率3割6分4厘も長打は出ず。開幕前には「(ホームランを)打てるに越したことはないけど、あまりホームランホームランと意識ではなく、自分の良いバッティングができるようにということだけ考えてやりたいなと思います」と話していた。タカの主砲ギータが、ようやく目覚めた。

◆開幕戦でプロ初出場初スタメンを果たしたロッテ山口航輝外野手(20)が、うれしいプロ初安打を放った。 期待の右打ちスラッガー候補。5番DHで起用され、6回の第3打席にソフトバンク石川のフォークをレフト前へ運んだ。球団を通じて「消極的にならず、積極的に振りにいこうって1打席目から決めていたので、結果が出て良かったです。ボールは両親に渡したいです」とコメントを寄せた。

◆ソフトバンクは初回、今宮の1号2ランで先制。3回にも周東の1号ソロで加点した。先発石川は3回までパーフェクト投球。 ロッテは6回にマーティンの1号ソロで1点を返したが、先発二木がピリッとしない。直後に柳田の1号2ランで4点差とされた。 ソフトバンクが4発のアーチ攻勢などで完勝した。先発石川が7回1失点の好投。チームは5年連続開幕戦白星を挙げた。 石川が1勝、ロッテ二木が1敗。

◆ロッテ初の開幕投手の二木康太投手がのみ込まれた。 初回、周東の安打の後、2番今宮への初球に2ランを許した。わずか4球での2失点に「率直に悔しいです」と唇をかんだ。「初回以降は普通に入っていけたんですけど、初回はすごく緊張しました」。結局6回途中まで3被弾で5失点。独特の雰囲気に、自分のペースをつかめなかった。

◆アーチ攻勢の大トリはソフトバンク甲斐拓也捕手(28)だ。 5点リードの7回1死、新人河村の初球の146キロの直球を左翼テラス席に運んだ。前2打席は空振り三振に倒れていたが、甘い球を逃さず一振りで仕留めた。「結果として、ホームランで援護点を取れたのはよかったけど、捕手としては開幕試合を勝ち切るということ。(石川)柊太さんに勝ちをつけたいという思いだった」。石川の好投も引き出し、攻守に充実の白星となった。 ▼ソフトバンクの開幕戦4本塁打は、前身の南海時代の80年近鉄戦(日生)で4本塁打したメイ、門田博光、新井宏昌、定岡智秋に並び、球団最多。89年の福岡移転後では単独で最多となった。

◆ソフトバンク石川柊太投手(29)が、育成出身の投手では史上初となる開幕白星を手にした。武器のパワーカーブに140キロ台後半の直球を織り交ぜ、3回までは完全投球。7回5安打1失点で、自身初の大役を全うした。「初めて開幕のマウンドに立たせてもらい、緊張感がある中で初回をリズムよく投げる事ができたことで、すんなりと試合に入ることができた。すぐ先制点を取ってくれたことが非常に大きく、力になりました」と振り返った。 5、6回には満塁にピンチを招いたが、無失点でしのいだ。失点は6回に許したマーティンへのソロ本塁打のみ。エース千賀も成し遂げられなかった、育成選手としての偉業を手にした。 「細かいところで反省点はありますが、そこは次回以降の登板で修正していけたらいいと思います。次の試合に向けて、また頑張ります」。大役を終えた右腕が、気を引き締めた。

◆ロッテ救援右腕の"ツインタワー"が、開幕戦でそろってプロ初登板するも、ともに洗礼を浴びた。 身長192 センチ のドラフト4位・河村説人投手(23=星槎道都大)は4点リードされた7回に登板。先頭の松田は遊ゴロに抑えたが、続く9番甲斐に146 キロ 直球を本塁打された。「思ったより緊張はしなくて、球も良かったと思うんですけど、相手を見て投げるところは投げないと、ああやってホームランを打たれてしまうので、しっかり反省してやっていきたいと思います」と振り返った。 続く8回は、身長191 センチ 右腕の土居豪人投手(20)が登板した。いきなり3番柳田と対決し、149 キロ をマークするもフルカウントから四球を許し、結局1回2失点。「緊張もしてたんですけど、途中から四球を出しちゃいけないと縮こまって投げてしまいました。しっかり反省して次に生かしたいです」と引き締めた。

◆5年連続日本一を狙うソフトバンクは5年連続で開幕勝利となった。工藤公康監督(57)の一問一答は以下の通り。 -開幕戦勝利 工藤監督 最高のスタートでした。 -石川が好投 工藤監督 最初に味方が点を取ってくれたところが大きかったと思う。テンポを崩さず自分の投球をしてくれたと思います。 -打線は8得点 工藤監督 やはり今宮君の最初のホームランがすばらしいホームランだった。あれでベンチの緊張も一気にほぐれていい形でスタートすることができた。いいスタートだったなと思います。 -柳田にも本塁打が出た 工藤監督 追加点を取ることができたのも大きかったですし、チームを楽にしてくれる本塁打でした。 -明日以降に向けて 工藤監督 3連戦あれば勝ち越していくこと。それを続けていくことが優勝に近づいていく。先を見ずに、3連戦を勝ち越すんだという思いで続けていきたいと思います。 -1、2、3番が本塁打 工藤監督 それぞれ役割はあると思いますが、本塁打という相手に脅威になる形で得点できたところは良かったと思います。最後に栗原君がタイムリーを打てたところも大きかった。このチームは元来ホームランは多いけど、タイムリーが少ない。チームにとっても大きかったですし、栗原君は最後サードでアウトになりましたけど。ダッシュが足りなかったのかな。そういうのもありましたけど、いいヒットが打てたのは大きい。しっかり自分のスイングをすれば大丈夫だというところを、決意を新たに頑張ってほしいと思います。 -石川は6回での降板は考えた 工藤監督 ないです。今年は9回までとなったとしても、先発ピッチャーは長いイニングを投げてもらうと言うことをずっと言ってきてますんで。任せるピッチャーには長いイニングを。つないでいく日もあると思いますし、調子がいい日ばかりではないと思うので。いけると思うときは、先発に長い回を投げてほしいと思っています。 -石川は育成出身で初の開幕勝利 工藤監督 千賀も付いていたと思ったんですけど、初めてですか。成長という部分では去年の成績もそうですけど、今年、開幕投手といってからだんだん重さを痛感していたという話も聞いていますけど、いざとなったときに自分の投球ができる。肉体と言うより精神面の成長が出たと思っていいんですかね。 -9回は森と決めていた 工藤監督 あそこで2点入ったからといって他のピッチャーというわけにはいかなかったので。聞いたら最初の試合だし、点差があっても行きたいということだった。最初の1回目はなるべく早く使ってあげたいなと思っています。それぞれの開幕なので。明日も機会があれば、なるべく小刻みになったとしても使ってあげたいなと思います。 ▼ソフトバンクの開幕戦4本塁打は、前身の南海時代の80年近鉄戦(日生)で4本塁打したメイ、門田博光、新井宏昌、定岡智秋に並び、球団最多。89年の福岡移転後では単独で最多となった。

◆ロッテ吉田裕太捕手(29)が開幕戦で今季1号ソロを放った。 1-8の9回2死に代打で登場すると、ソフトバンク森のカーブを完璧に捉え、左翼スタンドへ放り込んだ。「球種問わず、初球から全部振りに行こうと思っていました」と狙い通りの1発だった。 プロ7年目の昨季は、1軍出場は1試合のみ。唯一の打席は犠打で、捕手としてはわずか3イニングのマスクだった。この日の本塁打のように、低くしっかり伸びていく弾道が持ち味。打力を生かすべく、今キャンプから一塁守備も始めていた。 オープン戦では本塁打を打ったかと思えば、勝敗を左右する好機で凡退。井口監督からは「ああいうところをやっていかないと。違うところで打っても1軍には残れない」と厳しい声も出ていた。何とかつかんだ開幕1軍の座だった。 意地の1発に「チームとしては負けてしまったのでスタートは良くないと思いますけど、個人としては昨年苦しい思いをしたので、良いスタートが切れたなと思います」と振り返る。契約更改を終えて「無事に契約してもらいました」と謙虚な第一声を口にした男が、今年こそチャンスをものにする。【金子真仁】

◆2年連続開幕スタメンのソフトバンク栗原陵矢捕手がマルチ安打で応えた。 5回先頭で右翼線二塁打を放つと、8回には右中間へダメ押しの2点適時打。オープン戦は打率1割台と苦しんだが、昨季サヨナラ打を放った開幕戦の舞台で躍動した。工藤監督は「最後に栗原君がタイムリーを打てたところも大きかった。このチームは元来ホームランは多いけど、タイムリーが少ない。チームにとっても大きかった」と満足そうだった。

◆ソフトバンクのリードオフマン周東佑京内野手が1号&マルチ安打発進だ。 3回1死走者なしで二木の140キロ直球を右翼席へ。初回先頭打席は中前打を放ち、今宮の先制2ランをお膳立てした。オープン戦は13試合で打率1割3分3厘と苦しんだが、開幕に合わせて復調。「一度リセットして新たな気持ちで臨んだ。1番を任せていただいている責任感と、リードオフマンとしての自覚をもって、この後も打線を引っ張っていきたい」と力強く語った。

◆21年のプロ野球が開幕し、ソフトバンクが自慢の豪打で4発快勝発進を決めた。 初回に今宮健太内野手(29)が、チーム1号の先制2ランを放って主導権を握ると、周東、柳田、甲斐にも1発が飛び出しロッテを粉砕。開幕戦の4本塁打は福岡移転後初で、南海時代の1980年(昭55)以来の球団最多タイ記録だ。5年連続日本一へ、5年連続開幕白星発進は何よりの吉兆。今年も強いぞと印象づける豪快な勝ち方で、最高のスタートを切った。打った瞬間にスタンドインを確信した。ここ数年の鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように、今宮はベンチに向かってグッと拳を握って見せた。初回無死一塁の今季初打席だ。ロッテ二木の初球、高め直球を豪快に左翼席に運んだ。「あまり表には出さないんですけど、この1本はうれしかったなと思います」。思いのこもった先制2ランは試合を決める決勝弾となった。 復活へ期する思いが強い21年だ。ここ3年は故障離脱があり、悔しいシーズンが続いている。昨年も8月に左ふくらはぎを痛めて、戦列に戻ることがなかった。今季はキャンプ序盤に両ふくらはぎのコンディション不良でA組から離れたが、開幕に間に合った。「今年にかける思いというのはみんな持っているんですけど、ここ3年ずっと、離脱ばかりを繰り返して悔しい思いをしている。ケガなく全力で、チームのためにと思ってやっている。(ガッツポーズは)その思いが出ちゃいましたね」。この日は母校の明豊(大分)が、センバツで2年ぶりの8強進出。後輩に負けじと、先輩も最高の結果を出した。 5年連続日本一を狙うチームにとっては、5年連続開幕勝利という幸先いい門出になった。工藤公康監督も「最高のスタート」と喜んだ。就任7年目、大きな変化がある。小久保ヘッドコーチを迎え、野手に関しての判断を託した。この日の開幕スタメンも、小久保ヘッドが野手陣の意見をまとめ、工藤監督に提案する形だった。「ヘッドが考えに考えて出してくれた答え」。そのラインアップはホークスの開幕戦では福岡移転後初で、南海時代の80年近鉄戦以来となる4本塁打を生んだ。 リーグ連覇と5年連続日本一へ、まずは1勝。指揮官は「3連戦あれば勝ち越していくこと。それを続けていくことが優勝に近づいていく。先を見ずに、3連戦を勝ち越すんだという思いで続けていきたい」と引き締めた。白星を量産する21年の旅が、始まった。【山本大地】 ▼ソフトバンクの開幕戦4本塁打は、前身の南海時代の80年近鉄戦(日生)で4本塁打したメイ、門田博光、新井宏昌、定岡智秋に並び、球団最多。89年の福岡移転後では単独で最多となった。

◆39歳9カ月のロッテ鳥谷敬内野手が若い仲間たちと開幕戦を戦い、ソフトバンクに敗れた。「チームが何とか勝ってスタートしたかったので、そういう意味では悔しい1日になりましたね」と振り返った。開幕戦の遊撃スタメンでは、NPBで史上最年長の記録になった。 遊ゴロを丁寧に3つさばき、ヒットも打った。「倍くらい離れている選手とも一緒にやるので、違った発見があると思う」。20歳の山口がプロ初出場初安打を放ち、球団史上最年少で開幕4番を務めた安田も奮闘した。河村、土居のプロ初登板もあった。デビューで失敗も味わった彼らに、鳥谷は「みんな不安な中で入っていくもの。経験していくしかない。どんどん経験して、成長していくことしかないと思っています」と願う。昨季は2位に躍進したが、ロッテはまだ途上のチーム。レジェンドが渋く支えていく。【金子真仁】 ▽ロッテ井口監督(6回の満塁機に無得点) ずっと課題なので、今季はああいうところがしっかりできるように徹底してやっていきたいなと思います。

◆ソフトバンク柳田がとどめの1号を放った。2点リードの6回無死一塁で右翼席に弾丸ライナーで2ラン。「何とかここで追加点をという気持ちでした。『ためて、ためて、解放!』って感じで!」。今季はアキレス腱(けん)のコンディション不良でB組キャンプ。3月中旬に1軍合流したが、まだ実戦での本塁打がなかった。昨季に引き続き、本塁打1本につき「国際連合世界食糧計画WFP協会」と「特定非営利活動法人SOS子どもの村JAPAN福岡」に15万円ずつ寄付する活動も継続する。

◆ソフトバンク石川柊太投手(29)が、育成出身の投手では史上初となる開幕戦白星を手にした。武器のパワーカーブに140キロ台後半の直球を織り交ぜ、3回まで完全投球。7回5安打1失点で、初の大役を全うした。「自分のなかで緊張をコントロールできた感じがあったのでよかったです。(野手陣が)早い段階で打ってくれて、すごくテンポよく入れました」。 自分らしく腕を振った。「千賀みたいなエースの風格を振る舞いを出すつもりはない。戦う姿勢を見せられたらいい」。工藤監督から先発を告げられた時から、そう腹をくくっていた。5、6回で満塁のピンチをしのいでも、笑顔とガッツポーズは見せなかった。「ホっとしています。いいスタートがきれたので良かったです」。常勝軍団の開幕投手という責任感を持ち続け、同じ育成出身の千賀も成し遂げていない快挙を成し遂げた。 「千賀が取ってない育成出身の○○というのはなかなかない」。苦笑いを浮かべつつ「育成出身でもやれるんだという気持ちを今でも大事にしています」と胸を張った。石川のサクセスストーリーが、新たに始まった。【只松憲】

◆ソフトバンクが開幕戦に完勝した。4本塁打のアーチ攻勢に、開幕初先発となった石川が快投。チームは5年連続で「開幕星」をつかんだ。4年連続で日本一に輝いているホークスにとって、今季も初戦白星を手にしたことは「吉兆」であろう。試合後、王球団会長も「(ホームランが)出たね。開幕は特別だからね。打つ方がどうかなと思っていたけど」と、観戦に訪れた孫オーナーを見送りつつ快勝に笑顔だった。不安視された打線がいきなり活気づき、先発石川も大役を果たした。チーム好発進の中、注目したのは8回にひょうひょうとした表情でマウンドに上がったサウスポー嘉弥真の投球だった。前打席で本塁打を放っている先頭マーティンを2球で追い込むと、3球目は130キロの自慢のスライダーで空振り三振。続く4番安田もフルカウントから142キロの直球で一ゴロに仕留める好救援。5点差があったとはいえ、この2死で完全に勝利を確信できた。嘉弥真にとってプロ10年目の今春は悲しみのスタートだった。2週間前の12日に父の末広さんが逝去した。最終調整の大事な時期だが、16日に実家のある沖縄・石垣島で行われた葬儀・告別式に駆けつけた。悲しみに暮れる間もなく20、21日のオープン戦対広島の連投テストを終え開幕に臨んでいた。十分な調整ができたかどうか分からない。だが、小柄な左腕はしっかり仕事をこなした。10年前の入団発表後の球団主催の歓迎パーティー。プロ入りした息子の晴れ姿に、末広さんは王会長らを前にしてうれし泣きした。息子の活躍を信じながらも、厳しい世界で生き抜く難しさも感じていたはずだ。息子はチームに欠かせない貴重なセットアップ左腕となった。日本一4連覇のこの4年間はすべて50試合以上に登板、防御率2点台の数字を残してる。V5を目指す今季も、「勝利の方程式」を形成する重要なピースとして、この男の存在は大きいと感じた。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆ソフトバンク・工藤公康監督(57)が試合前に代表取材に応じた。迎えた開幕戦に際して、平常心を強調した。  「普段通りです。(緊張し始めるのは)試合が始まる前、セレモニーとかが終わったくらいじゃないですか。すっきり、やるべきこと話すべきことは話したので。あとは試合が始まってからというところ」  昨年は3年ぶりのリーグ優勝をつかみ、4年連続日本一に輝いた。連覇がかかる2021年。「ファンのみなさんの前で野球ができるのは最大の喜び。ホークスらしい元気ハツラツといいプレーをしている選手の姿をみていただきたい」と力を込めた。  開幕投手は昨年11勝の石川に託した。「アドバイスしたのは『一番大事なのは集中力だ』と。しっかり調子が100でないなら、その中でどう集中力を保って投げられるか」と期待を込めた。

◆ソフトバンク・小久保裕紀ヘッドコーチ(49)が試合前に代表取材に応じた。9年ぶりの球団復帰を果たし、1年目のシーズン。身震いしながら意気込みを明かした。主な一問一答は以下の通り。  --ヘッドコーチとして迎える開幕戦は  「選手でもないし、自分が打席に立つわけではないので。いかに選手が働きやすい環境を整えるかが仕事なので。選手時代とは全然違いますね。準備の仕方も全然違うので」  --上林は2軍スタートとなった  「(工藤)監督が言っていたように守備固めしかないので。栗原が出ると決まったら。それだったら、下で打席を多く立って。せっかくいい姿が(今春)前半にはあったので。確率をよくして。ファームの方から『上林を使わなかったらどうするんですか』というくらい、やってこいという話で。どの選手もそうですけど」  --オープン戦の結果はリセット  「絶好調の人はいなかったので。悪い人は逆にリセットできる。僕も現役のときはそうでしたけど、全く別物なので。いいスタートを切れたら、あのオープン戦は何だったんだというくらい。そう願いますけどね」  --打順は小久保ヘッドが考えた  「打撃コーチも含めて話をして決めて、それを監督に渡して。今年はそうなるんじゃないですか」  --テーマは  「テーマはないよ。誰が見ても、今スタメンで出るでしょうという人が出ているだけです。相手投手でどうのこうのという感じではないです」  --ロッテ・二木に対する対策は  「細かい対策は打撃コーチがやっているので。大まかには聞いていますけど。そのへんは担当コーチで。作戦と、残りの選手をどう使っていくかに集中します」  --デスパイネとグラシアルも開幕に間に合った  「そのために筑後にまでいって試合に出ていたわけですから」  --栗原、周東は  「オープン戦はオープン戦と割り切った状態で、早めに公式戦でいい1本が出れば、払拭できると思うので。2人とも早く1本ほしいですね」

◆ロッテ移籍2年目でプロ18年目の鳥谷敬内野手(39)が、阪神時代の2018年以来3年ぶりに開幕スタメンで出場する。「7番・遊撃」で、遊撃手では2016年以来5年ぶり。遊撃手で39歳9カ月の開幕スタメンは、直近では2014年の開幕戦で、当時西武に在籍していた松井稼頭央内野手(現・西武2軍監督)の38歳5カ月を上回る。

◆ソフトバンク・今宮健太内野手(29)が「2番・遊撃」で出場。一回無死一塁、左翼席へチームの今季1号となる2ランをたたき込んだ。  「初開幕投手、同級生でもある石川が、初回をテンポ良く3人で抑え、攻撃へのリズムを作ってくれた。そして1番の周東がヒットで流れをさらに呼び込み、その勢いで打つことができたと思う。しっかり狙い球も絞ることができ、いいスイング、いいスタートが切れた」  一回無死、周東が中前打で出塁。先発・二木はけん制球などで周東を警戒していたが、今宮は見逃さなかった。1球目の141キロ直球を強振。打った瞬間に確信する特大弾で、ホークスの2021年初アーチを架けた。  今宮は13年から9年連続開幕スタメンを射止めたが、開幕戦の本塁打は自身初。「この後も石川を援護し、試合に勝つために集中していくだけ」と闘志を燃やした。

◆阪神時代の2018年以来3年ぶりに開幕スタメン出場を果たしたロッテ・鳥谷敬内野手(39)が、0-3の五回1死二塁で迎えた2打席目で右前打を放ち、今季初安打をマークした。鳥谷は「7番・遊撃」でスタメン出場。三回無死の1打席目は空振り三振だった。だが、2打席目はカウント1-1から一、二塁間を破る快打。ソフトバンク先発の石川からチーム3本目の安打を放った。

◆プロ初出場初スタメンのロッテ・山口航輝外野手(20)が、六回2死の3打席目で左前打を放って、うれしいプロ初安打マークした。  秋田・明桜高から入団3年目の右打者は「5番・DH」でスタメン出場し、ソフトバンク先発の石川から積極果敢な初球攻撃。1打席目は見逃し三振、2打席目は左飛だった。

◆ソフトバンクの1番打者周東が、リードオフマンにふさわしい働きを示した。一回は鋭い中前打で今宮の先制2ランを呼び込む。さらに三回、二木の内角寄りの速球を振り抜くと、打球は右翼スタンドへ届く1号ソロに。「思い切って振りにいって、いい結果につながった」と笑った。  昨季は盗塁王に輝いたが、14試合中12試合に「1番・二塁」で先発した今季オープン戦は打率1割3分3厘と不振だった。「いろいろな思いがあったが、一度リセットして新たな気持ちで臨んだ」と頭を切り替えて好結果を残した。  小久保ヘッドコーチは「ご存じの通り、あれだけ打てないのに使っている。何とか去年を上回るものを見せてほしい」と期待をかけていた。開幕戦から一発回答。「1番を任せていただいている責任感と自覚を持って、この後も打線を引っ張っていきたい」と決意を新たにした。

◆ソフトバンクの柳田が3-1の六回、右中間へ1号2ランを放った。無死一塁から、二木の甘く入ったフォークボールを逃さず豪快にスイング。弾丸のような打球をスタンドに突き刺した。オープン戦を含めて今年初となる一発で本拠地のファンを沸かせ「ためて、ためて、解放!って感じで」と独特の言い回しで喜びを表現した。  昨季パ・リーグ最優秀選手(MVP)に輝いた主砲は、両アキレス腱の不調でキャンプをリハビリ組で過ごしたが「あくまで開幕に100パーセントで」と焦らずに振り込んで16日から1軍に合流。まさに有言実行の一撃となった。

◆ソフトバンクが快勝した。一回に今宮の2ランで先制し、三回は周東のソロで加点。3-1の六回は柳田の2ランで突き放した。石川は7回を投げ5安打1失点と好投し、白星を挙げた。ロッテは二木が5失点と踏ん張れなかった。

◆8年目で初めて開幕投手を任されたソフトバンクの石川が7回5安打1失点にまとめ、育成出身の開幕投手として初となる白星を挙げた。「育成選手に夢を与える、そういう存在になれればいいと日頃から思っている」と胸を張った。  序盤から右打者をのけぞらせるようなカーブでストライクを取り、速球にも伸びがあった。六回はマーティンに一発を浴びたが、その後の2死満塁のピンチで田村を空振り三振に仕留める。七回はテンポを取り戻し、三者凡退に。「ほっとしていると同時に次の戦いに備えなきゃいけない、というのが率直な気持ち」と先を見据えた。

◆ソフトバンクは快勝し、開幕戦は5年連続勝利となった。試合後、工藤公康監督(57)が代表取材に応じた。主な一問一答は以下の通り。  --最高のスタートになった  「最高のスタートでした」  --石川(先発して7回1失点)が粘り  「最初に味方が点を取ってくれたのが大きかったと思いますし、そこからテンポを崩さずに自分の投球をしてくれたと思います」  --五回、六回とピンチを  「ああいうところでしっかり抑えられるところが彼の、オープン戦から学んできたところかなと。もう一段、ギアを上げて、集中力を上げて抑えることができたので。あれが次につながるかなと思います」  --打線は8得点  「今宮君のあの、最初のホームランが素晴らしかった(一回の先制2ラン)。あれで一気にベンチも盛り上がって、緊張もほどけたので。大きな一発だったなと思います」  --柳田の一発(3ー1の六回の1号2ラン)も効果的だった  「1点取られた後だったのであそこで追加点を取れたのは大きかった。あれでブルペンの投手も1点取られても大丈夫と思ったと思うので。チームとしても楽にしてくれたホームランだったと思います」  --今季の意気込みを  「毎年同じことをいっていますけど、3連戦があれば勝ち越していく。それを続けていくということが、何よりも優勝に近づいていくと思うので。先を見るのではなくて、3連戦、勝ち越すという思いで今シーズンを戦っていきたいと思います」

◆ロッテ・鳥谷敬内野手(39)が「7番・遊撃」で3年ぶりに開幕スタメン出場。五回1死二塁で右前打し、今季初安打をマークした。  「チームとしても、個人としても、スタートが肝心です。1試合でも多くチームの勝利に貢献したいという思いです」  カウント1-1から強振した打球は一、二塁間を抜け、プロ18年目のベテランがチーム3本目の安打をたたき出した。  阪神時代の2018年以来3年ぶりの開幕スタメンで、遊撃手では5年ぶり。遊撃手で39歳9カ月での開幕スタメンは、直近だと2014年の西武・松井稼頭央(現・西武2軍監督)の38歳5カ月を上回る。  ロッテ移籍2年目。3月入団で春季キャンプに参加できなかった昨季と違って、今季は2月の沖縄・石垣島キャンプから精力的に動き続けた。2軍スタートで、何事も真剣に取り組む姿勢は若手の手本となった。  開幕戦を勝利で飾りたかったが、入団8年目で初の開幕投手を務めた二木が、六回途中6安打5失点で降板した。19年からソフトバンク戦7連勝中だった右腕も、今宮、周東、柳田に計3被本塁打と開幕戦の重圧に苦しんだ。(山口泰弘)

◆ロッテの二木は8年目で初の開幕投手を務めたが六回途中までで3本塁打を浴びて5点を失い、敗戦。ソフトバンク戦の黒星は2018年10月以来となった。1-3の六回は先頭に四球を与え、柳田に2ラン。続くグラシアルに二塁打を許して降板し「率直に悔しい」と唇をかんだ。  一回に先制2ランを浴びてリズムに乗れず、ソフトバンク戦の連勝は7で止まった。「調子は良くも悪くもなかった。初回はすごく緊張した」と肩を落とした。

◆5年連続日本一を目指す歩みは、何人もいるチームリーダーの1人から始まった。2021年ホークス、第1号は今宮だ。2ランアーチで、先制点をもたらした。  「初開幕投手、同級生でもある石川が、初回をテンポよく3人で抑え、攻撃へのリズムを作ってくれた。そして1番の周東がヒットで流れをさらに呼び込み、その勢いで打つことができたと思う。しっかり狙い球も絞ることができ、いいスイング、いいスタートが切れた」  一回無死、周東が中前打で初安打。相手先発・二木がけん制球などで周東の足を警戒する中、集中力を研ぎ澄ませた。1球目の141キロ直球を強振。打った瞬間に確信する特大弾で、今季の初得点を生み出した。  今宮は2013年から9年連続で開幕スタメンを射止めた。開幕戦の通算成績は打率・367(30打数11安打)だが、本塁打は0本だった。この日は母校の大分・明豊高が選抜甲子園で白星を挙げ、8強に進出。後輩たちの躍動も刺激に変わったはず。力強い一振りで、先輩の力も見せつけた。  三回には驚きのアーチも出た。1死から打席に入ったのは、昨季50盗塁でタイトルに輝いた周東。140キロを振り抜くと、白球は右翼席に着弾した。初盗塁より先に生まれた、初本塁打。オープン戦も打率・133と苦しんだが「一度リセットして、新たな気持ちで臨んだ試合。思い切って振りにいっている結果、ヒット、ホームランといい結果につながった」と強調した。  これで開幕戦は5年連続勝利。頂を目指す旅路は、今年もド派手に始まった。(竹村岳)

◆ロッテ・鳥谷敬内野手(39)が「7番・遊撃」で3年ぶりの開幕スタメン出場を果たし、右前打を放って今季初安打をマークした。  「久しぶりのスタメンで、ある程度自分としては動くことができた」  39歳9カ月のプロ18年目が、3点を追う五回1死二塁での2打席目で快音を放った。阪神時代の2018年以来の開幕スタメンで、遊撃手では5年ぶり。昨年まで3年連続開幕スタメンの藤岡を制し、3打数1安打1四球でフル出場した。  ロッテ移籍2年目。3月入団の昨季と違い、2月の沖縄・石垣島キャンプから2軍で精力的に練習した。真剣な姿勢は若手の手本に。教育リーグ出場を経て、オープン戦最後の2試合で1打数1安打1四球だった。  井口監督は鳥谷のスタメン起用を継続する。黒星発進を悔しがった鳥谷は「勝つことが一番。その中のひとつのピースになれるよう、しっかりやっていきたい」と円熟プレーで初勝利を目指す。(山口泰弘)

◆育成から夢を見せる。使命を胸に上がった、晴れ舞台のマウンドだ。先発したソフトバンク・石川は7回1失点。育成出身としては史上初となる開幕白星を手に入れた。  「(今の心境は)ほっとしていると同時に、次の戦いに備えないといけないというのが率直な気持ちです」  三回を終えてパーフェクト。六回1死にマーティンにソロを浴び、さらに2死満塁を招いたが最後は田村を空振り三振だ。工藤監督からも「代えないぞ」といわれ、七回もマウンドへ。107球を投げ切り、今季1勝目をつかみ取った。  2014年の育成ドラフト1位で創価大から入団。育成出身選手が開幕投手を務めるのは千賀以来、球界2人目だ。18年&19年の千賀は白星がつかなかったため、石川が史上初の開幕投手白星。昨年は11勝、勝率・786と投手2冠に輝いたホークスの柱だが「育成初」という記録の多くは千賀が残してきた。「千賀が取っていない『育成の何か』は、なかなかない」とにっこり。言葉ににじむのは、這い上がってきたプライドだ。  「育成出身でもやれるんだという気持ちは今でも持っていますし"育成魂"は引き続き持ちつつやっていきたいです」  同じく育成出身の周東、甲斐にも今季1号が生まれるなど開幕戦は5年連続勝利となった。工藤監督も石川の快挙に「2人目だと思ったけど、千賀じゃないんだ!」と驚きの声。そして「精神面の成長が出た」とうなるしかない。石川にとっても忘れられない白星となった。  「ここからまた戦いが始まりますけど、ともに頑張っていきましょう。今年もよろしくお願いします」  日本一軍団を支えるエースは背番号3桁の悔しさを知っているから、ファンからの声援が心からうれしかった。(竹村岳)

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<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ソフトバンク
100 1.000
(-)
-
(-)
1428
(-)
2
(-)
4
(-)
0
(-)
0.258
(-)
2.000
(-)
1
(-)
西武
100 1.000
(-)
0
(-)
1424
(-)
3
(-)
1
(-)
0
(-)
0.233
(-)
3.000
(-)
1
(-)
楽天
100 1.000
(-)
0
(-)
1428
(-)
2
(-)
1
(-)
0
(-)
0.294
(-)
0.000
(-)
4
(-)
ロッテ
010 0.000
(-)
1
(-)
1422
(-)
8
(-)
2
(-)
0
(-)
0.182
(-)
9.000
(-)
4
(-)
日本ハム
010 0.000
(-)
1
(-)
1422
(-)
8
(-)
0
(-)
1
(-)
0.152
(-)
6.750
(-)
4
(-)
ORIX
010 0.000
(-)
1
(-)
1423
(-)
4
(-)
2
(-)
0
(-)
0.229
(-)
1.130
(-)